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特許7562450駅務機器、プログラム、および券媒体の再発券方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】駅務機器、プログラム、および券媒体の再発券方法
(51)【国際特許分類】
   G07B 1/00 20060101AFI20240930BHJP
   G07B 5/00 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
G07B1/00 A
G07B5/00 D
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021038234
(22)【出願日】2021-03-10
(65)【公開番号】P2022138379
(43)【公開日】2022-09-26
【審査請求日】2023-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】横田 俊介
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-150983(JP,A)
【文献】特開2017-111490(JP,A)
【文献】特開2001-266182(JP,A)
【文献】特開2001-209829(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 1/00, 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
券媒体の発券に必要な券情報が入力される操作部と、
前記券情報を前記券媒体に記録し、該券媒体を発券する発券部と、
前記券情報を表示オブジェクトに変換して生成された情報コードの読み取りおよび出力を行う情報コード処理部と、
前記操作部、前記発券部、前記情報コード処理部の動作を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記操作部により前記券情報が適切に入力された場合、前記情報コードを生成し、前記発券部で前記券媒体が正常に発券されない場合、生成した前記情報コードを前記情報コード処理部から出力し、前記情報コード処理部が出力した前記情報コードを前記情報コード処理部で読み取り、読み取られた前記情報コードを解析して前記券情報を復元し、復元した前記券情報に基づいて前記発券部で前記券媒体を発券し直す
駅務機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記券情報を暗号化して前記情報コードを生成する
請求項1に記載の駅務機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記券情報および前記情報コードを記憶し、前記発券部で前記券媒体が正常に発券されたことを条件に、記憶した前記券情報および前記情報コードを削除する
請求項1に記載の駅務機器。
【請求項4】
前記情報コード処理部は、前記制御部が生成した前記情報コードを印刷用紙に印刷する
請求項1に記載の駅務機器。
【請求項5】
前記情報コード処理部は、前記制御部が生成した前記情報コードを別の駅務機器に出力する
請求項1に記載の駅務機器。
【請求項6】
前記制御部は、前記情報コードとして、光学的に読み取り可能な形状、模様、色彩、もしくはこれらの組み合わせに前記券情報を変換した二次元コードを生成する
請求項1からのいずれか一項に記載の駅務機器。
【請求項7】
駅務機器において券媒体を発券する処理を実行させるプログラムであって、
前記券媒体の発券に必要な券情報が適切に入力されたことを条件に、前記券情報を表示オブジェクトに変換して情報コードを生成する手順と、
前記券媒体が正常に発券されないことを条件に、生成した前記情報コードを出力する手順と、
出力した前記情報コードを解析して前記券情報を復元する手順と、
復元した前記券情報に基づいて前記券媒体を発券し直す手順と、を実行する
プログラム。
【請求項8】
駅務機器において券媒体の発券に必要な券情報の再入力を補助して前記券媒体を再発券する方法であって、
前記券情報が適切に入力されたことを条件に、入力された前記券情報を表示オブジェクトに変換して情報コードを生成し、
前記券媒体が正常に発券されないことを条件に、生成された前記情報コードを出力し、
出力された前記情報コードを解析して前記券情報を復元し、
復元された前記券情報に基づいて該券情報を再入力し、前記券媒体を発券し直す
券媒体の再発券方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、駅務機器、プログラム、および券媒体の再発券方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道の駅などには、窓口処理機や定期券発券機などの駅務機器が設置されている。窓口処理機や定期券発券機は、所定の入力情報に基づいて、IC(Integrated Circuit)券や磁気券を発券する。その際、IC券や磁気券といった券媒体の取り扱いが生じるため、一定数の発券異常が発生する。かかる発券異常は、基本的には券媒体の送り機構など、窓口処理機や定期券発券機などの機器側に起因する。この場合、発券異常となった券媒体を機器から取り除き、別の券媒体で再発券されるなどの対応がなされる。その際、例えば定期券の新規購入時に発券異常が生じると、再発券時には利用者の氏名、利用開始日、利用終了日、利用区間(発駅、着駅、経由駅)などの必要情報をすべて入力し直さなければならない。
【0003】
このような手間を軽減させる一つの方法として、必要情報を機器側に一旦保存しておき、保存情報を用いて再発券することが挙げられる。しかしながら、情報を誤って選択してしまう可能性や発券異常の発生タイミング次第では情報を保存できない可能性もあるため、必ずしも十分な方法とは言えない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-134783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本実施形態が解決しようとする課題は、発券異常が生じた場合の再発券時の手間を軽減可能な駅務機器、プログラム、および券媒体の再発券方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の駅務機器は、操作部と、発券部と、情報コード処理部と、制御部とを備える。前記操作部では、券媒体の発券に必要な券情報が入力される。前記発券部は、前記券情報を前記券媒体に記録して発券する。前記情報コード処理部は、前記券情報を表示オブジェクトに変換して生成された情報コードの読み取りおよび出力を行う。前記制御部は、前記操作部、前記発券部、前記情報コード処理部の動作を制御する。そして、前記制御部は、前記操作部により前記券情報が適切に入力された場合、前記情報コードを生成し、前記発券部で前記券媒体が正常に発券されない場合、生成した前記情報コードを前記情報コード処理部から出力し、前記情報コード処理部が出力した前記情報コードを前記情報コード処理部で読み取り、読み取られた前記情報コードを解析して前記券情報を復元し、復元した前記券情報に基づいて前記発券部で前記券媒体を発券し直す
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る駅務機器の一例である定期券発券機の外観を概略的に示す斜視図。
図2】同実施形態に係る定期券発券機の制御ブロックの一例を示す図。
図3】同実施形態に係る定期券発券機における情報コードの生成手順の一例を示すフロー図。
図4】同実施形態に係る定期券発券機における情報コードの解析手順の一例を示すフロー図。
図5】同実施形態に係る定期券発券機における定期券発券処理の一例を示す制御フロー図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照符号を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
【0009】
図1および図2には、本実施形態に係る駅務機器の外観を概略的に示す。図1は、本実施形態に係る駅務機器の一例である定期券発券機1の外観を概略的に示す斜視図である。図2は、定期券発券機1の制御ブロックの一例を示す図である。駅務機器は、鉄道の駅などに設置される機器であり、本実施形態ではIC券や磁気券といった券媒体の発券が可能な機器である。図1および図2には、定期券発券機1を駅務機器の一例として示すが、その他の例として、係員が操作して乗車券や特急券などを発券する窓口処理機、旅客が操作する自動券売機なども適用可能である。
【0010】
図1および図2に示すように、定期券発券機1は、主たる要素として、操作部2と、発券部3と、情報コード処理部4と、制御部5とを備えている。また、その他の要素として、定期券発券機1は、金銭の入出金を行う入出金部6、クレジットカードなどの磁気カードでの支払処理を行う磁気カード処理部7、ICカードなどでの支払処理を行うICカード処理部8、発券内容などの情報を表示する客用表示部9などを備えている。
【0011】
操作部2は、発券の際に必要な券情報、ここでは定期券の発券の際に必要な情報(以下、定期券情報という)の入出力を行う。図1に示す例では、定期券発券時の案内画面と操作画面の双方を表示可能なタッチパネル式の入出力装置として操作部2が構成されている。ただし、操作部は、案内画面などを表示する出力装置と、文字入力を行うキーボードやペンなどの入力装置を別体として備えていてもよい。操作部2の操作は、係員によって行われる。このため、操作部2は、例えば操作者を認証する認証カードの読取器、パスワードの入力画面など、任意の認証手段を有していればよい。
【0012】
発券部3は、券媒体に定期券情報を記録、印字して、該券媒体を定期券として発券する。券媒体としては、例えば磁気券やIC券などが適用される。発券部3は、磁気券もしくはIC券のいずれかのみが発券可能な専用装置であってもよいし、いずれのカードも発券可能な汎用装置であってもよい。発券部3は、その機能を果たすべく情報記録部31、搬送部32、収容部33などを有して構成される。
【0013】
情報記録部31は、券媒体に所定の定期券情報を記録する。定期券情報は、例えば氏名、性別、年齢、電話番号、大人・小人、利用開始日、利用終了日、新規・継続の区分、通勤・通学の区分、利用区間(発駅、着駅、経由駅)、発券日、券種などの情報である。定期券情報は、係員によって操作部2を介して入力され、後述する制御部5のメモリ部53に記憶される。係員は、定期券の購入者が定期券情報を記入した申込用紙を回収し、記入内容に応じて定期券情報を操作部2から入力する。情報記録部31は、磁気券やIC券の記録領域に定期券情報を記録するとともに、券面に定期券情報の少なくとも一部を印刷する。情報記録部31は、定期券情報を記録する磁気ヘッドや定期券情報を印刷する印刷ヘッドなどの記録素子を有する。
【0014】
搬送部32は、定期券情報が記録されていない券媒体(生の磁気券やIC券)を収容部33などから情報記録部31に送るとともに、定期券情報が記録された券媒体を発券部3の搬出口34に送る。搬送部32は、例えばアクチュエータ、ローラ、ベルトなどからなる機構である。
【0015】
収容部33は、定期券情報が記録されていない券媒体(生の磁気券やIC券)を収容する。収容部33は、例えば磁気券やIC券の使用枚数や残枚数などを検出するカウンタを有し、券媒体のストック状況のデータを制御部5に付与する。
【0016】
発券部3は、定期券の発券の成否を示す信号を制御部5に付与する。例えば、情報記録部31は定期券情報の記録成否、搬送部32は券媒体の搬送成否、収容部33は券媒体切れや券媒体補充要否などを示す信号をそれぞれ制御部5に送信する。これにより、制御部5において定期券の発券の成否を判定することが可能とされている。
【0017】
情報コード処理部4は、情報コードの読み取りおよび出力を行う。情報コードは、所定の情報(ここでは定期券情報)が、読み取り可能な形状、模様、色彩、これらの組み合わせなどに変換された表示オブジェクトである。情報コードの具体例としては、光学的に読み取り可能なバーコードや二次元コードなどが挙げられる。ただし、情報コードはこれらの例に限定されない。本実施形態では、制御部5において、所定の暗号鍵で暗号化された定期券情報が表示オブジェクトに変換されて情報コードが生成される。情報コード処理部4は、情報コードを読み取る情報コード読取部41と、情報コードを出力する情報コード出力部42を有する。情報コード読取部41は、例えば情報コード出力部42で所定の用紙に印刷された情報コードを読み取り、読み取ったデータを制御部5に付与する。情報コード出力部42は、情報コードを所定の媒体に出力する。本実施形態では一例として、情報コード出力部42は、情報コードを印刷用紙に印刷する。このような印刷出力に代えてもしくは加えて、情報コード出力部42は、USBメモリなどのような外部記憶媒体あるいは別の定期券発券機などに情報コードをデータとして出力してもよい。
【0018】
制御部5は、定期券発券機1の全体を制御する。制御部5は、その機能を果たすべく、主制御部51、通信部52、メモリ部53、およびデータ記憶部54を有する。主制御部51は、上述した定期券発券機1の各要素と有線もしくは無線で接続され、動作制御にあたって、これらとの間で各種データや演算結果などを送受信する。主制御部51は、プロセッサ、各種メモリ、入出力回路、タイマなどを含み、所定の演算処理を実行する。例えば、主制御部51は、各種データを入出力回路により読み込み、メモリ部53から読み出した所望のプログラム(ここでは後述する定期券発券プログラム)を用いてプロセッサで演算処理する。そして、主制御部51は、処理結果に基づいて操作部2、発券部3、情報コード処理部4、入出金部6、磁気カード処理部7、ICカード処理部8、客用表示部9の動作制御をそれぞれ行い、定期券を発券する。
【0019】
通信部52は、上述した定期券発券機1の各要素と制御部5とのデータ通信を行う各種の通信モジュールを備えた通信インターフェースである。また、通信部52は、例えば定期券発券機1の管理システム、顧客システム、決済システムなどの上位システムと制御部5とのデータ通信を行う通信モジュールも備える。
【0020】
メモリ部53は、揮発性メモリ、不揮発性メモリなどの記憶装置であり、例えば主制御部51で実行されるプログラムを記憶する。また、メモリ部53は、例えば操作部2、発券部3、情報コード処理部4、入出金部6、磁気カード処理部7、ICカード処理部8、客用表示部9との間でやり取りされる各種データを記憶する。例えば、メモリ部53は、操作部2から入力された定期券情報のデータ、後述する情報コード生成部56が生成した情報コードのデータを記憶する。
【0021】
データ記憶部54は、大容量の書き換え可能な不揮発性の記憶装置である。データ記憶部54は、例えば磁気ディスク装置(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)などで構成される。なお、データ記憶部54は、制御部5の一部としてではなく、例えばクラウド上に構成されていてもよい。この場合、通信部52は、クラウドとの通信モジュールなどを備えた構成とされる。
【0022】
また、制御部5は、情報コード制御部55を有する。情報コード制御部55は、例えば主制御部51で実行されるプログラム、端的には定期券発券プログラムのサブプログラムとして構成されており、メモリ部53に記憶され、実行時に主制御部51に読み出される。なお、情報コード制御部55を構成するプログラムをクラウド上に格納し、通信部52を介してクラウドと適宜通信し、主制御部51で所望のプログラムを利用可能とする構成であってもよい。
【0023】
情報コード制御部55は、情報コードを生成する情報コード生成部56と、情報コードを解析する情報コード解析部57を有する。
【0024】
図3は、情報コード生成部56による情報コードの生成手順の一例を示すフロー図である。図3に示すように、情報コード生成部56は、所定のコード情報(ここでは定期券情報)を表示オブジェクトに変換して情報コードを生成する。定期券情報のデータは、メモリ部53から情報コード生成部56に読み出される。情報コードの生成にあたって、情報コード生成部56は、例えばAES(Advanced Encryption Standard)などの秘密鍵暗号方式を用いて定期券情報のデータを暗号化する(S301)。次いで、情報コード生成部56は、暗号化データをBASE64でエンコードする(S302)。そして、情報コード生成部56は、エンコードしたBASE64の符号データを二次元コードにエンコードして、情報コードを生成する(S303)。
【0025】
これにより、生成された二次元コードには、定期券情報が暗号化して紐付けられる。情報コード生成部56は、生成した二次元コードのデータをメモリ部53に保存する。定期券の発券異常時、情報コード出力部42は、メモリ部53に保存されたデータに基づいて、所定の媒体、一例として印刷用紙に二次元コードを印刷して出力する(詳細は後述)。なお、情報コードには、使用可能期間や有効期限などを設定してもよい。また、有効期限などを設定せず、定期券情報に齟齬が生じない限り、情報コードを使用可能としてもよい。例えば、定期券の利用開始日前までであれば、情報コードを有効とし、繰り返し使用を許容してもよい。
【0026】
図4は、情報コード解析部57による情報コードの解析手順の一例を示すフロー図である。図4に示すように、情報コード解析部57は、情報コード生成部56による情報コードの生成手順と逆の手順で情報コードを解析する。情報コードの解析にあたって、情報コード解析部57は、情報コード読取部41で読み取られた二次元コードをデコードする(S401)。さらに、情報コード解析部57は、デコードした二次元コードをBASE64でデコードし、BASE64の符号データに変換する(S402)。そして、情報コード解析部57は、BASE64の符号データを、AESなどの秘密鍵暗号方式を用いて復号化する(S403)。
【0027】
これにより、二次元コードに紐付けられていた定期券情報が復元される。定期券の発券異常時、情報コード解析部57は、解析した定期券情報を主制御部51に付与する。例えば、解析された定期券情報のデータは、入力パラメータとして、主制御部51が実行する定期券発券プログラムに引き渡される(詳細は後述)。定期券発券プログラムは、定期券を発券するための一連の処理(以下、定期券発券処理という)を実行するためのプログラムである。なお、定期券発券プログラムが実行する定期券の発券には、発券異常時の再発券も含まれる。
【0028】
次に、制御部5が行う定期券発券機1の制御について、具体的には主制御部51が定期券発券プログラムを実行して行う定期券発券処理について説明する。図5は、主制御部51が行う定期券発券処理の一例を示す制御フロー図である。
【0029】
図5に示すように、定期券発券処理において、主制御部51は、定期券情報を取得する(S501)。定期券情報は、例えば定期券の購入者が記入した申込用紙の内容に基づいて、操作部2から係員によって入力されている。入力されたデータは、メモリ部53に記憶されるとともに、操作部2の操作画面に入力内容として表示される。主制御部51は、メモリ部53から定期券情報のデータを適宜読み出す。
【0030】
次いで、主制御部51は、定期券情報の入力適否条件を判定する(S502)。入力適否条件は、定期券情報が適切に入力されたか否かの判定条件である。入力適否条件の判定は、例えば操作部2の操作画面に表示された入力内容が適切か否かを係員が判断し、適切である場合には所定の確認操作がなされる。確認操作は、例えば確認ボタンの押し下げや確認アイコンのタッチなどの操作である。入力適否条件の判定にあたって、主制御部51は、係員による所定の確認操作がなされた場合、例えば確認ボタンの押下信号などを所定時間内に受信した場合、入力適否条件が成立すると判定する。これに対し、主制御部51は、係員による所定の確認操作がなされない場合、例えば確認ボタンの押下信号などを所定時間内に受信しない場合、入力適否条件が成立しないと判定する。
【0031】
入力適否条件が成立しない場合、主制御部51は、定期券情報が適切に入力されておらず、定期券の発券が不可能であるものとして、定期券発券処理を終了する。
【0032】
これに対し、入力適否条件が成立する場合、主制御部51は、情報コードを生成する(S503)。この場合、主制御部51は、情報コード生成部56を動作させ、定期券情報に紐付けられた情報コードを生成する。情報コード生成部56は、メモリ部53から読み出した定期券情報のデータを表示オブジェクトに変換し、情報コードとして二次元コードを生成する。なお、後述するように定期券を発券し直す場合、主制御部51は、再度の情報コードの生成を省略してもよい。例えば、主制御部51は、情報コードを生成した際に所定のフラグを設定する。これにより、該フラグが設定されている場合、情報コードの生成が省略可能である。かかるフラグは、後述する定期券情報のデータの削除時(S512)に初期値にリセットされる。あるいは、かかるフラグさ設定され、情報コードがすでに生成されている場合、主制御部51は、定期券を発券し直す際に既存の情報コードを更新してもよい。
【0033】
そして、係員によって所定の発券操作がなされると、主制御部51は、定期券を発券する(S504)。発券操作は、例えば発券ボタンの押し下げや発券アイコンのタッチなどの操作である。この場合、主制御部51は、発券部3を動作させ、メモリ部53から読み出した定期券情報に基づいて定期券を発券する。その際、例えば定期券情報の券種に応じて、磁気券もしくはIC券のいずれかが発券される。
【0034】
ここで、主制御部51は、定期券の発券成否条件を判定する(S505)。発券成否条件は、定期券が正常に発券されたか否かの判定条件である。発券成否条件の判定は、例えば定期券の発券の成否を示す信号が主制御部51に付与されているか否かによって判定される。具体的には、情報記録部31から定期券情報の記録が正常に完了した旨、搬送部32から券媒体が正常に搬送された旨、収容部33から券媒体残量が正常である旨などの各信号をいずれも受信した場合、主制御部51は、発券成否条件が成立し、定期券が正常に発券されたと判定する。これに対し、例えば上記の各信号のいずれかを受信していない場合、主制御部51は、発券成否条件が成立せず、定期券が正常に発券されていないと判定する。この場合、定期券の発券時に何らかの異常が発生しており、定期券が未発券である状態となっている。
【0035】
発券成否条件が成立する場合、主制御部51は、定期券の発券対象の定期券情報のデータをメモリ部53から削除する(S506)。この場合、定期券が正常に発券されているため、該定期券が発券された定期券情報のデータがメモリ部53から削除される。また、この場合、定期券が正常に発券されているため、後述する発券異常時に出力して使用される情報コードは不要となる。したがって、発券成否条件が成立する場合、主制御部51は、情報コードのデータをメモリ部53から削除する(S506)。これらのデータの削除により、メモリ部53の容量の逼迫を抑制するとともに、個人情報に紐付いた不要なデータの保持を回避できる。
【0036】
これに対し、発券成否条件が成立しない場合、主制御部51は、所定のエラー通知を行う(S507)。この場合、主制御部51は、操作部2を動作させ、所定のエラー通知をする。エラー通知は、例えばエラーメッセージの表示や再生、警告灯の点灯(点滅)、警告音の鳴動など、係員に対して異常発生の周知徹底を図るためになされる通知の各種態様であり、これらの一つもしくは組み合わせによりなされる。
【0037】
また、主制御部51は、情報コードを印刷する(S508)。この場合、主制御部51は、情報コード出力部42を動作させ、情報コード生成部56が生成した情報コードを印刷する。情報コード出力部42は、情報コード生成部56が生成した情報コード、一例として二次元コードのデータをメモリ部53から読み出し、該二次元コードを印刷用紙に印刷する。
【0038】
そして、主制御部51は、異常解消条件を判定する(S509)。異常解消条件は、定期券の発券時に生じた異常が解消されたか否かの判定条件である。異常解消条件の判定は、例えば定期券情報の記録時にエラーとなった券媒体や発券途中で搬送不良となった券媒体などが取り除かれたか否かを係員が判断し、適切に取り除かれている場合には所定の確認操作がなされる。確認操作としては、例えば確認ボタンの押し下げや確認アイコンのタッチなどの操作である。異常解消条件の判定にあたって、主制御部51は、係員による所定の確認操作がなされた場合、例えば確認ボタンの押下信号などを所定時間内に受信した場合、異常解消条件が成立すると判定する。これに対し、主制御部51は、係員による所定の確認操作がなされない場合、例えば確認ボタンの押下信号などを所定時間内に受信しない場合、異常解消条件が成立しないと判定する。
【0039】
なお、異常解消条件が成立する場合、主制御部51は、所定の再開選択通知を行う。この場合、主制御部51は、操作部2を動作させ、所定の再開選択通知をする。再開選択通知は、例えば再開選択メッセージの表示や再生など、係員に対して定期券を発券し直すか否かの選択を行わせる通知の各種態様である。例えば定期券を発券し直す場合、係員は、再発券ボタンの押し下げや再発券アイコンのタッチなどの操作を行う。
【0040】
異常解消条件が成立する場合、主制御部51は、再発券条件を判定する(S510)。再発券条件は、定期券を発券し直すか否かの判定条件である。再発券条件の判定は、例えば定期券の再発券を指示する信号を主制御部51が受信しているか否かによって判定される。例えば、主制御部51は、再発券ボタンの押下信号などを所定時間内に受信した場合、再発券条件が成立すると判定する。これに対し、主制御部51は、例えば再発券ボタンの押下信号などを所定時間内に受信しない場合、再発券条件が成立しないと判定する。
【0041】
再発券条件が成立する場合、主制御部51は、情報コードを読み取る(S511)。この場合、主制御部51は、情報コード読取部41を動作させ、情報コード出力部42で所定の用紙に印刷された情報コードを読み取る。情報コードは、例えば情報コード出力部42が印刷した情報コードを係員が情報コード読取部41にかざすなどして読み取られる。情報コード読取部41は、読み取った情報コード、一例として二次元コードのデータを主制御部51に付与する。
【0042】
情報コードの読取データが付与されると、主制御部51は、情報コードを解析する(S512)。この場合、主制御部51は、情報コード解析部57を動作させ、情報コードに紐付いた定期券情報を解析する。情報コード解析部57は、情報コード、一例として二次元コードをデコードして復号化し、定期券情報のデータを復元する。情報コード解析部57は、復元した定期券情報のデータを操作部2に付与する。操作部2は、付与された定期券情報を操作画面に入力内容として表示する。
【0043】
定期券情報が操作画面に表示されると、主制御部51は、定期券情報の入力適否条件を再び判定し(S502)、判定結果に応じて以降の処理(S503~S512)を選択的に繰り返す。定期券情報および情報コードのデータは、最終的に定期券が正常に発券されると、メモリ部53から削除される(S506)。
【0044】
なお、S509において異常解消条件が成立しない場合、主制御部51は、定期券情報および情報コードのデータをメモリ部53から削除する(S506)。この場合、発券時の異常が解消されておらず、定期券の発券の継続が不可能であるものとして、主制御部51は、定期券情報および情報コードのデータを削除する。情報コードのデータが削除されても、情報コード、一例として二次元コードは印刷されているため(S508)、情報コード自体の使用は可能である。
【0045】
また、S510において再発券条件が成立しない場合、主制御部51は、定期券情報および情報コードのデータをメモリ部53から削除する(S506)。この場合、定期券を発券し直す意思がないものとして、主制御部51は、定期券情報のデータを削除する。この場合も、印刷された情報コード自体の使用は可能である。
【0046】
S505において発券成否条件が成立する場合も含め、定期券情報のデータを削除すると、主制御部51は、一連の定期券発券処理を終了する。
【0047】
このように、本実施形態によれば、定期券の発券時に異常が生じた場合であっても、情報コードから定期券情報を得ることができる。したがって、発券異常時に定期券情報のデータが消失したような場合であっても、情報コードから復元させた定期券情報のデータを用いて定期券を発券し直すことができる。その際、購入者が定期券情報を申込用紙に改めて記入する必要もなく、係員が定期券情報を再入力する必要もない。このため、定期券情報の再入力の手間、端的には発券異常が生じた場合の再発券時の手間を軽減できる。結果として定期券を迅速に再発券でき、定期券の購入者を機器側の対応で待たせることも抑制できる。
【0048】
加えて、このように情報コードから定期券情報を復元させるため、例えば定期券発券機1に保存された定期券情報から再発券対象の定期券情報を係員が選択するような処理は不要となる。したがって、係員による定期券情報の選択ミスや入力ミスのような人為的トラブルの発生を回避できる。
【0049】
また、定期券情報のデータは秘密鍵で暗号化した上で、情報コードに紐付けられている。このため、情報コード、一例として二次元コードを読み取っただけでは定期券情報を得ることはできず、秘密鍵で復号化しなければ定期券情報を復元できない。したがって、例えば情報コードが印刷された用紙を紛失した場合であっても、第三者による定期券情報の取得を抑止できる。これにより、定期券情報に含まれる個人情報などの漏洩を防止できる。
【0050】
さらに、情報コードは用紙に印刷されており、持ち運び可能とされている。したがって、例えば定期券の発券中に発券部3が機械的に故障し、発券が不可能になったような場合であっても、別の発券部を有する定期券発券機、定期券の発券機能を有する券売機などで情報コードを読み取らせることで、定期券の発券が可能となる。これにより、定期券の発券が長期に亘って不可能となる事態を防ぐことができる。
【0051】
また、定期券発券機1において、定期券の発券後は定期券情報のデータを削除でき、情報コードの印刷後は情報コードのデータを削除できる。したがって、定期券発券機1においてこれらのデータを長期に亘って保存せずに済み、例えばメモリ部53の容量を低減させることが可能となる。これにより、定期券発券機1の負荷を軽減し、能力を簡素化できる。
【0052】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0053】
1…駅務機器(定期券発券機)、2…操作部、3…発券部、4…情報コード処理部、5…制御部、6…入出金部、7…磁気カード処理部、8…ICカード処理部、9…客用表示部、31…情報記録部、32…搬送部、33…収容部、34…搬出口、41…情報コード読取部、42…情報コード出力部、51…主制御部、52…通信部、53…メモリ部、54…データ記憶部、55…情報コード制御部、56…情報コード生成部、57…情報コード解析部。
図1
図2
図3
図4
図5