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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】撮像装置及び撮像システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/66 20230101AFI20240930BHJP
   G03B 7/00 20210101ALI20240930BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240930BHJP
   G03B 17/00 20210101ALI20240930BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20240930BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20240930BHJP
   H04N 23/63 20230101ALI20240930BHJP
【FI】
H04N23/66
G03B7/00
G03B15/00 P
G03B15/00 Q
G03B15/00 U
G03B17/00 B
G03B17/56 A
H04N5/222 100
H04N23/63 300
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020126318
(22)【出願日】2020-07-27
(65)【公開番号】P2022023396
(43)【公開日】2022-02-08
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥村 直人
(72)【発明者】
【氏名】土谷 拓光
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-086799(JP,A)
【文献】特開2019-043473(JP,A)
【文献】特開2016-010145(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/66
H04N 23/63
H04N 5/222
G03B 15/00
G03B 17/00
G03B 17/56
G03B 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーの操作によって被写体を撮影する機能を有する外部装置の撮影位置に関する情報を含む第1の情報を受信する通信手段と、
複数の被写体を俯瞰可能な位置に撮像装置を移動させる移動手段と、
前記複数の被写体を俯瞰可能な位置で撮影を行う撮像手段と、
(1)前記複数の被写体を俯瞰可能な位置で撮影された画像から、前記複数の被写体の位置に関する情報を含む第2の情報を取得し、(2)前記第1の情報および前記第2の情報に基づいて、前記複数の被写体のそれぞれを撮影するための優先度を決定し、(3)前記決定された優先度に基づいて、前記移動手段および前記撮像手段を制御する、制御手段と
を有し、
前記通信手段は、前記外部装置の位置情報を受信し、
前記制御手段は、前記外部装置と前記複数の被写体との距離に基づいて、前記複数の被写体のそれぞれを撮影するための優先度を決定する
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
ユーザーの操作によって被写体を撮影する機能を有する外部装置の撮影位置に関する情報を含む第1の情報を受信する通信手段と、
複数の被写体を俯瞰可能な位置に撮像装置を移動させる移動手段と、
前記複数の被写体を俯瞰可能な位置で撮影を行う撮像手段と、
(1)前記複数の被写体を俯瞰可能な位置で撮影された画像から、前記複数の被写体の位置に関する情報を含む第2の情報を取得し、(2)前記第1の情報および前記第2の情報に基づいて、前記複数の被写体のそれぞれを撮影するための優先度を決定し、(3)前記決定された優先度に基づいて、前記移動手段および前記撮像手段を制御する、制御手段と
を有し、
前記制御手段は、前記外部装置が撮影した第1の被写体の画像が所定の基準を満たさず、前記外部装置が前記第1の被写体とは異なる第2の被写体の撮影を開始した場合、前記第1の被写体の優先度を最高位にする
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
前記第1の情報は、前記撮像装置の撮影範囲の情報、前記複数の被写体に関する情報、前記外部装置により撮影可能な範囲である撮影領域に関する情報、前記外部装置の位置情報、のうち少なくともいずれかを含む
ことを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記複数の被写体の撮像画像を記憶する記憶部をさらに有する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第2の情報は、前記撮像装置の撮影範囲の撮像画像から検出した前記複数の被写体の位置情報を含む
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第2の情報は、前記撮像装置の撮像画像から検出した前記複数の被写体の数を含むことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記第1の情報を用いて、前記外部装置により撮影可能な範囲である撮影領域を算出する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記制御手段は、優先度が高い所定数の被写体を撮影した後、残りの被写体のそれぞれを撮影するための優先度を決定する
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記複数の被写体が撮影済みであることを示す記録情報を前記外部装置に送信する送信手段をさらに有する
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記移動手段は、地上走行及び空中飛行のうち少なくともいずれかの移動を制御する
ことを特徴とする請求項1~9のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記移動手段は、前記撮像装置の撮影範囲において、前記外部装置の位置から最も離れた位置に移動するように制御する
ことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
ユーザーの操作によって被写体を撮影する機能を有する外部装置の撮影位置に関する情報を含む第1の情報を受信する通信ステップと、
複数の被写体を俯瞰可能な位置に撮像装置を移動させる移動ステップと、
前記複数の被写体を俯瞰可能な位置で撮影を行う撮像ステップと、
(1)前記複数の被写体を俯瞰可能な位置で撮影された画像から、前記複数の被写体の位置に関する情報を含む第2の情報を取得し、(2)前記第1の情報および前記第2の情報に基づいて、前記複数の被写体のそれぞれを撮影するための優先度を決定し、(3)前記決定された優先度に基づいて、前記移動ステップにおける前記撮像装置の移動および前記撮像ステップにおける撮影を制御する、制御ステップと
を有し、
前記通信ステップでは、前記外部装置の位置情報を受信し、
前記制御ステップでは、前記外部装置と前記複数の被写体との距離に基づいて、前記複数の被写体のそれぞれを撮影するための優先度を決定する
ことを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項13】
ユーザーの操作によって被写体を撮影する機能を有する外部装置の撮影位置に関する情
報を含む第1の情報を受信する通信ステップと、
複数の被写体を俯瞰可能な位置に撮像装置を移動させる移動ステップと、
前記複数の被写体を俯瞰可能な位置で撮影を行う撮像ステップと、
(1)前記複数の被写体を俯瞰可能な位置で撮影された画像から、前記複数の被写体の位置に関する情報を含む第2の情報を取得し、(2)前記第1の情報および前記第2の情報に基づいて、前記複数の被写体のそれぞれを撮影するための優先度を決定し、(3)前記決定された優先度に基づいて、前記移動ステップにおける前記撮像装置の移動および前記撮像ステップにおける撮影を制御する、制御ステップと
を有し、
前記制御ステップでは、前記外部装置が撮影した第1の被写体の画像が所定の基準を満たさず、前記外部装置が前記第1の被写体とは異なる第2の被写体の撮影を開始した場合、前記第1の被写体の優先度を最高位にする
ことを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項14】
コンピュータを請求項1~11のいずれか一項に記載の撮像装置の各手段として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及び撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のカメラを用いて被写体を撮影する撮像システムが知られている。このような撮像システムでは、各カメラの姿勢制御、撮影制御及び記録データの確認は、人が手動で行うのが一般的であった。しかし、限られた時間内に対象となる被写体をすべて撮影したい場合等に、それぞれのカメラを人が手動で制御し、記録データを確認することには限界があった。このような課題に対し、複数のカメラで情報を共有し、連携することで、被写体を自動で撮影する撮影システムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1は、主カメラが撮影する位置情報を基に従カメラの被写体を決定することで、複数のカメラによる異なる被写体の同時撮影を実現する技術を開示している。また、例えば、特許文献2は、カメラに対して被写体を撮影する構図、及び撮影順序を設定し、撮影画像が撮影指示画像に適合しない場合はユーザーに再撮影を促すことで、所望の画像を過不足なく効率的に撮影する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-101165号公報
【文献】特許第4757832号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の撮影システムは、主カメラが検出した被写体情報に基づいて従カメラの撮影対象を決定するため、主カメラが被写体を見失った場合、従カメラは被写体の探索が困難になる。さらに、従カメラは、主カメラの被写体に近い被写体を追尾するように制御され、広範囲に存在する被写体を同時に撮影するものではない。
【0006】
また、特許文献2の撮影システムは、撮影する被写体、構図、及び撮影順序を予め設定するため、被写体の動きが速い場合や、時間経過に応じて状況が不規則に変化する場合には、設定通りに撮影することが困難な場合がある。
【0007】
本発明は、撮影対象である複数の被写体を、網羅的に撮影することができる撮像装置及び撮像システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、
ユーザーの操作によって被写体を撮影する機能を有する外部装置の撮影位置に関する情報を含む第1の情報を受信する通信手段と、
複数の被写体を俯瞰可能な位置に撮像装置を移動させる移動手段と、
前記複数の被写体を俯瞰可能な位置で撮影を行う撮像手段と、
(1)前記複数の被写体を俯瞰可能な位置で撮影された画像から、前記複数の被写体の位置に関する情報を含む第2の情報を取得し、(2)前記第1の情報および前記第2の情報に基づいて、前記複数の被写体のそれぞれを撮影するための優先度を決定し、(3)前記決定された優先度に基づいて、前記移動手段および前記撮像手段を制御する、制御手段と
を有し、
前記通信手段は、前記外部装置の位置情報を受信し、
前記制御手段は、前記外部装置と前記複数の被写体との距離に基づいて、前記複数の被写体のそれぞれを撮影するための優先度を決定する
ことを特徴とする撮像装置である。
また、本発明の第2の態様は、
ユーザーの操作によって被写体を撮影する機能を有する外部装置の撮影位置に関する情報を含む第1の情報を受信する通信手段と、
複数の被写体を俯瞰可能な位置に撮像装置を移動させる移動手段と、
前記複数の被写体を俯瞰可能な位置で撮影を行う撮像手段と、
(1)前記複数の被写体を俯瞰可能な位置で撮影された画像から、前記複数の被写体の位置に関する情報を含む第2の情報を取得し、(2)前記第1の情報および前記第2の情報に基づいて、前記複数の被写体のそれぞれを撮影するための優先度を決定し、(3)前記決定された優先度に基づいて、前記移動手段および前記撮像手段を制御する、制御手段と
を有し、
前記制御手段は、前記外部装置が撮影した第1の被写体の画像が所定の基準を満たさず、前記外部装置が前記第1の被写体とは異なる第2の被写体の撮影を開始した場合、前記第1の被写体の優先度を最高位にする
ことを特徴とする撮像装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、撮影対象である複数の被写体を、網羅的に撮影することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ドローン及び手持ちカメラの構成を例示するブロック図である。
図2】ドローンと手持ちカメラとの間で送受信する情報を説明する図である。
図3】手持ちカメラへの被写体情報の表示を説明する図である。
図4】実施形態1に係るドローンの撮影処理を例示するフローチャートである。
図5】被写体の撮影優先度の設定を例示する図である。
図6】撮影優先度の設定方法を説明する図である。
図7】実施形態2に係るドローンの撮影処理を例示するフローチャートである。
図8】実施形態3に係るドローンの撮影位置を説明する図である。
図9】実施形態3に係るドローンの撮影処理を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態1>
実施形態1は、無人撮像装置が他の撮像装置と連携して、撮影対象である複数の被写体を網羅的に撮影する撮像システムに関する。無人撮像装置は、他の撮像装置から撮影対象の被写体の情報、被写体が撮影済みか否かを示す記録情報、他の撮像装置による撮影領域の情報等を取得し、撮影対象の被写体を撮影する際の撮影優先度を設定する。無人撮像装置は、設定した撮影優先度に従って被写体を撮影することで、撮影対象の被写体を網羅的に撮影することができる。
【0012】
無人撮像装置は、例えば画角の変更が可能な撮像部を備えるカメラ一体型ドローンであって、地上走行及び空中飛行のうち少なくともいずれかの移動手段を備え、無人での移動が可能である。無人撮像装置は、以下、ドローンと称する。他の撮像装置は、例えば、ユーザーが撮影対象を確認しながら手動で操作し撮影するカメラであって、以下手持ちカメラと称する。なお、他の撮像装置は、手持ちカメラに限られず、三脚に設置したカメラ、またはリモート操作によって撮影するカメラ等も含む。また、他の撮像装置は、無人撮像装置との間で各種情報の送受信ができればよく、無人撮像装置と同様に撮像部を備えるドローンであってもよい。
【0013】
実施形態1では、ドローンは、撮影優先度が設定された被写体を順に撮影する。ドローンは、撮影優先度を設定した被写体の撮影を完了した場合、撮影優先度が最高位の被写体が検出されなくなった場合等に、被写体の撮影優先度を再設定する。ドローンは、撮影優先度を再設定する回数を抑制し、撮影されていない被写体を効率的に撮影することができる。
【0014】
(1.装置構成)
図1は、ドローン及び手持ちカメラの構成を例示するブロック図である。図1(A)は、ドローン100の構成を例示する。図1(B)は、手持ちカメラ200の構成を例示する。
【0015】
(1.1 ドローンの構成)
図1(A)を参照して、ドローン100の構成について説明する。CPU130は、ドローン100全体の制御を司るプロセッサである。記憶部131は、CPU130により実行可能なプログラムを格納する。通信部132は、他の撮像装置(手持ちカメラ)200との間で各種情報を送受信する。
【0016】
データ転送制御部136は、CPU130の指示に基づいて、通信部132と、撮影優先度設定部135との間のデータ転送を制御する。GPS(Global Positioning System)133は、ドローン100の位置を測位し、座標情報を取得する。ジャイロセンサ134は、ドローン100の角速度を検出し、向きの変化を検知する。撮影優先度設定部135は、撮影対象の被写体を撮影する際の撮影優先度を設定する。
【0017】
移動制御装置140は、移動制御部141、モータ制御部151~モータ制御部154、モータ161~モータ164を備える。モータ161~モータ164は、それぞれ図2に示す回転翼101~回転翼104に接続される。ドローン100は、4つの回転翼101~回転翼104を、それぞれのモータで独立にバランスよく回転させることで飛行を実現する。
【0018】
移動制御部141は、移動制御装置140の各部の処理を制御するプロセッサを備える。移動制御部141は、ジャイロセンサ134が検出した情報に基づいて、CPU130の指示により、ドローン100の飛行を制御する。
【0019】
撮像部110は、CPU130の指示により、撮影優先度に基づいて被写体を撮影する。撮像制御部116は、撮像部110の処理を制御するプロセッサを備える。撮像制御部116は、例えば撮影範囲に対するドローン100の位置または高度に応じて、画角の変更を制御することができる。結像光学部111は、レンズ及び絞り等を含み、フォーカス調節及び露出調節を行う。撮像素子112は、光学像を電気信号に変換するCCD等である。画像処理部113は、撮像した画像データに対して、ノイズ低減処理等の各種画像処理を施す。DRAM(Dynamic Random Access Memory)117は、画像データを一時的に格納するためのメモリである。
【0020】
被写体検出部114は、入力される画像から予め登録された撮影対象の被写体を検出する。被写体検出部114は、被写体を検出し、顔の向き、顔の大きさ、撮像画面上での顔の位置等、被写体の各種情報を取得する。被写体検出部114は、ドローン100で撮像した画像、及び通信部132を介して受信した手持ちカメラ200の撮像画像から被写体を検出可能である。記録部115は、ドローン100が撮像した画像等を記録媒体に記録する。
【0021】
被写体情報取得部118は、被写体情報を取得する。被写体情報は、ドローン100と被写体との距離情報、被写体の位置情報、周辺の被写体情報を含む。具体的には、被写体情報取得部118は、ドローン100で撮像した画像情報と、被写体検出部114の検出結果から、ドローン100と被写体との距離を算出する。ドローン100と被写体との距離は、公知の技術で算出可能である。
【0022】
被写体情報取得部118は、算出したドローン100と被写体との距離情報、及びGPS133で取得したドローン100の座標情報から、被写体の位置情報(例えば、被写体の座標)を算出する。算出した被写体の位置情報は、通信部132を介して手持ちカメラ200へ送信される。情報記憶部119は、撮像画像、手持ちカメラ200から受信した情報、撮影優先度設定部135で設定された情報、撮影対象の被写体の情報、及び撮影対象の被写体を撮影したか否かの記録情報を格納する。
【0023】
なお、被写体の撮影条件は、予めドローン100に設定されていてもよく、ユーザーにより手持ちカメラ200を介して設定されてもよい。被写体の撮影条件は、例えば、顔の向き(正面、右顔等)、撮像画像に対する顔の大きさの比率、撮像画像での顔の位置であ
る。本実施形態では、被写体は、正面から撮影するように設定されているものとする。CPU130は、設定された撮影優先度及び撮影条件等から、ドローン100の移動先座標を算出することができる。CPU130は、算出した移動先座標を移動制御部141に通知し、ドローン100の移動を指示する。また、CPU130は、被写体の撮影及び記録を撮像制御部116及び記録部115へ指示する。
【0024】
(1.2 手持ちカメラの構成)
図1(B)を参照して、手持ちカメラ200の構成について説明する。手持ちカメラ200は、ドローン100のように撮影優先度に従って自動で撮影するのではなく、ユーザーの操作によって被写体を撮影する。手持ちカメラ200の構成は、ドローン100の撮像部110と同様の構成であるため、同じ構成については同じ符号を付し、同じ処理についての説明は省略する。
【0025】
撮像制御部206は、手持ちカメラ200の処理を制御するプロセッサを備える。被写体検出部114は、手持ちカメラ200で撮像した画像、及び通信部211を介して受信したドローン100の撮像画像から被写体を検出可能である。
【0026】
記録部205は、手持ちカメラ200が撮像した画像等を記録媒体に記録する。情報記憶部209は、撮像画像、ドローン100から受信した情報、撮影対象の被写体の情報、及び撮影対象の被写体を撮影したか否かの記録情報を格納する。
【0027】
被写体情報取得部208は、ドローン100の被写体情報取得部118と同様に、手持ちカメラ200と被写体との距離情報、被写体の位置情報、周辺の被写体情報、を取得することができる。
【0028】
表示部210は、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示デバイスを含み、撮像画像等を表示デバイスに表示する。また、表示部210は、ユーザーからの指示を受け付けるための操作用ユーザーインターフェイス等を表示する。
【0029】
通信部211は、ドローン100と各種情報を送受信する。GPS212は、手持ちカメラ200の位置を測位し座標情報(位置情報)を取得する。ジャイロセンサ213は、手持ちカメラ200の角速度を検出し、向きの変化を検知する。
【0030】
(2.ドローンと手持ちカメラとの情報の送受信)
図2は、ドローンと手持ちカメラとの間で送受信する情報を説明する図である。ドローン100と手持ちカメラ200とは、WiFi等の無線通信により各種情報の送受信が可能である。
【0031】
手持ちカメラ200は、撮影範囲情報及び手持ちカメラ200で撮影した被写体の記録情報等をドローン100へ送信する。撮影範囲情報及び記録情報は、撮影優先度を設定するための情報である。
【0032】
撮影範囲情報は、手持ちカメラ200の撮影位置に関する情報、ドローン100での撮影範囲の情報、手持ちカメラ200の位置情報、手持ちカメラ200の向いている方位、センササイズ、焦点距離等の、撮影領域に関する情報を含む。手持ちカメラ200の位置(座標)は、GPS212の情報から取得可能である。手持ちカメラ200の向いている方位は、ジャイロセンサ213の検出結果から取得可能である。また、記録情報は、予め登録された撮影対象を撮影し、撮影した画像を記録部205により情報記憶部209等に記録済みか否かに関する情報である。
【0033】
ドローン100は、ドローン100で撮影した被写体の記録情報等を手持ちカメラ200へ送信する。記録情報は、予め登録された撮影対象を撮影し、撮影した画像を記録部115により情報記憶部119等に記録したか否かに関する情報である。
【0034】
(3.被写体情報の表示)
図3は、手持ちカメラ200への被写体情報の表示を説明する図である。ここでの被写体情報は、撮影対象の被写体が撮影済み(記録済み)であるか否かを示す情報である。手持ちカメラ200は、表示部210(液晶表示画面)に表示されるライブビュー画像(LV画像)で、撮影対象の被写体の中で未撮影の被写体を、ユーザーが識別できるように表示する。
【0035】
図3(A)は、撮影対象の被写体の判別に使用される画像を集めた被写体リストである。手持ちカメラ200は、LV画像から検出した被写体を、被写体リストと照合して、検出した被写体が撮影対象か否かを判定することができる。被写体リストは、予め手持ちカメラ200の情報記憶部209及びドローン100の情報記憶部119等に登録される。なお、ドローン100は、撮影を開始する前に手持ちカメラ200から被写体リストを取得するようにしてもよい。
【0036】
また、被写体リストは、撮影対象の被写体の画像を、「未撮影」、「ドローンで撮影済」、「手持ちカメラで撮影済」のような撮影済みか否かを示す記録情報と対応づけて、登録されてもよい。手持ちカメラ200は、「未撮影」の被写体を撮影すると、情報記憶部209に登録された被写体リストで、当該被写体の記録情報を「手持ちカメラで撮影済」に更新する。手持ちカメラ200は、更新した記録情報をドローン100に送信する。ドローン100は、手持ちカメラ200から受信した記録情報に基づいて、情報記憶部119に登録された被写体リストの記録情報を更新する。
【0037】
同様に、ドローン100は、「未撮影」の被写体を撮影すると、情報記憶部119に登録された被写体リストで、当該被写体の記録情報を「ドローンで撮影済」に更新する。ドローン100は、更新した記録情報を手持ちカメラ200に送信する。手持ちカメラ200は、ドローン100から受信した記録情報に基づいて、情報記憶部209に登録された被写体リストの記録情報を更新する。
【0038】
図3(B)は、手持ちカメラ200のLV画像を例示する図である。手持ちカメラ200は、LV画像300で検出された被写体を図3(A)に示す被写体リストと照合する。手持ちカメラ200は、例えば、公知の顔認証の技術の他、身体または服装等の特徴を用いて、検出された被写体と被写体リストに含まれる被写体とを照合することができる。検出した被写体が被写体リストに存在し、手持ちカメラで撮影されていない場合、手持ちカメラ200は、LV画像300で検出した被写体の顔に実線枠301を表示する。
【0039】
また、検出した被写体が被写体リストに存在し、ドローン100で撮影済である場合、手持ちカメラ200は、LV画像300で検出した被写体の顔に破線枠302を表示する。
【0040】
図3(B)の例では、手持ちカメラ200によって撮影可能な範囲である撮影領域には、被写体A、被写体B、被写体Cが存在する。図3(A)の被写体リストによれば、被写体Aは「未撮影」、被写体Bは「ドローンで撮影済」、被写体Cは「手持ちカメラで撮影済」である。したがって、被写体A及び被写体Bは、手持ちカメラ200では撮影されていないため実線枠301で顔が囲まれる。また、被写体Bは、ドローン100で撮影済であるため、さらに破線枠302で顔が囲まれる。このように、手持ちカメラ200のLV画像300で、未撮影の被写体が識別できるように通知することで、ユーザーは、未撮影
の被写体を優先的に探索し、撮影することができる。
【0041】
なお、未撮影の被写体をユーザーに通知する方法は、上記に限られない。例えば、手持ちカメラ200は、手持ちカメラ200でもドローン100でも未撮影の被写体(図3(B)の例では被写体A)のみ枠で囲むようにしてもよい。
【0042】
(4.撮影処理の流れ)
図4は、実施形態1に係るドローンの撮影処理を例示するフローチャートである。図4に示す撮影処理は、例えば、手持ちカメラ200の電源が入り、ユーザーから起動の指示を受信することにより開始される。
【0043】
S401では、ドローン100のCPU130は、ユーザーから起動の指示を受け付ける。CPU130は、ドローン100を起動し、撮影範囲情報及び記録情報を初期化する。撮影範囲情報及び記録情報は、予めドローン100に登録された情報であってもよく、起動時に手持ちカメラ200から受信した情報であってもよい。手持ちカメラ200から記録情報等を受信しなかった場合、CPU130は、情報記憶部119に登録された被写体リストの各被写体を、未撮影の状態に設定して初期化してもよい。
【0044】
S402では、CPU130は、移動制御装置140に対し、ドローン100を撮影対象の被写体を俯瞰可能な位置(以下、俯瞰位置と称する)に移動させるように指示をする。俯瞰位置は、ドローン100が撮影対象とする範囲を俯瞰可能な位置である。ドローン100が撮影対象とする範囲は、予め登録されているか、または手持ちカメラ200から取得可能である。ドローン100の移動が完了すると、移動制御装置140は、移動が完了したことをCPU130に通知する。
【0045】
S403では、CPU130は、通信部132を介して、手持ちカメラ200から撮影範囲情報及び記録情報を取得する。手持ちカメラ200から受信する情報は、第1の情報に相当する。CPU130は、撮影範囲情報から手持ちカメラ200の撮影領域を算出する。撮影領域は、センササイズ及び焦点距離から推定される画角、手持ちカメラ200の座標及び方位から公知の手法により算出可能である。なお、ドローン100は、手持ちカメラ200を探索し、座標及び方位を取得してもよい。この場合、ドローン100は、予め登録されたセンササイズ及び焦点距離の値を用いて、手持ちカメラ200の撮影領域を算出することができる。
【0046】
S404では、CPU130は、撮像制御部116へ俯瞰位置からの撮影を指示する。撮像制御部116は、俯瞰位置から俯瞰画像を撮影する。
【0047】
S405では、CPU130は、被写体検出部114及び被写体情報取得部118に対し、俯瞰画像から被写体情報を取得するように指示する。被写体情報は、第2の情報に相当する。被写体検出部114は、S404で撮影した俯瞰画像と、予め登録されている撮影対象の被写体情報(被写体リスト)から、撮影対象の被写体を検出する。被写体情報取得部118は、被写体検出部114が検出した撮影対象の被写体の位置、及び周辺に存在する他の被写体の数、ドローン100と検出した被写体との距離を取得する。なお、ドローン100は、内蔵するGPS133の情報、被写体との距離等から被写体の位置を算出することができる。
【0048】
被写体情報取得部118は、被写体の位置といった俯瞰画像から取得した被写体情報を、それぞれの被写体と対応づけて被写体リストに記録してもよい。被写体情報取得部118は、情報記憶部119に記録された情報を参照することで、被写体情報を取得する処理の負荷を低減することができる。
【0049】
S406では、CPU130は、撮影優先度設定部135に、撮影対象の被写体を撮影する順序を判定するための優先度の設定を指示する。撮影優先度設定部135は、S405で取得した被写体の位置、周辺に存在する他の被写体数、手持ちカメラ200の撮影領域、記録情報等から、検出した撮影対象の被写体の撮影優先度を設定する。
【0050】
ここで、図5及び図6を参照して、撮影優先度の設定について説明する。図5は、被写体の撮影優先度の設定を例示する図である。図6は、撮影優先度の設定方法を説明する図である。図5は、図6で説明する方法により被写体の撮影優先度を設定した例を示す。
【0051】
図5は、ドローン100が撮影対象とする範囲の俯瞰画像を示す。俯瞰画像には、被写体Aから被写体Hまでの8人の被写体が写っている。以下、被写体Aから被写体Hは、A、Hのようにアルファベットで示す場合がある。図5の例は、被写体Aから被写体Hの撮影優先度が、図6で説明する方法により、A→B→C→E→G→F→D→Hの順に設定されたことを示す。即ち、ドローン100は、番号を付した矢印で示すルートに沿って移動し、被写体を撮影する。
【0052】
図6を参照して、被写体の撮影優先度を設定する方法を具体的に説明する。図6(A)は、被写体Aから被写体Hの撮影優先度を、5つの評価項目による評価結果に基づいて設定する手順を示す。図6(B)は、撮影優先度を設定した後の被写体リストの例である。
【0053】
図6(A)に示す例では、撮影優先度を設定するための評価項目は、以下の5項目である。
1.手持ちカメラと被写体間の距離
2.周辺の被写体数
3.撮影領域(内/外)
4.記録情報(撮影未/済)
5.ドローンと被写体間の距離
【0054】
図6(A)では、撮影優先度設定部135は、評価項目1から評価項目5の順に評価をして、被写体の撮影優先度を設定する。なお、撮影優先度設定部135は、各評価項目をどのような順序で評価して撮影優先度を設定してもよく、一部の評価項目を用いて撮影優先度を設定してもよい。
【0055】
評価項目1:手持ちカメラと被写体間の距離
評価項目1は、撮影対象の被写体と手持ちカメラ200との間の距離である。撮影優先度設定部135は、S403で取得した手持ちカメラ200の位置、及びS405で検出した被写体の位置から、各被写体と手持ちカメラ200との距離を算出する。手持ちカメラ200で撮影するユーザーから離れた位置にいる被写体は、取り逃しが発生する確率が高くなる。このため、撮影優先度設定部135は、算出した手持ちカメラ200と各被写体間の距離が大きい順に、撮影優先度を設定する。
【0056】
図5に示すように、手持ちカメラ200から各被写体までの距離は、A→(B、C、D、E)→(F、G)→Hの順に近くなっている。したがって、図6(A)に示すように、各被写体の撮影優先度は、A→(B、C、D、E)→(F、G)→Hの順に設定される。評価項目1による評価では、被写体B、C、D、Eの撮影優先度は、手持ちカメラ200までの距離が略等しいため、同じ優先度に設定される。同様に、被写体F、Gの撮影優先度は、同じ優先度に設定される。
【0057】
評価項目2:周辺の被写体数
評価項目2は、撮影対象の被写体の周辺にいる他の被写体の数である。撮影優先度設定部135は、撮影対象の被写体の周辺に存在する他の被写体の数を取得する。撮影対象の被写体の周辺が混雑していると、ユーザーは、所望の画角で撮影することが困難となる。このため、撮影優先度設定部135は、同じ優先度に設定された被写体について、周辺に存在する他の被写体が多い順に撮影優先度を設定する。
【0058】
図5に示すように、被写体Aの周辺の被写体数は8、被写体Bの周辺の被写体数は6、被写体C、D、Eの周辺の被写体数は4である。また、被写体Fの周辺の被写体数は3、被写体Gの周辺の被写体数は2、被写体Hの周辺の被写体数は1である。したがって、各被写体の撮影優先度は、図6(A)に示すように、A→B→(C、D、E)→F→G→Hの順に設定される。
【0059】
評価項目3:撮影領域(内/外)
評価項目3は、撮影対象の被写体が手持ちカメラ200の撮影領域内に存在するか撮影領域外に存在するかを評価する項目である。S403で算出した手持ちカメラ200の撮影領域の中に存在する被写体は、手持ちカメラ200によって撮影される可能性がある。このため、撮影領域内に存在する被写体の撮影優先度は、撮影領域外の被写体の撮影優先度よりも低位に設定される。
【0060】
図5の例では、被写体F、Hは、カメラ200の撮影領域内に存在する。それ以外の被写体は、カメラ200の撮影領域外に存在する。したがって、撮影領域外に存在する被写体A~E、Gの撮影優先度は、被写体F、Hよりも高く設定される。この場合、撮影領域内に存在する複数の被写体間の撮影優先度、及び撮影領域外に存在する複数の被写体間の撮影優先度は、評価項目1及び評価項目2で設定された順序のまま変更されない。評価項目3による評価後の各被写体の撮影優先度は、図6(A)に示すように、A→B→(C、D、E)→G→F→Hの順に設定される。
【0061】
評価項目4:記録情報(撮影未/済)
評価項目4は、被写体が撮影済みか否か、即ち、ドローン100または手持ちカメラ200で撮影され、情報記憶部119に記録情報が記録されているか否かを評価する項目である。未撮影の被写体を優先的に撮影しないと限られた時間内での取り逃しが発生する可能性がある。このため、情報記憶部119に格納された記録情報で撮影済みとなっている被写体の撮影優先度は、未撮影となっている被写体の撮影優先度よりも低位に設定される。
【0062】
図5の例では、被写体D、Hは撮影済みとなっている。したがって、被写体D、Hの撮影優先度は、他の被写体よりも低く設定される。この場合、撮影済みとなっている複数の被写体間の撮影優先度、及び未撮影となっている被写体間の撮影優先度は、評価項目1から評価項目3で設定された順序のまま変更されない。評価項目4による評価後の各被写体の撮影優先度は、図6(A)に示すように、A→B→(C、E)→G→F→D→Hの順に設定される。
【0063】
評価項目5:ドローンと被写体間の距離
評価項目5は、ドローンと撮影対象の被写体間の距離である。評価項目1から評価項目4までの設定後に、撮影優先度が同じ被写体が複数存在する場合、撮影優先度設定部135は、ドローン100からそれぞれの被写体までの距離を算出し、距離が近い順に撮影優先度を設定する。図5及び図6(A)の例では、被写体Cまでの距離は、被写体Eまでの距離よりも近いため、被写体Cの撮影優先度が高く設定される。
【0064】
さらに、評価項目1から評価項目5までの設定後に、撮影優先度が同じ被写体が複数存
在する場合、撮影優先度設定部135は、該当する被写体の撮影優先度をIDの昇順に設定する。被写体のIDは、図6(B)に示すように、撮影対象の被写体を識別するために付与されるIDである。被写体のIDは、例えば、撮影対象の被写体を被写体リストに登録する際に付与される。
【0065】
図6(B)に示すように各被写体に撮影優先度が設定されると、ドローン100は、撮影優先度の高い被写体から順に撮影する。なお、撮影優先度の設定は、上記の方法に限られない。撮影優先度設定部135は、各評価項目のうち一部の評価項目を用いて撮影優先度を設定してもよく、また、各評価項目による評価の順序を入れかえて撮影優先度を設定してもよい。さらに、撮影優先度設定部135は、図6(A)で説明したように、各評価項目を順番に適用するのではなく、評価項目ごとに重みづけをして各被写体の評価結果を算出して、撮影優先度を設定してもよい。
【0066】
図4のS407では、CPU130は、移動制御装置140及び被写体検出部114に対し、次に撮影する被写体を探索するように指示する。探索対象の被写体は、撮影対象の被写体のうち、探索及び撮影済みの被写体を除いて、撮影優先度が最も高い被写体である。移動制御装置140は、探索対象の被写体の位置まで移動する。また、被写体検出部114は、ドローン100の移動中、探索対象の被写体を検出する。
【0067】
S408では、CPU130は、被写体検出部114が探索対象の被写体を検出したか否かを判定する。探索対象の被写体を検出した場合(S408:Y)、処理はS409に進む。探索対象の被写体が検出されなかった場合(S408:N)、処理はS411に進む。
【0068】
S409では、CPU130は、移動制御装置140に対して撮影位置への移動を指示する。撮影位置は、検出した被写体の位置、及び予め設定された撮影条件に基づいて決定される。撮影条件は、例えば、画角、撮像画像に対する被写体の顔の大きさの比率、撮像画像での被写体の顔の位置である。また、CPU130は、撮像部110に対して、検出した被写体を撮影し、撮影した画像及び撮影済みであることを情報記憶部119に記録するように指示する。S410では、CPU130は、情報記憶部119に記録した被写体の記録情報を、通信部132を介して手持ちカメラ200に送信する。
【0069】
S411では、CPU130は、ドローン100が探索対象の被写体の位置に到達しているか否かを判定する。ドローン100が探索対象の被写体の位置に到達している場合(S411:Y)、処理はS402に戻る。即ち、撮影位置への移動中に探索対象の被写体が見つからなかったため、CPU130は、ドローン100を俯瞰位置まで移動させ、再度、撮影優先度を設定する処理を実行する。なお、CPU130は、S402に戻らず、次に撮影優先度の高い被写体を探索対象として処理を続けてもよい。
【0070】
S411で、ドローン100が探索対象の被写体の位置(例えば、被写体の座標)に到達していない場合(S411:N)、処理はS407に戻る。即ち、CPU130は、探索対象の被写体の位置に到達するまでの間、探索を継続する。
【0071】
S412では、CPU130は、撮影優先度を設定したすべての被写体の記録が完了したか否かを判定する。撮影優先度を設定したすべての被写体の記録が完了した場合(S412:Y)、処理はS413に進む。撮影優先度を設定したすべての被写体の記録が完了していない場合(S412:N)、処理はS407に戻る。CPU130は、次の撮影優先度の被写体を探索し、S412までの処理を繰り返す。
【0072】
S413では、CPU130は、撮影対象の全被写体の記録が完了したか否かを判定す
る。撮影対象の全被写体の記録が完了した場合(S413:Y)、処理はS414に進む。撮影対象の全被写体の記録が完了していない場合(S413:N)、例えば、撮影対象の被写体のうち、S405で被写体情報が取得されなかった被写体が存在する場合、処理はS402に戻り、S412までの処理が実行される。
【0073】
S414では、CPU130は、ユーザーから停止の指示が出されたか否かを判定する。ユーザーから停止の指示が出された場合(S414:Y)、図4に示すドローン100の撮影処理は終了する。この場合、CPU130は、ドローン100を所定の待機位置またはユーザーが指示した位置に移動させる。
【0074】
ユーザーから停止の指示が出されない場合(S414:N)、処理はS402に戻る。この場合、CPU130は、ドローン100を俯瞰位置まで移動させ、撮影処理を繰り返す。また、撮影対象の全被写体の記録が完了後にS402へ戻った場合には、CPU130は、被写体リストの各被写体を未撮影の状態に設定することで、同様の処理を繰り返すことができる。
【0075】
上記の実施形態1では、ドローン100は、手持ちカメラ200による撮影が困難な位置にある等、撮り逃しが発生しやすい被写体を優先的に撮影する。これによりユーザーは、撮影対象の被写体の撮り逃しを減らすことができる。また、ドローン100は、手持ちカメラ200の状態及び被写体周辺の状態を、撮影前に取得して撮影順序(撮影優先度)に反映させる。このため、ユーザーは、複数の被写体を効率的に撮影し、短時間で網羅的に撮影することができる。
【0076】
<実施形態2>
実施形態2では、ドローン100は、撮影優先度が最高位の被写体を記録する度に、撮影優先度を再設定する。実施形態2におけるドローン100及び手持ちカメラ200の構成は、実施形態1と同じであるため、説明は省略する。
【0077】
実施形態2は、例えば、時間経過に伴って、手持ちカメラ200の位置及び撮影シーンが著しく変化する場合に適用することができる。ドローン100は、実施形態1と同様に、撮影対象の被写体に対する撮影優先度を設定し、撮影優先度の順に被写体を撮影する。しかしながら、手持ちカメラ200及び撮影シーンが時々刻々と変化する場合、これらの変化に応じて撮影優先度は変化する。手持ちカメラ200及び撮影シーンが時々刻々と変化する状況で、撮影優先度を再設定することなく下位の被写体まで撮影しようとすると、ドローン100は、被写体を見失ったり、手持ちカメラ200との効果的な連携が妨げられたりする場合がある。
【0078】
そこで、実施形態2では、ドローン100は、撮影優先度が最高位の被写体を記録する度に、撮影優先度を再設定する。なお、優先度の高い方から順に所定数の被写体を撮影し、撮影優先度を再設定するようにしてもよい。所定数は、例えば、撮影対象の被写体の人数に応じて、全部でもよく、一部でも1つでもよい。
【0079】
実施形態2におけるドローン100の撮影優先度の設定方法は、図5及び図6を用いて実施形態1で説明した方法と同じであるため、説明は省略する。図7を参照して、実施形態2に係るドローン100の撮影処理について説明する。
【0080】
図7は、実施形態2に係るドローン100の撮影処理を例示するフローチャートである。図4に示す実施形態1に係るドローンの撮影処理と同じ処理(S401~S411)については、同じ符号を付して説明は省略する。S401~S410までの処理により、最高位の撮影優先度の被写体が撮影され、記録情報が手持ちカメラ200に送信されると、
処理はS701に進む。
【0081】
S701では、CPU130は、撮影対象の全被写体の記録が完了したか否かを判定する。撮影対象の全被写体の記録が完了した場合(S701:Y)、処理はS702に進む。撮影対象の全被写体の記録が完了していない場合(S701:N)、処理はS402に戻る。CPU130は、被写体の撮影優先度を再設定し、最高位の撮影優先度の被写体を撮影して記録する処理を繰り返し実行する。
【0082】
S702では、CPU130は、ユーザーから停止の指示が出されたか否かを判定する。ユーザーから停止の指示が出された場合(S702:Y)、図7に示すドローン100の撮影処理は終了する。この場合、CPU130は、ドローン100を所定の待機位置またはユーザーが指示した位置に移動させる。
【0083】
ユーザーから停止の指示が出されない場合(S702:N)、処理はS402に戻る。この場合、CPU130は、ドローン100を俯瞰位置まで移動させ、撮影処理を繰り返す。
【0084】
なお、図7に示す撮影処理では、ドローン100は、撮影優先度が最高位の被写体を撮影すると、撮影優先度を再設定するが、これに限られない。ドローン100は、撮影優先度が上位所定数の被写体を撮影するごとに、撮影優先度を再設定するようにしてもよい。
【0085】
上記の実施形態2では、ドローン100は、実施形態1の場合よりも短期間で撮影優先度の設定を繰り返す。このため、ドローン100は、手持ちカメラ200から撮影が困難な被写体をリアルタイムで判定し、撮影優先度に反映することができる。また、ドローン100は、被写体の移動が速く、撮影シーンが時間経過に伴い著しく変化する場合であっても、状況の変化をリアルタイムに撮影優先度に反映することができる。このように、ユーザーは、より効率的な複数カメラ間での連携を実現し、撮影対象の撮り逃しを抑制することができる。
【0086】
<実施形態3>
実施形態3は、手持ちカメラ200からより離れた被写体を優先して撮影する実施形態である。撮影範囲が広い場合、または手持ちカメラ200が重い機材を有し移動が困難な場合であっても、ドローン100は、手持ちカメラ200から離れた被写体を優先的に撮影することで、撮影対象の撮り逃しを防ぐことができる。
【0087】
図8は、実施形態3に係るドローン100の撮影位置を説明する図である。撮影範囲800は、予めドローン100に設定されていてもよく、手持ちカメラ200から取得されたものであってもよい。
【0088】
ドローン100は、手持ちカメラ200の位置情報を取得し、撮影範囲800の中で、手持ちカメラ200との距離が最も離れた位置に移動して待機する。ドローン100は、例えば、所定の時間間隔で手持ちカメラ200の位置情報を取得することにより、手持ちカメラ200との距離が離れた位置に移動することができる。なお、ドローン100は、手持ちカメラ200が移動した場合に、手持ちカメラ200から移動後の座標を受信するようにしてもよい。
【0089】
図8の例では、手持ちカメラ200は、撮影位置801で被写体Dを撮影している。ドローン100は、撮影範囲800の対角線上の反対側の撮影位置802(待機位置)に移動する。ドローン100は、撮影範囲800内に存在する撮影対象の被写体A~Hのうち、ドローン100に近い被写体から検出する。ドローン100は、撮影範囲800内で手
持ちカメラ200から最も離れた被写体Aを撮影し、情報記憶部119に記録する。
【0090】
また、手持ちカメラ200が撮影位置803に移動し、被写体Bを撮影しようとした場合、ドローン100は、撮影位置804(待機位置)に移動する。ドローン100は、撮影範囲800内で手持ちカメラ200から最も離れた被写体Cを撮影し、情報記憶部119に記録する。このように、手持ちカメラ200から離れた位置に存在し取り逃しの可能性がある被写体を、ドローン100が撮影することにより、ユーザーは、撮影対象の被写体を網羅的に撮影することができる。
【0091】
図9は、実施形態3に係るドローンの撮影処理を例示するフローチャートである。図9に示す撮影処理は、例えば、手持ちカメラ200の電源が入り、ユーザーから起動の指示を受信することにより開始される。
【0092】
S901では、ドローン100のCPU130は、ユーザーから起動の指示を受け付ける。S902では、CPU130は、通信部132を介して手持ちカメラ200の位置情報を取得する。S903では、CPU130は、移動制御部141に対し、撮影範囲800内で手持ちカメラ200から最も離れた位置(待機位置)へドローン100を移動させるように指示する。なお、ドローン100は、手持ちカメラ200から所定距離以上離れた位置に移動するようにしてもよい。
【0093】
S904では、CPU130は、被写体検出部114に対し、予め登録されている撮影対象の被写体を探索するように指示する。ドローン100は、撮影範囲800内で手持ちカメラ200から最も離れた位置に移動しているため、手持ちカメラ200から最も離れた被写体を検出することができる。なお、ドローン100は、撮影済みの被写体を除いて、手持ちカメラ200から最も離れた被写体を撮影するようにしてもよい。
【0094】
S905では、CPU130は、撮影対象の被写体のうち、いずれかの被写体が検出されたか否かを判定する。被写体が検出された場合(S905:Y)、処理はS906に進む。被写体が検出されなかった場合(S905:N)、処理はS902に戻る。
【0095】
S906では、CPU130は、移動制御装置140に対して撮影位置への移動を指示する。撮影位置は、検出した被写体の位置、及び予め設定された撮影条件に基づいて決定される。撮影条件は、例えば、画角、撮像画像に対する被写体の顔の大きさの比率、撮像画像での被写体の顔の位置である。また、CPU130は、記録部115に対して、検出した被写体を撮影し、撮影した画像及び撮影済みであることを情報記憶部119に記録するように指示する。
【0096】
S907では、CPU130は、情報記憶部119に記録した被写体の記録情報を、通信部132を介して手持ちカメラ200に送信する。S908では、CPU130は、記録済みの被写体を撮影対象から除外し、撮影対象でないことを情報記憶部119に記録する。
【0097】
S909では、CPU130は、撮影対象の全撮影対象の記録が完了したか否かを判定する。撮影対象の全被写体の記録が完了した場合(S909:Y)、処理はS910に進む。撮影対象の全被写体の記録が完了していない場合(S909:N)していない場合()、処理はS911に進む。
【0098】
S910では、CPU130は、ユーザーから停止の指示が出されたか否かを判定する。ユーザーから停止の指示が出された場合(S910:Y)、ドローン100は動作を停止し、図9に示す撮影処理は終了する。ユーザーから停止の指示が出されない場合(S9
10:N)、処理はS911に進む。
【0099】
S911では、CPU130は、S908で撮影対象から除外した被写体を元に戻し再度撮影対象とする。処理はS902に戻り、S910でユーザーが停止の指示をするまで、S902以降の撮影処理が繰り返される。
【0100】
上記の実施形態3では、ドローン100は、手持ちカメラ200から離れた地点に移動して、撮影対象の被写体を撮影する。これにより、手持ちカメラ200が取り逃す可能性のある被写体をドローン100が撮影し、ユーザーは、撮影対象の被写体を網羅的に撮影することができる。
【0101】
<その他の実施形態>
なお、上記の各実施形態は、ドローン100及び手持ちカメラ200が連携して撮影をする例を示すが、撮像装置は、ドローン100及び手持ちカメラ200に限られない。撮像装置は、相互にデータの送受信が可能な通信手段、及び被写体の撮影が可能な撮影手段を有し、連携して撮影対象の被写体を撮影することができる装置であればよい。また、連携して被写体を撮影する撮像装置の数は、ドローン100と手持ちカメラ200の2台に限られない。3台以上の撮像装置が連携して、撮影対象の被写体を撮影してもよい。
【0102】
また、撮影対象の被写体は、予め登録されているものとして説明したが、ユーザーにより手動で追加及び削除等の変更ができるようにしてもよい。
【0103】
また、ドローン100が被写体を撮影する際の撮影条件は、予めドローン100設定されている場合に限られない。撮影条件は、手持ちカメラ200の操作部を介してユーザーが設定できるようにしてもよい。また、ドローン100は、手持ちカメラ200に予め設定された撮影条件を取得してもよい。
【0104】
また、ドローン100による撮影範囲または移動範囲は、予め登録された範囲であってもよく、手持ちカメラ200との間で通信可能な範囲としてもよい。
【0105】
また、手持ちカメラ200の撮影領域は、センササイズ、焦点距離、座標、方位から算出する例を示したが、この方法に限られない。例えば、手持ちカメラ200の撮影領域は、F値のボケの効果を反映させて算出してもよい。
【0106】
また、撮影優先度を設定するために用いる評価項目として、実施形態1の説明では評価項目1から評価項目5が例示されるが、これに限られない。撮影優先度設定部135は、一部の評価項目を使用せずに撮影優先度を設定してもよく、撮影範囲の俯瞰画像から取得した情報または手持ちカメラ200から受信した情報に基づいて、新たな評価項目を使用してもよい。
【0107】
また、ドローン100は、探索対象の被写体の位置に移動するまで当該被写体を検出しなかった場合に、撮影処理の最初に戻り撮影優先度を再設定するが、これに限られない。ドローン100は、探索開始後、所定の探索時間が経過するまでに被写体を検出しなかった場合に、撮影処理の最初に戻り撮影優先度を再設定するようにしてもよい。
【0108】
また、ドローン100は、記録情報とともに手持ちカメラ200で撮影された被写体の画像を受信し、受信した被写体の画像が、大きさ、画角、ブレ等について所定の基準を満たすか否かを判定してもよい。所定の基準を満たしていない場合、即ち手持ちカメラ200が撮影に失敗した場合、ドローン100は、当該被写体を撮影済みでないものとして、各被写体の撮影優先度を設定してもよい。さらに、手持ちカメラ200が撮影に失敗した
被写体の撮影を停止し、当該被写体とは異なる被写体を撮影し始めた場合、ドローン100は、撮影に失敗した被写体の撮影優先度を最高位に設定して撮影処理を継続するようにしてもよい。なお、ドローン100は、撮影に失敗した被写体だけでなく、他の被写体の撮影優先度も再設定をして撮影処理を継続するようにしてもよい。
【0109】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0110】
100:ドローン(撮像装置)
200:手持ちカメラ(他の撮像装置)
110:撮像部
116:撮像制御部
114:被写体検出部
118:被写体情報取得部
119:情報記憶部
130:CPU
132:通信部
135:撮影優先度設定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9