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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】診断支援装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/107 20060101AFI20240930BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
A61B5/107 800
A61B5/00 M
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020143247
(22)【出願日】2020-08-27
(65)【公開番号】P2022038639
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 啓
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-520774(JP,A)
【文献】特開2016-189877(JP,A)
【文献】特開2009-032091(JP,A)
【文献】特開2005-192944(JP,A)
【文献】国際公開第2006/064635(WO,A1)
【文献】特開2003-070749(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/01
A61B 5/06-5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の皮膚を撮像した画像の入力を受け付ける受付部と、
前記画像に表された皮野の大きさに基づいて、当該画像の画像サイズを推定する推定部と、
前記画像と前記推定部で推定された前記画像サイズとに基づいて前記皮膚の状態を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に応じた通知先に、当該判定結果又は当該判定結果に応じた通知内容を通知する診断支援動作を実行する診断支援部と、
を備える診断支援装置。
【請求項2】
被検体の皮膚を撮像した画像の入力を受け付ける受付部と、
前記画像と当該画像の画像サイズとに基づいて前記皮膚に生じた発疹が重症薬疹である可能性を示す指標となる重症度を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に応じた通知先に、当該判定結果又は当該判定結果に応じた通知内容を通知する診断支援動作を実行する診断支援部と、
を備える診断支援装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記皮膚に生じた疾患の疾患名と重症度とを判定し、
前記診断支援部は、前記判定部の判定結果に応じて通知先を変更する請求項1又は2に記載の診断支援装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記皮膚に生じた発疹が重症薬疹である可能性を示す指標となる重症度を判定し、
前記診断支援部は、前記判定部の判定結果に応じて通知先を変更する請求項に記載の診断支援装置。
【請求項5】
前記診断支援部は、前記判定部で判定された重症度が閾値未満の場合に、前記判定部の判定結果を前記画像の入力元に通知し、前記判定部で判定された重症度が閾値以上となる場合に、前記判定部の判定結果を前記入力元より高度な検査を行うことが可能な医療施設に通知する請求項3又は4に記載の診断支援装置。
【請求項6】
前記診断支援部は、前記判定部で判定された疾患名が特定の疾患名以外である場合に、前記判定部の判定結果を前記画像の入力元に通知し、前記判定部で判定された疾患名が前記特定の疾患名である場合に、前記判定部の判定結果を前記入力元より高度な検査を行うことが可能な医療施設に通知する請求項3に記載の診断支援装置。
【請求項7】
前記診断支援部は、前記医療施設に対し前記被検体の検査予約を実行する請求項5又は6に記載の診断支援装置。
【請求項8】
前記受付部は、前記画像とともに、前記被検体又は前記画像の撮像に関する付加情報の入力を受け付け、
前記判定部は、前記画像と前記付加情報とに基づいて判定を行う、請求項1又は2に記載の診断支援装置。
【請求項9】
前記受付部が受け付けた前記画像及び前記付加情報が、前記判定部の判定に係る要件を充足するかを検査する検査部と、
前記検査部で前記要件を充足しないと判定された場合、不足した要件を前記画像の入力元に通知する通知部と、
を更に備える、請求項8に記載の診断支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書等に開示の実施形態は、診断支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、診療所等の医療施設では、様々な症状の患者を診断することが行われている。例えば、診療所では、被検体の皮膚に生じた疾患を診断することも行われている。
【0003】
また、カメラ等の撮像装置を用いて撮像した被検体の皮膚の画像から疾患名等を診断することが可能な技術が登場している。例えば、皮膚を撮像した画像を解析することで、メラノーマ等の皮膚疾患を診断することが可能な技術が提案されている。
【0004】
一方で、近年では、医療機関同士が相互に連携を図る地域医療連携が進められている。例えば、診療所で精密検査等が必要と判断された場合には、患者等の被検体を中核病院に移管することが行われている。
【0005】
ところで、皮膚疾患の初期診断は診療所で受けることが一般的であるが、他の疾患と似ている症状があるため診療所では見分けることが困難な重症疾患も存在している。例えば、重症化を呈する重症薬疹は早期の皮膚症状が軽症薬疹と酷似しているため診療所では見分けることが難しく、正確な診断のため病院で精密な精密検査を受けることが望ましい。
【0006】
しかしながら、従来の医療連携のシステムでは、診療所での診断は医師等の医療従事者が行うことが一般的である。また、病院への移管は診療所の医療従事者に委ねられているため、上記した重症疾患を見分けることができない場合、病院への連絡遅れにより症状が重症化する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2016-174728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本明細書等に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、被検体の皮膚の状態を判定し、当該状態に適した診断支援動作を実施することである。ただし、本明細書等に開示の実施形態により解決される課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を、本願明細書に開示の実施形態が解決する他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態に係る診断支援装置は、受付部と、推定部と、判定部と、診断支援部とを備える。受付部は、被検体の皮膚を撮像した画像の入力を受け付ける。推定部は、前記画像に表された皮野の大きさに基づいて、当該画像の画像サイズを推定する。判定部は、前記画像と前記推定部で推定された前記画像サイズとに基づいて前記皮膚の状態を判定する。診断支援部は、前記判定部の判定結果に応じた通知先に、当該判定結果又は当該判定結果に応じた通知内容を通知する診断支援動作を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る診断支援システムの構成例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る診断支援装置の構成の一例を示す図である。
図3図3は、実施形態に係る診断支援装置の処理回路が有する構成要素の一例を示す図である。
図4図4は、実施形態に係る皮膚画像の一例を示す図である。
図5図5は、実施形態に係る皮膚画像に表された皮膚表面の様子を模式的に示す図である。
図6図6は、実施形態の支援機能が行う診断支援動作に係る設定情報の一例を示す図である。
図7図7は、実施形態の支援機能が行う診断支援動作に係る設定情報の一例を示す図である。
図8図8は、実施形態の支援機能が行う診断支援動作に係る設定情報の一例を示す図である。
図9図9は、実施形態の診断支援装置が行う処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、実施形態の変形例1に係る診断支援システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、診断支援装置の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、実施形態に係る診断支援システムの構成例を示す図である。図1に示すように、診断支援システム1は、診療所端末10と、病院端末20と、診断支援装置30とを有する。
【0013】
診療所端末10、病院端末20、及び診断支援装置30は、ネットワークN1を介して通信可能に接続される。ネットワークN1は、診療所H1と病院H2との間で閉じたローカルネットワークにより構成されてもよいし、インターネットを介したネットワークでもよい。
【0014】
診療所端末10は、診療所H1に設置される端末装置である。診療所端末10は、診療所H1内に勤務する医師や検査技師等のメディカルスタッフによって各種情報の入力や、閲覧等が行われる装置である。例えば、診療所端末10は、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)やタブレット式PC、PDA(Personal Digital Assistant)、カメラ機能を備えたスマートフォン等によって実現される。
【0015】
また、診療所H1には、撮像装置11が設けられている。撮像装置11は、主に被検体の皮膚を撮像する用途に用いられる。例えば、撮像装置11は、ダーモスコピー(又はダーモスコープ)、デジタルカメラ等によって実現される。また、撮像装置11は、スマートフォン等の携帯機器が備えるカメラであってもよい。
【0016】
診療所端末10は、メディカルスタッフの操作に応じて、撮像装置11で撮像された被検体の皮膚の画像(以下、皮膚画像ともいう)、当該被検体に関する被検愛情報、皮膚画像に関する画像情報等を含む判定用情報を、診断支援装置30に送信する。なお、被検愛情報及び画像情報は、付加情報の一例である。
【0017】
ここで、撮像装置11から診療所端末10への皮膚画像の転送方法は特に問わないものとする。例えば、撮像装置11から診療所端末10への皮膚画像の転送は、診療所H1内に設けられた院内ネットワークや、医用画像管理システム(PACS:Picture Archiving and Communication System)等を介して、自動又は手動で行われてもよい。
【0018】
被検体情報は、診療所H1で取得された被検体に関する情報である。例えば、被検体情報は、被検体の氏名、年齢、性別、住所等の個人情報の他、患者ID、診療所H1での検査結果、診断結果等の情報を含む。ここで、患者IDは、被検体を一意に識別することが可能な識別情報の一例である。患者IDには、診療所H1内で固有の識別子、或いは診療所H1と診療所H1とで固有の識別子が割り当てられる。なお、被検体情報は、メディカルスタッフによって手入力されてもよいし、診療所H1に設けられた電子カルテシステム等から取得する形態としてもよい。
【0019】
画像情報は、皮膚画像に関する情報、皮膚画像を撮像した撮像装置11に関する情報等を含む。例えば、画像情報は、皮膚画像自体に関する情報として、発症何日目に撮像された画像か、被検体のどの部位を撮像したものか等を示す情報を含む。また、例えば、画像情報は、撮像装置11に関する情報として、撮像装置11の種別(ダーモスコピー、デジタルカメラ、スマートフォン等)、画像サイズ等が挙げられる。
【0020】
皮膚画像自体に関する情報は、メディカルスタッフによって手入力されてもよいし、診療所H1に設けられた電子カルテシステム等から取得する形態としてもよい。また、撮像装置11に関する情報は、メディカルスタッフによって手入力されてもよいし、撮像装置11から取得してもよい。また、撮像装置11に関する情報は、皮膚画像が付帯する形態としてもよい。
【0021】
病院端末20は、病院H2に設置される端末装置である。病院端末20は、病院H2内に勤務する医師や検査技師等のメディカルスタッフによって各種情報の入力や、閲覧等が行われる装置である。例えば、病院端末20は、パーソナルコンピュータやタブレット式PC、PDA、携帯電話等によって実現される。
【0022】
本実施形態では、病院端末20は、病院H2で行われる検査の予約等を受け付ける受付端末としても機能する。病院端末20は、ネットワークN1を介して接続される診断支援装置30等の外部装置から検査予約の要求を受け付けると、病院情報システム(HIS:Hospital Information System)等に予約対象の被検体に関する情報を登録することで、検査予約を行う。
【0023】
なお、診断支援システム1において、診療所H1と病院H2とは、例えば地域医療連携の関係にあるものとする。具体的には、診療所H1において精密検査等が必要と判断された場合には、病院H2に精密検査を依頼することが可能な関係にあるものとする。つまり、病院H2は、診療所H1よりも高度な検査及び治療を行うことが可能な医療機関である。
【0024】
診断支援装置30は、診断支援装置の一例である。診断支援装置30は、診療所端末10から送信される判定用情報に基づいて、被検体の皮膚の状態を判定し、その判定結果に応じて、診療所端末10や病院端末20に対する被検体の診断支援動作を実行する。例えば、診断支援装置30は、サーバやワークステーション等のコンピュータ機器によって実現される。
【0025】
図2は、本実施形態に係る診断支援装置30の構成の一例を示す図である。図2に示すように、診断支援装置30は、入力インタフェース31と、ディスプレイ32と、記憶回路33と、通信インタフェース34と、処理回路35とを備える。
【0026】
入力インタフェース31は、操作者から受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路35に出力する。例えば、入力インタフェース31は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力インタフェース、音声入力インタフェース等の入力装置によって実現される。なお、入力インタフェース31は、診断支援装置30とは別体に設けられた操作装置から操作に対応する電子信号を受け付ける接続インタフェース等の制御回路であってもよい。
【0027】
ディスプレイ32は、処理回路35から出力される各種情報や各種画像を表示する。例えば、ディスプレイ32は、有機EL(Electro Luminescence)モニタや、液晶モニタや、CRT(Cathode Ray Tube)モニタや、タッチパネル等の表示装置によって実現される。例えば、ディスプレイ32は、操作者の指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、各種の表示用の画像データ、処理回路35による各種の処理結果を表示する。
【0028】
記憶回路33は、処理回路35に接続されており、各種データを記憶する。例えば、記憶回路33は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。
【0029】
通信インタフェース34は、処理回路35に接続されており、ネットワークN1を介して、診療所端末10、病院端末20等の外部装置との間で行われる各種データの伝送及び通信を制御する。更に詳しくは、通信インタフェース34は、外部装置から各種の情報を受信し、受信した情報を処理回路35に出力する。また、通信インタフェース34は、処理回路35から入力される各種の情報を外部装置に送信する。例えば、通信インタフェース34は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0030】
処理回路35は、診断支援装置30が有する各構成要素を制御する。例えば、処理回路35は、プロセッサによって実現される。また、本実施形態に係る処理回路35は、図3に示すように、受付機能351、チェック機能352、推定機能353、リジェクト機能354、保存機能355、加工機能356、判定機能357、及び支援機能358を有する。
【0031】
ここで、図3は、診断支援装置30の処理回路35が有する構成要素の一例を示す図である。例えば、図3に示す処理回路35の構成要素である受付機能351、チェック機能352、推定機能353、リジェクト機能354、保存機能355、加工機能356、判定機能357、及び支援機能358が実行する各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路33に記憶されている。処理回路35は、各プログラムを記憶回路33から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路35は、図3の処理回路35内に示された各機能を有することとなる。
【0032】
なお、図3においては単一の処理回路35にて、受付機能351、チェック機能352、推定機能353、リジェクト機能354、保存機能355、加工機能356、判定機能357、及び支援機能358が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路35を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路35が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
【0033】
また、処理回路35は、ネットワークN1を介して接続された外部装置のプロセッサを利用して、機能を実現することとしてもよい。例えば、処理回路35は、記憶回路33から各機能に対応するプログラムを読み出して実行するとともに、診断支援装置30とネットワークN1を介して接続されたサーバ群(クラウド)を計算資源として利用することにより、図3に示す各機能を実現する。
【0034】
なお、図3の処理回路35の外側に示す判定用情報記憶部331は、記憶回路33が有する一部の記憶領域によって実現されるものである。また、図3では、処理回路35に対する情報の入出力を説明するため、通信インタフェース34を省略した形態でネットワークN1を示している。
【0035】
受付機能351は、受付部の一例である。受付機能351は、通信インタフェース34を介して、診療所端末10から被検体の皮膚画像の入力を受け付ける。具体的には、受付機能351は、診療所端末10から送信された判定用情推定部の報(皮膚画像、被検体情報、画像情報)を受け付ける。
【0036】
チェック機能352は、検査部の一例である。チェック機能352は、受付機能351が受け付けた皮膚画像が、後述する判定機能357の判定に係る要件(以下、判定要件ともいう)を満たすか否かをチェック(判定)する。ここで、判定要件は、皮膚画像から皮膚の状態を判定するために必要な要素の要件を意味する。例えば、判定要件は、皮膚画像自体や、当該皮膚画像の画質(色、輝度、コントラスト等)等が挙げられる。
【0037】
また、後述する判定機能357が、被検体情報及び画像情報に含まれる要素を用いて判定を行う場合には、チェック機能352は、これらの要素についても判定要件を充足するか否かをチェックする。この場合、例えば、判定要件は、被検体の撮像部位、撮像装置の種別、画像サイズ等の他、発症からの時間等が挙げられる。
【0038】
チェック機能352は、判定用情報と判定要件とを比較し、判定用情報に含まれる要素が判定要件を充足するか否かを判定する。ここで、判定要件を充足すると判定した場合、チェック機能352は、判定用情報を保存機能355へと出力する。
【0039】
また、判定要件を充足しないと判定した場合、チェック機能352は、不足した要件(判定用情報に不足する要素)が上述した画像サイズのみか否かを更に判定する。例えば、デジタルカメラやスマートフォンで撮像された場合には、皮膚画像の画像サイズが不明の状態となる可能性がある。
【0040】
ここで、画像サイズ以外で不足した要件が存在する場合には、チェック機能352は、その不足した要件をリジェクト機能354に通知し、保存機能355への判定用情報の出力を抑制する。また、不足した要件が画像サイズのみの場合には、チェック機能352は、皮膚画像を推定機能353に出力することで、推定機能353に画像サイズの推定を行わせる。
【0041】
推定機能353は、推定部の一例である。推定機能353は、皮膚画像に表された皮野の大きさに基づいて皮膚画像の画像サイズを推定する。以下、図4図5を参照して、推定機能353の動作について説明する。
【0042】
図4は、皮膚画像の一例を示す図である。なお、図4に示す皮膚画像G1は、発疹G11が現れた皮膚の状態を示している。
【0043】
推定機能353は、皮膚画像G1を解析し、当該皮膚画像G1に表された皮野の大きさ(皮野面積)を計測する。皮野は、図5に示すように、皮膚表面に存在する皮溝G12によって三角形やひし形等の多角形に区切られた皮丘G13の領域部分を意味する。ここで、図5は、皮膚画像に表された皮膚表面の様子を模式的に示す図である。
【0044】
なお、計測対象となる皮膚画像G1上の領域は特に問わず、例えば発疹G11が存在しない領域であってもよいし、発疹G11が現れた領域であってもよい。また。推定機能353は、皮膚画像G1を拡大(又は縮小)してもよい。
【0045】
一般的に、皮野の面積は、年齢・性別を問わずほぼ一定値(約0.08mm2)であるという特徴を有している。そこで、推定機能353は、この特徴に基づき皮膚画像G1から計測した皮野面積に基づき、皮膚画像G1全体の大きさ、つまり画像サイズを推定する。例えば、推定機能353は、皮膚画像G1全体の面積に占める皮野面積の割合の逆数に、上記した一定値を乗算することで、皮膚画像G1の画像サイズを推定する。また、皮膚画像G1を拡大(又は縮小)した場合には、推定機能353は、その倍率を加味して画像サイズを推定する。
【0046】
なお、推定機能353が推定する画像サイズの単位は、後述する判定機能357で取り扱い可能な単位であれば特に問わず、例えばピクセルやdpi(dots per inchi)等の単位であってもよい。
【0047】
また、上述の動作例では、画像サイズとして皮膚画像G1全体の画像サイズを推定する形態としたが、これに限らず、皮膚画像G1に含まれた主要な被写体部分の画像サイズを推定する形態としてもよい。例えば、推定機能353は、皮膚画像G1に表された発疹G11の画像サイズを推定してもよい。また、この場合、推定機能353は、発疹G11の最小の画像サイズと、最大の画像サイズとを推定してもよい。
【0048】
図3に戻り、チェック機能352は、推定機能353で画像サイズが推定された場合、チェック機能352は、推定機能353で推定された画像サイズを判定用情報に含めて保存機能355に出力する。
【0049】
リジェクト機能354は、通知部の一例である。リジェクト機能354は、チェック機能352で判定要件を充足しないと判定された場合に、不足分の判定要件(判定用情報に不足する要素)を、判定用情報を送信した送信元に通知する。
【0050】
具体的には、リジェクト機能354は、チェック機能352から通知された不足分の要素に基づいて、当該要素の取得(再送信)を依頼するメッセージ等のリジェクト情報を、送信元の診療所端末10に送信する。
【0051】
一例として、チェック機能352で皮膚画像の画質や撮像部位が判定要件を充足しないと判定された場合、リジェクト機能354は、判定要件を満たす画質の条件、撮像すべき部位等を案内するリジェクト情報を送信する。
【0052】
この場合、診療所端末10を操作するメディカルスタッフは、診断支援装置30から通知されたリジェクト情報に基づき、不足分の要素を追加した判定用情報を再度送信する。これにより、診断支援装置30では、再送された判定用情報に基づき被検体の皮膚の状態を判定することができる。
【0053】
なお、リジェクト機能354は、リジェクト情報を送信する際に、リジェクト対象となった判定用情報を識別可能な識別子(以下、リチェック識別子ともいう)を発行し、当該識別子をリジェクト情報に含めて送信してもよい。また、この場合、リジェクト機能354は、チェック機能352や保存機能355等と協働することで、リジェクト対象となった判定用情報にリチェック識別子を関連付けて判定用情報記憶部331等に保持させることが好ましい。
【0054】
このような構成とすることで、診療所端末10から入力される新たな判定用情報にリチェック識別子が含まれる場合に、判定用情報記憶部331等に保持された該当するリチェック識別子の判定用情報とあわせて処理することができる。これにより、診療所端末10を操作するメディカルスタッフは、不足分の要素をリチェック識別子とともに判定用情報として送信することで、先に送信した判定用情報で不足した要素を補完することができるため、利便性の向上を図ることができる。
【0055】
保存機能355は、チェック機能352でチェックされた判定用情報を判定用情報記憶部331に保存(記憶)する。また、保存機能355は、判定用情報を判定用情報記憶部331に保存する際に、加工機能356を制御し、判定用情報に含まれた個人を特定可能な情報を匿名化する加工処理を実行させる。
【0056】
加工機能356は、判定用情報に含まれた個人を特定可能な情報を匿名化する加工処理を実行する。具体的には、加工機能356は、判定用情報に含まれた皮膚画像から被検体の眼が表された領域を検出すると、その領域を除去したり、塗りつぶしたりする匿名化処理を行う。かかる匿名化処理により、判定用情報記憶部331には、匿名化された皮膚画像を含む判定用情報が記憶されることになる。
【0057】
なお、匿名化処理の対象は皮膚画像に限らず、被検体情報や画像情報を対象としてもよい。例えば、加工機能356は、被検体情報に含まれる個人情報を削除等することで匿名化を行ってもよい。但し、後述する診断支援動作において、病院端末20への検査予約を行う際に個人情報が必要となる可能性があるため、診断支援動作の妨げとならないように、匿名化する項目を予め設定しておくことが好ましい。
【0058】
また、加工機能356は、匿名化処理以外の他の処理を実行してもよい。例えば、判定機能357の判定処理の妨げとなる要素が判定用情報に含まれる場合、当該要素を除去又は別データとして記憶する処理を実行してもよい。
【0059】
判定機能357は、判定部の一例である。判定機能357は、被検体の皮膚画像に基づき当該皮膚画像に表された皮膚の状態を判定する。具体的には。判定機能357は、判定用情報記憶部331に記憶された被検体情報に含まれる判定要件に係る要素に基づいて、被検体の皮膚の状態、つまり疾患名とその重症度とを判定する。ここで、判定要件に係る要素には、少なくとも皮膚画像が含まれるものとする。
【0060】
判定機能357の判定方法やアルゴリズムは特に問わず、種々の技術を用いることができる。例えば、判定機能357は、ディープラーニング等の機械学習によって生成された学習済モデルを用いて皮膚の状態を判定してもよい。この場合、学習済モデルは、判定要件に係る要素を入力することで、疾患名と重症度とを推論結果として出力するよう予め学習されているものとする。また、この場合、上述した画像サイズ毎に学習済モデルを用意等することで、推論精度(判定精度)を高めることができる。学習済モデルを用いる場合には、判定機能357は、被検体情報から抽出した種々の要素を学習済モデルに入力することで、学習済モデルで推論された疾患名と重症度とを判定結果として出力する。
【0061】
また、判定結果として導出される重症度は、疾患の状態の程度を示す指標値であり、例えば、軽症=1、中等症=2、重症=3の3段階の数値等で表される。なお、判定機能357は、重症度とともに、或いは重症度に代えて、緊急性の程度を示す緊急度を判定する構成としてもよい。
【0062】
また、重症度は、特定の疾患に罹患している可能性を示す指標値であってもよい。例えば、判定機能357は、メラノーマや重症薬疹等の特定疾患に罹患している可能性を定量的に示す数値等の情報を重症度の判定結果として導出する。ここで、重症度は、パーセンテージ等の数値であってもよいし、可能性の有無を表す二値の数値であってもよい。
【0063】
支援機能358は、診断支援部の一例である。支援機能358は、判定機能357の判定結果に応じた通知先に、当該判定結果又は当該判定結果に応じた通知内容を通知する診断支援動作を実行する。具体的には、支援機能358は、判定機能357で判定された疾患名又は重症度に応じて、その判定結果の通知先を変更する診断支援動作を実行する。かかる診断支援動作は、疾患の重症度(又は緊急度)や実際の医療連携の関係に基づき設定情報として予め規定しておくことで、支援機能358を有用に機能させることができる。
【0064】
以下、図6図8を参照しながら、支援機能358が行う診断支援動作例について説明する。ここで、図6図8は、支援機能358が実行する診断支援動作に係る設定情報の一例を示す図である。
【0065】
まず、図6の設定情報について説明する。図6に示すように、設定情報は、例えば動作条件と、通知先との組で構成される。
【0066】
動作条件は、支援機能358が診断支援動作を行う際の条件であり、例えば、重症度に応じて切り分けることができる。ここでは、重症度が閾値Th未満の場合と、閾値Th以上の場合とで区分した例を示している。閾値Thは、上述した軽症、中等症、重症の3段階の数値(1~3)の何れかである。例えば、閾値Thを「3」とすることで、軽症及び中等症の場合と、重症の場合とで診断支援動作を変更することができる。
【0067】
通知先は、判定機能357の判定結果を通知する通知先を規定するものである。図6の例では、重症度が閾値Th未満の場合の通知先を、判定用情報の送信元、つまり診療所H1としている。また、重症度が閾値Th以上の場合の通知先を、判定用情報の送信元(診療所H1)と病院H2としている。
【0068】
図6の設定情報を用いる場合、支援機能358は、判定機能357で判定された重症度が閾値Th未満の場合、判定機能357の判定結果を、診療所端末10に通知する。また、支援機能358は、判定機能357で判定された重症度が閾値Th以上の場合、判定機能357の判定結果を、診療所端末10と病院端末20との両方に通知する。
【0069】
これにより、支援機能358は、例えば、判定機能357で判定された重症度が軽症又は中等症の場合に、判定用情報を送信した診療所H1に判定結果を通知し、重症の場合には診療所H1と病院H2との両方に判定結果を通知することができる。
【0070】
このように、支援機能358は、判定機能357の判定結果に応じた通知先に、当該判定結果を通知する診断支援動作を実行する。かかる診断支援動作を行うことで、支援機能358は、被検体の状態が重症であった場合に、重症の被検体が存在することを診療所H1と病院H2とに速やかに通知することができる。したがって、支援機能358は、診療所H1から病院H2に被検体の状態を通知する手間を省くことができるため、診療所H1と病院H2との医療連携を支援することができる。
【0071】
図7は、他の設定情報を示すものである。図7の設定情報は、上述した動作条件と通知先とに、動作内容を加えた構成となっている。ここで、動作内容は、支援機能358行う動作を規定するものである。
【0072】
図7の例では、重症度が閾値Th未満の場合、通知先(診療所H1)に対し、判定機能357の判定結果を通知することを規定している。また、重症度が閾値Th以上の場合、通知先(病院H2)に対し、判定機能357の判定結果の通知と、被検体の検査を予約する動作とを規定している。さらに、重症度が閾値Th以上の場合には、通知先(病院H2)に対し、判定機能357の判定結果の通知と、病院H2に被検体の検査予約を行ったことを報知する動作とを規定している。
【0073】
ここで、病院H2に対する検査予約は、例えば、判定用情報に含まれた被検体の個人情報や患者ID、当該判定用情報を送信した診療所H1に関する情報を、検査予約情報として病院端末20に送信することで実行される。
【0074】
図7の設定情報を用いる場合、支援機能358は、判定機能357で判定された重症度が閾値Th未満の場合、判定機能357の判定結果を、診療所端末10に通知する。また、支援機能358は、判定機能357で判定された重症度が閾値Th以上の場合、判定機能357の判定結果を、診療所端末10と病院端末20との両方に通知する。さらに、支援機能358は、判定機能357で判定された重症度が閾値Th以上の場合、被検体の検査予約に係る検査予約情を病院端末20に送信(通知)することで検査予約を行うとともに、病院H2に被検体の検査予約を行ったことを診療所端末10に報知(通知)する。
【0075】
これにより、支援機能358は、例えば、判定機能357で判定された重症度が軽症又は中等症の場合に、判定用情報を送信した診療所H1に判定結果を通知し、重症の場合には診療所H1と病院H2との両方に判定結果を通知することができる。また、支援機能358は、判定機能357で判定された重症度が重症の場合に、該当する被検体の検査予約を病院H2に対して行うとともに、病院H2の検査予約を行ったことを診療所H1に報知することができる。
【0076】
このように、支援機能358は、判定機能357の判定結果に応じた通知先に、当該判定結果又は当該判定結果に応じた通知内容を通知する診断支援動作を実行する。かかる診断支援動作を行うことで、支援機能358は、被検体の状態が重症であった場合に、重症の被検体が存在することを診療所H1と病院H2とに速やかに通知することができるとともに、当該被検体の検査予約を病院H2に自動で行うことができる。したがって、支援機能358は、診療所H1から病院H2に重症患者(被検体)の状態を通知する手間を省くことができるため、診療所H1と病院H2との医療連携を支援することができる。また、支援機能358は、重症の被検体の検査予約を病院H2に対し自動で行うことができるため、診療所H1から病院H2に検査予約を行う際の手間を省くことができるため、処理の効率化を図ることができる。
【0077】
なお、支援機能358は、病院端末20に対し検査予約を行う際に、判定用情報記憶部331に記憶された判定用情報(皮膚画像等)を病院端末20に提供する構成としてもよい。この場合、支援機能358は、検査予約情報とともに判定用情報を病院端末20に送信してもよいし、判定用情報記憶部331に記憶された該当する被検体の判定用情報を病院端末20からアクセス可能な状態としてもよい。
【0078】
また、支援機能358は、診療所端末10に対し検査予約を行ったことを報知する際に、紹介状(診療情報提供書)の手配を依頼するメッセージ等をあわせて報知してもよい。また、この場合、診断支援装置30では、診療所端末10から紹介状を示す情報(以下、紹介状情報ともいう)が別途入力されると、入力された紹介状情報を、病院端末20に自動で転送する構成としてもよい。
【0079】
図8は、他の設定情報を示すものである。図8の設定情報は、上述した図7の設定情報の動作条件を疾患名に代えたものである。ここでは、判定機能357で判定された疾患名が特定の疾患名Xである場合と、当該疾患名X以外の場合とで区分した例を示している。疾患名Xは、任意に設定することが可能であり、複数の疾患名を設定することも可能である。例えば、疾患名Xには、メラノーマや重症薬疹等、重症度(緊急度)の高い疾患名を規定することが好ましい。
【0080】
図8の設定情報を用いる場合、支援機能358は、判定機能357で判定された疾患名が疾患名Xの場合、判定機能357の判定結果を、診療所端末10と病院端末20との両方に通知する。さらに、支援機能358は、判定機能357で判定された疾患名が疾患名Xの場合、被検体の検査予約を病院端末20に行うとともに、検査予約を行ったことを診療所端末10に報知する。また、判定機能357で判定された疾患名が疾患名X以外の場合、判定機能357の判定結果を、診療所端末10に通知する。
【0081】
このように、支援機能358は、判定機能357の判定結果に応じた通知先に、当該判定結果又は当該判定結果に応じた通知内容を通知する診断支援動作を実行する。かかる診断支援動作を行うことで、支援機能358は、被検体の疾患名が重症度、緊急度の高い疾患名Xであった場合に、疾患名Xの被検体が存在することを診療所H1と病院H2とに速やかに通知することができるとともに、当該被検体の検査予約を病院H2に自動で行うことができる。したがって、支援機能358は、診療所H1から病院H2に重症患者(被検体)の状態を通知する手間を省くことができるため、診療所H1と病院H2との医療連携を支援することができる。また、支援機能358は、重症の被検体の検査予約を病院H2に対し自動で行うことができるため、診療所H1から病院H2に検査予約を行う際の手間を省くことができるため、処理の効率化を図ることができる。
【0082】
以上、設定情報の例を3つ挙げたが、設定情報の内容はこれらに限定されるものではない。設定情報の内容は、医療連携や法制度等の変更に応じて、適宜変更することが可能である。また、例えば、診断支援装置30が複数の地域の診療所H1(診療所端末10)と病院H2(病院端末20)との連携を統括して管理する場合、連携関係にある診療所H1と病院H2との関係を示した設定情報を別途記憶し、診療所H1毎に通知先となる病院H2を切り替える構成としてもよい。
【0083】
以下、図9を参照して、診断支援装置30が行う処理の一例について説明する。図9は、診断支援装置30が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【0084】
まず、受付機能351は、診療所H1(診療所端末10)から送信された判定用情報の入力を、通信インタフェース34を介して受け付ける(ステップS11)。次いで、チェック機能352は、判定用情報に含まれる要素が判定機能357の判定要件を充足するかをチェックする(ステップS12)。ここで、判定要件を充足すると判定した場合(ステップS12;Yes)、チェック機能352は、受付機能351が受け付けた判定用情報を保存機能355に出力し、ステップS16に移行させる。
【0085】
また、判定要件を充足しないと判定した場合(ステップS12;No)、チェック機能352は、不足分の要件が画像サイズか否かを判定する(ステップS13)。ここで、不足分の要件が画像サイズ以外の要件を含む場合(ステップS13;No)、チェック機能352は、ステップS14に移行させる。この場合、リジェクト機能354は、ステップS12の処理結果に基づいてリジェクト情報を生成し、生成したリジェクト情報を診療所端末10に返信するリジェクト動作を実行する(ステップS14)。
【0086】
また、不足分の要件が画像サイズのみである場合(ステップS13;Yes)、チェック機能352は、ステップS15に移行させる。この場合、推定機能353は、判定用情報に含まれ皮膚画像を解析することで皮膚画像の画像サイズを推定する(ステップS15)。そして、チェック機能352は、ステップS15で推定された画像サイズを受付機能351が受け付けた判定用情報に含めて保存機能355に出力し、ステップS16に移行させる。
【0087】
続いて、加工機能356は、保存機能355に入力された判定用情報に、個人を特定可能な情報が含まれるか否かを判定する(ステップS16)。個人を特定可能な情報が含まれないと判定した場合(ステップS16;No)、加工機能356は、ステップS18に移行させる。また、個人を特定可能な情報が含まれると判定した場合(ステップS16;Yes)、加工機能356は、当該情報を除去する等の匿名化処理を実行し(ステップS17)、ステップS18に移行させる。
【0088】
続いて、保存機能355は、判定用情報記憶部331に判定用情報を記憶する(ステップS18)。判定機能357は、ステップS18で記憶された判定用情報に基づき、被検体の皮膚の状態を判定する(ステップS19)。次いで、支援機能358は。ステップS19の判定結果に応じた診断支援動作を実行し(ステップS20)、本処理を終了する。
【0089】
このように、診断支援装置30は、診療所H1(診療所端末10)から被検体の皮膚を撮像した皮膚画像の入力を受け付けると、受け付けた皮膚画像に基づいて被検体の皮膚の状態を判定し、その判定結果に応じた診断支援動作を実行する。
【0090】
これにより、診断支援装置30では、例えば、被検体の皮膚に生じた疾患が、診療所H1では見分けることが困難な重症薬疹等の疾患の場合であっても、診療所端末10から入力される皮膚画像等に基づき、その疾患名とその重症度とを判定することができる。また、診断支援装置30は、判定結果に応じて被検体の処置に係る診断支援動作を切り替えることができるため、疾患の重症度が高い場合に、病院H2への通知や予約を速やかに行うことができる。
【0091】
したがって、診断支援装置30は、診療所H1と病院H2との連携の効率化を進めることができるとともに、被検体を適切な医療機関又は治療に誘導することができる。
【0092】
なお、上述した実施形態は、各装置が有する構成又は機能の一部を変更することで、適宜に変形して実施することも可能である。そこで、以下では、上述した実施形態に係るいくつかの変形例を他の実施形態として説明する。なお、以下では、上述した実施形態と異なる点を主に説明することとし、既に説明した内容と共通する点については詳細な説明を省略する。また、以下で説明する変形例は、個別に実施されてもよいし、適宜組み合わせて実施されてもよい。
【0093】
(変形例1)
上述の実施形態では、診断支援装置30は、診療所H1と病院H2との間の医療連携を支援する形態としたが、支援対象となる医療施設はこれらに限らず、リハビリテーション施設や介護施設等を含んでもよい。
【0094】
また、診断支援装置30は、医療施設間の連携に限らず、例えば、図10に示すように、被検体となるユーザ個人と医療施設との間の連携を支援する形態としてもよい。
【0095】
ここで、図10は、変形例1に係る診断支援システムの構成例を示す図である。図10に示すように、診断支援システム1は、上述した病院端末20及び診断支援装置30と、ユーザ端末40とを有する。病院端末20、診断支援装置30、及びユーザ端末40は、ネットワークN1を介して通信可能に接続される。
【0096】
ユーザ端末40は、被検体となるユーザ自身が操作する端末装置である。例えば、ユーザ端末40は、パーソナルコンピュータやタブレット式PC、PDA、カメラ機能を備えたスマートフォン等によって実現される。なお、本変形例では、ユーザ端末40は、スマートフォンであるとして説明を進める。
【0097】
本変形例に係る診断支援システム1では、ユーザは、ユーザ端末40を用いて撮像した自己の皮膚画像を判定用情報として診断支援装置30に送信することができる。またこの場合、ユーザは、自己の氏名や連絡先、発症後何日目に撮像された画像か等を示す情報を判定用情報としてあわせて送信してもよい。
【0098】
診断支援装置30の受付機能351は、ユーザ端末40から送信された判定用情報の入力を、通信インタフェース34を介して受け付ける。なお、受付機能351は、判定用情報を送信用するためのWebページをユーザ端末40に提供することで、皮膚写真とともに判定要件に係る要素を入力させる形態としてもよい。
【0099】
診断支援装置30では、ユーザ端末40から受け付けた判定用情報に基づき、上述した実施形態と同様の処理を実行することで、支援機能358は、判定機能357で判定される被検体(ユーザ)の状態に応じた診断支援動作を行うことができる。
【0100】
なお、本変形例の構成では、上述した実施形態の構成と比較し、皮膚画像の画質が低下する可能性がある。また、判定用情報に含まれる皮膚画像以外の情報は、ユーザ自らが入力することになるため、上述した実施形態の構成と比較し、医学的な知見で得られた情報が少ないため、判定機能357による判定が行えない場合や、判定精度が低下する可能性がある。
【0101】
そのため、本変形例の場合には、リジェクト機能354や支援機能358の動作、判定機能357の判定要件等を、カスタマイズすることが好ましい。例えば、判定機能357の判定要件を緩める代わりに、判定機能357の判定結果に判定精度や判定確度を含めて通知する形態としてもよい。また、例えば、支援機能358は、判定機能357の判定結果に応じて、異なる撮像角度で撮像した皮膚写真、又は所定時間後に皮膚写真を再度送信することを依頼するメッセージ等をユーザ端末40に通知する形態としてもよい。このように、撮像角度が異なる複数の皮膚写真や、異なるタイミングで撮像された複数の皮膚写真を用いることで、判定機能357の判定精度の向上を図ることができる。
【0102】
また、支援機能358は、ユーザの重症度が高い場合等に、診断支援動作として病院端末20に検査予約を自動で行うことができるが、この動作例に限らず、他の動作を規定してもよい。例えば、支援機能358は、重症度が1の場合は、ユーザ端末40に判定結果を通知し、重症度が2の場合は、上述した診療所H1(診療所端末10)に検査予約を、重症度が3の場合に、病院H2(病院端末20)に検査予約を行う構成としてもよい。
【0103】
このように、本変形例に係る診断支援装置30は、判定機能357の判定結果に応じた通知先に、当該判定結果又は当該判定結果に応じた通知内容を通知する診断支援動作を実行する。これにより、診断支援装置30は、例えば、被検体の皮膚に生じた疾患が、重症薬疹等の疾患の場合であっても、ユーザ端末40から入力される皮膚画像等に基づき、その疾患名とその重症度とを判定することができる。また、診断支援装置30は、判定結果に応じて、被検体の処置に係る診断支援動作を切り替えることができるため、疾患の重症度が高い場合に、病院H2への通知や予約を速やかに行うことができる。
【0104】
したがって、診断支援装置30は、ユーザと医療施設との連携の効率化を進めることができるともに、被検体を適切な医療機関又は治療に誘導することができる。
【0105】
(変形例2)
上述の実施形態では、診療所H1の外部に診断支援装置30を設けた形態を説明した。しかしながら、診断支援装置30の設置位置は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、診療所H1内に診断支援装置30を設ける形態としてもよい。この場合、診断支援装置30は、上述した診療所端末10等の形態で実装されてもよい。
【0106】
なお、上述した実施形態では、診断支援装置30が備える機能構成を、処理回路35によって実現する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、本明細書における機能構成は、ハードウェアのみ、又は、ハードウェアとソフトウェアとの混合によって同機能を実現するものであっても構わない。
【0107】
また、上述した説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路33に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。一方、プロセッサが例えばASICである場合、記憶回路33にプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。更に、各図における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0108】
ここで、プロセッサによって実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶回路等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることにより提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、上述した各機能部を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
【0109】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、被検体の皮膚の状態を判定し、当該状態に適した診断支援動作を実施することができる。
【0110】
いくつかの実施形態(変形例)を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0111】
1 診断支援システム
10 診療所端末
20 病院端末
30 診断支援装置
40 ユーザ端末
351 受付機能
352 チェック機能
353 推定機能
354 リジェクト機能
355 保存機能
356 加工機能
357 判定機能
358 支援機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10