(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】通信装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04W 76/23 20180101AFI20240930BHJP
H04W 72/0446 20230101ALI20240930BHJP
H04W 72/40 20230101ALI20240930BHJP
H04W 76/14 20180101ALI20240930BHJP
H04W 92/18 20090101ALI20240930BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20240930BHJP
H04W 88/06 20090101ALI20240930BHJP
【FI】
H04W76/23
H04W72/0446
H04W72/40
H04W76/14
H04W92/18
H04W84/12
H04W88/06
(21)【出願番号】P 2020111974
(22)【出願日】2020-06-29
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】槌谷 啓吾
【審査官】石原 由晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-021886(JP,A)
【文献】特開2017-212501(JP,A)
【文献】特開2019-016888(JP,A)
【文献】特表2015-518676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部の無線基地局との無線通信を介して端末装置と通信する第1の通信モードと、前記外部の無線基地局を介さずに端末装置と直接に無線通信する第2の通信モードと、を実行可能な通信手段を備える通信装置であって、
前記第1および前記第2の通信モードの少なくとも1つを有効化する設定手段と、
前記第1および第2の通信モードの両者が有効化されていて、前記第1の通信モードの
ための外部基地局と無線接続されているが、前記第2の通信モードの通信相手装置
と無線接続されていない場合、単位時間における前記第1の通信モード
のために使用される時間が前記第2の通信モード
のために使用される時間よりも長くなるように前記第1および第2の通信モード
の処理を実行させ
る制御手段
と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項2】
前記制御手段はさらに、
前記第1および第2の通信モードの両者が有効化されていて、前記第2の通信モードの通信相手装置と無線接続されているが、前記第1の通信モードのための外部基地局と無線接続されていない場合、前記単位時間における前記第2の通信モードのために使用される時間が前記第1の通信モードのために使用される時間よりも長くなるように前記第1および第2の通信モードの処理を実行させることを特徴とする請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
外部の無線基地局との無線通信を介して端末装置と通信する第1の通信モードと、前記外部の無線基地局を介さずに端末装置と直接に無線通信する第2の通信モードと、を実行可能な通信手段を備える通信装置であって、
前記第1および前記第2の通信モードの少なくとも1つを有効化する設定手段と
、
前記第1および第2の通信モードの両者が有効化されていて、前記第2の通信モードの通信相手装置
と無線接続されているが、前記第1の通信モードの
ための外部基地局と無線接続されていない場合
、単位時間における前記第2の通信モード
のために使用される時間が前記第1の通信モードの
ために使用される時間よりも長くなるように前記第1および第2の通信モードの処理を実行させる制御手段
と、
を備えることを特徴とする通信装置。
【請求項4】
前記制御手段は
さらに、前記第1および第2の通信モードの両者が有効化されていて、前記第1の通信モードの
ための外部基地局および前記第2の通信モードの通信相手装置
と無線接続されている場合、前記単位時間における前記第1および2の通信モード
のために使用される時間が同程度となるように前記第1および第2の通信モード
の処理を実行させる
ことを特徴とする請求項1
乃至3のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項5】
前記制御手段は
さらに、前記第1および第2の通信モードの両者が有効化されていて、前記第1の通信モードの
ための外部基地局および前記第2の通信モードの通信相手装置
と接続されていない場合、前記単位時間における前記第1および2の通信モード
のために使用される時間が同程度となるように前記第1および第2の通信モードの通信処理を実行させる
ことを特徴とする請求項1
乃至4のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項6】
前記第1の通信モード及び前記第2の通信モードの無線通信に対応する1本のアンテナを備え、前記第1および第2の通信モードが有効化されている場合、前記第1の通信モードの通信及び前記第2の通信モードの通信がシーケンシャルに切り替えられることを特徴とする請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項7】
前記第1の通信モード及び前記第2の通信モードは、IEEE802.11規格による通信であることを特徴とする請求項1乃至
6のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項8】
前記第1の通信モード及び前記第2の通信モードは、利用周波数が異なることを特徴とする請求項1乃至
7のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項9】
前記通信手段は、前記第2の通信モードにおいて、無線ネットワークの親局として動作することを特徴とする請求項1乃至
8のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項10】
前記第1および第2の通信モードの少なくとも1つのモードの通信において受信した印刷データに基づいて印刷処理を実行する印刷制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1乃至
9のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項11】
前記第1および第2の通信モードの両者が有効化されていて、前記第1の通信モードのための外部基地局と無線接続されているが、前記第2の通信モードの通信相手装置と無線接続されていない場合、単位時間における前記第2の通信モードのために使用される時間にプローブリクエストを受信することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項12】
前記第1および第2の通信モードの両者が有効化されていて、前記第2の通信モードの通信相手装置と無線接続されているが、前記第1の通信モードのための外部基地局と無線接続されていない場合、
前記単位時間における前記第1の通信モードのために使用される時間に外部基地局から送信されるビーコンを受信することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の通信装置。
【請求項13】
外部の無線基地局との無線通信を介して端末装置と通信する第1の通信モードと、前記外部の無線基地局を介さずに端末装置と直接に無線通信する第2の通信モードと、を実行可能な通信手段を備える通信装置において実行される制御方法であって、
前記第1および前記第2の通信モードの少なくとも1つを有効化する設定工程と、
前記第1および第2の通信モードの両者が有効化されていて、前記第1の通信モードの
ための外部基地局と無線接続されているが、前記第2の通信モードの通信相手装置
と無線接続されていない場合、単位時間における前記第1の通信モード
のために使用される時間が前記第2の通信モード
のために使用される時間よりも長くなるように前記第1および第2の通信モード
の処理を実行さ
せる制御工程
と、
を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項14】
外部の無線基地局との無線通信を介して端末装置と通信する第1の通信モードと、前記外部の無線基地局を介さずに端末装置と直接に無線通信する第2の通信モードと、を実行可能な通信手段を備える通信装置において実行される制御方法であって、
前記第1および前記第2の通信モードの少なくとも1つを有効化する設定工程と
、
前記第1および第2の通信モードの両者が有効化されていて、前記第2の通信モードの通信相手装置
と無線接続されているが、前記第1の通信モードの
ための外部基地局と無線接続されていない場合
、単位時間における前記第2の通信モード
のために使用される時間が前記第1の通信モードの
ために使用される時間よりも長くなるように前記第1および第2の通信モード
の処理を実行させる制御工程
と、
を備えることを特徴とする制御方法。
【請求項15】
請求項1乃至
12のいずれか1項
に記載された通信装置の
各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【請求項16】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載された通信装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムを格納したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、制御方法、プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
インフラストラクチャモードとダイレクトモードとで並行して無線通信を実行するなど、複数の通信モードで動作可能な通信装置が存在する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、無線通信を使用するケースが増加しており、無線通信における利便性の向上が求められていた。
【0005】
上記課題に鑑み、本発明は、無線通信における利便性の向上を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様による通信装置は、
外部の無線基地局との無線通信を介して端末装置と通信する第1の通信モードと、前記外部の無線基地局を介さずに端末装置と直接に無線通信する第2の通信モードと、を実行可能な通信手段を備える通信装置であって、
前記第1および前記第2の通信モードの少なくとも1つを有効化する設定手段と、
前記第1および第2の通信モードの両者が有効化されていて、前記第1の通信モードのための外部基地局と無線接続されているが、前記第2の通信モードの通信相手装置と無線接続されていない場合、単位時間における前記第1の通信モードのために使用される時間が前記第2の通信モードのために使用される時間よりも長くなるように前記第1および第2の通信モードの処理を実行させる制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、無線通信における利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】携帯型通信端末装置の外観構成例を示す図である。
【
図5】携帯型通信端末装置の構成例を示すブロック図である。
【
図7】モードA(ソフトAPモード)の機器探索シーケンスの一例である。
【
図8】モードB(WFDモード)の機器探索シーケンスの一例である。
【
図9】モードC(無線インフラモード)の機器探索シーケンスの一例である。
【
図10】モードD(BLEモード)の機器探索シーケンスの一例である。
【
図11】モードE(BTモード)の機器探索シーケンスの一例である。
【
図12】初期起動時のインタフェース選択画面の例を示す図である。
【
図13】初期起動時のインタフェース処理の流れの例を示す図である。
【
図14】LAN設定によるインタフェース処理の流れの例を示す図である。
【
図15】無線インフラモード無効化処理シーケンスの例である。
【
図16】無線インフラモード無効化処理シーケンスの例である。
【
図17】P2Pモード有効化処理シーケンスの例である。
【
図18】P2Pモード無効化処理シーケンスの例である。
【
図19】無線制御設定テーブルの選択および設定処理の流れの例を示す図である。
【
図20】無線制御設定テーブルの例を示す図である。
【
図21】無線制御設定テーブル設定の通信期間の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施形態は一例に過ぎず、構成要素、処理ステップ、表示画面等の具体的な例は、特段の記載の無い限り、本発明の範囲をそれらに限定することを意図していないことに留意されたい。
【0010】
(システム構成)
図1に、本実施形態に係るシステムの構成例を示す。本システムは、一例において、複数の通信装置が相互に無線で通信可能な無線通信システムである。
図1の例では、通信装置として、携帯型通信端末装置200、MFP300、アクセスポイント400を含む。なお、携帯型通信端末装置200は、単に端末装置200と記載されることもある。
【0011】
端末装置200は、無線LANやBluetooth(登録商標)等による無線通信機能を有する端末装置(情報処理装置)である。なお、以下では、無線LANをWLAN、Bluetooth(登録商標)をBTと呼ぶ場合がある。端末装置200は、PDA(Personal Digital Assistant)等の個人情報端末、携帯電話、デジタルカメラ等でありうる。MFP300は、印刷機能を有する印刷装置であり、さらに、読取機能(スキャナ)やFAX機能、電話機能を有していてもよい。また、本実施形態のMFP300は、端末装置200と無線通信可能な通信機能を有する。また、本実施形態では一例としてMFP300が用いられる場合について説明するが、これに限られない。例えば、それぞれ通信機能を有する、ファクシミリ装置、スキャナ装置、プロジェクタ、携帯端末、スマートフォン、ノートPC、タブレット端末、PDA、デジタルカメラ、音楽再生デバイス、テレビ等がMFP300の代わりに用いられてもよい。なお、MFPは、Multi Function Peripheral(多機能周辺機器)の頭字語である。アクセスポイント400は、端末装置200及びMFP300とは別(外部)に設けられ、WLANの基地局装置として動作する。なお、アクセスポイント400は、外部のアクセスポイント400または外部の無線基地局(または外部の親局)と記載されることもある。WLANの通信機能を有する通信装置は、アクセスポイント400を介してWLANのインフラストラクチャモードでの通信を行うことができる。なお、以下では、アクセスポイントを「AP」と呼ぶ場合がある。また、インフラストラクチャモードを「無線インフラモード」と呼ぶ場合がある。アクセスポイント400は、自装置への接続を許可した(認証済みの)通信装置と無線通信を行い、その通信装置と、他の通信装置との無線通信を中継する。また、アクセスポイント400は、例えば有線通信ネットワークに接続され、その有線通信ネットワークに接続されている通信装置と、アクセスポイント400に無線接続している他の通信装置との通信を中継しうる。
【0012】
端末装置200とMFP300は、各々が有するWLAN通信機能を用いて、外部のアクセスポイント400を介した無線インフラモードや、外部のアクセスポイント400を介さないピア・ツー・ピアモードで無線通信を行いうる。なお、以下では、ピア・ツー・ピアを「P2P」と呼ぶ。P2Pモードでは、Wi-Fi Direct(登録商標)やソフトAPモード等を含む。なお、以下ではWi-Fi Direct(登録商標)をWFDと呼ぶ場合がある。また、端末装置200とMFP300は、BT通信機能を用いて、P2P通信を行ってもよい。なお、WLAN通信機能のP2PとBT通信機能のP2Pを区別するために、P2P(WLAN)、P2P(BT)と記載することもある。つまり、P2P(WLAN)は、IEEE802.11シリーズに準拠した通信ともいえる。なお、本実施形態では、端末装置200及びMFP300が、後述のように、WLAN通信を用いて、複数の印刷サービスに対応した処理を実行可能であるものとする。
【0013】
(端末装置の外観構成)
図2は、端末装置200の外観構成例を示す図である。本実施形態では、一例として、端末装置200が、一般的な形式のスマートフォンである場合について示す。なお、端末装置200は、例えば、表示部202、操作部203、及び電源キー204を含んで構成される。表示部202は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)方式の表示機構を含んだディスプレイである。なお、表示部202は、例えばLED(Light Emitting Diode)等を用いて情報を表示してもよい。また、端末装置200は、表示部202に加えて又はこれに代えて、音声によって情報を出力する機能を有していてもよい。操作部203は、ユーザ操作を検出するための、キーやボタン等のハードキー、タッチパネル等を含んで構成される。なお、本例では、表示部202における情報表示と、操作部203によるユーザ操作の受付とを、共通のタッチパネルディスプレイを用いて行うため、表示部202と操作部203とが1つの装置によって実現されている。この場合、例えば、表示部202による表示機能を用いてボタンアイコンやソフトウェアキーボードが表示され、ユーザがそれらの箇所に触れたことが、操作部203による操作受付機能によって検出される。なお、表示部202と操作部203とが、分離されて、表示用のハードウェアと操作受付用のハードウェアとが別個に用意されてもよい。電源キー204は、端末装置200の電源をオン又はオフとするためのユーザ操作を受け付けるためのハードキーである。
【0014】
端末装置200は、必ずしも外観から視認できる必要はないが、WLANの通信機能を提供するWLANユニット201を有する。WLANユニット201は、例えばIEEE802.11規格シリーズ(IEEE802.11a/b/g/n/ac/ax等)に準拠したWLANシステムにおけるデータ(パケット)通信を実行可能に構成される。ただしこれに限られず、WLANユニット201は、他の規格に準拠したWLANシステムの通信を実行可能であってもよい。なお、本例では、WLANユニット201は、2.4GHz帯及び5GHz帯の両方の周波数帯域で通信可能であるものとする。また、WLANユニット201は、WFDをベースにした通信、ソフトAPモードによる通信、無線インフラモードによる通信等を実行可能であるものとする。これらのモードでの動作については後述する。端末装置200は、さらに、外観から視認できないBTユニット(不図示)を有する。BTユニットは、IEEE802.15.1規格に準拠し、Bluetooth BR/EDR、Bluetooth+HS、Bluetooth Low Energy等、BT1.1~5.0で用いられる2.4GHz帯の通信機能を提供する。BTの動作については後述する。
【0015】
(MFPの外観構成)
図3に、MFP300の外観構成例を示す。MFP300は、例えば、原稿台301、原稿蓋302、印刷用紙挿入口303、印刷用紙排出口304、及び、操作表示部305を有する。原稿台301は、読取対象の原稿を置く台である。原稿蓋302は、原稿台301に置かれた原稿を押さえ、また、読取の際に原稿を照射する光源からの光が外部に漏れないようにするための蓋である。印刷用紙挿入口303は、様々なサイズの用紙をセット可能な挿入口である。印刷用紙排出口304は、印刷が完了した用紙を排出する排出口である。印刷用紙挿入口303にセットされた用紙は、一枚ずつ印刷部に搬送され、印刷部で印刷が行われた後に、印刷用紙排出口304から排出される。操作表示部305は、文字入力キー、カーソルキー、決定キー、取り消しキー等のキーと、LEDやLCD等を含んで構成され、ユーザによるMFPとしての各種機能の起動や各種設定の操作を受付可能に構成される。また、操作表示部305は、タッチパネルディスプレイを含んで構成されてもよい。MFP300は、WLANやBTによる無線通信機能を有し、必ずしも外観から視認できる必要はないが、その無線通信のための無線通信用のアンテナ306を含んで構成される。MFP300も、端末装置200と同様に、WLANやBTによって、2.4GHz帯や5GHz帯の周波数帯域で無線通信を行うことができる。
【0016】
図4に、MFP300の操作表示部305の画面表示の一例を模式的に示す。
図4(a)は、MFP300の電源が投入され、印刷やスキャン等の動作が行われていない状態(アイドル状態、Standby状態)の間に表示されるホーム画面の一例である。キー操作やタッチパネル操作により、コピー、スキャン、インターネット通信を利用したクラウド機能のメニュー表示が選択されることにより、MFP300は対応する設定や機能を実行開始しうる。MFP300は、
図4(a)のホーム画面においてキー操作やタッチパネルの操作を受け付けることによってシームレスに
図4(a)とは異なる画面を表示することができる。
図4(b)は、その一例であり、プリント又はフォト機能の実行や、通信設定の変更等のメニューが表示されている例を示している。この画面におけるユーザ選択に基づいて、プリント又はフォト機能や通信設定が実行されうる。
図4(c)は、
図4(b)の画面において通信設定が選択された場合に表示されるIF選択画面の例である。この画面では、有線接続の設定、無線インフラモードの有効/無効設定や、WFDやソフトAPモード等のP2Pモードの有効/無効設定など各種のLAN設定メニュー(「有線LAN」、「無線LAN」、「無線ダイレクト」)が選択可能に表示される。なお、
図4(c)において無線LANがユーザ操作により有効に設定された場合、無線インフラモードが有効となり、無線ダイレクトがユーザ操作により有効に設定された場合、P2P(WLAN)モードが有効となる。また、この画面では、BTの有効/無効設定等のBT設定の設定メニュー(「Bluetooth」)が選択可能に表示される。また、この画面では、各接続形態に関する共通設定メニューも表示される。さらに、ユーザは、この画面から、無線LANの周波数帯域や周波数チャネルの設定、及び、BTのペアリング用のコードの設定等を行うことができる。
【0017】
(端末装置の構成)
図5に、端末装置200の構成例を示す。端末装置200は、一例において、装置自身のメイン制御を行うメインボード501、WLAN通信を行うWLANユニット201、及び、BT通信を行うBTユニット205を有する。メインボード501は、例えば、CPU502、ROM503、RAM504、画像メモリ505、データ変換部506、電話部507、GPS509、カメラ部511、不揮発性メモリ512、データ蓄積部513、スピーカ部514、電源部515を含む。ここで、CPUはCentral Processing Unitの、ROMはRead Only Memoryの、RAMはRandom Access Memoryの、GPSはGlobal Positioning Systemの、頭字語である。また、端末装置200は、表示部202、操作部203を含む。これらのメインボード501内の機能部は、CPU502が管理するシステムバス518を介して、相互に接続される。また、メインボード501とWLANユニット201及びBTユニット205との間は、例えば、専用のバス516を介して接続される。
【0018】
CPU502は、システム制御部であり、端末装置200の全体を制御する。以下で説明する端末装置200の処理は、一例において、CPU502がROM503に記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。なお、各処理の専用のハードウェアが用意されていてもよい。ROM503は、CPU502が実行する制御プログラムや組込オペレーティングシステム(OS)プログラム等を記憶する。本実施形態では、CPU502が、ROM503に記憶されている各制御プログラムを、同様にROM503に記憶されている組込OSの管理の下で実行することにより、スケジューリングやタスクスイッチ等のソフトウェア制御を行う。RAM504は、SRAM(Static RAM)等により構成される。RAM504は、プログラム制御の変数等のデータや、ユーザが登録した設定値や端末装置200の管理データ等のデータを記憶する。また、RAM504は、各種ワーク用バッファとして利用されうる。画像メモリ505は、DRAM(Dynamic RAM)等のメモリで構成される。画像メモリ505は、WLANユニット201やBTユニット205を介して受信した画像データや、データ蓄積部513から読み出した画像データをCPU502で処理するために一時的に記憶する。不揮発性メモリ512は、例えばフラッシュメモリ等のメモリによって構成され、端末装置200の電源がオフとされてもデータを記憶し続ける。なお、端末装置200のメモリ構成は、上述の構成に限定されない。例えば、画像メモリ505とRAM504とが共有されてもよいし、データ蓄積部513を用いてデータのバックアップ等が行われてもよい。また、本実施形態では、画像メモリ505の一例としてDRAMを挙げているが、ハードディスクや不揮発性メモリ等の他の記憶媒体が使用されてもよい。
【0019】
データ変換部506は、種々の形式のデータの解析や、色変換、画像変換等のデータ変換を行う。電話部507は、電話回線の制御を行い、スピーカ部514を介して入出力される音声データを処理することによって、電話による通信を実現する。GPS509は、衛星から送出されている電波を受信して、端末装置200の現在の緯度や経度等の位置情報を取得する。カメラ部511は、レンズを介して入力された画像を電子的に記録して符号化する機能を有する。カメラ部511による撮像で得られた画像データは、データ蓄積部513に保存される。スピーカ部514は、電話機能のための音声を入力または出力する機能や、その他、アラーム通知等の機能を実現するための制御を行う。電源部515は、例えば携帯可能な電池であり、装置内への電力供給制御を行う。電源状態は、例えば、電池に残量が無い電池切れ状態、電源キー204を押下していない電源オフ状態、通常起動している起動状態、起動しているが省電力になっている省電力状態を含む。表示部202は、
図2を参照して説明した表示部202であり、表示内容を電子的に制御し、各種入力操作や、MFP300の動作状況、ステータス状況(例えば、インク残量、用紙残量等)の表示等を行うための制御を実行する。操作部203は、
図2を参照して説明した操作部203であり、ユーザ操作を受け付けたことによって、その操作に対応する電気信号を生成してCPU502へ出力する等の制御を実行する。
【0020】
端末装置200は、WLANユニット201やBTユニット205を用いて無線通信を行い、MFP300等の他のデバイスとのデータ通信を行う。WLANユニット201やBTユニット205は、データをパケットに変換し、他デバイスにパケットを送信する。また、WLANユニット201やBTユニット205は、外部の他デバイスからのパケットを、元データに復元してCPU502に対して出力する。WLANユニット201とBTユニット205は、それぞれWLAN及びBTの規格に準拠した通信を実現するためのユニットである。WLANユニット201は、無線インフラモード及びP2P(WLAN)モードを含んだ少なくとも2つの通信モードで並行して動作することができる。BTユニット205は、例えばBT1.1~5.0に準拠した通信モードで動作することができる。なお、これらの通信モードで使用される周波数帯域は、ハードウェアの機能や性能により制限されうる。
【0021】
(MFPの構成)
図6に、MFP300の構成例を示す。MFP300は、装置自身のメイン制御を行うメインボード601と、WLAN通信およびBT通信を共通の少なくとも1つのアンテナを用いて行う1つの通信モジュールである無線コンボユニット616とを含んで構成される。また、MFP300は、例えば有線通信を行うためのモデム619を含んで構成される。メインボード601は、例えば、CPU602、ROM603、RAM604、不揮発性メモリ605、画像メモリ606、読取制御部607、データ変換部608、読取部609、符号復号化処理部611を含んで構成される。また、メインボード601は、例えば、印刷部612、給紙部613、印刷制御部614、操作表示部305を含む。これらのメインボード601内の機能部は、CPU602が管理するシステムバス620を介して、相互に接続される。また、メインボード601と無線コンボユニット616との間は、例えば、専用のバス615を介して接続され、メインボード601とモデム619との間は、例えばバス618を介して接続される。
【0022】
CPU602は、システム制御部であり、MFP300の全体を制御する。以下で説明するMFP300の処理は、一例において、CPU602がROM603に記憶されたプログラムを実行することにより、実現される。なお、各処理の専用のハードウェアが用意されていてもよい。ROM603は、CPU602が実行する制御プログラムや組込OSプログラム等を記憶する。本実施形態では、CPU602が、ROM603に記憶されている各制御プログラムを、同様にROM603に記憶されている組込OSの管理の下で実行することにより、スケジューリングやタスクスイッチ等のソフトウェア制御を行う。RAM604は、SRAM等により構成される。RAM604は、プログラム制御変数等のデータや、ユーザが登録した設定値やMFP300の管理データ等のデータを記憶する。また、RAM604は、各種ワーク用バッファとして利用されうる。不揮発性メモリ605は、例えばフラッシュメモリ等のメモリによって構成され、MFP300の電源がオフとされてもデータを記憶し続ける。画像メモリ606は、DRAM等のメモリで構成される。画像メモリ606は、無線コンボユニット616を介して受信した画像データや、符号復号化処理部611で処理した画像データなどを蓄積する。なお、MFP300のメモリ構成は、端末装置200の場合と同様に、上述の構成に限定されない。データ変換部608は、種々の形式のデータの解析や、画像データから印刷データへの変換等を行う。
【0023】
読取制御部607は、読取部609(例えば、CIS(密着型イメージセンサ))を制御して、原稿台301に置かれた原稿を光学的に読み取る。読取制御部607は、光学的に原稿を読み取ることによって得られた画像を電気的な画像データ(画像信号)に変換して出力する。読取制御部607は、このときに、2値化処理や中間調処理等の各種画像処理を施してから画像データを出力してもよい。操作表示部305は、
図4を参照して説明した操作表示部305であり、表示制御やユーザ操作に対応した電気信号の生成制御等を実行する。
【0024】
符号復号化処理部611は、MFP300で扱う画像データ(JPEG、PNG等)の符号化処理及び復号処理や、拡大縮小処理を行う。給紙部613は、印刷のための用紙を保持する。給紙部613は、印刷制御部614による制御の下で、セットされた用紙の供給することができる。給紙部613は、複数種類の用紙を1つの装置に保持するために、複数の給紙部を含んでもよく、印刷制御部614による制御の下で、どの給紙部から給紙を行うかを制御することができる。印刷制御部614は、印刷される画像データに対して、スムージング処理、印刷濃度補正処理、色補正等の各種画像処理を施し、処理後の画像データを印刷部612に出力する。印刷部612は、例えば、インクジェット方式の印刷処理を実行可能に構成され、インクタンクから供給されるインクをプリントヘッドから吐出させて、用紙等の記録媒体に画像を記録する。なお、印刷部612は、電子写真方式等の他の印刷処理を実行可能に構成されてもよい。また、印刷制御部614は、印刷部612の情報を定期的に読み出して、RAM604に記憶された、インクタンクの残量やプリントヘッドの状態等を含んだステータス情報等を更新しうる。
【0025】
無線コンボユニット616は、WLAN及びBTの通信機能を提供可能なユニットであり、例えば、端末装置200のWLANユニット201とBTユニットとを組み合わせたものと同様の機能を提供可能である。すなわち、無線コンボユニット616は、WLANやBTの規格に従って、データをパケットに変換して他デバイスにパケットを送信し、また、外部の他デバイスからのパケットを元データに復元してCPU602に対して出力する。なお、端末装置200及びMFP300はWFDに基づくP2P(WLAN)通信が可能であり、無線コンボユニット616はソフトウェアアクセスポイント(ソフトAP)機能又はグループオーナ機能を有する。すなわち、無線コンボユニット616が、P2P通信のネットワークを構築することや、P2P通信に使用するチャネルを決定することができる。
【0026】
(P2P通信方式)
続いて、WLANの通信において、外部アクセスポイントを介さずに装置同士がダイレクトに無線で通信するP2P(WLAN)通信方式について概説する。P2P(WLAN)通信は、複数の手法を用いて実現可能であり、例えば、通信装置は、P2P(WLAN)通信のための複数のモードをサポートし、その複数のモードのいずれかを選択的に用いてP2P通信(WLAN)を実行することができる。
【0027】
それぞれのモードでは、探索側の通信装置が、被探索側の通信装置(相手装置)を探索するための探索信号(例えば、Probe RequestフレームやBeacon)を使用して、相手装置を探索及び発見する。なお、この相手装置の探索においては、使用する周波数帯域や通信方式が探索側と被探索側とで一致している必要がある。例えば、通信装置が、(1)2.4GHz帯の周波数帯域でのP2P(WLAN)モード、(2)2.4GHz帯の周波数帯域でのP2P(BT)モード、及び(3)5GHz帯の周波数帯域でのP2P(WLAN)モードの通信を実行可能であるとする。ここで、ユーザは、これらのモードから所望のP2Pモードで動作するようにMFP300を設定可能である。ユーザが、例えば2.4GHz帯の周波数帯域でのP2P(WLAN)モードで動作するようにMFP300を設定したとする。この場合、端末装置200等の探索側の通信装置が5GHz帯で探索信号を送信しても、MFP300は、5GHz帯の探索信号を受信することができる状態ではないため、この探索信号への応答信号を送信することはない。また、ユーザが、2.4GHz帯のP2P(BT)モードで動作するようにMFP300を設定し、かつ、2.4GHz帯のP2P(WLAN)モードを無効化したとする。この場合、例えば端末装置200等の探索側の通信装置が同じ2.4GHz帯で探索信号を送信しても、その探索信号がWLANの探索信号である場合には、MFP300はその探索信号を認識することがないため、応答信号を送信することはない。このように、探索側の通信装置は、使用周波数帯域と使用通信方式とが一致している被探索側の相手装置を発見することができる。
【0028】
P2Pモードとして、以下の4つのモードが想定される。
・モードA(ソフトAPモード)
・モードB(Wi-Fi Direct(WFD)モード)
・モードD(Bluetooth Low Energy(BLE)モード)
・モードE(Bluetooth Classic(BT)モード)
P2P通信を実行可能な通信装置は、これらのモードのうちの少なくとも1つをサポートするように構成されうる。なお、本実施形態では、モードAとモードBをまとめてP2P(WLAN)と記載し、モードDとモードEをまとめてP2P(BT)と記載することもある。一方で、P2P通信を実行可能な通信装置であっても、これらのモードの全てをサポートしなければならないわけではなく、その一部のみをサポートするように構成されてもよい。なお、通信装置は、P2Pモード以外に、無線インフラモード(モードC)にも対応しうる。
【0029】
WFDやBTによる通信機能を有する通信装置(例えば、端末装置200)では、その操作部を介してユーザ操作を受け付けることにより、その通信機能を実現するための(場合によっては専用の)アプリケーションを呼び出す。そして、この通信装置は、そのアプリケーションによって提供される画面を表示してユーザに操作を促し、それに応じて受け付けたユーザの操作に基づいて、WFD通信やBT通信を実行しうる。なお、ここでのBT通信は、Bluetooth ClassicやBluetooth Low Energyなど、BT1.1~BT5.0の通信を意味する。
【0030】
続いて、上述の4つのP2Pモードにおける相手装置の探索シーケンス(機器探索シーケンス)について説明する。
【0031】
●モードA(ソフトAPモード)における機器探索シーケンス
図7に、モードA(ソフトAPモード)における機器探索シーケンスを示す。ソフトAPモードでは、通信装置(例えば、端末装置200)が、各種サービスを依頼するクライアントの役割で動作する。そしてもう一方の通信装置(例えば、MFP300)が、ソフトウェアによる設定でWLANのAPの機能を実行可能なソフトAPとして動作する。ソフトAPモードでは、クライアントとして動作している通信装置が、機器探索リクエスト701を送信して、ソフトAPとして動作している通信装置を探索する。ソフトAPは、機器探索リクエスト701を受信すると、その応答として、機器探索応答702を送信する。このような機器探索リクエストと機器探索応答の送受信によって、クライアントとして動作している通信装置(例えば、端末装置200)が、ソフトAPとして動作している相手装置(例えば、MFP300)を発見する。なお、クライアントとソフトAPとの間で無線接続を確立する場合に送受信されるコマンドやパラメータは、Wi-Fi(登録商標)規格で規定されているものが用いられれば足りるため、ここでの説明については省略する。また、ソフトAPモードで動作するMFP300は、親局として周波数帯と周波数チャネルを決定する。このため、MFP300は、5GHzと2.4GHzとから、どちらの周波数帯域を用いるか、及び、その周波数帯域でどの周波数チャネルを用いるかを選択することができる。
【0032】
●モードB(WFDモード)における機器探索シーケンス
図8に、モードB(WFDモード)における機器探索シーケンスを示す。WFDモードでは、探索側の通信装置が、機器探索リクエスト801を送信することにより被探索側の相手装置を探索する。ここでは、探索側の通信装置が端末装置200であり、被探索側の相手装置がMFP300であるものとする。機器探索リクエスト801は、WFD属性を有しており、これにより、探索の対象がWFDモードの通信装置であることが特定される。MFP300は、WFDモードで動作中の場合、機器探索リクエスト801を受信すると、その応答として機器探索応答802を端末装置200へ送信する。端末装置200は、機器探索応答802を受信したことにより、P2Pの通信相手であるMFP300を検出する。これらの通信装置は、この機器探索の完了後、P2Pのグループオーナー(GO)とP2Pのクライアントの役割を決定し、残りの無線接続の処理を行う。この役割決定は、例えばWFDではGO Negotiationに対応する。また、MFP300は、WFDモードの親局として固定的に起動するようにしてもよい(Autonomous Group Owner)。この場合は、役割を決定するためのGO Negotiation処理が不要となる。また、この場合には、MFP300は、親局として周波数帯と周波数チャネルを決定する。このため、MFP300は、5GHzと2.4GHzとからどちらの周波数帯域を用いるか、及び、その周波数帯域でどの周波数チャネルを用いるかを選択することができる。
【0033】
●モードD(BLEモード)における機器探索シーケンス
図10に、モードD(BLEモード)における機器探索シーケンスを示す。BLEモードでは、通信装置がビーコン1001(Advertisingデータ(例えば、Advertising PDU))を送出(ブロードキャスト送信)する。他の通信装置は、このビーコン1001を受信することにより、その通信装置の存在を認識することができる。例えば、MFP300がこのビーコン1001を送出した場合、端末装置200は、このビーコン1001を受信することにより、MFP300の存在を認識することができる。この場合、端末装置200は、ビーコン1001を受信した後に、追加で情報を取得する場合、scan requestをMFP300に送信する。MFP300は、このscan requestに対してscan responseを送信することができる。なお、MFP300と端末装置200は、GATT(Generic Attribute Profile)を用いてBLEにおけるP2P(BT)モードでの通信が可能となる。接続のためのコマンドやパラメータは、BT4.1等の規格で規定されているものを用いれば足りるため、ここでの説明については省略する。なお、
図10においてはMFP300がスレーブとして動作し、端末装置200がマスターとして動作する。
【0034】
●モードE(BTモード)における機器探索シーケンス
図11に、モードE(BTモード)における機器探索シーケンスを示す。BTモードでは、一方の通信装置がBT機器を探索するマスターとして動作し、他方の通信装置がスレーブとして動作する。ここでは、一例として、端末装置200がマスターとして動作し、MFP300がスレーブとして動作するものとする。端末装置200(マスター)は、機器探索リクエスト1101を送信することにより、相手装置を探索する。MFP300(スレーブ)は、この機器探索リクエスト1101を受信すると、応答信号として、機器探索応答1102を送信する。機器探索リクエスト1101と機器探索応答1102を含めたコマンドやパラメータでの接続や送受信等の手続については、BT1.1やそのバリエーションの規格で規定されているため、ここでの説明は省略する。
【0035】
(無線インフラモード)
図9に、モードC(無線インフラモード)の機器探索シーケンスを示す図である。無線インフラモードでは、相互に通信を行う通信装置(例えば、端末装置200及びMFP300のそれぞれ)を、ネットワークを統括する外部のAP(例えば、アクセスポイント400)と接続させ、通信装置間の通信がそのAPを介して行われる。換言すれば、外部のAPが構築したネットワークを介して通信装置間の通信が実行される。無線インフラモードでは、例えば端末装置200が機器探索リクエスト(ProbeRequest)901を送信することによりアクセスポイント400を探索する。アクセスポイント400は、機器探索リクエスト901に応答して機器探索応答(ProbeResponse)902を送信する。端末装置200は、この機器探索応答902を受信したことにより、アクセスポイント400を発見し、ProbeResponseに含まれるSSIDを表示する。同様に、MFP300も、機器探索リクエスト903を送信して機器探索応答904を受信することにより、アクセスポイント400を発見し、ProbeResponseに含まれるSSIDを表示する。端末装置200とMFP300がそれぞれアクセスポイント400を発見し、このアクセスポイント400へ接続要求を送信し接続することにより、これらの通信装置のアクセスポイント400を介した無線インフラモードでの通信が可能となる。なお、複数の通信装置が別個のAPに接続してもよい。この場合、AP間でデータ転送が行われることで、通信装置間の通信が可能となる。アクセスポイントを介して各通信装置間の通信の際に送受信されるコマンドやパラメータについては、Wi-Fi規格で規定されているものを用いれば足りるため、ここでの説明については省略する。また、この場合には、アクセスポイント400が、周波数帯と周波数チャネルを決定する。このため、アクセスポイント400は、5GHzと2.4GHzとから、どちらの周波数帯域を用いるか、及び、その周波数帯域でどの周波数チャネルを用いるかを選択することができる。
【0036】
(処理の概要)
1台の通信装置が複数の無線通信モードを並行して動作させる場合、利便性が低下するケースがある。例えば1つのCPU及び1組のアンテナで複数の無線通信モードを並行して接続可能とする場合に、データ通信に使用される無線通信モードの通信時間が十分に確保できず利便性が低下するおそれがある。なお、1組のアンテナとは、例えば1本のアンテナや1組のアレイアンテナ等である。このため、例えば上述のように無線コンボユニット616を有するMFP300では、無線インフラモード、P2P(WLAN)モードのような複数の通信モードを並行して動作させる場合、動作状態によって通信間隔や通信速度が不安定となるおそれがある。なお、本実施形態では、MFP300の無線コンボユニット616が1本のアンテナを備えるケースについて説明する。そして、この1本のアンテナを使って、無線インフラモードの通信、P2P(WLAN)モードの通信、P2P(BT)モードの通信が実行される。なお、1本のアンテナを使ってこれらの通信モードの通信を実行する形態は一例であり、複数のアンテナが使用されても良いし、上述した通信モードとは異なる通信モードが実行されても良い。また、上記3つのモードが全て実行される必要もない。
【0037】
本実施形態では、通信装置において複数の無線通信モードを並行して使用する設定が行われる場合の通信の安定性を増加させるための処理を実行する。具体的には、本実施形態に係るMFP300は、複数の無線通信モードが有効化されている場合、時分割で動作を行うように制御する。そして、MFP300は、有効化された複数の無線通信モードの接続状態に応じて、各無線通信モードを用いて通信を行う際の単位時間当たりの時間長の割合を変更するような制御を実行する。以下では、接続状態に基づく時分割制御について説明する。なお、ユーザは、例えば
図4(c)の画面を使って、WLANの無線インフラモードとP2P(WLAN)モードとBLEモードを個別に有効に設定することができる。この操作により、MFP300は、外部のアクセスポイント400を介して通信相手装置と無線通信を可能とするための無線インフラモードでの無線接続と、外部のアクセスポイントを介さないP2P(WLAN)モードを並行して維持できる。なお、本実施形態におけるP2P(WLAN)モードでの通信においては、MFP300自身が親局として機能する。
【0038】
(接続状態に基づく時分割制御)
MFP300の無線コンボユニット616は、例えば、2.4GHz帯及び5GHz帯のIEEE802.11規格シリーズに準拠したWLAN通信が可能であり、さらにBT4.1以降のBLE規格に準拠した通信が可能である。無線コンボユニット616を用いるMFP300のWLAN接続状態は、例えば、「Standby状態」、「無線インフラ接続状態」、「P2P接続状態」、及び、「無線インフラ接続状態且つP2P接続状態」を含む。
【0039】
「Standby状態」は、MFP300の電源がON状態であり、無線インフラモードとP2Pモードは有効状態であり、接続要求を受け付け可能である。しかし、MFP300は、実際に外部のAP(例えば、アクセスポイント400)や外部の装置(例えば、端末装置200)との接続処理を行っていない状態である。つまり、複数の通信モードが有効化されているが、各通信モードの通信相手装置が決まっていない状態である。
【0040】
「無線インフラ接続状態」は、MFP300の電源がON状態であり、無線インフラモードとP2Pモードが有効状態であり、外部のアクセスポイント400が接続相手として設定されている状態である。なお、P2Pモードの通信相手装置は決まっていない状態である。「P2P接続状態」は、MFP300の電源がON状態であり、無線インフラモードとP2P(WLAN)モードが有効状態であり、P2P(WLAN)モードの接続相手である端末装置200との接続処理が完了されている状態である。なお、無線インフラモードの通信相手装置は決まっていない状態である。「無線インフラ接続状態且つP2P接続状態」は、両者の無線通信モードが有効化されていて、かつ、両者の通信相手装置が決まっている状態である。
【0041】
MFP300は、無線コンボユニット616を使って、WLANの無線インフラモードでの無線通信又はP2P(WLAN)モードでの無線通信によりデータ通信を行う。また、MFP300は、WLANの無線インフラモードとP2P(WLAN)モードとを並行して有効化することができる。CPU602は、この2つのモードのうち、無線インフラモードとP2P(WLAN)モードとのいずれによるデータ通信がより多くの無線リソースを必要としているかを接続状態(例えば、通信相手装置の有無)に基づいて判定する。そして、CPU602は、この判定結果に基づいて各モードに割り当てる単位時間当たりの時間長を決定する。
【0042】
<起動時の設定>
MFP300は、本体を購入したユーザが初めて電源を投入した際に、工場出荷状態(着荷状態)から初期設定を行うため、通常とは異なる初期起動時専用の処理シーケンス(初期セットアップ)を起動するように構成されている。例えば、MFP300は、印刷部612にインクタンクやプリントヘッド等が装着されていない状態で工場から出荷される。このため、ユーザが初めて操作する初期起動直後に、同梱されたインクタンクやプリントヘッド等を装着する処理をユーザに促すなど、MFP300を使用可能なように準備する必要がある。MFP300が工場出荷状態のままの初期起動状態であるか否かは、不揮発性メモリ605に保存されるフラグ(初期起動フラグ)を用いて判定される。この初期起動フラグは、準備が完了したことに応じて状態が変わり、MFP300は、その準備の完了以降は初期起動時専用の処理シーケンスを起動しないように制御する。
【0043】
本実施形態では、MFP300で初期起動時に特有の処理が行われることに着目し、初期起動時の処理に、通信モードの設定を行う。MFP300の初期起動時の通信モードの設定処理について、
図12および
図13を用いて説明する。なお、初期起動時には通信モードの設定以外の初期セットアップのシーケンスも実行されるが、本実施形態に直接関係のないシーケンスについては、ここでは説明を省略する。
図13に、MFP300によって実行される処理の流れを、フローチャートを使って説明する。なお、本実施形態におけるフローチャートの各ステップの処理は、例えば、CPU602がROM603に記憶されているプログラムを読み出して実行することによって、実現される。
【0044】
MFP300は、電源が投入されると、不揮発性メモリ605に保存されている初期起動フラグを参照し、自装置が初期起動状態であるか否かを判定する(S1301)。初期起動フラグは、MFP300の工場出荷時に初期起動状態であることを示す特定の値にセットされている。そして、MFP300は、自装置が初期起動状態ではないと判定した場合(S1301でNO)、不揮発性メモリ605に保存された設定に従って、有効設定されているインタフェース(通信モードともいう)を有効化する(S1313)。その後、MFP300は、
図4(a)に示したような通常の起動時待機画面を表示して(S1314)、ユーザ操作を待ち受ける状態となり、処理を終了する。S1313及びS1314の処理は、MFP300の通常使用時の起動処理に相当する。なお、通常使用時は、初期セットアップが完了した後に使用される時に相当する。 一方、MFP300は、自装置が初期起動状態であると判定した場合(S1301でYES)、S1302~S1315に示すような、ユーザがMFP300を初めて起動させた場合の処理シーケンスを実行する。この処理シーケンスでは、MFP300は、まず、
図12に示すような、MFP300において使用するインタフェースの選択をユーザに促す画面を操作表示部305に表示する(S1302)。ユーザは、MFP300において使用する予定のインタフェースを、画面に表示された項目の中から選択する。MFP300は、ユーザ操作により「無線LAN」が選択されたか否かを判定し(S1303)、無線LANが選択されていないと判定した場合(S1303でNO)は処理をS1311へ進める。MFP300は、有線LANが選択されたと判定した場合(S1311でYES)には、有線LANを有効化する処理を行い(S1312)、処理をS1315へ進める。また、MFP300は、有線LANが有効に設定されたことを示す設定情報を不揮発性メモリ605に保存する。これにより、MFP300は、通常起動時(S1301でNO)に、この設定情報を参照して、有線LANインタフェースを有効化することができる(S1313)。MFP300は、有線LANも選択されていないと判定した場合(S1311でNO)は処理をS1315へ進める。S1312の処理が行われずに処理がS1311から進むケースは、無線LANも有線LANも選択されず、「USB」が選択されたケースとなる。この場合、MFP300は、USBを有効化(S1315)して、初期起動時のインタフェース設定処理を終了する。なお、ここでは図示していないが、MFP300は、インタフェース選択を含む着荷処理シーケンスを全て終えると、不揮発性メモリ605に保存されている初期起動フラグの値を、初期起動状態を示す値から非初期起動状態を示す値へと変更する。なお、非初期起動状態が、上述した通常使用時の状態に相当する。これにより、MFP300の電源が投入された次のタイミング等に初期起動処理シーケンスが起動されないようになる。
【0045】
S1303に戻り、ユーザ操作により「無線LAN」が選択されたとMFP300が判定した場合(S1303でYES)、MFP300は、処理をS1304へ進める。S1304において、MFP300は、ケーブルレスセットアップモードを起動する。ケーブルレスセットアップモードは、無線設定のための専用モードである。MFP300は、ケーブルレスセットアップモードにおいて、無線コンボユニット616をソフトAPモードとして起動して、親局として動作させる。なお、このタイミングで起動されるソフトAPは、ケーブルレスセットアップモードのための親局である。これにより、パソコンやスマートフォン、タブレット等の外部通信装置が、クライアント(子機)としてMFP300と接続し、通信することが可能となる。このケーブルレスセットアップの際には、2.4GHz帯又は5GHz帯の周波数帯域が使用される。なお、どちらの周波数帯域を使用するかは、例えば、MFP300が、周囲の無線通信状況に基づいて決定してもよい。例えば、MFP300が、2.4GHz帯を使った無線通信が5GHz帯を使った無線通信よりも混雑していると判定した場合、5GHz帯を使った通信を行うソフトウェアAPとして無線コンボユニットを動作させてもよい。なお、ケーブルレスセットアップモードでは、ソフトAPモードが使用されずに、WFDモードが使用されるなど、必ずしもソフトAPモードが使用されなければならないわけではない。ただし、WFDが使用される場合には、ネットワーク識別子であるSSIDにランダム生成された文字列を含ませる必要があり、ソフトAPにはそのような制約がないため、ここではソフトAPモードが使用されるものとする。なお、本実施形態では、端末装置200は、S1304によりソフトウェアAPとして動作しているMFP300の無線コンボユニット616とIEEE802。11シリーズに準拠したP2P(WLAN)での無線接続を確立する。
【0046】
ケーブルレスセットアップモードにおいて、MFP300は、主として無線インフラモードの接続に必要な、設定情報の入力を受け付ける(S1305)。パソコンやスマートフォン、タブレット等の外部通信装置は、MFP300の無線コンボユニット616とP2P(WLAN)での無線接続を確立した後に、無線インフラモードのための設定情報を送信する。例えば、MFP300は、自身が接続可能なSSIDを特定して、SSIDリストを作成してP2P(WLAN)を介して外部通信装置に送信する。そして、外部通信装置は、LAN設定専用アプリケーションを用いてSSIDリストを表示し、ユーザにより選択されたSSIDおよび当該SSIDへの接続に使用するパスワードをP2P(WLAN)を介してMFP300へ設定情報を送信する。パソコンや、スマートフォン、タブレット等の外部通信装置において動作するLAN設定専用アプリケーションは、MFP300を外部通信装置が接続していた外部のAPに接続させることができるように構成される。また、ユーザによる指定とは別の方法で実行されても良い。例えば、端末装置200で動作するアプリケーションは、端末装置200が接続していた外部のAPに関する無線設定情報が受信したSSIDリストに含まれるか否かを判定する。ここで含まれると判定された場合、自動的に端末装置200が接続していた外部のAPに関する無線設定情報がソフトAPとして動作するMFP300の無線コンボユニット616とのP2P(WLAN)を介して送信されても良い。なお、LAN設定専用アプリケーションは、例えばMFP300の製品に同梱された記憶媒体等に格納された又はネットワークダウンロード可能な形式で配布されたプログラムを、外部通信装置が実行することによって起動されうる。なお、本実施形態では、S1305において無線インフラモードのための設定情報を受け付ける例を説明しているが、S1305においてP2P(WLAN)モードで動作することが指示されても良い。この指示を受けた場合、MFP300は、後述するS1306と同様にケーブルレスセットアップモードを終了して、ケーブルレスセットアップモード用のソフトAPモードも停止し、新たな親局となるソフトAPを起動する。ここで起動されるソフトAPは、S1309のソフトAPと同じである。そのため、ここでソフトAPが起動された場合は、S1309の処理が省略されても良い。
【0047】
MFP300が、S1305において外部通信装置から受信する設定情報は、参加したいネットワークを構築している外部APのSSID、その外部APで使用されている周波数帯域、暗号方式、認証方式等を含む。なお、周波数帯域の情報は、5GHz帯又は2.4GHz帯を指定する情報、又は、周波数帯域に関連する無線チャネルを示す値等でありうる。MFP300は、設定情報を受け取ると、ケーブルレスセットアップモードを終了して(S1306)、ソフトAPモードを停止し、無線インフラモードの有効化処理を実行する(S1307)。その後、MFP300は、S1308において、S1305で受信した設定情報に基づく設定値に従って、無線インフラモードによる通信を起動し、外部のアクセスポイント400への接続処理を行う。そして、MFP300は、無線インフラモードが有効に設定されたことに応じて、不揮発性メモリ605に設定情報を保存する。具体的には、無線インフラモードが有効状態であること、無線インフラモードにおいて使用される外部APのSSID等が保存される。また、MFP300は、P2P(WLAN)モードの設定を有効化する(S1309)。このS1309によりMFP300は、無線コンボユニット616をソフトAPモードとして起動して、親局として動作させる。ここで起動されるソフトAPは、上述したケーブルレスセットアップモードのソフトAPとは別のSSIDを使用する。なお、ソフトAPに限る必要はなくWiFiダイレクトのグループオーナとして無線コンボユニット616が起動されても良い。そして、MFP300は、P2P(WLAN)モードが有効に設定されたことに応じて、不揮発性メモリ605に設定を保存する。具体的には、P2P(WLAN)モードが有効状態であること、P2P(WLAN)モードにおいて使用される周波数帯域やCH情報が保存される。なお、MFP300は、無線インフラモードとP2P(WLAN)モードとの並行動作が可能な場合、初期起動時のセットアップフロー内において、ユーザが無線インフラモード単体を選択した場合であっても、P2P(WLAN)モードも有効化しうる。そして、MFP300は、自動的に無線インフラモードとP2P(WLAN)モードとで並行動作する状態となるようにセットアップを実行しうる。すなわち、P2P(WLAN)モードを有効化して設定を保存する処理が、S1305においてP2P(WLAN)モードを有効化する指示を受信しているか否かによらずに行われてもよい。この場合、無線LANが使用される地域に適した周波数帯やCHが、事前に初期値としてMFP300に保持されうる。
【0048】
無線コンボユニット616は、上述の通り、複数の通信モードによる通信を共通のアンテナで行う。MFP300は、共通のアンテナを用いて複数の通信モードでの通信を安定的に行うために、各通信モードの優先度を設定し、その優先度に基づいて時分割制御で割り当てられる期間長を設定する。この時間長の設定のために、MFP300は、無線制御テーブルを設定する(S1310)。なお、S1310において行われる無線制御テーブル設定処理の詳細について
図19を用いて説明する。S1310においてMFP300は、予め不揮発性メモリ605に保持している
図20(a)、(b)、(c)、(d)から使用すべきテーブルを選択する処理を行う。
【0049】
MFP300は、無線インフラモードとP2P(WLAN)モードの両者が有効であるか否かを判定する(S1901)。
【0050】
無線インフラモードとP2P(WLAN)モードの両者が有効でないと判定した場合(S1901でNO)は、処理をS1910へ進める。S1910において、不揮発性メモリ605に保存されている無線制御テーブル設定のクリア処理を行い、処理を終える。なお、実施形態1ではS1303でYesと判定された場合は、S1307とS1309により無線インフラモードとP2P(WLAN)モードの両者が有効状態となる。一方、S1303でNoと判定された場合は、無線インフラモードとP2P(WLAN)モードの両者が無効状態となる。そのため実施形態1では、基本的には、S1901の判定時におけるMFP300の状態は、無線インフラモードとP2P(WLAN)モードの両者が有効であるか、両者が無効であるかのいずれかとなる。その場合は、S1910のようなクリア処理で問題ない。しかし、仮に無線インフラモードとP2P(WLAN)モードのいずれか1つが有効である場合、MFP300は、S1910において有効化されているモードの占有度を100%に設定しても良い。
【0051】
一方、MFP300は、無線インフラモードとP2Pモードの両者が有効であると判定した場合(S1901でYES)、いずれかの外部のアクセスポイントと接続済みであるか否かを判定する(S1902)。MFP300は、例えば上述したケーブルレスセットアップモードでの処理により受信した無線インフラモード用のSSIDを用いて外部のアクセスポイントと接続処理を行う。ここで接続処理が完了した場合、接続完了済みを示す情報が不揮発性メモリ605に保存される。S1902では、この情報を参照することで接続済みであるか否かが判定される。また、別の方法として、例えば、MFP300は、無線インフラモード用のSSIDが設定されているか否かによってS1902の判定を行っても良い。また、無線インフラモードの親局である外部のアクセスポイントからMFP300に対するIPアドレスが割り当てられているか否かによってS1902の判定を行っても良い。つまり、通信相手装置となる外部のアクセスポイントが決定されているか否かによってS1902の判定が行われても良い。なお、無線インフラモードで使用されるSSIDは、ケーブルレスセットアップモードとは別の方法で設定されても良い。外部のアクセスポイントと接続済みでないと判定した場合(S1902でNO)は、無線インフラモード優先フラグを無効に設定し、その旨を不揮発性メモリ605に保存する(S1908)。
【0052】
一方、MFP300は、いずれかの外部のアクセスポイントと接続済みであると判定した場合(S1902でYES)、無線インフラモード優先フラグを有効に設定し、その旨を不揮発性メモリ605に保存する(S1903)。
【0053】
S1904において、MFP300は、MFP300が外部通信装置とP2P(WLAN)接続済みであるか否かを判定する(S1904)。MFP300は、P2P(WLAN)接続要求を受けると接続処理を行い、接続処理が完了すると接続台数を1カウントアップする。MFP300は、この接続台数が1以上である場合、S1904において接続済みであると判定する。また、別の方法として、例えば、MFP300は、P2P(WLAN)接続の通信相手となる通信相手装置(例えば端末装置200)の識別情報(例えば、IPアドレス、装置名称)を保持しているか否かによってS1904の判定を行っても良い。つまり、P2P(WLAN)接続の通信相手装置が決定されているか否かによってS1904の判定が行われても良い。外部通信装置とP2P接続済みでないと判定した場合(S1904でNO)は、P2Pモード優先フラグを無効に設定し、その旨を不揮発性メモリ605に保存する(S1909)。
【0054】
一方、MFP300は、MFP300が外部通信装置とP2P接続済みであると判定した場合(S1904でYES)、P2Pモード優先フラグを有効に設定し、その旨を不揮発性メモリ605に保存する(S1905)。
【0055】
MFP300は、無線インフラモード優先フラグとP2Pモード優先フラグを参照し、
図20(a)、(b)、(c)、(d)のいずれの無線制御設定テーブルを用いるかを決定する(S1906)。すなわち、無線インフラモード優先フラグが無効であり、かつ、P2Pモード優先フラグが無効である場合、MFP300は、
図20(a)を使用すると決定する。また、無線インフラモード優先フラグが有効であり、かつ、P2Pモード優先フラグが無効である場合、MFP300は、
図20(b)を使用すると決定する。また、無線インフラモード優先フラグが無効であり、かつ、P2Pモード優先フラグが有効である場合、MFP300は、
図20(c)を使用すると決定する。また、無線インフラモード優先フラグが有効であり、かつ、P2Pモード優先フラグが有効である場合、MFP300は、
図20(d)を使用すると決定する。なお、
図20(a)、(b)、(c)、(d)の数値は一例に過ぎず、別の値が設定されてもよい。
【0056】
そして、MFP300は、S1906において決定した無線制御設定テーブルを無線チップドライバに設定する(S1907)。また、
図20(a)、(b)、(c)、(d)の無線制御設定テーブルを無線チップドライバに設定した場合のMFP300で実行される通信概要については、
図21(a)、(b)、(c)、(d)を用いて説明する。無線チップドライバとは、無線コンボユニット616を制御するためのモジュールである。
【0057】
図21(a)、(b)、(c)、(d)は、CPU602が無線制御設定テーブルとして
図20(a)、(b)、(c)、(d)のいずれかを無線チップドライバに設定した場合の通信概要を示す。
【0058】
図21において、白抜きの矩形で示したパケットは、MFP300が送信したパケットを示し、網掛けの矩形で示したパケットは、MFP300が受信したパケットを示す。また、横軸は時間経過を示す。なお、
図21(a)から(d)におけるTは単位時間を示しており、
図21(a)から(d)における単位時間Tの長さは共通している。
【0059】
図21(a)は、
図20(a)のStandbyテーブルが無線チップドライバに設定された場合の動作の一例を示している。つまり、MFP300が、外部のアクセスポイント400と未接続であり、外部通信装置とP2P未接続の場合の動作を示している。
図21(a)から明らかなように、無線インフラ接続の時分割占有期間とP2P接続の時分割占有期間が同程度となるような通信が行われる。
図21(a)においてMFP300が受信するパケット2101は、外部のアクセスポイントにより出力されるビーコンである。なお、このビーコンには、外部のアクセスポイントに対応するSSIDが含まれる。このビーコンを受けたMFP300は、MFP300に対するユーザ操作により接続要求パケット2102を送信する。例えば、MFP300は、5GHzのDFS帯のSSIDについては、外部のアクセスポイントにより出力されるビーコン(パケット2101)を受信し、このビーコン(パケット2101)に含まれるSSIDを表示する。そして、ユーザが、5GHzのDFS帯のSSIDを選択して接続指示を受け付けた場合、接続要求パケット2102が送信されることとなる。また、MFP300が受信するパケット2103は、P2P接続のためのパケットであり、例えば、ProbeRequestである。パケット2103がProbeRequestである場合、パケット2104はProbeResponseとなる。
【0060】
図21(b)は、
図20(b)の無線インフラ接続優先テーブルが無線チップドライバに設定された場合の動作の一例を示している。つまり、MFP300が、外部のアクセスポイント400と接続済みであり、外部通信装置とP2P(WLAN)未接続の場合の動作を示している。
図21(b)から明らかなように、無線インフラ接続の時分割占有期間がP2P(WLAN)接続の時分割占有期間より長くなるような通信が行われる。また、その比率は
図20(b)の値に対応している。これにより、MFP300は、無線インフラモードでのアクセスポイント400との通信における通信速度を十分に確保することができる。
図21(b)においてMFP300が受信するパケット2101は、例えば、外部アクセスポイントを介して受信する印刷データである。MFP300は、このデータパケットが正常なパケットであると判定すると、ACKパケット(パケット2102)を送信する。
【0061】
また、MFP300が受信するパケット2103は、P2P接続のためのパケットであり、例えば、ProbeRequestである。パケット2103がProbeRequestである場合、パケット2104はProbeResponseとなる。
【0062】
図21(c)は、
図20(c)のP2P接続優先テーブルが無線チップドライバに設定された場合の動作の一例を示している。つまり、MFP300が、外部のアクセスポイント400と未接続であり、外部通信装置とP2P(WLAN)接続済みの場合の動作を示している。
図21(c)から明らかなように、P2P(WLAN接続の時分割占有期間が無線インフラ接続の時分割占有期間より長くなるような通信が行われる。また、その比率は
図20(c)の値に対応している。これにより、MFP300は、P2P(WLAN)モードでの外部通信装置との通信における通信速度を十分に確保することができる。
図21(c)においてMFP300が受信するパケット2101は、例えば外部のアクセスポイントにより出力されるビーコンであり、パケット2102はMFP300に対するユーザ操作により送信される接続要求パケットである。なお、
図21(a)において詳細な説明をしているため、ここでは説明を省略する。また、MFP300が受信するパケット2103は、P2P接続を介して受信する印刷データである。MFP300は、このデータパケットが正常なパケットであると判定すると、ACKパケット(パケット2104)を送信する。
【0063】
図21(d)は、
図20(d)のFull Activeテーブルが無線チップドライバに設定された場合の動作の一例を示している。つまり、MFP300が、外部のアクセスポイント400と接続済みであり、外部通信装置とP2P(WLAN)接続済みの場合の動作を示している。
図21(d)から明らかなように、無線インフラ接続の時分割占有期間とP2P(WLAN)接続の時分割占有期間が同程度となるような通信が行われる。
図21(d)においてMFP300が受信するパケット2101は、例えば、外部アクセスポイントを介して受信する印刷データである。MFP300は、このデータパケットが正常なパケットであると判定すると、ACKパケット(パケット2102)を送信する。また、MFP300が受信するパケット2103は、P2P接続(WLAN)を介して受信する印刷データである。MFP300は、このデータパケットが正常なパケットであると判定すると、ACKパケット(パケット2104)を送信する。説明を
図13に戻す。MFP300は、USBを有効化して(S1315)、初期起動時の設定処理を終了する。すなわち、有線LANが選択された場合と無線LANが選択された場合とのいずれの場合においても、USBインタフェースが有効化される。なお、MFP300は、例えばユーザ操作に基づいた設定によって、USBインタフェースを有効化しなくてもよい。
【0064】
MFP300のCPU602は、選択されたテーブルに基づく通信処理を無線コンボユニット616に実行させることが可能となり、初期起動時の上述の処理により、通信スループットの低下を軽減することが可能となる。例えば、無線コンボユニット616を用いて、無線インフラモードにおいて使用するチャネルと、P2P(WLAN)モードで使用するチャネルが別チャネルであっても通信スループットの低下を軽減することが可能となる。なお、無線インフラモードにおいて使用するチャネルと、P2P(WLAN)モードで使用するチャネルが同一であっても、上述の処理により通信スループットの低下を軽減することが可能となる。このため、MFP300は、共通のハードウェア資源を利用して、P2Pモード、無線インフラモードを並行して動作させる際の利便性を向上させることができる。なお、BLEモードが有効化されている場合には、BLEモードの接続状況も考慮して時分割占有度が決定される。例えば、MFP300においてBLEモードが有効化された場合、MFP300は、まずBLEモードでの通信としてAdvertisingデータの出力を実行する。この場合、100msecごとにビーコン(Advertisingデータ)を送出できるように時分割占有度を決める。そして残りの時間を
図20のテーブルの内容に沿って決めても良い。
【0065】
<LAN設定による通信モードの有効/無効の切り替え設定>
次に、通信モードの有効/無効の切り替え時における、無線インフラモードとP2Pモードの設定方法について説明する。MFP300は、
図4(c)に示すような本体操作画面、又はケーブルレスセットアップ経由で、使用する通信モードの有効/無効を設定可能なように構成されている。なお、MFP300は、MFP300の操作画面をユーザが操作することでケーブルレスセットアップモードを起動することが可能となる。すなわち、ユーザが、MFP300の操作画面を使ってケーブルレスセットアップを行うことを指示した場合、MFP300は、S1304と同様にソフトAPモードを起動して、APとして動作する。本実施形態では、有線LANと無線LANとのいずれか一方のみが使用される関係にあり、MFP300は、有線LANを有効にした状態で無線LANを有効にすることはできないものとする。同様に、MFP300は、無線LANを有効にした状態で有線LANを有効にすることもできないものとする。なお、有線LANと無線LANとを並行して無効に設定することは可能である。本実施形態においては、Bluetoothについても、その通信機能が無線LANと共に無線コンボユニット616によって実現されるため、有線LANが有効となっている場合には、有効化されないように構成される。USBインタフェースは、ユーザによる設定で無効化することはできず、MFP300の起動時に常に有効化され、有線LAN又は無線LAN若しくはBLEと並行して使用可能に構成される。また、MFP300は、無線インフラモードと、P2P(WLAN)モードについて個別に独立して有効/無効の設定を実行可能に構成される。例えば、ユーザは、操作画面を使って無線ダイレクト(すなわちP2P(WLAN)モード)の有効化を指示し、続いて、無線インフラモードの有効化を指示する。これらの指示により、MFP300は、P2P(WLAN)モードと無線インフラモードについて並行して有効化することが可能である。すなわち、MFP300は、P2P(WLAN)モードでの無線接続と無線インフラモードでの無線接続を並行して維持することができる。なお、接続は並行して維持することはできるが、データ通信は並行して実行されずシーケンシャルに実行される。例えば、P2P(WLAN)モードでの無線接続と無線インフラモードでの無線接続を並行して維持されている場合、まず無線インフラモードでのデータ通信を所定期間行い、その後、P2P(WLAN)モードでのデータ通信が行われる。また、MFP300は、BLEモードについて、P2P(WLAN)モード及び無線インフラモードと独立して有効/無効を設定可能に構成される。このとき、BLEモードも、P2P(WLAN)モード及び/又は無線インフラモードと並行して有効とすることができる。すなわち、MFP300は、P2P(WLAN)モードと無線インフラモードの各モードでの無線接続とBLEモードでの無線接続を並行して維持することができる。このため、MFP300は、P2P(WLAN)モードの無線接続及び無線インフラモードによる無線接続、及びBLEによる無線接続を並行して維持することができる。設定した有効/無効の状態は不揮発性メモリ605に保存され、MFP300は、電源がオフとされた後の次回の起動時にその情報を参照し、保存された情報に基づいて各通信モードを有効化する。MFP300は、LAN設定項目が初期化された場合、各通信モードを無効とする。また、この場合、MFP300は、有線LANも無効とし、有線と無線との両方においてLANによる通信を実行しない状態となる。ユーザは、LAN設定を初期化した場合、所望の通信モードを個別に有効に設定変更してMFP300を使用することとなる。
【0066】
MFP300の操作画面をユーザが操作することで無線インフラモードとP2Pモードの設定を独立して有効/無効の設定を行った場合の処理について
図14を用いて説明する。
【0067】
MFP300は、上述の初期起動処理(S1301~S1315)が完了すると、通常の待機画面(
図4(a))を表示する(S1401)。
【0068】
MFP300は、操作画面をユーザが操作することで通常の待機画面からIF選択画面(
図4(c))を表示し(S1402)、無線LANおよび無線ダイレクトのいずれかが選択されたか否かを判定する(S1403)。
【0069】
MFP300は、無線LANおよび無線ダイレクトが選択されていないと判定した場合(S1403でNO)、選択されたインタフェースを有効化(S1404)し、処理を終了する。例えば、
図4(c)において有線LANが選択された場合、S1403においてNoと判定される。
【0070】
一方、MFP300は、
図4(c)のIF選択画面で無線LANおよび無線ダイレクトのいずれかが選択されたと判定した場合(S1403でYES)、処理をS1405へ進める。S1405において、MFP300は、無線インフラモードが選択されたか否かを判定する。MFP300は、無線インフラモードが選択されたと判定した場合(S1405でYES)、無線インフラモードがユーザ操作により有効化されたか否かを判定する。MFP300は、無線インフラモードが有効化されたと判定した場合(S1406でYES)、無線インフラモード有効化処理を行う(S1407)。無線インフラモード有効化処理においては、
図15を用いて説明する。
【0071】
MFP300は、操作画面に対するユーザ操作に基づいて、無線インフラモードを有効化し(S1501)、周囲のアクセスポイントを検索し、SSID(Service Set Identifier)の一覧を表示する(S1502)。そして、MFP300は、ユーザ操作に基づいて、接続したいアクセスポイントを決定(S1503)し、選択されたアクセスポイントとの接続処理を行う(S1504)。
【0072】
そして、MFP300は、アクセスポイントとの接続が完了したか否かを判定する(S1505)。MFP300は、アクセスポイントとの接続が完了していないと判定した場合(S1505でNO)、再び処理をS1504へ進める。
【0073】
一方、MFP300は、アクセスポイントとの接続が完了したと判定した場合(S1505でYES)、無線制御テーブル設定の処理を行う(S1506)。無線制御テーブル設定処理は、前述のS1901~S1910と同様の処理であるため詳細な説明は省略するが、簡単な例を記載する。例えば、S1402で表示されたIF選択画面の操作により、MFP300が無線インフラモードのみが有効化された状態で動作している場合、S1901においてNoと判定され無線インフラモードの占有度が100%に設定される。一方、S1402で表示されたIF選択画面の操作により、MFP300が無線インフラモードとP2P(WLAN)モードの両者が有効化された状態で動作している場合、S1901においてYesと判定され、S1902-S1907が実行される。
図14に戻り、無線インフラモード有効化処理を終える。なお、
図15の処理ではS1505においてYesと判定されるまでS1506の処理が行われない処理フローを説明したが、別の処理フローが実行されても良い。つまり、S1505においてNoと判定された場合、MFP300は、S1504の処理をリトライする。そして、S1504のリトライ回数が所定回数に達したら、MFP300は、アクセスポイントとの接続処理が完了していなくてもS1506を実行しても良い。
【0074】
一方、MFP300は、無線インフラモードが有効化されていないと判定した場合(S1406でNO)、無線インフラモードが無効化されたか否かを判定する(S1408)。MFP300は、無線インフラモードが無効化されていないと判定した場合(S1408でNO)、処理を終える。
【0075】
一方、MFP300は、無線インフラモードが無効化されたと判定した場合(S1408でYES)、無線インフラモード無効化処理を行う(S1409)。無線インフラモード無効化処理においては、
図16を用いて説明する。
【0076】
ユーザが操作画面を操作することで無線インフラモードが無効化されると、MFP300は、外部のアクセスポイントと接続済みであるか否かを判定する(S1601)。MFP300は、外部のアクセスポイントと接続済みでないと判定した場合、処理をS1603へ進める。一方、MFP300は、外部のアクセスポイントの接続済みであると判定した場合(S1406でYES)、外部のアクセスポイントとの切断処理を行い(S1602)、処理をS1603へ進める。
【0077】
S1603において、無線インフラモード無効化処理を行い、無線制御テーブル設定の処理を行う(S1604)。無線制御テーブル設定処理は、前述のS1901~S1910と同様の処理であるため詳細な説明は省略する。
図14に戻り、S1409の無線インフラモード無効化処理を終える。
【0078】
また、MFP300は、無線インフラモードが選択されていないと判定した場合(S1405でNO)、処理をS1410へ進める。MFP300は、
図4(c)において無線ダイレクト(すなわちP2P(WLAN)モード)が選択されたか否かを判定する(S1411)。P2P(WLAN)モードが選択されていないと判定した場合(S1410でNO)、処理を終える。一方、MFP300は、P2P(WLAN)モードが選択されたと判定した場合(S1410でYES)、P2P(WLAN)モードが有効化されたか否かを判定する(S1411)。MFP300は、P2P(WLAN)モードが有効化されたと判定した場合(S1411でYES)、P2P(WLAN)モード有効化処理を行う(S1412)。P2P(WLAN)モード有効化処理においては、
図17を用いて説明する。
【0079】
ユーザが操作画面を操作することでP2P(WLAN)モードが有効化され、MFP300は、P2Pモードの親局を起動し、P2P接続要求待ち状態となる(S1701)。なお、S1701において起動される親局は、ソフトAPでも、WiFiダイレクトのグループオーナでも良い。MFP300は、P2P(WLAN)モードでの接続要求があったか否かを判定する(S1702)。P2P(WLAN)モードの接続要求がないと判定した場合(S1702でNO)、再びP2P(WLAN)接続要求待ち状態となる。一方、MFP300は、P2P(WLAN)モードの接続要求ありと判定した場合(S1702でYES)、P2P(WLAN)接続処理行う(S1703)。
【0080】
続いて、MFP300は、P2P(WLAN)接続が完了したか否かを判定する(S1704)。P2P(WLAN)接続が完了していないと判定した場合(S1704でNO)、MFP300は、再びP2P(WLAN)接続要求待ち状態となる。一方、P2P(WLAN)接続が完了したと判定した場合(S1704でYES)、MFP300は、無線制御テーブル設定の処理を行う(S1705)。S1705の無線制御テーブル設定処理は、前述のS1901~S1910と同様であるため詳細な説明は省略する。
図14に戻り、S1412のP2P(WLAN)モード有効化処理を終える。なお、
図17の処理ではS1704においてYesと判定されるまでS1705の処理が行われない処理フローを説明したが、別の処理フローが実行されても良い。つまり、MFP300は、所定時間待ってもP2P(WLAN)モードの接続要求を受信しない場合、S1705を実行しても良い。または、S1704においてNoと判定された場合、MFP300は、S1702-S1703の処理をリトライする。そして、S1703のリトライ回数が所定回数に達したら、MFP300は、P2P(WLAN)モードの接続処理が完了していなくてもS1705を実行しても良い。
【0081】
一方、MFP300は、P2P(WLAN)モードが有効化されていないと判定した場合(S1411でNO)、P2P(WLAN)モードが無効化されたか否かを判定する(S1413)。MFP300は、P2P(WLAN)モードが無効化されていないと判定した場合(S1413でNO)、処理を終える。
【0082】
MFP300は、P2P(WLAN)モードが無効化されたと判定した場合(S1413でYES)、P2P(WLAN)モード無効化処理を行う(S1414)。P2Pモード(WLAN)無効化処理については、
図18を用いて説明する。
【0083】
ユーザが操作画面を操作することで無線ダイレクト(P2P(WLAN)モード)を無効化するための指示を入力すると、MFP300は、外部通信装置とP2P(WLAN)接続済みであるか否かを判定する(S1801)。
【0084】
MFP300は、外部通信装置と接続していないと判定した場合、処理をS1803へ進める。一方、MFP300は、外部通信装置と接続済みであると判定した場合(S1801でYES)、外部通信装置との切断処理を行い(S1802)、処理をS1803へ進める。
【0085】
MFP300は、P2P(WLAN)モード無効化処理としてP2P(WLAN)モードの親局を停止し(S1803)、無線制御テーブル設定の処理を行う(S1804)。無線制御テーブル設定処理は、前述のS1901~S1910と同様の処理であるため詳細な説明は省略する。
図14に戻り、P2P(WLAN)モード無効化処理を終える。
【0086】
MFP300は、選択されたテーブルに基づく通信処理を無線コンボユニット616に実行させることが可能となり、通信モードの有効/無効の切り替え時における通信スループットの低下を軽減することが可能となる。例えば、無線コンボユニット616を用いて、無線インフラモードにおいて使用するチャネルと、P2P(WLAN)モードで使用するチャネルが別チャネルであっても通信スループットの低下を軽減することが可能となる。なお、無線インフラモードにおいて使用するチャネルと、P2P(WLAN)モードで使用するチャネルが同一であっても、上述の処理により通信スループットの低下を軽減することが可能となる。このため、MFP300は、共通のハードウェア資源を利用して、P2P(WLAN)モード、無線インフラモードを並行して動作させる際の利便性を向上させることができる。なお、BLEモードが有効化されている場合には、BLEモードの接続状況も考慮して時分割占有度が決定される。例えば、MFP300においてBLEモードが有効化された場合、MFP300は、まずBLEモードでの通信としてAdvertisingデータの出力を実行する。この場合、100msecごとにビーコン(Advertisingデータ)を送出できるように時分割占有度を決める。そして残りの時間を
図20のテーブルの内容に沿って決めても良い。
【0087】
以上のように、本実施形態に係るMFP300は、接続状態に基づいて、無線インフラモード及びP2P(WLAN)モードとのそれぞれについて、単位時間において適切な長さの通信期間を設定することができる。そして、MFP300は、特定した優先度および時分割占有度に基づいて、複数の通信モードのそれぞれの通信期間を設定する。これにより、スループットが必要な通信モードに対して、適切な配分で通信期間を割り当てることが可能となる。
【0088】
(その他の実施形態)
上述の各実施形態では、使用される通信モードの例として、無線LAN規格による通信が実行されるモードを例として説明した。しかしながら、他の無線通信規格での通信モードが使用可能なように、各通信装置が構成されてもよい。例えば、無線LANの規格の追加・変更や、新規の無線通信規格が使用可能となった場合、その追加・変更された規格や新規の無線通信規格を用いて上述の議論を適用することができる。例えば、無線通信規格の追加・変更によって新規の接続形態が使用可能となった場合にも上述の議論を適用することができる。
【0089】
なお、上述の例では、無線インフラモードやP2P(WLAN)モードにおいて、外部装置との接続/未接続かによって、Standbyテーブルを利用するか、無線インフラ接続優先テーブルやP2P接続優先テーブルを利用するかが決定するとした。しかしながら、これに限られず、ユーザの指示により
図20のどのテーブルが使用されるかがが決定されてもよい。すなわち、アクセスポイントと接続済みであり、且つ、外部装置とP2P接続している場合であっても、ユーザが無線インフラ接続を優先させたい場合は無線インフラ接続優先テーブルがユーザの指示により使用されても良い。
【0090】
また、上述した実施形態ではMFP300において実行される処理として説明したがMFP以外の装置(例えば、デジタルカメラ、スマートフォン等)で実行されても構わない。
【0091】
また、スループットを高めるために、MFP300は状況に応じて複数のチャネルを使用して通信する40MHzの周波数帯域幅で通信を実行しても良い。例えば、MFP300が、P2P(WLAN)モードが無効化されており、かつ、無線インフラモードが有効化されている場合、20MHzモードと40MHzモードのどちらでも動作可能な状態で待機する。そして、外部のアクセスポイントが40MHzでの通信を可能とすることを示す情報を受信した場合、MFP300は、40MHzモードで動作すると決定しても良い。なお、40MHzモードは、IEEE802.11nにおいてサポートされている。また、MFP300が40MHzモードで外部のアクセスポイントにより構築される2.4GHzの無線ネットワークに参加する場合、IEEE802.11nの規格に則り、定期的にOBSS(Overlapping Basic Service Set)Scanを実行する。なお、OBSS Scanを実行することにより、IEEE802.11n規格に非対応の無線ネットワークと、40MHzモードでの通信を許容しない無線ネットワークが発見される。MFP300は、これらの無線ネットワークが発見された場合、外部のアクセスポイントに対してレポートを送信する。このレポートを受けた外部のアクセスポイントは、必要に応じて40MHzをサポートした無線ネットワークから20MHZのみをサポートした無線ネットワークにきりかえる。なお、別の周波数帯域幅で通信が実行されても良い。
【0092】
また、上述の実施形態では、利用周波数として2.4GHzおよび5GHzを記載したが他の周波数が利用されても良い。例えば、6GHzが利用されても良い。
【0093】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0094】
200 携帯型通信端末装置
300 MFP