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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】衣類乾燥装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 37/08 20060101AFI20240930BHJP
【FI】
D06F37/08
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021048166
(22)【出願日】2021-03-23
(65)【公開番号】P2022147068
(43)【公開日】2022-10-06
【審査請求日】2023-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 開斗
(72)【発明者】
【氏名】染澤 俊介
(72)【発明者】
【氏名】石木 達也
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-135099(JP,A)
【文献】特開昭58-133299(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0325621(US,A1)
【文献】米国特許第3696521(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0014701(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 37/08
D06F 58/00~58/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類を収容自在な乾燥室と、乾燥室の空気を外部に排気させる排気部と、乾燥室を第1乾燥空間と第2乾燥空間とに区画する区画部と、乾燥室における第1乾燥空間と第2乾燥空間との一方に乾燥用空気を供給する乾燥用空気供給部と、その乾燥用空気供給部にて乾燥用空気が供給される側の乾燥空間から反対側の乾燥空間に空気を通流させる空気通流部とが備えられ
前記区画部にて前記乾燥室を前記第1乾燥空間と前記第2乾燥空間とに区画した場合に、前記第1乾燥空間には、前記排気部に連通する第1乾燥空間側連通部が備えられ、且つ、前記第2乾燥空間には、前記排気部に連通する第2乾燥空間側連通部が備えられている衣類乾燥装置。
【請求項2】
衣類を収容自在な乾燥室と、乾燥室の空気を外部に排気させる排気部と、乾燥室を第1乾燥空間と第2乾燥空間とに区画する区画部と、乾燥室における第1乾燥空間と第2乾燥空間との一方に乾燥用空気を供給する乾燥用空気供給部と、その乾燥用空気供給部にて乾燥用空気が供給される側の乾燥空間から反対側の乾燥空間に空気を通流させる空気通流部とが備えられ、
前記区画部にて前記乾燥室を前記第1乾燥空間と前記第2乾燥空間とに区画した場合に、前記第1乾燥空間には、衣類投入口に連通して前記第1乾燥空間への衣類の投入を可能とする第1乾燥空間側開口部が備えられ、且つ、前記第2乾燥空間には、衣類投入口に連通して前記第2乾燥空間への衣類の投入を可能とする第2乾燥空間側開口部が備えられている衣類乾燥装置。
【請求項3】
前記区画部は、乾燥室の中央側の内側空間とその内側空間の周囲を覆う外側空間とに区画して、内側空間及び外側空間の一方を第1乾燥空間とし且つ他方を第2乾燥空間とし、
前記乾燥用空気供給部は、内側空間と外側空間のうち、外側空間に乾燥用空気を供給するように構成されている請求項1又は2に記載の衣類乾燥装置。
【請求項4】
回転駆動自在な回転ドラムが備えられ、その回転ドラムの内部空間が前記乾燥室として備えられている請求項に記載の衣類乾燥装置。
【請求項5】
前記空気通流部は、乾燥用空気供給部にて乾燥用空気が供給される側の乾燥空間において、空気の通流方向の下流側部位では反対側の乾燥空間に空気を通流させず、空気の通流方向の上流側部位にて反対側の乾燥空間に空気を通流させる請求項1~4の何れか1項に記載の衣類乾燥装置。
【請求項6】
前記区画部は、乾燥室に対して着脱自在に備えられている請求項1~5の何れか1項に記載の衣類乾燥装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿った衣類を乾燥させる衣類乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類乾燥装置として、衣類を収容自在な乾燥室と、その乾燥室に乾燥用空気を供給自在な乾燥用空気供給部と、乾燥室の空気を外部に排気させる排気部とが備えられているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の衣類乾燥装置では、乾燥用空気供給部が、燃料ガスを燃焼させることで、高温空気を生成自在なバーナを備えている。このバーナにて生成した高温空気を乾燥用空気として、乾燥室内に供給することで、乾燥室内の衣類を乾燥させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2020-92754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
衣類には、複数の種類があり、例えば、熱に対して弱くて乾燥用空気を通風させると傷みが生じ易いデリケートな衣類も存在する。そこで、従来、通常の衣類を乾燥させる通常の乾燥運転の他に、デリケートな衣類を乾燥させるためのデリケート用の乾燥運転を実行可能な衣類乾燥装置が提案されている。デリケート用の乾燥運転では、例えば、乾燥室内に供給する乾燥用空気の温度を低下させる等、通常の乾燥運転よりも乾燥させるための熱量を低下させた状態で、衣類をやさしく乾燥させている。
【0006】
しかしながら、利用者は、衣類のなかにデリケートな衣類が含まれていると、通常の衣類を乾燥させる通常の乾燥運転とは別に、デリケートな衣類を乾燥させるデリケート用の乾燥運転を行わなければならず、ランニングコストや手間がかかるとともに、デリケートな衣類を含む衣類を効率よく乾燥させることができない。
【0007】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、衣類のなかにデリケートな衣類を含む場合でも、ランニングコストや手間がかからず、衣類を効率よく乾燥させることができる衣類乾燥装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1特徴構成は、衣類を収容自在な乾燥室と、乾燥室の空気を外部に排気させる排気部と、乾燥室を第1乾燥空間と第2乾燥空間とに区画する区画部と、乾燥室における第1乾燥空間と第2乾燥空間との一方に乾燥用空気を供給する乾燥用空気供給部と、その乾燥用空気供給部にて乾燥用空気が供給される側の乾燥空間から反対側の乾燥空間に空気を通流させる空気通流部とが備えられている点にある。
【0009】
本構成によれば、区画部にて区画された第1乾燥空間と第2乾燥空間との一方に、乾燥用空気供給部にて乾燥用空気が供給され、空気通琉部によって、第1乾燥空間と第2乾燥空間との一方側から他方側に空気が通流される。これにより、乾燥用空気は、第1乾燥空間と第2乾燥空間との一方側から他方側に通流するので、その通流過程で温度が低下して、第1乾燥空間と第2乾燥空間との他方側の方が一方側よりも乾燥用空気の温度が低下することになる。
【0010】
このように、第1乾燥空間と第2乾燥空間との間で乾燥用空気に温度差を積極的に生じさせることができるので、一度の乾燥運転において、温度の高い側の乾燥空間に通常の衣類を収容させ、温度の低い側の乾燥空間にデリケートな衣類を収容させて、通常の衣類とデリケートな衣類とを同時に乾燥させることができる。よって、衣類のなかにデリケートな衣類を含む場合でも、通常の乾燥運転とは別に、デリケートな衣類を乾燥させるデリケート用の乾燥運転を行う必要がなく、ランニングコストや手間がかからず、衣類を効率よく乾燥させることができる。
【0011】
本発明の第2特徴構成は、前記区画部は、乾燥室の中央側の内側空間とその内側空間の周囲を覆う外側空間とに区画して、内側空間及び外側空間の一方を第1乾燥空間とし且つ他方を第2乾燥空間とし、
前記乾燥用空気供給部は、内側空間と外側空間のうち、外側空間に乾燥用空気を供給するように構成されている点にある。
【0012】
本構成によれば、区画部は、乾燥室を内側空間と外側空間とに区画するので、例えば、区画部を筒状等の簡易な形状とすることができる。しかも、乾燥用空気供給部は、内側空間と外側空間のうち、外側空間に乾燥用空気を供給するので、外側空間よりも外側のスペースを利用して、乾燥用空気を生成するための機器等を効率よく配置できながら、それらの機器から乾燥用空気の供給対象となる外側空間までの距離も短くできる。よって、外側空間へ乾燥用空気を供給するための構成についても簡素な構成とすることができ、構成の簡素化を効果的に図ることができる。
【0013】
本発明の第3特徴構成は、回転駆動自在な回転ドラムが備えられ、その回転ドラムの内部空間が前記乾燥室として備えられている点にある。
【0014】
本構成によれば、回転ドラムの内部空間が乾燥室として備えられているので、回転ドラムの回転によって、第1乾燥空間及び第2乾燥空間の何れの乾燥空間においても衣類を一定の位置に止めることなく移動させることで、衣類を効率よく乾燥させることができる。
【0015】
しかも、上述の如く、乾燥用空気供給部は、内側空間と外側空間のうち、外側空間に乾燥用空気を供給するように構成されているので、外側空間に供給された乾燥用空気が空気通流部にて内側空間に通流されることになり、内側空間の方が外側空間よりも乾燥用空気の温度が低くなる。これにより、内側空間をデリケートな衣類を収容する空間として用いることができる。
【0016】
外側空間と内側空間とでは、回転ドラムの回転に伴う遠心力の大きさが異なり、外側空間の方が内側空間よりも大きな遠心力が作用することになる。よって、外側空間に収容される衣類には、内側空間に収容される衣類よりも、回転ドラムの回転によって大きな衝撃力が作用することが考えられる。その点、内側空間をデリケートな衣類を収容する空間として用いることで、損傷し易いデリケートな衣類の損傷を適切に防止することができる。
【0017】
本発明の第4特徴構成は、前記空気通流部は、乾燥用空気供給部にて乾燥用空気が供給される側の乾燥空間において、空気の通流方向の下流側部位では反対側の乾燥空間に空気を通流させず、空気の通流方向の上流側部位にて反対側の乾燥空間に空気を通流させる点にある。
【0018】
乾燥用空気供給部は、第1乾燥空間と第2乾燥空間との一方に乾燥用空気を供給するので、その一方側の乾燥空間では、乾燥用空気が通流することで、衣類に通風させて衣類を乾燥させている。これにより、乾燥空間において空気の通流方向の下流側部位では、乾燥用空気の温度低下度合いが大きくなっている。よって、この温度低下度合いが大きな乾燥用空気を、空気通流部にて反対側の乾燥空間に通流させても、反対側の乾燥空間に収容された衣類(デリケートな衣類)を乾燥させることができない可能性がある。
【0019】
そこで、本構成によれば、空気通流部は、乾燥用空気供給部にて乾燥用空気が供給される側の乾燥空間において、空気の通流方向の下流側部位では反対側の乾燥空間に空気を通流させず、空気の通流方向の上流側部位にて反対側の乾燥空間に空気を通流させている。これにより、温度低下度合いが大きくなる前の乾燥用空気を、空気通流部にて反対側の乾燥空間に通流させることができ、反対側の乾燥空間に収容された衣類(デリケートな衣類)も適切に乾燥させることができる。
【0020】
本発明の第5特徴構成は、前記区画部は、乾燥室に対して着脱自在に備えられている点にある。
【0021】
本構成によれば、区画部は、乾燥室に対して、常時、装着されているのではなく、必要に応じて乾燥室から取り外すこともできる。これにより、利用者は、通常の衣類とデリケートな衣類とを同時に乾燥させたい場合には、乾燥室に対して区画部を装着させ、逆に、デリケートな衣類を含まず通常の衣類だけを乾燥させたい場合には、乾燥室から区画部を取り外し、乾燥室の全体を通常の衣類の収容スペースとして、多くの衣類を効率よく乾燥させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】衣類乾燥装置の概略構成を示す側面図
図2】回転ドラムを示す側面図
図3】回転ドラムを示す正面図
図4】フィルターに対する区画部の取り付けを示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る衣類乾燥装置の実施形態を図面に基づいて説明する。
この衣類乾燥装置1は、図1に示すように、燃料ガスNの燃焼により生成した高温空気K1によって、脱水後等の湿った衣類2を乾燥させるものである。衣類乾燥装置1は、箱状の筐体3が備えられ、その筐体3には、衣類2を収容自在な乾燥室4と、その乾燥室4に高温空気K1(乾燥用空気)を供給自在な乾燥用空気供給部5と、乾燥室4の空気Kを外部に排気させる排気部6とが備えられている。
【0024】
筐体3の前面側には、図1に示すように、片開き式の扉7が開閉自在に支持されている。この扉7を開閉することで、筐体3の前方側部位に備えられた衣類投入口8が閉塞及び開放可能に構成されている。利用者は、扉7を開き状態として、衣類投入口8を通して衣類2を乾燥室4内に投入したり、乾燥室4内の衣類2を取り出している。
【0025】
乾燥室4は、回転駆動自在な回転ドラム11にて形成されている。回転ドラム11は、円形状の衣類投入口8よりも大径の円筒状の内部空間を有しており、その内部空間が乾燥室4として備えられている。回転ドラム11は、前方側が開放された前方開口部11aが備えられ、その前方開口部11aが衣類投入口8に連通されている。回転ドラム11は、略水平方向に延びる支持軸(図示省略)にて回転軸心P周りで回転自在に支持されている。回転ドラム11を回転駆動するために、駆動モータ12と第1伝達ベルト14とが備えられている。第1伝達ベルト14は、駆動モータ12の第1駆動プーリ13と回転ドラム11の外周部とに巻き掛けられている。駆動モータ12にて第1駆動プーリ13を回転駆動させて、第1伝達ベルト14を巻回作動させることで、駆動モータ12の駆動力を回転ドラム11に伝達して、回転ドラム11を回転駆動させている。
【0026】
乾燥用空気供給部5は、燃料ガスNを燃焼させるバーナ21と、そのバーナ21の燃焼により生成(加熱)された高温空気K1(乾燥用空気)を乾燥室4に供給する高温空気供給路22とが備えられている。バーナ21に燃料ガスNを供給する燃料供給路23が備えられ、その燃料供給路23の下流側端部に備えられた燃料ノズル24から燃料ガスNを噴出して、バーナ21に燃料ガスNを供給している。燃料供給路23の途中部位には、燃料供給弁25が備えられ、燃料ガスNの供給が断続され、その燃料ガスNの供給量を調整自在としている。ちなみに、図1では、1つの燃料供給弁25を図示しているが、例えば、燃料ガスNの供給を断続する断続弁と、燃料ガスNの供給量を調整する供給量調整弁との2つの弁を備えることができる。
【0027】
筐体3の下面部には、開口部26が形成され、その開口部26から筐体3の内部に空気Kが流入自在となっている。バーナ21は、その流入した空気Kを燃焼用空気として、燃料供給路23にて供給される燃料ガスNを燃焼させて、高温空気K1(乾燥用空気)を生成している。高温空気供給路22は、回転ドラム11の前方下方側に形成された給気口27を通して乾燥室4内に連通され、バーナ21にて生成された高温空気K1(乾燥用空気)を乾燥室4内に供給自在となっている。
【0028】
排気部6は、排気ファン31と、乾燥室4の空気Kを外部に排気させる排気通路32とが備えられている。排気ファン31を駆動させるために、駆動モータ12と第2伝達ベルト16とが備えられている。第2伝達ベルト16は、駆動モータ12の第2駆動プーリ15と排気ファン31とに巻き掛けられている。駆動モータ12にて第2駆動プーリ15を回転駆動させて、第2伝達ベルト16を巻回作動させることで、駆動モータ12の駆動力を排気ファン31に伝達して、排気ファン31を作動させている。このように、1つの駆動モータ12の駆動力を回転ドラム11と排気ファン31とに伝達させて、回転ドラム11と排気ファン31という2つの機器を作動自在としている。
【0029】
排気ファン31は、回転ドラム11の後方側に配設され、乾燥室4内の空気Kを吸引するように備えられている。排気通路32は、筐体3内の内部通路部位33と筐体3外の外部通路部位34とが備えられ、内部通路部位33に外部通路部位34(排気筒)を接続することで、乾燥室4内の空気Kを屋外に排気させる排気通路32を形成している。排気ファン31を作動させることで、筐体3の下面部の開口部26から筐体3の内部に空気Kを取り込み、その取り込んだ空気Kをバーナ21を介して乾燥室4内に供給し、乾燥室4内の空気Kを排気通路32を通して屋外に排気するという空気Kの流れを生じさせている。
【0030】
回転ドラム11の後方側には、乾燥室4から排気する空気Kの通過位置にフィルター41が配設されている。フィルター41は、空気Kの通流方向で、乾燥室4の下流側(排気側)で且つ排気ファン31の上流側に配設され、乾燥室4から排気される空気Kに含まれる塵埃や糸屑等の異物を取り除いている。フィルター41は、回転ドラム11の後壁部11bに形成された開口部を閉塞する状態で配設され、回転ドラム11と一体的に回転自在に備えられている。
【0031】
この実施形態では、図1図3に示すように、乾燥室4を1つの乾燥空間とするだけでなく、乾燥室4を第1乾燥空間51と第2乾燥空間52との2つの乾燥空間に分けて、第1乾燥空間51及び第2乾燥空間52の両方において、衣類2を乾燥できるようにしている。図2は、回転ドラム11等の要部のみを示した側面図であり、図3は、筐体3を前方側から見たときの回転ドラム11等の要部のみを示した正面図である。
【0032】
以下、第1乾燥空間51及び第2乾燥空間52について説明する。
乾燥室4には、図2及び図3に示すように、乾燥室4を第1乾燥空間51と第2乾燥空間52とに区画する区画部53が備えられている。区画部53は、円筒状に形成され、乾燥室4の中央側の内側空間とその内側空間の周囲を覆う外側空間とに区画し、外側空間を第1乾燥空間51とし且つ内側空間を第2乾燥空間52としている。
【0033】
第1乾燥空間51及び第2乾燥空間52に対する高温空気(乾燥用空気)の供給については、図2及び図3に示すように、高温空気供給路22が、回転ドラム11の前方下方側に形成された給気口27を通して、バーナ21にて生成された高温空気K1(乾燥用空気)を乾燥室4内に供給自在としている。これにより、乾燥用空気供給部5における高温空気供給路22は、外側空間である第1乾燥空間51と内側空間である第2乾燥空間52との両方に高温空気K1を供給するのではなく、第1乾燥空間51だけに高温空気K1を供給している。
【0034】
そこで、第2乾燥空間52にも高温空気K2を供給するために、第1乾燥空間51から第2乾燥空間52に高温空気K2(空気)を通流させる空気通流部54が備えられている。空気通流部54は、円筒状の区画部53に形成された複数の孔部55(図4参照)にて構成されている。円筒状の区画部53には、その全周に亘って一定間隔で複数の孔部55が形成されている。
【0035】
バーナ21の燃焼にて生成された高温空気K1は、図2及び図3に示すように、給気口27から第1乾燥空間51に供給され、第1乾燥空間51を通流した高温空気K2が、空気通流部54にて、第1乾燥空間51から第2乾燥空間52に通流されている。このように、高温空気が、第1乾燥空間51、第2乾燥空間52の順に供給されており、その通流過程で高温空気の温度が低下することから、第2乾燥空間52に供給される高温空気を、第1乾燥空間51に供給される高温空気K1よりも低温の高温空気K2としている。
【0036】
よって、第2乾燥空間52内の空気の温度を、第1乾燥空間51内の空気の温度よりも低温とすることができる。第2乾燥空間52では、第1乾燥空間51よりも乾燥させるための熱量を低下させた状態で、衣類2をやさしく乾燥させることができ、デリケートな衣類2a(図1参照)を乾燥させるのに好適なものとなる。
【0037】
図1及び図2に示すように、乾燥室4の後方側にはフィルター41が配設されており、そのフィルター41において、図2に示すように、第1乾燥空間51に対応する部位が第1フィルター部位41aとなっており、第2乾燥空間52に対応する部位が第2フィルター部位41bとなっている。第1フィルター部位41aは、第1乾燥空間51の空気を排気通路32に通流させる際に、その空気に含まれる塵埃や糸屑等の異物を除去している。第2フィルター部位41bも、第2乾燥空間52の空気を排気通路32に通流させる際に、その空気に含まれる塵埃や糸屑等の異物を除去している。このように、第1乾燥空間51の空気も第2乾燥空間52の空気も、フィルター41を通過する状態で、排気通路32に通流している。
【0038】
第1乾燥空間51では、図2に示すように、高温空気K1が、乾燥室4の前方側に配設された給気口27から供給されて第1乾燥空間51内を通流し、その通流した第1乾燥空間51内の空気Kを、乾燥室4の後方側に配設されたフィルター41を通して、第1乾燥空間51から排気している。第1乾燥空間51では、乾燥室4の前方側から後方側に向けて空気K(高温空気K1)が通流することになり、空気Kの通流方向が乾燥室4の前方側から後方側に向かう方向となっている。
【0039】
複数の孔部55は、図1及び図2に示すように、区画部53において、筐体3の前後方向の前方側部位のみに形成されている。これにより、複数の孔部55からなる空気通流部54は、第1乾燥空間51において、空気K(高温空気K1)の通流方向の下流側部位では第2乾燥空間52に高温空気K2を通流させず、空気Kの通流方向の上流側部位にて第2乾燥空間52に高温空気K2を通流させている。
【0040】
第1乾燥空間51では、供給された高温空気K1が通流することで、その高温空気K1の温度が低下するので、その通流距離が長くなるほど、温度低下度合いが大きくなる。そこで、空気通流部54は、空気Kの通流方向の上流側において、温度低下度合いが大きくなる前の高温空気K2を第2乾燥空間52に通流させている。これにより、第2乾燥空間52においても、衣類2を十分に乾燥させることができる温度の高温空気K2が通流され、その高温空気K2によって衣類2を適切に乾燥させることができる。
【0041】
ここで、第1乾燥空間51と第2乾燥空間52との容積の大きさの関係については、第1乾燥空間51の方が第2乾燥空間52よりも容積を大きくしたり、逆に、第2乾燥空間52の方が第1乾燥空間51よりも容積を大きくすることもでき、区画部53の直径等を調整することで、適宜設定することができる。
【0042】
例えば、外側空間である第1乾燥空間51の方が内側空間である第2乾燥空間52よりも容積を大きくすると、容積の小さい第2乾燥空間52の方が衣類2を効率よく乾燥させ易いものとなる。よって、第1乾燥空間51よりも低温の第2乾燥空間52にて衣類2を乾燥させる場合でも、乾燥時間が長くならず、好適に衣類2を乾燥させることができる。
【0043】
区画部53は、常時、乾燥室4に対して装着されているのではなく、乾燥室4に対して着脱自在に備えられている。図4に示すように、区画部53の後方側端部には、係合式の取付部56が備えられ、フィルター41には、その係合式の取付部56を取り付ける取付受け部57が備えられている。これにより、区画部53の取付部56をフィルター41の取付受け部57に取り付けることで、フィルター41に対して区画部53を取付自在となっている。図4(A)は、フィルター41に対して区画部53を取り付ける前の状態を示しており、図4(B)は、フィルター41に対して区画部53を取り付けた後の状態を示している。
【0044】
フィルター41において、区画部53を取り付ける取付対象部位には、区画部53を挿脱自在な挿脱孔部61が形成されている。挿脱孔部61は、円筒状の区画部53を挿脱自在な円形のリング状に形成され、その挿脱孔部61に区画部53を挿入させることで、区画部53の取付部56をフィルター41の取付受け部57に取り付けている。取付部56は、区画部53の周方向において所定間隔を隔てて複数備えられており、取付受け部57は、挿脱孔部61の周方向に間隔を隔てて複数備えられている。
【0045】
区画部53の取付部56には、弾性変形自在な係合爪部58が備えられている。係合爪部58には、取付受け部57に備えられた被係合部59に係合する係合部60が備えられている。係合爪部58の係合部60と取付受け部57の被係合部59とを係合させることで、区画部53がフィルター41に取り付けられた状態にロックされている。
【0046】
区画部53をフィルター41に取り付ける場合には、図4(A)に示すように、利用者が、区画部53を持って、挿脱孔部61に区画部53を挿入させる状態でフィルター41の後方側に向けて区画部53を移動させる。このとき、区画部53の取付部56における係合爪部58が、フィルター41の取付受け部57における被係合部59に当接して、区画部53の径方向の内方側に弾性変形する。この弾性変形により、係合爪部58の係合部60が、取付受け部57の被係合部59を乗り越えて、被係合部59よりもフィルター41の後方側に移動可能となる。係合部60が、被係合部59よりもフィルター41の後方側に移動すると、被係合部59との当接が解除されて、弾性変形により付与された付勢力によって、係合爪部58が、区画部53の径方向の外方側に復帰移動される。この係合爪部58の復帰移動によって、図4(B)に示すように、係合爪部58の係合部60と取付受け部57の被係合部59とが係合されて、区画部53がフィルター41に取り付けられた状態にロックされる。
【0047】
区画部53をフィルター41から取り外す場合には、利用者が、取付部56の係合爪部58を押圧して、係合爪部58を区画部53の径方向の内方側に弾性変形させる。この弾性変形により、係合爪部58の係合部60が、取付受け部57の被係合部59を乗り越えて、被係合部59よりもフィルター41の前方側に移動可能となる。よって、利用者は、係合爪部58を弾性変形させた状態において、フィルター41の前方側に向けて区画部53を移動させることで、フィルター41から区画部53を取り外すことができる。
【0048】
衣類乾燥装置1の制御について説明する。
筐体3の前方下方側部位には、図1に示すように、各機器の作動状態を制御する制御部9が備えられている。制御部9は、各機器の作動状態を制御することで、複数種の運転を実行可能であるが、主として、乾燥用空気供給部5及び排気部6を作動させて、乾燥室4に収容された衣類2を乾燥させる乾燥運転を実行可能に構成されている。
【0049】
筐体3の前面部には、図示は省略するが、操作部及び表示部が備えられている。操作部には、例えば、電源スイッチ、運転や運転コースを選択する選択スイッチ、乾燥運転を開始及び一時停止させるためのスイッチ、乾燥運転の乾燥時間を設定する設定スイッチ等の各種のスイッチが備えられている。表示部には、例えば、運転状態を表示する表示部や、乾燥の残り時間の目安等を表示するデジタル表示部等の各種の表示部が備えられている。
【0050】
乾燥運転では、制御部9が、図1に示すように、バーナ21による燃焼を行うように、乾燥用空気供給部5における燃料供給弁25等を制御し、排気部6における排気ファン31を作動させるように、駆動モータ12の作動状態を制御している。この乾燥運転では、制御部9が、駆動モータ12を作動させることで、排気ファン31を作動させるとともに、回転ドラム11を回転駆動させて、乾燥室4内の衣類2を一定の位置に止めることなく移動させ、衣類2を効率よく乾燥させている。
【0051】
制御部9は、乾燥運転の運転開始から設定時間が経過すると、バーナ21での燃焼を停止させるように、乾燥用空気供給部5における燃料供給弁25等を制御し、排気部6における排気ファン31を作動停止させるように、駆動モータ12の作動状態を制御して、乾燥運転を終了している。
【0052】
設定時間については、例えば、予め設定した初期設定時間としたり、乾燥室4に投入された衣類2の量や重さ等から、その予め設定した初期設定時間を変更設定することができる。また、乾燥運転を終了させるための条件としては、設定時間が経過するという条件に限らず、例えば、衣類2の乾燥度を検知自在な乾燥度センサの検出情報に基づいて、衣類2の乾燥完了を検知した場合に、乾燥運転を終了させることもできる。
【0053】
衣類2には、複数種のものが含まれており、例えば、通常の衣類2a(図1参照)やデリケートな衣類2b(図1参照)が含まれている。デリケートな衣類2bは、熱に対して弱くて乾燥用空気を通風させると傷みが生じ易い衣類とすることができる。そこで、乾燥運転としては、通常の衣類2aを乾燥させるための通常運転コースや、デリケートな衣類2bを乾燥させるためのデリケート運転コース等の複数の運転コースが備えられている。利用者は操作部を操作することで、複数の運転コースから実行する運転コースを選択することができる。
【0054】
例えば、通常運転コースとデリケート運転コースとでは、衣類を乾燥させるための熱量を変更させている。デリケート運転コースが、通常運転コースよりも、乾燥室4に供給する高温空気K1(乾燥用空気)の温度を低くする等により、乾燥させるための熱量を低下させた状態で、衣類を乾燥させるようにしている。
【0055】
例えば、通常運転コースでは、制御部9が、乾燥室4に供給する高温空気K1(乾燥用空気)の温度が通常運転コース用設定温度になるように、燃料供給弁25等を制御してバーナ21による燃焼温度を調整している。それに対して、デリケート運転コースにおいても、制御部9が、乾燥室4に供給する高温空気K1(乾燥用空気)の温度がデリケート運転コース用設定温度になるように、燃料供給弁25等を制御してバーナ21による燃焼温度を調整しているが、デリケート運転コース用設定温度は、通常運転コース用設定温度よりも低い温度に設定されている。このとき、乾燥時間についても、通常運転コースとデリケート運転コースとでは異なる時間を設定することができる。
【0056】
このように、乾燥運転として複数の運転コースが備えられているので、利用者は、必要に応じて好みの運転コースを選択して、衣類の乾燥を行うことができる。また、利用者は、運転コースを選択できるだけでなく、乾燥室4について、区画部53を取り付けか否かを選択することで、乾燥室4の全体を1つの乾燥空間として乾燥を行うか、乾燥室4を第1乾燥空間51と第2乾燥空間52との2つの乾燥空間として乾燥を行うかを選択することもできる。
【0057】
例えば、乾燥運転を行うに当たり、利用者が、通常の衣類2aだけを乾燥させたい場合と、通常の衣類2aとデリケートな衣類2bとを同時に乾燥させたい場合と、デリケートな衣類2bだけを乾燥させたい場合との3つの場合が考えられるので、各場合について説明する。
【0058】
利用者が通常の衣類2aだけを乾燥させたい場合には、乾燥室4から区画部53を取り外した状態として、乾燥室4の全体を1つの乾燥空間として乾燥を行うようにしている。これにより、乾燥室4の全体を利用して、多くの通常の衣類2aを一度に乾燥させることができる。この場合には、運転コースについて、利用者が、通常運転コースを選択しており、区画部53を乾燥室4に取り付けることなく、1つの乾燥空間となっている乾燥室4内に通常の衣類2aを投入することで、通常運転コースでの乾燥運転を行っている。
【0059】
利用者が通常の衣類2aとデリケートな衣類2bとを同時に乾燥させたい場合には、図1に示すように、乾燥室4に区画部53を取り付けた状態として、乾燥室4を第1乾燥空間51と第2乾燥空間52との2つの乾燥空間として乾燥を行うようにしている。これにより、第1乾燥空間51と第2乾燥空間52との夫々にて乾燥を行い、通常の衣類2aとデリケートな衣類2bとを同時に乾燥させることができ、作業効率の向上を図ることができる。
【0060】
この場合には、運転コースについて、通常の衣類2aだけを乾燥させたい場合と同様に、利用者が通常運転コースを選択することができる。通常運転コースでは、図2及び図3に示すように、運転コース用設定温度の高温空気K1が第1乾燥空間51に供給されるものの、空気通流部54にて第1乾燥空間51から第2乾燥空間52に通流される高温空気K2の温度が運転コース用設定温度の高温空気K1よりも低下しているので(例えば、デリケート運転コース用設定温度と同程度まで低下している)、第2乾燥空間52では、第1乾燥空間51よりも乾燥させるための熱量を低下させることができる。
【0061】
そこで、衣類2を乾燥室4に投入する際には、外側空間である第1乾燥空間51に対して通常の衣類2aを投入し、内側空間である第2乾燥空間52に対してデリケートな衣類2bを投入している。これにより、図1に示すように、第1乾燥空間51において、通常の衣類2aを適切に乾燥させることができながら、第2乾燥空間52においても、第1乾燥空間51よりも乾燥させるための熱量を低下させた状態で、衣類2をやさしく乾燥させることができ、デリケートな衣類2aも適切に乾燥させることができる。
【0062】
このように、通常の衣類2aとデリケートな衣類2bとを同時に乾燥させたい場合でも、制御部9が、通常の衣類2aだけを乾燥させたい場合と同様に、通常運転コースでの乾燥運転を実行すればよい。よって、通常の衣類2aとデリケートな衣類2bとを同時に乾燥させるための専用の運転コースを備えなくてもよく、通常運転コースと同様の制御内容を利用して、制御構成の簡素化を図りながら、通常の衣類2aとデリケートな衣類2bとを同時に乾燥させることができる。
【0063】
ちなみに、通常の衣類2aとデリケートな衣類2bとを同時に乾燥させたい場合には、衣類2を投入する乾燥空間の間違えを防止するために、内側空間である第2乾燥空間52がデリケートな衣類2bを投入する乾燥空間であることが認識できるように、「内側空間にデリケートな衣類を投入して下さい」等の表示部を区画部53等に備えておくことができる。この表示部は、区画部53に限らず、例えば、筐体3の前面部に備えさせることもでき、その設置箇所については適宜変更することができる。
【0064】
利用者がデリケートな衣類2bだけを乾燥させたい場合には、乾燥室4から区画部53を取り外した状態として、乾燥室4の全体を1つの乾燥空間として乾燥を行うようにしている。これにより、乾燥室4の全体を利用して、多くのデリケートな衣類2bを一度に乾燥させることができる。この場合には、運転コースについて、利用者が、デリケート運転コースを選択しており、区画部53を乾燥室4に取り付けることなく、1つの乾燥空間となっている乾燥室4内にデリケートな衣類2bを投入することで、デリケート運転コースでの乾燥運転を行っている。
【0065】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、夫々単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0066】
(1)上記実施形態では、バーナ21の燃焼により高温空気K1(乾燥用空気)を生成しているが、例えば、電気ヒータによる加熱によって高温空気(乾燥用空気)を生成することもでき、高温空気K1を生成するための加熱部については、バーナに限らず、他の加熱部を適用することもできる。
【0067】
(2)上記実施形態では、略水平方向に沿う回転軸心P周りで回転ドラム11を回転駆動させているが、略上下方向に沿う回転軸心周りで回転ドラムを回転駆動させることもでき、回転ドラムの回転軸心をどのように設定するか適宜変更が可能である。
【0068】
(3)上記実施形態では、回転駆動自在な回転ドラム11の内部空間を乾燥室4として備えているが、乾燥室4を固定状態にて備えることもできる。
【0069】
(4)上記実施形態では、区画部53にて乾燥室4を内側空間と外側空間とに区画しているが、例えば、左右方向で右側空間と左側空間とに区画したり、上下方向で上方側空間と下方側空間とに区画することもでき、乾燥室をどのように区画するかは適宜変更が可能である。
【0070】
(5)上記実施形態では、乾燥用空気供給部5が、外側空間である第1乾燥空間51に高温空気K1(乾燥用空気)を供給しているが、逆に、乾燥用空気供給部5が、内側空間である第2乾燥空間52に高温空気K1(乾燥用空気)を供給することもできる。この場合には、空気通流部54は、内側空間である第2乾燥空間52から外側空間である第1乾燥空間51に高温空気を通流させることになる。よって、外側空間である第1乾燥空間51の方が内側空間である第2乾燥空間52よりも低温となるので、外側空間である第1乾燥空間51にデリケートな衣類を投入し、内側空間である第2乾燥空間52に通常の衣類を投入することで、デリケートな衣類と通常の衣類とを同時に乾燥させることができる。
【0071】
(6)上記実施形態では、乾燥運転における運転コースとして、通常運転コースとデリケート運転コースとを備えたものを例示したが、例えば、デリケート運転コースを省略することもでき、どのような運転コースを備えるかは適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
1 衣類乾燥装置
2 衣類
4 乾燥室
5 乾燥用空気供給部
6 排気部
11 回転ドラム
51 第1乾燥空間
52 第2乾燥空間
53 区画部
54 空気通流部
K 空気
K1 高温空気(乾燥用空気)
K2 高温空気(乾燥用空気)
図1
図2
図3
図4