(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】半導体記憶装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10B 43/50 20230101AFI20240930BHJP
H10B 43/27 20230101ALI20240930BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240930BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20240930BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
H10B43/50
H10B43/27
H01L29/78 371
(21)【出願番号】P 2021033846
(22)【出願日】2021-03-03
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新原 章汰
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-201028(JP,A)
【文献】特開2008-258458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 43/50
H10B 43/27
H01L 21/336
H01L 29/788
H01L 29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電層と複数の絶縁層とが交互に一層ずつ積層された積層体の第1の領域に設けられ、前記導電層をテラス面として有し、前記積層体の積層方向に交差する第1の方向に少なくとも3列に並ぶ階段を含む階段部と、
前記積層体の第2の領域に設けられ、前記積層方向に貫通し、前記複数の導電層と対向する位置に複数のメモリセルが構成される柱状体と、
前記テラス面に接続するコンタクトと
前記積層体の前記第1の領域と前記第2の領域とを複数のブロックに分割する板状部と、
を備え、
前記階段部は、
前記板状部で分割された一つのブロックにおける前記第2の領域の間に少なくとも2つ設けられ、
前記階段部のそれぞれは、前記第1の方向に、前記複数の導電層のうちの1つの導電層を有する第1の段ごとに昇段し、前記積層方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向に、前記複数の導電層のうちの少なくとも3つの導電層を有する第2の段ごとに昇段
し、
前記階段部に含まれる前記テラス面は、他の前記階段部に含まれる前記テラス面を構成する前記導電層とは異なる階層の導電層から構成される、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記複数のブロックのうちの隣接する2つのブロックにおいて、前記階段部が前記板状部に対して対称に配置される、請求項
1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
複数の犠牲層と複数の絶縁層とを交互に一層ずつ積層することにより積層体を形成し、
前記積層体の上面に形成された平面視矩形形状を有する第1のマスクを用いて、前記複数の犠牲層のうちの一つの犠牲層と前記複数の絶縁層のうちの一つの絶縁層との厚さに相当する第1のエッチング量で前記積層体をエッチングすることにより、第1の凸部を形成し、
前記第1のマスクをスリミングすることにより第2のマスクを設け、
前記第2のマスクを用いて前記第1のエッチング量で当該積層体をエッチングすることにより、第2の凸部と、前記第1の凸部が下層に転写された第3の凸部とを形成し、
前記第2のマスクを用いたエッチングの後の当該積層体の上に、前記第3の凸部の4つの角部にそれぞれ接する4つの第1の開口を有する第3のマスクを設け、
前記第3のマスクを用いて前記第1のエッチング量で当該積層体をエッチングし、
前記第3のマスクをスリミングすることにより前記第1の開口よりも大きく、前記第1の凸部の4つの角部に接する4つの第2の開口を有する第4のマスクを設け、
前記第4のマスクを用いて前記第1のエッチング量で当該積層体をエッチングし、
前記第4のマスクをスリミングすることにより前記第2の開口よりも大きい4つの第3の開口を有する第5のマスクを設け、
前記第5のマスクを用いて前記第1のエッチング量で当該積層体をエッチングし、
前記第5のマスクを用いたエッチングの後の当該積層体の上に、4つの前記第1の開口が配置されていた4つの領域のうち2つの領域にそれぞれ跨る2つの第4の開口を有する第6のマスクを設け、
前記第6のマスクを用いて、前記複数の犠牲層のうちの二つの犠牲層と前記複数の絶縁層のうちの二つの絶縁層との厚さに相当する第2のエッチング量で当該積層体をエッチングし、
前記第6のマスクをスリミングすることにより、4つの前記第2の開口が配置されていた4つの領域のうち2つの領域にそれぞれ跨る2つの第5の開口を有する第7のマスクを設け、
前記第7のマスクを用いて前記第2のエッチング量で当該積層体をエッチングすること
を含む、半導体記憶装置の製造方法。
【請求項4】
前記第7のマスクを用いたエッチングの後、前記複数の犠牲層をそれぞれ導電層に置き換えることを更に含む、請求項
3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記複数の犠牲層が窒化シリコンにより形成され、前記導電層が金属により形成される、請求項
4に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば3次元構造を有する半導体記憶装置には、複数の導電層と複数の絶縁層とが交互に一層ずつ積層される積層体と、この積層体を積層方向に貫通し、導電層と対向する部分にメモリセルが形成されるメモリピラーとを有するものがある。導電層はメモリセルに対するワード線として機能し、階段形状に加工された各テラス面(踏み板面)に対してコンタクトが接続され、コンタクトを介してメモリセルが制御される。
【0003】
このような半導体記憶装置では、記憶容量の増大のため、積層体の積層数が増加する傾向がある。これに伴って、階段形状において段数が増加し、階段が長くなるため、半導体記憶装置の小型化ができないことともなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一つの実施形態は、階段形状のテラス面にコンタクトを接続する構造を有する半導体記憶装置の小型化を可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一つの実施形態によれば、半導体記憶装置は、階段部、柱状体、コンタクト、及び板状部を有する。階段部は、複数の導電層と複数の絶縁層とが交互に一層ずつ積層された積層体の第1の領域に設けられ、前記導電層をテラス面として有し、前記積層体の積層方向に交差する第1の方向に少なくとも3列に並ぶ階段を含む。柱状体は、前記積層体の第2の領域に設けられ、前記積層方向に貫通し、前記複数の導電層と対向する位置に複数のメモリセルが構成される。コンタクトは前記テラス面に接続する。板状部は、前記積層体の前記第1の領域と前記第2の領域とを複数のブロックに分割する。前記階段部は、前記板状部で分割された一つのブロックにおける前記第2の領域の間に少なくとも2つ設けられ、前記階段部のそれぞれは、前記第1の方向に、前記複数の導電層のうちの1つの導電層を有する第1の段ごとに昇段し、前記積層方向及び前記第1の方向と交差する第2の方向に、前記複数の導電層のうちの3つの導電層を有する第2の段ごとに昇段する。前記階段部に含まれる前記テラス面は、他の前記階段部に含まれる前記テラス面を構成する前記導電層とは異なる階層の導電層から構成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態による半導体記憶装置の一部上面図である。
【
図2】
図2(a)は、
図1のA-A線に沿った断面図であり、
図2(b)は、
図1のB-B線に沿った断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態による半導体記憶装置の階段部の形成方法について説明する説明図である。
【
図4】
図4は、実施形態による半導体記憶装置の階段部の形成方法について説明する説明図である。
【
図5】
図5は、実施形態による半導体記憶装置の階段部の形成方法について説明する説明図である。
【
図6】
図6は、実施形態による半導体記憶装置の階段部の形成方法について説明する説明図である。
【
図7】
図7は、実施形態による半導体記憶装置の階段部の形成方法について説明する説明図である。
【
図8】
図8は、実施形態による半導体記憶装置の階段部の形成方法について説明する説明図である。
【
図9】
図9は、実施形態による半導体記憶装置の階段部の形成方法について説明する説明図である。
【
図10】
図10は、実施形態による半導体記憶装置の階段部の形成方法について説明する説明図である。
【
図11】
図11は、実施形態による半導体記憶装置の階段部の形成方法について説明する説明図である。
【
図12】
図12は、比較例による半導体記憶装置の階段部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の限定的でない例示の実施形態について説明する。添付の全図面中、同一または対応する部材または部品については、同一または対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面は、部材もしくは部品間、または、種々の層の厚さの間の相対比を示すことを目的とせず、したがって、具体的な厚さや寸法は、以下の限定的でない実施形態に照らし、当業者により決定されてよい。
【0009】
図1及び
図2を参照しながら、実施形態による半導体記憶装置について説明する。
図1は、実施形態による半導体記憶装置の一部上面図であり、
図2(a)は、
図1のA-A線に沿った断面図であり、
図2(b)は、
図1のB-B線に沿った断面図である。本実施形態による半導体記憶装置1は、例えばシリコンなどの半導体で形成されるほぼ矩形の基板と、基板上に形成された周辺回路部(後述)と、周辺回路部上に形成された記憶素子部とを有している。記憶素子部は、後述するように複数の導電層と複数の絶縁層とが交互に一層ずつ積層された積層体を含み、積層体は
図1に示すセルアレイ領域CAと階段領域SAに区画されている。
【0010】
図1を参照すると、セルアレイ領域CAには複数のメモリピラーMPが設けられている。メモリピラーMPは、図中のx方向及びy方向に周期的に配列され、それぞれ図中のz方向に延びる。メモリピラーMPの構造については、後に
図2(b)を参照しながら説明する。
【0011】
また、半導体記憶装置1には、セルアレイ領域CA及び階段領域SAを複数のブロックBLKへと分割する複数の板状部STが設けられている。各板状部STは、セルアレイ領域CAと階段領域SAをx方向に横切るとともに、
図2(a)に示すように、図中のz方向に延び、後述のソースラインSL内で終端する。板状部STは、導電部EPとこれを覆う絶縁部IPとを有している。具体的には、セルアレイ領域CA及び階段領域SAの積層体(後述)に細長い溝状のスリットが形成され、このスリットの内壁に絶縁材料を堆積することにより絶縁部IPが形成され、絶縁部IPの内側の空間に導電材料を埋め込んで導電部EPを形成することにより、板状部STが形成される。導電部EPは、後述するソースラインSLに接続しており、板状部STはソースコンタクトとして機能し得る。ただし、板状部STは導電部EPを有しなくてもよい。この場合、上記のスリットの内部の全体が絶縁体で埋め込まれ、絶縁性の板状部STとなる。なお、スリットは、後述するように、積層体における導電層を形成するときに利用される。
【0012】
各ブロックBLKの階段領域SAには2つの階段部SRが設けられ、階段部SRの各段(各テラス面)には、図中のz方向に延びるコンタクトCCが接続されている。階段部SRの各々には、本実施形態においては、後に説明するように、平面視で格子状にテラス面(踏み板面)が配置されている。詳細には、階段部SRはy方向に並ぶ3列の階段を有し、各列はx方向に並ぶ3つの段を有している。また、本実施形態では、隣接する2つのブロックBLKにおいて、板状部STに対して対称に階段部SRが配置されている。
【0013】
図2(a)を参照すると、基板Sの表層には、素子分離部STIにより分離されたトランジスタTrが形成されている。トランジスタTr及び基板Sの上には、第1の層間絶縁膜IL1が例えば酸化シリコンなどの絶縁材料により形成され、第1の層間絶縁膜IL1内には、トランジスタTrのゲートなどに接続するビアVや、配線MLが設けられている。これらのトランジスタTrや、ビアV、配線ML、第1の層間絶縁膜IL1により、後述のメモリセルを制御する周辺回路部PERが構成されている。第1の層間絶縁膜IL1の上にはソースラインSLが形成されている。ソースラインSLは、例えば、ヒ素やアンチモンなどの不純物が添加された導電性の多結晶シリコンにより形成されてよい。
【0014】
ソースラインSLの上方には、例えば酸化シリコンで形成される絶縁膜SOを介して、階段部SRが設けられている。階段部SRは積層体SKを含み、積層体SKには複数の絶縁層QLmと複数の導電層WLm(図示の例では、m=3~10の整数)とが交互に一層ずつ積層されている。絶縁層QLmは、絶縁材料、例えば酸化シリコンで形成され、導電層WLmは金属、例えばタングステンなどで形成されてよい。
【0015】
図示の例では、積層体SKの下方部における(すなわちソースラインSLに近い)導電層WL7~WL10と絶縁層QL7~QL10は、板状部STの間で(すなわちブロックBLK内で)y方向に連続的に延びている。一方、絶縁層QL7よりも上に位置する導電層WL3~WL6と絶縁層QL3~QL6は、ブロックBLK内で分断されている。ここで、図中の左側の板状部STからy方向に延びる導電層WL4~WL6の各々の長さは、絶縁層QL7から離れるほど短くなる。これにより、導電層WL4~WL6をテラス面とし、図中の左側の板状部STからy方向に降段する階段形状が形成される。また、この階段形状を覆うように第2の層間絶縁膜IL2が形成されている。第2の層間絶縁膜IL2は、絶縁層QLmと同じ絶縁材料(例えば酸化シリコン)により形成され、したがって、第2の層間絶縁膜IL2に覆われる絶縁層QL3及びQL6~QL9とは第2の層間絶縁膜IL2と実質的に一体となる。
【0016】
テラス面としての導電層WL5,WL6,WL7には、第2の層間絶縁膜IL2(及び、それぞれ絶縁層QL5,QL6,QL7)を貫通するコンタクトCCがそれぞれ接続している。コンタクトCCは、例えばタングステンやモリブデンなどの金属により形成され、上端でプラグPgを介して上部配線(不図示)と接続する。
【0017】
また、各ブロックBLKの階段領域SAには、階段部SRに対してx方向に隣接して貫通接続部TPが設けられている。貫通接続部TPには貫通コンタクトが設けられ、貫通コンタクトは例えば貫通接続部TPを貫通し、下端で、周辺回路部PERの周辺回路に接続する。また、貫通コンタクトは、上端で、プラグPgを介して上部配線(不図示)と接続する。これにより、周辺回路と導電層WL5,WL6,WL7等とが、貫通コンタクト、プラグ等、上部配線、プラグPg、及びコンタクトCCを介して互いに電気的に接続される。導電層WLmは後述するメモリセルのワード線としての機能を有し、したがって、メモリセルが周辺回路によって制御されることとなる。
【0018】
なお、以下、絶縁層QL3,QL4,QL5,・・・,QL10の各々について特に言及しない場合には、単に絶縁層QLと記すことがある。また導電層WL3,WL4,WL5,・・・,WL10についても単に導電層WLと記す場合がある。
【0019】
図2(b)は、
図1中のB-B線に沿った断面図である。ただし、階段部SRの下方に設けられる周辺回路部PERは、
図2(a)に示すものと同様の構成を有するため、省略されている。また、コンタクトCCに接続するプラグ等も省略されている。
【0020】
図2(b)を参照すると、3つの導電層WL9,WL6,WL3をテラス面とし、x方向に昇段する階段形状が形成されている。導電層WL9,WL6,WL3には、第2の層間絶縁膜IL2(及び、それぞれ絶縁層QL9,QL6,QL3)を貫通するコンタクトCCがそれぞれ接続している。
図2(a)に示した導電層WL7,WL6,WL5をテラス面とする階段は1つの絶縁層を含む段ごとに(詳細には一組の導電層WL及び絶縁層QLごとに)y方向に昇段する一方、
図2(b)に示す階段は、3つの絶縁層を含む段ごとに(詳細には、三組の導電層WL及び絶縁層QLごとに)x方向に昇段する。このように、階段部SRは、
図1におけるx方向とy方向で一段の高さ(蹴上げの高さ)が異なっている。
【0021】
メモリピラーMPは、z方向(積層体SKの積層方向)に沿って、積層体SKを貫通し、ソースラインSL内で終端する。メモリピラーMPは、有底のほぼ円筒状の形状を有し、その中心から外側に向かって同心円状に形成されたコア層COR、チャネル層CHN、及びメモリ膜MEMを有している。ここで、コア層CORは例えば酸化シリコン等で形成されてよく、チャネル層CHNは例えば導電性の多結晶シリコン又はアモルファスシリコン等で形成されてよい。また、
図2(b)に示すように、メモリ膜MEMは、メモリピラーMPの中心から外側に向かう方向に沿って順次形成されたトンネル絶縁層TN、電荷蓄積層CT、及びブロック絶縁層BKを有している。トンネル絶縁層TN及びブロック絶縁層BKは例えば酸化シリコンで形成されてよく、電荷蓄積層CTは例えば窒化シリコンで形成されてよい。
【0022】
積層体SK中の導電層WLのうちの最も上のものがメモリピラーMPのメモリ膜MEMに対向する部分は、ドレイン側選択トランジスタとして機能する。導電層WLのうちの最も下のものがメモリピラーMPに対向する部分は、ソース側選択トランジスタとして機能する。残りの導電層WLがメモリ膜MEMと対向する部分は、メモリセルMCとして機能する。それらの導電層WLはメモリセルMCのワード線として機能する。
【0023】
また、ソースラインSL内においては、メモリピラーMPのメモリ膜MEMの一部が除去され、チャネル層CHNがメモリピラーMPの外側面を構成している。チャネル層CHNの外側面を形成する部分がソースラインSLと接触している。これにより、チャネル層CHNとソースラインSLとが電気的に接続される。
【0024】
次に、
図3から
図9までを参照しながら、階段部SRの形成方法について説明する。
図3(a)は上面図であり、
図3(b)は
図3(a)のL1-L1線に沿った断面図であり、
図3(c)は
図3のL2-L2線に沿った断面図であり、
図3(d)は
図3のL3-L3線に沿った断面図である。また、
図3(b)、
図3(c)、及び
図3(d)では、エッチング前後の断面図を示している。なお、
図4から
図9までにおいても、
図3と同様に上面図と断面図を図示する。また、以下の形成方法では、
図1の一点鎖線Rで囲まれた4つの階段部SRが同時に形成される。
図1に示した板状部STは、
図3から
図9まででは省略されいる。これは、板状部が階段部SRの形成後に形成されるためである。
【0025】
図3(a)及び
図3(b)を参照すると、複数の絶縁層QL1~QL10と複数の犠牲層SN1~SN10が交互に一層ずつ積層された積層体TSKが形成されている。複数の絶縁層QL1~QL10は、互いにほぼ同じ厚さを有することができ、複数の犠牲層SN1~SN10もまた、互いにほぼ同じ厚さを有することができる。また、絶縁層と犠牲層の厚さもほぼ同じであってよい。絶縁層QL1~QL10は例えば酸化シリコンで形成されてよく、犠牲層SN1~SN10は例えば窒化シリコンで形成されてよい。なお、積層体TSKは、ソースラインSLの上方に絶縁膜SO(
図2)を介して設けられているが、図示の簡便のため、絶縁膜SOやソースラインSL、その下方の構造は省略されている。また、以下の形成方法により積層体TSKに仮の階段部が形成され、その階段部内の犠牲層SN1~SN10が、後の工程において、導電層WL1~WL10(
図2)に置換され、階段部SRが形成される。なお、
図3から
図9は、説明の目的に適した数の絶縁層と導電層を図示している。しかし、これらの層の数は、図示の例に限らず、作製される半導体記憶装置1の記憶容量(すなわちメモリピラーMPに形成されるメモリセルの数)を考慮して決定されてよい。
【0026】
図3(a)に示すように、まず、積層体TSKの上面に、矩形平面視形状を有するフォトレジスト膜R10が形成される。次いで、フォトレジスト膜R10をマスクとして、第1回目のエッチングが行われる。具体的には、このエッチングにより、フォトレジスト膜R10で覆われていない領域では、
図3(b)に示すように積層体TSKの表面に露出する絶縁層QL1と犠牲層SN1とがエッチングされ、これにより絶縁層QL2が露出する。すなわち、このエッチングにおけるエッチング量は、一組の絶縁層QL1及び犠牲層SN1に相当する。また、フォトレジスト膜R10で覆われた領域には、
図3(c)及び
図3(d)に示すように絶縁層QL1と犠牲層SN1が凸状に残る。なお、以下に説明する第2回目から第5回目のエッチングにおいても、エッチング量は同じである。
【0027】
次に、
図4(a)に示すように、フォトレジスト膜R10がスリミングされ、フォトレジスト膜R10よりも小さな矩形平面視形状を有するフォトレジスト膜R11が形成される。フォトレジスト膜R11をマスクとして第2回目のエッチングが行われる。ここで、
図4(a)に示すように、フォトレジスト膜R11に覆われず、絶縁層QL2が露出している領域では、露出する絶縁層QL2と犠牲層SN2とが除去され、絶縁層QL3が露出する。
【0028】
また、フォトレジスト膜R11では覆われず、凸状の絶縁層QL1及び犠牲層SN1が形成されている領域では、
図4(c)に示すように、凸状の絶縁層QL1及び犠牲層SN1の形状が絶縁層QL2と犠牲層SN2に転写されて、凸状の絶縁層QL2及び犠牲層SN2が得られるとともに、その周囲にて絶縁層QL3が露出する。
【0029】
さらに、第1回目のエッチングで形成された凸状の絶縁層QL1及び犠牲層SN1上にフォトレジスト膜R11が設けられた領域では、
図4(d)に示すように、凸状の絶縁層QL1及び犠牲層SN1の形状が絶縁層QL2と犠牲層SN2に転写されて、凸状の絶縁層QL2及び犠牲層SN2が得られるとともに、その周囲にて絶縁層QL3が露出する。また、フォトレジスト膜R11の下に凸状の絶縁層QL1及び犠牲層SN1が残り、その周囲にて絶縁層QL2が露出する。これにより、絶縁層QL3の上に、大きな凸状の絶縁層QL2及び犠牲層SN2と、小さな凸状の絶縁層QL1及び犠牲層SN1とが二段に形成される。
【0030】
次いで、
図5(a)を参照すると、積層体TSKの上にフォトレジスト膜R21が形成されている。フォトレジスト膜R21には、矩形平面視形状を有する4つの開口QP21が設けられている。図示のとおり、これまでのエッチングにより形成された凸状の絶縁層QL2及び犠牲層SN2の4つの角部のそれぞれに開口QP21の一つの角部が接し、絶縁層QL2と開口QP21の長辺が連続するように開口QP21が配置される。開口QP21には絶縁層QL3が露出している。
【0031】
フォトレジスト膜R21をマスクとして第3回目のエッチングが行われると、
図5(b)に示すように、開口QP21に露出した絶縁層QL3と、その下層の犠牲層SN3とが除去され、絶縁層QL4が露出する。すなわち、絶縁層QL4の上に、絶縁層QL3と犠牲層SN3による凸部が形成される。一方、
図5(c)及び
図5(d)に示すように、フォトレジスト膜R21で覆われた領域は、このエッチングの後であっても変わることはない。
【0032】
続けて、フォトレジスト膜R21がスリミングされると、
図6(a)に示すように、開口QP21が開口QP22へと均一に拡大される。すなわち、開口QP21より大きな開口QP22を有するフォトレジスト膜R22が得られる。図示のとおり、これまでのエッチングにより形成された凸状の絶縁層QL1及び犠牲層SN1の4つの角部のそれぞれに、開口QP22の一つの角部が接し、絶縁層QL1と開口QP22の長辺が連続するように開口QP22が配置される。換言すると、開口QP22がこのように配置されるようにフォトレジスト膜R21がスリミングされて、開口QP22を有するフォトレジスト膜R22が得られる。開口QP22には、平面視で、矩形形状を有する絶縁層QL4と、これを取り囲む枠体状の絶縁層QL3とが露出している。
【0033】
フォトレジスト膜R22をマスクとして第4回目のエッチングが行われる。
図6(b)に示すように、凸状の絶縁層QL3及び犠牲層SN3の上にフォトレジスト膜R22が設けられている領域では、凸状の絶縁層QL3及び犠牲層SN3の形状が、絶縁層QL4と犠牲層SN4に転写されて、凸状の絶縁層QL4及び犠牲層SN4が得られ、その両側に絶縁層QL5が露出する。また、フォトレジスト膜R22の下に凸状の絶縁層QL3及び犠牲層SN3が残り、その両側に絶縁層QL4が露出する。すなわち、絶縁層QL3及び犠牲層SN3による凸部が形成される。これにより、絶縁層QL5の上に、大きな凸状の絶縁層QL4及び犠牲層SN4と、小さい凸状の絶縁層QL3及び犠牲層SN3が二段に形成される。
【0034】
また、
図6(c)に示すように、凸状の絶縁層QL2及び犠牲層SN2の上にフォトレジスト膜R22が設けられている領域では、凸状の絶縁層QL2及び犠牲層SN2の形状が、絶縁層QL3と犠牲層SN3に転写されて、凸状の絶縁層QL3及び犠牲層SN3が得られ、その両側に絶縁層QL4が露出する。また、フォトレジスト膜R22の下に凸状の絶縁層QL2及び犠牲層SN2が残り、その両側に絶縁層QL3が露出する。これにより、絶縁層QL4の上に、大きな凸状の絶縁層QL3及び犠牲層SN3と、小さい凸状の絶縁層QL2及び犠牲層SN2が二段に形成される。なお、
図6(d)に示すように、フォトレジスト膜R23で覆われた領域は、このエッチングの後であっても変わることはない。
【0035】
次に、フォトレジスト膜R22がスリミングされると、
図7(a)に示すように、開口QP22が開口QP23へと均一に拡大される。すなわち、開口QP22より大きな開口QP23を有するフォトレジスト膜R23が得られる。図示のとおり、開口QP22には、平面視で、矩形形状を有する絶縁層QL3と、これを取り囲む枠体状の絶縁層QL4と、これを取り囲む枠体状の絶縁層QL5が露出している。
【0036】
フォトレジスト膜R23をマスクとして第5回目のエッチングが行われる。
図7(b)に示すように、絶縁層QL3上にフォトレジスト膜R23が設けられている領域では、凸状の絶縁層QL4及び犠牲層SN4の形状が、絶縁層QL5及び犠牲層SN5に転写されて、凸状の絶縁層QL5及び犠牲層SN5が得られ、その両側に絶縁層QL6が露出し、凸状の絶縁層QL3及び犠牲層SN3の形状が、絶縁層QL4及び犠牲層SN4に転写される。また、フォトレジスト膜R23で覆われていない絶縁層QL3と、犠牲層SN3とがエッチングされる。これにより、露出した絶縁層QL6の上に、大きな凸状の絶縁層QL5及び犠牲層SN5と、これよりも小さい凸状の絶縁層QL4及び犠牲層SN4と、更に小さい凸状の絶縁層QL3及び犠牲層SN3とが三段に形成される。
【0037】
また、
図7(c)に示すように、凸状の絶縁層QL2及び犠牲層SN2の上にフォトレジスト膜R23が設けられている領域では、凸状の絶縁層QL3及び犠牲層SN3の形状が、絶縁層QL4と犠牲層SN4に転写されて、凸状の絶縁層QL4及び犠牲層SN4が得られ、その両側に絶縁層QL5が露出する。また、凸状の絶縁層QL2及び犠牲層SN2の形状が、絶縁層QL3と犠牲層SN3に転写されて、凸状の絶縁層QL3及び犠牲層SN3が得られる。さらに、フォトレジスト膜R23の下に、凸状の絶縁層QL2及び犠牲層SN2が残り、その両側に絶縁層QL3が露出する。これにより、絶縁層QL5の上に、大きな凸状の絶縁層QL4及び犠牲層SN4と、これよりも小さい凸状の絶縁層QL3及び犠牲層SN3と、更に小さい凸状の絶縁層QL2及び犠牲層SN2とが三段に形成される。
【0038】
図7(d)を参照すると、フォトレジスト膜R23は絶縁層QL1の上に形成されており、フォトレジスト膜R23を用いたエッチングにより、絶縁層QL4の上に、大きな凸状の絶縁層QL3及び犠牲層SN3と、これよりも小さい凸状の絶縁層QL2及び犠牲層SN2と、更に小さい凸状の絶縁層QL1及び犠牲層SN1とが三段に形成される。
【0039】
次に、
図8(a)を参照すると、積層体TSKの上にフォトレジスト膜R31が形成されている。フォトレジスト膜R31は2つの開口QP31を有し、各開口QP31は、図中縦方向に細長く延びている。詳細には、各開口QP31は、フォトレジスト膜R21の4つの開口QP21がそれぞれ配置されていた4つの領域のうちの2つの領域に跨って広がっており、絶縁層QL6,QL5,QL4が階段状に露出している。一方、絶縁層QL1~QL3はフォトレジスト膜R31に覆われている。なお、後の工程において、
図8(a)における一点鎖線LLに沿って板状部ST(
図1)が形成される。したがって、後に形成される板状部STを横切るように並ぶ、開口QP21が配置されていた2つの領域が開口QP31から露出する。
【0040】
フォトレジスト膜R31をマスクとして、第6回目のエッチングが行われる。具体的には、
図8(b)に示すように、フォトレジスト膜R31の開口QP31に露出した絶縁層QL6から犠牲層SN7まで(絶縁層QL6、犠牲層SN6、絶縁層QL7、犠牲層SN7)が除去される。すなわち、第6回目のエッチングにおいては、二組の絶縁層及び犠牲層が除去される。これにより、絶縁層QL8が露出する。絶縁層QL8の上に、平面視で、大きな凸状の三組の絶縁層及び犠牲層(絶縁層QL5、犠牲層SN5、絶縁層QL6、犠牲層SN6、絶縁層QL7、犠牲層SN7)と、その上の小さい凸状の絶縁層QL4及び犠牲層SN4と、その上の更に小さい凸状の絶縁層QL3及び犠牲層SN3とが形成される。
【0041】
図8(c)を参照すると、同様に、絶縁層QL7の上に、平面視で、大きな凸状の三組の絶縁層及び犠牲層(絶縁層QL4、犠牲層SN4、絶縁層QL5、犠牲層SN5、絶縁層QL6、犠牲層SN6)と、その上の小さい凸状の絶縁層QL3及び犠牲層SN3と、その上の更に小さい凸状の絶縁層QL2及び犠牲層SN2とが形成される。
【0042】
さらに
図8(d)においては、絶縁層QL6の上に、平面視で、大きな凸状の三組の絶縁層及び犠牲層(絶縁層QL3、犠牲層SN3、絶縁層QL4、犠牲層SN4、絶縁層QL5、犠牲層SN5)と、その上の小さい凸状の絶縁層QL2及び犠牲層SN2と、その上の更に小さい凸状の絶縁層QL1及び犠牲層SN1とが形成される。
【0043】
次に、フォトレジスト膜R31がスリミングされると、
図9(a)に示すように、開口QP31が開口QP32へと均一に拡大される。すなわち、開口QP31よりも大きい開口QP32を有するフォトレジスト膜R32が形成される。詳細には、各開口QP32は、フォトレジスト膜R22の4つの開口QP22がそれぞれ配置されていた4つの領域のうちの2つの領域に跨って広がっている。
【0044】
フォトレジスト膜R32をマスクとして第7回目のエッチングが行われる。このエッチングにおいても、二組の絶縁層及び犠牲層がエッチングされる。具体的には、
図9(b)に示すように、フォトレジスト膜R32の開口に絶縁層QL5,QL8が露出する部分では、絶縁層QL8から犠牲層SN9までがエッチングされて絶縁層QL10が露出するとともに、絶縁層QL5から犠牲層SN6までがエッチングされて絶縁層QL7が露出する。
【0045】
同様に、
図9(c)に示すように、フォトレジスト膜R32の開口に絶縁層QL4,QL7が露出する部分では、絶縁層QL7から犠牲層SN8までがエッチングされて絶縁層QL9が露出するとともに、絶縁層QL4から犠牲層SN5までがエッチングされて絶縁層QL6が露出する。
【0046】
さらに、
図9(d)に示すように、フォトレジスト膜R32の開口に絶縁層QL3,QL6が露出する部分では、絶縁層QL3から犠牲層SN4までがエッチングされて絶縁層QL5が露出するとともに、絶縁層QL6から犠牲層SN7までがエッチングされて絶縁層QL8が露出する。
【0047】
この後、フォトレジスト膜R32を除去すると、
図10に示すように、絶縁層QL1から絶縁層QL10までがそれぞれ部分的に露出し、階段部SRとなるべき仮の階段部が得られる。
図10(a)は、このようにして形成された階段部の上面図であり、
図10(b)は、この階段部の斜視図である。
図10(a)に示されているように、絶縁層QL2から絶縁層QL10までの9つ絶縁層は、平面視で格子状に配列されており、各々がテラス面となる。また、
図10(b)に示されているように、L1-L1線、L2-L2線、及びL3-L3線に沿って(
図1のx方向に沿って)形成され、一つの段が三組の絶縁層及び犠牲層を有する3つの階段が、L1-L1線、L2-L2線、及びL3-L3線に交差する方向(
図1のy方向)に3列に並んでいる。また、この仮の階段部においては、当該交差する方向(
図1のy方向)には、一つの段が一組の絶縁層及び犠牲層を有する3つの階段が形成されるということもできる。
【0048】
この後、
図11(a)に示すように、
図10(a)に示した4つの階段部のうちの右側の2つの階段部を覆うようにフォトレジスト膜R40が形成される。
図11(a)は、フォトレジスト膜R40の上面図であり、
図11(b)は、フォトレジスト膜R40を用いたエッチングの前後における
図11(a)のL1―L1線に沿った断面図である。なお、
図11(a)のL1-L1線は、
図3から
図9までにおけるL1-L1線に対応する。
【0049】
図11(b)に示すように、フォトレジスト膜R40から露出する領域(フォトレジスト膜R40の端部R40Eよりも左側の領域)において、9組の絶縁層及び犠牲層がエッチングにより除去される。これにより、このエッチング前の段差形状が、下方の絶縁層と犠牲層へと転写される。具体的には、エッチング前には、テラス面として絶縁層QL4、QL7、及びQL10が露出していたところ、エッチング後には、絶縁層QL13、QL16、及びQL19が露出する。一方、フォトレジスト膜R40に覆われている部分では、(フォトレジスト膜R40の除去後に)テラス面としての絶縁層QL4、QL7、及びQL10が露出したままとなる。すなわち、フォトレジスト膜R40を用いたエッチングにより、L1-L1線に沿った領域において、テラス面としての絶縁層の数が3から6へと倍増する。これは、
図3から
図9までに示したL2-L2線やL3-L3線に沿った領域でも同様である。したがって、このエッチングの後には、合計18個の絶縁層QLがテラス面として露出することとなる。
【0050】
次いで、以上のように形成された仮の階段部を覆うように例えば酸化シリコン膜が堆積され、この酸化シリコン膜を例えば化学研磨平坦化(CMP)法により平坦化すると、第2の層間絶縁膜IL2(
図2)が形成される。ここで、上述の各絶縁層QLもまた酸化シリコンで形成されるため、第2の層間絶縁膜IL2と各絶縁層QLは実質的に一体化される。このため、例えば絶縁層QL4の下の犠牲層SN5のように、犠牲層SNがむしろテラス面に相当することになる。この後、板状部ST(例えば
図1参照)のためのスリットが形成され、スリットを通して犠牲層SNが導電層WLに置換される。導電層WLは、上述のとおり、例えばタングステンなどの金属で形成されてよい。これにより、仮の階段部が階段部SRとなる。続いて、第2の層間絶縁膜IL2を貫通して、導電層WL2~WL10(
図2)を含む合計18個の導電層WLのそれぞれに到達するホール(不図示)が形成される。これらのホールが金属により埋め込まれ、コンタクトCC(
図2)が形成される。ここで、18個の導電層WLはメモリセルMC(
図2(b))のワード線となる。なお、導電層WL1は、上述のとおり、ソース側選択トランジスタのゲート線として機能し得る。
【0051】
以下、本実施形態による半導体記憶装置1及びその製造方法が奏する効果について、比較例を参照しながら説明する。
図12は、比較例による半導体記憶装置における階段部を示す断面図である。比較例による半導体記憶装置は、例えば
図1に示す、実施形態による半導体記憶装置1の一つのブロックBLKにおける階段領域SAの2つの階段部SRが
図12に示す階段部に置き換えられることにより形成されている。このため、比較例による半導体記憶装置は、階段部(
図12)と、階段部に設けられるコンタクトと上層配線の配置などとを除き、実施形態による半導体記憶装置1と同じ構造を有している。
【0052】
図12に示すように、比較例による半導体記憶装置の階段部CSRは、中央に最下段を有し、互いにx方向に反対向きに昇段する2つの階段CSR1,CSR2を有している。また、各階段CSR1,CSR2は、導電層をテラス面とする6個の段を有している。このような構成によれば、この階段部CSRはx方向に合計12個のテラス面を有し、それぞれに対してコンタクトが接続される。
【0053】
一方、本実施形態による半導体記憶装置1においては、
図1及び
図10から明らかなように、それぞれx方向に6個のテラス面を有する3つの階段が提供される。すなわち、合計で18個のテラス面が提供される一方で、x方向には6個のテラス面を有するに過ぎない。このため、比較例における階段部CSRのx方向の長さに比べて、実施形態における階段部SRのx方向の長さを低減することが可能となる。これにより、半導体記憶装置1を小型化することも可能となる。
【0054】
また、比較例による半導体記憶装置では、階段部CSRと、隣接する板状部STとの間に利用されない領域が生じ得る。しかしながら、実施形態による半導体記憶装置1によれば、そのような領域にもテラス面を形成することができ、そこにコンタクトCCを接続することが可能となる。したがって、無駄になり得る領域を有効に利用することができ、半導体記憶装置1の小型に寄与する。
【0055】
さらに、半導体記憶装置の記憶容量の増大のため、導電層の数(メモリピラーに設けられるメモリセルの数に相当)を増やす場合には、それに応じてステップ面が設けられる。ステップ面の増加のためには、階段部を増加することになる。ここで、例えば比較例による半導体記憶装置の階段部CSRは、
図12に示すように12個のステップ面を有するため、ステップ面の数を12で除算した得た商に1を加えた数に等しい数の階段部CSRが必要となる。
【0056】
一方、実施形態による半導体記憶装置1によれば、階段部SRは18個のテラス面を提供できるため、ステップ面の数を18で除算すれ良いため、必要な階段部SRの数は、比較例における階段部CSRに比べ、少なくてよい。しかも、その差は、テラス面の数(導電層の数)が増大するほど大きくなる。したがって、記憶容量の増大に伴って、実施形態における階段部SRにより奏される効果は大きくなる。
【0057】
なお、上述の実施形態においては、一つの階段領域SAに2つの階段部SRが設けられていたが、これに限らず、積層体SK(TSK)の層数に応じて、例えば3つ以上の階段部SRが設けられてよい。
【0058】
また、上述の実施形態においては、階段部SRはy方向に3列に並ぶ階段を有していたが、これに限らず、4列以上に並ぶ階段を有していてもよい。この場合、x方向では、一つの段が4つ以上の導電層を有する階段となってよい。
【0059】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1…半導体記憶装置、CA…セルアレイ領域、SA…階段領域、SR…階段部、CSR1,CSR2…階段、SK,TSK…積層体、CC…コンタクト、TP…貫通接続部、IL1…第1の層間絶縁膜、IL2…第2の層間絶縁膜、QLm,QL1~QL10…絶縁層、WLm,WL1~WL10…導電層、SN1~SN10…犠牲層、S…基板、Tr…トランジスタ、V…ビア、Pg…プラグ、R10,R11,R21,R22,R23、R40…フォトレジスト膜、QP21,QP22,QP23…開口。