(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】シート給送装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 1/26 20060101AFI20240930BHJP
B65H 1/28 20060101ALI20240930BHJP
B65H 3/44 20060101ALI20240930BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20240930BHJP
B65H 5/38 20060101ALI20240930BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
B65H1/26 330
B65H1/26 312M
B65H1/28 310
B65H3/44 J
B65H5/06 P
B65H5/38
G03G15/00 405
G03G15/00 446
(21)【出願番号】P 2020117606
(22)【出願日】2020-07-08
【審査請求日】2023-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】板橋 俊文
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-100191(JP,A)
【文献】特開2016-098056(JP,A)
【文献】特開平10-194486(JP,A)
【文献】特開2011-063340(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 1/26
B65H 1/28
B65H 3/44
B65H 5/06
B65H 5/38
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに画像を形成する画像形成部にシートを給送するシート給送装置であって、
第1装着位置と前記第1装着位置から引き出された第1引出位置とに移動可能に設けられ、前記画像形成部によって画像が形成されるシートが収容される第1シート収容部と、
第2装着位置に位置したときに前記第1装着位置に位置した前記第1シート収容部と水平方向に並ぶように配置され、前記第2装着位置から引き出された第2引出位置に前記第1シート収容部とは別個に移動可能な、前記画像形成部によって画像が形成されるシートが収容される第2シート収容部と、
前記第1シート収容部に収容されているシートの上方において、前記第2シート収容部から給送されたシートを搬送する搬送部
であって、前記第1シート収容部が前記第1引出位置に位置する場合に、第3装着位置と前記第3装着位置から引き出された第3引出位置との間を前記第1シート収容部とは別個に移動可能な搬送部と、
前記第1装着位置に向けて引き込む方向の引き込み力を前記第1シート収容部に与える引き込み部と、を備え、
前記第1シート収容部、前記第2シート収容部、前記搬送部は、前記搬送部がシートを搬送する搬送方向に直交する直交方向に沿って移動でき、
前記第1シート収容部が前記第1装着位置にある状態では、前記第3装着位置の前記搬送部を前記第3引出位置へ引き出すことができないように、前記第1シート収容部および前記搬送部は配置され、
前記搬送部は、搬送されるシートをガイドするガイド部を含み、
前記搬送部は、前記第1シート収容部が前記第1引出位置から前記第1装着位置に向けて移動する場合に、前記引き込み部の前記引き込み力を受けている前記第1シート収容部
の押圧部が前記搬送部に接して前記搬送部を押圧
することによって
、前記搬送部は前記第3装着位置に向けて前記第1シート収容部と一体的に移動さ
れ、
前記押圧部は、前記直交方向において前記第1シート収容部の外装面と前記ガイド部との間に位置し、前記搬送方向おいて前記ガイド部に重複し、前記直交方向から見た場合に前記第1シート収容部の外装面と重複する、
ことを特徴とするシート給送装置。
【請求項2】
前記搬送部を装着するための装着部が設けられた筐体を備え、
前記引き込み部は、前記第1シート収容部が前記第1装着位置と前記第1引出位置との間の第1範囲に位置する場合に、前記引き込み力を前記第1シート収容部に与え、
前記搬送部は、前記搬送部のシート搬送路を上方に開放可能であり、開放時には前記搬送部を装着方向から視た場合に少なくとも一部が前記装着部よりも外側に位置する覆い部材を有し、
前記覆い部材は、前記搬送部が前記第1シート収容部の移動により前記第3引出位置から前記第3装着位置に向けて移動された状態であって、前記第1シート収容部が前記引き込み部の前記引き込み力を受けない第2範囲に位置する状態において、開放可能であり、
前記第1範囲と前記第2範囲とは重ならない、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記搬送部
のガイド部は、搬送されるシートの上面をガイド位置に位置した状態においてガイドし、前記ガイド位置から、シートが搬送される搬送路を開放する開放位置に前記搬送部を引き出す引き出し方向に平行な回転中心を中心として回動で
き、
前記引き出し方向において前記搬送部が前記第3装着位置から所定位置までの領域にあるときには、前記ガイド
部は前記開放位置に移動できず、
前記所定位置よりも前記引き出し方向に引き出された位置にあるときには、前記ガイド部は前記ガイド位置から前記開放位置に移動でき、
前記所定位置よりも前記引き出し方向に引き出された位置に前記搬送部が位置した状態において前記第1シート収容部が取り得るいずれの位置に前記第1シート収容部が位置しているときでも、前記引き込み部は前記第1シート収容部に前記引き込み力を与えない、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記引き込み部は、シート収容状態における前記第1シート収容部を前記第1装着位置に移動させるのに必要な力と、前記搬送部を前記第3装着位置に移動させるのに必要な力と、を合計した力以上の引き込み力を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記第1シート収容部から給送されたシート、および、前記第2シート収容部から給送され前記搬送部によって搬送されたシートを、前記画像形成部へ向けて搬送するローラを備える、
ことを特徴とする
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記第1シート収容部、前記第2シート収容部、および前記搬送部の上方に配置され、前記画像形成部によって画像が形成されるシートを収容するカセットを備え、
前記カセットは、水平方向において前記第1シート収容部に重複し、水平方向において前記第2シート収容部に重複し、水平方向において前記搬送部に重複して配置される、
ことを特徴とする請求項
1乃至5のいずれか1項に記載のシート給送装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート給送装置と、
前記シート給送装置により送り出されたシートに画像を形成する前記画像形成部と、を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
第1装着位置と前記第1装着位置から引き出された第1引出位置とに移動可能に設けられ、シートが収容される第1シート収容部と、
第2装着位置に位置したときに前記第1装着位置に位置した前記第1シート収容部と水平方向に並ぶように配置され、前記第2装着位置から引き出された第2引出位置に前記第1シート収容部とは別個に移動可能な、シートが収容される第2シート収容部と、
前記第1シート収容部に収容されているシートの上方において、前記第2シート収容部から給送されたシートを搬送する搬送部
であって、前記第1シート収容部が前記第1引出位置に位置する場合に、第3装着位置と前記第3装着位置から引き出された第3引出位置との間を前記第1シート収容部とは別個に移動可能な搬送部と、
前記第1シート収容部から給送されたシート、および、前記第2シート収容部から給送され前記搬送部によって搬送されたシートを搬送できるように配置されたローラと、
前記ローラによって搬送されるシートに画像を形成する画像形成部と、
前記第1装着位置に向けて引き込む方向の引き込み力を前記第1シート収容部に与える引き込み部と、を備え、
前記第1シート収容部、前記第2シート収容部、前記搬送部は、前記搬送部がシートを搬送する搬送方向に直交する直交方向に沿って移動でき、
前記第1シート収容部が前記第1装着位置にある状態では、前記第3装着位置の前記搬送部を前記第3引出位置へ引き出すことができないように、前記第1シート収容部および前記搬送部は配置され、
前記搬送部は、搬送されるシートをガイドするガイド部を含み、
前記搬送部は、前記第1シート収容部が前記第1引出位置から前記第1装着位置に向けて移動する場合に、前記引き込み部の前記引き込み力を受けている前記第1シート収容部
の押圧部が前記搬送部に接して前記搬送部を押圧
することによって
、前記搬送部は前記第3装着位置に向けて前記第1シート収容部と一体的に移動さ
れ、
前記押圧部は、前記直交方向において前記第1シート収容部の外装面と前記ガイド部との間に位置し、前記搬送方向おいて前記ガイド部に重複し、前記直交方向から見た場合に前記第1シート収容部の外装面と重複する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複数の機能を有する複合機などの画像形成装置に用いられるシート給送装置、及びこれを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、画像形成部に記録材としてのシートを給送するシート給送装置が広く普及している。シート給送装置としては、限られた装置本体内のスペースで給送容量を確保するため、シートを積載し収容するシート収容部を装置本体の左右方向に隣接して配置し、それぞれのシート収容部から画像形成部にシートを給送可能にしたものが知られている。このようなシート給送装置では、例えば、画像形成部にシートを給送するローラ対等の給送部と、第1シート収容部と、第2シート収容部とが左右方向に順に隣接して配置されていたとする。この場合、第2シート収容部に収容されたシートは第1シート収容部の上方を通過して給送部に搬送されるので、第1シート収容部の上方には、水平搬送パスが配置されている。また、水平搬送パスでのジャム処理性を確保するために、水平搬送パスである搬送ユニットを装置本体より引き出し可能にされたものが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シート収容部や搬送ユニットを装置本体の装着位置に装着する際に、ユーザの装着動作を容易にするために、シート収容部や搬送ユニットに対して装着位置へ向けて引き込む方向の力を与える引き込み機構を設けることが考えられる。このような引き込み機構を特許文献1のシート給送装置に設ける場合、シート収容部と搬送ユニットのそれぞれについて異なる引き込み部を設けと、部品点数が多くなり、複雑な構成になってしまう虞がある。
【0005】
本発明は、引き込み部を設けながらも構成の複雑化を抑えることができるシート給送装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシート給送装置は、シートに画像を形成する画像形成部にシートを給送するシート給送装置であって、第1装着位置と前記第1装着位置から引き出された第1引出位置とに移動可能に設けられ、前記画像形成部によって画像が形成されるシートが収容される第1シート収容部と、第2装着位置に位置したときに前記第1装着位置に位置した前記第1シート収容部と水平方向に並ぶように配置され、前記第2装着位置から引き出された第2引出位置に前記第1シート収容部とは別個に移動可能な、前記画像形成部によって画像が形成されるシートが収容される第2シート収容部と、前記第1シート収容部に収容されているシートの上方において、前記第2シート収容部から給送されたシートを搬送する搬送部であって、前記第1シート収容部が前記第1引出位置に位置する場合に、第3装着位置と前記第3装着位置から引き出された第3引出位置との間を前記第1シート収容部とは別個に移動可能な搬送部と、前記第1装着位置に向けて引き込む方向の引き込み力を前記第1シート収容部に与える引き込み部と、を備え、前記第1シート収容部、前記第2シート収容部、前記搬送部は、前記搬送部がシートを搬送する搬送方向に直交する直交方向に沿って移動でき、前記第1シート収容部が前記第1装着位置にある状態では、前記第3装着位置の前記搬送部を前記第3引出位置へ引き出すことができないように、前記第1シート収容部および前記搬送部は配置され、前記搬送部は、搬送されるシートをガイドするガイド部を含み、前記搬送部は、前記第1シート収容部が前記第1引出位置から前記第1装着位置に向けて移動する場合に、前記引き込み部の前記引き込み力を受けている前記第1シート収容部の押圧部が前記搬送部に接して前記搬送部を押圧することによって、前記搬送部は前記第3装着位置に向けて前記第1シート収容部と一体的に移動され、前記押圧部は、前記直交方向において前記第1シート収容部の外装面と前記ガイド部との間に位置し、前記搬送方向おいて前記ガイド部に重複し、前記直交方向から見た場合に前記第1シート収容部の外装面と重複することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の画像形成装置は、上記に記載のシート給送装置と、前記シート給送装置により送り出されたシートに画像を形成する前記画像形成部と、を備えることを特徴とする。
また、本発明の画像形成装置は、第1装着位置と前記第1装着位置から引き出された第1引出位置とに移動可能に設けられ、シートが収容される第1シート収容部と、第2装着位置に位置したときに前記第1装着位置に位置した前記第1シート収容部と水平方向に並ぶように配置され、前記第2装着位置から引き出された第2引出位置に前記第1シート収容部とは別個に移動可能な、シートが収容される第2シート収容部と、前記第1シート収容部に収容されているシートの上方において、前記第2シート収容部から給送されたシートを搬送する搬送部であって、前記第1シート収容部が前記第1引出位置に位置する場合に、第3装着位置と前記第3装着位置から引き出された第3引出位置との間を前記第1シート収容部とは別個に移動可能な搬送部と、前記第1シート収容部から給送されたシート、および、前記第2シート収容部から給送され前記搬送部によって搬送されたシートを搬送できるように配置されたローラと、前記ローラによって搬送されるシートに画像を形成する画像形成部と、前記第1装着位置に向けて引き込む方向の引き込み力を前記第1シート収容部に与える引き込み部と、を備え、前記第1シート収容部、前記第2シート収容部、前記搬送部は、前記搬送部がシートを搬送する搬送方向に直交する直交方向に沿って移動でき、前記第1シート収容部が前記第1装着位置にある状態では、前記第3装着位置の前記搬送部を前記第3引出位置へ引き出すことができないように、前記第1シート収容部および前記搬送部は配置され、前記搬送部は、搬送されるシートをガイドするガイド部を含み、前記搬送部は、前記第1シート収容部が前記第1引出位置から前記第1装着位置に向けて移動する場合に、前記引き込み部の前記引き込み力を受けている前記第1シート収容部の押圧部が前記搬送部に接して前記搬送部を押圧することによって、前記搬送部は前記第3装着位置に向けて前記第1シート収容部と一体的に移動され、前記押圧部は、前記直交方向において前記第1シート収容部の外装面と前記ガイド部との間に位置し、前記搬送方向おいて前記ガイド部に重複し、前記直交方向から見た場合に前記第1シート収容部の外装面と重複することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、引き込み部を設けながらも構成の複雑化を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1の実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
【
図2】第1の実施形態に係る引込機構を示す平面図であり、(a)は引き込み前、(b)は引き込み開始直後、(c)は引き込み終了後の状態である。
【
図3】第1の実施形態に係る画像形成装置において搬送ユニット及び第2シート収容部を引出位置に位置させた状態であり、(a)平面図、(b)正面図、(c)右側面図である。
【
図4】第1の実施形態に係る画像形成装置において搬送ユニット及び第2シート収容部を引出位置から装着位置に移動させた状態であり、(a)平面図、(b)正面図、(c)右側面図である。
【
図5】第2の実施形態に係る画像形成装置において搬送ユニット及び第2シート収容部を引出位置に位置させた状態であり、(a)平面図、(b)正面図、(c)右側面図である。
【
図6】第2の実施形態に係る画像形成装置において搬送ユニット及び第2シート収容部を引出位置から装着位置に移動させた状態であり、(a)平面図、(b)正面図、(c)右側面図である。
【
図7】第2の実施形態の変形例に係る画像形成装置において搬送ユニット及び第2シート収容部を引出位置に位置させた状態であり、(a)平面図、(b)正面図、(c)右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態を、
図1~
図4を参照しながら詳細に説明する。まず、
図1を用いて、本発明の実施形態に係るシート給送装置を備えた画像形成装置について説明する。なお、
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1としてのレーザビームプリンタを正面から見た状態で示す概略断面図である。尚、本実施形態では、画像形成装置1における正面側と奥側とを前後方向とし、画像形成装置1の正面に向かった際の左右を左右方向とする。
【0012】
[画像形成装置]
図1に示すように、例えばフルカラーのレーザビームプリンタである画像形成装置1は、筐体の一例である装置本体10を備えている。この装置本体10は、装置各部を制御する制御部11と、プロセス部20と、定着部12と、装置本体10の上方に略水平に配置された画像読取装置13とを有している。
【0013】
装置本体10には、画像読取装置13の下方にシート排出用の排出空間Spが設けられている。排出空間Spの下方にはトナーカートリッジ21が配置され、装置本体10の下部には、複数(本実施形態では3つ)のシート給送装置2,3,4が配置されている。装置本体10には、シート給送装置2,3における後述のシートカセット102,103を装着及び引き出し可能な装着空間(不図示)が設けられている。さらに、装置本体10には、シート給送装置4における後述のシートカセット41,42を装着及び引き出し可能な不図示の装着空間が設けられている。
【0014】
プロセス部20は、4ドラムフルカラー方式を採用しており、レーザスキャナ22と、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー画像を形成する4個のプロセスカートリッジ23とを有している。
【0015】
ここで、各プロセスカートリッジ23は、感光体としての感光ドラム24と、帯電手段としての帯電器25と、現像手段としての現像器26と、クリーニング手段としてのクリーナ(不図示)とを有している。また、プロセス部20は、プロセスカートリッジ23の上方に中間転写ユニット27を有している。
【0016】
中間転写ユニット27は、駆動ローラ28及びテンションローラ29に巻き掛けられた中間転写ベルト30を有している。また、中間転写ユニット27は、中間転写ベルト30の内側に配置され、感光ドラム24に対向した位置で中間転写ベルト30の内面に当接する一次転写ローラ31を有している。中間転写ベルト30は、フィルム状部材から構成され、各感光ドラム24に当接しており、不図示の駆動部によって駆動される駆動ローラ28により矢印方向に回転させられる。
【0017】
一次転写ローラ31から中間転写ベルト30に正極性の転写バイアスが印加されることにより、感光ドラム24上の負極性を持つ各色トナー像が中間転写ベルト30に順次多重転写される。これにより、中間転写ベルト30上にはカラー画像が形成される。駆動ローラ28と対向する位置には、中間転写ベルト30上に形成されたカラー画像を記録材であるシートSに転写する二次転写ローラ32が配置されている。なお、駆動ローラ28とこれに圧接する二次転写ローラ32とで形成される二次転写ニップ部Nにより、二次転写部が構成されている。
【0018】
二次転写ローラ32のシート搬送方向の下流には定着部12が配置され、定着部12の上方には、第1排出ローラ対33、第2排出ローラ対34、及び反転排出部としての両面反転部35が配置されている。なお、プロセス部20と、二次転写ニップ部Nと、定着部12とにより、シート給送装置2~4により給送されたシートSに画像を形成する画像形成部14が構成される。
【0019】
上記構成において、画像読取装置13で読み取られた画像情報又は不図示のパーソナルコンピュータ(PC)等の外部機器から入力された画像情報は、画像処理された後、電気信号に変換されてプロセス部20のレーザスキャナ22に伝送される。
【0020】
そして、プロセス部20では、各プロセスカートリッジ23の感光ドラム24の表面をレーザスキャナ22から射出されたイエロー、マゼンタ、シアン及びブラック成分色の画像情報に対応するレーザ光により走査する。これにより、帯電器25によって表面が所定の極性及び電位に一様に帯電されている感光ドラム24の表面が順次露光され、各プロセスカートリッジ23の感光ドラム上に、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの静電潜像が順次形成される。
【0021】
この後、静電潜像をイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色トナーにより現像して可視化すると共に、一次転写ローラ31に印加した一次転写バイアスにより、各感光ドラム上の各色トナー像を中間転写ベルト30に順次重ね合わせて転写する。これにより、中間転写ベルト30上にトナー画像が形成される。
【0022】
一方、シート給送装置2~4の何れかから送り出されたシートSは、レジストレーションローラ対36を通過し、二次転写ニップ部Nへ送られる。ここで、レジストレーションローラ対36は、シートSが突き当られてループを形成することにより、シートSの先端をニップ部に倣わせて斜行を補正する。二次転写ニップ部Nでは、プロセス部20で形成されたトナー像がシートS上に一括して二次転写される。
【0023】
このようにトナー像を二次転写されたシートSは、定着部12に搬送されて加熱及び加圧され、トナー像をカラー画像として定着される。この後、カラー画像が定着されたシートSは、第1排出ローラ対33によって排出空間Spに排出され、排出空間Sp内に設けられた積載部37に積載される。
【0024】
[シート給送装置の概要]
シート給送装置2には、シートSを収容するシートカセット102と、シートカセット102に収容されているシートSを下流の引き抜きローラ対114に向けて送り出すシート給送部110とが配置されている。シート給送部110は、シート給送方向の下流上部に配置されたピックアップローラ111と、フィードローラ112と、リタードローラ113とを有している。
【0025】
ピックアップローラ111は、フィードローラ112を中心として回動可能なアーム(不図示)により回動可能に支持され、シートカセット102内に収容されたシートSに圧接して回転することでシートSを送り出す。シートカセット102は、装置本体10の前後方向に対して装着及び引き出し可能に支持されている。
【0026】
シート給送装置3には、シートSを収容するシートカセット103と、シートカセット103に収容されているシートSを下流の引き抜きローラ対124に向けて送り出すシート給送部120とが配置されている。シート給送部120は、シート給送方向の下流上部に配置されたピックアップローラ121と、フィードローラ122と、リタードローラ123とを有している。
【0027】
ピックアップローラ121は、フィードローラ122を中心として回動可能なアーム(不図示)により回動可能に支持され、シートカセット103内に収容されたシートSに圧接して回転することでシートSを送り出す。シートカセット103は、装置本体10の前後方向に対して装着及び引き出し可能に支持されている。
【0028】
シート給送装置4は、シートSを収容する第1シート収容部の一例である第1シートカセット41と、第2シート収容部の一例である第2シートカセット42と、シート給送部140,150と、給送部130とを有している。給送部130と、第1シートカセット41と、第2シートカセット42とは、装置本体10の左右方向(水平方向)に順に並んで配置されている。本実施形態では、装置本体10の右側に第1シートカセット41を配置し、その左側に第2シートカセット42を配置している。
【0029】
シート給送部140は、シート給送方向の下流上部に配置されたピックアップローラ141と、フィードローラ142と、リタードローラ143とを有している。シート給送部140は、第1シートカセット41に収容されているシートSを下流の引き抜きローラ対144に向けて送り出す。シート給送部150は、シート給送方向の下流上部に配置されたピックアップローラ151と、フィードローラ152と、リタードローラ153とを有している。シート給送部150は、第2シートカセット42に収容されているシートSを下流の引き抜きローラ対154に向けて送り出す。シートカセット41,42は、装置本体10の前後方向に対して装着及び引き出し可能に支持されている。
【0030】
即ち、第1シートカセット41は、給送部130に対して水平方向に隣接して配置され、装置本体10に装着された第1装着位置と、装置本体10から引き出された第1引出位置とに移動可能に設けられている。また、第2シートカセット42は、第1シートカセット41に対して水平方向に給送部130の反対側に隣接し、装置本体10に装着された第2装着位置と、装置本体10から引き出された第2引出位置とに移動可能に設けられている。本実施形態では、第1シートカセット41と第2シートカセット42とは、それぞれ独立して、装置本体10に対して移動可能である。
【0031】
給送部130は、給送ローラ対131を有しており、各シート給送部140,150から給送されたシートを画像形成部14に給送する。ここで、シート給送部150と給送部130とは、第1シートカセット41を介して配置されているため、第1シートカセット41の上方にシート給送部150から給送部130へとシートSを搬送するための水平搬送パスが設けられている。
【0032】
本実施形態では、この水平搬送パスは、搬送部の一例である搬送ユニット50により構成されている。搬送ユニット50は、搬送路を挟んで上下に設けられた上搬送ローラ51及び下搬送ローラ52と、上搬送ローラ51を回転可能に保持する覆い部材の一例である上ガイド板53とを有している。また、搬送ユニット50と給送部130との間には、搬送ローラ対155が設けられている。搬送ユニット50は、装置本体10に形成された装着部10aに対して前後方向に移動することで着脱可能に設けられている。搬送ユニット50を装置本体10から引き出した状態では、上ガイド板53をシート搬送路の上方に揺動して開放可能である(
図3参照)。これにより、搬送ユニット50におけるシート詰まり(ジャム)の処理を行うことができる。尚、搬送ユニット50の装置本体10に対する着脱動作については、後述する。
【0033】
画像形成動作が開始されると、シートSは、シート給送部110,120,140,150によりシートカセット102,103,41,42の何れかから1枚ずつ分離給送される。ピックアップローラ111,121,131,141の何れかにより繰り出されたシートSは、フィードローラ112,122,132,142の対応するものによって搬送される。その際、シートSが重送した場合には、2枚目以降のシートSはリタードローラ113,123,133,143の対応するものによってシートカセット側に戻される。分離搬送されたシートSは、引き抜きローラ対114,124,134,144によって下流側に送られ、レジストレーションローラ対36に搬送される。
【0034】
[引込機構]
この画像形成装置1は、各シートカセット102,103,41,42を装置本体10側に引き込み可能な引込機構を有している。いずれも同様の構成を有しているため、ここでは第1シートカセット41を装置本体10側に引き込み可能な引き込み部の一例である引込機構60について説明する。
図2に示すように、引込機構60は、装置本体10の内部において、搬送ユニット50を装着部10aに装着する際に第3引出位置から第3装着位置に向けて移動させる移動方向の下流側に配置されている。
【0035】
図2に示すように、引込機構60は、装置本体10のリヤフレーム10bに設けられ、ケース部材61と、トグルアーム62と、トグルばね63とを有している。ケース部材61は、引込機構60は装置本体10のリヤフレーム10bに取り付けられている。トグルアーム62は、ケース部材61に対して揺動軸64により揺動可能に支持されており、第1シートカセット41の係止ピン43と係止可能な係止フック65を有している。トグルばね63は、例えば引っ張りコイルばねからなり、トグルアーム62とケース部材61との間に張設されている。一方、第1シートカセット41の装置本体10への挿入方向の奥側のフレームには、引込機構60の係止フック65と係止可能な略円柱状の係止ピン43が設けられている。
【0036】
図2(a)に示すように、引込機構60は第1シートカセット41が装置本体10に収容されていない状態において、トグルアーム62の先端の係止フック65が待機位置に位置している。第1シートカセット41が装置本体10に挿入されて、係止ピン43が引込機構60に到達すると、
図2(b)に示すように、係止ピン43は係止フック65に係合する。さらに、第1シートカセット41を挿入していくとトグルアーム62が反時計回りに回転する。このとき、中立点であるトグルばね63の基端部63aと揺動軸64とを結ぶ線(図中、一点鎖線)をトグルばね63が超えると、引込力が発生して、
図2(c)に示すように、第1シートカセット41を装着位置へばね力で自動的に引き込む。このように、引込機構60は、第1シートカセット41を装置本体10の装着位置に移動する際、装着方向へ移動する力を発生する。この発生する力を引込力とする。尚、引込力の発生位置については、後述する。
【0037】
[シートカセットと搬送ユニットの着脱動作]
図3(a)~(c)に示すように、第1シートカセット41の手前側の上部には、押圧部45が形成されている。また、搬送ユニット50において、押圧部45の奥側には受圧部55が形成されている。このため、第1シートカセット41は引き出された搬送ユニット50に対して、装着位置に移動する際、第1シートカセット41の押圧部45が搬送ユニット50の受圧部55を押すことによって、連動して装着位置に移動する。即ち、第1シートカセット41は、引き出された搬送ユニット50と共に、装着位置に移動可能となっている。
【0038】
本実施形態では、搬送ユニット50は、装着部10aに装着された第3装着位置と、装着部10aから引き出された第3引出位置とに、第1シートカセット41の移動方向に沿って移動可能である。そして、搬送ユニット50は、第1シートカセット41が第1引出位置に位置する場合に、第3装着位置と第3引出位置とに、第1シートカセット41とは別個に移動可能である。また、搬送ユニット50は、第1シートカセット41が第1引出位置から第1装着位置に向けて移動する場合に、第1シートカセット41により押圧されて第3装着位置に向けて一体的に移動される。また、搬送ユニット50は、第1シートカセット41が第1装着位置に位置する場合に、第3装着位置で第1シートカセット41により第3引出位置に向けた移動を規制される。
【0039】
第1シートカセット41は、搬送ユニット50が第3装着位置にあるとき、第1シートカセット41のみで装置本体10に対する着脱移動が可能である。また、第2シートカセット42は、第1シートカセット41及び搬送ユニット50の装置本体10に対する着脱状態によらず、第2シートカセット42のみで装置本体10に対する着脱移動が可能である。
【0040】
[上ガイド板の開閉可能位置と引込力の発生位置]
上ガイド板53が開状態にできる状態を
図3に示し、開状態にできない状態を
図4に示す。ここで、上ガイド板53の奥側端部の前後方向の位置を位置P1とする。また、装置本体10に対して搬送ユニット50を装着する装着部10aの手前側の前後方向の位置を位置P2とする。この場合、上ガイド板53が開状態にできる条件は、
図2(a)に示すように、上ガイド板53の位置P1が装着部10aの位置P2より本体手前側にある時である。また、上ガイド板53が開状態の時は、搬送ユニット50を装置本体10に装着することは、上ガイド板53が装着部10aの入口において装置本体10の正面部と干渉することから不可能となる。一方、上ガイド板53が閉状態であれば、搬送ユニット50は装着部10aに挿入可能であり、
図3(a)に示すように、装置本体10の装着位置に移動可能となる。即ち、上ガイド板53は、開放時には、搬送ユニット50を前後方向から視た場合に少なくとも一部が装着部10aよりも外側に位置している。
【0041】
また、搬送ユニット50が第1シートカセット41の移動により第3引出位置から第3装着位置に向けて移動された際に、位置P1が位置P2に達するまでの第1シートカセット41の移動範囲を第2範囲Ar2とする。即ち、上ガイド板53は、第2シートカセット42が第2範囲Ar2に位置する場合に開放可能である。
【0042】
ここで、引込機構60による第1シートカセット41及び搬送ユニット50への引込力が、上ガイド板53の位置P1が位置P2より手前側にある時に発生すると、搬送ユニット50の上ガイド板53が装置本体10の正面部と干渉することになる。また、この状態は、上ガイド板53を開いて、搬送ユニット50にジャムで滞留したシートSを処理する作業者にとって、引込力によって搬送ユニット50が引き込まれないように搬送ユニット50を静止させながら作業を行うことになる。このため、作業性を著しく悪化させることになる。そこで、本実施形態では、第1シートカセット41に対して発生する引込力の発生領域は、上ガイド板53の位置P1が位置P2より本体奥側にある位置とする。
【0043】
図2に示すように、引込機構60で引込力が発生するのは、係止ピン43が引込機構60に到達して係止フック65に係合したのち、トグルアーム62が反時計回りに回転し、かつ、中立転である回動軸57をトグルばね63が超える位置である。この引込機構60による引込力発生位置が、
図4(a)に示すように、上ガイド板53の位置P1が位置P2より本体奥側に位置するようになる位置であることを意味する。ここでは、引込機構60が第1シートカセット41を第1装着位置に向けて引き込む位置の範囲を、第1装着位置と第1引出位置との間の第1範囲Ar1とする。
【0044】
そして、第1シートカセット41の移動範囲に関して、引込機構60が引込力を発生する第1範囲Ar1と、上ガイド板53が開放可能になる第2範囲Ar2とは、重ならないように設定されている。即ち、引込機構60が発生する引込力の発生領域の条件は、以下の通りとなる。引込力を発生しない位置は、位置P1が位置P2よりも装置本体10の手前側にあるときであり、引込力を発生可能な位置は、位置P1が位置P2よりも装置本体10の奥側にあるときである。
【0045】
[引込力の大きさ]
本実施形態では、引込機構60は第1シートカセット41及び搬送ユニット50の両方を同時に引き込む場合がある。この場合、荷重が大きくなるために、第1シートカセット41及び搬送ユニット50を確実に装着位置に戻すことが難しい。そこで、引込機構60の引込力は、シート収容状態における第1シートカセット41を第1装着位置に移動させるのに必要な力と、搬送ユニット50を第3装着位置に移動させるのに必要な力と、を合計した力以上の大きさとしている。即ち、引込機構60の引込力をF1、第1シートカセット41を装着位置へ移動させるために必要な力をF2、搬送ユニット50を装着位置へ移動させるために必要な力をF3とした場合に、F1≧F2+F3の関係を満たすように設定する。
【0046】
上述したように、本実施形態の画像形成装置1によれば、第1シートカセット41を第1装着位置に引き込むことで搬送ユニット50を第3装着位置に引き込むことができるので、1つの引込機構60を兼用することができる。このため、第1シートカセット41及び搬送ユニット50の両方に対して引込機構60を設ける場合に比べて、部品点数の増加や構成の複雑化を抑えることができる。
【0047】
また、本実施形態の画像形成装置1によれば、第1シートカセット41の移動範囲に関して、引込機構60が引込力を発生する第1範囲Ar1と、上ガイド板53が開放可能になる第2範囲Ar2とは、重ならないように設定されている。このため、上ガイド板53の開放中に搬送ユニット50が装着部10aに引き込まれることによって上ガイド板53が装置本体10の正面部と干渉してしまうことを防止できる。これにより、上ガイド板53を開いて、搬送ユニット50にジャムで滞留したシートSを処理する際に、引込力によって搬送ユニット50が引き込まれないように搬送ユニット50を静止させながら作業を行う必要がなくなり、作業性を向上することができる。即ち、ジャムで滞留したシートSを取り除いた後、第1シートカセット41及び搬送ユニット50を装着位置に戻すことが確実にできる。よって、引込機構60の引込力によりユーザの装着動作を容易にしつつ、搬送ユニット50のジャム処理の作業性を確保することができる。
【0048】
また、本実施形態の画像形成装置1によれば、引込機構60の引込力は、第1シートカセット41を第1装着位置に移動させるのに必要な力と、搬送ユニット50を第3装着位置に移動させるのに必要な力と、を合計した力以上の大きさとしている。このため、第1シートカセット41及び搬送ユニット50の両方を同時に引き込む際に荷重が大きくなっても、高精度に装着位置に位置させることができ、ユーザの操作性を確保することができる。
【0049】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態の画像形成装置101のシート給送装置104を、
図5及び
図6を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、搬送ユニット50は、第1シートカセット41ではなく第2シートカセット42に連動する点で、第1の実施形態と構成を異にしている。但し、それ以外の構成については、第1の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明を省略する。
【0050】
[シートカセットと搬送ユニットの着脱動作]
図5(a)~(c)に示すように、第2シートカセット42の搬送ユニット50側の部位には、押圧部44が形成されている。また、搬送ユニット50の第2シートカセット42側の部位には、押圧部44より装置本体10の奥側に位置する受圧部54が形成されている。このため、第2シートカセット42は引き出された搬送ユニット50に対して、装着位置に移動する際、第2シートカセット42の押圧部44が搬送ユニット50の受圧部54を押すことによって、連動して装着位置に移動する。即ち、第2シートカセット42は、引き出された搬送ユニット50と共に、装着位置に移動可能となっている。
【0051】
本実施形態では、搬送ユニット50は、第2シートカセット42が第2引出位置に位置する場合に、第3装着位置と第3引出位置とに、第2シートカセット42とは別個に移動可能である。また、搬送ユニット50は、第2シートカセット42が第2引出位置から第2装着位置に向けて移動する場合に、第2シートカセット42により押圧されて第3装着位置に向けて一体的に移動される。また、搬送ユニット50は、第2シートカセット42が第2装着位置に位置する場合に、第3装着位置で第2シートカセット42により第3引出位置に向けた移動を規制される。
【0052】
第2シートカセット42は、搬送ユニット50が第3装着位置にあるとき、第2シートカセット42のみで装置本体10に対する着脱移動が可能である。また、第1シートカセット41は、第2シートカセット42及び搬送ユニット50の装置本体10に対する着脱状態によらず、第1シートカセット41のみで装置本体10に対する着脱移動が可能である。
【0053】
[上ガイド板の開閉可能位置と引込力の発生位置]
上ガイド板53が開状態にできる状態を
図5に示し、開状態にできない状態を
図6に示す。本実施形態では、搬送ユニット50が第2シートカセット42の移動により第3引出位置から第3装着位置に向けて移動された際に、位置P1が位置P2に達するまでの第2シートカセット42の移動範囲を第2範囲Ar2とする。また、引込機構60が第2シートカセット42を第2装着位置に向けて引き込む位置の範囲を、第2装着位置と第2引出位置との間の第1範囲Ar1とする。
【0054】
そして、第1の実施形態と同様に、第2シートカセット42の移動範囲に関して、引込機構60が引込力を発生する第1範囲Ar1と、上ガイド板53が開放可能になる第2範囲Ar2とは、重ならないように設定されている。
【0055】
[引込力の大きさ]
本実施形態では、引込機構60は第2シートカセット42及び搬送ユニット50の両方を同時に引き込む場合がある。この場合、荷重が大きくなるために、第2シートカセット42及び搬送ユニット50を確実に装着位置に戻すことが難しい。そこで、引込機構60の引込力は、シート収容状態における第2シートカセット42を第2装着位置に移動させるのに必要な力と、搬送ユニット50を第3装着位置に移動させるのに必要な力と、を合計した力以上の大きさとしている。即ち、引込機構60の引込力をF1、第2シートカセット42を装着位置へ移動させるために必要な力をF4、搬送ユニット50を装着位置へ移動させるために必要な力をF3とした場合に、F1≧F4+F3の関係を満たすように設定する。
【0056】
上述したように、本実施形態の画像形成装置101によれば、第2シートカセット42を第2装着位置に引き込むことで搬送ユニット50を第3装着位置に引き込むことができるので、1つの引込機構60を兼用することができる。このため、第2シートカセット42及び搬送ユニット50の両方に対して引込機構60を設ける場合に比べて、部品点数の増加や構成の複雑化を抑えることができる。
【0057】
尚、上述した実施形態では、第2シートカセット42と搬送ユニット50とが別個に移動可能である場合について説明したが、これには限られず、例えば、第2シートカセット42と搬送ユニット50とが一体化されて移動するようにしてもよい。この場合、
図7に示すように、搬送ユニット50は、第2シートカセット42と一体化されており、第2シートカセット42と共に移動する。この場合も、引込機構60が引込力を発生する第1範囲Ar1と上ガイド板53が開放可能になる第2範囲Ar2との関係は同様であるため、上述と同様の効果を得ることができる。即ち、搬送ユニット50は、第2シートカセット42と別体か一体かに関わらず、第3装着位置と第3引出位置とに第2シートカセット42の移動方向に沿って移動可能であればよい。また、搬送ユニット50は、第2シートカセット42と別体か一体かに関わらず、第2シートカセット42が第2引出位置から第2装着位置に向けて移動する場合に、第3装着位置に向けて第2シートカセット42と一体的に移動されるものであればよい。
【0058】
<他の実施形態>
上述した実施形態では、搬送ユニット50のシート搬送路を開放可能にする覆い部材として上ガイド板53を適用した場合について説明したが、これには限られない。例えば、搬送部材とは別個のカバー部材を適用してもよい。
【0059】
また、上述した実施形態では、引込機構60を装置本体10に設けているが、これには限られず、例えば、搬送ユニット50側に設けてもよい。また、引込力の発生手段として、引っ張りコイルばねからなるトグルばね63を使用した場合について説明したが、これには限られず、他の付勢手段を広く適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1,101…画像形成装置、4,104…シート給送装置、10…装置本体(筐体)、10a…装着部、14…画像形成部、41…第1シートカセット(第1シート収容部)、42…第2シートカセット(第2シート収容部)、50…搬送ユニット(搬送部)、53…上ガイド板(覆い部材)、60…引込機構(引き込み部)、130…給送部、Ar1…第1範囲、Ar2…第2範囲、S…シート