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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】美容機器
(51)【国際特許分類】
   A45D 44/22 20060101AFI20240930BHJP
   A61H 33/12 20060101ALI20240930BHJP
   A61N 5/06 20060101ALI20240930BHJP
   F24F 6/00 20060101ALI20240930BHJP
   F24F 6/12 20060101ALI20240930BHJP
   F24F 6/18 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
A45D44/22 F
A61H33/12 K
A61H33/12 P
A61N5/06 Z
F24F6/00 B
F24F6/00 Z
F24F6/12
F24F6/18
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020152105
(22)【出願日】2020-09-10
(65)【公開番号】P2022046181
(43)【公開日】2022-03-23
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000114628
【氏名又は名称】ヤーマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木部 陽一
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 康一
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-297088(JP,A)
【文献】特開2011-067254(JP,A)
【文献】特開2005-168894(JP,A)
【文献】特開2010-187763(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0283025(US,A1)
【文献】特開2010-187761(JP,A)
【文献】特表2013-526391(JP,A)
【文献】特開2011-041706(JP,A)
【文献】国際公開第2007/018170(WO,A1)
【文献】特開2007-330690(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 44/22
A61H 33/12
A61N 5/06
F24F 6/00
F24F 6/12
F24F 6/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
開閉可能な蓋部と、
前記蓋部の裏面に設けられ、前記蓋部が開かれた状態においてユーザの顔へ向かって光を照射する照射部と、
スチームを生成する第1生成手段と、
ミストを生成する第2生成手段と、
前記本体部に設けられ、該生成されたスチームを放出する第1放出口と、
前記本体部に設けられ、前記第1放出口よりも前記ユーザに近い位置に設けられ、該生成されたミストを放出する第2放出口と、
前記スチームの放出、前記ミストの放出、前記照射部による照射を制御する制御部と
を備え、
前記照射部は、各々第1波長の光を照射する複数の第1光源と、各々前記複数の第1光源よりも波長が短い第2波長の光を照射する複数の第2光源を有し、
前記蓋部の裏面の中心部から端部へ向かうに従って、単位面積あたりの前記第2光源に対する前記第1光源の存在比率が大きくなるように、前記複数の第1光源及び前記複数の第2光源が配置され
前記複数の第1光源の輝度及び前記複数の第2光源の輝度は、前記中心部に近いほうが遠いほうよりも小さい
美容機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記ミストの放出の要否、前記スチームの放出の要否、前記複数の第1
光源の作動の要否、及び前記複数の第2光源の作動の要否の組み合わせによって規定され
る複数の動作モードから、ユーザによって指定された一の動作モードに従って、前記第1
光源、前記第2光源、前記第1放出口、及び前記第2放出口を制御する、
ことを特徴とする請求項1に記載の美容機器。
【請求項3】
前記第1放出口は複数設けられ、
各第1放出口から放出される前記スチームの方向及び/又は拡散の度合いは、互いに異
なる、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の美容機器。
【請求項4】
前記第2放出口は複数設けられ、
各第2放出口から放出される前記ミストの方向及び/又は拡散の度合いは、互いに異な
る、
ことを特徴とする請求項1~のうちの何れか1項に記載の美容機器。
【請求項5】
前記ミストとして放出される液体の成分に応じて、当該ミストの放出に用いる前記複数
の第2放出口のうち1以上の第2放出口が選択される
ことを特徴とする請求項に記載の美容機器。
【請求項6】
前記制御部は、前記複数の第1光源及び/又は前記複数の第2光源の制御において、動
作開始から徐々に輝度を大きくする、
ことを特徴とする請求項1~のうちの何れか1項に記載の美容機器。
【請求項7】
前記第1生成手段にて生成されたスチームを前記第1放出口に導くための流路をさらに
備え、
当該流路には、第1の断面積を有する第1管と前記第1の断面積よりも大きな第2の断
面関を有する第2管とを有し、前記第2管の内部には、前記第2管の中心軸から傾いて設
けられた管状の紫外線発光手段が設けられる
ことを特徴とする請求項1~のうちの何れか1項に記載の美容機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は美容機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には光照射機能とスチームを放出するスチーム機能とを備えた美容器が記載されている。暖かいスチームの代わりに水を霧状にしたミストを用いる美容機器も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-330690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1等に発明においては、光照射機能により照射される光がユーザの顔に適切に当たらないと、十分な美容効果が得られない。これは、スチーム或いはミストによる美容効果も同様である。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みて為されたものであり、光、スチーム、またはミストによる美容効果を適切に得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る美容機器の一態様は、本体部と、開閉可能な蓋部と、前記蓋部の裏面に設けられ、前記蓋部が開かれた状態においてユーザの顔へ向かって光を照射する照射部と、スチームを生成する第1生成手段と、ミストを生成する第2生成手段と、前記本体部に設けられ、該生成されたスチームを放出する第1放出口と、前記本体部に設けられ、前記第1放出口よりも前記ユーザに近い位置に設けられ、該生成されたミストを放出する第2放出口と、前記スチームの放出、前記ミストの放出、前記照射部による照射を制御する制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】蓋部20を閉じた状態の美容機器1を正面斜め上方から見た図である。
図2】蓋部20を閉じた状態の美容機器1を背面斜め上方から見た図である。
図3】美容機器1の電気的な構成例を示す図である。
図4】蓋部20を開いた状態の美容機器1を正面斜め上方から見た図である。
図5】流路300の断面概略図である。
図6】美容機器1の蓋部20の裏面の一例を示す図である。
図7】動作モードの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法及び縮尺は実際のものと適宜異なる。また、以下に記載する実施形態は、本発明の好適な具体例である。このため、以下の実施形態には、技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかし、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0009】
<1.実施形態>
図1は、本発明の一実施形態である美容機器1を正面斜め上方から見た図であり、図2は、同美容機器1を背面斜め上方から見た図である。図1及び図2に示すように、美容機器1は、上方に向かうに連れて径が徐々に大きくなる略円筒形の外観を有する。美容機器1は、スチームによる美容効果とミストによる美容効果と光による美容効果とを同時且つ適切に得られるようにする装置である。美容機器1は、本体部10と、蓋部20と、本体部10に対して蓋部20を開閉可能に連結する連結部30と、タンク40と、電源コード50と、を有する。図1及び図2には、蓋部20を閉じた状態の美容機器1が図示されている。
【0010】
図2に示すように、タンク40は本体部10の背面から挿入されるように本体部10に装着される。タンク40には、スチームとして放出する水が貯えられる。蓋部240は、本体部10の平面に設けられ、本体部10内に収容された、ミストとして放出する水、あるいは化粧水その他の肌に到達させたい物質を水に混合させた液体水に種々の美容成分を溶かしたもの(化粧水など)を貯えるタンク(図示せず)を取り出すためのものである。電源コード50は、本体部10の背面から引き出される。図2では詳細な図示を省略したが、電源コード50の先端には電源プラグが設けられ、この電源プラグを電源コンセントに差し込むことで美容機器1へ動作電力が供給される。
【0011】
図3は、美容機器1の電気的な構成例を示す図である。図3に示すように、美容機器1は、第1生成手段110と、第2生成手段120と、操作入力部130と、照射部140と、制御部150と、記憶部160と、を有する。図3では、照射部140が一つだけ図示されているが、美容機器1は複数の照射部140を有する。図1及び図2では詳細な図示を省略したが、第1生成手段110、第2生成手段120、制御部150、及び記憶部160は本体部10に内蔵される。また、操作入力部130は本体部10の平面に設けられ、照射部140は蓋部20の裏面に設けられる。蓋部20の裏面とは、蓋部20を閉じた状態において本体部10の平面と対向する面、即ち蓋部20の底面のことをいう。
【0012】
制御部150は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサである。制御部150は単一のプロセッサで構成されてもよいし、複数のプロセッサで構成されてもよい。制御部150は美容機器1の制御中枢として機能し、第1生成手段110、第2生成手段120、及び照射部140の作動制御を行う。
【0013】
図4は、蓋部20を開いた状態の美容機器1を正面斜め上方から見た図である。本実施形態の美容機器1は蓋部20を開いた状態で使用される。使用状態における蓋部20の最大開き角度は、例えば90°~135°に設定される。また、美容機器1は、開き角度をユーザが段階的に調整できる機構を備えてもよい。図4に示すように、本体部10の平面には、操作入力部130の他に、第1放出口210A及び第1放出口210Bと第2放出口220とが設けられる。
【0014】
第1放出口210A及び第1放出口210Bは、第1生成手段110により生成されるスチームを放出する。第2放出口220は、第2生成手段120により生成されるミストを放出する。以下では、第1放出口210Aと第1放出口210Bとを区別する必要がない場合には「第1放出口210」と表記する。
【0015】
図3では詳細な図示を省略したが、第1生成手段110及び第2生成手段120は、各々給水管を介してタンク40に接続され、当該給水管を介してタンク40から水の供給を受ける。第1生成手段110は、ヒーター、ポンプ、配管、ノズル等の部材によって実現され、タンク40から供給される水を加熱し、スチームを生成する。第2生成手段120は、ポンプ、配管、超音波振動子、ニードル弁、ノズル等の部材によって実現され、タンク40から供給される水を霧状にしてミストを生成する。好ましくは、ニードル弁の位置を調整する機能を備え、これによりミストの状態(粒子サイズ)を変化させる。
【0016】
第1生成手段110についてはスチームを放出する既存の美容機器におけるものと同様のものを用いればよく、第2生成手段についてもミストを放出する既存の美容機器におけるものと同様のものを用いればよい。従って、ミストを発生させる方式や噴霧の方式は任意である。
【0017】
好ましい態様において、第1生成手段110において、放出されるミストの粒子サイズまたは放出されたスチームが冷却された際の液体(湯気)を制御することで、より白く見える(視認性を向上させる)ようにする機能を備えていてもよい。こうすることで、ユーザがスチームやミストの発生に気づかずに、美容機器1に誤って顔を近づけすぎることを防止することができる。
【0018】
具体的には、第1生成手段110において、図5に示すように、下方にあるヒータ(図
示せず)にて発生させた蒸気を上方にある第1放出口210Aおよび210Bへ導くため
の流路300を形成する。流路300は、互いに接続された、それぞれ断面のサイズが異
なる3つの略円筒形状部分からなる。すなわち、水蒸気が供給される第1管302と、第2管301と、紫外線が照射され第1放出口210Aおよび210Bに接続される第3
管303である。なお、上記略円筒形状部分は4つ以上存在してもよい。
【0019】
第3管303の内部には管状の紫外線発生装置310が設けられる。例えば、紫外線発生装置310水銀ランプやエキシマランプなど、紫外域または真空紫外域に発光ピーク波長を有する光源が用いられる。第3管303を通過する水蒸気は、紫外線発生装置310にて発生した紫外線に照射され、水分子中を構成する酸素原子の一部がラジカル化された状態で、第1放出口210Aおよび210Bにから放出される。これにより、放出されたスチームが空気中で冷却された際に、紫外線に晒されなかった場合に比べて、粒子のサイズが変化し、より白く視認される。
【0020】
ここで、断面のサイズは、第1管302>第2管301、第3管303>第2管301となっている。このため、紙面下方より第1管302に流入した水蒸気は、第2管301内部で加速され、第3管303で急激に減速させられる。この結果、第3管303内において水蒸気の密度は高くなり、且つその流速が小さくなる。この結果、第3管303にて紫外線の照射を受ける時間を長くすることができ、ラジカル化される水素原子の確率を高くすることができる。加えて、同図に示すように、紫外線発生装置310の中心軸を第3管303の中心軸Cから傾けて設けることで、水蒸気の流れが乱れ、これにより、第3管303内に滞在する水蒸気の時間を長くすることができる。
【0021】
なお、同図に示す紫外線発生装置に替えて電極を設け、水蒸気に電圧を印加してもよい。この場合、中心には一方の極の電極を設け、他方の極の電極は第3管303の内壁に設ける。これにより、電圧を印加しない場合に比べて、水蒸気が冷却された際の粒子のサイズが変化する。
【0022】
美容機器1のユーザは、蓋部20を開いた状態の美容機器1を、正面を自身の顔の正面に向けた状態(好ましくは、蓋部裏面と顔とが平行、または顔が蓋部裏面に対して斜め上方から対面する状態)で作動させ、第1放出口210から放出されるスチームと第2放出口220から放出されるミストとを自身の顔にあてる。これによりスチーム及びミストによる美容効果が得られる。このとき、図4に示すように、第1放出口210A及び第1放出口210Bは、本体部10の平面の中心部付近に設けられ、第2放出口220は、本体部10の平面における正面側の端部付近に設けられる。つまり、第2放出口220は、第1放出口210よりもユーザに近い位置(手前側)に設けられる。
【0023】
操作入力部130は、美容機器1を使用するためのユーザの操作を受け付ける装置である。操作入力部130は、電源ボタン230Aと、切り替えボタン230Bと、調整ボタン230Cとを含む。電源ボタン230Aは、美容機器1の電源のオン/オフの切り替えをユーザに指示させるための操作子である。切り替えボタン230Bは、美容機器1の動作モードの切り替えをユーザに指示させるための操作子である。美容機器1の動作モードについては後に詳細に説明する。調整ボタン230Cは、美容機器1から放出されるスチーム及びミストの強さ、及び美容機器1から発せられる光の輝度をユーザに調整させるための操作子である。操作入力部130は、ミストして放出させるために充填されている物質(化粧水そのたの薬剤)の種類を示す情報を入力するために用いられてもよい。また、美容機器1が、各放出口の向きやフォーカス等のパラメータを調節する機構を備えている場合、当該パラメータを入力するためにもちいられてもよい。また、美容機器1には、現在の動作状況や入力内容を確認するための表示部が設けられてもよい。
【0024】
図3に戻って、照射部140は例えばLED(Light Emitting Diode)等の光源を含み、光を照射する。前述したように、本実施形態の美容機器1は複数の照射部140を有する。複数の照射部140の各々は、第1波長の光を照射する第1光源と、第1波長よりも短い第2波長の光を照射する第2光源の何れかを含む。本実施形態では、第1光源が照射する光は、波長が620~630nmの光、即ち赤色の光および/または590~595nm(黄色)の光であり、第2光源が照射する光は、波長が470nm近傍の光(青色)および/または520~530nm(緑色)の光である。換言すると、第1光源が照射する光は暖色系の第1波長であり、第2光源が照射する光は寒色系の第2波長である。美容機器1のユーザは、第1光源から照射される赤色の光を肌にあてることで肌のハリや弾力のケアを行うことができ、第2光源から照射される青色の光を肌にあてることで肌のうるおいやキメのケアを行うことができる。
【0025】
なお、本実施形態の照射部140は、青色の光及び赤色の光を照射するが、何れか一方の色の光のみを照射してもよい。また、他の色の光について上記以外の美容効果を期待できる場合には、当該他の色の光を照射部140に照射させてもよい。なお、上記第1光源および第2光源の周波数の値は例示にすぎない。例えば、第1光源は赤~黄色(暖色系)の周波数帯の光であり、第2光源は緑~青の周波数帯の光であってもよい。この場合、例えば第1光源として赤色LEDと黄色のLEDとを用いる、第2光源として、青色LEDと緑色LEDとを用いてもよい。
【0026】
図6は蓋部20の裏面の一例を示す図である。前述したように、蓋部20の裏面には複数の照射部140が設けられる。図5では詳細な図示を省略したが、本実施形態では、蓋部20の裏面の中心から端部へ向かうに従って、単位面積あたりの第2光源に対する第1光源の存在比率が大きくなるように、第1光源を有する照射部140と第2光源を有する照射部140とが配置される。具体的には、蓋部20の裏面の中心部は第1光源を有する照射部140のみが配置され、蓋部20の裏面の端部付近には第2光源を有する照射部140のみが配置される。換言すると、蓋部20の裏面において、中心付近は青く見え、端部に行くほど赤っぽく見える。
【0027】
一例としては、第1光源として赤色の光を照射するLEDと黄色の光を照射するLEDとを用い、第2光源として緑色の光を照射するLEDと青色の光を照射するLEDとを用いる場合、外側から中心に向かって、赤、青、黄、緑(すなわち、第1波長(暖色)、第2波長(寒色)、第1波長(暖色)、第2波長(寒色))の順に、略同心円状に、配置される。すなわち、外側から中心に向かって波長の低い順に光源の配置領域が同心円状に設けられる態様に限らず、蓋部20の裏面全体として、中心部よりも外側のほうがユーザが赤みないし暖かみを感じるような配置になっていればよい。
【0028】
また、好ましくは、蓋部20の裏面の全体としては、第1光源を有する照射部140が第2光源を有する照射部140よりも多く配置される。また、好ましくは、第1光源のサイズ(発光領域)の合計は、第2光源のサイズよりも大きい。
【0029】
一例として、第1光源として赤色の光を照射するLEDと黄色の光を照射するLEDとを用い、第2光源として緑色の光を照射するLEDと青色の光を照射するLEDとを用いる場合、各色の光源の数は、赤:黄:緑:青=2:2:2:1で、各色の光源のサイズは、赤=黄=緑(例えば直径4mm)>青(例えば直径0.3mm)である。寒色系の光源の発光領域の大きさの合計値ないし数を暖色系の光源の発光領域の大きさよりも小さくすることで、眩しさを抑えることができる。
【0030】
図3に戻って、記憶部160はフラッシュメモリ等の不揮発性メモリである。記憶部160には、ミストの放出の要否、スチームの放出の要否、複数の第1光源の作動の要否、及び複数の第2光源の作動の要否の組み合わせによって規定される複数の動作モードの各々を示す動作パターンデータDが予め記憶されている。本実施形態における動作モードの一例としては、ミストの放出と同時に青色の光を照射することでユーザに清涼効果を与える第1動作モード、スチームの放出と同時に赤色の光を照射することでユーザにリラックス効果を与える第2動作モード、第1動作モードと第2動作モードとを交互に繰り返し実行する第3動作モード、が挙げられる。
【0031】
美容機器1のユーザは、電源ボタン230Aを押下して美容機器1を起動させ、更に切り替えボタン230Bに対する操作により、複数の動作モードのうちの何れか一の動作モードを指定することができる。例えば、切り替えボタン230Bを押下する毎に美容機器1の動作モードは、第1動作モード→第2動作モード→第3動作モード→第1動作モード…と切り替わる。複数の動作モードを適宜切り替えて美容機器1を使用することで、ユーザが美容機器1の使用に飽きることを回避できる。制御部150は、操作入力部130に対する操作により指定された動作モードに従って、照射部140、第1生成手段110、第2生成手段120、第1放出口210、及び第2放出口220を制御する。
【0032】
動作モードの他の設定例を図7に示す。
同図の例では、動作モードとして、目的に応じて複数のコースが設定されており、筐体上に設けられた図示せぬスイッチをユーザが操作することで、所望のコースを選択できるようになっている。
【0033】
(1)コース1においては、12分間第1光源を点灯させ、第2光源を点灯させず、スチームを放出しミストは放出しない、という制御が行われる。スチームの放出と同時に光を照射することで、肌を温めて血行改善を促すあるいは毛穴を開かせる効果が期待される。
【0034】
(2)コース2においては、第1光源を点灯させずに第2光源を点灯させ、ミストを放出する制御が行われる。コース2は、例えばコース1等の後に実施されてもよく、肌の引き締めや清涼感の付与に適している。このように、スチームで肌の状態を整えた後、化粧水をミストを顔に噴霧しながら、化粧水の美容効果に適した波長の光を照射することで、肌の摩擦を最小にしたうえで、高い美容効果を目指すことができる。
【0035】
(3)コース3は、例えばコース1等の後に選択され、化粧水ミストを顔の複数の部位に順にあてる制御である。化粧水ミストの照射と同時に、第1光源および/または第2光源の光を照射する。例えば、化粧水が肌のハリの向上を目的とするものである場合、第1光源(赤色および黄色)を照射してもよい。あるいは、ミストにニキビケア等の化粧品を含ませる場合、第2光源(青色)のみを照射することで、殺菌効果を目指しても良い。あるいは、ミストとして放出される化粧水が美白を目的とするものである場合、例えば第1光源として黄色の光を、第2光源として緑色の光を、同時に照射することで、美容効果と殺菌・鎮静効果との相乗効果を目指してもよい。このように、ミストとして放出する物質の種類に応じて、照射する光の波長を適宜選択することができる。例えば、美容機器1において、ミストとして放出させたい化粧水の種類と動作モードとの対応関係を記憶部160に記憶しておき、充填した化粧水を動作ボタンを用いてユーザが入力させることにより、制御部150は化粧水に対応する動作モードを決定してもよい。
【0036】
(4)コース4においては、第1光源の点灯とスチームの放出とによって肌温める第1期間の後、第2光源(青色)の点灯とミストの放出とによってクールダウンを行う第2期間を交互に繰り替えしてもよい。これにより、肌の引き締め効果が期待される。ここで、第2期間においては、第2光源(青色)の点灯を行いながら、ミストとして放出される化粧成分が予め定められた量だけ放出されたのち、エア(圧縮空気)のみを噴出することで、温められた肌を効果的に鎮静させてもよい。この場合、美容機器1は、ミストとして放出される液体(化粧水等)と圧縮空気とを混合する機構を備え、化粧水のタンクから放出された量を検知するセンサあるいは放出された時間を計測するタイマと、当該タイマまたはセンサの情報に基づいて、当該タンクから第1放出口210までの間の流路中に設けられた弁を制御すればよい。
【0037】
上述した動作モードはあくまで一例であって、例えば照射時間は目的に応じて任意に設定できる。また、上記コースを複数組み合わせて一つの動作モードを規定してもよい。
【0038】
本実施形態の美容機器1では、照射部140からの照射光を受けるために本体部10に対して所定の位置にユーザが顔をセットしたときに、ミストとスチームとが当該ユーザの顔に適切に当たるように、第1放出口210と第2放出口220とが予め位置決めされている。ここで、ミストを構成する水の粒子は、スチームを構成する水の粒子よりも重く、拡散しにくい。しかしながら、本実施形態では、第2放出口220は、第1放出口210よりもユーザに近い位置に設けられているため、第2放出口220から放出されるミストをユーザの顔まで届かせることができる。また、スチームは水を加熱して生成されるため高温であるが、第1放出口210はユーザの顔から離れた位置に設けられているため、熱く感じさせる等の温度的な不快感をユーザに与えることを回避できる。一方、ミストは霧状の水であるため冷たく、ユーザの顔の近くに位置する第2放出口220から放出されても、温度的な不快感をユーザに与えることはない。
【0039】
このように、本実施形態では、照射部140からの照射光を受けるために本体部10に対して所定の位置にユーザが顔をセットしたときに、ミストとスチームとが当該ユーザの顔に適切に当たるように、第1放出口210と第2放出口220とが予め位置決めされているため、光とスチームとミストとをユーザの顔に同時且つ適切にあてることができる。これより、光とスチームとミストの各々による美容効果を同時且つ適切に得ることが可能になる。
【0040】
<2.変形例>
以上の実施態様は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は相矛盾しない限り適宜に組み合わされ得る。
【0041】
蓋部20の裏側表面に鏡面加工を施してもよい。これにより、蓋部20を開けると鏡として使用することができる。具体的には、所定の反射率を有するアルム等の金属膜を蓋部20の裏側表面に形成する。なお、鏡面加工は、各光源が設けられていない場所にのみ施してもよい。あるいは、裏側表面の全体を所定の透過率を有する材料で形成し、各光源を当該材料の内側に埋め込むようにしてもよい。この際、鏡に顔全体がちょうど収まるような顔と美容器との位置関係において、光、スチーム、およびミストの効果が理想的となるように、各光源の位置、照射の方向および強度、第1放出口210の位置、方向、拡散度合い、および放出速度(勢い)、第2放出口220の位置、方向、拡散度合い、および放出速度(勢い)を設計することが好ましい。
【0042】
照射部140を省略してもよい。通常、美容機器1に対してセットすべき顔の正しい位置は蓋部20の位置に基づいておおよそ理解できるから、顔に対する第1放出口210および第2放出口220の位置はおおよそ適切な位置関係になっていると期待される。換言すると、蓋部20は、それ自体で、正しい位置にユーザの顔をセットさせるための位置決め手段として機能しているといえる。この観点から、例えば、蓋部20の裏側が鏡になっている場合は、位置決めのためのガイド線を形成してもよい。例えばガイド線が顔の輪郭を表す線である場合、ユーザは鏡に映った顔がガイド線の内部になるように、美容機器と顔の位置関係を調整することが容易となる。
【0043】
上記実施形態では、第1光源及び第2光源としてLEDを用いたが、他の発光素子を用いてもよい。また、複数の第1光源の輝度及び複数の第2光源について、蓋部20の中心の近くに位置するものの輝度を、中心から遠くに位置するものの輝度よりも小さくしてもよい。具体的には、蓋部20の中心の近くに位置する光源の発光面の大きさを、蓋部20の中心から遠くに位置する光源の発光面の大きさより小さくすればよい。また、第1光源及び第2光源として印加電圧に応じた輝度で発光する発光素子を用いる場合には、蓋部20の中心の近くに位置する光源の印加電圧を、蓋部20の中心から遠くに位置する光源の印加電圧より小さくしてもよい。本態様の美容機器によれば、当該美容機器の使用時にユーザが感じる眩しさを低減させることが可能になる。
【0044】
上記実施形態の美容機器1の本体部10には、2つの第1放出口210が設けられていたが、1つ又は3つ以上の第1放出口210を本体部10に設けてもよい。同様に、第2放出口220を本体部10に複数設けてもよい。
【0045】
本体部10に複数の第1放出口210を設ける態様においては、放出されるスチームの方向と拡散の度合い、拡散の速度(放出口における流速)の少なくとも一方が互いに異なるようにしてもよい。例えば、上記実施形態のように第1放出口210Aと第1放出口210Bとを本体部10に設ける態様であれば、第1放出口210Aにはフォーカスを絞ってスチームを放出させる一方、第1放出口210Bには第1放出口210Aに比較してフォーカスを緩くして拡散するスチームを放出させることが考えられる。この態様においては、鼻等の顔の特定の部位にスチームをあてる場合には、第1放出口210Aのみを用い、顔全体にスチームをあてる場合は、第1放出口210Aと第1放出口210Bとを用いるようにすればよい。本態様によれば、ユーザの好みに応じてスチームをあてる顔の部分をきめ細やかに設定することが可能になる。
【0046】
同様に、ミストを放出する第2放出口220を複数設けてもよい。この場合において、各第2放出口220に、放出の方向や広がり具合(フォーカス)を調節する機構を設けてもよい。ミストに化粧水を用いる場合、化粧水を無駄なく必要な顔の部位に到達させることができる。さらに、放出口のサイズ、放出範囲、その他の特性が異なる複数の第2放出口のうち、化粧水に応じて使用する1以上の第2放出口220を決定してもよい。具体的には、美容機器1において、予め、ミストとして放出使用される液体の成分に関する情報(例えば化粧品の種類や粘性率など)と、その液体の放出に使用する1以上の第2放出口とを対応付けて記憶しておく。そして、充填されている化粧水の種類など液体の成分に関する情報を、操作入力部130を用いてユーザに入力させる。こうすることで、ミストして放出する液体の特性に合った放出口を使用することができる。例えば、放出口のサイズが異なる複数の第2放出口220が設けられている場合において、粘性率が所定値以上の化粧水には大きいサイズの放出口の第2放出口220を選択することで、化粧品の粘性のために第2放出口220が目詰まりする虞が低減する。
【0047】
また、複数の第1放出口210の各々、および第2放出口において、放出口を部分的にまたは全面的に覆って、ミストやスチームの量や放出方向を調整するシャッタ機構を設けてもよい。
部分的に覆う場合、例えば各放出口の周囲に回転するリング状あるいは円弧状の部材を設け、当該リング状部材が回転することで放出口を覆う面積が変化し、これにより放出口の実効サイズが変化する機構を設けてもよい。例えば第2放出口の実効サイズを変化させることで、ミストの量、密度(流速)、粒径を変化させることができる。加えて、上述した化粧品の粘性に起因する目詰まりの可能性を低減させることができる。
【0048】
このようなシャッタ機構はユーザが手動で開閉するものであってもよい。あるいは、シャッタ機能にモータ等の駆動手段を設け、制御部150から供給される制御信号に基づいて開閉動作を行ってもよい。この場合、第1放出口210のそれぞれに設けられたシャッタ機構が制御するように、制御信号を生成してもよい。例えば、第1放出口210の一方を完全に閉じる場合(つまり放出量をゼロにする場合)は、第1放出口210の他方のシャッタ機構を、当該他方の第1放出口210から放出されるスチームの向きを変化させる。これにより、例えば、2つの第1放出口210の両方を開放する場合はスチームを顔全体にあてる一方、片方の第1放出口210のみを開放する場合は、顔の特定の領域(例えば鼻)のみを狙ってスチームをあてることができる。
【0049】
また、アクリル樹脂等でできた透明または半透明のプリズム板で、照射部140全体を覆ってもよい。プリズム板は、例えば、蓋の内側に設けられた溝にはめ込むことで固定される。照射部140から出射された光をプリズム板を通過させて外部へ導くことにより、ユーザが感じる眩しさを低減させつつ、照射部140が点光源である場合に疑似的に面発光させることができる。
【0050】
制御部150は、第1光源と第2光源の少なくとも一方の制御において、動作開始から徐々に輝度を大きくしてもよい。動作開始から徐々に輝度を大きくすることで、明るさへの順応を助け、ユーザが感じる眩しさを低減させることができる。
【0051】
本体部10の形状や蓋部20の形状は、任意である。要するに、本発明に係る美容機器は、少なくとも、本体部と、本体部に対して開閉可能に設けられる蓋部と、スチームを生成する第1生成手段とミストを生成する第2生成手段と制御部とを備え、第1放出口は第1生成手段により生成されるスチームを放出し、第2放出口は第2生成手段により生成されるミストを放出し、第2放出口は第1放出口よりもユーザの顔に近い位置に配置されていればよい。
そして、好ましくは、蓋部が開かれた状態においてユーザの顔へ向けて光を照射する照射部が蓋部の裏面に設けられる。制御部は、少なくともスチームの放出およびミストの放出を制御し、好ましくは、これに加えて、照射部による照射を制御する。
【0052】
より好ましい態様の美容機器では、照射部は、各々第1波長の光を照射する複数の第1光源と、各々複数の第1光源よりも波長が短い第2波長の光を照射する複数の第2光源と、を有してもよい。本態様の美容機器によれば、第1波長に応じた第1の美容効果と、第2波長に応じた第2の美容効果、即ち第1の美容効果とは異なる美容効果とを得ることが可能になる。
【0053】
複数の第1光源及び複数の第2光源を有する美容機器のより好ましい態様では、制御部は、ミストの放出の要否、スチームの放出の要否、複数の第1光源の作動の要否、及び複数の第2光源の作動の要否の組み合わせによって規定される複数の動作モードから、ユーザによって指定された一の動作モードに従って、第1光源、第2光源、第1放出口、及び第2放出口を制御してもよい。本態様によれば、複数の動作モードが用意されているので、ユーザを飽きさせないようにすることが可能になる。
【0054】
複数の第1光源及び複数の第2光源を有する美容機器の別の好ましい態様では、蓋部の裏面の中心部から端部へ向かうに従って、単位面積あたりの第光源に対する第光源の存在比率が大きくなるように、複数の第1光源及び複数の第2光源が配置されてもよい。
具体的には、蓋部の裏面の中心部は第光源のみ配置し、蓋部の裏面の端部付近には第光源を配置すればよい。また、蓋部の裏面の全体としては、第1光源を第2光源よりも多く配置してもよい。
【0055】
複数の第1光源及び複数の第2光源を有する美容機器の別の好ましい態様では、複数の第1光源の輝度及び複数の第2光源の輝度は、前記蓋部の裏面の中心に近いほうが遠いほうよりも小さくてもよい。本態様の美容機器によれば、当該美容機器の使用時にユーザが感じる眩しさを低減させることが可能になる。
【0056】
別の好ましい態様の美容機器では、第1放出口は複数設けられ、各第1放出口から放出されるスチームの方向及び/又は拡散の度合いは、互いに異なってもよい。また、前記第2放出口は複数設けられ、各第2放出口から放出される前記ミストの方向及び/又は拡散の度合いは、互いに異なっていてもよい。さらに、前記ミストとして放出される液体の成分に応じて、当該ミストの放出に用いる前記複数の第2放出口のうち1以上の第2放出口が選択されてもよい。本態様によれば、ユーザの好み等に応じて、スチームやミストをあてる顔の部分をきめ細やかに設定することが可能になる。
【0057】
別の好ましい態様の美容機器では、制御部は、複数の第1光源及び/又は複数の第2光源の制御において、動作開始から徐々に輝度を大きくしてもよい。例えば、動作開始から第1光源及び/又は第2光源の輝度を徐々に高くしてもよいし、徐々に下げてもよい。また、第1光源と第2光源とを切り換えて発光させる場合には、その切り替え時から徐々に輝度を上げてもよいし、徐々に輝度を下げてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…美容機器、10…本体部、20…蓋部、30…連結部、40…タンク、50…電源コード、110…第1生成手段、120…第2生成手段、130…操作入力部、140…照射部、150…制御部、160…記憶部、210,210A、210B…第1放出口、220…第2放出口、230A…電源ボタン、230B…切り替えボタン、230C…調整ボタン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7