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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】接合された部材を分離する方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/12 20060101AFI20240930BHJP
   B23K 20/20 20060101ALI20240930BHJP
   B23K 103/20 20060101ALN20240930BHJP
【FI】
B23K20/12 310
B23K20/20
B23K103:20
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021057225
(22)【出願日】2021-03-30
(65)【公開番号】P2022154281
(43)【公開日】2022-10-13
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 章嘉
(72)【発明者】
【氏名】佐山 満
(72)【発明者】
【氏名】栗原 大知
(72)【発明者】
【氏名】中井 浩之
【審査官】杉田 隼一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-135789(JP,A)
【文献】特開平11-047961(JP,A)
【文献】特開2019-162643(JP,A)
【文献】特開2014-208358(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0255647(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/12
B23K 20/20
B23K 103/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の第1部材と、前記第1部材の対向面に当接するように配置されて、接合部によって前記第1部材に接合された第2部材とを含む接合構造に於いて、前記第1部材を前記第2部材から分離する方法であって、
前記第1部材の表面に交差する中心軸線に沿って延在する貫通孔、及び前記第1部材に選択的に当接可能な当接面を有するショルダと、側周面にねじ溝を有するプローブが先端部に設けられ、前記貫通孔に挿通され、前記中心軸線に沿って延在し、前記中心軸線回りに回転可能な回転ツールを用意するステップと、
前記第1部材に前記ショルダの前記当接面を押し付けるステップと、
前記接合部の少なくとも一部が流動してかき出されるように、前記ねじ溝によって前記接合部がかき出される方向に前記回転ツールを回転させ、かつ前記プローブを前記接合部に突入させるステップと、
前記第1部材を前記第2部材から引き離すステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記接合構造は前記第1部材側からの摩擦撹拌接合によって形成された前記接合部による摩擦撹拌接合構造であって、
前記摩擦撹拌接合は、摩擦撹拌点接合であり、
前記突入させるステップに於いて、前記回転ツールは、前記プローブの前記側周面と前記ショルダの前記貫通孔の内周面との間に環状空隙を形成し、前記環状空隙が、前記接合部に於けるかき出された部分を前記第1部材に連結した状態で受容して、接合材料部を形成するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
分離された前記第1部材を前記第2部材に再接合するべく、
前記中心軸線に沿って延在する貫通孔、及び前記第1部材に選択的に当接可能な当接面を有する再接合用ショルダと、プローブが先端部に設けられ、前記再接合用ショルダの前記貫通孔に挿通され、前記中心軸線に沿って延在し、前記中心軸線回りに回転可能な再接合用回転ツールとを用意するステップと、
前記接合材料部が連結した前記第1部材を、前記第2部材に対して分離前と同じ位置に配置するステップと、
前記接合材料部が前記再接合用ショルダの前記貫通孔に受容されるように前記第1部材に前記再接合用ショルダの前記当接面を押し付けるステップと、
前記再接合用回転ツールを回転させ、前記接合材料部を流動させて押し込むように前記再接合用回転ツールの前記プローブを前記接合部が形成されていた部分に突入させるステップと
を更に備えることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記接合構造は前記第1部材側からの摩擦撹拌接合によって形成された前記接合部による摩擦撹拌接合構造であって、
前記摩擦撹拌接合は、摩擦撹拌線接合であり、
前記ショルダの前記当接面には、径方向に直線状に延在して前記貫通孔から前記ショルダの外周面に至る溝が形成されており、
前記プローブを前記接合部に突入させるステップは、前記接合部の少なくとも一部を、前記溝内に向けてかき出して、前記接合部の少なくとも一部を、前記第2部材に対して空隙をおいて対峙する位置に向けて引き離すことにより前記第1部材に連結した接合材料部を形成しつつ、前記プローブを前記溝側とは反対の方向に向けて前進させることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
分離された前記第1部材を前記第2部材に再接合するべく、
前記接合材料部が連結した前記第1部材を、前記第2部材に対して分離前と同じ位置に配置するステップと、
前記接合材料部の一端部が前記ショルダの前記溝に受容されるように前記第1部材に前記ショルダの前記当接面を押し付けるステップと、
前記回転ツールを、分離時とは逆方向に回転させつつ前記接合部を形成していた部分に突入させ、かつ、前記回転ツール及び前記ショルダを、前記溝が前側に位置するように、前記接合材料部に沿って移動させるステップと
を更に備えることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1部材の素材の強度は、前記第2部材の素材の強度よりも低いことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記第1部材及び前記第2部材は、電子部品又は電気部品の電気的接続部を構成することを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接合された部材を分離する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
摩擦撹拌接合とは、互いに重ね合わせた複数の部材に対して、工具を回転させながら押し付け、押し付けた部分の周辺を摩擦熱によって塑性流動させて撹拌することによって、互いに接合する方法である。摩擦撹拌線接合は、工具を部材に押し付けた後、工具を部材の表面に沿って移動させる方法であり、摩擦撹拌点接合は、工具を部材に押し付けた後、工具を部材の表面に沿って移動させない方法である。
【0003】
特許文献1には、摩擦撹拌接合に於いて、ねじ構造を有するピン部(プローブ)を使用して、塑性流動した材料をねじ構造によってピン部の先端に押し出すことが記載されている。特許文献2には、摩擦撹拌接合された異種金属接合体に対して、加熱して脆弱な異種金属間化合物相を形成し、外的負荷を与えて脆弱な異種金属間化合物相を破壊することにより、接合された金属材料を互いに分離することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-160318号公報
【文献】特開2007-54848号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
接合した部材を点検又は修理のため分離し、点検又は修理の後に再接合する場合がある。特許文献1に記載の方法は、接合後に分離することは考慮されていない。特許文献2に記載の方法は、分離のために外部入力が必要であり、また、加熱によって脆弱な異種金属間化合物相が生じているため、再接合しようとした際に、接合強度の低下を防ぐための措置が必要であった。また、特許文献2には、具体的な加熱方法が記載されておらず、電子部品や電気部品に於ける接合を解除しようとした場合には、加熱によってこれらの部品に悪影響を及ぼすおそれがあり、特許文献2に記載の発明は、再接合して使用する部品の分離には不向きであった。
【0006】
このような問題に鑑み、本発明は、接合された部材を再接合できるように容易に分離できる分離方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある実施形態は、板状の第1部材(1)と、前記第1部材(1)の対向面に当接するように配置されて、接合部(3,31)によって前記第1部材(1)に接合された第2部材(2)とを含む接合構造に於いて、前記第1部材(1)を前記第2部材(2)から分離する摩擦攪拌を用いた方法であって、前記第1部材(1)の表面に交差する中心軸線に沿って延在する貫通孔(10,36)、及び前記第1部材(1)に選択的に当接可能な当接面(12,38)を有するショルダ(14,34)と、側周面にねじ溝を有するプローブ(17,35)が先端部に設けられ、前記貫通孔(10,36)に挿通され、前記中心軸線に沿って延在し、前記中心軸線回りに回転可能な回転ツール(15,33)を用意するステップと、前記第1部材(1)に前記ショルダ(14,34)の前記当接面(12,38)を押し付けるステップと、前記接合部(3,31)の少なくとも一部が流動してかき出されるように、前記ねじ溝によって前記接合部(3,31)がかき出される方向に前記回転ツール(15,33)を回転させ、かつ前記プローブ(17,35)を前記接合部(3,31)に突入させるステップと、前記第1部材(1)を前記第2部材(2)から引き離すステップとを備える。
【0008】
この構成によれば、接合部の少なくとも一部がかき出されて接合に寄与しなくなるため、第1部材を第2部材から容易に分離することができる。また、分離作業時に発生する熱は、プローブの回転による摩擦熱であるため、第1部材及び第2部材に悪影響を及ぼさず、第1部材及び第2部材を再利用して再接合することができる。
【0009】
本発明のある実施形態は、上記構成に於いて、前記接合構造は前記第1部材(1)側からの摩擦撹拌接合によって形成された前記接合部(3)による摩擦撹拌接合構造であって、前記摩擦撹拌接合は、摩擦撹拌点接合であり、前記突入させるステップに於いて、前記回転ツール(15)は、前記プローブ(17)の前記側周面と前記ショルダ(14)の前記貫通孔(10)の内周面との間に環状空隙(19)を形成し、前記環状空隙(19)が、前記接合部(3)に於けるかき出された部分を前記第1部材(1)に連結した状態で受容して、接合材料部(20)を形成するように構成されたことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、摩擦撹拌点接合によって形成された接合部に於けるかき出された部分が、接合材料部として第1部材に連結しているため、部材を再接合する時に、接合部を形成するために追加する材料が少量又は不要となる。
【0011】
本発明のある実施形態は、直上の構成に於いて、分離された前記第1部材(1)を前記第2部材(2)に再接合するべく、前記中心軸線に沿って延在する貫通孔(10)、及び前記第1部材(1)に選択的に当接可能な当接面(12)を有する再接合用ショルダ(22)と、プローブ(8)が先端部に設けられ、前記再接合用ショルダ(22)の前記貫通孔(10)に挿通され、前記中心軸線に沿って延在し、前記中心軸線回りに回転可能な再接合用回転ツール(23)とを用意するステップと、前記接合材料部(20)が連結した前記第1部材(1)を、前記第2部材(2)に対して分離前と同じ位置に配置するステップと、前記接合材料部(20)が前記再接合用ショルダ(22)の前記貫通孔(10)に受容されるように前記第1部材(1)に前記再接合用ショルダ(22)の前記当接面(12)を押し付けるステップと、前記再接合用回転ツール(23)を回転させ、前記接合材料部(20)を流動させて押し込むように前記再接合用回転ツール(23)の前記プローブ(8)を前記接合部(3)が形成されていた部分に突入させるステップとを更に備えることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、再接合の手段が分離の手段と類似しているため、工具を動かすための装置を共通のものにすることができ、作業性が向上する。
【0013】
本発明のある実施形態は、上記の第1の構成に於いて、前記接合構造は前記第1部材側からの摩擦撹拌接合によって形成された前記接合部(31)による摩擦撹拌接合構造であって、前記摩擦撹拌接合は、摩擦撹拌線接合であり、前記ショルダ(34)の前記当接面(38)には、径方向に直線状に延在して前記貫通孔(36)から前記ショルダ(34)の外周面に至る溝(39)が形成されており、前記プローブ(35)を前記接合部(31)に突入させるステップは、前記接合部(31)の少なくとも一部を、前記溝(39)内に向けてかき出して、前記接合部(31)の少なくとも一部を、前記第2部材(2)に対して空隙をおいて対峙する位置に向けて引き離すことにより前記第1部材(1)に連結した接合材料部(40)を形成しつつ、前記プローブ(35)を前記溝(39)側とは反対の方向に向けて前進させることを含むことを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、摩擦撹拌線接合によって形成された接合部に於けるかき出された部分が、接合材料部として第1部材に連結しているため、部材を再接合する時に、接合部を形成するために追加する材料が少量又は不要となる。
【0015】
本発明のある実施形態は、直上の構成に於いて、分離された前記第1部材(1)を前記第2部材(2)に再接合するべく、前記接合材料部(40)が連結した前記第1部材(1)を、前記第2部材(2)に対して分離前と同じ位置に配置するステップと、前記接合材料部(40)の一端部が前記ショルダ(34)の前記溝(39)に受容されるように前記第1部材(1)に前記ショルダ(34)の前記当接面(38)を押し付けるステップと、前記回転ツール(33)を、分離時とは逆方向に回転させつつ前記接合部(31)を形成していた部分に突入させ、かつ、前記回転ツール(33)及び前記ショルダ(34)を、前記溝(39)が前側に位置するように、前記接合材料部(40)に沿って移動させるステップとを更に備えることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、分離及び再接合に共通の工具を使用するため、工具の交換の手間が省け、作業性が向上する。
【0017】
本発明のある実施形態は、上記構成の何れかに於いて、前記第1部材(1)の素材の強度は、前記第2部材(2)の素材の強度よりも低いことを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、低強度の第1部材側からプローブが突入するため、プローブの回転によって塑性流動した部分が撹拌されやすく、第1部材1の第2部材2に対する分離及び再接合が容易となる。
【0019】
本発明のある実施形態は、上記構成の何れかに於いて、前記第1部材(1)及び前記第2部材(2)は、電子部品又は電気部品の電気的接続部を構成することを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、これらの部品の電気的接続部ボルト等により物理的に接合する場合に比べて、接合時の電気エネルギーのロスが小さくなり、また、電気的接続部の分離及び再接合を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、摩擦撹拌接合によって接合された部材を再接合できるように容易に分離できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態に係る摩擦撹拌点接合による接合方法の説明図
図2】第1実施形態に係る摩擦撹拌点接合による接合の分離方法の説明図
図3】第1実施形態に係る摩擦撹拌点接合による再接合方法の説明図
図4】第2実施形態に係る摩擦撹拌線接合による接合を示す平面図
図5】第2実施形態に係る摩擦撹拌線接合による接合方法の説明図(図4のA-A断面)
図6】第2実施形態に係る摩擦撹拌線接合による接合方法の説明図(図4のB-B断面)
図7】第2実施形態に係る摩擦撹拌線接合による接合の分離方法の説明図(図4のA-A断面)
図8】第2実施形態に係る摩擦撹拌線接合による接合の分離方法の説明図(図4のB-B断面)
図9】第2実施形態に係る摩擦撹拌線接合による再接合方法の説明図(図4のB-B断面)
図10】第2実施形態に係るショルダの底面図
図11】第2実施形態の変形例に係る分離方法の説明図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。図1図3は、第1実施形態に係る摩擦撹拌点接合を利用した、部材の接合方法、分離方法及び再接合方法を示す縦断面図である。
【0024】
図1に示すように、板状の第1部材1と板状の第2部材2とが、摩擦撹拌点接合によって形成された接合部3によって、互いに接合される。接合部3は、第1部材1の側から接合装置4を適用することによって形成される。第1部材1と第2部材2との間に他の板状の部材が含まれていてもよい。好ましくは、接合されるべき部分に於いて、第1部材1の素材の強度は、第2部材2の素材の強度よりも低い。例えば、第1部材1の素材と第2部材2の素材との組み合わせは、アルミニウム合金-アルミニウム合金、銅合金-銅合金、鉄合金-鉄合金、アルミニウム合金-鉄合金、アルミニウム合金-銅合金、アルミニウム合金-炭素繊維強化プラスチック、アルミニウム合金-ガラス繊維強化プラスチック、マグネシウム合金-鉄合金、マグネシウム合金-銅合金、マグネシウム合金-炭素繊維強化プラスチック、又はマグネシウム合金-ガラス繊維強化プラスチックであってもよい(ハイフンの前に第1部材1の素材を記載し、ハイフンの後に第2部材2の素材を記載した)。
【0025】
第2部材2に第1部材1を接合するための接合装置4は、中心軸線回りに回転する接合用回転ツール5と、接合用ショルダ6とを備える。以下、中心軸線が上下方向に延在し、第1部材1に対して接合装置4が載置される側を上、第2部材2が配置される側を下として説明するが、実際の第1及び第2部材1,2と接合装置4との位置関係は、上下が逆でもよく、中心軸線が横方向に延在してもよく、傾いていてもよい。また、中心軸線は、第1部材1の表面に直交しているが、90°以外の角度で交差してもよい。
【0026】
接合用回転ツール5は、中心軸線回りに回転対称形をなしている。接合用回転ツール5は、中心軸線を中心とする概ね円柱形状をなす本体部7と、本体部7の下端から中心軸線に沿って下方に延出するプローブ8とを含む。プローブ8は、本体部7に対して小径であり、本体部7の下面は、第1部材1に対して凹状をなす肩面9を形成している。プローブ8の側周面にはねじ溝が設けられている。
【0027】
接合用ショルダ6は、概ね円柱形状をなし、中心軸線に沿って延在する貫通孔10が設けられ、上部には径方向(中心軸線に直交する平面に於いて中心軸から離反する方向)の外方に延出するフランジ11が設けられ、下面は第1部材1に選択的に当接可能な当接面12となっている。
【0028】
接合装置4を用いた摩擦撹拌点接合による第1部材1の第2部材2への接合方法について説明する。作業員は、図1(A)に示すように、作業台(図示せず)の上に載置された第2部材2の上に第1部材1を重ね、第1部材1に接合用ショルダ6の当接面12を押し付け、図1(B)に示すように、接合用ショルダ6の貫通孔10に挿通させた接合用回転ツール5を中心軸線回りに回転させながら、プローブ8を第1及び第2部材1,2に突入させる。この時、接合用回転ツール5の回転方向は、プローブ8の回転による摩擦熱によって塑性流動した第1及び第2部材1,2の材料がねじ溝によって下方に押し付けられる方向である。プローブ8は、その先端が第2部材2上面と下面との間に配置されるまで、第1及び第2部材1,2に突入される。プローブ8の回転による摩擦熱で塑性流動した第1及び第2部材1,2の材料は互いに撹拌される。最も深くプローブ8を第1及び第2部材1,2に突入させた時、プローブ8の側周面及び肩面9、又は、プローブ8の側周面、肩面9及び貫通孔10の下部内周面が、第1及び第2部材1,2の塑性流動した部分を覆う。図1(C)に示すように、作業員がプローブ8を回転させながら引き抜くと、塑性流動して撹拌された第1及び第2部材1,2の材料が冷却して固まり、接合部3となる。
【0029】
なお、第1及び第2部材1,2の互いの接合は、接合用ショルダ6を用いずに行ってもよい。また、接合時に使用されるプローブ8は、側周面にねじ溝を有さなくてもよく、この場合、接合用回転ツール5の回転方向は、時計回りと反時計回りとのどちらでもよい。
【0030】
図2は、分離装置13を用いて摩擦撹拌点接合によって第2部材2に接合された第1部材1を分離する方法を示す。分離装置13は、ショルダ14と、中心軸線回りに回転する回転ツール15とを備える。
【0031】
分離用のショルダ14は、接合用ショルダ6と同様に、貫通孔10及び当接面12を含む。貫通孔10の直径は、接合用ショルダ6(図1参照)の貫通孔10の直径以上である。分離用のショルダ14として、接合用ショルダ6を用いてもよい。
【0032】
回転ツール15は、接合用回転ツール5とは異なるものである。回転ツール15は、中心軸線回りに概ね回転対称形をなしている。回転ツール15は、中心軸線を中心とする概ね円柱形状をなす本体部16と、本体部16の下端から中心軸線に沿って下方に延出するプローブ17とを含む。プローブ17は、本体部16に対して小径であり、本体部16の下面は、第1部材1に対向する平坦な肩面18を形成している。プローブ17の側周面にはねじ溝が設けられている。プローブ17の直径は、接合時のプローブ8(図1参照)の直径以上である。プローブ17の肩面18からの突出長は、接合時のプローブ8の肩面9からの突出長よりも長い。
【0033】
分離装置13を用いた第1部材1の第2部材2からの分離方法について説明する。作業員は、図2(A)に示すように、作業台(図示せず)の上に互いに接合された第1及び第2部材1,2を第1部材1が第2部材2の上に配置されるように載置し、第1部材1にショルダ14の当接面12を押し付け、図2(B)に示すように、ショルダ14の貫通孔10に挿通させた回転ツール15を中心軸線回りに回転させながら、プローブ17を接合部3に突入させる。この時、回転ツール15の回転方向は、プローブ17の回転による摩擦熱により塑性流動した接合部3の構成材料が上方にかき出される方向である。プローブ17は、その先端が第2部材2の上面と下面との間に配置されるまで、接合部3に突入される。この時、接合部3を構成していた材料は、プローブ17の回転による摩擦熱により塑性流動してねじ溝によってかき出され、プローブ17の側周面とショルダ14の貫通孔10の内周面との間に形成された環状空隙19に受容される。図2(C)に示すように、作業員がプローブ17を回転方向を変えずに回転させながら引き抜くと、塑性流動していた部分が冷却して固まり、環状の接合材料部20となる。続いて、作業員は、第1部材1を第2部材2から引き離す。接合材料部20の下部は、第1部材1に連結して第2部材2に連結していないため、第1部材1を第2部材2から容易に分離できる。あるいは、接合材料部20の下部は、第1及び第2部材1,2に連結しているが、第2部材2に連結している部分は少量かつ薄いため、第2部材2から剥離しやすく、また破断しやすい。このため、第1部材1を第2部材2から引き離す方向に力が加わると、小さな力でも、接合材料部20が第2部材2から剥離し、又は、接合材料部20が第1部材1と第2部材2との境界付近で破断して、接合材料部20の全体又は大部分が連結した状態で第1部材1が第2部材2から分離する。
【0034】
図3は、再接合装置21を用いて、第1部材1を第2部材2に再接合する方法を示す。再接合装置21は、再接合用ショルダ22と、中心軸線回りに回転する再接合用回転ツール23とを備える。
【0035】
再接合用ショルダ22は、分離用のショルダ14と同様に、貫通孔10及び当接面12を含み、再接合用ショルダ22の貫通孔10の直径は、分離用のショルダ14の貫通孔10の直径以上であり、好ましくは、分離用のショルダ14の貫通孔10の直径と等しい。再接合用ショルダ22として、分離用のショルダ14を用いてもよい。
【0036】
再接合用回転ツール23は、分離用の回転ツール15(図2参照)とは異なるものである。再接合用回転ツール23は、中心軸線回りに回転対称形をなしている。再接合用回転ツール23は、接合用回転ツール5と同様に、本体部7と、プローブ8とを含み、本体部7の下面には肩面9が形成されている。プローブ8の肩面9からの突出長は、分離用の回転ツール15(図2参照)に於けるプローブ17の肩面18からの突出長よりも短く、プローブ8の直径は分離用のプローブ17の直径以下である。再接合用回転ツール23として、接合用回転ツール5(図1参照)を使用してもよい。
【0037】
再接合装置21を用いた第1部材1の第2部材2への再接合方法について説明する。作業員は、図3(A)に示すように、作業台(図示せず)の上に載置された第2部材2の上の分離前と同じ位置に第1部材1を重ね、第1部材1に再接合用ショルダ22の当接面12を押し付け、図3(B)に示すように、再接合用ショルダ22の貫通孔10に挿通させた再接合用回転ツール23を中心軸線回りに回転させながら、プローブ8を接合部3が形成されていた部分に突入させる。この時、再接合用回転ツール23の回転方向は、プローブ8の回転による摩擦熱によって塑性流動した接合材料部20の材料が下方に押し付けられる方向である。また、プローブ8の突入中に肩面9が接合材料部20に回転しながら衝当し、接合材料部20の塑性流動した材料を下方に押し付ける。プローブ8は、その先端が第2部材2の上面と下面との間に配置されるまで、接合部3が形成されていた部分に突入される。最も深くプローブ8を接合部3が形成されていた部分に突入させた時、プローブ8の側周面及び肩面9、又は、プローブ8の側周面、肩面9及び貫通孔10の下部の内周面が、接合材料部20を構成していた材料を覆う。図3(C)に示すように、作業員がプローブ8を回転方向を変えずに回転させながら引き抜くと、塑性流動していた部分が固まり、接合部3となる。なお、再接合時に使用されるプローブ8は、側周面にねじ溝を有さなくてもよく、この場合、再接合用回転ツール23の回転方向は、時計回りと反時計回りとのどちらでもよい。プローブ8を第1及び第2部材1,2に突入させる前に、接合部3を構成するべき材料を接合材料部20内に追加してもよい。
【0038】
第1実施形態の作用効果について説明する。分離装置13で、接合部3を接合材料部20に変形させると、接合材料部20の下部が第1及び第2部材1,2に連結しているが、第2部材2に連結している部分は少量かつ薄いため、接合材料部20の下部は、第2部材2から剥離しやすく、また破断しやすい。このため、わずかな力で接合材料部20が第2部材2から剥離し、又は第1及び第2部材1,2間の境界付近で破断し、容易に第1部材1を第2部材2から分離できる。
【0039】
分離時に第1及び第2部材1,2に加わる熱は、プローブ17による摩擦熱であるため、その影響範囲は、接合時や再接合時のプローブ8による摩擦熱と大差ないため、第1及び第2部材1,2への悪影響が抑制され、第1及び第2部材1,2を再利用して再接合することができる。
【0040】
分離時に掻き出された接合部3の構成材料が、接合材料部20として第1部材1に連結しているため、再接合時に新たに追加する再接合用の材料が少量又は不要となる。
【0041】
接合、分離、再接合の手段が互いに類似しているため、接合用回転ツール5、分離用の回転ツール15及び再接合用回転ツール23、並びに、接合用ショルダ6、分離用のショルダ14及び再接合用ショルダ22を動かすための装置を共通のものとすることができ、作業性が向上する。
【0042】
第2部材2よりも強度の低い第1部材1側から、分離装置13及び再接合装置21を適用することにより、強度の高い側から分離装置13及び再接合装置21を適用する場合に比べて、プローブ17の回転によって塑性流動した部分が撹拌されやすく、第1部材1の第2部材2に対する分離及び再接合が容易となる。
【0043】
図4図11を参照して、第2実施形態について説明する。図4は、接合された部材の平面図である。接合部31は接合された第1部材1の表面に沿って線状に延在する。図5及び図7は、図4のA-A断面に対応する断面を示し、図6図8及び図9は、図4のB-B断面に対応する断面を示す。図5及び図6は摩擦撹拌線接合を利用した部材の接合方法を示し、図7及び図8は分離方法を示し、図9は再接合方法を示す。
【0044】
図4図6に示すように、板状の第1部材1と板状の第2部材2とが、摩擦撹拌線接合によって形成された接合部31によって、互いに接合される。接合部31は、第1部材1の側から接合分離装置32を適用することによって形成される。第1部材1と第2部材2との間に他の板状の部材が含まれていてもよい。好ましくは、接合されるべき部分に於いて、第1部材1の素材の強度は、第2部材2の素材の強度よりも低い。第1部材1の素材と第2部材2の素材との組み合わせの例は、第1実施形態と同様である。
【0045】
第2実施形態では、第1部材1の第2部材2に対する、接合、分離及び再接合は、共通の接合分離装置32によって行われる。接合分離装置32は、中心軸線回りに回転する回転ツール33と、ショルダ34とを備える。
【0046】
回転ツール33は、中心軸線回りに回転対称形をなしている。回転ツール33には、中心軸線を中心とする概ね円柱形状をなすプローブ35が下端部に設けられている。プローブ35の側周面にはねじ溝が設けられている。
【0047】
ショルダ34は、概ね円柱形状をなし、中心軸線に沿って延在する貫通孔36が設けられ、上部には径方向の外方に延出するフランジ37が設けられ、下面は第1部材1に選択的に当接可能な当接面38が設けられている。貫通孔36にはプローブ35が挿通され、貫通孔36の内周面は、プローブ35が中心軸線回りに回転可能な程度に密接している。図6及び図8図10に示すように、当接面38には、径方向に直線状に延在して貫通孔36からショルダ34の外周面に至る溝39が形成されている。溝39の幅は、貫通孔36の直径に略等しい。
【0048】
図5及び図6を参照して、接合分離装置32を用いた摩擦撹拌線接合による第1部材1の第2部材2への接合方法について説明する。作業員は、図5(A)に示すように、作業台(図示せず)の上に載置された第2部材2の上に第1部材1を重ね、第1部材1にショルダ34の当接面38を押し付け、図1(B)に示すように、プローブ35をショルダ34の貫通孔36に挿通し、回転ツール33を中心軸線回りに回転させながら、プローブ35を第1及び第2部材1,2に突入させる。この時、回転ツール33の回転方向は、第1及び第2部材1,2に於けるプローブ35の回転による摩擦熱によって塑性流動した部分がねじ溝によって下方に押し付けられる方向である。プローブ35は、その先端が第2部材2上面と下面との間に配置されるまで、第1及び第2部材1,2に突入される。
【0049】
次に、作業員は、図6に示すように、プローブ35を第1及び第2部材1,2に突入させた状態で、接合部31を形成するべき方向にショルダ34及びプローブ35を第1部材1の表面に沿って移動させる。この時、ショルダ34の溝39は、貫通孔36に対してショルダ34及びプローブ35の前進方向に配置される。第1及び第2部材1,2に於けるプローブ35の回転による摩擦熱によって塑性流動した部分は、プローブ35のねじ溝によって後方に移動する。ショルダ34及びプローブ35が接合部31の終点まで移動したら、図5(C)に示すように、作業員は、プローブ35を回転させながら引き抜く。第1及び第2部材1,2に於ける塑性流動していた部分は、冷却すると固まり、接合部31となる。
【0050】
図7及び8を参照して、接合分離装置32を用いて、摩擦撹拌線接合によって第2部材2に接合された第1部材1を第2部材2から分離する方法を説明する。まず、作業員は、接合部31の一端部に於いて、図7(A)に示すように、作業台(図示せず)の上に、第1部材1が第2部材2の上に配置されるように第1及び第2部材1,2を載置し、第1部材1の表面にショルダ34の当接面38を押し付ける。この時、ショルダ34は、溝39が貫通孔36に対して接合部31とは反対側に位置するように配置される。次に、作業員は、図7(B)に示すように、プローブ35をショルダ34の貫通孔36に挿通し、回転ツール33を中心軸線回りに回転させながら、プローブ35を接合部31に突入させる。この時、回転ツール33の回転方向は、接合時と逆方向、すなわち、接合部31に於けるプローブ35の回転による摩擦熱により塑性流動した部分が上方にかき出される方向である。プローブ35は、その先端が第2部材2の上面と下面との間に配置されるまで、好ましくは接合時と同じ深さまで、接合部31に突入される。
【0051】
次に、作業員は、図8に示すように、プローブ35が接合部31に突入した状態で、接合部31に沿って接合部31の他端部に向かってショルダ34及び回転ツール33を移動させる。従って、ショルダ34及び回転ツール33は、溝39とは反対の方向に前進することとなる。この時、接合部31の少なくとも一部は、プローブ35の回転による摩擦熱により塑性流動してねじ溝によって上方かつ後方に向けてかき出され、第2部材2に対して空隙をおいて対峙するように溝39内に受容される。溝39内に受容された接合部31を構成していた材料は、冷却して固まり、第1部材1に連結して第2部材2に連結しない接合材料部40となる。ショルダ34及びプローブ35が接合部31の他端部まで移動したら、図7(C)に示すように、作業員は、プローブ35を回転方向を変えずに回転させながら引き抜く。接合材料部40が第1及び第2部材1,2間の接合に寄与していないため、作業員は、第1部材1を第2部材2から容易に引き離すことができる。
【0052】
図9を参照して、接合分離装置32を用いて、第1部材1を第2部材2に再接合する方法について説明する。作業員は、作業台(図示せず)の上に載置された第2部材2に対して分離前と同じ位置に第1部材1を重ね、第1部材1にショルダ34の当接面38を押し付ける。この時、ショルダ34は、溝39が接合材料部40の一端部を受容するように配置される。次に、作業員は、プローブ35がショルダ34の貫通孔36に挿通した回転ツール33を中心軸線回りに回転させながら、プローブ35を接合材料部40を介して接合部31が設けられていた部分に突入させる。この時、回転ツール33の回転方向は、分離時とは逆方向、すなわち、プローブ35の回転による摩擦熱によって塑性流動した部分が下方に押し付けられる方向である。プローブ35は、分離時と同じ上下方向位置まで接合部31が形成されていた部分に突入される。
【0053】
次に、作業員は、プローブ35が接合部31が形成されていた部分に突入した状態で、接合材料部40に沿って接合材料部40の他端部に向かってショルダ34及びプローブ35を移動させる。従って、ショルダ34及びプローブ35は、貫通孔36から見て溝39が存在する方向に前進することとなる。この時、接合材料部40を構成していた材料は、プローブ35の回転による摩擦熱により塑性流動してねじ溝によって下方かつ後方に向けて押し出されて、上方への移動は当接部によって規制されるため、接合材料部40と第2部材2との間の空隙を埋めるように押し込まれる。移動した接合材料部40を構成していた材料は、冷却して固まり、接合部31を形成して、第1及び第2部材1,2を互いに接合する。ショルダ34及び回転ツール33が接合材料部40の他端部まで移動したら、作業員は、プローブ35を回転方向を変えずに回転させながら第1及び第2部材1,2から引き抜く。
【0054】
第2実施形態の作用効果について説明する。接合、分離及び再接合時に於いて、共通の回転ツール33及びショルダ34を利用できるため、これらの工具の接合分離装置32からの脱着作業が不要となる。接合分離装置32で接合部31を第2部材2に空隙を置いて対峙して第1部材1に連結した接合材料部40とすることにより、第1及び第2部材1,2の互いの連結が解除されるため、容易に第1部材1を第2部材2から分離できる。また、接合部31を構成していた材料は、接合材料部40として第1部材1に連結しているため、再接合時に新たに再接合用の材料を追加する必要がない。分離作業時に発生する熱の悪影響が抑制される点、第1部材1が第2部材2よりも強度が低いことによって分離及び再接合が容易となる点は、第1実施形態と同様である。
【0055】
図11は、第2実施形態の変形例を示す。この変形例では、第1部材1の第2部材2に対する最初の接合が、接合分離装置32ではなく、公知の摩擦撹拌線接合によって行われた点で第2実施形態と相違する。このため、図11(A)に示すように接合部31の形状が、プローブ35(図7等参照)の形状と一致しない。また、この変形例は、第2部材2が板状ではない点でも第2実施形態と相違する。
【0056】
第1部材1は、電子部品又は電気部品41の導線の端子であり、第2部材2は、電子部品又は電気部品41に電気的に接続されるバッテリー42の端子である。両端子をボルト等により物理的に互いに接合する場合に比べて、接合時の電気エネルギーのロスが小さくなり、また、両端子の互いの分離及び再接合を容易に行うことができる。
【0057】
プローブ35の直径及び貫通孔36の直径は、第1部材1の下面に於ける接合部31の幅以上である。溝39の幅は、第1部材1の上面に於ける接合部31の幅に略等しいことが、好ましい。このように、プローブ35の直径、貫通孔36の直径及び溝39の幅を設定することにより、上記の第2実施形態の分離方法及び再接合方法によって、第1及び第2部材1,2を互いに分離及び再接合することができる。
【0058】
なお、図11(B)に示すように、接合部31(図11(A)参照)の一部であった接合残部43が第2材料上に残る場合がある。しかし、プローブ35を第2部材2の上面よりも下方まで突入させていれば、接合残部43は、第1部材1とは連結しておらず、接合には寄与しない。このため、図11(C)に示すように、接合残部43が残っていても、第1部材1を第2部材2から容易に分離できる。
【0059】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、本発明の実施形態では分離方法が適用される接合構造は摩擦撹拌接合構造であるが、例えばレーザー溶接などの溶接構造や接着剤による接合構造にも適用可能である。本発明に係る分離方法は、接合された機器の修理又は点検のためだけでなく、リサイクルに向けた異材の分離等のためにも使用できる。
【符号の説明】
【0060】
1:第1部材
2:第2部材
3,31:接合部
8,17,35:プローブ
9,18:肩面
10,36:貫通孔
12,38:当接面
13:分離装置
14,34:ショルダ
15,33:回転ツール
19:環状空隙
20,40:接合材料部
21:再接合用装置
22:再接合用ショルダ
23:再接合用回転ツール
32:接合分離装置
39:溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11