(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】ランプ信号出力回路、光電変換装置、撮像システム
(51)【国際特許分類】
H04N 25/78 20230101AFI20240930BHJP
H03K 4/06 20060101ALI20240930BHJP
H03K 4/90 20060101ALI20240930BHJP
H03K 4/50 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
H04N25/78
H03K4/06 950
H03K4/90 A
H03K4/50
(21)【出願番号】P 2020181148
(22)【出願日】2020-10-29
【審査請求日】2023-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】酒井 誠一郎
(72)【発明者】
【氏名】山崎 和男
(72)【発明者】
【氏名】亀山 弘明
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-172203(JP,A)
【文献】特開2017-175565(JP,A)
【文献】国際公開第2015/159730(WO,A1)
【文献】特開2020-014110(JP,A)
【文献】特開2020-167544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/78
H03K 4/06
H03K 4/90
H03K 4/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電流源から電流が供給される第一の基準電流源トランジスタと、
前記第一の基準電流源トランジスタのゲートと第一の電流源トランジスタのゲートとを接続する第一の配線と、
前記第一の配線から第二の配線を分岐させる分岐点と、
前記第一の電流源トランジスタに接続された第一のランプ信号生成部と、
第二の電流源トランジスタに接続された第二のランプ信号生成部と、
前記第一の配線の電圧を保持する第一のサンプルホールド容量と、
前記第二の配線の電圧を保持する第二のサンプルホールド容量と、を備え、
前記分岐点は前記第一の基準電流源トランジスタの前記ゲートと前記第一の電流源トランジスタの前記ゲートとの間に位置し、
前記第二の配線は前記第二の電流源トランジスタのゲートと接続されることを特徴とする、ランプ信号出力回路。
【請求項2】
電流源から電流が供給される第一の基準電流源トランジスタと、
前記第一の基準電流源トランジスタのゲートと第一の電流源トランジスタのゲートとを接続する第一の配線と、
前記第一の配線から第二の配線を分岐させる分岐点と、
前記第一の電流源トランジスタに接続された第一のランプ信号生成部と、
第二の電流源トランジスタに接続された第二のランプ信号生成部と、を備え、
前記分岐点は前記第一の基準電流源トランジスタの前記ゲートと前記第一の電流源トランジスタの前記ゲートとの間に位置し、
前記第二の配線は前記第二の電流源トランジスタのゲートと接続され、
前記第一の基準電流源トランジスタと前記第一の配線との接続関係を、前記第二の配線と独立して制御するスイッチを有することを特徴とする、ランプ信号出力回路。
【請求項3】
第一の電流源からの電流が供給される第一の基準電流源トランジスタと、
第二の電流源からの電流が供給される第二の基準電流源トランジスタと、
前記第一の基準電流源トランジスタのゲートと第一の電流源トランジスタのゲートとを接続する第一の配線と、
前記第二の基準電流源トランジスタのゲートと第二の電流源トランジスタのゲートとを接続する第二の配線と、
前記第一の電流源トランジスタに接続された第一のランプ信号生成部と、
前記第二の電流源トランジスタに接続された第二のランプ信号生成部と、
前記第一の配線の電圧を保持する第一のサンプルホールド容量と、
前記第二の配線の電圧を保持する第二のサンプルホールド容量と、を備えることを特徴とする、ランプ信号出力回路。
【請求項4】
第一の電流源からの電流が供給される第一の基準電流源トランジスタと、
第二の電流源からの電流が供給される第二の基準電流源トランジスタと、
前記第一の基準電流源トランジスタのゲートと第一の電流源トランジスタのゲートとを接続する第一の配線と、
前記第二の基準電流源トランジスタのゲートと第二の電流源トランジスタのゲートとを接続する第二の配線と、
前記第一の電流源トランジスタに接続された第一のランプ信号生成部と、
前記第二の電流源トランジスタに接続された第二のランプ信号生成部と、を備え、
前記第一の基準電流源トランジスタと前記第一の配線との接続関係を、前記第二の配線と独立して制御するスイッチを有することを特徴とする、ランプ信号出力回路。
【請求項5】
前記第一の配線の電圧を保持する第一のサンプルホールド容量と、
前記第二の配線の電圧を保持する第二のサンプルホールド容量と、を備えることを特徴とする請求項2または請求項4に記載のランプ信号出力回路。
【請求項6】
前記第二のランプ信号生成部が生成するランプ信号の単位時間当たりの電位変化量は、
前記第一のランプ信号生成部が生成するランプ信号の単位時間当たりの電位変化量より大きいことを特徴とする請求項
1乃至請求項5のいずれか一項に記載のランプ信号出力回路。
【請求項7】
前記第一の電流源トランジスタに接続された第一のゲート接地トランジスタと、
前記第二の電流源トランジスタに接続された第二のゲート接地トランジスタと、
前記第一のゲート接地トランジスタのゲートに接続する第一のゲート接地線と、
前記第二のゲート接地トランジスタのゲートに接続する第二のゲート接地線と、を備え、
前記第一の基準電流源トランジスタと前記第一の電流源トランジスタとの
間で、前記第一のゲート接地線と前記第二のゲート接地線とのそれぞれが独立した配線を有することを特徴とする、請求項1乃至請求項
6のいずれか一項に記載のランプ信号出力回路。
【請求項8】
前記第一の電流源トランジスタのサイズと、
前記第二の電流源トランジスタのサイズと、が互いに異なることを特徴とする請求項1乃至請求項
7のいずれか一項に記載のランプ信号出力回路。
【請求項9】
前記第一の電流源トランジスタは複数のトランジスタを有し、
前記複数のトランジスタのうちオンされているトランジスタの数が変化することでトランジスタのサイズが変化することを特徴とする請求項1乃至請求項
8のいずれか一項に記載のランプ信号出力回路。
【請求項10】
第一のランプ信号と第二のランプ信号とを出力することを特徴とする請求項1乃至請求項
9のいずれか一項に記載のランプ信号出力回路。
【請求項11】
請求項
10記載のランプ信号出力回路と、
複数の画素と、
前記複数の画素から出力される信号と前記ランプ信号出力回路から出力されるランプ信号とを比較する比較器と、を備えることを特徴とする光電変換装置。
【請求項12】
前記比較器は
前記第一のランプ信号が入力される第一の比較器と
前記第二のランプ信号が入力される第二の比較器と、を含むことを特徴とする請求項
11記載の光電変換装置。
【請求項13】
前記複数の画素が配された第一の半導体基板と、前記ランプ信号出力回路が配された第二の半導体基板と、を含む複数の半導体基板を積層して構成されることを特徴とする、請求項
11又は請求項
12に記載の光電変換装置。
【請求項14】
請求項
11乃至請求項
13のいずれか一項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置が出力する信号を用いて画像を生成する信号処理部と、を有することを特徴とする光電変換システム。
【請求項15】
請求項
11乃至
13のいずれか1項に記載の光電変換装置を備える移動体であって、
前記光電変換装置が出力する信号を用いて前記移動体の移動を制御する制御部を有することを特徴とする移動体。
【請求項16】
他の半導体基板に積層するための半導体基板であって、
電流源から電流が供給される第一の基準電流源トランジスタと、
前記第一の基準電流源トランジスタのゲートと第一の電流源トランジスタのゲートとを接続する第一の配線と、
前記第一の配線から第二の配線を分岐させる分岐点と、
前記第一の電流源トランジスタに接続された第一のランプ信号生成部と、
第二の電流源トランジスタに接続された第二のランプ信号生成部と、
前記第一の配線の電圧を保持する第一のサンプルホールド容量と、
前記第二の配線の電圧を保持する第二のサンプルホールド容量と、を備え、
前記分岐点は前記第一の基準電流源トランジスタの前記ゲートと前記第一の電流源トランジスタの前記ゲートとの間に位置し、
前記第二の配線は前記第二の電流源トランジスタのゲートと接続され
ることを特徴とする半導体基板。
【請求項17】
他の半導体基板に積層するための半導体基板であって、
電流源から電流が供給される第一の基準電流源トランジスタと、
前記第一の基準電流源トランジスタのゲートと第一の電流源トランジスタのゲートとを接続する第一の配線と、
前記第一の配線から第二の配線を分岐させる分岐点と、
前記第一の電流源トランジスタに接続された第一のランプ信号生成部と、
第二の電流源トランジスタに接続された第二のランプ信号生成部と、を備え、
前記分岐点は前記第一の基準電流源トランジスタの前記ゲートと前記第一の電流源トランジスタの前記ゲートとの間に位置し、
前記第二の配線は前記第二の電流源トランジスタのゲートと接続され、
前記第一の基準電流源トランジスタと前記第一の配線との接続関係を、前記第二の配線と独立して制御するスイッチを有することを特徴とする半導体基板。
【請求項18】
他の半導体基板に積層するための半導体基板であって、
第一の電流源からの電流が供給される第一の基準電流源トランジスタと、
第二の電流源からの電流が供給される第二の基準電流源トランジスタと、
前記第一の基準電流源トランジスタのゲートと第一の電流源トランジスタのゲートとを接続する第一の配線と、
前記第二の基準電流源トランジスタのゲートと第二の電流源トランジスタのゲートとを接続する第二の配線と、
前記第一の電流源トランジスタに接続された第一のランプ信号生成部と、
前記第二の電流源トランジスタに接続された第二のランプ信号生成部と、
前記第一の配線の電圧を保持する第一のサンプルホールド容量と、
前記第二の配線の電圧を保持する第二のサンプルホールド容量と、を備えることを特徴とする半導体基板。
【請求項19】
他の半導体基板に積層するための半導体基板であって、
第一の電流源からの電流が供給される第一の基準電流源トランジスタと、
第二の電流源からの電流が供給される第二の基準電流源トランジスタと、
前記第一の基準電流源トランジスタのゲートと第一の電流源トランジスタのゲートとを接続する第一の配線と、
前記第二の基準電流源トランジスタのゲートと第二の電流源トランジスタのゲートとを接続する第二の配線と、
前記第一の電流源トランジスタに接続された第一のランプ信号生成部と、
前記第二の電流源トランジスタに接続された第二のランプ信号生成部と、を備え、
前記第一の基準電流源トランジスタと前記第一の配線との接続関係を、前記第二の配線と独立して制御するスイッチを有することを特徴とする半導体基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ランプ信号出力回路、このランプ信号出力回路を備えた光電変換装置、撮像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、単位時間当たり第1の変化量で電位が変化する第1のランプ信号と、単位時間当たり第1の変化量よりも大きい第2の変化量で電位が変化する第2のランプ信号とを出力するランプ信号出力回路が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、第1の変化量で電位が変化する第1のランプ信号を生成するトランジスタのゲートと、第1の変化量よりも変化量の大きい第2の変化量で電位が変化する第2のランプ信号を生成するトランジスタのゲートが共通のバイアス線で接続されている。このとき、第2のランプ信号によりバイアス線電圧が変動し、その変動が共通のバイアス線を用いている第1のランプ信号のリニアリティを低下させる。
【0005】
本発明は上述した課題に鑑みて、複数のランプ信号が発生するランプ信号出力回路においてランプ信号のリニアリティを改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの側面は、ランプ信号出力回路であって電流源から電流が供給される第一の基準電流源トランジスタと、前記第一の基準電流源トランジスタのゲートと第一の電流源トランジスタのゲートとを接続する第一の配線と、前記第一の配線から第二の配線を分岐させる分岐点と、前記第一の電流源トランジスタに接続された第一のランプ信号生成部と、第二の電流源トランジスタに接続された第二のランプ信号生成部と、前記第一の配線の電圧を保持する第一のサンプルホールド容量と、前記第二の配線の電圧を保持する第二のサンプルホールド容量と、を備え、前記分岐点は前記第一の基準電流源トランジスタの前記ゲートと前記第一の電流源トランジスタの前記ゲートとの間に位置し、前記第二の配線は前記第二の電流源トランジスタのゲートと接続されることを特徴とする。本発明のその他の側面は、ランプ信号出力回路であって電流源から電流が供給される第一の基準電流源トランジスタと、前記第一の基準電流源トランジスタのゲートと第一の電流源トランジスタのゲートとを接続する第一の配線と、前記第一の配線から第二の配線を分岐させる分岐点と、前記第一の電流源トランジスタに接続された第一のランプ信号生成部と、第二の電流源トランジスタに接続された第二のランプ信号生成部と、を備え、前記分岐点は前記第一の基準電流源トランジスタの前記ゲートと前記第一の電流源トランジスタの前記ゲートとの間に位置し、前記第二の配線は前記第二の電流源トランジスタのゲートと接続され、前記第一の基準電流源トランジスタと前記第一の配線との接続関係を、前記第二の配線と独立して制御するスイッチを有することを特徴とする。
【0007】
本発明の更に他の側面は、ランプ信号出力回路であって、第一の電流源からの電流が供給される第一の基準電流源トランジスタと、第二の電流源からの電流が供給される第二の基準電流源トランジスタと、前記第一の基準電流源トランジスタのゲートと第一の電流源トランジスタのゲートとを接続する第一の配線と、前記第一の基準電流源トランジスタのゲートと第二の電流源トランジスタのゲートとを接続する第二の配線と、前記第一の電流源トランジスタに接続された第一のランプ信号生成部と、前記第二の電流源トランジスタに接続された第二のランプ信号生成部と、前記第一の配線の電圧を保持する第一のサンプルホールド容量と、前記第二の配線の電圧を保持する第二のサンプルホールド容量と、を備えることを特徴とする。本発明の更に他の側面は、ランプ信号出力回路であって、第一の電流源からの電流が供給される第一の基準電流源トランジスタと、第二の電流源からの電流が供給される第二の基準電流源トランジスタと、前記第一の基準電流源トランジスタのゲートと第一の電流源トランジスタのゲートとを接続する第一の配線と、前記第一の基準電流源トランジスタのゲートと第二の電流源トランジスタのゲートとを接続する第二の配線と、前記第一の電流源トランジスタに接続された第一のランプ信号生成部と、前記第二の電流源トランジスタに接続された第二のランプ信号生成部と、を備え、前記第一の基準電流源トランジスタと前記第一の配線との接続関係を、前記第二の配線と独立して制御するスイッチを有することを特徴とする。
【0008】
本発明の更に他の側面は、他の半導体基板に積層するための半導体基板であって、電流源からの電流が供給される第一の基準電流源トランジスタと、前記第一の基準電流源トランジスタのゲートと第一の電流源トランジスタのゲートとを接続する第一の配線と、前記第一の配線から第二の配線を分岐させる分岐点と、前記第一の電流源トランジスタに接続された第一のランプ信号生成部と、第二の電流源トランジスタに接続された第二のランプ信号生成部と、前記第一の配線の電圧を保持する第一のサンプルホールド容量と、前記第二の配線の電圧を保持する第二のサンプルホールド容量と、を備え、前記分岐点は前記第一の基準電流源トランジスタの前記ゲートと前記第一の電流源トランジスタの前記ゲートとの間に位置し、前記第二の配線は前記第二の電流源トランジスタのゲートと接続されることを特徴とする。本発明の更に他の側面は、他の半導体基板に積層するための半導体基板であって、電流源からの電流が供給される第一の基準電流源トランジスタと、前記第一の基準電流源トランジスタのゲートと第一の電流源トランジスタのゲートとを接続する第一の配線と、前記第一の配線から第二の配線を分岐させる分岐点と、前記第一の電流源トランジスタに接続された第一のランプ信号生成部と、第二の電流源トランジスタに接続された第二のランプ信号生成部と、を備え、前記分岐点は前記第一の基準電流源トランジスタの前記ゲートと前記第一の電流源トランジスタの前記ゲートとの間に位置し、前記第二の配線は前記第二の電流源トランジスタのゲートと接続され、前記第一の基準電流源トランジスタと前記第一の配線との接続関係を、前記第二の配線と独立して制御するスイッチを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の更に他の側面は、他の半導体基板に積層するための半導体基板であって、第一の電流源からの電流が供給される第一の基準電流源トランジスタと、第二の電流源からの電流が供給される第二の基準電流源トランジスタと、前記第一の基準電流源トランジスタのゲートと第一の電流源トランジスタのゲートとを接続する第一の配線と、前記第二の基準電流源トランジスタのゲートと第二の電流源トランジスタのゲートとを接続する第二の配線と、前記第一の電流源トランジスタに接続された第一のランプ信号生成部と、前記第二の電流源トランジスタに接続された第二のランプ信号生成部と、前記第一の配線の電圧を保持する第一のサンプルホールド容量と、前記第二の配線の電圧を保持する第二のサンプルホールド容量と、を備えることを特徴とする。本発明の更に他の側面は、他の半導体基板に積層するための半導体基板であって、第一の電流源からの電流が供給される第一の基準電流源トランジスタと、第二の電流源からの電流が供給される第二の基準電流源トランジスタと、前記第一の基準電流源トランジスタのゲートと第一の電流源トランジスタのゲートとを接続する第一の配線と、前記第二の基準電流源トランジスタのゲートと第二の電流源トランジスタのゲートとを接続する第二の配線と、前記第一の電流源トランジスタに接続された第一のランプ信号生成部と、前記第二の電流源トランジスタに接続された第二のランプ信号生成部と、を備え、前記第一の基準電流源トランジスタと前記第一の配線との接続関係を、前記第二の配線と独立して制御するスイッチを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数のランプ信号が発生するランプ信号出力回路においてランプ信号のリニアリティを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第一の実施形態に係るランプ信号出力回路を備えた光電変換装置の概略図である。
【
図2】第一の実施形態に係るランプ信号出力回路を備えた光電変換装置の画素回路の構成例である。
【
図3】第一の実施形態に係るランプ信号出力回路を備えた光電変換装置の列回路の構成例である。
【
図4】第一の実施形態に係るランプ信号出力回路を備えた光電変換装置の画素信号読み出し動作のタイミング図である。
【
図5】第一の実施形態に係るランプ信号出力回路を備えた光電変換装置のランプ信号出力回路の構成例である。
【
図6】第一の実施形態に係るランプ信号出力回路を備えた光電変換装置の列回路の構成例である。
【
図7】第二の実施形態に係るランプ信号出力回路を備えた光電変換装置のランプ信号出力回路の構成例である。
【
図8】第三の実施形態に係るランプ信号出力回路を備えた光電変換装置のランプ信号出力回路の構成例である。
【
図9】第四の実施形態に係るランプ信号出力回路を備えた光電変換装置のランプ信号出力回路の構成例である。
【
図10】第五の実施形態に係るランプ信号出力回路を備えた光電変換装置のランプ信号出力回路の構成例である。
【
図11】第五の実施形態に係るランプ信号出力回路を備えた光電変換装置のVRAMP_L信号生成箇所の構成例である。
【
図12】第五の実施形態に係るランプ信号出力回路を備えた光電変換装置のランプ信号出力回路の動作タイミング図である。
【
図14】第六の実施形態に係る光電変換システムの構成を示す図である。
【
図15】第七の実施形態に係る移動体の構成、動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら各実施例を説明する。
【0013】
以下に述べる各実施形態では、光電変換装置の一例として、撮像装置を中心に説明する。ただし、各実施形態は、撮像装置に限られるものではなく、光電変換装置の他の例にも適用可能である。例えば、測距装置(焦点検出やTOF(Time Of Flight)を用いた距離測定等の装置)、測光装置(入射光量の測定等の装置)などがある。
【0014】
なお、以下に述べる実施形態に記載されるトランジスタの導電型は一例のものであって、実施例中に記載された導電型のみに限定されるものでは無い。実施形態中に記載された導電型に対し、導電型は適宜変更できるし、この変更に伴って、トランジスタのゲート、ソース、ドレインの電位は適宜変更される。
【0015】
例えば、スイッチとして動作させるトランジスタであれば、ゲートに供給する電位のローレベルとハイレベルとを、導電型の変更に伴って、実施例中の説明に対し逆転させるようにすればよい。また、以下に述べる実施例中に記載される半導体領域の導電型についても一例のものであって、実施例中に記載された導電型のみに限定されるものでは無い。実施例中に記載された導電型に対し、導電型は適宜変更できるし、この変更に伴って、半導体領域の電位は適宜変更される。
【0016】
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態による光電変換装置およびその駆動方法について、
図1から
図6を用いて説明する。
【0017】
(光電変換装置の全体構成)
本実施形態の光電変換装置は、
図1に示すように画素101と、垂直出力線102と、画素電流源103と、列回路104と、ランプ信号出力回路105と、カウンタ回路106とを有している。さらに、水平走査回路107と、水平出力線108と、信号処理回路109と、垂直走査回路110と、タイミング生成部111とを有している。
【0018】
光電変換装置の画素領域では複数の画素101が複数行及び複数列にわたって行列状に配されている。
図1においては、画素101を4行4列の計16個として図示しているが、画素領域を構成する画素101の数は、特に限定されるものではない。例えば、一般的なデジタルカメラのように数千行×数千列の画素101で画素領域を構成してもよく、1行又は1列に並べた複数の画素101で画素領域を構成してもよい。
【0019】
画素101は光電変換により電荷を生成する光電変換素子を含み、光電変換素子で発生した電荷を電圧信号に変換して垂直出力線102に出力する。
【0020】
画素電流源103は、垂直出力線102に電気的に接続され、垂直出力線102に電流を供給する。なお、画素電流源103は一定の電流量を流す形態に限定されず、電流量を変化させても良い。
【0021】
列回路104は画素101からなる画素領域の各列に対応して設けられ、列方向に並ぶ画素101にそれぞれ接続され、これら画素101に共通の信号線をなしている。画素101の出力信号は垂直出力線102を介して列回路104に入力される。列回路104は画素出力信号を増幅し、アナログデジタル変換(AD変換)を行う。
【0022】
ランプ信号出力回路105は、列回路104で行うAD変換に使用する、ランプ信号を生成する。ランプ信号は時間に対して一定の変化率で電位が変化する信号である。ランプ信号出力回路105は傾きの異なるランプ信号を複数出力することができる。詳細は後述する。
【0023】
カウンタ回路106は、列回路104で行うAD変換に使用する、カウント信号CNTを出力する。カウント信号CNTはランプ信号出力回路105のランプ信号が時間に依存した変化を開始した時から、図示のクロックパルス供給部から供給されるクロックパルス信号CLKを計数した信号である。
【0024】
列回路104でAD変換された信号は水平走査回路107により、水平出力線108、信号処理回路109を介して撮像装置の外部に列毎に順次出力される。信号処理回路109は画素101から読み出された画素信号を保持するメモリ等を含み得る。
【0025】
垂直走査回路110は、画素101を行ごとに選択し、駆動を行う。
【0026】
タイミング生成部111は、垂直走査回路110、水平走査回路107、列回路104、ランプ信号出力回路105、カウンタ回路106に駆動信号を供給する。
【0027】
(画素の構成)
本実施形態による画素101の構成について説明する。
【0028】
図2は、第一の実施形態に係る画素の等価回路の構成例である。それぞれの画素101は、光電変換部201を有する。さらに、転送MOSトランジスタ202、フローティングディフュージョン部(以下FD)203、増幅MOSトランジスタ204、選択MOSトランジスタ205、リセットMOSトランジスタ206を含んで構成される。
【0029】
各素子の機能と電気的な接続関係について説明する。
【0030】
画素101において、光電変換部201は入射光を電荷に変換し、信号電荷として蓄積する。ここでは光電変換部201の例としてフォトダイオードを示している。
【0031】
転送MOSトランジスタ202は光電変換部201に蓄積された電荷をFD203に転送する。
【0032】
選択MOSトランジスタ205がオンされると、増幅MOSトランジスタ204は、FD203に転送された電荷に基づいて信号を増幅して垂直出力線102に出力する。
【0033】
リセットMOSトランジスタ206はFD203および光電変換部201の電位をリセットする。
【0034】
転送MOSトランジスタ202、リセットMOSトランジスタ206、選択MOSトランジスタ205のゲートはそれぞれ垂直走査回路110に接続され、制御信号PTX、PRES、PSELにより制御される。
【0035】
(列回路の構成)
図3は、本実施形態に係る列回路104の回路構成の一例である。
【0036】
列回路104のそれぞれは列アンプ301、比較器303、ランプ信号切り替え回路304、メモリ305を含んで構成される。
【0037】
各素子の機能と電気的な接続関係について説明する。
【0038】
画素101から出力された画素出力信号PIXOUTが垂直出力線102を介して列アンプ301に入力される。
【0039】
列アンプ301は画素出力信号PIXOUTを増幅し、比較器303へ出力する。列アンプ301は増幅器AMP、入力容量C0、帰還容量Cf1、Cf2、Cf3、Cf4、スイッチSW1、SW2、SW3、SW4、SW5を含む。列アンプ301のゲインは増幅器AMPの帰還経路上のアクティブな帰還容量Cfの容量値と入力容量C0の容量値の比で決まるため、スイッチSW1~4のオン・オフを切り替えることによって列アンプ301のゲインを変更できる。
【0040】
比較器303の一方の入力端子には、
図2のランプ信号出力回路105から供給されたランプ信号がランプ信号切り替え回路304の選択結果に応じて入力される。ランプ信号切り替え回路304の動作に関する詳細は後述する。比較器303の他方の入力端子には列アンプ301の出力値AMPOUTが入力される。比較器303は列アンプ301から入力される列アンプ出力信号AMPOUTと、ランプ信号出力回路105から供給される信号VRAMPとを比較し、その大小関係によってローレベル、ハイレベルの2値のいずれかを出力する。具体的には、信号VRAMPの電圧が信号AMPOUTの電圧より低い時にはローレベル、高い時にはハイレベルを出力する。
【0041】
カウンタ回路106はランプ信号出力回路105の信号VRAMPが時間に依存した変化を開始した時から、不図示のクロックパルス供給部から供給されるクロックパルス信号CLKを計数したカウント信号CNTを出力する。即ち、カウンタ回路106はクロックパルス信号CLKを信号VRAMPの電位の変化と並行して計数し、カウント信号CNTを生成して出力する。カウント信号CNTは、各列のNメモリ305A、Sメモリ305Bに共通して供給される。
【0042】
Nメモリ305A、Sメモリ305Bは、比較器303から供給される出力COMPOUTの信号値がローレベルからハイレベルに変化した時にカウンタ回路106から供給されたカウント信号CNTを保持する。Nメモリ305AにはFD203のリセットレベルの信号(以下、N信号)をAD変換したデジタル信号が保持される。Sメモリ305Bには光電変換部201の信号をFD203のN信号に重畳した信号(以下、S信号)をAD変換したデジタル信号が保持される。
【0043】
判定値メモリ305Cには、ランプ信号VRAMPにより生成された基準信号VREFと列アンプ301の出力とを比較器303で判定した結果(以下、J信号)が保持される。J信号はランプ信号切り替え回路304にも入力される。
【0044】
Nメモリ305A、Sメモリ305B、判定値メモリ305Cのそれぞれに保持された信号は、水平走査回路107からの制御信号によって水平出力線108を介して信号処理回路109へ出力される。そして、信号処理回路109においてS信号からN信号が差し引かれ、ノイズ成分が除去された信号が出力される。信号処理回路109の処理に関する詳細は後述する。
【0045】
(画素信号読み出し動作)
図4に、本実施形態の光電変換装置の画素信号読み出し動作のタイミングチャートの一例を示す。各駆動パルスのタイミング、画素出力電圧、列アンプ出力電圧、ランプ信号を模式的に示している。
【0046】
時刻t400に選択パルスPSELをHレベルとし、画素信号PIXOUTを出力させる画素101の行を選択する。このときリセットパルスPRESをHレベルとし、FD203の電位をリセットしている。
【0047】
時刻t401に、リセットパルスPRESをLレベルとする。静定時に出力される画素信号PIXOUTを画素基準信号と表記する。画素基準信号は画素101が有するノイズ成分を含む信号である。
【0048】
時刻t402に、C0リセットパルスPC0RをHレベルからLレベルに変え、増幅器AMP、入力容量C0のリセットを解除する。これにより、入力容量C0にはC0リセットパルスPC0RをLレベルとした時の画素基準信号の電位に基づく電荷が保持され、列アンプ301は列アンプ出力信号AMPOUTを出力する。
【0049】
時刻t403に、比較器リセットパルスCOMPRESをHレベルとし、その後Lレベルとする。比較器リセットパルスCOMPRESは比較器のリセットを行い初期化するためのものであり、タイミング生成部111から出力される。
【0050】
時刻t404から時刻t406までの間、ランプ信号出力回路105は、ランプ信号VRAMP_L、VRAMP_Hのそれぞれの電位を時間に依存して初期値から上昇させていく。ランプ信号出力回路105の詳細な動作は後述する。なお、ランプ信号出力回路105は傾きの異なる複数のランプ信号を出力し、列回路104に入力することができる。傾きが小さいVRAMP_L、傾きが大きいVRAMP_H、さらに傾きが大きいVRAMP_Jである。ここではVRAMP_Lのみをランプ信号切り替え回路304を介して比較器303に入力する。VRAMP_Hよりも、単位時間当たりのランプ信号の電位変化量が小さいランプ信号VRAMP_Lを参照電圧として使用することで、分解能の高いAD変換を行うことができる。これらの駆動はタイミング生成部111からランプ信号出力回路105及びランプ信号切り替え回路304に制御信号を送ることにより実現される。
【0051】
時刻t404にランプ信号VRAMP_Lの電位変化が開始するとともに、カウンタ回路106はクロックパルス信号の計数を開始し、カウント信号CNTを各列のNメモリ305Aに供給する。
【0052】
時刻t405に、信号VRAMP_Lの電圧が列アンプ出力信号AMPOUTを上回り、比較器303が出力するCOMPOUTの信号値が変化する。この時のカウント信号CNTの信号値をNメモリ305Aが保持する。Nメモリ305Aが保持したこのカウント信号CNTの信号値が、N信号をAD変換した値である。
【0053】
時刻t406に、ランプ信号VRAMP_L及びVRAMP_Hの時間に依存した電位変化を停止し、時刻t400の状態にリセットする。カウンタ回路106はクロックパルス信号の計数を止め、カウント信号CNTを初期値に戻す。
【0054】
時刻t407で、転送パルスPTXをHiにし、時刻t408で転送パルスPTXをLoとする。これにより、光電変換部201で入射光を光電変換して生成した信号電荷がFD203に転送される。増幅MOSトランジスタ204は、FD203の電位に基づく信号を出力する。この増幅MOSトランジスタ204の出力信号が選択MOSトランジスタ205を介して垂直出力線102に出力される。このときの画素信号PIXOUTを、画像信号と表記する。
【0055】
列アンプ301は、画素基準信号と画素信号PIXOUTとの差分の電位を反転増幅した列アンプ出力信号AMPOUTを出力する。列アンプ出力信号AMPOUTは比較器303の入力端子の一方に入力される。
【0056】
時刻t409から時刻t411の期間に、比較器303の入力端子のもう一方にランプ信号VRAMP_Jが入力される。ランプ信号VRAMP_Jはランプ信号出力回路105によって生成され、ランプ信号切り替え回路304を介して比較器303に入力される。
【0057】
時刻t409から時刻t410まで、ランプ信号出力回路105により、ランプ信号VRAMP_Jの電位を時間に依存して初期値から上昇させていく。
【0058】
時刻t410で、ランプ信号VRAMP_Jの電位変化を止める。時刻t410でのランプ信号VRAMP_Jの電圧が基準電圧VREF1となる。
【0059】
時刻t410から時刻t411までの期間、比較器303は基準電圧VREF1と列アンプ出力信号AMPOUTを比較する。列アンプ出力信号AMPOUTの電圧が基準電圧VREF1よりも低い際には比較器303の出力であるCOMPOUTがHレベル(=1)となる。出力COMPOUTはランプ信号切り替え回路304にも入力されており、ランプ信号切り替え回路304はランプ信号VRAMP_Lを選択して比較器303の入力端子に入力する。
【0060】
列アンプ出力信号AMPOUTの電圧が基準電圧VREFよりも高い際には、比較器303の出力であるCOMPOUTはLレベル(=0)となる。ランプ信号切り替え回路304はランプ信号VRAMP_Hを選択して比較器303の入力端子に入力する。
【0061】
時刻t410から時刻t411までの期間、比較器303の出力の値を判定値Jとし、ランプ信号切り替え回路304に入力するとともに、判定値メモリ305Cにも保持する。
【0062】
時刻t411にランプ信号VRAMP_H及びVRAMP_Lのどちらの信号をS信号AD変換期間に使用するかの判定を終了し、ランプ信号VRAMP_Jの電位をリセットする。
【0063】
時刻t412から時刻t414まで、ランプ信号出力回路105は、ランプ信号VRAMP_L、及びVRAMP_Hを時間に依存して電位を初期値から上昇させていく。各列回路104がVRAMP_L、VRAMP_Hのどちらを比較器303に入力するかは、時刻t410からt411の間のCOMPOUTの値に応じて決定される。
【0064】
図4の場合、時刻t410から時刻t411の間の列アンプ出力信号AMPOUTは基準電圧VREF1よりも大きいので、相対的に傾きの大きいランプ信号VRAMP_Hが選択されている。
【0065】
時刻t412のランプ信号VRAMP_Hの電位変化開始とともに、カウンタ回路106はクロックパルス信号の計数を開始し、カウント信号CNTを各列のSメモリ305Bに供給する。
【0066】
時刻t413に、信号VRAMP_Hの電圧が列アンプ出力信号AMPOUTを上回り、比較器303が出力するCOMPOUTの信号値が変化する。この時のカウント信号CNTの信号値をSメモリ305Bが保持する。この時にSメモリ305Bが保持したカウント信号CNTの信号値が、S信号をAD変換した値である。
【0067】
時刻t414に、ランプ信号VRAMP_L、ランプ信号VRAMP_Hの時間に依存した電位変化を停止し、時刻t400の状態にリセットする。カウンタ回路106はクロックパルス信号の計数を止め、そしてカウント信号CNTを初期値に戻す。
【0068】
時刻t415から、水平走査回路107により、列回路104を順次動作させる。これにより、Nメモリ305A、Sメモリ305B、判定値メモリ305Cに保持された信号は水平出力線108を介して信号処理回路109に送られる。そして、演算処理が行われた後、光電変換装置の外部に出力される。
【0069】
信号処理回路109では、S信号からN信号を差し引いた差動信号レベル(光成分)が算出される。なお、S信号―N信号演算の前に、S信号のAD変換時に選択したランプ信号によって、AD変換結果の補正処理を行う。
【0070】
ここで、AD変換結果の補正処理について説明する。例えば、ランプ信号VRAMP_Hの傾きがランプ信号VRAMP_Lの傾きの4倍である場合、カウント信号CNT1カウントに対応する信号振幅はランプ信号VRAMP_Hが4倍広くなる。そこで、信号の電位レベルに対するデジタル出力を合わせるために、ランプ信号VRAMP_HにてAD変換されたカウント値をデジタルゲインで4倍する処理を行う。信号処理回路109に入力されたS信号は、判定値J=0であれば、ランプ信号VRAMP_Hが選択されたため、S信号を4倍する処理を行い、判定値J=1であれば、ランプ信号VRAMP_Lが選択されたため、4倍する処理は行わない。
【0071】
なお、判定値Jを求めるための基準電圧VREF1のレベルは任意に設定可能であるが、例えば、ランプ信号VRAMP_Hの傾きがランプ信号VRAMP_Lの傾きの4倍である場合、AD変換したい出力信号振幅の1/4に設定すると良い。より具体的には、AD変換したい出力信号の振幅が1[V]であった場合、基準電圧VREF1を振幅0.25[V]相当に設定する。AD変換時のカウンタを12ビットとし、4095までカウントする構成としたとき、ランプ信号VRAMP_Lは4095カウントで振幅0.25[V]となるよう制御する。そして、ランプ信号VRAMP_Hは4095カウントで振幅1[V]となるよう制御する。このような構成でAD変換を行った場合の補正処理後の結果は、0.25[V]以下の小振幅である低輝度出力は0から4095まで1カウント刻みで出力結果が得られる。また、0.25[V]より大きく1[V]以下の大振幅である高輝度の出力は4096から16380まで4カウント刻みで出力結果が得られる。このように、高輝度出力の分解能は低輝度出力の分解能より粗くなるものの、14ビット相当のカウントまで高速にAD変換を行うことができる。
図5はランプ信号出力回路105の回路構成の一例を示す回路図である。以下に回路を構成する各素子の機能と電気的な接続関係について説明する。
【0072】
図5において、ランプ信号出力回路105は、電流源500、カレントミラーPMOSトランジスタ(以下、「PMOSトランジスタ」と記載する場合もある)501、502、503、504を有する。さらに、積分容量505、506、リセット用NMOSトランジスタ507、508、ランプ電流供給スイッチ509、510、511を含んで構成される。
【0073】
ランプ電流供給スイッチ509は制御パルスP_RAMP_EN_LをHレベルにするとオンになる。同様にランプ電流供給スイッチ510は制御パルスP_RAMP_EN_Hで制御され、ランプ電流供給スイッチ511は制御パルスP_RAMP_EN_Jで制御される。リセット用NMOSトランジスタ507、508は共に制御パルスP_RAMP_RESをHレベルとするとオンになり、それぞれVRAMP_L、VRAMP_Hの電位をリセットする。
【0074】
PMOSトランジスタ501は電流源500から基準電流が供給される基準電流源トランジスタである。PMOSトランジスタ502、503、504のそれぞれは、PMOSトランジスタ501とのトランジスタサイズ比に比例した電流を出力する電流源トランジスタである。
【0075】
本実施形態においては、PMOSトランジスタ501、502、503、504のサイズ比は例えば1:1:4:8とする。PMOSトランジスタ502が出力する電流をI_RAMP_L、PMOSトランジスタ503が出力する電流をI_RAMP_H、PMOSトランジスタ504が出力する電流をI_RAMP_Jとする。ランプ電流供給スイッチ509、510、511をオンすることで、PMOSトランジスタ502、503、504が出力する電流が、積分容量505、506を充電し、時間に依存して電位が変化するランプ信号が発生する。つまり積分容量505、506が本実施形態に係るランプ信号生成部である。
【0076】
PMOSトランジスタ502が生成するランプ信号をVRAMP_L、PMOSトランジスタ503が生成するランプ信号をVRAMP_H、PMOSトランジスタ504が生成するランプ信号をVRAMP_Jとする。積分容量505、506の容量が等しいとする。I_RAMP_L、I_RAMPM_H、I_RAMP_Jの比が1:4:8のため、VRAMP_Hの単位時間当たりの電位変化量はVRAMP_Lの4倍となり、VRAMP_Jの単位時間当たりの電位変化量はVRAMP_Lの8倍となる。
【0077】
VRAMP_L、VRAMP_Hは
図4記載のタイミングチャートの時刻t404~406、時刻t412~t415の期間、両方同時に発生させられる。時刻t404~406の期間ではP_RAMP_RESをLレベルとし、P_RAMP_L_EN、P_RAMP_H_ENをHレベルとすることで、ランプ信号VRAMP_L、ランプ信号VRAMP_Hのそれぞれが発生する。このとき、ランプ信号VRAMP_Lを用いてN信号のAD変換を行う。時刻t406でP_RAMP_RESをHレベルとし、P_RAMP_L_EN、P_RAMP_H_ENをLレベルとすることで、ランプ信号VRAMP_Lの時間に依存した電位変化は停止する。時刻t412~t415の期間は時刻t410から時刻t411の判定結果に応じてVRAMP_L、VRAMP_Hのどちらかの信号を用いてS信号のAD変換を行う。具体的にはP_RAMP_L_EN、P_RAMP_H_ENをHレベルとすることで、ランプ信号VRAMP_L、及びVRAMP_Hの電位を上昇させる。時刻t414にP_RAMP_RESをHレベルとし、P_RAMP_L_EN、P_RAMP_H_ENをLレベルとすることで、ランプ信号VRAMP_L、ランプ信号VRAMP_Hの時間に依存した電位変化を停止させる。
【0078】
単位時間当たりの電位変化量が大きいランプ信号VRAMP_HはPMOSトランジスタ503のゲートドレイン容量などを介してPMOSトランジスタ503のゲートに接続しているバイアス線N2の電位を変動させる。この変動がバイアス線N1にまで伝わると、バイアス線N1の電位が変動し、PMOSトランジスタ502が出力する電流I_RAMP_Lが変動する。これによって精度が求められる低輝度信号のAD変換に用いられるランプ信号VRAMP_Lのリニアリティが低下し、画質の低下が生じる。本実施形態ではバイアス線N1とバイアス線N2とを基準電流トランジスタ付近で分離させている。言い換えれば、基準電流源PMOSトランジスタ501と電流源PMOSトランジスタ502との間に、バイアス線N1とバイアス線N2とが分岐する分岐部(分岐点)527が存在する。そのため、バイアス線N2はPMOSトランジスタ502を介することなくPMOSトランジスタ503に接続される。このような構成では、バイアス線N2の電位が変動しても、寄生抵抗や規制容量によって変動が低減されることや電流源によって変動が抑えられることによって、バイアス線N1の電位変動を抑制することができる。よって従来技術と比べPMOSトランジスタ502が出力する電流I_RAMP_Lの変動を抑制することができ、ランプ信号VRAMP_Lのリニアリティを改善することができる。
【0079】
ここまで比較器303での判定結果に基づきランプ信号切り替え回路304がランプ信号VRAMP_Lかランプ信号VRAMP_Hのどちらかを選択して比較器303に入力する動作の説明を行った。しかし、本実施形態は
図6に示すように、列アンプ一つに対して2つの比較器を備え一方の比較器に一方のランプ信号を入力し、他方の比較器に他方のランプ信号を入力する構成であってもよい。
【0080】
図6において、比較器303Aの一方の入力端子にはランプ信号VRAMP_Lが入力され、他方の入力端子には列アンプ出力が入力される。比較器303Aはランプ信号VRAMP_Lと列アンプ出力を比較し、前述のAD変換動作と同様にN信号のデジタル値をN_Lメモリ305Dに書き込み、S信号のデジタル値をS_Lメモリ305Eに書き込む。比較器303Bの一方の入力端子にはランプ信号VRAMP_Hが入力され、他方の入力端子には列アンプ出力が入力される。比較器303Bはランプ信号VRAMP_Hと列アンプ出力を比較し、前述のAD変換動作と同様にN信号のデジタル値をN_Hメモリ305Fに書き込み、S信号のデジタル値をS_Hメモリ305Gに書き込む。
【0081】
N_Lメモリ305D、S_Lメモリ305E、N_Hメモリ305F、S_Hメモリ305Gに保持された信号は水平走査回路107からの制御信号によって水平出力線108を介して信号処理回路109へ出力される。信号処理回路109においてS_L信号からN_L信号を引き算し、差分S_L信号を生成する。同様にS_H信号からN_H信号を引き算し、差分S_H信号を生成する。ノイズ除去後の差分S_L信号と差分S_H信号を合成し、低ノイズの画像を得ることができる。各列に比較器やメモリが2つ必要なため、回路規模は大きくなるが、レベル判定動作は不要となり、AD変換の高速化を図ることも可能である。
【0082】
また、ここまでの説明ではV_RAMP_L、V_RAMP_H、V_RAMP_Jの単位時間当たりの電位変化量がそれぞれ異なっている。しかし、例えばPMOSトランジスタ501、502、503、504のサイズを揃え、各ランプ信号の時間当たりの電位変化量を同じにした場合も、本実施形態によってバイアス線電圧の変動を低減し、ランプ信号のリニアリティを改善することができる。例えば、複数の列回路104のうちの一部の列回路104の比較器303に本実施形態で説明したランプ信号VRAMP_Lの配線を接続する。他の一部の列回路104の比較器303に本実施形態で説明したランプ信号VRAMP_Hの配線を接続する。この時、ランプ信号VRAMP_L,VRAMP_Hの傾きは前述したように同じである。このように接続することによって、ランプ信号出力回路105の駆動負荷(トランジスタ502、503、504の駆動負荷)を低減することができる。また、隣り合う列回路104の一方の比較器303にランプ信号VRAMP_Lの配線を接続し、他方の比較器303にランプ信号VRAMP_Hの配線を接続するようにしても良い。このように接続することによって、一方の比較器303から生じるノイズ(出力COMPOUTの反転時に生じる貫通電流ノイズ等)が、他方の比較器303に伝搬することを低減することができる。
【0083】
(第二の実施形態)
図7に本発明の第二の実施形態のランプ信号出力回路を示す。
【0084】
図7において
図5のランプ信号出力回路と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明は省略し、以下に
図7の回路における
図5の回路との違いを説明する。
図7に示すランプ信号出力回路は電流源512、カレントミラーPMOSトランジスタ513を有する。
【0085】
PMOSトランジスタ513には電流源512から基準電流が供給され、PMOSトランジスタ503のゲートとPMOSトランジスタ513のゲートはバイアス線N2で接続されている。PMOSトランジスタ513はPMOSトランジスタ501とは別のカレントミラー回路を構成している。
【0086】
本実施形態ではバイアス線N1とバイアス線N2は別々のカレントミラー回路で構成されており、共通インピーダンスが存在しない。そのため、ランプ信号VRAMP_Hによりバイアス線N2の電位が変動してもバイアス線N1の電位が変動せず、PMOSトランジスタ502が出力する電流I_RAMP_Lの変動を抑制することができる。すなわち、ランプ信号VRAMP_Lのリニアリティを改善することができる。
【0087】
(第三の実施形態)
図8に本発明の第三の実施形態のランプ信号出力回路を示す。
【0088】
図8において
図5のランプ信号出力回路と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明は省略し、以下に
図8の回路における
図5の回路との違いを説明する。
【0089】
図8に示すランプ信号出力回路はサンプルホールド容量514、515、サンプルホールドスイッチ516、517を有する。
【0090】
図5のランプ信号出力回路との違いはバイアス線N1がサンプルホールドスイッチ516とサンプルホールド容量514を有し、バイアス線N2がサンプルホールドスイッチ517とサンプルホールド容量515を有することである。各バイアス線でサンプルホールドスイッチをオフし、ホールド容量にバイアス電圧を保持することで、電流源500及びPMOSトランジスタ501で発生するノイズがランプ信号に影響を与えなくなるため、低ノイズ化が可能となる。
【0091】
バイアス線電位のホールドは毎行読み出し動作時に行っても良いし、1フレーム毎でも良い。
【0092】
また、本実施形態ではバイアス線N1とバイアス線N2はサンプルホールドスイッチ516、517により切り離されており、ランプ信号VRAMP_Hによりバイアス線N2の電位が変動してもバイアス線N1の電位が変動しない。そのため、PMOSトランジスタ502が出力する電流I_RAMP_Lの変動を抑制することができ、ランプ信号VRAMP_Lのリニアリティを改善することができる。
【0093】
(第四の実施形態)
図9に本発明の第四の実施形態のランプ信号出力回路を示す。
【0094】
図9において
図8のランプ信号出力回路と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明は省略し、以下に
図9の回路における
図8の回路との違いを説明する。
【0095】
図9に示すランプ信号出力回路はPMOSトランジスタ518、519、520、522、524、基準電流源521、523を有する。
【0096】
図8のランプ信号出力回路との違いはPMOSトランジスタ502、503、504の出力側にゲート接地のPMOSトランジスタ(ゲート接地トランジスタ)518、519、520が配置されていることである。PMOSトランジスタ518、520のゲートは共通のゲート接地線N3に接続されており、ゲート接地線N3の電位は基準電流源521とPMOSトランジスタ522により決められている。同様にPMOSトランジスタ519のゲート接地線N4の電位は基準電流源523とPMOSトランジスタ524により決められている。ゲート接地の電位はPMOSトランジスタ502、503、504が飽和領域で動作するように設定される。ランプ信号VRAMP_L、VRAMP_H、VRAMP_Jの電圧が直接PMOSトランジスタ502、503、504のドレイン電圧を変動させないようにする効果がある。
【0097】
本実施形態ではゲート接地のPMOSトランジスタ519が配置されていることで、VRAMP_Hによるバイアス線N2の電位変動を抑えることができる。その代わりに単位時間当たりの電位変化量が大きいランプ信号VRAMP_HはPMOSトランジスタ519のゲートドレイン容量などを介してPMOSトランジスタ519のゲートに接続しているゲート接地線N4の電位を変動させる。この変動がゲート接地線N3にまで伝わると、ゲート接地線N3の電位が変動し、PMOSトランジスタ502のドレイン電圧が変動する。PMOSトランジスタ502は飽和領域で動作しているとしても、ドレイン電圧が変動すると、チャネル長変調などの影響により、多少の電流変動が生じる。PMOSトランジスタ502が出力する電流I_RAMP_Lが変動すると、精度が求められる低輝度信号のAD変換に用いられるランプ信号VRAMP_Lのリニアリティが低下し、画質の低下が生じる。
【0098】
本実施形態ではゲート接地線N3とゲート接地線N4を独立配線することで、ゲート接地線N4の電位が変動してもゲート接地線N3の電位は変動しない。これにより、PMOSトランジスタ502のドレイン電圧は一定が保たれるため、I_RAMP_Lが変動することはなく、ランプ信号VRAMP_L信号のリニアリティを改善することができる。
【0099】
(第五の実施形態)
図10に本発明の第五の実施形態のランプ信号出力回路を示す。
【0100】
図10において
図9のランプ信号出力回路と共通する構成については同一の符号を付して詳細な説明は省略し、以下に
図10の回路における
図9の回路との違いを説明する。
【0101】
図10に示すランプ信号出力回路は終端抵抗525、526を有する。
【0102】
本実施形態のランプ信号出力回路は積分容量の代わりに終端抵抗525、526が配置されており、矢印を示したPMOSトランジスタサイズを可変とすることでランプ信号を出力する。破線で囲ったPMOSトランジスタ502、503、スイッチ509をランプ信号VRAMP_Lの生成箇所1000とする。
【0103】
図11にランプ信号VRAMP_Lの生成箇所の詳細を示す。
【0104】
本実施形態のランプ信号出力回路はN+1個のスイッチ509によって電流を制御することができる。スイッチ509のゲートに入力する信号をSW[N]とする。ランプ信号はN+1個のPMOSトランジスタ502が出力する合計電流と終端抵抗525の抵抗値Rの積に従った値となる。
【0105】
図12にSW[N]の駆動タイミングとランプ信号を示す。0番目のスイッチ509からN番目のスイッチ509まで順次、一定の間隔でスイッチをオンする制御をおこなうことで、一定の勾配で電位が変化するランプ信号を生成することができる。
【0106】
ランプ信号生成方法は異なるが、本実施形態の効果は第四の実施形態と同じく、ゲート接地のPMOSトランジスタ519が配置されていることで、ランプ信号VRAMP_Hによるバイアス線N2の電位変動を抑えられることである。その代わりに単位時間当たりの電位変化量が大きいランプ信号VRAMP_Hは、PMOSトランジスタ519のゲートドレイン容量などを介してPMOSトランジスタ519のゲートに接続しているゲート接地線N4の電位を変動させる。この変動がゲート接地線N3にまで伝わると、ゲート接地線N3の電位が変動し、PMOSトランジスタ502のドレイン電圧が変動する。PMOSトランジスタ502は飽和領域で動作しているとしても、ドレイン電圧が変動すると、チャネル長変調などの影響により、多少の電流変動が生じる。PMOSトランジスタ502が出力する電流I_RAMP_Lが変動すると、精度が求められる低輝度信号のAD変換に用いられるランプ信号VRAMP_Lのリニアリティが低下し、画質の低下が生じる。
【0107】
本実施形態ではゲート接地線N3とゲート接地線N4を独立配線することで、ゲート接地線N4の電位が変動してもゲート接地線N3の電位は変動しない。これにより、PMOSトランジスタ502のドレイン電圧は一定が保たれるため、電流I_RAMP_Lが変動することはなく、ランプ信号VRAMP_L信号のリニアリティを改善することができる。
【0108】
以上、第一の実施形態から第五の実施形態までを、
図1の光電変換装置の概略図等を用いて説明した。
【0109】
本発明の各実施形態における回路は、一枚の半導体基板に形成しても、
図13に示す様に2つ以上の半導体基板に配置して、それらの基板を貼り合わせた積層構造にしてもよい。
図13には第1半導体基板2001と第2半導体基板2002の2枚の基板からなる積層構造を示したが、例えば回路を分割するか、回路や機能を追加するなどして3枚以上の基板からなる積層構造にしてもよい。
【0110】
(第六の実施形態)
本実施形態による光電変換システムについて、
図14を用いて説明する。
図14は、本実施形態による光電変換システムの概略構成を示すブロック図である。
【0111】
上記第一の実施形態から~第五の実施形態で述べた光電変換装置(撮像装置)は、種々の光電変換システムに適用可能である。適用可能な光電変換システムの例としては、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、監視カメラ、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星などが挙げられる。また、レンズなどの光学系と撮像装置とを備えるカメラモジュールも、光電変換システムに含まれる。
図14には、これらのうちの一例として、デジタルスチルカメラのブロック図を例示している。
【0112】
図14に例示した光電変換システムは、光電変換装置の一例である撮像装置1004、被写体の光学像を撮像装置1004に結像させるレンズ1002を含む。さらにレンズ1002を通過する光量を可変にするための絞り1003、レンズ1002の保護のためのバリア1001を有する。レンズ1002及び絞り1003は、撮像装置1004に光を集光する光学系である。撮像装置1004は、上記のいずれかの実施形態の光電変換装置(撮像装置)であって、レンズ1002により結像された光学像を電気信号に変換する。
【0113】
光電変換システムは、また、撮像装置1004より出力される出力信号の処理を行うことで画像を生成する画像生成部である信号処理部1007を有する。信号処理部1007は、必要に応じて各種の補正、圧縮を行って画像データを出力する動作を行う。信号処理部1007は、撮像装置1004が設けられた半導体基板に形成されていてもよいし、撮像装置1004とは別の半導体基板に形成されていてもよい。
【0114】
光電変換システムは、更に、画像データを一時的に記憶するためのメモリ部1010、外部コンピュータ等と通信するための外部インターフェース部(外部I/F部)1013を有する。更に光電変換システムは、撮像データの記録又は読み出しを行うための半導体メモリ等の記録媒体1012、記録媒体1012に記録又は読み出しを行うための記録媒体制御インターフェース部(記録媒体制御I/F部)1011を有する。なお、記録媒体1012は、光電変換システムに内蔵されていてもよく、着脱可能であってもよい。
【0115】
更に光電変換システムは、各種演算を行い、デジタルスチルカメラ全体を制御する全体制御・演算部1009、撮像装置1004と信号処理部1007に各種タイミング信号を出力するタイミング発生部1008を有する。ここで、タイミング信号などは外部から入力されてもよく、光電変換システムは少なくとも撮像装置1004と、撮像装置1004から出力された出力信号を処理する信号処理部1007とを有すればよい。
【0116】
撮像装置1004は、撮像信号を信号処理部1007に出力する。信号処理部1007は、撮像装置1004から出力される撮像信号に対して所定の信号処理を実施し、画像データを出力する。光電変換システムは、この画像データを用いて、画像を生成する。
【0117】
このように、本実施形態によれば、上記のいずれかの実施形態の光電変換装置(撮像装置)を適用した光電変換システムを実現することができる。
【0118】
(第七の実施形態)
本実施形態の光電変換システム及び移動体について、
図15を用いて説明する。
図15は、本実施形態の光電変換システム及び移動体の構成を示す図である。
【0119】
図15(a)は、車載カメラに関する光電変換システムの一例を示したものである。光電変換システム300は、撮像装置310を有する。撮像装置310は、上記のいずれかの実施形態に記載の光電変換装置(撮像装置)である。光電変換システム300は、撮像装置310により取得された複数の画像データに対し、画像処理を行う画像処理部312と、光電変換システム300により取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う視差取得部314を有する。また、光電変換システム300は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する距離取得部316と、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する衝突判定部318と、を有する。ここで、視差取得部314や距離取得部316は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部318はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。距離情報取得手段は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0120】
光電変換システム300は車両情報取得装置320と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、光電変換システム300は、衝突判定部318での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置である制御部ECU330が接続されている。また、光電変換システム300は、衝突判定部318での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置340とも接続されている。例えば、衝突判定部318の判定結果として衝突可能性が高い場合、制御部ECU330はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置340は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムなどの画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。
【0121】
本実施形態では、車両の周囲、例えば前方又は後方を光電変換システム300で撮像する。
図15(b)に、車両前方(撮像範囲350)を撮像する場合の光電変換システムを示した。車両情報取得装置320が、光電変換システム300ないしは撮像装置310に指示を送る。このような構成により、測距の精度をより向上させることができる。
【0122】
上記では、他の車両と衝突しないように制御する例を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御や、車線からはみ出さないように自動運転する制御などにも適用可能である。更に、光電変換システムは、自車両等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの移動体(移動装置)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
【0123】
[変形実施形態]
本発明は、上記各実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0124】
例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態に含まれる。
【0125】
また、
図14に示した第六実施形態と
図15に示した第七実施形態に示した光電変換システムは、光電変換装置を適用しうる光電変換システム例を示したものである。本発明の光電変換装置を適用可能な光電変換システムは
図14及び
図15に示した構成に限定されるものではない。
【0126】
なお、上記各実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0127】
500 電流源
501 基準電流源トランジスタ
502 第一の電流源トランジスタ
503 第二の電流源トランジスタ