(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】乗用型田植機
(51)【国際特許分類】
A01C 11/02 20060101AFI20240930BHJP
【FI】
A01C11/02 311T
(21)【出願番号】P 2021016384
(22)【出願日】2021-02-04
【審査請求日】2023-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】鐵見 幸一
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-143438(JP,A)
【文献】特開2015-163512(JP,A)
【文献】特開2012-102635(JP,A)
【文献】特開2019-217811(JP,A)
【文献】特開2014-015168(JP,A)
【文献】特開平01-106729(JP,A)
【文献】特開2009-051348(JP,A)
【文献】特開平02-063928(JP,A)
【文献】中国実用新案第205225456(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2018/0051933(US,A1)
【文献】特許第7445559(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンの後方に後傾状に立設されるステアリングコラムと、
前記エンジンの冷却水を冷却するラジエータと、
前記ラジエータを介してエンジンルーム内に冷却風を取り込むファンと、
前記エンジンの吸気を浄化するエアクリーナと、
前記冷却水を貯留する冷却水タンクと、
前記エンジンによって駆動される油圧ポンプと、を備える乗用型田植機であって、
前記ラジエータ及び前記ファンは、前記エンジンと前記ステアリングコラムとの間に、前記ステアリングコラムに沿って後傾状に配置され、
前記エアクリーナは、前記ラジエータの前面上部前方空間に配置され
、
前記冷却水タンクは、前記エアクリーナと左右方向に並列して配置され、
前記油圧ポンプは、前記エアクリーナの下方に配置されることを特徴とする乗用型田植機。
【請求項2】
エンジンと、
前記エンジンの後方に後傾状に立設されるステアリングコラムと、
前記エンジンの冷却水を冷却するラジエータと、
前記ラジエータを介してエンジンルーム内に冷却風を取り込むファンと、
前記エンジンの吸気を浄化するエアクリーナと、
前記冷却水を貯留する冷却水タンクと、
前記ラジエータの後方で吸い込んだ空気を前記エアクリーナに供給する吸気ホースと、を備える乗用型田植機であって、
前記ラジエータ及び前記ファンは、前記エンジンと前記ステアリングコラムとの間に、前記ステアリングコラムに沿って後傾状に配置され、
前記エアクリーナは、前記ラジエータの前面上部前方空間に配置され、
前記冷却水タンクは、前記エアクリーナと左右方向に並列して配置され、
前記吸気ホースは、前記エアクリーナから前記冷却水タンクの下方を通って前記ラジエータの後方まで配管されることを特徴とする乗用型田植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用型田植機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、乗用型田植機のエンジンルームには、エンジン、ラジエータ、ファン、エアクリーナなどが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の乗用型田植機では、エンジンの一側方にラジエータ及びファンを配置し、側面視においてラジエータの上方にエアクリーナを配置しているので、エンジンルームが幅広になるだけでなく、エンジンルームの上方を覆うボンネットの位置が高くなり、機体前側下方の視認性が低下する虞がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、エンジンと、前記エンジンの後方に後傾状に立設されるステアリングコラムと、前記エンジンの冷却水を冷却するラジエータと、前記ラジエータを介してエンジンルーム内に冷却風を取り込むファンと、前記エンジンの吸気を浄化するエアクリーナと、前記冷却水を貯留する冷却水タンクと、前記エンジンによって駆動される油圧ポンプと、を備える乗用型田植機であって、前記ラジエータ及び前記ファンは、前記エンジンと前記ステアリングコラムとの間に、前記ステアリングコラムに沿って後傾状に配置され、前記エアクリーナは、前記ラジエータの前面上部前方空間に配置され、前記冷却水タンクは、前記エアクリーナと左右方向に並列して配置され、前記油圧ポンプは、前記エアクリーナの下方に配置されることを特徴とする乗用型田植機である。
請求項2の発明は、エンジンと、前記エンジンの後方に後傾状に立設されるステアリングコラムと、前記エンジンの冷却水を冷却するラジエータと、前記ラジエータを介してエンジンルーム内に冷却風を取り込むファンと、前記エンジンの吸気を浄化するエアクリーナと、前記冷却水を貯留する冷却水タンクと、前記ラジエータの後方で吸い込んだ空気を前記エアクリーナに供給する吸気ホースと、を備える乗用型田植機であって、前記ラジエータ及び前記ファンは、前記エンジンと前記ステアリングコラムとの間に、前記ステアリングコラムに沿って後傾状に配置され、前記エアクリーナは、前記ラジエータの前面上部前方空間に配置され、前記冷却水タンクは、前記エアクリーナと左右方向に並列して配置され、前記吸気ホースは、前記エアクリーナから前記冷却水タンクの下方を通って前記ラジエータの後方まで配管されることを特徴とする乗用型田植機である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、ラジエータ及びファンは、エンジンとステアリングコラムとの間に配置されるので、エンジンルームが幅広になることを回避できる。また、ラジエータ及びファンは、ステアリングコラムに沿って後傾状に配置されるので、ラジエータの前面上部前方空間を拡張できる。また、エアクリーナは、ラジエータの前面上部前方空間に配置されるので、拡張された空間を利用してエアクリーナを配置できるだけでなく、エアクリーナの位置を低くしてボンネットの高さを抑制し、機体前側下方の視認性を向上させることができる。
しかもエアクリーナと左右方向に並列して冷却水タンクを配置するとともに、エアクリーナの下方に油圧ポンプを配置したので、エンジンルーム内の空間を有効利用してエアクリーナ、冷却水タンク及び油圧ポンプをコンパクトに配置できる。
請求項2の発明によれば、ラジエータ及びファンは、エンジンとステアリングコラムとの間に配置されるので、エンジンルームが幅広になることを回避できる。また、ラジエータ及びファンは、ステアリングコラムに沿って後傾状に配置されるので、ラジエータの前面上部前方空間を拡張できる。また、エアクリーナは、ラジエータの前面上部前方空間に配置されるので、拡張された空間を利用してエアクリーナを配置できるだけでなく、エアクリーナの位置を低くしてボンネットの高さを抑制し、機体前側下方の視認性を向上させることができる。
しかも吸気ホースは、エアクリーナから冷却水タンクの下方を通ってラジエータの後方まで配管されるので、エンジンルーム内の空間を有効利用して吸気ホースを配管できるだけでなく、吸気温度及び吸気音を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態に係る乗用型田植機の平面図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る乗用型田植機の機体前部の内部構成を示す側面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る乗用型田植機の機体前部の内部構成を示す正面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る乗用型田植機の機体前部の内部構成を示す平面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る乗用型田植機の機体前部の内部構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1~
図5において、Pは乗用型田植機であって、該乗用型田植機Pは、走行機体1と、走行機体1の後部に昇降リンク機構2を介して昇降可能に連結される植付作業機3と、を備える。
【0009】
走行機体1は、エンジン4が搭載されるエンジン搭載部5と、エンジン4から動力を入力し、入力した動力を無段変速するHST6(静油圧式無段変速機構)と、HST6から出力される動力を走行動力と作業動力とに分配し、それぞれをさらに変速するミッションケース7と、ミッションケース7から出力される走行動力で回転駆動され、且つステアリングハンドル8の操作で操向される左右一対の前輪9と、ミッションケース7から出力される走行動力で回転駆動される後輪10と、ステアリングハンドル8や運転席11が設けられる操縦部12と、を備える。ステアリングハンドル8は、エンジン4の後方に後傾状に立設されるステアリングコラム13から上方に延在するステアリングシャフト14の上端部に取り付けられている。
【0010】
エンジン搭載部5は、エンジン4を収容するエンジンルーム15を有し、エンジンルーム15の上方は、開閉可能なボンネット16で覆われている。エンジンルーム15には、エンジン4の他に、エンジン4の冷却水を冷却するラジエータ17と、ラジエータ17を介してエンジンルーム内に冷却風を取り込むファン18と、冷却水を貯留する冷却水タンク19と、エンジン4の吸気を浄化するエアクリーナ20と、ラジエータ17の後方で吸い込んだ空気をエアクリーナ20に供給する吸気ホース21と、エンジン4によって駆動される油圧ポンプ22と、が収容されている。
【0011】
ラジエータ17及びファン18は、互いに一体的に組み付けられたラジエータユニットの形態でエンジン4とステアリングコラム13との間に配置され、操縦部12側からエンジンルーム15内に冷却風を取り込む。ラジエータ17及びファン18は、ステアリングコラム13に沿って後傾状に配置されることにより、ラジエータ17の前面上部前方空間を拡張させる。
【0012】
エアクリーナ20は、左右方向に沿う円筒状の形態であり、吸気ホース21を介して吸入した空気を内部のエレメント(図示せず)で濾過し、濾過によって浄化された空気をエンジン4に供給する。エアクリーナ20は、ラジエータ17の前面上部前方空間に配置されている。このようにすると、ラジエータ17及びファン18を後傾配置して拡張された空間を利用してエアクリーナ20を配置できるので、エアクリーナ20の位置を低くしてボンネット16の高さを抑制し、機体前側下方の視認性を向上させることができる。
【0013】
冷却水タンク19は、リザーブホース23を介してラジエータ17に接続されており、ラジエータ17内の圧力変動に応じて、ラジエータ17との間で冷却水の受け渡しを行う。冷却水タンク19は、エンジンルーム15内において、エアクリーナ20と左右方向に並列して配置されている。
【0014】
油圧ポンプ22は、エンジン4により駆動されると、ミッションケース7内のオイルを吸入し、パワーステアリング機構、作業機昇降シリンダ、HST6などの油圧機器に供給する。油圧ポンプ22は、エンジンルーム15内において、エアクリーナ20の下方に配置されている。
【0015】
このようなエンジンルーム15の配置構成によれば、エアクリーナ20と左右方向に並列して冷却水タンク19を配置するとともに、エアクリーナ20の下方に油圧ポンプ22を配置することによって、エンジンルーム15内の空間を有効利用し、エアクリーナ20、冷却水タンク19及び油圧ポンプ22をコンパクトに配置することが可能になる。
【0016】
吸気ホース21は、エアクリーナ20から冷却水タンク19の下方を通ってラジエータ17の後方まで配管されている。具体的に説明すると、吸気ホース21は、エアクリーナ20から前方に延出する第1ホース部21aと、第1ホース部21aの前端部から冷却水タンク19が配置される左側方に延出する第2ホース部21bと、第2ホース部21bの左端部から冷却水タンク19の下方に向けて下方かつ機体外側方に傾斜状に延出する第3ホース部21cと、第3ホース部21cの下端部から冷却水タンク19の下方を通って後方に延出し、ラジエータ17よりも後方に至る第4ホース部21dと、第4ホース部21dの後端部から機体内側方に延出する吸気口21eと、を有する。このようにすると、エンジンルーム15内の空間を有効利用して吸気ホース21を配管できるだけでなく、吸気温度及び吸気音を低減できる。
【0017】
叙述の如く構成された本実施形態によれば、エンジン4と、エンジン4の後方に後傾状に立設されるステアリングコラム13と、エンジン4の冷却水を冷却するラジエータ17と、ラジエータ17を介してエンジンルーム15内に冷却風を取り込むファン18と、エンジン4の吸気を浄化するエアクリーナ20と、を備える乗用型田植機Pであって、ラジエータ17及びファン18は、エンジン4とステアリングコラム13との間に、ステアリングコラム13に沿って後傾状に配置され、エアクリーナ20は、ラジエータ17の前面上部前方空間に配置されるので、ラジエータ17及びファン18によってエンジンルーム15が幅広になることを回避できるだけでなく、ラジエータ17及びファン18をステアリングコラム13に沿って後傾状に配置することで、ラジエータ17の前面上部前方空間を拡張できる。そして、エアクリーナ20は、ラジエータ17の前面上部前方空間に配置されるので、拡張された空間を利用してエアクリーナ20を配置できるとともに、エアクリーナ20の位置を低くしてボンネット16の高さを抑制し、機体前側下方の視認性を向上させることができる。
【0018】
また、乗用型田植機Pは、冷却水を貯留する冷却水タンク19と、エンジン4によって駆動される油圧ポンプ22と、をさらに備え、冷却水タンク19は、エアクリーナ20と左右方向に並列して配置され、油圧ポンプ22は、エアクリーナ20の下方に配置されるので、エンジンルーム15内の空間を有効利用してエアクリーナ20、冷却水タンク19及び油圧ポンプ22をコンパクトに配置できる。
【0019】
また、乗用型田植機Pは、ラジエータ17の後方で吸い込んだ空気をエアクリーナ20に供給する吸気ホース21をさらに備え、吸気ホース21は、エアクリーナ20から冷却水タンク19の下方を通ってラジエータ17の後方まで配管されるので、エンジンルーム15内の空間を有効利用して吸気ホース21を配管できるだけでなく、吸気温度及び吸気音を低減できる。
【符号の説明】
【0020】
P 乗用型田植機
1 走行機体
4 エンジン
13 ステアリングコラム
15 エンジンルーム
16 ボンネット
17 ラジエータ
18 ファン
19 冷却水タンク
20 エアクリーナ
21 吸気ホース
22 油圧ポンプ