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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20240930BHJP
【FI】
G03G21/16 147
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020199424
(22)【出願日】2020-12-01
(65)【公開番号】P2022087480
(43)【公開日】2022-06-13
【審査請求日】2023-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000718
【氏名又は名称】弁理士法人中川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 悠太
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-223362(JP,A)
【文献】特開平08-095326(JP,A)
【文献】特開2001-289287(JP,A)
【文献】特開2014-059383(JP,A)
【文献】特開2020-190608(JP,A)
【文献】実開平04-014243(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源を有する装置本体と、前記装置本体に対して着脱可能もしくは開閉可能に保持され、前記駆動源からの駆動力を受けて駆動する第一の被駆動体および第二の被駆動体を有するユニットと、を備え、シートに画像を形成する画像形成装置であって、
前記装置本体に支持され、前記駆動源からの駆動力を伝達する本体側ギアと、
前記第一の被駆動体と同軸上にあり、前記ユニットを前記装置本体に装着した際に前記本体側ギアに噛み合う駆動伝達ギアと、
前記ユニットに設けられ、前記ユニットに対して前記駆動伝達ギアを、前記第一の被駆動体の軸中心と前記本体側ギアの軸中心とを結ぶ方向に移動可能に支持する支持部と、
前記駆動伝達ギアに設けられ、前記ユニットを前記装置本体に装着した際に前記装置本体に係合する係合部と、
前記装置本体に設けられ、前記ユニットを前記装置本体に装着した際に前記駆動伝達ギアの係合部と係合して前記本体側ギアに対する前記駆動伝達ギアの位置を決める被係合部と、
前記駆動伝達ギアに噛み合う揺動ギアを有し、前記駆動伝達ギアに対して前記揺動ギアが噛み合いまたは噛み合いを解除するように前記ユニットに揺動可能に設けられ、前記駆動伝達ギアからの駆動力を伝達する揺動ギアユニットと、
前記第二の被駆動体と同軸上にあり、前記揺動ギアユニットに接続され、前記揺動ギアユニットからの駆動力を前記第二の被駆動体に伝達する駆動伝達部材と、
前記揺動ギアユニットに設けられ、前記ユニットを前記装置本体に装着した際に前記装置本体に当接する当接部と、
前記装置本体に設けられ、前記ユニットを前記装置本体に装着した際に前記揺動ギアユニットの当接部と当接して前記駆動伝達ギアに対する前記揺動ギアの位置を決める被当接部と、
を備え、
前記駆動伝達ギアは、前記ユニットを前記装置本体に装着した際に、前記係合部が前記被係合部に係合して前記支持部に沿って前記結ぶ方向に移動され、前記本体側ギアに対する相対位置が決まり、前記本体側ギアに噛み合い、
前記揺動ギアは、前記ユニットを前記装置本体に装着した際に、前記ユニットの当接部が前記装置本体の被当接部に当接して、前記駆動伝達ギアに対する相対位置が決まり、前記駆動伝達ギアと噛み合うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記駆動伝達ギアに対する相対位置が決められた前記揺動ギアに発生する前記駆動伝達ギアからの力は、前記揺動ギアユニットに対して、前記駆動伝達ギアに前記揺動ギアが噛み合う方向の回転モーメントを発生させる、ことを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記被係合部と前記被当接部は、前記本体側ギアを支持する、前記装置本体の支持部材に設けたことを特徴とする請求項またはに記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記本体側ギアは、前記駆動源からの駆動力を伝達する複数のギアからなるギア列の最も下流側に位置する最下流ギアであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第一の被駆動体および前記第二の被駆動体は、シートを搬送する搬送ローラであることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートの両面に画像を形成することが可能な画像形成装置では、両面印刷時に、画像形成部にて一方の面に画像が形成されたシートを両面ユニットに送り、両面ユニットによって前記シートを再び画像形成部に送っている。
【0003】
特許文献1には、シートに画像を形成する画像形成部を有する装置本体に対して、シートを搬送する複数の搬送ローラを有する両面ユニットが開閉可能に保持された構成が開示されている。
【0004】
特許文献1では、装置本体に開閉可能に保持された両面ユニットが有する複数の搬送ローラを駆動させるために、装置本体からの駆動力を両面ユニットへ伝達する構成が提案されている。具体的には、装置本体側の駆動列の最下流部に、装置本体に対して揺動可能な揺動ギアを設けている。そして、装置本体に対して両面ユニットを閉じた際に、装置本体側の揺動ギアが両面ユニットのギアに噛み合うことで、装置本体からの駆動力を両面ユニットへ伝達する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-098052号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、装置本体から両面ユニットへの駆動伝達する箇所は、装置構成上、他の駆動ユニット(例えば給送ローラを駆動する駆動ユニット等)と近接する場合が多く、装置本体側の駆動列には配置レイアウトの制約がある場合が多い。従来から複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置は、装置の小型化が求められており、この傾向は今後もより強くなることが考えられる。
【0007】
さらに効率的な駆動伝達のために、両面ユニットのギアに噛み合う装置本体側の揺動ギを、前記両面ユニットのギアに対して適切な位置関係に保持する必要がある。そのため、装置本体側の揺動ギアが両面ユニットのギアに対して近づく方向に回転モーメントが発生するように、装置本体側の駆動列をレイアウトする必要がある。
【0008】
しかしながら、装置本体側の揺動ギアが両面ユニットのギアに対して近づく方向に回転モーメントが発生する位置関係は、ギアの回転方向によって決まるため、配置レイアウトには自由度が少ない。
【0009】
そこで、本発明の目的は、画像形成装置の装置本体側の駆動列の配置自由度を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、駆動源を有する装置本体と、前記装置本体に対して着脱可能もしくは開閉可能に保持され、前記駆動源からの駆動力を受けて駆動する第一の被駆動体および第二の被駆動体を有するユニットと、を備え、シートに画像を形成する画像形成装置であって、前記装置本体に支持され、前記駆動源からの駆動力を伝達する本体側ギアと、前記第一の被駆動体と同軸上にあり、前記ユニットを前記装置本体に装着した際に前記本体側ギアに噛み合う駆動伝達ギアと、前記ユニットに設けられ、前記ユニットに対して前記駆動伝達ギアを、前記第一の被駆動体の軸中心と前記本体側ギアの軸中心とを結ぶ方向に移動可能に支持する支持部と、前記駆動伝達ギアに設けられ、前記ユニットを前記装置本体に装着した際に前記装置本体に係合する係合部と、前記装置本体に設けられ、前記ユニットを前記装置本体に装着した際に前記駆動伝達ギアの係合部と係合して前記本体側ギアに対する前記駆動伝達ギアの位置を決める被係合部と、前記駆動伝達ギアに噛み合う揺動ギアを有し、前記駆動伝達ギアに対して前記揺動ギアが噛み合いまたは噛み合いを解除するように前記ユニットに揺動可能に設けられ、前記駆動伝達ギアからの駆動力を伝達する揺動ギアユニットと、前記第二の被駆動体と同軸上にあり、前記揺動ギアユニットに接続され、前記揺動ギアユニットからの駆動力を前記第二の被駆動体に伝達する駆動伝達部材と、前記揺動ギアユニットに設けられ、前記ユニットを前記装置本体に装着した際に前記装置本体に当接する当接部と、前記装置本体に設けられ、前記ユニットを前記装置本体に装着した際に前記揺動ギアユニットの当接部と当接して前記駆動伝達ギアに対する前記揺動ギアの位置を決める被当接部と、を備え、前記駆動伝達ギアは、前記ユニットを前記装置本体に装着した際に、前記係合部が前記被係合部に係合して前記支持部に沿って前記結ぶ方向に移動され、前記本体側ギアに対する相対位置が決まり、前記本体側ギアに噛み合い、前記揺動ギアは、前記ユニットを前記装置本体に装着した際に、前記ユニットの当接部が前記装置本体の被当接部に当接して、前記駆動伝達ギアに対する相対位置が決まり、前記駆動伝達ギアと噛み合うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、画像形成装置の装置本体側の駆動列の配置自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】画像形成装置の概略構成を示す模式断面図
図2】画像形成装置の概略構成を示す模式断面図
図3】画像形成装置における駆動伝達経路の構成を示す斜視図
図4】画像形成装置における装置本体側および両面ユニット側の駆動列を示す説明図
図5】画像形成装置における装置本体側および両面ユニット側の駆動列を示す説明図
図6】(a)(b)(c)は両面ユニット側の駆動列の一部を示す図
図7】画像形成装置における装置本体側および両面ユニット側の駆動列の要部説明図
図8】画像形成装置における装置本体側および両面ユニット側の駆動列の要部説明図
図9】画像形成装置の揺動ギアユニット周りにかかる力とモーメントの説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に説明する。ただし、以下の説明に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定するものではない。
【0014】
図1図9を用いて、本実施形態に係る画像形成装置について説明する。なお、以下の実施形態では画像形成装置として、4個のプロセスカートリッジが着脱可能なフルカラー電子写真画像形成装置を例示している。
【0015】
しかしながら、前記電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置と称す)に装着するプロセスカートリッジの個数はこれに限定されるものではない。必要に応じて適宜設定されるものである。例えば、モノクロの画像を形成する画像形成装置の場合には、前記画像形成装置に装着されるプロセスカートリッジの個数は1個である。また、以下に説明する実施形態によれば、画像形成装置の一態様としてプリンタを例示している。しかしながら、これに限定されるものではない。例えば、複写機、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置にも適用することができる。
【0016】
<画像形成装置の概略構成>
まず図1及び図2を用いて、画像形成装置の概略構成について説明する。図1及び図2は本実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す模式断面図である。
【0017】
この画像形成装置1は、電子写真プロセスを用いた4色フルカラーレーザプリンタであり、記録媒体にカラー画像形成を行う。画像形成装置1はプロセスカートリッジ方式であり、プロセスカートリッジP(以下、カートリッジと称す)を装置本体2に取り外し可能に装着して、記録媒体Sにカラー画像を形成するものである。
【0018】
画像形成装置1は、装置本体2と、前記装置本体2に対して開閉可能に保持された両面ユニット80と、を備えている。両面ユニット80は、ヒンジ3を中心として、装置本体2に対して開閉可能となっている。
【0019】
画像形成装置1の装置本体2には、第1のカートリッジPY、第2のカートリッジPM、第3のカートリッジPC、第4のカートリッジPKの4つのカートリッジP(PY・PM・PC・PK)が水平方向に配置されている。第1~第4のカートリッジP(PY・PM・PC・PK)には装置本体2の画像形成駆動モータ(不図示)から回転駆動力が伝達される。また、第1~第4の各カートリッジP(PY・PM・PC・PK)には装置本体2からバイアス電圧(帯電バイアス、現像バイアス等)が供給される(不図示)。
【0020】
第1~第4の各カートリッジP(PY・PM・PC・PK)は、それぞれ同様の電子写真プロセス機構を有しており、現像剤(以下トナーと称す)の色が各々異なるものである。第1のカートリッジPYは、イエロー(Y)のトナーを収容しており、感光体ドラム40の表面にイエロー色のトナー像を形成する。第2のカートリッジPMは、マゼンタ(M)のトナーを収容してあり、感光体ドラム40の表面にマゼンタ色のトナー像を形成する。第3のカートリッジPCは、シアン(C)のトナーを収容してあり、感光体ドラム40の表面にシアン色のトナー像を形成する。第4のカートリッジPKは、ブラック(K)のトナーを収容しており、感光体ドラム40の表面にブラック色のトナー像を形成する。
【0021】
第1~第4のカートリッジP(PY・PM・PC・PK)の上方には、露光手段としてのレーザスキャナユニットLSが設けられている。このレーザスキャナユニットLSは、画像情報に対応してレーザ光Zを出力する。そして、レーザ光Zは、カートリッジPの露光窓部を通過して感光体ドラム40の表面を走査露光する。
【0022】
第1~第4のカートリッジP(PY・PM・PC・PK)の下方には、転写部材としての中間転写ベルトユニット11を設けている。この中間転写ベルトユニット11は、駆動ローラ13、ターンローラ17、テンションローラ15、及び可撓性を有する転写ベルト12を有している。前記転写ベルト12は、駆動ローラ13、ターンローラ17、及びテンションローラ15に掛け渡されている。
【0023】
第1~第4の各カートリッジP(PY・PM・PC・PK)の感光体ドラム40は、転写ベルト12の上面に接している。その接触部が1次転写部である。転写ベルト12の内側には、感光体ドラム40に対向させて1次転写ローラ16を設けている。
【0024】
ターンローラ17には転写ベルト12を介して2次転写ローラ14を当接させている。転写ベルト12と2次転写ローラ14の接触部が2次転写部である。
【0025】
中間転写ベルトユニット11の下方には、給送ユニット18を設けている。この給送ユニット18は、記録媒体Sを積載して収容する給送トレイ19と、給送トレイ19から記録媒体Sを給送する給送ローラ20と、を有している。
【0026】
装置本体2内の上方には、定着ユニット21と、排出ローラ22が設けられている。装置本体2の上面は排出トレイ23としている。記録媒体Sは前記定着ユニット21に設けられた定着手段によりトナー像が定着され、排出ローラ22により前記排出トレイ23へ排出される。
【0027】
<画像形成動作>
上記構成の画像形成装置においてフルカラー画像を形成するための動作を説明する。
【0028】
第1~第4の各カートリッジP(PY・PM・PC・PK)の感光体ドラム40が所定の速度で回転駆動される(反時計回り方向)。転写ベルト12も感光体ドラムの回転に順方向に感光体ドラム40の速度に対応した速度で回転駆動される。
【0029】
レーザスキャナユニットLSは各感光体ドラム40の表面を各色の画像信号に応じてレーザ光Zで走査露光する。これにより、各感光体ドラム40の表面に対応色の画像信号に応じた静電潜像が形成される。各感光体ドラム40の表面に形成された静電潜像は、所定の速度で回転駆動される現像ローラにより現像される。
【0030】
前記のような電子写真画像形成プロセス動作により、第1のカートリッジPYの感光体ドラム40にはフルカラー画像のイエロー成分に対応するイエロー色のトナー像が形成される。そして、そのトナー像が感光体ドラム40と1次転写ローラ16とが対向する1次転写部にて転写ベルト12上に1次転写される。
【0031】
同様に第2のカートリッジPMの感光体ドラム40にはフルカラー画像のマゼンタ成分に対応するマゼンタ色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が、感光体ドラム40と1次転写ローラ16とが対向する1次転写部にて転写ベルト12上にすでに転写されているイエロー色のトナー像に重畳されて1次転写される。
【0032】
同様に第3のカートリッジPCの感光体ドラム40にはフルカラー画像のシアン成分に対応するシアン色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が、感光体ドラム40と1次転写ローラ16とが対向する1次転写部にて転写ベルト12上にすでに転写されているイエロー色、マゼンタ色のトナー像に重畳されて1次転写される。
【0033】
同様に第4のカートリッジPKの感光体ドラム40にはフルカラー画像のブラック成分に対応するブラック色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が、感光体ドラム40と1次転写ローラ16とが対向する1次転写部にて転写ベルト12上にすでに転写されているイエロー色、マゼンタ色、シアン色のトナー像に重畳されて1次転写される。
【0034】
このようにして、転写ベルト12上にイエロー色、マゼンタ色、シアン色、ブラック色の4色フルカラーの未定着トナー像が形成される。
【0035】
一方、所定の制御タイミングで記録媒体Sが1枚ずつ分離されて給送される。給送トレイ19に収容された記録媒体Sは、給送ローラ20によって1枚ずつ分離されて給送される。その記録媒体Sは、レジストレーションローラ43により所定の制御タイミングで2次転写ローラ14と転写ベルト12との当接部である2次転写部に導入される。
【0036】
これにより、記録媒体Sが前記2次転写部へ搬送されていく過程で、転写ベルト12上の4色重畳のトナー像が記録媒体Sの面に順次に一括転写される。
【0037】
両面プリント時には、記録媒体Sの後端付近が排出ローラ22に到達した後、排出ローラ22を逆回転させて、記録媒体Sを両面ユニット80に送る。この両面ユニット80は、装置本体2に対して開閉可能に構成されている。
【0038】
次に両面ユニット80に送られた記録媒体Sは、両面ユニット80における第一両面搬送ローラ81,第二両面搬送ローラ82によって、装置本体2のレジストレーションローラ43まで搬送される。第一両面搬送ローラ81,第二両面搬送ローラ82は、両面ユニット80において記録媒体Sを案内する両面搬送路に設けられている。その後、記録媒体Sは、1面目のプリントと同様に2面目(両面)をプリントされて排出される。
【0039】
また、図1に示す画像形成装置1は、装置本体2に対して両面ユニット80を閉じた状態を示す。図2に示す画像形成装置1は、装置本体2に対して両面ユニット80を開いた状態を示す。画像形成装置1は、紙詰まり発生時の紙除去時や、部品交換時等に、図2に示すように装置本体2に対して両面ユニット80を開いて、その処理を行う。
【0040】
<駆動伝達経路の構成>
次に図3図8を用いて、画像形成装置における駆動伝達経路の構成について説明する。
【0041】
図3は画像形成装置における駆動伝達経路の構成を示す斜視図である。図3は、装置本体の搬送駆動モータ102から、両面ユニット80の第一両面搬送ローラ81,第二両面搬送ローラ82までの駆動伝達経路である駆動ギア列を示す斜視図である。図4および図5は、画像形成装置における装置本体側および両面ユニット側の駆動列を示す説明図であり、図3に示す駆動伝達経路の構成のみを示した図である。図6(a)は両面ユニット側の駆動列の一部を示す図、図6(b)は第一両面搬送ローラとその支持部の関係を示す図、図6(c)は第一両面搬送ローラのギアに設けたボスと装置本体側に設けた位置決め部の関係を示す図である。図7および図8は、画像形成装置における装置本体側および両面ユニット側の駆動列の要部説明図である。
【0042】
本実施形態に係る画像形成装置は、以下の構成によって、搬送駆動モータ102の駆動力を両面ユニット80が有する第一両面搬送ローラ81,第二両面搬送ローラ82に伝達している。
【0043】
装置本体2には、搬送駆動ユニット100が設けられている。搬送駆動ユニット100は、搬送駆動ユニット支板101、駆動源としての搬送駆動モータ102、複数のギアからなる搬送駆動ギア列103によって構成されている。すなわち、装置本体2は、搬送駆動ユニット支板101と、駆動源としての搬送駆動モータ102と、複数のギアからなる搬送駆動ギア列103と、を有している。
【0044】
搬送駆動モータ102は、搬送駆動ユニット支板101に支持されている。搬送駆動ギア列103は、搬送駆動モータ102の軸に支持されたモータギア103bと、ギア103c,103dと、本体側ギアである最下流ギア103aと、からなる。本体側ギアである最下流ギア103aは、搬送駆動モータ102からの駆動力を伝達する複数のギアからなるギア列の最も下流側に位置する最下流ギアである。ギア103c,103dと最下流ギア103aは、支持部材としての搬送駆動ユニット支板101に回転可能に支持されている。モータギア103bはギア103cと噛み合い、ギア103cはギア103dと噛み合い、ギア103dは最下流ギア103aと噛み合い、搬送駆動ギア列103を構成している。よって、搬送駆動モータ102の駆動力は、モータギア103bからギア103c,103dを介して最下流ギア103aに伝達される。本体側ギアである最下流ギア103aは、搬送駆動モータ102からの駆動力を両面ユニット80に伝達する。
【0045】
両面ユニット80は、搬送駆動モータ102からの駆動力を受けて回転する第一の被駆動体としての第一両面搬送ローラ81と、搬送駆動モータ102からの駆動力を受けて回転する第二の被駆動体としての第二両面搬送ローラ82と、を有する。前述したように、この両面ユニット80は、装置本体2に対して開閉可能に保持されている。図4および図5に示す矢印y方向は、両面ユニット80の開閉方向である。
【0046】
第一の被駆動体としての第一両面搬送ローラ81、第二の被駆動体としての第二両面搬送ローラ82は、いずれもシートを搬送する搬送ローラである。しかし、両面ユニット80における被駆動体は、シートを搬送する搬送ローラに限定されるものではない。装置本体側の駆動源からの駆動力を受けて駆動するものであれば、他の被駆動体であっても構わない。
【0047】
両面ユニット80は、装置本体2側の最下流ギア103aの駆動力を第一搬送ローラへ伝達する駆動伝達ギアとしての出力ギア84と、前記出力ギア84の駆動力を第二両面搬送ローラへ伝達する両面搬送駆動列85と、を有する。
【0048】
出力ギア84は、装置本体2に対して両面ユニット80を閉じた際に装置本体2側の最下流ギア103aと噛み合い(図4参照)、装置本体2に対して両面ユニットを開いた際に装置本体2側の最下流ギア103aとの噛み合いを解除する(図5参照)。出力ギア84は、第一両面搬送ローラ81と同軸上にあり、出力ギア軸84bを介して第一両面搬送ローラ81と接続されている(図3参照)。よって、装置本体側からの駆動力が出力ギア84を介して第一両面搬送ローラ81に伝達され、第一両面搬送ローラ81は回転する。
【0049】
両面搬送駆動列85は、出力ギア84からの駆動力を伝達する揺動ギアユニット86と、揺動ギアユニット86からの駆動力を第二両面搬送ローラ82に伝達する駆動伝達部材としての出力プーリ85aと、有する。
【0050】
揺動ギアユニット86は、出力ギア84に噛み合う揺動ギアとしての最上流ギア86aから始まる2つ以上の複数のギアからなる。ここでは、揺動ギアユニット86は、最上流ギア86aと、揺動中心となる最下流ギア86bと、ギア86c,86d,86eと、からなる。最上流ギア86aはギア86cと噛み合い、ギア86cはギア86dと噛み合い、ギア86dはギア86eと噛み合い、ギア86eは最下流ギア86bと噛み合い、揺動ギアユニット86ギア列を構成している。各ギア86a~86eは、最下流ギア86bを中心として、両面ユニット80に対して回動可能に保持された揺動ギア支板87に保持されている。
【0051】
すなわち揺動ギアユニット86は、最下流ギア86bを揺動中心として、両面ユニット80に揺動可能に設けられている。揺動ギアユニット86は、最下流ギア86bを中心にして、出力ギア84に対して最上流ギア86aが噛み合う位置(図3参照)、または前述の噛み合いを解除する位置(不図示)に揺動可能(回動可能)となっている。図4および図5に示す矢印x方向は、揺動ギアユニット86の揺動方向である。
【0052】
出力プーリ85aは、無端状のベルト85bによって揺動ギアユニット86の最下流ギア86bに接続されている。出力プーリ85aは、第二両面搬送ローラ82と同軸上にあり、出力ギア軸82bを介して第二両面搬送ローラ82と接続されている(図3参照)。よって、装置本体側からの駆動力が出力ギア84を介して両面搬送駆動列85に第二両面搬送ローラ82に伝達され、第二両面搬送ローラ82は回転する。
【0053】
前述したように、両面ユニット80が有する第一両面搬送ローラ81,第二両面搬送ローラ82へ駆動を伝達するためには、装置本体2と前記装置本体2に対して開閉可能に保持された両面ユニット80との相対位置の誤差を吸収する必要がある。
【0054】
ここでまず、装置本体2(搬送駆動ユニット100)の最下流ギア103aと両面ユニット80の最上流ギアである出力ギア84の相対位置の保証について説明する。
【0055】
出力ギア84にはギアピッチ円と同軸な出力ギアボス84aが設けられている。出力ギアボス84aは、両面ユニット80を装置本体2に装着した際に装置本体2に係合する係合部である。
【0056】
両面ユニット80には、出力ギア84を移動可能に支持する長丸穴83が設けられている(図6参照)。長丸穴83は、両面ユニット80に設けられた両面ユニットフレーム80aの駆動側に設けられている。ここで駆動側とは、装置本体2において搬送駆動ユニット100が設けられている側であり、図6(a)に示すように第一両面搬送ローラ81の軸方向の一方側である。
【0057】
長丸穴83は、両面ユニット80に対して出力ギア84の出力ギア軸84bを、第一両面搬送ローラ81の軸中心と最下流ギア103aの軸中心とを結ぶ方向(図7に示す矢印z方向)に移動可能に支持する支持部である。長丸穴83は、出力ギア軸84bの直径に比べて、前記軸中心を結ぶ方向(図7に示す矢印z方向)の径が長い形状である。したがって、出力ギア84の出力ギア軸84bは、両面ユニット80に対して長丸穴83の長手方向に移動可能に保持されている。
【0058】
また装置本体2の搬送駆動ユニット支板101には、両面ユニット80を装置本体2に装着した際に出力ギア84の出力ギアボス84aと係合するU字溝101aが設けられている。U字溝101aは、両面ユニット80を装置本体2に対して閉じた際(図7参照)に出力ギア84の出力ギアボス84aと係合して、装置本体側の最下流ギア103aに対する出力ギア84の位置を決める被係合部である。
【0059】
この構成により、両面ユニット80を装置本体2に装着した際に、両面ユニット側の出力ギアボス84aが装置本体側のU字溝101aに係合する。このとき、出力ギア84の出力ギア軸84bが長丸穴83の長手方向(図7に示す矢印z方向)に沿って移動する。これにより、両面ユニット側の出力ギア84が、装置本体側の最下流ギア103aに対して適正な相対位置に保持される。
【0060】
本実施形態によれば、両面ユニット側の最上流ギアである出力ギアを長丸穴の長手方向の範囲で移動可能とし、両面ユニットを装置本体に装着することで装置本体側の最下流ギアとの相対位置が決まり、その相対位置の精度が保証される。これにより、画像形成装置の装置本体側の駆動列の配置自由度を向上させることができる。また、第一両面搬送ローラ81への駆動力の伝達において相対位置の誤差を吸収することで駆動トルクの上昇を抑えることが可能となる。
【0061】
つぎに、両面ユニット80の出力ギア84と、この出力ギア84に噛み合う揺動ギアユニット86の最上流ギア86aとの相対位置の保証について説明する。
【0062】
前述したように、両面ユニット80の出力ギア84は、装置本体2の最下流ギア103aとの相対位置の誤差を吸収するため、両面ユニット80に対して長丸穴83の長手方向に移動可能に保持されている。そのため、両面搬送駆動列85への駆動力の伝達には、両面搬送駆動列85の最上流ギアである、揺動ギアユニット86の最上流ギア86aは、出力ギア84との相対位置を適正に保持する必要がある。
【0063】
両面搬送駆動列85の中の揺動ギアユニット86は、両面搬送駆動列85の最上流に位置する最上流ギア86aから始まる2つ以上の複数ギアからなる。揺動ギアユニット86は、前記2つ以上の複数ギアのうち最下流ギア86bを回動中心として、両面ユニット80に対して回動可能(揺動可能)に保持される揺動ギア支板87によって保持されている。
【0064】
出力ギア84と最上流ギア86aとの相対位置を適切に保つため、揺動ギアユニット86に位置出しリブ87bを設けるとともに、装置本体2に位置出しリブ101bを設けている。
【0065】
位置出しリブ87bは、揺動ギアユニット86の揺動ギア支板87に設けられている。位置出しリブ87bは、両面ユニット80を装置本体2に装着した際に装置本体2に当接する当接部である。
【0066】
位置出しリブ101bは、装置本体2側の搬送駆動ユニット100の搬送駆動ユニット支板101に設けられている。位置出しリブ101bは、両面ユニット80を装置本体2に装着した際に揺動ギアユニット86の位置出しリブ87bと当接して、出力ギア84に対する最上流ギア86aの位置を決める被当接部である。
【0067】
したがって、両面ユニット80を装置本体2に装着した際に、最上流ギア86aは、両面ユニット80の位置出しリブ87bが装置本体2の位置出しリブ101bに当接して、出力ギア84に対する相対位置が決まり、出力ギアと噛み合うこととなる。
【0068】
このように、本実施形態によれば、両面ユニット80を装置本体2に装着した際に、両面ユニット80の位置出しリブ87bが装置本体2の位置出しリブ101bに突き当たる。これにより、両面ユニット80の出力ギア84と、この出力ギア84に噛み合う揺動ギアユニット86の最上流ギア86aとの相対位置を適正に保持することができる。
【0069】
また本実施形態では、最下流ギア103aを支持する支持部材としての搬送駆動ユニット支板101に、被係合部としてのU字溝101aと、被当接部としての位置出しリブ101bを設けている。言い換えれば、本体側ギアである最下流ギア103aを支持する搬送駆動ユニット支板101によって、最下流ギア103aと出力ギア84との相対位置、および出力ギア84と最上流ギア86aとの相対位置を決める。これにより、最下流ギア103aと出力ギア84との相対位置、および出力ギア84と最上流ギア86aとの相対位置を、1つの支持部材で適正に保持できる。
【0070】
さらに、安定して駆動力の伝達を行うためには、駆動伝達時に揺動ギアユニット側の位置出しリブ87bと搬送駆動ユニット側の位置出しリブ101bとを駆動伝達時に安定して突き当てる必要がある。
【0071】
図9に本実施形態における揺動ギアユニット周りの駆動伝達時の力と回転モーメントについて示す。図9に示す状態は、両面ユニット側の出力ギア84が、装置本体側の最下流ギア103aに対して相対位置が決められた状態である。なおかつ、その出力ギア84に対して、両面搬送駆動列85の最上流ギアである揺動ギアユニット86の最上流ギア86aの相対位置が決められた状態である。
【0072】
図9において、時計回り方向に回転する出力ギア84から両面搬送駆動列85へ駆動伝達する場合、両面搬送駆動列85の最上流ギアである揺動ギアユニット86の最上流ギア86aの歯面には、出力ギア84から力Fが発生する。そして、この出力ギア84からの力Fは、揺動ギアユニット86に対して、出力ギア84に最上流ギア86aが噛み合う方向の回転モーメントMを発生させる。この回転モーメントMは、揺動ギアユニット86の最下流ギア85cを中心としたモーメントである。更に詳しくは、駆動伝達時に両面搬送駆動列85の最上流ギアである揺動ギアユニット86の最上流ギア86aの歯面に発生する力の合力が、揺動ギアユニット86の最下流ギア86bを中心とした回転モーメントとなる。これにより、出力ギア84と最上流ギア86aとの噛み合い関係は、所謂食い込み勝手になる。そのため、揺動ギアユニット側の位置出しリブ87bと搬送駆動ユニット側の位置出しリブ101bを安定して突き当てることができ、出力ギア84と最上流ギア86aとの相対位置を適切に保つことができる。
【0073】
本実施形態によれば、装置本体2から開閉可能に保持された両面ユニット80へ駆動力を伝達する構成において、画像形成装置の装置本体側の駆動列の配置自由度を向上させることができる。特に、画像形成装置の装置本体の小型化が求められる中において、本発明は特に有効である。
【0074】
なお、前述した実施形態では、画像形成装置が、装置本体と、前記装置本体に対して開閉可能に保持されるユニットと、を備えた構成を例示したが、これに限定されるものではない。画像形成装置は、装置本体と、前記装置本体に対して着脱可能に保持されるユニットと、を備えた構成であってもよい。このような構成の画像形成装置であっても、本発明を適用することにより前述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0075】
1 …画像形成装置
2 …装置本体
80 …両面ユニット
80a …両面ユニットフレーム
81 …第一両面搬送ローラ
82 …第二両面搬送ローラ
83 …長丸穴
84 …出力ギア
84a …出力ギアボス
84b …出力ギア軸
85 …両面搬送駆動列
85a …出力プーリ
85b …ベルト
86 …揺動ギアユニット
86a …最上流ギア
86b …最下流ギア
86c,86d,86e …ギア
87 …揺動ギア支板
87b …位置出しリブ
100 …搬送駆動ユニット
101 …搬送駆動ユニット支板
101a …U字溝
101b …位置出しリブ
102 …搬送駆動モータ
103 …搬送駆動ギア列
103a …最下流ギア
103b …モータギア
103c,103d …ギア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9