(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】トナー
(51)【国際特許分類】
G03G 9/097 20060101AFI20240930BHJP
【FI】
G03G9/097 372
G03G9/097 375
(21)【出願番号】P 2020156569
(22)【出願日】2020-09-17
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100136799
【氏名又は名称】本田 亜希
(72)【発明者】
【氏名】白川 潤
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 和香
(72)【発明者】
【氏名】丸山 晶夫
(72)【発明者】
【氏名】上倉 健太
【審査官】川口 真隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-189954(JP,A)
【文献】特開2018-189895(JP,A)
【文献】特開2015-045859(JP,A)
【文献】特開2017-134398(JP,A)
【文献】特開2012-163694(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/097
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂及び着色剤を有するトナー粒子及び外添剤を有するトナーであって、
該外添剤は、無機微粒子、結晶性樹脂及び非晶質の熱可塑性樹脂を含有する有機無機複合粒子であって、
該有機無機複合粒子は、該結晶性樹脂を含有するコアと、該非晶質の熱可塑性樹脂を含有するシェルとを有し、
該無機微粒子の疎水化度が、50%以上であり、該無機微粒子の少なくとも一部が、該有機無機複合粒子の表面に露出し、凸部を形成しており、
該有機無機複合粒子のメジアン径が、80nm~500nmであ
り、
該熱可塑性樹脂がスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体であることを特徴とするトナー。
【請求項2】
前記スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体の酸価が10mgKOH/g以上25mgKOH/g以下である請求項1に記載のトナー。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂を含有する前記シェルの露出面積が、有機無機複合粒子の表面積に対して30%以上70%以下である請求項1
または2に記載のトナー。
【請求項4】
結着樹脂及び着色剤を有するトナー粒子及び外添剤を有するトナーであって、
該外添剤は、無機微粒子、結晶性樹脂及び非晶質の熱可塑性樹脂を含有する有機無機複合粒子であって、
該有機無機複合粒子は、該結晶性樹脂を含有するコアと、該非晶質の熱可塑性樹脂を含有するシェルとを有し、
該無機微粒子の疎水化度が、50%以上であり、該無機微粒子の少なくとも一部が、該有機無機複合粒子の表面に露出し、凸部を形成しており、
該有機無機複合粒子のメジアン径が、80nm~500nmであり、
該有機無機複合粒子が、
該コアに包含される無機微粒子を含むことを特徴とす
るトナー。
【請求項5】
結着樹脂及び着色剤を有するトナー粒子及び外添剤を有するトナーであって、
該外添剤は、無機微粒子、結晶性樹脂及び非晶質の熱可塑性樹脂を含有する有機無機複合粒子であって、
該有機無機複合粒子は、該結晶性樹脂を含有するコアと、該非晶質の熱可塑性樹脂を含有するシェルとを有し、
該無機微粒子の疎水化度が、50%以上であり、該無機微粒子の少なくとも一部が、該有機無機複合粒子の表面に露出し、凸部を形成しており、
該有機無機複合粒子のメジアン径が、80nm~500nmであり、
該有機無機複合粒子中の
該無機微粒子の含有量は、有機無機複合粒子の質量を基準として、50質量%以上80質量%以下である
ことを特徴とするトナー。
【請求項6】
前記有機無機複合粒子中の前記無機微粒子の含有量は、有機無機複合粒子の質量を基準として、60質量%以上80質量%以下である請求項
5に記載のトナー。
【請求項7】
前記結晶性樹脂が結晶性ポリエステルである請求項1~
6のいずれか一項に記載のトナー。
【請求項8】
前記結晶性ポリエステルの酸価が5mgKOH/g以下である請求項
7に記載のトナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法の如き画像形成方法に使用されるトナーに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成装置には、高速化、長寿命化、および省エネルギー化などが求められており、これらに対応する為に、トナーに対しても種々の性能のさらなる向上が求められている。特に、長寿命化に対しては、長期の使用によってもトナーの現像性が維持されていることが重要である。また、高速化、および省エネルギー化の観点から、トナーに対しては、さらなる低温定着性の向上が要求されている。
【0003】
さらに市場の拡大に伴い、東南アジアや中近東をはじめとした暑く高湿な地域での電子写真画像形成装置の使用頻度も増えているため、そのような地域を想定した高温高湿下での放置によるトナーの保存安定性も重要になってきている。
【0004】
そのため、長期に亘る安定した現像性、さらなる低温定着性の向上、及び、高温高湿下での保存安定性を満足させるべく、種々のトナーが提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、樹脂微粒子の表面に無機微粒子が埋め込まれた複合粒子をトナー粒子に外添することで、トナーの環境依存性を少なくする提案がなされている。更に、特許文献2には、結晶性樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた複合粒子からなるトナー用の外添剤によりトナーの低温定着性を向上させることができる提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-15868号公報
【文献】特開2015-45859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、上記した特許文献1及び2に記載のトナーについて検討を重ねてきた。
その結果、特許文献1に係る外添剤及びそれを用いたトナーは、外添剤の被覆層が熱硬化性の樹脂を用いて形成されたものであるため、この外添剤を用いたトナーの低温定着性については、未だ改善の余地があった。また、特許文献2に係るトナーについては、高温高湿下での保存安定性において、未だ改善の余地があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、低温定着性に優れると共に、高温高湿下での保存安定性にも優れた、トナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、結着樹脂及び着色剤を有するトナー粒子及び外添剤を有するトナーであって、該外添剤は、無機微粒子、結晶性樹脂及び非晶質の熱可塑性樹脂を含有する有機無機複合粒子であって、該有機無機複合粒子は、該結晶性樹脂を含有するコアと、該非晶質の熱可塑性樹脂を含有するシェルとを有し、該無機微粒子の疎水化度が、50%以上であり、該無機微粒子の少なくとも一部が、該有機無機複合粒子の表面に露出し、凸部を形成しており、該有機無機複合粒子のメジアン径が、80nm~500nmであり、該熱可塑性樹脂がスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体であることを特徴とするトナーに関する。
【発明の効果】
【0010】
本発明のトナーを用いることにより、良好な低温定着性が得られ、かつ高温高湿下でも優れた保存安定性が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
先に述べたように、トナーに対しては、優れた現像性、低温定着性、及び高温高湿下での保存安定性をより高いレベルで満足させることが求められている。
【0012】
低温定着性の改善を図るためにトナー粒子(トナー母体を意味する)の粘度を下げていくと、現像性、高温高湿下での保存安定性が低下することがある。また、電子写真画像の形成プロセスの高速化に伴うトナーの現像性維持のために無機微粒子を多量に外添することがある。このようなトナーは、現像性や高温高湿下での保存安定性は良好となるものの、低温定着性に劣るものとなることがある。このように、現像性、低温定着性、及び高温高湿下での保存安定性を高いレベルで満たしたトナーを得ることは容易なことではなかった。
【0013】
低温定着性の改善のためには、低融点材料をトナー粒子に外添することが有効である。トナー粒子の表面に低温で溶融する材料を外添等によってトナー粒子表面に存在させれば、短い加熱時間であっても、トナーの表面を溶融させ、トナー同士やトナーと紙とを結合させることができるためである。しかしながら、それだけではトナー表面に低融点材料が存在することにより、帯電性の低下や現像器の現像剤担持体への低融点材料の付着を招き、ひいては現像性の低下をも招来する可能性がある。なお、現像剤担持体への低融点材料の付着は、現像剤担持体のトナーに対する帯電付与能力を低下させ、現像性の低下を招来することとなる。さらに、低融点材料を外添したトナーは、その高温高湿下での保存安定性が低下してしまう可能性もある。
【0014】
そこで、本発明者らは、低融点材料を有する外添剤に対して、その露出を抑制し湿度や温度の影響を受けにくくする工夫を施した。これにより、低温定着性を維持しながら、高温高湿下での保存安定性も維持することができることを見出した。
【0015】
具体的には、本発明者らは、無機微粒子、結晶性樹脂及び非晶質の熱可塑性樹脂を含有し、該結晶性樹脂を含有するコアと、該非晶質の熱可塑性樹脂を含有するシェルとを有し、該無機微粒子の疎水化度が、50%以上であり、該無機微粒子の少なくとも一部が表面に露出し、凸部を形成しており、メジアン径が、80nm~500nmである有機無機複合粒子をトナー粒子表面に存在させることで、低温定着性及び保存安定性を高いレベルで同時に満足できるトナーが得られることを見出した。
【0016】
このような有機無機複合粒子を外添剤として使用した場合、外添剤は、定着器から受けた熱により極めて短時間で溶融する。そして、トナー表面に存在する外添剤が短時間で溶融することにより、トナー同士やトナーと紙とを速やかにつなげることができるため、低温定着性が良化する。
【0017】
また、このような有機無機複合粒子によれば、トナー粒子上の有機無機複合粒子と他のトナー粒子またはトナー粒子上の有機無機複合粒子との融着を防ぐことができるため、現像器の現像剤担持体の表面に樹脂が付着することを防止でき、高温高湿下での保存安定性をより改善することができる。
また、無機微粒子の少なくとも一部を、有機無機複合粒子の表面に露出させ、凸部を形成させることで、定着工程において、トナー粒子及び紙に対して外添剤(有機無機複合粒子)の接触面積を大きくすることができる。そうすることで、未定着のトナーの紙への付着力を増大させて、紙から未定着のトナーが脱離することを抑制することができる。
【0018】
<有機無機複合粒子>
本発明に係る有機無機複合粒子について説明する。
本発明に係る有機無機複合粒子は、結晶性樹脂を含有するコアと非晶質の熱可塑性樹脂を含有するシェルで構成された樹脂部分に、疎水化度が50%以上の無機微粒子が分散され、該無機微粒子の少なくとも一部が該有機無機複合粒子の表面に露出し、凸部を形成した構造を有し、該有機無機複合粒子のメジアン径が80nm~500nmである。なお、樹脂粒子と無機微粒子とを同時にトナー粒子に外添する場合や、樹脂粒子と無機微粒子を順番にトナー粒子に外添する場合は、トナー粒子上で樹脂粒子と無機微粒子が凝集などを起こして、見かけ上、一体の有機無機複合粒子となっている場合がある。しかし、この方法では樹脂粒子と無機微粒子の均一性が不十分であったり、無機微粒子の樹脂粒子との複合化が不十分であったりする場合が多いため、本発明の効果を得られにくい。
【0019】
本発明に係る有機無機複合粒子のメジアン径は、80nm~500nmである。該有機無機複合粒子のメジアン径がこの範囲であると、該有機無機複合粒子が定着器から熱を受けた時に該有機無機複合粒子が溶融しやすいため、トナー同士およびトナーと紙を強固に接着させることができる。また、現像性の維持にも効果がある。
【0020】
本発明に係る有機無機複合粒子中の無機微粒子の含有量は、有機無機複合粒子の質量を基準として、50質量%以上80質量%以下であることが好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。無機微粒子の含有量がこの範囲にある該有機無機複合粒子をトナーの外添剤として使用した場合、外添剤が、定着器から受けた熱によって瞬時に溶融しやすくなり、トナーの低温定着性のより一層の改善を図ることができる。
【0021】
本発明に係る有機無機複合粒子において、該非晶質の熱可塑性樹脂を含有する該シェルの露出面積は、有機無機複合粒子の表面積に対して30%以上70%以下であることが好ましい。シェルの露出面積が30%以上である該有機無機複合粒子をトナーの外添剤として使用した場合、外添剤が、定着器から受けた熱の伝導率が高く、トナーの低温定着性のより一層の改善を図ることができる。また、シェルの露出面積が70%以下である該有機無機複合粒子をトナーの外添剤として使用した場合、湿度や温度の影響を受けにくく、より一層の高温高湿下での保存安定性の改善を図ることができる。
【0022】
<無機微粒子>
本発明に係る有機無機複合粒子は、無機微粒子を含有する。本発明に係る有機無機複合粒子に用いられる無機微粒子は、疎水化度が50%以上である。該無機微粒子の疎水化度が50%より低い場合、該有機無機複合粒子を形成する樹脂、特に該有機無機複合粒子のコアを形成する結晶性樹脂との接着性が低下する。このような該有機無機複合粒子をトナー外添剤に用いた場合、トナー保存時に有機無機複合粒子が変形してしまい、保存安定性が低下する。
【0023】
本発明に係る有機無機複合粒子に使用される無機微粒子は、疎水化度が50%以上であれば公知のものを使用することができる。このような無機微粒子の例としては、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、チタニア微粒子、酸化亜鉛微粒子、チタン酸ストロンチウム微粒子、酸化セリウム微粒子及び炭酸カルシウム微粒子等を挙げることができる。これらの微粒子群の中から任意の組み合わせで選択される2種以上を用いることもできる。
【0024】
特に、疎水化度が50%以上の無機微粒子としてシリカ微粒子を用いた有機無機複合粒子を外添してなる本発明に係るトナーは、特に優れた帯電性を備えたものとなるため、好ましい。シリカ微粒子は、ヒュームドシリカのように乾式法で得られたものでも、ゾルゲル法のように湿式法で得られたものでも用いることができる。このようなシリカ微粒子としては、AEROSIL NX90G(日本アエロジル社製)や、オルガノシリカゾルTOL-ST(日産化学社製)などが挙げられる。
【0025】
有機無機複合粒子に使用される無機微粒子は、無機微粒子と、反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物で化学的に処理することによって疎水化することができる。
【0026】
好ましい疎水化方法としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成されたシリカ微粒子を有機ケイ素化合物で処理する方法がある。有機ケイ素化合物の例としては、以下のものが挙げられる。
【0027】
ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α-クロルエチルトリクロルシラン、β-クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1-ヘキサメチルジシロキサン、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3-ジフェニルテトラメチルジシロキサンおよびジメチルポリシロキサン等。これらは1種あるいは2種以上の混合物で用いられる。
【0028】
有機無機複合粒子に使用される無機微粒子は、シリコーンオイルで処理されていても良く、また、上記疎水化処理と併せて処理されても良い。
【0029】
好ましいシリコーンオイルとしては、25℃における粘度が30mm2/s以上1000mm2/s以下のものが用いられる。このようなシリコーンオイルの具体例としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α-メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル等が挙げられる。
【0030】
シリコーンオイル処理の方法としては、以下の方法が挙げられる。シランカップリング剤で処理されたシリカ微粒子とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサーの如き混合機を用いて直接混合する方法。ベースとなるシリカ微粒子にシリコーンオイルを噴霧する方法。あるいは適当な有機溶媒にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、シリカ微粒子を加え混合し有機溶媒を除去する方法がより好ましい。
【0031】
無機微粒子は、メジアン径が5nm以上100nm以下であることが好ましく、10nm以上30nm以下であることがより好ましい。無機微粒子のメジアン径が5nm以上100nm以下であると、有機無機複合粒子の表面を覆いやすく、現像剤担持体汚染の抑制や高温下での保存安定性に効果がある。
【0032】
<結晶性樹脂>
本発明に係る有機無機複合粒子は、結晶性樹脂を含有するコアを有する。該結晶性樹脂には、公知のものを用いることができる。結晶性樹脂は以下に限定されないが、例えばポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-エチル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。これらの中でも、結晶性ポリエステルが好ましい。
【0033】
結晶性樹脂に結晶性ポリエステルを使用する場合、当該結晶性ポリエステルの酸価は、5mgKOH/g以下であることが好ましい。この理由は明らかではないが、当該結晶性ポリエステルの酸価が5mgKOH/gより大きい場合、経時で有機無機複合粒子表面に結晶性ポリエステルがブリードし、有機無機複合粒子表面の弾性率が低下し、高温高湿下での保存安定性が低下すると考えられる。
【0034】
結晶性樹脂にポリエステルを使用する場合において、当該結晶性ポリエステルの合成に使用可能な脂肪族ジオールとしては、例えば以下のものを挙げることが出来る。1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,20-エイコサンジオール等。これらは、各々単独で、または、混合して用いることもできる。なお、本発明に係る脂肪族ジオールは、これらに限定されるものではない。
【0035】
また、当該脂肪族ジオールとしては、二重結合を持つ脂肪族ジオールを用いることもできる。前記二重結合を持つ脂肪族ジオールとしては、例えば以下のものを挙げることができる。2-ブテン-1,4-ジオール、3-ヘキセン-1,6-ジオール、4-オクテン-1,8-ジオール等。
【0036】
次に、当該結晶性ポリエステルの合成に用いることのできる酸成分について述べる。
当該結晶性ポリエステルの合成に用い得る酸成分としては、多価カルボン酸が好ましい。
【0037】
脂肪族ジカルボン酸としては、例えば以下のものを挙げることができる。蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,11-ウンデカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,13-トリデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,16-ヘキサデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸。あるいはその低級アルキルエステルや酸無水物。これらのうち、セバシン酸、アジピン酸、1,10-デカンジカルボン酸あるいはその低級アルキルエステルや酸無水物等。これらは、単独で、または、混合して用いることも可能である。また、これらに限定されるものではない。
【0038】
芳香族ジカルボン酸としては、例えば以下を挙げることができる。テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸等。中でも、テレフタル酸は、入手容易性、低融点のポリマーを形成しやすいという点で好ましい。
【0039】
さらに、当該酸成分としては、二重結合を有するジカルボン酸を用いることもできる。このようなジカルボン酸としては、例えば、フマル酸、マレイン酸、3-ヘキセンジオイック酸、3-オクテンジオイック酸等が挙げられる。また、これらの低級アルキルエステル、酸無水物を用いることもできる。中でも、コストの点で、フマル酸、マレイン酸が好ましい。
【0040】
前記結晶性ポリエステルの製造方法としては、特に制限はなく、酸成分とアルコール成分とを反応させる一般的なポリエステル重合法で製造することができる。例えば、モノマーの種類に応じて、直接重縮合やエステル交換法を適宜使い分けて製造することができる。
【0041】
前記結晶性ポリエステルの製造は、重合温度180℃以上230℃以下の間で行うのが好ましく、必要に応じて反応系内を減圧にし、縮合時に発生する水やアルコールを除去しながら反応させるのが好ましい。
【0042】
モノマーが、反応温度下で溶解または相溶しない場合は、高沸点の有機溶媒を溶解補助剤として加え溶解させるのがよい。重縮合反応においては、溶解補助溶媒を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪いモノマーが存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪いモノマーとそのモノマーと重縮合予定の酸またはアルコールとを縮合させておいてから主成分とともに重縮合させるのが好ましい。
【0043】
前記結晶性ポリエステルの製造において使用可能な触媒としては、例えばチタン触媒やスズ触媒を挙げることができる。
チタン触媒の例としては、例えば、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド等が挙げられる。また、スズ触媒の例としては、例えば、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズオキシド、ジフェニルスズオキシド等が挙げられる。
【0044】
本発明に係る結晶性樹脂の融点は、70℃以上150℃以下であることが好ましい。
本発明に係る有機無機複合粒子において、結晶性樹脂を含有するコアは、前述した特定な疎水化度と特定なメジアン径を有する無機微粒子を含むことが好ましい。該有機無機複合粒子のコアが前述した特定な疎水化度と特定なメジアン径を有する無機微粒子を含む場合、粒子の機械的強度が増すことから、トナー粒子に外添した時のトナーの高温高湿下での保存安定性が向上する。
【0045】
<非晶質の熱可塑性樹脂>
本発明に係る有機無機複合粒子は、非晶質の熱可塑性樹脂を含有するシェルを有する。該非晶質の熱可塑性樹脂には、公知のものを用いることができる。非晶質の熱可塑性樹脂としては例えば、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられるが、中でもビニル樹脂が好ましい。
【0046】
非晶質のビニル樹脂には、公知のものを用いることができる。例えば、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ(メタ)アクリル酸や、これらの共重合体が挙げられる。特に、スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体が好ましい。
【0047】
非晶質の熱可塑性樹脂にスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体を用いる場合、その酸価は10mgKOH/g以上25mgKOH/g以下が好ましい。スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体の酸価が10mgKOH/g未満の場合、コアを形成する結晶性樹脂との相溶性が高いため、経時で結晶性樹脂がブリードし、高温高湿下での保存安定性が低下する。スチレン-(メタ)アクリル酸共重合体の酸価が25mgKOH/gを超える場合、本発明に係る有機無機複合粒子表面の疎水性が低下するため、空気中の水分の吸着量が増加し有機無機複合粒子間の液架橋付着力が増し、融着してしまう。
【0048】
<有機無機複合粒子の製造方法>
本発明に係る有機無機複合粒子を得る方法としては、公知の方法を用いることができる。
例えば、無機微粒子と乳化した結晶性ポリエステルの存在下で熱可塑性樹脂粒子を乳化重合で作製して、有機無機複合粒子を作製することができる。また、結晶性ポリエステルと熱可塑性樹脂を有機溶媒に溶解させ、その溶液中に無機微粒子を添加しておき、この状態で転相乳化または強制乳化を行う方法でも、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有する有機無機複合粒子を作製することができる。
【0049】
本発明の有機無機複合粒子の製造方法では、無機微粒子、結晶性樹脂、非晶質の熱可塑性樹脂および有機溶媒を含有する分散液を調製し、この分散液に、中和剤および水を混合して撹拌することで乳化液を調製し、この乳化液から有機溶媒を留去することによって有機無機複合粒子を形成する工程を有することを特徴としている。この方法で作製された有機無機複合粒子のメジアン径は、外添剤として適している100nm~150nmとなりやすい。
【0050】
本発明に係る有機無機複合粒子を転相乳化または強制乳化で製造する場合に使用する有機溶媒としては、樹脂を溶解するものであれば特に限定されず、例えばテトラヒドロフラン、トルエン、メチルエチルケトン、ヘキサン、酢酸エチル、アセトン等が使用できる。
【0051】
本発明に係る有機無機複合粒子は、表面が有機ケイ素化合物又はシリコーオイルで処理されていることが好ましい。有機ケイ素化合物又はシリコーオイルで処理することによって、外添剤の疎水性を高めることができるため、高温高湿環境においても安定した現像性を有するトナーとすることができる。
【0052】
有機ケイ素化合物やシリコーンオイルによって表面処理されてなる外添剤の製造方法としては、有機無機複合粒子に表面処理を施す方法、及び、有機ケイ素化合物やシリコーンオイルで予め表面処理した無機微粒子を樹脂と複合化させる方法が挙げられる。
【0053】
有機無機複合粒子は、有機無機複合粒子に使用される無機微粒子と同様に、有機無機複合粒子と、反応あるいは物理吸着する有機ケイ素化合物で化学的に処理することによって疎水化することができる。
【0054】
有機無機複合粒子は、有機無機複合粒子に使用される無機微粒子と同様に、シリコーンオイルで処理されていても良く、また、上記疎水化処理と併せて処理されても良い。
【0055】
<トナー>
本発明に係るトナーは、結着樹脂及び着色剤を有するトナー粒子及び外添剤を有する。本発明に係るトナーにおける本発明に係る外添剤(有機無機複合粒子)の含有量は、トナー粒子100質量部に対し、0.1質量部以上5.0質量部以下が好ましい。本発明に係るトナーは、有機無機複合粒子以外の他の外添剤を含んでいても構わない。特にトナーの流動性や帯電性を向上させるために、他の外添剤として流動性向上剤を添加するのが好ましい。
【0056】
<流動性向上剤>
流動性向上剤としては、以下のものを用いることができる。
例えば、フッ化ビニリデン微粉末、ポリテトラフルオロエチレン微粉末の如きフッ素系樹脂粉末;湿式製法シリカ、乾式製法シリカの如き微粉末シリカ、微粉末酸化チタン、微粉末アルミナ、それらをシラン化合物、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した処理シリカ;酸化亜鉛、酸化スズの如き酸化物;チタン酸ストロンチウムやチタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウムやジルコン酸カルシウムの如き複酸化物;炭酸カルシウム及び、炭酸マグネシウムの如き炭酸塩化合物等。
【0057】
好ましい流動性向上剤としては、ケイ素ハロゲン化合物の蒸気相酸化により生成された微粉末であり、いわゆる乾式法シリカ又はヒュームドシリカと称されるものである。例えば、四塩化ケイ素ガスの酸水素焔中における熱分解酸化反応を利用するもので、基礎となる反応式は次のようなものである。
SiCl4+2H2+O2→SiO2+4HCl
【0058】
この製造工程において、塩化アルミニウム又は塩化チタン等の他の金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによってシリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能であり、シリカとしてはそれらも包含する。
【0059】
個数基準での粒度分布における平均1次粒径は5nm以上30nm以下であると、高い帯電性と流動性を持たせることができるので好ましい。
【0060】
さらには、本発明に用いられる流動性向上剤としては、前記ケイ素ハロゲン化合物の気相酸化により生成されたシリカ微粉体に疎水化処理した処理シリカ微粉体がより好ましい。疎水化処理は、有機無機複合粒子または有機無機複合粒子に使用される無機微粒子への表面処理と同様の方法を用いることができる。
【0061】
流動性向上剤は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が30m2/g以上300m2/g以下のものが好ましい。また、トナー100質量部に対して流動性向上剤を総量で0.01質量部以上、3質量部以下使用することが良い。
【0062】
本発明に係るトナーは、前記流動性向上剤と混合して、また必要に応じてさらに他の外添剤(例えば帯電制御剤等)と混合して一成分現像剤として用いることができる。また、キャリアと併用して二成分現像剤として用いることができる。
【0063】
二成分現像方法に用いる場合のキャリアとしては、従来知られているものがすべて使用可能である。具体的には、表面酸化又は未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれらの合金又は酸化物が好ましくは使用される。
【0064】
また、それらキャリア粒子の表面に、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂の物質を付着又は被覆させたものが好ましく使用される。
【0065】
<トナー粒子>
次に、本発明に係るトナー粒子について説明する。
まず、本発明に係るトナー粒子に用いられる結着樹脂について説明する。
結着樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ビニル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂が挙げられる。
結着樹脂は、保存安定性という観点で、ガラス転移点(Tg)が45℃以上70℃以下、であることが好ましい。
【0066】
本発明に係るトナーは更に磁性酸化鉄粒子を含有させ磁性トナーとして使用しても構わない。この場合、磁性酸化鉄粒子は着色剤の役割をかねることもできる。
本発明において、磁性トナー中に含まれる磁性酸化鉄粒子としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライトのような酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ビスマス、カルシウム、マンガン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金およびその混合物が挙げられる。
【0067】
これらの磁性酸化鉄粒子は平均粒子径が2μm以下であることが好ましい。より好ましくは0.05μm以上0.5μm以下である。トナー中に含有させる磁性酸化鉄粒子の量としては樹脂成分100質量部に対し20質量部以上200質量部以下であることが好ましく、より好ましくは樹脂成分100質量部に対し40質量部以上150質量部以下である。
【0068】
本発明に用いられる着色剤の例を以下に挙げる。
黒色着色剤としては、例えば、カーボンブラック、グラフト化カーボンや以下に示すイロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用可能である。イエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が挙げられる。マゼンタ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物等が挙げられる。シアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が挙げられる。これらの着色剤は、単独又は混合し更には固溶体の状態で用いることができる。
【0069】
本発明に係る着色剤は、色相角、彩度、明度、耐候性、OHP透明性、トナー中への分散性の点から選択される。該着色剤の添加量は、結着樹脂100質量部に対し1質量部以上20質量部以下添加して用いられる。
【0070】
本発明に係るトナーは更に公知のワックスを含有してもよい。ワックスの具体例としては、例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス、酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、脂肪族炭化水素系ワックスのブロック共重合物、およびそれらの酸化物が挙げられる。
【0071】
ワックスの具体的な例としては、ビスコール330-P、550-P、660-P、TS-200(三洋化成工業社)、ハイワックス400P、200P、100P、410P、420P、320P、220P、210P、110P(三井化学社)、サゾールH1、H2、C80、C105、C77(シューマン・サゾール社)、HNP-1、HNP-3、HNP-9、HNP-10、HNP-11、HNP-12(日本精蝋社)、ユニリン350、425、550、700、ユニシッド、ユニシッド350、425、550、700(東洋ペトロライト社)、木ろう、蜜ろう、ライスワックス、キャンデリラワックス、カルナバワックス(セラリカNODA社)が挙げられる。
【0072】
本発明に係るトナーには、その帯電性を安定化させるために電荷制御剤を用いることが好ましい。このような電荷制御剤としては、本発明に用いられる結着樹脂の末端に存在する酸基あるいは水酸基と中心金属が相互作用し易い、有機金属錯体、キレート化合物が有効である。その例としては、モノアゾ金属錯体;アセチルアセトン金属錯体;芳香族ヒドロキシカルボン酸又は芳香族ジカルボン酸の金属錯体又は金属塩が挙げられる。
使用できる電荷制御剤の具体的な例としては、Spilon Black TRH、T-77、T-95(保土谷化学社)、BONTRON(登録商標)S-34、S-44、S-54、E-84、E-88、E-89 (オリヱント化学社)が挙げられる。また、電荷制御樹脂も上述の電荷制御剤と併用することもできる。
【0073】
<トナー粒子の製造方法>
本発明に係るトナー粒子の製造方法は特に限定されず、例えば粉砕法や、乳化重合法、懸濁重合法及び溶解懸濁法などのいわゆる重合法を用いることができる。
粉砕法では、まず、トナー粒子を構成する結着樹脂、着色剤、ワックス、電荷制御剤等を、ヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合機により充分に混合する。次いで、得られた混合物を二軸混練押出機、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等の熱混練機を用いて溶融混練し、冷却固化後、粉砕及び分級を行う。これによって、本発明に係るトナー粒子が得られる。
さらに必要に応じ所望の外添剤をヘンシェルミキサーの如き混合機により充分混合し、本発明に係るトナーを得ることができる。
【0074】
混合機としては、以下のものが挙げられる。ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)。
【0075】
混練機としては、以下のものが挙げられる。KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)。
【0076】
粉砕機としては、以下のものが挙げられる。カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);IDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(日曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボエ業社製);スーパーローター(日清エンジニアリング社製)。
【0077】
分級機としては、以下のものが挙げられる。クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチックエ業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)。
【0078】
重合法では、まず、結着樹脂を生成しうる重合性単量体、及び必要に応じて各種添加物を混合し、分散機を用いて、該材料を溶解又は分散させた重合性単量体組成物を調製する。各種添加物として、着色剤、ワックス、荷電制御剤、重合開始剤、連鎖移動剤などが挙げられる。分散機としては、ホモジナイザー、ボールミル、コロイドミル、又は超音波分散機が挙げられる。次いで、重合性単量体組成物を、難水溶性の無機微粒子を含有する水系媒体中に投入し、高速撹拌機又は超音波分散機などの高速分散機を用いて、重合性単量体組成物の液滴を調製する(造粒工程)。その後、該液滴中の重合性単量体を重合してトナー母粒子を得る(重合工程)。重合開始剤は、重合性単量体組成物を調製する際に混合してもよく、水系媒体中に液滴を形成させる直前に重合性単量体組成物中に混合してもよい。また、液滴の造粒中や造粒完了後、すなわち重合反応を開始する直前に、必要に応じて重合性単量体や他の溶媒に溶解した状態で加えることもできる。重合性単量体を重合して結着樹脂を得たあと、必要に応じて脱溶剤処理を行い、トナー母粒子の分散液を得るとよい。
【実施例】
【0079】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、特に断りのない限り、「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0080】
<各種物性の測定方法>
以下に、実施例で用いた測定方法を示す。
【0081】
<トナーの凝集度の測定方法>
トナーの凝集度は、以下のようにして測定した。
測定装置としては、「パウダーテスター」(商品名;ホソカワミクロン社製)の振動台側面部分に、デジタル表示式振動計「デジバイブロ MODEL 1332A」(商品名;昭和測器社製)を接続したものを用いた。そして、パウダーテスターの振動台上に下から、目開き38μm(400メッシュ)の篩、目開き75μm(200メッシュ)の篩、目開き150μm(100メッシュ)の篩の順に重ねてセットした。測定は、23℃、60%RH環境下で、以下の様にして行った。
(1)デジタル表示式振動計の変位の値を0.60mm(peak-to-peak)になるように振動台の振動幅を予め調整した。
(2)予め23℃、60%RH環境下において24時間放置したトナー5gを精秤し、最上段の目開き150μmの篩上に静かにのせた。
(3)篩を15秒間振動させた後、各篩上に残ったトナーの質量を測定して、下式にもとづき凝集度を算出した。
凝集度(%)
={(目開き150μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100
+{(目開き75μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100×0.6
+{(目開き38μmの篩上の試料質量(g))/5(g)}×100×0.2
【0082】
<無機微粒子の疎水化度の測定方法>
無機微粒子の疎水化度は、メタノール滴定法により測定した。メタノール滴定法による疎水化度は、以下の手順で測定した。すなわち、水50ml中に無機微粒子を0.2g添加した混合液中にて、無機微粒子の全量が湿潤されるまで、混合液を攪拌しながら、ビュレットからメタノールを滴下した。なお、全量が湿潤したかどうかは、水面上に浮遊していた無機微粒子が全て液中に没して、液体中に懸濁されたか否かにより判断した。この際、滴下終了時点での混合液と滴下したメタノールとの総量に対するメタノールの百分率の値を疎水化度とする。疎水化度の値が高いほど疎水性が高いことを示す。
【0083】
<無機微粒子の露出有無の評価方法>
有機無機複合粒子における無機微粒子の露出の有無は、X線光電子分光分析(XPS)により評価することができる。具体的には、XPSにおいて、有機無機複合粒子表面の炭素原子の濃度dC、酸素原子の濃度dO、及び、無機微粒子に由来する金属とシリコン原子の濃度dMの合計を100.0atomic%とする。このとき、下記式(i)で求められる無機微粒子に由来する該金属とシリコン原子の含有率をZa[質量%]と表現する。
Za[質量%]={dM×(金属とシリコン原子の原子量)}/[{dC×(炭素の原子量)}+{dO×(酸素の原子量)}+{dM×(金属とシリコン原子の原子量)}]×100・・・(i)
【0084】
Zaが1質量%未満の場合、有機無機複合粒子の表層において無機微粒子が露出していないことを意味している。Zaが1質量%以上の場合、有機無機複合粒子の表層において無機微粒子が露出していることを意味している。Zaは、無機微粒子の疎水化度、有機無機複合粒子に対する無機微粒子の含有量、及び有機無機複合粒子を調製する際の温度、pHなどにより制御することができる。
XPSの装置及び測定条件は、下記の通りである。
・使用装置:アルバック-ファイ社製 Quantum 2000
・分析方法:ナロー分析
・X線源:Al-Kα
・X線条件:100μm、25W、15kV
・光電子取り込み角度:45°
・PassEnergy:58.70eV
・測定範囲:φ100μm
【0085】
<シェルの表面露出量の測定方法>
有機無機複合粒子の表面におけるシェルの表面露出量は、以下のように測定した。有機無機複合粒子の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)(S-4800、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて観察し、SEM撮影像を得た。得られたSEM撮影像から、シェル表面を線でつないで得られる円を輪郭とし、その輪郭のうち、無機微粒子部分を除いたシェルが占める割合の計測を、10個の外添剤粒子断面のSEM撮影像に対して行った。続いてこれらの平均値を求めた。
【0086】
<樹脂の酸価測定方法>
樹脂の酸価は以下の方法により求めた。
基本操作はJIS K-0070に基づく。
1)試料0.5~2.0gを精秤する。このときの質量をM1(g)とする。
2)50mlのビーカーに試料を入れ、テトラヒドロフラン/エタノール(2/1)の混合液25mlを加え溶解する。
3)0.1mol/lの水酸化カリウムのエタノール溶液を用い、電位差滴定測定装置を用いて滴定を行う[例えば、平沼産業株式会社製自動滴定測定装置「COM-2500」などが利用できる。]。
4)この時の水酸化カリウム溶液の使用量をA(ml)とする。同時にブランクを測定して、この時の水酸化カリウムの使用量をB(ml)とする。
5)次式(ii)により酸価を計算する。fは水酸化カリウム溶液のファクターである。
式(ii)
酸価[mgKOH/g]=[(A-B)×f×5.61]/M1・・・(ii)
【0087】
<有機無機複合粒子のメジアン径の測定方法>
精製水で有機無機複合粒子を希釈した後、ナノトラック150(日機装社製)を用いて0.001μm~10μmのレンジ設定で測定を行い、個数平均粒子径として測定し有機無機複合粒子のメジアン径を評価した。
【0088】
<有機無機複合粒子中の無機微粒子の含有量の測定方法>
有機無機複合粒子中の無機微粒子の含有量は、STA7200RV(示差熱熱重量同時測定装置、日立ハイテクサイエンス社製)により、重量変化を測定することにより評価した。
【0089】
<結晶性樹脂の製造方法>
[結晶性ポリエステル1の製造方法]
撹拌装置、温度計、窒素導入管を備えた反応容器中に、酸成分としてデカンジカルボン酸159g、アルコール成分として1,6-ヘキサンジオール90gを入れた。続いて原料総量に対して、0.1質量%のテトライソブチルチタネートを入れ、180℃で4時間反応させた後、10℃/1時間の速度で210℃まで昇温し、210℃で8時間保持した。その後8.3kPaにて1時間反応させることで、結晶性ポリエステル1を得た。結晶性ポリエステル1の融点は72℃であった。
【0090】
[結晶性ポリエステル2の製造方法]
原料を、酸成分としてセバシン酸159g、アルコール成分として1,9-ノナンジオール90gとしたこと以外は結晶性ポリエステル1の製造方法と同様にし、結晶性ポリエステル2を得た。
【0091】
[結晶性ポリエステル3の製造方法]
原料を、酸成分としてセバシン酸159g、アルコール成分として1,6-ヘキサンジオール90gとしたこと以外は結晶性ポリエステル1の製造方法と同様にし、結晶性ポリエステル3を得た。
【0092】
<非晶性の熱可塑性樹脂の製造方法>
[非晶性ポリエステル1の製造方法]
攪拌機、温度計、還流用冷却器を装備した反応釜内に、テレフタル酸100部、イソフタル酸125質量部、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物285部、エチレングリコール60質量部、ネオペンチルグリコール20質量部、触媒としてn-テトラブチルチタネート0.1質量部、酸化防止剤としてイルガノックス1330 2質量部、重合安定剤として酢酸ナトリウム0.3質量部を加え、220℃で2時間かけてエステル交換反応を行った。その後、反応系を220℃から270℃まで昇温しながら系内を減圧した後、1Torr以下で5時間、重縮合反応を行った。反応終了後、窒素を用いて系を真空から常圧に戻した。さらに酸価付与ポリカルボン酸として無水トリメリット酸2.88質量部を投入し、220℃で30分間反応させ、ポリエステルを得た。
得られたポリエステル100質量部をクロロホルム200質量部に溶解し、分液漏斗にイオン交換水300質量部とともに入れて撹拌、静置し、上層を廃棄した。さらに下層を2回水洗した後、クロロホルムをエバポレーターにより留去して非晶性ポリエステル1を得た。
【0093】
<有機無機複合粒子1の製造例>
ガラス容器に、結晶性ポリエステル1(酸価:2mgKOH/g)を5g、スチレン-アクリル共重合体1(共重合比:スチレン/アクリル酸=24/1、酸価:22.3mgKOH/g)を5g、メチルエチルケトン65gを仕込み、65℃に加熱して溶解させた。
次いで、60℃で撹拌しながら、無機微粒子として、オルガノシリカゾル(商品名:オルガノシリカゾルTOL-ST、日産化学社製、平均粒子径15nm、固体重量比40%、疎水化度70wt%)を58.3g添加した。続いて、60℃の0.01mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を200g添加し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて高速撹拌(回転数15000rpm)することで強制乳化を行った。続いてロータリーエバポレータで温度50℃にてメチルエチルケトンおよびトルエンを揮発させて、有機無機複合粒子1の分散液を得た。その後、ろ過、乾燥して有機無機複合粒子1を得た。
有機無機複合粒子1は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子を有し、シェルの表面露出率は57%であり、メジアン径は115nmであった。
【0094】
<有機無機複合粒子2の製造例>
結晶性ポリエステル1の代わりに結晶性ポリエステル2(酸価:5mgKOH/g)を用いたこと以外は、有機無機複合粒子1の製造例と同様にして、有機無機複合粒子2を得た。
有機無機複合粒子2は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子を有し、シェルの表面露出率は42%であり、メジアン径は123nmであった。
【0095】
<有機無機複合粒子3の製造例>
スチレン-アクリル共重合体1の代わりにスチレン-アクリル共重合体2(共重合比:スチレン/アクリル酸=24/1、酸価:21.5mgKOH/g)を用いたこと以外は、有機無機複合粒子1の製造例と同様にして、有機無機複合粒子3を得た。
有機無機複合粒子3は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子を有し、シェルの表面露出率は64%であり、メジアン径は119nmであった。
【0096】
<有機無機複合粒子4の製造例>
結晶性ポリエステル1の代わりに結晶性ポリエステル2を用いたこと以外は、有機無機複合粒子3の製造例と同様にして、有機無機複合粒子4を得た。
有機無機複合粒子4は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子を有し、シェルの表面露出率は32%であり、メジアン径は122nmであった。
【0097】
<有機無機複合粒子5の製造例>
オルガノシリカゾルTOL-STの代わりに気相法シリカ(商品名:AEROSIL NX90G、日本アエロジル社製、平均粒子径20nm、疎水化度70wt%)を23.3g用いたこと以外は、有機無機複合粒子1の製造例と同様にして、有機無機複合粒子5を得た。
有機無機複合粒子5は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子を有し、シェルの表面露出率は43%であり、メジアン径は134nmであった。
【0098】
<有機無機複合粒子6の製造例>
結晶性ポリエステル1の代わりに結晶性ポリエステル2を用いたこと以外は、有機無機複合粒子5の製造例と同様にして、有機無機複合粒子6を得た。
有機無機複合粒子6は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子を有し、シェルの表面露出率は47%であり、メジアン径は131nmであった。
【0099】
<有機無機複合粒子7の製造例>
スチレン-アクリル共重合体1の代わりにスチレン-アクリル共重合体2を用いたこと以外は、有機無機複合粒子5の製造例と同様にして、有機無機複合粒子7を得た。
有機無機複合粒子7は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子を有し、シェルの表面露出率は58%であり、メジアン径は128nmであった。
【0100】
<有機無機複合粒子8の製造例>
結晶性ポリエステル1の代わりに結晶性ポリエステル2を用いたこと以外は、有機無機複合粒子7の製造例と同様にして、有機無機複合粒子8を得た。
有機無機複合粒子8は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子を有し、シェルの表面露出率は54%であり、メジアン径は135nmであった。
【0101】
<有機無機複合粒子9の製造例>
オルガノシリカゾルTOL-STの代わりにオルガノシリカゾルMEK-ST-40(商品名:オルガノシリカゾルMEK-ST-40、日産化学社製、平均粒子径15nm、固体重量比40%、疎水化度60wt%)を用いたこと以外は、有機無機複合粒子1の製造例と同様にして、有機無機複合粒子9を得た。
有機無機複合粒子9は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子を有し、シェルの表面露出率は50%であり、メジアン径は105nmであった。
【0102】
<有機無機複合粒子10の製造例>
オルガノシリカゾルTOL-STの代わりにオルガノシリカゾルEAC-ST(商品名:オルガノシリカゾルEAC-ST、日産化学社製、平均粒子径15nm、固体重量比30%、疎水化度50wt%)を77.7g用いたこと以外は、有機無機複合粒子1の製造例と同様にして、有機無機複合粒子10を得た。
有機無機複合粒子10は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子を有し、シェルの表面露出率は38%であり、メジアン径は116nmであった。
【0103】
<有機無機複合粒子11の製造例>
0.01mol/lの水酸化ナトリウム水溶液200gの代わりに0.02mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を200g用いたこと以外は、有機無機複合粒子1の製造例と同様にして、有機無機複合粒子11を得た。
有機無機複合粒子11は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子を有し、シェルの表面露出率は62%であり、メジアン径は85nmであった。
【0104】
<有機無機複合粒子12の製造例>
ガラス容器に、結晶性ポリエステル1を5g、メチルエチルケトンを35g仕込み、65℃に加熱して溶解させた。
次いで、60℃の0.01mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を200g添加し、ホモジナイザーを用いて高速撹拌(回転数15000rpm)することで強制乳化を行った。
続いて、撹拌機、コンデンサー、温度計、窒素導入管を備えたセパラブルフラスコに、強制乳化で作製した乳化液を240g、水を46g、無機微粒子としてオルガノシリカゾルTOL-STを23.1g、アクリル酸を0.14g、スチレンを4.86g添加して、撹拌しつつ60℃まで加熱昇温し、乳化粒子分散液を作製した。
続いて、乳化粒子分散液中に重合開始剤として2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)50質量%トルエン溶液を0.27g添加し、60℃で4時間保持し窒素雰囲気下で重合反応させた。
続いて、ロータリーエバポレータで温度50℃にてメチルエチルケトンおよびトルエンを揮発させて、有機無機複合粒子12の分散液を得た。その後、ろ過、乾燥して有機無機複合粒子12を得た。
有機無機複合粒子12は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子を有し、シェルの表面露出率は57%であり、メジアン径は450nmであった。
【0105】
<有機無機複合粒子13の製造例>
結晶性ポリエステル1の代わりに結晶性ポリエステル3(酸価:6mgKOH/g)を用いたこと以外は、有機無機複合粒子1の製造例と同様にして、有機無機複合粒子13を得た。
有機無機複合粒子13は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子を有し、シェルの表面露出率は65%であり、メジアン径は125nmであった。
【0106】
<有機無機複合粒子14の製造例>
結晶性ポリエステル1の代わりにEV150(三井・ダウ ポリケミカル社製、エチレン-酢酸ビニル共重合体)を用いたこと以外は、有機無機複合粒子1の製造例と同様にして、有機無機複合粒子14を得た。
有機無機複合粒子14は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子を有し、シェルの表面露出率は45%であり、メジアン径は132nmであった。
【0107】
<有機無機複合粒子15の製造例>
オルガノシリカゾルTOL-STの添加量を30.56gとしたこと以外は、有機無機複合粒子14の製造例と同様にして、有機無機複合粒子15を得た。
有機無機複合粒子15は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子を有し、シェルの表面露出率は43%であり、メジアン径は129nmであった。
【0108】
<有機無機複合粒子16の製造例>
オルガノシリカゾルTOL-STの添加量を141.67gとしたこと以外は、有機無機複合粒子14の製造例と同様にして、有機無機複合粒子16を得た。
有機無機複合粒子16は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子を有し、シェルの表面露出率は56%であり、メジアン径は128nmであった。
【0109】
<有機無機複合粒子17の製造例>
オルガノシリカゾルTOL-STの添加量を23.1gとしたこと以外は、有機無機複合粒子14の製造例と同様にして、有機無機複合粒子17を得た。
有機無機複合粒子18は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子を有し、シェルの表面露出率は51%であり、メジアン径は133nmであった。
【0110】
<有機無機複合粒子18の製造例>
ガラス容器に、EV150を5g、メチルエチルケトンを35g仕込み、65℃に加熱して溶解させた。
次いで、60℃の0.01mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を200g添加し、ホモジナイザーを用いて高速撹拌(回転数15000rpm)することで強制乳化を行った。
続いて、5gのスチレン-アクリル共重合体1をメチルエチルケトン30gに65℃で加熱溶解させ、23.1gのオルガノシリカゾルTOL-STを添加した混合液を、強制乳化で作製した乳化液に添加し、ホモジナイザーを用いて高速撹拌(回転数15000rpm)した。続いてロータリーエバポレータで温度50℃にてメチルエチルケトンおよびトルエンを揮発させて、有機無機複合粒子18の分散液を得た。その後、ろ過、乾燥して有機無機複合粒子18を得た。
有機無機複合粒子18は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子は存在せず、シェルの表面露出率は60%であり、メジアン径は111nmであった。
【0111】
<有機無機複合粒子19の製造例>
ロータリーエバポレータでのメチルエチルケトンおよびトルエンの揮発操作を、温度60℃にて行ったこと以外は、有機無機複合粒子18の製造例と同様にして、有機無機複合粒子19を得た。
有機無機複合粒子19は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子は存在せず、シェルの露出率は24%であり、メジアン径は125nmであった。
【0112】
<有機無機複合粒子20の製造例>
ロータリーエバポレータでのメチルエチルケトンおよびトルエンの揮発操作を、温度40℃にて行ったこと以外は、有機無機複合粒子18の製造例と同様にして、有機無機複合粒子20を得た。
有機無機複合粒子20は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子は存在せず、シェルの露出率は72%であり、メジアン径は132nmであった。
【0113】
<有機無機複合粒子21の製造例>
スチレン-アクリル共重合体1の代わりにスチレン-アクリル共重合体3(共重合比:スチレン/アクリル酸=15/1、酸価:27.1mgKOH/g)を用いたこと以外は、有機無機複合粒子19の製造例と同様にして、有機無機複合粒子21を得た。
有機無機複合粒子21は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子は存在せず、シェルの表面露出率は21%であり、メジアン径は117nmであった。
【0114】
<有機無機複合粒子22の製造例>
スチレン-アクリル共重合体1の代わりにスチレン-アクリル共重合体4(共重合比:スチレン/アクリル酸=50/1、酸価:9.2mgKOH/g)を用いたこと以外は、有機無機複合粒子19の製造例と同様にして、有機無機複合粒子22を得た。
有機無機複合粒子22は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子は存在せず、シェルの表面露出率は27%であり、メジアン径は134nmであった。
【0115】
<有機無機複合粒子23の製造例>
スチレン-アクリル共重合体1の代わりにHF77(PSジャパン社製、ポリスチレン)を用いたこと以外は、有機無機複合粒子19の製造例と同様にして、有機無機複合粒子23を得た。
有機無機複合粒子23は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子は存在せず、シェルの表面露出率は24%であり、メジアン径は106nmであった。
【0116】
<有機無機複合粒子24の製造例>
スチレン-アクリル共重合体1の代わりに非晶性ポリエステル1(酸価:12.6mgKOH/g)を用いたこと以外は、有機無機複合粒子19の製造例と同様にして、有機無機複合粒子24を得た。
有機無機複合粒子24は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子は存在せず、シェルの表面露出率は25%であり、メジアン径は117nmであった。
【0117】
<有機無機複合粒子25の製造例>
結晶性ポリエステル1の代わりにスチレン-アクリル共重合体2を用いたこと以外は、有機無機複合粒子1の製造例と同様にして、有機無機複合粒子25を得た。
有機無機複合粒子25は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子を有し、シェルの表面露出率は52%であり、メジアン径は121nmであった。
【0118】
<有機無機複合粒子26の製造例>
ガラス容器に、結晶性ポリエステル1を5g、オルガノシリカゾルTOL-STを58.3g、メチルエチルケトンを35g仕込み、65℃に加熱して溶解させた。
次いで、60℃の0.01mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を200g添加し、ホモジナイザーを用いて高速撹拌(回転数15000rpm)することで強制乳化を行った。
続いて、ロータリーエバポレータで温度50℃にてメチルエチルケトンおよびトルエンを揮発させて分散液を得た。分散液の固形分濃度は60%に調整した。
ガラス容器を、水温30℃に設定したウォーターバス中にセットし、313gの水を入れた。容器内の水に塩酸を加えて、水溶液のpHを4に調整した。水溶液に、ヘキサメチロールメラミン初期重合体の水溶液(昭和電工社製、ミルベンレジンSM-607、固形分濃度80質量%)6.25gを添加し溶解させた。溶液に分散液47.2gを添加し攪拌した後、625gの水を加えて混合液を作製した。
混合液を撹拌しながら、1℃/分の速度で混合液の温度を70℃まで上昇させ、さらに2時間撹拌した。続いて、混合液のpHを7に調整した。容器の内容物をろ過し、得られた固体を洗浄し乾燥させて有機無機複合粒子26を得た。
有機無機複合粒子26は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子を有し、シェルの表面露出率は47%であり、メジアン径は123nmであった。
【0119】
<有機無機複合粒子27の製造例>
結晶性ポリエステル1を使用せず、使用するスチレン-アクリル共重合体1の重量を10gとしたこと以外は、有機無機複合粒子1の製造例と同様にして、有機無機複合粒子27を得た。
有機無機複合粒子27は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子を有し、シェルの表面露出率は59%であり、メジアン径は114nmであった。
【0120】
<有機無機複合粒子28の製造例>
セパラブルフラスコ中に、結晶性ポリエステル1を10gとオルガノシリカゾルTOL-STを58.3g投入し、スリーワンモーターで、200rpmで撹拌しながら、オイルバス中で130℃まで1時間かけて昇温した。130℃で1時間保持した後、1時間あたり-15℃の速度で徐冷し、有機無機複合粒子前駆体を作製した。得られた有機無機複合粒子前駆体は、ペースト状であった。
当該有機無機複合粒子前駆体を、直径0.5mmのジルコニア粉砕ボール(東ソー社製)とともにクラシックラインP-6(遊星式ビーズミル、フリッチュ社製)に充填し、室温で200rpmにて4時間粉砕して、有機無機複合粒子分散体(固形分50質量%)を得た。その後、ろ過、乾燥して有機無機複合粒子28を得た。
有機無機複合粒子28は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子を有し、シェルの表面露出率は40%であり、メジアン径は135nmであった。
【0121】
<有機無機複合粒子29の製造例>
オルガノシリカゾルTOL-STの代わりにオルガノシリカゾルIPA-ST(商品名:オルガノシリカゾルIPA-ST、日産化学社製、平均粒子径12nm、固体重量比30%、疎水化度48wt%)を77.7g用いたこと以外は、有機無機複合粒子1の製造例と同様にして、有機無機複合粒子29を得た。
有機無機複合粒29は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子を有し、シェルの表面露出率は47%であり、メジアン径は122nmであった。
【0122】
<有機無機複合粒子30の製造例>
ガラス容器に、結晶性ポリエステル1を5g、オルガノシリカゾルTOL-STを58.3g、メチルエチルケトンを30g仕込み、65℃に加熱して溶解させた。
次いで、60℃の0.01mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を200g添加し、ホモジナイザーを用いて高速撹拌(回転数15000rpm)することで強制乳化を行った。
続いて、5gのスチレン-アクリル共重合体1をメチルエチルケトン35gに65℃で加熱溶解させた溶液を、強制乳化で作製した乳化液に添加し、ホモジナイザーを用いて高速撹拌(回転数15000rpm)した。続いてロータリーエバポレータで温度50℃にてメチルエチルケトンおよびトルエンを揮発させて、有機無機複合粒子30の分散液を得た。
続いてロータリーエバポレータで温度50℃にてメチルエチルケトンおよびトルエンを揮発させて、有機無機複合粒子30の分散液を得た。その後、ろ過、乾燥して有機無機複合粒子30を得た。
有機無機複合粒子30は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子は有機無機複合粒子の表面に露出しておらず樹脂により完全に被覆されており、コアに包含されている無機微粒子を有し、シェルの表面露出率は100%であり、メジアン径は137nmであった。
【0123】
<有機無機複合粒子31の製造例>
0.01mol/lの水酸化ナトリウム水溶液200gの代わりに0.05mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を200g用いたこと以外は、有機無機複合粒子1の製造例と同様にして、有機無機複合粒子31を得た。
有機無機複合粒子31は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子を有し、シェルの表面露出率は63%であり、メジアン径は75nmであった。
【0124】
<有機無機複合粒子32の製造例>
0.01mol/lの水酸化ナトリウム水溶液200gの代わりに0.001mol/lの水酸化ナトリウム水溶液を200g用いたこと以外は、有機無機複合粒子1の製造例と同様にして、有機無機複合粒子32を得た。
有機無機複合粒子32は、樹脂粒子に無機微粒子が埋め込まれた構造を有し、無機微粒子の一部が有機無機複合粒子の表面に露出しているものであり、コアに包含されている無機微粒子を有し、シェルの表面露出率は58%であり、メジアン径は550nmであった。
前述した有機無機複合粒子1~32の構成並びに特徴を表1-1に示す。
【0125】
<トナー粒子1の製造例>
非晶性ポリエステル樹脂1を100質量部、磁性酸化鉄粒子を75質量部、フィッシャートロプッシュワックス(サゾール社製C105、融点:105℃)を2質量部、荷電制御剤(保土谷化学社製、T-77)を2質量部、をヘンシェルミキサーで前混合した後、2軸押出機(商品名:PCM-30、池貝鉄工所社製)を用いて、吐出口における溶融物温度が150℃になるように、温度を設定し、溶融混練した。
得られた混練物を冷却し、ハンマーミルで粗粉砕した後、粉砕機(商品名:ターボミルT250、ターボ工業社製)を用いて微粉砕した。得られた微粉砕粉末を、コアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級して、重量平均粒径7.2μmのトナー粒子1を得た。
【0126】
<トナー1の製造例>
トナー粒子1への有機無機複合微粒子の外添は乾式で行った。ヘンシェルミキサーに100質量部のトナー粒子1、3質量部の有機無機複合粒子1およびヒュームドシリカ(BET比表面積:200m2/g)を1.5質量部添加し外添混合した。その後、目開き150μmのメッシュで篩い、有機無機複合粒子1がトナー粒子1に外添されたトナー1を得た。
【0127】
<トナー2~24の製造例>
有機無機複合粒子1の代わりに有機無機複合粒子2~24を用いた以外は、トナー1の製造例と同様にして、トナー2~24を得た。
【0128】
<比較トナー1の製造例>
有機無機複合粒子1の代わりに有機無機複合粒子25を用いた以外は、トナー1の製造例と同様にして、比較トナー1を得た。
【0129】
<比較トナー2~8の製造例>
有機無機複合粒子25の代わりに有機無機複合粒子26~32を用いた以外は、比較トナー1の製造例と同様にして、比較トナー2~8を得た。
【0130】
<実施例1>
トナー1を用いて下記の評価を実施した。
<トナーの低温定着性の評価>
市販の磁性一成分方式のプリンターHP LaserJet Enterprise600 M603dn(ヒューレットパッカード社製:プロセススピード350mm/s)を用いた。この評価機において、定着装置の定着温度を任意に設定できるように改造した。
この装置を用いて、定着器の温度180℃以上220℃以下の範囲で5℃おきに温調して、ボンド紙(75g/m2)に画像濃度が0.60~0.65となるようにハーフトーン画像を出力する。得られた画像を4.9kPaの荷重をかけたシルボン紙で5往復摺擦し、摺擦前後の画像濃度の濃度低下率が10%以下になる最も低い温度を測定し、以下の通りのランクに分けた。この温度が低いほど低温定着性が良い。
ランク10:180℃未満
ランク9:180℃以上185℃未満
ランク8:185℃以上190℃未満
ランク7:190℃以上195℃未満
ランク6:195℃以上200℃未満
ランク5:200℃以上205℃未満
ランク4:205℃以上210℃未満
ランク3:210℃以上215℃未満
ランク2:215℃以上220℃未満
ランク1:220℃以上
前記のランクにおいて、ランク6以上であれば、有機無機複合粒子を外添したトナーの低温定着性が良好であると判断した。評価結果を表1-2に示す。
【0131】
<トナーの保存安定性の評価>
10gのトナー1を100mlのポリカップに入れ、50℃で3日間放置した後の凝集度を測定し、以下の通りのランクに分けた。この数値が小さい方が流動性に優れることを示す。
ランク10:10%未満
ランク9:10%以上15%未満
ランク8:15%以上20%未満
ランク7:20%以上25%未満
ランク6:25%以上30%未満
ランク5:30%以上35%未満
ランク4:35%以上40%未満
ランク3:40%以上45%未満
ランク2:45%以上50%未満
ランク1:50%以上
前記ランクにおいて、ランク5以上であれば、有機無機複合粒子を外添したトナーの保存安定性が良好であると判断した。評価結果を表1-2に示す。
【0132】
<有機無機複合粒子の保存安定性の評価>
10gの有機無機複合粒子1を100mlのポリカップに入れ、50℃で3日間放置した後の凝集度を測定し、以下の通りのランクに分けた。この数値が小さい方が流動性に優れることを示す。
ランク10:10%未満
ランク9:10%以上15%未満
ランク8:15%以上20%未満
ランク7:20%以上25%未満
ランク6:25%以上30%未満
ランク5:30%以上35%未満
ランク4:35%以上40%未満
ランク3:40%以上45%未満
ランク2:45%以上50%未満
ランク1:50%以上
前記ランクにおいて、ランク5以上であれば、有機無機複合粒子の保存安定性が良好であると判断した。評価結果を表1-2に示す。
実施例1に関しては、何れも良好な結果が得られた。
【0133】
<実施例2~24、比較例1~8>
トナー2~24、比較トナー1~8を用いて実施例1と同様にして、トナーの低温定着性、トナーの保存安定性、および有機無機複合粒子の保存安定性の評価を実施した。評価結果を表1-2に示す。
【0134】
【0135】
【0136】
表1の結果から、従来技術である比較例2では、有機無機複合粒子を外添したトナーの低温定着性が悪く、また従来技術である比較例4では、有機無機複合粒子およびそれを外添したトナーの保存安定性が悪いことがわかる。これに対して本発明の実施例1~12では、有機無機複合粒子を外添したトナーの良好な低温定着性と、有機無機複合粒子およびそれを外添したトナーの良好な保存安定性が得られることがわかる。
【0137】
また、実施例1と実施例12との比較から、有機無機複合粒子を重合法ではなく強制乳化法で作製することで、有機無機複合粒子を外添したトナーのより良好な低温定着性が得られることがわかる。
【0138】
更に、実施例1と実施例13との比較から、酸価が5mgKOH/g以下である結晶性ポリエステルを使用することで、更に良好な保存安定性が得られることがわかる。
【0139】
更に、実施例13と実施例14との比較から、有機無機複合粒子に含まれる結晶性樹脂として結晶性ポリエステルを使用することで、更に良好な低温定着性が得られることがわかる。
【0140】
更に、実施例14と実施例15~17との比較から、有機無機複合粒子中の無機微粒子の含有量を50質量%以上80質量%以下とすることで良好な保存安定性と低温定着性が得られ、60質量%以上80質量%以下とすることで更に良好な保存安定性と低温定着性が得られることがわかる。
【0141】
更に、実施例17と実施例18との比較から、有機無機複合粒子が、そのコアに包含される無機微粒子を含むことでより良好な保存安定性が得られることがわかる。
【0142】
更に、実施例18と実施例19、20との比較から、シェルの露出面積が、有機無機複合粒子の表面積に対して30%以上70%以下とすることで良好な保存安定性と低温定着性が得られることがわかる。
【0143】
更に、実施例19と実施例21、22との比較から、シェルが含有するスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体の酸価を10mgKOH/g以上25mgKOH/g以下とすることで良好な保存安定性と低温定着性が得られることがわかる。
【0144】
更に、実施例19、21、22と実施例23との比較から、シェルが含有するビニル樹脂をスチレン-(メタ)アクリル酸共重合体とすることで良好な保存安定性と低温定着性が得られることがわかる。
【0145】
更に、実施例19、21、22、23と実施例24との比較から、シェルが含有する熱可塑性樹脂をビニル樹脂とすることで良好な保存安定性と低温定着性が得られることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明によれば、低温定着性及び保存安定性に優れたトナーを提供することができる。