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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】潤滑剤計量アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   F16N 29/00 20060101AFI20240930BHJP
   F16C 29/00 20060101ALI20240930BHJP
   F16N 5/02 20060101ALI20240930BHJP
   F16N 7/18 20060101ALI20240930BHJP
   G01N 33/30 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
F16N29/00 E
F16C29/00
F16N5/02
F16N7/18
G01N33/30
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020114036
(22)【出願日】2020-07-01
(65)【公開番号】P2021032410
(43)【公開日】2021-03-01
【審査請求日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】10 2019 212 498.4
(32)【優先日】2019-08-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】515234440
【氏名又は名称】エスカーエフ・ルブリケイション・システムズ・ジャーマニー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン・クロイツケンパー
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン・シュミット
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー・シュミット
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-201348(JP,A)
【文献】特開平04-107400(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第10121361(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16N 1/00-99/00
F16C 29/00-31/06
G01N 33/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑剤の量を計量するための潤滑剤計量アセンブリ(1)であって、前記潤滑剤計量アセンブリ(1)は、
規定量の潤滑剤を計量するよう構成された管状の計量インサート(2)であって、潤滑剤源に流体的に連結可能な入口(6,6’)、および出口(12,12”)を備える計量 インサート(2)と、
前記計量インサート(2)が挿入可能なハウジング(4)と、
を含み、
前記計量インサート(2)の半径方向の前記ハウジング(4)にハウジング出口(16,16’,16”)が形成され、前記規定量の潤滑剤を分配するために前記ハウジング出口(16,16’,16”)が前記計量インサート(2)の前記出口(12,12’)と相互作用し、
前記計量インサート(2)の半径方向における前記計量インサート(2)およびハウジング(4)の間に環状空間(14)が形成されるように、前記ハウジング(4)および/または前記計量インサート(2)が構成され、環状空間(14)が前記潤滑剤計量アセンブリのための分配室を形成し、前記ハウジング出口(16,16’,16”)は、前記環状空間(14)に流体的に接続される
ことを特徴とする、潤滑剤計量アセンブリ(1)。
【請求項2】
前記環状空間の軸方向の延長部(LA)は、少なくとも1つの第1制限要素(18)および1つの第2制限要素(20)によって制限され、前記少なくとも1つの第1および第2制限要素(18,20)は、前記ハウジング(4)および/または前記計量インサート(2)に形成される、請求項に記載の潤滑剤計量アセンブリ(1)。
【請求項3】
少なくとも1つの前記制限要素(18,20)がシール要素である、請求項に記載の潤滑剤計量アセンブリ(1)。
【請求項4】
複数の計量インサート(2a,2b,2c,2d)が前記ハウジング(4)に配置される、請求項1~のいずれか一項に記載の潤滑剤計量アセンブリ(1)。
【請求項5】
前記ハウジング(4)内の前記計量インサート(2)の半径方向および/または軸方向の移動を防ぐよう構成された取付要素(22)が設けられている、請求項1~のいずれか一項に記載の潤滑剤計量アセンブリ(1)。
【請求項6】
潤滑剤供給要素(24)および請求項1~のいずれか一項に記載の潤滑剤計量アセンブリ(1)を含むリニアガイド。
【請求項7】
前記潤滑剤計量アセンブリの前記ハウジングは、前記潤滑剤供給要素(24)によって形成されている、請求項に記載のリニアガイド。
【請求項8】
凹所、特に段付き穴が前記潤滑剤供給要素(24)に設けられ、前記凹所に前記計量インサート(2)が挿入可能であり、前記凹所は、環状空間(14)が前記計量インサート(2)の半径方向における前記計量インサート(2)および前記潤滑剤供給要素(24)の間に形成されるよう構成され、前記環状空間(14)は、前記潤滑剤計量アセンブリ(1)のための分配室を形成する、請求項に記載のリニアガイド。
【請求項9】
1または複数の潤滑剤供給チャネルが前記潤滑剤供給要素(24)に設けられ、潤滑剤供給チャネルは、潤滑剤を前記潤滑剤供給要素(24)の潤滑ポイントにガイドし、前記潤滑剤供給チャネルは、前記環状空間(14)に流体的に接続されている、請求項に記載のリニアガイド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の潤滑剤の量を計量するための潤滑剤計量アセンブリに関する。本発明はさらに、潤滑剤供給要素および潤滑剤計量アセンブリを含むリニアガイドに関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑剤計量装置または潤滑剤分配器は従来技術から知られており、中央潤滑装置の一部としてしばしば使用され、それを介して中央潤滑剤供給源から少なくとも1つの潤滑剤消費機器に潤滑剤が送達される。ここで、潤滑剤計量装置は、通常、潤滑剤源、特に潤滑剤ポンプに接続された潤滑剤入口を含み、潤滑剤源は、潤滑剤を潤滑剤計量装置に順次または連続的に送り出す。さらに、潤滑剤計量装置は通常、潤滑剤を潤滑剤入口から計量ピストンの計量室に導くように設計された制御ピストンを含み、そこから計量室で利用可能な量の潤滑剤が潤滑剤出口に、その後、潤滑剤の消費機器に送られる。この目的のために、潤滑剤計量装置のピストン延長部の軸方向に潤滑剤出口が設けられ、この潤滑剤出口は消費機器に接続できる。
【0003】
しかし、従来技術から知られている潤滑剤計量装置では、潤滑剤出口が潤滑剤計量装置に軸方向に設けられ、それによってこのような潤滑剤計量装置の設置位置が予め決定されることが不利である。したがって、既知の潤滑剤計量装置は特定の場所にのみ設置でき、特に軸方向に多くのスペースを必要とする。したがって、それらは通常、それぞれの消費機器から離れて設けられる。しかし、特に潤滑される可動ガイドキャリッジを含むリニアガイドでは、このような潤滑剤計量装置の遠隔配置は実用的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、消費機器の任意の点、特にリニアガイドで使用可能であり、好ましくは容易に組み込むことができる潤滑剤計量アセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1に記載の潤滑剤の量を計量するための潤滑剤計量アセンブリ、および請求項7に記載のリニアガイドによって達成される。
【0006】
以下では、規定量の潤滑剤を計量するように構成された管状計量インサートを含む潤滑剤計量アセンブリが提案され、計量インサートは、潤滑剤源に流体結合可能な入口と出口とを備える。さらに、潤滑剤計量アセンブリは、計量インサートを挿入できるハウジングを備える。計量インサート自体は、特に計量ピストンを含むことができ、計量ピストンの既定のピストンストロークは、規定量の潤滑剤を計量する。ハウジングはさらに、例えば金属またはプラスチックなどの適切な材料から形成することができる。
【0007】
潤滑剤計量アセンブリの組み立ておよび設置中の可変性を増すために、ハウジング出口が計量インサートの半径方向のハウジングに形成され、ハウジング出口は計量インサートの出口と相互作用して、規定量の潤滑剤を分配する。
【0008】
ハウジング出口はハウジング上の半径方向に形成されているため、ハウジング出口の位置は、必要に応じて設定でき、これまで離れた場所に配置された潤滑剤源の助けを借りてしか潤滑剤を供給できなかった消費機器でも潤滑剤計量アセンブリを装備することができる。特に、ハウジング出口を半径方向に設けることにより、潤滑剤計量アセンブリの軸方向の設置スペース要件を減らすことができる。
【0009】
本発明のさらなる態様が示すように、軸方向の設置スペース要件の減少により、潤滑剤計量アセンブリは、潤滑剤供給要素を含むリニアガイドで使用でき、リニアガイドおよび/またはガイドキャリッジおよび/または潤滑剤供給要素に直接設置できるという利点がある。この点で、潤滑剤計量アセンブリは、リニアガイド用の潤滑剤計量アセンブリとすることができる。
【0010】
ここでは特に、潤滑剤計量アセンブリのハウジングがガイドキャリッジまたは潤滑剤供給要素またはガイドキャリッジの一部または潤滑剤供給要素の一部として直接構成される1つの例示的な実施形態が有利である。軸方向だけでなく、半径方向の設置スペース要件も削減できるため、ガイドキャリッジまたは潤滑剤供給要素への組み込みがさらに容易になる。
【0011】
この目的のために、例えば、計量インサートが挿入可能なガイドキャリッジまたは潤滑剤供給要素に、ボアおよび/または凹部を設けることができる。ハウジング内のすべての設置位置固有および/または潤滑剤供給固有の穴を有利に作成できるため、製造が簡単になる。たとえば、ハウジング出口は、リニアガイドの潤滑剤供給要素に形成された潤滑剤供給チャネルに直接合流できる。
【0012】
これにより、有利には、潤滑剤が、リニアガイドのガイドキャリッジの1つ以上のレースウェイ溝に直接送達されることが有利に達成され得る。軸方向分配を有する潤滑剤計量装置では、対応するボアに十分なスペースを提供するために、ガイドキャリッジの軸方向に長い長さにわたってのみこれが達成される。さらに、直線ではなく複雑なボアを介してのみ可能である。
【0013】
ハウジングおよび/または計量インサートは、好ましくは、計量インサートとハウジングとの間の計量インサートの半径方向において環状空間が残るように構成することができ、環状空間は、分配室として構成され、ハウジング出口は、分配室、すなわち環状空間に流体的に接続される。環状空間には、ハウジング出口を流体的に出口に接続するために、ハウジング出口が環状空間に開口するだけでよいという利点がある。その結果、ハウジング出口は、環状空間の軸方向および/または半径方向のポイントに沿った任意の位置に配置できる。
【0014】
ハウジング出口は、任意の位置で計量インサートの円周方向に設けることができ、ハウジング出口に対応するように方向付ける必要はない。つまり、それぞれの潤滑状況に対応する方法でハウジング出口をハウジングに設けることができ、その後、計量要素の正しい位置や角度の向きを調整する必要なく、計量インサートをハウジングに挿入することができる。
【0015】
さらに、ハウジングにハウジング出口を形成することにより、計量インサートを回転対称に構成することが可能になり、例えば、欠陥の場合に、計量インサートを必要に応じて交換することができる。つまり、計量インサートはそれぞれ同じように大量に製造でき、ハウジングに簡単に挿入でき、すべての位置と方向に重要な要素は、ハウジングに提供される。
【0016】
さらに、計量インサートは、その長手方向軸を中心とした回転とは無関係にハウジングに挿入できる。もちろん、1つの計量インサートに複数のハウジング出口を設けることもできる。
【0017】
環状空間を含む設計は、特にリニアガイドの潤滑剤供給要素への挿入に有利であり、これは、計量インサートが特定の向きに関わらずボアに挿入でき、潤滑剤が任意に配置されたチャネルに供給されるためである。環状空間を形成するために、ハウジングのボアは、有利に段付きボアとして構成できる。段付きボアは製造が簡単で、同時に計量インサートの軸方向の位置固定を可能にする。
【0018】
代替的または追加的に、環状空間または環状空間自体の軸方向の延長部は、第1および第2の制限要素によって制限され、第1および第2の制限要素は、ハウジングおよび/または計量インサート上に形成される。これにより、分配室からの潤滑剤の望ましくない損失を防ぐことができる。例えば、第1および第2の制限要素は、特に段付きボア内の突起であり、ハウジングおよび/または計量インサートに形成される。さらに、第1および第2の制限要素は、分配室を流体的に密閉するのに適している。
【0019】
さらなる例示的な実施形態によれば、制限要素の少なくとも1つは、シール要素である。シール要素は、例えば、計量インサートの周囲に配置されたOリングとすることができる。シール要素は、計量インサートおよび/またはハウジングの溝および/またはレセプタクルに設けることができる。このような溝またはレセプタクルは、計量インサートをハウジングに挿入する際のシール要素の位置固定にも役立つ。
【0020】
さらに好ましい例示的実施形態によれば、複数の計量インサートがハウジング内に配置される。ここでは、各計量インサートのハウジングに1つ以上のハウジング出口を形成でき、1つまたは複数のハウジング出口は、それぞれの量の潤滑剤を分配するためにそれぞれの出口と相互作用する。これには、ガイドキャリッジでの使用例により、潤滑剤計量アセンブリが、ガイドキャリッジの各レースウェイ溝に個別に調整可能な量の潤滑剤を供給することができるという利点がある。したがって、ガイドキャリッジの各レースウェイ溝に計量要素を設けることが好ましい。ここでは、複数の計量インサートのそれぞれを、異なる量の潤滑剤を分配するように構成できる。
【0021】
さらに、潤滑剤供給アセンブリのそれぞれのハウジング出口が、リニアガイドのガイドキャリッジの1つ以上のレースウェイ溝のための1つ以上の潤滑剤供給チャネルに接続されることが有利である。あるいは、複数のハウジング出口を単一の計量インサートに関連付けることもできる。計量要素は、それにより、潤滑剤を複数の潤滑剤供給チャネルに分配することができる。利用可能な設置スペースに応じて、複数の計量インサート自体を互いに隣接して配置したり、上下にずらしたり、オフセットして配置したりできる。
【0022】
複数の計量インサートは、好ましくは、共通の潤滑剤源、特に潤滑剤主ラインに流体的に結合可能である。これには、潤滑剤供給用の接続を1つだけ潤滑剤計量アセンブリに設けるだけでよいという利点があり、これにより、潤滑剤計量アセンブリをよりコンパクトに設計できる。
【0023】
さらなる例示的な実施形態によれば、計量インサートの入口は、計量インサートの半径方向および/または軸方向に配置される。これにより、一方では計量インサートの取り付け位置の柔軟性が向上し、他方では潤滑剤計量アセンブリのよりコンパクトな設計が可能になる。
【0024】
さらに、ハウジング内の計量インサートの半径方向および/または軸方向の動きを防止するように構成された取付要素を設けることができる。計量インサートの望ましくない動きを防ぐことができ、これにより、特にリニアガイドの動的に移動可能なガイドキャリッジでの潤滑剤計量アセンブリの使用が可能になる。取付要素は、例えば、溝に受け入れられる弾性変形可能なクランプリングとすることができる。取付要素は、ねじなどにすることもできる。代替的または追加的に、シール要素は、摩擦接続を介して軸方向に取り付けを提供することができる。
【0025】
計量インサートの軸方向の長さは、好ましくは50mm未満、より好ましくは40mm未満である。このような寸法により、潤滑剤計量アセンブリを、ガイドキャリッジまたはリニアガイドの潤滑剤供給要素に簡単に取り付けたり、組み込んだりできる。
【0026】
さらなる例示的な実施形態によれば、計量インサートは、計量インサートを制御および監視するように構成された制御デバイスに結合可能である。たとえば、制御装置は、計量インサートに供給された、および/または計量インサートから分配された潤滑剤の量を監視するように構成された対応するセンサーに接続できる。これにより、計量インサートを的確に制御および調整することができる。特に、制御および/または監視は、制御ラインおよび/または無線信号伝送を介して行うことができる。無線信号伝送には、ガイドキャリッジの中や上に制御ラインを敷設する必要がないため、必要なスペースをさらに削減できるという利点もある。
【0027】
さらなる利点および有利な実施形態は、説明、図面、および特許請求の範囲に明記されている。ここでは特に、説明と図面で指定された機能の組み合わせは純粋に例示的なものであり、機能は個別に、または他の方法で組み合わせることができる。
【0028】
以下では、本発明は、図面に描かれた例示的な実施形態を使用してより詳細に説明される。ここで、例示的な実施形態および例示的な実施形態に示される組み合わせは、純粋に例示的なものであり、本発明の範囲を定義することを意図していない。本発明の範囲は係属中の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】一実施形態による潤滑剤計量アセンブリの断面図を示す。
図2】さらなる実施形態による潤滑剤計量アセンブリを含むリニアガイドの潤滑剤供給要素の一部を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下では、同一または機能的に同等の要素は、同じ参照番号で示されている。
【0031】
図1は、例えば、リニアガイド(図示せず)の潤滑剤の量を計量するように構成された潤滑剤計量アセンブリ1の断面図を示す。潤滑剤計量アセンブリ1は、計量インサート2と、例えば金属やプラスチックなどの適切な材料から形成できるハウジング4を備える。ここでは、計量インサート2がハウジング4のボアまたは凹部に挿入されている。図示のように、ボアは、例えば、計量インサート2を押し込むことができる段付きボアとすることができる。
【0032】
計量インサート2は、管状形状を有し、規定量の潤滑剤を計量するように構成される。さらに、計量インサート2の軸方向長さLは、50mm未満にすることができる。さらに、計量インサートは、例えばピンチバルブなどのシール要素8を介して潤滑剤源(図示せず)に流体的に結合可能な入口6を備える。図1に示すように、計量インサート2の入口6は、計量インサート2の軸方向7に配置できる。別の方法として、入口6’(破線で表示)を計量インサートの半径方向9に配置したり、斜めに延長したりすることもできる。
【0033】
計量インサート2は、計量ピストン10をさらに含み、計量ピストン10の定められたピストンストロークは、規定量の潤滑剤を計量し、計量インサート2の少なくとも1つの出口12、12’に供給する。出口12、12’は、環状空間14に流体接続され、環状空間は、計量インサート2がハウジング4に挿入された場合に、ハウジング4とともに計量要素用の分配室を形成する。次に、計量された潤滑剤を、環状空間14から、ハウジング4に形成されたハウジング出口16を介して、計量インサート2の半径方向に送出することができる。示されているように、環状空間により、出口を半径方向の任意の点に配置することが可能であり、これにより、潤滑剤計量アセンブリ1の設置スペース要件が大幅に削減される。これにより、潤滑剤供給要素の全長Lが50mm未満の寸法が可能になる。
【0034】
分配室は、環状空間14の形状に形成されているため、潤滑剤は環状空間14全体に広がることができ、ハウジング4に設けられた半径方向ハウジング出口16は、シンプルな方法で計量インサート2の出口12、12’に流体的に接続することができる。それにより、他の場所でハウジング4にハウジング出口16を設けることも可能である。例えば、ハウジング出口16’または16”(破線で示される)は、任意の所望の位置で計量インサート2の周囲に円周方向に設けることができる。ハウジング4にハウジング出口16を形成することにより、例えば、欠陥の場合に、計量インサート2を簡単に交換することができる。計量インサート2をその長手方向軸を中心とした回転に対して位置合わせする必要がないため、たとえば、組み立て補助具を省略でき、これにより、計量インサート2の取り付けが簡素化される。もちろん、計量インサート2に単一のハウジング出口16を設けるだけでなく、計量インサート2が、例えば、複数の潤滑剤供給チャネルを供給することができるように、計量インサート2に複数のハウジング出口16、16’、16”を並列に設けることも可能である。
【0035】
環状空間14の流体空間をその軸方向の延長部Lで制限し、潤滑剤の損失を防ぐために、図示の例示的な実施形態では、第1および第2の制限要素がシールリング18、20の形態で提供される。シールリング18、20は、計量インサート2に形成されているが、追加または代替として、ハウジング4に設けることもできる。もちろん、第1および第2の制限要素は、ハウジング4または計量インサート2に形成された突起などによって実現することもできる。計量インサート2の挿入を容易にするために、挿入中にシール要素18,20を移動させないように、シール要素18、20を溝に固定したり、接着剤などの他の手段でシール要素18、20を固定したりすることができる。計量インサート2が、たとえば段付きボアに挿入されている場合、挿入中にシール要素18、20が移動するのを防ぐことができる。
【0036】
計量インサート2の動きを防ぐために、例えば、潤滑剤計量アセンブリがリニアガイドのガイドキャリッジに取り付けられる場合に、ハウジング4内の計量インサート2の動きを軸方向に防ぐ取付要素22が設けられる。加えて、または代替として、ハウジング4内の計量インサート2の移動を半径方向に防止する取付要素22を設けることもできる。取付要素22は、例えば、締付リング、ねじなどとすることができる。シール要素18、20は、摩擦接続を介して軸方向および半径方向の取り付けを提供することもできる。
【0037】
図2は、さらなる実施形態による潤滑剤計量アセンブリを含むリニアガイド(図示せず)の潤滑剤供給要素24の一部を示す。ここでは、潤滑剤供給要素24の本体がハウジング4を形成し、その中に4つの計量インサート2a、2b、2c、2dが挿入され、図示の例示的な実施形態に組み込まれている。あるいは、計量インサート2a、2b、2c、2dを別のハウジングに挿入して、潤滑剤供給要素24に取り付けることもできる。計量インサート2a、2b、2c、2dを潤滑剤供給要素に固定するために、締付リングの形の取付要素22が各計量インサート2a、2b、2c、2dに設けられる。さらに、または代替として、計量インサート2a、2b、2c、2dはまた、シール要素18、20を介して固定され得る。
【0038】
さらに、1つまたは複数のハウジング出口(図示せず)が、複数の計量インサートのそれぞれの潤滑剤供給要素24にそれぞれ形成される。1つまたは複数のハウジング出口は、環状空間14を介して計量インサート2a、2b、2c、2dのそれぞれの出口と相互作用して、それぞれの量の潤滑剤を分配する。ここで、それぞれのハウジング出口は、潤滑剤供給要素24の1つ以上のレースウェイ溝26、28、30、32の1つ以上の潤滑剤供給チャネル(図示せず)に接続されるか、チャネルとして構成される。
【0039】
図2にさらに示されるように、複数の計量インサート2a、2b、2c、2dは、互いに隣接して、および/またはわずかにオフセットして配置することができる。代替的または追加的に、複数の計量インサートを上下にまたは平面に配置することができる。計量インサートの配置は、利用可能なスペース、および/またはハウジング出口16、16’、16”、および/または潤滑剤供給チャネルの位置と配置に基づいて選択することができる。
【0040】
計量インサート2a、2b、2c、2dのそれぞれの入口に潤滑剤を供給するために、複数の計量インサート2a、2b、2c、2dは、例えば潤滑剤リザーバなどの共通の潤滑剤源に流体的に結合されている。あるいは、共通の潤滑剤主ライン34を設けることもできる。さらに、それぞれの計量インサート2a、2b、2c、2dを制御デバイス38に接続する制御および/または監視ライン36を設けることもでき、制御デバイス38は、それぞれの計量インサート2a、2b、2c、2dを制御および/または監視するための信号を送信するように構成されている。代替的または追加的に、信号伝送をワイヤレスで行うこともでき、これによって、必要な設置スペースがさらに削減される。
【0041】
要約すると、設置可能性に関して高い可変性を有する潤滑剤計量アセンブリ1が提供される。この可変性は、設置スペースをほとんど必要としない、潤滑剤用の半径方向ハウジング出口とハウジング入口が提供されることによって達成される。特に有利には、環状空間14がハウジング4と計量インサート2との間に形成され、環状空間14は、ハウジング4に形成されたハウジング出口16、16’、16”と相互作用する。計量インサート2の出口12、12’とハウジングの出口16、16’、16”を互いに位置合わせする必要がなくなるため、可変性をさらに増すことができる。組み立てやメンテナンスも簡単にすることができる。
【0042】
記載されているように、潤滑剤計量アセンブリは、本発明の利点が特に関連しているため、リニアガイドで特に有利に使用することができる。しかし、本発明の利点は他の用途にも有利であり、そのため、潤滑剤計量アセンブリは、例えば、ベアリングハウジングなどの潤滑ポイントへの直接取り付けに適している。さらに、潤滑剤計量アセンブリは、電気モーターのハウジングへの直接取り付け、および自動化、取り扱い、運搬技術の分野での使用に適している。特に後者の用途では、設置スペースが小さく、軽量であることが非常に重要である。さらなる用途は、工作機械の分野、たとえば駆動ピンドル、射出成形機、たとえば工具のレバークランプの分野、および一般にすべての動的用途、たとえばツールテーブル、ハンドリングシステム、自動化システムが挙げられる。言及されている用途は、単なる例として理解されるべきであり、さらに多くの使用の可能性が見出される。
【符号の説明】
【0043】
潤滑剤計量アセンブリ
2、2a、2b、2c、2d 計量インサート
4 ハウジング
6、6’ 入口
7 軸方向
8 シール要素
9 半径方向
10 計量ピストン
12、12’ 出口
14 環状空間(分配室)
16、16’、16” ハウジング出口
18、20 シール要素
22 取付要素
24 潤滑剤供給要素
26、28、30、32 レースウェイ溝
34 潤滑剤主ライン
36 制御ライン
38 制御装置
LA 環状空間の軸方向の伸び
L 計量インサートの全長
図1
図2