(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】排ガス後処理システム
(51)【国際特許分類】
F01N 3/24 20060101AFI20240930BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20240930BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
F01N3/24 N ZAB
B01D53/94 400
F01N3/08 B
(21)【出願番号】P 2020529499
(86)(22)【出願日】2018-12-03
(86)【国際出願番号】 AT2018060281
(87)【国際公開番号】W WO2019104364
(87)【国際公開日】2019-06-06
【審査請求日】2021-11-26
【審判番号】
【審判請求日】2023-12-27
(32)【優先日】2017-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(31)【優先権主張番号】PCT/AT2018/060272
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】597083976
【氏名又は名称】アー・ファウ・エル・リスト・ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】AVL LIST GMBH
【住所又は居所原語表記】HANS-LIST-PLATZ 1,A-8020 GRAZ,AUSTRIA
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】オベナウス,トーマス
【合議体】
【審判長】河端 賢
【審判官】山本 信平
【審判官】青木 良憲
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-056336(JP,A)
【文献】特開2003-314247(JP,A)
【文献】特開2008-274850(JP,A)
【文献】特表2002-522685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/08
F01N 3/24
B01D53/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの第一の後処理エレメン
ト及び第二の後処理エレメン
トを備える内燃機関のための排ガス後処理システ
ムであって、
前記第一の後処理エレメン
トは、第一の入口領
域と第一の出口領
域とを有し、
前記第二の後処理エレメン
トは、第二の入口領
域と第二の出口領
域とを有し、
前記第一の出口領
域は、少なくとも一つの接続区
間を介して前記第二の入口領
域と接続されており、
前記接続区
間は、前記第一の後処理エレメン
トの外側を通っている排ガス後処理システムにおいて、
少なくとも前記第一の入口領
域及び前記第二の入口領
域の一部は、共通のディストリビュータハウジン
グ内に配置されており、
前記第一の入口領域及び前記第二の入口領域は、少なくとも一つの隔壁によって区切られており、
前記隔壁は、少なくとも一つの通過開口部を有する、
ことを特徴とする、排ガス後処理システム。
【請求項2】
少なくとも一つの第一の後処理エレメント及び第二の後処理エレメントを備える内燃機関のための排ガス後処理システムであって、
前記第一の後処理エレメントは、第一の入口領域と第一の出口領域とを有し、
前記第二の後処理エレメントは、第二の入口領域と第二の出口領域とを有し、
前記第一の出口領域は、少なくとも一つの接続区間を介して前記第二の入口領域と接続されており、
前記接続区間は、前記第一の後処理エレメントの外側を通っている排ガス後処理システムにおいて、
少なくとも前記第一の入口領域及び前記第二の入口領域の一部は、共通のディストリビュータハウジング内に配置されており、
前記第一の入口領域及び前記第二の入口領域は、少なくとも二つの隔壁によって区切られており、
前記隔壁は、前記第一の入口領域と前記第二の入口領域との間で少なくとも一つの調整空間の境をなす、
ことを特徴とする、排ガス後処理システム。
【請求項3】
前記ディストリビュータハウジン
グは、ハウジング外
被を有し、該ハウジング外被内に
前記隔
壁が取り付けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の排ガス後処理システ
ム。
【請求項4】
少なくとも、前記第一の後処理エレメン
トの第一の外
被、前記第二の後処理エレメン
トの第二の外
被、及び前記ディストリビュータハウジン
グは、実質的に一体的に仕上げられていることを特徴とする、請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の排ガス後処理システ
ム。
【請求項5】
前記ディストリビュータハウジン
グは、第一の流入開口
部ないし第二の流入開口
部を有し、かつ、その少なくとも一方がハウジング外
被に半径方向に配置されていることを特徴とする、請求項3又は4に記載の排ガス後処理システ
ム。
【請求項6】
前記第一の流入開口
部及び前記第二の流入開口
部は、前記ハウジング外
被に実質的に正反対に配置されていることを特徴とする、請求項5に記載の排ガス後処理システ
ム。
【請求項7】
前記隔
壁は、少なくとも一つの通過開口
部を有することを特徴とする、請求項
2に記載の排ガス後処理システ
ム。
【請求項8】
前記通過開口
部は、フラッ
プによって閉塞可能であることを特徴とする、請求項
1又は7に記載の排ガス後処理システ
ム。
【請求項9】
少なくとも一つの
前記隔
壁が、少なくとも区間毎に、実質的に平坦に広がることを特徴とする、請求項
1から
8のうちのいずれか一項に記載の排ガス後処理システ
ム。
【請求項10】
少なくとも一つの
前記隔
壁が、少なくとも一つの流れ方向に湾曲して広がることを特徴とする、請求項
1から
9のうちのいずれか一項に記載の排ガス後処理システ
ム。
【請求項11】
少なくとも一つの
前記隔
壁が、少なくとも一つの屈曲
角を有することを特徴とする、請求項
1から1
0のうちのいずれか一項に記載の排ガス後処理システ
ム。
【請求項12】
前記第一の後処理エレメン
ト及び前記第二の後処理エレメン
トは、同軸上に相前後して配置されていることを特徴とする、請求項1から1
1のうちのいずれか一項に記載の排ガス後処理システ
ム。
【請求項13】
前記接続区
間は、少なくとも区間毎に混合区間として仕上げられていることを特徴とする、請求項1から1
2のうちのいずれか一項に記載の排ガス後処理システ
ム。
【請求項14】
前記混合区間は、好ましくは尿素を噴射するための、噴射装置を有していることを特徴とする、請求項1
3に記載の排ガス後処理システ
ム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも一つの第一の後処理エレメント及び第二の後処理エレメントを備える内燃機関のための排ガス後処理システムであって、前記第一の後処理エレメントは、第一の入口領域と第一の出口領域とを有し、前記第二の後処理エレメントは、第二の入口領域と第二の出口領域とを有し、前記第一の出口領域は、少なくとも一つの接続区間を介して前記第二の入口領域と接続されており、前記接続区間は、前記第一の後処理エレメントの外側を通っている排ガス後処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の排ガスの後処理のための排ガス後処理システムは、現在ほとんどの新型車両に搭載されている。これら車両では、特に微粒子フィルタ又はキャタライザのような、さまざまな後処理エレメントのほとんどが、相前後して接続されており、必要に応じて個々のユニットの間で排ガスにさらに添加剤が加えられて混合される。これは混合区間において、噴射により実行される。この種の後処理エレメントは普通、触媒の性質を持つか、又は当該気体をそれ以外の方法で化学的に変化させる担持体を有しており、及び当該担持体を取り囲む外被を備えている。必要に応じて当該外被は入口領域又は出口領域を区切っており、これら領域は主としてガスを給送又は排出する役割を果たす。
【0003】
米国特許出願公開第2015/0037219号明細書には、混合区間を介して接続されている二つのキャタライザを有する排ガス後処理システムが開示されている。当該第一のキャタライザの入口領域及び当該第二のキャタライザの入口領域は直接隣接している。当該混合区間は、当該第一のキャタライザのみ又は当該第二のキャタライザのみに案内される。不都合には、これによって少なくとも一つのキャタライザが環状に仕上げられる必要があり、そのために環流断面積が縮小されてしまう。これを補うために、円筒形のシステムの必要な断面積を拡大する必要がある。さらに、当該混合区間を内部で案内する仕様は、製造に手間がかかり費用が高くなる。
【0004】
欧州特許出願公開第2868882号明細書では、やはり二つのキャタライザを有しており、この場合混合区間は当該キャタライザの外に案内される排ガス後処理システムが公知である。当該キャタライザは相並んで配置されており、その入口領域は互いに離れているため、混合区間のために十分なスペースが確保される。これによって製造が簡単になるという利点はあるが、このようなシステムは、特に当該入口領域及び出口領域で、不利な配置によって多くのスペースが失われるため、非常にスペースが必要である。さらに不利なことには、当該キャタライザが熱的に切り離されており、それにより暖め時間が比較的長くなる。その上、二つのキャタライザは互いに別々に固定される必要がある。別々に形成することにより、構成部品の剛性に、及びそれによって疲労強度に、不利に作用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許出願公開第2015/0037219号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2868882号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、製造が容易で、可能な限りコンパクトな排ガス処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、本発明により、少なくとも当該第一の入口領域及び当該第二の入口領域の一部は、共通のディストリビュータハウジング内に配置されていることで解決される。
【0008】
接続区間が、当該第一の後処理エレメントの外側を通っていることにより、少なくとも当該第一の入口領域及び当該第二の入口領域の一部が、共通のディストリビュータハウジング内に配置される場合、非常に頑丈な実施形態が可能になる。同時に、この種のシステムは、接続区間を当該後処理エレメントの内部に備える必要がないため、簡単に製造できる。しかし、当該接続区間を外部で案内することにより、入口領域が隣同士であることで、スペースが節約できるため、スペースが必要になることはない。同時に、当該接続区間を追加的に加熱することなく、当該第一の入口領域から当該第二の入口領域へ直接の熱伝達がなされ得る。これによって、当該排ガス後処理システムの暖め過程が加速される。
【0009】
好ましくは、当該後処理エレメントは、当該隣接する入口領域が当該後処理エレメントの間にあり、並びに当該第一の出口領域が当該第二の後処理エレメントから遠い点に、及び当該第二の出口領域が当該第一の後処理エレメントから遠い点に配置されるよう、配設される。このような実施形態では、理想的には当該接続区間がハウジングの外で、当該第一の後処理エレメントに沿って、例えばそれに平行に案内され、そのことによって特に細い構造になり、及び製造が簡単な構造になる。
【0010】
本発明の範囲では、当該ディストリビュータハウジングは、特に、その中を通って又はその中で、第一の及び第二の流入領域がそれぞれ断面積が小さい領域から断面積が大きい領域へと配分されるハウジングであると理解できる。特に好ましくは、当該ディストリビュータハウジングは、特に、直接当該第一の後処理エレメント及び/又は当該第二の後処理エレメントと、例えば材料結合により接続される。当該ディストリビュータハウジング及び当該第一の及び第二の後処理エレメントは、一体構造で形成され及び/又は製造される場合にも有利であり得る。いずれにせよ、当該ディストリビュータハウジングが直接当該第一の及び/又は第二の後処理エレメントに接続されている場合、有利である。当該ディストリビュータハウジング内で流れを二つ以上の流れに分割することは、特に企図されない。当該ディストリビュータハウジングは、領域の断面積変更及び/又は流れの迂回のためにのみ企図され及び形成される場合好都合である。
【0011】
有利には、当該第一の入口領域及び当該第二の入口領域は、少なくとも一つの隔壁によって区切られている。こうして領域の分離は、直接隣同士であること及び熱的な連結がある状態で達成され得る。さらに、当該隔壁を備えた当該ディストリビュータハウジングが、当該各入口領域を通って当該第一の及び当該第二の後処理エレメントに同時に貫流可能なように形成されることも企図される。
【0012】
好ましい一実施形態では、当該ディストリビュータハウジングは、ハウジング外被を有し、該ハウジング外被内に隔壁が取り付けられている。このことは、当該ハウジング外被構造及び隔壁構造が適切に選択された場合に、当該入口領域間で特に優れた熱伝達も可能になり、可能な限り頑丈で強固な及び省スペースの構造が得られる、という利点がある。さらに、当該隔壁の形状及び配置は自由に選択され得、及びこれによってガスの流れ特性に影響が与えられ得る。このような実施形態の製造は非常に簡単である。なぜなら最初に当該ハウジング外被を製造し、そのあとで隔壁が取り付けられ得るからである。当該ハウジング外被は、好ましくは当該後処理エレメントと直接接続されている。
【0013】
少なくとも、当該第一の後処理エレメントの第一の外被、当該第二の後処理エレメントの第二の外被、及び当該ディストリビュータハウジングが、実質的に一体的に仕上げられている場合、さらに製造の容易さに有利である。例えば当該担持体が一体構造のピースが製造された後にその中に取り付けられ、及び当該接続区間、好ましくは当該第一の出口領域と共に、後から取り付けられ、特に好ましくは溶接される。しかしながら、当該排ガス後処理システムのさらに多くの部品が一体的に仕上げられることも有意義であり得る。製造が容易であるという理由で、当該排ガス後処理システムの大部分を一体的に仕上げ、及び必要に応じて企図されている隔壁を後から取り付けることも有利である。本発明の範囲では、一体的の仕様とは、当該三つのハウジングを材料結合することであると理解できる。
【0014】
好ましくは、当該ディストリビュータハウジングは実質的に円筒形状のハウジング外被を有している。その際、特に好ましくは、第一の及び第二の流入開口部が当該ハウジング外被に配置されていることが企図され得る。非常に好ましくは、当該流入開口部が互いに向かい合って配置されている。
【0015】
好ましい、省スペースの一実施態様では、当該ディストリビュータハウジングは、第一の流入開口部ないし第二の流入開口部を有し、かつ、その少なくとも一方がハウジング外被に半径方向に配置されている。当該半径方向に配置されている第一の又は第二の流入開口部は、他の流入開口部に対してずらして配置されていることが企図され得る。それに応じて、当該ディストリビュータハウジングは、第一の流入開口部又は第二の流入開口部も備えていてよく、その際当該二つの流入開口部のうち少なくとも一つが当該ハウジング外被に接線方向に配置されている。
【0016】
好ましくは、当該第一の流入開口部及び当該第二の流入開口部は、当該ハウジング外被に実質的に正反対に配置されている。このことは、当該ハウジング外被の製造、及び隣接している構成部品の後からの溶接又はその他の取り付けを容易にする。これら構成部品とは、例えば当該接続区間又は当該排ガス後処理システムに排ガスを供給する排ガス流入管などである。
【0017】
当該第一の入口領域と当該第二の入口領域との間に配置された、少なくとも一つの隔壁が備えられている場合、排ガス流の形状及び正確に配置することだけでなく、例えば当該入口領域間の熱伝達能力のような、当該排ガス後処理システムの他の特性によっても、影響が与えられ得る。その際、原則としてさまざまな実施形態が考えられるが、当該隔壁の有利な実施形態は、少なくとも一つの通過開口部を有する。これにより、当該第一の入口領域及び当該第二の入口領域が流れ連結されており、それにより二つの入口領域間でガス交換が可能になる。これは、当該第二の後処理エレメントの暖め段階に必要な時間を短縮し得る流れの短縮を作り出し得るので、有利である。当該通過開口部の設計形状及び個数は、さまざまに選択可能である。
【0018】
当該通過開口部は、フラップによって閉塞可能である場合、当該第一の入口領域と当該第二の入口領域との流れ連結が必要に応じて回避されるか、又は制限されるか、又は当該通過開口部の大きさが調整されることが可能になる。特に、当該フラップの位置が外部から調整可能である場合は、作動中に当該フラップのポジションをその時点に存在する条件に基づいて変更可能でさえある。
【0019】
有利には、少なくとも二つの隔壁が備えられ、該隔壁は、当該第一の入口領域と当該第二の入口領域との間で少なくとも一つの調整空間の境をなす。これにはさまざまな利点がある。一方で、このことは、当該入口領域を向いた側の、当該隔壁表面形状の最適化のために有利であり得る。なぜなら、当該隔壁は薄く仕上げることは有利であり得るが、当該第一の入口領域及び当該第二の入口領域を隔壁だけで所望の形状又は寸法にすることはできず、二つの隔壁を取付けることで所望の形状を実現できるからである。他方で、当該第一の入口領域と当該第二の入口領域との間の熱伝達特性曲線の調節を行うために、複数の隔壁を取り付け得る。その際、少なくとも部分的に調整空間の換気又は調整空間同士の結合を可能にするために、通過開口部が少なくとも一つの隔壁内に備えられることも有利であり得る。
【0020】
特に単純で効果的な実施形態は、少なくとも一つの隔壁は、少なくとも区間毎に、実質的に平坦に広がる。その際に、辺縁部には、当該隔壁を当該ハウジング外被に固定するために、折れ部が備えられ得るが、これが流れ特性に影響を与えることはほとんどなく、及びそれゆえに無視できる。どのレベルで平坦に広がるかは、異なった選択が可能である。
【0021】
好ましい一実施態様では、少なくとも一つの隔壁が、少なくとも一つの流れ方向に、特に当該第一の又は第二の入口領域の配置によって決定的に影響される少なくとも一つの主な流れ方向に、湾曲した広がりを有している。湾曲した広がりとは、本願においては当該隔壁の実質的に波状の形状であると理解される。特に当該後処理エレメントの断面積に排ガスを分配することはこれによって回避される。こうして適切に湾曲した形状が、例えば当該流入開口部から遠いなどの理由で供給が不十分になる当該後処理エレメントの部分にも十分に排ガスが供給されることに貢献する。しかし、湾曲した形状の設計によっては、流れの分離や渦流の形成が、具体的に阻止又は低減され得る。
【0022】
同様のことは、少なくとも一つの隔壁が、少なくとも一つの屈曲角を有している場合にも達成され得る。このことは、製造が容易であり、それによって安価な仕様の実現が可能であるという利点を有している。
【0023】
特に有利な、省スペースで細い実施形態では、当該第一の後処理エレメント及び当該第二の後処理エレメントは、同軸上に相前後して配置されている。
【0024】
当該接続区間は、少なくとも区間毎に混合区間として仕上げられていると、当該気体が当該第一と第二の後処理エレメントとの間で集中的に混合され、それによって均質化され得る。特に当該混合区間が、好ましくは尿素を噴射するための、噴射装置を有している場合には、窒素酸化物とアンモニアの還元のような所望の化学反応を引き起こすために、当該気体は追加的に尿素のような別の物質を混合され得る。別法として、噴射装置がすでに当該第二の出口領域にも、好ましくは当該混合区間の直前に配置されてよい。
【0025】
以下において、本発明は限定されていない図に基づいて示された実施例として詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明による排ガス後処理システムの第一の実施形態と内燃機関の斜視図である。
【
図2】本発明による排ガス後処理システムの第二の実施形態の縦断面図である。
【
図3】本発明による排ガス後処理システムの細部の第三の実施形態の縦断面図である。
【
図4】本発明による排ガス後処理システムの細部の第四の実施形態の縦断面図である。
【
図5】本発明による排ガス後処理システムの細部の第五の実施形態の縦断面図である。
【
図6】本発明による排ガス後処理システムの細部の第六の実施形態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1には、内燃機関2と接続されている排ガス後処理システム1が示されている。当該排ガス後処理システム1は、第一の後処理エレメント4及び第二の後処理エレメント5を有し、これらは示された例では車両の用途における作動ポジションにおいて上下に及び垂直に配置されている。さらに、それらは縦軸1aに沿って同軸上に配置されている。当該第一の後処理エレメント4と当該第二の後処理エレメント5の間に第一の入口領域6及び第二の入口領域7が配置されており、これがディストリビュータハウジング3内に配置されている。当該第一の入口領域6は、第一の流入開口部8を有し、この流入開口部が当該内燃機関2とターボチャージャ20を介して接続されている。この接続部を通って、当該第一の入口領域6に排ガスが供給される。作動中に、当該排ガスは、当該第一の入口領域6を通って当該第一の後処理エレメント4に、及び第一の出口領域9を通って接続区間10に送られる。この接続区間10は、必要に応じて気体又は液体の噴射が行われ得、それらが当該排ガスと混合され得る混合区間として仕上げられている。第二の流入開口部12を通って、当該排ガスが当該第二の入口領域7内に、及びさらに当該第二の後処理エレメント5を通って流れ得る。これは最終的に当該第二の出口領域11を通って当該排ガス後処理システム1から、必要に応じて当該排ガスを処理するための別の装置、マフラー又は車両の他のエレメントへ送られる。当該ディストリビュータハウジング3のハウジング外被24、当該第一の流入開口部8、当該第二の流入開口部12、当該第一の後処理エレメント4の第一の外被13及び当該第二の後処理エレメント5の第二の外被14は、一体的に仕上げられ、及び共通のハウジングの一部である。このことは、このような非常に高い剛性が当該排ガス後処理システム1の縦方向の延びに沿って達成され得るため、有利である。そのうえ、当該第一の後処理エレメント4及び当該第二の後処理エレメント5が当該一体的な構成部品内に簡単に取り付けられ得る。そのあとで、当該第二の出口領域11及び当該第一の出口領域9は、当該接続区間10と一緒に溶接され得る。それにより、非常に簡単なやりかたで可能な限りコンパクトかつ頑丈な実施形態が作られる。当該ディストリビュータハウジング3の当該ハウジング外被24は、その際実質的に円筒形の形状を有している。
【0028】
図2には別の一実施形態が断面図で示されている。個々のエレメントの配置は類似しているが、当該第一の後処理エレメント4の当該第一の外被13及び当該第二の後処理エレメント5の当該第二の外被14は当該ディストリビュータハウジング3と一体的に仕上げられていない。これらの部品はそれぞれが溶接によってつなぎ合わされるため、隔壁15は組立前にハウジング外被24内に簡単に取り付け可能である。例えば約15°~75°、特に30°である角度αにおいて、当該排ガス後処理システムの縦軸1aに対して傾斜した当該隔壁15は当該ディストリビュータハウジング3の内部空間を二つの実質的に同じ大きさの部分、すなわち当該第一の入口領域6及び当該第二の入口領域7に分割する。これらは実質的に、傾斜した軸に沿って平坦であり、例外はハウジング外被24へ固定するための折縁及び流れ障害物16である。この流れ障害物16は中央に、及び当該第一の入口領域6に向けて配置されているため、当該第一の流入開口部8を通って当該第一の入口領域6に流入する気体流は、当該流れ障害物16によって渦動される。それにより、当該第一の後処理エレメント4の領域の当該接続区間10付近への排ガス供給を改善し、及び圧力配分の改善を可能にする。
【0029】
図3には、第三の実施形態の部分図が、すなわち当該第一の入口領域6及び第二の入口領域7が示されている。当該隔壁15は、中央に配置されて、旋回自在に支承されたフラップ17を備えた通過開口部22を有し、当該フラップは当該第一の入口領域6と第二の入口領域7との間の接続を作り出す。このフラップ17は、さまざまな開角度にされ得るかまたは閉じられ得る。このことによって、例えば温度のような特定の作動パラメータ又は特定の作動段階に応じて、流入開口部8を通って流入する気体の、直接当該第二の入口領域7に流れ込む比率が調整され得る。別法として、フラップによって閉塞不能の開口部を備えていることも有利であり得る。
【0030】
図4には、第四の実施形態の部分図が示され、ここでは当該隔壁15が湾曲部18を有し、この湾曲部が当該隔壁15と一体的に仕上げられている。側方には、当該湾曲部18は側壁23を有し、それによって、第一の入口領域6と第二の入口領域7との間の直接の接続を作り出す開口部は備えられていない。この有利な一実施形態では、当該第一の後処理エレメント6に流入する排ガスは、当該湾曲部18によって渦動され、混合され及び減速され、それにより、そうでなければ当該第一の後処理エレメント6で気体の供給が不十分な領域にも、十分に貫流される。同時に、これによって生じる当該隔壁15のくぼみは、当該第二の入口領域7の方を向いた側で類似した効果を達成し得る。
【0031】
図5には、第五の実施形態の部分図が示され、ここでは二つの隔壁15a、15bが備えられている。どちらも同じ湾曲した形状を備え、及びその間に調整空間19が区切られている。そのため、二つの隔壁15a、15bは薄く仕上げられ得、それによって複雑な形状であるにもかかわらず簡単に製造及び加工が可能である。当該調整空間19は一方で、当該第一の入口領域6と当該第二の入口領域7との間の温度伝達を変化させる。他方で、当該調整空間19の大きさを選択することで当該第一の入口領域6及び当該第二の入口領域7を縮小できる。
【0032】
図6には、第六の実施形態の部分図が断面図で示され、ここでは当該隔壁15が二つの屈曲角21を有している。各屈曲角21は、示された実施形態では、当該隔壁15の縁との接点から別の縁まで、軸に沿って延びている。これにより、当該第一の入口領域6の当該第一の流入開口部8付近には、比較的大きな第一の主空間6aと比較的小さい第一の副空間6bがあり、又は、当該第二の入口領域7の当該第二の流入開口部12付近には比較的大きな第二の主空間7aと比較的小さい第二の副空間7bが作られている。これによって同様に、第一の後処理エレメント6及び第二の後処理エレメント7の断面上に渦巻及び圧力配分の変化が生じ、しかし同時にこの実施形態は非常に簡単に製造できるため、有利である。