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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】作業機及びマルチフィルム敷設装置
(51)【国際特許分類】
   A01G 13/00 20060101AFI20240930BHJP
   A01C 5/06 20060101ALI20240930BHJP
   A01C 11/02 20060101ALI20240930BHJP
   A01B 49/04 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
A01G13/00 303
A01C5/06 L
A01C11/02 302C
A01B49/04
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021208397
(22)【出願日】2021-12-22
(65)【公開番号】P2023093019
(43)【公開日】2023-07-04
【審査請求日】2023-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】内山 実咲
(72)【発明者】
【氏名】百合野 辰哉
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-000029(JP,A)
【文献】特開昭61-111607(JP,A)
【文献】特開昭58-031906(JP,A)
【文献】特開平07-079648(JP,A)
【文献】米国特許第06094858(US,A)
【文献】特開2018-061500(JP,A)
【文献】特開2019-076015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 13/00
A01C 5/06
A01C 11/02
A01B 49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場に形成された畝にマルチフィルムを敷設するマルチフィルム敷設装置を備え、
前記マルチフィルム敷設装置は、
前記マルチフィルムの端部に土を被せる覆土部材と、
前記覆土部材により前記端部に被せられた土を畝の上面を覆うマルチフィルム上に導くブレードと、
前記ブレードが別部材と干渉したときに前記別部材から離れる方向への前記ブレードの移動を可能とする干渉回避機構と、
を備えている作業機。
【請求項2】
前記干渉回避機構は、前記ブレードが別部材と干渉したときに前記覆土部材と独立して前記ブレードの移動を可能とする請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記干渉回避機構は、前記ブレードを当該ブレードの作業位置に向けて付勢する付勢部材を有し、
前記ブレードは、前記作業位置において別部材と干渉したときに、前記付勢部材の付勢力に抗して前記作業位置から離れる方向に移動する請求項1又は2に記載の作業機。
【請求項4】
前記圃場を耕耘する耕耘部と、
前記覆土部材を前記耕耘部の後方に取り付ける取付構造体と、
前記ブレードを支持する支持アームと、
を備え、
前記干渉回避機構は、前記支持アームを前記取付構造体に対して上下方向に回動可能に支持する支軸と、前記支持アームに対して前記支軸回りに上方に回動させる力を付勢する前記付勢部材と、を有し、
前記支持アームは、前記ブレードが別部材と干渉したときに、前記付勢部材の付勢力に抗して前記支軸回りに下方に回動する請求項3に記載の作業機。
【請求項5】
前記圃場を耕耘する耕耘部と、
前記覆土部材を前記耕耘部の後方に取り付ける取付構造体と、
前記ブレードを前記取付構造体に取り付けるブレード取付部材と、
を備え、
前記ブレード取付部材は、前記ブレードに対して上方に延びる柱状体を有し、
前記干渉回避機構は、前記取付構造体に固定され且つ前記柱状体が上下動可能に挿通された筒体と、前記柱状体に対して前記筒体に沿って上方に移動させる力を付勢する前記付勢部材と、を有し、
前記柱状体は、前記ブレードが別部材と干渉したときに、前記付勢部材の付勢力に抗して前記筒体に沿って下方に移動する請求項3に記載の作業機。
【請求項6】
前記干渉回避機構は、前記支持アームの前記支軸回りの上方への回動の上限位置を規制する第1規制部を有している請求項4に記載の作業機。
【請求項7】
前記干渉回避機構は、前記柱状体の前記筒体に沿った上方への移動の上限位置を規制する第2規制部を有している請求項5に記載の作業機。
【請求項8】
前記ブレードの前記作業位置を調整する調整機構を備えている請求項3~7のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項9】
前記調整機構は、前記支持アームの前記支軸回りの位置を調整可能である請求項4を引用する請求項8に記載の作業機。
【請求項10】
前記調整機構は、前記筒体に対する前記柱状体の上下位置を調整可能である請求項5を引用する請求項8に記載の作業機。
【請求項11】
前記マルチフィルムが敷設された畝に苗を植え付ける植付装置と、
前記植付装置により植え付けられた苗の株元付近を覆う土を鎮圧する鎮圧輪と、
を備え、
前記別部材は、前記鎮圧輪を上下方向に揺動可能に支持する支持部材である請求項1~10のいずれか1項に記載の作業機。
【請求項12】
圃場に形成された畝にマルチフィルムを敷設するマルチフィルム敷設装置であって、
前記マルチフィルムの端部に土を被せる覆土部材と、
前記覆土部材により前記端部に被せられた土を畝の上面を覆うマルチフィルム上に導くブレードと、
前記ブレードが別部材と干渉したときに前記別部材から離れる方向への前記ブレードの移動を可能とする干渉回避機構と、
を備えているマルチフィルム敷設装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場にマルチフィルムを敷設するマルチフィルム敷設装置を備えた作業機及びマルチフィルム敷設装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示された作業機が知られている。
特許文献1に開示された作業機は、トラクタと、トラクタの後部に装着されたロータリ耕耘機と、ロータリ耕耘機に装着された移植機と、耕耘された圃場に畝を形成する畝立て器と、畝にマルチフィルムを敷設するマルチフィルム敷設装置とを備えている。マルチフィルム敷設装置は、フィルムロール支持軸、フィルム押え器、覆土部材、鎮圧輪(覆土輪)等を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-29号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1記載の作業機においては、覆土部材は、マルチフィルムの端に土を被せることが可能であるが、畝の上面を覆うマルチフィルム上に土を被せることは困難である。
この問題を解決するための方法として、覆土部材によりマルチフィルムの端に被せられた土を、覆土部材とは別に設けた土寄せ用の部材(ブレード)によりマルチフィルム上に導くことが考えられる。しかし、この場合、ブレードを覆土部材の近傍の限られた狭いスペースに設ける必要があるため、ブレードが作業機の別部材(鎮圧輪を支持する支持部材等)に干渉して変形等(変形や破損)する恐れがあった。
【0005】
そこで、本発明は、土寄せ用のブレードにより畝の上面を覆うマルチフィルム上に土を被せることができるとともに、当該ブレードが別部材に干渉して変形等することを防止できる作業機及びマルチフィルム敷設装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る作業機は、圃場に形成された畝にマルチフィルムを敷設するマルチフィルム敷設装置を備え、前記マルチフィルム敷設装置は、前記マルチフィルムの端部に土を被せる覆土部材と、前記覆土部材により前記端部に被せられた土を畝の上面を覆うマルチフィルム上に導くブレードと、前記ブレードが別部材と干渉したときに前記別部材から離れる方向への前記ブレードの移動を可能とする干渉回避機構と、を備えている。
【0007】
好ましくは、前記干渉回避機構は、前記ブレードが別部材と干渉したときに前記覆土部材と独立して前記ブレードの移動を可能とする。
好ましくは、前記干渉回避機構は、前記ブレードを当該ブレードの作業位置に向けて付勢する付勢部材を有し、前記ブレードは、前記作業位置において別部材と干渉したときに、前記付勢部材の付勢力に抗して前記作業位置から離れる方向に移動する。
【0008】
好ましくは、作業機は、前記圃場を耕耘する耕耘部と、前記覆土部材を前記耕耘部の後方に取り付ける取付構造体と、前記ブレードを支持する支持アームと、を備え、前記干渉回避機構は、前記支持アームを前記取付構造体に対して上下方向に回動可能に支持する支軸と、前記支持アームに対して前記支軸回りに上方に回動させる力を付勢する前記付勢部材と、を有し、前記支持アームは、前記ブレードが別部材と干渉したときに、前記付勢部材の付勢力に抗して前記支軸回りに下方に回動する。
【0009】
好ましくは、作業機は、前記圃場を耕耘する耕耘部と、前記覆土部材を前記耕耘部の後方に取り付ける取付構造体と、前記ブレードを前記取付構造体に取り付けるブレード取付部材と、を備え、前記ブレード取付部材は、前記ブレードに対して上方に延びる柱状体を有し、前記干渉回避機構は、前記取付構造体に固定され且つ前記柱状体が上下動可能に挿通された筒体と、前記柱状体に対して前記筒体に沿って上方に移動させる力を付勢する前記付勢部材と、を有し、前記柱状体は、前記ブレードが別部材と干渉したときに、前記付勢部材の付勢力に抗して前記筒体に沿って下方に移動する。
【0010】
好ましくは、前記干渉回避機構は、前記支持アームの前記支軸回りの上方への回動の上限位置を規制する第1規制部を有している。
好ましくは、前記干渉回避機構は、前記柱状体の前記筒体に沿った上方への移動の上限位置を規制する第2規制部を有している。
好ましくは、作業機は、前記ブレードの前記作業位置を調整する調整機構を備えている。
【0011】
好ましくは、前記調整機構は、前記支持アームの前記支軸回りの位置を調整可能である。
好ましくは、前記調整機構は、前記筒体に対する前記柱状体の上下位置を調整可能である。
好ましくは、作業機は、前記マルチフィルムが敷設された畝に苗を植え付ける植付装置と、前記植付装置により植え付けられた苗の株元付近を覆う土を鎮圧する鎮圧輪と、を備え、前記別部材は、前記鎮圧輪を上下方向に揺動可能に支持する支持部材である。
【0012】
本発明の一態様に係るマルチフィルム敷設装置は、圃場に形成された畝にマルチフィルムを敷設するマルチフィルム敷設装置であって、前記マルチフィルムの端部に土を被せる覆土部材と、前記覆土部材により前記端部に被せられた土を畝の上面を覆うマルチフィルム上に導くブレードと、前記ブレードが別部材と干渉したときに前記別部材から離れる方向への前記ブレードの移動を可能とする干渉回避機構と、を備えている。
【発明の効果】
【0013】
上記作業機及びマルチフィルム敷設装置によれば、土寄せ用のブレードにより畝の上面を覆うマルチフィルム上に土を被せることができるとともに、当該ブレードが別部材に干渉して変形等することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】作業機の側面図である。
図2】対地作業装置の側面図である。
図3】対地作業装置の平面図である。
図4】ロータリ耕耘機の後方斜視図である。
図5】耕耘部とマルチフィルム敷設装置の側面図である。
図6】耕耘部とマルチフィルム敷設装置の底面図である。
図7】耕耘部、マルチフィルム敷設装置、植付装置、鎮圧輪の平面図である。
図8図7の左部の拡大図である。
図9図8で示した部分の斜視図である。
図10図7の機幅方向の中央部の拡大図である。
図11図10で示した部分の斜視図である。
図12】上側は「平畝形成用の溝切部材、フィルム押えローラ、覆土部材、ブレード、マルチフィルム等」の平面図であり、下側は「形成された平畝、苗、端が折り曲げられたマルチフィルム、マルチフィルム上に被さった土」の断面図である。
図13】高畝を形成する場合における耕耘部とマルチフィルム敷設装置の側面図である。
図14】高畝を形成する場合における耕耘部、マルチフィルム敷設装置、植付装置、鎮圧輪の平面図である。
図15】左取付構造体を機体内方側(右側)から見て示す斜視図である。
図16】左取付構造体を機体外方側(左側)から見て示す斜視図である。
図17】中間取付構造体を右側から見て示す斜視図である。
図18】ブレードと別部材(支持部材)が干渉する前の状態を示す側面図である。
図19】ブレードと別部材(支持部材)が干渉した状態を示す側面図である。
図20】ブレードと別部材(支持部材)との位置関係を示す平面図である。
図21】左側回避機構を示す斜視図である。
図22】左側回避機構を示す側面図であって、ブレードが移動(下降)する前の状態を示している。
図23】左側回避機構を示す側面図であって、ブレードが移動(下降)した後の状態を示している。
図24】中央回避機構を左上方から見た図である。
図25】中央回避機構を示す背面図であって、ブレードが移動(下降)する前の状態を示している。
図26】中央回避機構を示す背面図であって、ブレードが移動(下降)した後の状態を示している。
図27】第1調整機構を説明する側面図であって、ブレードの作業位置が低い位置に調整された状態を示している。
図28】第1調整機構を説明する側面図であって、ブレードの作業位置が高い位置に調整された状態を示している。
図29】第2調整機構を説明する縦断面図であって、ブレードの作業位置が高い位置に調整された状態を示している。
図30】第2調整機構を説明する縦断面図であって、ブレードの作業位置が低い位置に調整された状態を示している。
図31】移植機機枠の上昇に伴ってマルチフィルム敷設装置が上昇することを説明する図である。
図32】移植機機枠等が昇降する機構を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
<作業機の全体構成>
図1は、作業機1の側面図である。作業機1は、走行しながら対地作業(耕耘等)と共に苗の植え付け(移植)を行うことができる作業機である。作業機1は、走行体1Aと、走行体1Aの後部に装着された対地作業装置1Bを有する。対地作業装置1Bは、走行体1Aの後部に昇降可能に装着された第1対地作業機2と、第1対地作業機2の後部に昇降可能に装着された第2対地作業機3とを備えている。
【0016】
本実施形態では、走行体1Aとして走行車両であるトラクタを例示している。また、第1対地作業機2としてロータリ耕耘機を例示している。また、第2対地作業機3として圃場に苗を植え付ける移植機を例示している。以下、走行体をトラクタ1Aといい、第1対地作業機をロータリ耕耘機2といい、第2対地作業機を移植機3という。
なお、走行体1Aは、トラクタには限定されず、他の走行車両であってもよい。また、第1対地作業機2は、ロータリ耕耘機に限定されることはなく、圃場に対して作業をする機械であればよい。また、ロータリ耕耘機2は、センタードライブ式のロータリ耕耘機を例示しているが、サイドドライブ式のロータリ耕耘機であってもよい。
【0017】
本明細書において特に断らない限り、トラクタ1Aの運転席5に着座した運転者の前側(図1の左側)を前方、運転者の後側(図1の右側)を後方、運転者の左側(図1の手前側)を左方、運転者の右側(図1の奥側)を右方として説明する。また、トラクタ1Aの前後方向K1(図1参照)に直交する方向である水平方向K2(図3参照)を機幅方向K2として説明する。
【0018】
また、トラクタ1Aの機幅方向中央部から右部、或いは、左部へ向かう方向を機幅外方として説明する。言い換えれば、機幅外方とは、機幅方向K2であってトラクタ1Aの機幅方向中央部から離れる方向のことである。トラクタ1Aの機幅方向右部、或いは、左部から中央部へ向かう方向を機幅内方として説明する。即ち、機幅内方とは、機幅方向外方とは反対の方向である。言い換えれば、機幅内方とは、機幅方向K2であってトラクタ1Aの機幅方向中央部に近づく方向である。
【0019】
図1に示すように、トラクタ1Aは、車体6と、車体6の前部に装着された前輪7F及び車体6の後部に装着された後輪7Rを含む走行装置7と、を有する。車体6は、原動機(駆動源)E1と、原動機E1の後部に連結された動力伝達ケースT1と、を有する。原動機E1は、走行装置7を駆動する。
原動機E1は、例えば、ディーゼルエンジンである。また、原動機E1は、ガソリンエンジン、LPGエンジン又は電動モータであってもよいし、エンジン及び電動モータを有するハイブリッド型であってもよい。
【0020】
動力伝達ケースT1は、クラッチを内蔵したクラッチハウジング、変速装置を内蔵したミッションケース、差動装置を内蔵したデフケース等を直結して構成されている。
車体6の後部には、運転席5が搭載されていると共に、原動機E1の動力を取り出す動力取出軸(PTO軸)22が後方突出状に装備されている。運転席5の前方には、ステアリングホイール8が設けられている。また、トラクタ1Aは、前部にバッテリ(図示略)を搭載している。
【0021】
図1に示すように、ロータリ耕耘機2は、トラクタ1Aの後部に三点リンク機構9等の装着機構を介して昇降可能に装着されている。三点リンク機構9は、トップリンク9Aとロワーリンク9Bとを有し、車体6の後部に装着されている。車体6の後部には、上下揺動可能なリフトリンク10Aが設けられ、リフトリンク10Aはリフトロッド10Bを介してロワーリンク9Bに連結されている。リフトリンク10Aは、車体6の後上部に設けられた油圧装置10Cによって昇降駆動され、リフトリンク10Aが上下動することでロワーリンク9Bが上げ下げされる。これにより、ロータリ耕耘機2が昇降する。
【0022】
図2及び図3は、対地作業装置1Bの詳細図である。対地作業装置1Bは、ロータリ耕耘機2と移植機3とを有する。
ロータリ耕耘機2はロータリ機枠11を有し、移植機3は移植機機枠37を有する。ロータリ機枠11と移植機機枠37は、平行リンク機構からなる連結機構41により上下動可能に連結されている。これにより、ロータリ耕耘機2と移植機3は上下方向に相対移動可能とされている。
【0023】
図3に示すように、ロータリ耕耘機2は、機幅方向K2の中央部に伝動ケース12が設けられている。ロータリ耕耘機2は、PTO軸22の動力を、ユニバーサルジョイント(図示省略)を介して伝動ケース12に受け入れる。図2に示すように、伝動ケース12の下部に回転軸16が設けられている。回転軸16は、伝動ケース12の下部から機幅方向K2の一方及び他方に突出状に設けられている。回転軸16の外周には、ブラケットを介して多数の耕耘爪17(図5図6参照)が固定されている。回転軸16が軸心回りに回転することにより、耕耘爪17が圃場を耕起(耕耘)すると共に耕起した土壌を後方の後部カバー19Bへと放擲する。これら回転軸16及び耕耘爪17は、圃場を耕耘する耕耘部18を構成している。
【0024】
図2図3に示すように、ロータリ耕耘機2の前方には土寄せディスク56L,56Rが配置されている。土寄せディスク56L,56Rは、耕耘部18に向けて機幅内方に土を寄せるための部材である。土寄せディスク56Lは、機幅方向の一方側(左側)に配置されており、ロータリ耕耘機2の左前方に位置する。土寄せディスク56Rは、機幅方向の他方側(右側)に配置されており、ロータリ耕耘機2の右前方に位置する。土寄せディスク56L,56Rは、平面視において、前方から後方に向かうにつれて機幅外方から機幅内方に移行するように斜め向きに配置されている。
【0025】
図2に示すように、ロータリ耕耘機2の後部に、畝形成装置Aが設けられている。畝形成装置Aは、耕耘部18で耕耘された圃場に畝UN(図12参照)を形成するものである。この実施の形態では、図12に示すように二つの畝UN1,UN2を形成するが、本発明において形成される畝の数は二つに限るものではない。
畝形成装置Aの後方に、マルチフィルム敷設装置300が設けられている。マルチフィルム敷設装置300は、ロータリ耕耘機2の後部に設けられ、移植機3の前部に位置している。マルチフィルム敷設装置300は、畝UNにマルチフィルム300Fを敷設するものである(図12参照)。
【0026】
<移植機>
図2に示すように、移植機3は、苗供給装置38と、苗供給装置38の下方に設けられた植付装置39と、植付装置39の後方に設けられた鎮圧輪40と、苗供給装置38の上方に設けられた苗置き台190を有する。苗置き台190は複数段設けられ、移植する苗を収納した苗トレイを載置するものである。
【0027】
図3に示すように、苗供給装置38は、機幅方向K2に並んだ複数の苗供給装置(第1苗供給装置38Aと第2苗供給装置38B)を含む。複数の苗供給装置38A,38Bにそれぞれ対応して、その下方に複数の植付装置39A,39B及び複数の鎮圧輪40A,40B(図7参照)が設けられている。
植付装置39は、苗供給装置38からの苗を保持して下降すると共に圃場に突入して苗を植え付ける植付具64(図2参照)を有する。図7に示すように、植付装置39Aは、左右一対の植付具64,64を有している。植付装置39Bも、左右一対の植付具64,64を有している。そのため、植付装置39A,39Bは、それぞれ苗を2条に植え付けることができる。
【0028】
畝形成装置Aによって、第1苗供給装置38Aの下方の圃場に第1畝UN1が形成され、第2苗供給装置38Bの下方の圃場に第2畝UN2が形成される(図12参照)。第1畝UN1には、第1苗供給装置38Aから供給された苗が植付装置39Aにより2条に植えられる。第2畝UN2には、第2苗供給装置38Bから供給された苗が植付装置39Bにより2条に植えられる。
【0029】
鎮圧輪40は、植付装置39により植え付けられた苗の株元付近を覆う土を鎮圧する。図7に示すように、鎮圧輪40Aは、植付装置39Aの後方に配置されている。鎮圧輪40Bは、植付装置39Bの後方に配置されている。
鎮圧輪40Aは、植付装置39Aの左側の植付具64の後方に配置された左側鎮圧輪40ALと、植付装置39Aの右側の植付具64の後方に配置された右側鎮圧輪40ARとを含む。鎮圧輪40Bは、植付装置39Bの左側の植付具64の後方に配置された左側鎮圧輪40BLと、植付装置39Bの右側の植付具64の後方に配置された右側鎮圧輪40BRとを含む。
【0030】
図7に示すように、左側鎮圧輪40AL、右側鎮圧輪40AR、左側鎮圧輪40BL、右側鎮圧輪40BRは、それぞれ左右一対設けられている。つまり、鎮圧輪40は、合計4対の鎮圧輪から構成されている。
図7に示すように、鎮圧輪40は、支持部材70により支持されている。支持部材70は、鎮圧輪40を上下方向に揺動可能に支持している。支持部材70は、機幅方向に延びる支持軸71と、支持軸71から後方に延びる後延部材72とを有している。後延部材72は後方に延びた後に機幅方向に向けて屈曲している。後延部材72の機幅方向に延びた部分に鎮圧輪40が取り付けられている。後延部材72の前端は、揺動板73(図18参照)を介して支持軸71に取り付けられている。後延部材72は、支持軸71を支点として、揺動板73と共に上下方向に揺動可能である。
【0031】
鎮圧輪40は、移植機機枠37の対地高さを検出する検出部材として機能する。移植機機枠37の対地高さは、苗が植え付けられる植付面(畝の上面)に対する移植機機枠37の高さである。
移植機3は、後延部材72の上下方向の揺動に連動して移動するワイヤ(図示略)を備えている。このワイヤは、一端部が揺動板73(図18参照)に接続され、他端部が後述する昇降シリンダC1(図31参照)を駆動する制御バルブのスプールに接続されている。
【0032】
植付面(畝の上面)の高さ変化に起因して鎮圧輪40の高さが変動すると、後延部材72が上下方向に揺動する。後延部材72の上下方向の揺動に連動してワイヤが移動し、制御バルブのスプールを移動させる。これにより、昇降シリンダC1が駆動し、移植機機枠37が昇降する。具体的には、鎮圧輪40の高さが高くなると移植機機枠37が上昇し、鎮圧輪40の高さが低くなると移植機機枠37が下降する。これにより、植付面の高さが変化しても、植付面に対する移植機機枠37の高さが一定となるため、植付装置39による植え付け深さを一定とすることができる。
【0033】
図3に示すように、各苗供給装置38A,38Bの前方には前方椅子187A,187Bが設けられており、後方には後方椅子187C,187Dが設けられている。
図2に示すように、前方椅子187A,187Bは、ロータリ機枠11に連結機構41を介して上下動可能に設けられている。後方椅子187C,187Dは、ロータリ機枠11に平行リンク機構200を介して結合されたシートフレーム197に設けられている。シートフレーム197は車輪206で圃場の地面に支持されている。
【0034】
図3に示すように、前方椅子187A,187Bと苗供給装置38との間、後方椅子187C,187Dと苗供給装置38との間に、それぞれ苗供給台188が設けられている。苗供給台188は、苗置き台190の苗トレイを置くものである。また、ロータリ耕耘機2の上方に、苗トレイを収容するコンテナを載せるための予備苗台280が設けられている。
【0035】
図4図5に示すように、作業機1は、耕耘部18と、耕耘部18にて耕耘された圃場に溝を切って畝(平畝)を形成する溝切部材Zを備えている。
耕耘部18は、回転軸16回りに回転する耕耘爪17と、回転軸16を回転可能に支持するロータリ機枠11と、ロータリ機枠11に対して上下方向に揺動可能に取り付けられて耕耘爪17の後方を覆う後部カバー19Bと、を有している。溝切部材Zは、後部カバー19Bに取り付けられて後部カバー19Bと共に揺動可能である。
【0036】
図4は、耕耘部18を備えるロータリ耕耘機2の後方斜視図である。ロータリ耕耘機2は、ロータリ機枠11を有する。ロータリ機枠11は、伝動ケース12と、前サポートフレーム13Fと、後サポートフレーム13Rと、左サイドフレーム15Lと、右サイドフレーム15Rとを有する。伝動ケース12は、ロータリ耕耘機2の幅方向(機幅方向K2と同じ方向)の中央部に位置している。前サポートフレーム13Fは、伝動ケース12の前方に、機幅方向K2に延伸して配置されている。後サポートフレーム13Rは、伝動ケース12の後方に、機幅方向K2に延伸して配置されている。前サポートフレーム13F及び後サポートフレーム13Rは、伝動ケース12に連結されている。左サイドフレーム15Lは、前サポートフレーム13Fと後サポートフレーム13Rの左端同士を連結している。右サイドフレーム15Rは、前サポートフレーム13Fと後サポートフレーム13Rの右端同士を連結している。
【0037】
後サポートフレーム13Rの機幅方向中央部に、取付部13R1が設けられている。この取付部13R1に、後述する中央取付体196M(図7図10参照)が取り付けられる。
図4に示すように、ロータリ機枠11にロータリカバー19が設けられている。ロータリカバー19は、上部カバー19A、後部カバー19B、側部カバー19Cを有している。耕耘部18の上方は、上部カバー19Aで覆われている。耕耘部18の後方は、後部カバー19Bで覆われている。耕耘部18の側方は、側部カバー19Cで覆われている。
【0038】
後部カバー19Bは、上端がロータリ機枠11に枢軸19Dを介して機幅方向K2の軸心回りに回転自在に枢支されていて上下揺動自在である(図5の仮想線参照)。後部カバー19Bは、左右一対の弾圧装置20で下方に付勢されている。弾圧装置20は、バネの力で後部カバー19Bを下方に付勢する装置である。後部カバー19Bは、圃場の表面の高さ(起伏)に追従して、ロータリ機枠11に対して上下動する。後部カバー19Bはロータリ機枠11に対して上下方向に揺動し、後部カバー19Bの下端部は耕耘深さが変動しても常に接地した状態となる。
【0039】
後部カバー19Bの後端に取付フレームXが取り付けられている。取付フレームXは、機幅方向K2に延びている。取付フレームXは、長尺材で構成され、その長さは後部カバー19Bの機幅方向K2の長さとほぼ同じとされている。取付フレームXの両端が端部ブラケットX1を介して、また、中間部が中間ブラケットX2を介して後部カバー19Bの後端部に取り付けられている。取付フレームXには、灌水チューブKY1(図7参照)を案内するための灌水チューブガイドKYが取り付けられている。
【0040】
<溝切部材>
図4に示すように、取付フレームXには、溝切部材Zが取り付けられている。溝切部材Zは、ブラケットWとボルトW1により、取付フレームXに取り付けられている。溝切部材Zは、取付フレームXに対して、着脱自在に且つ機幅方向K2の位置を調整自在に取り付けられている(図6の仮想線で示す溝切部材Zと矢印参照)。
【0041】
溝切部材Zは、耕耘部18にて耕耘された圃場に溝を切って畝UN(図12参照)を形成するものである。溝切部材Zにより形成される畝は平畝である。そのため、以下、「畝UN」を「平畝UN」という場合がある。溝切部材Zは、圃場に平畝UN(図12参照)を形成するための畝形成装置Aである。尚、作業機1は、畝形成装置Aとして、溝切部材Zに代えて、圃場に高畝を形成する畝立器51(図13図14参照)を使用することもできる。
【0042】
本実施形態の場合、図12に示すように、溝切部材Zによって、2つの畝(第1畝UN1と第2畝UN2)を形成する。1つの畝UNを形成するためには、少なくとも左右一対の溝切部材Z,Zが必要となる。したがって、溝切部材Zは、第1畝UN1の溝を形成する左右一対の溝切部材Z,Zと、第2畝UN2を形成する左右一対の溝切部材Z,Zを含む。
【0043】
溝切部材Zは、取付フレームXに装着されて、取付フレームXに沿って回転軸16(図4参照)と平行方向(機幅方向)に移動可能である。これにより、溝切部材Zによって形成される畝UNの幅を変更することができる。また、複数対の溝切部材Zを、取付フレームXに対して回転軸16と平行な方向に間隔をあけて装着することにより、複数の畝UNを同時に形成することができる。
図4図6に示すように、溝切部材Zは、溝の底面を形成する平面視四角形状の底板Z1と、底板Z1の前縁から斜め前上方に立ち上がる前板Z2と、底板Z1の後縁から上方に立ち上がる後板Z3と、底板Z1の側縁から上方に立ち上がる側板Z4と、を有している。
【0044】
底板Z1は平面視四角形の板(平板)であるので、溝切部材Zにより形成される溝の底面が平坦面になる。前板Z2が傾斜していることにより、溝切部材Zが移動する(溝を切る)ときの抵抗が少なくなるともに、移動によって土を下方に押し固めることができる。後板Z3により、溝切部材Zの内部への土の侵入が防止される。側板Z4は、底板Z1に対して垂直に立ち上がっているため、側板Z4により形成される畝の側面は垂直になり、側面が傾斜面である場合に比べて畝上面の幅を広く形成することができる。
【0045】
図5に実線と仮想線で示すように、溝切部材Zは、ロータリ機枠11に対して後部カバー19Bと共に上下に揺動する。ロータリ機枠11には、回転軸16が回転可能に支持されており、回転軸16に設けられた耕耘爪17により圃場を耕耘する耕耘部18が構成されているので、耕耘部18による耕耘深さが変わると、圃場の表面に対してロータリ機枠11は上下動する。一方、耕耘爪17の後方を覆う後部カバー19Bは、ロータリ機枠11に対して上下方向に揺動可能に取り付けられているので、ロータリ機枠11が上下動しても、後部カバー19Bは圃場表面を追従して畝UNの表面を形成することになる。したがって、後部カバー19Bに取り付けられて後部カバー19Bと共に揺動可能である溝切部材Zは、圃場表面から一定の深さで溝を形成することができる。よって、溝切部材Zにより切られた溝の深さは、耕耘深さが変動しても、畝UNの表面から一定深さになる。
【0046】
<マルチフィルム敷設装置>
図2図5等に示すように、作業機1は、畝UNにマルチフィルムを敷設するマルチフィルム敷設装置300を備えている。マルチフィルム敷設装置300は、敷設されたマルチフィルムの幅方向の端部を押さえるフィルム押えローラCを有している。フィルム押えローラCは、溝切部材Zによって切られた溝に沿って転動して、マルチフィルムの端部を折り曲げるものである。
【0047】
図5に示すように、マルチフィルム敷設装置300は、マルチフィルムを巻回したマルチフィルムロール300Rを装着するマルチフィルム敷設部300Bと、マルチフィルム300Fの端を押さえるフィルム押えローラCと、マルチフィルム300F上に土を被せる土寄せ部材Dとを有する。マルチフィルム敷設部300Bと、フィルム押えローラCと、土寄せ部材Dとは、取付構造体Eに設けられている。
【0048】
図6図7に示すように、取付構造体Eは、左取付構造体ELと中間取付構造体EMと右取付構造体ERを含む。
左取付構造体ELは、ロータリ機枠11の左側に設けられた取付体196に設けられている(図7図8図9参照)。中間取付構造体EMは、中央取付体196M(図7図10図11参照)に設けられている。右取付構造体ERは、ロータリ機枠11の右側に設けられた取付体196に取り付けられている(図7参照)。
【0049】
図2図3に示すように、左右の取付体196はロータリ耕耘機2の左右両側に配置されている。左右の取付体196の前部は、ロータリ機枠11の左右のサイドフレーム15L、15Rに取り付けられている。中央取付体196Mは、ロータリ機枠11の後サポートフレーム13Rの取付部13R1(図4参照)に固定されている。
図5に示すように、マルチフィルム敷設部300Bは、ロール支持軸300Jを有する。ロール支持軸300Jにマルチフィルムロール300Rが支持される。図6に示すように、ロール支持軸300Jは、第1ロール支持軸301と第2ロール支持軸302とを含む。マルチフィルムロール300Rは、第1フィルムロール303と第2フィルムロール304を含む。マルチフィルムロール300Rから引き出されたマルチフィルム300Fが畝UNに被せられる(図12参照)。
【0050】
第1ロール支持軸301は、第1畝UN1に敷設されるマルチフィルム300F1が巻回された第1フィルムロール303を支持する。第2ロール支持軸302は、第2畝UN2に敷設されるマルチフィルム300F2が巻回された第2フィルムロール304を支持する。すなわち、ロール支持軸300Jに支持されるマルチフィルムロール300Rは、第1フィルムロール303と第2フィルムロール304を含む。
【0051】
第1ロール支持軸301及び第2ロール支持軸302は、トラクタ1Aの幅方向(機幅方向K2)に延設されている。第1ロール支持軸301と第2ロール支持軸302との軸心は、トラクタ1Aの幅方向(機幅方向K2)において一直線上に配置されている。第1ロール支持軸301の機幅内方側の端部と、第2ロール支持軸302の機幅内方側の端部とは、中間取付構造体EMに支持されている(図10図11参照)。第1ロール支持軸301の左端部(機幅外方側の端部)は、左側の左取付構造体ELに支持されている(図8図9参照)。第2ロール支持軸302の右端部(機幅外方側の端部)は、右側の右取付構造体ERに支持されている。
【0052】
図6図7に示すように、マルチフィルム敷設装置300のフィルム押えローラCは、左フィルム押えローラ331、中左フィルム押えローラ332、中右フィルム押えローラ333、右フィルム押えローラ334を含む。これらフィルム押えローラCは、例えば、車輪から構成されている。
左フィルム押えローラ331は、左側の左取付構造体ELに支持され、中左フィルム押えローラ332と中右フィルム押えローラ333は、中間取付構造体EMに支持され、右フィルム押えローラ334は、右側の右取付構造体ERに支持されている。
【0053】
各フィルム押えローラCは、機幅方向の位置を調整可能に取付構造体Eに取り付けられている。これにより、各フィルム押えローラCの位置は、溝切部材Zで形成された溝MZに入る位置になるように調整可能である(図12参照)。
図12に示すように、左フィルム押えローラ331及び中左フィルム押えローラ332は、前方に行くに従って第1畝UN1側に移行する傾斜状に設けられている。中右フィルム押えローラ333及び右フィルム押えローラ334は、前方に行くに従って第2畝UN2側に移行する傾斜状に設けられている。
【0054】
左フィルム押えローラ331及び中左フィルム押えローラ332は、第1フィルムロール303の後方に配置されている。左フィルム押えローラ331及び中左フィルム押えローラ332は、第1畝UN1に敷設されたマルチフィルム300F1の両端部を押さえる。
中右フィルム押えローラ333及び右フィルム押えローラ334は、第2フィルムロール304の後方に配置されている。中右フィルム押えローラ333及び右フィルム押えローラ334は、第2畝UN2に敷設されたマルチフィルム300F2の両端部を押さえる。
【0055】
各フィルム押えローラCは、溝切部材Zによって切られた溝MZに沿って転動して、マルチフィルム300Fの幅方向の端部を折り曲げる。そのため、畝UNに敷設されるマルチフィルム300Fの端部は、フィルム押えローラCにより折り曲げられて溝MZ内に位置することになる。
図6図7に示すように、マルチフィルム敷設装置300の土寄せ部材Dは、覆土部材DSを有している、図12に示すように、覆土部材DSは、溝切部材Zの後方に配置されている。覆土部材DSと溝切部材Zとの機幅方向(左右方向)の位置関係は、溝切部材Z及び/又は取付構造体Eの機幅方向の位置を変更することで、調整(変更)可能である。
【0056】
覆土部材DSは、左覆土部材321、中左覆土部材322、中右覆土部材323、右覆土部材324を含む。覆土部材DSは、円板状の覆土ディスクから構成されている。
左覆土部材321は左側の左取付構造体ELに設けられている(図6図9参照)。中左覆土部材322及び中右覆土部材323は、中間取付構造体EMに設けられている(図6図7図10図11参照)。右覆土部材324は、右側の右取付構造体ERに設けられている(図6図7参照)。
【0057】
図12に示すように、左覆土部材321及び中左覆土部材322は、後方に行くに従って互いに接近する(第1畝UN1側に移行する)傾斜状に設けられている。詳しくは、左覆土部材321は、後方に向かうにつれて機幅方向K2の内側に向かうように平面視にて傾斜して配置されている。中左覆土部材322は、後方に向かうにつれて機幅方向K2の外側に向かうように平面視にて傾斜して配置されている。
【0058】
また、中右覆土部材323及び右覆土部材324は、後方に行くに従って互いに接近する(第2畝UN2側に移行する)傾斜状に設けられている。詳しくは、中右覆土部材323は、後方に向かうにつれて機幅方向K2の外側に向かうように平面視にて傾斜して配置されている。右覆土部材324は、後方に向かうにつれて機幅方向K2の内側に向かうように平面視にて傾斜して配置されている。
【0059】
左覆土部材321は、第1フィルムロール303の左部の後方に配置されている。左覆土部材321は、第1フィルムロール303から巻き出されて第1畝UN1に敷設されたマルチフィルム300F1の左端部に土TUを被せる。中左覆土部材322は、第1フィルムロール303の右部の後方に配置されている。中左覆土部材322は、第1フィルムロール303から巻き出されて第1畝UN1に敷設されたマルチフィルム300F1の右端部に土TUを被せる。
【0060】
中右覆土部材323は、第2フィルムロール304の左部の後方に配置されている。中右覆土部材323は、第2フィルムロール304から巻き出されて第2畝UN2に敷設されたマルチフィルム300F2の左端部に土TUを被せる。右覆土部材324は、第2フィルムロール304の右部の後方に配置されている。右覆土部材324は、第2フィルムロール304から巻き出されて第2畝UN2に敷設されたマルチフィルム300F2の右端部に土TUを被せる。
【0061】
このように、各覆土部材DSは、フィルム押えローラCによって折り曲げられたマルチフィルム300Fの端部に土を被せる。そのため、マルチフィルム300Fの端部は、覆土部材DSにより被せられた土により押さえられる。そのため、マルチフィルム300Fが風等により畝から剥離することがない。
図6図7に示すように、マルチフィルム敷設装置300の土寄せ部材Dは、ブレードBLを有する。ブレードBLは、覆土部材DSによりマルチフィルム300Fの端部に被せられた土を、畝UNの上面を覆うマルチフィルム300F上に導くものである。ブレードBLは、植付装置39よりも前方に配置されている。ブレードBLは、平面視にて覆土部材DSに対して傾斜して配置されて機幅方向K2の内側に向けて延びている。ブレードBLは、覆土部材DSと別体に構成されている。
【0062】
ブレードBLは、例えば、ゴム等の弾性体から構成することができる。ブレードBLを弾性体から構成した場合、ブレードBLは地面に接したときに弾性変形(撓み変形)することができる。
図12に示すように、ブレードBLは、覆土部材DSの後方に配置されている。尚、ブレードBLと覆土部材DSとの位置関係における「後方」とは、「前後方向の位置関係において後方」という意味であって、左右方向にずれている場合も「後方」に含む。また、少なくとも前後方向の中心の位置同士を比較して後方にあれば「後方」に含む。例えば、ブレードBLの前後方向の中心が、覆土部材DSの前後方向の中心よりも後方に配置されているものであればよい。また、覆土部材DSの前端がブレードBLの前端よりも前方に位置していればよい。
【0063】
ブレードBLは、平面視にて覆土部材DSに対して傾斜して配置されて機幅方向の内側に向けて延びている。覆土部材DSの機幅方向K2の内端部と、ブレードBLの機幅方向の外端部とは、機幅方向において、一致又はオーバラップしている。
ブレードBLの下縁は、直線状に形成されている。ブレードBLの下縁は、地面と平行(略水平)に配置される。これによって、ブレードBLを移動させることで、土を均平化することができる。
【0064】
ブレードBLは、第1ブレードBL1、第2ブレードBL2、第3ブレードBL3、第4ブレードBL4を含む。第1ブレードBL1、第2ブレードBL2、第3ブレードBL3、第4ブレードBL4は平板状体から構成されている。
第1ブレードBL1は左側の左取付構造体ELに設けられ(図8図9参照)、第2ブレードBL2及び第3ブレードBL3は中間取付構造体EMに設けられ(図10図11参照)、第4ブレードBL4は右側の右取付構造体ERに設けられている。
【0065】
図12に示すように、ブレードBL(第1ブレードBL1、第2ブレードBL2、第3ブレードBL3、第4ブレードBL4)は、覆土部材(左覆土部材321、中左覆土部材322、中右覆土部材323、右覆土部材324)の後方に配置されている。
具体的には、第1ブレードBL1は、左覆土部材321の後方に配置されている。第2ブレードBL2は、中左覆土部材322の後方に配置されている。第3ブレードBL3は、中右覆土部材323の後方に配置されている。第4ブレードBL4は、右覆土部材324の後方に配置されている。
【0066】
第1ブレードBL1の前後方向の位置は、左覆土部材321の前後方向の位置とオーバラップしている。第1ブレードBL1の前端の位置は、左覆土部材321の前端の位置よりも後方にある。第1ブレードBL1は、平面視にて左覆土部材321に対して傾斜して配置されて機幅方向の内側に向けて延びている。左覆土部材321の機幅方向K2の内端部と、第1ブレードBL1の機幅方向の外端部とは、機幅方向において、一致又はオーバラップしている。
【0067】
第2ブレードBL2は、その全体が中左覆土部材322よりも後方に位置している。第2ブレードBL2は、平面視にて中左覆土部材322に対して傾斜して配置されて機幅方向の内側に向けて延びている。中左覆土部材322の機幅方向K2の内端部と、第2ブレードBL2の機幅方向の外端部とは、機幅方向において、一致又はオーバラップしている。
【0068】
第3ブレードBL3は、その全体が中右覆土部材323よりも後方に位置している。第3ブレードBL3は、平面視にて中右覆土部材323に対して傾斜して配置されて機幅方向の内側に向けて延びている。中右覆土部材323の機幅方向K2の内端部と、第3ブレードBL3の機幅方向の外端部とは、機幅方向において、一致又はオーバラップしている。
【0069】
本実施形態の場合、第2ブレードBL2及び第3ブレードBL3は、機幅方向に延びて同一直線上に配置されている。但し、第2ブレードBL2及び第3ブレードBL3は、機幅内方から機幅外方に向かうにつれて後方に傾斜するように配置されていてもよい。
第4ブレードBL4の前後方向の位置は、右覆土部材324の前後方向の位置とオーバラップしている。第4ブレードBL4の前端の位置は、右覆土部材324の前端の位置よりも後方にある。第4ブレードBL4は、平面視にて右覆土部材324に対して傾斜して配置されて機幅方向の内側に向けて延びている。右覆土部材324の機幅方向K2の内端部と、第4ブレードBL4の機幅方向の外端部とは、機幅方向において、一致又はオーバラップしている。
【0070】
図12において、矢印YTは土が移動する方向を示している。第1ブレードBL1は、左覆土部材321によりマルチフィルム300Fの端部に被せられた土を、畝UN1の上面を覆うマルチフィルム300F上に導く。第2ブレードBL2は、中左覆土部材322によりマルチフィルム300Fの端部に被せられた土を、畝UN1の上面を覆うマルチフィルム300F上に導く。第3ブレードBL3は、中右覆土部材323によりマルチフィルム300Fの端部に被せられた土を、畝UN3の上面を覆うマルチフィルム300F上に導く。第4ブレードBL4は、右覆土部材324によりマルチフィルム300Fの端部に被せられた土を、畝UN2の上面を覆うマルチフィルム300F上に導く。
【0071】
図10図12に示すように、中間取付構造体EMに取り付けられる覆土部材DSは、中左覆土部材322及び中右覆土部材323である。また、中間取付構造体EMに取り付けられるブレードBLは、第2ブレードBL2及び第3ブレードBL3である。
中間取付構造体EMの左部において、溝切部材Zの後方に、溝切部材Zにより切られた溝MZ内に位置するように中左フィルム押えローラ332が配置されている。中左フィルム押えローラ332の後方に中左覆土部材322が配置され、さらにその後方に第2ブレードBL2が配置されている。中左覆土部材322の前端は、溝MZよりも機体内方に位置し、後端は溝MZ内に位置している。第2ブレードBL2の右端は、中左覆土部材322と機幅方向においてオーバラップする位置にある。第2ブレードBL2の左端は、第1畝UN1の上面の苗NEの植付位置まで達している。
【0072】
中左フィルム押えローラ332により、第1畝UN1の上に敷設されたマルチフィルム300F1の端部を、溝切部材Zにより形成された第1畝UN1の側面に沿うよう折り曲げて押し付ける。中左フィルム押えローラ332の後方に配置された中左覆土部材322により、溝間の土TUを折り曲げられたマルチフィルム300F1の端部に被せると共に、第1畝UN1の肩部上に被せる。中左覆土部材322の後方に配置された第2ブレードBL2が、マルチフィルム300F1の上方を移動することにより、図12の矢印YTに示すように、第1畝UN1の肩部に被せられた土を第1畝UN1の上面へと導き、マルチフィルム300F1の上面に被せる。
【0073】
なお、中間取付構造体EMの右部に設けられた中右フィルム押えローラ333、中右覆土部材323、第3ブレードBL3は、移植機の機幅方向中心を挟んで、中左フィルム押えローラ332、中左覆土部材322、第2ブレードBL2と対称に配置されている。そのため、中右フィルム押えローラ333、中右覆土部材323、第3ブレードBL3は、中左フィルム押えローラ332、中左覆土部材322、第2ブレードBL2と同様の構配置(位置関係)及び作用(機能)を有する。
【0074】
また、図8図9に示す左取付構造体ELに取り付けられた左フィルム押えローラ331は、溝切部材Zによって形成された溝MZ内に位置するように配置される(図12参照)。左覆土部材321は、溝MZの機体外方側(左側)に配置される。第1ブレードBL1の機体外方側の端(左端)は、左覆土部材321の機体内方側の端(右端)と機幅方向においてオーバラップする位置にある。第1ブレードBL1の機体内方側の端(右端)は、第1畝UN1の上面の苗NEの植付位置まで達している。
【0075】
左フィルム押えローラ331により、第1畝UN1の上に敷設されたマルチフィルム300F1の端部を、溝切部材Zにより形成された第1畝UN1の側面に沿うよう折り曲げて押し付ける。左フィルム押えローラ331の後方に配置された左覆土部材321により、溝間の土TUを折り曲げられたマルチフィルム300F1の端部に被せると共に、第1畝UN1の肩部上に被せる。左覆土部材321の後方に配置された第1ブレードBL1が、マルチフィルム300F1の上方を移動することにより、図12の矢印YTに示すように、第1畝UN1の肩部に被せられた土を第1畝UN1の上面へと導き、マルチフィルム300F1の上面に被せる。
【0076】
なお、右取付構造体ERに取り付けられた右フィルム押えローラ334、右覆土部材324、第4ブレードBL4は、移植機の機幅方向中心を挟んで、左フィルム押えローラ331、左覆土部材321、第1ブレードBL1と対称に配置されている。そのため、右フィルム押えローラ334、右覆土部材324、第4ブレードBL4は、左フィルム押えローラ331、左覆土部材321、第1ブレードBL1と同様の配置(位置関係)及び作用(機能)を有する。
【0077】
<取付構造体>
以下、取付構造体Eの具体的な構成について説明する。
取付構造体Eに取り付けられる部材は、平畝を形成する場合と高畝を形成する場合とで異なる。つまり、作業機1は、取付構造体Eに取り付ける部材を変更することによって、平畝を形成することもできるし、高畝を形成することもできる。
【0078】
図7に示すように、平畝を形成する場合には、溝切部材Zと共に、左覆土部材321、左フィルム押えローラ331、中左覆土部材322、中右覆土部材323、中左フィルム押えローラ332、中右フィルム押えローラ333、右覆土部材324、右フィルム押えローラ334が使用される。
図14に示すように、高畝を形成する場合には、畝立器51と共に、左覆土部材321H、左フィルム押えローラ331H、中左覆土部材322H、中右覆土部材323H、中左フィルム押えローラ332H、中右フィルム押えローラ333H、右覆土部材324H、右フィルム押えローラ334Hが使用される。
【0079】
図15図16に示すように、左取付構造体ELは、ロータリ機枠11の取付体196に固定される基部EL1を有する。基部EL1は、取付体196に取り付けられる水平部EL1Hと、水平部EL1Hの中央から下垂する垂直部EL1Vとを有して、T字状に形成されている。垂直部EL1Vには、高畝を形成する際に用いられる畝立器51(51L)を取り付けることができる(図13参照)。
【0080】
垂直部EL1Vに、取付アームEL2が後方に向かって突設されている。取付アームEL2は、垂直部EL1Vに設けられたブラケットEL1aに、枢支軸EL1bを介して上下方向に揺動可能に取り付けられている。垂直部EL1Vと取付アームEL2とは、引っ張りばねEL3により結合されて、取付アームEL2は、下方に付勢されている。取付アームEL2の先端部に取付ブロックEL4と取付板EL5が取り付けられている。取付ブロックEL4の上面には、チェーン取付部EL6が設けられている。垂直部EL1Vには、マルチフィルムロール支持部EL7が機幅方向外側に向かって突設されている。
【0081】
取付板EL5には、左覆土部材321を取り付け可能な第1取付部EL21が設けられている。取付ブロックEL4には、第2取付部EL22が設けられている。第2取付部EL22には、高畝を形成する際に用いられる左覆土部材321H(図14参照)が取付アームEL4aを介して取り付けられる。
取付アームEL2の基部側には、左フィルム押えローラ331を取り付け可能な第3取付部EL23が設けられている。また、取付板EL5は、第4取付部EL24を有する。第4取付部EL24には、高畝を形成する際に用いられる左フィルム押えローラ331H(図14参照)がローラ取付バーEL9を介して取り付けられる。また、取付アームEL2には、第1ブレードBL1を取り付け可能な第5取付部EL25が設けられている。
【0082】
図8図9に示すように、第1取付部EL21には、左覆土部材321が角度調整機構EL8を介して取り付けられる。
角度調整機構EL8は、取付板EL5に支軸EL8aを介して水平面内回動自在に設けられたアームEL8bを有する。アームEL8bには、支軸EL8aを中心とする長孔EL8cが形成され、その長孔EL8cに挿通されるボルトEL8dを緩めることにより、アームEL8bの回動角度を調整することができる。アームEL8bの先端に左覆土部材321が取り付けられている。
【0083】
図8図9に示すように、第3取付部EL23には、左フィルム押えローラ331がローラ取付バーEL9を介して取り付けられる。具体的には、第3取付部EL23にローラ取付バーEL9が、機幅方向内方に突出するように取り付けられ、そのローラ取付バーEL9にスライダEL9aが機幅方向移動自在に設けられている。スライダEL9aにL字状のローラ取付アームEL9bが上下方向揺動自在に設けられ、ローラ取付アームEL9bの下端に左フィルム押えローラ331が取り付けられている。ローラ取付アームEL9bとスライダEL9aとの間に引っ張りばねEL9cが設けられ、左フィルム押えローラ331は、接地方向に付勢されている。スライダEL9aは、ロックボルトEL9dによりローラ取付バーEL9に固定され、機幅方向の位置が調整される。
【0084】
図15に示すように、第5取付部EL25は、取付アームEL2を機幅方向に貫通する貫通孔である。図8図9に示すように、第5取付部EL25には、第1ブレードBL1が支持アームEL4cを介して取り付けられる。支持アームEL4cは、第1ブレードBL1を左取付構造体ELに支持している。
図21に示すように、支持アームEL4cの先端には、当該支持アームEL4cを機幅方向に貫通する支軸80が設けられている。この支軸80は、第5取付部EL25を構成する貫通孔に挿入されている。支持アームEL4cは、支軸80を支点として、第5取付部EL25に対して回動可能である。これにより、支持アームEL4cは、支軸80を支点として、上下方向に揺動可能である。言い換えれば、支軸80は、支持アームEL4cを左取付構造体ELに対して上下方向に回動可能に支持している。
【0085】
図21に示すように、支持アームEL4cは、前部位ELF、中部位ELM、後部位ELBを有している。前部位ELFの前部は、支軸80を介して第5取付部EL25に取り付けられている。前部位ELFは、第5取付部EL25から後上方に向けて延びている。中部位ELMは、前部位ELFの後端から屈曲して後方に向けて延びている。後部位ELBは、中部位ELMの後端から屈曲して下方に向けて延びている。
【0086】
支持アームEL4cの下端(後部位ELBの下端)には、取付部BL4dが設けられている。取付部EL4dには、第1ブレードBL1が取付ボルトEL4eにより固定されている。
図9図21に示すように、第1ブレードBL1の上部であって支持アームEL4cの左覆土部材321側には、土が第1ブレードBL1を越えることを防ぐ土止め板PLが設けられている。同様に、第4ブレードBL4の上部であって支持アームの右覆土部材324側には、土が第4ブレードBL4を越えることを防ぐ土止め板PLが設けられている。
【0087】
右取付構造体ERは、移植機の機幅方向中心を挟んで左取付構造体ELと対称の構造であるので、その説明は省略する。例えば、図12に示すように、右取付構造体ERは、左取付構造体ELの取付アームEL2と対称形である取付アームER2を有する。
また、右取付構造体ERに付随する構成要素も、移植機の機幅方向中心を挟んで左取付構造体ELに付随する構成要素と対称の構造であるので、その説明は省略する。例えば、図12に示すように、第4ブレードBL4を右取付構造体ERに支持する支持アームER4cは、第1ブレードBL1を左取付構造体ELに支持する支持アームEL4cと対称形である。
【0088】
図17は、中間取付構造体EMの斜視図である。
中間取付構造体EMは、垂直部EM1を有する。垂直部EM1は、中央取付体196M(図7図10図11図14参照)に取り付けられる。垂直部EM1には、高畝を形成する際に用いられる畝立器51(51M)を取り付けることができる(図14参照)。垂直部EM1に、取付アームEM2が後方に向かって突設されている。
【0089】
取付アームEM2は、平行リンクで構成されている。平行リンクは、上部のリンク材EM2aと下部のリンク材EM2bを含む。平行リンクの基部側が、垂直部EM1に設けられたブラケットEM1aに、枢支軸EM1bを介して上下方向揺動可能に取り付けられている。平行リンクの先端部にブラケットEM3が取り付けられている。
上部のリンク材EM2aと下部のリンク材EM2bは、ブラケットEM3に設けられた枢支軸EM3aを介して結合されている。上部のリンク材EM2aと下部のリンク材EM2bとの間に引っ張りばねEM4が介在されている。上部のリンク材EM2aの先端部の上面には、チェーン取付部EM5が設けられている。垂直部EM1の下部には、マルチフィルムロール支持部EM6が機幅方向両側に向かって突設されている。
【0090】
ブラケットEM3の下部に、第1取付部EM21、第2取付部EM22、第4取付部EM24、第5取付部EM25が設けられ、下部のリンク材EM2bの基部側上面に第3取付部EM23が設けられている。
図10図11に示すように、第1取付部EM21には、中左覆土部材322及び中右覆土部材323が取り付けられる。ブラケットEM3の下部に第1取付板EM7が取付けられ、第1取付板EM7の左部に中左覆土部材322が設けられ、第1取付板EM7の右部に中右覆土部材323が設けられる。
【0091】
第2取付部EM22には、高畝を形成する際に用いられる中左覆土部材322H(図14参照)と、高畝を形成する際に用いられる中右覆土部材323H(図14参照)とを取り付けることができる。
図10図11に示すように、第3取付部EM23には、中左フィルム押えローラ332と中右フィルム押えローラ333がローラ取付バーEM9を介して取り付けられる。具体的には、第3取付部EM23にローラ取付バーEM9が、機幅方向両方に突出するように取り付けられる。
【0092】
機幅方向両方に突出するローラ取付バーEM9の各々にスライダEM9aが機幅方向移動自在に設けられている。各スライダEM9aにL字状のローラ取付アームEM9bが上下方向揺動自在に設けられ、左側のローラ取付アームEM9bの下端に中左フィルム押えローラ332が、右側のローラ取付アームEM9bに中右フィルム押えローラ333が夫々取り付けられている。ローラ取付アームEM9bとスライダEM9aとの間に引っ張りばねEM9cが設けられ、中左フィルム押えローラ332及び中右フィルム押えローラ333は、接地方向に付勢されている。スライダEM9aは、ロックボルトEM9dによりローラ取付バーEM9に固定され、ロックボルトEM9dを緩めることにより機幅方向の位置を調整できる。
【0093】
第4取付部EM24には、高畝を形成する際に用いられる中左フィルム押えローラ332H(図14参照)と、高畝を形成する際に用いられる中右フィルム押えローラ333H(図14参照)を取り付けることができる。
図10図11に示すように、第5取付部EM25には、第2ブレードBL2及び第3ブレードBL3がブレード取付部材EM10を介して取り付けられている。具体的には、ブラケットEM3の下面に取り付けられた第1取付板EM7に、ブレード取付部材EM10が設けられている。ブレード取付部材EM10は、柱状体EM10aと、柱状体EM10aの下端に設けられた水平部EM10bを有する。水平部EM10bは、機幅方向に延びている。水平部EM10bに第2ブレードBL2及び第3ブレードBL3がボルトEM10cにより固定されている。
【0094】
柱状体EM10aは、ブレードBL(第2ブレードBL2及び第3ブレードBL3)に対して上方に延びている。柱状体EM10aは、接続板81により水平部EM10bと接続されている。柱状体EM10aは、機幅方向に間隔をあけて2つ(一対)配置されている。一対の柱状体EM10aの一方は、第2ブレードBL2側(左側)に配置され、他方は第3ブレードBL3側(右側)に配置されている。
柱状体EM10aと水平部EM10bとは一体化されている。そのため、水平部EM10bに取り付けられたブレードBL(第2ブレードBL2及び第3ブレードBL3)は、柱状体EM10aと共に移動(昇降)することができる。
【0095】
<移植機等の昇降機構>
図2に示すように、ロータリ耕耘機2はロータリ機枠11を有し、移植機3は移植機機枠37を有している。ロータリ機枠11と移植機機枠37は、平行リンク機構からなる連結機構41により上下動可能に連結されている。これにより、ロータリ耕耘機2と移植機3は上下方向に相対移動可能とされている。つまり、移植機3(移植機機枠37)は、ロータリ耕耘機2に対して上下動可能となっている。
【0096】
前方椅子187A,187Bは、ロータリ機枠11に連結機構41を介して上下動移動可能に設けられている。後方椅子187C,187Dは、ロータリ機枠11に平行リンク機構200を介して結合されたシートフレーム197に設けられている。平行リンク機構200は、互いに平行に配置された上リンク材200Aと下リンク材200Bとを有する。シートフレーム197は車輪206で圃場に支持されている。
【0097】
図31に示すように、マルチフィルム敷設装置300の取付アームEL2は、枢支軸SZによって、ロータリ機枠11に対して上下動可能に枢支されている。取付アームER2,EM2も同様に、ロータリ機枠11に対して上下動可能に枢支されている。
取付アームEL2,ER2,EM2と移植機機枠37は、それぞれチェーンCHNを介して連結されている。チェーンCHNは、図15に示すチェーン取付部EL6、及び、図17に示すチェーン取付部EM5に結合されている。これにより、移植機機枠37の上昇に伴ってマルチフィルム敷設装置300も上昇する(図31の矢印Y4,Y5参照)。
【0098】
図32は、連結機構41の上下動の説明図である。
連結機構41は、下部リンク44Aと上部リンク44Cを有する。上部リンク44Cに昇降駆動装置42の昇降シリンダC1が連結されている。昇降駆動装置42の駆動(昇降シリンダC1の伸縮)によって、下部リンク44Aが支軸161L回りに上下に揺動すると、上部リンク44Cが支軸161M回りに上下に揺動する。
【0099】
昇降駆動装置42の昇降シリンダC1は、シリンダ本体C1aと、ピストンロッドC1bとを有する油圧シリンダで構成されている。ピストンロッドC1bの先端部は、上支軸162に枢支されている。上支軸162は、上部リンク44Cの前後方向の中途部に取り付けられている。シリンダ本体C1aのボトム側は、下支軸163に枢支されている。下支軸163は、ロータリ機枠11に取り付けられている。
【0100】
昇降シリンダC1を伸長させる(ピストンロッドC1bをシリンダ本体C1aから進出させる)と、上部リンク44C及び下部リンク44Aが上方に揺動し、椅子支持体150に支持された椅子(第1前方椅子187A及び第2前方椅子187B)及び移植機3(移植機機枠37)が上昇する。また、昇降シリンダC1を短縮させる(ピストンロッドC1bを後退させる)と、上部リンク44C及び下部リンク44Aが下方に揺動し、椅子支持体150に支持された椅子(第1前方椅子187A及び第2前方椅子187B)及び移植機3(移植機機枠37)が下降する。
このように、昇降駆動装置42の駆動(昇降シリンダC1の伸縮)によって、椅子支持体150に支持された椅子(第1前方椅子187A及び第2前方椅子187B)及び移植機3が一体的に昇降する。ここで、連結リンク機構44が平行リンク機構で構成されているため、椅子187A,187B及び移植機3は地面に対して平行に昇降する。
【0101】
<干渉回避機構>
マルチフィルム敷設装置300は、ブレードBLが別部材と干渉したときに、当該別部材から離れる方向へのブレードBLの移動を可能とする干渉回避機構100(図9図11参照)を備えている。干渉回避機構100は、ブレードBLが別部材と干渉したときに、別部材から受ける力によって、ブレードBLが別部材から離れる方向に移動することを可能とする。
より詳しくは、干渉回避機構100は、ブレードBLが別部材と干渉したときに、覆土部材DSと独立してブレードBLの移動を可能とする。干渉回避機構100は、ブレードBLが別部材と干渉したときに、別部材から受ける力によって、ブレードBLが覆土部材DSから独立して移動することを可能とする。
【0102】
別部材は、作業機1が備える部材であって、移動可能な部材である。より詳しくは、別部材は、作業機1が備える部材であって、上下方向に移動可能な部材である。本実施形態の場合、別部材は、鎮圧輪40を上下方向に揺動可能に支持する支持部材70(図7参照)である。支持部材70は、鎮圧輪40と共に上下方向に揺動する。支持部材70が揺動したときに、ブレードBLと干渉するおそれがある。そのため、干渉回避機構100は、ブレードBLが支持部材70と干渉したときに、当該支持部材70から離れる方向へのブレードBLの移動を可能とする。
【0103】
上述したように、支持部材70は、機幅方向に延びる支持軸71と、支持軸71から後方に延びる後延部材72とを有している(図7参照)。図18に示すように、支持軸71は、移植機機枠37に取り付けられている。移植機機枠37は、上下方向に延びる縦材37aと、前後方向に延びる横材37bと、縦材37aと横材37bとを連結する連結プレート37cと、を有している。横材37bの前下部には、下方に延びる下延部材37dが取り付けられている。支持軸71は、軸受を介して下延部材37dに支持されている。
【0104】
図18に示すように、支持部材70は、ブレードBLの上方に位置している。また、図20に示すように、平面視において、支持部材70は、ブレードBLと重なる位置にある。具体的には、平面視において、鎮圧輪40AL,40ARを支持する支持部材70は、第1ブレードBL1及び第2ブレードBL2と重なる位置にある。鎮圧輪40BL,40BRを支持する支持部材70は、第3ブレードBL3及び第4ブレードBL4と重なる位置にある。
【0105】
図18に示すように、移植機3(移植機機枠37)が上昇した状態では、支持部材70はブレードBLと離れた位置にある。つまり、支持部材70はブレードBLと干渉しない。しかし、図19に示すように、移植機3(移植機機枠37)が下降した状態となると、支持部材70(支持軸71)がブレードBLに接触する。つまり、支持部材70がブレードBLと干渉する。干渉回避機構100は、この干渉によってブレードBLが変形することを防ぐために設けられている。
【0106】
以下、干渉回避機構100の具体的な構成について説明する。
図20に示すように、干渉回避機構100は、左側回避機構100Lと中央回避機構100Mと右側回避機構100Rとを含む。
左側回避機構100Lは、第1ブレードBL1が別部材と干渉したときに、当該別部材から離れる方向への第1ブレードBL1の移動を可能とする。具体的には、左側回避機構100Lは、第1ブレードBL1が鎮圧輪40AL,40ARを支持する支持部材70と干渉したときに、当該支持部材70から離れる方向(下方)への第1ブレードBL1の移動を可能とする。この第1ブレードBL1の移動は、左覆土部材321と独立して可能である。
【0107】
中央回避機構100Mは、第2ブレードBL2又は第3ブレードBL3が別部材と干渉したときに、当該別部材から離れる方向への第2ブレードBL2及び第3ブレードBL3の移動を可能とする。具体的には、中央回避機構100Mは、第2ブレードBL2が鎮圧輪40ARを支持する支持部材70と干渉したとき、又は、第3ブレードBL3が鎮圧輪40BLを支持する支持部材70と干渉したときに、当該支持部材70から離れる方向(下方)への第2ブレードBL2及び第3ブレードBL3の移動を可能とする。この第2ブレードBL2及び第3ブレードBL3の移動は、中左覆土部材322及び中右覆土部材323と独立して可能である。
【0108】
右側回避機構100Rは、第4ブレードBL4が別部材と干渉したときに、当該別部材から離れる方向への第4ブレードBL4の移動を可能とする。具体的には、右側回避機構100Rは、第4ブレードBL4が鎮圧輪40BRを支持する支持部材70と干渉したときに、当該支持部材70から離れる方向(下方)への第4ブレードBL4の移動を可能とする。この第4ブレードBL4の移動は、右覆土部材324と独立して可能である。
【0109】
図21は、左側回避機構100Lを示す斜視図である。図22は、左側回避機構100Lを示す側面図である。以下、これらの図を参照しながら左側回避機構100Lの構成を説明する。右側回避機構100Rは、移植機の機幅方向中心を挟んで左側回避機構100Lと対称形であるため、説明を省略する。
左側回避機構100Lは、支軸80と付勢部材101(以下、「第1付勢部材101」という)とを有している。支軸80は、支持アームEL4cを取付構造体(左取付構造体EL)に対して上下方向に回動可能に支持する。第1付勢部材101は、支持アームEL4cに対して支軸80回りに上方に回動させる力を付勢する。
【0110】
第1付勢部材101は、引っ張りばねである。第1付勢部材101は、一端部が第1係止部102に係止され、他端部が第2係止部103に係止されている。第1係止部102は、ローラ取付バーEL9に設けられている。第1係止部102は、支軸80よりも前方(ブレードBLと反対側)に設けられている。第2係止部103は、支持アームEL4cの前部(前部位ELF)に設けられている。第2係止部103は、支軸80よりも後方(ブレードBL側)に設けられている。第1付勢部材101は、第2係止部103を引っ張ることにより、支持アームEL4cに対して支軸80回りに上方に回動させる力を付勢している。
【0111】
左側回避機構100Lは、支持アームEL4cの支軸80回りの上方への回動の上限位置を規制する第1規制部104を有している。第1規制部104は、支持アームEL4cの前部(前部位ELF)に取り付けられている。第1規制部104は、第1部位104aと第2部位104bとを有している。第1部位104aと第2部位104bとは、1枚の板をL字形に屈曲して形成されている。第1部位104aは、一方の面が機幅内方を向き、他方の面が機幅外方を向く板状の部位であって、上下方向に延びている。第1部位104aは、ボルトBT1により支持アームEL4cに取り付けられている。第2部位104bは、第1部位104aの下端から屈曲して機体外方に向けて延びている。第2部位104bは、一方の面が上方を向き、他方の面が下方を向く板状の部位である。第2部位104bの一方の面(上面)104cは、取付板EL5の下面と対向している。
【0112】
第1規制部104は、第2部位104bの上面104cが取付板EL5の下面EL5aに当接する(図22参照)ことにより、支持アームEL4cの支軸80回りの上方への回動の上限位置を規制する。つまり、支持アームEL4cは、第2部位104bの上面104cが取付板EL5の下面EL5aに当接するまでは上方に回動可能であるが、当接するとそれ以上は上方に回動することができない。そのため、第1付勢部材101が支持アームEL4cに対して支軸80回りに上方に回動させる力を付勢したとき、支持アームEL4cの上限位置が第1規制部104により規制される。
【0113】
図22は、支持アームEL4cが上限位置にある状態を示している。この状態では、第1規制部104の第2部位104bの上面104cが取付板EL5の下面EL5aに当接している。支持アームEL4cが上限位置にある状態は、ブレードBL(第4ブレードBL4)が別部材(支持部材70)と干渉していない状態である。この状態において、ブレードBL(第1ブレードBL1)は作業位置にある。つまり、支持アームEL4cが上限位置にあるとき、ブレードBL(第1ブレードBL1)は作業位置にある。
【0114】
ブレードBL(第1ブレードBL1)の作業位置は、当該ブレードBLが覆土部材DS(左覆土部材321)によりマルチフィルム300Fの端部に被せられた土を畝UNの上面を覆うマルチフィルム300F上に導くことができる位置(高さ)である。すなわち、ブレードBL(第1ブレードBL1)の作業位置は、当該ブレードBLの下端が畝UNの上面を覆うマルチフィルム300Fの表面に当接又は近接する位置である。ブレードBL(第1ブレードBL1)の作業位置(支持アームEL4cの上限位置)は、後述する調整機構130(第1調整機構131)を用いて作業者によって設定される。
【0115】
第1付勢部材101は、支持アームEL4cに対して支軸80回りに上方に回動させる力を付勢することによって、ブレードBL(第1ブレードBL1)を当該ブレードBLの作業位置に向けて付勢している。
ブレードBL(第1ブレードBL1)が作業位置にある状態(図22参照)において、移植機3(移植機機枠37)が下降すると、支持部材70(支持軸71)がブレードBLに干渉(接触)する場合がある(図19参照)。例えば、植付面に凹みがあった場合等において、植付面の凹みに対応して移植機3(移植機機枠37)が下降することによって、支持部材70(支持軸71)がブレードBL(第1ブレードBL1)に干渉する場合がある。つまり、移植機3(移植機機枠37)が下降すると、ブレードBLが別部材(支持部材70)と干渉する場合がある。
【0116】
本発明において、「ブレードBLが別部材(支持部材70)と干渉」は、ブレードBLが別部材(支持部材70)と直接的に干渉する場合と、ブレードBLが他の部材を介して間接的に別部材(支持部材70)と干渉する場合とを含む。後者の場合、「ブレードBLの取付部BL4dが別部材(支持部材70)と干渉」する場合を含む。図19には、支持部材70(支持軸71)がブレードBLの取付部BL4dに干渉した状態を示している。
【0117】
支持アームEL4cは、ブレードBL(第1ブレードBL1)が別部材(支持部材70)と干渉したときに、第1付勢部材101の付勢力に抗して支軸80回りに下方に回動する。そのため、ブレードBL(第1ブレードBL1)は、作業位置において別部材(支持部材70)と干渉したときに、第1付勢部材101の付勢力に抗して作業位置から離れる方向(下方)に移動する。
以下、ブレードBL(第1ブレードBL1)が別部材(支持部材70)と干渉したときの動作について、より詳しく説明する。
【0118】
図19に示すように、移植機3(移植機機枠37)が下降することによって、支持部材70(支持軸71)が作業位置にあるブレードBL(第1ブレードBL1)に取付部BL4dを介して干渉すると、ブレードBLに対して下向きに押し下げる力FS1(図22参照)が作用する。すると、図22に矢印G1で示すように、支持アームEL4cが支軸80回りに下方に回動する。この回動は、第1付勢部材101の付勢力に抗して行われ、第1付勢部材101を構成する引っ張りばねが伸長する。
【0119】
支持アームEL4cが支軸80回りに下方に回動すると、第1規制部104の第2部位104bの上面104cが取付板EL5の下面EL5aから離反し、ブレードBL(第1ブレードBL1)が下降する(図23参照)。このように、ブレードBL(第1ブレードBL1)が別部材(支持部材70)と干渉したときに、ブレードBLが別部材(支持部材70)から離れる方向(下方)へと移動可能であることにより、ブレードBL(第1ブレードBL1)に過大な力が作用することが防がれる。その結果、ブレードBL(第1ブレードBL1)の変形等を防止することができる。
【0120】
また、図18に示すように、移植機3(移植機機枠37)が上昇して、支持部材70(支持軸71)がブレードBL(取付部BL4d)と干渉しない位置となると、第1付勢部材101の付勢力によって、支持アームEL4cが支軸80回りに上方に回動する。これにより、支持アームEL4cが上限位置(図22参照)に戻り、ブレードBLは作業位置に戻る。
このように、ブレードBL(第1ブレードBL1)が別部材と干渉していないときには、第1付勢部材101の付勢力によって、ブレードBL(第1ブレードBL1)の位置を常に作業(土寄せ作業)に適した位置(作業位置)に保つことができる。
【0121】
上述したブレードBL(第1ブレードBL1)の移動は、覆土部材DS(左覆土部材321)と独立して行われる。つまり、ブレードBL(第1ブレードBL1)は覆土部材DS(左覆土部材321)にして相対的に移動可能であって、ブレードBL(第1ブレードBL1)が移動しても覆土部材DS(左覆土部材321)は移動しない。これにより、ブレードBL(第1ブレードBL1)の移動の有無に関わらず、覆土部材DSの位置が最適な位置(高さ)に保たれるため、覆土部材DSによる作業(覆土作業)を良好に継続することができる。
【0122】
右側回避機構100Rは、移植機の機幅方向中心を挟んで左側回避機構100Lと対称形であるため、左側回避機構100Lと同様に動作する。従って、第4ブレードBL4は、作業位置において別部材(支持部材70)と干渉したときに、作業位置から離れる方向(下方)に移動する。これにより、第4ブレードBL4に過大な力が作用することが防がれ、第4ブレードBL4の変形等を防止することができる。また、第4ブレードBL4の移動は、覆土部材DS(右覆土部材324)と独立して行われる。
【0123】
次に、図11図24図25に基づいて中央回避機構100Mの構成を説明する。
中央回避機構100Mは、筒体110と付勢部材111(以下、「第2付勢部材111」という)とを有している。
筒体110は、中間取付構造体EMに固定されている。具体的には、筒体110は、第1取付板EM7を介して中間取付構造体EMの第5取付部EM25(図17参照)に固定されている。筒体110は、第1取付板EM7の上面から上向きに突設されている。筒体110には、ブレード取付部材EM10の柱状体EM10aが挿通されている。柱状体EM10aは、筒体110に沿って上下動可能である。
【0124】
柱状体EM10aの上部は、筒体110の上端から突出している。柱状体EM10aの下部は、接続板81を介して、第2ブレードBL2及び第3ブレードBL3が固定された水平部EM10bと接続されている。
第2付勢部材111は、コイルばねであって、柱状体EM10aの外周側に配置されている。柱状体EM10aは、第2付勢部材(コイルばね)111を貫通している。第2付勢部材111の上端は、上板112と当接している。第2付勢部材111の下端は、下板113と当接している。つまり、第2付勢部材111は、上板112と下板113との間に挟まれている。
【0125】
上板112及び下板113は、円環状の板である。上板112及び下板113の内径は、柱状体EM10aの外径よりも大きい。上板112及び下板113の外径は、第2付勢部材(コイルばね)111の外径よりも大きい。上板112及び下板113には、柱状体EM10aが挿通されている。
上板112の上面は、第1ピン114と当接している。本実施形態の場合、第1ピン114は、スナップピン(ベータピン)である。第1ピン114は、柱状体EM10aの上部を水平方向に貫通している。下板113は、筒体110の上端に固定されている。
【0126】
第2付勢部材111は、上板112に対して上向きの力(押し上げる力)を付勢している。上板112は、第2付勢部材111の付勢力によって押し上げられることにより、第1ピン114に当接している。第1ピン114は、上板112が柱状体EM10aの上端から抜けることを防ぐ機能(抜け止め機能)を有している。
第2付勢部材111の付勢力によって上板112に上向きの力が作用すると、この力は第1ピン114を介して柱状体EM10aに作用する。これにより、柱状体EM10aに対して上向きの力(押し上げる力)が作用し、柱状体EM10aが筒体110に沿って上方に移動する。
【0127】
このように、第2付勢部材111は、柱状体EM10aに対して筒体110に沿って上方に移動させる力を付勢している。柱状体EM10aが筒体110に沿って上方に移動すると、水平部EM10bに固定された第2ブレードBL2及び第3ブレードBL3も上方に移動する。
図25に示すように、中央回避機構100Mは、柱状体EM10aの筒体110に沿った上方への移動の上限位置を規制する第2規制部120を有している。第2規制部120は、第2ピン121を有している。本実施形態の場合、第2ピン121は、スナップピン(ベータピン)である。第2ピン121は、柱状体EM10aの下部を水平方向に貫通している。第2ピン121は、第1取付板EM7及び筒体110よりも下方に位置している。
【0128】
第2規制部120の第2ピン121は、第1取付板EM7の下面に当接することにより、柱状体EM10aの筒体110に沿う上方への移動の上限位置を規制する。つまり、柱状体EM10aは、第2規制部120(第2ピン121)が第1取付板EM7の下面に当接するまでは上方に移動可能であるが、当接するとそれ以上は上方に移動することができない。そのため、第2付勢部材111が柱状体EM10aに対して筒体110に沿って上方に移動させる力を付勢したとき、柱状体EM10aの上限位置が第2規制部120(第2ピン121)により規制される。
【0129】
図25は、柱状体EM10aが上限位置にある状態を示している。この状態では、第2規制部120が第1取付板EM7の下面に当接している。柱状体EM10aが上限位置にある状態は、ブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)が別部材(支持部材70)と干渉していない状態である。この状態では、ブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)は、覆土部材DSによりマルチフィルム300Fの端部に被せられた土を畝UNの上面を覆うマルチフィルム300F上に導くことができる位置(作業位置)にある。つまり、柱状体EM10aが上限位置にあるとき、ブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)は作業位置にある。
【0130】
ブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)の作業位置は、当該ブレードBLの下端が畝UNの上面を覆うマルチフィルム300Fの表面に当接又は近接する位置である。そして、第2付勢部材111は、ブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)を当該ブレードBLの作業位置に向けて付勢している。
上述したように、ブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)が作業位置にある状態(図25参照)において、移植機3(移植機機枠37)が下降すると、支持部材70(支持軸71)がブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)に干渉(接触)する場合がある(図19参照)。言い換えれば、移植機3(移植機機枠37)が下降すると、ブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)が別部材(支持部材70)と干渉する場合がある。
【0131】
上述したように、「ブレードBLが別部材(支持部材70)と干渉」は、ブレードBLが別部材(支持部材70)と直接的に干渉する場合と、ブレードBLが他の部材を介して間接的に別部材(支持部材70)と干渉する場合とを含む。そして、後者の場合、「ブレードBLが固定された水平部EM10bが別部材(支持部材70)と干渉」する場合も含む。図19には、支持部材70(支持軸71)が水平部EM10bに干渉した状態を示している。
【0132】
柱状体EM10aは、ブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)が別部材と干渉したときに、第2付勢部材111の付勢力に抗して筒体110に沿って下方に移動する。そのため、ブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)は、作業位置において別部材(支持部材70)と干渉したときに、第2付勢部材111の付勢力に抗して作業位置から離れる方向に移動する。
以下、ブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)が別部材(支持部材70)と干渉したときの動作について、より詳しく説明する。
【0133】
図19に示すように、移植機3(移植機機枠37)が下降することによって、支持部材70(支持軸71)が作業位置にあるブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)に水平部EM10bを介して干渉すると、ブレードBLに対して下向きに押し下げる力FS2(図25参照)が作用する。すると、柱状体EM10aが筒体110に沿って下方に移動する。この移動は、第2付勢部材111の付勢力に抗して行われ、第2付勢部材111を構成するコイルばねが圧縮される。
【0134】
柱状体EM10aが筒体110に沿って下方に移動すると、第2規制部120(第2ピン121)が第1取付板EM7の下面から離反し、ブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)が下降する(図26参照)。
このように、ブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)が別部材(支持部材70)と干渉したときに、ブレードBLが別部材(支持部材70)から離れる方向(下方)へと移動可能であることにより、ブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)に過大な力が作用することが防がれる。その結果、ブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)の変形等を防止することができる。
【0135】
また、移植機3(移植機機枠37)が上昇して、支持部材70(支持軸71)がブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)と干渉しない位置となると、第2付勢部材111の付勢力によって、柱状体EM10aが筒体110に沿って上方に移動する。これにより、柱状体EM10aが上限位置(図25参照)に戻り、ブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)は作業位置に戻る。
このように、ブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)が別部材と干渉していないときには、第2付勢部材111の付勢力によって、ブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)の位置を常に作業(土寄せ作業)に適した位置(作業位置)に保つことができる。
【0136】
上述したブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)の移動は、覆土部材DS(中左覆土部材322、中右覆土部材323)と独立して行われる。つまり、ブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)は、覆土部材DS(中左覆土部材322、中右覆土部材323)に対して相対的に移動可能であって、ブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)が移動しても覆土部材DS(中左覆土部材322、中右覆土部材323)は移動しない。これにより、ブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)の移動の有無に関わらず、覆土部材DS(中左覆土部材322、中右覆土部材323)の位置が最適な位置(高さ)に保たれるため、覆土部材DSによる作業(覆土作業)を良好に継続することができる。
【0137】
<調整機構>
マルチフィルム敷設装置300は、ブレードBLの作業位置を調整する調整機構130を備えている。図20に示すように、調整機構130は、第1調整機構131と、第2調整機構132と、第3調整機構133とを含む。
第1調整機構131は、第1ブレードBL1の作業位置を調整する機構である。第2調整機構132は、第2ブレードBL2及び第3ブレードBL3の作業位置を調整する機構である。第3調整機構133は、第4ブレードBL4の作業位置を調整する機構である。
【0138】
第1調整機構131及び第3調整機構133は、同じ構造の機構である。第1調整機構131は、支持アームEL4cの支軸80回りの位置を調整可能である。第3調整機構133は、支持アームER4cの支軸80回りの位置を調整可能である。
図27図28は、第1調整機構131を説明する側面図である。以下、これらの図を参照しながら第1調整機構131の構成を説明する。第3調整機構133は、移植機の機幅方向中心を挟んで第1調整機構131と対称形であるため、説明を省略する。
【0139】
第1調整機構131は、第1規制部104に設けられた長孔104dと、第1規制部104を支持アームEL4cに取り付けるためのボルトBT1(図22参照)とから構成されている。長孔104dは、第1規制部104の第1部位104aに設けられている。長孔104dは、支軸80を中心とした円弧状に形成されている。長孔104dは、支持アームEL4cが延びる方向に沿う方向に複数(2つ)並んで設けられている。
【0140】
図27図28に示すように、長孔104dにはボルトBT1の軸部BT1aが挿通されている。尚、図27図28では、ボルトBT1の頭部を省略している。ボルトBT1の軸部BT1aは、支持アームEL4cに形成された雌ねじに螺合されている。これにより、第1規制部104が支持アームEL4cに固定されている。
図27図28に示すように、ボルトBT1の軸部BT1aは、支持アームEL4cを支軸80回りに回動したとき、長孔104dに沿って移動可能である。そのため、長孔104dに対するボルトBT1の軸部BT1aの位置を変更することによって、支持アームEL4cの支軸80回りの位置(角度)を調整することができる。この調整を第2部位104bの上面104cが取付板EL5の下面に当接した状態で行うことにより、第1ブレードBL1の作業位置を調整することができる。
【0141】
図27は、ボルトBT1の軸部BT1aを長孔104dの下部に位置させた状態である。この状態では、ボルトBT1の軸部BT1aが長孔104dの下縁に当接している。この状態で、ボルトBT1を締め付けることにより、ボルトBT1の長孔104dに対する位置が固定され、支持アームEL4cの支軸80回りの位置(角度)が固定される。その結果、第1ブレードBL1の作業位置が固定される。図27に示す状態では、第1ブレードBL1の作業位置が第1位置P1に固定されている。
【0142】
図27の状態から、ボルトBT1を緩めて支持アームEL4cを上方に回動させることにより、ボルトBT1の軸部BT1aを長孔104dに沿って上方に移動させることができる。このとき、第1ブレードBL1も上方に移動する(図28の矢印H1参照)。
図28は、支持アームEL4cを上方に回動させて、ボルトBT1の軸部BT1aを長孔104dの上部に位置させた状態である。この状態では、ボルトBT1の軸部BT1aが長孔104dの上縁に当接している。この状態で、ボルトBT1を締め付けることにより、ボルトBT1の長孔104dに対する位置が固定され、支持アームEL4cの支軸80回りの位置(角度)が固定される。その結果、第1ブレードBL1の作業位置が固定される。図27に示す状態では、第1ブレードBL1の作業位置が第1位置P1よりも高い第2位置P2に調整されている。
【0143】
図28の状態から、ボルトBT1を緩めて支持アームEL4cを下方に回動させることにより、ボルトBT1の軸部BT1aを長孔104dに沿って下方に移動させることができる。これにより、第1ブレードBL1の作業位置を第2位置P2から第1位置P1に変更することができる。
上記したように、第1調整機構131によれば、ボルトBT1の軸部BT1aを長孔104dに沿って移動させることにより、第1ブレードBL1の作業位置を調整(変更)することができる。また、第3調整機構133によれば、第1調整機構131と同様の作用(動き)により、第4ブレードBL4の作業位置を調整(変更)することができる。
【0144】
次に、図29及び図30に基づいて第2調整機構132の構成を説明する。
第2調整機構132は、筒体110に対する柱状体EM10aの上下位置を調整可能である。
第2調整機構132は、第2ピン121と、柱状体EM10aに形成された貫通孔EM10dから構成されている。貫通孔EM10dには、第2ピン121が挿通される。第2ピン121は、貫通孔EM10dに挿通されることによって、柱状体EM10aを水平方向に貫通する。
【0145】
図29図30に示すように、貫通孔EM10dは、柱状体EM10aの長さ方向(上下方向)に間隔をあけて形成された複数設けられている。貫通孔EM10dの数は、2つ以上であればよく、特に限定されない。本実施形態の場合、3つの貫通孔EM10dが設けられている。第2ピン121は、複数(3つ)の貫通孔EM10dのいずれか1つに選択的に挿通される。以下、便宜的に、3つの貫通孔EM10dを上から順に、上貫通孔EM10e、中貫通孔EM10f、下貫通孔EM10gと称する。貫通孔EM10dからブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)までの上下方向の距離は、上貫通孔EM10e、中貫通孔EM10f、下貫通孔EM10gの順に大きい。
【0146】
上述したように、第2ピン121は、第1取付板EM7の下面に当接することにより、柱状体EM10aの筒体110に沿う上方への移動の上限位置を規制する。すなわち、図25図29に示すように、第2ピン121が第1取付板EM7の下面に当接することにより、柱状体EM10aの上限位置が規制される。柱状体EM10aが上限位置にあるとき、ブレードBLは作業位置にある。
図25図29は、第2ピン121を下貫通孔EM10gに挿通した状態(第1状態)を示している。第1状態では、ブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)の位置(作業位置)が最も高くなる。
【0147】
図29の状態から、矢印R1の長さで示す距離だけ柱状体EM10aを下降させ、上貫通孔EM10eの位置(高さ)を第1取付板EM7より下方位置とする。この状態で第2ピン121を上貫通孔EM10eに挿通した状態(第2状態)にすると、ブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)の位置(作業位置)が第1状態における位置(作業位置)よりも低い位置で固定される(図30参照)。第2状態では、ブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)の位置(作業位置)は最も低くなる。
【0148】
第2ピン121を中貫通孔EM10fに挿通した場合、ブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)の位置(作業位置)は、第1状態よりも低く第2状態よりも高くなる。
上記したように、第2ピン121を複数の貫通孔EM10dのいずれに挿通するかによって、ブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)の作業位置(高さ)を選択することができる。そのため、第2ピン121を挿通する貫通孔EM10dを変更することにより、ブレードBL(第2ブレードBL2、第3ブレードBL3)の作業位置を調整することができる。
【0149】
<効果>
上記実施形態の作業機1は、以下に記載する効果を奏する。
作業機1は、圃場に形成された畝UNにマルチフィルム300Fを敷設するマルチフィルム敷設装置300を備え、マルチフィルム300Fの端部に土を被せる覆土部材DSと、覆土部材DSにより前記端部に被せられた土を畝の上面を覆うマルチフィルム300F上に導くブレードBLと、ブレードBLが別部材(支持部材70等)と干渉したときに別部材から離れる方向へのブレードBLの移動を可能とする干渉回避機構100と、を有している。
【0150】
この構成によれば、ブレードBLによって畝UNの上面を覆うマルチフィルム300F上に土を被せることが可能であるとともに、ブレードBLが別部材(支持部材70等)に干渉して変形等することを防止できる。詳しくは、ブレードBLが別部材(支持部材70等)と干渉したときに、ブレードBLが別部材から離れる方向へと移動できるため、ブレードBLに過剰な力が加わることが回避され、ブレードBLの変形等を防止できる。
【0151】
また、干渉回避機構100は、ブレードBLが別部材と干渉したときに覆土部材DSと独立してブレードBLの移動を可能とする。
この構成によれば、ブレードBLが移動した場合でも覆土部材DSは移動しないため、ブレードBLの移動の有無に影響されることなく、覆土部材DSによる作業(覆土作業)を良好に継続することができる。
【0152】
また、干渉回避機構100は、ブレードBLを当該ブレードの作業位置に向けて付勢する付勢部材(第1付勢部材101、第2付勢部材111)を有し、ブレードBLは、作業位置において別部材と干渉したときに、付勢部材の付勢力に抗して作業位置から離れる方向に移動する。
この構成によれば、ブレードBLが別部材と干渉しなくなったときに、付勢部材(第1付勢部材101、第2付勢部材111)の付勢力によってブレードBLを作業位置に戻すことができる。そのため、ブレードBLの位置を作業(土寄せ作業)に適した位置(作業位置)に保つことができる。
【0153】
また、作業機1は、圃場を耕耘する耕耘部18と、覆土部材DSを耕耘部18の後方に取り付ける取付構造体(左取付構造体EL、右取付構造体ER)と、ブレード(第1ブレードBL1,第4ブレードBL4)を支持する支持アームEL4c,ER4cと、を備え、干渉回避機構100は、支持アームEL4c,ER4cを取付構造体(左取付構造体EL、右取付構造体ER)に対して上下方向に回動可能に支持する支軸80と、支持アームEL4c,ER4cに対して支軸80回りに上方に回動させる力を付勢する付勢部材(第1付勢部材101)と、を有し、支持アームEL4cは、ブレードBLが別部材(支持部材70)と干渉したときに、第1付勢部材101の付勢力に抗して支軸80回りに下方に回動する。
【0154】
この構成によれば、ブレード(第1ブレードBL1,第4ブレードBL4)が別部材と干渉したとき、支持アームEL4c,ER4cを付勢部材(第1付勢部材101)の付勢力に抗して支軸80回りに下方に回動させることにより、ブレード(第1ブレードBL1,第4ブレードBL4)を作業位置から離れる方向に移動させて干渉を回避することができる。また、ブレード(第1ブレードBL1,第4ブレードBL4)が別部材と干渉しなくなったときには、付勢部材(第1付勢部材101)の付勢力によって支持アームEL4c,ER4cを支軸80回りに上方に回動させて、ブレード(第1ブレードBL1,第4ブレードBL4)を作業位置に戻すことができる。
【0155】
また、作業機1は、圃場を耕耘する耕耘部18と、覆土部材DSを耕耘部18の後方に取り付ける取付構造体(中間取付構造体EM)と、ブレード(第2ブレードBL2,第3ブレードBL3)を取付構造体(中間取付構造体EM)に取り付けるブレード取付部材EM10と、を備え、ブレード取付部材EM10は、ブレード(第2ブレードBL2,第3ブレードBL3)に対して上方に延びる柱状体EM10aを有し、干渉回避機構100は、取付構造体(中間取付構造体EM)に固定され且つ柱状体EM10aが上下動可能に挿通された筒体110と、柱状体EM10aに対して筒体110に沿って上方に移動させる力を付勢する付勢部材(第2付勢部材111)と、を有し、柱状体EM10aは、ブレードBLが別部材と干渉したときに、第2付勢部材111の付勢力に抗して筒体110に沿って下方に移動する。
【0156】
この構成によれば、ブレード(第2ブレードBL2,第3ブレードBL3)が別部材と干渉したとき、柱状体EM10aを付勢部材(第2付勢部材111)の付勢力に抗して筒体110に沿って下方に移動させることにより、ブレードを作業位置から離れる方向に移動させて干渉を回避することができる。また、ブレード(第2ブレードBL2,第3ブレードBL3)が別部材と干渉しなくなったときには、付勢部材(第2付勢部材111)の付勢力によって柱状体EM10aを筒体110に沿って上方に移動させて、ブレード(第2ブレードBL2,第3ブレードBL3)を作業位置に戻すことができる。
【0157】
また、干渉回避機構100は、支持アームEL4c,ER4cの支軸80回りの上方への回動の上限位置を規制する第1規制部104を有している。
この構成によれば、付勢部材(第1付勢部材101)の付勢力によって支持アームEL4c,ER4cが過剰に上方に回動することを防ぐことができる。そのため、支持アームEL4c,ER4cの上限位置を一定とすることができ、ブレード(第1ブレードBL1,第4ブレードBL4)の作業位置も一定とすることができる。
【0158】
また、干渉回避機構100は、柱状体EM10aの筒体110に沿った上方への移動の上限位置を規制する第2規制部120を有している。
この構成によれば、付勢部材(第2付勢部材111)の付勢力によって柱状体EM10aが過剰に上方に移動することを防ぐことができる。そのため、柱状体EM10aの上限位置を一定とすることができ、ブレード(第2ブレードBL2,第3ブレードBL3)の作業位置も一定とすることができる。
【0159】
また、作業機1は、ブレードBLの作業位置を調整する調整機構130を備えている。
この構成によれば、圃場(畝)の状態等に応じて、調整機構130によりブレードBLの作業位置を最適な位置に調整することができる。
また、調整機構(第1調整機構131、第3調整機構133)は、支持アームEL4c,ER4cの支軸80回りの位置を調整可能である。
【0160】
この構成によれば、支持アームEL4c,ER4cの支軸80回りの位置を調整することによって、ブレード(第1ブレードBL1,第4ブレードBL4)の位置(高さ)を適切な位置に調整することができる。
また、調整機構(第2調整機構132)は、筒体110に対する柱状体EM10aの上下位置を調整可能である。
【0161】
この構成によれば、筒体110に対する柱状体EM10aの上下位置を調整することによって、ブレード(第2ブレードBL2,第3ブレードBL3)の位置(高さ)を適切な位置に調整することができる。
また、作業機1は、マルチフィルム300Fが敷設された畝UNに苗を植え付ける植付装置39と、植付装置39により植え付けられた苗の株元付近を覆う土を鎮圧する鎮圧輪40と、上記マルチフィルム敷設装置300と、を備え、別部材は、鎮圧輪40を上下方向に揺動可能に支持する支持部材70である。
【0162】
この構成によれば、ブレードBLが鎮圧輪40を支持する支持部材70と干渉したときに、ブレードBLが支持部材70から離れる方向へと移動できるため、ブレードBLに過剰な力が加わることが回避され、ブレードBLの変形等を防止できる。
マルチフィルム敷設装置300は、圃場に形成された畝UNにマルチフィルム300Fを敷設するマルチフィルム敷設装置であって、マルチフィルム300Fの端部に土を被せる覆土部材DSと、覆土部材DSにより前記端部に被せられた土を畝UNの上面を覆うマルチフィルム300F上に導くブレードBLと、ブレードBLが別部材(支持部材70等)と干渉したときに別部材から離れる方向へのブレードBLの移動を可能とする干渉回避機構100と、を有している。
【0163】
この構成によれば、ブレードBLによって畝UNの上面を覆うマルチフィルム300F上に土を被せることが可能であるとともに、ブレードBLが別部材(支持部材70等)に干渉して変形等することを防止できるマルチフィルム敷設装置が提供される。詳しくは、マルチフィルム敷設装置300において、ブレードBLが別部材と干渉したときに、ブレードBLが別部材から離れる方向へと移動できるため、ブレードBLに過剰な力が加わることが回避され、ブレードBLの変形等を防止できる。
【0164】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0165】
1 作業機
18 耕耘部
39 植付装置
40 鎮圧輪
70 別部材(支持部材)
80 支軸
100 干渉回避機構
101 付勢部材(第1付勢部材)
104 第1規制部
111 付勢部材(第2付勢部材)
120 第2規制部
130 調整機構
131 調整機構(第1調整機構)
132 調整機構(第2調整機構)
133 調整機構(第3調整機構)
300 マルチフィルム敷設装置
BL ブレード
BL1 ブレード(第1ブレード)
BL2 レード(第2ブレード)
BL3 ブレード(第3ブレード)
BL4 ブレード(第4ブレード)
DS 覆土部材
E 取付構造体
EL 取付構造体(左取付構造体)
EL4c 支持アーム
ER4c 支持アーム
EM 取付構造体(中間取付構造体)
EM10a 柱状体
ER 取付構造体(右取付構造体)
F マルチフィルム
UN 畝
図1
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