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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20240930BHJP
   E02F 3/43 20060101ALI20240930BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
E02F9/20 M
E02F3/43 C
E02F9/26 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021000713
(22)【出願日】2021-01-06
(65)【公開番号】P2022106036
(43)【公開日】2022-07-19
【審査請求日】2023-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000005522
【氏名又は名称】日立建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】野井 剛志
(72)【発明者】
【氏名】手原 怜
【審査官】佐久間 友梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-165259(JP,A)
【文献】特開2017-166232(JP,A)
【文献】国際公開第2019/189939(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0166156(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/43
E02F 9/20
E02F 9/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体と、前記車体に回動可能に連結されたブーム、前記ブームに回動可能に連結されたアーム、及び前記アームに回動可能に連結されたアタッチメントを有する作業装置とを備えた建設機械において、
前記ブームを回動させるためのブームシリンダの状態量を検出するブームシリンダセンサと、
前記ブームの前後方向の傾斜角及び左右方向の傾斜角を検出する第1の慣性計測装置と、
前記アームの前後方向の傾斜角を検出する第2の慣性計測装置と、
前記アタッチメントの前後方向の傾斜角を検出する第3の慣性計測装置と、
前記作業装置の姿勢を演算するコントローラとを備え、
前記コントローラは、
前記ブームシリンダセンサで検出された前記ブームシリンダの状態量が、前記ブームの最上げ状態を検知するために予め設定された閾値以上である場合に、前記第1の慣性計測装置で検出された前記ブームの前後方向の傾斜角及び左右方向の傾斜角と、予め記憶された前記ブームの最大回動角とを用いて、前記車体の前後方向の傾斜角を演算して記憶すると共に、前記第1の慣性計測装置で検出された前記ブームの左右方向の傾斜角を、前記車体の左右方向の傾斜角として記憶し、
前記記憶された前記車体の前後方向の傾斜角及び左右方向の傾斜角と、前記第1の慣性計測装置で検出された前記ブームの前後方向の傾斜角と、前記第2の慣性計測装置で検出された前記アームの前後方向の傾斜角と、前記第3の慣性計測装置で検出された前記アタッチメントの前後方向の傾斜角とに基づいて、前記作業装置の姿勢を演算することを特徴とする建設機械。
【請求項2】
請求項1に記載の建設機械において、
前記ブームシリンダセンサは、前記ブームシリンダのボトム側の圧力を検出するボトム側圧力センサであることを特徴とする建設機械。
【請求項3】
請求項1に記載の建設機械において、
前記ブームシリンダセンサは、前記ブームシリンダのストロークを検出するストロークセンサであることを特徴とする建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械に係わり、詳細には、ブーム、アーム、及びアタッチメントを有する作業装置を備えた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械の一つである油圧ショベルは、一般的に、自走可能な下部走行体と、下部走行体の上側に旋回可能に設けられた上部旋回体とを備えており、下部走行体及び上部旋回体が車体を構成している。上部旋回体には、作業装置が連結されている。作業装置は、上部旋回体に回動可能に連結されたブームと、ブームの先端側に回動可能に連結されたアームと、アームの先端側に回動可能に連結されたバケット(アタッチメント)とを備える。
【0003】
特許文献1の油圧ショベルは、車体の前後方向の傾斜角(絶対角)及び左右方向の傾斜角(絶対角)を検出する第1の慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)と、ブームの前後方向の傾斜角(絶対角)を検出する第2の慣性計測装置と、アームの前後方向の傾斜角(絶対角)を検出する第3の慣性計測装置と、バケットの前後方向の傾斜角(絶対角)を検出する第4の慣性計測装置と、コントローラとを備える。
【0004】
コントローラは、4つの慣性計測装置の検出結果に基づいて作業装置の姿勢(詳細には、例えば、車体に対するブームの回動角、ブームに対するアームの回動角、及びアームに対するバケットの回動角など)を演算する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2019/189939号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来技術では、作業装置の姿勢を取得するために、高価な慣性計測装置を4つ備える。そのため、コスト高である。本発明の目的は、コストを低減しつつ、作業装置の姿勢を取得することができる建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、車体と、前記車体に回動可能に連結されたブーム、前記ブームに回動可能に連結されたアーム、及び前記アームに回動可能に連結されたアタッチメントを有する作業装置とを備えた建設機械において、前記ブームを回動させるためのブームシリンダの状態量を検出するブームシリンダセンサと、前記ブームの前後方向の傾斜角及び左右方向の傾斜角を検出する第1の慣性計測装置と、前記アームの前後方向の傾斜角を検出する第2の慣性計測装置と、前記アタッチメントの前後方向の傾斜角を検出する第3の慣性計測装置と、前記作業装置の姿勢を演算するコントローラとを備え、前記コントローラは、前記ブームシリンダセンサで検出された前記ブームシリンダの状態量が、前記ブームの最上げ状態を検知するために予め設定された閾値以上である場合に、前記第1の慣性計測装置で検出された前記ブームの前後方向の傾斜角及び左右方向の傾斜角と、予め記憶された前記ブームの最大回動角とを用いて、前記車体の前後方向の傾斜角を演算して記憶すると共に、前記第1の慣性計測装置で検出された前記ブームの左右方向の傾斜角を、前記車体の左右方向の傾斜角として記憶し、前記記憶された前記車体の前後方向の傾斜角及び左右方向の傾斜角と、前記第1の慣性計測装置で検出された前記ブームの前後方向の傾斜角と、前記第2の慣性計測装置で検出された前記アームの前後方向の傾斜角と、前記第3の慣性計測装置で検出された前記アタッチメントの前後方向の傾斜角とに基づいて、前記作業装置の姿勢を演算する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、コストを低減しつつ、作業装置の姿勢を取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態における油圧ショベルの構造を表す側面図である。
図2】本発明の一実施形態における油圧ショベルの駆動装置の構成のうち、ブームシリンダに係わる構成を表す油圧回路図である。
図3】本発明の一実施形態における支援装置の構成を表すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態におけるコントローラの処理手順を表すフローチャートである。
図5】本発明の一変形例における支援装置の構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の適用対象として油圧ショベルを例にとり、本発明の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
図1は、本実施形態における油圧ショベルの構造を表す側面図である。なお、油圧ショベルに搭乗した運転者の前後方向(図1の左右方向)及び左右方向(図1の紙面に対し垂直な方向)を、単に前後方向及び左右方向という。
【0012】
本実施形態の油圧ショベルは、自走可能な下部走行体1と、下部走行体1の上側に旋回可能に設けられた上部旋回体2とを備えており、下部走行体1及び上部旋回体2が車体を構成している。下部走行体1は、走行モータ(図示せず)によって走行し、上部旋回体2は、旋回モータ(図示せず)によって旋回する。
【0013】
上部旋回体2は、基礎構造体をなす旋回フレーム3と、旋回フレーム3の前部に設けられ、運転者が搭乗する運転室4と、旋回フレーム3の後部に設けられた機械室5とを有する。運転室4には、後述する操作装置、設定スイッチ、及びモニタ等が配置され、機械室5には、後述するエンジン及び油圧ポンプ等が配置されている。
【0014】
上部旋回体2には、作業装置6が連結されている。作業装置6は、上部旋回体2(詳細には、旋回フレーム3)に回動可能に連結されたブーム7と、ブーム7の先端側に回動可能に連結されたアーム8と、アーム8の先端側に回動可能に連結されたバケット9(アタッチメント)とを備える。ブーム7、アーム8、及びバケット9は、ブームシリンダ10、アームシリンダ11、及びバケットシリンダ12(アタッチメントシリンダ)によってそれぞれ回動する。
【0015】
油圧ショベルは、上述した油圧アクチュエータ(詳細には、走行モータ、旋回モータ、ブームシリンダ10、アームシリンダ11,バケットシリンダ12)を駆動する駆動装置を備える。図2は、本実施形態における油圧ショベルの駆動装置の構成のうち、ブームシリンダに係わる構成を表す油圧回路図である。
【0016】
本実施形態の駆動装置は、エンジン13(原動機)と、エンジン13によって駆動される油圧ポンプ14及びパイロットポンプ15と、油圧ポンプ14からブームシリンダ10への圧油の流れを制御する制御弁16と、制御弁16を切換える操作装置17とを備える。
【0017】
操作装置17は、運転者が前後方向に操作可能な操作レバー18と、操作レバー18の前側操作量に応じてパイロットポンプ15の吐出圧を減圧してパイロット圧を生成するパイロット弁19Aと、操作レバー18の後側操作量に応じてパイロットポンプ15の吐出圧を減圧してパイロット圧を生成するパイロット弁19Bとを有する。
【0018】
運転者が操作レバー18を前側に操作すると、その操作量に応じてパイロット弁19Aで生成されたパイロット圧が制御弁16の図示の右側の受圧部へ出力され、これによって制御弁16が図示の右側の切換位置に切換えられる。これにより、ブームシリンダ10が縮短する。運転者が操作レバー18を後側に操作すると、その操作量に応じてパイロット弁19Bで生成されたパイロット圧が制御弁16の図示の左側の受圧部へ出力され、これによって制御弁16が図示の左側の切換位置に切換えられる。これにより、ブームシリンダ10が伸長する。
【0019】
なお、他の油圧アクチュエータ(詳細には、走行モータ、旋回モータ、スイングシリンダ、アームシリンダ11、及びバケットシリンダ12)に係わる構成も、ブームシリンダ10に係わる構成と同様である。すなわち、対応する操作装置からのパイロット圧によって対応する制御弁が切換えられ、この制御弁を介し供給された油圧ポンプからの圧油によって他の油圧アクチュエータが駆動するようになっている。
【0020】
全ての操作装置とパイロットポンプ15の間には、ロック弁20が設けられている。ロック弁20は、例えばロックレバー(図示せず)の操作に応じて切換えられる。ロック弁20が図示の右側の遮断位置に切換えられた場合、全ての操作装置にパイロットポンプ15の吐出圧が導入されない。したがって、全ての油圧アクチュエータの駆動を禁止する。一方、ロック弁20が図示の左側の連通位置に切換えられた場合、全ての操作装置にパイロットポンプ15の吐出圧が導入される。したがって、全ての油圧アクチュエータの駆動を許可する。
【0021】
本実施形態の油圧ショベルは、運転者の支援のためにバケット9の積載量(荷重)を演算して表示する支援装置を備える。この支援装置の構成を、図3を用いて説明する。
図3は、本実施形態における支援装置の構成を表すブロック図である。
【0022】
本実施形態の支援装置は、ブーム7の前後方向の傾斜角(地面に対する絶対角)及び左右方向の傾斜角(地面に対する絶対角)を検出する慣性計測装置21(第1の慣性計測装置)と、アーム8の前後方向の傾斜角(地面に対する絶対角)を検出する慣性計測装置22(第2の慣性計測装置)と、バケット9の前後方向の傾斜角(地面に対する絶対角)を検出する慣性計測装置23(第3の慣性計測装置)と、ブームシリンダ10のロッド側圧力を検出するロッド側圧力センサ24と、ブームシリンダ10のボトム側圧力を検出するボトム側圧力センサ25と、コントローラ26と、設定スイッチ27と、モニタ28とを備える。なお、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)21,22,23は、加速度センサによって並進運動を計測し、角速度センサによって回転運動を計測し、それらの計測結果に基づいて傾斜角を検出するように構成されている。また、ボトム側圧力センサ25は、ブームを回動させるためのブームシリンダの状態量を検出するブームシリンダセンサを構成する。
【0023】
コントローラ26は、図示しないものの、プログラムに基づいて演算処理や制御処理を実行する制御部(例えばCPU)と、プログラムや処理結果を記憶する記憶部(例えばROM、RAM)とを有する。コントローラ26は、機能的構成として、車体傾斜角設定部29、作業装置姿勢演算部30、及びバケット積載量演算部31を有する。
【0024】
設定スイッチ27は、例えば油圧ショベルの施工前に運転者によって操作された場合に、コントローラ26へ設定指令を出力する。コントローラ26の車体傾斜角設定部29は、設定スイッチ27から設定指令が入力された場合に、ボトム側圧力センサ25及び慣性計測装置21の検出結果に基づいて、車体の前後方向の傾斜角及び左右方向の傾斜角を設定する。
【0025】
コントローラ26の作業装置姿勢演算部30は、車体傾斜角設定部29で設定された車体の前後方向の傾斜角及び左右方向の傾斜角と、慣性計測装置21で検出されたブーム7の前後方向の傾斜角と、慣性計測装置22で検出されたアーム8の前後方向の傾斜角と、慣性計測装置23で検出されたバケット9の前後方向の傾斜角とに基づいて、作業装置6の姿勢(本実施形態では、車体に対するブーム7の回動角、ブーム7に対するアーム8の回動角、アーム8に対するバケット9の回動角、及び作業装置6の左右方向の傾斜角)を演算する。
【0026】
コントローラ26のバケット積載量演算部31は、圧力センサ24,25で検出されたブームシリンダ10のボトム側圧力及びロッド側圧力に基づいて、作業装置6のモーメントを演算する。そして、作業装置6のモーメントと、作業装置姿勢演算部30で演算された作業装置6の姿勢とに基づいて、バケット9の積載量を演算する。そして、バケット9の積載量をモニタ28に表示させる。
【0027】
次に、本実施形態のコントローラ26の処理手順を、図4を用いて説明する。図4は、本実施形態におけるコントローラの処理手順を表すフローチャートである。
【0028】
ステップS1にて、コントローラ26の車体傾斜角設定部29は、設定スイッチ27から設定指令が入力されたかどうかを判定する。設定指令が入力された場合に、車体傾斜角設定モードをONとし、その旨をモニタ28に表示させる。その後、ステップS2に移る。
【0029】
ステップS2にて、コントローラ26の車体傾斜角設定部29は、ブーム7の最上げ状態(最大回動状態)を検知するために、ボトム側圧力センサ25で検出された圧力が予め設定された閾値以上であるかどうかを判定する。ボトム側圧力センサ25で検出された圧力が閾値以上である場合、すなわち、ブーム7が最上げ状態である場合に、ステップS3及びS4に移る。
【0030】
ステップS3にて、コントローラ26の車体傾斜角設定部29は、慣性計測装置21で検出されたブーム7の前後方向の傾斜角及び左右方向の傾斜角と、予め記憶されたブーム7の最大回動角(言い換えれば、ブーム7の最大回動状態における回動角)とを用いて、車体の前後方向の傾斜角を演算して記憶する。
【0031】
ステップS4にて、コントローラ26の車体傾斜角設定部29は、慣性計測装置21で検出されたブーム7の左右方向の傾斜角を、車体の左右方向の傾斜角として記憶する。ステップS3及びS4の終了後、車体傾斜角設定モードをOFFとし、その旨をモニタ28に表示させる。その後、ステップS5に移る。
【0032】
ステップS5にて、コントローラ26の作業装置姿勢演算部30は、ステップS3及びS4にて記憶された車体の前後方向の傾斜角及び左右方向の傾斜角と、慣性計測装置21で検出されたブーム7の前後方向の傾斜角と、慣性計測装置22で検出されたアーム8の前後方向の傾斜角と、慣性計測装置23で検出されたバケット9の前後方向の傾斜角とに基づいて、作業装置6の姿勢を演算する。その後、ステップS6に移る。
【0033】
ステップS6にて、コントローラ26のバケット積載量演算部31は、圧力センサ24,25で検出されたブームシリンダ10のボトム側圧力及びロッド側圧力に基づいて、作業装置6のモーメントを演算する。そして、作業装置6のモーメントと、ステップS5にて演算された作業装置6の姿勢とに基づいて、バケット9の積載量を演算する。その後、ステップS7に進み、モニタ28に表示指令を出力して、ステップS6にて演算されたバケット9の積載量を表示させる。
【0034】
以上のように、本実施形態の油圧ショベルは、作業装置6の姿勢を取得するために、3つの慣性計測装置21,22,23を備えると共に、ボトム側圧力センサ25を利用する。ボトム側圧力センサ25は、慣性計測装置と比べて安価であるだけでなく、バケット9の積載量を取得するためにも利用されるものである。したがって、従来技術のように4つの慣性計測装置を備える場合と比べ、コストの低減を図りつつ、作業装置6の姿勢を取得することができる。
【0035】
なお、上記一実施形態において、コントローラ26の車体傾斜角設定部29は、設定スイッチ27からの設定指令に応じて、車体の前後方向の傾斜角及び左右方向の傾斜角を設定する場合を例にとって説明したが、これに限れない。コントローラ26の車体傾斜角設定部29は、設定指令の有無にかかわらず、車体の前後方向の傾斜角及び左右方向の傾斜角を設定してもよい。すなわち、ブーム7が最上げ状態(最大回動状態)となる度に、車体の前後方向の傾斜角及び左右方向の傾斜角を更新してもよい。そして、車体の前後方向の傾斜角及び左右方向の傾斜角が更新中である旨をモニタ28に表示させてもよい。
【0036】
また、上記一実施形態においては、ブームシリンダ10の状態量を検出するブームシリンダセンサが、ブームシリンダ10の圧力を検出するボトム側圧力センサ25であり、コントローラ26の車体傾斜角設定部29が、ブーム7の最上げ状態(最大回動状態)を検知するために、ボトム側圧力センサ25で検出された圧力が予め設定された閾値以上であるかどうかを判定する場合を例にとって説明したが、本発明の実施形態はこれに限られない。図5で示す変形例では、ブームシリンダセンサが、ブームシリンダ10のストロークを検出するストロークセンサ32であり、コントローラ26の車体傾斜角設定部29は、ストロークセンサ32で検出されたストロークが予め設定された閾値以上であるとき、ブーム7が最上げ状態(最大回動状態)であると判定する。ストロークセンサ32は、慣性計測装置と比べて安価である。したがって、本変形例においても、従来技術のように4つの慣性計測装置を備える場合と比べ、コストの低減を図りつつ、作業装置6の姿勢を取得することができる。
【0037】
また、上記一実施形態において、コントローラ26は、作業装置6の姿勢と圧力センサ24,25の検出結果に基づいて、バケット9の積載量を演算してモニタ28に表示させる場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、コントローラ26は、作業装置6の姿勢に基づいて、車体に対するバケット9の相対位置を演算してモニタ28に表示させてもよい。また、例えば、コントローラ26は、作業装置の姿勢と位置計測装置(図示せず)で計測された車体の絶対位置に基づいて、バケット9の絶対位置を演算し、更にバケット9と目標施工面の間の距離を演算してモニタ28に表示させてもよい。あるいは、バケット9の位置が目標施工面と一致するように、ブーム7、アーム8、及びバケット9のうちのいずれかに対応する制御弁のパイロット圧を制御する電磁弁(図示せず)を制御してもよい。
【0038】
なお、以上においては、本発明の適用対象として油圧ショベルを例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、ブーム、アーム、及びアタッチメントを有する作業装置を備えた他の建設機械に対し、本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 下部走行体
2 上部旋回体
6 作業装置
7 ブーム
8 アーム
9 バケット
10 ブームシリンダ
21 慣性計測装置(第1の慣性計測装置)
22 慣性計測装置(第2の慣性計測装置)
23 慣性計測装置(第3の慣性計測装置)
25 ボトム側圧力センサ
26 コントローラ
32 ストロークセンサ
図1
図2
図3
図4
図5