IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッドの特許一覧

特許7562315単一軸センサ及び環状電極を備える複合カテーテル並びに関連する方法
<>
  • 特許-単一軸センサ及び環状電極を備える複合カテーテル並びに関連する方法 図1
  • 特許-単一軸センサ及び環状電極を備える複合カテーテル並びに関連する方法 図2
  • 特許-単一軸センサ及び環状電極を備える複合カテーテル並びに関連する方法 図3
  • 特許-単一軸センサ及び環状電極を備える複合カテーテル並びに関連する方法 図4
  • 特許-単一軸センサ及び環状電極を備える複合カテーテル並びに関連する方法 図5A
  • 特許-単一軸センサ及び環状電極を備える複合カテーテル並びに関連する方法 図5B
  • 特許-単一軸センサ及び環状電極を備える複合カテーテル並びに関連する方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】単一軸センサ及び環状電極を備える複合カテーテル並びに関連する方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/25 20210101AFI20240930BHJP
   A61B 18/14 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
A61B5/25
A61B18/14
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020114733
(22)【出願日】2020-07-02
(65)【公開番号】P2021010732
(43)【公開日】2021-02-04
【審査請求日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】16/503,352
(32)【優先日】2019-07-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】デビー・エスター・ハイスミス
(72)【発明者】
【氏名】モハメド・アリ・ピンジャラ
【審査官】牧尾 尚能
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-139502(JP,A)
【文献】特表2008-508064(JP,A)
【文献】特開2015-100706(JP,A)
【文献】特表2017-506986(JP,A)
【文献】特開2013-013726(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0006238(US,A1)
【文献】米国特許第8792962(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2012/0172703(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05 - 5/0538
A61B 5/24 - 5/398
A61F 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気生理学的カテーテルであって、
前記電気生理学的カテーテルの長手方向軸線を画定する、形状記憶性を有する細長い支持部材であって、前記細長い支持部材は、前記長手方向軸線に対して概ね横断する略円形部分で構成されている遠位部分を含む、細長い支持部材と、
前記略円形部分上に位置する単軸センサと、
前記細長い支持部材が通って延びる内腔を取り囲む側壁を含む細長い外側導管であって、前記細長い外側導管は、前記側壁に埋め込まれた導電性ワイヤと、前記側壁の外側表面上の環状電極と、を含む、細長い外側導管と、を備える、電気生理学的カテーテル。
【請求項2】
前記細長い支持部材は、ニチノールワイヤを含む、請求項1に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項3】
前記略円形部分は、管状領域内の組織と周方向に接触するように構成されている、請求項1に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項4】
前記細長い支持部材は、前記略円形部分の近位に、肺静脈の小孔と接触するための第2のカテーテルのバルーンを支持するように構成されている線形部分を含む、請求項1に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項5】
前記細長い支持部材は、前記略円形部分の近位に略線形部分を含み、前記略円形部分が肺静脈内の組織と周方向に接触する一方で、前記略線形部分は、前記肺静脈の小孔と接触するための第2のカテーテルのバルーンを支持するように構成されている、請求項1に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項6】
前記細長い外側導管上の前記環状電極は、前記埋め込まれた導電性ワイヤとの導電性接点を含む、請求項1に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項7】
前記細長い外側導管は、凹部を含み、前記凹部内で、前記環状電極は、前記導電性ワイヤとの導電性接点を含む、請求項1に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項8】
電気生理学的カテーテルであって、
前記電気生理学的カテーテルの長手方向軸線を画定する、形状記憶性を有する細長い支持部材であって、前記細長い支持部材は、複数の単軸センサを有する遠位部分を含む、細長い支持部材と、
前記細長い支持部材が通って延びる内腔を取り囲む側壁を含む細長い外側導管であって、前記細長い外側導管は、前記側壁内に埋め込まれた導電性ワイヤと、前記側壁の外側表面上の環状電極と、を含み、それぞれの環状電極は、それぞれ対応する導電性ワイヤと導電接触している、細長い外側導管と、を備える、電気生理学的カテーテル。
【請求項9】
前記遠位部分は、前記長手方向軸線に対して横断する略円形部分を含む、請求項8に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項10】
前記細長い支持部材は、ニチノールワイヤを含む、請求項8に記載の電気生理学的カテーテル。
【請求項11】
カテーテルの構築方法であって、
形状記憶性及び第1の長さを有する細長い支持部材を提供することであって、前記細長い支持部材は、前記カテーテルの長手方向軸線を画定し、前記細長い支持部材は、単軸センサを含む、ことと、
第2の長さを有する細長い外側導管を提供することであって、前記細長い外側導管は、前記細長い支持部材が通って延びる内腔を取り囲む側壁を含み、前記細長い外側導管は、前記側壁内に埋め込まれた導電性ワイヤと、前記側壁の外側表面上の環状電極と、を含む、ことと、
前記細長い支持部材を、前記細長い外側導管の前記内腔へ挿通することと、を含む、方法。
【請求項12】
前記細長い支持部材の遠位部分が、前記単軸センサを有し、前記遠位部分は、前記長手方向軸線に対して横断する略円形部分を含み、
前記細長い支持部材を前記提供することは、前記略円形部分上の位置においてワイヤコイルとして前記単軸センサを形成することと、前記ワイヤコイルに接続されたワイヤを、前記位置の近位の前記略円形部分の周りに巻き付けることと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記細長い支持部材を前記提供することは、前記ワイヤを、前記細長い支持部材の前記略円形部分の近位のエルボ部分に固着する前に、前記ワイヤコイルに接続された前記ワイヤをフレア状に広げることを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ワイヤは、前記エルボ部分の内側表面に固着されている、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記細長い外側導管を前記提供することは、前記側壁内に編組みされた前記導電性ワイヤを有する前記側壁を押出成形することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記細長い外側導管を前記提供することは、前記側壁の一部分を除去して、前記導電性ワイヤを露出させることと、前記細長い外側導管上に、露出した前記導電性ワイヤと導電接触する前記環状電極を形成することと、を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
導電性エポキシ樹脂を塗布することは、前記細長い外側導管の外側表面上のバンド領域に前記導電性エポキシ樹脂を塗布して、前記環状電極を形成することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記細長い支持部材の遠位部分が、前記単軸センサを有し、前記遠位部分は、前記長手方向軸線に対して横断する略円形部分を含み、
前記略円形部分は、少なくとも360度にわたる長さを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記細長い支持部材の遠位部分が、前記単軸センサを有し、前記遠位部分は、前記長手方向軸線に対して横断する略円形部分を含み、
前記略円形部分は、約450度にわたる長さを有する、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記細長い支持部材の遠位部分が、前記単軸センサを有し、前記遠位部分は、前記長手方向軸線に対して横断する略円形部分を含み、
前記略円形部分の中心は、前記長手方向軸線からオフセットされている、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテル、特に、位置センサ及び電気センサを備える電気生理学的カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
電極カテーテルは、長年にわたり医療現場で一般的に使用されている。電極カテーテルは心臓内の電気的活動を刺激及びマッピングし、異常な電気的活動が見られる部位をアブレーションするために用いられる。心房細動は、一般的な持続性心不整脈であり、脳卒中の主な原因である。この病状は、異常な心房組織基質内で伝播するリエントリーウェーブレットによって永続化される。ウェーブレットを遮断するために、様々な方法が開発されており、外科的又はカテーテル媒介心房切開が含まれる。病状を治療する前に、まず、ウェーブレットの位置を判定しなければならない。そのような判定を行うために、様々な技術が提案されており、構造の内周周囲の肺静脈、環状静脈洞、又は他の管状構造内の活性を測定するように適合されたマッピングアセンブリを備えるカテーテルの使用が含まれる。そのようなマッピングアセンブリの1つは、カテーテル本体に対して概ね横断し、かつ遠位の概ね円形の主要領域を備える遠位「ラッソー」構造を有し、管状構造体は、マッピングアセンブリの少なくとも主要領域にわたって非導電性カバーを備える。形状記憶性を含む支持部材は、マッピングアセンブリの少なくとも円形主要領域内に配置される。それぞれ2つの環状電極を含む、複数の電極対は、マッピングアセンブリの略円形の主要領域によって担持される。
【0003】
近年、バルーンカテーテルは、肺静脈孔をアブレーションするために使用されてきた。その外側表面上に電極を有するバルーンを左心房内に前進させて、左心房においてバルーンを膨張させ、小孔の周囲の同時周辺組織接触のために小孔内に入れ子状に重なるように位置付ける。しかしながら、バルーン及び小孔のサイズに応じて、バルーンは、アブレーション処置中に小孔から除去することができる。
【0004】
カテーテル、特に、環状電極及び位置センサなどの感知構成要素を備えるカテーテルを組み立てる従来の方法は、労働集約的であり得る。更に、このような構成要素は、多くの場合、組立時に損傷しやすく、かつ破損しやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
出願人らは、ガイドワイヤとして機能し、小孔内で入れ子状に重なるバルーンを支持することができる遠位「ラッソー」アセンブリを備えるカテーテルを提供すると同時に、小孔の管状領域の組織から電気信号を感知し、3Dマッピングのための位置信号を提供することもまたできることを認識した。出願人らは、構築するための方法又はアセンブリ、容易に組み立てることができる複合構成要素を提供するカテーテルもまた必要とされていることを認識した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの実施形態では、電気生理学的カテーテルは、カテーテルの長手方向軸線を画定する、形状記憶性を有する細長い支持部材であって、支持部材は、長手方向軸線に対して概ね横断する略円形部分で構成されている遠位部分を含む、細長い支持部材と、略円形部分上に位置する単軸センサと、支持部材と概ね同一の広がりを有する細長い外側導管であって、導管は、支持部材が通って延びる内腔を取り囲む側壁を含み、導管は、側壁内に埋め込まれた導電性ワイヤと、側壁の外側表面上の環状電極と、を含む、細長い外側導管と、を備える。
【0007】
いくつかの実施形態では、細長い支持部材は、ニチノールワイヤを含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、略円形部分は、管状領域内の組織と周方向に接触するように構成されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、支持部材は、略円形部分の近位に、肺静脈の小孔と接触するための第2のカテーテルのバルーンを支持するように構成されている線形部分を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、支持部材は、略円形部分の近位に略線形部分を含み、略円形部分が肺静脈内の組織と周方向に接触する一方で、略線形部分は、肺静脈の小孔と接触するための第2のカテーテルのバルーンを支持するように構成されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、外側導管上の環状電極は、埋め込まれた導電性ワイヤとの導電性接点を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、外側導管は、凹部を含み、凹部内で、環状電極は、導電性ワイヤとの導電性接点を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、電気生理学的カテーテルは、カテーテルの長手方向軸線を画定する、形状記憶性を有する細長い支持部材であって、支持部材は、複数の単軸センサを有する遠位部分を含む、細長い支持部材と、細長い支持部材と概ね同一の広がりを有する細長い外側導管であって、導管は、支持部材が通って延びる内腔を取り囲む側壁を含み、導管は、側壁内に埋め込まれた導電性ワイヤ及び側壁の外側表面上の環状電極を含み、それぞれの環状電極は、それぞれ対応する導電性ワイヤと導電接触している、細長い外側導管と、を備える。
【0014】
いくつかの実施形態では、遠位部分は、長手方向軸線に対して横断する略円形部分を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、細長い支持部材は、ニチノールワイヤを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、カテーテルの構築方法は、形状記憶性及び第1の長さを有する細長い支持部材を提供することであって、細長い支持部材は、カテーテルの長手方向軸線を画定し、支持部材は、単軸センサを含む、ことと、第1の長さと同一の広がりを有する第2の長さを有する細長い外側導管を提供することであって、導管は、支持部材が通って延びる内腔を取り囲む側壁を含み、導管は、側壁内に埋め込まれた導電性ワイヤと、側壁の外側表面上の環状電極と、を含む、ことと、細長い支持部材を外側導管の内腔へ挿通することと、を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、カテーテルの構築方法は、第1の複合構成要素として形状記憶性及び第1の長さを有する細長い支持部材を提供することであって、細長い支持部材は、カテーテルの長手方向軸線を画定し、支持部材は、長手方向軸線に対して概ね横断する略円形部分で構成された遠位部分を含み、略円形部分は、単軸センサを含む、ことと、第2の複合構成要素として第1の長さと同一の広がりを有する第2の長さを有する細長い外側導管を提供することであって、導管は、支持部材が通って延びる内腔を取り囲む側壁を含み、導管は、側壁に埋め込まれた導電性ワイヤと、側壁の外側表面上の環状電極と、を含む、ことと、第1の複合構成要素及び第2の複合構成要素を組み立てる際に、細長い支持部材を外側導管の内腔へ挿通することと、を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、細長い支持部材を提供することは、略円形部分上の位置でワイヤコイルとして単軸センサを形成することと、ワイヤコイルに接続されたワイヤをその位置の近位の略円形部分の周りに巻き付けることと、を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、細長い支持部材を提供することは、ワイヤを細長い支持部材の略円形部分の近位のエルボ部分に固着する前に、ワイヤコイルに接続されたワイヤをフレア状に広げることを含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、ワイヤは、エルボ部分の内側表面に固着される。
【0021】
いくつかの実施形態では、細長い外側導管を提供することは、側壁内に編組みされた導電性ワイヤを有する側壁を押出成形することを含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、細長い外側導管を提供することは、側壁の一部分を除去して、導電性ワイヤを露出させることと、露出した導電性ワイヤと導電接触する環状電極を形成することと、を含む。
【0023】
いくつかの実施形態では、環状電極を形成することは、導電性エポキシ樹脂を塗布することを含み、導電性エポキシ樹脂を外側導管の外側表面上のバンド領域に塗布すること、又は導電性バンドを外側導管上に取り付けることを含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、略円形部分は、少なくとも360度にわたる長さを有する。
【0025】
いくつかの実施形態では、略円形部分は、約450度にわたる長さを有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、略円形部分の中心は、長手方向軸線からオフセットされている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明のこれらの特徴及び利点、並びに他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明を添付図面と併せて考慮することによってより充分な理解がなされるであろう。選択された構造及び機構が、残りの構造及び機構を見やすくするために、特定の図面では示されていないことを理解されたい。
図1】一実施形態による、バルーンカテーテルを支持する、本発明のカテーテルの斜視図である。
図2】一実施形態による、遠位「ラッソー」アセンブリの、組み立てて予め形成された支持部材の斜視図である。
図3】肺静脈の小孔内に入れ子型に重なったバルーンを支持する一方で、肺静脈内に位置する遠位「ラッソー」アセンブリの側面斜視図である。
図4】一実施形態による、エルボ区分を含む遠位アセンブリの側断面図である。
図5A】線A-Aに沿って取られた、図4の遠位アセンブリの端部断面図である。
図5B】線B-Bに沿って取られた、図4の遠位アセンブリの端部断面図である。
図6】一実施形態による、概円形区分を含む遠位アセンブリの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には同じような番号が付けられている。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、本発明の範囲を限定するようには意図されていない。詳細な説明は、本発明の原理を限定するものではなく一例として例証するものである。この説明により、当業者が本発明を作製し使用することが明確に可能になり、本発明を実施する最良の形態であると現時点において考えられるものを含む、本発明のいくつかの実施形態、適用例、変形例、代替例、及び使用が説明される。
【0029】
本明細書で任意の数値や数値の範囲について用いる「約」又は「およそ」という用語は、構成要素の部分又は構成要素の集合が、本明細書で述べるその意図された目的に沿って機能することを可能とする、好適な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約」又は「およそ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指してもよく、例えば、「約90%」は、71%~99%の値の範囲を指してもよい。更に、本明細書で使用するとき、「患者」、「ホスト」、「ユーザ」、及び「被験者」という用語は、任意のヒト又は動物対象を指し、システム又は方法をヒトにおける使用に限定することを意図していないが、ヒト患者における本発明の使用は、好ましい実施形態を代表するものである。
【0030】
図1及び図2を参照すると、本明細書に開示される実施形態は、細長い支持シャフト12及び3D遠位アセンブリ又は「ラッソー」アセンブリ15を含むバルーンカテーテル100と共に使用するように構成されているカテーテル10を含む。遠位アセンブリ15は、遠位アセンブリ15の位置を表す信号を生成するための外部磁場発生器(図示せず)に応答するように構成された1つ以上の単軸センサ(「SAS」)13と、組織からの電気信号を感知するように構成された1つ以上の環状電極11と、を担持する。遠位アセンブリ15は、例えば、遠位アセンブリ15の3D構成又はループ構成を提供するニチノールワイヤなどの形状記憶性を有する予め形成された支持部材16を含む。その点に関し、遠位アセンブリ15を説明することで、形状記憶性の細長い支持部材16が、遠位アセンブリ15の対応する区分に形状を付与する部分を含み、遠位アセンブリ15の湾曲区分15Cに対応する湾曲部分16Cと、遠位アセンブリ15のエルボ区分15Eに対応する湾曲部分16Cの近位のエルボ部分16Eと、を含むことを理解されたい。いくつかの実施形態では、支持部材16の湾曲した(例えば、円形、螺旋状、又はループ、本明細書で交換可能に使用される全ての用語の)部分16Cは、支持部材16の、カテーテルの長手方向軸線Lを画定するシャフト12に対して概ね横断し、湾曲部分16Cは、遠位重複テール部分16Tと約450度ではない場合、少なくとも360度にわたる湾曲した弧又は長さを有する。更に、湾曲部分16Cは、シャフト12によって画定される長手方向軸線Lが湾曲部分16Cと交差し、湾曲部分16Cによって概ね画定される円の中心からオフセットされるように、シャフト12に対して構成されている。
【0031】
カテーテルの細長い支持シャフト12は、可撓性がより低い近位区分12Pと、可撓性がより高い遠位区分12Dと、を有する。シャフト12は、バルーンカテーテル14の内腔を通過し、図3に示すように、肺静脈130の小孔110内でバルーン140を適切に支持するように構成され、肺静脈の管状組織と周方向に接触するように肺静脈内に延びる遠位ラッソーアセンブリ15を有する。有利には、シャフトの近位区分12Pは、ユーザが、例えば、シャフト12の近位端にあるコネクタハンドル27(図1)及びシャフト12の近位端に取り付けられたトルカ17(図1)を操作することにより付与される軸線方向の押出性及びトルクを伝達するのに十分な剛性を有するように構成されている一方で、シャフトの遠位区分12Dは、遠位ラッソーアセンブリ15と、支持バルーン140が着座する小孔110との間の間接的な進入角度に適応するのに十分な可撓性を有するように構成されている。
【0032】
いくつかの実施形態では、図1及び図2に示すように、遠位アセンブリ15の形状記憶性支持部材16は、遠位アセンブリ15及びシャフト12を併せた全体を通って延びるのに十分な長さを有する細長い形態を有する。したがって、細長い支持部材16は、以下の
(i)シャフト12の近位区分12Pの長さにわたる、第1の直径D1を有する、より長い略線形の近位部分16Pと、
(ii)シャフト12の遠位区分12Dの長さにわたる、第2の直径D2を有する、より短い略線形の遠位部分16Dと、
(iii)遠位アセンブリ15の湾曲遠位区分15Cにわたる、第3の直径D3を有する、遠位湾曲部分16Cと、
(iv)支持部材16の略線形の遠位部分16Dと遠位湾曲区分16Cとの間に延びるエルボ区分15Eにわたる、D2~D3の範囲の緩やかな移行直径DTを有する、比較的短いエルボ部分16Eと、を含み、
近位部分16Pが少なくとも可撓性を有するように直径D1>直径D2>直径D3である場合、遠位部分16Dは、より可撓性を有し、遠位湾曲部分16Cは、最大の可撓性を有する。いくつかの実施形態では、直径D1は、約0.030インチであり、直径D2は、約0.014インチ~0.018インチの範囲であり、直径D3は、約0.011インチである。近位部分16Pと遠位部分16Dとの間で、ワイヤ16の直径は、必要に応じて又は適切に、直径D1とD2との間の段階的移行又は緩やかな移行を有してもよい。遠位部分16Dと湾曲部分16Cとの間で、エルボ部分16Eは、直径D2とD3との間で緩やかな移行を伴って構成されている。いくつかの実施形態では、直径D2とD3との間の緩やかな移行は、エルボ部分16Eにおいて約2mmの間で生じる。支持部材16の近位部分16Pの長さは、重要ではない。しかしながら、いくつかの実施形態では、遠位部分16Dの長さは、バルーンを支持しているときにバルーンを収容することができるように、少なくともバルーン140の長手方向長さである。いくつかの実施形態では、シャフト12の長さは、約2メートルであり、(近位部分12Pに対してより高い可撓性を有する)遠位部分12Dは、約6cm~8cmの範囲の長さを有する。
【0033】
図2及び図4を参照すると、形状記憶性支持部材16の遠位湾曲部分16Cは、1つ以上のSASを担持する。それぞれのSAS 13は、それぞれ対応するワイヤコイルセンサ50及びケーブル20を有し、ワイヤコイルセンサ50は、遠位湾曲部分16C上の選択された位置の周りに巻き付けられ、ケーブル20は、ワイヤ21、21’と概ね同一の広がりを有する絶縁シース22内の遮蔽繊維23と共に包み込まれた、専用の一対のワイヤ21、21’を含むことを理解されたい。本明細書で提供される説明の簡略化のために、遠位アセンブリ15上に担持された全てのSAS 13のワイヤ21、21’は、全てのSAS 13用の単一ケーブル20を形成する共有遮蔽繊維23を有する1つの共通絶縁シース22を通過するものとして本明細書で図示されている。
【0034】
図2の図示された実施形態では、遠位アセンブリ15は、湾曲部分16Cの周りに等角位置、例えば、約0、120及び240度で配置されている3つのSAS、すなわち、本明細書でそれぞれ近位コイル、中間コイル及び遠位コイルと称する3つのワイヤコイル50A、50B及び50Cを含む、近位SAS 13A、中間SAS 13B及び遠位SAS 13Cを担持する。それぞれのSASのワイヤコイル50は、専用の一対のワイヤ21および21’に接続され、ワワイヤ21は、ワイヤコイル50の遠位端に接続され、ワイヤ21’は、ワイヤコイル50の近位端に接続されている。したがって、図示した実施形態では、(図6に最良に示される)遠位コイル50Cは、ワイヤ対21C及び21C’に接続され、中間コイル50Bは、ワイヤ対21B及び21B’に接続され、近位コイル50Aは、ワイヤ対21A及び21A’に接続される。予め形成された支持部材16の湾曲部分16C上のSAS 13A、13B及び13Cを組み立てるために、いくつかの実施形態では、SASを有する予め形成された支持部材を作製又は組み立てる方法は、(i)予め形成された支持部材16上に240度の位置でワイヤコイル50Cを巻き付けてSAS 13Cを形成することと、(ii)ワイヤ対21C及び21C’をそれぞれワイヤコイル50Cの遠位端及び近位端に接続することと、(iii)ワイヤ対21C及び21C’を湾曲部分16Cの周りに近位方向に巻き付けることと、を含む。カテーテルの使用中にワイヤ破断に対する歪み緩和を提供するために、異なる巻き付けパターンを採用してもよい。
【0035】
組立方法はまた、(iv)ワイヤ対21C及び21C’を120度の位置で巻き付けることと、(v)巻き付けられたワイヤ対21C及び21C’を覆ってワイヤコイル50Bを巻き付けて、SAS 13Bを形成することと、(vi)ワイヤ対21B及び21B’をそれぞれワイヤコイル50Bの遠位端及び近位端に接続することと、(vi)ワイヤ対21C及び21C’並びに21B及び21B’を湾曲部分16Dの周りに近位方向に巻き付けることと、を含む。
【0036】
組立方法は、(vii)ワイヤ対21C及び21C’並びに21B及び21B’を0度の位置で巻き付けることと、(viii)巻き付けられたワイヤ対21C及び21C’並びに21B及び21B’を覆ってワイヤコイル50Aを巻き付けてSAS 13Aを形成することと、(ix)ワイヤ対21A及び21A’をそれぞれワイヤコイル50Aの遠位端及び近位端に接続することと、(x)ワイヤ対21C及び21C’、21B及び21B’並びに21A及び21A’を湾曲部分16Cの周りに近位方向に巻き付けることと、を更に含む。1つ以上のヒートシュリンクスリーブは、形成されたSASと、隣接するSAS間に巻き付けられたワイヤ対と、を覆っていてもよいことを理解されたい。
【0037】
上記で列挙した動作の順序又は巻き付けの方向(例えば、遠位から近位に又は近位から遠位に)は、所望に応じて又は適切に変化させてもよく、ヒートシュリンクスリーブは、所望に応じて又は適切に、それぞれのSAS、ワイヤコイル、又はワイヤコイルの下の巻き付けられたワイヤ対(複数可)を覆って配置することができることもまた理解されたい。いずれの場合も、遠位SAS 13Cは、その遠位端がワイヤ21Cに接続され、その近位端がワイヤ21C’に接続されているワイヤコイル50Cを含み、中間SAS 13Bは、その遠位端がワイヤ21Bに接続され、その近位端がワイヤ21B’に接続されているワイヤコイル50Bを含み、ワイヤコイル50Bは、ワイヤ21C及び21C’を覆って巻き付けられ、近位SAS 13Aは、その遠位端がワイヤ21Aに接続され、その近位端がワイヤ21A’に接続されているワイヤコイル50Aを含み、ワイヤコイル50Aは、ワイヤ21C及び21C’並びに21B及び21B’を覆って巻き付けられる。
【0038】
エルボ部分16Eでは、ワイヤ対21(例えば、21A、21A’、21B、21B’、21C及び21’)を収容するケーブル20は、図4図5A及び図5Bにより良好に示されるように、その領域内の遠位アセンブリ15の外径を最小化する際に、エルボ部分16Eの(湾曲部に向かって内側に面する)内側表面52上に有利に位置する。その点で、ケーブル20の絶縁シース22の遠位端及び絶縁シース22内の遮蔽繊維23は、エルボ部分16Eの近位で切断されるか、又はそれ以外の場合には終端されて、様々なワイヤ対21を露出させる。更に、ワイヤ21の全ては、拡張されるか又は扇形に展開されて、内側表面52に押し付けられ、接着剤37(図5B)によって固着されて、遠位アセンブリ15のそのエルボ部分15Eにおける周辺の寸法及び輪郭を最小化する。遮蔽繊維23の遠位端部分は、ワイヤ21及び予め形成された支持部材16(図4)の周りに巻き付けられて、予め形成された支持部材16の周りのより緊密な輪郭のためにそれらを取り囲んでもよい。ヒートシュリンクスリーブ38は、エルボ部分16Eの近位のケーブル20及び遮蔽繊維23、並びにエルボ部分16E内の露出したワイヤ21及び安全繊維25を覆って延びてもよい。ヒートシュリンクスリーブの近位端及び末端は、必要に応じて又は適切に、支持部材16に沿った任意の場所にあってもよい。
【0039】
したがって、SASを有する予め形成された支持部材16の組立方法は、(i)エルボ部分16Eに固着するためにケーブル20を調製することと、(ii)調製されたケーブルをエルボ部分に固着することと、を含み、ケーブルを調製することは、(a)エルボ部分の概ね近位で外側絶縁シース22の遠位端を切断又は終端することと、(b)ケーブル内のワイヤ21を露出させることと、(c)露出したワイヤ21を拡張させるか又は扇形に展開させることと、を含み、調製されたケーブルを固着することは、(a)扇形に展開された露出したワイヤを、エルボ部分の内側表面52上に配置することと、(b)エルボ部分の内側表面上の扇形に展開された露出したワイヤ21に接着剤を塗布することと、(c)固着された露出したワイヤ及び絶縁シース22の少なくとも遠位部分をヒートシュリンクスリーブで覆うことと、を含む。ケーブルを調製することはまた、シールド繊維23の遠位端を切断又は終端させ、露出したワイヤ21及び予め形成された支持部材16の周りに遠位端を巻き付けることを含んでもよい。調製されたケーブルを固着することはまた、遠位アセンブリ15の取り外しに対する安全対策として、遠位アセンブリ15をシャフト12につなぎ留めるために、その近位端がシャフト12に固定され、その長さがヒートシュリンクスリーブ38の下のワイヤ21と同一の広がりを有する、複数の安全ストランド25(例えば、VECTRANストランド)を覆うことを含んでもよい。安全ストランド25の遠位端は、予め形成された支持部材16の遠位端に固定されてもよい。好適なSASの説明は、米国特許第8,792,962号に提供されており、その全ての開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
前述したように、遠位アセンブリ15は、1つ以上のSAS 13を担持するだけでなく、1つ以上の環状電極11もまた担持する。図6に示すように、遠位アセンブリ15は、環状電極11及び導電性リードワイヤ41を有する外側編組導管40を含む。導管40は、内腔39を有するが、導電性ワイヤ41は、当業者に理解されるように、導管40の押出製造プロセスの一部として側壁42に埋め込まれる。いくつかの実施形態では、外側編組導管40は、近位部分16P、遠位部分16D、エルボ部分16E、及び湾曲部分16Cを含む、予め形成された支持構造体16の全長を覆う。湾曲部分16Cを覆う編組導管40の部分のうち、編組導管40の上に担持された環状電極11は、外側側壁42の選択的除去、例えば、レーザ切断によって形成されて、選択された個々のワイヤ41を露出させるように所定の位置に凹部44を形成する。次いで、導電性エポキシ樹脂43、例えば、白金導電性エポキシ樹脂又は金導電性エポキシ樹脂を塗布して、凹部44を充填し、また、側壁42の外側の周りの凹部における円周に沿って塗布されて、所定の位置のそれぞれにおいて、それぞれ対応する環状電極11を形成する。ワイヤ41を有する導管40を押出成形することは、従来のワイヤ押出機で達成されてもよい。導管40の側壁42に埋め込まれた編組ワイヤ41は、環状電極の機能に悪影響を及ぼすことなく、それらのそれぞれ対応する環状電極の遠位に延びてもよい。環状電極11はまた、それぞれの凹部44において周方向に導管を取り囲むように導管40上に取り付けられた導電性バンドを使用して形成されてもよいことを理解されたい。したがって、環状電極11及び埋め込まれたリードワイヤ41を有する外側導管40を構築する方法は、(i)側壁42に埋め込まれたワイヤ41を有する導管40を押出成形することであって、導管は、外側表面と、内腔を画定する内側表面と、を含む、ことと、(ii)側壁の一部分を外側表面から除去して、凹部内にワイヤ41を露出させることと、(iii)導電性エポキシ樹脂を塗布して凹部及び凹部の周りの対応する周辺バンドを充填して環状電極11を形成すること、又は凹部の位置で導管上に導電性バンドを取り付けることと、を含む。
【0041】
環状電極11及び埋め込まれたワイヤ41を有する外側導管40が構築された後、外側導管40は、組み立てられた遠位アセンブリ15にわたって摺動することができる。いくつかの実施形態では、組立方法は、(i)環状電極11及び埋め込まれたワイヤ41を有する外側導管40を作製又は構築する上述の方法と、(ii)SAS 13を有する予め形成された支持部材16の上記組立方法と、(iii)構築された外側導管40を、SAS 13を有する予め形成された支持部材16上に取り付けることと、を含む。取り付けは、組み立てられた予め形成された支持部材16を、構築された外側導管40の内腔39内に挿入することによって達成されてもよい。したがって、カテーテル10の構築は、環状電極を提供する外側導管40の構築への区分化、及び下層のSAS担持支持部材16の構築によって簡略化される。外側導管40及び支持構造体16の遠位端は、封止剤の球体(例えば、ポリウレタン)と一緒に埋め込まれ、封止されて、カテーテル10の非外傷性球状遠位端を形成してもよい。
【0042】
コネクタハンドル27付近又はコネクタハンドル27内で終端する外側導管40の近位端で、ワイヤ41の近位部分は、当該技術分野において既知のように、処理用の電気生理学的ワークステーションへの感知された電気信号の伝送では、コネクタハンドル27内の好適な電気端子に接続するために、側壁42を選択的に除去することによって、導管40から露出されてもよい。(遠位アセンブリ15上に担持されたそれぞれのSASのワイヤ対21、21’を含む)ケーブル20は、当該技術分野において既知のように、処理用の電気生理学的ワークステーションへの位置信号の伝送において、支持部材16の遠位部分16D及び近位部分16Pと同一の広がりを有する外側導管40の内腔39を通って、カテーテルのシャフト12を通過し、コネクタハンドル27内に延びる。
【0043】
使用時には、カテーテル10は、バルーンカテーテル100の内腔120内に送られて通り、内腔120は、バルーンカテーテルのシャフト130及びバルーン140自体を通って延びる。遠位アセンブリ15を送るために、遠位アセンブリ15は、湾曲部分15Cが最初に内腔120に入り、続いてエルボ部15Eなどに入るように一直線状にされる。遠位アセンブリ15がバルーンカテーテルの遠位端を通過するまで、バルーンカテーテルに対して遠位アセンブリ15を前進させると、遠位アセンブリ15は、その下にある予め形成された形状記憶性支持部材16に従って、患者の左心房の3D形状を自由に取る。次いで、カテーテル10は、遠位アセンブリ15を肺静脈内に挿入するように操作され、環状電極11は、肺静脈の管状領域の内周に沿って組織と接触する。シャフト12、特に遠位区分12Dをガイドワイヤとして使用して、次いで、バルーンカテーテル100を、バルーンの遠位表面が小孔と接触するまで、肺静脈の小孔に向かって前進させる。カテーテル10のシャフト12は、バルーンカテーテル100用のガイドワイヤとして機能するように、可撓性がより小さい近位区分12Pを有し、遠位アセンブリ15の進入角度が小孔の中心と位置合わせされていない屈曲を可能にするが、その上にバルーンを適切に支持するのに十分な剛性を有するように、可撓性がより大きい近位区分12Dを有する。遠位アセンブリ15内の1つ以上のSAS 13は、典型的には患者のベッドの下に位置する外部磁場発生器に応答して、位置信号を提供し、遠位アセンブリ15上に担持された環状電極11は、小孔の組織又は小孔に隣接した組織のアブレーションによってPV隔離が達成されたかどうかを評価するための電気信号を含む、肺静脈の組織からの電気信号を感知する。
【0044】
上記の説明は、現時点における本発明の好ましい実施形態に関連して示したものである。本発明が関連する分野及び技術の当業者であれば、本発明の原理、趣旨、及び範囲を大きく逸脱することなく、記載される構造に改変及び変更を実施し得る点は認識されるであろう。1つの実施形態に開示される任意の特徴又は構成は、必要に応じて又は適宜、他の任意の実施形態の他の特徴に代えて、又はそれに加えて組み込むことができる。本発明の特徴は、開示される電気生理学的カテーテルを含めた医療デバイス内部で、挿入、除去、若しくは張力を必要とする、引張りワイヤ、収縮ワイヤ、又は任意の他の対象物の直線運動を増大させるために適用可能であることを理解されたい。当業者には理解されるように、図面は必ずしも縮尺どおりではない。したがって、上記の説明文は、添付図面に記載及び例示される正確な構成のみに関連したものとして読まれるべきではなく、むしろ以下の最も完全で公正な範囲を有するものとされる特許請求の範囲と一致し、かつこれを支持するものとして読まれるべきである。
【0045】
〔実施の態様〕
(1) 電気生理学的カテーテルであって、
前記カテーテルの長手方向軸線を画定する、形状記憶性を有する細長い支持部材であって、前記支持部材は、前記長手方向軸線に対して概ね横断する略円形部分で構成されている遠位部分を含む、細長い支持部材と、
前記略円形部分上に位置する単軸センサと、
前記支持部材と概ね同一の広がりを有する細長い外側導管であって、前記導管は、前記支持部材が通って延びる内腔を取り囲む側壁を含み、前記導管は、前記側壁に埋め込まれた導電性ワイヤと、前記側壁の外側表面上の環状電極と、を含む、細長い外側導管と、を備える、電気生理学的カテーテル。
(2) 前記細長い支持部材は、ニチノールワイヤを含む、実施態様1に記載のカテーテル。
(3) 前記略円形部分は、管状領域内の組織と周方向に接触するように構成されている、実施態様1に記載のカテーテル。
(4) 前記支持部材は、前記略円形部分の近位に、肺静脈の小孔と接触するための第2のカテーテルのバルーンを支持するように構成されている線形部分を含む、実施態様1に記載のカテーテル。
(5) 前記支持部材は、前記略円形部分の近位に略線形部分を含み、前記略円形部分が肺静脈内の組織と周方向に接触する一方で、前記略線形部分は、前記肺静脈の小孔と接触するための第2のカテーテルのバルーンを支持するように構成されている、実施態様1に記載のカテーテル。
【0046】
(6) 前記外側導管上の前記環状電極は、前記埋め込まれた導電性ワイヤとの導電性接点を含む、実施態様1に記載のカテーテル。
(7) 前記外側導管は、凹部を含み、前記凹部内で、前記環状電極は、前記導電性ワイヤとの導電性接点を含む、実施態様1に記載のカテーテル。
(8) 電気生理学的カテーテルであって、
前記カテーテルの長手方向軸線を画定する、形状記憶性を有する細長い支持部材であって、前記支持部材は、複数の単軸センサを有する遠位部分を含む、細長い支持部材と、
前記細長い支持部材と概ね同一の広がりを有する細長い外側導管であって、前記導管は、前記支持部材が通って延びる内腔を取り囲む側壁を含み、前記導管は、前記側壁内に埋め込まれた導電性ワイヤと、前記側壁の外側表面上の環状電極と、を含み、それぞれの環状電極は、それぞれ対応する導電性ワイヤと導電接触している、細長い外側導管と、を備える、電気生理学的カテーテル。
(9) 前記遠位部分は、前記長手方向軸線に対して横断する略円形部分を含む、実施態様8に記載のカテーテル。
(10) 前記細長い支持部材は、ニチノールワイヤを含む、実施態様8に記載のカテーテル。
【0047】
(11) カテーテルの構築方法であって、
形状記憶性及び第1の長さを有する細長い支持部材を提供することであって、前記細長い支持部材は、前記カテーテルの長手方向軸線を画定し、前記支持部材は、単軸センサを含む、ことと、
前記第1の長さと同一の広がりを有する第2の長さを有する細長い外側導管を提供することであって、前記導管は、前記支持部材が通って延びる内腔を取り囲む側壁を含み、前記導管は、前記側壁内に埋め込まれた導電性ワイヤと、前記側壁の外側表面上の環状電極と、を含む、ことと、
前記細長い支持部材を、前記外側導管の前記内腔へ挿通することと、を含む、方法。
(12) 前記細長い支持部材を前記提供することは、前記略円形部分上の位置においてワイヤコイルとして前記単軸センサを形成することと、前記ワイヤコイルに接続されたワイヤを、前記位置の近位の前記略円形部分の周りに巻き付けることと、を含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記細長い支持部材を前記提供することは、前記ワイヤを、前記細長い支持部材の前記略円形部分の近位のエルボ部分に固着する前に、前記ワイヤコイルに接続された前記ワイヤをフレア状に広げることを含む、実施態様12に記載の方法。
(14) 前記ワイヤは、前記エルボ部分の内側表面に固着されている、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記細長い外側導管を前記提供することは、前記側壁内に編組みされた前記導電性ワイヤを有する前記側壁を押出成形することを含む、実施態様11に記載の方法。
【0048】
(16) 前記細長い外側導管を前記提供することは、前記側壁の一部分を除去して、前記導電性ワイヤを露出させることと、前記外側導管上に、露出した前記導電性ワイヤと導電接触する環状電極を形成することと、を含む、実施態様11に記載の方法。
(17) 導電性エポキシ樹脂を塗布することは、前記外側導管の外側表面上のバンド領域に前記導電性エポキシ樹脂を塗布して、前記環状電極を形成することを含む、実施態様16に記載の方法。
(18) 前記略円形部分は、少なくとも360度にわたる長さを有する、実施態様11に記載の方法。
(19) 前記略円形部分は、約450度にわたる長さを有する、実施態様11に記載の方法。
(20) 前記略円形部分の中心は、前記長手方向軸線からオフセットされている、実施態様11に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6