(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】屋根構造体の塞ぎ材の取付構造、屋根構造体、及び、屋根構造体の施工方法
(51)【国際特許分類】
E04B 1/343 20060101AFI20240930BHJP
E04B 1/00 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
E04B1/343 U
E04B1/00 501H
(21)【出願番号】P 2021010845
(22)【出願日】2021-01-27
【審査請求日】2023-10-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀江 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 真梨
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特許第5914908(JP,B2)
【文献】実公昭61-020162(JP,Y2)
【文献】特開2017-218734(JP,A)
【文献】特開2019-131999(JP,A)
【文献】国際公開第93/006317(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/00,1/343
E04B 7/02
E04H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根構造体の屋根と建物の間の隙間を塞ぐ塞ぎ材が取付部材により前記屋根に取り付けられる屋根構造体の塞ぎ材の取付構造であって、
前記取付部材は、前記屋根の建物側端部に載置される載置部と、前記載置部から突出して前記塞ぎ材が固定される第1固定部と、前記屋根の建物側端部に固定される第2固定部と、を有
し、
前記載置部と前記屋根の建物側端部の間に配置された止水部材を備えた屋根構造体の塞ぎ材の取付構造。
【請求項2】
請求項1に記載された屋根構造体の塞ぎ材の取付構造において、
前記取付部材は、前記第1固定部から前記建物側に突出して前記塞ぎ材を下方から支持する支持部を有する屋根構造体の塞ぎ材の取付構造。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載された屋根構造体の塞ぎ材の取付構造を備えた屋根構造体。
【請求項4】
請求項
3に記載された屋根構造体の施工方法であって、
前記塞ぎ材を前記第1固定部に固定し、
前記止水部材を前記載置部と前記屋根の建物側端部の間に配置して、前記載置部を前記屋根の建物側端部に載置し、
前記第2固定部を前記屋根の建物側端部に固定して、前記塞ぎ材を前記屋根の建物側端部に取り付ける屋根構造体の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根構造体の屋根と建物の間の隙間を塞ぎ材により塞ぐ屋根構造体の塞ぎ材の取付構造、屋根構造体の塞ぎ材の取付構造を備えた屋根構造体、及び、屋根構造体の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物から離隔して設置される屋根構造体では、屋根構造体の屋根と建物の間の隙間を塞ぐため、塞ぎ材が用いられている。塞ぎ材は、屋根構造体の屋根に取り付けられて、屋根から建物まで配置される。また、従来、取付枠と中間金具の2つの部材を用いて、塞ぎ材である閉塞部材を屋根の自由端に取り付ける建物添設用の独立構造物が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された従来の独立構造物では、屋根の自由端に位置する端部枠に取付枠を引っ掛けて係合し、中間金具をネジにより取付枠に固定する。また、閉塞部材の嵌合条を取付枠の被嵌溝に嵌合してネジにより取付枠に固定し、閉塞部材の係合条を中間金具の係合部に係合する。このように、従来の独立構造物では、閉塞部材の屋根への取り付けに2つの部材を用いる必要があり、閉塞部材の取り付け作業にも手間が掛かる。そのため、独立構造物の施工性の観点から、改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記従来の問題に鑑みなされたもので、その目的は、屋根構造体の屋根と建物の間の隙間を塞ぐ塞ぎ材を屋根構造体の屋根に容易に取り付けて、屋根構造体の施工性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、屋根構造体の屋根と建物の間の隙間を塞ぐ塞ぎ材が取付部材により前記屋根に取り付けられる屋根構造体の塞ぎ材の取付構造であって、
前記取付部材は、前記屋根の建物側端部に載置される載置部と、前記載置部から突出して前記塞ぎ材が固定される第1固定部と、前記屋根の建物側端部に固定される第2固定部と、を有し、
前記載置部と前記屋根の建物側端部の間に配置された止水部材を備えた屋根構造体の塞ぎ材の取付構造である。
本発明は、本発明の屋根構造体の塞ぎ材の取付構造を備えた屋根構造体である。
本発明は、本発明の屋根構造体の施工方法であって、
前記塞ぎ材を前記第1固定部に固定し、
前記止水部材を前記載置部と前記屋根の建物側端部の間に配置して、前記載置部を前記屋根の建物側端部に載置し、
前記第2固定部を前記屋根の建物側端部に固定して、前記塞ぎ材を前記屋根の建物側端部に取り付ける屋根構造体の施工方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、屋根構造体の屋根と建物の間の隙間を塞ぐ塞ぎ材を屋根構造体の屋根に容易に取り付けて、屋根構造体の施工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】第1実施形態の屋根構造体の塞ぎ材の周辺部を示す縦断面図である。
【
図4】
図3に示す屋根構造体を分解して示す縦断面図である。
【
図5】
図3に示す屋根構造体の一部を拡大して示す縦断面図である。
【
図6】第2実施形態の屋根構造体の塞ぎ材の周辺部を示す縦断面図である。
【
図7】第3実施形態の屋根構造体の塞ぎ材の周辺部を示す縦断面図である。
【
図10】第5実施形態の屋根構造体の正面図である。
【
図11】第5実施形態の屋根構造体の側面図である。
【
図12】第6実施形態の屋根構造体の正面図である。
【
図13】第6実施形態の屋根構造体の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の屋根構造体の塞ぎ材の取付構造、屋根構造体、及び、屋根構造体の施工方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
本実施形態の屋根構造体は、屋根を有する屋外構造物であり、本実施形態の屋根構造体の塞ぎ材の取付構造を備えている。また、屋根構造体は、本実施形態の屋根構造体の施工方法により施工されて、建物から独立して設置される。
【0010】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の屋根構造体1の正面図であり、
図2は、第1実施形態の屋根構造体1の側面図である。
図1、
図2では、建物2の屋外側に設置された屋根構造体1を示している。
図示のように、屋根構造体1は、建物2に併設される屋根ユニットであり、建物2(ここでは、建物2の壁部2A)から離隔して設置される。また、屋根構造体1は、テラスに設置される屋根構造体(テラス屋根)であり、建物2の外壁である壁部2Aに隣接して設置されて、建物2の壁部2Aの屋外側でテラスを覆う。
【0011】
なお、屋根構造体1を設置した状態で、建物2に向かって屋根構造体1を正面からみたときに(
図1参照)、上下となる方向が上下方向であり、左右となる方向が左右方向である。また、屋根構造体1の手前側が前側であり、屋根構造体1の奥側が後側である。前後方向(
図2参照)は、屋根構造体1の前後となる方向(奥行方向)である。
図1、
図2では、上下方向は、鉛直方向である。
図1では、左右方向は、建物2の壁部2Aに沿う水平方向である。
図2では、前後方向は、建物2に接近、離隔する水平方向である。このように、屋根構造体1の塞ぎ材の取付構造、及び、屋根構造体1に関する方向は、屋根構造体1を設置した状態での方向で特定する。また、屋根構造体1に関して、建物2が位置する側を建物側といい、建物2が位置する側の反対側を反建物側という。
【0012】
屋根構造体1は、上下方向に沿って延びる複数の支柱10、11と、複数の支柱10、11により支持された屋根3と、屋根3に取り付けられた弾性変形可能な塞ぎ材20を備えている。支柱10、11と屋根3は、建物2の壁部2Aに接触することなく、建物2の壁部2Aから前後方向に離隔して配置されている。屋根構造体1は、建物2の壁部2Aには固定されずに、板状の塞ぎ材20のみにより、建物2の壁部2Aに接触する。
【0013】
支柱10、11は、左右方向における屋根3の両側の端部で屋根3を支持している。また、支柱10、11は、左右方向における屋根3の両側の端部のそれぞれで、前後方向に離隔して設置されている。4つの支柱10、11のうち、2つの支柱10は、屋根構造体1の前側(反建物側)の箇所に位置する前支柱であり、2つの支柱11は、屋根構造体1の後側(建物側)の箇所に位置する後支柱である。屋根3は、左右方向及び前後方向に離隔して設置された4つの支柱10、11により支持されている。
【0014】
屋根3は、支柱10、11により支持された屋根枠30と、屋根枠30に保持された板状の複数の屋根材31を有している。屋根枠30は、互いに組み合わされた一対の妻垂木32、複数の垂木33、前枠34、及び、後枠35を有している。妻垂木32、垂木33、前枠34、及び、後枠35は、例えば、押出成形により形成された形材からなる。妻垂木32と垂木33は、前後方向に沿って延び、前枠34と後枠35は、左右方向に沿って延びる。一対の妻垂木32は、左右方向における屋根3の両側の端部に設けられて、前枠34と後枠35のそれぞれの左右の端部に連結されている。
【0015】
前枠34は、屋根3の反建物側の前端部に設けられ、後枠35は、屋根3の建物側の後端部に設けられている。4つの支柱10、11のうち、2つの支柱10は、前枠34の下方に配置され、前枠34に連結されて前枠34を支持し、2つの支柱11は、後枠35よりも反建物側の位置に配置され、妻垂木32に連結されて妻垂木32を支持している。垂木33は、前枠34と後枠35に架け渡されて、前枠34と後枠35に連結されている。屋根材31は、妻垂木32、垂木33、前枠34、及び、後枠35に囲まれた屋根枠30の空所を塞ぐ。屋根3は、前後方向に対して傾斜して設置されており、建物側(後枠35側)から反建物側(前枠34側)に向かって次第に下方に傾斜する。
【0016】
前後方向において、屋根3(ここでは、屋根3の後枠35)と建物2の壁部2Aの間に隙間4が設けられて、屋根3の後枠35が建物2の壁部2Aに対して間隔をあけて配置される。後枠35は、屋根3の建物側端部(後端部)であり、前後方向において、屋根3の建物側の端部に位置して、建物2の壁部2Aと対向する。また、後枠35は、屋根3の建物側枠材であり、建物2の壁部2Aとの間に隙間4をあけた状態で、建物2の壁部2Aに沿って延びる。塞ぎ材20は、後枠35から建物2の壁部2Aに向かって張り出して、建物2の壁部2Aまで延び、隙間4の上方に配置される。
【0017】
図3は、第1実施形態の屋根構造体1の塞ぎ材20の周辺部を示す縦断面図であり、屋根3の後枠35側の部分、塞ぎ材20、及び、建物2の壁部2Aを示している。
図4は、
図3に示す屋根構造体1を分解して示す縦断面図であり、
図5は、
図3に示す屋根構造体1の一部を拡大して示す縦断面図である。
図示のように、屋根構造体1における塞ぎ材20の取付構造では、取付部材40を用いて、塞ぎ材20を屋根3の後枠35に取り付ける。塞ぎ材20は、後枠35から建物2の壁部2Aまで配置されて、建物2の壁部2Aに接触する。その状態で、塞ぎ材20は、屋根3の後枠35と建物2の壁部2Aの間の隙間4を上方から覆って、隙間4を塞ぐ。
【0018】
後枠35は、中空形状に形成され、保持溝36内に、屋根材31の建物側端部(後端部)を保持している。また、後枠35は、建物2の壁部2Aと対向する対向部37と、上方に向けて配置された上面部38を有している。対向部37は、後枠35において建物側(後側)に位置する板状の壁部であり、上下方向に沿って配置されている。上面部38は、後枠35において上側に位置する板状の上部であり、前後方向に沿って配置されている。対向部37は、上面部38の建物側端部に接続し、上面部38から下方に向かって形成されて、上面部38よりも下方に位置している。上面部38は、対向部37の上端部に接続し、対向部37から反建物側(前側)に向かって形成されて、対向部37よりも上方に位置している。
【0019】
塞ぎ材20は、取付部材40に保持される保持部21と、保持部21から建物2の壁部2Aに向かって張り出す張出部22を有している。塞ぎ材20は、例えば、ゴム又は軟質の合成樹脂製であり、可撓性を有している。保持部21は、塞ぎ材20の反建物側の端部に位置する基部であり、張出部22から下方に向かって突出して、取付部材40に接触する。塞ぎ材20は、保持部21により、取付部材40に保持されて、屋根3の後枠35よりも上方に配置される。塞ぎ材20は、張出部22により、屋根3の後枠35と建物2の壁部2Aの間に設けられる隙間4を塞ぐ。
【0020】
張出部22は、隙間4を塞ぐ板状の塞ぎ部であり、建物2の壁部2Aに当接する当接部23を有している。当接部23は、張出部22の建物側に位置する先端側の部分に設けられて、建物2の壁部2Aに沿って上方に突出している。張出部22が屋根3の後枠35及び保持部21から建物2の壁部2Aまで配置されて、張出部22の当接部23が建物2の壁部2Aに押し付けられる。当接部23が建物2の壁部2Aに密着する状態で、張出部22は、建物2の壁部2Aから後枠35まで前後方向に対して傾斜して設置され、建物側(壁部2A)から反建物側(後枠35)に向かって次第に下方に傾斜する。
【0021】
塞ぎ材20は、取付部材40により、屋根3の後枠35に取り付けられて、後枠35に固定されている。取付部材40は、塞ぎ材20を保持する保持部材であり、隙間4を塞ぐ状態で塞ぎ材20を保持する。取付部材40は、後枠35に固定され、塞ぎ材20は、取付部材40に固定されている。取付部材40と塞ぎ材20は、後枠35に沿って延びる。塞ぎ材20は、屋根3には接触せず、取付部材40と建物2の壁部2Aに接触して、建物2の壁部2Aに沿って配置される。
【0022】
取付部材40は、屋根3の後枠35に載置される載置部41と、載置部41から突出して塞ぎ材20が固定される第1固定部42と、屋根3の後枠35に固定される第2固定部43と、塞ぎ材20を下方から支持する支持部44を有している。取付部材40は、例えば、金属(アルミニウム合金等)製であり、塞ぎ材20よりも剛性が高い。取付部材40の各部41~44は、塞ぎ材20の長手方向に延び、塞ぎ材20の長手方向の全体にわたって、塞ぎ材20と後枠35の間の箇所に設けられている。
【0023】
載置部41は、塞ぎ材20を受ける板状の受け部であり、第2固定部43に接続して、第2固定部43から反建物側に向かって突出している。載置部41は、後枠35の上面部38に上方から載置されて、上面部38に沿って配置されている。第1固定部42は、載置部41よりも上方に位置する上固定部であり、第2固定部43は、載置部41よりも下方に位置する下固定部である。
【0024】
第1固定部42は、載置部41に接続する板状の固定壁であり、載置部41から上方に突出している。第2固定部43は、載置部41に接続する板状の固定片であり、載置部41から下方に突出している。第1固定部42は、載置部41の前後方向における中間部に接続し、第2固定部43は、載置部41の建物側端部(後端部)に接続している。支持部44は、第1固定部42に接続する板状の支持片であり、第1固定部42から建物側に突出している。第1固定部42は、載置部41と支持部44の間に位置している。
【0025】
屋根構造体1は、取付部材40の載置部41と屋根3の後枠35の間に配置された止水部材50と、塞ぎ材20を取付部材40の第1固定部42に固定するネジ51と、取付部材40の第2固定部43を後枠35に固定するネジ52を備えている。止水部材50は、後枠35に沿って延びる帯状の止水テープであり、載置部41と後枠35(ここでは、上面部38)の間に挟まれて、載置部41と後枠35に密着する。止水部材50は、載置部41の長手方向の全体にわたって、載置部41と上面部38の間に配置されている。止水部材50により、取付部材40の載置部41と後枠35の上面部38の間の箇所がシールされて止水される。
【0026】
塞ぎ材20の保持部21が取付部材40の載置部41に上方から当接して、載置部41が塞ぎ材20の保持部21を受ける。その状態で、塞ぎ材20の保持部21は、取付部材40の第1固定部42の反建物側に位置して、反建物側から第1固定部42に接触する。ネジ51は、塞ぎ材20の保持部21を反建物側から貫通して、第1固定部42に形成されたネジ孔に取り付けられる。ネジ51の頭部と塞ぎ材20の保持部21の間には、座金53が挟まれる。塞ぎ材20の保持部21は、第1固定具であるネジ51により、第1固定部42に固定されて、第1固定部42に保持される。
【0027】
取付部材40の第2固定部43は、後枠35の対向部37の建物側に配置されて、建物側から対向部37に接触する。ネジ52は、第2固定部43を建物側から貫通して、後枠35の対向部37に形成されたネジ孔に取り付けられる。第2固定部43は、後枠35の対向部37に沿って配置されて、第2固定具であるネジ52により、後枠35の対向部37に固定される。
【0028】
塞ぎ材20の張出部22は、保持部21の上端部から建物2に向かって斜め上方に張り出し、取付部材40の支持部44は、第1固定部42の上端部から建物2に向かって斜め上方に突出している。支持部44は、塞ぎ材20の張出部22の下側に配置されて、張出部22の保持部21側の箇所で、張出部22の下面に接触している。塞ぎ材20の張出部22は、支持部44に上方から載置されて、支持部44に接触する。取付部材40は、張出部22に下側から接触する支持部44により、塞ぎ材20の張出部22を下側において支持する。支持部44は、張出部22の取付部材40側に位置する基端側の部分を支持する。
【0029】
屋根構造体1の設置前に、塞ぎ材20と取付部材40を屋根3の後枠35に取り付ける。その際、取付部材40の第2固定部43を後枠35に固定する前に、塞ぎ材20の保持部21を取付部材40の第1固定部42に固定する。続いて、塞ぎ材20を保持する取付部材40を後枠35に配置して、取付部材40の載置部41を後枠35の上面部38に載置する。その状態で、取付部材40の第2固定部43を後枠35の対向部37に固定して、取付部材40により、塞ぎ材20を屋根3の後枠35に取り付ける。屋根構造体1の施工場所では、屋根3の後枠35と建物2の壁部2Aの間に隙間4をあけて、屋根構造体1を設置する。また、塞ぎ材20の張出部22の当接部23を建物2の壁部2Aに当接させて、隙間4を塞ぎ材20の張出部22により塞ぐ。
【0030】
以上説明した塞ぎ材20の取付構造及び屋根構造体1では、取付部材40により、塞ぎ材20を屋根3の後枠35に容易に取り付けて、屋根構造体1の施工性を向上させることができる。取付部材40を介して、塞ぎ材20を屋根3の後枠35に確実に取り付けることもできる。また、例えば、屋根構造体1を製造する工場で、塞ぎ材20を後枠35に予め取り付けておくことができる。これに対し、屋根構造体1の施工場所で塞ぎ材20の取り付けを行うときにも、塞ぎ材20を後枠35に簡単に取り付けることができる。
【0031】
取付部材40の支持部44により塞ぎ材20を支持することで、屋根3の後枠35と建物2の壁部2Aの間の隙間4を覆う位置に塞ぎ材20を安定して配置することができる。取付部材40の載置部41と屋根3の後枠35の間に配置された止水部材50により、載置部41と後枠35の間への水の浸入を止めて、屋根3の後枠35から水が垂れるのを抑制することができる。
【0032】
なお、塞ぎ材20が取り付けられる屋根3の建物側端部は、後枠35に限定されない。例えば、屋根3の妻垂木32が建物2の壁部2Aとの間に隙間4をあけて設けられるときには、妻垂木32が屋根3の建物側の端部に位置する建物側端部である。この場合には、取付部材40の第2固定部43を妻垂木32に固定して、塞ぎ材20を取付部材40により妻垂木32に取り付ける。また、屋根3の後枠35及び妻垂木32以外の部分が屋根3の建物側端部であるときにも、塞ぎ材20を取付部材40により屋根3の建物側端部に取り付けることができる。
【0033】
このように、塞ぎ材20は、取付部材40により、様々な屋根3の建物側端部に取り付けることができる。また、塞ぎ材20を建物2の入隅部に配置して、建物2の入隅部において、塞ぎ材20により、屋根3と建物2の間の隙間を塞ぐこともできる。建物2の壁部2A以外の部分と屋根3の間に隙間4をあけて、屋根構造体1を設置してもよい。
【0034】
次に、他の実施形態の屋根構造体1の塞ぎ材20の取付構造、及び、屋根構造体1について説明する。以下の各実施形態に関し、第1実施形態と同じ事項の説明は省略し、第1実施形態の構成に相当する構成には、第1実施形態の構成と同じ名称を用いる。
【0035】
(第2実施形態)
図6は、第2実施形態の屋根構造体1の塞ぎ材20の周辺部を示す縦断面図であり、屋根3の後枠35側の部分、塞ぎ材20、及び、建物2の壁部2Aを示している。
図示のように、第2実施形態では、屋根構造体1がカーポートであり、後枠35の形状が第1実施形態の後枠35と相違する。
【0036】
後枠35は、対向部37と上面部38の間に位置する角部39を有している。角部39は、上面部38の建物側端部と対向部37の上端部に接続して、上面部38と対向部37を連結している。角部39は、上面部38から対向部37に向かって斜め下方に傾斜している。取付部材40では、載置部41の反建物側の部分が後枠35の上面部38に載置され、載置部41の建物側の部分が角部39から上方に離隔する。また、第2固定部43の下側の部分が後枠35の対向部37に接触して固定され、第2固定部43の上側の部分が角部39から建物側に離隔する。角部39は、取付部材40の載置部41と第2固定部43により覆われる。
【0037】
このように、塞ぎ材20は、取付部材40により、様々な形状の後枠35に容易に取り付けることができる。また、取付部材40を用いて、共通の塞ぎ材20を種々の屋根3の建物側端部に取り付けることができる。なお、屋根構造体1は、例えば、屋根を備えたサイクルポート又はサンルームであってもよく、2つの支柱により屋根を支持する屋根構造体であってもよい。
【0038】
(第3実施形態)
図7は、第3実施形態の屋根構造体1の塞ぎ材20の周辺部を示す縦断面図であり、屋根3の後枠35側の部分、塞ぎ材20、及び、建物2の壁部2Aを示している。
図示のように、第3実施形態では、取付部材40が第1実施形態の取付部材40と相違する。取付部材40の第2固定部43は、載置部41の一部であり、載置部41とともに後枠35の上面部38に上方から載置される。また、取付部材40の第1固定部42は、載置部41の建物側端部に接続している。
【0039】
第2固定部43は、載置部41の前後方向における中間部に設けられて、後枠35の上面部38の上側に配置される。ネジ52は、第2固定部43を上側から貫通して、後枠35の上面部38に形成されたネジ孔に取り付けられる。第2固定部43は、後枠35の上面部38に沿って配置されて、ネジ52により、後枠35の上面部38に固定される。止水部材50は、第2固定部43よりも反建物側の位置に設けられて、載置部41の第2固定部43よりも反建物側の部分と後枠35の上面部38の間に配置される。このように、第2固定部43は、載置部41の一部として載置部41に接続してもよく、後枠35の種々の部分に固定することができる。
【0040】
(第4実施形態)
図8は、第4実施形態の屋根構造体1の正面図であり、
図9は、第4実施形態の屋根構造体1の側面図である。
図示のように、第4実施形態の屋根構造体1では、4つの支柱10、11のうち、2つの支柱10は、前枠34よりも建物側(後枠35側)の位置に配置され、2つの支柱11は、後枠35よりも反建物側(前枠35側)の位置に配置されている。
【0041】
(第5実施形態)
図10は、第5実施形態の屋根構造体1の正面図であり、
図11は、第5実施形態の屋根構造体1の側面図である。
図示のように、第5実施形態の屋根構造体1は、2つの支柱12と、支柱12のそれぞれに支持された2つの梁13を備えている。梁13の前端部が支柱12に取り付けられて、梁13が支柱12から建物側に向かって延びる。屋根3は、2つの梁13の上に載せられて、梁13に取り付けられている。
【0042】
(第6実施形態)
図12は、第6実施形態の屋根構造体1の正面図であり、
図13は、第6実施形態の屋根構造体1の側面図である。
図示のように、第6実施形態の屋根構造体1は、2つの支柱14と、支柱14のそれぞれに支持された2つの梁15を備えている。前後方向における梁15の中間部が支柱14に取り付けられて、梁15が支柱14から建物側と反建物側の両方に向かって延びる。屋根3は、2つの梁15の上に載せられて、梁15に取り付けられている。
【0043】
以上のように、本発明は、屋根構造体の屋根と建物の間の隙間を塞ぐ塞ぎ材が取付部材により前記屋根に取り付けられる屋根構造体の塞ぎ材の取付構造であって、
前記取付部材は、前記屋根の建物側端部に載置される載置部と、前記載置部から突出して前記塞ぎ材が固定される第1固定部と、前記屋根の建物側端部に固定される第2固定部と、を有する屋根構造体の塞ぎ材の取付構造である。
従って、屋根構造体の屋根と建物の間の隙間を塞ぐ塞ぎ材を屋根構造体の屋根に容易に取り付けて、屋根構造体の施工性を向上させることができる。
【0044】
前記取付部材は、前記第1固定部から前記建物側に突出して前記塞ぎ材を下方から支持する支持部を有する。
支持部により塞ぎ材を支持することで、屋根と建物の間の隙間を覆う位置に塞ぎ材を安定して配置することができる。
【0045】
屋根構造体の塞ぎ材の取付構造は、前記載置部と前記屋根の建物側端部の間に配置された止水部材を備える。
止水部材により、載置部と屋根の建物側端部の間への水の浸入を止めて、屋根の建物側端部から水が垂れるのを抑制することができる。
【0046】
本発明は、本発明の屋根構造体の塞ぎ材の取付構造を備えた屋根構造体である。
従って、屋根構造体の屋根と建物の間の隙間を塞ぐ塞ぎ材を屋根構造体の屋根に容易に取り付けて、屋根構造体の施工性を向上させることができる。
【0047】
本発明は、本発明の屋根構造体の施工方法であって、
前記塞ぎ材を前記第1固定部に固定し、
前記載置部を前記屋根の建物側端部に載置し、
前記第2固定部を前記屋根の建物側端部に固定して、前記塞ぎ材を前記屋根の建物側端部に取り付ける屋根構造体の施工方法である。
従って、屋根構造体の屋根と建物の間の隙間を塞ぐ塞ぎ材を屋根構造体の屋根に容易に取り付けて、屋根構造体の施工性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0048】
1・・・屋根構造体、2・・・建物、2A・・・壁部、3・・・屋根、4・・・隙間、10・・・支柱、11・・・支柱、12・・・支柱、13・・・梁、14・・・支柱、15・・・梁、20・・・塞ぎ材、21・・・保持部、22・・・張出部、23・・・当接部、30・・・屋根枠、31・・・屋根材、32・・・妻垂木、33・・・垂木、34・・・前枠、35・・・後枠、36・・・保持溝、37・・・対向部、38・・・上面部、39・・・角部、40・・・取付部材、41・・・載置部、42・・・第1固定部、43・・・第2固定部、44・・・支持部、50・・・止水部材、51・・・ネジ、52・・・ネジ、53・・・座金。