(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】光電変換装置、光電変換システム、および移動体
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20240930BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20240930BHJP
H01L 25/065 20230101ALI20240930BHJP
H01L 25/18 20230101ALI20240930BHJP
H04N 25/70 20230101ALI20240930BHJP
H04N 25/77 20230101ALI20240930BHJP
【FI】
H01L27/146 F
H01L27/146 D
H01L25/08 Z
H04N25/70
H04N25/77
(21)【出願番号】P 2020107919
(22)【出願日】2020-06-23
【審査請求日】2023-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】小林 大祐
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-182038(JP,A)
【文献】特開2019-067931(JP,A)
【文献】特開2018-022924(JP,A)
【文献】国際公開第2012/161044(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 25/07
H04N 25/70
H04N 25/77
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数行および複数列に配された複数の画素回路を含む第1半導体素子層を含む第1チップと、
第2半導体素子層を含む第2チップと、を備え、
前記第1チップと前記第2チップとは、前記第1半導体素子層と前記第2半導体素子層との間において複数の金属接合部で接合され、
前記複数の画素回路は、n(nは3以上の整数)個の画素回路を含む第1画素ブロックと、前記第1画素ブロックと同数の画素回路を含む第2画素ブロッ
クと
、前記第1画素ブロックと同数の画素回路を含む第3画素ブロックとを含み、
前記複数の金属接合部は、前記第1半導体素子層と前記第2半導体素子層を接続する第1金属接合部を含み、
前記第1画素ブロックと前記第2画素ブロックは隣り合っており、前記第2画素ブロックと前記第3画素ブロックは隣り合っており、
前記第1画素ブロックと、前記第2画素ブロックと、前記第3画素ブロックの一部ずつの画素回路は互いに、同じ行に配される、もしくは同じ列に配されており、
前記第1画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンと、前記第2画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンと、前記第3画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンとが互いに異なっており、
前記第1金属接合部には、出力線が接続される
ことを特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
複数行および複数列に配された複数の画素回路を含む第1半導体素子層を含む第1チップと、
第2半導体素子層を含む第2チップと、を備え、
前記第1チップと前記第2チップとは、前記第1半導体素子層と前記第2半導体素子層との間において複数の金属接合部で接合され、
前記複数の画素回路は、n(nは3以上の整数)個の画素回路を含む第1画素ブロックと、前記第1画素ブロックと同数の画素回路を含む第2画素ブロックと、前記第1画素ブロックと同数の画素回路を含む第3画素ブロックとを含み、
前記複数の金属接合部は、前記第1半導体素子層と前記第2半導体素子層を接続する第1金属接合部を含み、
前記第1画素ブロックと前記第2画素ブロックは隣り合っており、前記第2画素ブロックと前記第3画素ブロックは隣り合っており、
前記第1画素ブロックと、前記第2画素ブロックと、前記第3画素ブロックの一部ずつの画素回路は互いに、同じ行に配される、もしくは同じ列に配されており、
前記第1画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンと、前記第2画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンと、前記第3画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンとが互いに異なっており、
外部からの電位が供給されるパッド配線を有し、
前記パッド配線から前記第1画素ブロックまでの距離は、前記パッド配線から前記第2画素ブロックまでの距離よりも短いことを特徴とす
る光電変換装置。
【請求項3】
複数行および複数列に配された複数の画素回路を含む第1半導体素子層を含む第1チップと、
第2半導体素子層を含む第2チップと、を備え、
前記第1チップと前記第2チップとは、前記第1半導体素子層と前記第2半導体素子層との間において複数の金属接合部で接合され、
前記複数の画素回路は、n(nは3以上の整数)個の画素回路を含む第1画素ブロックと、前記第1画素ブロックと同数の画素回路を含む第2画素ブロックと、前記第1画素ブロックと同数の画素回路を含む第3画素ブロックとを含み、
前記複数の金属接合部は、前記第1半導体素子層と前記第2半導体素子層を接続する第1金属接合部を含み、
前記第1画素ブロックと前記第2画素ブロックは隣り合っており、前記第2画素ブロックと前記第3画素ブロックは隣り合っており、
前記第1画素ブロックと、前記第2画素ブロックと、前記第3画素ブロックの一部ずつの画素回路は互いに、同じ行に配される、もしくは同じ列に配されており、
前記第1画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンと、前記第2画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンと、前記第3画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンとが互いに異なっており、
前記複数の画素回路が繰り返し配された画素領域を有し、
平面視で、前記第1画素ブロックから前記画素領域の中心までの距離は、前記第2画素ブロックから前記画素領域の中心までの距離よりも長いことを特徴とす
る光電変換装置。
【請求項4】
複数行および複数列に配された複数の画素回路を含む第1半導体素子層を含む第1チップと、
第2半導体素子層を含む第2チップと、を備え、
前記第1チップと前記第2チップとは、前記第1半導体素子層と前記第2半導体素子層との間において複数の金属接合部で接合され、
前記複数の画素回路は、n(nは3以上の整数)個の画素回路を含む第1画素ブロックと、前記第1画素ブロックと同数の画素回路を含む第2画素ブロックと、前記第1画素ブロックと同数の画素回路を含む第3画素ブロックとを含み、
前記複数の金属接合部は、前記第1半導体素子層と前記第2半導体素子層を接続する第1金属接合部を含み、
前記第1画素ブロックと前記第2画素ブロックは隣り合っており、前記第2画素ブロックと前記第3画素ブロックは隣り合っており、
前記第1画素ブロックと、前記第2画素ブロックと、前記第3画素ブロックの一部ずつの画素回路は互いに、同じ行に配される、もしくは同じ列に配されており、
前記第1画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンと、前記第2画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンと、前記第3画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンとが互いに異なっており、
前記複数の画素回路のそれぞれは光電変換素子を含み、
前記第1画素ブロックに配された、前記n(nは3以上の整数)個の画素回路の前記光電変換素子は遮光膜で覆われ、
前記第2画素ブロックに配された、前記第1画素ブロックと同数の画素回路の前記光電変換素子には光が入射することを特徴とす
る光電変換装置。
【請求項5】
複数行および複数列に配された複数の画素回路を含む第1半導体素子層を含む第1チップと、
第2半導体素子層を含む第2チップと、を備え、
前記第1チップと前記第2チップとは、前記第1半導体素子層と前記第2半導体素子層との間において複数の金属接合部で接合され、
前記複数の画素回路は、n(nは3以上の整数)個の画素回路を含む第1画素ブロックと、前記第1画素ブロックと同数の画素回路を含む第2画素ブロックと、前記第1画素ブロックと同数の画素回路を含む第3画素ブロックとを含み、
前記複数の金属接合部は、前記第1半導体素子層と前記第2半導体素子層を接続する第1金属接合部を含み、
前記第1画素ブロックと前記第2画素ブロックは隣り合っており、前記第2画素ブロックと前記第3画素ブロックは隣り合っており、
前記第1画素ブロックと、前記第2画素ブロックと、前記第3画素ブロックの一部ずつの画素回路は互いに、同じ行に配される、もしくは同じ列に配されており、
前記第1画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンと、前記第2画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンと、前記第3画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンとが互いに異なっており、
信号処理回路をさらに備え、
前記第1画素ブロックと前記信号処理回路との距離は、前記第2画素ブロックと前記信号処理回路との距離よりも短いことを特徴とす
る光電変換装置。
【請求項6】
前記信号処理回路は出力部を含み、
前記第1画素ブロックと前記出力部との距離が、前記第2画素ブロックと前記出力部との距離よりも短いことを特徴とする請求項5に記載の光電変換装置。
【請求項7】
複数行および複数列に配された複数の画素回路を含む第1半導体素子層を含む第1チップと、
第2半導体素子層を含む第2チップと、を備え、
前記第1チップと前記第2チップとは、前記第1半導体素子層と前記第2半導体素子層との間において複数の金属接合部で接合され、
前記複数の画素回路は、n(nは3以上の整数)個の画素回路を含む第1画素ブロックと、前記第1画素ブロックと同数の画素回路を含む第2画素ブロッ
クと
、前記第1画素ブロックと同数の画素回路を含む第3画素ブロックとを含み、
前記複数の金属接合部は、前記第1半導体素子層と前記第2半導体素子層を接続する第1金属接合部を含み、
前記第1画素ブロックと前記第2画素ブロックは隣り合っており、前記第2画素ブロックと前記第3画素ブロックは隣り合っており、
前記第1画素ブロックと、前記第2画素ブロックと、前記第3画素ブロックの一部ずつの画素回路は互いに、同じ行に配される、もしくは同じ列に配されており、
前記第1画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンと、前記第2画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンと、前記第3画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンとが互いに異なっており、
前記第2画素ブロックと平面視で重なる位置に配される前記第1金属接合部の前記第2画素ブロックの内部における前記第1金属接合部の数は2以上であり、
前記第2画素ブロックの内部における2以上の前記第1金属接合部のうちの少なくとも1つの前記第1金属接合部と、前記第1画素ブロックと平面視で重なる位置に配される前記第1金属接合部の前記第1画素ブロックの内部における配置パターンとが異なることを特徴とす
る光電変換装置。
【請求項8】
前記第1画素ブロックの前記n個の画素回路と、前記第2画素ブロックの前記
n個の画素
回路はそれぞれ、m列l行(mは2以上の整数、lは2以上の整数)に配された画素回路を含むことを特徴とする請求項1乃至
7のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項9】
前記第1画素ブロックの前記3つの画素回路は隣り合って配置され、
前記第2画素ブロックの前記3つの画素回路は隣り合って配置されることを特徴とする請求項
7または8に記載の光電変換装置。
【請求項10】
複数行および複数列に配された複数の画素回路を含む第1半導体素子層を含む第1チップと、
第2半導体素子層を含む第2チップと、を備え、
前記第1チップと前記第2チップとは、前記第1半導体素子層と前記第2半導体素子層との間において複数の金属接合部で接合され、
前記複数の画素回路は、n(nは3以上の整数)個の画素回路を含む第1画素ブロックと、前記第1画素ブロックと同数の画素回路を含む第2画素ブロックと、前記第1画素ブロックと同数の画素回路を含む第3画素ブロックとを含み、
前記複数の金属接合部は、前記第1半導体素子層と前記第2半導体素子層を接続する第1金属接合部を含み、
前記第1画素ブロックと前記第2画素ブロックは隣り合っており、前記第2画素ブロックと前記第3画素ブロックは隣り合っており、
前記第1画素ブロックと、前記第2画素ブロックと、前記第3画素ブロックの一部ずつの画素回路は互いに、同じ行に配される、もしくは同じ列に配されており、
前記第1画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンと、前記第2画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンと、前記第3画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンとが互いに異なっており、
前記第1画素ブロックにおいて、前記n個の画素回路での信号電荷の蓄積期間が第1期間に制御され、前記第2画素ブロックにおいて、前記第1画素ブロックと同数の画素回路での信号電荷の蓄積期間が前記第1期間とは異なる第2期間に制御されることを特徴とす
る光電変換装置。
【請求項11】
前記複数の画素回路は、前記第1画素ブロックと同数の画素回路を含む第3画素ブロックを含み、
前記第3画素ブロックにおいて、前記第1画素ブロックと同数の画素回路での信号電荷の蓄積期間が前記第1期間および前記第2期間とは異なる第3期間に制御され、
平面視で、前記第1画素ブロックに重なる位置に配される前記第1金属接合部の数と、前記第2画素ブロックに重なる位置に配される前記第1金属接合部の数と、前記第3画素ブロックに重なる位置に配される前記第1金属接合部の数と、はそれぞれ異なることを特徴とする請求項
10に記載の光電変換装置。
【請求項12】
前記複数の画素回路は複数行および複数列に配されており、
前記n個の画素回路に含まれ、かつ前記複数行のうちの1行に配された、隣り合う少なくとも3つの画素回路の内部には、それぞれ配置パターンが前記3つの画素回路の内部のそれぞれで互いに異なる金属接合部が配されることを請求項
7乃至
11のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項13】
出力部を含み、
平面視で、前記第1画素ブロックと前記出力部との距離が、前記第2画素ブロックと前記出力部との距離よりも短いことを特徴とする請求項
10乃至
12のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項14】
前記第1画素ブロックに重なる位置に配される前記第1金属接合部の数は、前記第2画素ブロックに重なる位置に配される前記第1金属接合部の数よりも少ないことを特徴とする請求項1乃至
13のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項15】
前記複数の金属接合部は、前記第1半導体素子層もしくは前記第2半導体素子層と接続されない、または、前記第1半導体素子層および前記第2半導体素子層と接続されない第2金属接合部を含み、
平面視で前記第1画素ブロックに重なる位置に配された前記第2金属接合部の数は、前記第2画素ブロックに重なる位置に前記第2金属接合部の数よりも多いことを特徴とする請求項1乃至
14のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項16】
前記第1画素ブロックと前記第2画素ブロックとは隣接して配されることを特徴とする請求項1乃至
15のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項17】
前記第1金属接合部には、出力線が接続されることを特徴とする請求項
2乃至
16のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項18】
前記複数の金属接合部の主成分は銅であることを特徴とする請求項1乃至
17のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項19】
前記複数の画素回路のそれぞれは、光電変換素子を含み、
前記複数の金属接合部は、1つの前記光電変換素子に対して1つの前記金属接合部が対応して配されていることを特徴とする請求項1乃至
18のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項20】
前記第1画素ブロックと平面視で重なる位置に配される前記第1金属接合部の数は、前記第2画素ブロックと平面視で重なる位置に配される前記第1金属接合部の数よりも少ないことを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1項に記載の光電変換装置。
【請求項21】
請求項1乃至
19のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置によって得られた信号を処理する信号処理部と、を備えることを特徴とする光電変換システム。
【請求項22】
請求項1乃至
19のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置からの信号に基づき、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段と、
前記距離情報に基づいて移動体を制御する制御手段と、を有することを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光電変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のチップが積層された光電変換装置において、各チップの配線パターンを接合して構成された金属接合部を介してチップ間の電気的接続を行うことが知られている。
【0003】
特許文献1には、複数の画素が2次元に配置された画素領域を含む第1半導体素子層を有する第1チップと、第2半導体素子層を有する第2チップと、が積層され、金属接合部により接合された光電変換装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、第1チップと第2チップとを接続する金属接合部の好適な配置位置や配置数について検討されていない。特許文献1には、第1チップと第2チップとを接続する金属接合部の好適な配置位置や配置数について検討することにより、光電変換装置の特性を向上できる余地がある。
【0006】
本発明は特性が向上した光電変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一形態に係る光電変換装置は、複数行および複数列に配された複数の画素回路を含む第1半導体素子層を含む第1チップと、第2半導体素子層を含む第2チップと、を備え、前記第1チップと前記第2チップとは、前記第1半導体素子層と前記第2半導体素子層との間において複数の金属接合部で接合され、前記複数の画素回路は、n(nは3以上の整数)個の画素回路を含む第1画素ブロックと、前記第1画素ブロックと同数の画素回路を含む第2画素ブロックと、前記第1画素ブロックと同数の画素回路を含む第3画素ブロックとを含み、前記複数の金属接合部は、前記第1半導体素子層と前記第2半導体素子層を接続する第1金属接合部を含み、前記第1画素ブロックと前記第2画素ブロックは隣り合っており、前記第2画素ブロックと前記第3画素ブロックは隣り合っており、前記第1画素ブロックと、前記第2画素ブロックと、前記第3画素ブロックの一部ずつの画素回路は互いに、同じ行に配される、もしくは同じ列に配されており、記第1画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンと、前記第2画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンと、前記第3画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンとが互いに異なっており、前記第1金属接合部には、出力線が接続される。
【0008】
一形態に係る光電変換装置は、複数行および複数列に配された複数の画素回路を含む第1半導体素子層を含む第1チップと、第2半導体素子層を含む第2チップと、を備え、前記第1チップと前記第2チップとは、前記第1半導体素子層と前記第2半導体素子層との間において複数の金属接合部で接合され、前記複数の画素回路は、n(nは3以上の整数)個の画素回路を含む第1画素ブロックと、前記第1画素ブロックと同数の画素回路を含む第2画素ブロックと、前記第1画素ブロックと同数の画素回路を含む第3画素ブロックとを含み、前記複数の金属接合部は、前記第1半導体素子層と前記第2半導体素子層を接続する第1金属接合部を含み、前記第1画素ブロックと前記第2画素ブロックは隣り合っており、前記第2画素ブロックと前記第3画素ブロックは隣り合っており、前記第1画素ブロックと、前記第2画素ブロックと、前記第3画素ブロックの一部ずつの画素回路は互いに、同じ行に配される、もしくは同じ列に配されており、前記第1画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンと、前記第2画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンと、前記第3画素ブロックの内部における全ての前記第1金属接合部によって形成される配置パターンとが互いに異なっており、外部からの電位が供給されるパッド配線を有し、前記パッド配線から前記第1画素ブロックまでの距離は、前記パッド配線から前記第2画素ブロックまでの距離よりも短い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、特性が向上した光電変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1における光電変換装置の断面模式図である。
【
図2】実施形態1における光電変換装置の平面模式図である。
【
図3】実施形態1における光電変換装置の画素の等価回路図である。
【
図4】比較形態における光電変換装置の画素部の金属接合部の配置図である。
【
図5】実施形態1における光電変換装置の部材間接続関係の模式図である。
【
図6】実施形態2における光電変換装置の画素部の金属接合部の配置図である。
【
図7】実施形態3における光電変換装置の画素部の金属接合部の配置図である。
【
図8】実施形態4における光電変換装置の熱分布の模式図である。
【
図9】実施形態4における光電変換装置の画素部の金属接合部の配置図である。
【
図10】実施形態4における光電変換装置の金属接合部の配置図である。
【
図11】実施形態5における光電変換装置のパッドおよび金属接合部の配置図である。
【
図12】実施形態5における光電変換装置の接続領域の構成例である。
【
図13】実施形態5における光電変換装置の部材間接続関係の模式図である。
【
図14】実施形態6における光電変換装置の金属接合部の配置図である。
【
図15】実施形態7における光電変換システムのブロック図である。
【
図16】実施形態8における光電変換システムおよび移動体の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に示す形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、本発明を限定するものではない。各図面が示す部材の大きさや位置関係は、説明を明確にするために誇張していることがある。以下の説明において、同一の構成については同一の番号を付して説明を省略することがある。
【0012】
各実施形態の説明において、各半導体素子層の主面とは、トランジスタが形成される側の面(表面)である。また、裏面とは、該主面と対向する面である。上方向は、半導体素子層101の表面から裏面に向かう方向であり、下方向および深さ方向は、半導体素子層101の裏面から表面に向かう方向とする。
【0013】
以下の説明では、信号キャリアが電子である場合について説明するが、信号キャリアは正孔でもよい。その場合は、極性及び導電型が全て逆になる。
【0014】
(実施形態1)
本発明の実施形態1に係る光電変換装置について、
図1から
図5を用いて説明する。
図1は、各実施形態における光電変換装置の概略断面図である。光電変換装置とは、例えば、イメージセンサ―や、測光センサー、測距センサーとして用いることができる半導体デバイスである。以下では一例として、光電変換装置がイメージセンサ―である場合について説明する。
【0015】
図1に示すように、光電変換装置は、チップ308とチップ309との積層体である。チップ308は、半導体素子層101と、配線構造190と、を有する。本明細書において、「半導体素子層」とは、半導体層のみではなく、半導体層と半導体層に形成されたトランジスタのゲートとを含む。配線構造の配線層やコンタクトプラグは「半導体素子層」に含まれない。チップ309は、半導体素子層130と、配線構造191と、を有する。チップ308の配線構造190とチップ309の配線構造191とが、半導体素子層101及び半導体素子層130の間に位置するように、チップ308とチップ309とは積層されている。本明細書において、チップとは、
図1に示すようなウエハから個片化した状態のものはもちろんのこと、ウエハの状態で将来的に個片化されるものも含むこととする。
【0016】
図1の光電変換装置は、半導体素子層101の裏面103側から光が入射し光電変換素子が受光する、所謂、裏面照射型の光電変換装置である。
【0017】
配線構造190の最下層に位置する配線層の配線と、配線構造191の最上層に位置する配線層の配線と、を接合することで構成された金属接合部MBによりチップ308とチップ309とは接合されている。金属接合部MBとは、配線層を構成する金属と配線層を構成する金属とが直接接合された構造である。配線構造190の下面と、配線構造191の上面とが、接合面Xにおいて貼り合わされているとも言える。つまり、チップ308とチップ309とが接合面Xにて接合されている。接合面Xは、配線構造190の下面と配線構造191の上面とで構成される。なお、配線層114の配線と配線層143の配線との間にマイクロボンディング等の接続部材を利用してもよい。
【0018】
図1では、配線構造190の配線層114の配線と配線構造191の配線層143の配線とが接合されることにより、金属接合部MBが構成されている。以下では、金属接合部MBのうちのチップ308に含まれていた部分、つまり、配線層114の一部を構成する部分についてはMBxAということがある。同様に、金属接合部MBのうちのチップ309に含まれていた部分、つまり、配線層143の一部を構成する部分についてはMBxBということがある。金属接合部の主成分は例えば銅であることが好ましい。主成分が銅であるとは、全体の成分のうち90%を超える成分が銅であることを指す。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の光電変換装置は、複数種類の金属接合部MBを含む。例えば、半導体素子層101および半導体素子層130を接続する金属接合部MB1と、半導体素子層101および半導体素子層130の少なくとも一方と接続されない金属接合部MBと、を含む。後者の金属接合部MBの例としては、後述する、金属接合部MB2、金属接合部MB3、金属接合部MB4、金属接合部MB5が挙げられる。
【0020】
金属接合部MB2は、金属接合部MB2よりも上層に位置する配線及び金属接合部MB2よりも下層に位置する配線と接続されているが、半導体素子層の少なくとも一方には接続されていない金属接合部である。1観点で、金属接合部MB2は、上面および下面にビアプラグが接続されているが半導体素子層の少なくとも一方には接続されない金属接合部である。他の観点で、金属接合部MB2は、上面および下面に凸部が設けられているが半導体素子層の少なくとも一方には接続されない金属接合部である。なお、本明細書において、「ビアプラグ」とは、配線層の配線とは別に形成されたものであってもよいし、デュアルダマシン法等により一体的に形成されたものであってもよい。
【0021】
金属接合部MB3は、金属接合部MB3よりも下層に位置する配線と接続され、上面の全体が層間絶縁材料と接する金属接合部である。1観点で、金属接合部MB3は、下面にビアプラグが接続され、上面の全体が層間絶縁材料と接する金属接合部である。他の観点で、金属接合部MB3は、下面に凸部が形成され、上面には凸部が形成されていない金属接合部である。
【0022】
金属接合部MB4は、金属接合部MB4よりも上層に位置する配線と接続され、下面の全体が層間絶縁材料と接する金属接合部である。1観点で、金属接合部MB4は、上面にビアプラグが接続され、下面の全体が層間絶縁材料と接する金属接合部である。他の観点で、金属接合部MB4は、上面に凸部が形成され、下面には凸部が形成されていない金属接合部である。
【0023】
金属接合部MB5は、金属接合部MB5よりも上層に位置する配線および金属接合部MB5よりも下層に位置する配線と接続されない金属接合部である。1観点で、金属接合部MB5は、上面および下面にビアプラグが接続されない金属接合部である。他の観点で、金属接合部MB5は、上面および下面の全体が層間絶縁材料と接する金属接合部である。
【0024】
図1では、金属接合部MB2~MB5のすべての種類の金属接合部を含むが、金属接合部MB1と、金属接合部MB2~MB5の少なくともいずれか1種を含んでいればよい。また
図1では、金属接合部MB2、金属接合部MB3、金属接合部MB4は、半導体素子層101および半導体素子層130の両者と接続されていないが、いずれか一方と接続され、他方と接続されない構成としてもよい。
【0025】
図1~
図3を用いて、チップ308の構成およびチップ309の構成について詳細を説明する。
図2(A)はチップ308における平面模式図である。
図2(B)はチップ309における平面模式図である。
図2(C)は、接合面Xにおける各金属接合部MBの平面模式図である。説明の便宜上、
図2(A)、
図2(B)には、配線層の一部、コンタクトプラグ、ビアプラグは図示していない。また、
図2(A)、
図2(B)の平面図では、金属接合部MB1は、画素領域400やタイミング制御回路500等の各構成要素と物理的に重ならない配置関係で説明している。実際には
図1の画素領域400とタイミング制御回路500の配置で示しているように、金属接合部MB1は複数の配線層を介して、構成要素の直上、直下に配置できる。また、部材間の信号の金属接合部は、
図1や
図2で示すように、部材間で共通の位置に配置される。
図2(A)、
図2(B)では、周辺領域部に配される構成要素を上下対称に配置している。上下対称に配置している構成要素、金属接合部MB等は、図面の簡略化のために一部の符号を省略する。本明細書において、「平面」とは、チップ308とチップ309との接合面Xと平行な面を指す。また、「平面視」とは、接合面Xに対して垂直な方向から視ることを指す。
【0026】
まず、チップ308について説明する。
【0027】
半導体素子層101の半導体層は例えばシリコン半導体基板である。半導体素子層101は、平面視で複数の画素600の画素回路が2次元アレイ状に配された画素領域400を有する。画素600は、光信号を電気信号に変換して出力する。画素600は、画像を構成するために繰り返して配置される回路の最小単位を指しうる。そして、画素600に含まれ、半導体素子層101に配された画素回路は、少なくとも、光電変換素子603を含んでいればよい。光電変換素子603は、光電変換により電子および正孔を生じる素子である。光電変換素子603としては、例えば、フォトダイオードを用いることができる。画素回路には、光電変換素子以外の構成を含んでいてもよい。例えば、画素回路はさらに、転送トランジスタ、FD、リセットトランジスタ、増幅トランジスタ、容量付加トランジスタ、選択トランジスタの少なくともいずれか1つを含んでいてもよい。典型的には、選択トランジスタ及び当該選択トランジスタを介して信号線に接続された一群の素子が画素600を構成する。すなわち、選択トランジスタが画素回路の外縁でありうる。あるいは、増幅トランジスタが画素回路の外縁でありうる。あるいは、光電変換素子と転送トランジスタの組が画素600を構成することもある。他にも、1つあるいは複数の光電変換素子と、1つの増幅回路あるいは1つのAD変換回路との組が画素600構成してもよい。以下では、半導体素子層101に配される画素回路が
図3に示す増幅トランジスタ608が外縁である場合について説明する。なお、画素600の一部の構成が半導体素子層101に配され、他の一部の構成が半導体素子層130に配されてもよい。この場合、画素600のうちの半導体素子層101に配される画素回路の構成としては、光電変換素子603が挙げられる。
【0028】
図3に示す画素回路は、電源線601、接地線602、光電変換素子603、リセットトランジスタ604、転送トランジスタ606、増幅トランジスタ608、出力線609で構成される。リセットトランジスタ604、転送トランジスタ606は、各々リセット制御線605、転送制御線607にて制御される。出力線609は複数の画素600間で共通の出力線であり、配線403に接続される。画素領域400には、リセットや転送を制御する配線402、407、電源電圧等を供給する配線406が接続される。画素600の画素回路は、
図1に示すように半導体素子層101に配される。
図1では、光電変換素子603、転送トランジスタ606、増幅トランジスタ608が示されており、リセットトランジスタ604は示されていない。
【0029】
図1に示すように、半導体素子層101は、光電変換素子603を構成するn型半導体領域115と、転送トランジスタ606のドレインであるn型半導体領域116と、素子分離構造120とを含む。転送トランジスタ606はn型半導体領域115とn型半導体領域116と、ゲート電極108とで構成される。ここで、n型半導体領域115で蓄積された電荷は、ゲート電極108によって、n型半導体領域116に転送される。n型半導体領域116に転送された電荷に基づく電位はコンタクトプラグ109、配線層110の配線、ビアプラグ111、配線層112の配線を介して、増幅トランジスタ608のゲート電極118に接続される。増幅トランジスタ608のソース・ドレイン領域を構成するn型半導体領域117は、ウエル119に配されている。増幅トランジスタの608のソースは
図3に示す電源線601に接続され、ドレインは
図3に示す出力線609に接続される。増幅トランジスタ608のドレインは、コンタクトプラグ、配線層110の配線、ビアプラグ、配線層112の配線を介して、信号処理回路410に接続される。
【0030】
図1には信号処理回路410の一部の素子であるN型トランジスタ200が示されている。N型トランジスタ200は、ウエル121と、N型トランジスタのソース・ドレイン領域を構成するn型半導体領域123、ゲート電極122とを含む。本実施形態では、N型トランジスタ200のゲート電極122は基準電位が接続され、ソース電極は接地線602に接続される。ドレイン電極は、コンタクトプラグ109、配線層110の配線パターン、ビアプラグ、配線層112の配線パターンを介して増幅トランジスタ608のドレインに接続される。増幅トランジスタ608と信号処理回路410のN型トランジスタ200でソースフォロワ回路を構成する例である。
【0031】
なお、光電変換素子は更にp型半導体領域を有する埋込みフォトダイオードであってもよく、フォトゲートであってもよく、適宜変更可能である。
【0032】
信号処理回路410は、N型トランジスタ205、P型トランジスタ206で構成されるインバーター回路をさらに含む。インバーター回路は、デジタル信号に変換された画素信号を、金属接合部MB1-3を介してチップ309の信号処理制御回路503に出力する。金属接合部MB1-3は、ビアプラグ、配線層141の配線、ビアプラグ、配線層の配線を介して、N型トランジスタ203、P型トランジスタ204で構成するインバーター回路のゲート電極151、154に接続される。N型トランジスタ205は、ウエル156と、N型トランジスタのソース・ドレイン領域を構成するn型半導体領域158、ゲート電極157とにより構成される。P型トランジスタ206は、ウエル159と、P型トランジスタのソース・ドレイン領域を構成するp型半導体領域161、ゲート電極160とにより構成される。N型トランジスタ205のソースは接地電位に接続され、ドレインはコンタクトプラグ、配線層110の配線、ビアプラグ、配線層112の配線に接続される。一方、P型トランジスタ206のソースは電源電位に接続され、ドレインはコンタクトプラグ、配線層110の配線、ビアプラグ、配線層112の配線に接続される。本実施形態では、N型トランジスタ205とP型トランジスタ206のドレインは配線層112の配線パターンで接続され、インバーター回路を形成する。N型トランジスタ205、P型トランジスタ206のドレインが接続された配線層112の配線は、さらにビアプラグ、配線層114の配線を介して、配線層143の配線に接続される。前述の通り、配線層114、143の各配線を接合することにより金属接合部MBが構成される。
【0033】
配線層114の配線は、ビアプラグ、配線層112の配線、ビアプラグ、配線層110の配線、コンタクトプラグを介して、転送トランジスタ606のゲート電極108に接続される。チップ308の画素600は、チップ309のタイミング制御回路500から電荷転送動作を制御される構成となる。これらの接続関係は、
図2(A)の配線407、金属接合部MB1A-8、
図2(B)の金属接合部MB1B-8、配線509に対応する。
【0034】
パッド部312には、外部端子と接続させるためのパッド配線313と、パッド配線313配線の一部を露出する開口100とが配置されている。
図1では、パッド配線313は、金属接合部MB2と、金属接合部MB2の上面および下面に接続されたビアプラグとを介して、配線層112の配線700に接続される。配線700は、例えば電源配線であり、チップ308に配置される構成要素に電源を供給する。
図1では、パッド配線313と配線700とが、複数の金属接合部MB2により接続されている。これにより、金属接合部MB2の寄生抵抗を低減できる。
図1においてパッド配線313は、チップ309の配線層141に配置されているが、これに限らない。例えば、配線構造190のいずれかの配線層にパッド配線313が配されていてもよいし、半導体素子層101よりも上層にパッド配線313が配されていてもよい。
【0035】
配線構造190は、M(Mは1以上の整数)層の配線層、層間絶縁材料、および配線層と半導体素子層101とを接続するコンタクトプラグを含む。ある層の配線層と、異なる高さの配線層とは、ビアプラグで接続されていてもよい。配線構造190に含まれる層間絶縁層、配線層、ビアプラグ、及びコンタクトプラグの数は任意に設定可能である。
図1では、配線構造190は、3層の配線層110、112、114と、各配線層間および各配線層に含まれる配線パターン間に配された層間絶縁材料104~107と、を有する。配線構造190は、配線層を接続するビアプラグ111、113、と、配線層110と半導体素子層101とを接続するコンタクトプラグ109と、をさらに有する。
【0036】
半導体素子層101の裏面103側において、平面視で画素領域400に重なる領域には、平坦化層124、複数のカラーフィルタを含むカラーフィルタ層125、平坦化層126、複数のマイクロレンズを含むマイクロレンズ層127が順に配置されている。
図1において、1つの画素600を開示しているが、実際には複数の画素600が配列される。また、複数のカラーフィルタ及び複数のマイクロレンズはそれぞれが1つの光電変換素子に対応して配置されていてもよい、複数の光電変換素子に対して1つのマイクロレンズと1つのカラーフィルタとが設けられていてもよい。
【0037】
次に、チップ309について説明する。以下では
図1に図示されているチップ309の構成について主に説明し、
図1に示されていない構成は
図2(B)を使って後述する。
【0038】
半導体素子層130の半導体層は、例えば、シリコン半導体基板である。半導体素子層130は、電気回路を含む。電気回路とは、例えば、
図2(B)に示す、垂直走査回路501、水平走査回路502、信号処理制御回路503、クロック生成回路504、タイミング制御回路500等を構成するトランジスタのいずれか1つである。タイミング制御回路500は、画素回路の少なくともいずれか1つのトランジスタの駆動を制御する回路である。
【0039】
図1のチップ309は、タイミング制御回路500の一部と、信号処理制御回路503の一部を配置した例である。
【0040】
タイミング制御回路500は、光電変換装置全体を制御する回路である。
図1では、タイミング制御回路500の一部の回路として、N型トランジスタ201とP型トランジスタ202とにより構成されるインバーター回路を示している。N型トランジスタ201のソース・ドレイン領域を構成するn型半導体領域145はウエル144に形成されている。N型トランジスタ201は、ソース・ドレイン領域を構成するn型半導体領域145と、ゲート電極137とにより構成されている。P型トランジスタ202のソース・ドレイン領域を構成するP型半導体領域148は、ウエル146に形成されている。P型トランジスタ202は、ソース・ドレイン領域を構成するp型半導体領域148と、ゲート電極147とにより構成される。N型トランジスタ201のソースは接地電位に接続され、ドレインはコンタクトプラグ、配線層139の配線、ビアプラグ、配線層141の配線に接続される。一方、P型トランジスタ202のソースは電源電位に接続され、ドレインはコンタクトプラグ、配線層139の配線、ビアプラグ、配線層141の配線に接続される。N型トランジスタ201、P型トランジスタ202のドレイン電極が接続された配線層141の配線は、さらにコンタクト層142のビア、配線層143の配線を介して、チップ308の配線層114の配線に接続される。
【0041】
信号処理制御回路503の一部の回路として、N型トランジスタ203とP型トランジスタ204を配置した例である。N型トランジスタ203のN型トランジスタのソース・ドレイン領域を構成するn型半導体領域152はウエル150に形成される。N型トランジスタ203は、ソース・ドレイン領域を構成するn型半導体領域152と、ゲート電極151と、により構成される。P型トランジスタ204のソース・ドレイン領域を構成するp型半導体領域155は、ウエル153に形成される。P型トランジスタ204は、ソース・ドレイン領域を構成するp型半導体領域155と、ゲート電極154とにより構成される。N型トランジスタ203のソース電極は接地電位に接続され、ドレイン電極は、コンタクト層138のコンタクトを介して配線層139の配線に接続される。P型トランジスタ204のソース電極は電源電位に接続され、ドレイン電極は、コンタクト層138のコンタクトを介して配線層139の配線に接続される。本実施例では、N型トランジスタ203とP型トランジスタ204のドレイン電極は配線層139の配線で接続される。
【0042】
配線構造191は、N(Nは1以上の整数)層の配線層、層間絶縁材料、および半導体素子層130と配線層とを接続するコンタクトプラグを含む。2つの配線層は、ビアプラグで接続されていてもよい。配線構造191に含まれる層間絶縁膜、配線層、コンタクト、及びビアプラグの数は任意に設定可能である。
図1では、3層の配線層140、142、143と、各配線層間および各配線層に含まれる配線パターン間に配された層間絶縁材料133~136と、を有する。配線構造191は、異なる高さの配線層を接続するビアプラグ141、142と、配線層140の配線パターンと半導体素子層130とを接続するコンタクトプラグと、をさらに有する。
【0043】
図2(A)において、周辺領域には、例えば、画素領域400に配された光電変換素子を駆動する信号を伝える電気回路が配されている。具体的には、周辺領域に、画素制御回路401、信号処理回路410、信号生成回路412、423、出力部420が配されている。電気回路は、例えば、画素制御回路401、信号処理回路410、信号生成回路412、423、出力部420を構成するトランジスタのいずれか1つである。
【0044】
配線406、407は、金属接合部MB1A-7、MB1A-8を介してチップ309に接続され、電源や駆動信号が供給される。なお、図面では、配線406、407、金属接合部MB1A-7、MB1A-8は単一の要素で示しているが、実際には複数の電源線や接地線、複数の制御線といったように、複数の配線、金属接合部MB1が配置される。また、同一の電源や信号が供給される場合であっても、配線や金属接合部MB1の低抵抗化のため、複数の配線や複数の金属接合部MB1を配置することがある。以下の説明では、配線や金属接合部MB1を介する入出力信号については、配線や金属接合部MB1が複数配置されるべき場合であっても、図面および説明の簡略化のため省略する。
【0045】
画素制御回路401は、配線402を介して画素領域400を構成する光電変換素子の光電変換、転送、リセット、画素信号を出力する行の選択等を制御する。画素制御回路401は、例えば、金属接合部MB1A-9、配線404を介して、チップ309から電源、接地電位が供給される。電源、接地電位は各々異なる電位であるので、実際には別の2つの金属接合部および配線から供給されるが、上で説明したように図面では省略している。また、金属接合部MB1A-10、配線405を介して、チップ309から制御信号が供給される。
【0046】
画素領域400から出力される信号は、配線403を介して、信号処理回路410に入力される。信号処理回路410は、例えば定電流回路を備え、画素600の増幅トランジスタ608と出力線609を介して接続することでソースフォロワ回路を構成し、画素信号を増幅する。さらにソースフォロワ回路の出力をアナログ/デジタル変換(A/D変換)して、アナログ信号である画素信号をデジタル信号に変換する構成でもよい。信号処理回路410の他の機能として、ソースフォロワ回路出力をさらに増幅する機能、CDS(Correlated Double Sampling)、画素信号をサンプル/ホールド(S/H)する機能を有してもいい。また、信号処理回路410は、A/D変換結果を保持するデジタルメモリや、デジタルメモリに保持したデジタルデータを読み出すための走査手段を備えている構成でもよい。本実施形態の信号処理回路410は、一例として、画素信号をA/D変換し、1画素を複数bitのデジタル信号としてデジタルメモリに保持し、1画素のデジタルデータを並列に出力できる構成とする。信号処理回路410には、金属接合部MB1A-2、配線411を介して、チップ309から電源、接地電位が供給される。また、金属接合部MB1A-1、配線416を介して、チップ309から制御信号が供給される。信号処理回路410で処理された画素信号は、配線417、金属接合部MB1A-3を介して、チップ309に出力される。
【0047】
信号生成回路412は信号処理回路410に供給する各種信号を生成する回路である。例えば、信号処理回路410のA/D変換動作で使用する参照電圧の生成や駆動クロックを生成し、配線413を介して信号処理回路410に供給する。信号生成回路412には、金属接合部MB1A-2、配線411を介して、チップ309から電源電圧、接地電圧が供給される。図面では信号処理回路410と同じ電源電圧、接地電圧が供給される構成となっているが、実際には異なる電源電圧、接地電圧が供給されてもよい。また、信号生成回路412は、金属接合部MB1A-1、配線415、金属接合部MB1A-11、配線414を介して、チップ309から制御信号が供給される。
【0048】
出力部420は、チップ309で処理された画素信号を光電変換装置外に出力するための機能を備える。例えばバッファ回路のように単一の端子から電圧出力を行う方式や、差動の2端子を持つLVDS(Low Voltage Diffrential Signaling)方式の出力機能を有する。また、本実施形態のように画素信号がデジタル信号の場合、例えばパラレルーシリアル変換(P/S変換)機能を有してもよい。出力部420は、金属接合部MB1A-5、配線422を介して、チップ309から電源電圧、接地電圧が供給される。
【0049】
信号生成回路423は、出力部420に供給する各種信号を生成する回路である。例えば、P/S変換やLVDSを駆動するクロックの生成や基準電圧を生成し、配線424を介して出力部420に供給する。信号生成回路423は出力部420と同じく、金属接合部MB1A-5、配線422を介して電源電圧、接地電圧が供給される。
【0050】
次に、チップ309の構成について、
図2(B)を参照しながら説明する。
図2(B)の説明においても、
図2(A)と同様に、実際には電源電圧、接地電圧、制御信号は、各々の複数の配線、金属接合部から供給される構成となるが、図面、説明では省略する。チップ309には、チップ308の構成要素を駆動するための制御信号を生成する回路や、チップ308の光電変換素子からの信号を処理する回路が配置される。また、チップ309には、光電変換装置外から電位が供給されるパッド配線313が複数配置されている。光電変換装置外から電位を供給する手段としては、ワイヤボンディングを介してパッド配線313に電位を供給する手段や、埋込金属を形成してバンプで電位を供給する方法が挙げられる。以下では、ワイヤボンディングを例にとって説明する。
【0051】
ワイヤボンディング等のため、チップ308はチップ309のパッド配線313の配置位置に合わせて開口している必要がある。
図2(A)では、チップ309に配置されたパッド配線313の位置関係を明示するため、複数の開口100を示している。即ち、
図2(A)の開口100A-1~100A-13は、チップ309のパッド配線313B-1~313B-13の開口部分である。具体的には、開口100A-1はパッド配線313B-1と対応し、開口100A-2はパッド配線303B-2と対応し、以降の符号も同様に対応する。
【0052】
タイミング制御回路500には、パッド配線313B-9から配線508を介して電源電圧、接地電圧と、光電変換装置外からの制御信号が供給される。光電変換装置外からの制御信号とは、例えば不図示の外部コントローラーからのシリアル通信等の制御信号である。なお、少なくとも一部、好ましくは全てのパッド配線313Bには、保護回路が並列、もしくは直列に接続されている。これにより、ワイヤボンディングや製造工程中のパッド配線313Bへの電気的なダメージを緩和できる。
【0053】
また、配線509、金属接合部MB1B-8を介して、チップ308へ制御信号を供給する。さらに本実施形態では、チップ308の金属接合部MB1A-8、配線407を介して、画素領域400の一部の駆動を制御している。
【0054】
垂直走査回路501は、パッド配線313B-12、配線510から電源電圧、接地電圧、制御信号等が供給され、配線511、金属接合部MB1B-10を介してチップ308の画素制御回路401を駆動する。垂直走査回路501によって、画素領域400は光電変換、転送、リセット、画素信号を出力する行の選択等の制御がされることになる。
【0055】
水平走査回路502、クロック生成回路504は、パッド配線313B-1、配線512から電源電圧、接地電圧、制御信号等が供給される。水平走査回路502は、配線513、金属接合部MB1B-1を介してチップ308の信号処理回路410、信号生成回路412を駆動する。クロック生成回路504は、例えばPLL(Phase Locked Loop)回路であり、配線517を介して水平走査回路502と連動して制御される。クロック生成回路504で生成された制御信号やクロックは、配線518、金属接合部MB1B-11を介して、信号生成回路412に供給される。
【0056】
信号処理制御回路503は、パッド配線313B-4、配線514、パッド配線313B-5、配線515から電源電圧、接地電圧、制御信号等が供給される。なお、本実施形態の信号処理制御回路503は、異なる電源電圧が供給されることとし、明示的にパッド配線313を分離した図としている。信号処理制御回路503には、チップ308の信号処理回路410でA/D変換された複数bitの画素信号が配線417、金属接合部MB1A-3、金属接合部MB1B-3、配線516を介して入力される。入力された画素信号は、デジタルゲインやオフセット加減算、圧縮処理、データのスクランブル処理等の各種デジタル信号処理がなされる。デジタル信号処理された画素信号は、配線517、金属接合部MB1B-4、金属接合部MB1A-4、配線421を介して、チップ308の出力部420に入力される。また、信号処理制御回路503は、画素信号のデジタル信号処理に同期した信号等を、配線517、金属接合部MB1B-4、金属接合部MB1A-4、配線421を介して、チップ308の信号生成回路423にも供給する。本実施形態では、信号処理制御回路503は、各々電源の異なる信号処理回路410、出力部420に応じて、異なる電源で駆動する。出力部420の出力は、配線425、金属接合部MB1A-6、金属接合部MB1B-6、配線531を介して、パッド配線313B-7から光電変換装置外に出力される。
【0057】
図2(C)に、接合面Xを平面視した図を示す。また、画素領域400の位置を破線で示している。
図2(C)では、接合面の面内均一性を保つため、金属接合部のパターンはおおよそ均一になるように、全面に配置するパターンとしている。
図1で説明したように、半導体素子層101および半導体素子層130に接続される金属接合部を金属接合部MB1として示す。また、金属接合部MB5よりも上層に位置する配線および金属接合部MB5よりも下層に位置する配線と接続されない金属接合部を金属接合部MB5として示す。
図2(C)において、金属接合部MB5の代わりに金属接合部MB2~金属接合部MB4の少なくともいずれか1つを用いてもよい。なお、必ずしも金属接合部MB2~金属接合部MB5を配置する必要はなく、金属接合部MB1だけ配置する構成としてもよい。
【0058】
図2(A)において、画素領域400は配線402、407を介して左右から駆動される構成になっている。これに限らず、
図2(C)で示した画素領域400の直下にある金属接合部MB5を、制御信号を接続することで金属接合部MB1とし、画素領域400を制御する構成としてもよい。画素領域400は、n個(nは3以上の整数)の画素600で構成した画素ブロックを2次元に配列した構成である。画素ブロックはそれぞれ、m列l行(mは2以上の整数、lは2以上の整数)により構成されることが好ましい。画素ブロックは、隣接するn個の画素600により構成される。第1画素ブロックと第2画素ブロックとは、それぞれ異なる画素により構成される。一例として、画素ブロックは、駆動タイミングの制御によって区分けされる。例えば、第1画素ブロックは、信号電荷の蓄積期間を第1期間に制御し、第2画素ブロックは信号電荷の蓄積期間を第1期間とは異なる第2期間に制御することができる。これにより、2次元に配列した各画素ブロック領域での被写体の輝度に応じて、各々の画素ブロックで最適な蓄積時間を制御し、撮像画像のダイナミックレンジを拡大する構成とすることができる。以下では、画素ブロックがク駆動タイミングで制御される例を詳細に説明するがこの構成に限定されない。駆動タイミングが同じ場合であっても、任意の範囲の画素を選択し、選択された複数の画素を1つのブロックとして区分してもよい。例えば、第1画素ブロックは、n個の画素回路を含み、第2画素ブロックは第1画素ブロックと同数の画素回路を含んで構成されていてもよい。この場合であっても、光電変換装置の特性を向上できる余地がある。
【0059】
次に、チップ308の画素領域400に配された画素600と、チップ309に配された構成との接続関係について説明する。
【0060】
まず、
図4(A)及び
図4(B)を参照しながら、比較形態のチップ308の画素領域400の画素600と、チップ309のタイミング制御回路500の一部と、の接続関係について説明する。その後、
図5(A)及び
図5(B)を参照しながら、本実施形態のチップ308とチップ309との接続関係について説明する。
【0061】
図4(A)に示すチップ308は、画素領域400のうち、画素600を3行3列でブロック化した画素ブロック430を有する。
図4(A)では、画素ブロック430とタイミング制御回路500の画素の転送動作を制御する回路との接続関係を示している。画素の転送動作を制御する回路は、電源線620、接地線621、P型トランジスタ622、N型トランジスタ623で構成したインバーター回路である。
図4(A)に示す例では、共通の転送制御線607で画素ブロック430を駆動している。チップ308の半導体素子層101に配された画素600とチップ309の半導体素子層130に配されたタイミング制御回路500とは、金属接合部MB1-20で接続されている。具体的には、タイミング制御回路500から、配線624、金属接合部MB1-20、転送制御線607を介して画素ブロック430を制御する。
図4(A)では、
図2(C)で説明したように、金属接合部の配置の均一性を保つため、金属接合部MB5を複数配置している。なお、金属接合部MB5の代わりに、金属接合部MB2~金属接合部MB4の少なくともいずれか1つを用いてもよい。
【0062】
図4(B)に、画素ブロック430と、金属接合部MB1-20と、金属接合部MB5との配置の関係を示す。画素領域400は、複数の画素600を含む画素ブロック430を5行、6列に配置しているが、これに限定されない。各画素ブロック430には、金属接合部MB1、MB5が計9個配置され、そのうち、金属接合部MB1-20で画素の転送を制御する信号線が接続される。画素ブロック430に含まれる3行3列の画素600のうち、2行2列目に配された画素600に重なる位置に金属接合部MB1-20が配され、その他の画素600に重なる位置に金属接合部MB5が配されている。つまり、画素ブロック430に重なる位置に配された9個の金属接合部MBのうち、1/9の割合で信号線が接続される。
【0063】
次に、
図5(A)及び
図5(B)を参照しながら、本実施形態の画素ブロック430、432の画素600と、チップ309に配置したパッド配線313-8と、の接続関係を説明する。
【0064】
図5(A)は、チップ308の画素600の接地線602と、チップ309のパッド配線313-8との接続関係を説明する図である。チップ308は、画素領域400のうちの一部である、画素ブロック430、431を有する。チップ309に配置したパッド配線313-8は、配線532、複数の金属接合部MB1-7、複数の配線406を介して、画素ブロック430、431の接地線602に接続される。画素ブロック430は、画素ブロック430に対応した複数の金属接合部のうち、1箇所の金属接合部で接続された金属接合部MB1-7により、パッド配線313-8と接続される。画素ブロック431は、画素ブロック431に対応した複数の金属接合部のうち、5箇所の金属接合部で接続された金属接合部MB1-7により、パッド配線313-8と接続される。
【0065】
図5(B)は、
図5(A)で説明した部材間の接続の構成について、画素領域400における金属接合部MB1-7、MB5の配置や接続関係を説明する図である。
図5(B)では、6行5列に配された画素ブロックのうち、1行目、5行目には、画素ブロック430が配置され、2~4行目には、画素ブロック431が配置される。また、配線532は、画素領域400直下に配置されている。
図5(A)同様に、各画素ブロック430には、9個の金属接合部MB1、MB5が配置され、そのうちパッド配線313-8と接続された金属接合部MB1-7が1つ配置される。つまり、平面視で重なる位置に配された9個の金属接合部MBのうち、1/9の割合でパッド配線313-8に接続される。一方、画素ブロック431には、9個の金属接合部MB1、MB5が配置され、そのうち5つの金属接合部MB1-7がパッド配線313-8と接続される。つまり、画素ブロックに重なる位置に配置された9個の金属接合部MBのうち、5/9の割合でパッド配線313-8に接続される。
【0066】
図5(B)に示すように、画素ブロック430に対応して配された金属接合部MB1-7の数と、画素ブロック431に対応して配された金属接合部MB1-7の数とは異なる。言い換えると、平面視で、画素ブロック430に重なる位置に配された金属接合部MB1の数と、平面視で、画素ブロック431に重なる位置に配された金属接合部MB1の数と、が異なる。具体的には、平面視で画素ブロック430に重なる位置に配された金属接合部MB1の数が、画素ブロック431に重なる位置に配された金属接合部MB1の数よりも少ない。また、画素ブロック431の第1半導体素子層および第2半導体素子層の少なくとも一方と接続されない金属接合部の数が、画素ブロック430の前記第1半導体素子層および第2半導体素子層の少なくとも一方と接続されない金属接合部の数よりも少ない。このように画素ブロック間で金属接合部MB1の数を変えている。
【0067】
例えば、列方向に複数の画素ブロックが配置されている場合に、1行目の画素ブロックと最終行の画素ブロックとの近傍にパッド配線311-8が配置されることがある。配線532は、使用される製造プロセスによって決まる有限の抵抗値をもつ。そのため、画素ブロックの1行目、最終行の画素ブロック430は、間に位置する画素ブロック431に対して、相対的に低抵抗で配線532、パッド配線313-8と接続されることになる。つまり、画素ブロック431とパッド配線311-8との距離が、画素ブロック430とパッド配線311-8との距離よりも長くなっている。ここで、「距離」とは最短距離を指す。また、金属接合部MB1についても、有限の抵抗値を持つ。金属接合部MB1の個数が多ければ低抵抗となり、少なければ高抵抗となる。そのため、画素ブロック430の配線532、406間の金属接合部MB1-7の抵抗成分は、画素ブロック431における配線532、406間の金属接合部MB1-7の抵抗成分に対して、高抵抗になっている。
【0068】
電源線や、接地線の配線抵抗による電圧降下量が、画素領域400面内で差があると、撮像画像のシェーディング等の原因となることがある。本実施形態では、パッド配線313-8の配置位置による配線抵抗成分に基づき、金属接合部MBの個数を調整し、パッド配線313-8から画素ブロック430、431までの抵抗値を調整することで、各々の抵抗値の差が小さくなるように構成している。これにより、画素ブロック間の接地電位の電圧降下量の差に起因したシェーディングを抑制している。
【0069】
なお、
図5(B)において、金属接合部MB1の配置位置は、
図5(B)では各画素ブロックの中央としているが、接続位置は限定しない。また、複数の画素ブロックについて、金属接合部MB1の配置位置が互いに異なっていてもよい。また、
図5(B)では1行目と最終行との間に位置する複数の画素ブロックは同じであるが、
図5(C)に示すように行ごとに異なる画素ブロック432~434を配置する構成としてもよい。さらに、列ごとに異なる画素ブロックを配置する構成でもよいし、行および列で異なる画素ブロックを配置する構成でもよい。
【0070】
なお、
図5では、画素600の転送動作の単位で画素ブロックを構成する例を説明したが、これに限定しない。例えばリセット動作する画素数の単位、読み出す画素数の単位等で画素ブロックの単位を決めてもいい。あるいは、画素の電源線や接地線の抵抗値によって領域やブロック単位を決定し、ブロック間の抵抗差を低減するように金属接合部の個数や密度を調整する構成でもよい。また、
図4(A)で説明した金属接合部で接続される信号が制御線の場合においても、画素ブロック間の制御波形の差を低減する手段として配線抵抗を調整するために、画素ブロック内の金属接合部の個数、密度を変更してもいい。
【0071】
また、光電変換装置の構成は、チップ308、チップ309に配置する構成要素や、その組合せ等、本実施形態で説明した構成に限定するものではない。例えば、チップ308には、画素領域400だけを配置し、信号処理回路、制御回路がチップ309に配置される構成でもよい。あるいは、画素領域を構成する各画素は、各々A/D変換器等の信号処理機能を備えた構成でもよい。
【0072】
本実施形態では、画素ブロック430~434のように、複数の金属接合部を配置できる単位ブロックが複数配置される構成において、画素ブロックごとに金属接合部の個数、もしくは密度を調整することで金属接合部の抵抗値を画素ブロックで調整できる。これにより、画素領域400に接続される電源線、接地線等の抵抗成分を画素ブロックの領域ごとに調整し、画素ブロック間の抵抗の差に起因するシェーディング等の画質劣化を抑制できる。
【0073】
(実施形態2)
本発明の実施形態2に係る光電変換装置について、
図6を用いて説明する。実施形態2に係る光電変換装置は、画素領域400が、有効画素を含む画素ブロック435と、遮光画素を含む画素ブロック430と、により構成され、画素ブロック430と画素ブロック435とで金属接合部MB1-7の数が異なる点が実施形態1と異なる。
図1~5に示す実施形態1による光電変換装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略、或いは簡潔にする。
【0074】
図6(A)は画素ブロック430、435の配置、金属接合部MB1-7の配置の平面模式図を説明する図である。光電変換装置の構成例として、画素領域400の一部に光学的な遮光部を配置することがある。例えば、
図1の平坦化層124の上面及び下面の少なくとも一方に遮光膜を設けて、画素領域400の一部を遮光膜で覆うことにより遮光できる。
図6(A)では、遮光部800は、画素領域400の1行目に配置した画素ブロック430に重なる位置に配置されている。なお、必要とする遮光領域の行数、列数に応じて、画素ブロックの単位を決めてもいい。
【0075】
遮光部800は、外乱ノイズ等による遮光部800の変動が、寄生容量を介して画素領域400に影響しないように、遮光部800の電位を固定する構成とすることがある。例えば、遮光部800を、画素ブロックの電源線、もしくは接地線とビアプラグを介して接続することで、画素600の電源電位や接地電位と同電位にできる。この構成によれば、遮光部800が、画素600の電源や接地線の配線を兼ねるため、電源線や接地線の配線抵抗が小さくなる。つまり、画素ブロック430が配置される領域では、画素ブロック435が配置される領域と比較して、電源、接地線の配線抵抗が相対的に小さい。電源、接地線の抵抗の差は、画素600の出力の差やシェーディング形状の差の要因となりうる。したがって、遮光部800を配置することにより、遮光領域と開口領域で電源、接地線の抵抗差による出力特性差が生じることがある。遮光部800の画素出力を用いて、開口部の画素信号の補正等の各種信号処理を行う際、遮光部800が配置される遮光領域と開口領域の出力特性の不一致により、信号処理精度や所望の信号処理結果が得られないことがある。
【0076】
本実施形態では、画素ブロック430と画素ブロック435で、電源や接地線が接続される金属接合部MB1-7の数および密度の少なくとも一方を変えている。これにより、遮光部800と、それ以外の開口領域の電源や接地線の配線抵抗値の差を低減し、遮光部と開口領域の暗時出力特性の差を低減できる。
【0077】
また、
図2(A)の画素制御回路401や信号処理回路410のように、画素領域400に隣接した構成要素と画素領域400とで、電源や接地線を共有する場合がある。この場合、
図6(A)で説明した遮光部800を配置した場合と同様に、画素領域400の中央領域に対して、画素領域400とその他の構成要素との境界領域の配線抵抗が相対的に下がるため、画素領域400の中央領域と周辺領域で出力差が生じることがある。
図6(B)は、画素ブロック430を中央3行4列に配置し、画素ブロック435は画素領域400の周辺に配置した構成である。
図6(B)の構成にすることで、画素領域400とその周囲の構成要素とで電源や接地線を共有した場合においても、電源や接地線の配線抵抗値の差を低減し、画素領域400の中央領域と周辺領域で出力差を低減できる。
【0078】
なお、本実形態においても実施形態1と同様に、画素ブロックの単位は
図6に示す構成に限定しない。
【0079】
本実施形態においても、画素ブロックのように、複数の金属接合部を配置できる単位ブロックが複数配置される構成において、単位ブロックごとに金属接合部の個数、もしくは密度を調整することで金属接合部の抵抗値を単位ブロックで調整できる。これにより、画素領域400に接続される電源線、接地線等の抵抗成分を単位ブロックの領域ごとに調整し、領域間の抵抗の差に起因するシェーディング等の画質劣化を抑制できる。
【0080】
また、
図6(B)では、画素領域400と電源、接地線を共有する他の構成要素、例えば信号処理回路410においても、画素領域400近傍とそれ以外の領域で電源、接地線の抵抗分布が生じる。信号処理回路410においても、例えば画素ブロックと同じようにブロック単位や領域で電源や接地線の金属接合部の個数や密度を調整することで、信号処理回路410内の抵抗分布を調整できる。これにより、信号処理回路410等、他の構成要素で生じる1次元のシェーディング等を抑制できる。
【0081】
(実施形態3)
本発明の実施形態3の光電変換装置について、
図7を用いて説明する。本実施形態の光電変換装置は、画素領域400内の画素ブロックにおいて、画素ブロックごとに金属接合部MB1の数や配置パターンがランダムである点が、実施形態1と異なる。
図1~6に示す実施形態1、実施形態2による光電変換装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略、或いは簡潔にする。
【0082】
実施形態1、実施形態2で説明したように、画素領域400内の電源や接地線等の抵抗分布によって、画素600の出力が抵抗分布に基づいた出力特性になることがある。これは、水平、垂直に連続した出力が、特定の傾向をもった出力特性、例えばシェーディングとなり、画質を劣化させる1つの要因となる。特に連続して変化する出力特性は、撮像画像では形状として認識されやすい。
【0083】
図7に示すように、金属接合部MBの数や配置パターンが異なる複数の画素ブロックがランダムに配置されていることにより、電源線、接地線等の配線抵抗の分布が連続した分布とならない。具体的には、第1画素ブロックと平面視で重なる位置に配される金属接合部MB1の第1画素ブロックの内部における配置パターンと、第2画素ブロックと平面視で重なる位置に配される金属接合部MB1の第2画素ブロックの内部における配置パターンが異なる。言い換えると、第1画素ブロックと平面視で重なる位置に配される金属接合部MB1と第2画素ブロックと平面視で重なる位置に配される金属接合部MB1とを重ね合わせたときに異なる位置に金属接合部MB1が配されている。第1画素ブロックと平面視で重なる位置に配される金属接合部MB1と第2画素ブロックと平面視で重なる位置に配される金属接合部MB1とを重ね合わせるとは、平行に移動させて重ねることを指す。金属接合部MB1のすべてが異なる位置に配される必要はなく、少なくとも1つの金属接合部MB1が異なる位置に配されていればよい。
【0084】
本実施形態によれば、配線抵抗の分布に起因した出力特性は連続した出力特性として視認しにくくなる。
【0085】
なお、画質の劣化をより防ぐために、隣接する画素ブロック間で金属接合部MBの密度の差を規定する、あるいは、配線の抵抗分布に応じて、画素ブロック単位での金属接合部MBの数や密度を決める構成にしてもいい。なお、金属接合部MBが配置されない画素ブロックがあってもよい。
【0086】
実施形態1、実施形態2では、パッド配線313の配置位置、遮光部800の配置や画素領域400の周囲に配置される構成要素との配線接続関係による配線抵抗の差を低減し、画質劣化を抑制する構成を説明した。本実施形態では、画素ブロック436のように、複数の金属接合部MBを配置できる単位ブロックが複数配置される構成において、単位ブロックの各々で、金属接合部MBの個数、もしくは密度を変えることで、特定のパターンの出力特性を抑制できる。
【0087】
(実施形態4)
本発明の実施形態4の光電変換装置について、
図8、
図9を用いて説明する。本実施形態の光電変換装置は、画素ブロック内の金属接合部MB1の数が、一端から他端に向かって変わる点が実施形態1と異なる。
図1~7に示す実施形態1、実施形態2、実施形態3による光電変換装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略、或いは簡潔にする。
【0088】
図8は、実施形態1で説明した
図2(A)、
図2(B)について、各構成要素の動作による生じる熱分布の例を示す模式図である。
図9は、本実施形態による光電変換装置における画素ブロック430、435、437、438の配置や金属接合部MB1-7の配置の構成を説明する図である。
【0089】
図2(A)や
図2(B)において、各構成要素で、動作周波数や消費電力が異なる。例えば、
図2(A)の出力部420や
図2(B)の信号処理制御回路503は、デジタル信号処理がされる構成要素のため、他の構成要素と比較して高周波数で動作している。このような構成要素では、電源変動や消費電力が他の構成要素に対して相対的に大きくなることがある。信号生成回路412、423についても同様あり、A/D変換動作のクロックや参照比較電圧、P/S変換用のクロックを生成する回路のため、電源変動や消費電力が他の構成要素に対して相対的に大きくなることがある。電源変動の影響は、配線、もしくは、配線間や絶縁層の寄生容量を介して他の構成要素に伝搬する。一方、回路動作時の消費電流は、例えば、電源線や接地線の抵抗成分、トランジスタ素子や抵抗素子等の各回路を構成する素子の抵抗成分と併せて、熱の発生要因となる。他の構成要素に比較して消費電力が大きい場合、局所的な熱源となり、特定の熱分布を生じさせることがある。なお、1つの構成要素内であっても、素子の集積度の差や駆動周波数、単位時間当たりのトランジスタの活性化率の差によって、消費電力の差、つまり熱の分布が生じることがある。
【0090】
図8(A)は、チップ308の熱分布の例を示す模式図である。熱分布900は、出力部420を中心とした熱分布であり、熱分布901は、信号生成回路423を中心とする熱分布である。ここでは、信号生成回路412の熱分布は省略する。
【0091】
図8(A)の熱分布のうち、特に熱分布900は、画素領域400の画素600に影響する。画素600を構成する光電変換素子603は、一般に暗電流といわれるノイズを発生させる。暗電流は温度によって変化するため、
図8(A)のような熱分布の場合、画素領域400のうち、熱分布900近傍とそれ以外で暗電流の大きさが異なり、撮像画像について、画像ムラや2次元のシェーディングとなり画質を劣化させうる。
図8(B)は、チップ309の熱分布の例を示す模式図である。熱分布902は、信号処理制御回路503を中心とする熱分布である。
図8(B)では、チップ308に配置される画素領域400の位置を示している。
図8(B)は、貼り合せた状態で画素領域400に熱分布902が影響することを示しており、信号処理制御回路503による熱分布902についても、画素領域400の暗電流に影響し、撮像画像の画像ムラや2次元のシェーディングとなり画質を劣化させうる。このように、配置する構成要素の位置や消費電力の差によって、チップ308、もしくはチップ309で熱分布が生じ、この熱分布の影響によって画質の劣化を生じさせうる。
【0092】
そこで、本実施形態では、熱分布902の近傍に位置する画素ブロックの金属接合部MB1の数と、当該画素ブロックよりも熱分布902から離れた位置における画素ブロックの金属接合部MB1の数とを変えている。
図9は、金属接合部MB1の配置数、密度の異なる画素ブロック430、435、437、438を配列した構成としている。なお、画素ブロック437、438は、上下反転して配置したパターンについて、同じ符号を付している。
【0093】
本実施例では、特に信号処理制御回路503に起因した熱分布902対して、金属接合部MB1の配置数、密度を減らし、配置パターンを調整している。これは、チップ309から、チップ308への熱の伝達を低減するためである。熱の伝達について、
図1を用いて説明する。
【0094】
図1で説明したように、チップ308とチップ309を貼り合せた状態では、層間絶縁膜107、136、配線層114、143が接触している。信号処理制御回路503で発生した熱は、配線構造191を構成する層間絶縁層、コンタクト層、配線層の熱伝導率に基づいて熱が伝達される。熱伝導率は、一般に絶縁膜を構成する絶縁材料より配線層やコンタクト層を構成する金属の方が高い。つまり、金属接合部MB5よりも、信号線や電源、接地線を接続するために、配線層やコンタクト層が接続される金属接合部MB1の方が、部材間の熱の伝達がしやすいことになる。そのため、
図9のように金属接合部MB1、金属接合部MB5の数や密度、配置パターンを熱分布902に対応した構成とすることで、信号処理制御回路503で発生する熱の伝達を低減できる。これにより、画素領域400への信号処理制御回路503による熱分布902の影響を低減し、暗電流ムラや2次元のシェーディングによる画質劣化を抑制しうる。
【0095】
本実施形態では、信号処理制御回路503から画素領域400への熱の伝達を低減する構成を説明したが、信号処理回路410やその他の構成要素についても同様に、熱分布の影響が生じうるため、他の構成要素についても熱の伝達を調整する構成としてもいい。
図10は、接合面Xについて、画素領域400、信号処理回路410、出力部420、信号生成回路423の配置位置を示し、金属接合部MB1~MB5の配置例を説明する図である。
【0096】
図8(B)で説明した熱分布902に対し、信号処理回路410に接続される制御信号や電源、接地線との金属接合部MB1の配置数や配置密度を減らすことで、信号処理制御回路503からの熱の伝達を低減する構成としている。一方で、信号生成回路423のように他の構成要素に対して熱分布が影響しない場合、信号生成回路423に接続される制御信号や電源、接地線との金属接合部MB1の配置数や配置密度を増やす構成としている。
【0097】
この構成では、チップ309への熱の伝達を増加させて、信号生成回路423で発生する熱をチップ309に拡散させ、放熱の効果を得ることができる。これにより、信号生成回路423において、高温時に発生する可能性のある回路誤動作や特性変化を抑制できる。また、近接して配置される出力部420との相互の熱分布の影響も低減できる。さらに、例えばパッド配線313Bのように光電変換装置外と接続される配線や、体積の大きい配線に接続する割合を増やすことで、より高い効果を得ることができる。例えばパッド配線313Bと接続すれば、ワイヤを介してパッケージ、光電変換装置が実装される基板等、熱の伝達経路が増え、放熱量を増加させることができ、配線の体積が大きければ、熱容量が増加して熱の変動量を小さくできる。
【0098】
以上、説明したように、本実施形態では、構成要素間の消費電力の差によって生じうる熱分布に対して、金属接合部MB1の配置個数、密度、配置パターンを調整することにより、熱の伝達を調整する。これにより、熱の分布に起因する撮像画像の画質劣化や、回路の温度特性変化の影響を抑制しうる。なお、熱の分布は、熱解析専用のシミュレーションや消費電力の計算、各回路の活性化率等から算出することができる。
【0099】
本実施形態では説明を省略したが、電源変動について、部材間で電源や接地電位を共有するような場合においては、金属接合部MB1の配置数、配置密度、配置位置やパターンを調整してもよい。これにより、構成要素間の金属を介した電源変動の影響を低減できる場合がある。
【0100】
なお、上記の説明では、第1の蓄積時間の画素600の集合と、第1の蓄積時間とは異なる第2の蓄積時間の画素の集合と、をそれぞれ画素ブロックと呼んでいるが、本実施形態において、蓄積時間の異なる画素600の集合である必要はない。例えば、画素領域400において、m個(mは4以上の整数)の画素600をブロック1とし、ブロック1とは異なる位置に配されたm個の画素600をブロック2とし、ブロック1とブロック2とを比較してもよい。画素領域内において、ブロック2が、ブロック1よりも熱分布900に起因する信号処理制御回路から離れて配置されている場合は、ブロック2に対応して配される金属接合部MB1の数をブロック1に対応して配される金属接合部MB1の数よりも多くしてもよい。
【0101】
(実施形態5)
本発明の実施形態5の光電変換装置について、
図11~
図13を用いて説明する。本実施形態の光電変換装置は、金属接合部MB5の代わりに金属接合部のパターンMBPを用いる点が実施形態1と異なる。
図1~10に示す実施形態1~実施形態4による光電変換装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略、或いは簡潔にする。
【0102】
図11は、実施形態1で説明した
図2(A)、(B)について、各構成要素の配置位置、パッド配線313の配置、金属接合部の配置の関係を説明する図である。
図12は、接続領域の配置数や密度を説明する図である。
図13は、チップ308に配置した構成要素と、チップ309に配置されるパッド配線との接続関係を説明する図である。
【0103】
図11は、接合面Xについて、画素領域400、信号処理回路410、出力部420、パッド配線313の配置位置を示し、金属接合部MB5に代わり、
図12(A)~
図12(C)に示す金属接合部のパターンMBPが配置されている。
図11は、周辺領域において、平面視でo(oは3以上の整数)個の金属接合部MBに重なる第1ブロックと、第2ブロックとを有する。第2ブロックは、第1ブロックと同じ面積であり、第1ブロックに配された金属接合部と同数の金属接合部に重なる。そして、平面視で第1ブロックに重なる位置に配された金属接合部MB1の数と、第2ブロックに重なる位置に配された金属接合部MB1の数と、が異なる。
【0104】
金属接合部のパターンMBPには、
図12(A)~(C)に示すように、複数個の金属接合部MBが配置されている。
図12(A)~(C)では、4個の金属接合部MBを示しているが、4個に限定されない。
図11では、説明の便宜上、
図2(A)で説明したパッド配線313と各構成要素との接続関係とは異なる接続関係の構成としている。画素領域400は、パッド配線313B-32、313B-33、313B-37、313B-38の4パッドから電源電位、もしくは接地電位が供給される。信号処理回路410は、パッド配線313B-31、313B-36の左右2パッドから電源電位、もしくは接地電位が供給される。出力部420は、本実施形態ではデジタル出力を差動出力するLVDSであり、パッド配線313B-34、313B-35の2パッドに差動出力2端子が接続される。例えば
図12(A)が第1ブロックに重なる位置に配される金属接合部MBであり、
図12(B)が第2ブロックに重なる位置に配された金属接合部MBであるとする。このとき、各ブロックに配される金属接合部MBの数は同じであるが、半導体素子層101および半導体素子層130を接続する金属接合部MB1の数が各ブロックで異なる。このように、周辺領域において、ブロック間における金属接合部MB1の数を変えてもよい。
【0105】
図13(A)は、信号処理回路410とパッド配線313B-31、313B-36の接続関係の模式図である。
図11では、パッド配線313B-31、313B-36は、金属接合部のパターンMBPを介して信号処理回路410に接続される。
図13(A)では、パッド配線313B-31に接続される金属接合部のパターンMBPは、
図12(A)で示すように3つの金属接合部MB1と、1つの金属接合部とを含む。一方、パッド配線313B-36に接続される金属接合部のパターンMBPは、
図12(B)で示すように4つの金属接合部MB1を含む。
【0106】
信号処理回路410のように、画素領域400に対応して1方向、もしくは2方向に延在して配置される構成要素は、電源、接地配線の低抵抗化を図るために、複数のパッドから電源電位、接地電位を供給することがある。例えば、本実施例のように左右から電源電位、もしくは接地電位を供給することで、配線抵抗を低減し、また電圧降下の影響も低減できる。この場合、パッド配線313B-31から信号処理回路410の経路の抵抗値と、パッド配線313B-36から信号処理回路410の経路の抵抗値はそろえておくことが望ましい。例えば、左右で抵抗値が異なる場合、抵抗値に応じて電源、もしくは接地電位の電圧降下の勾配が生じる。この場合、信号処理回路410の左右から供給される不図示の別の基準電位や制御信号との電位勾配の関係が崩れ、信号処理の誤動作や特異な出力特性等が生じることがある。例えば、A/D変換出力に左右どちらかに偏ったシェーディングが生じることがある。特に光電変換装置では、画素領域400は光学的に左右対称の特性になるように設計されるため、信号処理回路410の左右一方に偏ったシェーディングによって、撮像画像の光学特性に影響する可能性がある。
【0107】
本実施形態では、パッド配線313B-31とパッド配線313B-36の配置位置の関係から、パッド配線と信号処理回路410までの配線距離が左右で異なる。したがって、配線を同一配線幅で配置した場合に、パッドから信号処理回路410までの経路の抵抗が左右で異なる。配線幅や配線パターンを調整して配線抵抗をそろえることもできるが、他の構成要素との関係による制約で容易ではない場合がある。
図13(A)のように、パッド配線313B-31とパッド配線313B-36に接続される金属接合部MB1の個数を調整することで、左右で異なる抵抗成分を簡便に調整できる。これにより、電源電位、接地電位が左右対称に供給できる。
【0108】
図13(B)は、出力部420の差動出力2端子と、パッド配線313B-34、313B-35の接続関係の模式図である。差動出力2端子の配線は、各々の伝送路のインピーダンスを揃えることと、不図示の光電変換装置外の伝送路のインピーダンスを考慮した、伝送路の設計が肝要である。そのため、出力部420の出力端子とパッド配線の配置関係は、各出力配線が対称になるように配置されるが、配置される他の構成要素、パッド配線の位置によって、容易に対称な配置ができないことがある。この場合も、
図12(B)のように、パッド配線313B-34には、例えば
図12(C)で示すように2つの金属接合部MB1と2つの金属接合部MB5を含む金属接合部のパターンMBPが配される。一方、パッド配線313B-35には、例えば
図12(A)で示すように3つの金属接合部MB1と1つの金属接合部MB5を含む金属接合部のパターンMBPが配される。このように、金属接合部MB1の個数、密度を調整することで、差動出力2端子の伝送路のインピーダンスを簡便に調整できる。
【0109】
画素領域400についても同様で、4つのパッドのそれぞれに接続する配線と金属接合部のパターンMBPの構成を調整することで、上下左右対称に電源電位や接地電位を供給できる。
【0110】
なお、上で説明したように、金属接合部のパターンMBPの個数や、金属接合部のパターンMBPの中の金属接合部MB1、MB5の個数や分布は、
図12に示す構成に限定されない。また、金属接合部MB5の代わりに、金属接合部MB2~金属接合部MB5の少なくともいずれか1つを用いてもよい。本実施形態では、パッド配線との各構成要素の接続関係に着目した構成例であるが、金属接合部を含む信号経路についても本実施例の構成が適用できる。
【0111】
以上、説明したように、電源配線、接地配線、信号配線等、金属接合部MBを含む配線について、金属接合部MBの個数、密度を調整することにより、配線抵抗を含むインピーダンスの調整が容易にできる。
【0112】
(実施形態6)
本発明の実施形態6による光電変換装置について、
図14を用いて説明する。
図1~13に示す第1~5の実施例による光電変換装置と同様の構成要素には同一の符号を付し説明を省略し或いは簡潔にする。
【0113】
図14は、実施形態5で説明した
図13(B)、出力部420とパッド配線313B-34、313B-35の接続について、差動出力2端子のうち、一方の出力線について金属接合部の配置を説明する図である。
【0114】
平面視で出力部420に重なる領域において、金属接合部MB1が3行3列、計9個配置され、出力部420の差動出力2端子のうち、一方が接続されている。また、平面視で9個の金属接合部MB1を取り囲むように、金属接合部MB2~MB5のいずれかにより構成される金属接合部が2行2列で配されている。さらに、金属接合部MB2~MB5の外側には、金属接合部MB1が配置され、出力部420の差動出力線とは別の信号配線や電源、接地線が接続される。他方の出力線についても
図14同様の配置、接続構成とする。
【0115】
出力部420がLVDS等の差動出力形式の場合、一定量の電流が、光電変換装置外の不図示の終端素子を介して、中央に配置された金属接合部MB1に流れる。この場合、電流が流れている金属接合部MB1を中心として磁界が生じる。デジタルデータが変化すると電流が流れる向きが変化し、磁界も変化する。例えば、別の構成要素の電源、信号線が接続された金属接合部MB2~金属接合部MB5が中央の金属接合部MB1に隣接して配置された場合、変化する磁界の影響を受けることがある。例えば、撮像対象である被写体の変化に応じて、デジタルデータの変動が生じ、デジタルデータの変動に伴う電流の変動に連動して、他の構成要素の電源変動を引き起こし、誤動作やノイズを発生させる可能性がある。これは撮像画像の画質劣化の要因になりうる。
【0116】
本実施形態では、差動出力線が接続される金属接合部MB1周辺において、金属接合部MB1の数や密度を減らすことで、他の構成要素の電源や信号線への磁界変動の影響を低減することができる。なお、差動出力端子によらず、デジタル信号処理をする構成要素では、金属接合部を介した電源電流の変動が大きい場合がある。この場合も同様に、電流変動の大きい電源や接地線の接続領域に対して、周辺の金属接合部MB1の数や密度を減らすことで、他の構成要素の電源や信号線への磁界変動の影響を低減することができる。
【0117】
(実施形態7)
図15は、本実施形態による光電変換システム50の構成を示すブロック図である。本実施形態の光電変換システム50は、上記の光電変換装置のいずれかの構成を適用した光電変換装置2000を含む。
図15では、光電変換システム50として撮像システムを示している。撮像システムの具体例としては、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダー、監視カメラ等が挙げられる。光電変換システム50は、光電変換装置2000、レンズ5020、絞り504、レンズ5020の保護のためのバリア506を有する。光電変換システム50は、光電変換装置2000から出力される出力信号の処理を行う信号処理部5080(画像信号生成部)を有する。信号処理部5080は、必要に応じて入力信号に対して各種の補正、圧縮を行って出力する信号処理の動作を行う。信号処理部5080は、光電変換装置2000より出力される出力信号に対してAD変換処理を実施する機能を備えていてもよい。光電変換システム50は、更に、画像データを一時的に記憶するためのバッファメモリ部51、外部コンピュータ等と通信するための外部インターフェース部(外部I/F部)52を有する。更に光電変換システム50は、撮像データの記録又は読み出しを行うための半導体メモリ等の記録媒体53、記録媒体53に記録又は読み出しを行うための記録媒体制御インターフェース部(記録媒体制御I/F部)54を有する。
【0118】
更に光電変換システム50は、各種演算を行うとともにデジタルスチルカメラ全体を制御する全体制御・演算部55、光電変換装置2000と信号処理部5080に各種タイミング信号を出力するタイミング発生部56を有する。光電変換装置2000は、画像用信号を信号処理部5080に出力する。信号処理部5080は、光電変換装置2000から出力される画像用信号に対して所定の信号処理を実施し、画像データを出力する。また、信号処理部5080は、画像用信号を用いて、画像を生成する。
【0119】
上述した各実施形態の光電変換装置を用いて光電変換システムを構成することにより、より良質の画像が取得可能な撮像システムを実現することができる。
【0120】
(実施形態8)
本実施形態の光電変換システム及び移動体について、
図16を用いて説明する。本実施形態では、車載カメラに関する撮像システムの一例を示す。
図16は、車両システムとこれに搭載される撮像システムの一例を示したものである。光電変換システム701は、光電変換装置702、画像前処理部715、集積回路703、光学系714を含む。光学系714は、光電変換装置702に被写体の光学像を結像する。光電変換装置702は、光学系714により結像された被写体の光学像を電気信号に変換する。光電変換装置702は、上述の各実施形態のいずれかの光電変換装置である。画像前処理部715は、光電変換装置702から出力された信号に対して所定の信号処理を行う。光電変換システム701には、光学系714、光電変換装置702及び画像前処理部715が、少なくとも2組設けられており、各組の画像前処理部715からの出力が集積回路703に入力されるようになっている。
【0121】
集積回路703は、光電変換システム用途向けの集積回路であり、メモリ705を含む画像処理部704、光学測距部706、視差演算部707、物体認知部708、異常検出部709を含む。画像処理部704は、画像前処理部715の出力信号に対して、現像処理や欠陥補正等の画像処理を行う。メモリ705は、撮像画像の一次記憶、撮像画素の欠陥位置を格納する。光学測距部706は、被写体の合焦や、測距を行う。視差演算部707は、複数の光電変換装置702により取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う。物体認知部708は、車、道、標識、人等の被写体の認知を行う。異常検出部709は、光電変換装置702の異常を検出すると、主制御部713に異常を発報する
集積回路703は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0122】
主制御部713は、光電変換システム701、車両センサー710、制御ユニット720等の動作を統括・制御する。なお、主制御部713を持たず、光電変換システム701、車両センサー710、制御ユニット720が個別に通信インターフェースを有して、それぞれが通信ネットワークを介して制御信号の送受を行う(例えばCAN規格)方法も取りうる。
【0123】
集積回路703は、主制御部713からの制御信号を受け或いは自身の制御部によって、光電変換装置702へ制御信号や設定値を送信する機能を有する。例えば、集積回路703は、光電変換装置702内の電圧スイッチ13を信号駆動させるための設定や、フレーム毎に電圧スイッチ13を切り替える設定等を送信する。
【0124】
光電変換システム701は、車両センサー710に接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの自車両走行状態及び自車外環境や他車・障害物の状態を検出することができる。車両センサー710は、視差画像から対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段でもある。また、光電変換システム701は、自動操舵、自動巡行、衝突防止機能等の種々の運転支援を行う運転支援制御部711に接続されている。特に、衝突判定機能に関しては、光電変換システム701や車両センサー710の検出結果を基に他車・障害物との衝突推定・衝突有無を判定する。これにより、衝突が推定される場合の回避制御、衝突時の安全装置起動を行う。
【0125】
また、光電変換システム701は、衝突判定部での判定結果に基づいて、ドライバーに警報を発する警報装置712にも接続されている。例えば、衝突判定部の判定結果として衝突可能性が高い場合、主制御部713は、ブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして、衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置712は、音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムやメーターパネルなどの表示部画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。
【0126】
本実施形態では、車両の周囲、例えば前方又は後方を光電変換システム701で撮影する。
図16(b)に、車両前方を光電変換システム701で撮像する場合の光電変換システム701の配置例を示す。
【0127】
また、本実施形態では、他の車両と衝突しない制御を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御や、車線からはみ出さないように自動運転する制御などにも適用可能である。さらに、光電変換システム701は、自車両等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機或いは産業用ロボットなどの移動体(移動装置)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
【0128】
(その他の実施形態)
以上、各実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に制限されるものではなく、様々な変更および変形が可能である。また、各実施形態は相互に適用可能である。
【符号の説明】
【0129】
101 半導体素子層
130 半導体素子層
190 配線構造
191 配線構造
308 チップ
309 チップ
MB 金属接合部