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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】産業用ロボットの教示方法
(51)【国際特許分類】
   B25J 9/22 20060101AFI20240930BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20240930BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
B25J9/22 A
H01L21/68 A
H01L21/68 G
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020186269
(22)【出願日】2020-11-09
(65)【公開番号】P2022076060
(43)【公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】ニデックインスツルメンツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】栗林 保
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-313872(JP,A)
【文献】国際公開第2006/117840(WO,A1)
【文献】特開2017-222014(JP,A)
【文献】特開2019-145585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
H01L 21/67 - 21/687
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面側に搬送対象物が搭載されるハンドを備える水平多関節型の産業用ロボットの教示方法において、
前記ハンドに搭載される前記搬送対象物の水平方向の位置を決めるための位置決め部材を前記ハンドの上面側に取り付ける位置決め部材取付けステップと、その後、前記ハンドを所定位置に移動させて前記産業用ロボットの教示を行う教示ステップと、その後、前記位置決め部材を前記ハンドから取り外す位置決め部材取外しステップとを備え、
前記教示ステップでは、前記搬送対象物の端面が前記位置決め部材に接触するように前記ハンドに前記搬送対象物を搭載した状態で、所定箇所の正規の位置に前記搬送対象物が載置される位置まで前記ハンドを移動させて、前記所定箇所における前記ハンドの位置を教示すること、および、前記搬送対象物を搭載していない状態の前記ハンドを、前記所定箇所の正規の位置に配置される前記搬送対象物が前記位置決め部材に接触する位置まで移動させて、前記所定箇所における前記ハンドの位置を教示することの少なくともいずれか一方が行われ、
前記搬送対象物の端面が前記位置決め部材に接触した状態で前記ハンドに前記搬送対象物が搭載されると、前記ハンド上で前記搬送対象物が正規の搭載位置に配置され
前記産業用ロボットは、前記搬送対象物が収容される収容部からの前記搬送対象物の搬出を少なくとも行い、
前記ハンドは、前記産業用ロボットの実使用時において、正規の収容位置よりも手前側に収容されている前記搬送対象物を前記収容部から搬出するときに、前記搬送対象物の手前側の端面に接触して前記ハンドに搭載される前記搬送対象物の位置を補正するピン状の突起を備え、
前記位置決め部材は、環状に形成され、
前記位置決め部材取付けステップでは、前記位置決め部材の内周側を前記突起に嵌め込んで、前記位置決め部材を前記ハンドの上面側に取り付けることを特徴とする産業用ロボットの教示方法。
【請求項2】
前記搬送対象物は、円板状に形成され、
前記位置決め部材取付けステップでは、2個の前記位置決め部材を前記ハンドの上面側に取り付けることを特徴とする請求項1記載の産業用ロボットの教示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送対象物が搭載されるハンドを備える産業用ロボットの教示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハを搬送するための水平多関節型の産業用ロボットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の産業用ロボットは、半導体ウエハ2が搭載される4個のハンドと、4個のハンドが回動可能に連結されるアームと、アームの基端側が回動可能に連結される本体部とを備えている。4個のハンドは、半導体ウエハを保持する保持部を備えている。具体的には、4個のハンドのうちの2個のハンドは、エッジグリップ型の保持部を備え、残りの2個のハンドは、吸引型の保持部を備えている。
【0003】
特許文献1に記載の産業用ロボットでは、エッジグリップ型の保持部は、半導体ウエハの端面が当接する当接面を有する端面当接部材と、半導体ウエハの端面が端面当接部材の当接面に押し付けられるように半導体ウエハを押す押付機構とを備えている。また、吸引型の保持部には、半導体ウエハを吸引するための吸引穴が形成されている。なお、半導体ウエハを搬送するための産業用ロボットのハンドとして、半導体ウエハの保持部を備えていないハンドが使用されることもある。このハンドには、たとえば、半導体ウエハを下側から支持する支持部材が取り付けられている。このハンドでは、支持部材の上に半導体ウエハが単に載置されており、ハンドに搭載される半導体ウエハは、ハンドに保持されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-119326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の産業用ロボットのように半導体ウエハを搬送する産業用ロボットの教示(ティーチング)を行うときには、たとえば、半導体ウエハをハンドに搭載した状態でハンドを所定位置に移動させなければならない場合がある。産業用ロボットのハンドがエッジグリップ型の保持部を備えている場合には、端面当接部材と押付機構とを用いて、ハンド上の正規の搭載位置に半導体ウエハが配置されるようにハンドに半導体ウエハを搭載することが可能になるため、正規の搭載位置に配置される半導体ウエハを搭載したハンドを所定位置に移動させて産業用ロボットの教示を行うことが可能になる。したがって、産業用ロボットを精度良く教示することが可能になる。
【0006】
一方で、ハンドが備える保持部が吸引型の保持部である場合やハンドが保持部を備えていない場合には、ハンドに搭載される半導体ウエハの水平方向の位置が正確に決まらないため、ハンド上の正規の搭載位置に半導体ウエハが配置されるように半導体ウエハをハンドに搭載することが困難になる。したがって、この場合には、産業用ロボットを精度良く教示することができなくなるおそれがある。なお、ハンドが備える保持部が吸引型の保持部である場合やハンドが保持部を備えていない場合でも、たとえば、ハンド上の正規の搭載位置に半導体ウエハが配置されるように、ハンド上で半導体ウエハの搭載位置を微調整することも可能であるが、この場合には、時間がかかる。
【0007】
そこで、本発明の課題は、上面側に搬送対象物が搭載されるハンドを備える水平多関節型の産業用ロボットの教示方法において、エッジグリップ型の保持部をハンドが備えていなくても、産業用ロボットの教示を行うときに、ハンド上の正規の搭載位置に搬送対象物が配置されるように短時間でハンドに搬送対象物を搭載することが可能となる産業用ロボットの教示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の産業用ロボットの教示方法は、上面側に搬送対象物が搭載されるハンドを備える水平多関節型の産業用ロボットの教示方法において、ハンドに搭載される搬送対象物の水平方向の位置を決めるための位置決め部材をハンドの上面側に取り付ける位置決め部材取付けステップと、その後、ハンドを所定位置に移動させて産業用ロボットの教示を行う教示ステップと、その後、位置決め部材をハンドから取り外す位置決め部材取外しステップとを備え、教示ステップでは、搬送対象物の端面が位置決め部材に接触するようにハンドに搬送対象物を搭載した状態で、所定箇所の正規の位置に搬送対象物が載置される位置までハンドを移動させて、所定箇所におけるハンドの位置を教示すること、および、搬送対象物を搭載していない状態のハンドを、所定箇所の正規の位置に配置される搬送対象物が位置決め部材に接触する位置まで移動させて、所定箇所におけるハンドの位置を教示することの少なくともいずれか一方が行われ、搬送対象物の端面が位置決め部材に接触した状態でハンドに搬送対象物が搭載されると、ハンド上で搬送対象物が正規の搭載位置に配置され、産業用ロボットは、搬送対象物が収容される収容部からの搬送対象物の搬出を少なくとも行い、ハンドは、産業用ロボットの実使用時において、正規の収容位置よりも手前側に収容されている搬送対象物を収容部から搬出するときに、搬送対象物の手前側の端面に接触してハンドに搭載される搬送対象物の位置を補正するピン状の突起を備え、位置決め部材は、環状に形成され、位置決め部材取付けステップでは、位置決め部材の内周側を突起に嵌め込んで、位置決め部材をハンドの上面側に取り付けることを特徴とする。本発明において、たとえば、搬送対象物は、円板状に形成され、位置決め部材取付けステップでは、2個の位置決め部材をハンドの上面側に取り付けている。
【0009】
本発明の産業用ロボットの教示方法では、ハンドを所定位置に移動させて産業用ロボットの教示を行う教示ステップの前の位置決め部材取付けステップにおいて、ハンドに搭載される搬送対象物の水平方向の位置を決めるための位置決め部材をハンドに取り付けている。また、本発明では、搬送対象物の端面が位置決め部材に接触した状態でハンドに搬送対象物が搭載されると、ハンド上で搬送対象物が正規の搭載位置に配置される。そのため、本発明では、エッジグリップ型の保持部をハンドが備えていなくても、搬送対象物の端面が位置決め部材に接触するように搬送対象物をハンドに搭載することで、産業用ロボットの教示を行うときに、ハンド上の正規の搭載位置に搬送対象物が配置されるように短時間でハンドに搬送対象物を搭載することが可能になる。
【0011】
また、本発明では、産業用ロボットは、搬送対象物が収容される収容部からの搬送対象物の搬出を少なくとも行い、ハンドは、産業用ロボットの実使用時において、正規の収容位置よりも手前側に収容されている搬送対象物を収容部から搬出するときに、搬送対象物の手前側の端面に接触してハンドに搭載される搬送対象物の位置を補正するピン状の突起を備え、位置決め部材は、環状に形成され、位置決め部材取付けステップでは、位置決め部材の内周側を突起に嵌め込んで、位置決め部材をハンドの上面側に取り付けている。
【0012】
本発明では、産業用ロボットの実使用時に搬送対象物の位置を補正する突起を用いて位置決め部材を取り付けることが可能になるため、位置決め部材を取り付けるための部材をハンドに別途設ける必要がなくなる。したがって、ハンドの構成を簡素化してハンドのコストを低減することが可能になる。また、位置決め部材の内周側を突起に嵌め込むことで、位置決め部材をハンドの上面側に取り付けることができるため、位置決め部材をハンドに短時間でかつ容易に着脱することが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明では、搬送対象物が搭載されるハンドを備える産業用ロボットの教示方法において、エッジグリップ型の保持部をハンドが備えていなくても、産業用ロボットの教示を行うときに、ハンド上の正規の搭載位置に搬送対象物が配置されるように短時間でハンドに搬送対象物を搭載することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットの教示方法によって教示が行われる産業用ロボットの概略構成を説明するための平面図である。
図2図1に示すハンドの平面図である。
図3図1に示すハンドの構成を説明するための側面図である。
図4図1に示す産業用ロボットの教示を行うときに使用される位置決め部材の構成を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
(産業用ロボットの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる産業用ロボットの教示方法によって教示が行われる産業用ロボット1の概略構成を説明するための平面図である。図2は、図1に示すハンド11の平面図である。図3は、図1に示すハンド11の構成を説明するための側面図である。
【0017】
本形態の産業用ロボットの教示方法によって教示が行われる産業用ロボット1は、搬送対象物である半導体ウエハ2を搬送するための水平多関節型のロボットである。半導体ウエハ2は、薄い円板状に形成されている。産業用ロボット1は、半導体製造システム3に組み込まれて使用される。以下の説明では、産業用ロボット1を「ロボット1」とし、半導体ウエハ2を「ウエハ2」とする。
【0018】
半導体製造システム3は、たとえば、EFEM(Equipment Front End Module)4と、ウエハ2に対して所定の処理を行うウエハ処理装置5とを備えている。ロボット1は、EFEM4の一部を構成している。また、EFEM4は、たとえば、ウエハ2が収容されるFOUP(Front Open Unified Pod)6を開閉する複数のロードポート7と、ロボット1が収容される筺体8とを備えている。
【0019】
FOUP6には、複数枚のウエハ2が、上下方向において一定の間隔をあけた状態で、かつ、上下方向において重なった状態で収容可能となっている。ロボット1は、FOUP6とウエハ処理装置5との間でウエハ2を搬送する。たとえば、ロボット1は、FOUP6からウエハ2を搬出し、搬出したウエハ2をウエハ処理装置5に搬入する。また、ロボット1は、ウエハ処理装置5からウエハ2を搬出し、搬出したウエハ2をFOUP6に搬入する。本形態のFOUP6は、搬送対象物であるウエハ2が収容される収容部となっている。
【0020】
ロボット1は、ウエハ2が搭載されるハンド11と、ハンド11が先端側に回動可能に連結されるとともに水平方向に動作するアーム12と、アーム12の基端側が回動可能に連結される本体部13とを備えている。アーム12は、基端側が本体部13に回動可能に連結される第1アーム部15と、第1アーム部15の先端側に基端側が回動可能に連結される第2アーム部16と、第2アーム部16の先端側に基端側が回動可能に連結される第3アーム部17とから構成されている。
【0021】
本体部13と第1アーム部15と第2アーム部16と第3アーム部17とは、上下方向において、下側からこの順番で配置されている。本体部13は、アーム12を昇降させる昇降機構を備えている。また、ロボット1は、第1アーム部15および第2アーム部16を回動させて第1アーム部15と第2アーム部16とからなるアーム12の一部を伸縮させるアーム部駆動機構と、第3アーム部17を回動させる第3アーム部駆動機構と、ハンド11を回動させるハンド駆動機構とを備えている。
【0022】
ハンド11は、上下方向から見たときの形状が略Y形状となるように形成されている。ハンド11は、第3アーム部17の先端側に連結される連結部19と、ウエハ2が搭載されるウエハ搭載部20とを備えている。ハンド11は、第3アーム部17の上側に配置されている。ウエハ搭載部20は、平板状に形成されており、ウエハ搭載部20の上面にウエハ2が搭載される。ウエハ搭載部20の上面には、ウエハ2を吸着して保持するための吸引穴(図示省略)が形成されている。すなわち、ハンド11は、ウエハ搭載部20に搭載されたウエハ2を保持するための吸引型の保持部を備えている。ハンド11は、ウエハ搭載部20の正規の搭載位置にウエハ2が搭載されるように水平方向においてウエハ2を位置決めするための位置決め機構を備えていない。
【0023】
ハンド11は、ウエハ搭載部20に固定されるピン状の突起21を備えている。本形態では、2個の突起21がウエハ搭載部20に固定されている。突起21は、円柱状に形成されている。突起21は、ウエハ搭載部20の上面から上側に突出している。突起21の長さ(上下方向の長さ)は、ウエハ2の厚さよりも長くなっている。突起21は、ウエハ搭載部20の基端側(連結部19側)に固定されている。2個の突起21は、上下方向から見たときの形状が略Y形状となるハンド11の長手方向(図2のX方向)において同じ位置に配置されるとともに、ハンド11の長手方向と上下方向とに直交する方向(図2のY方向)において間隔をあけた状態で配置されている。また、突起21は、ウエハ搭載部20の正規の搭載位置に搭載されたウエハ2と接触しない位置に配置されている。
【0024】
突起21は、FOUP6において正規の収容位置よりも手前側にウエハ2が収容されていて、正規の収容位置よりも手前側にウエハ2がずれている場合(図3(A)参照)、手前側にずれているウエハ2をハンド11に搭載する前に、ウエハ2の手前側の端面に接触してハンド11に搭載されるウエハ2の位置を補正する機能を果たす(図3(B)参照)。すなわち、突起21は、ロボット1の実使用時において、正規の収容位置よりも手前側に収容されているウエハ2をFOUP6から搬出するときに、ウエハ2の手前側の端面に接触してハンド11に搭載されるウエハ2の位置を補正する。
【0025】
具体的には、突起21は、FOUP6において正規の収容位置よりもウエハ2が手前側にずれている場合に、ウエハ搭載部20に対する所定の許容範囲内でウエハ搭載部20にウエハ2が搭載されるように、ウエハ2の手前側の端面に接触してウエハ2の位置を補正する。また、FOUP6において正規の収容位置よりもウエハ2が手前側にずれている場合には、突起21によって位置が補正された後のウエハ2がハンド11に搭載される。
【0026】
なお、FOUP6には、FOUP6に収容されるウエハ2の位置をFOUP6の奥側で規制する規制部材が設けられているため、ウエハ2がFOUP6において正規の収容位置よりも奥側にずれていることはないが、ロードポート7でFOUP6を開けるときの振動等の影響によって、ウエハ2がFOUP6において正規の収容位置よりも手前側にずれることがある。
【0027】
(産業用ロボットの教示方法)
図4は、図1に示すロボット1の教示を行うときに使用される位置決め部材25の構成を説明するための平面図である。
【0028】
ロボット1の教示を行うときには、ハンド11に搭載されるウエハ2の水平方向の位置を決めるための位置決め部材25が使用される。位置決め部材25は、環状に形成されている。具体的には、位置決め部材25は、円環状に形成されている。また、位置決め部材25は、軸方向の長さが短い肉厚の扁平な円筒状に形成されている。位置決め部材25は、ハンド11の上面側に取り付けられる。具体的には、位置決め部材25は、位置決め部材25の内周側を突起21に嵌め込むことで、突起21に取り付けられる。
【0029】
すなわち、位置決め部材25は、ウエハ搭載部20の上面側に取り付けられる。また、2個の位置決め部材25がウエハ搭載部20の上面側に取り付けられる。位置決め部材25の軸方向の長さ(上下方向の長さ)は、突起21の上下方向の長さと略等しくなっており、ウエハ2の厚さよりも長くなっている。本形態では、ウエハ2の端面が2個の位置決め部材25に接触した状態でウエハ搭載部20にウエハ2が搭載されると(すなわち、ウエハ2の端面が2個の位置決め部材25に接触した状態でハンド11にウエハ2が搭載されると)、ハンド11上でウエハ2が正規の搭載位置に配置される(図4参照)。
【0030】
本形態のロボット1の教示方法は、位置決め部材25をハンド11の上面側に取り付ける位置決め部材取付けステップと、その後、ハンド11を所定位置に移動させてロボット1の教示を行う教示ステップと、その後、位置決め部材25をハンド11から取り外す位置決め部材取外しステップとを備えている。位置決め部材取付けステップでは、2個の位置決め部材25をハンド11の上面側に取り付ける。また、位置決め部材取付けステップでは、位置決め部材25の内周側を突起21に嵌め込んで、位置決め部材25をハンド11の上面側に取り付ける。位置決め部材取外しステップでは、2個の位置決め部材25をハンド11の上面側から取り外す。
【0031】
教示ステップでは、たとえば、ウエハ2の端面が2個の位置決め部材25に接触するようにハンド11にウエハ2を搭載した状態で、ウエハ処理装置5の中の正規の位置にウエハ2が載置される位置までハンド11を移動させて、ウエハ処理装置5におけるハンド11の位置を教示する。また、教示ステップでは、たとえば、ウエハ2の端面が2個の位置決め部材25に接触するようにハンド11にウエハ2を搭載した状態で、FOUP6の中の正規の収容位置にウエハ2が載置される位置までハンド11を移動させて、FOUP6におけるハンド11の位置を教示する。
【0032】
このときには、たとえば、ウエハ2の端面が2個の位置決め部材25に接触するようにハンド11にウエハ2を搭載した状態で、ウエハ処理装置5やFOUP6までハンド11を移動させてウエハ処理装置5やFOUP6の中にウエハ2を載置した後、載置されたウエハ2の位置と、ウエハ処理装置5やFOUP6の中のウエハ2の正規の位置とのずれ量を算出してハンド11の位置を補正しながら、最終的に、ウエハ処理装置5やFOUP6の中の正規の位置にウエハ2が載置される位置までハンド11を移動させる。
【0033】
また、教示ステップでは、たとえば、ウエハ2を搭載していない状態のハンド11を、ウエハ処理装置5の中の正規の位置に配置されるウエハ2が2個の位置決め部材25に接触する位置まで移動させて、ウエハ処理装置5におけるハンド11の位置を教示する。また、教示ステップでは、たとえば、ウエハ2を搭載していない状態のハンド11を、FOUP6の中の正規の収容位置に配置されるウエハ2が2個の位置決め部材25に接触する位置まで移動させて、FOUP6におけるハンド11の位置を教示する。
【0034】
このときには、たとえば、ウエハ2を搭載していない状態のハンド11をウエハ処理装置5やFOUP6まで移動させて、ウエハ処理装置5やFOUP6の中の正規の位置に配置されるウエハ2をハンド11に搭載した後、搭載されたウエハ2の端面と2個の位置決め部材25とのずれ量を算出してハンド11の位置を補正しながら、最終的に、ウエハ処理装置5やFOUP6の中の正規の位置に配置されるウエハ2が2個の位置決め部材25に接触する位置まで、ウエハ2を搭載していない状態のハンド11を移動させる。
【0035】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、教示ステップの前の位置決め部材取付けステップにおいて、ハンド11に位置決め部材25を取り付けている。また、本形態では、ウエハ2の端面が位置決め部材25に接触した状態でハンド11にウエハ2が搭載されると、ハンド11上でウエハ2が正規の搭載位置に配置される。そのため、本形態では、エッジグリップ型の保持部をハンド11が備えていなくても、ウエハ2の端面が位置決め部材25に接触するようにウエハ2をハンド11に搭載することで、ロボット1の教示を行うときに、ハンド11上の正規の搭載位置にウエハ2が配置されるように短時間でハンド11にウエハ2を搭載することが可能になる。
【0036】
本形態では、位置決め部材25は、位置決め部材25の内周側を突起21に嵌め込むことで、突起21に取り付けられる。すなわち、本形態では、ロボット1の実使用時にウエハ2の位置を補正する突起21を用いてハンド11の上面側に位置決め部材25が取り付けられている。そのため、本形態では、位置決め部材25を取り付けるための部材をハンド11に別途設ける必要がなくなる。したがって、本形態では、ハンド11の構成を簡素化してハンド11のコストを低減することが可能になる。
【0037】
また、本形態では、位置決め部材25の内周側を突起21に嵌め込めば、位置決め部材25をハンド11の上面側に取り付けることができるため、位置決め部材25をハンド11に短時間でかつ容易に着脱することが可能になる。また、本形態では、突起21が円柱状に形成されているため、突起21を容易に製造することが可能になるとともに、位置決め部材25を容易に製造することが可能になる。
【0038】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0039】
上述した形態において、突起21は、四角柱状等の多角柱に形成されていても良い。この場合には、位置決め部材25の内周面は、突起21の形状に応じた多角柱面状に形成されている。また、上述した形態において、位置決め部材25は、突起21以外の部材に取り付けられていても良い。すなわち、ハンド11は、突起21に加えて、位置決め部材25を取り付けるための部材を備えていても良い。この場合には、位置決め部材25は、環状に形成されていなくても良い。
【0040】
上述した形態において、ハンド11に搭載されるウエハ2の水平方向の位置を決めることができるのであれば、ハンド11の上面側に取り付けられる位置決め部材の数は1個であっても良い。この場合には、ウエハ2に2方向から接触する接触部が位置決め部材に形成されている。また、上述した形態において、ハンド11に搭載されるウエハ2の水平方向の位置を決めることができるのであれば、ハンド11の上面側に取り付けられる位置決め部材の数は3個以上であっても良い。
【0041】
上述した形態において、ハンド11は、ウエハ搭載部20に搭載されたウエハ2を保持するための保持部を備えていなくても良い。この場合には、たとえば、ウエハ2を下側から支持する支持部材がハンド11の上面側に取り付けられている。支持部材は、たとえば、ゴムで形成されている。このハンド11では、支持部材の上にウエハ2が単に載置されており、ハンド11に搭載されるウエハ2は、ハンド11に保持されていない。また、このハンド11では、ハンド11に搭載されるウエハ2は水平方向において位置決めされていない。
【0042】
上述した形態において、ロボット1は、アーム12の先端側に回動可能に連結される2個のハンド11を備えていても良い。また、上述した形態において、アーム12は、2個のアーム部によって構成されていても良いし、4個以上のアーム部によって構成されていても良い。また、上述した形態において、ロボット1によって搬送される搬送対象物は、ウエハ2以外のものであっても良い。この場合には、たとえば、搬送対象物は、正方形または長方形の平板状に形成されていても良い。さらに、本発明が適用される産業用ロボットは、水平多関節型の産業用ロボット以外のロボットであっても良い。たとえば、本発明が適用される産業用ロボットは、ハンド11を直線的に往復移動させるリニア駆動部を備える産業用ロボットであっても良い。
【符号の説明】
【0043】
1 ロボット(産業用ロボット)
2 ウエハ(半導体ウエハ、搬送対象物)
6 FOUP(収容部)
11 ハンド
21 突起
25 位置決め部材
図1
図2
図3
図4