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特許7562499浄水処理で生じた排水の処理方法および浄水処理で生じた排水の処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】浄水処理で生じた排水の処理方法および浄水処理で生じた排水の処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/52 20230101AFI20240930BHJP
   C02F 11/00 20060101ALI20240930BHJP
   C02F 11/147 20190101ALI20240930BHJP
   C02F 1/56 20230101ALI20240930BHJP
   B01D 21/00 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
C02F1/52 Z
C02F11/00 B ZAB
C02F11/147
C02F1/56 Z
B01D21/00 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021191452
(22)【出願日】2021-11-25
(65)【公開番号】P2023077940
(43)【公開日】2023-06-06
【審査請求日】2023-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】591030651
【氏名又は名称】水ing株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100354
【弁理士】
【氏名又は名称】江藤 聡明
(72)【発明者】
【氏名】矢出 乃大
(72)【発明者】
【氏名】森 康輔
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-224010(JP,A)
【文献】特開2018-153730(JP,A)
【文献】特開2008-023417(JP,A)
【文献】特開2004-141770(JP,A)
【文献】特開平11-033561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D21/00-21/34
C02F1/52-1/56
C02F11/00-11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浄水処理で生じた洗浄排水を排水池に移送する第1の移送工程と、
浄水処理で生じた上水汚泥を排泥池に移送する第2の移送工程と、
前記排泥池の上澄水である排泥池上澄水を前記排水池に移送する第3の移送工程と、
前記排泥池で生じた排泥池汚泥を濃縮する濃縮槽の濃縮槽上澄水を前記排水池に移送する第4の移送工程と、
前記濃縮槽で生じた濃縮汚泥を脱水する脱水設備で生じた脱水ろ液を前記排水池に移送する第5の移送工程と、
前記排水池の内部を撹拌して被処理水を得る撹拌工程と、
前記被処理水に対して凝集沈殿処理を行い、凝集沈殿処理水および凝集沈殿汚泥を得る凝集沈殿処理工程と、
前記凝集沈殿処理水を前記浄水処理の前段工程に返送する返送工程と、
を有することを特徴とする浄水処理で生じた排水の処理方法。
【請求項2】
前記凝集沈殿処理工程と前記返送工程との間に、前記凝集沈殿処理工程で得られた凝集沈殿処理水を生物処理して生物処理水を得る生物処理工程を有し、
前記返送工程において、前記凝集沈殿処理水に代えて、前記生物処理で得られた生物処理水を前記浄水処理の前段工程に返送することを特徴とする請求項1に記載の浄水処理で生じた排水の処理方法。
【請求項3】
前記凝集沈殿処理工程で得られた凝集沈殿汚泥の少なくとも一部に高分子凝集剤を添加して分離汚泥を得る分離汚泥取得工程と、
得られた分離汚泥を前記凝集沈殿処理工程に返送する分離汚泥返送工程と、
を有することを特徴とする請求項1または2に記載の浄水処理で生じた排水の処理方法。
【請求項4】
浄水処理で生じた洗浄排水を排水池に移送する第1の移送手段と、
浄水処理で生じた上水汚泥を排泥池に移送する第2の移送手段と、
前記排泥池の上澄水である排泥池上澄水を前記排水池に移送する第3の移送手段と、
前記排泥池で生じた排泥池汚泥を濃縮する濃縮槽の濃縮槽上澄水を前記排水池に移送する第4の移送手段と、
前記濃縮槽で生じた濃縮汚泥を脱水する脱水設備で生じた脱水ろ液を前記排水池に移送する第5の移送手段と、
排水池の内部を撹拌して被処理水を得る撹拌手段と、
前記被処理水に対して凝集沈殿処理を行い、凝集沈殿処理水および凝集沈殿汚泥を得る凝集沈殿処理手段と、
前記凝集沈殿処理水を前記浄水処理の前段設備に返送する返送手段と、
前記凝集沈殿処理手段から前記凝集沈殿汚泥を引き抜く引き抜き手段と、
前記引き抜き手段で引き抜かれた前記凝集沈殿汚泥の少なくとも一部に高分子凝集剤を添加して分離汚泥を得る高分子凝集剤添加手段と、
前記分離汚泥を前記凝集沈殿処理手段に返送する分離汚泥返送手段と、
を有することを特徴とする浄水処理で生じた排水の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浄水処理で生じた排水の処理方法および浄水処理で生じた排水の処理装置に関し、特に、浄水処理設備の洗浄で生じた洗浄排水を処理して浄水処理の前段工程に返送する、浄水処理で生じた排水の処理方法および浄水処理で生じた排水の処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の、非特許文献1に係る浄水処理の急速ろ過池で発生した洗浄排水の処理を、図18および図19に基づき説明する。
【0003】
図18および図19は、従来の浄水処理ならびに浄水処理で発生した洗浄排水および上水汚泥の処理を示すフローシートであり、両者は排泥池上澄水等を排水池に送るか送らないかの点において異なる。
【0004】
従来の浄水場の急速ろ過方式の浄水処理工程では、水道原水はまず着水井150に入り、凝集混和池152(薬品混和池)で無機凝集剤を添加されたうえフロック形成池で凝集フロックを形成させる。凝集フロックは次の沈殿池156で固液分離されて凝集沈殿処理水を得る。その凝集沈殿処理水は急速ろ過池158に送られて沈殿池156では除去できなかった微細な濁質等をろ過槽でろ過し、ろ過水を得る。そのろ過水を消毒して水道水を得る。一方、沈殿池156から引き抜かれる上水汚泥は排泥池160に送られて、排泥池160から濃縮槽152で濃縮されて、濃縮された汚泥を脱水設備174(脱水機)で脱水する。
【0005】
急速ろ過池158は定期的にろ過層を洗浄する必要があり、その際に一時的に急速ろ過池158から洗浄排水が多量に発生する。この急速ろ過池158の洗浄排水は排水池166を経由して、その全量を未処理のまま、あるいは、非特許文献1に示すように、図18図19に示す浮上処理を行い、その処理水を返送水として着水井150に返送する。
【0006】
返送水は浄水処理の前段工程に位置する着水井150に移送されて、浄水処理工程で水道原水と混合処理される。非特許文献1の発明によれば、返送に先立ち、急速ろ過池158からの洗浄排水に対して浮上処理を行うことで、洗浄排水中のSSや濁質をある程度除去することができる。
【0007】
特許文献1は、浄水処理施設におけるろ過池の洗浄排水を排水池に一旦貯留し、排水池の洗浄排水を膜ろ過装置でろ過し、膜ろ過水を洗浄水として洗浄水槽に貯留し、洗浄水槽の洗浄水をろ過池へ供給してろ過池の洗浄を行ない、洗浄排水を排水池に戻して循環再利用することを特徴とするろ過池洗浄排水の処理方法を開示する。
【0008】
特許文献1の発明によれば、膜ろ過水によってろ過池の洗浄が行われるので、通常の砂ろ過した処理水を使用する場合と比較してろ過池の洗浄効果が高くなる。
【0009】
特許文献2は、(1)原水に無機凝集剤を添加するとともに、高分子凝集剤を含む返送汚泥を添加して凝集反応を行わせる凝集工程、(2)凝集工程で生成した凝集フロックを固液分離する固液分離工程、(3)固液分離工程から得られる処理水を逆浸透膜装置及び/又はイオン交換装置に通水して脱塩する脱塩工程、(4)固液分離工程から排出される凝集汚泥の一部を凝集工程に返送する汚泥返送工程、並びに(5)凝集工程に返送される凝集汚泥に高分子凝集剤を添加する工程を有することを特徴とする純水製造方法を開示する。
【0010】
特許文献2に記載の発明によれば、凝集工程の際に生成するフロックの径が大きくなり、その結果、固液分離工程から得られる処理水中のSS濃度を小さくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特許第3859402号公報
【文献】特開平11-104696号公報
【非特許文献】
【0012】
【文献】社団法人日本水道協会出版、水道施設設計指針(2012年) 2012年7月出版、5.22 排水処理施設、378~381頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
非特許文献1の浄水処理の急速ろ過池で発生した洗浄排水の処理によれば、洗浄排水の浮上処理により洗浄排水中のSSや濁質をある程度除去することができるものの、浮上処理が効果的な濁質はその濁質に気泡が付着しやすく、浮きやすい濁質である。すなわち、浄水処理で生じる排水中の水道原水由来の濁質である粘土成分などや無機凝集剤の加水分解物である水酸化アルミニウムなどは親水性を有し、その密度が1g/cm以上で水より重いことから、浄水処理で生じる排水中の濁質成分は浮上処理により除去することが困難である。
【0014】
また、急速ろ過池や活性炭吸着池や膜ろ過装置の洗浄工程時に、一時的に多量の洗浄排水が発生して、その洗浄排水が間欠的に多量に排水池に流入するので、流入時の衝撃で排水地に堆積する汚泥が巻き上がり、排水池上澄水のSSや濁度等の水質が悪化する。また、洗浄排水流入頻度が多いと、排水池で固液分離できるだけの十分な滞留時間が確保できないために、やはり排水池上澄水のSSや濁度等の水質が悪化し、この水質の悪化が着水井に返送される返送水の水質に影響する。
【0015】
特許文献1の発明によれば、通常の砂ろ過した処理水を使用する場合と比較してろ過池の洗浄効果が高くなるものの、着水井に返送される洗浄排水に対しては何ら処理がなされていないため、着水井に返送される返送水の水質の問題は解決されていない。
【0016】
特許文献2に開示された純水製造方法では、その過程で沈殿槽から生じた凝集汚泥を循環利用することが開示されているものの、この純水製造方法で生じた排水処理については全く触れられていない。
【0017】
上記課題を鑑みてなされた本願発明の目的は、浄水処理で生じた排水を処理して浄水処理の前段工程に返送する排水の処理方法において、処理後の返送水の水質を従来よりも安定的に向上させ得る排水の処理方法および排水の処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、上記目的の達成に向け、鋭意検討したところ、浄水処理における急速ろ過池等の洗浄で生じた洗浄排水や上水汚泥の処理の過程で生じた液部(排泥池の上澄水など)が流入する排水池を撹拌することで、排水池中の液質、すなわち、被処理水の水質が均質化され、この均質化された被処理水を凝集沈殿処理に供することで水道原水由来の濁質や無機凝集剤の加水分解物である水酸化アルミニウムなどが分離され、従来よりも安定的に水質が向上した返送水が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0019】
すなわち、上記目的は、浄水処理で生じた洗浄排水を排水池に移送する第1の移送工程と、浄水処理で生じた上水汚泥を排泥池に移送する第2の移送工程と、前記排泥池の上澄水である排泥池上澄水を前記排水池に移送する第3の移送工程と、前記排泥池で生じた排泥池汚泥を濃縮する濃縮槽の濃縮槽上澄水を前記排水池に移送する第4の移送工程と、前記濃縮槽で生じた濃縮汚泥を脱水する脱水設備で生じた脱水ろ液を前記排水池に移送する第5の移送工程と、前記排水池の内部を撹拌して被処理水を得る撹拌工程と、前記被処理水に対して凝集沈殿処理を行い、凝集沈殿処理水および凝集沈殿汚泥を得る凝集沈殿処理工程と、前記凝集沈殿処理水を前記浄水処理の前段工程に返送する返送工程と、を有することを特徴とする浄水処理で生じた排水の処理方法により達成されることが見いだされた。
【0020】
本発明に係る浄水処理で生じた排水の処理方法の好ましい態様は以下の通りである。
(1)凝集沈殿処理工程と返送工程との間に、凝集沈殿処理工程で得られた凝集沈殿処理水を生物処理して生物処理水を得る生物処理工程を有し、返送工程において、凝集沈殿処理水に代えて、生物処理で得られた生物処理水を浄水処理の前段工程に返送する。これにより、凝集沈殿処理工程で得られた凝集沈殿処理水中に残存する有機物、鉄、マンガンおよび藻類がさらに生物処理で除去されることから、浄水処理の前段工程に返送される返送水の水質がさらに向上する。
(2)凝集沈殿処理工程で得られた凝集沈殿汚泥の少なくとも一部に高分子凝集剤を添加して分離汚泥を得る分離汚泥取得工程と、得られた分離汚泥を凝集沈殿処理工程に返送する分離汚泥返送工程と、を有する。このように、高分子凝集剤が添加された分離汚泥が凝集沈殿処理工程に返送されることで、凝集沈殿処理工程で形成される凝集フロックの沈降性が向上し、その結果、浄水処理の前段工程に返送される返送水の水質がさらに向上する。
【0021】
また、上記目的は、浄水処理で生じた洗浄排水を排水池に移送する第1の移送手段と、浄水処理で生じた上水汚泥を排泥池に移送する第2の移送手段と、前記排泥池の上澄水である排泥池上澄水を前記排水池に移送する第3の移送手段と、前記排泥池で生じた排泥池汚泥を濃縮する濃縮槽の濃縮槽上澄水を前記排水池に移送する第4の移送手段と、前記濃縮槽で生じた濃縮汚泥を脱水する脱水設備で生じた脱水ろ液を前記排水池に移送する第5の移送手段と、排水池の内部を撹拌して被処理水を得る撹拌手段と、前記被処理水に対して凝集沈殿処理を行い、凝集沈殿処理水および凝集沈殿汚泥を得る凝集沈殿処理手段と、前記凝集沈殿処理水を前記浄水処理の前段設備に返送する返送手段と、前記凝集沈殿処理手段から前記凝集沈殿汚泥を引き抜く引き抜き手段と、前記引き抜き手段で引き抜かれた前記凝集沈殿汚泥の少なくとも一部に高分子凝集剤を添加して分離汚泥を得る高分子凝集剤添加手段と、前記分離汚泥を前記凝集沈殿処理手段に返送する分離汚泥返送手段と、を有することを特徴とする浄水処理で生じた排水の処理装置によっても達成することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、浄水処理設備の洗浄により洗浄排水が一時的に多量に発生することで、排水池での固液分離が不十分となり、これが返送水の水質変動・悪化の要因となっていたところ、洗浄排水や上水汚泥の処理の過程で生じた液部(排泥池の上澄水など)が流入する排水池を撹拌することで、得られた被処理水の水質が均質化されることとなる。そして、このように水質が均質化された被処理水が凝集沈殿処理に供されることで、従来の浮上処理よりも水道原水由来の濁質を除去することができ、上記被処理水の水質安定化効果と相まって返送水の水質を安定的に向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の浄水処理で生じた排水の処理方法の一例を説明するためのフローチャートである。
図2】本発明の浄水処理で生じた排水の処理方法の他の例を説明するためのフローチャートである。
図3】本発明の浄水処理で生じた排水の処理方法による処理フローの代表例を示す模式図である。
図4】撹拌工程における撹拌に空気撹拌を選択した場合の一例を示す模式図である。
図5】同じく、撹拌工程における撹拌にドラフトチューブおよび空気撹拌の組み合わせを選択した場合の一例を示す模式図である。
図6】(A)同じく、撹拌工程における撹拌にポンプ循環撹拌を用いた場合の一例を示す排水池の吐出部横断面図であり、(B)排水池の縦断面図である。
図7】同じく、撹拌工程における撹拌にポンプ循環撹拌を用いた場合の他の例を示す排水池の吐出部横断面図である。
図8】凝集沈殿処理工程で用いられる凝集沈殿処理系の一例を示す模式図である。
図9】凝集沈殿処理工程で用いられる凝集沈殿処理系の他の例を示す模式図である。
図10】生物処理を付加した本発明の浄水処理で生じた排水の処理方法の処理フローを示す模式図である。
図11】生物処理工程で用いられる生物処理系の一例を示す模式図である。
図12】分離汚泥を返送する、本発明の浄水処理で生じた排水の処理方法の処理フローの一例の示す模式図である。
図13図8の凝集沈殿処理系の変形例である。
図14図9の凝集沈殿処理系の変形例である。
図15】分離汚泥を返送する、浄水処理で生じた排水の処理方法の処理フローの参考例を示す模式図である。
図16】本発明の浄水処理で生じた排水の処理装置10を示す模式図である。
図17】分離汚泥を返送する、浄水処理で生じた排水の処理装置の参考例を示す模式図である。
図18】従来の、浄水処理ならびに浄水処理で発生した洗浄排水および上水汚泥の処理を示すフローシートである。本フローシートでは、洗浄排水のみが排水池に移送される。
図19】従来の、浄水処理ならびに浄水処理で発生した洗浄排水および上水汚泥の処理を示すフローシートである。本フローシートでは、洗浄排水に加えて排泥池上澄水等も排水池に移送される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<浄水処理で生じた排水の処理方法>
図1は、本発明の浄水処理で生じた排水の処理方法の一例を説明するためのフローチャートであり、図3は、本発明の浄水処理で生じた排水の処理方法による処理フローの代表例を示す模式図である。本発明は、洗浄排水を排水池に移送する第1の移送工程(S100)と、上水汚泥を排泥池に移送する第2の移送工程(S101)と、排泥池の上澄水を排水池に移送する第3の移送工程(S102)と、濃縮槽の濃縮槽上澄水を排水池に移送する第4の移送工程(S103)と、脱水設備で生じた脱水ろ液を排水池に移送する第5の移送工程(S104)と、排水池の内部を撹拌して被処理水を得る撹拌工程(S105)と、被処理水に対して凝集沈殿処理を行い、凝集沈殿処理水および凝集沈殿汚泥を得る凝集沈殿処理工程(S110)と、凝集沈殿処理水を前記浄水処理の前段工程に返送する返送工程(S130)と、を有する。
【0025】
浄水処理は、従来技術を説明する図18および図19に示すように、水道原水を着水井150に貯留し、凝集混和池152から急速ろ過池158までの処理を経て、ろ過水を得て、さらに消毒を行い、水道水を得るまでの処理である。本明細書において、浄水処理の前段工程というときは、無機凝集剤が添加される凝集混和池152よりも前の工程をいうものとする。
【0026】
洗浄排水は、急速ろ過池158のろ過槽の洗浄により発生し、また、上水汚泥は、沈殿池156から排泥される。
(排水)
本発明において、浄水処理で生じる排水は、洗浄排水および浄水処理で発生する凝集沈殿処理汚泥である上水汚泥である。
(被処理水)
本発明において、処理の対象となる被処理水は、浄水処理で発生する洗浄排水、従来の浄水場の排水処理工程で発生する上水汚泥を受け入れる排泥池の上澄水である排泥池上澄水、排泥池で生じた排泥池汚泥を濃縮する(重力)濃縮槽の濃縮槽上澄水、濃縮槽で生じた濃縮汚泥を脱水する脱水設備からの脱水ろ液を含む。
【0027】
洗浄排水は、浄水工程での急速ろ過池の逆流洗浄排水、活性炭吸着池の逆流洗浄排水、浄水工程に生物膜ろ過工程がある場合には、その逆流洗浄排水、更に、本発明で付加される生物膜ろ過の洗浄排水を含む。
【0028】
浄水工程が急速ろ過方式と、膜ろ過方式が並列である場合、浸漬型膜ろ過装置から排出される濃縮液または、ケーシング収納型(以下、「ケーシング型」とも呼ぶ)膜ろ過装置で、膜洗浄用薬品を含まない膜洗浄排水も本発明の洗浄排水に含まれる。
(放流水)
本発明は排水処理の被処理水を凝集沈殿処理工程(S110)に供し、得られた凝集沈殿処理水を浄水処理の前段工程に返送する以外に、凝集沈殿処理水の少なくとも1部を河川等の公共水域に放流することもできる。凝集沈殿処理工程(S110)に供することで、被処理水が高度に浄化されて、河川等の水環境の維持、向上に寄与する。
【0029】
以下、図1および図3に基づき、本発明の浄水処理で生じた排水の処理方法を説明する。
【0030】
[第1の移送工程(S100)]
本工程では、浄水処理で生じた洗浄排水を排水池11に移送する(以上、第1の移送工程(S100))。
【0031】
[第2の移送工程(S101)]
本工程では、浄水処理で生じた上水汚泥を排泥池13に移送する。上水汚泥の定義は既に述べたとおりであり、例えば、図18および図19に示すように、浄水処理における沈殿池156から排泥される凝集沈殿汚泥である(以上、第2の移送工程(S101))。
【0032】
[第3の移送工程(S102)]
本工程では、排泥池13の上澄水である排泥池上澄水を排水池11に移送する。排泥池13では固液分離が行われ、排泥池上澄水を排水池11に移送する一方、沈殿部である排泥池汚泥は濃縮槽15に移送される(以上、第3の移送工程(S102))。
【0033】
[第4の移送工程(S103)]
本工程では、排泥池13で生じた排泥池汚泥を濃縮する濃縮槽15の濃縮槽上澄水を排水池11に移送する。濃縮槽15では、濃縮汚泥と濃縮槽上澄水に固液分離されて、濃縮槽上澄水は排水池11へ、濃縮汚泥は脱水設備17へ、それぞれ移送される(以上、第4の移送工程(S103))。
【0034】
[第5の移送工程(S104)]
本工程では、濃縮槽15で生じた濃縮汚泥を脱水する脱水設備17で生じた脱水ろ液を排水池11に移送する。脱水設備17では、濃縮汚泥を脱水し、脱水ケーキと脱水ろ液を得る。脱水ろ液は排水池11に移送される(以上、第5の移送工程(S104))。
【0035】
[撹拌工程(S105)]
本工程では、排水池11の内部を撹拌して被処理水を得る。排水池11に備えられた撹拌手段は、排水池11内の被処理水を均一に撹拌混合する。排水地11の池内部における撹拌は、撹拌翼を用いる機械撹拌、空気撹拌、およびポンプ循環撹拌から選択され、市販の撹拌装置を使用できる。
【0036】
機械撹拌、空気撹拌、ポンプ循環撹拌を複数組み合わせても良い。
【0037】
撹拌時間は、連続して撹拌しても良いが、後段の凝集沈殿処理工程が運転中の時間帯だけ間欠的に撹拌しても良い。また、大水量が一時的に流入する洗浄排水は、大水量なので、その水流だけで排水池11の被処理水の混合ができるので、洗浄排水流入中は撹拌装置を停止することができる。
【0038】
機械撹拌は小規模設備では有効な撹拌方法であるが、本発明の排水池11の撹拌には撹拌装置の大型化や撹拌動力の点から、空気撹拌またはポンプ循環撹拌が好適である。排水池11内部に上昇流を発生させるドラフトチューブを配備することで、空気撹拌またはポンプ循環撹拌単独より、排水池11の被処理水を効果的に均一に混合でき、動力費の低減になるので、ドラフトチューブの併用はより好適である。ドラフトチューブの場所は排水池11中心部に設置したり、排水池11の断面上に複数設置することもできる。
【0039】
ドラフトチューブを併用せず、空気撹拌だけで排水池11を撹拌する場合には、排水池の底部全面に空気配管を配備するより、図4に示すように、旋回流で排水池の被処理水を混合できるように空気配管を配備するのがよい。図4は、撹拌工程(S105)における撹拌に空気撹拌を選択した場合の一例を示す模式図である。
【0040】
図4の空気撹拌によれば、洗浄排水、排泥池上澄水、濃縮槽上澄水および脱水ろ液の混合液が、同時または別々に洗浄排水等流入部から排水池11に流入し、排水池底部から撹拌用空気を送り、旋回流による排水池内部を均一に撹拌する。洗浄排水等が流入後、均一にされた被処理水が被処理水配管を通って、次の凝集沈殿工程に移送される。
【0041】
また、図4によれば、排水池底部に配備された空気散気用配管から加圧空気が排水池11に導入されて、空気の上昇に伴って、排水池11の被処理水が旋回流で均一に混合撹拌される。この場合、排水池11底部の排泥配管から汚泥の排出はない。
【0042】
次に、撹拌がドラフトチューブおよび空気撹拌の組み合わせである場合の一例について、図5を参照しつつ説明する。
【0043】
図5のドラフトチューブおよび空気撹拌の組み合わせによれば、排水池11に配備されたドラフトチューブの下部から加圧空気を導入し、ドラフトチューブ内部での空気の上昇に伴い被処理水も上昇し、排水池11内部で被処理水の旋回流が発生して、被処理水が均一に混合撹拌される。
【0044】
さらに、撹拌がポンプ循環撹拌である場合の一例について、図6を参照しつつ説明する。図6(A)は、撹拌工程における撹拌にポンプ循環撹拌を用いた場合の一例を示す排水池の吐出部横断面図であり、同図(B)は、排水池の縦断面図である。図6において、排水池は上面視矩形の形状を有する。
【0045】
図6(A)に示すように、横断面部でのポンプ吐出部は、排水池11のコーナー部と、側面の中央部に配備できる。いずれもポンプから被処理水が吐出されると、側壁に沿って旋回流が発生して、排水池11内部が均一に混合撹拌される。
【0046】
また、図6(B)に示すように、排水池底部付近から被処理水を吸込み、循環ポンプで排水池の上部の吐出部で排出して、排水池11内部を循環ポンプで均一に混合撹拌する。
【0047】
さらに、撹拌がポンプ循環撹拌である場合の他の例について、図7を参照しつつ説明する。図7は、撹拌工程における撹拌にポンプ循環撹拌を用いた場合の他の例を示す排水池の吐出部横断面図である。図7において、排水池は上面視円形の形状を有する。排水池の形状以外に図6と比較して変わるところはないので、縦断面図については図6(B)を参照することとし、具体的な記載を省略する。
【0048】
図7に示すように、ポンプ吐出部は、排水池11の接線方向に配備され、循環ポンプから被処理水を排水池11の接線方向に吐出されると、側壁に沿って旋回流が発生して、排水池内部が均一に混合撹拌される。
【0049】
排水池11には、洗浄排水に加えて、浄水処理設備の沈殿池156から排泥される上水汚泥を受入れる排泥池13の上澄水である排泥池上澄水、排泥池13からの汚泥を受入れて濃縮する濃縮槽15の上澄水である濃縮槽上澄水、および濃縮槽15で濃縮された濃縮汚泥を受入れて脱水する脱水設備17からの脱水ろ液が移送されており、したがって、本工程では、洗浄排水、排泥池上澄水、濃縮槽上澄水、脱水ろ液の混合液を撹拌し、水量と水質を均等化した被処理水を得る(以上、撹拌工程(S105))。
【0050】
[凝集沈殿処理工程(S110)]
本工程では、被処理水に対して凝集沈殿処理を行い、凝集沈殿処理水および凝集沈殿汚泥を得る。
【0051】
図8は、凝集沈殿処理工程で用いられる凝集沈殿処理系の一例を示す模式図である。民間事業所の排水処理の凝集沈殿処理は、同図のように、混合槽と凝集槽と、沈殿槽で構成されて、沈殿槽は上向流式凝集沈殿槽が一般的である。
【0052】
混合槽では、被処理水に無機凝集剤と、凝集pH調整のためにpH調整剤として、硫酸のような酸や苛性ソーダのようなアルカリ剤が添加されて、被処理水のSS等が無機凝集剤の凝結作用で微小フロックとなる。
【0053】
凝集槽では高分子凝集剤を添加し、上向流式凝集沈殿槽で固液分離しやすい凝集フロックを生成する。上向流式凝集沈殿槽のセンターウエルに凝集フロックを含む被処理水を導き、センターウエルの下部で被処理水が上向流になり、凝集沈殿処理水と凝集フロックが固液分離される。凝集フロックは沈殿槽の下部に沈降、濃縮して、凝集沈殿汚泥として、沈殿槽下部から引き抜かれて、脱水等の処理がなされる。
【0054】
無機凝集剤は、市販品の硫酸バンド、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、ポリ硫酸第2鉄(ポリ鉄)、塩化第2鉄あるいはこれらの混合物が使用できる。また、これらの無機凝集剤を使用すると、被処理水のpHが低下することから、適正な凝集pHに調整するために、アルカリ剤として市販の苛性ソーダ等を使用する。
【0055】
本発明で用いられる高分子凝集剤は、浄水処理や浄水場の排水処理においては水道用高分子凝集剤である。
【0056】
水道用高分子凝集剤としては、市販品が使用されるが、特に限定されるものではない。そのような高分子凝集剤として、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、ポリアクリル酸アンモニウム、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸ナトリウム、ポリメタクリル酸カリウム、ポリメタクリル酸アンモニウムからなる群より選択されるいずれか1種以上を用いることが可能である。このうち特に好ましくは、ポリアクリル酸ナトリウムである。
【0057】
また、ポリアクリルアミド系高分子凝集剤も使用することができ、これは、ポリアクリルアミドとポリ(メタ)アクリル酸塩の共重合物であって、アニオン系高分子凝集剤として水道用高分子凝集剤の市販品が使用できる。
【0058】
一般に、浄水処理における水道用高分子凝集剤の注入率は、被処理水の量に基づき、0.01~1mg/Lである。
【0059】
高分子凝集剤は粉末品や液状品であり、それらを水道水等の溶解水に0.01~0.3重量%になるように溶解し、溶解調製された水道用高分子凝集剤は、注入量に合わせて、被処理水に添加する。
【0060】
さらに、図8の上向流式凝集沈殿槽を有する凝集沈殿処理系よりも省スペース化を図った凝集沈殿処理系の例を図9により説明する。図9は、凝集沈殿処理工程で用いられる凝集沈殿処理系の他の例を示す模式図である。図9の例では、凝集沈殿槽として高速造粒沈殿装置を採用する。図9の例の凝集沈殿処理系においては、混合槽で被処理水に無機凝集剤と、凝集pH調整のためにpH調整剤が添加される。被処理水配管途中で高分子凝集剤が添加されて、高速造粒沈殿装置下部で凝集フロックから強固で沈降性の良い造粒物が生成するので、容易に固液分されて、ブランケット層が形成される。被処理水は、ブランケット層を通過して、処理水として排出される。凝集沈殿汚泥はブランケット層から排泥される(以上、凝集沈殿処理工程(S110))。
【0061】
[返送工程(S130)]
本工程では、凝集沈殿処理水を浄水処理の前段工程に返送する。返送先の浄水処理の前段工程としては、図18および図19に示す凝集混和池152よりも前の工程であればどの工程でもよいが、水道原水を貯留する着水井150に返送することが一般的である(以上、返送工程(S130))。
【0062】
以上のように、本発明に係る浄水処理で生じた排水の処理方法は、浄水工程で発生する洗浄排水、排水処理工程で発生する重力濃縮槽の上澄水(濃縮槽上澄水)、脱水時の脱水ろ液、および排泥池の上澄水(排泥池上澄水)を、一旦排水池11に受け入れて混合液とし、排水池11の内部を撹拌して被処理水を得ることから、被処理水の濁度やSS等が均質化し、排水池11から一定流量で、凝集沈殿処理工程(S110)に移送して、凝集沈殿処理工程(S110)で、濁度やSS等を除去した後に、返送水として、浄水工程の着水井150に返送するものである。
【0063】
図3の本発明に係る浄水処理で生じた排水の処理方法と、図19の従来の浄水処理の急速ろ過池で発生した洗浄排水の処理との違いは以下の通りである。
(i)図3では排水池の目的は水量の均等化や水質の均質化であり、流量等の調整機能のみである。水質の均質化のために撹拌する。固液分離が目的でないので、排水池から排水池汚泥を排泥しない。
(ii)図3では排水池で固液分離しないので、排水池汚泥は発生せず、よって排水池汚泥は排泥池に移送しない。洗浄排水を含む被処理水は、固液分離せずに排水池で均等化、均質化して凝集沈殿処理に供する。
【0064】
(i)と(ii)の理由を以下に示す。
【0065】
すなわち、排水池を流量や水質調整のために使用する。急速ろ過池等の洗浄工程時に、一時的に多量に発生する洗浄排水が間欠的に多量に排水池に流入するので、排水池で固液分離できるだけの十分な滞留時間が確保できない。そのために、排水池では固形分離が十分にできない。固液分離が十分にできないので、排水池上澄水の水質は、流入する洗浄排水水質と変わらない。
【0066】
また、排水池での固液分離が十分でないので、汚泥が濃縮しにくく、排水池汚泥の汚泥濃度が高くならず、汚泥濃度が低い排水池汚泥を排泥池に移送すると、排水池汚泥と上水汚泥が流入する排水池でも固液分離と、汚泥の濃縮性が悪化する。
【0067】
(iii)図19の浮上処理を凝集沈殿処理としている。
【0068】
その理由は、凝集加圧浮上処理は、凝集沈殿処理に比べて、処理水質が劣り、清澄な処理水は得られないこと、凝集加圧浮上処理で発生するフロスは気泡を含むために濃縮や脱水困難であるためである。
【0069】
図19には示していないが、濃縮性の悪い上水汚泥には、その濃縮性を高めるために、濃縮槽の濃縮汚泥を更に凝集処理して濃縮、脱水することがある。凝集処理は凝集補助剤として高分子凝集剤を使用する。また、脱水前処理として添加した高分子凝集剤を含む脱水ろ液(脱水分離液)の残留高分子凝集剤の有効活用のために、2次濃縮槽の前段に返送することもある。
【0070】
濃縮槽の濃縮汚泥を脱水の前処理として残留する高分子凝集剤を含む脱水ろ液(脱水分離液)や凝集剤で凝集処理を行うことは、本発明の凝集沈殿処理と異なる。本発明の凝集沈殿処理工程(S110)の処理対象は、排水池で固液分離されない洗浄排水、排泥池上澄水、濃縮槽上澄水および脱水ろ液の混合液である。
【0071】
また、2次濃縮槽の上澄水を清澄するには、高分子凝集剤だけの添加では不十分である。清澄化には無機凝集剤と高分子凝集剤の併用は必須である。
【0072】
本発明に係る浄水処理で生じた排水の処理方法では、通常運転時には排水池11から排水池汚泥は引き抜かないので、排水池11の目的は固液分離でなく、水量の均等化や水質の均質化である。
【0073】
さらに、排水池11で固液分離しないので、排水池汚泥は発生せず、排水池汚泥が排泥池に移送されることがない。洗浄排水は固液分離せずに排泥池上澄水、濃縮槽上澄水および脱水ろ液と共に排水池で均等化、均質化して凝集沈殿処理工程(S110)に送られる。
【0074】
排水池11には、水量の均等化や水質の均質化、汚泥堆積防止のための撹拌装置を設ける。排水池11内部を撹拌することで、短時間に被処理水の水質の均質化を図る。
【0075】
撹拌装置は、任意の方法や市販の装置が使用でき、空気撹拌でも撹拌羽根等の機械撹拌でも、ポンプ循環によるポンプ撹拌でも良い。空気による撹拌は簡便で、排水池11内部の嫌気化が防止できるので好適である。
【0076】
また、上記のような撹拌装置以外に、洗浄排水による排水池11の撹拌もできる。間欠的に多量に排水池11に流入する洗浄排水の水流や流入時の衝撃で排水池11の被処理水を撹拌する。洗浄排水流入部は、排水池11の底部から上方向や排水池11の壁面に沿って下方向に複数個所を設けることができる。
【0077】
洗浄排水による排水池11の撹拌と、空気撹拌や機械撹拌やポンプ撹拌の任意の1つと組み合わせることができる。
【0078】
また、本発明の凝集沈殿処理工程(S110)の固液分離で発生する凝集沈殿汚泥は、上水汚泥と一緒に排泥池10に移送されて、上水汚泥と一緒に処理される。凝集沈殿処理工程(S110)からの処理水は返送水としても良いし、公共水域に放流してもよい。
【0079】
凝集沈殿処理工程(S110)は、上向流式凝集沈殿装置では混合槽と凝集槽と上向流式凝集沈殿槽で構成される(図8参照)。高速造粒沈殿装置では混合槽と、高速造粒沈殿装置で構成される(図9参照)。
【0080】
混合槽には無機凝集剤と、適正な凝集pHにするためにpH調整剤(酸・アルカリ等)が添加される。アルカリ剤は苛性ソーダ等、酸剤は硫酸等である。
【0081】
無機凝集剤注入率は濁度やSS濃度によるが、100~500mg/Lである。
上向流式凝集沈殿装置の凝集槽には高分子凝集剤が添加されて、凝集フロックが生成する。
【0082】
図8における上向流式凝集沈殿装置の場合、高分子凝集剤注入率は、原水量あたり0.5~2mg/Lである。図9における高速造粒沈殿装置の場合、高分子凝集剤注入率は原水量あたり1~5mg/Lである。
【0083】
本発明に係る浄水処理で生じた排水の処理方法、特に、洗浄排水、排泥池上澄水、濃縮槽上澄水、および脱水ろ液を被処理水として一緒に凝集沈殿処理することで、排水処理工程から着水井150に返送するすべての返送水の水質を清澄化することに加えて、以下の効果が得られる。
(1)冬季低水温時に濃縮性や沈降性の悪化時等によって濃縮槽15や脱水設備17からの上澄水や脱水ろ液の水質が悪化しても、それらを凝集沈殿処理することで清澄な返送水が確保できる。
(2)本発明の凝集沈殿処理の水面積負荷をアップすることで処理水量が増加でき、排水池11から被処理水を短時間で凝集沈殿処理に移送できるので排水池11の滞留時間が確保できて、排水池11での被処理水の水量や水質が安定化し、凝集沈殿処理効果に寄与する。
(3)凝集沈殿処理で、無機凝集剤と高分子凝集剤の併用は必須であるが、これに粉末活性炭などを組み合わせることで、着水井への返送水の濁度を含めて、藻類やピコプランクトン、色度やTOCのような有機物などの水質改善ができる。
【0084】
また、図3の代表例に係る浄水処理で生じた排水の処理方法は、凝集沈殿処理工程(S110)で得られた凝集沈殿処理水を返送工程(S130)において返送水として着水井150に返送しているが、図1に示すように、凝集沈殿処理工程(S110)と返送工程(S130)との間に生物処理工程(S120)を任意に有していてもよい。
【0085】
図10は、生物処理を付加した本発明の浄水処理で生じた排水の処理方法の処理フローを示す模式図であり、同図を参照して生物処理工程(S120)を付加した本発明の浄水処理で生じた排水の処理方法について説明する。なお、生物処理工程(S120)以外に変更するところはないので、生物処理工程(S120)以外の工程についてはここではその説明を省略する。
【0086】
[生物処理工程(S120)]
本工程では、凝集沈殿処理工程(S110)で得られた凝集沈殿処理水を生物処理して生物処理水を得る。
【0087】
本工程で使用する好気的な生物処理装置は、被処理水の有機物濃度が低いので、固液分離装置が不要な生物処理法を採用した装置であることが好ましい。例えば、生物処理水槽に接触材を配備した接触酸化法や、微生物が付着した担体を浮遊させる担体流動処理法や、生物膜ろ過法があるが、生物処理とろ過作用が備わり、清澄な処理水が得られる生物膜ろ過法が好適である。
【0088】
図11は、生物処理工程で用いられる生物処理系の一例を示す模式図であり、生物膜ろ過法を用いた生物処理系を示す。
【0089】
生物膜ろ過法に用いられる生物膜ろ過装置は、充填材が充填されている充填層と、充填層を支えるために砂利等で構成される支持層、充填層を好気的に維持するために装置底部に空気を散気させる散気配管と、充填層の逆流洗浄のための逆洗ポンプ等で構成される。原水は装置上部から流入し、充填層の充填材表面に生息する好気性微生物で、原水の有機物やアンモニア性窒素の分解や鉄イオンやマンガンイオンの酸化を行い、鉄等の水酸化物や原水のSSや濁度が充填層のろ過作用で被処理水から除去される。
【0090】
充填層を処理水槽の処理水を使って逆流洗浄し、装置上部から洗浄排水が排出される。逆流洗浄は、設定された生物膜ろ過時間ごとに行ったり、予め設定された充填層上部の水層の水位によって行われる。洗浄排水は浄水処理では排水処理設備で処理される。
【0091】
充填材は、アンスラサイト(有効径0.7~4.0mm、均等係数1.4以下、比重1.4~1.6)、粒状活性炭(有効径0.7~4.0mm、均等係数1.5以下、比重1.7以下)、ろ過砂等が利用できる。粒状活性炭は原料が石炭でもヤシ殻でもよい。また、活性炭吸着池の使用済み活性炭でも、その使用済み活性炭の乾燥品でも、賦活再生炭でも良い。
【0092】
図11の生物膜ろ過法を用いた生物処理系によれば、凝集沈殿処理水がその表面が微生物で覆われた充填材で形成される充填層を通過させることで、充填材表面に生息する微生物で有機物やアンモニア性窒素を分解、除去する。また、凝集沈殿処理水の濁度やSSは充填材によるろ過作用で除去でき、清澄な生物膜ろ過処理水が得られて、生物膜ろ過処理水を返送水として着水井に返送しても浄水処理の負荷に影響しない。
【0093】
得られた生物処理水は、返送工程(S130)に供される(以上、生物処理工程(S120))。
【0094】
生物処理を付加した本発明の浄水処理で生じた排水の処理方法によれば、凝集沈殿処理工程(S110)の凝集沈殿処理水を生物処理することで、凝集沈殿処理水に残留するBODや藻類などの有機物や濁度、SS、溶解性マンガンイオンや溶解性鉄イオンが除去できる。その結果、浄水工程でのBODや藻類などの有機物や溶解性マンガンイオンや溶解性鉄イオンの除去のための塩素の使用容量が削減でき、薬品費用の削減のみならず、トリハロメタンのような消毒副生成物が抑制できる。また、濁度、SSの除去のために無機凝集剤の削減と、無機凝集剤に起因するアルカリ剤の削減ができる。また、清澄な返送水を着水井150に移送するので、着水井150での水道原水の濁度などの水質変動が緩和されるので、安定した浄水処理ができて、維持管理作業量の低減にもなる。
【0095】
さらに、図3の代表例に係る浄水処理で生じた排水の処理方法では、凝集沈殿処理工程(S110)で生じた凝集沈殿汚泥の全量を上水汚泥の処理フローで処理していたが(図3、第1および第2の凝集沈殿汚泥)、一部を分離し、高分子凝集剤を添加した後、分離汚泥として再び凝集沈殿処理工程(S110)に返送することとしてもよい。
【0096】
図2は、本発明の浄水処理で生じた排水の処理方法の他の例を説明するためのフローチャートであり、図12は、分離汚泥を返送する、本発明の浄水処理で生じた排水の処理方法の処理フローの一例の示す模式図である。
【0097】
図2に示すように、本発明においては、凝集処理工程(S110)後、返送工程(S130)に向かうフローとは別に、分離汚泥取得工程(S200)および分離汚泥返送工程(S210)を経て、凝集処理工程(S110)へと移行するフローが挿入される。このフローに使用される凝集沈殿処理系として、例えば、図13および図14に係る凝集沈殿処理系を用いることができる。
【0098】
図13は、図8の上向流式凝集沈殿槽を有する凝集沈殿処理系の変形例である。図13の凝集沈殿処理系においては、上向流式凝集沈殿槽の底部から抜き出された凝集沈殿汚泥を混合槽と凝集槽との間に返送する配管が設けられており、この配管には、高分子凝集剤の添加点が設けられている。
【0099】
また、図14は、図9の高速造粒沈殿装置を有する凝集沈殿処理系の変形例である。図14の凝集沈殿処理系においては、高速造粒沈殿装置のブランケット層に設けられた凝集沈殿汚泥を排泥する配管が分岐し、分岐した先が混合槽から高速造粒沈殿装置の底部へと向かう配管に接続されてなる返送配管が設けられており、返送配管に高分子凝集剤の添加点が設けられている。
【0100】
以下、分離汚泥取得工程(S200)および分離汚泥返送工程(S210)を説明する。
【0101】
[分離汚泥取得工程(S200)]
本工程では、凝集沈殿処理工程(S110)で得られた凝集沈殿汚泥の少なくとも一部に高分子凝集剤を添加して分離汚泥を得る。
【0102】
図13の上向流式凝集沈殿槽を有する凝集沈殿処理系を用いた場合には、凝集沈殿処理工程(S110)で発生する凝集沈殿汚泥の少なくとも一部に高分子凝集剤を添加し、分離汚泥を得る。
【0103】
図14の高速造粒沈殿装置を有する凝集沈殿処理系を用いた場合には、高速造粒沈殿装置の引抜汚泥の少なくとも一部に高分子凝集剤を添加した分離汚泥を、無機凝集剤と適正な凝集pHにするための酸アルカリ剤を添加して被処理水のSS等が凝結された被処理水と混合する。
【0104】
高分子凝集剤の添加場所は、上向流式凝集沈殿槽でも高速造粒沈殿装置でも、分離汚泥の返送ポンプの吸込部や吐出部や返送配管の途中に設けたラインミキサーや混合槽である。返送配管の途中に設けた混合用水槽の撹拌は、機械撹拌でも分離汚泥による水流による撹拌でもよい。
【0105】
返送配管の途中に設けた混合用水槽での分離汚泥の滞留時間は撹拌方法や撹拌強度、返送流量やその濃度で変化するが、例えば0.2~3分間とすることができる。滞留時間が0.2分以上であれば高分子凝集剤と分離汚泥の混合が十分となる。一方、滞留時間が3分間以下であれば、返送泥配管の途中に設けた混合用水槽内に分離汚泥の凝集物が堆積する可能性や凝集性が低下する可能性を低く抑えることができる(以上、分離汚泥取得工程(S200))。
【0106】
[分離汚泥返送工程(S210)]
本工程では、得られた分離汚泥を凝集沈殿処理工程(S110)に返送する。
【0107】
図13の上向流式凝集沈殿槽を有する凝集沈殿処理系を用いた場合には、高分子凝集剤を添加した分離汚泥を凝集槽に返送し、凝集槽で凝集フロックを形成させて上向流式凝集沈殿槽で固液分離する。被処理水を無機凝集剤と、適正な凝集pHにするための酸アルカリ剤の添加で、被処理水のSS等が凝結された被処理水と、高分子凝集剤を添加した分離汚泥が凝集部で混合されることで、沈降性の良い凝集フロックが形成し、固液分離性能が向上する。
【0108】
図14の高速造粒沈殿装置を有する凝集沈殿処理系を用いた場合には、無機凝集剤と適正な凝集pHにするための酸アルカリ剤を添加して被処理水のSS等が凝結された被処理水と混合された分離汚泥を高速造粒沈殿装置の下部から上向流で通水する。被処理水と、高分子凝集剤を添加した分離汚泥が凝集部で混合されることで、沈降性の良い凝集フロックが形成し、固液分離性能が向上する。
【0109】
本工程では、返送配管の途中に汚泥流量計や汚泥濃度計を設置して、返送流量や汚泥濃度のモニターすることで、凝集沈殿処理工程(S110)での分離汚泥の返送量が制御できて、安定した機械的固液分離ができる。
【0110】
汚泥濃度の検出は近赤外光式汚泥濃度計、レーザー光式汚泥濃度計、マイクロ波汚泥濃度計などの市販の汚泥濃度計が使用できる。汚泥流量の検出は市販の電磁流量計や超音波流量計などが使用できる。汚泥を返送するポンプは市販品でよく、回転数制御で設定流量に調節して返送することができる(以上、分離汚泥返送工程(S210))。
【0111】
上記分離汚泥取得工程(S200)において、高分子凝集剤の添加率は分離汚泥の汚泥重量、すなわちSSに対して、0.05~5.0重量%対SSが好ましく、0.1~1.0重量%対SSとすることがより好ましい。
【0112】
従来のように、被処理水に高分子凝集剤を添加する場合は、高分子凝集剤注入率は被処理水量に対する高分子凝集剤の重量(mg/L)により算出されたが、本発明のように、高分子凝集剤を分離汚泥に添加する場合には、高分子凝集剤添加率としては汚泥処理の脱水等で使用されている「wt/wt%対SS」を指標とするのが好適である。本発明において、高分子凝集剤は被処理水の濁度やSS、分離汚泥の汚泥粒子の凝集を行うもので、SS等の固形物重量に対して、高分子凝集剤の添加率が決められるべきものである。処理水量に対する高分子凝集剤の添加率、mg/Lでは高分子凝集剤が作用するSSや汚泥の固形物量が考慮されていない。
【0113】
凝集沈殿処理工程(S110)で、分離汚泥のSSを含む被処理水SS濃度は分離汚泥の返送条件で変化するので、被処理水量または、処理水量に対する高分子凝集剤の重量とする高分子凝集剤注入率(単位としてはmg/L)では高分子凝集剤注入量の適正な管理や制御ができない。
【0114】
本発明のように分離汚泥の汚泥重量を基準に高分子凝集剤を添加した分離汚泥を凝集沈殿処理工程(S110)に返送して、被処理水と分離汚泥を凝集沈殿処理工程(S110)で混合することで、従来の被処理水の流量を基準とした高分子凝集剤の注入率設定方法に比べて、被処理水の性状及び被処理水の排水処理状況に関わらず、常に最適な添加量で高分子凝集剤を添加することが可能となる。これにより、高分子凝集剤の使用量を最適化して効率的な処理を行いながら、高い凝集効果を安定して継続的に得ることが可能となる。
【0115】
分離汚泥に高分子凝集剤を最適量で添加して凝集沈殿処理工程(S110)に返送すれば、さらに高分子凝集剤を凝集工程に追加添加する必要はない。凝集沈殿処理工程(S110)に追加添加しても、高分子凝集剤溶液の粘性のために凝集工程で分散均質化に時間がかかるので、かえって処理性が低下する可能性がある。
【0116】
上向流式凝集沈殿槽の前段の凝集槽のSSは、被処理水のSSと、無機凝集剤由来で主に鉄やアルミニウムの水酸化物であるSS、返送された分離汚泥由来のSSであり、凝集槽のSS濃度はそれらの合計濃度で、20~2000mg/Lである。
【0117】
高速造粒沈殿装置では、高速造粒沈殿装置底部入り口の前の配管で被処理水と分離汚泥が混合されるので、混合後のSSは被処理水のSSと、無機凝集剤由来で主に鉄やアルミニウムの水酸化物であるSS、返送された分離汚泥由来のSSであり、混合後のSS濃度はそれらの合計濃度で、20~2000mg/Lである。
【0118】
上向流式凝集沈殿槽でも高速造粒沈殿装置でも、上向流式凝集沈殿槽の凝集槽のSS濃度と、高速造粒沈殿装置底部入り口の前の配管のSS濃度は、被処理水SS濃度の1.5倍から20倍である。
【0119】
凝集沈殿処理工程(S110)の凝集槽には被処理水と、高分子凝集剤が添加された分離汚泥が流入し、その凝集槽の汚泥濃度、SS濃度は100~10000mg/Lが好ましく、SS濃度は500~2000mg/Lがより好ましい。
【0120】
また、被処理水のSSが300mg/Lを超える場合には、凝集槽のSS/被処理水SSの比が1.5~10が好ましく、2~5がより好ましい。
【0121】
また、沈降性の良い凝集フロックが生成するので、本発明の凝集沈殿処理工程(S110)から排出される凝集沈殿汚泥(図12、第1の凝集沈殿汚泥や第2の凝集沈殿汚泥)が、移送先の排泥池13や濃縮槽15でも沈降性や濃縮性が改善される。
【0122】
なお、汚泥濃度の指標としてSS(懸濁物質)やTS(Total solids:全蒸発残留物)がある。
【0123】
なお、本発明において、SS及びTSは以下の定義に従う。
SS:K 0102:2019 工場排水試験方法 14.1 懸濁物質
TS:K 0102:2019 工場排水試験方法 14.2 全蒸発残留物
さらに、図3の代表例に係る浄水処理で生じた排水の処理方法では、洗浄排水、排泥池上澄水、濃縮槽上澄水、および脱水ろ液を排水池11に移送し、これらを撹拌した混合液を被処理水としていたが、参考例として、洗浄排水のみを排水池11に移送する場合を以下に説明する。
【0124】
図15は、分離汚泥を返送する、浄水処理で生じた排水の処理方法の処理フローの参考例を示す模式図である。
【0125】
図15の処理フローによれば、移送工程(S100)において、洗浄排水のみを排水池11に移送し、被処理水とする。
【0126】
本発明の排水処理の対象の排水は、洗浄排水と、濃縮槽上澄水、脱水ろ液と、排泥池上澄水であるが、この中で、排水量やSS負荷量は洗浄排水>>濃縮槽上澄水>排泥池上澄水>>脱水ろ液である。したがって、排水量やSS負荷量が大きい洗浄排水を処理することで、図15に示すように、濃縮槽上澄水、脱水ろ液と、排泥池上澄水が未処理のまま着水井に返送されても、洗浄排水の排水量やSS負荷量に比べてその影響は小さい。しかしながら、高濁度原水時や冬季の低濁原水や低水温時には、浄水処理工程から排泥される上水汚泥の沈降性や濃縮性が悪化する。このような場合には同図の破線で示すように、濃縮槽上澄水を排水池に移送して、洗浄排水と一緒に凝集沈殿することで、水道原水のSS負荷量や濁度負荷量が抑えられる。
【0127】
図15の参考例に係る浄水処理で生じた排水の処理方法は、浄水工程で発生する洗浄排水だけを凝集沈殿処理工程で処理して、洗浄排水の濁度やSS等を除去した凝集沈殿処理水を返送水として、浄水工程の着水井150に返送するものである。
【0128】
洗浄排水と、濃縮槽上澄水、脱水ろ液と、排泥池上澄水のすべてを凝集沈殿処理することで、返送水の濁度やSS等が低減できて、浄水工程の負荷低減になる。しかし、洗浄排水は、一度に排出される排水量が多く、濁度やSS濃度が高濃度であるので、返送水の濁度やSS等が低減には、ますは、洗浄排水の凝集沈殿処理による濁度やSS等の除去が重要である。
<浄水処理で生じた排水の処理装置>
図16は、本発明の浄水処理で生じた排水の処理装置の代表例を示す模式図であり、本発明の浄水処理で生じた排水の処理装置10は、図示のように、第1の移送手段12と、第2の移送手段14と、第3の移送手段16と、第4の移送手段18と、第5の移送手段20と、撹拌手段22と、凝集沈殿処理手段24と、返送手段32と、引き抜き手段30と、高分子凝集剤添加手段26と、分離汚泥返送手段28と、を有する。
【0129】
第1の移送手段12は、浄水処理で生じた洗浄排水を排水池11に移送する手段である。
【0130】
第2の移送手段14は、浄水処理で生じた上水汚泥を排泥池13に移送する手段である。
【0131】
第3の移送手段16は、排泥池の上澄水である排泥池上澄水を排水池11に移送する手段である。
【0132】
第4の移送手段18は、排泥池13で生じた排泥池汚泥を濃縮する濃縮槽15の濃縮槽上澄水を排水池11に移送する手段である。
【0133】
第5の移送手段20は、濃縮槽15で生じた濃縮汚泥を脱水する脱水設備17で生じた脱水ろ液を排水池11に移送する手段である。
【0134】
排水池11の目的は固液分離ではなく、水量の均等化や水質の均等化であるので、上記のとおり撹拌手段22を有しており、通常運転時には排水池汚泥は引き抜かない。
【0135】
撹拌手段22は、排水池11の内部を撹拌して被処理水を得る手段である。図16では、撹拌手段22は、排水池11に撹拌用空気を送る空気撹拌装置であるが、これに限られたものではない。例えば、機械撹拌、ポンプ循環撹拌などの撹拌装置を用いることもでき、具体例については、図4図5図6図7で述べたとおりであり、ここではその説明を省略する。
【0136】
凝集沈殿処理手段24は、被処理水に対して凝集沈殿処理を行い、凝集沈殿処理水および凝集沈殿汚泥を得る手段である。<浄水処理で生じた排水の処理方法>の項目で述べたとおり、上向流式凝集沈殿槽を有する凝集沈殿処理系(図8参照)や、凝集沈殿槽として高速造粒沈殿装置を有する凝集沈殿処理系(図9参照)を適宜に用いることができるが、これらに限られるものではない。
【0137】
返送手段32は、凝集沈殿処理水を浄水処理の前段設備に返送する手段である。例えば、凝集沈殿処理手段24で得られた凝集沈殿処理水を、着水井150などの浄水処理工程の前段工程へと返送する配管やその配管内の液体を移送するためのポンプなど(図示せず)が挙げられる。
【0138】
なお、浄水処理の前段設備は、浄水処理における無機凝集剤が添加される凝集混和池152(図18および図19参照)よりも前の設備をいうものとする。
【0139】
引き抜き手段30は、凝集沈殿処理手段24から凝集沈殿汚泥を引き抜く手段であり、例えば、配管の両端が凝集沈殿槽に取り付けられ、返送ポンプを動力として一端から凝集沈殿汚泥を引き抜き、他端から引き抜いた凝集沈殿汚泥を凝集沈殿槽に循環させる返送配管が挙げられる。
【0140】
高分子凝集剤添加手段26は、引き抜き手段30で引き抜かれた凝集沈殿汚泥の少なくとも一部に高分子凝集剤を添加して分離汚泥を得る手段である。高分子凝集剤添加手段26は、例えば、返送ポンプの吸込部、吐出部または返送配管の途中に設けたラインミキサーや混合槽である。返送配管の途中に設けた混合槽の撹拌は、機械撹拌でも返送される汚泥の水流による撹拌でもよい。
【0141】
分離汚泥返送手段28は、分離汚泥を凝集沈殿処理手段24に返送する手段である。分離汚泥返送手段28は、例えば、上記一端から引き抜いた凝集沈殿汚泥を他端から凝集沈殿槽に循環させる返送配管である。すなわち、返送配管が採用される場合、返送配管は引き抜き手段30でもあり、分離汚泥返送手段28でもある。
【0142】
本発明の浄水処理で生じた排水の処理装置10によれば、浄水処理設備の洗浄により洗浄排水が一時的に多量に発生することで、排水池での固液分離が不十分となり、これが返送水の水質変動・悪化の要因となっていたところ、洗浄排水が撹拌する排水池に移送されることで排水池内の被処理水の水質・水量が均質化される。そして、このように水質が均質化された被処理水を凝集沈殿処理に供することで、従来の浮上処理よりも水道原水由来の濁質を除去することができ、上記被処理水の水質安定化効果と相まって返送される凝集沈殿処理水の水質を安定的に向上させることができる。
【0143】
さらに、洗浄排水、排泥池上澄水、濃縮槽上澄水および脱水ろ液が排水池11内部で撹拌手段22によって撹拌・均質化されて被処理水となり、この被処理水が凝集沈殿処理に供されることで、さらに返送水からSSや濁度成分が除去され、浄水処理工程でのSS負荷量や濁度負荷量が抑えられる。
【0144】
そのうえ、凝集沈殿処理手段24から引き抜かれた凝集沈殿汚泥の少なくとも一部に高分子凝集剤が添加されて分離汚泥となり、この分離汚泥が凝集沈殿処理手段24に返送されることで、凝集沈殿処理で形成される凝集フロックの沈降性が向上し、その結果、着水井150など浄水処理の前段設備に返送される返送水の水質がさらに向上する。
【0145】
なお、凝集沈殿処理手段24で得られた凝集沈殿汚泥(第1の凝集沈殿汚泥および第2の凝集沈殿汚泥)は、上水汚泥の処理フローに送泥される。
【0146】
以上、図16により、本発明の浄水処理で生じた排水の処理装置を説明したが、本発明によらない参考例としては、排水池11に洗浄排水のみを移送する場合が挙げられる。この場合、洗浄排水のみが排水池11内部で撹拌手段22によって撹拌・混合され、被処理水となり、この被処理水が凝集沈殿処理手段24に供され、凝集沈殿処理水(返送水)が得られる。これによれば、排水処理の対象となる排水のうち、排水量やSS負荷量の大きい洗浄排水を選択的に凝集沈殿処理に供することで、浄水処理の前段設備に返送される返送水から排水量やSSを効率的に低減させることができる。
【0147】
さらに、図16に係る本発明の浄水処理で生じた排水の処理装置から、凝集沈殿処理手段24で固液分離された凝集沈殿汚泥の一部を引き抜き、高分子凝集剤を添加して分離汚泥を得て、この分離汚泥を凝集沈殿処理手段24に返送するフローを削除する浄水処理で生じた排水の処理装置(参考例)を図17により説明する。
【0148】
図17は、本発明によらない、分離汚泥を返送する、浄水処理で生じた排水の処理装置の参考例を示す模式図である。
【0149】
図示のように、当該参考例に係る浄水処理で生じた排水の処理装置200には、図16の場合と比較して、引き抜き手段30、高分子凝集剤添加手段26、分離汚泥返送手段28が存在しない。
【0150】
しかし、このような場合であっても、被処理水の水質・水量が均質化された被処理水が凝集沈殿処理手段24に供されることで、凝集沈殿処理後に浄水処理の前段工程に供される返送水(凝集処理沈殿水)の水質を安定的に向上させることができる。
【0151】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。
【実施例
【0152】
1.参考例
河川水を水道原水とする浄水施設における急速ろ過設備の急速ろ過池から排出される砂ろ過洗浄排水(pH6.8、濁度60度、SS 80mg/L、M-アルカリ度30mg/L)を原水として、混合槽と高速造粒沈殿装置とを備える排水処理装置(図9参照)を用いて水処理試験を行った。
【0153】
表1に混合槽及び高速造粒沈殿装置の仕様及び試験条件を示す。尚、小規模試験では試験条件が設定しやすい完全混合型の混合槽を使用した。
【0154】
【表1】
【0155】
原水に無機凝集剤としてポリ塩化アルミニウム(以下、PAC)(純度は酸化アルミナとして10%)を注入率150mg/Lで添加し、混合槽内でpH6.5~7.0となるように水酸化ナトリウムを適宜に添加して調整した後、高速造粒沈殿装置内から引き抜いた凝集沈殿汚泥の一部に高分子凝集剤(アニオン性、水ing(株)製 エバグロースWA521)を添加した分離汚泥と、PACを含む原水とを、原水配管を経由して高速造粒沈殿装置底部に供給し、水面積負荷100~200mm/分で凝集沈殿処理した。返送する分離汚泥への高分子凝集剤添加率は分離汚泥のSS重量を基準として、0.38~2.7wt%対SSとした。
【0156】
また、比較として、分離汚泥に高分子凝集剤を添加せず、高分子凝集剤は高速造粒沈殿装置底部につながる原水配管に注入することとした試験も行った。この時の高分子凝集剤注入率は0~3.0mg/Lであった。表2に結果を示す。
【0157】
【表2】
【0158】
分離汚泥を返送せずに、高速造粒沈殿装置の原水配管に高分子凝集剤を添加した試験結果を表2に併記する。
【0159】
高分子凝集剤を添加せずに、高分子凝集剤を添加した分離汚泥を返送せずに、水面積負荷100mm/分で、PACだけで凝集沈殿処理すると、処理水SS濃度は42~44mg/Lであった(No.1-1~1-2)。
【0160】
PACを添加せずに、高分子凝集剤を添加した分離汚泥を返送せずに、原水に高分子凝集剤を添加して水面積負荷100mm/分で凝集沈殿処理すると、処理水SS濃度は33~35mg/Lであった(No.1-3~1-4)。
【0161】
高分子凝集剤を添加した分離汚泥を返送しないで、PACで凝結した原水に高分子凝集剤を添加し水面積負荷100mm/分で凝集沈殿処理すると、処理水SS濃度は10~15mg/Lであった(No.1-5~No.1-7)。
【0162】
高分子凝集剤添加率0.2~0.8wt%対SSで添加した分離汚泥を返送し、凝集部のSS濃度90mg/L、水面積負荷100mm/分で凝集沈殿処理すると、処理水SS濃度は2.5~3.4mg/Lであった(No.1-8~No.1-11)。水面積負荷を150mm/分では処理水SS濃度は4.3~4.8mg/Lであった(No.1-12~No.1-14)。水面積負荷200mm/分では処理水SS濃度は4.9~5.3mg/Lであった(No.1-15~No.1-17)。
【0163】
本発明の凝集沈殿処理工程を経由せずに、未処理の洗浄排水が返送水として返送されると、濁度60度、SS80mg/Lの洗浄排水が浄水工程で水道原水を混合されることになる。
【0164】
SS80mg/Lの原水をPAC150mg/Lで凝結後に高分子凝集剤2.0%対SSで添加した分離汚泥を返送して、水面積負荷100mm/分で凝集沈殿処理すると、その処理水SSが2.8mg/Lと大幅に低減した(No.1-10)。
【0165】
2.比較例1
参考例の原水を対象に、混合槽と凝集槽と、加圧浮上処理装置とを備える排水処理装置で水処理試験を行った。表3に完全混合型の混合槽及び加圧浮上処理装置の仕様及び試験条件を示す。
【0166】
【表3】
【0167】
原水にPACを注入率150mg/Lで添加し、混合槽内でpH6.5~7.0となるように水酸化ナトリウムで調整した後、凝集槽に参考例と同じ高分子凝集剤を添加し、上記緩速撹拌条件で10分間滞留させ、凝集水を得た。この凝集水に加圧水を加圧水比50%で添加して凝集加圧浮上処理試験を行った。また、加圧浮上処理前にPACや高分子凝集剤で凝集を行わない加圧浮上処理も同様に行った。
【0168】
加圧水は、表2のNo.1-10の処理水を使用し、その処理水に加圧空気を0.3MPaで空気を飽和させて、加圧水を調製した。加圧水は原水量に対して50%の加圧水を浮上装置の入口部で原水と混合した。表4に結果を示す。
【0169】
【表4】
【0170】
参考例と同様にPAC150mg/Lを混合槽に添加し、凝集加圧浮上処理で得られたフロスに、フロスのSS重量を基準として、3.3wt%対SS(原水量基準では3.0mg/L)を添加し、凝集槽のSS濃度が90mg/Lになるようにフロスを返送して、同様に凝集加圧浮上処理を行った。凝集加圧浮上処理の処理水SS濃度は22mg/Lであり、無薬注の加圧浮上処理より処理水SS濃度が大幅に低減できたが、参考例の表2のNo.1-11の処理水SS濃度2.5mg/Lに比べて、処理水SS濃度の低減はできなかった。比較例1の凝集加圧浮上処理よりも、参考例の凝集沈殿処理の方がより清澄な処理水が得られる。
【0171】
3.実施例1
砂ろ過洗浄排水、排泥池上澄水、濃縮槽上澄水および脱水ろ液の4種類の排水を各々の排水量比(表5参照)で混合調製したものを原水として、PAC(純度10%)注入率200mg/Lにして、参考例と同様に表1の試験装置と試験条件で試験を行った。
【0172】
上記4種類の排水の水質を表5に示す。
【0173】
【表5】
【0174】
原水は、pH6.8 、濁度63度、SS 82mg/L、M-アルカリ度31mg/L、BOD 28mg/Lであった。濁度、SS、M-アルカリ度については以下のように算出した。
【0175】
SS;80×1+100×0.05+100×0.05+75×0.01=90.75÷1.11=82mg/L
M-アルカリ度;30×1+35×0.05+40×0.05+35×0.01=34÷1.11=31mg/L
濁度;60×1+85×0.05+90×0.05+80×0.01=69.6÷1.11=63度
高分子凝集剤添加率は汚泥のSS重量を基準として、0.3~0.9wt%対SSとした。表6に結果を示す。
【0176】
【表6】
【0177】
高分子凝集剤を添加した分離汚泥を返送せずに、高分子凝集剤を原水配管に直接添加し、水面積負荷100mm/分で凝集沈殿処理すると、処理水SS濃度は13~18mg/Lであった(No.2-1~No.2-3)。
【0178】
高分子凝集剤添加率0.2~0.8wt%対SSで添加した分離汚泥を返送し、凝集部のSS濃度200mg/L、水面積負荷100mm/分の処理水SS濃度は2.8~3.8mg/Lであった(No.2-4~No.2-7)。水面積負荷を150mm/分では処理水SS濃度は4.5~4.8mg/Lであった(No.2-8~No.2-10)。水面積負荷200mm/分では処理水SS濃度は6.4~6.8mg/Lであった(No.2-11~No.2-13)。
【0179】
本発明の凝集沈殿処理工程を経由せずに、未処理の砂ろ過洗浄排水、排泥池上澄水、濃縮槽上澄水および脱水ろ液の4種類の混合排水が返送水として返送されると、SS82mg/Lの混合排水が浄水工程で水道原水を混合されることになるが、凝集沈殿処理することで、原水を未処理で返送するより浄水工程でのSS負荷が低減される。
【0180】
PAC凝結後の原水に注入率2.0mg/Lで高分子凝集剤を直接添加し、水面積負荷100mm/分で凝集沈殿処理すると、その処理水SS濃度は16mg/L、濁度17度、BOD 35mg/Lであった(No.2-2)。
【0181】
高分子凝集剤添加率0.4wt%対SSで添加した分離汚泥を返送し、凝集部のSS濃度200mg/L、水面積負荷200mm/分の処理水SS濃度は6.6mg/L、濁度6.8度、BOD 24mg/Lであった(No.2-12)。
【0182】
4.実施例2
以下に示す実施例1の複数の凝集沈殿処理水を対象に、表7に示す生物膜ろ過装置とその試験条件で試験を行った。
【0183】
【表7】
【0184】
生物膜ろ過の原水は、分離汚泥に高分子凝集剤を添加しなかった表6の試験番号No.2-2の凝集沈殿処理水(以下、原水A)であり、その水質はSS濃度 18mg/L濁度17度、BOD 35mg/L、溶解性マンガン濃度2.3mg/L、アンモニア性窒素1.2mg/Lであった。
【0185】
分離汚泥に高分子凝集剤を添加し、返送した表8の試験番号No.2-12の凝集沈殿処理水(以下、原水B)の水質は、SS濃度6.6mg/L、濁度6.8度、BOD 24mg/L、溶解性マンガン濃度2.3mg/L、アンモニア性窒素1.2mg/Lであった。原水Aおよび原水Bを生物処理に供して得られた生物膜処理水(生物処理水)の水質を以下の表8に示す。
【0186】
【表8】
【0187】
生物膜ろ過処理開始、10日後では、原水Aおよび原水Bの生物膜処理水はともに、溶解性マンガン濃度やアンモニア性窒素の除去が不十分であった。馴致段階であったと考えられる。
【0188】
生物膜ろ過処理開始、20日後には原水Aの生物膜処理水の水質は、SS濃度 2.3mg/L、濁度3.0度、BOD 5mg/L以下、溶解性マンガン濃度1.5mg/L、アンモニア性窒素0.8mg/Lとなった。原水Aは、凝集沈殿処理で凝結後の原水に直接、高分子凝集剤を添加したために、過剰の高分子凝集剤が凝集沈殿処理水である生物膜ろ過処理の原水に残留し、生物膜ろ過の充填層の高分子凝集剤による汚染があったものと考えられる。
【0189】
一方、生物膜ろ過処理開始、20日後には原水Bの生物膜処理水の水質は、SS濃度 1.5mg/L、濁度1.0度、BOD 5mg/L、溶解性マンガン濃度0.2mg/L、アンモニア性窒素0.1mg/Lとなった。高分子凝集剤を予め添加した分離汚泥を原水配管に添加することで、過剰の高分子凝集剤がなくなり、生物膜ろ過処理の原水の高分子凝集剤の残留もなく、良好に生物膜ろ過処理ができた。
【0190】
生物膜ろ過することで、返送水のSSや濁度が更に除去でき、浄水処理工程で塩素を消費する溶解性マンガンやアンモニア性窒素が除去できた。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19