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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】X線CT装置及び撮影制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20240930BHJP
【FI】
A61B6/03 530Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020112694
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2021013740
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】P 2019127767
(32)【優先日】2019-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】津雪 昌快
(72)【発明者】
【氏名】養田 隆宏
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-214091(JP,A)
【文献】特開2018-000550(JP,A)
【文献】特開2002-191595(JP,A)
【文献】特開2009-268793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーンビーム形のX線を曝射するX線管と、
前記X線管から曝射され、被検体を透過したX線を検出するエリア検出器と、
前記X線管と前記エリア検出器とを回転軸回りに回転可能に支持する回転フレームと、
前記回転軸回りの所定位置で前記曝射のオンオフ制御に必要な時間だけ前記X線が曝射されたときの前記エリア検出器の出力に基づいて、前記被検体の参照画像を生成する生成手段と、
前記参照画像に基づいて、前記被検体に対するスキャンの撮影条件を設定する第1設定手段と、
前記設定された撮影条件に基づいて、前記スキャンを制御する第1制御部と、
前記参照画像の表示中、入力された再構成優先位置の設定指示に基づいて、当該再構成優先位置を設定する優先位置設定手段と、
前記スキャンにより得られた投影データであって、前記エリア検出器の出力に基づく前記投影データを記憶するメモリと、
前記メモリに記憶された投影データに基づいて、前記再構成優先位置から再構成を実行する再構成部と
を具備し、
前記優先位置設定手段は、前記参照画像と再構成範囲の上限及び下限との表示中に、前記再構成優先位置を設定し、
前記再構成部は、前記再構成範囲内で前記再構成優先位置から再構成を実行し、
前記再構成範囲は、前記回転軸に平行なZ方向の範囲を共通とし、前記回転軸に直交し且つ前記X線管のX線焦点と前記エリア検出器の検出面の中心とを結ぶY軸に平行なY方向の範囲と、前記回転軸と前記Y軸とに直交するX軸に平行なX方向の範囲とが等しい範囲である、X線CT装置。
【請求項2】
前記第1制御部は、前記参照画像を生成するための前記X線の曝射後から前記スキャンの開始までの期間、前記X線の曝射を停止させ且つ前記回転フレームの回転を継続させるよう制御する、請求項1記載のX線CT装置。
【請求項3】
前記スキャンの実行前にエリア投光器を用いて前記被検体の撮影範囲を設定する第2設定手段を更に備えた、請求項1又は請求項2に記載のX線CT装置。
【請求項4】
前記参照画像の撮影開始が指示された時点での前記X線管の回転軸回りの位置に対し、前記回転軸回りの頂部にある0度又は底部にある180度の位置のうちの近い方を前記所定位置としてX線を曝射させるように前記X線管を制御する第2制御部を更に備えた、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のX線CT装置。
【請求項5】
前記参照画像の撮影開始が指示された時点での前記X線管の回転軸回りの位置に対し、前記回転軸回りの頂部と底部との中央にある90度又は270度の位置のうちの近い方を前記所定位置としてX線を曝射させるように前記X線管を制御する第3制御部を更に備えた、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のX線CT装置。
【請求項6】
前記参照画像を用いて前記スキャンの撮影範囲を調整する調整手段を更に備えた、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のX線CT装置。
【請求項7】
前記スキャンは、非ヘリカルスキャンである、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のX線CT装置。
【請求項8】
前記生成手段は、前記回転フレームの回転中における前記所定位置で前記X線が曝射されたときの前記エリア検出器の出力に基づいて、前記参照画像を生成する、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のX線CT装置。
【請求項9】
コーンビーム形のX線を曝射するX線管と、
前記X線管から曝射され、被検体を透過したX線を検出するエリア検出器と、
前記X線管と前記エリア検出器とを回転軸回りに回転可能に支持する回転フレームと、
前記回転フレームの回転中における前記回転軸回りの所定位置で1つの透視像が得られる程度の時間だけ前記X線が曝射されたときの前記エリア検出器の出力に基づいて、前記被検体の参照画像を生成する生成手段と、
前記参照画像に基づいて、前記被検体に対するスキャンの撮影条件を設定する第1設定手段と、
前記設定された撮影条件に基づいて、前記スキャンを制御する第1制御部と、
前記参照画像の表示中、入力された再構成優先位置の設定指示に基づいて、当該再構成優先位置を設定する優先位置設定手段と、
前記スキャンにより得られた投影データであって、前記エリア検出器の出力に基づく前記投影データを記憶するメモリと、
前記メモリに記憶された投影データに基づいて、前記再構成優先位置から再構成を実行する再構成部と
を具備し、
前記優先位置設定手段は、前記参照画像と再構成範囲の上限及び下限との表示中に、前記再構成優先位置を設定し、
前記再構成部は、前記再構成範囲内で前記再構成優先位置から再構成を実行し、
前記再構成範囲は、前記回転軸に平行なZ方向の範囲を共通とし、前記回転軸に直交し且つ前記X線管のX線焦点と前記エリア検出器の検出面の中心とを結ぶY軸に平行なY方向の範囲と、前記回転軸と前記Y軸とに直交するX軸に平行なX方向の範囲とが等しい範囲である、X線CT装置。
【請求項10】
コーンビーム形のX線を曝射するX線管と、
前記X線管から曝射され、被検体を透過したX線を検出するエリア検出器と、
前記X線管と前記エリア検出器とを回転軸回りに回転可能に支持する回転フレームと、
前記回転フレームの回転中における前記回転軸回りの所定位置で、1ビュー乃至複数ビューに相当する時間だけ前記X線が曝射されたときの前記エリア検出器の出力に基づいて、前記被検体の参照画像を生成する生成手段と、
前記参照画像に基づいて、前記被検体に対するスキャンの撮影条件を設定する第1設定手段と、
前記設定された撮影条件に基づいて、前記スキャンを制御する第1制御部と、
前記参照画像の表示中、入力された再構成優先位置の設定指示に基づいて、当該再構成優先位置を設定する優先位置設定手段と、
前記スキャンにより得られた投影データであって、前記エリア検出器の出力に基づく前記投影データを記憶するメモリと、
前記メモリに記憶された投影データに基づいて、前記再構成優先位置から再構成を実行する再構成部と
を具備し、
前記優先位置設定手段は、前記参照画像と再構成範囲の上限及び下限との表示中に、前記再構成優先位置を設定し、
前記再構成部は、前記再構成範囲内で前記再構成優先位置から再構成を実行し、
前記再構成範囲は、前記回転軸に平行なZ方向の範囲を共通とし、前記回転軸に直交し且つ前記X線管のX線焦点と前記エリア検出器の検出面の中心とを結ぶY軸に平行なY方向の範囲と、前記回転軸と前記Y軸とに直交するX軸に平行なX方向の範囲とが等しい範囲である、X線CT装置。
【請求項11】
コーンビーム形のX線を曝射するX線管と、前記X線管から曝射され、被検体を透過したX線を検出するエリア検出器と、前記X線管と前記エリア検出器とを回転軸回りに回転可能に支持する回転フレームと、メモリとを備えたX線CT装置が実行する撮影制御方法であって、
前記回転フレームの回転を開始することと、
前記回転フレームの回転中における前記回転軸回りの所定位置で、1ビュー乃至複数ビューに相当する時間だけ前記X線が曝射されたときの前記エリア検出器の出力に基づいて、前記被検体の参照画像を生成することと、
前記参照画像に基づいて、前記被検体に対するスキャンの撮影条件を設定することと、
前記設定された撮影条件に基づいて、前記スキャンを制御することと、
前記参照画像の表示中、入力された再構成優先位置の設定指示に基づいて、当該再構成優先位置を設定することと、
前記スキャンにより得られた投影データであって、前記エリア検出器の出力に基づく前記投影データを前記メモリに記憶することと、
前記メモリに記憶された投影データに基づいて、前記再構成優先位置から再構成を実行することと
を具備し、
前記再構成優先位置を設定することは、前記参照画像と再構成範囲の上限及び下限との表示中に、前記再構成優先位置を設定することを含み、
前記再構成を実行することは、前記再構成範囲内で前記再構成優先位置から再構成を実行することを含み、
前記再構成範囲は、前記回転軸に平行なZ方向の範囲を共通とし、前記回転軸に直交し且つ前記X線管のX線焦点と前記エリア検出器の検出面の中心とを結ぶY軸に平行なY方向の範囲と、前記回転軸と前記Y軸とに直交するX軸に平行なX方向の範囲とが等しい範囲である、撮影制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、X線CT(Computed Tomography)装置及び撮影制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、X線CT装置を用いた検査においては、前段のX線照射によるデータ収集で得られた参照画像を用いて後段のCT撮影(スキャン)のスキャン条件を決める組み合わせの例として、スキャンの前に、参照画像としてスキャノグラムと呼ばれる2次元のX線透視像(以下、スキャノ画像という)を位置決め用画像として撮影するスキャノ撮影が行われる。
【0003】
スキャノ撮影は、X線管を有する架台を回転させずに寝台を走行させて行われる。あるいは、スキャノ撮影は、寝台上の被検体に対して正面方向及び側面方向といった複数の方向からX線を照射して行う場合がある。例えば、正面方向のスキャノ撮影は、被検体に正対した0°の位置にX線管を配置し、X線管から被検体にX線を照射すると共に、寝台を走行させて行う。側面方向のスキャノ撮影は、被検体に対して側面(90°)の位置にX線管を配置し、X線管から被検体にX線を照射すると共に、寝台を走行させて行う。複数方向のスキャノ撮影は、正面方向及び側面方向のうちのいずれの方向を先に実行してもよい。
【0004】
このように、一方向又は複数方向のいずれかのスキャノ撮影により、スキャノ画像が撮影される。スキャノ撮影の後、スキャノ画像に基づいて撮影条件を設定し、寝台を走行させ、架台の回転を立ち上げる。しかる後、スキャンによる収集データに基づいて断層像が取得される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-306468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上のようなX線CT装置は、通常は特に問題ないが、本発明者の検討によれば、前段のX線照射によるデータ収集で得られた参照画像を用いて後段のスキャンのスキャン条件を決める組み合わせにおいて、前段のX線照射によるデータ収集に関連して時間がかかる点で改善の余地がある。例えば、スキャノ撮影では、寝台を走行させる必要があるので、寝台の走行距離に応じて時間がかかる。
目的は、寝台を走行させずに参照画像を撮影でき、スキャンまでの準備時間を短縮し得るX線CT装置及び撮影制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態に係るX線CT装置は、X線源、エリア検出器、回転フレーム、生成手段、第1設定手段及び第1制御部を具備する。
【0008】
前記X線管は、コーンビーム形のX線を曝射する。
【0009】
前記エリア検出器は、前記X線管から曝射され、被検体を透過したX線を検出する。
【0010】
前記回転フレームは、前記X線管と前記エリア検出器とを回転軸回りに回転可能に支持する。
【0011】
前記生成手段は、前記回転フレームの回転中における前記回転軸回りの所定位置で前記曝射のオンオフ制御に必要な時間だけ前記X線が曝射されたときの前記エリア検出器の出力に基づいて、前記被検体の参照画像を生成する。
【0012】
前記第1設定手段は、前記参照画像に基づいて、前記被検体に対するスキャンの撮影条件を設定する。
【0013】
前記第1制御部は、前記設定された撮影条件に基づいて、前記スキャンを制御する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成を示す模式図である。
図2図2は、同実施形態における動作を従来動作と比較して説明するためのフローチャートである。
図3図3は、第2の実施形態に係るX線CT装置により取得される投影データを説明するための模式図である。
図4図4は、第3の実施形態に係るX線CT装置の動作を説明するための模式図である。
図5図5は、同実施形態における動作の変形例を説明するための模式図である。
図6図6は、同実施形態における動作の他の変形例を説明するための模式図である。
図7図7は、同実施形態における動作の他の変形例を説明するための模式図である。
図8図8は、第4の実施形態に係るX線CT装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図9図9は、同実施形態における動作を説明するための模式図である。
図10図10は、第5の実施形態に係るX線CT装置の動作を説明するための模式図である。
図11図11は、第6の実施形態に係るX線CT装置の動作を説明するための模式図である。
図12図12は、第7の実施形態に係るX線CT装置の動作を説明するための模式図である。
図13図13は、第8の実施形態に係るX線CT装置の動作を制御するためのテーブル情報の一例を示す模式図である。
図14図14は、第8の実施形態に係る処理回路の構成を示す模式図である。
図15図15は、第8の実施形態に係るX線CT装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図16図16は、第9の実施形態に係る処理回路の構成を示す模式図である。
図17図17は、第9の実施形態に係るX線CT装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、各実施形態について図面を用いて説明する。以下の各実施形態は、被検体を載置した天板が移動する方式のX線CT装置を例に挙げて述べるが、これに限定されない。例えば、各実施形態は、架台が自走する方式のX線CT装置や、立位CT装置、のいずれにも適用可能となっている。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成を示す模式図である。このX線CT装置は、ガントリ100を有する。ガントリ100は、メインフレームを有する。メインフレームは、アルミニウム等の金属により形成されている金属枠である。メインフレームには、中央に開口が形成されている。メインフレームは、縁部において、回転軸(被検体の体軸)周りに回転フレーム102を回転可能に支持している。より詳細には、縁部と回転フレーム102とがベアリングを介して接続される。回転フレーム102は、互いに対向配置されたX線管装置101とX線検出器103とを回転軸回りに回転可能に支持しており、架台駆動部107により駆動されると、回転軸を中心に回転する。なお、本実施形態は、X線管装置とX線検出器との2つのペアを回転フレームに搭載した2管球型のX線CT装置としてもよい。この場合、第1ペアのX線管装置とX線検出器とを結ぶ線と、第2ペアのX線管装置とX線検出器とを結ぶ線とがなす角は、略90度となっている。但し、本実施形態では、主に1管球型のX線CT装置について述べる。スキャンに際してはX線管装置101とX線検出器103との間に寝台装置111の天板に載置された被検体が挿入される。天板は寝台装置111内に装備された図示しない駆動部によりその長手方向に沿って前後に移動可能となっている。
【0016】
X線管装置101は、高電圧発生装置109からスリップリング108を経由して管電圧の印加及びフィラメント電流の供給を受けてX線を発生し、X線の焦点からX線を放射(曝射)する。X線の焦点から放射されたX線は、X線管装置101のX線放射窓に取り付けられた図示しないウェッジ及びスリットを介して、例えばコーンビーム形(角錐形)に整形される。なお、ウェッジは被曝低減用のフィルタであり、スリットはビーム整形用の間隙である。このようなX線管装置101は、コーンビーム形のX線を曝射するX線管を構成している。また、X線の曝射範囲は、点線で示されている。軸Zは、回転フレーム102の回転軸により規定される軸である。Y軸は、軸Zに直交し、且つX線管装置101のX線焦点とX線検出器103の検出面の中心とを結ぶ軸により規定される軸である。X軸は、Y軸と軸Zとに直交する軸により規定される軸である。このようにXYZ直交座標系は、X線管装置101の回転と共に回転する回転座標系を構成する。
【0017】
X線検出器103は、被検体を透過したX線を検出し、入射X線の線量を反映した電気信号を出力する複数のX線検出素子を有する。なお、入射X線を電荷に変換するメカニズムは、間接変換形及び直接変換形といった2つの方式が主流である。間接変換形は、シンチレータ等の蛍光体でX線を光に変換し更にその光をフォトダイオード等の光電変換素子で電荷に変換する方式である。直接変換形は、X線による半導体内の電子正孔対の生成及びその電極への移動すなわち光導電現象を利用した方式である。X線検出素子としては、それらのいずれの方式を採用してもよいが、ここでは、前者の間接変換形として説明する。また、複数のX線検出素子は、回転軸方向に直交するチャンネル方向と回転軸方向に沿った列方向とに格子状に配列されており、例えば320列×912チャンネルの2次元状に配列されている。このようなX線検出器103は、X線管から曝射され、被検体を透過したX線を検出するエリア検出器を構成している。すなわち、本実施形態のX線CT装置は、エリア検出器を用いるADCT(Area detector CT)装置であり、ボリュームスキャンを行うものである。
【0018】
データ収集回路(DAS)104は、X線検出器103のチャンネル毎に、IV変換器、積分器、アンプ及びアナログ・ディジタル・コンバータ(ADC)を備えている。IV変換器は、X線検出器103の各チャンネルの電流信号を電圧に変換する。積分器は、IV変換器から出力された電圧信号をX線の照射周期に同期して周期的に積分する。アンプは、積分器の出力信号を増幅する。ADCは、このアンプの出力信号をディジタル信号変換する。これにより、データ収集回路104は、X線検出器103から出力される信号を収集し、ディジタル信号(純生データ(pure raw data)と呼ばれる)に変換する。また、データ収集回路104は、この純生データを、磁気送受信又は光送受信を用いた非接触データ伝送装置105を経由して前処理回路106に伝送する。前処理回路106は、純生データに対して感度補正、対数変換等の処理をほどこし、投影データを発生する。投影データはメモリ112に記憶される。
【0019】
スキャン制御部110は、設定された撮影条件に従ってスキャンを実行するために、データ収集回路104、架台駆動部107、高電圧発生装置109、寝台装置111などの各動作を制御する。「スキャン」は、後述のパルスX線等、X線照射時間が短時間となるようX線照射のオンとオフを切り替えて投影データを収集した後に、当該投影データに基づいて撮影条件が決められ、実施されるスキャンである。この「スキャン」としては、「非ヘリカルスキャン」であってもよく、「ヘリカルスキャン」であってもよい。本実施形態中では、当該「スキャン」が「非ヘリカルスキャン」である場合を例に挙げて述べる。スキャン制御部110は、具体的には例えば、第1制御機能及び第2制御機能をもっている。なお、スキャン制御部110は、第2制御機能に代えて、第3制御機能を有していてもよい。また、スキャン制御部110は、参照画像の取得のためのデータ収集に際し、スキャンよりも低線量のX線を曝射させる。
【0020】
第1制御機能は、設定された撮影条件に基づいて、スキャンを制御する機能である。この第1制御機能は、例えば、参照画像を生成するためのX線の曝射後からスキャンの開始までの期間、X線の曝射を停止させ且つ回転フレーム102の回転を継続させる制御を有してもよい。なお、「参照画像」は、「透視像」又は「位置決め用画像」と読み替えてもよい。
【0021】
第2制御機能は、参照画像の撮影開始が指示された時点でのX線管装置101の回転軸回りの位置に対し、回転軸回りの頂部にある0度又は底部にある180度の位置のうちの近い方を所定位置としてX線を曝射させるようにX線管装置101を制御する機能である。
【0022】
第3制御機能は、参照画像の撮影開始が指示された時点でのX線管装置101の回転軸回りの位置に対し、回転軸回りの頂部と底部との中央にある90度又は270度の位置のうちの近い方を所定位置としてX線を曝射させるようにX線管装置101を制御する機能である。
【0023】
メモリ112は、投影データ、参照画像データ、ボリュームデータ、断層像のデータといった画像データや、処理回路116に読出実行されるプログラム、処理回路116の処理途中データや処理結果といったデータなどを記憶する。このようなメモリ112は、HDD(Hardware Disk Drive)など電気的情報を記録するメモリ本体と、それらメモリ本体に付随するメモリコントローラやメモリインタフェースなどの周辺回路から構成されている。
【0024】
画像処理回路113は、参照画像の撮影時には、メモリ112に記憶された投影データに基づいて参照画像データを生成する。例えば、X線のオンオフ制御の切れが悪く、X線の曝射を1ビュー単位でオンオフ制御できない場合、オンオフ制御可能な単位の複数ビューの投影データをブレのない範囲で加算することにより、参照画像データを生成する。また、X線の曝射を1ビュー単位でオンオフ制御できる場合には、当該1ビューの投影データを参照画像データとする。このような画像処理回路113は、回転軸回りの所定位置で当該曝射のオンオフ制御に必要な時間だけ当該X線が曝射されたときのX線検出器103の出力に基づいて、被検体の参照画像を生成する生成手段を構成している。この生成手段は、例えば、回転フレーム102の回転中における当該所定位置でX線が曝射されたときのエリア検出器の出力に基づいて、参照画像を生成する。なお、これに限らず、画像処理回路113は、回転フレーム102の回転中における回転軸回りの所定位置で1つの透視像が得られる程度の時間だけ当該X線が曝射されたときのX線検出器103の出力に基づいて、被検体の参照画像を生成する生成手段を構成してもよい。あるいは、画像処理回路113は、回転フレーム102の回転中における回転軸回りの所定位置で、1ビュー乃至複数ビューに相当する時間だけ当該X線が曝射されたときのX線検出器103の出力に基づいて、被検体の参照画像を生成する生成手段を構成してもよい。また、画像処理回路113は、投影データによる透視像に歪みがある場合には、平面への再投影処理により、歪みが補正された透視像を示す参照画像データを生成してもよい。
【0025】
また、画像処理回路113は、スキャンの実行時には、メモリ112に記憶された投影データに基づいてボリュームデータを再構成する。ボリュームデータはメモリ112に記憶される。さらに、画像処理回路113は、被検体の断層像を表示する際には、メモリ112に記憶されたボリュームデータに基づいて、断層像のデータを生成する。断層像のデータは、メモリ112に記憶される。
【0026】
ディスプレイ114は、メモリ112内のデータに基づいて、医用画像などを表示するディスプレイ本体と、ディスプレイ本体に表示用の信号を供給する内部回路、ディスプレイと内部回路とをつなぐコネクタやケーブルなどの周辺回路から構成されている。また、ディスプレイ114は、ガントリ100に設けられてもよい。また、ディスプレイ114は、デスクトップ型でもよいし、メモリ112や処理回路116等と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0027】
入力インタフェース115は、関心領域(ROI)の設定などを行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、及び表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチパネルディスプレイ等によって実現される。入力インタフェース115は処理回路116に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し処理回路116へと出力する。なお、本明細書において入力インタフェース115はマウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路116へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース115の例に含まれる。また、入力インタフェース115は、ガントリ100に設けられてもよい。また、入力インタフェース115は、処理回路116と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。
【0028】
処理回路116は、メモリ112からプログラムを呼び出すことで各機能を実行し、また装置中の各構成要素を統括的に制御するプロセッサである。なお、図1においては単一の処理回路にて各機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能を実現するものとしても構わない。各機能としては、例えば、第1設定機能116a、第2設定機能116b及び調整機能116cがある。但し、第2設定機能116b及び調整機能116cは、任意の付加的事項であり、適宜、省略可能である。
【0029】
第1設定機能116aは、参照画像に基づいて、被検体に対するスキャンの撮影条件を設定する機能である。例えば、第1設定機能116aは、被検体や部位によるX線を吸収する厚さを撮影の制御に反映させるよう、AEC(Auto Exposure Control:自動露出制御)の計算に基づき、管電流等の撮影条件を設定する。ここでいう撮影条件は、例えば、管電流、管電圧、DAS感度(ADCフルスケール、ADC基準電圧、増幅系の増幅度など)である。また、第1設定機能116aは、撮影条件を設定する方法として、自動的な方法及び半自動的な方法のいずれを用いてもよい。自動的な方法の場合、第1設定機能116aは、計算した撮影条件を自動的に設定する。半自動的な方法の場合、第1設定機能116aは、計算した撮影条件をユーザの承認後に設定する。具体的には例えば、第1設定機能116aは、当該計算した撮影条件をディスプレイ114に表示させてユーザの承認を促し、入力インタフェース115から撮影条件の承認指示を受けると、撮影条件を設定するようにしてもよい。いずれにしても、設定された撮影条件は、スキャン制御部110によるスキャンの制御に用いられる。
【0030】
第2設定機能116bは、スキャンの実行前にエリア投光器118を用いて被検体の撮影範囲を設定する機能である。例えば、入力インタフェース115から入力された撮影範囲に応じて投光器制御部117がエリア投光器118を制御し、エリア投光器118が光ビームを走査して撮影範囲を示す枠形状を被検体上に投光する。第2設定機能116bは、入力インタフェース115から撮影範囲の確定指示を受けると、現在の撮影範囲を設定する。
【0031】
調整機能116cは、参照画像を用いてスキャンの撮影範囲を調整する機能である。例えば、調整機能116cは、参照画像の表示中、入力インタフェース115から入力された撮影範囲の上限又は下限に応じて、撮影範囲を調整する。調整後の撮影範囲は、第1設定機能116aにより、AEC計算に用いられる。
【0032】
これに加え、処理回路116は、参照画像に基づいて、再構成条件(再構成位置、再構成範囲、スライス厚、再構成関数)が入力インタフェース115の操作により設定されると、設定された再構成条件、撮影条件及び撮影範囲等に従ってスキャン計画情報を生成する。なお、再構成条件は、スキャンの直前に設定してもよく、スキャン後の再構成の直前に設定してもよい。スキャン計画情報はスキャン制御部110に送出され、スキャン制御部110の制御下でスキャン計画情報に従ってスキャンが実行される。
【0033】
投光器制御部117は、入力インタフェース115から入力された撮影範囲に応じて、エリア投光器118による光ビームの走査を制御する。
【0034】
エリア投光器118は、例えば、発光ダイオードまたはレーザダイオード等の複数の光源と、この各光源から発せられた光ビームを走査する走査部を有し、投光器制御部117の制御に応じて、光ビームを走査して枠形状を被検体上に投光する。
【0035】
なお、前処理回路106、スキャン制御部110、メモリ112、画像処理回路113、ディスプレイ114、入力インタフェース115、処理回路116は、図示しないコンソール装置に設けてもよい。また、コンソール装置は、ガントリ100とは別体の装置であるが、ガントリ100にコンソール装置又はコンソール装置の各構成要素の一部が含まれていてもよい。また、コンソール装置は、単一のコンソールにて複数の機能を実行するものに限らず、複数の機能を別々のコンソールが実行することにして構わない。例えば、前処理回路106の機能と処理回路116の機能とを分散して有しても構わない。
【0036】
次に、以上のように構成されたX線CT装置の動作について図2のフローチャートを用いて説明する。始めに、本実施形態におけるX線CT装置の動作について図2(a)を用いて述べる。しかる後、比較例の動作について図2(b)を用いて述べる。また、「X線管装置101及びX線検出器103の回転」又は「回転フレーム102の回転」を「架台回転」ともいう。
【0037】
[ステップST10]:いま、図2(a)に示すように、X線CT装置では、被検体(患者)の位置が設定され、被検体の撮影範囲が設定される。
【0038】
具体的には例えば、X線管装置101とX線検出器103との間に、寝台装置111の天板に載置された被検体が挿入される。天板は図示しない駆動部によりその長手方向に沿って前後に移動される。これにより、被検体(患者)が撮影位置に設定されると共に、被検体の撮影範囲が設定される。なお、参照画像の撮影前にエリア投光器118を用いて被検体の撮影範囲を設定してもよい。
【0039】
被検体の位置の設定後、寝台装置111の天板は、スキャンの終了まで停止する。
【0040】
[ステップST20]:X線CT装置では、スキャン制御部110の制御により、天板が停止した状態で架台回転を開始し、回転フレーム102の回転中における回転軸回りの所定位置から、X線の照射時間を短時間となるようX線照射のオンとオフを切り替えることで、参照画像を生成するための投影データを収集する。当該投影データの収集方法については、パルスX線の照射等、従来から周知な技術を適用することで実施可能であり、当該投影データの収集方法については限定されるものではない。例えばX線管の陽極と陰極の間に管電圧を印加する際にパルス信号を用いて制御することで、X線の照射時間を短時間となるようX線照射のオンとオフを切り替えることが可能となる。また、例えば、陰極電位に対するグリッド電圧の印加により陰極から陽極へ飛翔する熱電子の量を調整することが可能となるため、これによりX線の照射時間が短時間となるようX線照射のオンとオフを切り替えることが可能となる。
【0041】
具体的には例えば、X線管装置101及びX線検出器103を回転軸回りに回転させる。但し、X線管装置101及びX線検出器103は、被検体に対して所定位置にあれば、回転せずに静止していてもよい。X線は、所定位置にあるX線管装置101から、曝射のオンオフ制御に必要な時間だけ照射される。ここで、曝射のオンオフ制御に必要な時間とは、X線の曝射を1ビュー単位でオンオフ制御できる場合には1ビューのデータを取得するために必要な時間であり、1ビュー単位でオンオフ制御できない場合には2ビュー、3ビューといった複数ビューのデータを用いてもよい。この場合、複数ビューのデータを束ねてスキャノ画像を生成することで、単一ビューに基づくスキャノ画像に比べて画質を上げることができる。そのため、複数ビューのデータを束ねてスキャノ画像を生成する場合は、スキャノ画像としての性能に影響がない程度に、より管電流値を下げて低い被曝線量でのX線照射を行うことも可能となり、患者への更なる被曝低減を図ることが可能となる。また、当該時間は1つのスキャノ画像が得られるために最低限必要なデータ収集時間に相当するものであってもよい。いずれにしても、曝射のオンオフ制御に必要な時間とは、回転フレーム102の1回転に要する時間よりも充分短い時間である。但し、「曝射のオンオフ制御に必要な時間」に限らず、X線は、「1つの透視像が得られる程度の時間」だけ曝射されてもよく、「1ビュー乃至複数ビューに相当する時間」だけ曝射されてもよい。
【0042】
いずれにしても、X線CT装置では、スキャン制御部110の制御により、回転フレーム102における回転軸回りの所定位置で少なくとも1ビューのデータを取得するために必要な時間だけX線管装置101からコーンビーム形のX線が曝射される。このX線は、被検体を通過してX線検出器103に検出される。このときのX線検出器103の出力に基づいて、データ収集回路104が純生データを非接触データ伝送装置105を経由して前処理回路106に伝送する。前処理回路106は、純生データに対して感度補正、対数変換等の処理を施し、投影データを発生する。投影データはメモリ112に収集(記憶)される。
【0043】
しかる後、画像処理回路113は、メモリ112内の投影データに基づいて、被検体の参照画像を生成する。なお、2方向から参照画像を撮影する場合には、回転軸回りの2つの所定位置について、同様にステップST20を実行する。また、スキャン制御部110は、参照画像を生成するためのX線の曝射後からスキャンの開始までの期間、X線の曝射を停止させ且つ回転フレームの回転を継続させるようガントリ100を制御する。この制御は、2方向から参照画像を撮影する場合には、2方向のX線の曝射後からスキャンの開始までの期間、実行する。
【0044】
[ステップST30]:X線CT装置では、この参照画像に基づいて、AEC計算により、被検体の断層像の撮影条件を設定する。
【0045】
具体的には例えば、処理回路116の第1設定機能116aは、被検体や部位によるX線を吸収する厚さを撮影の制御に反映させるよう、AECの計算に基づき、管電流等の撮影条件を設定する。例えば、撮影条件として、管電流、管電圧、DAS感度(ADCフルスケール、ADC基準電圧、増幅系の増幅度など)から1つ以上の値を調節して設定する。
【0046】
なお、このステップST30では、ステップST20で開始されたX線管装置101及びX線検出器103の回転を継続させる。
【0047】
[ステップST40]:X線CT装置では、設定された撮影条件に基づいてスキャンを実行する。このとき、処理回路116は、設定された撮影条件に基づいて、スキャンを制御する。
【0048】
しかる後、本実施形態のスキャンを終了する。
【0049】
次に、比較例の動作について図2(b)を用いて述べる。
[ステップST10_pri]:X線管装置及びX線検出器の回転が停止した状態で、被検体(患者)の位置が設定され、スキャノ撮影の開始位置が設定される。具体的には例えば、X線管装置とX線検出器の間に、寝台装置の天板に載置された被検体が挿入される。天板は図示しない駆動部によりその長手方向に沿って前後に移動される。これにより、被検体(患者)の位置が設定され、スキャノ撮影の開始位置が設定される。このとき、寝台装置の天板は停止している。
【0050】
[ステップST20_pri]:X線CT装置では、天板の移動を開始してスキャノ撮影を開始し、スキャノ画像を生成するための投影データを収集する。具体的には例えば、X線管装置及びX線検出器が被検体に対して所定位置にあり、X線管装置が扇形のX線を曝射している状態で、天板を移動させながらスキャノ画像を撮影する。
【0051】
[ステップST30A_pri]:X線CT装置では、このスキャノ画像に基づいて、AEC計算により、スキャンの撮影条件を設定する。
【0052】
[ステップST30B_pri]:ステップST30A_priの処理に並行して、寝台装置の天板をスキャンの開始位置に移動すると共に、X線管装置及びX線検出器の回転を開始し、架台回転の立上りを待つ。
【0053】
[ステップST40_pri]:X線CT装置では、設定された撮影条件に基づいてスキャンを実行する。具体的には例えば、X線管装置及びX線検出器が被検体の体軸を中心に回転中で且つX線管装置が扇形のX線を曝射している状態で、スキャンを実行する。
【0054】
しかる後、従来の比較例におけるスキャンを終了する。
【0055】
上述したように本実施形態によれば、コーンビーム形のX線を曝射し、被検体を透過したX線を検出し、回転軸回りの所定位置で当該曝射のオンオフ制御に必要な時間だけX線が曝射されたときのエリア検出器(X線検出器103)の出力に基づいて、被検体の参照画像を生成し、参照画像に基づいて、被検体に対するスキャンの撮影条件を設定する。しかる後、設定された撮影条件に基づいて、スキャンを制御する。なお、参照画像の撮影時には、X線源及びエリア検出器は、回転していてもよく、静止していてもよい。また、参照画像を生成するためのX線は、曝射のオンオフ制御に必要な時間に代えて、1つの透視像が得られる程度の時間だけ曝射されてもよく、1ビュー乃至複数ビューに相当する時間だけ曝射されてもよい。
【0056】
いずれにしても、本実施形態では、コーンビーム形のX線を曝射するX線管と、X線を検出するエリア検出器とを用い、所定位置で短時間だけX線管からX線を曝射することにより、参照画像を撮影できる。また、参照画像の撮影時に寝台を走行させないことに加え、回転フレームの回転に伴ってX線管の管球位置が変更されるため、複数方向から個別に撮影する場合にも短時間に撮影できる。更に、参照画像の撮影後にも寝台を走行させないため、スキャンまでの準備時間を短縮することができる。
【0057】
補足すると、ステップST20~ST30の間において、寝台移動及び架台回転立上げのうち、少なくとも寝台移動が不要なため、参照データ収集以降の処理を数秒で完了することができる。また、従来のスキャノ撮影よりもX線の(スライス厚方向の)利用効率が高いため、被ばく低減を期待できる。また、造影剤注入から90秒後に撮影するといったように、造影剤などとのタイミング調整が必要な場合は、AEC計算前やスキャン前に待ち時間や他の処理を割り込ませてもよい。また、参照画像の撮影は、造影剤注入前後のいずれでも実施可能である。
【0058】
一方、従来の動作では、被検体をスキャノ撮影の開始位置に設定した後、寝台を移動させながらスキャノ撮影を行い、撮影開始位置に戻すように寝台を移動し、架台回転を立上げると共にAEC計算を実行した後、スキャンを実行する。このように、従来の動作では、ステップST20_priのスキャノ撮影と、ステップST40_priのスキャンとの間には、寝台移動と架台回転の立上げが必要なため、10秒単位の時間が必要となる。
【0059】
また、本実施形態によれば、参照画像を生成するためのX線の曝射後からスキャンの開始までの期間、X線の曝射を停止させ且つ回転フレームの回転を継続させる場合、不要な被曝を抑えつつ、架台回転を維持してスキャンの開始を待つことができる。
【0060】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係るX線CT装置について図3を用いて説明する。
第2の実施形態は、第1の実施形態の変形例であり、ステップST20の参照画像の生成に関する形態である。具体的には、図3に示すように、X線管装置101から曝射されたコーンビーム形のX線が被検体を通過してX線検出器103に検出される構成において、基本的には、回転フレームの1回転内の1ビューの投影データから参照画像を生成する。すなわち、参照画像を生成するための投影データの収集は、通常、回転フレームの1回転で完了する。参照画像を生成する際に、基本的には1ビューの投影データを用いるが、場合によっては、複数ビューの投影データを用いることも可能である。複数ビューの投影データを用いる場合、例えば架台の回転を停止してX線を曝射する際に、X線管の管電流を抑制する等により、各々のビューに対応するX線の照射線量を抑制している。また例えば、架台回転時に収集した複数ビューの投影データを互いに重ねることにより、参照画像を生成してもよい。すなわち、参照画像は、以下のいずれの場合(a)~(c)で生成してもよい。
【0061】
(a)参照画像は、架台回転の有無によらず、回転軸回りの所定位置で曝射のオンオフ制御に必要な時間だけ曝射したX線に基づく1ビューの投影データから生成してもよい。この場合、投影データは参照画像データとして用いられる。(a)の場合は、第1の実施形態と同様である。
【0062】
(b)架台回転を停止して参照画像を得る場合には、回転軸回りの所定位置で曝射のオンオフ制御に必要な時間だけ曝射したX線に基づく複数ビューの投影データを重ねて参照画像を生成してもよい。上記(b)でいう複数ビューとしては、例えば、2ビュー乃至数10ビューの範囲内で適宜、設定可能である。上記(b)の場合、X線の曝射のオンオフに時間がかかる状況でも、所定位置から移動しないX線管装置101から、低い管電流等でX線の照射線量を抑制した撮影を行うことができる。
【0063】
(c)架台を回転させたまま参照画像を得る場合には、ブレの影響を無視できる範囲で、回転軸回りの所定位置で曝射のオンオフ制御に必要な時間だけ曝射したX線に基づく複数ビューの投影データを重ねて参照画像を生成してもよい。上記(c)でいう複数ビューとしては、X線のオンオフ制御の切れが悪く、X線の曝射を1ビュー単位でオンオフ制御できない場合に、オンオフ制御可能な単位の複数ビューが使用可能となっている。
【0064】
上記(a)~(c)のいずれの場合でもX線照射は、データ収集時間より大きく上回らないようにする。このことは、参照画像を得るためのX線照射を、曝射のオンオフ制御に必要な時間に代えて、1つの透視像が得られる程度の時間だけ行う場合や、1ビュー乃至複数ビューに相当する時間だけ行う場合でも同様である。
【0065】
また、上記(a)~(c)のいずれにしても、入力インタフェース115から入力された管電流等の撮影条件や撮影回数等の情報に応じて、X線CT装置が、前述したステップST20と同様の処理を実行することにより、参照画像を生成する。
【0066】
従って、第2の実施形態によれば、回転軸回りの所定位置で短時間だけ曝射したX線に基づく複数ビューの投影データを重ねて参照画像を生成することにより、第1の実施形態の効果に加え、X線の照射線量の抑制を図ることができる。
【0067】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態に係るX線CT装置について説明する。
第3の実施形態は、第1及び第2の実施形態の幾つかの具体例であり、ステップST20の回転軸回りの所定位置に関する形態である。具体的には、スキャン制御部110が、第2制御機能及び第3制御機能のうちの少なくとも一方を実行する形態に関する。
【0068】
第2制御機能は、参照画像の撮影開始が指示された時点でのX線管装置101の回転軸回りの位置に対し、回転軸回りの頂部にある0度又は底部にある180度の位置のうちの近い方を所定位置としてX線を曝射させるようにX線管装置101を制御する機能である。
【0069】
第3制御機能は、参照画像の撮影開始が指示された時点でのX線管装置101の回転軸回りの位置に対し、回転軸回りの頂部と底部との中央にある90度又は270度の位置のうちの近い方を所定位置としてX線を曝射させるようにX線管装置101を制御する機能である。
【0070】
次に、ステップST20におけるスキャン制御部110の動作について図4乃至図7の模式図を用いて説明する。以下の説明は、被検体が仰向けの場合を例に、架台を回転させたまま参照画像を得る動作などについて述べる。また、以下の説明は、(a)0度又は180度の位置の場合、(b)90度又は270度の位置の場合、(c)上記(a)(b)のいずれの位置でもよい場合、(d)2方向からの撮影の場合、の順に行う。
【0071】
(a)0度又は180度の位置の場合(前後方向の場合)
AECの計算に前後方向から撮影した参照画像を用いる場合、トップ像を用いることが多い。この場合、図4の状態u1に示すように、回転軸回りの頂部にある0度の位置を所定位置として、X線照射を行い参照画像を得ればよい。
【0072】
なお、前後方向から撮影した参照画像を用いる場合、トップ像に限らず、状態u2に示すように、回転軸回りの底部にある180度の位置を所定位置として参照画像(ボトム像)を得てもよい。
【0073】
すなわち、前後方向から撮影した参照画像が指定された場合に、0度又は180度の位置を所定位置として、参照画像を撮影すればよい。
【0074】
実際には、スキャン制御部110は、状態u3に一例を示すように、参照画像の撮影開始が指示された時点でのX線管装置101の回転軸回りの位置P1に対し、回転軸回りの0度又は180度の位置のうちの近い方(180度)を所定位置としてX線を曝射させるようにX線管装置101を制御する。
【0075】
あるいは、スキャン制御部110は、状態u4に他の例を示すように、参照画像の撮影開始が指示された時点でのX線管装置101の回転軸回りの位置P4に対し、回転軸回りの0度又は180度の位置のうちの近い方(0度)を所定位置としてX線を曝射させるようにX線管装置101を制御する。
【0076】
いずれにしても、撮影開始が指示された時点での位置に対し、より近い方を所定位置としてX線を曝射させるので、より早く参照画像を得ることができる。
【0077】
(b)90度又は270度の位置の場合(左右方向の場合)
AECの計算に左右方向から撮影した参照画像を用いる場合、図5の状態u11に示すように、回転軸回りの頂部と底部との中央にある90度の位置を所定位置として、X線照射を行い参照画像を得ればよい。
【0078】
なお、左右方向から撮影した参照画像を用いる場合、状態u12に示すように、回転軸回りの頂部と底部との中央にある270度の位置を所定位置として参照画像を得てもよい。
【0079】
すなわち、左右方向から撮影した参照画像が指定された場合に、90度又は270度の位置を所定位置として、参照画像を撮影すればよい。
【0080】
実際には、スキャン制御部110は、状態u13に一例を示すように、参照画像の撮影開始が指示された時点でのX線管装置101の回転軸回りの位置P1に対し、回転軸回りの90度又は270度の位置のうちの近い方(270度)を所定位置としてX線を曝射させるようにX線管装置101を制御する。
【0081】
あるいは、スキャン制御部110は、状態u14に他の例を示すように、参照画像の撮影開始が指示された時点でのX線管装置101の回転軸回りの位置P3に対し、回転軸回りの90度又は270の位置のうちの近い方(270度)を所定位置としてX線を曝射させるようにX線管装置101を制御する。
【0082】
いずれにしても、撮影開始が指示された時点での位置に対し、近い方を所定位置としてX線を曝射させるので、より早く参照画像を得ることができる。
【0083】
(c)上記(a)(b)のいずれの位置でもよい場合(前後左右方向の場合)
AECの計算に前後又は左右方向のいずれかから撮影した参照画像を用いる場合、図6に示すX線管装置101の回転状態u21から、0度、90度、180度及び270度のうち、近い角度の位置を所定位置として、X線照射を行い参照画像を得ればよい。
【0084】
すなわち、スキャン制御部110は、状態u22に一例を示すように、参照画像の撮影開始が指示された時点でのX線管装置101の回転軸回りの位置P2に対し、回転軸回りの0度、90度、180度及び270度の位置のうちの近い位置(180度)を所定位置としてX線を曝射させるようにX線管装置101を制御する。
【0085】
あるいは、スキャン制御部110は、状態u23に他の例を示すように、参照画像の撮影開始が指示された時点でのX線管装置101の回転軸回りの位置P3に対し、回転軸回りの0度、90度、180度及び270の位置のうちの近い位置(270度)を所定位置としてX線を曝射させるようにX線管装置101を制御する。
【0086】
いずれにしても、撮影開始が指示された時点での位置に対し、近い方を所定位置としてX線を曝射させるので、より早く参照画像を得ることができる。
【0087】
(d)2方向からの撮影の場合(前後及び左右の2方向の場合)
AECの計算に前後方向及び左右方向の各々から撮影した参照画像を用いる場合、図7の状態u31に一例を示すように、0度、90度、180度及び270度のうち、連続した2つの角度の位置を所定位置として、X線照射を行い参照画像を得ればよい。
【0088】
すなわち、スキャン制御部110は、状態u32に一例を示すように、参照画像の撮影開始が指示された時点でのX線管装置101の位置P2に対し、連続した2つの近い角度(180度、270度)の位置を所定位置として順にX線を曝射させるようにX線管装置101を制御する。
【0089】
あるいは、スキャン制御部110は、状態u33に他の例を示すように、参照画像の撮影開始が指示された時点でのX線管装置101の位置P3に対し、連続した2つの近い角度(270度、0度)の位置を所定位置として順にX線を曝射させるようにX線管装置101を制御する。
【0090】
いずれにしても、撮影開始が指示された時点での位置に対し、近い方を所定位置としてX線を曝射させるので、より早く参照画像を得ることができる。なお、90度近い配置の2管球の場合は、連続した2つの近い角度の位置を同時に所定位置として、同時に参照画像を撮影してもよい。
【0091】
上述したように本実施形態によれば、参照画像の撮影開始が指示された時点でのX線管装置101の回転軸回りの位置に対し、回転軸回りの頂部にある0度又は底部にある180度の位置のうちの近い方を所定位置としてX線を曝射させるようにX線管装置101を制御する。また、参照画像の撮影開始が指示された時点でのX線管装置101の回転軸回りの位置に対し、回転軸回りの頂部と底部との中央にある90度又は270度の位置のうちの近い方を所定位置としてX線を曝射させるようにX線管装置101を制御する。
【0092】
従って、第3の実施形態によれば、第1及び第2の実施形態の効果に加え、X線管装置が回転軸回りに回転している場合に、撮影開始が指示された時点での位置に対し、近い方を所定位置としてX線を曝射させるので、より早く参照画像を得ることができる。
【0093】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態に係るX線CT装置について説明する。
第4の実施形態は、第1乃至第3の実施形態の変形例であり、図8に破線で示すように、参照画像を表示し、撮影範囲の確認や調整を行う形態である。具体的には例えば、処理回路116が第2設定機能116bや調整機能116cを適宜、実行する形態である。
【0094】
すなわち、図8(a)に示す場合、ステップST20の終了後、X線CT装置は、所定位置で撮影した参照画像データを撮影範囲確認のために表示する(ST21)。ユーザは、例えば図9(a)に示すように、ディスプレイ114に表示された参照画像により、後段のスキャンの撮影範囲を確認することができる。撮影範囲の確認後、前述同様に、ステップST30~ST40が実行される。
【0095】
一方、図8(b)に示すように、ステップST21の終了後、撮影範囲を調整してもよい(ST22)。この場合、処理回路116の調整機能116cは、例えば図9(b)に示すように、参照画像と撮影範囲の上限L1及び下限L2との表示中に、入力インタフェース115から入力された上限L1又は下限L2に応じて、画像処理回路113により下限L2の表示を移動させながら、撮影範囲を調整する。この例では、被検体の眼球を撮影範囲外にするように、撮影範囲の下限L2が調整されている。調整後の撮影範囲は、第1設定機能116aにより、AEC計算に用いられる。
【0096】
あるいは、処理回路116の第2設定機能116bは、スキャンの実行前にエリア投光器118を用いて被検体の撮影範囲を設定してもよい。例えば、入力インタフェース115から入力された撮影範囲に応じて投光器制御部117がエリア投光器118を制御し、エリア投光器118が光ビームを走査して撮影範囲を示す枠形状を被検体上に投光する。このとき、エリア投光器118で設定した撮影範囲は、操作者による参照画像の確認により、適宜、調整される(ST22)。しかる後、第2設定機能116bは、入力インタフェース115から撮影範囲の確定指示を受けると、現在の撮影範囲を設定する。
【0097】
いずれにしても、調整後の撮影範囲を設定すると、設定後の撮影範囲に基づいてステップST30のAEC計算や、ステップST40のスキャンが実行される。
【0098】
上述したように本実施形態によれば、第1乃至第4の実施形態の効果に加え、参照画像を用いてスキャンの撮影範囲を調整する場合、例えば、操作者による参照画像の確認結果に応じて、X線に対して感受性の高い領域(例、眼球)の被曝を避けることができる。
【0099】
また、スキャンの実行前にエリア投光器118を用いて被検体の撮影範囲を設定する場合、エリア投光器118で設定した撮影範囲を、ディスプレイ114に表示された参照画像と見比べながら調整することができる。
【0100】
<第5の実施形態>
次に、第5の実施形態に係るX線CT装置について説明する。
第5の実施形態は、第1乃至第4の実施形態の変形例であり、図10に示すように、表示された参照画像上で再構成範囲RLや再構成優先位置Prを設定する形態である。
【0101】
これに伴い、画像処理回路113は、前述した構成に加え、参照画像の表示中、入力インタフェース115から入力された再構成範囲RLの上限L1及び下限L2を参照画像に重畳表示する機能と、設定された再構成範囲RLに基づいて再構成を実行する機能とをもっている。
【0102】
同様に、画像処理回路113は、前述した構成に加え、参照画像の表示中、入力インタフェース115から入力された再構成優先位置Prを参照画像に重畳表示する機能と、設定された再構成優先位置Prに基づいて再構成を実行する機能とをもっている。
【0103】
一方、処理回路116は、前述した構成に加え、参照画像の表示中、入力インタフェース115から入力された再構成範囲RLの設定指示に基づいて、当該再構成範囲RLを設定する機能をもっている。
【0104】
同様に、処理回路116は、前述した構成に加え、参照画像の表示中、入力インタフェース115から入力された再構成優先位置Prの設定指示に基づいて、当該再構成優先位置Prを設定する機能をもっている。
【0105】
次に、以上のように構成されたX線CT装置における再構成範囲RL及び再構成優先位置Prの各々の設定動作について説明する。なお、これら再構成範囲RLや再構成優先位置Prの各々の設定動作は、いずれもスキャン前に実行してもよく、スキャン後の再構成の際に実行してもよい。
【0106】
(a)再構成範囲RLの設定の例
図10(a)に示すように、参照画像の表示中、入力インタフェース115から入力された再構成範囲RLの上限L1及び下限L2に応じて、画像処理回路113により上限L1及び下限L2を参照画像に重畳表示する。この状態で、入力インタフェース115から再構成範囲RLの設定指示が入力されると、処理回路116によって再構成範囲RLが設定される。これにより、画像処理回路113は、再構成の際に、再構成範囲RLに基づいて再構成を実行する。
【0107】
(b)再構成優先位置Prの設定の例
再構成優先位置Prは、例えば、出血部位が予想できる場合などに、その予想部位から再構成や表示を行なうために設定される。
【0108】
図10(b)に示すように、参照画像と再構成範囲の上限L1及び下限L2との表示中、入力インタフェース115から入力された再構成優先位置Prに応じて、画像処理回路113により再構成優先位置Prを参照画像に重畳表示する。この状態で、入力インタフェース115から再構成優先位置Prの設定指示が入力されると、処理回路116によって再構成優先位置Prが設定される。これにより、画像処理回路113は、再構成の際に、再構成範囲内で再構成優先位置Prから再構成を実行する。
【0109】
上述したように本実施形態によれば、表示された参照画像上で再構成範囲RLや再構成優先位置Prを設定する構成により、撮影した範囲のうち、必要な再構成範囲のみを再構成に用いることから、不要な再構成処理を省略することができる。また、直ぐに確認したい再構成位置がある場合に、その位置を優先的に再構成することができる。
【0110】
<第6の実施形態>
次に、第6の実施形態に係るX線CT装置について説明する。
第6の実施形態は、第1乃至第5の実施形態の変形例であり、図11に示すように、表示された参照画像上で、共通のZ方向に加えて、XY方向の再構成範囲Rxz,Ryzを設定する形態である。
【0111】
これに伴い、画像処理回路113は、前述した構成に加え、参照画像の表示中、入力インタフェース115から指定された再構成範囲RxzのZ方向及びX方向を参照画像に重畳表示する機能と、設定された再構成範囲Rxzに基づいて再構成を実行する機能とをもっている。画像処理回路113は、再構成範囲Ryz及びそのZ方向とY方向についても同様の機能をもっている。
【0112】
一方、処理回路116は、前述した構成に加え、参照画像の表示中、入力インタフェース115から指定された再構成範囲Rxzの設定指示に基づいて、当該再構成範囲Rxzを設定する機能をもっている。処理回路116は、再構成範囲Ryz及びそのZ方向とY方向についても同様の機能をもっている。
【0113】
次に、以上のように構成されたX線CT装置における再構成範囲Rxz,Ryzの設定動作について説明する。なお、これら再構成範囲Rxz,Ryzの設定動作は、いずれもスキャン前に実行してもよく、スキャン後の再構成の際に実行してもよい。
【0114】
始めに、処理回路116は、例えば図11(a)に示すように、参照画像の表示中に、入力インタフェース115からZ方向に加えてX方向の指定を受けると、当該Z方向及びX方向に基づいて再構成範囲Rxzを設定する。また、処理回路116は、図11(b)に示すように、参照画像の表示中に、入力インタフェース115からZ方向に加えてY方向の指定を受けると、当該Z方向及びY方向に基づいて再構成範囲Ryzを設定する。なお、Z方向の範囲は共通であり、X=Yで連動するものとする。
【0115】
これにより、画像処理回路113は、設定された再構成範囲Rxz,Ryzにて再構成を実行する。図11(c)にアキシャル画像の一例を示し、図11(d)にコロナル画像の一例を示す。
【0116】
上述したように本実施形態によれば、表示された参照画像上で、共通のZ方向に加えて、XY方向の再構成範囲Rxz,Ryzを設定する構成により、第1乃至第5の実施形態の効果に加え、多断面変換表示(MPR:Multi Planar Reconstruction)の断層像を表示することができる。また、撮影した範囲のうち、必要な再構成範囲Rxz,Ryzのみを再構成に用いることから、不要な再構成処理を省略でき、高速な再構成を実現することができる。
【0117】
<第7の実施形態>
次に、第7の実施形態に係るX線CT装置について説明する。
第7の実施形態は、第1乃至第6の実施形態の変形例であり、図12に示すように、参照画像の歪みを補正する形態である。これに伴い、画像処理回路113は、前述した動作に加え、X線検出器103の湾曲した検出面に応じて歪んだ透視像を示す参照画像データを平面に再投影することにより、歪みを除去するように補正する機能をもっている。
【0118】
補足すると、図12に示すように、X線検出器103の検出面103aは、X線管装置101の焦点(X線源F)から各X線検出素子までの距離が一定になるように湾曲している。そのため、X線検出器103の出力に基づく投影データをそのまま使用して被検体の参照画像(透視像)として表示すると歪んだ像となる。
【0119】
この歪みを補正するため、画像処理回路113では、X線検出器103の出力に基づく投影データに対し、X線管装置101とX線検出器103の中心を結ぶX線パスLoに直交する平面Soまたはその平面Soに平行な平面に再投影する処理を施す。ここで、平面Soは、ガントリ100の回転中心Oを通る面であり、Z軸及びX軸を通る面でもある。また、平面Soまたはその平面Soに平行な平面のうち、投影データが再投影された平面を投影面とも呼ぶ。
【0120】
また、画像処理回路113では、投影データを再投影処理して参照画像データを生成し、参照画像データに基づいて、参照画像をディスプレイ114に表示する。
【0121】
以上のような構成によれば、X線検出器103の出力に基づく投影データに対し、X線管装置101とX線検出器103の中心を結ぶX線パスLoに直交する平面Soまたはその平面Soに平行な平面に再投影する処理を施す。
【0122】
これにより、X線検出器103の検出面103aの湾曲に起因した歪みが補正されるので、撮影条件の設定の際に、歪みのない参照画像を使用することができる。
<第8の実施形態>
次に、第8の実施形態に係るX線CT装置について説明する。
第8の実施形態は、第1乃至第7の実施形態の変形例であり、撮影部位や検査目的に応じて、前述した実施形態に係るスキャノ撮影方法と、通常のスキャノ撮影方法とのいずれかを実行する形態である。なお、前述した実施形態に係るスキャノ撮影方法は、例えば図2(a)に示した如き、寝台装置111を移動させずにスキャノ撮影を行う方法であり、以下、第一のスキャノ撮影と呼ぶ。通常のスキャノ撮影方法は、例えば図2(b)に示した如き、寝台装置111を移動させながらスキャノ撮影を行う方法であり、以下、第二のスキャノ撮影と呼ぶ。「検査目的」は、「撮影目的」と呼んでもよい。
これに伴い、メモリ112は、前述した構成に加え、第一のスキャノ撮影と、第二のスキャノ撮影とのいずれかを処理回路116が決定するためのテーブル情報を記憶している。このテーブル情報は、例えば図13に示すように、撮影部位の情報及び検査目的の情報に対し、第一のスキャノ撮影を示す第一の情報と、第二のスキャノ撮影を示す第二の情報とのいずれかを関連付けたテーブル形式の情報である。ここで、第一の情報及び第二の情報としては、例えば、文字列“第一のスキャノ撮影”,“第二のスキャノ撮影”、数値情報“1”,“2”、又は論理値“FALSE”,“TRUE”が適宜、使用可能となっている。なお、論理値“FALSE”は、スキャノ撮影で寝台移動が不要なことを示す。論理値“TRUE”は、スキャノ撮影で寝台移動が必要であることを示す。また、図13中、第一の情報及び第二の情報の例として、数値情報“1”,“2”が用いられている。
また、処理回路116は、図14に示すように、前述した構成に加え、決定機能116dを備えている。決定機能116dは、スキャノ撮影の前に、メモリ112内の患者情報及びテーブル情報に基づいて、第一のスキャノ撮影又は第二のスキャノ撮影を示すスキャノ撮影方法を決定する。決定機能116dは、決定した結果に基づいて、第一のスキャノ撮影又は第二のスキャノ撮影をスキャン制御部110に実行させる。
他の構成は、第1乃至第7の各実施形態と同様である。
次に、以上のように構成されたX線CT装置における動作について図15のフローチャートを用いて説明する。
ステップST1において、処理回路116は、患者情報を取得する。かかる処理は、例えばディスプレイ114に表示された予約検査リストから検査対象の患者の情報を選択する操作入力に応じて、かかる患者の患者情報をメモリ112から作業メモリにロードすることにより行われる。患者情報には、患者ID、患者名、生年月日、年齢、体重、性別、撮影部位、検査目的等の情報が含まれる。
ステップST1の後、ステップST2において、処理回路116は作業メモリにロードされた患者情報から撮影部位の情報と、検査目的の情報とを抽出する。
ステップST2の後、ステップST3において、処理回路116は抽出された撮影部位及び/又は検査目的の情報と、メモリ112内のテーブル情報とに基づいて、スキャノ撮影方法を決定する。
ステップST3の後、ステップST4において、処理回路116は、決定したスキャノ撮影方法が第一のスキャノ撮影であるか否かを判定し、判定結果が第一のスキャノ撮影である場合にはステップST10に移行する。以下、前述同様に、ステップST10~ST40の処理が実行される。
一方、ステップST4の判定の結果、否の場合には、第二のスキャノ撮影を実行するため、ステップST10_priに移行する。以下、前述同様に、ステップST10_pri~ST40_priの処理が実行される。
上述したように第8の実施形態によれば、第1乃至第7の実施形態の効果に加え、撮影部位や検査目的に応じたスキャノ撮影を行うことができる。例えば撮影部位が、手、足、頭又は頸部の場合には、撮影範囲がそれほど広くないため、第一のスキャノ撮影が行われ、前述した通り、スキャノ撮影の時間を短縮することができる。また、スキャノ撮影時に回転フレームを回転させるため、スキャノ撮影と本スキャンの間の回転フレームの回転立ち上げの時間がかからず、一連の検査全体の時間を短縮することができる。一方、例えば撮影部位が胸部又は腹部の場合や、検査目的が動脈の検査の場合(撮影部位が首から腹部までにわたる場合)には、撮影範囲が広いため、寝台装置111の移動が必要な第二のスキャノ撮影が行われる。
なお、どのような撮影部位、どのような検査目的でどのスキャノ撮影方法を用いるかは、X線CT装置の仕様(特にX線検出器103の検出面の大きさ)に依存するため、装置ごとにあらかじめプリセットされる。このため、X線CT装置によっては、上述した例で第二のスキャノ撮影を用いた腹部や胸部に対して、第一のスキャノ撮影を用いる場合もある。
また複数の撮影部位を順にまたは一度に撮影する場合については、全体のスキャン範囲によって第一のスキャノ撮影と第二のスキャノ撮影とのいずれを用いるかが処理回路116により決定される。かかる決定処理を実現するために、例えば、典型的な撮影部位の群と、この群に対応するスキャノ撮影方法とをメモリ112内のテーブルに設定しておくことにより、スキャノ撮影方法を簡便に決定することができる。また例えば、各撮影部位の典型的な大きさの情報に基づいて処理回路116がスキャノ撮影方法を決定する処理手順を定めておくことにより、前述したテーブルを不要としつつ、現実の状況に応じたスキャノ撮影方法を決定することができる。
また、上述した第8の実施形態では、寝台装置111を移動させる第二のスキャノ撮影においてX線管装置101を回転させずに撮影することとしたが、これに限定されない。例えば、X線管装置101の回転中、0度と90度など特定の複数方向からスキャノ撮影を行うこととしてもよいし、あるいはヘリカルスキャンを行うこととしてもよい。かかるスキャノ撮影方法についても、撮影部位や検査目的と関連付けたテーブルにより決定可能とすれば、検査に応じたスキャノ撮影方法を実現しつつ、撮影時間の低減に寄与することができる。
なお、撮影部位や検査目的によって、いずれのスキャノ撮影が用いられるか決められない場合や、典型的な方法が当てはまらない例もありうる。このような状況に対応するため、例えば特定の撮影部位や検査目的については、ステップST3でのスキャノ撮影方法の決定後、操作部を介したユーザ入力によってスキャノ撮影方法を変更できるようにしてもよい。具体的には、処理回路116によりスキャノ撮影を実行する前に決定されたスキャノ撮影方法名をディスプレイ114に表示させるとともに、ユーザによる承認、非承認を受け付けるボタン等を表示させ、当該ボタンに対する操作入力に応じて実際に実行するスキャノ撮影方法を最終的に設定してもよい。これにより、不適切なスキャノ撮影が行われることを未然に防止できる。
また別の例では、特定の撮影部位や検査目的に対しては、該当するスキャノ撮影方法をテーブルに記憶せず、ユーザにスキャノ撮影方法を設定させてもよい。具体的には例えば、ステップST3でユーザに対していずれかのスキャノ撮影を選ぶ操作入力を促すメッセージを処理回路116によりディスプレイ114にウィンドウ表示させることとしてもよい。もちろん、特定の複数の撮影部位が同時に選択されている場合において、当該撮影部位群が上記テーブルに記憶されておらず、ステップST3によるスキャノ撮影の決定処理が行えない場合にも同様に、ユーザにスキャノ撮影方法を設定させてもよい。例えば、処理回路116がスキャノ撮影方法の入力をユーザに促す画面を表示させ、かかる入力に基づいてスキャノ撮影方法を決定するようにしてもよい。これらの場合、テーブルを不要としつつ、第8の実施形態と同様の効果を得ることができる。
上述の例では撮影部位や検査目的とスキャノ撮影方法とをテーブルで直接的に関連付けることとしたが、これに限定されない。例えば、当該スキャノ撮影方法の情報を患者情報に含めておき、患者情報内で撮影部位や検査目的とスキャノ撮影方法とを間接的に関連付けることとしてもよい。この場合、テーブルと、スキャノ撮影方法の入力操作とを不要としつつ、第8の実施形態と同様の効果を得ることができる。
<第9の実施形態>
第9の実施形態は、第1乃至第8の実施形態の変形例であり、寝台装置111を移動させずにスキャノ撮影を行った後、通常のスキャノ撮影(第二のスキャノ撮影)を行う形態である。
補足すると、前述した実施形態において、寝台を動かさないスキャノ撮影により、例えば肝臓などの臓器を撮影した際に、臓器の異常等により肝臓が撮影範囲内に収まらない場合が理論的にあり得る。この場合、第二のスキャノ撮影即ち通常のスキャノ撮影をやり直す処理が必要な状況となる。このような状況に対応するため、処理回路116は、再度のスキャノ撮影を実行可能となっている。
例えば、処理回路116は、図16に示すように、前述した構成に加え、再実行機能116eを備えている。再実行機能116eは、本スキャンの前に、スキャノ撮影で得られた参照画像と、再度のスキャノ撮影に対する実行指示を入力するための実行ボタンとをディスプレイ114に表示させる。また、再実行機能116eは、当該実行ボタンの操作に応じて、再度のスキャノ撮影をスキャン制御部110に実行させる。なお、再度のスキャノ撮影としては、第一のスキャノ撮影及び第二のスキャノ撮影の何れかを示すスキャノ撮影方法が実行ボタンに関連付けて予め設定されている。
他の構成は、第1乃至第8の実施形態と同様である。
次に、以上のように構成されたX線CT装置における動作について図17のフローチャートを用いて説明する。
始めに、前述した通り、ステップST10~ST20が実行され、ステップST20で参照画像が生成されたとする。ステップST20の後、ステップST27~ST29がステップST40の前に実行される。ここで、ステップST27~ST29は、ステップST30の前に実行してもよく、ステップST30の後に実行してもよく、ステップST30に並列に実行してもよい。以下では、ステップST27~ST29をステップST30に並列に実行する場合を例に挙げて述べる。
ステップST20の後、ステップST27において、処理回路116は、参照画像と、再度のスキャノ撮影の実行指示を入力するための実行ボタンとをディスプレイ114に表示させる。ここで、最初のスキャノ撮影として第一のスキャノ撮影が行われた場合には、再度のスキャノ撮影として第二のスキャノ撮影が行われる可能性が高いため、あらかじめ第二のスキャノ撮影がプリセットされる。当該プリセットはもちろんユーザにより設定変更可能である。なお、バックグラウンド処理として、ステップST30が実行される。
ステップST27の後、ステップST28において、処理回路116は、実行ボタンの操作を受け付けたか否かを判定する。ステップST28の判定の結果、実行ボタンの操作を受け付けた場合には、処理回路116は、設定されたスキャノ撮影方法による再度のスキャノ撮影をスキャン制御部110に実行させる。例えば、処理回路116は、設定されたスキャノ撮影方法が第一のスキャノ撮影か否かを判定し(ステップST29)、第一のスキャノ撮影の場合には、ステップST10に戻って、以後の処理を実行する。ステップST29の判定の結果、否の場合(第二のスキャノ撮影の場合)には、ステップST10_priに進んで、以後のステップST10_pri~ST40_priを実行する。
一方、ステップST28の判定の結果、否の場合には、ステップST40に進んで、前述同様にステップST40を実行する。
上述したように第9の実施形態によれば、第1乃至第8の実施形態の効果に加え、スキャノ撮影のやり直しを簡便に実行することができる。
なお、上述の第1乃至第9の実施形態、特に第6の実施形態において、X線CT装置は寝台装置111を移動させずに、低線量のハーフスキャンまたはフルスキャンを行うスキャノ撮影を必要に応じて実行することとしてもよい。
【0123】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、コーンビーム形のX線を曝射し、被検体を透過したX線を検出し、回転軸回りの所定位置で曝射のオンオフ制御に必要な時間だけX線が曝射されたときのエリア検出器(X線検出器103)の出力に基づいて、被検体の参照画像を生成し、参照画像に基づいて、スキャンの撮影条件を設定する。しかる後、設定された撮影条件に基づいて、スキャンを制御する。
【0124】
従って、寝台を走行させずに撮影・再構成条件設定用の参照画像を撮影でき、複数方向から個別に撮影する場合にも短時間に撮影でき、更に、スキャンまでの準備時間を短縮することができる。なお、前述の実施形態に係るX線CT装置は、スキャノ画像の取得に関する例で説明を行ったが、これに限られるものではない。前段のX線照射によるデータ収集で得られた参照画像を用いて後段のスキャンのスキャン条件を決める組み合わせであれば、前段の収集はスキャノ画像に限られるものではなく、他の目的での収集であってもよい。
【0125】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(central processing unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサはメモリに保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリにプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0126】
一実施形態におけるX線管装置101は、特許請求の範囲におけるX線管の一例である。一実施形態におけるX線検出器103は、特許請求の範囲におけるエリア検出器の一例である。一実施形態における回転フレーム102は、特許請求の範囲における回転フレームの一例である。一実施形態における画像処理回路113は、特許請求の範囲における生成手段の一例である。一実施形態における第1設定機能116aは、特許請求の範囲における第1設定手段の一例である。一実施形態におけるスキャン制御部110は、特許請求の範囲における第1制御部、第2制御部及び第3制御部の一例である。一実施形態における第2設定機能116bは、特許請求の範囲における第2設定手段の一例である。一実施形態における調整機能116cは、特許請求の範囲における調整手段の一例である。
【0127】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0128】
100…ガントリ、101…X線管装置、102…回転フレーム、103…X線検出器、104…データ収集回路、105…非接触データ伝送装置、106…前処理回路、107…架台駆動部、108…スリップリング、109…高電圧発生装置、110…スキャン制御部、111…寝台装置、112…メモリ、113…画像処理回路、114…ディスプレイ、115…入力インタフェース、116…処理回路、116a…第1設定機能、116b…第2設定機能、116c…調整機能、116d…決定機能、116e…再実行機能、117…投光器制御部、118…エリア投光器、L1…上限、L2…下限、RL,Rxz,Ryz…再構成範囲、Pr…再構成優先位置、So…平面、Lo…X線パス。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17