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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】コネクタ及び電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20240930BHJP
【FI】
H01R12/71
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021044049
(22)【出願日】2021-03-17
(65)【公開番号】P2022143509
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2023-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】常村 明生
(72)【発明者】
【氏名】呉 少龍
【審査官】塩澤 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-190642(JP,A)
【文献】特開2021-026981(JP,A)
【文献】国際公開第2020/059210(WO,A1)
【文献】特開2016-152084(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/71
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接続対象物と嵌合するコネクタであって、
嵌合凸部と、前記嵌合凸部の周囲を囲む外周壁と、を有するインシュレータと、
前記嵌合凸部に取り付けられている第1金具と、
前記外周壁に取り付けられている第2金具と、
を備え、
前記第1金具と前記第2金具とは、互いに異なる部材であり、
前記第1金具及び前記第2金具の強度は、互いに異なり、
前記第1金具は、前記コネクタの長手方向に沿って延在する第2基部と、回路基板に実装される実装部と、を有し、
前記実装部は、前記第2基部において前記回路基板側の底面を含む
コネクタ。
【請求項2】
前記第1金具と前記第2金具とは、互いに分離している、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1金具の材料は、前記第2金具の材料と異なる、
請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第1金具の材料の強度は、前記第2金具の材料の強度よりも高い、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記第1金具の板厚は、前記第2金具の板厚よりも大きい、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項6】
一対の前記第1金具を備え、
一対の前記第1金具は、前記コネクタの長手方向における前記嵌合凸部の両端にそれぞれ取り付けられている、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記第1金具は、前記第2基部から延出するL字状の第1基部を有し、
前記第1基部及び前記第2基部は、全体としてクランク状になるように一体的に形成されている、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記外周壁は、短手壁と長手壁とを有し、
前記第2基部は、前記嵌合凸部から、前記第2金具が取り付けられている前記短手壁に至るまで延在する、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記実装部は、前記短手壁と前記嵌合凸部との間に位置する、
請求項に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記第2金具は、前記短手壁の前記長手方向の外面に沿って配置されている第1実装部と、前記第1実装部とともに前記短手壁を挟むように前記短手壁の前記長手方向の内面に沿って配置されている第2実装部と、を有する、
請求項8又は9に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記第2金具の前記第1実装部及び前記第2実装部の少なくとも一方は、前記コネクタの短手方向において前記第1金具の両側に配置されている、
請求項10に記載のコネクタ。
【請求項12】
一対の前記第2金具を備え、
前記外周壁は一対の短手壁を有し、
一対の前記第2金具は、一対の前記短手壁にそれぞれ取り付けられている、
請求項8乃至11のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項13】
前記第2金具は、前記コネクタと前記接続対象物とが互いに嵌合する嵌合状態で、前記接続対象物の金具と接触する弾性変形可能な接触片を有する、
請求項1乃至12のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項14】
前記第2金具は、前記コネクタと前記接続対象物とが互いに嵌合する嵌合状態で、前記第1金具と共に前記接続対象物の金具を挟むように位置する、
請求項1乃至13のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項15】
前記第1金具と前記インシュレータとは、インサート成形により一体的に成形されている、
請求項1乃至14のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項16】
前記コネクタは第1回路基板に実装され、かつ第2回路基板に実装されている前記接続対象物と接続される、
請求項1乃至15のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれか1項に記載のコネクタを備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、互いに異なる回路基板に実装され、これらの回路基板を電気的に接続するためのコネクタ及び接続対象物を含むコネクタモジュールに関する技術が広く知られている。例えば、特許文献1には、コネクタ挿抜過程におけるハウジングの突壁及び端壁の両方の損傷を防止できる回路基板用電気コネクタが開示されている。
【0003】
近年、モバイル機器などを含む電子機器に対して軽薄短小化が要求されており、電子機器の内部に搭載されるコネクタに対しても小型低背化が要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-170296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コネクタが小型低背化されると、接続対象物との嵌合途中において接続対象物と接触することで、コネクタを構成する金具及びインシュレータなどの部品が潰れたり破損したりしやすくなる。例えば、特許文献1に開示されている回路基板用電気コネクタのように突壁及び端壁に取り付けられている金具が一体的に形成されていると、突壁及び端壁の両側で金具の材料が同一となる。これにより、突壁及び端壁の両側で金具の強度が必然的に同一となる。したがって、一方側の金具の強度を必要に応じて他方側の金具の強度よりもさらに高めるというような柔軟な設計が困難であった。以上により、金具及びインシュレータの強度をさらに向上させて、コネクタの破損を抑制することが困難であった。
【0006】
このような問題点に鑑みてなされた本開示の目的は、小型低背化された状態であってもコネクタと接続対象物との嵌合途中及び嵌合後における堅牢性が向上するコネクタ及び電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示の一実施形態に係るコネクタは、
接続対象物と嵌合するコネクタであって、
嵌合凸部と、前記嵌合凸部の周囲を囲む外周壁と、を有するインシュレータと、
前記嵌合凸部に取り付けられている第1金具と、
前記外周壁に取り付けられている第2金具と、
を備え、
前記第1金具と前記第2金具とは、互いに異なる部材であり、
前記第1金具及び前記第2金具の強度は、互いに異なる。
【0008】
上記課題を解決するために、本開示の一実施形態に係る電子機器は、
上記のコネクタを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態に係るコネクタ及び電子機器によれば、小型低背化された状態であってもコネクタと接続対象物との嵌合途中及び嵌合後における堅牢性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るコネクタと接続対象物とが互いに接続されている状態のコネクタモジュールを上面視で示した外観斜視図である。
図2】一実施形態に係るコネクタと接続対象物とが互いに分離している状態のコネクタモジュールを上面視で示した外観斜視図である。
図3図1のコネクタ単体を上面視で示した外観斜視図である。
図4図3のコネクタを分解して上面視で示した外観斜視図である。
図5図3の破線囲み部を拡大して示した拡大図である。
図6図5のコネクタを下面視で示した拡大図である。
図7図1の接続対象物単体を上面視で示した外観斜視図である。
図8図1のVIII-VIII矢線に沿った断面図である。
図9図1のIX-IX矢線に沿った断面図である。
図10図1のX-X矢線に沿った断面図である。
図11】一実施形態に係るコネクタの変形例を示す図5に対応する拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら本開示の一実施形態について詳細に説明する。以下の説明中の前後、左右、及び上下の方向は、図中の矢印の方向を基準とする。各矢印の方向は、図1乃至図6及び図8乃至図11において、異なる図面同士で互いに整合している。図面によっては、簡便な図示を目的として、後述する回路基板CB1及びCB2の図示を省略する。
【0012】
図1は、一実施形態に係るコネクタ10と接続対象物50とが互いに接続されている状態のコネクタモジュール1を上面視で示した外観斜視図である。図2は、一実施形態に係るコネクタ10と接続対象物50とが互いに分離している状態のコネクタモジュール1を上面視で示した外観斜視図である。
【0013】
例えば図2に示すとおり、コネクタモジュール1は、互いに接続可能なコネクタ10及び接続対象物50を有する。コネクタ10は、第1インシュレータ20と、第1インシュレータ20に取り付けられている第1コンタクト30と、を有する。コネクタ10は、第1インシュレータ20に取り付けられている第1金具40a及び第2金具40bを有する。
【0014】
接続対象物50は、コネクタ10と接続可能である。接続対象物50は、コネクタ10と接続対象物50とが接続する接続状態で第1インシュレータ20と嵌合する第2インシュレータ60を有する。接続対象物50は、第2インシュレータ60に取り付けられている第2コンタクト70を有する。第2コンタクト70は、第1インシュレータ20と第2インシュレータ60とが嵌合する嵌合状態で第1コンタクト30と接触する。接続対象物50は、第2インシュレータ60に取り付けられている金具80を有する。金具80は、嵌合状態で第2金具40bと接触する。このとき、第2金具40bは弾性変形する。
【0015】
以下では、例えば、一実施形態に係るコネクタ10はリセプタクルコネクタであり、接続対象物50はプラグコネクタであるとして説明する。すなわち、第1インシュレータ20と第2インシュレータ60とが互いに嵌合する嵌合状態において、第1コンタクト30が弾性変形するコネクタ10をリセプタクルコネクタとし、第2コンタクト70が弾性変形しない接続対象物50をプラグコネクタとして説明する。コネクタ10及び接続対象物50の種類は、これらに限定されない。例えば、コネクタ10がプラグコネクタの役割を果たし、接続対象物50がリセプタクルコネクタの役割を果たしてもよい。
【0016】
接続対象物50は、上記に限定されず、プラグコネクタ及びリセプタクルコネクタ以外の任意の対象物であってもよい。例えば、接続対象物50は、フレキシブルプリント回路基板(FPC)、フレキシブルフラットケーブル、リジッド基板、又は任意の回路基板のカードエッジであってもよい。
【0017】
以下では、コネクタ10及び接続対象物50は、回路基板CB1及びCB2にそれぞれ実装されるとして説明する。コネクタ10及び接続対象物50は、互いに接続されている接続状態で、回路基板CB1と回路基板CB2とを電気的に接続する。回路基板CB1及びCB2は、リジッド基板であってよいし、又はそれ以外の任意の回路基板であってもよい。例えば、回路基板CB1及びCB2の少なくとも一方は、FPCであってもよい。
【0018】
以下では、コネクタ10及び接続対象物50は、回路基板CB1及びCB2に対して垂直方向に互いに接続されるとして説明する。すなわち、コネクタ10及び接続対象物50は、一例として上下方向に沿って互いに接続される。接続方法は、これに限定されない。コネクタ10及び接続対象物50は、回路基板CB1及びCB2に対して平行方向に互いに接続されてもよいし、実装されている回路基板に対して一方が垂直方向となるように、かつ実装されている回路基板に対して他方が平行方向となるように、互いに接続されてもよい。
【0019】
特許請求の範囲に記載されている「コネクタ10の長手方向」は、一例として左右方向に対応する。「コネクタ10の短手方向」は、一例として前後方向に対応する。
【0020】
図3は、図1のコネクタ10単体を上面視で示した外観斜視図である。コネクタ10は、一例として、第1コンタクト30及び第2金具40bが第1インシュレータ20に圧入され、第1金具40aと第1インシュレータ20とがインサート成形により一体的に成形されることで得られる。
【0021】
図4は、図3のコネクタ10を分解して上面視で示した外観斜視図である。実際には、第1金具40aと第1インシュレータ20とはインサート成形により一体的に成形されているが、図4では理解を容易にするために、第1インシュレータ20と第1金具40aとを仮想的に分離してそれぞれ単体で示している。
【0022】
コネクタ10を構成する第1インシュレータ20は、絶縁性かつ耐熱性の合成樹脂材料によって形成されている。第1インシュレータ20は、左右方向に板状に延在する。第1インシュレータ20は、下部を構成する底板部21を有する。第1インシュレータ20は、底板部21の前後左右の中央部から上方に突出する嵌合凸部22を有する。第1インシュレータ20は、嵌合凸部22の周囲を囲む外周壁23を有する。外周壁23は、前後左右の4方向から嵌合凸部22を囲む。外周壁23は、短手壁23aと長手壁23bとを有する。短手壁23aは、前後方向に延在する。長手壁23bは、左右方向に延在する。
【0023】
第1インシュレータ20は、長手壁23bの前後方向の内面、底板部21、及び嵌合凸部22の前後方向の内面にわたって形成されている第1コンタクト取付溝24を有する。第1コンタクト取付溝24には、第1コンタクト30が取り付けられる。第1コンタクト取付溝24は、第1コンタクト30の数に対応させて複数形成されている。複数の第1コンタクト取付溝24は、第1コンタクト30の配列方向に沿って配列されている。
【0024】
第1インシュレータ20は、嵌合凸部22の左右方向の端部から底板部21を介して短手壁23aまで延在する第1金具保持部25を有する。後述する図5にも示すとおり、第1金具保持部25は、嵌合凸部22の左右方向の端部において凹設されている第1部分251を有する。第1金具保持部25は、底板部21の下面において凹設されている第2部分252を有する。第1金具保持部25は、短手壁23aの内部を貫通するように形成されている第3部分253を有する。第1金具保持部25には、第1金具40aが取り付けられる。第1金具保持部25は、左右方向に沿って嵌合凸部22と短手壁23aとを接続するように延在する。
【0025】
第1インシュレータ20は、長手壁23bの左右方向の端部及び短手壁23aにわたって形成されている第2金具取付部26を有する。第2金具取付部26には、第2金具40bが取り付けられる。
【0026】
第2金具取付部26は、短手壁23aの前後方向中央部の下方に形成され、左右方向の外側に突出する第1壁部261を有する。第1壁部261には、第1金具保持部25の第3部分253が貫設されている。第2金具取付部26は、第1インシュレータ20の角、すなわち隅の下端部において短手壁23aから長手壁23bにわたってL字状に形成されている第2壁部262を有する。第2金具取付部26は、第2壁部262と左右方向に離間し、長手壁23bにおいて形成されている第3壁部263を有する。第1壁部261、第2壁部262、及び第3壁部263は、第1インシュレータ20において前後左右方向の矩形状の最外形を形成する。
【0027】
第2金具取付部26は、第1壁部261と第2壁部262との間に形成されている第1取付溝264を有する。第2金具取付部26は、第2壁部262と第3壁部263との間に形成されている第2取付溝265を有する。
【0028】
第1インシュレータ20は、嵌合凸部22と短手壁23aとによって左右方向に挟まれる位置で底板部21を上下方向に貫通するように形成されている孔部27を有する。
【0029】
第1コンタクト30は、例えば、ばね弾性を備えた、リン青銅、ベリリウム銅、若しくはチタン銅を含む銅合金又はコルソン系銅合金の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて図4に示す形状に成形加工したものである。第1コンタクト30の表面には、ニッケルめっきで下地を形成した後に、金又は錫などによるめっきが施されている。
【0030】
第1コンタクト30は、前後方向の外側にL字状に延出する実装部31を有する。第1コンタクト30は、実装部31の上端部から上方に向けて連続する係止部32を有する。係止部32は、実装部31よりも左右方向に幅広に形成されている。第1コンタクト30は、係止部32から上方に向けてU字状に突出する湾曲部33を有する。
【0031】
第1コンタクト30は、湾曲部33と連続し、S字状に形成されている弾性接触片34を有する。第1コンタクト30は、弾性接触片34の先端の屈曲部分において前後方向の外側に向いて形成されている弾性接触部35を有する。第1コンタクト30は、湾曲部33において弾性接触部35と前後方向に対向する位置に突設されている接触部36を有する。
【0032】
第1金具40aは、任意の金属材料の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて図4に示す形状に成形加工したものである。第1金具40aは、その全体形状がクランク状となるように形成されている。より具体的には、後述する爪部42a、第1基部41a、及び第2基部43aが、全体としてクランク状になるように一体的に形成されている。同様に、第1基部41a及び第2基部43aが、全体としてクランク状になるように一体的に形成されている。第1金具40aの加工方法は、抜き加工を行った後に板厚方向に屈曲させる工程を含む。これに限定されず、第1金具40aの加工方法は、抜き加工に基づく工程のみを含んでもよい。
【0033】
第1金具40aは、第1基部41aを有する。第1基部41aは、L字状に形成されている。例えば、第1基部41aは、上下方向に延在し、その上端部において左右方向の一方側に向けて屈曲する。第1基部41aは、後述する第2基部43aと爪部42aとを連結する。
【0034】
第1金具40aは、第1基部41aにおいて左右方向の一方側に延出する部分から左右方向の一方側にさらに延出する爪部42aを有する。爪部42aは、L字状に形成されている。例えば、爪部42aの先端42a1は、爪部42aの一方側の端部において下方に屈曲する。前後方向において、爪部42aは、第1金具40aの他の部分よりも幅狭である。例えば、爪部42aの前後方向の幅は、爪部42aと連続する第1基部41aの前後方向の幅よりも狭い。例えば、爪部42aの前後方向の幅は、後述する第2基部43a及び幅狭部44aのそれぞれの前後方向の幅よりも狭い。
【0035】
第1金具40aは、第1基部41aの下端部から左右方向の他方側に直線状に延出する第2基部43aを有する。第2基部43aにおける第1基部41a側の前後方向の幅は、第2基部43aと連続する第1基部41aの前後方向の幅と同一か又は近似する。例えば、第2基部43aは、コネクタ10の短手方向の幅が互いに同一のまま第1基部41aと連続している。
【0036】
第1金具40aは、第2基部43aにおいて他の部分よりも前後方向に幅狭に形成されている幅狭部44aを有する。幅狭部44aは、第2基部43aにおける第1基部41a側の部分から前後方向の両側に対称的に狭まった状態で延出する。第1金具40aは、後述する図6にも示すとおり、実装部45aを有する。実装部45aは、例えば、第2基部43aにおける第1基部41a側の部分の下面において所定の領域を含む。実装部45aは、第2基部43aにおいて、幅狭部44aと隣接する左右位置に形成されている。これに限定されず、実装部45aは、第2基部43aの下面における二点鎖線囲み部の領域に加えて、幅狭部44aの下面、及び第2基部43aにおいて第1インシュレータ20の孔部27と重なる部分の上下方向に沿った厚み部分などを含んでもよい。
【0037】
第1金具40aは、第2基部43aの幅狭部44aにおける第1基部41aと反対側の端部に形成されている先端部46aを有する。先端部46aは、第2基部43aにおいて他の部分よりも一段上方に跳ね上がる。
【0038】
第2金具40bは、任意の金属材料の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて図4に示す形状に成形加工したものである。第2金具40bの加工方法は、抜き加工を行った後に板厚方向に屈曲させる工程を含む。
【0039】
第2金具40bは、前後方向に延在する第1基部41bを有する。第2金具40bは、第1基部41bの前後方向の両端部のそれぞれから左右方向の一方側に延出する第2基部42bを有する。第2金具40bは、第1基部41bの前部及び後部のそれぞれにおいて下方に直線状に突出する突出片43bを有する。前後方向に互いに離間する一対の突出片43bの対向する縁部と第1基部41bの下縁部とによって凹部が形成されている。第2金具40bは、突出片43bの下端に位置する第1実装部44bを有する。第2金具40bは、突出片43bにおいて他の部分よりも前後方向に幅広に形成されている係止部45b1を有する。係止部45b1は、前後方向に沿って凹部の内側に突出し、凹部の前後方向の幅を狭める。
【0040】
第2金具40bは、第1基部41bの前後方向の中央部から左右方向の一方側にU字状に延出する湾曲部46bを有する。第2金具40bは、湾曲部46bの下端部において前後両側で下方に向けて直線状に延出する第2実装部47bを有する。
【0041】
第2金具40bは、第2基部42bにおいて左右方向の一方側の端部に形成されているU字状の接触片48bを有する。接触片48bにおいて前後方向の内側に延出する部分は、ばね弾性を有する。第2金具40bは、第2基部42bにおいて前後方向の外側の下端部に位置する第3実装部49bを有する。第3実装部49bは、第2基部42bの左右方向の略全体にわたり延在する。第2金具40bは、第3実装部49bと上方に隣接するように形成されている係止部45b2を有する。係止部45b2は、第2基部42bにおいて他の部分よりも左右方向に幅広に形成されている。係止部45b2は、第2基部42bにおいて左右方向の両側に対称的に突出する。
【0042】
図5は、図3の破線囲み部Vを拡大して示した拡大図である。図6は、図5のコネクタ10を下面視で示した拡大図である。
【0043】
第1コンタクト30は、第1インシュレータ20の下方から圧入される。このとき、係止部32は、第1コンタクト取付溝24の左右方向の内壁面に係止する。これにより、第1コンタクト30は、第1コンタクト取付溝24に対して保持される。
【0044】
第1コンタクト30が第1インシュレータ20の第1コンタクト取付溝24に保持されると、弾性接触部35及び接触部36が嵌合凸部22と長手壁23bとの間で第1コンタクト取付溝24から露出する。このとき、弾性接触片34は、第1コンタクト取付溝24内において前後方向に弾性変形可能である。実装部31の前後方向の先端は、長手壁23bよりも前後方向の外側に位置する。
【0045】
図5及び図6にも示すとおり、第1金具40aと第2金具40bとは、互いに異なる部材である。すなわち、第1金具40aと第2金具40bとは、互いに分離している。第1金具40a及び第2金具40bは、互いに分離した状態で左右方向に対向する。第1金具40a及び第2金具40bの強度は、互いに異なる。すなわち、第1金具40a及び第2金具40bのうちの一方の強度は、他方の強度よりもさらに高い。例えば、第1金具40aの強度は、第2金具40bの強度よりもさらに高くてもよい。例えば、第1金具40aの材料の強度は、第2金具40bの材料の強度よりも高くてもよい。本明細書において、「強度」は、例えば引張強さを含む。
【0046】
第1金具40aの材料は、第2金具40bの材料と異なっていてもよい。例えば、第1金具40aの材料がステンレス鋼であり、第2金具40bの材料がリン青銅であってもよい。これに限定されず、第1金具40aの材料及び第2金具40bの材料は、第1金具40aの強度が第2金具40bの強度よりも高くなるような任意の組み合わせで候補となる材料群から選択されてもよい。本明細書において、「候補となる材料群」は、例えばステンレス鋼、リン青銅、鉄、コルソン銅、チタン銅、ベリリウム銅、及びアルミニウムなどを含む。
【0047】
第1金具40aの材料は、第1金具40aの強度が第2金具40bの強度よりも高くなるのであれば、第2金具40bの材料と同一であってもよい。例えば、第1金具40aの強度は、リン青銅などの同一の材料であっても、その合金番号、種類の記号、及び質別などが異なることで第2金具40bの強度よりも高くてもよい。例えば、第1金具40aの強度は、リン青銅などの同一の材料であっても、後述するとおり第1金具40aの板厚が第2金具40bの板厚よりも大きいことで第2金具40bの強度よりも高くてもよい。
【0048】
例えば、第1コンタクト30の強度は、第2金具40bの強度と略同一であってもよい。第1金具40aの強度は、第2金具40bに加えて第1コンタクト30の強度よりもさらに高くてもよい。第1金具40aの材料、第2金具40bの材料、及び第1コンタクト30の材料は、第1金具40a、第2金具40b、及び第1コンタクト30の間で以上のような強度関係が成立する任意の組み合わせで候補となる材料群から選択されてもよい。
【0049】
一対の第1金具40aは、コネクタ10の長手方向における嵌合凸部22の両端にそれぞれ取り付けられている。第1金具40aは、嵌合凸部22から第2金具40bが取り付けられている短手壁23aに至るまでコネクタ10の長手方向に沿って延在する。
【0050】
例えば、第1金具40aは、インサート成形により第1インシュレータ20の第1金具保持部25と一体的に成形される。このとき、第1基部41aは、嵌合凸部22の左右方向の端部においてその上面から側面にわたり嵌合凸部22と一体的に成形されている。例えば、第1基部41aは、第1金具保持部25の第1部分251と一体的に成形されている。第1基部41aの上面及び左右方向の外側を向く側面は、第1インシュレータ20から露出する。例えば、第1基部41aの上面は、嵌合凸部22の上面と同面である。例えば、第1基部41aの左右方向の外側を向く側面は、嵌合凸部22の側面と同面である。これらに限定されず、第1基部41aの上面が、嵌合凸部22の上面よりも下方に位置してもよいし、第1基部41aの側面が、嵌合凸部22の側面よりも左右方向の内側に位置してもよい。
【0051】
爪部42aは、爪部42aの先端42a1が嵌合凸部22の内部に埋設されるように嵌合凸部22の上面側で嵌合凸部22と一体的に成形されている。爪部42aの上面は、第1インシュレータ20から露出する。例えば、爪部42aの上面は、嵌合凸部22の上面と同面である。これに限定されず、爪部42aの上面が、嵌合凸部22の上面よりも下方に位置してもよい。
【0052】
第2基部43aは、底板部21及び短手壁23aと一体的に成形されている。例えば、第2基部43aにおいて先端部46aを除く部分は、第1金具保持部25の第2部分252と一体的に成形されている。この状態で、第2基部43aにおいて第1インシュレータ20の孔部27と重なる部分は、孔部27から上方に露出する。例えば、第2基部43aの当該部分は、底板部21の上面よりも下方に位置する。例えば、第2基部43aの先端部46aは、第1金具保持部25の第3部分253と一体的に成形されている。この状態で、先端部46aは、短手壁23aの第1壁部261から左右方向の外側に露出する。
【0053】
第1金具40aと第1インシュレータ20とがインサート成形により一体的に成形されると、幅狭部44aと底板部21とが隙間なく密着する。第2基部43aは、コネクタ10の長手方向に沿って延在する。第2基部43aは、嵌合凸部22から、第2金具40bが取り付けられている短手壁23aに至るまで延在する。第2基部43aにおいて先端部46aを除く部分の下面は、第1インシュレータ20から露出する。例えば、第2基部43aの当該下面は、底板部21の下面よりも下方に位置する。
【0054】
回路基板CB1に実装される第1金具40aの実装部45aは、第2基部43aにおいて回路基板CB1側の底面を含む。例えば、実装部45aは、第2基部43aにおいて第1基部41aと幅狭部44aとにより左右方向に挟まれる下面において、前後左右方向に所定の面積を有する。実装部45aは、左右方向において、短手壁23aと嵌合凸部22との間に位置する。実装部45aは、左右方向において、嵌合凸部22の外側で嵌合凸部22と隣接する位置に形成されている。
【0055】
以上に限定されず、実装部45aは、第2基部43aにおいて先端部46aを除く部分の下面全体を含んでもよい。実装部45aは、第2基部43aにおいて孔部27と重なる部分の上下方向に沿った厚み部分を含んでもよい。実装部45aは、第2基部43aにおいて孔部27から上方に露出している部分の上面を含んでもよい。
【0056】
例えば、第2金具40bは、第1インシュレータ20の上方から圧入される。第2金具40bは、前後方向に互いに離間する一対の突出片43bの対向する縁部と第1基部41bの下縁部とによって形成されている凹部が第1壁部261を挟み込むように外周壁23に取り付けられている。
【0057】
このとき、係止部45b1は、短手壁23aの左右方向の外側で第2金具取付部26の第1壁部261及び第2壁部262に係止する。前後方向に互いに離間する一対の突出片43bは、第1取付溝264に取り付けられる。同様に、係止部45b2は、長手壁23bの前後方向の外側で第2金具取付部26の第2壁部262及び第3壁部263に係止する。係止部45b2は、第2取付溝265に取り付けられる。以上により、第2金具40bは、第2金具取付部26に対して保持される。
【0058】
第2金具40bは、第1インシュレータ20の第2金具取付部26に保持されると、短手壁23aの全体及び長手壁23bの左右方向の端部を覆う。このとき、第2金具40bは、第1金具40aの第2基部43aを、前後両側及び左右方向の外側から囲む。より具体的には、第2金具40bの第2基部42bが、第1金具40aの第2基部43aに対して前後両側に配置されている。第2金具40bの第1基部41b、突出片43b、及び湾曲部46bが、第1金具40aの第2基部43aの外端部と左右方向に重なるように配置されている。また、接触片48bにおいて前後方向内側に配置され下方に延出している部分が、前後方向に弾性変形可能である。
【0059】
第1実装部44bは、短手壁23aの左右方向の外面に沿って配置されている。第1実装部44bは、短手壁23aの下端部よりも下方に延出する。第1実装部44bは、コネクタ10の短手方向において第1金具40aの第2基部43aの両側に配置されている。すなわち、一対の第1実装部44bは、第1金具40aの第2基部43aを前後方向の両側から挟むように位置している。例えば、一対の第1実装部44bは、第1金具40aの第2基部43aに対して前後方向に対称となる位置にそれぞれ配置されている。
【0060】
第2実装部47bは、第1実装部44bとともに短手壁23aを挟むように短手壁23aの左右方向の内面に沿って配置されている。第2実装部47bは、短手壁23aの下端部よりも下方に延出する。第2実装部47bは、底板部21を貫通して底板部21から下方に露出する。第2実装部47bは、コネクタ10の短手方向において第1金具40aの第2基部43aの両側に配置されている。すなわち、一対の第2実装部47bは、第1金具40aの第2基部43aを前後方向の両側から挟むように位置している。例えば、一対の第2実装部47bは、第1金具40aの第2基部43aに対して前後方向に対称となる位置にそれぞれ配置されている。一対の第2実装部47bの前後方向の間隔は、一対の第1実装部44bの前後方向の間隔よりも狭い。一対の第2実装部47bは、第1金具40aの第2基部43aと前後方向に隣接するように配置されている。
【0061】
第3実装部49bは、長手壁23bの前後方向の外面に沿って配置されている。第3実装部49bは、長手壁23bの下端部よりも下方に延出する。第3実装部49bは、コネクタ10の短手方向において第1金具40aの両側に配置されている。すなわち、一対の第3実装部49bは、第1金具40aの第2基部43aを前後方向の両側から挟むように位置している。例えば、一対の第3実装部49bは、第2基部43aに形成されている実装部45aに対して前後方向に対称となる位置にそれぞれ配置されている。一対の第3実装部49bは、実装部45a及び幅狭部44aと略同一の左右位置に配置されている。
【0062】
以上のような構造のコネクタ10では、回路基板CB1の実装面に形成された回路パターンに対して、第1コンタクト30の実装部31がはんだ付けされる。当該実装面に形成されたパターンに対して、第1金具40aの実装部45a並びに第2金具40bの第1実装部44b、第2実装部47b、及び第3実装部49bがはんだ付けされる。以上により、各実装部が回路基板CB1に実装されることで、コネクタ10は、回路基板CB1に実装される。回路基板CB1の実装面には、例えば、CPU(Central Processing Unit)、コントローラ、及びメモリなどのコネクタ10とは別の電子部品が実装される。
【0063】
続いて、接続対象物50の構成について図7を主に参照しながら説明する。
【0064】
図7は、図1の接続対象物50単体を上面視で示した外観斜視図である。接続対象物50は、一例として、第2コンタクト70及び金具80と第2インシュレータ60とがインサート成形により一体的に成形されることで得られる。
【0065】
第2インシュレータ60は、絶縁性かつ耐熱性の合成樹脂材料を射出成形した、左右方向に延在する板状部材である。第2インシュレータ60は、下部を構成する底板部61を有する。第2インシュレータ60は、底板部61の前後左右の外周に沿って上方に突出する環状の外周壁62を有する。外周壁62は、短手壁62aと長手壁62bとを有する。短手壁62aは、前後方向に延在する。長手壁62bは、左右方向に延在する。第2インシュレータ60は、外周壁62によって前後左右の4方向から囲まれる嵌合凹部63を有する。
【0066】
第2インシュレータ60は、長手壁62b及び底板部61にわたって形成されている第2コンタクト保持部64を有する。第2コンタクト保持部64には、第2コンタクト70が取り付けられる。第2インシュレータ60は、短手壁62aに形成されている金具保持部65を有する。金具保持部65には、金具80が取り付けられる。
【0067】
第2コンタクト70は、例えば、リン青銅、ベリリウム銅、若しくはチタン銅を含む銅合金又はコルソン系銅合金の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて図に示す形状に成形加工したものである。第2コンタクト70の表面には、ニッケルめっきで下地を形成した後に、金又は錫などによるめっきが施されている。
【0068】
第2コンタクト70は、前後方向の外側にL字状に延出する実装部71を有する。第2コンタクト70は、実装部71から上方に向けてU字状に延出する湾曲部72を有する。第2コンタクト70は、湾曲部72の前後両側において前後方向の外面を含むように構成される一対の接触部73を有する。
【0069】
第2コンタクト70は、インサート成形により第2インシュレータ60の第2コンタクト保持部64と一体的に成形される。このとき、一対の接触部73は、長手壁62bの前後両側に沿ってそれぞれ配置されている。実装部71は、底板部61を貫通して前後方向の外側に延出する。実装部71の前後方向の先端は、長手壁62bよりも前後方向の外側に位置する。
【0070】
金具80は、任意の金属材料の薄板を順送金型(スタンピング)を用いて図に示す形状に成形加工したものである。金具80の加工方法は、抜き加工を行った後に板厚方向に屈曲させる工程を含む。
【0071】
金具80は、平板上に形成されている基部81を有する。金具80は、基部81の左右方向の外端部及び内端部から左右方向の外側及び内側に向けてそれぞれL字状に延出する第1延出部82を有する。金具80は、基部81の前後方向の両端部のそれぞれから前後方向の外側に向けてL字状に延出する第2延出部83を有する。金具80は、第2延出部83の前後方向の外面に形成されている接触部84を有する。金具80は、外側の第1延出部82及び第2延出部83のそれぞれの下端に位置する実装部85を有する。金具80は、インサート成形により第2インシュレータ60の金具保持部65と一体的に成形される。
【0072】
以上のような構造の接続対象物50では、回路基板CB2の実装面に形成された回路パターンに対して、第2コンタクト70の実装部71がはんだ付けされる。当該実装面に形成されたパターンに対して、金具80の実装部85がはんだ付けされる。以上により、接続対象物50は、回路基板CB2に対して実装される。回路基板CB2の実装面には、例えば、通信モジュールなどの接続対象物50とは別の電子部品が実装される。
【0073】
図8乃至図10を参照しながら、コネクタ10と接続対象物50とが接続し、第1インシュレータ20と第2インシュレータ60とが嵌合する嵌合状態でのコネクタモジュール1の構成について主に説明する。図8は、図1のVIII-VIII矢線に沿った断面図である。
【0074】
例えば、図7に示す接続対象物50の上下方向の向きを逆にした状態で、コネクタ10と接続対象物50との前後位置及び左右位置を略一致させながら、互いを上下方向に対向させる。そして、接続対象物50を下方に移動させる。これにより、コネクタ10と接続対象物50とが互いに接続され、コネクタモジュール1の接続状態が得られる。このとき、第1インシュレータ20の嵌合凸部22と第2インシュレータ60の嵌合凹部63とが互いに嵌合する。
【0075】
嵌合状態において、第1コンタクト30の弾性接触部35と第2コンタクト70の接触部73とが接触し、ばね弾性を有する弾性接触片34が前後方向の内側に弾性変形する。嵌合状態において、第1コンタクト30の接触部36と第2コンタクト70の接触部73とが接触する。第1コンタクト30と第2コンタクト70とは、弾性接触部35及び接触部73と接触部36及び接触部73とによって前後両側の2箇所で接触する。
【0076】
図9は、図1のIX-IX矢線に沿った断面図である。
【0077】
嵌合状態において、第2金具40bの接触片48bと金具80の接触部84とが接触する。このとき、ばね弾性を有する接触片48bは、前後方向の外側に弾性変形する。第2金具40bと金具80とは、接触片48b及び接触部84によって前後両側の2箇所で接触する。
【0078】
第2基部43aの上面は、底板部21の上面よりも下方に位置する。これにより、仮にはんだが第2基部43aの上面にまで至ったとしても、第2基部43aの上面と金具80の基部81との間にはんだが収容される。したがって、コネクタ10と接続対象物50との間の嵌合不良が抑制される。すなわち、はんだの余剰分によって接続対象物50がコネクタ10に対して完全に嵌合しないような状態が回避される。
【0079】
実装部45aが幅広に形成されていることで、回路基板CB1に対するコネクタ10の実装強度が向上する。加えて、第1インシュレータ20が孔部27を有することで、例えば図9に示すとおり、はんだに基づくサイドフィレットが形成可能となる。これにより、回路基板CB1に対するコネクタ10の実装強度が向上する。以上により、コネクタ10の堅牢性が向上する。
【0080】
図10は、図1のX-X矢線に沿った断面図である。
【0081】
第2金具40bは、コネクタ10と接続対象物50とが互いに嵌合する嵌合状態で、第1金具40aと共に接続対象物50の金具80を挟むように位置する。すなわち、金具80は、コネクタ10の長手方向において第1金具40aと第2金具40bとの間に位置する。嵌合状態において、第1金具40aの第2基部43aと金具80の基部81とは、上下方向に互いに対向するように配置されている。嵌合状態において、第2金具40bの湾曲部46bと金具80の外側の第1延出部82とは、左右方向に互いに対向するように配置されている。
【0082】
第1金具40aは、コネクタ10の長手方向に平行な配列方向に沿って配置されている複数の第1コンタクト30のうち配列方向の端に位置する一の第1コンタクト30と配列方向に沿って重なる。例えば、図5にも示すとおり、第1金具40aの爪部42aが、配列方向の端に位置する一の第1コンタクト30と配列方向に沿って重なる。例えば、爪部42aにおいて左右方向に延在する部分の一部の左右位置が、一の第1コンタクト30の左右位置と同一になる。
【0083】
図10に示すとおり、第1金具40aの爪部42aの先端42a1は、配列方向において、一の第1コンタクト30に隣接する他の第1コンタクト30と一の第1コンタクト30との間に位置する。例えば、爪部42aにおいて左右方向に延在する部分の一部も屈曲して上下方向に延在する先端42a1と共に、配列方向において、一の第1コンタクト30と他の第1コンタクト30との間に位置する。
【0084】
図10では、第1金具40aの板厚は、第2金具40bの板厚と略同一であるか、又は第2金具40bの板厚よりも小さい。これに限定されず、第1金具40aの板厚は、例えば第1金具40aと第2金具40bとが同一の材料により形成されるような場合であっても第1金具40aの強度が第2金具40bの強度よりも高くなるように、第2金具40bの板厚よりも大きくてもよい。
【0085】
以上のような一実施形態に係るコネクタ10によれば、小型低背化された状態であってもコネクタ10と接続対象物50との嵌合途中及び嵌合後における堅牢性が向上する。コネクタ10では、嵌合凸部22に取り付けられている第1金具40aと外周壁23に取り付けられている第2金具40bとが互いに異なる部材である。これにより、金具が一体的に形成されている従来技術と比較して、嵌合途中において、金具と接続対象物50との接触による影響が低減する。例えば、嵌合凸部22及び外周壁23の一方側で金具と接続対象物50とが互いに接触しても、当該接触による他方側への影響が抑制される。これにより、第1金具40a及び第2金具40bを含む金具の破損が抑制される。金具の破損が抑制されることで、金具が取り付けられている第1インシュレータ20の破損も抑制される。結果として、コネクタ10の製品としての信頼性が向上する。
【0086】
仮に、コネクタ10に対する接続対象物50の位置がずれている状態で嵌合が行われ、その途中で外周壁23側の第2金具40bに接続対象物50が接触して第2金具40b及び外周壁23が左右方向外側へ倒れるように変形しても、嵌合凸部22側への影響が抑制される。すなわち、第1金具40aと第2金具40bとが互いに異なる部材であることで、第1金具40aの変形が抑制される。仮に、嵌合途中で嵌合凸部22側の第1金具40aに接続対象物50が接触して第1金具40a及び嵌合凸部22が左右方向内側へ凹むように変形しても、外周壁23側への影響が抑制される。すなわち、第1金具40aと第2金具40bとが互いに異なる部材であることで、第2金具40bの変形が抑制される。このように嵌合凸部22及び外周壁23の一方側でそれぞれの金具が独立別個の挙動を示す。したがって、他方側への挙動の伝達が抑制される。結果として、金具全体で所望の機能が安定して発揮できるため、破損が抑制される。
【0087】
以上のように金具及び第1インシュレータ20の破損が抑制されることで、コネクタ10と接続対象物50との間で、嵌合途中及び嵌合後におけるコンタクトの配列方向、すなわちコネクタ10の長手方向への位置ずれが抑制される。これにより、第1コンタクト30及び第2コンタクト70同士の導通が本来の設計に従って正確に実現される。加えて、嵌合後におけるコネクタモジュール1のがたつきが抑制される。すなわち、コネクタ10及び接続対象物50の一方に対する他方の位置規制の機能が維持される。結果として、一方が他方から抜けにくくなり、コネクタモジュール1の製品としての信頼性が向上する。
【0088】
コネクタ10では、第1金具40aと第2金具40bとが互いに異なる部材であることで、第1金具40a及び第2金具40bのうちの一方の強度を他方の強度よりもさらに高くすることが可能となる。コネクタ10では、例えば嵌合凸部22及び外周壁23のような互いに異なる場所において異なる目的で取り付けられている第1金具40a及び第2金具40bに対して、その場所及び目的に適合した適切な強度で各金具を形成することが可能である。例えば、従来技術のように金具が一体的に形成されていると、嵌合凸部22及び外周壁23の一方側で金具の強度を低減せざるを得ないような場合に、他方側においても必然的に金具の強度が低下することとなる。
【0089】
例えば、嵌合凸部22に取り付けられている第1金具40aについては嵌合凸部22の堅牢性の向上が目的であり、嵌合状態で接続対象物50の金具80と接触させて導通させることを目的としていない。一方で、外周壁23に取り付けられている第2金具40bについては嵌合状態で金具80と接触させて導通を得ることを目的としている。当該目的のために、第2金具40bには弾性変形可能な接触片48bが形成されている。
【0090】
したがって、第2金具40bは、ばね性が得られるような強度の材料によって形成される一方で、第1金具40aは、より強度の高い材料によって形成されることが好ましい。コネクタ10では、第1金具40a及び第2金具40bに対してそれぞれの目的に適合した適切な強度で各金具を形成可能である。例えば、従来技術のように金具が一体的に形成されていると、外周壁側に弾性変形可能な接触片が形成されることで金具全体の強度が必然的に低下することとなり、嵌合凸部の堅牢性も低下することとなる。
【0091】
第1金具40aの材料が第2金具40bの材料と異なることで、第1金具40a及び第2金具40bのうちの一方の強度が他方の強度よりも高くなるように各金具を容易に形成可能である。例えば、上述した第1金具40a及び第2金具40bに対する目的に合わせて各金具の材料を適切に選択することが可能となる。
【0092】
第1金具40aの材料の強度が第2金具40bの材料の強度よりも高いことで、第1金具40aが取り付けられている嵌合凸部22の堅牢性が向上する。したがって、第1金具40aが取り付けられている第1インシュレータ20の嵌合凸部22の破損が抑制される。結果として、コネクタ10の製品としての信頼性が向上する。
【0093】
第1金具40aの板厚が第2金具40bの板厚よりも大きいことで、仮に第1金具40aと第2金具40bとが同一の材料により形成されるような場合であっても第1金具40aの強度が第2金具40bの強度よりも高くなる。これにより、第1金具40aが取り付けられている嵌合凸部22の堅牢性が上記と同様に向上する。
【0094】
一対の第1金具40aがコネクタ10の長手方向における嵌合凸部22の両端にそれぞれ取り付けられていることで、嵌合凸部22の両端において嵌合凸部22の堅牢性が向上する。したがって、一対の第1金具40aが取り付けられている第1インシュレータ20の嵌合凸部22の破損がさらに抑制される。結果として、コネクタ10の製品としての信頼性がさらに向上する。
【0095】
コネクタ10では、第1金具40aが回路基板CB1に実装される実装部45aを有することで、第1金具40aの堅牢性が向上する。すなわち、第1金具40aに対して荷重がかかったとしても、その変形が抑制され、嵌合途中においてもコネクタ10の形状及び寸法精度が維持される。例えば、第1金具40aが取り付けられている嵌合凸部22の堅牢性が向上する。したがって、嵌合凸部22の変形などの破損が抑制され、上述したコネクタ10の長手方向への位置ずれ及びがたつきに関する効果が得られる。
【0096】
実装部45aは、嵌合凸部22の外側で嵌合凸部22と隣接する位置に形成されていることで、例えば嵌合凸部22の端部と一体化している第1基部41aの屈曲部分などの外力が働きやすい位置に対して斜め下方の近接した位置にある。これにより、第1金具40aに働く外力が実装部45aにおいて効果的に受け止められる。したがって、第1金具40a及び嵌合凸部22の堅牢性がさらに向上する。
【0097】
実装部45aが、コネクタ10の長手方向に沿って延在する第2基部43aにおいて回路基板CB1側の底面を含むことで、第1金具40aに働く外力を実装部45aにおいて受け止めることができる。すなわち、実装部45aが回路基板CB1に実装されることで第1金具40aが回路基板CB1に対して固定され、第1金具40aに外力が働いたとしてもその衝撃が実装部45aにおいて吸収される。したがって、コネクタ10の長手方向に沿った第1金具40aの堅牢性が向上する。これにより、コネクタ10の長手方向に沿った嵌合凸部22の堅牢性も向上する。
【0098】
第1金具40aが、複数の第1コンタクト30のうち配列方向の端に位置する一の第1コンタクト30と配列方向に沿って重なることで、コネクタ10の長手方向の幅が短縮化される。これにより、コネクタモジュール1の長手方向の幅が短縮化され、コネクタモジュール1が小型化される。加えて、コネクタモジュール1が外力に対しても強くなる。
【0099】
第1金具40aの爪部42aの先端42a1は、配列方向において、一の第1コンタクト30と他の第1コンタクト30との間に位置する。これにより、爪部42aの任意の先端構造が、第1コンタクト取付溝24が形成されておらず第1インシュレータ20において肉厚が大きい部分に配置される。したがって、第1インシュレータ20に対する爪部42aの先端42a1の保持強度が向上する。これにより、第1インシュレータ20に対する第1金具40aの保持強度が向上する。一方で、爪部42aの任意の先端構造が第1インシュレータ20において肉厚が大きい部分に配置されることで、第1コンタクト取付溝24が形成されている部分と重なるように爪部42aの先端構造が配置される場合と比較して、第1インシュレータ20の嵌合凸部22の剛性の低下が抑制される。
【0100】
爪部42aがL字状に形成され、爪部42aの先端42a1が嵌合凸部22の内部に埋設されていることで、爪部42aの捲れが抑制される。したがって、第1インシュレータ20に対する爪部42aの保持強度が向上する。これにより、第1インシュレータ20に対する第1金具40aの保持強度が向上する。
【0101】
第1基部41a及び第2基部43aが全体としてクランク状になるように一体的に形成されていることで、嵌合凸部22の端部及び底板部21の形状に沿って第1金具40aの全体が第1インシュレータ20と一体化される。したがって、第1インシュレータ20に対する第1金具40aの保持強度が向上する。
【0102】
第1基部41aと第2基部43aとは、コネクタ10の短手方向の幅が互いに同一のまま連続している。これにより、第1基部41a及び第2基部43aの接続部分における強度が向上する。結果的に、第1金具40aの強度が向上する。したがって、第1金具40aが取り付けられている嵌合凸部22の堅牢性が向上する。
【0103】
コネクタ10の短手方向において、爪部42aが第1金具40aの他の部分よりも幅狭であることで、爪部42aと一体化している箇所において第1インシュレータ20の肉厚が増大する。例えば、爪部42aが配列方向の端に位置する一の第1コンタクト30と配列方向に沿って重なり、第1コンタクト取付溝24が対応する箇所に形成されていたとしても、爪部42aが幅狭に形成されていることで、第1インシュレータ20の強度が維持される。結果として、コネクタ10の堅牢性が向上する。
【0104】
第1金具40aの第2基部43aが、嵌合凸部22から第2金具40bが取り付けられている短手壁23aに至るまでコネクタ10の長手方向に沿って延在することで、コネクタ10の長手方向に沿った第1金具40aの堅牢性が向上する。これにより、コネクタ10の長手方向に沿った嵌合凸部22の堅牢性も向上する。加えて、コネクタ10の長手方向に互いに離間する短手壁23aと嵌合凸部22との間で上記と同様の効果が得られる。すなわち、嵌合凸部22及び短手壁23aの一方側で金具と接続対象物50とが互いに接触しても、当該接触による他方側への影響が抑制される。
【0105】
実装部45aは、短手壁23aと嵌合凸部22との間に位置することで、第1金具40aにおいて外力が働きやすい位置に近接する。例えば、実装部45aは、嵌合凸部22の端部と一体化している第1基部41aの屈曲部分などの外力が働きやすい位置に対して斜め下方の近接した位置にある。すなわち、実装部45aは、第1基部41aにおいて外力が働いた点から外力の方向に沿って延ばした延長線上の位置、又は延長線に近接した位置にある。これにより、第1金具40aに働く外力が実装部45aにおいて効果的に受け止められる。したがって、第1金具40a及び嵌合凸部22の堅牢性がさらに向上する。
【0106】
第2金具40bが、第1実装部44bとともに短手壁23aを挟むように短手壁23aの左右方向の内面に沿って配置されている第2実装部47bを有することで、第2金具40b及び短手壁23aの左右方向に沿った堅牢性が向上する。例えば、第2金具40b及び短手壁23aの左右方向に沿った変形が抑制される。例えば、第2金具40b及び短手壁23aが嵌合途中で左右方向外側へ倒れにくくなる。仮に、コネクタ10に対する接続対象物50の位置がずれている状態で嵌合が行われ、その途中で短手壁23a側の第2金具40bに接続対象物50が接触しても、第2金具40b及び短手壁23aの変形が抑制される。
【0107】
第2金具40b及び短手壁23aの変形が抑制されることで、コネクタ10と接続対象物50との間で、嵌合途中及び嵌合後におけるコネクタ10の長手方向への位置ずれが抑制される。これにより、第1コンタクト30及び第2コンタクト70同士の導通が本来の設計に従って正確に実現される。加えて、嵌合後におけるコネクタモジュール1のがたつきが抑制される。すなわち、嵌合途中においてコネクタ10の形状及び寸法精度が維持され、コネクタ10及び接続対象物50の一方に対する他方の位置規制の機能が嵌合後においても維持される。結果として、一方が他方から抜けにくくなり、コネクタモジュール1の製品としての信頼性が向上する。
【0108】
第2金具40bの第1実装部44bは、コネクタ10の短手方向において第1金具40aの両側に配置されている。第2金具40bの第2実装部47bは、コネクタ10の短手方向において第1金具40aの両側に配置されている。以上により、第2金具40bの回路基板CB1に対する実装強度が向上する。これにより、第2金具40b及び短手壁23aの左右方向に沿った堅牢性が向上する。
【0109】
一対の第1実装部44bの前後方向の間隔が一対の第2実装部47bの前後方向の間隔よりも広いことで、第2金具40bの回路基板CB1に対する実装強度が向上する。例えば、一対の第2実装部47bの前後方向の間隔が短手壁23aの内側で必然的に狭くなったとしても、第1実装部44bの前後方向の間隔が広いことで、第2金具40bの回路基板CB1に対する実装強度が向上する。以上により、第2金具40b及び短手壁23aの左右方向に沿った堅牢性が向上する。
【0110】
第2金具40bにおいて前後方向の間隔が広い凹部が前後幅の大きい第1壁部261を挟み込むことで、第2金具取付部26における第2金具40bの保持力が向上する。
【0111】
一対の第3実装部49bが、実装部45aと略同一の左右位置に配置されていることで、3つの実装部が前後方向に沿った直線上に位置する。これにより、回路基板CB1に対するコネクタ10の実装強度が向上する。例えば、接続対象物50がコネクタ10に対して上下方向を軸として所定の角度でずれた状態で嵌合が行われたとしても、回路基板CB1に対するコネクタ10の実装が維持される。同様に、嵌合後においてコネクタ10が実装されている回路基板CB1が回転したとしても、回路基板CB1に対するコネクタ10の実装が維持される。したがって、回路基板CB1に実装されているコネクタ10の堅牢性が向上する。
【0112】
第2金具40bの一部が第1金具40aの第2基部43aに対してコネクタ10の短手方向の両側に配置されていることで、第1インシュレータ20に対する第2金具40bの取付領域が増大する。したがって、第1インシュレータ20に対する第2金具40bの取付強度が向上する。
【0113】
一対の第2金具40bが一対の短手壁23aにそれぞれ取り付けられていることで、外周壁23の左右方向の両端において短手壁23aの堅牢性が向上する。したがって、一対の第2金具40bが取り付けられている第1インシュレータ20の短手壁23aの破損がさらに抑制される。結果として、コネクタ10の製品としての信頼性がさらに向上する。
【0114】
第2金具40bは、嵌合状態で金具80と接触する弾性変形可能な接触片48bを有することで、接触片48bにおける弾性力により金具80との接続状態を安定的に維持することが可能である。したがって、第2金具40bと金具80との導通が嵌合状態で安定的に維持される。
【0115】
第1金具40a及び第2金具40bが互いに分離した状態で左右方向に対向することで、コネクタ10と接続対象物50とが互いに嵌合する嵌合状態で、接続対象物50の金具80が第1金具40aと第2金具40bとの間に位置することが可能となる。このように、第2金具40bが嵌合状態で第1金具40aと共に金具80を挟むように位置することで、嵌合後におけるコネクタモジュール1のがたつきが抑制される。すなわち、嵌合途中においてコネクタ10の形状及び寸法精度が維持され、コネクタ10及び接続対象物50の一方に対する他方の位置規制の機能が嵌合後においても維持される。結果として、一方が他方から抜けにくくなり、コネクタモジュール1の製品としての信頼性が向上する。
【0116】
第1金具40aと第1インシュレータ20とがインサート成形により一体的に成形されていることで、第1金具40a及び嵌合凸部22の堅牢性がさらに向上する。第1金具40aの先端部46aが第1金具保持部25の第3部分253において短手壁23aの内部で第1インシュレータ20と一体的に成形されていることで、第1金具40aと第1インシュレータ20との接触面積が増大する。これにより、第1インシュレータ20に対する第1金具40aのインサート成形による保持強度が向上する。したがって、第1金具40a及び嵌合凸部22の堅牢性がさらに向上する。
【0117】
第2基部43aは、孔部27と重なる左右位置において幅広に形成されている。一方で、第2基部43aは、幅広に形成されている部分から短手壁23aに向けて延在し底板部21と密着する部分が幅狭部44aとして幅狭に形成されている。これにより、第2基部43aと一体化している箇所において底板部21の肉厚が増大する。したがって、第1インシュレータ20の強度が向上する。結果として、コネクタ10の堅牢性が向上する。
【0118】
本開示は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。したがって、先の記述は例示的であり、これに限定されない。開示の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含されるとする。
【0119】
例えば、上述した各構成部の形状、配置、向き、及び個数は、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の形状、配置、向き、及び個数は、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。
【0120】
例えば、コネクタ10において、第2金具40bが圧入ではなくインサート成形により第1インシュレータ20と一体的に成形されてもよい。例えば、コネクタ10において、第1金具40aがインサート成形ではなく圧入により第1インシュレータ20に取り付けられていてもよい。
【0121】
上記実施形態では、第1金具40aと第2金具40bとが互いに分離していると説明したが、これに限定されない。第1金具40aと第2金具40bとは互いに分離せず、接続されていてもよい。このとき、第1金具40a及び第2金具40bは、一体化されている金具全体の中で、それぞれの強度が互いに異なるように形成されていてもよい。例えば、第1金具40a及び第2金具40bを含む一体化された金具は、傾斜機能材料により形成されていてもよい。より具体的には、第1金具40aの材料は、その強度が第2金具40bの材料の強度よりも高くなるように、第2金具40bの材料と異なる材料であってもよい。例えば、第1金具40a及び第2金具40bを含む一体化された金具は、板厚が変化するように形成されていてもよい。より具体的には、第1金具40aの板厚は、第2金具40bの板厚よりも大きくてもよい。
【0122】
上記実施形態では、第1金具40aの強度が第2金具40bの強度よりもさらに高いと説明したが、これに限定されない。第2金具40bの強度が第1金具40aの強度よりもさらに高くてもよい。
【0123】
上記実施形態では、第1金具40aの強度が第2金具40bの強度よりも高くなるように、第1金具40aの板厚が第2金具40bの板厚よりも大きくてもよいと説明したが、これに限定されない。例えば、第1金具40aの板厚が第2金具40bの板厚よりも小さくても、第1金具40aの強度が第2金具40bの強度よりも高くてもよい。逆に、第1金具40aの板厚が第2金具40bの板厚よりも大きくても、第1金具40aの強度が第2金具40bの強度よりも低くてもよい。
【0124】
上記実施形態では、第1金具40aは、一の第1コンタクト30と配列方向に沿って重なると説明したが、これに限定されない。コネクタ10の長手方向の小型化が実現可能であれば、第1金具40aは、一の第1コンタクト30と配列方向に沿って重なっていなくてもよい。
【0125】
上記実施形態では、第1金具40aの爪部42aの先端42a1は、配列方向において、一の第1コンタクト30と他の第1コンタクト30との間に位置すると説明したが、これに限定されない。第1インシュレータ20に対する爪部42aの先端42a1の保持強度が維持可能であれば、第1金具40aの爪部42aの先端42a1は、例えば第1コンタクト30の取付位置と同一の左右位置にあってもよい。
【0126】
上記実施形態では、爪部42aがL字状に形成され、爪部42aの先端42a1が嵌合凸部22の内部に埋設されていると説明したが、これに限定されない。第1インシュレータ20に対する爪部42aの保持強度が維持可能であれば、爪部42aはL字状ではなく任意の形状で形成されていてもよい。同様に、爪部42aの先端42a1は嵌合凸部22の内部に埋設されていなくてもよい。
【0127】
上記実施形態では、コネクタ10の短手方向において、爪部42aは、第1金具40aの他の部分よりも幅狭であると説明したが、これに限定されない。第1インシュレータ20の強度が維持されるのであれば、爪部42aは、第1金具40aの他の部分と同一の幅であってもよい。
【0128】
上記実施形態では、第2基部43aは、嵌合凸部22から、第2金具40bが取り付けられている短手壁23aに至るまで延在すると説明したが、これに限定されない。コネクタ10の長手方向に沿った第1金具40aの堅牢性が向上するのであれば、第2基部43aは、嵌合凸部22から任意の長さで短手壁23aに向けて延在してもよい。
【0129】
上記実施形態では、実装部45aは、短手壁23aと嵌合凸部22との間に位置すると説明したが、これに限定されない。実装部45aは、第1金具40aにおいて外力が働きやすい位置に近接するのであれば、任意の位置にあってもよい。例えば、実装部45aは、嵌合凸部22の端部と同一の左右位置にあってもよい。
【0130】
上記実施形態では、第2金具40bは、短手壁23aに取り付けられていると説明したが、これに限定されない。例えば、第2金具40bは、短手壁23aに取り付けられておらず、長手壁23bのみに取り付けられていてもよい。
【0131】
上記実施形態では、第2金具40bは、第1実装部44bとともに短手壁23aを挟むように短手壁23aの左右方向の内面に沿って配置されている第2実装部47bを有すると説明したが、これに限定されない。第2金具40bは、第2金具40b及び短手壁23aの堅牢性が維持可能であれば第2実装部47bを有さなくてもよい。
【0132】
上記実施形態では、第2金具40bの第1実装部44bは、コネクタ10の短手方向において第1金具40aの両側に配置され、第2実装部47bは、コネクタ10の短手方向において第1金具40aの両側に配置されていると説明したが、これに限定されない。第1実装部44b及び第2実装部47bの一方が、コネクタ10の短手方向において第1金具40aの両側に配置されていてもよい。第1実装部44bは、2つではなく1つのみ又は3つ以上形成されていてもよい。同様に、第2実装部47bは、2つではなく1つのみ又は3つ以上形成されていてもよい。
【0133】
上記実施形態では、第2金具40bは、嵌合状態で接続対象物50の金具80と接触する弾性変形可能な接触片48bを有すると説明したが、これに限定されない。第2金具40bは、弾性変形せずに金具80と接触してもよいし、そもそも金具80と接触しなくてもよい。
【0134】
図11は、一実施形態に係るコネクタ10の変形例を示す図5に対応する拡大図である。上記実施形態では、第2基部43aの一部は、第1インシュレータ20の孔部27から露出すると説明したが、これに限定されない。図11に示すとおり、第2基部43aの上面は、第1インシュレータ20によって全体的に覆われていてもよい。すなわち、第1インシュレータ20は、孔部27を有さなくてもよい。これにより、第1インシュレータ20に対する第1金具40aのインサート成形による保持強度が向上する。したがって、第1金具40a及び嵌合凸部22の堅牢性がさらに向上する。
【0135】
上記実施形態では、第1インシュレータ20は、底板部21を上下方向に貫通する孔部27を有すると説明したが、これに限定されない。第1インシュレータ20は、孔部27に代えて、底板部21に形成されている凹部を有してもよい。
【0136】
以上のようなコネクタモジュール1、コネクタ10、又は接続対象物50は、回路基板CB1及び回路基板CB2を含んだ電子機器に搭載される。電子機器は、例えば、スマートフォンなどの任意の通信端末機器、並びにパーソナルコンピュータ、コピー機、プリンタ、ファクシミリ、及び複合機などの任意の情報処理機器を含む。電子機器は、例えば、カメラ、レーダ、ドライブレコーダ、及びエンジンコントロールユニットなどの任意の車載機器を含む。電子機器は、例えば、カーナビゲーションシステム、先進運転支援システム、又はセキュリティシステムなどの車載システムにおいて使用される任意の他の車載機器を含む。その他、電子機器は、任意の産業機器を含む。
【0137】
このような電子機器では、コネクタ10において、小型低背化された状態であってもコネクタ10と接続対象物50との嵌合途中における堅牢性が向上する。したがって、電子機器の製品としての信頼性が向上する。
【符号の説明】
【0138】
1 コネクタモジュール
10 コネクタ
20 第1インシュレータ(インシュレータ)
21 底板部
22 嵌合凸部
23 外周壁
23a 短手壁
23b 長手壁
24 第1コンタクト取付溝
25 第1金具保持部
251 第1部分
252 第2部分
253 第3部分
26 第2金具取付部
261 第1壁部
262 第2壁部
263 第3壁部
264 第1取付溝
265 第2取付溝
27 孔部
30 第1コンタクト
31 実装部
32 係止部
33 湾曲部
34 弾性接触片
35 弾性接触部
36 接触部
40a 第1金具
41a 第1基部
42a 爪部
42a1 先端
43a 第2基部
44a 幅狭部
45a 実装部
46a 先端部
40b 第2金具
41b 第1基部
42b 第2基部
43b 突出片
44b 第1実装部
45b1 係止部
45b2 係止部
46b 湾曲部
47b 第2実装部
48b 接触片
49b 第3実装部
50 接続対象物
60 第2インシュレータ
61 底板部
62 外周壁
62a 短手壁
62b 長手壁
63 嵌合凹部
64 第2コンタクト保持部
65 金具保持部
70 第2コンタクト
71 実装部
72 湾曲部
73 接触部
80 金具
81 基部
82 第1延出部
83 第2延出部
84 接触部
85 実装部
CB1 回路基板(第1回路基板)
CB2 回路基板(第2回路基板)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11