(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】改善されたサンプリング装置
(51)【国際特許分類】
H03M 1/12 20060101AFI20240930BHJP
【FI】
H03M1/12 A
(21)【出願番号】P 2021528004
(86)(22)【出願日】2019-07-26
(86)【国際出願番号】 FR2019051861
(87)【国際公開番号】W WO2020021216
(87)【国際公開日】2020-01-30
【審査請求日】2022-06-13
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520342828
【氏名又は名称】リンレッド
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100202429
【氏名又は名称】石原 信人
(72)【発明者】
【氏名】ジルベール、ドサン
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-037950(JP,A)
【文献】特開2011-124894(JP,A)
【文献】特開2013-183279(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03M 1/00-1/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプリング装置であって、
サンプリングされる信号を受信するように設計された前記サンプリング装置の第1の入力を形成する第1の端子と、第2の端子とを有するサンプリングコンデンサ(C
ech)と、
基準に対して前記サンプリングコンデンサ(C
ech)の前記端子の電圧をサンプリングするために前記サンプリングコンデンサ(C
ech)の前記第2の端子に接続された第1の入力端子と、基準電圧(V
ref)の供給源(6)に接続された第2の入力端子とを有する増幅器(4)と、
前記増幅器(4)に供給する電流源(5、5a、5b)であって、
第1の期間にわたって第1の動作条件で低減電流(i
rep)を提供し、前記増幅器(4)に供給するか、または前記第1の期間にわたって前記増幅器(4)に供給せず、
前記第1の期間の後に続く第2の期間にわたって第2の動作条件で、定格電流(i
nom)であって、前記低減電流(i
rep)の値が前記定格電流(i
nom)の値よりも低く、場合によってはゼロでさえある、定格電流(i
nom)を提供し、前記増幅器(4)に供給する
ように構成された電流源(5、5a、5b)と
を備えるサンプリング装置において、前記増幅器(4)の前記第1の入力端子が容量性負荷を示さない接続によって前記増幅器(4)の出力端子と接続され、前記第1の期間にわたって、スイッチ(7)が、前記第1の入力端子と前記増幅器(4)の前記第2の入力端子とを短絡し、前記基準電圧(V
ref)の前記供給源(6)が、前記サンプリングコンデンサ(C
ech)の前記第2の端子に充電する電流を印加すること、および前記第2の期間にわたって、前記スイッチ(7)が遮断状態にあることを特徴とするサンプリング装置。
【請求項2】
前記電流源(5)が、
前記第1の動作条件で前記低減電流(i
rep)を提供し、前記増幅器(4)に供給するように構成された第1の電流源(5a)であって、その場合、前記増幅器(4)に前記第1の電流源(5a)のみが供給される第1の電流源(5a)と、
前記第2の動作条件で前記定格電流(i
nom)を提供し、前記増幅器(4)に供給するように構成された第2の電流源(5b)であって、その場合、前記増幅器(4)に前記第2の電流源(5b)のみが供給される第2の電流源(5b)と
によって形成されることを特徴とする、請求項1に記載のサンプリング装置。
【請求項3】
前記電流源(5)が、
前記第1の動作条件で前記低減電流(i
rep)を提供し、前記増幅器(4)に供給するように構成された第1の電流源(5a)であって、その場合、前記増幅器(4)に前記第1の電流源(5a)のみが供給される、第1の電流源(5a)と、
前記第2の動作条件で前記定格電流(i
nom)を提供し、前記増幅器(4)に供給するように構成された第2の電流源(5b)であって、その場合、前記増幅器(4)に前記第2の電流源(5b)および前記第1の電流源(5a)が供給される、第2の電流源(5b)と
によって形成されることを特徴とする、請求項1に記載のサンプリング装置。
【請求項4】
前記第1の電流源(5a)が、前記第2の電流源(5b)によって提供される前記定格電流(i
nom)の半分未満を表す低減電流(i
rep)を提供するように構成されることを特徴とする、請求項2から3のいずれか一項に記載のサンプリング装置。
【請求項5】
前記電流源(5)が、前記第1の期間の少なくとも一部にわたって前記増幅器(4)に供給しないように構成され、その場合、前記電流源(5)が、遮断状態の
スイッチ(8a、8b)によって前記増幅器(4)から切り離されることを特徴とする、請求項1に記載のサンプリング装置。
【請求項6】
前記電流源(5)が、前記第2の期間の時間に少なくとも等しい時間を有する第1の期間を有するように構成されることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のサンプリング装置。
【請求項7】
前記電流源(5)が、前記第2の期間の時間の2倍に少なくとも等しい時間を有する第1の期間を有するように構成されることを特徴とする、請求項6に記載のサンプリング装置。
【請求項8】
アナログ-デジタル変換器(3)であって、
請求項1から7のいずれか一項に記載のサンプリング装置であって、サンプリングされる前記電圧(V
in)を受け取るように設計されたその第1の入力が、前記サンプリングコンデンサ(C
ech)の前記第1の端子によって形成されているサンプリング装置
を備えるアナログ-デジタル変換器(3)。
【請求項9】
電圧のサンプリング方法であって、
サンプリングコンデンサ(C
ech)の第1の端子に、サンプリングされる電圧(V
in)を提供する工程であって、前記サンプリングコンデンサ(C
ech)が、増幅器(4)の第1の入力端子に接続された第2の端子を有し、前記増幅器(4)が、基準電圧(V
ref)を受け取る第2の入力端子を有する工程と、
サンプリングステップ中に前記サンプリングされる電圧(V
in)をサンプリングする工程と
を含み、前記サンプリングステップが、
前記増幅器(4)が第1の動作条件で動作するように前記増幅器(4)に低減電流(i
rep)が供給される第1のサンプリング期間と、
前記増幅器が第2の動作条件で動作するように前記増幅器(4)に定格電流(i
nom)が供給される第2のサンプリング期間であって、前記低減電流(i
rep)の値が、前記定格電流(i
nom)の値よりも低い第2のサンプリング期間と
を連続的に含むサンプリング方法において、前記増幅器(4)の前記第1の入力端子が容量性負荷を示さない接続によって前記増幅器(4)の出力と接続され、前記第1のサンプリング期間にわたって、基準電圧(V
ref)の供給源(6)が、前記サンプリングコンデンサ(
C
ech
)を充電する電流を印加するように、前記増幅器(4)の前記第1の入力端子と前記第2の入力端子とが、スイッチ(7)によって短絡されること、および前記第2のサンプリング期間にわたって、前記サンプリングコンデンサ(C
ech)が前記増幅器(4)の前記第1の入力端子から電流を受け取るように前記スイッチ(7)が遮断状態にあることを特徴とするサンプリング方法。
【請求項10】
前記第1のサンプリング期間中は、前記増幅器(4)に第1の電流源(5a)のみが供給され、前記第2のサンプリング期間中は、前記増幅器(4)に第2の電流源(5b)のみが供給される、請求項9に記載のサンプリング方法。
【請求項11】
前記第1のサンプリング期間中は、前記増幅器(4)に第1の電流源(5a)のみが供給され、前記第2のサンプリング期間中は、前記増幅器(4)に第2の電流源(5b)および前記第1の電流源(5a)が供給される、請求項9に記載のサンプリング方法。
【請求項12】
前記第1のサンプリング期間の少なくとも一部にわたって前記増幅器(4)は供給されない、請求項9に記載のサンプリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サンプリング装置、1つのこのようなサンプリング装置を備えるアナログ-デジタル変換器、およびサンプリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの活動において、状況が、光検出器を備える検出装置によって観測される。光検出器は、光信号を受信し、それを観測された状況を表す電気信号に変換する。
【0003】
図1に示されている従来の実施形態では、光検出器1は、例えば、観測された状況の明るさを表す電流を生成するフォトダイオードである。光検出器によって放出された電流は、読み出し回路2によって、調べられている状況を表す電圧V
inに変換される。アナログ電圧V
inは、アナログ-デジタル変換器3によってデジタル信号に変換される。アナログ電圧のデジタル信号への変換を実行するために、電圧V
inは、コンデンサC
echおよび増幅器4を備えるサンプリング装置によってサンプリングされる。
【0004】
増幅器4は、一定の堅牢性(ruggedness)をサンプリング装置に与えるために最悪の動作条件で動作可能なように構成された能動素子である。したがって、増幅器4は、コンデンサCechの端子の一方に印加されるさまざまな電圧を妥当な時間内にサンプリングできることを保証するように設計される。増幅器4には、定格電流inomを提供する電源5が供給される。
【0005】
しかしながら、検出装置の動作時間の大部分を占める標準的な動作条件では、コンデンサCechの端子における電圧変動は、最悪の場合に対応しておらず、その結果、アナログ-デジタル変換器3の内部に配置されたサンプリング装置の消費は慢性的に過剰になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の1つの目的は、同等の性能を有する従来技術のサンプリング装置よりも消費が少ないサンプリング装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この結果は、
サンプリングされる信号を受信するように設計された、サンプリング装置の第1の入力を形成する第1の端子と、第2の端子とを有するサンプリングコンデンサと、
基準に対してサンプリングコンデンサの端子の電圧をサンプリングするためにサンプリングコンデンサの第2の端子に接続された第1の入力端子と、基準電圧源に接続された第2の入力端子とを有する増幅器と
を備えるサンプリング装置によって実現されやすい。
【0008】
サンプリング装置は、
第1の期間にわたって第1の動作条件で低減電流を提供し、増幅器に供給するか、または第1の期間にわたって増幅器に供給せず、
第1の期間の後に続く第2の期間にわたって第2の動作条件で、定格電流であって、低減電流の値が定格電流の値よりも低く、場合によってはゼロでさえある定格電流を提供し、増幅器に供給する
ように構成された電流源が増幅器に供給される点で注目に値する。
【0009】
サンプリング装置はまた、第1の期間にわたってサンプリングコンデンサの第2の端子が基準電圧源に電気的に接続される点で注目に値する。
【0010】
一開発では、電流源は、
第1の動作条件で低減電流を提供し、増幅器に供給するように構成された第1の電源であって、その場合、増幅器に第1の電源のみが供給される第1の電源と、
第2の動作条件で定格電流を提供し、増幅器に供給するように構成された第2の電源であって、その場合、増幅器に第2の電源のみが供給される第2の電源と
によって形成される。
【0011】
第1の動作条件で低減電流を提供し、増幅器に供給するように構成された第1の電源であって、その場合、増幅器に第1の電源のみが供給される第1の電源と、
第2の動作条件で定格電流を提供し、増幅器に供給するように構成された第2の電源であって、その場合、増幅器に第2の電源および第1の電源が供給される第2の電源と
によって形成される電流源を実現することも好適である。
【0012】
特定の場合には、第1の電源は、第2の電源によって提供される定格電流の半分未満を表す低減電流を提供するように構成される。
【0013】
別の特定の場合には、電流源は、第1の期間の少なくとも一部にわたって増幅器に供給しないように構成され、その場合、電流源は、オフ状態のスイッチによって増幅器から切り離される。
【0014】
好適な態様では、電流源は、第2の期間の時間に少なくとも等しい時間を有する第1の期間を有するように構成される。
【0015】
より的確な実施形態では、電流源は、第2の期間の時間の2倍に少なくとも等しい時間を有する第1の期間を有するように構成される。
【0016】
アナログ-デジタル変換器であって、前述の実施形態の1つによるサンプリング装置であって、サンプリングされる電圧を受け取るように設計されたその第1の入力が、サンプリングコンデンサの第1の端子によって形成されているサンプリング装置を備えるアナログ-デジタル変換器を提供することがさらに可能である。
【0017】
本発明のさらなる目的は、電気的性能および時間関連の性能を損なうことなく電力消費の低減を達成することを可能にする、実施が簡単なサンプリング方法を提供することである。
【0018】
サンプリング方法は、
サンプリングコンデンサの第1の端子に、サンプリングされる電圧を提供する工程であって、サンプリングコンデンサが、増幅器の第1の入力端子に接続された第2の端子を有し、増幅器が、基準電圧を受け取る第2の入力端子を有する工程と、
サンプリングステップ中に、サンプリングされる電圧をサンプリングする工程と
を含む。
【0019】
サンプリング方法は、サンプリングステップが、
増幅器が第1の動作条件で動作するように増幅器に低減電流が供給される第1のサンプリング期間と、
増幅器が第2の動作条件で動作するように増幅器に定格電流が供給される第2のサンプリング期間であって、低減電流の値が、定格電流の値よりも低い第2のサンプリング期間と
を連続的に含む点、および
第1のサンプリング期間中、サンプリングコンデンサの第2の端子が基準電圧を受け取る点で注目に値する。
【0020】
特定の実施形態では、第1のサンプリング期間中は、増幅器に第1の電流源のみが供給され、第2のサンプリング期間中は、増幅器に第2の電流源のみが供給される。
【0021】
別の特定の実施形態では、第1のサンプリング期間中は、増幅器に第1の電流源のみが供給され、第2のサンプリング期間中は、増幅器に第2の電流源および第1の電流源が供給される。
【0022】
好適には、第1のサンプリング期間の少なくとも一部にわたって増幅器に電力が供給されない。
【0023】
他の利点および特徴は、非限定的な例を挙げるためにのみ与えられ、添付の図面に表されている本発明の特定の実施形態の以下の説明からより明確に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】検出回路の第1の実施形態を概略的に表している。
【
図3】検出回路の第2の実施形態を概略的に表している。
【
図4】検出回路の実施形態による第1のサンプリング期間を概略的に表している。
【
図5】検出回路の異なる実施形態による第1のサンプリング期間を概略的に表している。
【
図6】検出回路の実施形態による第2のサンプリング期間を概略的に表している。
【
図7】検出回路の異なる実施形態による第2のサンプリング期間を概略的に表している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図2は、電磁放射検出回路に組み込まれるサンプリング回路の第1の実施形態を示している。例を挙げると、サンプリング回路は、例えば、アナログ-デジタル変換器3の最初の段を、またはより一般的な態様では、読み出しラインの入力点を形成する。アナログ-デジタル変換器では、サンプリング回路はどの段でも使用され得る。
【0026】
検出回路は、優先的にはフォトダイオードである光検出器1を備える。光検出器1は、観測された状況を表す電流、すなわち、観測された状況を表す電流信号である第1の信号を生成する。光検出器1は、観測信号の強度に応じて電荷担体を生成する。光検出器1は、可視範囲または赤外線範囲の電磁放射を検出するように構成され得る。
【0027】
検出回路は、光検出器1によって放出された電流を観測された状況を表す電圧に変換するように構成された読み出し回路2も備える。読み出し回路2は、その出力端子で、サンプリングされる電圧信号を提供する。
【0028】
サンプリング回路は、信号Vin、ここでは読み出し回路2によって提供される電圧を蓄積し、サンプリングするように構成される。サンプリング回路は、第1の端子で、サンプリングされる電圧信号を受信する。電圧信号Vinは、例えば、アナログ-デジタル変換器3の入力端子に印加される。
【0029】
サンプリング装置は、増幅器4およびサンプリングコンデンサCechを備える。サンプリングコンデンサCechは、サンプリング装置の入力端子を形成する、すなわち、それは、サンプリングされる電圧Vinを受け取る。
【0030】
図2、
図3、
図4、
図5、
図6、および
図7に示されている実施形態では、サンプリングコンデンサC
echの第1の電機子が、読み出し回路2の出力端子に接続されている。図示の実施形態では、サンプリングコンデンサC
echと読み出し回路2との間の接続は直接接続である。しかしながら、間接接続を設けることも可能である。
【0031】
サンプリングコンデンサCechの第2の端子は、増幅器4の第1の入力に電気的に接続されている。特に好適な実施形態では、増幅器4は、フォロワモードで接続される、すなわち、第1の入力は、増幅器4の出力端子と電気的に接続される。出力端子は、増幅器4の出力電圧Voutを提供する。好適な態様では、増幅器4の出力端子は、サンプリング装置の出力端子を形成する。
【0032】
増幅器4は、基準電圧Vrefを提供する電圧源6に接続された第2の入力端子も有する。このようにして、第2の入力端子は基準電圧Vrefを受け取る。しかしながら、増幅器4は完全でないため、第1の入力は、コンデンサCechの電機子に電圧Vrefを印加せず、電圧Vref+εを印加する。この電圧差は、許容可能な変換品質を維持する目的でこれを除去するために、その後の計算ステップで考慮に入れる必要がある。例えば、コンデンサCechの電機子に蓄積された電圧Vinは、乗算、加算、もしくは減算または増幅器の出力端子への転送に使用される。したがって、入力端子に供給される電圧に最も近い電圧、すなわち電圧Vinを使用する必要がある。
【0033】
増幅器4は、能動電子素子であり、増幅器4には、供給電流を提供する電源5が供給される。
【0034】
本発明者らは、サンプリングフェーズの全体を通して、すなわち、コンデンサCechの第1の電機子が電圧Vinによって充電している間、増幅器4の消費は比較的高くなり得るが、増幅器4は、その出力端子で、サンプリング装置の出力端子に接続された処理回路(図示せず)を対象とした関連データを提供しないことを観察した。
【0035】
この消費を低減するために、本発明者らは、電圧Vinのサンプリング期間中、増幅器4によって消費される電力が、同等のサンプリング品質を有する、すなわち、一定のサンプリング周期および一定のサンプリング精度を有する従来技術の装置よりも少なくなるように、増幅器4の電力供給条件を時間的に調節することを提案する。
【0036】
サンプリング期間中に少なくとも2つの異なる動作条件で連続的に増幅器4を動作させるために少なくとも2つの異なる電流を増幅器4に提供するように構成された電源5が供給される増幅器4を実現することは好適である。
【0037】
図3、
図4、
図5、
図6、
図7、および
図8に示されているように、増幅器4の電力供給におけるこの差は、電源5内の少なくとも2つの異なる電流源を使用して実現され得る。
【0038】
図4に示されている第1のサンプリング期間中、電源5は、増幅器4が第1の動作条件にあるように低減電流i
repを提供し、増幅器4に供給する。
【0039】
図6および
図7に示されている、第1のサンプリング期間の後に続く第2のサンプリング期間には、電源5は、増幅器4が第2の動作条件にあるように定格電流i
nomを提供し、増幅器4に供給するように構成される。低減電流i
repの値は、定格電流i
nomの値よりも低い。第2の動作条件では、増幅器4の第1の入力端子は、第1の動作条件よりも高い最大電流を提供し得る。
【0040】
第1のサンプリング期間中、サンプリングコンデンサC
echの第2の端子は、基準電圧V
refの供給源6に電気的に接続される。このようにして、電圧V
refは、電圧V
refを基準として電圧V
inを蓄積し得るサンプリングコンデンサC
echの第2の電機子に印加される。一実施形態では、電圧V
refは、増幅器4の2つの入力を短絡することによって増幅器4の第1の入力に印加される。この構成は、コンパクトであるため特に好適である。この短絡は、
図4および
図5に示されているようにスイッチ7によって実現され得る。短絡は、簡単な態様で電圧V
refを第2の電機子に印加することを可能にする。あるいは、コンデンサC
echの第2の電機子は、増幅器4の第1の入力から切断される。増幅器4の2つの入力端子間の短絡を使用することによって、増幅器の消費を大幅に低減し、電圧源6を利用してサンプリングコンデンサC
echを充電することが可能である。
【0041】
第1のサンプリング期間中、電圧Vrefは、増幅器4の第1の入力によってではなく、基準電圧Vrefの供給源6によって印加される。コンデンサは、基準電圧Vrefの供給源6によって提供される電流によって充電される。したがって、サンプリングコンデンサCechに存在するデータの品質に問題を生じさせることなく、増幅器4に提供される電力供給を低減することが可能である。サンプリングコンデンサCechの第2の電機子に印加される電圧が増幅器4によって与えられた場合、増幅器4に定格電流inomが供給されなくなり、増幅器4は電圧Vinを常にサンプリングできるとは限らないため、大きな分極差が生じ得る。増幅器4に供給される電流が弱いため、増幅器は、第1の期間および第2の期間中にサンプリングコンデンサCechを必要なレベルまで充電することができない。
【0042】
図3および
図5に示されている実施形態では、第1のサンプリング期間にわたって、または第1の期間の一部に少なくともわたって増幅器4に供給されないことを実現することも可能である。低減電流i
repはゼロ電流であり得、電流源5aは存在しなくてもよい。しかしながら、本発明者らは、増幅器4の端子に電力供給がないと、増幅器4に再び電源を投入するときにランダムな現象が生じ得ることを観察した。したがって、サンプリング期間が長い場合、上記の実施形態を使用することが好適であると思われる。増幅器4に電力を供給せずに第1のサンプリングフェーズが実行される場合、第2のサンプリングフェーズはより長くなり得、このため、増幅器は、第2のサンプリング期間の最後に定常動作領域に到達する。
図3は、第1のサンプリング期間の一部にわたって増幅器4に供給しないことを可能にする実施形態を表す。増幅器4には、第1の期間の他の部分にわたって静止電流i
repが供給される(
図4)。
図5は、第1のサンプリング期間の全体にわたって増幅器4に供給しないことを可能にする実施形態を表す。
【0043】
このような構成では、増幅器4の第1の入力とサンプリングコンデンサCechの第2の端子とを直接接続することが特に好適である。
【0044】
図6および
図7に示されている第2のサンプリング期間中、基準電圧V
refの供給源は、サンプリングコンデンサC
echの第2の電機子に直接接続されない。スイッチ7は、開状態または遮断状態である。
【0045】
第2のサンプリング期間中に、サンプリングコンデンサCechは、その充電を完了して電圧Vinを蓄積する。電圧Vref+εが、増幅器4の第1の入力によってサンプリングコンデンサCechの第2の端子に印加される。基準電圧Vrefとの差は、コンデンサCechの第2の端子に存在し、これは、コンデンサの第1の電機子に蓄積された電圧をサンプリング回路の標準動作で容易に使用し得ることを意味する。この構成により、出力結果にεに等しい電圧差が導入されることが防止され、その結果、その後の処理ステップで追加のアルゴリズムを用いて信号を処理する必要がなくなる。
【0046】
第2のサンプリング期間中、好適には、増幅器4に、低減電流irepよりも高い定格電流inomが供給され、その結果、電圧Vrefが電圧Vref+εに増加することを可能にする電荷が迅速に提供される。したがって、短時間の第2のサンプリングフェーズを有することが可能である。
【0047】
サンプリングコンデンサCechの第2の端子に基準電圧Vref+εを印加するために増幅器4の第1の入力を使用することによって、増幅器の第1の入力と第2の入力との間に存在する電圧差(増幅器オフセットとも呼ばれる)が、サンプリングされる測定に導入され、その結果、次に増幅器が使用されるときに、増幅器に関連するエラーを除去することを可能にするためにこのエラーを記憶することによってデータの処理が容易になる。
【0048】
図6および
図7に示されている第2のサンプリング期間は、サンプリングされる電圧V
inがその公称電力供給条件で増幅器4によって測定される、従来技術のようなサンプリング装置の動作を表す。このため、同等の電気配線図は、
図1のそれに対応する。
【0049】
図6に示されている実施形態では、電流源5aおよび5bは、増幅器4に定格電流i
nomが供給されるように増幅器4に同時に接続されている。
図7に示されている実施形態では、電流源5bのみが、増幅器4に定格電流i
nomが供給されるように増幅器4に接続されている。
【0050】
増幅器4の2つの異なる電力供給条件を使用することによって、サンプリング装置が消費する電流は、サンプリング時間全体にわたって従来技術の装置よりも少なくなる。この構成は、従来技術の装置と同じサンプリング周波数を維持することを可能にする。第2のサンプリング期間は、好適には、コンデンサCechを弱く充電するために定格電流、すなわち、増幅器4の標準的でさらには最適な動作のための予定された供給電流を用いて実行される。
【0051】
消費における可能な最大の利得を実現するために、低減電流irepの値および/または総サンプリング時間に対する第2のサンプリング期間の時間を可能な限り低減することが好適である。好適な態様では、第1のサンプリング期間の時間は、総サンプリング時間の少なくとも10%、好ましくは総サンプリング時間の少なくとも50%に等しい。
【0052】
本発明者らは、第1のサンプリング期間の時間が第2のサンプリング期間の時間と等しい場合に、性能の損失のない、電流消費における顕著な利得を観察した。また、第1のサンプリング期間が第2のサンプリング期間の時間よりも長い時間を表す場合、すなわち、第1のサンプリング期間が総サンプリング時間の半分超を表す場合に、非常に良好な結果が期待される。言い換えれば、電源5は、第2のサンプリング期間に少なくとも等しい時間を有する第1のサンプリング期間を有するように構成され得る。好適な態様では、電源5は、第2のサンプリング期間の時間の2倍に少なくとも等しい時間を有する第1のサンプリング期間を有するように構成される。この構成は、第1のサンプリング期間の時間が総サンプリング時間の80%から90%の間で構成される場合に良好な結果を得ることも可能にする。
【0053】
好適な態様では、第2の期間は、増幅器4の第1の入力端子が電圧Vref+εを提供することを保証するために第1のサンプリング期間の時間の10%に少なくとも等しい。
【0054】
低減電流irepの値が定格電流inomの値の80%未満を表すことを実現することが好適である。優先的には、低減電流irepの値は、定格電流inomの値の50%未満、さらにより優先的には30%未満を表す。先に示したように、ゼロ電流に相当する低減電流を実現することも可能である。
【0055】
異なる電力供給条件に対応する少なくとも2つの連続する基本期間に第1のサンプリング期間を分割することを実現することも可能である。
【0056】
例えば、増幅器4の端子に供給電流がないことに対応する第1の基本期間と、定格電流inomの30%から50%の間を表す低減電流irepを有する電力供給に対応する第2の基本期間とを実現することが好適である。このようにして、第1の基本期間中の増幅器4の停止は、消費における最大の利得を実現することを可能にし、第2の基本期間は、測定アーチファクトを防止するために増幅器4の制御された電源投入を可能にする。第2の基本期間は、第1の基本期間の後に続く。
【0057】
増幅器4の停止を達成するために、電源5をオフに切り替えることが可能であるが、増幅器4をオンにするのに必要な値よりも低い値を有する弱い電流を印加することも可能である。これらの2つの選択肢は、第1のサンプリング期間または第1のサンプリング期間の一部にわたって増幅器4を停止するために使用され得る。代替案としては、電流源5と増幅器4とを接続するスイッチ8a/8bをオフ状態に切り替えることによって増幅器4から電源5を切断することが可能である。
【0058】
電源5は、好適には、低減電流irepおよび定格電流inomの2つの異なる電流を提供するように構成される。電源5は、異なる態様では、時間の経過とともに異なる電力供給条件を増幅器4に提供するように形成され得る。
【0059】
図3および
図4に示されている第1の構成では、電源5は、第1の出力端子で低減電流i
repを提供し、第2の出力端子で追加電流i
suppを提供する。追加電流は、電源5が第1の出力端子および第2の出力端子から定格電流i
nomを提供するように選択される(i
nom=i
rep+i
supp)。
【0060】
これらの2つの出力端子は、定格電流inomを形成する2つの相補的な電源を用いて、増幅器4に期待される2つの動作を分離することを可能にする。2つの電源は、2つの異なるスイッチ8aおよび8bによって増幅器4の供給入力に接続される。第1のスイッチ8aは、増幅器4と、低減電流irepを提供する第1の電源5aとを電気的に接続する。第2のスイッチ8bは、増幅器4と、追加電流isuppを提供する第2の電源5bとを電気的に接続する。
【0061】
第1のサンプリング期間(
図4)中、低減電流i
repを提供するために第1のスイッチ8aがオンにされる。第2のサンプリング期間(
図6)中、定格電流i
nomを提供するために第1のスイッチ8aおよび第2のスイッチ8bがオンにされる。
【0062】
図4および
図7に示されている第2の構成では、電源5は、第1の出力端子で低減電流i
repを提供し、第2の出力端子で定格電流i
nomを提供する。これらの2つの出力端子は、必要な電流をそれぞれ提供する2つの特定の供給源5aおよび5bを表す。2つの特定の供給源は、2つの異なるスイッチ8aおよび8bによって増幅器4の供給入力に接続される。第1のスイッチ8aは、増幅器4と、低減電流i
repを提供する第1の電源5aとを電気的に接続する。第2のスイッチ8bは、増幅器4と、定格電流i
nomを提供する第2の電源5bとを電気的に接続する。
【0063】
第1のスイッチ8aおよび第2のスイッチ8bの開閉を切り替えることによって、2つのスイッチ8aおよび8bがサンプリング期間全体を通して常に相反する状態にある場合、低減電流i
repまたは定格電流i
nomを増幅器4に供給することが可能である。増幅器4をオフにするために2つのスイッチ8aおよび8bを同時にオフ状態することを実現することも可能である(
図3)。
【0064】
別の実施形態では、第1のサンプリングフェーズは、増幅器4に供給することなく実行される(
図3)。コンデンサC
echは、電圧V
inと電圧V
refとの間で充電される。第2のサンプリングフェーズ中、増幅器4には静止電流I
repが供給される(
図4)。本発明者らは、電圧V
refと電圧V
ref+εとの間の電圧差が小さいとき、静止電流の使用が可能であり、これは、より少ない電流を提供する増幅器4を使用することを可能にすることを観察した。ただし、予防措置を講じる必要があり、第2のサンプリングフェーズの時間を増加させ得る。サンプリングステップに続く計算または転送ステップでは、増幅器4に定格電流i
nomが供給される。
【0065】
電圧Vinをサンプリングするために、電圧Vinが、サンプリングコンデンサCechの第1の端子に印加される。電圧は、所定のサンプリング時間中にサンプリングされる。サンプリング時間は、少なくとも2つのサンプリングフェーズに分けられる。第1のサンプリングフェーズ中、増幅器には、低減電流が供給されるか、または電流は供給されない。第2のサンプリングフェーズ中、増幅器には、第1のサンプリングフェーズ中に印加された電流よりも高い電流が供給される。電圧Vinは変動する。サンプリング装置は、電圧Vinの変動を監視するためにいくつかの連続するサンプリング期間を適用するように構成される。第2のサンプリングフェーズは、各サンプリング期間において第1のサンプリングフェーズの後に続く。好適な態様では、第1のサンプリングフェーズの時間は、複数のサンプリング期間にわたって一定である。複数の第2のサンプリングフェーズの場合も同様である。
【0066】
図に示されているように、増幅器の第1の入力は、電気容量を示さない電気接続によって増幅器の出力に接続される。言い換えれば、入力と出力とを接続する電気接続は、容量性負荷を示さない。
【0067】
サンプリング回路は、第1のサンプリング期間、第2のサンプリング期間、ならびに電圧計算および転送ステップを設定して異なるスイッチ7、8a、および8bならびに場合によっては他の構成要素を作動させる制御回路(図示せず)を有し得る。
【0068】
光検出器1は、受信した電磁信号を電流に変換するように構成された任意の装置によって形成され得る。例を挙げると、光検出器1は、フォトダイオード、量子井戸装置、または多重量子井戸装置であり得る。さらに、CMOSセンサを光検出器として使用することも可能である。
【0069】
光検出器1は、シリコン、II-VI材料、またはIII-V材料から作られ得る。光検出器は、例えば、HgCdTe、InSb、またはInGaAsから選択された材料から作られ得る。
【0070】
光検出器1は、可視放射および/または赤外放射を検出するように構成され得る。
【0071】
検出回路は、周囲温度で動作するように構成され得るし、または冷却検出回路を形成するために冷却装置に関連付けられ得る。好適な態様では、冷却検出回路は、200K未満の動作温度を有するように構成される。
【0072】
サンプリング装置は、検出装置の構成要素として提示されているが、他の装置または回路で、例えば、検出装置に含まれていないアナログ-デジタル変換器で、またはアナログ-デジタル変換器の一部でなくても、サンプリングコンデンサからサンプリングを実行することを可能にする別の構造で使用できるサンプリング装置を実現することも全く可能である。
【0073】
好適な態様では、定格電流は、電圧Vinが所定のサンプリング時間の最悪の場合に対応するときにサンプリングコンデンサを充電するための最小電流に対応する。例えば、電圧Vinは、サンプリングコンデンサの端子に存在する初期電圧から最も遠い端子に対応する。このようにして、回路のサンプリング期間中、Vinを表すデータを得るために、最大量の電荷を蓄積する必要がある。
【0074】
定格電流の値は、蓄積される電荷の数を表すサンプリングコンデンサの値の関数である。定格電流の値は、Vinの値とサンプリング時間の関数でもある。
【0075】
図1から
図7に示されているように、容量性負荷を示さない接続によって増幅器4の入力を増幅器4の出力に接続することを実現することは好適である。