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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】トナー
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/097 20060101AFI20240930BHJP
   G03G 9/08 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
G03G9/097 375
G03G9/08 381
G03G9/097 372
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020150937
(22)【出願日】2020-09-09
(65)【公開番号】P2022045371
(43)【公開日】2022-03-22
【審査請求日】2023-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110870
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 芳広
(74)【代理人】
【識別番号】100096828
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敬介
(72)【発明者】
【氏名】村山 隆二
(72)【発明者】
【氏名】柴田 隆穂
(72)【発明者】
【氏名】松尾 龍一郎
(72)【発明者】
【氏名】小野▲崎▼ 裕斗
(72)【発明者】
【氏名】満生 健太
(72)【発明者】
【氏名】椎野 萌
(72)【発明者】
【氏名】皆川 浩範
【審査官】川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-138482(JP,A)
【文献】特開2016-142760(JP,A)
【文献】特開2020-034901(JP,A)
【文献】特開2018-159864(JP,A)
【文献】特開2017-134266(JP,A)
【文献】特開2015-014650(JP,A)
【文献】特開2015-121671(JP,A)
【文献】特開2020-086423(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0086917(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/097
G03G 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー粒子およびシリカ粒子Aを含有し、該シリカ粒子Aが、トナー表面を走査型電子顕微鏡を用いて観察したとき、
1)シリカ粒子A一個当たりの面積が0.005μm2以上0.100μm2以下であり、
2)下記式(I)で求められるシリカ粒子Aの形状指数である稠密度が0.4以上0.8以下であるトナーにおいて、
前記トナーが脂肪酸金属塩Bを含有し、
前記トナーにおける前記シリカ粒子Aの含有量Caが前記トナー粒子100質量部に対し1.0質量部以上3.0質量部以下であり、
前記トナーにおける前記シリカ粒子Aの固着率Kaが50%以上90%以下であり、
前記トナーにおける前記脂肪酸金属塩Bの含有量Cbが前記トナー粒子100質量部に対し0.10質量部以上0.60質量部以下であり、
前記トナーにおける前記脂肪酸金属塩Bの固着率Kbが20%以上50%以下であり、
前記Ca、Ka、Cb、Kbの関係式が下記式(II)を満たし、
前記シリカ粒子Aと脂肪酸金属塩Bを用いて、こすり試験を行った際の表面電位差Cが-70V以上+70V以下であることを特徴とするトナー。
式(I) 稠密度=(シリカ粒子Aの面積)/(シリカ粒子Aを凸包で囲んだ面積)
式(II) 2.00≦Ca×(100-Ka)/Cb×(100-Kb)≦20.00
表面電位差C=(前記脂肪酸金属塩Bを用いて作製したペレットと前記シリカ粒子Aとをこすり合わせた後、前記シリカ粒子Aが脂肪酸金属塩Bに付着した状態で測定した表面電位D)-(前記脂肪酸金属塩Bを用いて作製したペレットと前記シリカ粒子Aとをこすり合わせた後、前記シリカ粒子Aをエアブローで除去したペレットを用いて測定した表面電位E)
【請求項2】
前記脂肪酸金属塩Bがステアリン酸亜鉛である請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
式(III)を満たす請求項1または2に記載のトナー。
式(III)5.00≦Ca×(100-Ka)/Cb×(100-Kb)≦10.00
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式、静電記録方式、及び、静電印刷方式などに用いられるトナーおよび現像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真方式のフルカラー複写機が広く普及するに従い、更なる高画質化に加え、長期使用時の安定性も要求されている。
長期の使用をした場合、特に、同じパターンの画像を多量に印刷した場合、現像スリーブ上において印字部と非印字部では、トナーから供給された外添剤などの微粒子が静電潜像担持体上に存在する量が異なる。この場合、前記微粒子の電荷により形成される電気力線の影響により、トナーにかかる電界の力に差が生じ、前の画像の履歴が画像濃度の濃淡差となって印刷される(以下スリーブゴーストとする)弊害が発生する場合がある。
スリーブゴーストに対して、例えば、特許文献1には、個数平均粒径が5nm以上20nm以下のシリカと80nm以上200nm以下のシリカをトナーに添加することで、トナーの帯電性及び流動性を制御して、低温低湿環境下でのスリーブゴーストを抑制できる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-110095号公報
【文献】特開2017-138482号公報
【文献】特開昭63-96664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、転写性を向上させるためには、例えば特許文献1に記載されているようなシリカなどの微粒子の添加量をさらに増加させて被覆率を向上させ、非静電付着力を下げる必要があるが、微粒子の添加量が多くなると静電潜像担持体に供給される微粒子の割合が高くなるため、前の画像の濃淡差が大きくなり、スリーブゴーストがより顕著にみられるようになる。その結果、スリーブゴーストと転写性の両立が困難であった。
そこで本発明者らは、特許文献2に記載されているような異形の添加剤を用いることによって、スリーブゴーストを抑制できることを見出した。これは、異形の添加剤が静電潜像担持体上の添加剤をかきとる作用が高いため、同じ画像を出力した場合においても画像の濃度差が出にくくなるためであると考えられる。
しかしながら、このような異形のシリカは、静電潜像担持体とクリーニングブレードの間に供給された際に、それぞれに対して接触点が多くなるため、クリーニングブレードと静電潜像担持体との間に生じる静止摩擦係数μが大きくなる。このため、クリーニングブレードが局所的・瞬間的に静電潜像担持体に引きずられるように変形したあとに瞬間的に元の形状に戻ることで生じる、いわゆるびびり(スティックスリップ)が発生し、クリーニング不良が生じることがあった。
加えて、特許文献3に記載されているように、ステアリン酸亜鉛に代表されるような滑性を有する金属酸化物を添加することで静止摩擦係数を低減させ、クリーニング不良を抑制させる手段が提案されているが、長期使用などで到達するような耐久時に上記金属酸化物のクリーニングブレードへの供給量が少なくなる場合では、上記のメカニズムに起因するクリーニング性を良化することが困難であった。
以上のことから、耐スリーブゴースト性およびクリーニング性はトレードオフ関係にあり、このトレードオフ関係を脱却し、高画質化を示す電子写真用トナーの開発が急務となっている。すなわち、本発明の課題は、優れた転写性、耐スリーブゴースト性及びクリーニング性を全て満たすトナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意検討の結果、前記金属酸化物との固着率を同等にすることに加えて、前記異形添加剤と前記金属酸化物の帯電系列を同等とすることによって、現像バイアスにより供給される前記異形添加剤と前記金属酸化物の供給率を同等とすることができるようになり、耐久時においてもスリーブゴーストの低減が可能であると同時に、クリーニング性も低減できることがわかった。
本発明のトナーを用いることにより、結果的にクリーニングブレード上に供給される前記異形添加剤と前記金属酸化物の供給率が長期使用時にも同等となるため、上記で課題となっていた異形添加剤の過剰供給によるびびりの発生や、長期使用時における金属酸化物の供給不足によるびびりの発生を低減することが可能となったと考えられる。
すなわち、本発明は、トナー粒子およびシリカ粒子Aを含有し、該シリカ粒子Aが、トナー表面を走査型電子顕微鏡を用いて観察したとき、
1)シリカ粒子A一個当たりの面積が0.005μm2以上0.100μm2以下であり、
2)下記式(I)で求められるシリカ粒子Aの形状指数である稠密度が0.4以上0.8以下であるトナーにおいて、
前記トナーが脂肪酸金属塩Bを含有し、
前記トナーにおける前記シリカ粒子Aの含有量Caが前記トナー粒子100質量部に対し1.0質量部以上3.0質量部以下であり、
前記トナーにおける前記シリカ粒子Aの固着率Kaが50%以上90%以下であり、
前記トナーにおける前記脂肪酸金属塩Bの含有量Cbが前記トナー粒子100質量部に対し0.10質量部以上0.60質量部以下であり、
前記トナーにおける前記脂肪酸金属塩Bの固着率Kbが20%以上50%以下であり、
前記Ca、Ka、Cb、Kbの関係式が下記式(II)を満たし、
前記シリカ粒子Aと脂肪酸金属塩Bを用いて、こすり試験を行った際の表面電位差Cが-70V以上+70V以下であることを特徴とするトナーに関する。
式(I) 稠密度=(シリカ粒子Aの面積)/(シリカ粒子Aを凸包で囲んだ面積)
式(II) 2.00≦Ca×(100-Ka)/Cb×(100-Kb)≦20.00
表面電位差C=(前記脂肪酸金属塩Bを用いて作製したペレットと前記シリカ粒子Aとをこすり合わせた後、前記シリカ粒子Aが脂肪酸金属塩Bに付着した状態で測定した表面電位D)-(前記脂肪酸金属塩Bを用いて作製したペレットと前記シリカ粒子Aとをこすり合わせた後、前記シリカ粒子Aをエアブローで除去したペレットを用いて測定した表面電位E)
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、転写性、耐スリーブゴースト性及びクリーニング性に優れたトナーを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】トナーに対する熱風による表面処理に好適な装置の説明図である。
図2】ハーフトーン画像上でのスリーブゴースト評価の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明において、数値範囲を表す「○○以上××以下」や「○○~××」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。
【0009】
本発明のトナーは、トナー粒子およびシリカ粒子Aを含有し、該シリカ粒子Aが、トナー表面を走査型電子顕微鏡を用いて観察したとき、
1)シリカ粒子A一個当たりの面積が0.005μm2以上0.100μm2以下であり、
2)下記式(I)で求められるシリカ粒子Aの形状指数である稠密度が0.4以上0.8以下であるトナーにおいて、
前記トナーが脂肪酸金属塩Bを含有し、
前記トナーにおける前記シリカAの含有量Caが1.0質量部以上3.0質量部以下であり、
前記トナーにおける前記シリカAの固着率Kaが50%以上90%以下であり、
前記トナーにおける前記脂肪酸金属塩Bの含有量Cbが前記トナー粒子100質量部に対し0.10質量部以上0.60質量部以下であり、
前記トナーにおける前記脂肪酸金属塩Bの固着率Kbが20%以上50%以下であり、
前記Ca、Ka、Cb、Kbの関係式が下記式(II)を満たし、
前記シリカAと脂肪酸金属塩Bを用いて、こすり試験を行った際の表面電位差Cが-70V以上+70V以下であることを特徴とするトナーである。
式(I) 稠密度=(シリカ粒子Aの面積)/(シリカ粒子Aを凸包で囲んだ面積)
式(II) 2.00≦Ca×(100-Ka)/Cb×(100-Kb)≦20.00
表面電位差C=(前記脂肪酸金属塩Bを用いて作製したペレットと前記シリカ粒子Aとをこすり合わせた後、前記シリカ粒子Aが脂肪酸金属塩Bに付着した状態で測定した表面電位D)-(前記脂肪酸金属塩Bを用いて作製したペレットと前記シリカ粒子Aとをこすり合わせた後、前記シリカ粒子Aをエアブローで除去したペレットを用いて測定した表面電位E)
である。
【0010】
上述の通り、特許文献1に記載のようなトナーは、シリカ粒子の添加量を制御するだけでは、転写性及び耐スリーブゴースト性の両立が困難であったため、本発明のトナーに用いられるシリカ粒子は、トナー表面を走査型電子顕微鏡を用いて観察したとき、
1)シリカ粒子A一個当たりの面積が0.005μm2以上0.100μm2以下であり、下記式(I)で求められる形状指数である稠密度が0.4以上0.8以下である。
式(I) 稠密度=(シリカ粒子Aの面積)/(シリカ粒子Aを凸包で囲んだ面積)
【0011】
稠密度は、走査型電子顕微鏡S-4800による観察と画像解析により求められる。上記と同様にして、S-4800により、トナー表面の画像を得る。
【0012】
シリカ粒子Aの面積としては、観察視野中において高輝度のシリカ粒子の内、アスペクト比が1.2を超える形状の粒子を画像解析ソフトウェア、イメージJで規定して抽出した値である。
【0013】
具体的には、面積の測定は、以下のように行う。粒子解析により、画像中の外添剤粒子(ここではシリカ粒子)とトナー粒子を二値化により、色分けする。外添剤粒子の中から、外添剤bに相当する粒子(アスペクト比が1.2以下)を除去する。残った外添剤aの由来の粒子について、測定の設定より、選択画面の面積を表示させる。この操作を複数行い、100個の平均値を求めることで、外添剤a一個当たりの面積を算出する。
【0014】
稠密度とは、外添剤の面積及び包絡線により囲まれた外添剤の面積を算出し下記式で示される値であり、画像解析ソフトウェアImage J(開発元Wayne Rasband)にて稠密度はSolidityという名称で数値範囲の規定を行うことが可能である。
稠密度=(外添剤粒子の面積)/外添剤粒子を包絡線で囲んだ面積
【0015】
稠密度は0から1の間の値をとる量であり、値が小さいほど凹部が多く、入り組んだ形状となる。具体的な測定方法は以下の通りである。
【0016】
後述の粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)で測定されるトナーの重量基準の円相当重量平均径D4(μm)に対し、0.9≦R/D4≦1.1の関係を満たす長径R(μm)を呈するトナーを100個選び出し、トナー表面の比較的平らな部分(観察面全体にピントが合う視野)を選び、トナー1個あたり1視野の観察を行い、100枚の画像を得る。
【0017】
画像解析:
得られたSEM観察像から、画像処理ソフトImageJ(開発元 Wayne Rashand)を用いて、平均稠密度を算出する。算出の手順を以下に示す。
1)[Analyze]-[Set Scale]にて、スケールの設定を行う。
2)[Image]-[Adjust]-[Threshold]で閾値を設定する。
(ノイズが残らず、測定対象であるシリカ粒子Aが残る値に設定)
3)[Image]-[Crop]で、測定したシリカ粒子Aの画像部分を選択する。
4)シリカ粒子が重なっているものは画像編集により消去する。
5)[Edit]-[Invert]で白黒の画像を反転させる。
6)[Analyze]-[Set Measurements]で[Area]、[Shape Descriptors]、[Perimeter]、[Fit Ellipse]、[Ferets Diameter]をチェックする。また、[Redirect to]を[None]、[Decimal Place(0-9)]を3に設定する。
7)[Analyze]-[Analyze Particle]で、粒子の面積を0.005μm2以上に指定し、実行する。
8)上記7)で指定された各粒子のSolidityの値を得る。
9)観察した画像100枚について測定を行い、得られたSolidityの相加平均値を算出し、稠密度とする。
【0018】
本発明のトナーは、前記シリカ粒子Aの含有量Caがトナー粒子100質量部に対し1.0質量部以上3.0質量部以下であり、前記シリカ粒子Aの固着率Kaが50%以上90%以下である。
【0019】
前記シリカ粒子Aの含有量が1.0質量部より少ない場合、非静電付着力が低くなるため、転写性が悪化する。3.0質量部より多い場合は静電潜像担持体のシリカ粒子Aの量が過剰になるため、スリーブゴーストが悪化する。
【0020】
前記シリカ粒子Aの固着率が50%より少ない場合、静電潜像担持体に供給される前記シリカ粒子Aが多すぎるため、スリーブゴーストが悪化する。90%より多い場合、クリーニングブレード上に供給されるシリカ粒子Aが不足することによりクリーニング掻き取り性が低下するため、スリーブゴーストが悪化する。
【0021】
前記シリカ粒子Aの固着率Kaは下記の手法により測定・算出される。
【0022】
サンプルの入ったガラス瓶をヤヨイ振とう機にて200rpm、5minで振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機にて3500rpm、30minの条件で分離する。この操作により、トナー粒子と除去された外添剤が分離する。トナーと水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナーをスパチュラ等で採取する。採取したトナーを減圧濾過器で濾過した後、乾燥機で1時間以上乾燥し、外添剤が分離されたトナー粒子を得る。
【0023】
固着率の測定は以下の様にする。まず上記分離工程前のトナーに含まれるシリカ微粒子の定量を行う。これは波長分散型蛍光X線分析装置Axios advanced(PANalytical社製)を用いて、トナー粒子中のSi元素強度:Si-Bを測定する。次に同様に上記分離工程後のトナーのSi元素強度:Si-Aを測定する。固着率は(Si-A/Si-B)×100(%)で求められる。
【0024】
本発明のトナーは脂肪酸金属塩Bを含有し、前記脂肪酸金属塩Bの含有量Cbがトナー粒子100質量部に対し0.10質量部以上0.60質量部以下であり、前記脂肪酸金属塩Bの固着率Kbが20%以上50%以下である。
【0025】
前記脂肪酸金属塩Bの含有量Cbが0.10質量部より少ない場合、クリーニングブレード上への供給量が少なくなるため、スリーブゴーストが悪化する。0.60質量部より多い場合、トナーの抵抗が低くなりすぎるため、帯電量が低下し、画像濃度安定性が悪化する。
【0026】
前記脂肪酸金属塩Bの固着率Kbが20%より低い場合、静電潜像担持体に供給される前記脂肪酸金属塩Bの供給速度が速いため、耐久時に長鎖脂肪酸Bの供給が不足するため、耐久時にビビりが悪化する。50%より高い場合、クリーニングブレード上に供給される脂肪酸金属塩Bが不足することによりクリーニング性が悪化する。
【0027】
また、前記Ca、Ka、Cb、Kbは、下記式(II)を満たす。
式(II) 2.00≦Ca×(100-Ka)/Cb×(100-Kb)≦20.00
【0028】
この式において、Ca×(100-Ka)/Cb×(100-Kb)の項は、前記シリカ粒子Aと前記脂肪酸金属塩Bとがクリーニングブレード上に供給される重量の比率を示したものである。この比率の値が2.00以上20.00以下である場合、スリーブゴースト及びクリーニング性が良化する。2.00より小さい場合、シリカ粒子Aに対して脂肪酸金属塩Bの供給量が多く、画像濃度が低い画像を出力し続けた際に脂肪酸金属塩Bの供給量が低下し、クリーニング性が悪化しやすくなり、20.00より大きい場合、シリカ粒子の供給量に対して脂肪酸金属塩Bの供給量が不足するため、クリーニング性が悪化しやすくなる。また、下記式(III)
式(III) 5.00≦Ca×(100-Ka)/Cb×(100-Kb)≦10.00
を満たすと、耐久時のスリーブゴースト及びクリーニング性が良化するため好ましい。
【0029】
本発明のトナーは、前記シリカ粒子Aと前記脂肪酸金属塩Bとを用いてこすり試験を行った際の、表面電位差Cが-70V以上+70V以下である。こすり試験は、下記方法によって行う。
【0030】
まず、脂肪酸金属塩Bを用いてペレットを作製する。ペレットの作製方法はたとえば以下のように行うことができる。脂肪酸金属塩の融点より高温(脂肪酸金属塩の融点+20℃が好ましく、例えばステアリン酸亜鉛では150℃)に熱せられたホットプレート上で、厚さ40μmのPTFEシートで脂肪酸金属塩Bを挟み込み、ハンマーなど平らなもので圧力をかけることにより作製する。ペレットの寸法は、縦2cm・横2cm・高さ1mm程度である。
【0031】
次いで、作製されたペレットの表面を除電装置により除電する。X線発生装置(浜松ホトニクス社製Photoionizer)により微弱X線(管電圧15kV、照射角130°)を30秒照射させることによって除電する。
【0032】
ペレットに電位が残っていないことを、表面電位計(トレックジャパン製 model347)によって電位が-70V~+70Vであることで確認する。ここで、表面電位計とペレットとの距離は1cmとする。
【0033】
次いで、ペレット上にシリカ粒子Aを乗せ、もう一つ同様に作製したペレットとの間にシリカ粒子Aを挟み、30往復こすり合わせる。
【0034】
ここで、シリカ粒子Aがペレットに付着した状態で測定したペレットの表面電位を表面電位Dとする。
【0035】
このシリカ粒子Aを、摩擦帯電を発生させないように、エアブローにより除去したペレットを用いて測定した表面電位を表面電位Eとする。
【0036】
これらの表面電位Dと表面電位Eとの差分を算出することにより、シリカ粒子Aが持っていた電位量を算出することが可能となる。
【0037】
すなわち、脂肪酸金属塩Bとシリカ粒子Aとの帯電系列は、下記式により算出することができる。
表面電位差C=(脂肪酸金属塩Bのペレットとシリカ粒子Aとをこすり合わせた後、シリカ粒子Aがペレットに付着した状態で測定したペレットの表面電位D)-(脂肪酸金属塩Bのペレットとシリカ粒子Aとをこすり合わせた後、シリカ粒子Aをエアブローで除去したペレットを用いて測定した表面電位E)
【0038】
上記表面電位差Cが-70V~+70Vであることにより、静電潜像担持体に供給されるシリカ粒子Aおよび脂肪酸金属塩Bの供給量が一定の比率を維持することから、スリーブゴースト及びクリーニング性の両立が可能となる。
【0039】
本発明のシリカ粒子Aは、表面処理が施されていてもよく、表面処理剤や表面処理量等を調整することにより脂肪酸金属塩Bとの帯電系列を調整することが可能となる。
【0040】
本発明の脂肪酸金属塩Bは、例えば、ステアリン酸の亜鉛、鉛、アルミニウム、銅、マグネシウム、カルシウムなどの塩、オレイン酸の亜鉛、マンガン、鉄、銅、マグネシウムなどの塩、パルミチン酸の亜鉛、銅、マグネシウム、カルシウムなどの塩、リノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩、リシノール酸の亜鉛、カルシウムなどの塩などの(高級)脂肪酸金属塩が挙げられる。延展しやすく、疎水化度が最も高いステアリン酸亜鉛が、滑剤としての性能や、静電的なトナー保持性の観点から好ましい。
【0041】
<結着樹脂>
本発明におけるトナー粒子は、結着樹脂として、下記の重合体などを用いることが可能である。ポリスチレン、ポリ-p-クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン-p-クロルスチレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂とビニル系樹脂が混合、または両者が一部反応したハイブリッド樹脂;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。その中でも、ポリエステル樹脂を主成分としていることが、低温定着性の観点から好ましい。
【0042】
ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられるモノマーとしては、多価アルコール(2価もしくは3価以上のアルコール)と、多価カルボン酸(2価もしくは3価以上のカルボン酸)、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとが用いられる。ここで、「歪み硬化性」を発現させるため、分岐ポリマーを作成するためには、非晶性樹脂の分子内において部分架橋することが有効であり、そのためには、3価以上の多官能化合物を使用することが好ましい。従って、ポリエステルユニットの原料モノマーとして、3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステル、及び/又は3価以上のアルコールを含むことが好ましい。
【0043】
ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられる多価アルコールモノマーとしては、以下の多価アルコールモノマーを使用することができる。
【0044】
2価のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、また式(A)で表わされるビスフェノール及びその誘導体;
【0045】
【化1】
(式中、Rはエチレンまたはプロピレン基であり、x及びyはそれぞれ0以上の整数であり、かつ、x+yの平均値は0以上10以下である。)
【0046】
式(B)で示されるジオール類;
【0047】
【化2】
【0048】
3価以上のアルコール成分としては、例えば、ソルビトール、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセロール、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼンが挙げられる。これらのうち、好ましくはグリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが用いられる。これらの2価のアルコール及び3価以上のアルコールは、単独であるいは複数を併用して用いることができる。
【0049】
ポリエステル樹脂のポリエステルユニットに用いられる多価カルボン酸モノマーとしては、以下の多価カルボン酸モノマーを使用することができる。
【0050】
2価のカルボン酸成分としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、n-ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n-ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸、n-オクテニルコハク酸、n-オクチルコハク酸、イソオクテニルコハク酸、イソオクチルコハク酸、これらの酸の無水物及びこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、マレイン酸、フマル酸、テレフタル酸、n-ドデセニルコハク酸が好ましく用いられる。
【0051】
3価以上のカルボン酸、その酸無水物又はその低級アルキルエステルとしては、例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、2,5,7-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸、1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,2,5-ヘキサントリカルボン酸、1,3-ジカルボキシル-2-メチル-2-メチレンカルボキシプロパン、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8-オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸、これらの酸無水物又はこれらの低級アルキルエステルが挙げられる。これらのうち、特に1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、すなわちトリメリット酸又はその誘導体が安価で、反応制御が容易であるため、好ましく用いられる。これらの2価のカルボン酸等及び3価以上のカルボン酸は、単独であるいは複数を併用して用いることができる。
【0052】
本発明のポリエステルユニットの製造方法については、特に制限されるものではなく、公知の方法を用いることができる。例えば、前述のアルコールモノマー及びカルボン酸モノマーを同時に仕込み、エステル化反応またはエステル交換反応、及び縮合反応を経て重合し、ポリエステル樹脂を製造する。また、重合温度は、特に制限されないが、180℃以上290℃以下の範囲が好ましい。ポリエステルユニットの重合に際しては、例えば、チタン系触媒、スズ系触媒、酢酸亜鉛、三酸化アンチモン、二酸化ゲルマニウム等の重合触媒を用いることができる。特に、本発明の結着樹脂は、スズ系触媒を使用して重合されたポリエステルユニットがより好ましい。
【0053】
また、ポリエステル樹脂の酸価は5mgKOH/g以上20mgKOH/g以下であり、水酸基価は20mgKOH/g以上70mgKOH/g以下であることが、高温高湿環境下における水分吸着量が抑え、非静電付着力を低く抑えることができるため、カブリ抑制の観点から好ましい。
【0054】
また、結着樹脂は、低分子量の樹脂と高分子量の樹脂を混ぜ合わせて使用しても良い。高分子量の樹脂と低分子量の樹脂の含有比率は質量基準で40/60以上85/15以下であることが、低温定着性と耐ホットオフセット性の観点から好ましい。
【0055】
<離型剤>
本発明のトナーに用いられるワックスとしては、例えば以下のものが挙げられる。低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如き飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸の如き脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールの如きアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪族金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸の如きビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
【0056】
これらのワックスの中でも、低温定着性、定着分離性を向上させるという観点で、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス、もしくはカルナバワックスの如き脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。本発明においては、耐ホットオフセット性がより向上する点で、炭化水素系ワックスがより好ましい。
【0057】
本発明では、ワックスは、結着樹脂100質量部あたり3質量部以上8質量部以下で使用されることが好ましい。
【0058】
また、示差走査熱量測定(DSC)装置で測定される昇温時の吸熱曲線において、ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度としては45℃以上140℃以下であることが好ましい。ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度が上記範囲内であるとトナーの保存性と耐ホットオフセット性を両立できるため好ましい。
【0059】
<着色剤>
本発明におけるトナー粒子は、着色剤を含有していてもよい。着色剤としては、以下のものが挙げられる。
【0060】
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤、マゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。着色剤には、顔料を単独で使用してもかまわないが、染料と顔料とを併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
【0061】
マゼンタトナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
【0062】
マゼンタトナー用染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパーバイオレット1のような油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28のような塩基性染料。
【0063】
シアントナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1~5個置換した銅フタロシアニン顔料。
【0064】
シアントナー用染料としては、C.I.ソルベントブルー70が挙げられる。
【0065】
イエロートナー用顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
【0066】
イエロートナー用染料としては、C.I.ソルベントイエロー162が挙げられる。
【0067】
これらの着色剤は、単独または混合して、さらには固溶体の状態で用いることができる。着色剤は、色相角、彩度、明度、耐光性、OHP透明性、及びトナーへの分散性の点から選択される。
【0068】
着色剤の含有量は、樹脂成分の総量に対して0.1質量部以上30.0質量部以下であることが好ましい。
【0069】
<無機微粒子>
本発明におけるトナーは、上述したシリカ粒子Aを含有する。また必要に応じて二種類以上のシリカ粒子Aに相当する微粒子または他のシリカ粒子を含有していてもよい。
【0070】
無機微粒子は、トナー粒子に内添してもよいし外添剤としてトナー粒子と混合してもよいが、シリカ粒子Aの固着率が50%以上90%以下となるように設計する必要がある。
【0071】
外添剤としては、シリカ粒子の他に、チタン酸ストロンチウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、のような無機微粒子が好ましく、特にチタン酸ストロンチウム、酸化チタンのような抵抗の低い外添剤は、温湿度環境による帯電量の変化が抑制できるとともに、トナーの電荷の局在化を抑え、静電付着力が低下することからカブリや転写効率の観点から好ましい。無機微粒子は、シラン化合物、シリコーンオイル又はそれらの混合物のような疎水化剤で疎水化されていることが好ましい。
【0072】
トナー粒子と外添剤との混合は、ヘンシェルミキサーのような公知の混合機を用いることができる。
【0073】
<現像剤>
本発明におけるトナーは、一成分系現像剤としても使用できるが、トナー表面の電荷局在化を抑制するために、磁性キャリアと混合して、二成分系現像剤として用いることもできる。
【0074】
該磁性キャリアとしては、例えば、酸化鉄;鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、及び希土類のような金属粒子、それらの合金粒子、それらの酸化物粒子;フェライトなどの磁性体;磁性体と、この磁性体を分散した状態で保持するバインダー樹脂とを含有する磁性体分散樹脂キャリア(いわゆる樹脂キャリア);など、一般に公知のものを使用できる。
【0075】
トナーを磁性キャリアと混合して二成分系現像剤として使用する場合、その際の磁性キャリアの混合比率は、二成分系現像剤中のトナー濃度として、2質量%以上15質量%以下であることが好ましく、より好ましくは4質量%以上13質量%以下である。
【0076】
<トナーの製造方法>
トナー粒子を製造する方法としては、特に限定されないが、離型剤やポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合している重合体の分散の観点から粉砕法が好ましい。その理由は、水系媒体中でトナー粒子を製造すると、疎水性の高い離型剤やポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合している重合体はトナー粒子の内部に局在化する傾向にある。そのため、上述した熱処理装置によるコアシェル構造を形成しにくくなるためである。
【0077】
以下、粉砕法でのトナー製造手順について説明する。
【0078】
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、例えば、結着樹脂、離型剤、着色剤、結晶性ポリエステル、必要に応じて荷電制御剤等の他の成分を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。
【0079】
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中にワックス等を分散させる。その溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーの如きバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が主流となっている。例えば、KTK型2軸押出機(神戸製鋼所社製)、TEM型2軸押出機(東芝機械社製)、PCM混練機(池貝鉄工製)、2軸押出機(ケイ・シー・ケイ社製)、コ・ニーダー(ブス社製)、ニーデックス(日本コークス工業株式会社製)などが挙げられる。更に、溶融混練することによって得られる樹脂組成物は、2本ロール等で圧延され、冷却工程で水などによって冷却してもよい。
【0080】
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。粉砕工程では、例えば、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルの如き粉砕機で粗粉砕した後、更に、例えば、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、スーパーローター(日清エンジニアリング社製)、ターボ・ミル(ターボ工業製)やエアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
【0081】
その後、必要に応じて慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製)、ファカルティ(ホソカワミクロン社製)の如き分級機や篩分機を用いて分級する。
【0082】
その後、加熱によるトナー粒子の表面処理を行い、シリカ粒子Aや脂肪酸金属塩Bの固着率を制御し、かつトナーの円形度を増加させる。例えば、図1で表される表面処理装置を用いて、熱風により表面処理を行うこともできる。
【0083】
原料定量供給手段1により定量供給された混合物は、圧縮気体調整手段2により調整された圧縮気体によって、原料供給手段の鉛直線上に設置された導入管3に導かれる。導入管を通過した混合物は、原料供給手段の中央部に設けられた円錐状の突起状部材4により均一に分散され、放射状に広がる8方向の供給管5に導かれ熱処理が行われる処理室6に導かれる。
【0084】
このとき、処理室に供給された混合物は、処理室内に設けられた混合物の流れを規制するための規制手段9によって、その流れが規制される。このため処理室に供給された混合物は、処理室内を旋回しながら熱処理された後、冷却される。
【0085】
供給された混合物を熱処理するための熱風は、熱風供給手段7から供給され、熱風を旋回させるための旋回部材13により、処理室内に熱風を螺旋状に旋回させて導入される。その構成としては、熱風を旋回させるための旋回部材13が、複数のブレードを有しており、その枚数や角度により、熱風の旋回を制御することができる。処理室内に供給される熱風は、熱風供給手段7の出口部における温度が100℃乃至300℃であることが好ましい。熱風供給手段の出口部における温度が上記の範囲内であれば、混合物を加熱しすぎることによるトナー粒子の融着や合一を防止しつつ、トナー粒子を均一に球形化処理することが可能となる。
【0086】
更に熱処理された熱処理トナー粒子は冷風供給手段8から供給される冷風によって冷却され、冷風供給手段8から供給される温度は-20℃乃至30℃であることが好ましい。冷風の温度が上記の範囲内であれば、熱処理トナー粒子を効率的に冷却することができ、混合物の均一な球形化処理を阻害することなく、熱処理トナー粒子の融着や合一を防止することができる。冷風の絶対水分量は、0.5g/m3以上15.0g/m3以下であることが好ましい。
【0087】
次に、冷却された熱処理トナー粒子は、処理室の下端にある回収手段10によって回収される。なお、回収手段の先にはブロワー(不図示)が設けられ、それにより吸引搬送される構成となっている。
【0088】
また、粉体粒子供給口14は、供給された混合物の旋回方向と熱風の旋回方向が同方向になるように設けられており、表面処理装置の回収手段10は、旋回された粉体粒子の旋回方向を維持するように、処理室の外周部に設けられている。さらに、冷風供給手段8から供給される冷風は、装置外周部から処理室内周面に、水平かつ接線方向から供給されるよう構成されている。粉体供給口から供給されるトナーの旋回方向、冷風供給手段から供給された冷風の旋回方向、熱風供給手段から供給された熱風の旋回方向がすべて同方向である。そのため、処理室内で乱流が起こらず、装置内の旋回流が強化され、トナーに強力な遠心力がかかり、トナーの分散性が更に向上するため、合一粒子の少ない、形状の揃ったトナーを得ることができる。
【0089】
トナーの平均円形度は、0.960以上0.980以下であると、非静電付着力を低く抑えることができるためカブリ抑制の観点から好ましい。
【0090】
その後、微粉側の粗粉側に二分する。例えば、慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業(株)製)を用いて二分する。二分された熱処理トナー粒子それぞれの表面に、所望量のシリカ微粒子Aを外添処理する。外添処理する方法としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウタミキサ、メカノハイブリッド(日本コークス工業株式会社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン株式会社製)等の混合装置を外添機として用いて、撹拌・混合する方法が挙げられる。その際、必要に応じて、流動化剤等のシリカ微粒子以外の外添剤を外添処理しても良い。
【0091】
トナー及び原材料の各種物性の測定法について以下に説明する。
【0092】
<GPCによる結着樹脂及びポリオレフィンにスチレンアクリル系ポリマーがグラフト重合している重合体のピーク分子量、重量平均分子量測定>
樹脂のTHF可溶分の分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
【0093】
まず、室温で24時間かけて、トナーをテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流速:1.0ml/min
オーブン温度:40.0℃
試料注入量:0.10ml
【0094】
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」、東ソ-社製)を用いて作製した分子量校正曲線を使用する。
【0095】
<結着樹脂の軟化点の測定方法>
軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT-500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
【0096】
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT-500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。尚、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax-Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとなるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
【0097】
測定試料は、約1.0gの樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT-100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
【0098】
CFT-500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
【0099】
<結着樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定>
ガラス転移温度及び融解ピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q2000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418-82に準じて測定する。
【0100】
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
【0101】
具体的には、樹脂又はトナー約3mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用いて、以下の条件で測定する。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:30℃
測定終了温度:180℃
【0102】
測定範囲30乃至180℃の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。一度180℃まで昇温させ10分間保持し、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程で、温度30乃至100℃の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化が出る前と出た後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、樹脂のガラス転移温度(Tg)とする。
【0103】
<無機微粒子の一次粒子の個数平均粒径(D1)の測定方法>
外添剤の一次粒子の個数平均粒径は、透過型電子顕微鏡(TEM)「JEM2800」(日本電子(株)製)を用いて測定する。
【0104】
まず、測定サンプルの調製を行う。外添剤約5mgに対し、イソプロパノール1mLを加え、超音波分散機(超音波洗浄機)で5分間分散させる。次に、TEM用の支持膜付きマイクログリッド(150メッシュ)に上記分散液を1滴たらし、乾燥させることで測定サンプルを準備した。
【0105】
次に、透過型電子顕微鏡(TEM)により、加速電圧200kVの条件のもと、視野中の外添剤が十分に測長できる倍率(例えば200k~1M倍)にて画像を取得し、ランダムに100個の外添剤の一次粒子の粒径を測定して個数平均粒径を求める。一次粒子の粒径の測定は手動、または計測ツールを用いても良い。
【0106】
<トナー粒子の重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナー粒子の重量平均粒径(D4)は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター(株)製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター(株)製)を用いる。実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出した。
【0107】
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター(株)製)が使用できる。
【0108】
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行った。
【0109】
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50,000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター(株)製)を用いて得られた値を設定した。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定した。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れた。
【0110】
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定した。
【0111】
具体的な測定法は以下のとおりである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行った。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡をあらかじめ除去した。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れ、この中に分散剤として下記「コンタミノンN」をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加えた。
・コンタミノンN:非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispension System Tetora150」(日科機バイオス(株)製)の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2mL添加した。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させた。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整した。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させた。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続した。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節した。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整した。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行った。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出した。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」を重量平均粒径(D4)とした。
【0112】
<トナーの平均円形度の測定方法>
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
【0113】
フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は512×512画素の画像処理解像度(一画素あたり0.37×0.37μm)で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積Sや周囲長L等が計測される。
【0114】
次に、上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度は、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度=2×(π×S)1/2/L
【0115】
粒子像が円形の時に円形度は1.000になり、粒子像外周の凹凸の程度が大きくなればなるほど円形度は小さい値になる。各粒子の円形度を算出後、円形度0.200以上1.000以下の範囲を800分割し、得られた円形度の相加平均値を算出し、その値を平均円形度とする。
【0116】
具体的な測定方法は、以下の通りである。
【0117】
まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2mL加える。
【0118】
さらに測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(「VS-150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に該コンタミノンNを約2mL添加する。
【0119】
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した該フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE-900A」(シスメックス社製)を使用する。該手順に従い調製した分散液を該フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測する。
【0120】
そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.98μm以上39.96μm以下とし、トナーの平均円形度を求める。
【0121】
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5200A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
【実施例
【0122】
以下、本発明を実施例と比較例を用いて更に詳細に説明するが、本発明の態様はこれらに限定されない。なお、実施例及び比較例の部数は特に断りが無い場合、すべて質量基準である。
【0123】
<シリカ粒子Aの製造例>
撹拌機、滴下ロート及び温度計を備えた3リットルのガラス製反応器に、メタノール590.0g、水42.0g、28質量%アンモニア水48.0gを加えて混合した。得られた溶液を35℃となるように調整し、撹拌しながら、テトラメトキシシラン1100.0g(7.23mol)及び5.5質量%アンモニア水395.0gを同時に添加し始めた。テトラメトキシシランは6時間かけて、アンモニア水は5時間かけて、それぞれを滴下した。滴下が終了した後、さらに0.5時間撹拌を継続して加水分解を行うことにより、親水性球状ゾルゲルシリカ微粒子のメタノール-水分散液を得た。次いで、ガラス製の反応器にエステルアダプターと冷却管とを取り付け、前記分散液を80℃、減圧下で十分乾燥させた。得られたシリカ粒子を、恒温槽にて400℃にて10分間加熱した。
【0124】
上記工程を数十回実施し、得られたシリカ粒子を、パルベライザー(ホソカワミクロン社製)にて解砕処理を行なった。
【0125】
その後、シリカ粒子500gを内容積1000mlのポリテトラフルオロエチレン内筒式ステンレスオートクレーブに仕込んだ。オートクレーブ内を窒素ガスで置換した後、オートクレーブ付属の撹拌羽を6.6S-1(回転数)で回転させながら、0.5gのHMDS(ヘキサメチルジシラザン)及び0.1gの水を、二流体ノズルにて霧状にしてシリカ粉末に均一になるように吹き付けた。30分間撹拌した後、オートクレーブを密閉し、220℃で2時間加熱した。続いて、加熱したまま系中を減圧して脱アンモニア処理を行い、シリカ粒子A(シリカ粒子A-1)を得た。
【0126】
また、シリカ粒子Aの面積および稠密度を、テトラメトキシシランの添加量を調整することで制御し、同様にしてシリカ粒子A-2~A-4を得た。
【0127】
また、テトラメトキシシランをジメチルジクロロシランに変更した以外はシリカ粒子A-1と同様の方法により、シリカ粒子A-5を得た。
【0128】
シリカ粒子Aの物性を表1に示す。
【0129】
【表1】
【0130】
<ステアリン酸亜鉛微粒子の製造例>
<脂肪酸金属塩B-1の製造例>
撹拌装置付きの受け容器を用意し、撹拌機を350rpmで回転させた。この受け容器に0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液500部と投入し、液温を85℃に調整した。次に、この受け容器に0.2質量%硫酸亜鉛水溶液525部を、15分かけて滴下した。全量仕込み終了後、反応時の温度状態で10分間熟成し、反応を終結した。
【0131】
次に、このようにして得られた脂肪酸金属塩スラリーを濾過洗浄した。得られた洗浄後の脂肪酸金属塩ケーキを粗砕後、連続瞬間気流乾燥機を用いて105℃で乾燥した。その後、ナノグラインディングミル〔NJ-300〕(サンレックス社製)にて風量6.0m3/min、処理速度80kg/hの条件で粉砕した後、リスラリーして湿式遠心分級機を用いて微粒子、粗粒子の除去を行った後、連続瞬間気流乾燥機を用いて80℃で乾燥して脂肪酸金属塩B-1を得た。得られた脂肪酸金属塩B-1の体積基準のメジアン径(D50)は0.45μm、個数平均粒径(D1)は0.31μmであった。
【0132】
<脂肪酸金属塩B-2の製造例>
ステアリン酸亜鉛をステアリン酸鉛に変更した以外は脂肪酸金属塩B-1と同様にして、脂肪酸金属塩B-2を得た。得られた脂肪酸金属塩B-2の体積基準のメジアン径(D50)は0.67μm、個数平均粒径(D1)は0.51μmであった。
【0133】
<脂肪酸金属塩B-3の製造例>
ステアリン酸亜鉛をラウリン酸亜鉛に変更した以外は脂肪酸金属塩B-1と同様にして、脂肪酸金属塩B-3を得た。得られた脂肪酸金属塩B-3の体積基準のメジアン径(D50)は0.57μm、個数平均粒径(D1)は0.40μmであった。
【0134】
<結着樹脂;ポリエステル樹脂の製造例>
・ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン:73.8部(0.19モル;多価アルコール総モル数に対して100.0mol%)
・テレフタル酸:
12.5部(0.08モル;多価カルボン酸総モル数に対して48.0mol%)
・アジピン酸:
7.8部(0.05モル;多価カルボン酸総モル数に対して34.0mol%)
・チタンテトラブトキシド(エステル化触媒):0.5部
冷却管、撹拌機、窒素導入管、及び、熱電対のついた反応槽に、上記材料を秤量した。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、200℃の温度で撹拌しつつ、2時間反応させた。
【0135】
さらに、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、1時間維持した後、160まで冷却し、大気圧に戻した(第1反応工程)。
・トリメリット酸:
5.9部(0.03モル;多価カルボン酸総モル数に対して18.0mol%)
・tert-ブチルカテコール(重合禁止剤):0.1部
その後、上記材料を加え、反応槽内の圧力を8.3kPaに下げ、温度200℃に維持したまま、15時間反応させ、ASTM D36-86に従って測定した軟化点が120℃の温度に達したのを確認してから温度を下げて反応を止め(第2反応工程)、結着樹脂を得た。得られた結着樹脂は、ピーク分子量Mp10000、軟化点Tm110℃、ガラス転移温度Tg60℃であった。
【0136】
<トナー1の製造例>
・結着樹脂 100部
・フィッシャートロプシュワックス(最大吸熱ピークのピーク温度90℃) 4部
・3,5-ジ-t-ブチルサリチル酸アルミニウム化合物(ボントロンE88 オリエント化学工業(株)製) 0.3部
・カーボンブラック 10部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数1500rpm、回転時間5minで混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM-30型、株式会社池貝製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、機械式粉砕機(T-250、ターボ工業(株)製)にて微粉砕した。さらにファカルティ(F-300、ホソカワミクロン社製)を用い、分級を行い、トナー母粒子1を得た。運転条件は、分級ローター回転数を11000rpm、分散ローター回転数を7200rpmとした。
【0137】
・トナー母粒子1 100部
・シリカ微粒子A-1 2.5部
・脂肪酸金属塩B-1 0.3部
上記処方で示した原材料をヘンシェルミキサー(FM-10C型、三井鉱山(株)製)を用いて、回転数1900rpm、回転時間3minで混合したのち、図1で示す表面処理装置によって熱処理を行い熱処理トナー粒子1を得た。運転条件はフィード量=5kg/hrとし、熱風温度=160℃、熱風流量=6m3/min.、冷風温度=-5℃、冷風流量=4m3/min.、ブロワー風量=20m3/min.、インジェクションエア流量=1m3/min.とした。
【0138】
・熱処理トナー粒子1 100部
・シリカ微粒子C(個数平均粒径(D1)が20nm) 0.6部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM-75型、三井三池化工機(株)製)で回転数1900rpm、回転時間3minで混合し、トナー1を得た。
【0139】
<トナー2の製造例>
トナー1の製造例において、表面処理装置を用いず、原材料をヘンシェルミキサーを用いて、回転数1900rpm、回転時間10minで混合した以外はトナー1と同様の操作を行い、トナー2を得た。
【0140】
<トナー3~18、20~25の製造例>
トナー1の製造例において、チタン酸ストロンチウムの添加部数、粒径、表面処理、及び、シリカ粒子、粒径、添加部数を表1及び表2となるように変更した以外は同様の操作を行い、トナー3~18、20~25を得た。
【0141】
<トナー19の製造例>
トナー2の製造例において、原材料をヘンシェルミキサーを用いて、回転数1900rpm、回転時間3minで混合した以外はトナー2と同様の操作を行い、19を得た。
【0142】
トナー1~25の物性を表2に示す。
【0143】
【表2】
【0144】
<磁性コア粒子1の製造例>
・工程1(秤量・混合工程):
Fe23 62.7部
MnCO3 29.5部
Mg(OH)2 6.8部
SrCO3 1.0部
上記材料を上記組成比となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、直径1/8インチのステンレスビーズを用いた乾式振動ミルで5時間粉砕・混合した。
【0145】
・工程2(仮焼成工程):
得られた粉砕物をローラーコンパクターにて、約1mm角のペレットにした。このペレットを目開き3mmの振動篩にて粗粉を除去し、次いで目開き0.5mmの振動篩にて微粉を除去した後、バーナー式焼成炉を用いて、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%)で、温度1000℃で4時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。得られた仮焼フェライトの組成は、下記の通りである。
(MnO)a(MgO)b(SrO)c(Fe23d
上記式において、a=0.257、b=0.117、c=0.007、d=0.393
【0146】
・工程3(粉砕工程):
得られた仮焼フェライトをクラッシャーで0.3mm程度に粉砕した後に、直径1/8インチのジルコニアビーズを用い、仮焼フェライト100部に対し、水を30部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕した。得られたスラリーを、直径1/16インチのアルミナビーズを用いた湿式ボールミルで4時間粉砕し、フェライトスラリー(仮焼フェライトの微粉砕品)を得た。
【0147】
・工程4(造粒工程):
フェライトスラリーに、仮焼フェライト100部に対して分散剤としてポリカルボン酸アンモニウム1.0部、バインダーとしてポリビニルアルコール2.0部を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で、球状粒子に造粒した。得られた粒子を粒度調整した後、ロータリーキルンを用いて、650℃で2時間加熱し、分散剤やバインダーの有機成分を除去した。
【0148】
・工程5(焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために、電気炉にて窒素雰囲気下(酸素濃度1.00体積%)で、室温から温度1300℃まで2時間で昇温し、その後、温度1150℃で4時間焼成した。その後、4時間をかけて、温度60℃まで降温し、窒素雰囲気から大気に戻し、温度40℃以下で取り出した。
【0149】
・工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、磁力選鉱により低磁力品をカットし、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、体積分布基準の50%粒径(D50)37.0μmの磁性コア粒子1を得た。
【0150】
<被覆樹脂1の調製>
シクロヘキシルメタクリレートモノマー 26.8質量%
メチルメタクリレートモノマー 0.2質量%
メチルメタクリレートマクロモノマー 8.4質量%
(片末端にメタクリロイル基を有する重量平均分子量5000のマクロモノマー)
トルエン 31.3質量%
メチルエチルケトン 31.3質量%
アゾビスイソブチロニトリル 2.0質量%
上記材料のうち、シクロヘキシルメタクリレートモノマー、メチルメタクリレートモノマー、メチルメタクリレートマクロモノマー、トルエン、メチルエチルケトンを、還流冷却器、温度計、窒素導入管及び撹拌装置を取り付けた四つ口のセパラブルフラスコに入れ、窒素ガスを導入して充分に窒素雰囲気にした。その後、80℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリルを添加して5時間還流し重合させた。得られた反応物にヘキサンを注入して共重合体を沈殿析出させ、沈殿物を濾別後、真空乾燥して被覆樹脂1を得た。
【0151】
次いで、30部の被覆樹脂1を、トルエン40部及びメチルエチルケトン30部に溶解させて、重合体溶液1(固形分30質量%)を得た。
【0152】
<被覆樹脂溶液1の調製>
重合体溶液1(樹脂固形分濃度30%) 33.3質量%
トルエン 66.4質量%
カーボンブラックRegal330(キャボット製) 0.3質量%
(一次粒径25nm、窒素吸着比表面積94m2/g、DBP吸油量75mL/100g)
を、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ペイントシェーカーで1時間分散をおこなった。得られた分散液を、5.0μmのメンブランフィルターで濾過をおこない、被覆樹脂溶液1を得た。
【0153】
<磁性キャリア1の製造例>
(樹脂被覆工程):
常温で維持されている真空脱気型ニーダーに、磁性コア粒子1及び被覆樹脂溶液1を投入した(被覆樹脂溶液の投入量は、100部の磁性コア粒子1に対して樹脂成分として2.5部になる量)。投入後、回転速度30rpmで15分間撹拌し、溶媒が一定以上(80質量%)揮発した後、減圧混合しながら80℃まで昇温し、2時間かけてトルエンを留去した後冷却した。得られた磁性キャリアを、磁力選鉱により低磁力品を分別し、開口70μmの篩を通した後、風力分級器で分級し、体積分布基準の50%粒径(D50)38.2μmの磁性キャリア1を得た。
【0154】
<二成分系現像剤1の製造例>
92.0部の磁性キャリア1と8.0部のトナー1をV型混合機(V-20、セイシン企業製)により混合し、二成分系現像剤1を得た。
【0155】
<二成分系現像剤2~25の製造例>
二成分系現像剤1の製造例において、表3のように変更する以外は同様の操作を行い、二成分系現像剤2~25を得た。
【0156】
【表3】
【0157】
〔実施例1〕
上記二成分系現像剤1を用いて、後述の評価を行った。
【0158】
[転写性]
紙:GF-C081(81.0g/m2
(キヤノンマーケティングジャパン株式会社)
ベタ画像におけるトナーの載り量:0.35mg/cm2
一次転写電流:30μA
試験環境:常温常湿環境(温度23℃/湿度50%RH)
プロセススピード:377mm/sec
【0159】
市販のフルカラーデジタル複写機(CLC1100、キヤノン社製)を使用し、二成分現像剤1をシアン用現像器に入れて後述の評価を行った。
【0160】
一次転写後に感光体上に残ったトナーと一次転写前のトナーをそれぞれ透明なポリエステル製の粘着テープによりテーピングしてはぎ取った。はぎ取った粘着テープを紙上に貼り、その濃度を分光濃度計500シリーズ(X-Rite社)で測定した。
【0161】
以上により得られた一次転写前の画像濃度と、転写残の画像濃度の変化率を転写効率とし、下記の評価基準に基づいて評価を行った。B以上を本発明の効果が得られていると判断した。
A:転写効率;90%以上
B:転写効率;80%以上90%未満
C:転写効率;80%未満
【0162】
[スリーブゴースト評価]
低温低湿(15℃、10%RH)環境下で以下のようにスリーブゴーストの評価を行っ
た。
【0163】
ベタ黒の縦帯と、縦帯以外はベタ白であるテストチャートを999枚連続で通紙した後に1000枚目を同じジョブ内で、全面ハーフトーン画像を流した。
【0164】
ハーフトーン画像上において、図2におけるベタ黒の縦帯を通紙していた領域(a)とベタ白を通紙していた領域(b)の画像濃度を測定し、その濃淡差によりスリーブゴーストを評価した。なお、領域(a)と領域(b)はスリーブの1周目の範囲である。
【0165】
画像濃度は、X-Riteカラー反射濃度計(X-rite社製、X-rite 500Series)を用いて測定した。
A:領域(a)と領域(b)の濃度差が0.02未満
B:領域(a)と領域(b)の濃度差が0.02以上0.06未満
C:領域(a)と領域(b)の濃度差が0.06以上
【0166】
[クリーニング性の評価]
クリーニング性の評価は、以下のように行った。感光体へのクリーニング部材の押し付け圧力を0.52N(0.53kgf)に変更し、低温低湿環境下(15℃/10%RH)下で印字率5%のA4文字チャートを連続10万枚出力した。通紙中の画像にクリーニング不良による縦スジの発生をチェックし、また耐久通紙完了後にトナーや外添剤による帯電部材の汚染状態をチェックし、以下基準で評価した。
A:通紙耐久を通じてクリーニング不良による画像欠陥は見られず、また耐久通紙完了後の帯電部材の汚染状態も良好である。
B:通紙耐久を通じてクリーニング不良による画像欠陥は見られないが、耐久通紙完了後の帯電部材に軽い汚染が見られる。
C:通紙耐久を通じてクリーニング不良による画像欠陥は見られないが、耐久通紙完了後の帯電部材に汚染が見られる。
D:通紙耐久のなかでクリーニング不良による画像欠陥があった。
【0167】
[画像濃度安定性の評価]
キヤノン(株)製のデジタル電子写真装置「image RUNNER ADVANCE C5560」(商品名)の改造機を用い、初期の反射濃度が1.4になるように現像バイアスを設定し、印字比率が0%のベタ白画像を、H/H環境において、10万枚まで連続通紙試験を行った。10万枚後に20mm四方のベタ黒パッチが現像域内に5箇所配置されたオリジナル画像を出力し、その5点平均濃度の初期画像濃度に対する連続通紙試験後の画像濃度の濃度差を比較することで、画像濃度安定性を評価した。
【0168】
なお、画像濃度は「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分の画像に対する相対濃度を測定した。
A:濃度差0.10未満
B:濃度差0.10以上0.30未満
C:濃度差0.30以上
【0169】
〔実施例2~15、及び、比較例1~10〕
二成分系現像剤2~25を用いた以外は、実施例1と同様にして評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0170】
【表4】
【符号の説明】
【0171】
1.原料定量供給手段、2.圧縮気体流量調整手段、3.導入管、4.突起状部材、5.供給管、6.処理室、7.熱風供給手段、8.冷風供給手段、9.規制手段、10.回収手段、11.熱風供給手段出口、12.分配部材、13.旋回部材、14.粉体粒子供給口
図1
図2