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特許7562492放射性廃棄物の管理システム、その管理方法及びその管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】放射性廃棄物の管理システム、その管理方法及びその管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01T 1/00 20060101AFI20240930BHJP
   G01T 1/167 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
G01T1/00 D
G01T1/167 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021137760
(22)【出願日】2021-08-26
(65)【公開番号】P2023031957
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2024-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001380
【氏名又は名称】弁理士法人東京国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 修治
(72)【発明者】
【氏名】藤牧 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】宮原 康文
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 恵美子
(72)【発明者】
【氏名】高倉 恵太
【審査官】佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-134597(JP,A)
【文献】特開平01-084199(JP,A)
【文献】特開2017-044640(JP,A)
【文献】特開2009-025180(JP,A)
【文献】特開2014-032030(JP,A)
【文献】特開2013-213697(JP,A)
【文献】特表2022-541774(JP,A)
【文献】特開2021-028579(JP,A)
【文献】特開平11-174155(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0091614(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/00,1/167
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
事前情報に基づきいくつかのグループに分類する分類コードを、放射性廃棄物の各々の識別コードに紐付けて、第1データベースに登録する第1登録部と、
前記放射性廃棄物から測定された各々の放射性核種の放射能濃度を、前記識別コードに紐付けて第2データベースに登録させる第2登録部と、
各々の前記放射性核種の前記放射能濃度に基づいて前記放射性廃棄物の放射能レベルを演算する演算部と、
演算された前記放射能レベルに対応する区分コードを、前記識別コードに紐付けて前記第1データベースに登録させる第3登録部と、
前記放射性廃棄物から再測定されたいずれかの前記放射性核種の前記放射能濃度を前記第2データベースに更新登録させる更新部と、
いずれかの前記放射性核種の前記放射能濃度が前記更新登録されたことに基づいて、対応する前記放射性廃棄物の前記放射能レベルを再演算する再演算部と、
再演算された前記放射能レベルに対応する前記区分コードを、対応する前記識別コードに紐付けて前記第1データベースに再登録させる再登録部と、
指定された前記分類コード及び前記区分コードが紐付けられている前記識別コードを前記第1データベースから抽出する抽出部と、を備える放射性廃棄物の管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の放射性廃棄物の管理システムにおいて、
前記放射能レベルは、各々の前記放射性核種の前記放射能濃度と各々の基準値との比率の総和から演算される放射性廃棄物の管理システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の放射性廃棄物の管理システムにおいて、
前記識別コードに紐付ける前記区分コードは前記放射能レベルの閾値により判定される放射性廃棄物の管理システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の放射性廃棄物の管理システムにおいて、
前記放射性核種に対し登録された複数の前記放射能濃度に基づいて統計的な確率分布を作成する作成部と、
前記確率分布から不確かさを考慮して前記放射性核種の前記放射能濃度を評価する評価部と、を備える放射性廃棄物の管理システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の放射性廃棄物の管理システムにおいて、
前記放射能濃度の前記測定は、
前記放射性廃棄物を細断する細断手段と、
前記放射性廃棄物の細断片の一部をサンプルとして採取する採取手段と、
前記サンプルに含まれる前記放射性核種を分析する第1分析手段と、を備える前処理装置で実行する放射性廃棄物の管理システム。
【請求項6】
請求項5に記載の放射性廃棄物の管理システムにおいて、
前記細断片を撹拌して放射能分布を均一にする攪拌手段と、
第2分析手段におけるγ線検出器の設定に適したジオメトリを形成する容器に、前記撹拌した前記細断片を充填する充填手段と、を備える放射性廃棄物の管理システム。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の放射性廃棄物の管理システムにおいて、
前記細断する前の前記放射性廃棄物に対し、前記放射性核種から放出される放射線を検出する第3分析手段を備える放射性廃棄物の管理システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の放射性廃棄物の管理システムにおいて、
前記識別コードに、前記放射性廃棄物のトレーサビリティ情報及び性状情報の少なくとも一方がさらに紐付けられて登録される放射性廃棄物の管理システム。
【請求項9】
事前情報に基づきいくつかのグループに分類する分類コードを、放射性廃棄物の各々の識別コードに紐付けて、第1データベースに登録するステップと、
前記放射性廃棄物から測定された各々の放射性核種の放射能濃度を、前記識別コードに紐付けて第2データベースに登録させるステップと、
各々の前記放射性核種の前記放射能濃度に基づいて前記放射性廃棄物の放射能レベルを演算するステップと、
演算された前記放射能レベルに対応する区分コードを、前記識別コードに紐付けて前記第1データベースに登録させるステップと、
前記放射性廃棄物から再測定されたいずれかの前記放射性核種の前記放射能濃度を前記第2データベースに更新登録させるステップと、
いずれかの前記放射性核種の前記放射能濃度が前記更新登録されたことに基づいて、対応する前記放射性廃棄物の前記放射能レベルを再演算するステップと、
再演算された前記放射能レベルに対応する前記区分コードを、対応する前記識別コードに紐付けて前記第1データベースに再登録させるステップと、
指定された前記分類コード及び前記区分コードが紐付けられている前記識別コードを前記第1データベースから抽出するステップと、を含む放射性廃棄物の管理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
事前情報に基づきいくつかのグループに分類する分類コードを、放射性廃棄物の各々の識別コードに紐付けて、第1データベースに登録するステップ、
前記放射性廃棄物から測定された各々の放射性核種の放射能濃度を、前記識別コードに紐付けて第2データベースに登録させるステップ、
各々の前記放射性核種の前記放射能濃度に基づいて前記放射性廃棄物の放射能レベルを演算するステップ、
演算された前記放射能レベルに対応する区分コードを、前記識別コードに紐付けて前記第1データベースに登録させるステップ、
前記放射性廃棄物から再測定されたいずれかの前記放射性核種の前記放射能濃度を前記第2データベースに更新登録させるステップ、
いずれかの前記放射性核種の前記放射能濃度が前記更新登録されたことに基づいて、対応する前記放射性廃棄物の前記放射能レベルを再演算するステップ、
再演算された前記放射能レベルに対応する前記区分コードを、対応する前記識別コードに紐付けて前記第1データベースに再登録させるステップ、
指定された前記分類コード及び前記区分コードが紐付けられている前記識別コードを前記第1データベースから抽出するステップ、を実行させる放射性廃棄物の管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、放射能レベルで区分して放射性廃棄物を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所の廃止措置で発生する解体物や福島第一原子力発電所の事故で発生した瓦礫類は、放射性廃棄物として莫大な量が見込まれている。このような放射性廃棄物は放射能レベルで区分して管理される。この放射能レベルが人の健康に対する影響を無視できる程度に低いクリアランスレベル以下に区分される放射性廃棄物は、管理が不要で一般廃棄物として取り扱うことができる。
【0003】
そして、このような放射性廃棄物は、被ばくリスク低減と処理コスト低減との両方の観点から、放射能レベルに基づいて正確に区分されている必要がある。このような放射性廃棄物を区分する方法はマニュアル化されており、放射能レベルを測定する装置も各種市販されている。
【0004】
このような放射能レベルの測定装置としては、例えば、手動で測定を行う一般的なサーベイメータや、ローラコンベア上の大型トレイに廃棄物を乗せて検出器まで搬送し短時間で放射能濃度を測定する装置、200Lドラム缶や大型角形容器に収納した廃棄物を一括で大量に測定する装置などの専用測定装置が知られている。また、大規模システムとしては、瓦礫類などをベルトコンベアで搬送し放射線測定する手法や、汚染の有無に基づく自動選別システムなどが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6426210号公報
【文献】特許第5979357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
放射性廃棄物は、使用する測定装置の性能上で検出感度が高い特定の放射性核種の放射能濃度が、選択的に測定されることが避けられない。このため検出困難な放射性核種は、事前のサンプリング分析や計算評価に基づいて放射性廃棄物グループ毎に決定される放射性核種の組成比と当該廃棄物の測定結果に基づいて、放射能濃度が算出されていた。尚、放射性廃棄物グループとは、予め、前述のサンプリング分析や計算評価の結果に基づき、類似した汚染状況の放射性廃棄物同士をグルーピングしたものであり、当該廃棄物の核種組成比は、所属するグループの核種組成比を使用する。
【0007】
このようにして、判定対象となる全ての放射性核種の各々における放射能濃度の濃度値Dが求められ、さらにこれら濃度値Dとその基準値Cの比(D/C)の総和(ΣD/C)を求め、閾値を適用して放射能レベルを判定していた。つまり、このΣD/Cが閾値以下であればクリアランスレベル以下(合格)のように判定していた。またΣD/Cは各々の放射性核種における濃度の不確かさが伝搬しているため、例えばΣD/Cの確率分布の片側95%の信頼区間で、放射能レベルを閾値判定していた。
【0008】
ところで、上述した放射性核種の組成比を決定する事前のサンプリング分析等は、やむを得ない理由により限られたサンプル数で行なわれている。このようにデータが欠損している影響により、放射性核種の組成比の不確かさが増大し、測定対象の放射性核種が基準値以下であるにもかかわらず、ΣD/Cが大きく算定される場合があった。したがって、従来における放射性廃棄物の管理では、放射能レベルの判定区分が不正確となり、クリアランスレベルが不合格となる可能性が増し、処理コストの増加を招く課題があった。
【0009】
さらに、従来における放射性廃棄物の管理では、放射性核種の放射能濃度の測定時点で把握されている情報に拘束され、新たな情報に基づいて放射能レベルの判定結果を変更できない課題があった。つまり、ある時点で所定の区分に配属した廃棄物は、その後に新たな情報によりグルーピング条件等が更新した後も、区分を変更させるようなことができなかった。
【0010】
本発明の実施形態はこのような事情を考慮してなされたもので、放射能レベルを区分する判定の正確性を向上させるとともに、判定済みの区分を新たな情報に基づいて柔軟に変更できる放射性廃棄物の管理技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
実施形態に係る放射性廃棄物の管理システムにおいて、事前情報に基づきいくつかのグループに分類する分類コードを放射性廃棄物の各々の識別コードに紐付けて第1データベースに登録する第1登録部と、前記放射性廃棄物から測定された各々の放射性核種の放射能濃度を前記識別コードに紐付けて第2データベースに登録させる第2登録部と、各々の前記放射性核種の前記放射能濃度に基づいて前記放射性廃棄物の放射能レベルを演算する演算部と、演算された前記放射能レベルに対応する区分コードを前記識別コードに紐付けて前記第1データベースに登録させる第3登録部と、前記放射性廃棄物から再測定されたいずれかの前記放射性核種の前記放射能濃度を前記第2データベースに更新登録させる更新部と、いずれかの前記放射性核種の前記放射能濃度が前記更新登録されたことに基づいて対応する前記放射性廃棄物の前記放射能レベルを再演算する再演算部と、再演算された前記放射能レベルに対応する前記区分コードを対応する前記識別コードに紐付けて前記第1データベースに再登録させる再登録部と、指定された前記分類コード及び前記区分コードが紐付けられている前記識別コードを前記第1データベースから抽出する抽出部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態により、放射能レベルを区分する判定の正確性を向上させるとともに、判定済みの区分を新たな情報に基づいて柔軟に変更できる放射性廃棄物の管理技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る放射性廃棄物の管理システムのブロック図。
図2】第1放射性核種及び第2放射性核種の放射能濃度に基づいて、核種組成比に応じて放射性廃棄物をグループに分類する方法の説明図。
図3】第2実施形態に係る放射性廃棄物の管理システムのブロック図。
図4】本発明の実施形態に係る放射性廃棄物の管理方法の工程及び放射性廃棄物の管理プログラムのアルゴリズムを説明するフローチャート。
図5】実施形態に係る放射性廃棄物の管理方法において放射性廃棄物に含まれる放射性核種の放射能濃度を測定する前処理工程(前処理装置)の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態に係る放射性廃棄物の管理システム10A(10)(以下、単に「管理システム」という)のブロック図である。
【0015】
このように管理システム10は、事前情報37に基づきいくつかの廃棄物グループ(図2参照)に分類する分類コード31を放射性廃棄物の各々の識別コード30に紐付けて第1データベース21に登録する第1登録部11と、放射性廃棄物から測定された各々の放射性核種の放射能濃度32を識別コード30に紐付けて第2データベース22に登録させる第2登録部12と、各々の放射性核種の放射能濃度32に基づいて放射性廃棄物の放射能レベル25aを演算する演算部27(27a)と、演算された放射能レベル25aに対応するコード記憶部35の区分コード33を識別コード30に紐付けて第1データベース21に登録させる第3登録部13と、を備えている。
【0016】
さらに管理システム10は、放射性廃棄物から再測定された各々の放射性核種の放射能濃度32を第2データベース22に更新登録させる更新部26と、いずれかの放射性核種の放射能濃度32が更新登録されたことに基づいて対応する放射性廃棄物の放射能レベル25bを再演算する再演算部27bと、再演算された放射能レベル25bに対応する区分コード33を対応する識別コード30に紐付けて第1データベース21に再登録させる再登録部15と、指定された分類コード31及び区分コード33が紐付けられている識別コード30を第1データベース21から抽出する抽出部16と、を備えている。
【0017】
設定部36は、廃棄物集積エリア(図示略)から受け入れた放射性廃棄物に、管理システム10で一意的(ユニーク)に識別するための識別コード30を、設定する。この識別コード30は、廃棄物集積エリアで使用されていたものを重複回避して利用する場合の他に、新たに振り直す場合もある。ここで設定された放射性廃棄物の識別コード30は、第1データベース21に登録される。
【0018】
放射性廃棄物の事前情報37としては、その種別情報や、含有される放射性核種ごとの各種放射性核種の濃度情報、濃度分布情報(不確かさ、または、確率分布の形、幅など)や、核種組成比等が挙げられる。放射性廃棄物の種別情報としては、廃棄物の発生場所、プラントの系統、形状、材質、表面状態等が挙げられる。さらに事前情報37には、プラントの各系統等のサンプリング分析、放射化計算による放射能濃度等も含めることができる。そして、これら事前情報37に基づき、放射性廃棄物を共通の特性を持つグループに分類する分類コード31が予め設定されている。
【0019】
図2は、第1放射性核種及び第2放射性核種の放射能濃度32に基づいて、放射性廃棄物をグループA,Bに分類する方法の説明図である。ここでは、説明の便宜上、二種類の放射性核種を特定し、これらの濃度が同様の傾向を示す放射性廃棄物を同一グループとしている。このような濃度特性に基づくグループの分類は、一例であって、その他の特性に基づいてグループを分類する方法もあり、限定は特に無い。
【0020】
第1登録部11は、グラフ中に設けた境界線38を判別関数とし、事前情報37に基づいて、対応する放射性廃棄物が、複数あるグループのいずれの分類コード31に該当するか判別する。さらに第1登録部11は、放射性廃棄物の各々の識別コード30に、判別した分類コード31を紐付けて、第1データベース21に登録させる。なお放射性廃棄物の事前情報37は、時間経過と共に新たに得られた情報で随時更新され得る。これに伴い、放射性廃棄物の識別コード30に当初紐付けられたグループの分類コード31は、再判別された別の分類コード31に置き換わり、第1データベース21に更新登録される。
【0021】
第2登録部12は、廃棄物集積エリアから放射性廃棄物受け入れた直後の初期状態において、事前情報37または更新された核種組成比情報を使用し、測定核種以外の難測定核種の放射能を算出し、各々の放射性核種の放射能濃度32を、識別コード30に紐付けて第2データベース22に登録させる。また、この初期状態において、放射性廃棄物を新たに機器分析した場合は、この分析結果から得られた放射性核種の放射能濃度32を、同様にして第2データベース22に登録させる。
【0022】
この初期状態で実施される放射性廃棄物の分析は、測定対象となる核種に応じて適切なものが選定される。例えば、セシウム137やコバルト60などのγ線放出核種を測定する場合は、一般的にプラスチックシンチレーション検出器によるグロスγ測定が用いられる。また、NaI(Tl)シンチレーション検出器又はゲルマニウム半導体検出器によるγ線スペクトル測定も用いられる。さらには、GM計数管、比例計数管又はNaI(Tl)シンチレーション検出器などのサーベイメータによる線量測定も用いられる。
【0023】
また、ストロンチウム90などのβ線放出核種を測定する場合は、プラスチックシンチレーション検出器や比例計数管などを用いた表面汚染サーベイなどが用いられる。ウランやプルトニウムなどのα線放出核種を測定する場合は、ZnSシンチレーション検出器などによる表面汚染サーベイなどが用いられる。ただし、ここで取り上げた検出器や測定方法は一例であり、限定されるものではない。
【0024】
また、高精度の測定が要求される場合は、廃棄物表面の遊離性付着物を濾紙でふき取るスミア法や、廃棄物の一部を切断する方法が、放射性廃棄物のサンプリング方法として採用される。また放射能を直接検出することが困難な核種に対しては、ICP-MSなどの質量分析、LIBSなどの分光分析法、または、蛍光X線法等の分析機器を用いる場合がある。
【0025】
このようにして、さまざまな測定方法を駆使して放射性廃棄物に含まれる複数の放射性核種の分析が行われ、各々の放射性核種の放射能濃度32が、識別コード30に紐付けられて第2データベース22に登録されていく。なお、ここで新たに得た放射能濃度32の情報を用いて事前情報37を更新し、識別コード30に紐付ける分類コード31を変更することもできる。
【0026】
演算部27a(27)は、各々の放射性核種の放射能濃度32に基づいて放射性廃棄物の放射能レベル25aを演算する。この放射能レベル25aは、各々の放射性核種の放射能濃度32の濃度値Dと各々の基準値Cとの比率の総和ΣD/Cとして演算される。ここで基準値Cは、法令などに定められた核種毎の許容限度の放射能濃度である。なおこの放射能レベル25aの演算式は一例であって、これに限定されるわけではない。
【0027】
第3登録部13は、演算された放射能レベル25aに対応する区分コード33を識別コード30に紐付けて第1データベース21に登録させる。ここで区分コード33とは、紐付けた識別コード30を持つ放射性廃棄物の処分方法に関係するものである。
【0028】
具体的には、放射能レベル25aが人の健康に対する影響を無視できる程度に低いクリアランスレベル以下であることを示す区分コード33が紐付けされた放射性廃棄物は、管理が不要で一般廃棄物として取り扱うことができる。そしてクリアランスレベルを超える放射能レベル25aを示す放射性廃棄物については、そのレベルに応じて複数の区分コード33を設定することができる。そのような放射性廃棄物は、紐付けられた区分コード33に応じた適切な管理がなされる。
【0029】
なお放射能レベル25aに結び付ける区分コード33は、設定される閾値20により判定してもよい。なお放射能レベル25aに結び付ける区分コード33は、識別コード30に紐付いている分類コード31に依存して、対応関係が異なってもよい。すなわち、区分コード33を判定する閾値20は、分類コード31に依存して異なるように設定される場合がある。
【0030】
クリアランスレベル以下であることを示す区分コード33が紐付けされた識別コード30を持つ合格の放射性廃棄物は、所定の保管エリア(図示略)に搬送され、一定期間保管された後で搬出される。また、クリアランスレベルを超えることを示す区分コード33が紐付けされた識別コード30を持つ不合格の放射性廃棄物も、それぞれの放射能レベル25aに応じて設定された所定の保管エリア(図示略)に搬送される。このような不合格の放射性廃棄物は、一定期間保管された後で、放射能レベル25に応じた処分、又は除染並びに放射性核種の放射能濃度32の再測定が行われる。
【0031】
更新部26は、第2登録部12に対し、放射性廃棄物から再測定されたいずれかの放射性核種の放射能濃度32を第2データベース22に更新登録させる。再演算部27b(27)は、更新登録された放射能濃度32に基づいて、放射性廃棄物の放射能レベル25bを再演算する。この再演算部27bにおける演算アルゴリズムは、上述した演算部27aと同じである。
【0032】
そして再登録部15は、再演算された放射能レベル25bに対応する区分コード33を対応する識別コード30に紐付けて第1データベース21に再登録させる。なお、ここで再測定された放射能濃度32の情報を用いて事前情報37を更新し、識別コード30に紐付ける分類コード31を変更することもできる。そして、分類コード31が変更した放射性廃棄物については、対応する保管エリアを移動させるといった措置をとることができる。
【0033】
抽出部16は、指定部18で指定された分類コード31及び区分コード33が紐付けられている識別コード30を第1データベース21から抽出する。その結果は、表示部17に表示される。これにより、時間経過とともに増大もしくは変容する第1データベース21から、注目する分類コード31及び/又は区分コード33をキーとして対応する放射性廃棄物を検索することで、全体の処分状況を把握・監視することができる。
【0034】
これにより第1実施形態の管理システム10Aでは、初期状態における事前情報37の情報が不足していても、その後に補完される情報により、核種組成比や放射能レベル25に応じ、放射性廃棄物を適切に管理することができる。また、そのような放射性廃棄物の管理の運用も、安全性を最優先にしつつより最適化することができる。
【0035】
(第2実施形態)
次に図3を参照して本発明における第2実施形態について説明する。図3は第2実施形態に係る放射性廃棄物の管理システム10B(10)(以下、単に「管理システム」という)のブロック図である。なお、図3において図1と共通の構成又は機能を有する部分は、同一符号で示し、重複する説明を省略する。
【0036】
第2実施形態の管理システム10Bは、第1実施形態の管理システム10Aと同様に、分類コード31を識別コード30に紐付けて第1データベース21に登録する第1登録部11と、放射性核種の放射能濃度32を識別コード30に紐付けて第2データベース22に登録させる第2登録部12と、放射能レベル25aを演算する演算部27aと、区分コード33を識別コード30に紐付けて第1データベース21に登録させる第3登録部13と、再測定されたいずれかの放射性核種の放射能濃度32を第2データベース22に更新登録させる更新部26と、更新登録に基づいて対応する放射性廃棄物の放射能レベル25bを再演算する再演算部27bと、区分コード33を第1データベース21に再登録させる再登録部15と、識別コード30を第1データベース21から抽出する抽出部16と、を備えている。そして、第2実施形態の管理システム10Bでは、新たに、作成部28と評価部29とが備えられている。
【0037】
作成部28は、放射性核種に対し登録された複数の放射能濃度32や事前情報37に含まれる廃棄物グループ毎の濃度分布情報(不確かさ、または、確率分布の形、幅など)を合わせて使用して統計的な確率分布24を作成する。具体的には、放射性廃棄物から採取した複数のサンプルにおける放射能濃度32に基づいて統計的な確率分布24を作成する。もしくは更新部26から新規に追加された放射能濃度32及び第2データベース22にこれまで累積している放射能濃度32に基づいて統計的な確率分布24を作成する。
【0038】
評価部29は、確率分布から不確かさを考慮して放射能濃度32xを評価する。ここで評価される放射能濃度32xは、確率分布24に対し包含区間の上限を定めて行う。例えば、濃度の確率分布が正規分布に従い包含区間の上限を片側95%とした場合、平均値μに標準偏差σの1.645倍を加えた値で判定する。なお不確かさの考慮の仕方は、上述の方法は一例であり、特に限定はない。
【0039】
そして、統計的に作成した確率分布24から不確かさを考慮して評価した各々の放射性核種の放射能濃度32xに基づいて、演算部27において放射性廃棄物の放射能レベル25が演算される。また、新たに評価された放射能濃度32xから得られる核種組成比に基づいて事前情報37を更新し、識別コード30に紐付ける分類コード31を変更することもできる。
【0040】
また、事前情報37を含め第2データベース22に登録されている放射能濃度32のデータ数が少なく分布の幅を広くとる必要がある場合などは、ベイズ推定などの統計手法を用いることができる。
【0041】
これにより第2実施形態の管理システム10Bは、第1実施形態からさらに加え、各々の放射性核種の放射能濃度32の測定がバラツキを持つ場合であっても、統計的に処理することにより、核種組成比や放射能レベル25に応じ、放射性廃棄物を適切に管理することができる。また、そのような放射性廃棄物の管理の運用も、安全性を最優先にしつつより最適化することができる。
【0042】
図4のフローチャートに基づいて本発明の実施形態に係る放射性廃棄物の管理方法の工程及び放射性廃棄物の管理プログラムのアルゴリズムを説明する(適宜、図1図3参照)。まず、事前情報37に基づき分類コード31を放射性廃棄物の各々の識別コード30に紐付けて第1データベース21に登録する(S11)。そして、放射性廃棄物から測定された各々の放射性核種の放射能濃度32を識別コード30に紐付けて第2データベース22に登録する(S12)。
【0043】
ここで各々の放射性核種の放射能濃度32は、事前情報37に含まれるものがあればそれを使用したり新規に測定したりしたものも含まれる。さらに、放射性廃棄物から複数のサンプルが採取され、各々の放射性核種についてそれぞれ複数の放射能濃度32が登録されている場合がある。
【0044】
そこで、複数の放射能濃度32が放射性核種に紐付けされている場合(S13;Yes)、放射性核種について放射能濃度32の統計的な確率分布24が計算される(S14)。そして、この確率分布24における不確かさを考慮して放射能濃度32が評価される(S15)。
【0045】
次に、各々の放射性核種の放射能濃度32に基づいて放射性廃棄物の放射能レベル25aを演算する(S16)。そして、演算された放射能レベル25aに対応する区分コード33を選択し、識別コード30に紐付けて第1データベース21に登録させる(S17)。これにより放射性廃棄物は、その識別コード30に紐付けされた区分コード33に対応する保管エリアに搬送される(S18)。そして、クリアランスレベル以下の放射性廃棄物については一般廃棄される。
【0046】
続いて、放射性廃棄物の再測定等がなされ、いずれかの放射性核種の放射能濃度32が第2データベース22に更新登録されたとする(S19;No)。すると、更新登録された放射能濃度32に基づいて確率分布を再計算し(S14)、不確かさが評価され(S15)、これに基づいて放射性廃棄物の放射能レベル25が再演算される(S16)。そして、再演算された放射能レベル25bに対応する区分コード33を対応する識別コード30に紐付けて第1データベース21に再登録させる(S17)。
【0047】
そして、新たな更新登録が無い任意のタイミングで(S19;Yes)、指定された分類コード31及び区分コード33が紐付けられている識別コード30を第1データベース21から抽出する(S20)。これにより、大量に存在する放射性廃棄物の処分状況を把握・監視することができる。そして、処分対象となる全ての放射性廃棄物の識別コード30に紐付けされる分類コード31及び区分コード33が確定するまで、(S11)から(S20)のフローが繰り返される(S21;No,Yes,END)。
【0048】
(第3実施形態)
次に図5を参照して本発明における第3実施形態について説明する。図5は実施形態に係る放射性廃棄物の管理方法において放射性廃棄物に含まれる放射性核種の放射能濃度を測定する前処理工程(前処理装置)の説明図である。なお、図5において図1又は図3と共通の構成又は機能を有する部分は、同一符号で示し、重複する説明を省略する。このように管理対象となる放射性廃棄物50は、それぞれ任意形状を持つために、放射能濃度32の測定上の要請、もしくは保管エリア(図示略)における収納上の要請から、所定形状のジオメトリ51に加工される。
【0049】
図5に示すように前処理装置40は、放射性廃棄物50を一定の寸法以下に細断する細断手段45と、放射性廃棄物の細断片52の一部をサンプル55として採取する採取手段47と、サンプル55に含まれる放射性核種を分析する第1分析手段41と、を備えている。ここで第1分析手段41とは、既に説明した、核種分析装置または放射能を直接検出することが困難な核種の検出を目的とした、ICP-MSなどの質量分析、LIBSなどの分光分析法、または、蛍光X線法等の分析機器を用いた分析であり、サンプルの化学的な前処理等(秤量や抽出処理)も含んでいる。第1分析手段41によるサンプル55の分析は、通常オフラインで実施されるが、手動及び自動についていずれも取り得る。
【0050】
さらに前処理装置40は、細断片52を撹拌して放射能分布を均一にする攪拌手段46と、第2分析手段42におけるγ線検出器の設定に適したジオメトリ51を形成する容器57に攪拌手段46で撹拌された細断片52を充填する充填手段48と、を備えている。第1分析手段41用のサンプル55を採取した後の残りの細断片52は、コンベア59に配置された容器57に均等に充填されジオメトリ51を形成した後、γ線検出器からなる第2分析手段42に搬送される。
【0051】
さらに前処理装置40は、細断する前の放射性廃棄物50に対し、放射性核種から放出されるβ線(放射線)を検出する第3分析手段43を備えている。この第3分析手段43は、受け入れた放射性廃棄物50の表面に付着した放射能を測定(表面汚染測定)するものであり、一次スクリーニング用としてコンベア58上に配置されている。
【0052】
例えば金属瓦礫のような放射性廃棄物50がコンベア58で搬送されてくると、最初に廃棄物表面に付着した汚染物から放出されるβ線が第3分析手段43により測定される。そして測定されたβ線が予め設定した閾値を超える放射性廃棄物50については、不合格として、コンテナ49に搬送する。第3分析手段43は、β線検出器による表面汚染測定を行うものを例示しているが、β線に限定されるものではなく、γ線検出器で廃棄物内面と表面からのγ線量を測定しても良い。また、ウランやプルトニウムなどのα核種による汚染が想定される場合は、α線検出器で廃棄物表面からのα線を測定しても良い。
【0053】
第3分析手段43で設定される閾値は、計数率や表面汚染密度または線量率で、明確に基準値を超えるような放射能レベル25の高い廃棄物を除去するようにする。また、放射能分布を同時に測定して、局所的に汚染が集中している廃棄物を除去するように設定しても良い。
【0054】
このような一次スクリーニングを設けることで、前処理装置40の後段に設置される機器の二次汚染を低減することができる。さらに、第3分析手段43の測定結果を第2データベース22に登録しておくことで、後段の第1分析手段41、第2分析手段42では測定できない放射性核種の放射能濃度32の情報を得ることができ、グループの分類精度を向上させ、核種組成比の不確かさを低減させることができる。
【0055】
第3分析手段43で合格した放射性廃棄物50は、コンベア58で細断手段45に搬送され、一定寸法以下に細断される。細断手段45は一般的なリサイクル用の破砕機が適用可能である。細断片52のサイズは、後段の攪拌手段46、採取手段47、容器57の仕様に合わせて決める。細断片52は攪拌手段46で均等に混ぜられ、一部が採取手段47により第1分析手段41用のサンプル55として採取される。
【0056】
残りの細断片52は充填手段48に送られ、容器57に放射能分布や密度分布が均一になるように充填される。また、第2分析手段42のγ線検出器に対するジオメトリ51の変動が容器57毎に発生し無いよう充填高さを一定にするため、充填手段48は細断片52の供給量を一定に制御する。また、放射性廃棄物50の受け入れ量も、充填手段48の供給量に合わせて一定に決めておくとよい。
【0057】
実施形態において第2分析手段42のγ線検出器は、大型のプラスチックシンチレーション検出器によるグロスγ測定の例を示している。この測定結果は放射性核種の放射能濃度32に換算されて更新部26に入力される。その他の例としてγ線検出器は、ゲルマニウム半導体検出器、NaI(Tl)シンチレーション検出器によるγ線スペクトル測定が挙げられる。
【0058】
そして、第1分析手段41、第2分析手段42及び第3分析手段43で測定された各々の放射性核種の放射能濃度32は、第2登録部12により第2データベース22に登録される。もしくは、再測定された放射能濃度32については、更新部26を介して第2データベース22に更新登録される。
【0059】
第3実施形態によれば、第1分析手段41、第2分析手段42及び第3分析手段43の測定値が得られるので、各々の放射性核種の放射能濃度32の不確かさが低減するとともに、測定対象となる放射性核種を増やすことができるためにグループの分類精度を向上させ、核種組成比の不確かさを低減させることができる。
【0060】
(第4実施形態)
次に図1又は図3を参照して本発明における第4実施形態について説明する。事前情報37には、上述した情報以外にも、放射性廃棄物50の発生場所等のトレーサビリティ情報、放射性廃棄物50の材質、表面状態、各寸法や質量等の性状情報を含めることができる。
【0061】
放射性廃棄物の各々に付与される識別コード30は、受け入れ段階前の管理カテゴリで既に付与されているものがあれば、重複が無いことを確認したうえでそのまま利用できる。別の管理カテゴリで付与されたものが重複しているか、若しくは全く付与されていない場合は新規に発行した識別コード30が付与される。もちろん、別の管理カテゴリで既に付与されているものを破棄して新規に発行した識別コード30を付与することもできる。
【0062】
識別コード30が付与される対象は、放射性廃棄物の単体を単位とする場合の他に、コンテナや袋などの収納容器を単位とする場合がある。また放射性廃棄物への識別コード30の付与方法は、一例として、それらの表面への刻印、レーザー刻印、シール貼り付け、RFIDなどの無線タグの取り付けなどが挙げられる。また、識別コード30自体も、識別番号をそのまま書き込む他に、QRコードなど誤り訂正符号を付与して現場環境下での印字欠損などへのロバスト性を向上させた手法などがある。
【0063】
また、受け入れ前に多数の放射性廃棄物の事前情報37や識別コード30が既にデータベース化されている場合は、設定部36から第1データベース21にまとめて登録することもできる。これにより、搬送途中に放射性廃棄物が入れ替わっているか否かについて受け入れ検査で確かめることができる。また、受け入れた放射性廃棄物が、前処理装置40の仕様に合致しているかについて判定することができる。
【0064】
例えば、放射性廃棄物の寸法が第3分析手段43(表面汚染測定装置)や細断手段45
の受入最大寸法を超える場合は、受け入れ拒否とする。更に、第1分析手段41、第2分析手段42及び第3分析手段43のいずれの仕様にも適合しない核種組成を持つ場合も、受け入れを拒否する。例えば、グロスγ測定装置のみで構成されたシステムに、ストロンチウム90などのβ汚染が主要である放射性廃棄物については、対応できないため受け入れを拒否する。
【0065】
このような受け入れに関する判定基準は、システム構成や仕様によって決めれば良く、特に限定はしない。受け入れの判定結果が拒否となった放射性廃棄物は、元の廃棄物集積エリアに戻される。なお、そのような廃棄部集積エリアとは別に受け入れ拒否された廃棄物の専用エリアを設けて移動させても良い。このとき、受け入れ拒否となった廃棄物を識別するための専用タグを付与しても良い。
【0066】
第4実施形態によれば、搬送途中に、正規の放射性廃棄物と他の廃棄物が入れ替わって、受け入れられてしまうことが防止される。また、システム仕様に合致した放射性廃棄物のみが受け入れられ、誤判定を未然に防止することができる。また、識別コード30を基に、同種の放射性廃棄物の受け入れ履歴を管理して、受け入れ判定の省力化を図ることができる。
【0067】
以上述べた少なくともひとつの実施形態の放射性廃棄物の管理システムによれば、放射性廃棄物から再測定された放射性核種の放射能濃度を更新登録させ、この放射性廃棄物の放射能レベルを再演算する機能を持つことにより、放射能レベルを区分する判定の正確性を向上させるとともに、判定済みの区分を新たな情報に基づいて柔軟に変更することが可能となる。
【0068】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0069】
10(10A,10B)…放射性廃棄物の管理システム,11…第1登録部,12…第2登録部,13…第3登録部,15…再登録部,16…抽出部,17…表示部,18…指定部,21…第1データベース,22…第2データベース,24…確率分布,25(25a,25b)…放射能レベル,26…更新部,27(27a)…演算部,27(27b)…再演算部,28…作成部,29…評価部,30…識別コード,31…分類コード,32,32x…放射能濃度,33…区分コード,35…コード記憶部,36…設定部,37…事前情報,38…境界線,40…前処理装置,41…第1分析手段,42…第2分析手段,43…第3分析手段,45…細断手段,46…攪拌手段,47…採取手段,48…充填手段,49…コンテナ,50…放射性廃棄物,51…ジオメトリ,52…細断片,55…サンプル,57…容器,58…コンベア59…コンベア。
図1
図2
図3
図4
図5