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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】材料成形装置及び材料の成形方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/18 20180101AFI20240930BHJP
【FI】
G01N23/18
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021029488
(22)【出願日】2021-02-26
(65)【公開番号】P2022130853
(43)【公開日】2022-09-07
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠治
(72)【発明者】
【氏名】久瀬 善治
【審査官】吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-181642(JP,A)
【文献】特開2000-200796(JP,A)
【文献】特開2000-131247(JP,A)
【文献】特開平06-344366(JP,A)
【文献】特開2009-179038(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0299085(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0217807(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00 - G01N 23/2276
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を材料に照射する照射部と、
成形中の前記材料を透過した放射線を検出する検出部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
記材料の成形中に、前記検出部からの情報に基づいて前記材料の内部のきずを監視して、
成形中の前記材料以外の部材を検出したとき、放射線の照射角度が変化するように前記照射部の位置を変更する
材料成形装置。
【請求項2】
放射線を材料に照射する照射部と、
成形中の前記材料を透過した放射線を検出する検出部と、
成形中の前記材料を収容するとともに内部の圧力が調整可能とされている容器と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記材料の成形中に、前記検出部からの情報に基づいて前記材料の内部のきずを監視し、
前記検出部からの情報に基づいて前記容器の内部の圧力を制御する
材料成形装置。
【請求項3】
前記照射部及び前記検出部と成形中の前記材料とは、成形中の前記材料の所定方向に沿って、かつ、前記所定方向周りに相対的に移動可能とされている
請求項1に記載の材料成形装置。
【請求項4】
前記照射部及び前記検出部と成形中の前記材料とは、成形中の前記材料の所定方向に沿って、かつ、前記所定方向周りに相対的に移動可能とされている
請求項2に記載の材料成形装置。
【請求項5】
成形中の前記材料を収容するとともに内部の圧力が調整可能とされている容器を備え、
前記制御部は、前記検出部からの情報に基づいて前記容器の内部の圧力を制御する
請求項1又はに記載の材料成形装置。
【請求項6】
複数の供給口を介して前記材料が供給される型を備え、
前記制御部は、前記検出部からの情報に基づいて各前記供給口から供給される前記材料の流量、圧力及び温度の少なくともいずれか1つを制御する
請求項1又はに記載の材料成形装置。
【請求項7】
成形中の前記材料の周囲の雰囲気温度を加熱する加熱部を備え、
前記制御部は、前記検出部からの情報に基づいて前記加熱部の出力を制御する
請求項1からのいずれかに記載の材料成形装置。
【請求項8】
前記加熱部は、発熱範囲が所定方向に移動可能とされている
請求項に記載の材料成形装置。
【請求項9】
照射部で放射線を材料に照射する工程と、
前記照射部から照射され前記材料を透過した放射線を検出部で検出する工程と、
前記材料の成形中に、前記検出部からの情報に基づいて前記材料の内部のきずを監視する工程と、
成形中の前記材料以外の部材を検出したとき、放射線の照射角度を変化させる工程と、
を含む
材料の成形方法。
【請求項10】
照射部で放射線を材料に照射する工程と、
前記照射部から照射され前記材料を透過した放射線を検出部で検出する工程と、
前記材料の成形中に、前記検出部からの情報に基づいて前記材料の内部のきずを監視する工程と、
成形中の前記材料を収容する容器の内部の圧力を前記検出部からの情報に基づいて制御する工程と、
を含む
材料の成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、材料成形装置及び材料の成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複合材の適用ニーズの拡大に伴い、複雑な形状をもつ部品の一体成形の検討が進んでいる。しかしながら、一体成形においては、ボイドやポロシティ等の内部のきずが多発している。このため、最適な成形条件(例えば、圧力条件や温度条件)の探索に時間や費用を要し、高品質の部品を迅速に開発できていない。
また、材料によっては、内部のきずが生じにくい成形条件の許容範囲が狭く、材料の保管期間や保管条件毎に成形条件の修正が必要となり成形条件が多様化して生産性を低下させている。
【0003】
例えば、特許文献1には、樹脂成形(RTM)において、予めシミュレーションにより金型内の両隙間部とその他中央部との樹脂流動の透過係数の比率を定めておき、この比率が所定の許容範囲を超えた場合の樹脂注入の圧力低減量を予め複数ケース基準データとして設定しておき、実際の流動パターンと予め設定した基準データとを比較することにより、圧力、温度を修正する制御方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-039479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の制御方法は、予めシミュレーションにより取得した透過係数の比率に対する比較をしているだけであり、直接的に内部のきずの有無を検出していない。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたのもであって、成形中の材料の内部に発生したきずを直接的に、かつ、リアルタイムに監視することができる材料成形装置及び材料の成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の材料成形装置及び材料の成形方法は以下の手段を採用する。
すなわち、本開示の一態様に係る材料成形装置は、放射線を材料に照射する照射部と、成形中の前記材料を透過した放射線を検出する検出部と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記材料の成形中に、前記検出部からの情報に基づいて前記材料の内部のきずを監視する。
【0008】
また、本開示の一態様に係る材料の成形方法は、照射部で放射線を材料に照射する工程と、前記照射部から照射され前記材料を透過した放射線を検出部で検出する工程と、前記材料の成形中に、前記検出部からの情報に基づいて前記材料の内部のきずを監視する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、成形中の材料の内部に発生したきずを直接的に、かつ、リアルタイムに監視することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係る材料成形装置の概略構成図である。
図2図1に示す切断線II-IIにおける断面図である。
図3】他の例に係る材料成形装置の概略構成図である。
図4】照射部及び検出部の移動に伴うヒータの発熱範囲の変化を示す図である。
図5】ヒータの検出に伴う照射部及び検出部の移動を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一実施形態に係る材料成形装置及び材料の成形方法について図面を用いて説明する。
【0012】
図1には、成形中の材料21が設置された材料成形装置1の概略構成図が示されている。図2には、図1の切断線II-IIにおける断面図が示されている。
【0013】
図1に示すように、材料成形装置1は、例えば複合材をオートクレーブ成形する際に使用される装置である。
材料成形装置1は、照射部11、検出部12、制御部40、オートクレーブ(容器)31、ヒータ(加熱部)35を有している。
【0014】
また、オートクレーブ31の内部には、材料21が収容されている。材料21としては、例えば複合材がある。この場合、材料21は、真空バッグ32に封入されている。また、材料21は、真空バッグ32ごと治具36の上に載置されている。
なお、ここで言う「材料」とは、成形完了前の状態を意味しており、成形完了後の状態とは区別される。
【0015】
真空バッグ32には、吸引ノズル33の一端が接続されている。また、吸引ノズル33の他端には、真空ポンプ34が接続されている。これによって、真空バッグ32の内部を真空引きできるように構成している。
【0016】
照射部11は、例えばエックス線等の放射線を照射可能な装置である。照射部11は、成形中の材料21に向かって放射線を照射する。
検出部12は、照射部11から照射された放射線を検出する装置である。
図1及び図2に示すように、照射部11と検出部12とは、成形中の材料21を挟んで対向する位置に配置されている。この配置によって、検出部12は、成形中の材料21を透過した放射線を検出することになる。
【0017】
制御部40は、検出部12で検出された放射線量に関する情報を画像処理することで、成形中の材料21の断層を画像化する。画像化された断層は、作業者によって目視で確認されたり、制御部40によって自動で認識されたりする。これによって、成形中の材料21の内部に発生したきず(以下、「内部のきず」という。)を直接的に、かつ、リアルタイムに監視することができる。そして、内部のきずを検出した場合、内部のきずが生じにくい成形条件に変更したり、内部のきずを消失させるような成形条件に変更したりすることができる。変更され得る成形条件の例については後述する。
なお、内部のきずとしては、例えばボイド、ポロシティ、クラック、はく離等がある。
【0018】
ここで、制御部40は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及びコンピュータ読み取り可能な記憶媒体等から構成されている。
そして、各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で記憶媒体等に記憶されており、このプログラムをCPUがRAM等に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。
なお、プログラムは、ROMやその他の記憶媒体に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。
コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0019】
オートクレーブ31は、材料21を収容する耐圧容器である。
照射部11及び検出部12は、オートクレーブ31の外部に位置している。すなわち、成形中の材料21の内部(断層)は、照射部11、検出部12及び制御部40によってオートクレーブ31の外部から監視されることになる。このため、オートクレーブ31の炉壁は、放射線が透過しやすい材質とされることが好ましい。放射線が透過しやすい材質をもつ材料としては、例えばアルミニウム合金や強化プラスチック等がある。
【0020】
オートクレーブ31は、加圧された不活性ガス(例えば窒素)が供給・排出できるように構成されている。これによって、オートクレーブ31の内部の圧力(すなわち、材料21にかかる圧力)を任意に調整することができる。圧力は、制御部40によって決定・調整される。
【0021】
各ヒータ35は、熱線と電源とを有している。ヒータ35は、発熱する熱線部分がオートクレーブ31の内部に設けられている。これによって、材料21の周囲の雰囲気温度を任意に調整することができる。温度は、制御部40によって決定・調整される。また、その温度に応じたヒータ35の出力は、制御部40によって決定・調整される。
温度は、例えば熱電対等の温度計(図示せず)によって取得される。また、取得される温度は、例えばオートクレーブ31の内部温度や治具36の表面温度等である。
【0022】
以上のように構成された材料成形装置1において、照射部11及び検出部12と成形中の材料21とは、材料21の所定方向に沿って、かつ、所定方向周りに相対的に移動可能とされている。これによって、成形中の材料21の全体についての内部のきずを検出することができる。
【0023】
照射部11及び検出部12と成形中の材料21とを相対的に移動させる構成としては、例えば次のようなものがある。
【0024】
まず、図1及び図2に示すように、材料21が載置された治具36は、レール37の上で所定方向(図1において左右方向)に走行可能に構成されている。また、照射部11及び検出部12は、所定方向に移動しないように構成されている。これによって、照射部11及び検出部12と成形中の材料21とは、材料21の所定方向に沿って相対的に移動することになる。なお、治具36は、必ずしもレール37の上を走行することによって所定方向に移動される必要はなく、例えばリニアスライダやコンベアによって所定方向に移動されてもよい。
図2に示すように、照射部11及び検出部12は、材料21、治具36及びレール37の周囲を所定方向周りに回転するように構成されている。このとき、照射部11と検出部12とは、対向した位置関係を維持している。また、材料21は、所定方向周りに回転しないように構成されている。これによって、照射部11及び検出部12と成形中の材料21とは、材料21の所定方向周りに相対的に移動することになる。
【0025】
ここで、照射部11及び検出部12を所定方向周りに回転させる構成に替えて、図3に示すように、材料21、治具36及びレール37が所定方向周りに回転させるように構成してもよい。
【0026】
また、材料21が載置された治具36を所定方向に沿って移動させる構成に替えて、図4に示すように、照射部11及び検出部12を所定方向に沿って移動させるように構成してもよい。
この場合、照射部11及び検出部12の移動に合わせて、ヒータ35の発熱範囲を移動させられるように構成することが好ましい。発熱範囲の移動は、例えば、熱線と電源との接点の位置を移動させることで行われる。これによって、照射部11及び検出部12の移動に合わせて適切な位置を加熱することができる。
【0027】
図5に示すように、照射部11から照射された放射線上に材料21以外の部材(例えば、ヒータ35が有する熱線のような重金属)が入り込んだことを制御部40が検出した場合には、放射線の照射角度を変更するように照射部11及び検出部12を移動させる。これによって、例えばヒータ35の熱線が断層画像に写り込むことを回避できるので、内部のきずを検出する精度を向上させることができる。
【0028】
以上のような材料成形装置1を用いて材料21の内部を監視した結果、材料21に内部のきずが検出された場合、前述の通り、成形条件を変更する。ここで言う「成形条件」とは、例えばオートクレーブ31の内部の圧力や雰囲気温度である。
【0029】
例えば、ボイドが検出されたら、オートクレーブ31の内部の圧力を減圧してボイドを出し尽くさせ、その後に加圧してボイドを潰す等の圧力条件の変更を行うことができる。
また、オートクレーブ31の内部の加温速度を緩やかにすることで、ボイドが発生しにくいような温度条件とすることもできる。
以上のように成形条件を制御することで、ボイドが生じにくい成形条件に変更したり、ボイドを消失させるような成形条件に変更したりすることができる。
【0030】
なお、圧力や温度は成形条件の例示であり、これら以外に変更可能な条件があれば、それを変更してもよい。
【0031】
[変形例]
上記の説明は、オートクレーブ成形する際に使用される材料成形装置1を例にしているが、材料成形装置1の基本的な構成(照射部11、検出部12及び制御部40)は、射出成形、オーブン成形(脱オートクレーブ成形)、RTM(Resin Transfer Molding)等の加圧や加熱を用いる成形方法にも適用できる。また、材料は、複合材に限定されず、例えば樹脂やセラミックであってもよい。
【0032】
例えばRTMの場合、材料21としての樹脂(加熱により溶融したもの)が注入される金型を備えている。この金型には、樹脂が供給される複数のポート(供給口)が設けられている。断層画像による監視の結果、ボイドが検出された場合、各ポートから注入される樹脂の流量を調整することで、ボイドを消失させるような樹脂の流動性条件とすることができる。また、流量の他にも、注入される樹脂の圧力や温度を調整してもよい。もちろん、樹脂の温度をヒータ35で変更することもできる。
【0033】
また、例えば射出成形の場合、材料21としての樹脂(加熱により溶融したもの)やセラミック粉体が送り込まれる金型を備えている。この金型には、樹脂やセラミック粉体が供給される複数のゲート(供給口)が設けられている。断層画像による監視の結果、ボイドが検出された場合、各ゲートから供給される樹脂やセラミック粉体の流量を調整することで、ボイドを消失させるような樹脂やセラミック粉体の流動性条件とすることができる。また、流量の他にも、送り込まれる樹脂やセラミック粉体の圧力や温度を調整してもよい。
【0034】
上記いずれの成形方法であっても、金型ごと断層を画像化することで、材料21の内部のきずを直接的に、かつ、リアルタイムに監視することができる。
【0035】
本実施形態においては、以下の効果を奏する。
材料成形装置1によれば、放射線を材料21に照射する照射部11と、成形中の材料を透過した放射線を検出する検出部12と、制御部40と、を備え、制御部40は、材料21の成形中に、検出部12からの情報に基づいて材料21の内部のきずを監視するので、成形中の材料21の内部に発生したきず(例えば、ボイドやポロシティ等)を直接的に、かつ、リアルタイムに検出することができる。これによって、例えば検出結果に基づいて、内部のきずが生じにくい成形条件に変更したり、内部のきずを消失させるような成形条件に変更したりすることができる。
なお、成形条件とは、例えば圧力条件、温度条件、材料の流動性条件等である。
【0036】
また、照射部11及び検出部12と成形中の材料21とは、成形中の材料21の所定方向に沿って、かつ、所定方向周りに相対的に移動可能とされているので、成形中の材料21の全方向についての内部のきずを検出することができる。
【0037】
また、加熱部は、発熱範囲が所定方向に移動可能とされているので、成形中の材料の相対的な移動に合わせて適切な位置を加熱することができる。
【0038】
また、制御部は、成形中の材料21以外の部材を検出したとき、放射線の照射角度が変化するように照射部11の位置を変更するので、例えば成形中の材料21とヒータ35の熱線が照射された放射線上で重なった場合でも、それを避けて放射線を照射することができる。これによって、内部のきずを検出する精度を向上させることができる。
【0039】
また、材料21の成形方法によれば、照射部11で放射線を材料に照射する工程と、照射部11から照射され材料を透過した放射線を検出部12で検出する工程と、材料の成形中に、検出部12からの情報に基づいて材料21の内部のきずを監視する工程と、を含むので、成形途中の材料21の内部に発生したきず(例えば、ボイドやポロシティ等)を直接的に、かつ、リアルタイムに検出することができる。これによって、検出結果に基づいた成形条件の最適化が可能となり、内部のきずが生じにくい成形条件や内部のきずを消失させるような成形条件で材料を成形することができる。
【0040】
以上の通り説明した本実施形態は、例えば以下のように把握される。
すなわち、本開示の一態様に係る材料成形装置(1)は、放射線を材料(21)に照射する照射部(11)と、成形中の前記材料を透過した放射線を検出する検出部(12)と、制御部(40)と、を備え、前記制御部は、前記材料の成形中に、前記検出部からの情報に基づいて前記材料の内部のきずを監視する。
【0041】
本態様に係る材料成形装置によれば、放射線を材料に照射する照射部と、成形中の材料を透過した放射線を検出する検出部と、制御部と、を備え、制御部は、材料の成形中に、検出部からの情報に基づいて材料の内部のきずを監視するので、成形中の材料の内部に発生したきず(例えば、ボイドやポロシティ等)を直接的に、かつ、リアルタイムに検出することができる。これによって、例えば検出結果に基づいて、内部のきずが生じにくい成形条件に変更したり、内部のきずを消失させるような成形条件に変更したりすることができる。
なお、内部のきずの監視は、例えば放射線による断層を画像化することで実行される。
【0042】
また、本開示の一態様に係る材料成形装置において、前記照射部及び前記検出部と成形中の前記材料とは、成形中の前記材料の所定方向に沿って、かつ、前記所定方向周りに相対的に移動可能とされている。
【0043】
本態様に係る材料成形装置によれば、照射部及び検出部と成形中の材料とは、成形中の材料の所定方向に沿って、かつ、所定方向周りに相対的に移動可能とされているので、成形中の材料の全体についての内部のきずを検出することができる。
【0044】
また、本開示の一態様に係る材料成形装置は、成形中の前記材料を収容するとともに内部の圧力が調整可能とされている容器(31)を備え、前記制御部は、前記検出部からの情報に基づいて前記容器の内部の圧力を制御する。
【0045】
本態様に係る材料成形装置によれば、成形中の材料を収容するとともに内部の圧力が調整可能とされている容器を備え、制御部は、検出部からの情報に基づいて容器の内部の圧力を制御するので、内部のきずが生じにくい圧力条件で材料を成形したり、材料の内部のきずを消失させるような圧力条件で材料を成形したりすることができる。
【0046】
また、本開示の一態様に係る材料成形装置は、複数の供給口を介して前記材料が供給される型を備え、前記制御部は、前記検出部からの情報に基づいて各前記供給口から供給される前記材料の流量、圧力及び温度の少なくともいずれか1つを制御する。
【0047】
本態様に係る材料成形装置によれば、複数の供給口を介して材料が供給される型を備え、制御部は、検出部からの情報に基づいて各供給口から供給される材料の流量、圧力及び温度の少なくともいずれか1つを制御するので、材料の内部のきずを消失させるような材料の条件で材料を成形したりすることができる。
【0048】
また、本開示の一態様に係る材料成形装置は、成形中の前記材料の周囲の雰囲気温度を加熱する加熱部(35)を備え、前記制御部は、前記検出部からの情報に基づいて前記加熱部の出力を制御する。
【0049】
本態様に係る材料成形装置によれば、成形中の材料の周囲の雰囲気温度を加熱する加熱部を備え、制御部は、検出部からの情報に基づいて加熱部の出力を制御するので、内部のきずが生じにくい温度条件で材料を成形したり、内部のきずを消失させるような温度条件で材料を成形したりすることができる。
【0050】
また、本開示の一態様に係る材料成形装置において、前記加熱部は、発熱範囲が所定方向に移動可能とされている。
【0051】
本態様に係る材料成形装置によれば、加熱部は、発熱範囲が所定方向に移動可能とされているので、成形中の材料の相対的な移動に合わせて適切な位置を加熱することができる。
【0052】
また、本開示の一態様に係る材料成形装置において、制御部は、成形中の前記材料以外の部材を検出したとき、放射線の照射角度が変化するように前記照射部の位置を変更する。
【0053】
本態様に係る材料成形装置によれば、制御部は、成形中の材料以外の部材を検出したとき、放射線の照射角度が変化するように照射部の位置を変更するので、例えば成形中の材料と障害物が照射された放射線上で重なった場合でも、障害物を避けて放射線を照射することができる。これによって、内部のきずを検出する精度を向上させることができる。
【0054】
また、本開示の一態様に係る材料の成形方法は、照射部で放射線を材料に照射する工程と、前記照射部から照射され前記材料を透過した放射線を検出部で検出する工程と、前記材料の成形中に、前記検出部からの情報に基づいて前記材料の内部のきずを監視する工程と、を含む。
【0055】
本態様に係る材料の成形方法によれば、照射部で放射線を材料に照射する工程と、照射部から照射され材料を透過した放射線を検出部で検出する工程と、材料の成形中に、検出部からの情報に基づいて材料の内部のきずを監視する工程と、を含むので、成形途中の材料の内部に発生したきず(例えば、ボイドやポロシティ等)を直接的に、かつ、リアルタイムに検出することができる。これによって、検出結果に基づいた成形条件の最適化が可能となり、内部のきずが生じにくい成形条件や内部のきずを消失させるような成形条件で材料を成形することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 材料成形装置
11 照射部
12 検出部
21 材料
31 オートクレーブ(容器)
32 真空バッグ
33 吸引ノズル
34 真空ポンプ
35 ヒータ(加熱部)
36 治具
37 レール
40 制御部
図1
図2
図3
図4
図5