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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】風除室
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/00 20060101AFI20240930BHJP
   E06B 1/70 20060101ALI20240930BHJP
   E06B 7/12 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
E04B1/00 503
E06B1/70 A
E06B7/12
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020154487
(22)【出願日】2020-09-15
(65)【公開番号】P2022048591
(43)【公開日】2022-03-28
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】西野 智
(72)【発明者】
【氏名】関 雅美
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-053189(JP,A)
【文献】実公昭61-015185(JP,Y2)
【文献】特開平09-287357(JP,A)
【文献】特開2001-059390(JP,A)
【文献】実開昭57-158809(JP,U)
【文献】特開2007-040042(JP,A)
【文献】特開2013-133619(JP,A)
【文献】特開2002-339661(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/00 - 1/61
E04F 15/00 - 15/22
E04H 1/00 - 1/14
E06B 1/00 - 1/70
E06B 7/00 - 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下枠と室内側床部と室外側床部を備え、
下枠は、
上面板部を有し、上面板部は略フラットでレールが設けてあり、
上面板部の室内側端部と室外側端部に、下方に向けて突出する長尺な室内側側壁と室外側側壁を有し、
上面板部の室内側端部に、上方に向けて突出する長尺な突出部を有し、
室内側床部は、突出部の上端及びレールの上端と略同面で設けられ、
室外側床部は、上面板部と連続して略同面で設けられていることを特徴とする風除室。
【請求項2】
次の工程を含む風除室の施工方法。
(1)請求項1記載の下枠を床となる高さを見込んで位置決めする工程
(2)突出部の上端と略同面になるように、室内側床部を施工する工程
(3)上面板部と略同面となるように、室外側床部を施工する工程
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の入口前に設けられる風除室に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外の冷気や熱気の流入、風の吹き付けを緩和する目的で設置される風除室があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、従来の風除室は、雨水が風除室に入りこむことがあり、雨水の風除室内への侵入が問題となっていた。
本発明は、雨水が風除室内に侵入しにくい風除室を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、下枠と室内側床部と室外側床部を備え、下枠は、上面板部を有し、上面板部は略フラットでレールが設けてあり、上面板部の室内側端部と室外側端部に、下方に向けて突出する長尺な室内側側壁と室外側側壁を有し、上面板部の室内側端部に、上方に向けて突出する長尺な突出部を有し、室内側床部は、突出部の上端及びレールの上端と略同面で設けられ、室外側床部は、上面板部と連続して略同面で設けられていることを特徴とする風除室とすることで前述の課題を解決した。
【発明の効果】
【0005】
雨水が侵入することがない風除室を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】風除室全体の側断面図
図2図1のA-A間横断面図
図3図1のB拡大図
図4図1のC拡大図
図5図2のA拡大図
図6図5の要部をさらに拡大した拡大図
図7】風除室の施工手順の説明図(a)上枠と下枠が固定される様子を示す一部破断させた側断面図(b)竪枠が固定される様子を示す横断面図
図8】風除室の施工手順の説明図(a)下枠にモルタルが固定された様子を示す側断面図(b)下枠にタイル施工がされた様子を示す側断面図(c)上枠に仕上げ施工がされた様子を示す側断面図(d)竪枠に仕上げ施工がされた様子を示す側断面図
図9】風除室の施工手順の説明図(a)下枠にレールが敷設された様子を示す側断面図(b)下枠にレールが敷設された様子を示す一部を切り欠いた上面図
図10】下枠に内外障子が嵌め込まれた様子を示す側断面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
(実施例)
以下、図面を使って説明するが、以下の図面は説明を目的に作成されたもので、分かりやすくするため、説明に不要な部材を意図的に図示していない場合がある。また、説明のため部材を意図的に大きくまたは小さく図示している場合があり、正確な縮尺を示す図面ではない。なお、以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0008】
風除室1を有する建造物であれば、どのような建造物であってもよい。実施例では、新規に建築される住宅の入口前に設けられる風除室1を中心に説明する。
【0009】
(風除室全体の構造)
図1は風除室1を有する住宅を説明する側断面図である。風除室1は、既存住宅に天井と左右の壁を押し当てるタイプや、既存住宅のエントランス空間に嵌め込むアルコープタイプの如き後付け施工されるものではなく、新規に建築される住宅と同時に施工される風除室1である。このため、風除室1が住宅の躯体と強固に接続される。ただし、本発明が、後付け施工を排除するものではない。図2図1のA-A間の横断面図であり、中央に引き違い戸が示され、室内側及び室外側に、それぞれ内障子11及び外障子12が嵌め込まれている。
【0010】
(風除室の下枠周辺の構造)
図3図1のB部分を拡大した様子を示す側断面図であって、下枠2の周辺を示している。下枠2は、上面板部21、室内側側壁22、室外側側壁23、突出部24で構成されている。室内側側壁22と室外側側壁23は、それぞれ上面板部21の室内側端部と室外側端部に下方に突出して設けられた長尺のものとされている。突出部24は、上面板部21の室内側端部に上方に突出して設けられた長尺のものとされている。
上面板部21の上には、ステンレス製のレール25が下枠2の上に締結されている。下枠2の下にはモルタル13に埋め込まれているアンカー部材26が長手方向に複数設けられており、その下には、施工前の仮止めの際に枠全体の荷重を支えるコロ27が載置されている。これらについて詳しくは施工手順の説明で後述する。室内側のモルタル13の上にタイル14が貼られている。室内側のタイル14の上面は突出部24の上端と略同面とされ、室内側床部3を形成する。下枠2の突出部24と室内側のタイル14との間にはシール材15が充填されている。室外側のモルタル13の上にタイル14が貼られている。室外側のタイル14の上面は上面板部21の上端と略同面とされ、室外側床部4を形成する。下枠2の室外側側壁23と室外側のタイル14の間にはシール材15が充填されている。
このような床構造の風除室1は、室内側床部3が室外側床部4よりも高くされているため、室外側から室内側へ雨水が侵入しにくい。また、レール25はステンレス製であるため、錆びにくいものとなっている。
【0011】
(風除室の上枠及び竪枠の構造)
図4図1のC部分を拡大した側断面図であって、上枠7の建付け構造を示している。上枠7は風除室1の天井の構造をなす躯体部分に木ねじによって固定される。上枠7の室内外の端部と仕上げ材17との間にはバックアップ材16が嵌め込まれた上でシール材15が充填されている。
図5図2のA部分を拡大した横断面図であって、竪枠8の建付け構造を示している。竪枠8は風除室1の左右壁の支柱に木ねじによって固定される。竪枠8の室内外の端部と風除室1の左右壁の下地材18との間にバックアップ材16が嵌め込まれた上でシール材15が充填されている。下地材18の外側には仕上げ材17が貼られている。
図6図5の要部をさらに拡大した横断面図である。竪枠8に対して戸当たり9が内周側からビス止めされる。竪枠8には内周側に突出する位置決め突部81が、また、戸当たり9には外周側に突出する4つの当接突条91が、それぞれ上下方向略全長に亘るようにして形成されている。
室内側から2つめの当接突条91が位置決め突部81に当接されて位置決めが図られている。戸当たり9に設けられた当接突条91が竪枠8に対して中空部を形成するところ、外部から侵入した水が当該中空部を通って下に排水される。このため、戸当たり9側の竪枠8の端部が止水ラインとなる。
【0012】
(風除室の施工手順)
本発明の風除室1の施工手順を説明する。
(下枠高さの位置決め工程)
図7を用いて、上枠7、下枠2、左右の竪枠8で構成される枠全体が風除室1の開口部に組み込まれる工程を説明する。先ず、上枠7を風除室1の天井の構造をなす躯体部分に木ねじによって固定する。この際、床となる高さを見込んで下枠2の高さが位置決めされるように、木ねじの挿入深さが決定される。枠全体は天井に吊り下げられることになる。図7(a)はその様子を示しており、下枠2が地面に対して宙に浮いた状態となっている。また、下枠2の下面には、後にモルタル13で固められることになるアンカー部材26が据え付けられている。このアンカー部材26と地面の間にはコロ27として適当な木片等を配置する。枠体の上下位置及び室内外前後位置について、下枠2が水平となるように調整して、枠体の荷重をコロ27が受け止めて安定的に仮止めできるようにする。ここで、コロ27は図示されていないが、後述される後工程では図示されることになる。次いで、図7(b)に示すように、竪枠8を風除室1の左右壁の支柱に木ねじによって固定する。このことにより、仮止めはさらに安定的なものとなる。
【0013】
(室内側床部の施工工程)
図8(a)に示すように、下枠2とアンカー部材26が埋め込まれるようにモルタル13で固める。アンカー部材26もモルタルで固められることになるため、下枠2の固定は単体で固定される場合よりも強固なものとなる。ここでは、アンカー部材26がコロ27の上に載置されている様子が図示されている。モルタル13によって、風除室1の左右壁や柱も固められることになるため、風除室1としての全体の強度も高まることになる。室内側のモルタル13の高さは室内側のタイル14の上面が下枠2の突出部24の上端と略同面になるように調節される。ここでの「略」の意味としてとはタイルの方が低くなる限りにおいては若干の誤差が許容されることを意図しており、寸法公差は-5mm以内である。突出部24の高さとタイル14の厚さが略同じであるため、モルタル13の高さが下枠2の上面板部21と同じになるようにすればよく、施工を簡単にしている。その後、図8(b)に示すように、室内側のモルタル13の上に室内側のタイル14を突出部24との間に所定間隔を有するようにして貼る。下枠2の突出部24と室内側のタイル14との間にシール材15を充填して、室内側床部3を仕上げる。
【0014】
(室外側床部の施工工程)
室外側のモルタル13の高さは室外側のタイル14の上面が下枠2の上面板部21と略同面になるように調節されるものであるが、室外側側壁23の高さとタイル14の厚さが略同じであるため、モルタル13の高さが下枠2の室外側側壁23の下端と同じになるようにすればよく、施工を簡単にしている。その後、図8(b)に示すように、室外側のモルタル13の上に室外側のタイル14を室外側側壁23との間に所定間隔を有するようにして貼る。下枠2の室外側側壁23と室外側のタイル14との間にシール材15を充填して、室外側床部4を仕上げる。
なお、室内側床部3の施工と室外側床部4の施工の先後はどちらが先となってもよい。
【0015】
(上枠周辺の仕上げ工程)
図8(c)に示すように、上枠7の室外側面及び室内側面には所定間隔を有するようにして仕上げ材17を貼り、上枠7の室外側面及び室内側面と仕上げ材17の間にバックアップ材16を嵌め込んだ後にシール材15を充填する。
【0016】
(竪枠周辺の仕上げ工程)
図8(d)に示すように、竪枠8の室外側面及び室内側面には所定間隔を有するようにして下地材18を貼り、下地材18の外側には仕上げ材17を貼る。竪枠8の室外側端部及び室内側端部と下地材18の間にバックアップ材16をはめ込んだ後にシール材15を充填する。竪枠8の枠内周側には戸当たり9をビス止めにより固定する。その際、竪枠8の位置決め突部81と戸当たり9の当接突条91を当接させる。竪枠8の位置決め突部81と戸当たり9の当接突条91の当接により室内外の前後方向位置が画定されるようになっていることから、施工性が向上されている。
【0017】
(レールの締結工程)
枠全体の固定及び仕上げがされた後に、下枠2の上に内障子11及び外障子12を移動させるためのレール25を締結する。図9(a)及び(b)は、下枠2の上にレール25が締結された様子を示している。
【0018】
(内外障子の建て込み工程)
最後に、全体としての枠内に内障子11及び外障子12が建て込まれて風除室1が完成する。図10は枠内に内障子11及び外障子12が嵌め込まれた状態であって、レール25の上に戸車19が乗っている様子を示している。
【0019】
以上、本発明に係る実施例の風除室1について、図面を参照して詳述し、その構造及び施工手順について説明してきたが、具体的な構成は、これらの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、室外側床部4はタイル施工とはせずに、コンクリートベタ打ちとすることが可能であるし、後付け施工の風除室1においても本発明を実施することは可能である。
【0020】
また、前述の実施例は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0021】
1 風除室
11 内障子
12 外障子
13 モルタル
14 タイル
15 シール材
16 バックアップ材
17 仕上げ材
18 下地材
19 戸車
2 下枠
21 上面板部
22 室内側側壁
23 室外側側壁
24 突出部
25 レール
26 アンカー部材
27 コロ
3 室内側床部
4 室外側床部
7 上枠
8 竪枠
81 位置決め突部
9 戸当たり
91 当接突条
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10