(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】反射板ユニットおよび照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 8/04 20060101AFI20240930BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240930BHJP
F21V 17/00 20060101ALI20240930BHJP
F21V 17/10 20060101ALI20240930BHJP
F21Y 103/10 20160101ALN20240930BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240930BHJP
【FI】
F21S8/04 110
F21S2/00 230
F21S8/04 130
F21V17/00 154
F21V17/10 150
F21Y103:10
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2020211520
(22)【出願日】2020-12-21
【審査請求日】2023-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】高橋 富志雄
(72)【発明者】
【氏名】平 大輔
(72)【発明者】
【氏名】寺沢 徳晃
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特許第6271753(JP,B2)
【文献】特開2017-195064(JP,A)
【文献】実開昭58-099705(JP,U)
【文献】特開昭57-101336(JP,A)
【文献】実開昭58-010304(JP,U)
【文献】特許第6747807(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 8/04
F21S 2/00
F21V 17/00
F21V 17/10
F21Y 103/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を実装した光源実装部を保持するための保持部が形成され、前記光源から出射される光を反射する反射板と、
前記反射板における、前記保持部側を被覆するカバーと、
前記反射板と前記カバーとがスライド移動することで互いに係合する係合部と、を含み、
前記係合部において、前記反射板と前記カバーとが溶着固定されて
おり、
前記係合部は、
前記カバーの両端のそれぞれに、当該カバーの外側に向う向きに開口するように形成された凹溝と、
前記反射板の両端のそれぞれに、先端が、当該反射板の中央に向かう向きに突出するように形成され、前記凹溝の内部に嵌入された突出片と、で構成され、
前記反射板の両端のそれぞれに、スライド移動させる方向に延びると共に、前記凹溝と前記突出片とが係合した状態で、前記カバーにおける前記凹溝の外側であるカバー側対向面と対向する反射板側対向面を有し、
前記カバー側対向面と前記反射板側対向面との間に、溶着剤を流し込むための隙間が形成されている反射板ユニット。
【請求項2】
前記係合部には、前記突出片が前記凹溝に嵌入された状態で、前記反射板と前記カバーとが溶着固定された溶着部が形成されている、請求項
1に記載の反射板ユニット。
【請求項3】
前
記隙間は、
前記溶着剤が流し込まれる入口部分が当該隙間の他の部分よりも広く形成されている、請求項
1に記載の反射板ユニット。
【請求項4】
前記カバー側対向面および前記反射板側対向面の少なくとも一方の面は断面略鋸歯状に形成されている、請求項
3に記載の反射板ユニット。
【請求項5】
前記係合部における、前記反射板と前記カバーとを溶着固定する箇所は、前記反射板の長手方向両端部側と、前記反射板の長手方向中央部側である、請求項1~
4のいずれか1項に記載の反射板ユニット。
【請求項6】
前記反射板における前記保持部が形成された側の面に、高反射材が形成されている、請求項1~
5のいずれか1項に記載の反射板ユニット。
【請求項7】
前記高反射材は、前記保持部に前記光源実装部を保持したときの前記光源が実装された部分を少なくとも除いた領域を覆うように形成されている、請求項
6に記載の反射板ユニット。
【請求項8】
前記高反射材の端部は、前記反射板の前記保持部側に突出している、請求項
7に記載の反射板ユニット。
【請求項9】
前記反射板と前記カバーは、樹脂で形成されている、請求項1~
8のいずれか1項に記載の反射板ユニット。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか1項に記載の反射板ユニットと、
前記反射板ユニットを含む光源格納部と、
前記光源格納部に取付けられ、電源部を格納する電源格納部と、を備える照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から出射される光を反射する反射板と、反射板の光源が実装される光源実装基板が保持される側を被覆する透光性のカバーと、を備えた反射板ユニット、および該反射板ユニットを備えた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光ダイオード(LED;light-emitting diode)等を光源として用いた照明装置が知られている。例えば、特許文献1には、複数のLED発光素子が並べて取付けられているLED基板が保持される反射板と、反射板をLED保持側から覆う透光性カバーと、をスライド可能に係合させるための係合部が形成された反射板ユニットが開示されている。係合部は、反射板の反射面に反射面側から突出し、反射面から所定の傾斜角度を有するように形成された係合雄片と、透光性カバーの開口の面から所定の傾斜角度を有するように形成された溝であって、上記係合雄片に係合する溝である係合雌溝が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、透光性カバーは樹脂で形成され、反射板は金属板で形成されているが、軽量化、低価格化を目的として反射板を樹脂で形成することも行われている。
【0005】
透光性カバーと反射板の両方を樹脂で形成した場合、特許文献1のように、反射板と、透光性カバーとをスライド可能に係合させる構成では、剛性が低いという問題がある。例えば、反射板と透光性カバーとをスライド可能に係合した場合では、捻るように力をかけると、係合部において部材同士が滑り、容易に捻ることが可能となる。
【0006】
従って、反射板ユニットが容易に捻れると、この捻れに伴う光源実装基板が変形する恐れがあり、反射板ユニットの品質を低下させるという問題が生じる。
【0007】
透光性カバーと反射板の両方を樹脂で形成した場合に剛性を高める方法として、透光性カバーと反射板とを一体的に形成することが考えられる。しかしながら、透光性カバーと反射板とを一体成型する場合には、透光性カバーと反射板とを別々に成型する場合に比べて、金型の構造が複雑であり高価になるため、製造に係るコストが高くなるという問題がある。
【0008】
本発明の一態様は、安価に製造でき、且つ、剛性の高い反射板ユニットを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る反射板ユニットは、光源を実装した光源実装部を保持するための保持部が形成され、前記光源から出射される光を反射する反射板と、前記反射板における、前記保持部側を被覆するカバーと、前記反射板と前記カバーとがスライド移動することで互いに係合する係合部と、を含み、前記係合部において、前記反射板と前記カバーとが溶着固定されており、前記係合部は、前記カバーの両端のそれぞれに、当該カバーの外側に向う向きに開口するように形成された凹溝と、前記反射板の両端のそれぞれに、先端が、当該反射板の中央に向かう向きに突出するように形成され、前記凹溝の内部に嵌入された突出片と、で構成され、前記反射板の両端のそれぞれに、スライド移動させる方向に延びると共に、前記凹溝と前記突出片とが係合した状態で、前記カバーにおける前記凹溝の外側であるカバー側対向面と対向する反射板側対向面を有し、前記カバー側対向面と前記反射板側対向面との間に、溶着剤を流し込むための隙間が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、安価に製造でき、且つ、剛性の高い反射板ユニットを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態1に係る照明装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示される照明装置の外観構造の詳細を示す図である。
【
図3】
図1に示される照明装置の電源格納部の外観構造を示す正面図である。
【
図4】
図1に示される照明装置の光源格納部の外観構造を示す正面図である。
【
図5】
図1に示される照明装置の要部に係る反射板ユニットの係合構造を示す断面図である。
【
図6】
図5に示す反射板ユニットのカバーの断面図である。
【
図7】
図5に示す反射板ユニットの反射板の断面図である。
【
図9】
図5に示す反射板ユニットにおけるカバーと反射板との係合部の断面構造を示す図である。
【
図10】
図5に示す反射板ユニットにおけるカバーと反射板との係合部の他の例の断面構造を示す図である。
【
図11】
図5に示す反射板ユニットにおけるカバーと反射板との係合部のさらに他の例の断面構造を示す図である。
【
図12】本発明の実施形態2に係る反射板ユニットの係合構造を示す断面図である。
【
図13】
図12に示す反射板ユニットの要部を拡大した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、以下に説明する。なお、参照図面において、+Y方向に視た図を正面図、+X方向に視た図を側面図、+Z方向に視た図を上面図と称する。
【0013】
(照明装置の構成)
図1は、本実施形態の照明装置101の構成を示す斜視図である。
図1に示すように、照明装置101は、光源格納部20と、電源格納部30とを備える。照明装置101は、電源格納部30側から所定の部材(例えば天井)に装着される。
【0014】
図2は、本実施形態の照明装置101の詳細構成を示す図である。
図2の符号2001は、正面図である。
図2の符号2002は、側面図である。
図2の符号2003は、上面図である。
【0015】
図2の符号2001に示すように、光源格納部20と、電源格納部30とは、互いに接続されている。光源格納部20と電源格納部30との接続方法の詳細については、後述する。電源格納部30には、3個の解除穴31が設けられている。解除穴31は、光源格納部20と電源格納部30との接続の解除に利用される。
【0016】
図2の符号2002に示すように、電源格納部30は、ノックアウト32を備える。ノックアウト32を打つまたは切ることにより、電源格納部30の内部に通じる穴を設けることができる。
【0017】
図2の符号2003に示すように、電源格納部30は、複数の突起33と、突出部34とを備える。電源格納部30には、複数の取付穴35と、複数の配線穴36(交流電圧の電線を通す穴)とが設けられている。取付穴35は、照明装置101を所定の部材に取り付けるために利用される。配線穴36は、照明装置101の内部に配線を引き込むために利用される。突出部34は、取付穴35と配線穴36との間に形成されている。
【0018】
(電源格納部の構成)
電源格納部30は、照明装置101の光源などに電力を供給する電源部8を格納する。
【0019】
図3は、本実施形態の電源格納部30の構成を示す図である。
図3の符号3001は、正面図である。
図3の符号3002は、
図3の符号3001に示される範囲Aの底面図である。
図3の符号3003は、
図3の符号3001に示される範囲Bの底面図である。
図3の符号3004は、範囲Bの上面図である。
【0020】
図3の符号3001に示すように、電源格納部30は、筐体としての本体シャーシ7と、電源端子台9と、調光端子台10と、とを備える。
【0021】
電源部8は、電源格納部30の、突出部34が設けられた位置(
図3の(a)において斜線で示される位置)に格納される。具体的には、突出部34は、電源格納部30の内面において凹部になっている。そして、電源部8は、この凹部に格納される。この電源部8は、交流電圧を受けて直流電圧をLEDに供給する。
【0022】
図3の符号3002に示すように、電源格納部30は、第1配線39をさらに備える。第1配線39の一端は、電源部8に接続されている。また、第1配線39の他端には、コネクタ391が取り付けられている。電源部8は、交流電圧を受け、この第1配線39を介し直流電圧を後述のLEDに供給する。
【0023】
図3の符号3003に示すように、電源端子台9と、調光端子台10とは、本体シャーシ7に取り付けられている。上述の突起33と、突出部34とは、本体シャーシ7に設けられている。電源端子台9および調光端子台10は、それぞれ、電源部8に配線で接続されている。
【0024】
図3の符号3003および3004に示すように、配線穴36の縁に、絶縁キャップ361が取り付けられている。これにより、電線が金属製の本体シャーシ7で擦れてショートすることを防止できる。特に、突起33により、本体シャーシ7と、照明装置101が装着される部材(天井など)との間に隙間が形成される場合には、上述の交流電線(配線穴36を通る電線)は、この隙間を動きやすい。この場合にも、絶縁キャップ361は、上述のショートを有効に防止できる。この電線は、例えば、VVF(Vinyl insulated Vinyl sheeted Flat-type)線である。また、電線には、アース線も含まれる。
【0025】
(光源格納部)
光源格納部20は、反射板3に配置された光源を格納する。光源格納部20は、電源格納部30に取り付けられており、複数の発光ダイオード(LED)を格納している。
【0026】
図4は、
図1に示される照明装置101の光源格納部20の構成を示す図である。
図4の符号4001は、正面図である。
図4の符号4002は
図4の符号4001に示される範囲Cの上面図である。
図4の符号4003は
図4の符号4002においてサイドカバー2が外された状態を示す図である。
図4の符号4004は範囲Cの斜視図である。
図4の符号4005は、
図4の符号4004においてサイドカバー2が外された状態を示す。なお、光源格納部20の、電源格納部30に対向する側を上面としている。
【0027】
図4の符号4001に示すように、光源格納部20は、カバー1と、複数のサイドカバー2と、光源が配置される反射板3と、LED実装基板(光源実装部)4と、接続部材50と、複数の落下防止ヒモ6とを備える。カバー1は、反射板3とともに電源を格納する。サイドカバー2は、光源格納部20の両端を覆っている。LED実装基板4は、光源として機能する。LED実装基板4は、カバー1に覆われており、かつ、反射板3の+Z方向側に配置されている。
【0028】
(電気的接続)
図4の符号4002および符号4004に示すように、光源格納部20は、第2配線49(直流電圧供給線)を備える。この第2配線49の一端は、後述するようにLED実装基板4(LED)から引き出されている。また、第2配線49の他端には、コネクタ491が取り付けられている。そして、コネクタ491と、上述のコネクタ391とが接続されることにより、LED実装基板4と、電源部8とが、電気的に接続される。すなわち、LEDは、電源格納部30に格納された電源部8と配線によって電気的に接続されている。具体的には、電源格納部30は、電源部8から引き出された第1配線39を有する一方、光源格納部20は、LED実装基板4(LED)から引き出された第2配線49を有している。また、第1配線39と第2配線49とは、それぞれコネクタを有しており、これらのコネクタが接続されることにより、電気的に接続される。
【0029】
ここで、サイドカバー2と反射板3との間には、第2配線49を通す穴(隙間)が設けられている。また、
図4の符号4003および符号4005に示すように、反射板3の範囲Dには、開口部11A、11Bが設けられている。LED実装基板4は、この開口部11A、11Bからサイドカバー2側に露出している。そして、第2配線49は、この隙間と開口部11A、11Bとを介し、LED実装基板4に接続されている。
【0030】
第2配線49を通す隙間には、スポンジ19が取り付けられ塞がれている。これにより、LED実装基板4に、埃や虫が侵入することを防止できる。
【0031】
スポンジ19を用いることにより、隙間の形状に合わせて容易に変形させながら隙間を塞ぐことができる。また、スポンジ19は配線より軟らかい材料であるため、第2配線49のダメージを低減でき短絡防止できる。さらに、スポンジ19は接着部材で隙間を塞ぐのとは異なり、サイドカバー2を容易に何度も繰り返して取り付けたり取り外したりすることが可能である。
【0032】
(反射板ユニット)
図5は、
図1に示される照明装置101の光源格納部20の要部に係る反射板ユニット21の係合構造を示す断面図である。
図6は、カバー1の断面構造を示す図である。
図7は、反射板3の断面構造を示す図である。
【0033】
図5に示すように、反射板ユニット21は、カバー1、反射板3、LED実装基板(光源実装部)4、およびLED(光源)4aを備える。反射板3は、LED4aから出射される光を反射する部材である。カバー1は、反射板3のLED4aが実装されるLED実装基板4が保持される側を被覆する部材であり、LED4aの光を透過する。カバー1は、透光性を有する樹脂で形成されている。また、反射板3も、樹脂で形成されている。カバー1、反射板3は、別々に押出し成型によって形成される。この場合、カバー1と反射板3とがそれぞれ使用する金型は、カバー1と反射板3とを一体的に形成するための押出成型用の金型に比べて簡単な構成の金型である。このため、カバー1と反射板3との製造に係るコストを抑えることが可能となるので、カバー1と反射板3とを一体的に形成する場合に比べて反射板ユニット21を安価に製造することが可能となる。
【0034】
図6に示すように、カバー1の短手方向の互いに対向する両端のそれぞれには、LED実装基板4の基板面に沿い(天井に平行に)、かつ反射板3の外側に向う向きに開口された凹溝1aが形成されている。一方、
図7に示すように、反射板3の短手方向の互いに対向する両端のそれぞれには、LED実装基板4の基板面に沿い(天井に平行に)、かつ反射板3の中央に向かう向きに突出する突出片3aが形成されている。
図5に示すように、反射板ユニット21では、突出片3aは凹溝1aの内部に嵌入することで突出片3aと凹溝1aとが互いに係合する係合部Jが形成されている。また、係合部Jでは、突出片3aが凹溝1aの内部に嵌入される際、遊びをもった状態で、カバー1と反射板3とが係合している。これにより、カバー1が反射板3に対して相対的にスライドすることができるようになっている。
【0035】
すなわち、反射板ユニット21は、突出片3aが凹溝1aの内部に嵌入することで突出片3aと凹溝1aとが互いに係合する係合部Jを備えている。また、突出片3aが突出する向きは、LED実装基板4の基板面に沿い、かつ反射板3の中央に向かう向きとなっている。さらに、凹溝1aが延在する向きは、LED実装基板4の基板面に沿い、かつ反射板3の外側に向う向きとなっている。このため、反射板3およびカバー1の、LED実装基板4の基板面に垂直な方向に対する相対的な動きは、係合部Jによって制限される。これにより、反射板3からカバー1が外れてLED実装基板4の基板面に垂直な方向(鉛直方向)に落下するのを防止することができる。また、上記構成によれば、反射板3とカバー1とをネジ等で固定する必要がなく作業工数が少なくて済む。以上より、反射板3とカバー1とをネジ等で固定しなくてもカバー1が反射板3から外れて落下するのを防止することができる。
【0036】
次に、
図5に示すように反射板3の突出片3aは、反射板3の長手方向の一端から他端にかけて、反射板3の短手方向の両端のそれぞれが、反射板3の中央に向かう向きに折り曲げられることによって形成されている。一方、カバー1の凹溝1aは、カバー1の長手方向の一端から他端にかけて、カバー1の短手方向の両端のそれぞれが、反射板3の外側に向かう向きに折り曲げられることによって形成されている。上記構成によれば、突出片3aと凹溝1aとは、反射板3の短手方向の両端のそれぞれとカバー1の短手方向の両端のそれぞれとが互いに対向する向きに、長手方向の一端から他端にかけて折り曲げられて形成されている。このため、突出片3aと凹溝1aとを互いに係合させた場合に、係合部Jの表面が露出しないようにすることができる。このため、係合部Jを介して、直接埃や虫が侵入するのを阻止することができる。係合部Jの構造の詳細については後述する。
【0037】
反射板ユニット21は、上述したように、係合部Jにおいて、反射板3の突出片3aがカバー1の凹溝1aの内部に嵌入される際、遊びをもった状態で、カバー1と反射板3とが係合している。これにより、カバー1が反射板3に対して相対的にスライドすることができるようになっている。従って、反射板ユニット21の組立てを簡単にすることが可能となる。一方、組み上がった反射板ユニット21では、係合部Jにおいて、遊びをもった状態で、カバー1と反射板3とが係合しているため、係合部Jに外力を加えた場合、反射板3の突出片3aがカバー1の凹溝1aの内部でスライド移動する。特に、カバー1および反射板3は樹脂で成形されているため、係合部Jに外部から力が加わると、反射板3の突出片3aがカバー1の凹溝1aの内部で容易にスライド移動することになる。このため、反射板ユニット21に捻るような力を加えれば、係合部J内で反射板3の突出片3aがカバー1の凹溝1aの内部でスライドするので、当該反射板ユニット21を容易に捻ることができる。係合部Jは、反射板3からカバー1が落下しない構造となっているものの、反射板ユニット21が容易に捻れるため、当該反射板ユニット21は剛性が不足しているといえる。
【0038】
そこで、本実施形態では、反射板ユニット21の剛性不足を解消するために、反射板3の突出片3aがカバー1の凹溝1aの内部で簡単にスライド移動しないように、係合部Jにおいて、反射板3とカバー1とを溶着固定する。以下に、溶着固定する箇所、溶着固定する部位の構造等について説明する。
【0039】
(溶着固定箇所)
図8は、反射板ユニット21の斜視図である。なお、本実施形態では、
図8に示すように、固定箇所(溶着部m)は、反射板ユニット21の長手方向両端部側におけるそれぞれの両側部と、長手方向ほぼ中央における両側部に設定されている。すなわち、反射板ユニット21において反射板3とカバー1とを溶着固定する溶着部mは6箇所となる。このように、反射板ユニット21の係合部Jにおいて、上述した6箇所においてカバー1と反射板3とを溶着固定することで、反射板3の突出片3aがカバー1の凹溝1aの内部でスライド移動しないようにできる。これにより、反射板ユニット21に捻るような力を加えても、反射板3の突出片3aがカバー1の凹溝1aの内部でスライド移動しないので、当該反射板ユニット21を捻ることができない。このように、反射板ユニット21における6箇所で、カバー1と反射板3とを溶着固定するだけで、当該反射板ユニット21の剛性を高めることができる。しかしながら、反射板3の突出片3aがカバー1の凹溝1aの内部でスライド移動しないようにするための溶着部mの箇所は、上述のように6箇所に限定されるものではなく、反射板ユニット21の大きさや、カバー1および反射板3の素材に応じて適宜設定すればよい。
【0040】
(溶着固定構造)
図9は、反射板ユニット21における溶着固定箇所の係合部Jの溶着部m付近の拡大断面図である。溶着固定箇所の係合部Jは、
図9に示すように、反射板3とカバー1との間に設けられた隙間Gに溶着剤Wが流し込まれる構造となっている。隙間Gは、カバー1の凹溝1aと反射板3の突出片3aとが係合した状態で、カバー1の凹溝1aにおける反射板3に対向する対向面1bと、反射板3におけるカバー1に対向する対向面3bとの間に形成された空間である。このように、係合部Jでは、隙間Gを垂直方向と水平方向の両方(複数の面)で設け、簡単かつ確実に両方を溶着できる構造となっている。このため、係合部Jは、隙間Gに流し込む溶着剤Wが多くても、当該係合部Jからカバー1と反射板3とで形成された空間(内部)にこぼれにくい(内部に進入しにくい)構造となっている。本実施形態では、反射板3とカバー1を組み立てた後、サイドカバー2をねじで固定することで、垂直方向と水平方向の両方に隙間Gが確実にできるようにしている。
【0041】
隙間Gに溶着剤Wを流し込むまでの手順は、以下のようになる。まず、反射板3とカバー1を組立て、次に、サイドカバー2をねじで固定することで、垂直方向と水平方向の両方に隙間Gを設け、この設けた隙間Gに溶着剤Wを流し込む。このようにして隙間Gに流し込まれた溶着剤Wによって反射板3とカバー1とが固着される。ここで、隙間Gに溶着剤Wが流し込まれて、反射板3とカバー1とが溶着固定された部分を、溶着部mとする。このように、カバー1と反射板3とを溶着固定すれば、互いに溶解した状態で固着されるため、接着固定のように接着剤を介して部材同士を固着する場合に比べて、固着強度を高めることができる。さらに、溶着剤Wは、接着剤に比べて粘度が小さいため、隙間Gに流し込んでも直ぐに固着しないで、当該隙間Gの奥の方まで流れるため、より広い面積で固着部mを形成することができ、固着強度を高めることができる。
【0042】
溶着剤Wとして、本実施形態では例えばメチレンクロライド(塩化メチレン)を使用する。溶着剤Wとして、メチレンクロライド(塩化メチレン)に限定されるものではないが、溶着対象となるカバー1や反射板3の材料に応じて、溶解力が高く、且つ、乾燥性の高い溶着剤であればよい。
【0043】
<変形例1>
図10は、変形例1の係合部J1の溶着部m付近の断面図である。係合部J1におけるカバー1と反射板3との係合状態は、
図10に示すように、
図9に示す係合部Jとほとんど変らないが、溶着剤Wを隙間Gに流し込む入口部分のカバー1の対向面1bの上流部1cにRを持たせている点で異なる。このように、カバー1の対向面1bの上流部1cにRを持たせていることで、溶着剤Wを隙間Gに流し込み易くなる。すなわち、隙間Gは、
溶着剤Wが流し込まれる入口部分である上流部1cが隙間Gの他の部分よりも広く形成されている。これにより、隙間Gに対して溶着に必要な適切な量の溶着剤Wを注入することが可能となるので、カバー1と反射板3との溶着固定を確実に行うことができる。このように、カバー1と反射板3との溶着固定を確実に行うことで、反射板ユニット21の剛性を確実に高めることができる。
【0044】
<変形例2>
図11は、変形例2の係合部J2の断面図である。係合部J2におけるカバー1と反射板3との係合状態は、
図11に示すように、
図9に示す係合部Jとほとんど変らないが、カバー1の対向面1bと反射板3の対向面3bの表面形状が異なる。つまり、カバー1の対向面1bと反射板3の対向面3bはそれぞれ、
図9に示す係合部Jでは平らであったが、
図11に示す係合部J2では断面略鋸歯状に形成されている。これにより、カバー1の対向面1bと反射板3の対向面3bにおける表面積が大きくなり、その結果、隙間Gの長さも長くなるため、溶着剤Wを多く注入することが可能となる。従って、カバー1の対向面1bと反射板3の対向面3bとを溶着固定したときの強度(溶着強度)を高めることが可能となる。このように、カバー1と反射板3との溶着強度を高めることができれば、反射板ユニット21の係合部J2における溶着箇所を減らすことが可能となる。例えば、
図8に示す反射板ユニット21のように、溶着箇所を6箇所とした場合の剛性と同程度の剛性を維持しながら、係合部J2における溶着箇所を減らすことが可能となる。
【0045】
なお、カバー1の対向面1bと反射板3の対向面3bの両方を断面略鋸歯状にする必要はなく、一方の対向面のみ断面略鋸歯状にしてもよい。また、カバー1の対向面1bと反射板3の対向面3bのそれぞれの表面積を大きくする構成であれば、表面形状として、断面略鋸歯状に限定されるものではなく、他の形状であってもよい。
【0046】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0047】
なお、本実施形態では、前記実施形態1の照明装置101が備える反射板ユニット以外同じ構成であるので、反射板ユニットのみ説明し、他の構成についての説明は省略する。
【0048】
(反射板ユニット)
図12は、本実施形態に係る反射板ユニット121の係合構造を示す断面図である。
図13は、
図12に示す反射板ユニット121の要部を拡大した拡大断面図である。
【0049】
図12に示すように、反射板ユニット121は、前記実施形態1の反射板ユニット21とほぼ同じ構成であり、異なるのは、反射板3のLED実装基板4を搭載している面(表面3c)に高反射層(高反射材)81が形成されている点である。
【0050】
高反射層81は、高反射材で形成され、反射板3の表面3cにおけるLED実装基板4の搭載面を除く領域に設けられている。高反射層81は、高反射材と、反射板3を作製するための樹脂とを2層にして押出成型することで形成される。
【0051】
このように、高反射層81を反射板3の表面3cに形成することで、カバー1内部で反射したLED4aが発光した光を当該高反射層81によって反射することになり、反射板ユニット121内部でLED4aが発光した光の反射を効率よく繰り返すことができる。これにより、反射板ユニット121は、LED4aが発光した光を効率良く、均一に照射することが可能となる。
【0052】
高反射層81は、反射板3上に形成されている。これにより、反射板3は、全光束透過率の低い安価な樹脂材料で形成することができる。ところで、高反射層81は、光が透過するため、光を効率良く反射するためにある程度の厚みを持たせる必要がある。しかしながら、高反射層81の下には全光束透過率の低い安価な樹脂材料で形成された反射板3が存在しているため、反射板3が光の透過を抑える。このため、高反射層81を厚くしなくても光を効率良く反射させることができる。この結果、反射板3を高反射材で全て形成した場合に比べて、高価な材料である高反射材の使用量が少なくて済むので、反射板ユニット121の製造コストを抑えることができる。
【0053】
また、
図13に示すように、高反射層81のLED実装基板4側の端部81aが、反射板3のLED実装基板4の保持部である凹部3d側に少し突出するように当該高反射層81を形成してもよい。このように、高反射層81の端部81aがLED実装基板4側に突出していることで、当該LED実装基板4を反射板3から外れ難くすることが可能となる。
【0054】
なお、本実施形態では、2層押出し成型で高反射層81と反射板3と一体的に形成した例について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば高反射層81と反射板3とを別々に形成し、反射板3上に高反射層81を貼り付けるようにしてもよい。
【0055】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る反射板ユニットは、光源(LED4a)を実装した光源実装部(LED実装基板4)を保持するための保持部(凹部3d)が形成され、前記光源(LED4a)から出射される光を反射する反射板3と、前記反射板3における、前記保持部(凹部3d)側を被覆するカバー1と、前記反射板3と前記カバー1とがスライド移動することで互いに係合する係合部Jと、を含み、前記係合部Jにおいて、前記反射板3と前記カバー1とが溶着固定されている。
【0056】
上記構成によれば、係合部において反射板とカバーとが溶着固定されていることで、反射板とカバーとがスライド移動できないようにできる。これにより、係合部において反射板とカバーとをスライド移動させるような応力が当該係合部に作用しても反射板とカバーがスライド移動できないので、例えば反射板ユニットを捻ろうとしても、当該反射板ユニットを容易に捻ることができない。このように、係合部において反射板とカバーとを溶着固定するだけで、反射板ユニットの剛性を簡単に高めることができる。しかも、反射板ユニットを製造する際には、別々に設けた反射板とカバーとをスライド移動させるだけなので、反射板に光源を実装した光源実装基板を取付けてから、カバーをすることができる。従って、組立て易く、且つ、剛性の高い反射板ユニットを実現することができる。
【0057】
本発明の態様2に係る反射板ユニットは、上記態様1において、前記係合部Jは、前記カバー1の両端のそれぞれに、当該カバー1の外側に向う向きに開口するように形成された凹溝1aと、前記反射板3の両端のそれぞれに、当該反射板3の中央に向かう向きに突出するように形成され、前記凹溝1aの内部に嵌入された突出片3aと、で構成されていてもよい。
【0058】
上記構成によれば、係合部において、突出片を凹溝に嵌入した状態で反射板とカバーとが溶着固定されていることで、反射板ユニットを捻る際に生じる応力によって反射板とカバーとを係合部においてスライドできないようにできるので、反射板ユニットが捻り難くなる。従って、反射板ユニットの剛性を高めることができる。これにより、反射板ユニットの捻れを防止し、捻れに伴う光源実装基板の変形を防止することができるので、反射板ユニットの品質を向上させることができる。
【0059】
本発明の態様3に係る反射板ユニットは、上記態様2において、前記係合部Jには、前記突出片3aが前記凹溝1aに嵌入された状態で、前記反射板3と前記カバー1とが溶着固定された溶着部mが形成されていてもよい。
【0060】
本発明の態様4に係る反射板ユニットは、上記態様3において、前記係合部Jにおける前記反射板3と前記カバー1との間に形成され、溶着剤Wを流し込むための隙間Gは、前記溶着剤Wが流し込まれる上流部1cが当該隙間Gの他の部分よりも広く形成されていてもよい。
【0061】
上記構成によれば、溶着剤を隙間に流し込み易くなるため、溶着固定する工程を短縮することができる。
【0062】
本発明の態様5に係る反射板ユニットは、上記態様3または4において、前記隙間Gは、前記溶着剤Wが流し込まれる部分における、前記反射板3と前記カバー1とが対向する面(対向面3b、対向面1b)の少なくとも一方の面は断面略鋸歯状に形成されていてもよい。
【0063】
上記構成によれば、溶着部における溶着面積を大きくすることができるので、溶着部における溶着固定をより強固なものにすることができる。
【0064】
本発明の態様6に係る反射板ユニットは、前記態様1~5のいずれか1態様において、前記係合部Jにおける、前記反射板3と前記カバー1とを溶着固定する箇所は、前記反射板3の長手方向両端部側と、前記反射板3の長手方向中央部側であってもよい。
【0065】
上記構成によれば、係合部における溶着固定箇所は、当該係合部における、反射板の長手方向両端部側と、反射板の長手方向中央部側の合計6箇所となるので、溶着剤の使用量が少なくて済む。しかも、6箇所のみの溶着剤の注入で済むため、係合部の全域に溶着剤を注入するよりも、溶着工程を速く済ませることができる。
【0066】
本発明の態様7に係る反射板ユニットは、前記態様1~6のいずれか1態様において、前記反射板3における前記保持部(凹部3d)側の面(表面3c)に、高反射材(高反射層81)が形成されていてもよい。
【0067】
上記構成によれば、反射板における光源実装基板が保持される側の面に、高反射材が形成されていることで、光源実装基板に実装された光源が発光した光がカバーによって反射された光を効率よく反射することを可能する。つまり、カバー内部で反射した光を高反射材によって反射することになり、反射板ユニット内部で光源が発光した光の反射を効率よく繰り返すことができる。これにより、反射板ユニットは、光源が発光した光を効率良く、均一に照射することが可能となる。
【0068】
本発明の態様8に係る反射板ユニットは、前記態様7において、前記高反射材(高反射層81)は、前記保持部(凹部3d)に前記光源実装部(LED実装基板4)を保持したときの前記光源(LED4a)が実装された部分を少なくとも除いた領域を覆うように形成されていてもよい。
【0069】
上記構成によれば、反射板における光源以外の領域に高反射材が形成されていることになるので、反射板ユニットは光源が発光した光をさらに効率良く、均一に照射することが可能となる。
【0070】
本発明の態様9に係る反射板ユニットは、前記態様8において、前記高反射材(高反射層81)の端部81aは、前記反射板3の保持部(凹部3d)側に突出していてもよい。
【0071】
上記構成によれば、高反射材の光源実装基板側の端部が、反射板の光源実装基板の搭載部分に突出していることで、光源実装基板が反射板から外れ難くすることが可能となる。
【0072】
本発明の態様10に係る反射板ユニットは、前記態様1~9のいずれか1態様において前記反射板3と前記カバー1は、樹脂で形成されていてもよい。
【0073】
上記構成によれば、反射板、カバーともに押出し成型で形成することができるため、所望の形状の反射板、カバーを容易に得ることができる。しかも、反射板とカバーとが樹脂で形成されていることで、反射板ユニットの計量化を図ることができる。従って、計量で、且つ剛性の高い反射板ユニットを実現することができる。
【0074】
本発明の態様11に係る照明装置は、前記態様1~10のいずれか1態様の反射板ユニット21を含む光源格納部20と、前記光源格納部20に取付けられ、電源部を格納する電源格納部30と、を備えている。
【0075】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 カバー
1a 凹溝
1b、3b 対向面
1c 上流部
2 サイドカバー
3 反射板
3a 突出片
3c 表面
3d 凹部(保持部)
4 LED実装基板(光源実装部)
4a LED(光源)
6 落下防止ヒモ
7 本体シャーシ
8 電源部
9 電源端子台
10 調光端子台
11A 開口部
19 スポンジ
20 光源格納部
21、121 反射板ユニット
30 電源格納部
31 解除穴
32 ノックアウト
33 突起
34 突出部
35 取付穴
36 配線穴
39 第1配線
49 第2配線
50 接続部材
81 高反射層(高反射材)
81a 端部
101 照明装置
361 絶縁キャップ
391、491 コネクタ
J、J1、J2 係合部
W 溶着剤
m 溶着部