IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝デバイス&ストレージ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-光結合装置 図1
  • 特許-光結合装置 図2
  • 特許-光結合装置 図3
  • 特許-光結合装置 図4
  • 特許-光結合装置 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】光結合装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/12 20060101AFI20240930BHJP
【FI】
H01L31/12 C
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021150777
(22)【出願日】2021-09-16
(65)【公開番号】P2023043263
(43)【公開日】2023-03-29
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】蔡 譽寧
(72)【発明者】
【氏名】高橋 佳子
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-251732(JP,A)
【文献】特開2013-098381(JP,A)
【文献】特開平11-150291(JP,A)
【文献】特開2007-129273(JP,A)
【文献】特開2014-033124(JP,A)
【文献】特開2010-031269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リードフレームと、
リードフレームに設けられた発光素子と、
前記発光素子と対向する位置に設けられ、前記発光素子から発生した光を受光する受光素子と、
前記リードフレームに設けられる第1樹脂部であって、前記発光素子と前記受光素子とを結ぶ第1方向に沿って見たときに前記発光素子を囲む第1部分と、前記第1方向に沿って見たときに前記第1部分と前記発光素子との間に位置する第2部分と、を有し、前記第1部分の前記第1方向に沿う第1厚さは、前記第2部分の前記第1方向に沿う第2厚さよりも大きい、前記第1樹脂部と、
前記第1方向において前記発光素子と前記受光素子との間に設けられ、光透過性を有する第2樹脂部と、
前記第1方向において前記第2樹脂部と前記受光素子との間に設けられ、光透過性を有する第3樹脂部と、
前記発光素子、前記受光素子、前記第1樹脂部、前記第2樹脂部、及び前記第3樹脂部を収容し、遮光性を有する第4樹脂部と、
を備え
前記第1厚さは、1μm以上35μm以下であり、
前記第2厚さは、0.1μm以上20μm以下である、光結合装置。
【請求項2】
リードフレームと、
リードフレームに設けられた発光素子と、
前記発光素子と対向する位置に設けられ、前記発光素子から発生した光を受光する受光素子と、
前記リードフレームに設けられる第1樹脂部であって、前記発光素子と前記受光素子とを結ぶ第1方向に沿って見たときに前記発光素子を囲む第1部分と、前記第1方向に沿って見たときに前記第1部分と前記発光素子との間に位置する第2部分と、を有し、前記第1部分の前記第1方向に沿う第1厚さは、前記第2部分の前記第1方向に沿う第2厚さよりも大きい、前記第1樹脂部と、
前記第1方向において前記発光素子と前記受光素子との間に設けられ、光透過性を有する第2樹脂部と、
前記第1方向において前記第2樹脂部と前記受光素子との間に設けられ、光透過性を有する第3樹脂部と、
前記発光素子、前記受光素子、前記第1樹脂部、前記第2樹脂部、及び前記第3樹脂部を収容し、遮光性を有する第4樹脂部と、
を備え
前記第1厚さは、10μm以上100μm以下であり、
前記第2厚さは、5μm以上85μm以下である、光結合装置。
【請求項3】
リードフレームと、
リードフレームに設けられた発光素子と、
前記発光素子と対向する位置に設けられ、前記発光素子から発生した光を受光する受光素子と、
前記リードフレームに設けられる第1樹脂部であって、前記発光素子と前記受光素子とを結ぶ第1方向に沿って見たときに前記発光素子を囲む第1部分と、前記第1方向に沿って見たときに前記第1部分と前記発光素子との間に位置する第2部分と、を有し、前記第1部分の前記第1方向に沿う第1厚さは、前記第2部分の前記第1方向に沿う第2厚さよりも大きい、前記第1樹脂部と、
前記第1方向において前記発光素子と前記受光素子との間に設けられ、光透過性を有する第2樹脂部と、
前記第1方向において前記第2樹脂部と前記受光素子との間に設けられ、光透過性を有する第3樹脂部と、
前記発光素子、前記受光素子、前記第1樹脂部、前記第2樹脂部、及び前記第3樹脂部を収容し、遮光性を有する第4樹脂部と、
を備え
前記第1樹脂部は、分子量が10,000以上100,000以下の樹脂を含み、
前記樹脂は、芳香族ポリアミドイミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、及びポリアミド系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、光結合装置。
【請求項4】
リードフレームと、
リードフレームに設けられた発光素子と、
前記発光素子と対向する位置に設けられ、前記発光素子から発生した光を受光する受光素子と、
前記リードフレームに設けられる第1樹脂部であって、前記発光素子と前記受光素子とを結ぶ第1方向に沿って見たときに前記発光素子を囲む第1部分と、前記第1方向に沿って見たときに前記第1部分と前記発光素子との間に位置する第2部分と、を有し、前記第1部分の前記第1方向に沿う第1厚さは、前記第2部分の前記第1方向に沿う第2厚さよりも大きい、前記第1樹脂部と、
前記第1方向において前記発光素子と前記受光素子との間に設けられ、光透過性を有する第2樹脂部と、
前記第1方向において前記第2樹脂部と前記受光素子との間に設けられ、光透過性を有する第3樹脂部と、
前記発光素子、前記受光素子、前記第1樹脂部、前記第2樹脂部、及び前記第3樹脂部を収容し、遮光性を有する第4樹脂部と、
を備え
前記第1樹脂部は、
光透過性を有し、熱膨張係数が30ppm/K以上100ppm/K以下のエポキシ樹脂と、
光透過性を有し、熱膨張係数が0.3ppm/K以上2ppm/K以下であり、粒径が0.1μm以上15μm以下のシリカ系の無機フィラーと、
を含む、光結合装置。
【請求項5】
リードフレームと、
リードフレームに設けられた発光素子と、
前記発光素子と対向する位置に設けられ、前記発光素子から発生した光を受光する受光素子と、
前記リードフレームに設けられる第1樹脂部であって、前記発光素子と前記受光素子とを結ぶ第1方向に沿って見たときに前記発光素子を囲む第1部分と、前記第1方向に沿って見たときに前記第1部分と前記発光素子との間に位置する第2部分と、を有し、前記第1部分の前記第1方向に沿う第1厚さは、前記第2部分の前記第1方向に沿う第2厚さよりも大きい、前記第1樹脂部と、
前記第1方向において前記発光素子と前記受光素子との間に設けられ、光透過性を有する第2樹脂部と、
前記第1方向において前記第2樹脂部と前記受光素子との間に設けられ、光透過性を有する第3樹脂部と、
前記発光素子、前記受光素子、前記第1樹脂部、前記第2樹脂部、及び前記第3樹脂部を収容し、遮光性を有する第4樹脂部と、
を備え
前記第2樹脂部は、光透過性を有するエポキシ樹脂と、光透過性を有するシリコーンと、を含み、
前記第3樹脂部は、光透過性を有するエポキシ樹脂と、光透過性を有する無機フィラーと、を含み、
前記第4樹脂部は、エポキシ樹脂と、遮光性を有する無機フィラーと、を含む、光結合装置。
【請求項6】
前記第1厚さは、1μm以上35μm以下であり、
前記第2厚さは、0.1μm以上20μm以下である、請求項3~5のいずれか1つに記載の光結合装置。
【請求項7】
前記第1厚さは、10μm以上100μm以下であり、
前記第2厚さは、5μm以上85μm以下である、請求項3~5のいずれか1つに記載の光結合装置。
【請求項8】
前記第1樹脂部は、分子量が10,000以上100,000以下の樹脂を含み、
前記樹脂は、芳香族ポリアミドイミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、及びポリアミド系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項4または5に記載の光結合装置。
【請求項9】
前記第1樹脂部は、
光透過性を有し、熱膨張係数が30ppm/K以上100ppm/K以下のエポキシ樹脂と、
光透過性を有し、熱膨張係数が0.3ppm/K以上2ppm/K以下であり、粒径が0.1μm以上15μm以下のシリカ系の無機フィラーと、
を含む、請求項に記載の光結合装置。
【請求項10】
前記第1樹脂部は、光透過性を有し、
前記第1樹脂部の少なくとも一部は、前記第1方向において、前記発光素子と重なる、請求項1~9のいずれか1つ記載の光結合装置。
【請求項11】
前記第1樹脂部の熱膨張係数は、10ppm/K以上30ppm/K以下である、請求項1~10のいずれか1つに記載の光結合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光結合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
リードフレームに設けられた発光素子を樹脂で覆うことで保護した光結合装置がある。このような光結合装置において、信頼性の向上が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6416800号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、信頼性を向上できる光結合装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る光結合装置は、リードフレームと、発光素子と、受光素子と、第1樹脂部と、第2樹脂部と、第3樹脂部と、第4樹脂部と、を備える。発光素子は、リードフレームに設けられる。受光素子は、発光素子と対向する位置に設けられ、発光素子から発生した光を受光する。第1樹脂部は、リードフレームに設けられる。第1樹脂部は、第1部分と、第2部分と、を有する。第1部分は、発光素子と受光素子とを結ぶ第1方向に沿って見たときに発光素子を囲む。第2部分は、第1方向に沿って見たときに第1部分と発光素子との間に位置する。第1部分の第1方向に沿う第1厚さは、第2部分の第1方向に沿う第2厚さよりも大きい。第2樹脂部は、第1方向において発光素子と受光素子との間に設けられ、光透過性を有する。第3樹脂部は、第1方向において第2樹脂部と受光素子との間に設けられ、光透過性を有する。第4樹脂部は、発光素子、受光素子、第1樹脂部、第2樹脂部、及び第3樹脂部を収容し、遮光性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1(a)及び図1(b)は、第1実施形態に係る光結合装置を示す断面図及び平面図である。
図2図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係る光結合装置の一部を示す断面図である。
図3図3(a)及び図3(b)は、第2実施形態に係る光結合装置を示す断面図及び平面図である。
図4】第2実施形態に係る光結合装置の一部を示す断面図である。
図5図5(a)及び図5(b)は、第3実施形態に係る光結合装置を示す断面図及び平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
図1(a)及び図1(b)は、第1実施形態に係る光結合装置を示す断面図及び平面図である。
図1(a)及び図1(b)に表したように、第1実施形態に係る光結合装置100は、第1リードフレーム11と、発光素子12と、第1接着層13と、第1ボンディングワイヤ14と、第2リードフレーム21と、受光素子22と、第2接着層23と、第2ボンディングワイヤ24と、第1樹脂部30と、第2樹脂部40と、第3樹脂部50と、第4樹脂部60と、を備えている。なお、図1(b)では、第1リードフレーム11、発光素子12、第1接着層13、第1ボンディングワイヤ14、及び第1樹脂部30のみを表している。
【0009】
以下、発光素子12と受光素子22とを結ぶ方向を第1方向とする。第1方向は、例えば、Z方向である。また、第1方向と直交する方向の1つを第2方向とする。第2方向は、例えば、X方向である。また、第1方向及び第2方向と直交する方向を第3方向とする。第3方向は、例えば、Y方向である。
【0010】
第1リードフレーム11は、光結合装置100の端子を構成している。第1リードフレーム11は、発光素子12を支持している。第1リードフレーム11は、例えば、金属または合金を含む。第1リードフレーム11は、例えば、銅を含む。第1リードフレーム11は、例えば、銅または鉄を含む合金を含む。
【0011】
第1リードフレーム11は、支持部11aと、端子部11bと、を有する。支持部11aは、第4樹脂部60の内部に位置している。端子部11bは、第4樹脂部60の外部に位置している。第1リードフレーム11は、支持部11aにおいて、発光素子12を支持する。
【0012】
発光素子12は、第1リードフレーム11に設けられる。発光素子12は、外部からの電気信号により発光する半導体素子である。発光素子12は、例えば、発光ダイオードである。発光素子12は、発光素子が実装された基板と、発光素子周辺の回路が実装された基板とを一つのパッケージに収納したチップでもよい。発光素子12は、第1接着層13を介して、支持部11aに固定される。
【0013】
第1接着層13は、Z方向において、発光素子12と第1リードフレーム11の支持部11aとの間に設けられ、発光素子12と第1リードフレーム11の支持部11aとを接着する。第1接着層13は、例えば、接着剤が塗布されることで形成された塗布膜またはフィルム状の接着剤である。
【0014】
第1ボンディングワイヤ14は、発光素子12と第1リードフレーム11とを電気的に接続する配線である。第1ボンディングワイヤ14は、例えば、金を含む。第1ボンディングワイヤ14の一端は、発光素子12に接続され、第1ボンディングワイヤ14の他端は、支持部11aに接続されている。
【0015】
第2リードフレーム21は、光結合装置100の端子を構成している。第2リードフレーム21は、受光素子22を支持している。第2リードフレーム21は、例えば、金属または合金を含む。第2リードフレーム21は、例えば、銅を含む。第2リードフレーム21は、例えば、銅または鉄を含む合金を含む。
【0016】
第2リードフレーム21は、支持部21aと、端子部21bと、を有する。支持部21aは、第4樹脂部60の内部に位置している。端子部21bは、第4樹脂部60の外部に位置している。第2リードフレーム21は、支持部21aにおいて、受光素子22を支持する。第2リードフレーム21の支持部21aは、Z方向において、第1リードフレーム11の支持部11aと対向する。
【0017】
受光素子22は、発光素子12と対向する位置に設けられる。受光素子22は、第2リードフレーム21に設けられる。受光素子22は、発光素子から発生した光を受光する素子である。受光素子22は、例えば、フォトダイオード、フォトトランジスタ、または受光ICなどである。例えば、受光素子22が受光した光量によって、受光素子22と接続された回路のオン-オフが変化する。受光素子22は、例えば、MOSFETなどの周辺回路と接続されている。受光素子22は、第2接着層23を介して、支持部21aに固定される。
【0018】
第2接着層23は、Z方向において、受光素子22と第2リードフレーム21の支持部21aとの間に設けられ、受光素子22と第2リードフレーム21の支持部21aとを接着する。第2接着層23は、例えば、接着剤が塗布されることで形成された塗布膜またはフィルム状の接着剤である。
【0019】
第2ボンディングワイヤ24は、受光素子22と第2リードフレーム21とを電気的に接続する配線である。第2ボンディングワイヤ24は、例えば、金を含む。第2ボンディングワイヤ24の一端は、受光素子22に接続され、第2ボンディングワイヤ24の他端は、支持部21aに接続されている。
【0020】
第1樹脂部30は、第1リードフレーム11に設けられる。第1樹脂部30は、Z方向において、第1リードフレーム11の支持部11aと第2リードフレーム21の支持部21aとの間に設けられる。第1樹脂部30の少なくとも一部は、Z方向に沿って見たときに(すなわち、平面視において)、発光素子12の周りに設けられる。
【0021】
この例では、第1樹脂部30の一部は、Z方向において、発光素子12と受光素子22との間、及び、第1接着層13と受光素子22との間に設けられている。つまり、この例では、第1樹脂部30の一部は、発光素子12及び第1接着層13を覆っている。第1樹脂部30は、例えば、第1リードフレーム11、発光素子12、及び第1接着層13に対して、隙間なく密着している。第1樹脂部30の形状については、後述する。
【0022】
第1樹脂部30は、樹脂を含む。第1樹脂部30は、例えば、光透過性を有する。第1樹脂部30は、例えば、発光素子12から発生する光と同じ波長の光を透過可能である。第1樹脂部30の熱膨張係数は、例えば、10ppm/K以上30ppm/K以下である。
【0023】
1つの例において、第1樹脂部30は、有機系分子膜である。この場合、第1樹脂部30は、例えば、分子量が10,000以上100,000以下の樹脂を含む。樹脂は、例えば、芳香族ポリアミドイミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、及びポリアミド系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0024】
別の例において、第1樹脂部30は、無機フィラー入りの分子膜である。この場合、第1樹脂部30は、例えば、エポキシ樹脂と、無機フィラーと、を含む。エポキシ樹脂は、例えば、光透過性を有する。エポキシ樹脂の熱膨張係数は、例えば、30ppm/K以上100ppm/K以下である。無機フィラーは、例えば、シリカ系である。無機フィラーは、例えば、光透過性を有する。無機フィラーの粒径は、例えば、0.1μm以上15μm以下であり、好ましくは0.1μm以上10μm以下である。無機フィラーの熱膨張係数は、例えば、0.3ppm/K以上2ppm/K以下である。
【0025】
第2樹脂部40は、Z方向において、発光素子12と受光素子22との間に設けられる。第2樹脂部40は、いわゆるエンキャップ樹脂である。この例では、第2樹脂部40は、Z方向において、第1樹脂部30と受光素子22との間に設けられている。第2樹脂部40は、例えば、発光素子12、第1接着層13、第1ボンディングワイヤ14、及び第1樹脂部30を覆う。第2樹脂部40は、例えば、第1ボンディングワイヤ14及び第1樹脂部30に対して、隙間なく密着している。第2樹脂部40は、例えば、ドーム状に形成される。
【0026】
第2樹脂部40は、樹脂を含む。第2樹脂部40は、光透過性を有する。第2樹脂部40は、例えば、発光素子12から発生する光と同じ波長の光を透過可能である。第2樹脂部40は、例えば、光透過性を有するエポキシ樹脂と、光透過性を有するシリコーンと、を含む。
【0027】
第3樹脂部50は、Z方向において、第2樹脂部40と受光素子22との間に設けられる。第3樹脂部50は、いわゆるインナー樹脂である。第3樹脂部50は、例えば、第4樹脂部60の内部において、第1リードフレーム11、発光素子12、第1接着層13、第1ボンディングワイヤ14、第2リードフレーム21、受光素子22、第2接着層23、第2ボンディングワイヤ24、第1樹脂部30、及び第2樹脂部40が設けられていない空間に充填される。第3樹脂部50は、例えば、第1リードフレーム11、第2リードフレーム21、受光素子22、第2接着層23、第2ボンディングワイヤ24、第1樹脂部30、及び第2樹脂部40に対して、隙間なく密着している。
【0028】
第3樹脂部50は、樹脂を含む。第3樹脂部50は、光透過性を有する。第3樹脂部50は、例えば、発光素子12から発生する光と同じ波長の光を透過可能である。第3樹脂部50は、例えば、光透過性を有するエポキシ樹脂と、光透過性を有する無機フィラーと、を含む。
【0029】
第1樹脂部30、第2樹脂部40、及び第3樹脂部50は、例えば、発光素子12から発生した光を透過可能である。これにより、第1樹脂部30、第2樹脂部40、及び第3樹脂部50によって、発光素子12から発生した光を受光素子22が受光すること妨げることなく、発光素子12と受光素子22との間の空間を埋めることができ、信頼性を向上できる。
【0030】
第4樹脂部60は、光結合装置100の外装材である。第4樹脂部60は、いわゆるアウター樹脂である。第4樹脂部60の内部には、第1リードフレーム11の支持部11a、発光素子12、第1接着層13、第1ボンディングワイヤ14、第2リードフレーム21の支持部21a、受光素子22、第2接着層23、第2ボンディングワイヤ24、第1樹脂部30、第2樹脂部40、及び第3樹脂部50が収容されている。第4樹脂部60は、例えば、第1リードフレーム11、第2リードフレーム21、及び第3樹脂部50に対して、隙間なく密着している。
【0031】
第4樹脂部60は、樹脂を含む。第4樹脂部60は、遮光性を有する。第4樹脂部60は、例えば、発光素子12から発生する光と同じ波長の光を遮光可能である。第4樹脂部60は、例えば、不透明である。第4樹脂部60は、例えば、エポキシ樹脂と、遮光性を有する無機フィラーと、を含む。
【0032】
第4樹脂部60は、第4樹脂部60の外部からの光が第4樹脂部60の内部に届くことを抑制する。すなわち、第4樹脂部60は、外部の光を遮光する。これにより、第4樹脂部60は、受光素子22が外部からの光を受光することを抑制する。
【0033】
なお、本願明細書において、「光透過性を有する」とは、光を透過しやすいことを意味する。また、本願明細書において、「遮光性を有する」とは、光を透過しにくいことを意味する。つまり、光透過性を有する物体の光透過率は、遮光性を有する物体の光透過率よりも高い。第1樹脂部30の光透過率は、例えば、第4樹脂部60の光透過率よりも高い。第2樹脂部40の光透過率は、例えば、第4樹脂部60の光透過率よりも高い。第3樹脂部50の光透過率は、例えば、第4樹脂部60の光透過率よりも高い。
【0034】
以下、第1樹脂部30の形状について、さらに詳しく説明する。
図2(a)及び図2(b)は、第1実施形態に係る光結合装置の一部を示す断面図である。
図2(a)は、図1に示した領域R1の拡大図である。
図2(b)は、図1に示した領域R2の拡大図である。
図2(a)に表したように、第1樹脂部30は、第1部分31と、第2部分32と、を有する。
【0035】
第1部分31は、Z方向に沿って見たときに(すなわち、平面視において)、発光素子12を囲む。発光素子12を中心としたときに、第1部分31は、発光素子12の外側を囲む。言い換えれば、発光素子12は、第1部分31に囲まれた領域の内部に位置する。第1部分31は、第1樹脂部30の外周端部に位置する。第1部分31は、例えば、発光素子12を囲むように環状に設けられる。第1部分31は、例えば、Z方向において、発光素子12と重ならない。
【0036】
第2部分32は、Z方向に沿って見たときに、第1部分31と発光素子12との間に位置する。発光素子12を中心としたときに、第2部分32は、発光素子12の外側を囲み、かつ、第1部分31に囲まれる。言い換えれば、第2部分32は、第1部分31に囲まれた領域の内部に位置し、発光素子12は、第2部分32に囲まれた領域の内部に位置する。第2部分32は、第1樹脂部30の外周端部よりも内側に位置する。第2部分32は、例えば、第1部分31よりも内側で発光素子12を囲むように環状に設けられる。第2部分32は、例えば、Z方向において、発光素子12と重ならない。
【0037】
第1部分31のZ方向に沿う長さを第1厚さT1とする。第2部分32のZ方向に沿う長さを第2厚さT2とする。第1厚さT1は、第2厚さT2よりも大きい。つまり、第1樹脂部30は、外周端部の厚さが外周端部よりも内側の部分(中央部)の厚さよりも厚い凹形状を有する。第1樹脂部30の厚さは、例えば、外側から内側に向かって連続的に減少する。第1厚さT1は、例えば、第1部分31の最大厚さである。第2厚さT2は、例えば、第2部分32の最小厚さである。
【0038】
第1厚さT1は、例えば、1μm以上35μm以下である。第2厚さT2は、例えば、0.1μm以上20μm以下である。第2厚さT2と第1厚さT1との差(T2-T1)は、0.1μm以上であることが好ましい。
【0039】
図2(b)に表したように、この例では、第1樹脂部30は、さらに第3部分33を有する。第3部分33は、Z方向において、発光素子12及び第1接着層13の少なくともいずれかと重なる。第3部分33は、必要に応じて設けられ、省略可能である。つまり、第1樹脂部30は、発光素子12及び第1接着層13を覆っていてもよいし、発光素子12及び第1接着層13を覆っていなくてもよい。
【0040】
第3部分33は、第1領域33aと、第2領域33bと、第3領域33cと、を有する。第1領域33aは、Z方向において、発光素子12と重なる。第1領域33aは、X方向において、発光素子12と重ならない。第2領域33b及び第3領域33cは、Z方向において、第1接着層13と重なる。第2領域33bは、X方向において、発光素子12と重なる。第3領域33cは、X方向において、第1接着層13と重なる。
【0041】
第1領域33aの発光素子12との接着面と直交する方向(例えば、Z方向)に沿う長さを第3厚さT3とする。第2領域33bの発光素子12との接着面と直交する方向(例えば、X方向)に沿う長さを第4厚さT4とする。第3領域33cの第1接着層13との接着面と直交する方向に沿う長さを第5厚さT5とする。第3厚さT3、第4厚さT4、及び第5厚さT5は、例えば、それぞれ、同じである。第3厚さT3、第4厚さT4、及び第5厚さT5は、例えば、それぞれ、第2厚さT2と同じであるか、第2厚さT2よりも小さい。
【0042】
第3厚さT3、第4厚さT4、及び第5厚さT5は、例えば、それぞれ、0.5μm以上20μm以下である。
【0043】
この例では、第1部分31及び第2部分32は、X方向において、第1接着層13と重なり、発光素子12と重ならない。つまり、第2リードフレーム21側を上、第1リードフレーム11側を下としたとき、第1部分31の上端は、発光素子12の下端よりも下方に位置する。第1部分31及び第2部分32は、X方向において、発光素子12と重なってもよい。つまり、第1部分31の上端は、発光素子12の下端よりも上方に位置していてもよい。ただし、第1部分31の上端は、発光素子12の上端よりも下方に位置することが好ましい。
【0044】
以下、実施形態に係る光結合装置の作用効果について、説明する。
光結合装置において、リードフレームに設けられた発光素子をシリコーン樹脂などのエンキャップ樹脂で覆うことが行われている。このように、発光素子をエンキャップ樹脂で覆うことで、外部応力や不純物から発光素子を保護することができ、光結合装置の信頼性を向上できる。しかし、フラットなリードフレームに発光素子を設けた場合には、発光素子チップの全体を覆うようにエンキャップ樹脂をドーム状に形成することが難しい。また、エンキャップ樹脂を形成する際にエンキャップ樹脂が濡れ拡がると、エンキャップ樹脂とリードフレームとの間の密着性が低下するおそれがある。
【0045】
このような問題を解決する手段として、プレス加工などによりリードフレームに凹部を設け、この凹部に発光素子を配置し、エンキャップ樹脂で覆うことが考えられる。しかし、プレス加工によってリードフレームに凹部を形成すると、リードフレームに銅が含まれる場合には、銅や不純物が溶出するおそれがある。また、ワイヤボンディング工程において、クランプ不良などが発生するおそれがある。そこで、光結合装置において、プレス加工を行うことなく、エンキャップ樹脂が濡れ拡がることを抑制して、信頼性を向上させることが求められる。
【0046】
実施形態によれば、第1リードフレーム11に第1樹脂部30を設け、第1樹脂部30のうち外側に位置する第1部分31の第1厚さT1を、第1部分31よりも内側に位置する第2部分32の第2厚さT2よりも大きくすることで、第1リードフレーム11に外周端部が厚く、中央部が薄い凹構造を形成することができる。これにより、プレス加工を行うことなく、第2樹脂部40(エンキャップ樹脂)が濡れ拡がることを抑制できる。したがって、信頼性を向上させることができる。
【0047】
実施形態によれば、第1樹脂部30の少なくとも一部がZ方向において発光素子12と重なることで、第1樹脂部30を形成する際に、発光素子12を避けずに組成物溶液を塗布することができるため、第1樹脂部30を容易に形成することができる。また、第1樹脂部30が光透過性を有することで、第1樹脂部30が発光素子12と重なっていても、発光素子12から発生する光が第1樹脂部30により遮られることを抑制できる。
【0048】
実施形態によれば、第1厚さT1を1μm以上35μm以下とし、第2厚さT2を0.1μm以上20μm以下とすることで、第2樹脂部40(エンキャップ樹脂)が濡れ拡がることをより確実に抑制できる。また、第2厚さT2と第1厚さT1との差を0.1μm以上とすることで、第2樹脂部40(エンキャップ樹脂)が濡れ拡がることをより確実に抑制できる。
【0049】
実施形態によれば、第1樹脂部30の熱膨張係数を10ppm/K以上30ppm/K以下とすることで、パッケージの信頼性を高めることができる。
【0050】
実施形態によれば、第1樹脂部30が、分子量が10,000以上100,000以下の樹脂を含み、樹脂が芳香族ポリアミドイミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、及びポリアミド系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1つを含むことで、パッケージの信頼性を高めることができる。
【0051】
実施形態によれば、第1樹脂部30が、光透過性を有し、熱膨張係数が30ppm/K以上100ppm/K以下のエポキシ樹脂と、光透過性を有し、熱膨張係数が0.3ppm/K以上2ppm/K以下であり、粒径が0.1μm以上15μm以下のシリカ系の無機フィラーと、を含むことで、第1樹脂部30の熱膨張率を容易に調整できる。他の樹脂部との熱膨張率差を小さくすることで、パッケージ全体の信頼性を高めることができる。
【0052】
実施形態によれば、第2樹脂部40が、光透過性を有するエポキシ樹脂と、光透過性を有するシリコーンと、を含むことで、外部からの応力を緩和でき、内部に設けられた発光素子12を保護し、パッケージ全体の信頼性を高めることができる。
【0053】
実施形態によれば、第3樹脂部50が、光透過性を有するエポキシ樹脂と、光透過性を有する無機フィラーと、を含むことで、発光素子12から発生した光を受光素子22がより確実に受光することができる。
【0054】
実施形態によれば、第4樹脂部60が、エポキシ樹脂と、遮光性を有する無機フィラーと、を含むことで、受光素子22が外部からの光を受光することをより確実に抑制できるとともに、外部からの熱と応力を緩和し、内部に設けられた発光素子12及び受光素子22を保護できる。
【0055】
実施形態によれば、第1樹脂部30として、柔軟性を有する分子膜を採用することで、発光素子12の保護効果を向上できる。例えば、第1樹脂部30として、引張り弾性率が4GPa以下の分子膜を採用することで、発光素子12の保護効果を向上できる。
【0056】
実施形態によれば、第1樹脂部30を設けることで、第1樹脂部30を設けない場合と比べて、第2樹脂部40と第3樹脂部50との隙間を低減できる。
【0057】
(第2実施形態)
図3(a)及び図3(b)は、第2実施形態に係る光結合装置を示す断面図及び平面図である。
図4は、第2実施形態に係る光結合装置の一部を示す断面図である。
図3(b)では、第1リードフレーム11、発光素子12、第1接着層13、第1ボンディングワイヤ14、及び第1樹脂部30のみを表している。
図4は、図3(a)に示した領域R3の拡大図である。
【0058】
図3(a)及び図3(b)に表したように、第2実施形態に係る光結合装置100Aでは、第1樹脂部30の第3部分33が設けられていない。つまり、この例では、第1樹脂部30は、発光素子12の外側を囲む環状である。第2実施形態に係る光結合装置100Aは、第1樹脂部30の第3部分33が設けられていないこと以外は、第1実施形態に係る光結合装置100と実質的に同じである。
【0059】
図4に表したように、第2実施形態に係る光結合装置100Aにおいても、第1樹脂部30は、第1部分31と、第2部分32と、を有する。第1部分31の第1厚さT1は、第2部分32の第2厚さT2よりも大きい。第1厚さT1は、例えば、1μm以上35μm以下である。第2厚さT2は、例えば、0.1μm以上20μm以下である。
【0060】
この例でも、第1部分31及び第2部分32は、X方向において、第1接着層13と重なり、発光素子12と重ならない。つまり、第2リードフレーム21側を上、第1リードフレーム11側を下としたとき、第1部分31の上端は、発光素子12の下端よりも下方に位置する。第1部分31及び第2部分32は、X方向において、発光素子12と重なってもよい。つまり、第1部分31の上端は、発光素子12の下端よりも上方に位置していてもよい。ただし、第1部分31の上端は、発光素子12の上端よりも下方に位置することが好ましい。
【0061】
第2実施形態においても、第1リードフレーム11に第1樹脂部30を設け、第1樹脂部30のうち外側に位置する第1部分31の第1厚さT1を、第1部分31よりも内側に位置する第2部分32の第2厚さT2よりも大きくすることで、第1リードフレーム11に外周端部が厚く、中央部が薄い凹構造を形成することができる。これにより、プレス加工を行うことなく、第2樹脂部40(エンキャップ樹脂)が濡れ拡がることを抑制できる。したがって、信頼性を向上させることができる。
【0062】
第2実施形態に係る光結合装置100Aでは、第1樹脂部30は、発光素子12を覆っていない。そのため、第2実施形態においては、第1樹脂部30は、光透過性を有さなくてもよい。つまり、第2実施形態においては、第1樹脂部30は、遮光性を有していてもよい。
【0063】
(第3実施形態)
図5(a)及び図5(b)は、第3実施形態に係る光結合装置を示す断面図及び平面図である。
図5(b)では、第1リードフレーム11、発光素子12、第1接着層13、第1ボンディングワイヤ14、及び第1樹脂部30のみを表している。
【0064】
図5(a)及び図5(b)に表したように、第3実施形態に係る光結合装置100Bでは、第1実施形態に係る光結合装置100と比較して、第1樹脂部30の厚さを厚くしている。第3実施形態に係る光結合装置100Bは、第1樹脂部30の厚さを厚くすること以外は、第1実施形態に係る光結合装置100と実質的に同じである。
【0065】
第3実施形態に係る光結合装置100Bにおいても、第1樹脂部30は、第1部分31と、第2部分32と、第3部分33と、を有する。第1部分31の第1厚さT1は、第2部分32の第2厚さT2よりも大きい。この例では、第1厚さT1は、例えば、10μm以上100μm以下である。第2厚さT2は、例えば、5μm以上85μm以下である。
【0066】
この例では、第1部分31及び第2部分32は、X方向において、第1接着層13及び発光素子12と重なる。つまり、第2リードフレーム21側を上、第1リードフレーム11側を下としたとき、第1部分31の上端は、発光素子12の下端よりも上方に位置する。第1部分31の上端は、発光素子12の上端よりも下方に位置することが好ましい。上述のように、第1部分31及び第2部分32は、X方向において、発光素子12と重ならなくてもよい。つまり、第1部分31の上端は、発光素子12の下端よりも下方に位置していてもよい。
【0067】
第3実施形態においても、第1リードフレーム11に第1樹脂部30を設け、第1樹脂部30のうち外側に位置する第1部分31の第1厚さT1を、第1部分31よりも内側に位置する第2部分32の第2厚さT2よりも大きくすることで、第1リードフレーム11に外周端部が厚く、中央部が薄い凹構造を形成することができる。これにより、プレス加工を行うことなく、第2樹脂部40(エンキャップ樹脂)が濡れ拡がることを抑制できる。したがって、信頼性を向上させることができる。
【0068】
実施形態によれば、第1厚さT1を10μm以上100μm以下とし、第2厚さT2を5μm以上85μm以下とすることで、発光素子12を保護しやすくなり、信頼性を向上できる。また、このように第1厚さT1及び第2厚さT2を大きくすることで、第1厚さT1及び第2厚さT2が小さい場合と比べて、第2樹脂部40の大きさを小さくすることができる。第2樹脂部40の大きさを小さくすることで、第2樹脂部40の大きさが大きい場合と比べて、第2樹脂部40を形成する際に、冷却時の収縮量を小さくできる。これにより、収縮によって第2樹脂部40と第3樹脂部50の間に生じる隙間を小さく(例えば、0.1μm以下に)することができ、水分の侵入、樹脂クラック、腐食などの発生を抑制できる。また、第1厚さT1及び第2厚さT2を大きくすることで、第1樹脂部30と第3樹脂部50との間の密着性を向上できる。これにより、ポップコーン現象を抑制するとともに、第2樹脂部40の変形により発光素子12及び第1接着層13への応力を吸収して劣化を抑制することができる。
【0069】
以下、実施形態に係る光結合装置の製造方法について、説明する。
実施形態に係る光結合装置の製造方法では、まず、第1リードフレーム11に第1接着層13を介して発光素子12を接着し、第1リードフレーム11と発光素子12とを第1ボンディングワイヤ14で接続する。同様に、第2リードフレーム21に第2接着層23を介して受光素子22を接着し、第2リードフレーム21と受光素子22とを第2ボンディングワイヤ24で接続する。
【0070】
実施形態に係る光結合装置の製造方法では、次に、コーヒーリング効果を有する第1組成物溶液を第1リードフレーム11に塗布し、乾燥させることで、第1樹脂部30を形成する。これにより、外周端部が厚く、中央部が薄い凹構造を有する分子膜が形成される。これにより、第1部分31と第2部分32とを有する第1樹脂部30が形成される。このとき、発光素子12及び第1接着層13の上から第1組成物溶液を塗布することで、第3部分33を形成することができる。あるいは、このとき、発光素子12及び第1接着層13を避けて組成物溶液を塗布することで、第3部分33の形成を省略できる。
【0071】
「コーヒーリング効果」とは、分散媒に分散質が分散された分散液(組成物溶液)において、分散媒が蒸発する際に、液滴の中央部と外周端部との蒸発速度の差によって、外周端部に中央部よりも多くの分散質が堆積するという性質である。コーヒーリング効果を有する組成物溶液を塗布し、乾燥させることで、外周端部が厚く、中央部が薄い凹構造を有する膜を容易に形成することができる。
【0072】
1つの例において、第1組成物溶液は、分子量が10,000以上100,000以下の樹脂と、溶媒と、を含む。樹脂は、例えば、芳香族ポリアミドイミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、及びポリアミド系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。溶媒は、樹脂を均一に分散可能なものであればよい。
【0073】
別の例において、第1組成物溶液は、エポキシ樹脂と、無機フィラーと、溶媒と、を含む。エポキシ樹脂は、例えば、光透過性を有する。エポキシ樹脂の熱膨張係数は、例えば、30ppm/K以上100ppm/K以下である。無機フィラーは、例えば、シリカ系である。無機フィラーは、例えば、光透過性を有する。無機フィラーの粒径は、例えば、0.1μm以上15μm以下である。無機フィラーの熱膨張係数は、0.3ppm/K以上2ppm/K以下である。溶媒は、エポキシ樹脂及び無機フィラーを均一に分散可能なものであればよい。
【0074】
第1組成物溶液の接触角ヒステリシスは、5°以上であること好ましい。また、第1組成物溶液の粘度は、300mPa・s以下であることが好ましい。第1組成物溶液の固形分濃度は、0.05質量%以上30質量%以下であることが好ましく、3質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。これらのうち少なくともいずれかを満たす第1組成物溶液であれば、コーヒーリング効果が発生しやすい。特に、第1組成物溶液の接触角ヒステリシスが5°以上であれば、第1厚さT1と第2厚さT2との差が大きくなりやすい。
【0075】
第1組成物溶液に含まれる樹脂の分子形状、樹脂の大きさ、第1組成物溶液の体積分率、第1組成物溶液のpHなどにより、形成される第1樹脂部30の各部の厚さ(第1厚さT1や第2厚さT2など)を調整することができる。
【0076】
実施形態に係る光結合装置の製造方法では、次に、第2組成物溶液を第1樹脂部30の第1部分31の内側に塗布し、乾燥させることで、第2樹脂部40を形成する。このとき、第1部分31が設けられていることで、第2組成物溶液の濡れ拡がりが抑制される。第2組成物溶液は、例えば、光透過性を有するエポキシ樹脂と、光透過性を有するシリコーンと、溶媒と、を含む。溶媒は、エポキシ樹脂及びシリコーンを均一に分散可能なものであればよい。
【0077】
実施形態に係る光結合装置の製造方法では、次に、第3組成物の樹脂タブレットをモールド成形し、硬化させることで、第3樹脂部50を形成する。第3組成物は、例えば、光透過性を有するエポキシ樹脂と、光透過性を有する無機フィラーと、溶媒と、を含む。溶媒は、エポキシ樹脂及び無機フィラーを均一に分散可能なものであればよい。
【0078】
実施形態に係る光結合装置の製造方法では、次に、第4組成物の樹脂タブレットをモールド成形し、硬化させることで、第4樹脂部60を形成する。第4組成物は、例えば、エポキシ樹脂と、遮光性を有する無機フィラーと、溶媒と、を含む。溶媒は、エポキシ樹脂及び無機フィラーを均一に分散可能なものであればよい。
【0079】
以上のように、本発明の実施形態によれば、信頼性を向上できる光結合装置が提供される。
【0080】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0081】
11 第1リードフレーム、 11a 支持部、 11b 端子部、 12 発光素子、 13 第1接着層、 14 第1ボンディングワイヤ、 21 第2リードフレーム、 21a 支持部、 21b 端子部、 22 受光素子、 23 第2接着層、 24 第2ボンディングワイヤ、 30 第1樹脂部、 30a 凹凸、 31 第1部分、 32 第2部分、 33 第3部分、 33a~33c 第1~第3領域、 40 第2樹脂部、 50 第3樹脂部、 60 第4樹脂部、 100、100A、100B 光結合装置
図1
図2
図3
図4
図5