(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240930BHJP
【FI】
G06F3/12 339
G06F3/12 355
G06F3/12 357
G06F3/12 305
(21)【出願番号】P 2020130028
(22)【出願日】2020-07-31
【審査請求日】2023-07-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002767
【氏名又は名称】弁理士法人ひのき国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊地 洋史
【審査官】征矢 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-028403(JP,A)
【文献】特開2017-204120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/12
B41J29/00-29/70
H04N1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置の制御方法であって、
所定の印刷設定項目の設定値を設定するユーザ操作を受け付ける受付工程と、
他のユーザ操作に従って、前記所定の印刷設定項目の設定値を前記受付工程において受け付けた前記ユーザ操作により設定された設定値に固定する機能を有効にする
制御工程と、
複数の設定項目の設定値を一括で設定するための識別情報を前記情報処理装置の表示部に表示させる表示制御工程と、
前記複数の設定項目が前記所定の印刷設定項目を含まないことに基づいて、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第1の識別情報
の選択
をできるようにし、
前記複数の設定項目が前記所定の印刷設定項目を含み、前記所定の印刷設定項目の設定値が固定された前記設定値とは異なることに基づいて、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第2の識別情報の選択をできないようにし、前記複数の設定項目が前記所定の印刷設定項目を含み、前記所定の印刷設定項目の設定値が固定された前記設定値と同じである場合に、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第3の識別情報の選択をできるようにする第2の制御工程と、を有することを特徴とする制御方法。
【請求項2】
前記表示制御工程では、前記複数の設定項目が前記所定の印刷設定項目を含まないことに基づいて、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第1の識別情報の選択をできるように前記表示部に表示させ、前記複数の設定項目が前記所定の印刷設定項目を含み、前記所定の印刷設定項目の設定値が固定された前記設定値とは異なることに基づいて、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第2の識別情報の選択をできないように前記表示部に表示させ、前記複数の設定項目が前記所定の印刷設定項目を含み、前記所定の印刷設定項目の設定値が固定された前記設定値と同じである場合に、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第3の識別情報の選択をできるように前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記表示制御工程では、前記第2の識別情報を前記表示部にグレーアウトした状態で表示させることを特徴とする請求項
2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記機能が有効である場合、前記機能が有効であることを示す画像を前記情報処理装置の表示部に表示させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項5】
前記所定の印刷設定項目は、カラーモードを設定する設定項目であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項6】
前記
第1の識別情報
、前記第2の識別情報、及び前記第3の識別情報は、
複数の設定項目の設定値を一括で設定するお気に入り設定機能におけるお気に入りの名称であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項7】
所定の印刷設定項目の設定値を設定するユーザ操作を受け付ける受付手段と、
他のユーザ操作に従って、前記所定の印刷設定項目の設定値を前記受付手段により受け付けられた前記ユーザ操作により設定された設定値に固定する機能を有効にする
制御手段と、
複数の設定項目の設定値を一括で設定するための識別情報を情報処理装置の表示部に表示させる表示制御手段と、を有し、
前記複数の設定項目が前記所定の印刷設定項目を含まないことに基づいて、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第1の識別情報
の選択
をできるようにし、
前記複数の設定項目が前記所定の印刷設定項目を含み、前記所定の印刷設定項目の設定値が固定された前記設定値とは異なることに基づいて、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第2の識別情報の選択をできないようにし、前記複数の設定項目が前記所定の印刷設定項目を含み、前記所定の印刷設定項目の設定値が固定された前記設定値と同じである場合に、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第3の識別情報の選択をできるようにする第2の制御手段と、を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、
前記複数の設定項目が前記所定の印刷設定項目を含まないことに基づいて、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第1の識別情報の選択をできるように前記表示部に表示させ、前記複数の設定項目が前記所定の印刷設定項目を含み、前記所定の印刷設定項目の設定値が固定された前記設定値とは異なることに基づいて、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第2の識別情報の選択をできないように前記表示部に表示させ、前記複数の設定項目が前記所定の印刷設定項目を含み、前記所定の印刷設定項目の設定値が固定された前記設定値と同じである場合に、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第3の識別情報の選択をできるように前記表示部に表示させることを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記表示制御手段は、前記第2の識別情報を前記表示部にグレーアウトした状態で表示させることを特徴とする請求項
8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記表示制御手段は、前記機能が有効である場合、前記機能が有効であることを示す画像を前記情報処理装置の表示部に表示させることを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記所定の印刷設定項目は、カラーモードを設定する設定項目であることを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記
第1の識別情報
、前記第2の識別情報、及び前記第3の識別情報は、
複数の設定項目の設定値を一括で設定するお気に入り設定機能におけるお気に入りの名称であることを特徴とする請求項7乃至11のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
情報処理装置の制御方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記制御方法は、
所定の印刷設定項目の設定値を設定するユーザ操作を受け付ける受付工程と、
他のユーザ操作に従って、前記所定の印刷設定項目の設定値を前記受付工程において受け付けた前記ユーザ操作により設定された設定値に固定する機能を有効にする制御工程と、
複数の設定項目の設定値を一括で設定するための識別情報を前記情報処理装置の表示部に表示させる表示制御工程と、
前記複数の設定項目が前記所定の印刷設定項目を含まないことに基づいて、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第1の識別情報の選択をできるようにし、前記複数の設定項目が前記所定の印刷設定項目を含み、前記所定の印刷設定項目の設定値が固定された前記設定値とは異なることに基づいて、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第2の識別情報の選択をできないようにし、前記複数の設定項目が前記所定の印刷設定項目を含み、前記所定の印刷設定項目の設定値が固定された前記設定値と同じである場合に、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第3の識別情報の選択をできるようにする第2の制御工程と、を有することを特徴とするプログラム。
【請求項14】
前記表示制御工程では、前記複数の設定項目が前記所定の印刷設定項目を含まないことに基づいて、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第1の識別情報の選択をできるように前記表示部に表示させ、前記複数の設定項目が前記所定の印刷設定項目を含み、前記所定の印刷設定項目の設定値が固定された前記設定値とは異なることに基づいて、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第2の識別情報の選択をできないように前記表示部に表示させ、前記複数の設定項目が前記所定の印刷設定項目を含み、前記所定の印刷設定項目の設定値が固定された前記設定値と同じである場合に、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第3の識別情報の選択をできるように前記表示部に表示させることを特徴とする請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
前記表示制御工程では、前記第2の識別情報を前記表示部にグレーアウトした状態で表示させることを特徴とする請求項14に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の設定項目について一括して設定値を設定可能な情報処理装置、情報処理装置の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータなどの情報処理装置からプリンタに印刷するために、一般的にプリンタドライバと呼ばれるソフトウェアが使用される。プリンタドライバは、任意のアプリケーションから印刷を行う時に動作するソフトウェアであり、独自のユーザインタフェース(UI)においてユーザによる各種印刷設定を受け付けることが可能である。
【0003】
従来、複数の印刷設定項目を一括で指定する「お気に入り」機能を有する印刷システムが知られている。こうした印刷システムでは、ユーザが、複数の「お気に入り」の中から一つを選択すると、そのお気に入りに紐づいている複数の印刷設定項目の設定値を一括して印刷設定に適用することができる(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
また、特許文献1の印刷システムでは、例えば、片面印刷、カラー印刷、1 in 1のように、一般権限ユーザが使用できない設定値を管理者が使用禁止と設定することが可能とされている。管理者は、例えば、両面/片面設定という印刷設定項目については、片面印刷という設定値のみ使用を許可することができる。そして、使用禁止である設定値が含まれる「お気に入り」については、一般権限ユーザによる使用は自動的に不許可にされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、印刷システムにおいては、印刷設定項目についてロック設定をして、印刷設定画面に設定されている設定値にロックする機能を有するものがある。ロック設定は、印刷レイアウトやカラー/モノクロなど、印刷設定項目ごとに行うことが可能である。印刷設定項目のロック設定を行うと、ロック設定された印刷設定項目については、その時点で保存されている設定値にロック(固定)される。こうしたロック機能は、主に管理者権限を有するユーザが一般のユーザに対して印刷設定の利用制限を課すために用いられる。
ここで、上述した「お気に入り」機能と印刷設定項目のロック設定の両方が使用可能なプリンタドライバにおいては、お気に入りとして設定されている設定値とロックされている設定値が競合する可能性がある。そこで、両者が競合することを防ぐために、ロック機能が有効に設定されている場合には、お気に入り設定を選択することを禁止するように設定されている場合がある。しかし、ロック設定されている場合であっても、お気に入り設定とロック設定が競合しない場合もあるため、できる限りお気に入りを選択可能にすることが好ましい。
【0007】
そこで、本発明は、複数の設定項目が、設定値がユーザ操作により設定された設定値に固定された所定の印刷設定項目を含まないことに基づいて、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第1の識別情報の選択をできるようにし、複数の設定項目が所定の印刷設定項目を含み、所定の印刷設定項目の設定値が固定された設定値とは異なることに基づいて、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第2の識別情報の選択をできないようにし、複数の設定項目が所定の印刷設定項目を含み、所定の印刷設定項目の設定値が固定された前記設定値と同じである場合に、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第3の識別情報の選択をできるようにする仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、情報処理装置の制御方法であって、所定の印刷設定項目の設定値を設定するユーザ操作を受け付ける受付工程と、他のユーザ操作に従って、前記所定の印刷設定項目の設定値を前記受付工程において受け付けた前記ユーザ操作により設定された設定値に固定する機能を有効にする制御工程と、複数の設定項目の設定値を一括で設定するための識別情報を前記情報処理装置の表示部に表示させる表示制御工程と、前記複数の設定項目が前記所定の印刷設定項目を含まないことに基づいて、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第1の識別情報の選択をできるようにし、前記複数の設定項目が前記所定の印刷設定項目を含み、前記所定の印刷設定項目の設定値が固定された前記設定値とは異なることに基づいて、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第2の識別情報の選択をできないようにし、前記複数の設定項目が前記所定の印刷設定項目を含み、前記所定の印刷設定項目の設定値が固定された前記設定値と同じである場合に、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第3の識別情報の選択をできるようにする第2の制御工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、複数の設定項目が、設定値がユーザ操作により設定された設定値に固定された所定の印刷設定項目を含まないことに基づいて、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第1の識別情報の選択をできるようにし、複数の設定項目が所定の印刷設定項目を含み、所定の印刷設定項目の設定値が固定された設定値とは異なることに基づいて、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第2の識別情報の選択をできないようにし、複数の設定項目が所定の印刷設定項目を含み、所定の印刷設定項目の設定値が固定された前記設定値と同じである場合に、当該複数の設定項目の設定値を一括で設定するための第3の識別情報の選択をできるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】コンピュータのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】プリンタのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図4】印刷処理に関するコンピュータのソフトウェア構成を示すブロック図である。
【
図7】選択可能なお気に入り設定を表示するUIの一例である。
【
図10】ロック設定処理を示すフローチャートである。
【
図11】ロック設定された時の印刷設定UIの一例である。
【
図12】お気に入り設定が選択された場合の印刷設定UI処理を示すフローチャートである。
【
図13】お気に入り設定が選択された場合の印刷設定UIの一例である。
【
図14】お気に入り設定表示処理を示すフローチャートである(実施例2)。
【
図15】お気に入り設定が使用可能であるかを判断する処理を示すフローチャートである(実施例2)。
【
図16】選択可能なお気に入り設定を表示するUIの一例である(実施例2)。
【
図17】お気に入り設定が使用可能であるかを判断する処理を示すフローチャートである(実施例3)。
【
図18】選択可能なお気に入り設定を表示するUIの一例である(実施例3)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための実施例について説明する。
ただし、以下に説明する実施例はあくまで例示であり、本発明の範囲をそれらに限定する趣旨のものではない。また、以下の実施例で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0012】
<実施例1>
図1は、実施例1の印刷システムにおけるコンピュータ1000とプリンタ2000との接続形態の例を示す図である。コンピュータ1000は、例えば、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置からなる。また、プリンタ2000は、例えば、複合機(MFP:Multifunction Peripheral)などの印刷装置からなる。コンピュータ1000とプリンタ2000はUSB(Universal Serial Bus)又はネットワーク等で接続されており、互いに通信可能となっている。なお、印刷システムは、1台のプリンタ2000に対して複数台のコンピュータ1000を接続するように構成されてもよい。
【0013】
図2は、コンピュータ1000のハードウェア構成を示すブロック図である。コンピュータ1000は、CPU(Central Processing Unit)1041とメモリ1042により構成される制御部1040により全体が制御される。
表示部1010はディスプレイなどの出力装置からなる。操作部1020は、マウス、キーボード、タッチパネルなどの入力装置からなる。また、記憶部1030は、ハードディスクやSSD(Solid State Drive)などの記憶媒体からなり、コンピュータ1000が動作する際に必要な各種ソフトウェアを保存している。それらのソフトウェアは必要に応じてメモリ1042にロードされ、CPU1041によって実行される。
【0014】
ネットワーク通信部1050は、ネットワークに接続して不図示の外部装置とのデータの入出力を行う。USB通信部1060は、USB接続により外部装置とデータの入出力を行う。
本実施例におけるソフトウェア処理は、記憶部1030に記憶されたソフトウェアを制御部1040におけるメモリ1042にロードしてCPU1041が実行することによって実現される。
【0015】
図3は、プリンタ2000のハードウェア構成を示すブロック図である。プリンタ2000は、CPU2041とメモリ2042により構成される制御部2040により全体が制御される。
表示部2010は液晶パネルなどの出力装置からなる。操作部2020はタッチパネルや各種ボタンによる入力装置からなる。また、記憶部2030は、ハードディスクやSSDなどの記憶媒体からなり、プリンタ2000が動作する際に必要な各種ソフトウェアを保存している。これらのソフトウェアは必要に応じてメモリ2042にロードされ、CPU2041によって実行される。
【0016】
ネットワーク通信部2050は、ネットワークに接続して外部装置とのデータの入出力を行う。USB通信部2060は、USB接続により外部装置とデータの入出力を行う。印刷部2070は、制御部2040の指示に従って記憶部2030やメモリ2042に格納されたデジタルデータを物理用紙に印刷する。印刷の方法としては、インク方式、トナー方式、その他の方式を用いることができる。
【0017】
図4は、コンピュータ1000の印刷処理に関するソフトウェア構成を示すブロック図である。アプリケーション1100は、文書作成ソフトや表計算ソフトなどの任意のソフトウェアを表しており、印刷機能を有するものとする。ユーザは、アプリケーション1100が用意する印刷機能を実行することにより、コンピュータ1000の表示部1010に表示されている情報などをプリンタ2000を介して印刷することができる。
プリンタドライバ1200は、プリンタ2000を使用して実現可能な印刷設定をUI(User Interface)表示する。また、プリンタドライバ1200は、印刷時にはプリンタ2000が解釈可能な描画データ(PDL:Page Description Language)を生成する。プリンタドライバ1200のうち、UI処理部1220は、主に印刷設定の表示や変更を行う際に用いられる。また、描画処理部1210は、主にPDLを生成する際に用いられる。
【0018】
OS(Operating System)1300は、コンピュータ1000の基本動作をつかさどるソフトウェアである。アプリケーション1100やプリンタドライバ1200はいずれもOS1300によって管理されており、いずれもOS1300に対してインストールされることで使用可能となる。GDI(Graphics Device Interface)1310は、ディスプレイ表示や印刷などの描画に関するインタフェースを外部に提供するOS1300内部のコンポーネントである。スプーラ1320は、印刷データをプリンタ2000へ送信する処理を行う。
【0019】
次に、
図5を用いて、印刷処理の流れの概略について説明する。アプリケーション1100は、印刷処理を実行する前にプリンタドライバ1200のUI処理部1220を呼び出して、ユーザに印刷設定を入力させる。ユーザは、プリンタドライバ1200のUI処理部1220の表示するUIを用いて、任意の印刷設定を設定できる。その後、アプリケーション1100は、UI処理部1220から取得した印刷設定と共に、GDI1310に対して印刷の内容である描画命令を呼び出す。
GDI1310は、取得した印刷設定と描画命令をプリンタドライバ1200が解釈可能な命令に変換して、プリンタドライバ1200の描画処理部1210を呼び出す。プリンタドライバ1200の描画処理部1210は、GDI1310から取得した印刷設定と描画命令をプリンタ2000の解釈可能なPDLに変換して、スプーラ1320に渡す。スプーラ1320は渡されたPDLをプリンタ2000に送信する。プリンタ2000は、取得したPDLを画像データに変換して、印刷部2070を使用して実際の物理用紙に印刷する。
【0020】
図6は、UI処理部1220が表示する印刷設定UI1400の一例を示している。ユーザは、印刷設定UI1400を操作することにより、所望の印刷設定情報を指定することができる。印刷設定UI1400は、OS1300の設定画面から呼び出された時は、全てのアプリケーション1100からの印刷時のデフォルトの印刷設定を指定するために使用される。一方、アプリケーション1100から呼び出された時は、そのアプリケーションで使用する一時的な印刷設定を指定するために使用される。
【0021】
ここで、印刷設定情報を構成するそれぞれの印刷設定項目について説明する。原稿サイズ1402は、印刷される原稿データの用紙サイズを示しており、アプリケーション1100が印刷を行う用紙サイズを示す。出力用紙サイズ1403は、実際に排紙される出力用紙の用紙サイズを示しており、通常は設定値として「原稿サイズと同じ」が使用される。それ以外の具体的な出力用紙サイズが選択されたときには、原稿サイズと出力用紙サイズのサイズ比に応じてプリンタドライバもしくはプリンタによって拡縮されて印刷される。
【0022】
部数1404は、同じ印刷物を複数部数印刷するときに使用される。ページレイアウト1405は、1枚の物理用紙に何ページ分の原稿ページを印刷するかを示している。通常の設定値は「1 in 1」であるが、「N in 1」(Nは既定の整数値)が指定されると、1枚の物理用紙にNページ分の原稿ページが縮小、集約されて印刷される。
倍率1406は、任意のパーセントを指定して拡縮印刷を行う際に使用される。カラーモード1407は、主にカラーデータを白黒印刷するときに使用される。スタンプ1408は、アプリケーション1100が指示する描画データとは別に、追加で任意の文字列の印刷を行うことのできる機能である。例えば、「マル秘」や「Confidential」などのプリセットされた設定値を選ぶこともできる。
【0023】
お気に入り1401は、上記と異なり印刷設定項目ではなく、お気に入り設定を選択して、上記の印刷設定項目をまとめて一括で指定するための項目である。お気に入り1401では、プリセットされたお気に入り設定を選択することもでき、また、新規のお気に入り設定を作成して使用することもできる。お気に入り1401の機能の詳細については後述する。
機能ロック1409も、印刷設定項目ではなく、印刷設定項目で選択された設定値をロックするための項目である。機能ロック1409の機能の詳細についても後述する。
【0024】
OKボタン1410は、印刷設定UI1400において設定された印刷設定を保存して印刷設定UI1400を閉じるボタンである。キャンセルボタン1411は、印刷設定UI1400で設定された印刷設定をキャンセルして、印刷設定UI1400を閉じるボタンである。適用ボタン1412は、印刷設定UI1400を開いたまま、印刷設定UI1400で設定された印刷設定情報を保存するボタンである。
【0025】
図7は、印刷設定UI1400において、お気に入り1401のお気に入りコンボボックスを選択した場合に選択可能なお気に入り設定を表示するお気に入り設定表示UI1500の一例を示している。最上段のボックスに示されているのは、現在選択されているお気に入り設定の名称である。お気に入り設定が選択された後に個別の印刷設定項目が変更されている場合には、お気に入り設定の名称の前に「<変更>」の文字列を表示したり、お気に入りを使用しない旨の文字列を表示したりしてもよい。
ボタン1501を押下したときに表示されるお気に入り設定1502から1506は、あらかじめ用意された(プリセットされた)お気に入り設定である。お気に入り設定は、ユーザが追加で作成することも可能である。追加したお気に入り設定は、お気に入りコンボボックスに追加され、ユーザによる選択が可能となる。
【0026】
図8は、お気に入り設定毎に複数の印刷設定項目について設定された設定値からなる印刷設定情報を示すお気に入り設定テーブル800の一例である。お気に入り設定テーブル800は、
図8に示すように、1又は複数のお気に入り設定のそれぞれについて、
図6で説明したような印刷設定項目の全てについて設定値が一括して選択された印刷設定情報から構成され、記憶部2030などに保存されている。ユーザが追加で作成したお気に入り設定も、お気に入り設定テーブル800に追加される。
ユーザが印刷設定UI1400のお気に入り1401で任意のお気に入り設定を選択すると、お気に入り設定テーブル800に保存されている印刷設定項目の設定値が一括して反映される。ユーザは、よく使う設定値を一括してお気に入り設定としてあらかじめ登録しておくことにより、複数の印刷設定項目の設定値を選択しなおすことなく、少ない操作で所望の印刷設定情報を指定することができる。
【0027】
なお、お気に入り設定テーブル800に示されたお気に入り設定のうち、「標準設定」の印刷設定情報は、各印刷設定項目について、プリンタドライバのインストール後にデフォルトとして設定されている設定値から構成されている。また、お気に入り設定テーブル800中、他のお気に入り設定において斜体で示された設定値(例えば、「出力サイズA4固定」についての「A4」)は、それぞれ、デフォルトの設定値から変更されている設定値である。
【0028】
図9は、印刷設定UI1400において機能ロック1409のロック設定ボタンが押下された時に表示される、ロック設定を行うためのロック設定UI1600の例である。ロック設定とは、指定された1又は複数の印刷設定項目について、設定値を特定の時点(例えば、ロック設定を行う時点)において保存されている値にロックする(固定して変更不可とする)ことである。ロック設定は、主に、印刷システムおいて管理者権限を有する者(以下、「管理者ユーザ」という)が一般ユーザに対して使用可能な印刷設定を制限する目的で行われる。また、ロック設定UI1600は、OSの管理者権限を有する管理者ユーザのみが編集可能にしてもよいし、ロック設定UI1600内にパスワード入力ボックスを設け、パスワードの入力を要求し、認証されたユーザのみが編集可能にしてもよい。
【0029】
ロック設定UI1600において、部数のロック1601は、部数1404についてロック設定を行う時点で保存されている設定値にロックするための項目である。レイアウトのロック1602は、印刷レイアウトに関する印刷設定項目、すなわち、出力用紙サイズ1403、ページレイアウト1405、及び倍率1406についてロック設定を行う時点で保存されている設定値にロックするための項目である。カラーモードのロック1603は、カラーモード1407についてロック設定を行う時点で保存されている設定値にロックするための項目である。スタンプのロック1604は、スタンプ1408についてロック設定を行う時点で保存されている設定値にロックするための項目である。
【0030】
OKボタン1605は、ロック設定UI1600において指定された項目に対応する印刷設定項目について設定値をロック設定の時点において保存されている値に固定して、ロック設定UI1600を閉じるボタンである。キャンセルボタン1606は、ロック設定UI1600での操作内容を破棄して、ロック設定UI1600を閉じるボタンである。
【0031】
次に、
図10を用いて、ロック設定UI1600におけるOKボタン1605が押下された場合に実行されるロック設定処理について説明する。ロック設定処理は、CPU1041により、記憶部1030に保存されたUI処理部1220のソフトウェアがメモリ1042にロードされ実行されることにより、実現される。
【0032】
UI処理部1220は、OKボタン1605が押下されると、ロック設定された印刷設定項目を取得する(S1001)。これは、ロック設定UI1600において指定された項目に対応する印刷設定項目を取得することである。
そして、UI処理部1220は、ロック設定された印刷設定項目についてUI入力を全て無効にする(S1002)。なお、UI入力を無効にするとは、設定値をロック設定された時点において保存されている値に固定する(ユーザによる設定値の変更を不可能にする)ことであり、UI表示としては印刷設定項目をグレーアウトなどすることである。
【0033】
次に、UI処理部1220は、S1002でUI入力を無効にした全ての印刷設定項目にコンフリクトマークを付ける(S1003)。なお、コンフリクトマークとは、ロック設定によりUI入力が無効になっていることをユーザに通知するために付与されるアイコンである。
次に、UI処理部1220は、ロック設定された印刷設定項目について、ロック設定を行う時点で保存されている設定値を記憶する(S1004)。このように、管理者ユーザなどによりロック設定がなされると、それに対応する印刷設定項目について、ロック設定された時点において設定されている設定値がロック(固定)される。
【0034】
次に、UI処理部1220は、他にロック設定された印刷設定項目があるか否かを確認する(S1005)。他にロック設定された印刷設定項目がある場合(S1005でYes)、S1001に戻って上述の処理を繰り返す。他にロック設定された印刷設定項目がない場合(S1005でNo)、ロック設定処理を終了する。
【0035】
図11は、ロック設定UI1600において、管理者ユーザなどが、印刷設定項目のうちレイアウトのロック1602をチェックし、OKボタン1605を押下して、ロック設定した場合に表示される印刷設定UI1420の一例である。
印刷設定UI1420の例では、レイアウトに関する印刷設定項目である、出力用紙サイズ1423、ページレイアウト1425、及び倍率1426について設定値がロック(固定)され、グレーアウトされて変更できないようになっている。なお、出力用紙サイズ1423及び倍率1426については、デフォルトの設定値のままロック(固定)されている。また、ページレイアウト1425については、デフォルトの設定値である「1 in 1」が「2 in 1」に変更された状態でロック(固定)されている。
また、ロック設定されたことにより、機能ロック1429にチェックが付されている。
【0036】
印刷設定UI1420において、固定された印刷設定項目の左側に付与されている「!」マークのアイコンは、上述したコンフリクトマークである。コンフリクトマークが付与された印刷設定項目については、ユーザが設定値を変更することはできない。なお、ユーザがコンフリクトマークを押下すると、ロック設定UI1600で示したロック設定のうち有効となったロック設定と、変更不可となった設定値についての情報を示す画面(不図示)がポップアップ表示される。
【0037】
なお、「標準設定」であるデフォルトの設定値がページレイアウト1425について「2in 1」に変更されたことによりに、お気に入り設定1421に表示される「標準設定」の文字列の先頭に「<変更>」の文字列が追加されている。これは、現在の印刷設定情報がお気に入り設定の「標準設定」とは異なるものであることを示している。なお、実施例1においては、お気に入り設定1421のお気に入りコンボボックスには、
図7で示したような他の全てのお気に入り設定についても、ユーザが選択可能なように表示される。
【0038】
次に、
図12を用いて、
図11のようにロック設定されている状態においてユーザが任意のお気に入り設定1421を選択した場合に、後述する
図13に示すような印刷設定UI1440を生成する印刷設定UI生成処理について説明する。ここで説明する処理は、CPU1041により、記憶部1030に保存されたUI処理部1220のソフトウェアがメモリ1042にロードされ実行されることにより、実現される。
【0039】
UI処理部1220は、まず、選択されたお気に入り設定について各印刷設定項目の設定値を取得する(S1201)。具体的には、印刷設定UI1420において選択されたお気に入りについて各印刷設定項目の設定値をお気に入り設定テーブル800から取得する。
そして、UI処理部1220は、取得した設定値を印刷設定UI1440に反映する(S1202)。なお、ここまでは通常のお気に入り機能を利用した場合の処理と同様である。
【0040】
次に、UI処理部1220は、ロック設定されている印刷設定項目があるか否かを確認する(S1203)。
ロック設定されている設定項目がある場合(S1203でYes)、UI処理部1220は、ロック設定されている設定項目について、ロック設定された時点で保存されている設定値を印刷設定UIに反映させる(S1204)。具体的には、
図10のフローチャートのステップS1004で記憶しておいた設定値を印刷設定UI1440に反映させる。
図11に示した例の場合では、出力用紙サイズ1423を「原稿サイズと同じ」に、ページレイアウト1425を「2 in 1」に、倍率1426を「100%」に、それぞれ設定してUIに反映させる。これにより、「標準設定」についての
図8に示した印刷設定情報のうち、出力用紙サイズ、ページレイアウト及び倍率指定の各印刷設定項目についての設定値が変更された印刷設定情報が生成される。
【0041】
その後、UI処理部1220は、他の印刷設定項目について競合があれば解決する。なお、この処理はUIコンフリクトを解決する既知の方法により行うことができる(S1205)。そして、印刷設定UI生成処理を終了する。
【0042】
ロック設定されている設定項目がない場合(S1203でNo)、UI処理部1220は,他の印刷設定項目について競合があれば解決する(S1205)。そして、印刷設定UI生成処理を終了する。
【0043】
図13は、
図11に示した印刷設定UI1420のお気に入り設定1421のお気に入りコンボボックスにおいて、「白黒文書」1505が選択された場合に表示される印刷設定UI1440の一例である。
図13に示された設定値は、
図12のフローチャートのステップS1202においてお気に入り設定テーブル800のお気に入り設定「白黒文書」についての各印刷設定項目の設定値から取得したものである。なお、カラーモード1447についての設定値は、ステップS1202の時点で「白黒」に変更される。
【0044】
その後、ステップS1204において、出力用紙サイズ1443、ページレイアウト1445、及び倍率指定1446を、あらかじめ記憶していた設定値にして印刷設定UI1440に反映させる。また、「白黒文書」の設定値がページレイアウト1445について「2 in 1」に変更されたことによりに、お気に入り設定1441に表示される「白黒文書」の文字列の先頭に「<変更>」の文字列が追加されている。
【0045】
上述のとおり、実施例1によれば、印刷設定項目の一部がロック設定されている場合であっても、お気に入り設定を選択不可とすることなく、ロック設定されている印刷設定項目について現在の設定値を反映させた上で、お気に入り設定を利用可能とする。これにより、印刷設定項目がロック設定されていたとしても、競合しない範囲で、ユーザはお気に入り設定を選択することができる。
【0046】
<実施例2>
実施例1では、印刷設定項目の一部がロック設定されている状態でも、登録されている全てのお気に入り設定を印刷設定UIにおいて選択可能とする例について説明した。これに対して、実施例2では、ロックされている設定値と同じ設定値を有するお気に入り設定のみを選択可能とする例について説明する。なお、
図1から
図11までの説明については実施例1と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0047】
図14は、ロック設定UI1600でいずれかの印刷設定項目がロック設定されている場合に、選択可能なお気に入り設定を表示させる、お気に入り設定表示処理を示すフローチャートである。ここで説明する処理は、CPU1041により、記憶部1030に保存されたUI処理部1220のソフトウェアがメモリ1042にロードされ実行されることにより、実現される。
【0048】
UI処理部1220は、まず、一つ目のお気に入り設定について各印刷設定項目の設定値を取得する(S1401)。
次に、UI処理部1220は、ロック設定されている印刷設定項目があるか否かを確認する(S1402)。
【0049】
ロックされている印刷設定項目がある場合(S1402でYes)、UI処理部1220は、取得したお気に入り設定が、ロック設定されていても使用可能であるか否かを判断する(S1403)。この判断方法については、
図15を用いて後述する。
お気に入り設定が使用可能でないと判断した場合(S1403でNo)、UI処理部1220は、そのお気に入り設定を不図示のお気に入り表示リストに「無効」として追加する(S1405)。「無効」とするとは、選択肢として表示はされるものの、ユーザが選択できないようにすることである。
【0050】
一方、ロック設定されている印刷設定項目がない場合(S1402でNo)、UI処理部1220は、そのお気に入り設定をお気に入り表示リストに「有効」として追加する(S1404)。また、ロック設定されている印刷設定項目があっても(S1402でYes)、使用可能であると判断した場合(S1403でYes)、UI処理部1220は、そのお気に入り設定をお気に入り表示リストに「有効」として追加する(S1404)。「有効」とするとは、ユーザが選択可能できるように、選択肢として表示することである。
【0051】
そして、UI処理部1220は、次のお気に入り設定があるか否かを確認する(S1406)。
次のお気に入り設定がある場合(S1406でYes)、UI処理部1220は、次のお気に入り設定について各印刷設定項目の設定値を取得して(S1407)、S1402のステップに戻る。
次のお気に入り設定がない場合(S1406でNo)、UI処理部1220は、それまでに作成したお気に入り表示リストをお気に入りコンボボックスに反映する(S1408)。
【0052】
この際、「無効」として表示するお気に入りについては、ロック設定UI1600のどの項目をロック設定したことによって「無効」となったかを示す無効理由も合わせてお気に入りコンボボックスを生成する。これにより、ユーザが「無効」となっているお気に入り設定を選択しようとした場合、無効理由をユーザに表示することで、ユーザはなぜそのお気に入り設定が選択できないのかを知ることができる。
なお、ロック設定UI1600のOKボタン1605押下時に実行されるロック設定処理(
図10)の後に
図14のお気に入り設定表示処理を行い、「無効」になったお気に入り設定をポップアップ表示してもよい。これにより、管理者ユーザなどは、ロック設定をした際に、既存のお気に入り設定に与える影響をその場で確認することが可能となる。
【0053】
図15は、
図14のステップS1403において、ロック設定されていてもお気に入り設定が使用可能であるか否か判断する処理の詳細を示すフローチャートである。ここで説明する処理は、CPU1041により、記憶部1030に保存されたUI処理部1220のソフトウェアがメモリ1042にロードされ実行されることにより、実現される。
【0054】
UI処理部1220は、まず、ロック設定されている全ての印刷設定項目について、ロック設定された時点で保存されている設定値を取得する(S1501)。これは
図10のステップS1004で記憶しておいた設定値である。
次に、UI処理部1220は、ロック設定されている全ての印刷設定項目について、お気に入り設定の設定値とロック設定された時点において設定されている設定値が一致しているか否かを確認する(S1502)。これにより、UI処理部1220は、全ての印刷設定項目について、ロックされている設定値と同じ設定値を有するお気に入り設定のみを使用可能であると判断する。
【0055】
全ての設定値が一致している場合(S1502でYes)、UI処理部1220は、そのお気に入り設定が使用可能であると判断する(S1503)。
一方、お気に入り設定の設定値の中に一つでもロックされている設定値と異なるものがある場合(S1502でNo)、UI処理部1220は、そのお気に入り設定が使用可能でないと判断する(S1504)。
【0056】
図16は、
図11に示すロック設定がされている状態において、選択可能なお気に入り設定を表示するお気に入り設定表示UI1520の例である。この例では、印刷設定項目のうちページレイアウトについて設定値が「2 in 1」でロックされている。
ここで、お気に入り設定テーブル800(
図8)によれば、ページレイアウトについての設定値「2 in 1」を有するお気に入り設定は、「2 in 1」のお気に入り設定のみである。そこで、お気に入り設定表示UI1520では、「2 in 1」のお気に入り設定1524のみが選択可能に表示されている。
「2 in 1」以外のお気に入り設定は、いずれもページレイアウトの設定値が「1 in 1」であり、ロックされている設定値と異なるため、使用可能でないと判断される。そこで、お気に入り設定表示UI1520では、これらのお気に入り設定1522、1523、1525、1526は、グレーアウトされて選択不可とされている。
【0057】
上述のとおり、実施例2によれば、印刷設定項目の一部がロック設定されている場合、全てのお気に入り設定を選択不可とすることなく、ロックされている設定値と同じ設定値を有するお気に入り設定については選択可能とする。これにより、ロック設定がされている場合であっても、ユーザは、選択可能とされたお気に入り設定の中から、所望のお気に入り設定を選択することができる。
【0058】
<実施例3>
実施例2ではロックされている設定値と同じ設定値を有するお気に入り設定のみを選択可能とする例について説明した。これに対して、実施例3では、選択可能なお気に入り設定をより多くするために、ロック設定されていてもお気に入り設定が使用可能であるかの判断(S1403)を少し修正した例について説明する。なお、
図1から
図14までの説明については実施例2と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0059】
図17は、実施例2で説明した
図14のステップS1403において、ロック設定されていてもお気に入り設定が使用可能であるか否か判断する、実施例3の処理の詳細を示すフローチャートである。
図17のフローチャートは、実施例2における
図15のフローチャートに対応するものである。ここで説明する処理は、CPU1041により、記憶部1030に保存されたUI処理部1220のソフトウェアがメモリ1042にロードされ実行されることにより、実現される。
【0060】
UI処理部1220は、まず、ロック設定されている全ての印刷設定項目について、ロック設定された時点で保存されている設定値を取得する(S1701)。次に、UI処理部1220は、お気に入りの設定値とロックされている設定値が全て一致しているか否かを確認する(S1702)。これらは、実施例2における
図15のステップS1501とステップS1502と同じである。
【0061】
全ての設定値が一致する場合(S1702でYes)、UI処理部1220は、そのお気に入り設定が使用可能であると判断する(S1705)。
一方、お気に入り設定の設定値の中に一つでもロックされている設定値と異なるものがある場合(S1702でNo)、UI処理部1220は、ロック設定されている全ての印刷設定項目について、デフォルトの設定値を取得する(S1703)。
図11の例では、ロック設定されている印刷設定項目は、「出力用紙サイズ」1423、「ページレイアウト」1425、及び「倍率」1426である。また、上述の印刷設定項目について、デフォルトの設定値は、お気に入り設定テーブル800(
図8)に示した「標準設定」のとおり、それぞれ、「原稿サイズと同じ」、「1 in 1」、及び「100%」である。
【0062】
次に、UI処理部1220は、ロック設定されている全ての印刷設定項目について、お気に入り設定の設定値とデフォルトの設定値が一致するか否かを判断する(S1704)。
全ての設定値が一致する場合(S1704でYes)、UI処理部1220は、そのお気に入り設定が使用可能であると判断する(S1705)。
一方、お気に入り設定が設定値の中に一つでもロック設定されている印刷設定項目のデフォルトの設定値と異なるものがある場合(S1704でNo)、UI処理部1220は、そのお気に入り設定が使用可能でないと判断する(S1706)。
【0063】
図18は、
図11に示すロック設定がされている状態において、実施例3において選択可能なお気に入り設定を表示するお気に入り設定表示UI1540の例である。この例では、実施例2と同様に、ページレイアウトが「2 in 1」でロックされている。
ここで、お気に入り設定テーブル800(
図8)によれば、「2 in 1」のお気に入り設定は、ロックされている全ての印刷設定項目(ページレイアウト)について設定値(「2 in 1」)が一致するため、使用可能であると判断される。また、「標準設定」、「白黒印刷」、「マル秘」の各お気に入り設定は、いずれも、ロックされている設定項目の設定値がデフォルトの設定値(「1 in 1」)から変更されていないため、使用可能であると判断されている。そこで、
図18のお気に入り設定表示UI1540では、各お気に入り設定1542、1544、1545、154
6が選択可能に表示されている。
一方、「出力サイズA4固定」のお気に入り設定1543は、使用可能でないと判断され、
図18のお気に入り設定表示UI1540ではグレーアウトされて選択不可とされている。
【0064】
上述のとおり、実施例3によれば、印刷設定項目の一部がロック設定されている場合、ロック設定されている印刷設定項目についてデフォルトの設定値から変更がないお気に入り設定についても選択可能とする。これにより、ユーザは、実施例2に比べて多くの選択肢からお気に入り設定を選択することができる。
【0065】
<その他の実施例>
本発明は、上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。すなわち、上述した実施例及びその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0066】
1000 コンピュータ
1400 印刷設定UI
1500 お気に入り設定表示UI
1600 ロック設定UI
2000 プリンタ