(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
G03G 21/18 20060101AFI20240930BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240930BHJP
G03G 15/08 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
G03G21/18 185
G03G21/16 152
G03G21/16 176
G03G15/08 341
(21)【出願番号】P 2020187415
(22)【出願日】2020-11-10
【審査請求日】2023-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】三又 昭範
(72)【発明者】
【氏名】河波 健男
(72)【発明者】
【氏名】日浅 崇馬
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/046338(WO,A1)
【文献】特開2012-014097(JP,A)
【文献】実開昭63-101953(JP,U)
【文献】特開2020-086450(JP,A)
【文献】特開2000-284581(JP,A)
【文献】米国特許第06212338(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/18
G03G 21/16
G03G 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを収容する収容部と、情報を記憶するメモリ手段を備える補給カートリッジが装着可能な画像形成装置において、
前記補給カートリッジが装着される装着部と、
前記装着部の内側に設けられる第1の電気接点部であって、前記補給カートリッジが前記装着部に装着された状態において、前記補給カートリッジが備えるメモリ手段の第2の電気接点部と接触する第1の電気接点部と、
第1の位置と、前記第1の位置から離れた第2の位置に移動可能な移動部材を備え、第2の電気接点部と第1の電気接点部が接触した状態で前記移動部材が前記第1の位置から前記第2の位置へ移動することで、前記補給カートリッジを前記装着部から抜けないように規制する規制手段と、
制御部と、
を備え、
前記移動部材は前記第1の電気接点部と前記第2の電気接点部が接触した後に前記第1の位置から前記第2の位置へ移動可能であり、前記規制手段は、前記移動部材の前記第1の位置から前記第2の位置への移動によって、前記補給カートリッジの前記収容部が前記画像形成装置の内部に収容されず外部に露出した状態で、前記補給カートリッジを前記装着部から抜けないように規制し、
前記制御部は、前記規制手段によって前記補給カートリッジが前記装着部に規制された後に、前記第1の電気接点部と前記第2の電気接点部を介して前記メモリ手段と通信
を開始し、前記装着部は、回転可能であってユーザが把持するための把持部材を備える操作部を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記操作部を回転させることで、前記移動部材が前記第1の位置から前記第2の位置へ回転することを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
トナーを収容する収容部と、情報を記憶するメモリ手段を備える補給カートリッジが装着可能な画像形成装置において、
駆動源と、
前記補給カートリッジが装着される装着部と、
前記装着部の内側に設けられる第1の電気接点部であって、前記補給カートリッジが前記装着部に装着された状態において、前記補給カートリッジが備えるメモリ手段の第2の電気接点部と接触する第1の電気接点部と、
第1の位置と、前記第1の位置から離れた第2の位置に移動可能な移動部材を備え、第2の電気接点部と第1の電気接点部が接触した状態で前記移動部材が前記第1の位置から前記第2の位置へ移動することで、前記補給カートリッジを前記装着部から抜けないように規制する規制手段と、
制御部と、
を備え、
前記移動部材は前記第1の電気接点部と前記第2の電気接点部が接触した後に前記第1の位置から前記第2の位置へ移動可能であり、前記規制手段は、前記移動部材の前記第1の位置から前記第2の位置への移動によって、前記補給カートリッジの前記収容部が前記画像形成装置の内部に収容されず外部に露出した状態で、前記補給カートリッジを前記装着部から抜けないように規制し、
前記制御部は、前記規制手段によって前記補給カートリッジが前記装着部に規制された後に、前記第1の電気接点部と前記第2の電気接点部を介して前記メモリ手段と通信を開始し、
前記駆動源によって前記移動部材が前記第1の位置から前記第2の位置へ回転することを特徴とす
る画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の電気接点部は、上方に向いていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の電気接点部を前記上方に付勢する付勢部材を備える請求項
4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
トナーを収容する収容部と、情報を記憶するメモリ手段を備える補給カートリッジが装着可能な画像形成装置において、
前記補給カートリッジが装着される装着部と、
前記装着部の内側に設けられ、上方に向いている第1の電気接点部であって、前記補給カートリッジが前記装着部に装着された状態において、前記補給カートリッジが備えるメモリ手段の第2の電気接点部と接触する第1の電気接点部と、
第1の位置と、前記第1の位置から離れた第2の位置に移動可能な移動部材を備え、第2の電気接点部と第1の電気接点部が接触した状態で前記移動部材が前記第1の位置から前記第2の位置へ移動することで、前記補給カートリッジを前記装着部から抜けないように規制する規制手段と、
制御部と、
前記第1の電気接点部を前記上方に付勢する付勢部材と、
を備え、
前記移動部材は前記第1の電気接点部と前記第2の電気接点部が接触した後に前記第1の位置から前記第2の位置へ移動可能であり、前記規制手段は、前記移動部材の前記第1の位置から前記第2の位置への移動によって、前記補給カートリッジの前記収容部が前記画像形成装置の内部に収容されず外部に露出した状態で、前記補給カートリッジを前記装着部から抜けないように規制し、
前記制御部は、前記規制手段によって前記補給カートリッジが前記装着部に規制された後に、前記第1の電気接点部と前記第2の電気接点部を介して前記メモリ手段と通信を開始することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
前記規制手段は、前記移動部材が前記第1の位置から前記第2の位置に移動した状態において、前記補給カートリッジと接触することで前記補給カートリッジが前記装着部から抜けないように規制する規制リブを有することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
トナーで画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置にトナーを補給するための補給カートリッジを備える画像形成システムであって、
前記補給カートリッジは、
トナーを収容する収容部と、情報を記憶する記憶素子を備えるメモリ手段と、前記収容部からトナーを排出するための排出開口を備える挿入部と、前記排出開口を開閉するために回転可能な第1の回転部材と、を備え、
前記画像形成装置は、
前記挿入部を先端側として前記補給カートリッジが装着される装着部と、
前記装着部の内側に設けられる第1の電気接点部であって、前記補給カートリッジが前記装着部に装着された状態において、前記補給カートリッジが備えるメモリ手段の第2の電気接点部と接触する第1の電気接点部と、
第1の位置と、前記第1の位置から離れた第2の位置に回転可能な移動部材を備え、前記移動部材が前記第1の位置から前記第2の位置へ移動することで、前記補給カートリッジを前記装着部から抜けないように規制する規制手段と、
制御部と、を備え、
前記移動部材は前記第1の電気接点部と前記第2の電気接点部が接触した後に前記第1の位置から前記第2の位置へ移動可能であり、前記規制手段は、前記移動部材の前記第1の位置から前記第2の位置への回転によって前記補給カートリッジを前記装着部から抜けないように規制し、
前記制御部は、前記規制手段によって前記補給カートリッジが前記装着部に規制された後に、前記第1の電気接点部と前記第2の電気接点部を介して前記メモリ手段と通信を開始することを特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
前記補給カートリッジは、前記第1の回転部材に被係合部を備え、
前記画像形成装置の前記移動部材は、前記被係合部に係合可能な第1の係合部を備えることを特徴とする請求項8に記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記画像形成装置は、前記補給カートリッジから排出されたトナーを受け取れる受け入れ開口を備えるトナー受け部を備え、
前記移動部材は、前記補給カートリッジの前記排出開口と前記受け入れ開口を連結する連結開口を備えることを特徴とする請求項9に記載の画像形成システム。
【請求項11】
前記装着部は、回転可能であってユーザが把持するためのレバーと、前記レバーと共に回転し前記被係合部に係合可能な第2の係合部を備える操作部を備えることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の画像形成システム。
【請求項12】
前記移動部材が前記第1の位置に位置する状態において、前記第2の係合部と前記被係合部が係合し、且つ、前記第1の係合部と前記被係合部が係合し、
前記レバーを移動させると、前記移動部材が回転すると共に前記第1の回転部材も回転し、
前記移動部材が前記第2の位置に到達した状態において、前記第1の回転部材は前記排出開口を開くことを特徴とする請求項11に記載の画像形成システム。
【請求項13】
前記画像形成装置は、前記操作部が備える被検知部を検知するための第1の検知手段であって前記移動部材の前記第1の位置から前記第2の位置への回転によって検知信号が変化する第1の検知手段を備え、
前記制御部は、前記第1の検知手段からの前記検知信号に基づいて、前記メモリ手段と通信を開始することを特徴とする請求項11又は請求項12に記載の画像形成システム。
【請求項14】
前記補給カートリッジの前記第1の回転部材は、前記第1の回転部材の回転方向に開口するスリット部を備え、
前記規制手段は、前記スリット部と接触可能な規制リブを備え、
前記移動部材が前記第2の位置に到達した状態において、前記回転方向に関して前記第1の回転部材のスリット部と前記規制リブが重なることを特徴とする請求項11から請求項13のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項15】
前記画像形成装置は、前記移動部材を前記第1の位置から前記第2の位置へ回転させるための駆動源を備えることを特徴とする請求項10に記載の画像形成システム。
【請求項16】
前記移動部材が前記第1の位置に位置する状態において、前記第1の係合部と前記被係合部が係合し、
前記駆動源が前記移動部材を回転させると、前記移動部材が回転すると共に前記第1の回転部材も回転することを特徴とする請求項15に記載の画像形成システム。
【請求項17】
前記移動部材が、前記駆動源によって、前記第2の位置からさらに前記第1の位置から離れた第3の位置に到達した状態において、前記第1の回転部材の前記排出開口は、前記移動部材の前記連結開口を介して、前記受け入れ開口と連結することを特徴とする請求項16に記載の画像形成システム。
【請求項18】
前記画像形成装置は、前記移動部材が備える被検知部を検知するための第1の検知手段と、前記駆動源の回転数を検知する第2の検知手段と、を備え、
前記制御部は、前記第1の検知手段と前記第2の検知手段に基づいて前記メモリ手段と通信を開始することを特徴とする請求項17に記載の画像形成システム。
【請求項19】
前記補給カートリッジの前記第1の回転部材は、前記第1の回転部材の回転方向に開口するスリット部を備え、
前記規制手段は、前記スリット部と接触可能な規制リブを備え、
前記移動部材が前記第2の位置に到達した状態において、前記回転方向に関して前記第1の回転部材のスリット部と前記規制リブが重なることを特徴とする請求項15から請求項18のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材に画像を形成する画像形成装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、スキャナユニットによって感光ドラムの表面に静電潜像を形成し、この静電潜像を現像剤であるトナーによって現像している。特許文献1には、補給カートリッジを画像形成装置に取り付けることによって、装置本体の外部から現像容器に現像剤を補給できる構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の画像形成装置では、装着された補給カートリッジに設けられたメモリ手段と通信中に補給カートリッジが画像形成装置から取り外されてしまう場合がある。
【0005】
そこで本発明は、画像形成装置及び画像形成システムの一形態を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための本発明の画像形成装置は、トナーを収容する収容部と、情報を記憶するメモリ手段を備える補給カートリッジが装着可能な画像形成装置において、前記補給カートリッジが装着される装着部と、前記装着部の内側に設けられる第1の電気接点部であって、前記補給カートリッジが前記装着部に装着された状態において、前記補給カートリッジが備えるメモリ手段の第2の電気接点部と接触する第1の電気接点部と、第1の位置と、前記第1の位置から離れた第2の位置に移動可能な移動部材を備え、第2の電気接点部と第1の電気接点部が接触した状態で前記移動部材が前記第1の位置から前記第2の位置へ移動することで、前記補給カートリッジを前記装着部から抜けないように規制する規制手段と、制御部と、を備え、前記移動部材は前記第1の電気接点部と前記第2の電気接点部が接触した後に前記第1の位置から前記第2の位置へ移動可能であり、前記規制手段は、前記移動部材の前記第1の位置から前記第2の位置への移動によって、前記補給カートリッジの前記収容部が前記画像形成装置の内部に収容されず外部に露出した状態で、前記補給カートリッジを前記装着部から抜けないように規制し、前記制御部は、前記規制手段によって前記補給カートリッジが前記装着部に規制された後に、前記第1の電気接点部と前記第2の電気接点部を介して前記メモリ手段と通信を開始し、前記装着部は、回転可能であってユーザが把持するための把持部材を備える操作部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、画像形成装置の一態様を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図8】スキャナユニットと駆動モータの保持構成を説明するための斜視図
【
図9】基板面に対して垂直な方向から回路基板の背面図
【
図11】回路基板の機能を説明するためのブロック図
【
図12】補給部とスキャナユニットの位置を説明するための側面図
【
図13】補給部とスキャナユニットの位置を説明するための上面図
【
図15】(a)移動部材が第1の位置に位置する場合の装着部の拡大斜視図、(b)移動部材が第2の位置に位置する場合の装着部の拡大斜視図
【
図17】(a)補給パックの構成を説明するための図、(b)補給パックの構成を説明するための図
【
図18】(a)補給カートリッジの底面に配置されたメモリ手段の拡大斜視図、(b)メモリ手段単体の拡大図
【
図19】(a)排出トレイを閉じた状態を示す斜視図、(b)排出トレイを開いた状態を示す斜視図
【
図20】(a)装着部に補給カートリッジを挿入した状態を示す斜視図、(b)装着部に補給カートリッジを挿入した状態で、操作部を回転させた状態を示す斜視図
【
図21】補給カートリッジを装着した状態を説明する断面拡大図
【
図22】(a)規制手段を説明するための斜視図、(b)規制手段によって補給カートリッジが装着部から抜けないように規制された状態を説明する斜視図
【
図28】実施例2における排出トレイを開いた状態を示す斜視図
【
図29】補給カートリッジを装着した状態を説明する断面拡大図
【
図30】(a)規制手段を説明するための斜視図、(b)規制手段を説明するための斜視図、(c)規制手段によって補給カートリッジが装着部から抜けないように規制された状態を説明する斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置などは、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0010】
(実施例1)
[画像形成装置の全体構成]
本実施例における画像形成装置1と補給パック310を備える画像形成システムの全体構成について説明する。本実施例の画像形成装置1は、電子写真プロセスを用いたモノクロレーザビームプリンタであり、パーソナルコンピュータなどの外部機器から送信された画像情報に応じて、記録材Pに現像剤(トナー)による画像を形成するものである。記録材Pの一例としては、記録紙、ラベル紙、OHPシート、布等が挙げられる。
【0011】
また、以下の説明において、画像形成装置1が水平な面に設置された場合における画像形成装置1の高さ方向(鉛直方向とは反対の方向)をZ方向とする。Z方向と交差し、後述する感光ドラム11の回転軸線方向(主走査方向)と平行な方向をX方向とする。X方向及びZ方向と交差する方向をY方向とする。X方向、Y方向、Z方向は、好ましくは互いに垂直に交差する。また便宜上、X方向においてプラス側を右側、マイナス側を左側と呼び、Y方向においてプラス側を前側または正面側、マイナス側を後側または背面側と呼び、Z方向においてプラス側を上側、マイナス側を下側と呼ぶ。
【0012】
図1は画像形成装置1の斜視図を示しており、
図2はX方向(感光ドラム11の回転軸線方向)から見た画像形成装置1の内部構成を説明する図である。
図2は画像形成プロセスに関係のある部材だけを抜き出して図示している。
図1において画像形成装置1は、記録材Pが収容される給送トレイ4、排出された記録材Pが積載される排出トレイ14を有している。給送トレイ4はY方向に引き出せるようになっており、ユーザが記録材Pを補充することができる。給送トレイ4から給送され、画像が形成された記録材Pは排出口15から
図1に記載された排出方向(Y方向)に向かって排出され、排出トレイ14に積載される。
【0013】
排出方向の下流側における画像形成装置1の端面の一部(正面の一部)には前カバー70が設けられ、後述する回路基板100を覆っている。前カバー70が設けられている箇所以外の正面の一部、画像形成装置1の側面や天面には外装カバー71が設けられている。前カバー70と外装カバー71、そして上述した排出トレイ14はともに画像形成装置1の筐体72を形成している。ここで、筐体72とは画像形成装置1の全体を覆う部材であり、後述するスキャナユニット50などのプロセス部材を内部に備えている。上述した排出口15は筐体72の一部に形成された開口であり、記録材Pはこの開口を通って画像形成装置1の外部へと排出される。
【0014】
図2を用いて、記録材Pに対する画像形成動作の流れについて説明する。画像形成装置1に対して画像情報が送信されると、プリントスタート信号に基づいて、回転体である感光ドラム11は矢印R方向に所定の周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。スキャナユニット50は、入力された画像情報に基づいて、感光ドラム11に向けてレーザ光を照射する。スキャナユニット50は、レーザ光を出力するレーザ発振器、レーザ光を感光ドラム11に照射するためのポリゴンミラーやレンズ、ポリゴンミラーを回転させるためのスキャナモータ、そしてこれらの部材を一体的に支持するフレームを備えたユニットである。感光ドラム11は、帯電ローラ17により予め帯電されており、レーザ光が照射されることで感光ドラム11上には静電潜像が形成される。その後、収容器18に収容されているトナーが現像ローラ12(現像剤担持体)により感光ドラム11(感光体)へ運ばれることにより、この静電潜像が現像され、感光ドラム11上にトナー像が形成される。
【0015】
上述の画像形成プロセスと並行して、給送トレイ4からは記録材Pが給送される。画像形成装置1の搬送路上には、ピックアップローラ3、給送ローラ5a、搬送ローラ対5cが設けられている。ピックアップローラ3は給送トレイ4に収容されている記録材Pの内、最上位に位置するものと接触し、ローラ自身が回転することで記録材Pを給送する。給送ローラ5aとこれに圧接する分離ローラ5bは分離ニップを形成している。記録材P同士の摩擦力の影響によって複数枚の記録材Pが分離ニップに給送されてしまった場合、給送ローラ5aと分離ローラ5bは複数枚の記録材Pを分離し、最上位に位置するもののみを下流側に給送する。
【0016】
給送トレイ4から給送された記録材Pは、搬送ローラ対5cによって転写ローラ7に向けて搬送される。転写ローラ7に転写バイアスが印加されることで、感光ドラム11上に形成されたトナー像が記録材Pに転写される。転写ローラ7によってトナー像が転写された記録材Pは定着装置9によって加熱・加圧処理され、記録材Pにトナー像が定着される。定着装置9は、定着ヒータ9cを内蔵する加熱ローラ9aと、加熱ローラ9aに向けて付勢される加圧ローラ9bによって構成される。そして、トナー像が定着された記録材Pは、排出ローラ対10によって排出トレイ14に排出される。
【0017】
記録材Pの両面に画像を形成する場合には、排出ローラ対10は、第1面に画像が形成された記録材Pをスイッチバックさせることで、記録材Pを両面搬送路16に案内する。両面搬送路16に案内された記録材Pは両面搬送ローラ対5dによって再び転写ローラ7に向けて搬送される。記録材Pは転写ローラ7によって第2面に画像が形成された後、排出ローラ対10によって機外に排出される。また、記録材Pにトナー像が転写された後、感光ドラム11上に残存したトナーはクリーニングユニット13によってクリーニングされる。
【0018】
図2に示すように、画像形成装置1は回路基板100を有している。回路基板100は、絶縁体でできた配線板101と、配線板101にはんだ付けされた電子部品111、121によって構成されている。配線板101の板の上や内部には導体の配線が施されているため、電子部品111、121は電気的に接続されている。回路基板100は、画像形成装置1の外部から供給された交流電流を直流に変換したり、画像形成プロセスに必要な所定の電圧値を得るために入力電圧を変換する機能をもつ。
【0019】
図2に示すように、電子部品111、121が搭載された配線板101の面が排出方向と交差するような向きに回路基板100は配置されている。さらに、配線板101は排出方向において前カバー70とスキャナユニット50の間に設けられている。電子部品111、121は配線板101上においてスキャナユニット50と対向する側の面に設けられている。
【0020】
[回路基板の配置]
図3乃至
図8を用いて、本実施例における回路基板100の配置について詳しく説明する。
図3は回路基板100の配置を説明するための画像形成装置1の斜視図であり、
図1とは異なり前カバー70や外装部材71は省略されている。なお、
図3ではトナーを補給するための装着部200が新たに記載されている。本実施例の画像形成装置1ではユーザやサービスマンが装着部200から現像剤を補給することができ、装着部200は装置内部で収容器18と接続されている。装着部200について詳細は後述する。
【0021】
図3に示すように、回路基板100は正面側に設置されており、回路基板100のさらに奥側(Y方向におけるマイナス側)にはスキャナユニット50や駆動モータ60(駆動源)が設けられている。なお、
図3においてスキャナユニット50や駆動モータ60は実際には見えない位置にあるため、これらは点線で図示されている。
【0022】
図3に示すように、画像形成装置1は右側板フレーム72、左側板フレーム73、土台フレーム74を有している。回路基板100はこれらのフレーム部材によって支持され、その板面がXZ面と略平行となるような形で画像形成装置1に搭載されている。右側板フレーム72、左側板フレーム73それぞれのY方向における端部には、補強のために設けられた折り曲げ部72a、73aが形成されている。折り曲げ部72aはXZ面と略平行となるように、X方向プラス側に向けて折り曲げられており、折り曲げ部73aはXZ面と略平行となるように、X方向マイナス側に向けて折り曲げられている。このように、両側板フレームを画像形成装置1の外側に向けて折り曲げることで、配線板101のより多くの領域に電子部品を搭載することができるようになっている。
【0023】
図4は回路基板100の配置を説明するための画像形成装置1の正面斜視図である。
図4に示すように、X方向における右側板フレーム72と左側板フレーム73の内面間の距離L1は、X方向における回路基板100の長さL2よりも短い。配線板101は折り曲げ部72a、73aよりもY方向においてプラス側(正面側)に配置されている。正面側から見たときに、回路基板100と折り曲げ部72a、73aは重なっている。
図4において折り曲げ部72a、73aやスキャナユニット50、駆動モータ60の一部は実際には見えない位置にあるため、これらは点線で図示されている。
【0024】
このように回路基板100を正面側に設け、右側板フレーム72と左側板フレーム73の間にわたって形成することで、画像形成装置1ではY方向において右側板フレーム72と左側板フレーム73の間を横断する束線等を設ける必要がない。これにより、束線長を従来よりも短くできるため、その分コストを削減することができる。さらに束線が這いまわされる領域も従来に比べて少なくなるため、電気的なノイズも低減することができる。
【0025】
<電子部品とスキャナユニットの位置関係>
次に、
図5乃至
図7を用いて、電子部品111とスキャナユニット50の位置関係について詳細に説明する。
【0026】
図5は本体後方から回路基板100を見たときの斜視図である。Y方向におけるサイズが他の部材と比べて大きい電子部品111は、スペースを有効に活用するために、配線板101の下方に集約されていて、スキャナユニット50の下部に収まるように実装されている。なお、配線板101の端部には電源入力部115が設けられている。電源入力部115は後述するインレット116と接続されていて、商用電源から電力の供給を受ける。
【0027】
図6は本体左側面から回路基板100を見たときの図である。スキャナユニット50の一部は装着部200と重なって実際には見えない位置にあるため、この領域は一点鎖線で図示されている。スキャナユニット50は、点線で示すレーザ光を感光ドラム11に照射するための最適な位置に配置されている。また、スキャナユニット50と配線板101がY方向において最も近接する箇所には、板面から大きく突出する電子部品111などの部材は配置されていない。つまり、スキャナユニット50と電子部品111は互いに干渉しないように、Z方向においてずらして配置されている。
【0028】
図7は本体上面から回路基板100を見たときの拡大上面図である。この図を見ると、スキャナユニット50と電子部品111は互いに一部重なる位置に配置されている。なお、上述した通り、スキャナユニット50は電子部品111よりも上側にあるため、本来この方向から電子部品111を視認することはできない。
図7では2つの部材の位置関係をわかりやすく示すため、スキャナユニット50を点線で示し、電子部品111を透視する形で図示している。
【0029】
このように、電子部品111を上述の位置に配置することで、回路基板100とスキャナユニット50のY方向(前後方向)における距離を短くすることができ、画像形成装置1を小型化することができる。
【0030】
<電子部品と駆動モータとの位置関係>
次に、
図5乃至
図7を用いて、電子部品111と駆動モータ60の位置関係について詳細に説明する。なお、駆動モータ60は、記録材Pを給送・搬送するための搬送部材(ピックアップローラ3、給送ローラ5a、搬送ローラ対5cなど)や感光ドラム11を回転させる役割を担っている。
【0031】
図5に示すように、駆動モータ60はX方向におけるマイナス側に突出していて、配線板101は駆動モータ60に対して本体前側に配置されている。電子部品111は駆動モータ60と干渉しないように、駆動モータ60を避けて実装されていることがわかる。
図6に示すように、本体左側面から見ると、駆動モータ60と電子部品111は互いに一部重なる位置に配置されている。そして、
図7に示すように、本体上面から見ると、駆動モータ60と電子部品111は互いに干渉しないように、X方向においてずらして配置されている。
【0032】
このように、電子部品111を上述の位置に配置することで、回路基板100と駆動モータ60のY方向(前後方向)における距離を短くすることができ、画像形成装置1を小型化することができる。
【0033】
<本体への取り付け構成>
次に、
図8を用いて、スキャナユニット50と駆動モータ60の本体への取り付け構成について詳しく説明する。
図8は、
図5の斜視図に対して右側板フレーム72、スキャナ保持部材40を追加したものである。なお、左側板フレーム73や土台フレーム74は省略している。
【0034】
スキャナユニット50は、スキャナ保持部材40によって保持されている。スキャナ保持部材40は、右側板フレーム72と左側板フレーム73(
図8においては不図示)に対してそれぞれ固定されており、装着部200の下方を通り2つのフレーム間を橋渡しするような構成となっている。一方、駆動モータ60は右側板フレーム72に取り付けられており、駆動モータ60に連結されている歯車は、右側板フレーム72のX方向プラス側(右側)に設けられている。駆動モータ60の駆動力はこの歯車を介して、給送ローラ5aや感光ドラム11に伝達される。
【0035】
[回路基板の構成]
次に、
図9と
図10を用いて回路基板100の構成について説明する。
図9は回路基板100を本体後側から見たときの背面図である。
図9では回路基板100だけでなく、スキャナユニット50、駆動モータ60、装着部200も併せて図示している。
図10では回路基板100のみを図示している。
【0036】
回路基板100は、外部の商用電源から交流電力を取り込み、直流電力に変換する低圧電源部110と、画像形成に必要な高電圧を各プロセス部材に供給するための高圧電源部120によって構成されている。本実施例の回路基板100では、低圧電源部110と高圧電源部120が同一の基板上に実装されている。
【0037】
低圧電源部110は、Y方向におけるサイズが大きい電子部品111として低圧電源トランス112、ヒートシンク113、電解コンデンサ114を備えている。さらに、低圧電源部110は電源入力部115を備えている。高圧電源部120は、Y方向におけるサイズが大きい電子部品121として帯電用トランス122、現像用トランス123、転写用トランス124を備えている。
図9を見ても明らかなように、Y方向におけるサイズが大きい電子部品111、121はいずれもスキャナユニット50、駆動モータ60、装着部200の位置を避けるようにして配置されていることがわかる。
【0038】
図10を用いて回路基板100に設けられたその他の部品について説明する。回路基板100の上下端部には複数のコネクタ220、221、222、223が設けられており、回路基板100は束線によって様々な部材と接続されている。コネクタ220は、駆動モータ60や搬送中の記録材Pを検知するセンサ(不図示)等と接続される。コネクタ221は、スキャナユニット50のレーザ出力部(不図示)やポリゴンミラーを回転させるスキャナモータ(不図示)と接続される。コネクタ222は、ユーザが操作する電源スイッチや実行キーなどを備えたコントロールパネル(不図示)や、ビデオコントローラ140と接続される。コネクタ223は定着ヒータ9cと接続される。駆動モータ60と対向する斜線部224には、高圧電源部120の中でもY方向におけるサイズが小さい電子部品が実装されている。具体的には抵抗やジャンパー線などが設けられている。この位置に設けられた抵抗は、帯電用トランス122、現像用トランス123、転写用トランス124から出力される各種バイアスを調整する役割を担っている。
【0039】
次に、低圧電源部110や高圧電源部120の機能について
図9と
図11を用いて説明する。
図11は電源基板100の機能を説明するためのブロック図である。
【0040】
まず、低圧電源部110は、外部電源から基板端部に実装されている電源入力部115を介して電力を取り込み、電解コンデンサ114を含む整流平滑回路によって、交流電圧を安定した直流電圧に変換する。その後、低圧電源部110はトランジスタなどのスイッチング素子によって直流電圧を高周波の交流電圧に変換した後、低圧電源トランス112に高周波の交流電圧を入力する。低圧電源トランス112は入力電圧である高周波の交流電圧を、所望の電圧値をもつ交流電圧(出力電圧)に変換する。低圧電源部110は、再び交流電圧を直流電圧に変換し、得られた直流電圧を高圧電源部121に出力する。また、低圧電源部110においては、個々の回路部品の損失が熱となってあらわれるため、放熱するためにアルミや鉄で製造されたヒートシンク113が設けられている。
【0041】
高圧電源部120は、低圧電源部110から供給された電圧(例えば24V)を、帯電・現像・転写といった画像形成プロセスに必要な高い電圧に変換する。帯電用トランス122は低圧電源部110から供給された電圧を帯電用の電圧に変換し、変換された電圧はその後帯電ローラ17に供給される。現像用トランス123は低圧電源部110から供給された電圧を現像用の電圧に変換し、変換された電圧はその後現像ローラ12に供給される。転写用トランス124は低圧電源部110から供給された電圧を転写用の電圧に変換し、変換された電圧はその後転写ローラ7に供給される。
【0042】
低圧電源部110は高圧電源部120だけではなく、スキャナユニット50、駆動モータ60、エンジンコントローラ130、ビデオコントローラ140にも電圧(例えば3.3Vまたは5V)を供給している。ここで、エンジンコントローラ130は各種プロセス部材を統括して制御する制御部を担っている。エンジンコントローラ130は、CPU(不図示)、画像形成装置1を制御するために必要なデータの演算や一時的な記憶等に使われるRAM(不図示)、画像形成装置1を制御するプログラムや各種データを格納するROM(不図示)等を有している。ビデオコントローラ140はパーソナルコンピュータ等の外部機器と通信を行って印刷データを受信し、印刷データを解析した結果をエンジンコントローラ130に通知する役割を担っている。なお、エンジンコントローラ130とビデオコントローラ140は回路基板100とは別の基板上に設けられていてもよいし、同一基板上に設けられていてもよい。本実施例では、
図9、10に示すように、エンジンコントローラ130を回路基板100上に設けている。
【0043】
また、電源入力部115が受けた商用電源からの交流電力は、低圧電源部110だけでなく定着ヒータ9cにも供給される。
図10に示す回路基板100において、電源入力部115とコネクタ223の間にはトライアック(不図示)が設けられ、トライアックのオン/オフを切り替え、正弦波形を変化させることによって定着ヒータ9cの温度を調整することができる。なお、定着装置9におけるローラなどの駆動は駆動モータ60によって行われる。
【0044】
[補給部の配置と構成]
次に、
図12乃至
図16を用いて、装着部200について説明する。前述した通り、画像形成装置1には収容器18内のトナー残量が少なくなった場合に、収容器18を筐体72から外すことなく、外部からトナーを補給するための装着部200が設けられている。装着部200には後述する補給カートリッジである補給パック310が装着可能な構成となっている。
【0045】
図12は感光ドラム11の回転軸線方向からみたときの画像形成装置1の左側面図である。
図12において外装カバー71、左側板フレーム73は外されている。装着部200は補給パック310(
図12では不図示)が取り付けられる操作部201、円筒形状のトナー受け部202、収容器18とトナー受け部202をつなぐ補給経路部203によって構成されている。操作部201は補給パック301を挿入するための空間である補給口204を形成しており、補給口204を通過してトナー受け部202、補給経路部203の順にトナーが移動し、最終的に収容器18へトナーが供給される。操作部201には、操作部201を回転させるためにユーザが把持するための把持部材である回転レバー201bを備えている。
【0046】
スキャナユニット50の一部は装着部200と重なって実際には見えない位置にあるため、
図13においてこの領域は点線で示されている。装着部200の中でも具体的には、トナー受け部202と補給経路部203がスキャナユニット50と重なっている。つまり、トナー受け部202と補給経路部203はZ方向においてスキャナユニット50と重なった位置にある。ここで、Y方向(水平方向)において補給口204が設けられた領域をR1とし、Y方向においてスキャナユニット50が設けられた領域をR2とすると、R1とR2は重なっている。
【0047】
また、収容器18の枠体18aの中で最も上側に位置する上端部18bを通り、水平面と平行な仮想面をSとする。仮想面Sは
図13において一点鎖線で示されている。仮想面Sを基準とすると、装着部200の一部はZ方向においてプラス側(上側)に位置していることがわかる。つまり、装着部200の一部は収容器18の上端部18bに対し、上側に突出している。装着部200の一部とは具体的には、操作部201の全体、トナー受け部202の一部、補給経路部203の一部である。また、仮想面Sよりも上側に突出しているトナー受け部202と補給経路部203の一部はスキャナユニット50と重なっている。
【0048】
図12に記載されている通り、収容器18の一部は感光ドラム11を支持するドラム枠体11aと重なって実際には見えない位置にあるため、この領域は点線で示されている。収容器18は現像剤を担持する現像ローラ12を支持しており、この現像ローラ12も実際には見えない位置にあるため、
図12では点線で示されている。
【0049】
また、装着部200の底部には、補給容器の挿入方向に対向する箇所に通信ユニット209が設けられている。この役割について、詳細は後述する。
図13は外装カバー71を外した画像形成装置1の上面図である。前述した通り、操作部201は挿入部312が通過する補給口204を形成している。さらに、操作部201は、補給口204を囲むように配置されたリング部201aと、リング部201aに接続された回転レバー201bを備えている。
図14に記載されている通り、X方向における装着部200の幅はX方向における収容器18の幅よりも短い。
【0050】
ここで、スキャナユニット50から感光ドラム11へ照射されるレーザ光はポリゴンミラーとレンズ(いずれも不図示)の作用により、
図13のように台形状に広がる。このため、X方向においてスキャナユニット50の幅は感光ドラム11の幅よりも短い。その結果、スキャナユニット50の左端と左側板フレーム73の間には空間がうまれ、本実施例においてはその空間に装着部200を設けている。つまり、
図13に記載されている通り、装着部200はX方向においてスキャナユニット50と左側板フレーム73の間に設けられている。さらに、X方向において収容器18が設けられた領域内に補給口204とスキャナユニット50が並んで設けられている。このような位置に装着部200を設けることにより、画像形成装置1のサイズに与える影響を小さくすることが可能となる。
【0051】
また、装着部200はスキャナユニット50を介して駆動モータ60とは反対側に設けられている。本実施例で採用した駆動モータ60は比較的小型のため、
図13に示すように装着部200と駆動モータ60はZ方向において重なっていない。ゆえに、スキャナユニット50を介して装着部200と駆動モータ60を同じ側に設けることも可能ではあるが、より大型な駆動モータ60を採用した場合には装着部200を上側にシフトさせた位置に設けなければならない。その結果、画像形成装置1のサイズが大型化してしまう。
【0052】
本実施例に記載した反対側に設ける構成をとれば、画像形成装置1のサイズが大型化することなく、より大きな駆動モータ60を採用することも可能である。つまり、設計の自由度を確保することができる。
図14は、収容器18と装着部200によって構成される現像容器230の斜視図である。なお、
図14において装着部200の操作部201及びそれに付随する一部の部材は省略している。
図14に記載されている通り、装着部200は、円筒形状のトナー受け部202の内壁に補給経路部203へとつながる受け入れ開口205が形成されている。受け入れ開口205は、トナー受け部202の内壁の側面に設けられた側面開口である。トナーはトナー受け部202からこの受け入れ開口205を通って補給経路部203へと導かれた後、補給経路部203を通って収容器18へと収容される。
【0053】
図15は装着部200の拡大斜視図である。
図15(a)において、トナー受け部202に形成された受け入れ開口205は移動部材である本体シャッタ部206によってふさがれており、実際には見えないため点線で示されている。本体シャッタ部206はトナー受け部202と同心の円筒形状の部材であり、トナー受け部202の内側に設けられている。本体シャッタ部206にもトナーが通過するためのシャッタ開口207が形成されている。シャッタ開口207は、受け入れ開口205と側面開口313(
図17参照)を連結するための連結開口である。
【0054】
図15(a)において受け入れ開口205とシャッタ開口207はずれた位置にあるため、受け入れ開口205は遮断されている。
【0055】
また、詳細は後述するが、操作部201の第1の駆動伝達リブ201dと、本体シャッタ部206の第2の駆動伝達リブ206aは、パックシャッタ部314の被駆動伝達部314bと係合可能である。
【0056】
補給パック310を装着することでパックシャッタ部314の被駆動伝達部314bと係合する。ここで、パックシャッタ部314の被駆動伝達部314bは被係合部であり、本体シャッタ部206の第2の駆動伝達リブ206aは、移動部材(第2の回転部材)が備える第1の係合部である。また、操作部201の第1の駆動伝達リブ201dが第2の係合部である。
【0057】
その状態において、ユーザが回転レバー201bを把持し、
図15(a)の状態から
図15(b)の状態まで回転レバー201bを約90°回転させることが可能である。回転レバー201bの回転に従って、移動部材である本体シャッタ部206をトナー受け部202の中で回転させることができる。本実施例では、本体シャッタ部206は、規制手段が備える移動部材であり、又は、本体シャッタ部206は、第2の回転部材でもある。
図15(b)において受け入れ開口205とシャッタ開口207は重なった位置にあるため、受け入れ開口205は開放され、受け入れ開口205を通してトナーを補給できる状態にある。
【0058】
記録材Pに画像形成を行う際には、不図示の撹拌部材によって収容器18内においてトナーが撹拌され、受け入れ開口205からトナーが漏れ出さないように、受け入れ開口205を遮断する必要がある。従って、画像形成時(トナー補給の終了した後)には
図15(a)に示す第1の位置に回転レバー201bを移動させる。この第1の位置を初期位置と呼ぶ。
【0059】
本実施例においては、本体シャッタ部206と、回転レバー201bは一体的に回転するため、回転レバー201bが初期位置に位置する状態において、本体シャッタ部206も初期位置に位置する。
【0060】
一方、後述する補給パック310から収容器18へトナーを補給する際には、受け入れ開口205を開く必要がある。従って、トナー補給時には
図15(b)に示す第2の位置に回転レバー201bを到達させる。この第2の位置は、本実施例においては補給パック310を抜けないように規制させた規制位置であり、また補給パック310からトナーを補給する補給位置である。第2の位置は、第1の位置から離れた位置である。本実施例においては、本体シャッタ部206と、回転レバー201bは一体的に回転するため、回転レバー201bが規制位置に位置する状態において、本体シャッタ部206も規制位置に位置する。
【0061】
なお、操作部201には被検知部である被検知リブ部201cが設けられており、回転レバー201bを把持して補給位置へ回転させた際にそれを検知するための第1の検知手段であるレバー検知センサ225が備えられている。レバー検知センサ225は、被検知リブ部201cと接触することで、エンジンコントローラ130に検知信号としてオン信号を伝える接触型のセンサである。レバー検知センサ225としては、非接触型のセンサを採用してもよい。
【0062】
図15(b)に示すようにレバー検知センサ225がONを検知すると、トナーを補給できる状態になるため、不図示の攪拌部材によって収容器18内におけるトナーの攪拌が開始される。これにより、受け入れ開口205付近におけるトナーの滞留を抑制し、スムーズなトナー補給動作が可能となる。
【0063】
また、トナー受け部202には、規制リブ202aが備えられている。本実施例では、補給パック310を装着部200からのZ方向に取り外そうとした場合に、取り外しを規制する規制手段を備える。本実施例においては、トナー受け部202の規制リブ202a、パックシャッタ部314を移動させる本体シャッタ部206と、によって規制手段を構成している。
【0064】
図16は通信ユニット209部の拡大斜視図である。通信ユニット209は第1の電気接点部である本体電気接点部209aを備えており、本体電気接点部はZ方向プラス側(上方)を向いている。通信ユニット209はZ方向プラス側に付勢部材219(
図16では不図示)によって加圧されている。
【0065】
補給パック310との係合に関する詳細は後述する。また、本体シャッタ部206には、第2の駆動伝達リブ206aと、補給パック310との芯決めを行うための芯決め用穴206bを備えている。
【0066】
[補給パックの構成]
次に、
図17(a)、(b)を用いて補給パック310の構成について説明する。
図17(b)は
図17(a)とは異なる角度から補給パック310を見たときの図である。補給パック310は、補給するトナーの入ったパウチ部311、補給口204に挿入する円筒形状の挿入部312を備える。パウチ部311は、トナーが収容された収容部である。補給パック310は、挿入部312を先端側として、装着部200に対して装着される。
【0067】
補給パック310は、さらに、トナーを排出するための排出開口であって、挿入部312の側面に形成された側面開口313、側面開口313からトナーが漏れないように蓋をするパックシャッタ部314を備えている。パックシャッタ部314は、側面開口を開閉するために回転可能な第1の回転部材である。パウチ部311は挿入部312とは反対側に向かうにつれて扁平な形状をしており、その端には所定の方向にのびたパウチ端部316が形成されている。また、挿入部312の底面にはメモリ手段であるメモリタグ318が備えられている。なお、この底面とは、補給パック310を補給口204に装着した状態におけるZ方向の底面のことを意味している。
【0068】
パックシャッタ部314は挿入部312と同心の円筒形状の部材であり、挿入部312の外側に設けられている。パックシャッタ部314は挿入部312に対して回転することができるようになっている。パックシャッタ部314が回転してパックシャッタ部314の開口と挿入部312の側面開口313が一致すると、補給パック310からトナーを補給することができる。
【0069】
図17(a)において、挿入部312に形成された側面開口313はパックシャッタ部314によって覆われて実際には見えないため点線で示されている。また、パックシャッタ部314の側面に被駆動伝達部314bを備えており、補給パック310を補給口204に挿入する際に
図15で示した第1の駆動伝達リブ201dおよび第2の駆動伝達リブ206aと係合する。
【0070】
パックシャッタ部314の側面には位置決めスリット部314cが設けられており、パックシャッタ部314が回転することで前述したトナー受け部202に設けられた規制リブ202aが位置決めスリット部314cの中に入りこむ。この状態においては、規制リブ202aは、位置決めスリット部314cと接触可能な状態である。
【0071】
図18(a)は、補給パック310の底面に配置されたメモリタグ318の拡大斜視図である。
図18(b)は、メモリタグ318単体の拡大図である。メモリタグ318は、面積が5.5mm×5mm、厚みが1.4mmの板状の部材である。メモリタグ318は第2の電気接点部である電気接点部318aが底面側に露出した状態で挿入部312に固定されている。メモリタグ318は、電気接点部318aが設けられた表面318bと反対側の裏面318cに記憶素子318dを備える。記憶素子318dには、補給パック310のロット番号や収容しているトナーの量や特性情報、装着する画像形成装置の特性情報等の補給パック310に関する情報が格納されている。画像形成装置1のエンジンコントローラ130は、電気接点部318aを介して電気的に記憶素子318dと通信することで、記憶素子318dの情報を読み出して画像形成装置1の制御に利用している。補給パック310の底面には、補給パック310を装着部200に装着した際に本体シャッタ部206に対し芯決めを行うための芯決め用リブ312aを備える。
【0072】
なお、本実施例では電気接点部318aが実装されたメモリタグ318が挿入部312の底面に配置された構成を説明したが、電気接点部318aが底面に配置されていれば良い。例えば、電気接点部318aと通信する記憶素子318dは、挿入部312の底面以外部分に保持されていて、そこから線バネ等の導通部材で、底面部の電気接点部318aと接続される構成でもよい。
【0073】
次に、
図19乃至21を用いて、補給パック310を用いたトナーの補給手順およびメモリタグ318の通信手順について説明する。
図19は排出トレイ14を開閉した状態の画像形成装置1の斜視図を示している。本実施例において排出トレイ14は、装着部200を覆い、排出口15から排出された記録材Pを積載可能な
図19(a)に示す積載位置と、装着部200を露出させた
図19(b)に示す位置の間で移動可能な退避構成となっている。装着部200は画像形成装置1の本体前面の上部に設けられているため、補給時にもユーザがアクセスしやすい。
【0074】
トナーを補給するときには、排出トレイ14に積載された記録材Pを取り除き、排出トレイ14を開いて
図19(b)に示す位置に移動させる。排出トレイ14を開くと、装着部200と装着部200と隣接して設けられた天面部240が露出する。そして、露出された装着部200に補給パック310を挿入する。この時、前述したように装着部200に設けられた第1の駆動伝達リブ201dおよび第2の駆動伝達リブ206a(
図15)と、補給パック310に設けられた被駆動伝達部314b(
図18)の位置が一致するように補給パック310を挿入する。駆動伝達リブ部208と駆動伝達溝部217の位置が一致しない場合は、補給パック310を挿入することができないようになっている。
【0075】
図20(a)は装着部200に補給パック310を挿入した状態を示している。本実施例においては、
図20(a)に示すようにパウチ端部316がのびた方向DがX方向と平行になるような向きのときに、補給パック310を挿入することができる。
図20(b)は回転レバー201bを初期位置から補給位置へと移動した状態を示している。
図20(a)に示すように、補給パック310を装着部200に装着した状態において、補給パック310のパウチ部311は、その全体が、画像形成装置1の内部に収納されず、画像形成装置1の外側に露出した状態である。挿入部やパウチ部311の形状によっては、挿入部312とパウチ部311の一部が画像形成装置1の内部に収納される構成であってもよい。
【0076】
図21は、補給パック310を装着した状態のメモリタグ318を示す断面拡大図である。挿入する過程で、補給パック310の挿入部312の底面に配置された芯決め用リブ312a(
図18)の側面が本体シャッタ部206の芯決め用穴206bに対して係合し、芯決めを行う。そして補給パック310の芯決め用リブ312aが通信ユニット209と係合し、メモリタグ318の電気接点部318aと通信ユニット209の電気接点部209aが接触し、電気的に通信可能な状態となる。
【0077】
通信ユニット209は付勢部材219によってメモリタグ318の方向に押圧されており、通信ユニット209の突き当て部209bが挿入部312の突き当て部312bに突き当たってZ方向の位置が決まり、電気接触部の接触圧が確保されている。
【0078】
図22(a)、(b)は、補給パック310の装着部200から取り外し方向の抜けを規制するための規制手段を説明するための斜視図である。なお、見やすさのため、操作部201等一部の部品は非表示としている。
【0079】
図22(a)に示すように、初期位置では補給パック310の位置決めスリット部314cとトナー受け部202の規制リブ202aが係合しておらず、補給パック310は装着部200から取り外し自由の状態である。一方、
図22(b)に示すように、補給位置では、トナー受け部202に設けられた規制リブ202aが位置決めスリット部314cの中に入りこんだ状態になる。この状態は、位置決めスリット部314cが規制リブ202aと係合し補給パック310がZ方向に位置決めされた状態、即ち、補給パック310が装着部200から抜くことが出来ない状態となる。
【0080】
仮に、回転レバー201bが初期位置に位置する状態では、エンジンコントローラ130とメモリタグ318の間で通電や通信を行っている最中に補給パック310を装着部200から取り外される虞がある。補給パック310は装着部200に装着された状態において、画像形成装置1の内部に収納されておらず、補給パック310のパウチ部311がユーザに対して視認できる状態にある。よって、エンジンコントローラ130とメモリタグ318の間で通電や通信を行っている最中に、補給パック310を装着部200から取り外す可能性がある。例えば、エンジンコントローラ130とメモリタグ318の通信として、メモリタグ318の認証を行う場合は、補給パック310を装着部200から取り外したことによって認証を失敗する虞がある。また、エンジンコントローラ130とメモリタグ318の間で通信を行っている最中に補給パック310を装着部200から取り外すことで、メモリタグ318が破損する虞がある。
【0081】
本実施例では、規制手段によって、補給パック310が装着部200から抜くことが出来ない状態になった後に、メモリタグ318とエンジンコントローラ130の間での通電を開始することを特徴とする。
【0082】
また前述したとおり、回転レバー201bを補給位置へ移動させると、本体シャッタ部206およびパックシャッタ部314が回転し、トナー受け部202に形成された受け入れ開口205(
図15)が開く。受け入れ開口205が開くとともに、挿入部312に形成された側面開口313(
図17)も開くように構成されている。そして、トナー受け部202に形成された受け入れ開口205と、挿入部312に形成された側面開口313は、補給パック310を装着部200に挿入した時点で互いに向かい合うような位置関係にある。そのため、回転レバー201bを初期位置から補給位置へと動かした時点で、補給パック310と収容器18がつながり、補給パック310からトナーを補給することが可能となる。
【0083】
本実施例では、回転レバー201bを約90°回転させることにより、検知センサ225が回転を検知する。その検知をきっかけとして、エンジンコントローラ130の制御によってメモリタグ318の通信を開始する。前述した規制手段によって、通信中は補給パック310が装着部200に対して動作可能な領域は、付勢部材219によって加圧された通信ユニット209が、メモリタグ318に接触した状態を維持して追従可能な範囲内に収まっている。そのため、メモリタグ318と通信ユニット209との接触状態が保証され安定した通信が可能となる。
【0084】
メモリタグ318と通信ユニット209との通信が行われるとともに、トナー補給可能な状態となる。そしてトナー補給完了後、回転レバー201bを元の初期位置に戻す操作をする。この時、補給位置へのレバー操作と逆に、まず装着部200の本体シャッタ部206と補給パック310のパックシャッタ部314がともに回転し、双方の受け入れ開口205と側面開口313が閉まる。その後、回転レバー201bが初期位置まで戻すことで補給パック310の位置決めスリット部314cとトナー受け部202の決めリブ202aの係合が外れ、補給パック310を装着部200から取り外すことが可能になる。これにより、補給パック310が画像形成装置1の装着部200に挿入されていない場合は本体シャッタ部206およびパックシャッタ部314が閉まっていることになり、トナーの漏れを防ぐことが可能になる。
【0085】
図23に、本実施例におけるエンジンコントローラ130とメモリタグ318の通信タイミングに関するフローチャートを示す。
【0086】
まず、トナーを補給するときには、排出トレイ14を開いて装着部200と装着部200と隣接して設けられた天面部240が露出する。そして、露出された装着部200に補給パック310を装着する(S101)。
【0087】
エンジンコントローラ130は、レバー検知センサ225が操作部201の被回転リブ201cを検知する(S102)と、メモリタグ318に対する通電を開始する(S103)。上述したように、レバー検知センサ225が操作部201の被回転リブ201cを検知した状態では、補給パック310は装着部200から抜けないように規制された状態である。補給パック310は装着部200から抜けないように規制された状態であるため、エンジンコントローラ130からメモリタグ318に対して通電を開始しても通信、認証の失敗や、メモリタグ318の破損を抑制することが可能である。
【0088】
本実施例では、エンジンコントローラ130から、本体電気接点部209aと電気接点部318aを介して、メモリタグ318とエンジンコントローラ130の間で通電と通信を同時に行っている。本実施例では、メモリタグ318とエンジンコントローラ130の間で通信を行うことで、認証シーケンスを実行する。認証シーケンスでは、例えば、補給パック310のロット番号や収容しているトナーの量や特性情報をメモリタグ318から読み出している。
【0089】
回転レバー201bを初期位置から補給位置へと動かした時点で、補給パック310と収容器18がつながり、補給パック310からトナーを補給することが可能となる。本実施例では、認証シーケンスと同時に、ユーザによるトナー補給動作を行うことが可能になる。認証シーケンスの時間は、補給動作に係る時間に対して非常に短いので、補給動作中に認証シーケンスは完了し、エンジンコントローラ130とメモリタグ318の通信は終了する(S104)。
【0090】
ユーザによる補給動作が終了すると、ユーザがレバー検知センサ225を初期位置に移動させ、レバー検知センサ225がオフになる(S105)。その状態では、既に、エンジンコントローラ130からメモリタグ318への通電が終了しており、メモリタグ318に対する破損を抑制しつつ、補給パック310を装着部200から取り外すことが可能である(S106)。
【0091】
本実施例の構成により、規制手段によってメモリタグ318と通信ユニット209との接触状態が保証され、メモリタグ318とエンジンコントローラ130の間で安定した通信が可能となる。
【0092】
なお、本実施例では回転レバー201bを約90°回した位置で、エンジンコントローラ130からメモリタグ318へ通信を開始する構成を記載した。したがって、エンジンコントローラ130からメモリタグ318への通信を開始するタイミングで、補給パック310からトナーの補給が行われる。そこで、レバー検知センサ225に加えて、第2のレバー検知センサ226を追加し、補給パック310からトナーの補給を開始する前にエンジンコントローラ130からメモリタグ318への通信を開始するように構成してもよい。
【0093】
図24は、変形例の斜視図を示す。初期位置からレバー部210bを約10°回転させると検知する位置に第2の検知手段として第2のレバー検知センサ226を配置する。第2のレバー検知センサ226は、レバー検知センサ225と同様の接触式センサである。
【0094】
補給パック310のZ方向の位置決めは、初期位置からレバー部210bを約10°回転させる時点で完了する。そのタイミングで、回転レバー201bの回転をソレノイド等、何らかの機構(不図示)によりロックする。補給パック310の取り外しが規制された状態で、第2のレバー検知センサ226がオンになると、エンジンコントローラ130は、メモリタグ318に通電し、通信を開始する。そして通信完了後に、回転部210の回転方向のロックを解除して90°まで回転させ、そこでレバー検知センサ225により検知し、補給可能状態になる。変形例の構成であれば、通信が完了するまではトナーの補給を行わず、通信完了後にトナーの補給を開始する、ことが可能である。
【0095】
また、本実施例の規制手段は、トナー受け部201の規制リブが、パックシャッタ部314に設けられたスリット部314bと接触する構成を説明したが、トナー受け部201側にスリット部を設ける構成であってもよい。本体シャッタ部206とパックシャッタ部314が一体的に回転し、第2の位置に到達した際に、トナー受け部201が備えるスリット部に、補給パック310が備える規制リブが重なるように構成してもよい。
【0096】
また、本実施例では回転レバー201bと移動部材である本体シャッタ部206を一体的に回転させる動作により補給パック310の装着部200に対するZ方向の規制を行ったが、必ずしも回転動作である必要はない。例えば、移動部材として直動のレバーを採用し、直動のレバーを操作することで、補給パック310の装着部200に対するZ方向の規制を行ってもよい。
【0097】
また、本実施例は、側面開口313を開閉するために使用される本体シャッタ部206とパックシャッタ部314の回転移動に連動して、補給パック310の装着部200に対するZ方向の規制を行ったが、連動させなくてもよい。規制手段による規制が完了した後に、本体シャッタ部206とパックシャッタ部314の回転するような構成であってもよい。
【0098】
(実施例2)
以下、実施例2について説明をする。実施例2において、実施例1のものと同一もしくは相当する機能、構成を有する要素には同一符号を付し、詳しい説明は省略する。
【0099】
実施例1では、操作部201が備える回転レバー201bを回転させることで、補給パック310の抜け止めや、補給パック310のシャッタを開閉する構成を説明した。本実施例では、操作部201を備えない構成において、補給パック310の抜け止めや、補給パック310のシャッタを開閉する構成を説明する。
【0100】
図25乃至29を用いて、本実施例2の構成について説明する。なお、機能部品の見やすさのため保持部品等は一部不図示としている。
図25に示すように、補給部の底面には実施例1と同様に配置された通信ユニット209と並列に、補給パック310の装着を検知するための装着検知手段である装着検知センサ407が配置されている。装着検知センサ407は、接触式センサであるが、非接触式のセンサでもよい。
【0101】
また、
図26に示すように、本体シャッタ部506はウォームホイール部506aを備えており、ブラシモータ401から、複数のギアから構成されるギア列部404と、ウォームギア403を介して駆動伝達可能な構成となっている。本実施例では、本体シャッタ部506は、規制手段が備える移動部材であり、又は、本体シャッタ部506は、第2の回転部材でもある。
【0102】
本実施例においては、トナー受け部202の規制リブ202a、パックシャッタ部314を移動させる本体シャッタ部506と、によって規制手段を構成している。
【0103】
また、ブラシモータ401の回転制御を行うため、駆動列内部に配置されたエンコーダ402及び回転検知センサ408を備えている。エンコーダ402と回転検知センサ408によってブラシモータ401の回転数を検知する第2の検知手段を構成している。さらに本体シャッタ部506の回転位置を検知するための位置検知センサ409(実施例2における第1の検知手段)を備えている。本体シャッタ部506には位置検知用リブ506bを備えている。
【0104】
また、
図27に示すように、排出トレイ14の角度に沿うように天面部241およびウォームギア403等の駆動伝達部品が配置されている。天面部241に沿うようにウォームギア403を斜めに配置することで、装着部200の高さ方向の幅の中で、駆動伝達部品をほぼ収めることが可能になり、画像形成装置の小型化に貢献している。
【0105】
図28の斜視図に示すように、天面部241の装着部200の右側には、ユーザによるトナー補給完了後に、ユーザによって補給パック310を装着部200から取り出すための取り出しボタン242を備える。また、天面部241の装着部200の右側には、およびユーザに補給動作中の状態を通知するためのLEDランプ242、243を備える。取り出しボタン242、LEDランプ242、243は、エンジンコントローラ130に接続されている。
【0106】
図29の断面図および
図30(a)~(c)の斜視図を用いて、本実施例におけるトナーの補給動作および、エンジンコントローラ130とメモリタグ318の間の通電、通信動作について説明する。
【0107】
なお、
図30(a)は補給パック310を装着部200に装着した状態の位置、
図30(b)は補給パック310が装着部200から抜けないように規制された状態の位置である。本実施例において、
図30(b)の状態において、エンジンコントローラ130は、メモリタグ318に対して通電し、メモリタグ318と通信する。
図30(c)は、補給パック310からトナーの補給を行える位置である。
【0108】
補給パック310を挿入する前の状態では、装着検知センサ407はOFF、位置検知センサ409はONとなっている。
【0109】
図29に示すように、補給パック310を補給部300に挿入すると、補給パック底面のメモリタグ318の電気接点部318aと、通信ユニット209の本体電気接点部209aが接触する、補給パック310の挿入部312に設けられた装着検知用リブ312cによって装着検知センサ407がOFF→ONに切り替わる(
図30(a))。
【0110】
すると、ブラシモータ401が正転駆動を開始する。本体シャッタ部506の駆動伝達リブ(第1の係合部)とパックシャッタ部314の被駆動伝達リブ(第2の係合部)は補給パック310装着時に係合しており駆動伝達可能となっている。そのため、パックシャッタ部314と一体となって本体シャッタ部506が回転する。
【0111】
本実施例においては、位置検知センサ409がON状態の時は、本体シャッタ部506は第1の位置(初期位置)に位置する。
【0112】
初期位置から約5°の位置で位置検知センサ409がON→OFFに切り替わると、エンジンコントローラ130は、回転検知センサ408の信号を読み取り、本体シャッタ部506が約10°回転した位置でブラシモータ401を停止させる(
図30(b))。なお、初期位置から約5°回転した位置で、パックシャッタ部314に設けられた位置決めスリット部314の中に、トナー受け部202に設けられたZ方向の規制リブ202aが入りこむ。即ち、補給パック310が規制手段によって装着部200から抜けないように規制された状態である。本実施例では、本体シャッタ部506が約5°回転した位置が規制位置であり、第2の位置になる。
【0113】
エンジンコントーラ130は、この状態においてメモリタグ318に対する通電を開始し、メモリタグ318と通信を行う。通信中、補給パック310が装着部200に対して動作可能な領域は、付勢部材219によって加圧された通信ユニット209が、メモリタグ318に接触した状態を維持して追従可能な範囲内に収まっている。そのため、メモリタグ318と通信ユニット209との接触は保証された状態となり、安定した通信が可能となる。また、この段階ではトナー補給用の側面開口313は開いていないため、トナー補給は行われない。
【0114】
エンジンコントーラ130は、通信が成功した場合は、再度ブラシモータ401を正転駆動させ、本体シャッタ部506を初期位置から約90°回転した補給位置で停止させる(
図30(c))。本実施例では、本体シャッタ部506が約90°回転した位置が補給位置であり、第3の位置になる。
【0115】
第3の位置において、補給パック310と装着部200と収容器18がつながり、トナーを補給することが可能となる。そして、ユーザ自身の補給動作により補給が完了すると、ユーザが取り出しボタン242を操作することによりブラシモータ401を逆回転させ、本体シャッタ部506を初期位置まで回転させる。それにより、ユーザは補給パック310の取り出しが可能となる。以上が本実施例におけるトナーの補給手順およびメモリタグ318の通信手順である。
【0116】
エンジンコントーラ130は、
図30(b)に示す状態において、メモリタグ318に対する通信を行い、通信が失敗した場合は、補給位置(
図30(c))に遷移せず、ブラシモータ301を逆転させ、補給パック310を取り出せる初期位置(
図30(a))に遷移させる。尚、本実施例のエンジンコントーラ130とメモリタグ318の通信の失敗には、メモリタグ318の電気接点部318aと通信ユニット209aの本体電気接点部209aとの接触不良によって通信が成立しなかったことも含む。また、エンジンコントーラ130とメモリタグ318の通信の失敗には、エンジンコントローラ130がメモリタグ319の間の認証シーケンスにおいて、認証できなかったことも含む。
【0117】
例えば、認証シーケンスは、エンジンコントローラ130がメモリタグ310との間で情報をやり取りした結果、あらかじめ想定された補給パック310が画像形成装置1に装着されたかを判断するシーケンスである。例えば、補給されるトナーとして黒色トナーが想定されている画像形成装置1に対して、ユーザが誤って、黄色トナーが入った補給パックを装着し画像形成装置1の収容器18に黄色トナーを補給すると、収容器18内で黒色トナーと黄色トナーが混ざってしまい、ユーザに不利益を与える虞がある。そこで、認証シーケンスにおいて、画像形成装置1のエンジンコントローラ130は、装着された補給パック310が想定された色の補給パックではないことを判断した場合は、認証を失敗とし、ブラシモータ301を逆転させてもよい。
【0118】
図31に、本実施例におけるエンジンコントローラ130とメモリタグ318の通信タイミングに関するフローチャートを示す。まず、トナーを補給するときには、排出トレイ14を開いて装着部200と装着部200と隣接して設けられた天面部241が露出する。天面部241が露出した状態において、LEDランプ242を緑に点灯させてもよい。そして、露出された装着部200に補給パック310を装着する(S201)。
【0119】
エンジンコントローラ130は、装着検知センサ407が補給パック310の装着検知用リブ312cによってONに切り替わる(S202)と、ブラシモータ401を正回転させる(S203)。ブラシモータ401が正回転中は、LEDランプ243を赤に点灯させてもよい。
【0120】
位置検知センサ409が、本体シャッタ部506の回転によって、ON→OFFに切り替わる(S204)。その後、エンジンコントローラ130は、回転検知センサ408の信号を読み取り、本体シャッタ部506が約10°回転した位置でブラシモータ401を停止させる(S205)。ブラシモータ401が回転を停止した状態では、補給パック310は装着部200から抜けないように規制された状態である。補給パック310は装着部200から抜けないように規制された状態であるため、エンジンコントローラ130からメモリタグ318に対して通信を開始する。エンジンコントローラ130からメモリタグ318に対して通信中、又は、ブラシモータ401の回転が停止時は、LEDランプ243を赤に点滅させてもよい。尚、本体シャッタ部506が約10°回転した位置では、補給パック310の側面開口313は、パックシャッタ部314によって閉まった状態であるため、トナーは補給されない。
【0121】
エンジンコントローラ130からメモリタグ318に対する通信が成功した(S206)場合、エンジンコントローラ130からメモリタグ318に対する通信を終了させる。その後、エンジンコントローラ130は、再度ブラシモータ401を正転駆動させ、本体シャッタ部506を初期位置から約90°回転した補給位置で停止させる(S207)。この状態において、補給パック310と収容器18がつながり、補給パック310からトナーを補給することが可能となる。
【0122】
ユーザが取り出しボタン242を操作し、取り出しボタン242がオン(S208)になると、エンジンコントローラ130は、ブラシモータ401を逆回転させ、本体シャッタ部506を初期位置まで回転させる(209)。ブラシモータ401が逆回転中は、LEDランプ243を赤に点灯させてもよい。また、位置検知センサ409が、本体シャッタ部506の逆回転によって、OFF→ONに切り替わったら、LEDランプ242を緑に点灯させてもよい。尚、本実施例のようにLEDランプ242、243を本体シャッタ部506の位相に関連して点灯、点滅させてもよいが、例えば、エンジンコントローラ130からメモリタグ318に対して通信タイミングに関連して、点灯、点滅させてもよい。その後、補給パック310を装着部200から取り外すことが可能である(S210)。
【0123】
本実施例においても、規制手段によってメモリタグ318と通信ユニット209との接触状態が保証され、メモリタグ318とエンジンコントローラ130の間で安定した通信が可能となる。
【符号の説明】
【0124】
1 画像形成装置
11 感光ドラム
12 現像ローラ
18 収容部
50 スキャナユニット
200 装着部
210 補給パック
230 現像容器