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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】水性塗料組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 133/00 20060101AFI20240930BHJP
   C09D 167/00 20060101ALI20240930BHJP
   C09D 7/63 20180101ALI20240930BHJP
   C09D 161/28 20060101ALI20240930BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20240930BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20240930BHJP
   B05D 1/36 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
C09D133/00
C09D167/00
C09D7/63
C09D161/28
C09D5/02
B05D7/24 302P
B05D7/24 302S
B05D7/24 302V
B05D1/36 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021537603
(86)(22)【出願日】2020-06-08
(86)【国際出願番号】 JP2020022557
(87)【国際公開番号】W WO2021024604
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-03-23
(31)【優先権主張番号】P 2019143045
(32)【優先日】2019-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001409
【氏名又は名称】関西ペイント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(72)【発明者】
【氏名】久保 義貴
(72)【発明者】
【氏名】水谷 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 拓也
(72)【発明者】
【氏名】横田 玄
【審査官】井上 莉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-140419(JP,A)
【文献】特開2008-274045(JP,A)
【文献】特開2007-009059(JP,A)
【文献】特開2014-009288(JP,A)
【文献】国際公開第2012/036183(WO,A1)
【文献】特開2014-125558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D
B05D
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)(A1)水酸基含有アクリル樹脂及び(A2)水酸基含有ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種の水酸基含有樹脂、(B)オリゴマー、ならびに(C)アルキルエーテル化メラミン樹脂を含むベースコート用水性塗料組成物であって、
前記オリゴマー(B)の数平均分子量が200~800の範囲内であり、かつ、溶解性パラメータ値が10.0~13.5の範囲内であり
記アルキルエーテル化メラミン樹脂(C)のメチル基とブチル基のモル比が、(メチル基)/(ブチル基)のモル比で50/50~0/100であり、
前記ベースコート用水性塗料組成物が、アニオン電着塗装により被塗物に塗装されることを除く、
ベースコート用水性塗料組成物。
【請求項2】
(A)(A1)水酸基含有アクリル樹脂及び(A2)水酸基含有ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種の水酸基含有樹脂、(B)オリゴマー、ならびに(C)アルキルエーテル化メラミン樹脂を含むベースコート用水性塗料組成物であって、
前記オリゴマー(B)の数平均分子量が200~800の範囲内であり、かつ、溶解性パラメータ値が10.0~13.5の範囲内であり
記アルキルエーテル化メラミン樹脂(C)のメチル基とブチル基のモル比が、(メチル基)/(ブチル基)のモル比で50/50~0/100であり、
前記ベースコート用水性塗料組成物が、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装、又はそれらの組み合わせにより被塗物に塗装される、
ベースコート用水性塗料組成物。
【請求項3】
前記オリゴマー(B)の数平均分子量が200~500の範囲内である、請求項1又は2に記載のベースコート用水性塗料組成物。
【請求項4】
前記オリゴマー(B)の溶解性パラメータ値が10.7~13.5の範囲内である、請求項1~3のいずれか1項に記載のベースコート用水性塗料組成物。
【請求項5】
前記アルキルエーテル化メラミン樹脂(C)のメチル基とブチル基のモル比が、(メチル基)/(ブチル基)のモル比で30/70~0/100である、請求項1~のいずれか1項に記載のベースコート用水性塗料組成物。
【請求項6】
被塗物上に請求項1~のいずれか1項に記載のベースコート用水性塗料組成物を塗装してベースコート塗膜を形成することと、前記ベースコート塗膜上にクリヤーコート塗料組成物(Z)を塗装してクリヤーコート塗膜を形成することとを含む、複層塗膜形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車外板用の中塗り塗料、上塗り塗料等としては、水酸基やカルボキシル基等の官能基を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂等の基体樹脂と、架橋剤としてのメラミン樹脂とを含む水性塗料が多く利用されている。
【0003】
上記メラミン樹脂としては、メチル基の含有量が比較的多く、水分散性に優れた水溶性メラミン樹脂が多く用いられているが、最近では、ブチル基の含有量が比較的多い疎水性メラミン樹脂を用いることも検討されている。このような疎水性メラミン樹脂を含む水性塗料は、上記水溶性メラミン樹脂を含む水性塗料に比べ、耐水性等の塗膜性能に優れているが、該疎水性メラミン樹脂と媒体である水との相溶性が低いため、該疎水性メラミン樹脂を用いると、ハジキの発生要因となってしまう場合があるという問題がある。
【0004】
特許文献1には、アクリル樹脂(A)5~70重量%と、疎水メラミン樹脂(B)10~90重量%と、ポリエステル樹脂(C)0~50重量%とを加温処理して得た反応物を含んでなる水性樹脂分散液であって、加温処理を行う前後での該成分(A)、該成分(B)、及び該成分(C)の混合物の増粘化率が20~200%であることを特徴とする水性樹脂分散液が記載されている。そして同文献には、該水性樹脂分散液が水分散性に優れること、及び、該水性樹脂分散液から形成される塗膜は、仕上り性、耐水性等が優れることが記載されている。しかしながら、該水性樹脂分散液は、耐ハジキ性が不十分な場合があるという課題があった。
【0005】
特許文献2には、分子量500~10,000、酸価20~100、及び水酸基価50~200のオイルフリーアルキド樹脂100重量部と上記樹脂と相溶する非水溶性アミノ樹脂5~70質量部との共縮合組成物を主要な被膜形成成分とする水性被覆組成物が記載されており、該水性被覆組成物を使用すると、層間付着性が良好で、ハジキ等の塗膜欠陥のない優れた塗膜を得られることが記載されている。しかしながら、該水性被覆組成物により形成される塗膜は、耐水性が不十分な場合があるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-308993号公報
【文献】特開昭52-107029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情を勘案してなされたものであり、耐ハジキ性及び耐水性に優れた塗膜を形成可能な水性塗料組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するべく鋭意検討を重ねた結果、(A)(A1)水酸基含有アクリル樹脂及び(A2)水酸基含有ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種の水酸基含有樹脂、(B)オリゴマー及び(C)アルキルエーテル化メラミン樹脂を含む水性塗料組成物であって、前記オリゴマー(B)の数平均分子量が200~800の範囲内であり、かつ、溶解性パラメータ値が10.0~13.5の範囲内であり、かつ、前記アルキルエーテル化メラミン樹脂(C)のメチル基とブチル基のモル比が、(メチル基)/(ブチル基)のモル比で50/50~0/100であることを特徴とする水性塗料組成物によれば、上記目的を達成できることを見出した。
【0009】
本発明は水性塗料組成物及び複層塗膜形成方法に関するものであり、以下の実施形態を含む。
項1.(A)(A1)水酸基含有アクリル樹脂及び(A2)水酸基含有ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種の水酸基含有樹脂、(B)オリゴマー、及び(C)アルキルエーテル化メラミン樹脂を含む水性塗料組成物であって、前記オリゴマー(B)の数平均分子量が200~800の範囲内であり、かつ、溶解性パラメータ値が10.0~13.5の範囲内であり、かつ、前記アルキルエーテル化メラミン樹脂(C)のメチル基とブチル基のモル比が、(メチル基)/(ブチル基)のモル比で50/50~0/100である、水性塗料組成物。
項2.前記オリゴマー(B)の数平均分子量が200~500の範囲内である、項1に記載の水性塗料組成物。
項3.前記オリゴマー(B)の溶解性パラメータ値が10.7~13.5の範囲内である項1又は2に記載の水性塗料組成物。
項4.前記アルキルエーテル化メラミン樹脂(C)のメチル基とブチル基のモル比が、(メチル基)/(ブチル基)のモル比で30/70~0/100である、項1~3のいずれか1項に記載の水性塗料組成物。
項5.被塗物上に項1~4のいずれか1項に記載の水性塗料組成物を塗装してベースコート塗膜を形成することと、前記ベースコート塗膜上にクリヤーコート塗料組成物(Z)を塗装してクリヤーコート塗膜を形成することとを含む、複層塗膜形成方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の水性塗料組成物によれば、耐ハジキ性及び耐水性に優れた塗膜を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の水性塗料組成物について、さらに詳細に説明する。
本発明の水性塗料組成物(以下、「本塗料」と略称する場合がある)は、(A)(A1)水酸基含有アクリル樹脂及び(A2)水酸基含有ポリエステル樹脂から選ばれる少なくとも1種の水酸基含有樹脂、(B)オリゴマー、及び(C)アルキルエーテル化メラミン樹脂を含む水性塗料組成物であって、前記オリゴマー(B)の数平均分子量が200~800の範囲内であり、かつ、溶解性パラメータ値が10.0~13.5の範囲内であり、かつ、前記アルキルエーテル化メラミン樹脂(C)のメチル基とブチル基のモル比が、(メチル基)/(ブチル基)のモル比で50/50~0/100であるものである。
【0012】
なお、本明細書において、水性塗料とは、有機溶剤型塗料と対比される用語であって、一般に、水又は水を主成分とする媒体(水性媒体)に、塗膜形成性樹脂、顔料等を分散及び/又は溶解させた塗料を意味する。また、上記有機溶剤型塗料とは、溶媒として実質的に水を含有しない塗料、又は、溶媒の全てもしくはほとんどが有機溶剤である塗料である。
【0013】
水酸基含有樹脂(A)
本発明に係る水酸基含有樹脂(A)は、水酸基含有アクリル樹脂(A1)及び水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)から選ばれる少なくとも1種の水酸基含有樹脂である。
【0014】
水酸基含有アクリル樹脂(A1)
水酸基含有アクリル樹脂(A1)としては、従来から水性塗料に使用されているそれ自体既知の水溶性又は水分散性のアクリル樹脂を使用することができる。
【0015】
水酸基含有アクリル樹脂(A1)は、例えば、水酸基含有重合性不飽和モノマー及び該水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーを、それ自体既知の方法、例えば、有機溶媒中での溶液重合法、水中でのエマルション重合法等の方法により共重合せしめることによって製造することができる。
【0016】
上記水酸基含有重合性不飽和モノマーは、1分子中に水酸基及び重合性不飽和結合をそれぞれ1個以上有する化合物である。該水酸基含有重合性不飽和モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2~8の2価アルコールとのモノエステル化物;該(メタ)アクリル酸と炭素数2~8の2価アルコールとのモノエステル化物のε-カプロラクトン変性体;N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド;アリルアルコール、さらに、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。但し、本発明においては、後述する「(xvii) 紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマー」に該当するモノマーは、「上記水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマー」として規定されるべきものであり、「水酸基含有重合性不飽和モノマー」からは除かれる。これらは、単独でもしくは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0017】
上記水酸基含有重合性不飽和モノマーと共重合可能な他の重合性不飽和モノマーとしては、例えば、下記モノマー(i)~(xx)等を使用することができる。これらの重合性不飽和モノマーは単独でもしくは2種以上で組み合わせて使用することができる。
【0018】
(i) アルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート:例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等。
(ii) イソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー:イソボルニル(メタ)アクリレート等。
(iii) アダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー:アダマンチル(メタ)アクリレート等。
(iv) トリシクロデセニル基を有する重合性不飽和モノマー:トリシクロデセニル(メタ)アクリレート等。
(v) 芳香環含有重合性不飽和モノマー:ベンジル(メタ)アクリレート、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン等。
【0019】
(vi) アルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー:ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等。
(vii) フッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー:パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等。
(viii) マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー。
(ix) ビニル化合物:N-ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等。
(x) カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー:(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート等。
【0020】
(xi) 含窒素重合性不飽和モノマー:(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン化合物との付加物等。
(xii) 重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー:アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等。
(xiii) エポキシ基含有重合性不飽和モノマー:グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等。
(xiv) 分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート。
(xv) スルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー:2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-スルホエチル(メタ)アクリレート、アリルスルホン酸、4-スチレンスルホン酸等;これらスルホン酸のナトリウム塩及びアンモニウム塩等。
【0021】
(xvi) リン酸基を有する重合性不飽和モノマー:アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリ(オキシエチレン)グリコール(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリ(オキシプロピレン)グリコール(メタ)アクリレート等。
(xvii) 紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマー:2-ヒドロキシ-4(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-(3-アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-(3-アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2-[2-ヒドロキシ-5-[2-(メタクリロイルオキシ)エチル]フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール等。
(xviii) 光安定性重合性不飽和モノマー:4-(メタ)アクリロイルオキシ1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン、4-(メタ)アクリロイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-(メタ)アクリロイル-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-(メタ)アクリロイル-4-シアノ-4-(メタ)アクリロイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-クロトノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-クロトノイルアミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、1-クロトノイル-4-クロトノイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン等。
(xix) カルボニル基を有する重合性不飽和モノマー:アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4~7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等。
(xx) 酸無水物基を有する重合性不飽和モノマー:無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸等。
【0022】
本明細書において、重合性不飽和基とは、ラジカル重合しうる不飽和基を意味する。かかる重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
【0023】
また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」はアクリレート又はメタクリレートを意味する。「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。また、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル又はメタクリロイルを意味する。また、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド又はメタクリルアミドを意味する。
【0024】
上記水酸基含有アクリル樹脂(A1)を製造する際の前記水酸基含有重合性不飽和モノマーの使用割合は、モノマー成分の合計量を基準として、1~50質量%が好ましく、1~40質量%がより好ましく、1~30質量%がさらに好ましい。
【0025】
上記水酸基含有アクリル樹脂(A1)は、得られる塗膜の硬化性、耐チッピング性、密着性及び仕上がり外観等の観点から、水酸基価が、1~200mgKOH/gであることが好ましく、2~180mgKOH/gであることがより好ましく、5~150mgKOH/gであることがさらに好ましい。
【0026】
また、上記水酸基含有アクリル樹脂(A1)は、塗料の貯蔵安定性、得られる塗膜の耐水性等の観点から、酸価が、1~150mgKOH/gであることが好ましく、5~100mgKOH/gであることがより好ましく、5~80mgKOH/gであることがさらに好ましい。
【0027】
水性塗料組成物が上記水酸基含有アクリル樹脂(A1)を含有する場合、該水酸基含有アクリル樹脂(A1)の含有量は、水性塗料組成物中の樹脂固形分量を基準として、2~70質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましく、10~40質量%が更に好ましい。
【0028】
水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)
水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)としては、従来から水性塗料に使用されているそれ自体既知の水溶性又は水分散性のポリエステル樹脂を使用することができる。
【0029】
水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)は、通常、酸成分とアルコール成分とのエステル化反応又はエステル交換反応によって製造することができる。
【0030】
上記酸成分としては、ポリエステル樹脂の製造に際して、酸成分として通常使用される化合物を使用することができる。かかる酸成分としては、例えば、脂肪族多塩基酸、脂環族多塩基酸、芳香族多塩基酸等を挙げることができる。
【0031】
上記脂肪族多塩基酸は、一般に、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する脂肪族化合物、該脂肪族化合物の酸無水物及び該脂肪族化合物のエステル化物である。脂肪族多塩基酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、オクタデカン二酸、クエン酸、ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸;該脂肪族多価カルボン酸の無水物;該脂肪族多価カルボン酸の炭素数1~4程度の低級アルキルのエステル化物等が挙げられる。上記脂肪族多塩基酸は、単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0032】
上記脂肪族多塩基酸としては、得られる塗膜の平滑性の観点から、アジピン酸及び/又はアジピン酸無水物を用いることが好ましい。
【0033】
上記脂環族多塩基酸は、一般に、1分子中に1個以上の脂環式構造と2個以上のカルボキシル基を有する化合物、該化合物の酸無水物及び該化合物のエステル化物である。脂環式構造は、主として4~6員環構造である。脂環族多塩基酸としては、例えば、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、3-メチル-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、4-メチル-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸、1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸等の脂環族多価カルボン酸;該脂環族多価カルボン酸の無水物;該脂環族多価カルボン酸の炭素数1~4程度の低級アルキルのエステル化物等が挙げられる。上記脂環族多塩基酸は、単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0034】
上記脂環族多塩基酸としては、得られる塗膜の平滑性の観点から、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物を用いることが好ましく、なかでも、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸及び/又は1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物を用いることがより好ましい。
【0035】
上記芳香族多塩基酸は、一般に、1分子中に2個以上のカルボキシル基を有する芳香族化合物、該芳香族化合物の酸無水物及び該芳香族化合物のエステル化物であって、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸;該芳香族多価カルボン酸の無水物;該芳香族多価カルボン酸の炭素数1~4程度の低級アルキルのエステル化物等が挙げられる。上記芳香族多塩基酸は、単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0036】
上記芳香族多塩基酸としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸を使用することが好ましい。
【0037】
また、上記脂肪族多塩基酸、脂環族多塩基酸及び芳香族多塩基酸以外の酸成分を使用することも出来る。かかる酸成分としては、特に限定されず、例えば、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、麻実油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、魚油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸等の脂肪酸;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p-tert-ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、10-フェニルオクタデカン酸等のモノカルボン酸;乳酸、3-ヒドロキシブタン酸、3-ヒドロキシ-4-エトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。これらの酸成分は、単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0038】
前記アルコール成分としては、1分子中に2個以上の水酸基を有する多価アルコールを好適に使用することができる。該多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,2-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,2-ブタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、2,3-ジメチルトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、3-メチル-4,3-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,4-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ジメチロールプロピオン酸等の2価アルコール;これらの2価アルコールにε-カプロラクトン等のラクトン化合物を付加したポリラクトンジオール;ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート等のエステルジオール化合物;ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルジオール化合物;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、ソルビトール、マンニット等の3価以上のアルコール;これらの3価以上のアルコールにε-カプロラクトン等のラクトン化合物を付加させたポリラクトンポリオール化合物;グリセリンの脂肪酸エステル化物等が挙げられる。
【0039】
また、上記多価アルコール以外のアルコール成分を使用することもできる。かかるアルコール成分としては、特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ステアリルアルコール、2-フェノキシエタノール等のモノアルコール;プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、「カージュラE10P」(商品名、HEXION社製、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル)等のモノエポキシ化合物と酸を反応させて得られたアルコール化合物等が挙げられる。
【0040】
水酸基含有ポリエステル樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、通常の方法に従って行なうことができる。例えば、前記酸成分とアルコール成分とを、窒素気流中、150~250℃程度で、5~10時間程度加熱し、該酸成分とアルコール成分のエステル化反応又はエステル交換反応を行なう方法により、水酸基含有ポリエステル樹脂を製造することができる。
【0041】
上記酸成分及びアルコール成分をエステル化反応又はエステル交換反応せしめる際には、反応容器中に、これらを一度に添加してもよいし、一方又は両者を、数回に分けて添加してもよい。また、先ず、水酸基含有ポリエステル樹脂を合成した後、得られた水酸基含有ポリエステル樹脂に酸無水物を反応させてハーフエステル化させてカルボキシル基及び水酸基含有ポリエステル樹脂としてもよい。また、先ず、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂を合成した後、上記アルコール成分を付加させて水酸基含有ポリエステル樹脂としてもよい。
【0042】
前記エステル化又はエステル交換反応の際には、反応を促進させるための触媒として、ジブチル錫オキサイド、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸カルシウム、酢酸鉛、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等のそれ自体既知の触媒を使用することができる。
【0043】
また、前記水酸基含有ポリエステル樹脂は、該樹脂の調製中又は調製後に、脂肪酸、モノエポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物、アクリル樹脂等で変性することができる。
【0044】
上記脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、麻実油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、魚油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸等が挙げられ、上記モノエポキシ化合物としては、例えば、「カージュラE10P」(商品名、HEXION社製、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル)を好適に用いることができる。
【0045】
また、上記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、リジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン-2,4-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン-2,6-ジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;リジントリイソシアネート等の3価以上のポリイソシアネート等の有機ポリイソシアネートそれ自体;これらの各有機ポリイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂、水等との付加物;これらの各有機ポリイソシアネート同士の環化重合体(例えば、イソシアヌレート)、ビウレット型付加物等が挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物は、単独でもしくは2種以上混合して使用することができる。
【0046】
また、前記水酸基含有ポリエステル樹脂をアクリル樹脂で変性する方法としては、既知の方法を用いることができ、例えば、重合性不飽和基含有ポリエステル樹脂及び重合性不飽和モノマーとの混合物を重合させる方法、水酸基含有ポリエステル樹脂とアクリル樹脂の樹脂同士の反応による方法等を挙げることができる。
【0047】
水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)は、水酸基価が1~250mgKOH/gであるのが好ましく、2~200mgKOH/gであるのがより好ましく、5~200mgKOH/gであるのが更に好ましい。
【0048】
また、水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)が、更にカルボキシル基を有する場合は、その酸価が1~150mgKOH/gであるのが好ましく、2~100mgKOH/gであるのがより好ましく、3~80mgKOH/gであるのが更に好ましい。
【0049】
また、水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)の重量平均分子量は、3,000~100,000であるのが好ましく、4,000~50,000であるのがより好ましく、5,000~30,000であるのが更に好ましい。
【0050】
なお、本明細書において、平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフで測定したクロマトグラムから標準ポリスチレンの分子量を基準にして算出した値である。ゲルパーミエーションクロマトグラフは、「HLC8120GPC」(東ソー社製)を使用した。カラムとしては、「TSKgel G-4000HXL」、「TSKgel G-3000HXL」、「TSKgel G-2500HXL」、「TSKgel G-2000HXL」(いずれも東ソー(株)社製、商品名)の4本を用い、移動相;テトラヒドロフラン、測定温度;40℃、流速;1mL/min、検出器;RIの条件で行った。
【0051】
水性塗料組成物が上記水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)を含有する場合、該水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)の含有量は、水性塗料組成物中の樹脂固形分量を基準として、2~70質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましく、10~40質量%が更に好ましい。
【0052】
オリゴマー(B)
オリゴマー(B)は、数平均分子量が200~800の範囲内であり、かつ、溶解性パラメータ値が10.0~13.5の範囲内である。
【0053】
上記オリゴマー(B)の数平均分子量が200以上であると、耐水性に優れた塗膜を得ることができ、800以下であると耐ハジキ性に優れた塗膜を得ることができる。なかでも、上記オリゴマー(B)の数平均分子量は、耐水性及び耐ハジキ性の観点から、好ましくは200~500であり、さらに好ましくは200~300であり、さらに特に好ましくは200~280の範囲内である。
【0054】
上記オリゴマー(B)の溶解性パラメータ値が10.0以上であると、耐ハジキ性に優れた塗膜を得ることができ、13.5以下であると耐水性に優れた塗膜を得ることができる。なかでも、上記オリゴマー(B)の溶解性パラメータ値は、耐ハジキ性及び耐水性の観点から、好ましくは10.7~13.5であり、より好ましくは11.0~13.5の範囲内である。
【0055】
上記オリゴマー(B)としては、具体的には、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール及びこれらのエーテル化物等を挙げることができる。なかでも、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコールが好ましく、ポリオキシテトラメチレングリコールがより好ましい。
【0056】
上記オリゴマー(B)としては、市販品を使用することができる。該市販品としては、例えば、「サンニックスGP250」(数平均分子量250、溶解性パラメータ値13.2)、「サンニックスGP400」(数平均分子量400、溶解性パラメータ値11.5)、「サンニックスGP600」(数平均分子量600、溶解性パラメータ値10.6)(以上、三洋化成社製、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル)、「サンニックスPP200」(数平均分子量200、溶解性パラメータ値11.7)、「サンニックスPP400」(数平均分子量400、溶解性パラメータ値10.4)(以上、三洋化成社製、ポリオキシプロピレングリコール)、「PTMG250」(数平均分子量250、溶解性パラメータ値11.4)、「PTMG650」(数平均分子量650、溶解性パラメータ値10.0)(以上、三菱ケミカル社製、ポリオキシテトラメチレングリコール)等が挙げられる。
オリゴマー(B)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0057】
上記溶解性パラメータ値は、Fedors法による計算で算出できる。Fedors法による計算は、Polymer Enjineering and Science, 14, (2), 147 (1974)に記載されている。
【0058】
本発明の水性塗料組成物におけるオリゴマー(B)の含有量は、水性塗料組成物中の樹脂固形分量を基準として、1~20質量%が好ましく、2~15質量%がより好ましく、3~10質量%が更に好ましい。
【0059】
アルキルエーテル化メラミン樹脂(C)
アルキルエーテル化メラミン樹脂(C)は、メチル基とブチル基のモル比が、(メチル基)/(ブチル基)のモル比で50/50~0/100であるメラミン樹脂である。
【0060】
上記(メチル基)/(ブチル基)のブチル基のモル比が50以上であると、得られる塗膜の耐水性が良好となる。なかでも、アルキルエーテル化メラミン樹脂(C)のメチル基とブチル基のモル比は、(メチル基)/(ブチル基)のモル比で好ましくは30/70~0/100、より好ましくは10/90~0/100であり、さらに好ましくは0/100のブチルエーテル化メラミン樹脂であることが好適である。
【0061】
アルキルエーテル化メラミン樹脂(C)は、メラミンにホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンズアルデヒド等のアルデヒドを付加反応又は付加縮合反応させてメチロール化メラミン樹脂とし、さらにこのメチロール基部分をアルコールによってメチルエーテル化及び/又はブチルエーテル化することにより合成することができる。
【0062】
メチルエーテル化に用いられるアルコールとしてはメチルアルコールを挙げることができ、ブチルエーテル化に用いられるアルコールとしてはn-ブチルアルコール、イソブチルアルコールを挙げることができる。
【0063】
上記メチルアルコール、n-ブチルアルコール及びイソブチルアルコールの種類及び使用量を調整することにより、アルキルエーテル化メラミン樹脂(C)のメチル基とブチル基のモル比を調整することができる。
【0064】
アルキルエーテル化メラミン樹脂(C)は、アルキルエーテル化メラミン樹脂の縮合物(アルキルエーテル化メラミン樹脂が縮合反応して高分子量化したもの)であってもよい。
【0065】
アルキルエーテル化メラミン樹脂(C)は、通常400~6,000、好ましくは500~4,000、より好ましくは600~3,000の範囲内の重量平均分子量を有することが好適である。
【0066】
アルキルエーテル化メラミン樹脂(C)としては、市販品を使用することができる。該市販品としては、例えば、「サイメル203」、「サイメル204」、「サイメル250」、「サイメル251」、「サイメル1156」、「サイメル1158」(以上、オルネクスジャパン社製)、「ユーバン20SE60」、「ユーバン28-60」(以上、三井化学(株)製)等が挙げられる。
【0067】
上記アルキルエーテル化メラミン樹脂(C)は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0068】
上記水酸基含有樹脂とアルキルエーテル化メラミン樹脂(C)の硬化反応には、触媒を使用することができる。該触媒としては、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸等のスルホン酸;モノブチルリン酸、ジブチルリン酸、モノ-2-エチルヘキシルリン酸、ジ-2-エチルヘキシルリン酸等のアルキルリン酸エステル;これらの酸とアミンとの塩等が挙げられる。
【0069】
本発明の水性塗料組成物におけるアルキルエーテル化メラミン樹脂(C)の含有量は、水性塗料組成物中の樹脂固形分量を基準として、1~60質量%が好ましく、5~50質量%がより好ましく、10~40質量%が更に好ましい。
【0070】
本発明の水性塗料組成物において、耐水性及び耐ハジキ性に優れる塗膜を得ることができる理由は明確ではないが、該水性塗料組成物中の上記アルキルエーテル化メラミン樹脂(C)のブチル基のモル比が比較的高いため、形成される塗膜の疎水性が高くなり、耐水性に優れると推察される。また、該水性塗料組成物中のオリゴマー(B)の数平均分子量が比較的小さく、かつ溶解性パラメータが比較的高いので、オリゴマー(B)が水層及び油層の両方に溶解することができる。このため、オリゴマー(B)が上記アルキルエーテル化メラミン樹脂(C)の水性塗料組成物中での局在化を防ぐ相溶化剤として作用し、耐ハジキ性に優れる塗膜が提供されると推察される。
【0071】
その他の成分
本発明の水性塗料組成物は、さらに必要に応じて、前記水酸基含有アクリル樹脂(A1)及び水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)から選ばれる少なくとも1種の水酸基含有樹脂(A)、オリゴマー(B)及びアルキルエーテル化メラミン樹脂(C)以外の成分を含有することができる。該成分としては、例えば、上記水酸基含有アクリル樹脂(A1)及び水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)から選ばれる少なくとも1種の水酸基含有樹脂(A)以外の樹脂成分、アルキルエーテル化メラミン樹脂(C)以外の架橋性成分、顔料、有機溶剤、分散剤、沈降防止剤、消泡剤、増粘剤、紫外線吸収剤、光安定剤、表面調整剤等を含有することができる。
【0072】
上記水酸基含有アクリル樹脂(A1)及び水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)から選ばれる少なくとも1種の水酸基含有樹脂(A)以外の樹脂成分としては、例えば、水酸基を含有しないアクリル樹脂、水酸基を含有しないポリエステル樹脂、水酸基を含有してもよいポリウレタン樹脂、水酸基を含有してもよいオレフィン樹脂、水酸基を含有してもよいエポキシ樹脂等が挙げられる。
【0073】
これらのうち、得られる塗膜の耐水性の観点から、水酸基を含有してもよいポリウレタン樹脂を用いることが好ましく、なかでも水酸基含有ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
【0074】
上記水酸基含有ポリウレタン樹脂としては、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させることにより得られる水酸基含有ポリウレタン樹脂を挙げることができる。
【0075】
ポリオールとしては、例えば、低分子量のものとして、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール等の2価のアルコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等の3価アルコール等をあげることができる。高分子量のものとして、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、エポキシポリオール等をあげることができる。ポリエーテルポリオールとしてはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等があげられる。ポリエステルポリオールとしては前記の2価のアルコール等のアルコールとアジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸等の2塩基酸との重縮合物、ポリカプロラクトン等のラクトン系開環重合体ポリオール、ポリカーボネートジオール等をあげることができる。また、例えば、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有ポリオールも使用することができる。
【0076】
上記のポリオールと反応させるポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネ-ト、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート類;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;イソホロンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン-2,4-(又は-2,6-)ジイソシアネート、1,3-(又は1,4-)ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、1,3-シクロペンタンジイソシアネート、1,2-シクロヘキサンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート類;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、1,4-ナフタレンジイソシアネート、4,4-トルイジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、(m-又はp-)フェニレンジイソシアネート、4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、3,3’-ジメチル-4,4’-ビフェニレンジイソシアネート、ビス(4-イソシアナトフェニル)スルホン、イソプロピリデンビス(4-フェニルイソシアネート)等の芳香族ジイソシアネート化合物;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;トリフェニルメタン-4,4’,4’’-トリイソシアネート、1,3,5-トリイソシアナトベンゼン、2,4,6-トリイソシアナトトルエン、4,4’-ジメチルジフェニルメタン-2,2’,5,5’-テトライソシアネート等の1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート類;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;等を挙げることができる。
【0077】
本発明の水性塗料組成物が、水酸基含有ポリウレタン樹脂を含有する場合、該水酸基含有ポリウレタン樹脂の含有量は、水性塗料組成物中の樹脂固形分量を基準として、1~40質量%が好ましく、3~30質量%がより好ましく、5~25質量%が更に好ましい。
【0078】
前記アルキルエーテル化メラミン樹脂(C)以外の架橋性成分としては、前記水酸基含有樹脂(A)が水酸基を有するため、水酸基との反応性を有する化合物を好適に使用することができる。該水酸基との反応性を有する化合物としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、前記アルキルエーテル化メラミン樹脂(C)以外のアミノ樹脂等が挙げられる。
【0079】
また、例えば、上記水酸基含有樹脂(A)が水酸基以外の架橋性官能基を有する場合、該架橋性成分としては、該水酸基以外の架橋性官能基との反応性を有する化合物を使用することができる。具体的には、例えば、上記水酸基含有樹脂(A)がカルボキシル基を有する場合、該架橋性成分として、カルボジイミド基含有化合物を使用することができる。
【0080】
前記顔料としては、例えば、着色顔料、体質顔料、光輝性顔料等を挙げることができる。該顔料は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0081】
本発明の水性塗料組成物が、上記顔料を含有する場合、該顔料の配合量は、該水性塗料組成物中の樹脂固形分100質量部を基準として、1~100質量部とすることができ、好ましくは2~60質量部であり、さらに好ましくは3~40質量部の範囲内である。
【0082】
上記着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、カーボンブラック、モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等が挙げられる。
【0083】
本発明の水性塗料組成物が、上記着色顔料を含有する場合、該着色顔料の配合量は該水性塗料組成物中の樹脂固形分100質量部を基準として、1~80質量部とすることができ、好ましくは5~50質量部であり、さらに好ましくは10~30質量部の範囲内である。
【0084】
また、前記体質顔料としては、例えば、硫酸バリウム、タルク、クレー、カオリン、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナホワイト等が挙げられる。該体質顔料としては、意匠性向上等の観点から硫酸バリウムを好適に使用することができる。
【0085】
本発明の水性塗料組成物が上記体質顔料を含有する場合、該体質顔料の配合量は本発明の水性塗料組成物中の樹脂固形分100質量部を基準として、50質量部以下とすることができ、好ましくは3~50質量部であり、さらに好ましくは5~30質量部の範囲内である。
【0086】
前記光輝性顔料としては、例えば、アルミニウム(蒸着アルミニウムも含む)、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、ガラスフレーク、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタン及び/又は酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタン及び/又は酸化鉄で被覆された雲母等が挙げられる。
【0087】
本発明の水性塗料組成物が、上記光輝性顔料を含有する場合、該光輝性顔料の配合量は、本発明の水性塗料組成物中の樹脂固形分100質量部を基準として、1~80質量部とすることができ、好ましくは5~50質量部であり、さらに好ましくは10~30質量部の範囲内である。
【0088】
上記有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチル等のエステル系溶剤;イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、2-エチルヘキサノール等のアルコール系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート等のグリコールエーテル系溶剤;芳香族炭化水素系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤等が挙げられる。
【0089】
本発明の水性塗料組成物は、その使用に際して、必要に応じて水及び/又は有機溶剤等を添加して希釈し、適正粘度に調整することにより、塗装に用いることができる。
【0090】
適正粘度は、塗料組成により異なるが、例えば、フォードカップ粘度計No.4を用いて調整した場合、20℃において、通常、20~60秒程度、好ましくは25~50秒程度の粘度とすることができる。また、上記において、本発明の水性塗料組成物の塗装時の固形分濃度は、通常、5~50質量%程度、好ましくは10~40質量%程度であることが好適である。
【0091】
本発明の水性塗料組成物は、一液型塗料又は多液型塗料のいずれであっても良いが、塗料の混合工程が無く生産性に優れる、塗装機械のメンテナンスの簡略化ができる等の観点から、一液型塗料であることが好ましい。
【0092】
本発明の水性塗料組成物は、それ自体既知の方法、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装等により被塗物に塗装することができ、塗装の際、静電印加を行ってもよい。これらの内、エアスプレー塗装、回転霧化塗装等の方法が好ましい。また、かかる塗装方法は、所望の膜厚が得られるまで、1回ないし数回に分けて行うことができる。
【0093】
本発明の水性塗料組成物の塗布量は、硬化膜厚として、通常、3~30μm、好ましくは5~25μm、さらに好ましくは10~20μmとなる量であることが好ましい。
【0094】
複層塗膜形成方法
本発明は、被塗物上に本発明の水性塗料組成物を塗装してベースコート塗膜を形成した後、該ベースコート塗膜上にクリヤーコート塗料を塗装してクリヤーコート塗膜を形成する複層塗膜形成方法を含む。
【0095】
本発明の複層塗膜形成方法の好ましい態様としては、下記の方法1及び2を挙げることができる。
【0096】
<方法1>
(1)被塗物上に、本発明の水性塗料組成物を塗装して未硬化のベースコート塗膜を形成する工程、
(2)前記未硬化のベースコート塗膜上に、クリヤーコート塗料組成物(Z)を塗装し、未硬化のクリヤーコート塗膜を形成する工程、並びに、
(3)前記未硬化のベースコート塗膜及び前記未硬化のクリヤーコート塗膜を加熱して、同時に硬化させる工程、
を含む複層塗膜形成方法。
【0097】
<方法2>
(1)被塗物上に中塗り塗料組成物を塗装して未硬化の中塗り塗膜を形成する工程、
(2)前記未硬化の中塗り塗膜上に、本発明の水性塗料組成物を塗装して未硬化のベースコート塗膜を形成する工程、
(3)前記未硬化のベースコート塗膜上に、クリヤーコート塗料組成物(Z)を塗装し、未硬化のクリヤーコート塗膜を形成する工程、並びに、
(4)前記未硬化の中塗り塗膜、ベースコート塗膜及び前記未硬化のクリヤーコート塗膜を加熱して、同時に硬化させる工程、
を含む複層塗膜形成方法。
【0098】
上記被塗物としては、特に限定されるものではなく、例えば、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体の外板部;自動車部品;携帯電話、オーディオ機器等の家庭電気製品の外板部等を挙げることができる。これらの内、自動車車体の外板部及び自動車部品が好ましい。
【0099】
これらの被塗物の材質としては、特に限定されるものではない。例えば、鉄、アルミニウム、真鍮、銅、ブリキ、ステンレス鋼、亜鉛メッキ鋼、亜鉛合金(Zn-Al、Zn-Ni、Zn-Fe等)メッキ鋼等の金属材料;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂類、各種のFRP等のプラスチック材料;ガラス、セメント、コンクリート等の無機材料;木材;紙、布等の繊維材料等を挙げることができる。これらの内、金属材料及びプラスチック材料が好ましい。
【0100】
また、複層塗膜が適用される被塗物面としては、自動車車体外板部、自動車部品、家庭電気製品、これらを構成する鋼板等の金属基材等の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の表面処理が施されたものであってもよい。
【0101】
表面処理が施されていても施されていなくてもよい対象物の上には、さらに塗膜を形成してもよい。例えば、基材である被塗物に必要に応じて表面処理を施し、その上に下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜を形成してもよい。該下塗り塗膜及び/又は中塗り塗膜は、例えば被塗物が自動車車体である場合には、自動車車体の塗装において通常使用されるそれ自体既知の下塗り用及び/又は中塗り用の塗料組成物を使用して形成することができる。
【0102】
上記下塗り塗膜を形成するための下塗り塗料組成物としては、例えば、電着塗料、好ましくはカチオン電着塗料を使用することができる。また、上記中塗り塗膜を形成するための中塗り塗料組成物としては、カルボキシル基、水酸基等の架橋性官能基を有するアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の基体樹脂と、メラミン樹脂、尿素樹脂等のアミノ樹脂、ブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物等の架橋剤とを、顔料、増粘剤、及び任意選択のその他の成分と共に塗料化したものを使用することができる。
【0103】
クリヤーコート塗料組成物(Z)としては、自動車車体等の塗装用として公知の熱硬化性クリヤーコート塗料組成物をいずれも使用できる。該熱硬化性クリヤーコート塗料組成物としては、例えば、架橋性官能基を有する基体樹脂及び硬化剤を含有する有機溶剤型熱硬化性塗料組成物、水性熱硬化性塗料組成物、粉体熱硬化性塗料組成物等を挙げることができる。
【0104】
上記基体樹脂が有する架橋性官能基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基、エポキシ基、シラノール基等を挙げることができる。基体樹脂の種類としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができる。硬化剤としては、例えば、ポリイソシアネート化合物、ブロック化ポリイソシアネート化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、カルボキシル基含有化合物、カルボキシル基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、エポキシ基含有化合物等を挙げることができる。
【0105】
クリヤーコート塗料組成物(Z)の基体樹脂/硬化剤の組合せとしては、カルボキシル基含有樹脂/エポキシ基含有樹脂、水酸基含有樹脂/ポリイソシアネート化合物、水酸基含有樹脂/ブロック化ポリイソシアネート化合物、水酸基含有樹脂/メラミン樹脂等が好ましい。
【0106】
また、上記クリヤーコート塗料組成物(Z)は、一液型塗料であってもよいし、二液型ウレタン樹脂塗料等の多液型塗料であってもよい。
【0107】
また、上記クリヤーコート塗料組成物(Z)には、必要に応じて、透明性を阻害しない程度に着色顔料、光輝性顔料、染料等を含有させることができ、さらに体質顔料、紫外線吸収剤、光安定剤、消泡剤、増粘剤、防錆剤、表面調整剤等を適宜含有せしめることができる。
【0108】
クリヤーコート塗料組成物(Z)の塗装方法としては、特に限定されないが、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装等の塗装方法が挙げられ、これらの塗装方法によりウエット塗膜を形成することができる。これらの塗装方法において、必要に応じて、静電印加を行なってもよい。このうちエアスプレー塗装又は回転霧化塗装が特に好ましい。クリヤーコート塗料組成物(Z)の塗布量は、通常、硬化膜厚として、10~50μm、好ましくは20~40μmとなる量とすることが好ましい。
【0109】
また、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装及び回転霧化塗装を行なう場合には、クリヤーコート塗料組成物(Z)の粘度を、該塗装に適した粘度範囲、通常、フォードカップNo.4粘度計において、20℃で15~60秒程度、特に20~50秒程度の粘度範囲となるように、有機溶剤等の溶媒を用いて、適宜、調整しておくことが好ましい。
【0110】
上記加熱は公知の手段により行うことができ、例えば、熱風炉、電気炉、赤外線誘導加熱炉等の乾燥炉を適用できる。加熱温度は好ましくは70~160℃、より好ましくは90~150℃の範囲内である。加熱時間は、特に制限されないが、好ましくは10~60分間、より好ましくは20~40分間の範囲内である。
【実施例
【0111】
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。なお、これら製造例、実施例及び比較例は単なる例示であり、本発明の範囲を限定するためのものではない。製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は、特記しない限り、質量基準による。また、塗膜の膜厚は硬化塗膜に基づくものである。
【0112】
水酸基含有アクリル樹脂(A1)の製造
製造例1
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に、脱イオン水130部及び「アクアロンKH-10」(商品名、第一工業製薬社製、乳化剤、有効成分97%)0.52部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。次いで下記のモノマー乳化物(1)のうちの全量の1%量と6%過硫酸アンモニウム水溶液5.3部とを反応容器内に導入し、80℃で15分間保持した。その後、残りのモノマー乳化物(1)を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。その後、下記のモノマー乳化物(2)を1時間かけて滴下し、1時間熟成した後、5%ジメチルエタノールアミン水溶液40部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過しながら排出し、固形分濃度30%の水酸基含有アクリル樹脂エマルション(A1-1)を得た。得られた水酸基含有アクリル樹脂エマルション(A1-1)は、酸価が33mgKOH/g、水酸基価が25mgKOH/gであった。
【0113】
モノマー乳化物(1): 脱イオン水42部、「アクアロンKH-10」0.72部、メチレンビスアクリルアミド2.1部、スチレン2.8部、メチルメタクリレート16.1部、エチルアクリレート28部及びn-ブチルアクリレート21部を混合攪拌して、モノマー乳化物(1)を得た。
【0114】
モノマー乳化物(2): 脱イオン水18部、「アクアロンKH-10」0.31部、過硫酸アンモニウム0.03部、メタクリル酸5.1部、2-ヒドロキシエチルアクリレート5.1部、スチレン3部、メチルメタクリレート6部、エチルアクリレート1.8部及びn-ブチルアクリレート9部を混合攪拌して、モノマー乳化物(2)を得た。
【0115】
製造例2
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に、メトキシプロパノール27.5部及びイソブタノール27.5部の混合溶剤を入れ、110℃に加熱し、スチレン25部、n-ブチルメタクリレート27.5部、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製、分岐高級アルキルアクリレート)20部、4-ヒドロキシブチルアクリレート7.5部、下記リン酸基含有重合性モノマー15部、2-メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート12.5部、イソブタノール10部及びt-ブチルパーオキシオクタノエート4部からなる混合物121.5部を、4時間かけて上記混合溶剤に加え、さらにt-ブチルパーオキシオクタノエート0.5部とイソプロパノール20部からなる混合物を1時間滴下した。その後、1時間攪拌熟成して、固形分濃度50%の水酸基含有アクリル樹脂溶液(A1-2)を得た。本樹脂の水酸基価は29mgKOH/g、リン酸基による酸価は83mgKOH/g、重量平均分子量は10,000であった。
【0116】
リン酸基含有重合性モノマー:温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器及び滴下装置を備えた反応容器に、モノブチルリン酸57.5部及びイソブタノール41部を入れ、90℃に昇温後、グリシジルメタクリレート42.5部を2時間かけて滴下した後、さらに1時間攪拌熟成した。その後、イソプロパノ-ル59部を加えて、固形分濃度50%のリン酸基含有重合性モノマー溶液を得た。得られたモノマーのリン酸基による酸価は285mgKOH/gであった。
【0117】
水酸基含有ポリエステル樹脂(A2)の製造
製造例3
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器及び水分離器を備えた反応容器に、トリメチロールプロパン109部、1,6-ヘキサンジオール141部、ヘキサヒドロ無水フタル酸126部及びアジピン酸120部を仕込み、160℃~230℃の間を3時間かけて昇温させた後、230℃で4時間縮合反応させた。次いで、得られた縮合反応生成物にカルボキシル基を付加するために、さらに無水トリメリット酸38.3部を加え、170℃で30分間反応させた後、2-エチル-1-ヘキサノールで希釈し、固形分濃度70%である水酸基含有ポリエステル樹脂溶液(A2-1)を得た。得られた水酸基含有ポリエステル樹脂は、酸価が46mgKOH/g、水酸基価が150mgKOH/g、固形分濃度70%、重量平均分子量が6,400であった。
【0118】
製造例4
温度計、撹拌機、加熱装置及び精留塔を具備した反応装置に1,6-ヘキサンジオール118部、アジピン酸102部を配合し、さらに還流用のキシレン少量を加え、250℃まで徐々に加熱し、同温度に5時間保持して、脱水しながらエステル化反応を行い、ポリエステル樹脂を得た。該ポリエステル樹脂100部当りエチレングリコールモノブチルエーテル102.5部及びオルトリン酸2.5部を加えて、100℃に3時間保持して、固形分50%の水酸基含有ポリエステル樹脂溶液(A2-2)を得た。樹脂の数平均分子量は4,000であった。
【0119】
顔料分散液の製造
製造例5
攪拌混合容器内において、アルミニウム顔料ペースト「GX-180A」(商品名、旭化成メタルズ社製、金属含有量74%)19部(固形分14部)、2-エチル-1-ヘキサノール35部、製造例2で得た水酸基含有アクリル樹脂溶液(A1-2)8部及び2-(ジメチルアミノ)エタノール0.2部を均一に混合して、顔料分散液(P-1)を得た。
【0120】
製造例6
攪拌混合容器内において、アルミニウム顔料ペースト「GX-180A」(商品名、旭化成メタルズ社製、金属含有量74%)19部(固形分14部)、2-エチル-1-ヘキサノール35部、製造例4で得た水酸基含有ポリエステル樹脂溶液(A2-2)8部及び2-(ジメチルアミノ)エタノール0.2部を均一に混合して、顔料分散液(P-2)を得た。
【0121】
水性塗料組成物の製造
実施例1
製造例5で得た顔料分散液(P-1)62部、製造例1で得た水酸基含有アクリル樹脂エマルション(A1-1)100部(固形分30部)、製造例3で得た水酸基含有ポリエステル樹脂溶液(A2-1)28.6部(固形分20部)、「サンニックスPP-200」(商品名、三洋化成工業社製、ポリオキシプロピレングリコール、固形分100%、数平均分子量200、溶解性パラメータ値11.7)5部(固形分5部)、メラミン樹脂(C-1)(アルキルエーテル化メラミン樹脂、(メチル基)/(ブチル基)のモル比は0/100、固形分60%)51.7部(固形分31部)及び「ユーコートUX-8100」(商品名、三洋化成工業社製、ウレタンエマルション、固形分35%)28.6部(固形分10部)を均一に混合し、更に、「プライマルASE-60」(商品名、ロームアンドハース社製、増粘剤)、2-(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えて、pH8.0、塗料固形分25%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度が40秒の水性塗料組成物No.1を得た。
【0122】
実施例2~10、比較例1~6
配合組成を下記表1に示すものとする以外は、実施例1と同様にして、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度が40秒の各水性塗料組成物No.2~16を得た。
【0123】
【表1-1】
【0124】
【表1-2】
【0125】
なお、表中の(*1)~(*13)は以下の意味を有する。
(*1)「サンニックスGP250」:商品名、三洋化成工業社製、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、固形分100%、数平均分子量250、溶解性パラメータ値13.2、
(*2)「PTMG250」:商品名、三菱ケミカル社製、ポリオキシテトラメチレングリコール、固形分100%、数平均分子量250、溶解性パラメータ値11.7、
(*3)「サンニックスPP400」:商品名、三洋化成工業社製、ポリオキシプロピレングリコール、固形分100%、数平均分子量400、溶解性パラメータ値10.4、
(*4)「サンニックスGP400」:商品名、三洋化成工業社製、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、固形分100%、数平均分子量400、溶解性パラメータ値11.5、
(*5)「サンニックスGP600」:商品名、三洋化成工業社製、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、固形分100%、数平均分子量600、溶解性パラメータ値10.6、
(*6)「PTMG650」:商品名、三菱ケミカル社製、ポリオキシテトラメチレングリコール、固形分100%、数平均分子量650、溶解性パラメータ値10.0、
(*7)「サンニックスPP600」:商品名、三洋化成工業社製、ポリオキシプロピレングリコール、固形分100%、数平均分子量600、溶解性パラメータ値9.8、
(*8)「サンニックスPP1000」:商品名、三洋化成工業社製、ポリオキシプロピレングリコール、固形分100%、数平均分子量1000、溶解性パラメータ値9.4、
(*9)「サンニックスGP1000」:商品名、三洋化成工業社製、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、固形分100%、数平均分子量1000、溶解性パラメータ値9.9、
(*10)「PTMG1000」:商品名、三菱ケミカル社製、ポリオキシテトラメチレングリコール、固形分100%、数平均分子量1000、溶解性パラメータ値9.7、
(*11)メラミン樹脂(C-2):アルキルエーテル化メラミン樹脂、(メチル基)/(ブチル基)のモル比は30/70、固形分75%、
(*12)メラミン樹脂(C-3):アルキルエーテル化メラミン樹脂、(メチル基)/(ブチル基)のモル比は70/30、固形分70%、
(*13)メラミン樹脂(C-4):アルキルエーテル化メラミン樹脂、(メチル基)/(ブチル基)のモル比は100/0、固形分97%。
【0126】
中塗り塗料組成物(V)の調製
中塗り塗料組成物(V-1)
「TP-65-2」(商品名、関西ペイント社製、ポリエステル樹脂・アミノ樹脂系有機溶剤型塗料組成物)を、中塗り塗料組成物(V-1)として用いた。
【0127】
中塗り塗料組成物(V-2)
「WP-523H」(商品名、関西ペイント社製、アクリルメラミン樹脂系水性中塗り塗料組成物)を、中塗り塗料組成物(V-2)として用いた。
【0128】
クリヤーコート塗料組成物(Z)の調製
クリヤーコート塗料組成物(Z-1)
「マジクロンKINO-1210」(商品名、関西ペイント社製、アクリル樹脂系有機溶剤型上塗りクリヤーコート塗料組成物、基体樹脂/架橋剤がカルボキシル基含有樹脂/エポキシ基含有樹脂の組み合わせ)を、クリヤーコート塗料組成物(Z-1)として用いた。
【0129】
クリヤーコート塗料組成物(Z-2)
「マジクロンKINO-1210」(商品名、関西ペイント社製、アクリル樹脂系有機溶剤型上塗りクリヤーコート塗料組成物、基体樹脂/架橋剤がカルボキシル基含有樹脂/エポキシ基含有樹脂の組み合わせ)の表面調整剤の量を半分にし、クリヤーコート塗料組成物(Z-2)として用いた。
【0130】
試験板の作製
実施例11
耐水付着性評価用の試験板Aの作製
10cm×15cmのリン酸亜鉛処理された冷延鋼板に、「エレクロンGT-10」(商品名、関西ペイント社製、カチオン電着塗料)を乾燥膜厚20μmとなるように電着塗装し、170℃で30分間加熱して硬化させた。次いで、この硬化した電着塗膜上に、中塗り塗料組成物(V-1)を膜厚35μmになるように塗装し、140℃で30分間加熱して硬化させた。次いで、この硬化した中塗り塗膜上に、実施例1で得た水性塗料組成物No.1を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、乾燥膜厚で15μmとなるように静電塗装し、未硬化のベースコート塗膜を形成した。3分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行ない、その後、該未硬化のベースコート塗膜上に、クリヤーコート塗料組成物(Z-1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚35μmとなるように静電塗装し、クリヤーコート塗膜を形成した。7分間放置後、140℃で30分間加熱して、上記未硬化のベースコート塗膜及び未硬化のクリヤーコート塗膜を同時に硬化させることにより、耐水付着性評価用の試験板Aを作製した。
【0131】
耐ハジキ性評価用の試験板Bの作製
上記試験板Aの作製方法において、10cm×15cmのリン酸亜鉛処理された冷延鋼板を、30cm×45cmのリン酸亜鉛処理された冷延鋼板とし、クリヤーコート塗料組成物(Z-1)を、クリヤーコート塗料組成物(Z-2)とする以外は、上記試験板Aの作製方法と同様にして、耐ハジキ性評価用の試験板Bを作製した。
【0132】
実施例12~20、比較例7~12
水性塗料組成物No.1を、表2に示す水性塗料組成物とする以外は、実施例11と同様にして、耐水付着性評価用の試験板A及び耐ハジキ性評価用の試験板Bを作製した。
【0133】
実施例21
耐水付着性評価用の試験板Aの作製
10cm×15cmのリン酸亜鉛処理された冷延鋼板に、「エレクロンGT-10」(商品名、関西ペイント社製、カチオン電着塗料)を乾燥膜厚20μmとなるように電着塗装し、170℃で30分間加熱して硬化させた。次いで、この硬化した電着塗膜上に、中塗り塗料組成物(V-2)を乾燥膜厚20μmになるように塗装し、未硬化の中塗り塗膜を形成した。7分間放置後、該未硬化の中塗り塗膜上に、実施例1で得た水性塗料組成物No.1を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、乾燥膜厚で15μmとなるように静電塗装し、未硬化のベースコート塗膜を形成した。3分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行ない、その後、該未硬化のベースコート塗膜上にクリヤーコート塗料組成物(Z-1)を、回転霧化型の静電塗装機を用いて、硬化膜厚35μmとなるように静電塗装し、クリヤーコート塗膜を形成した。7分間放置後、140℃で30分間加熱して、上記未硬化の中塗り塗膜、未硬化のベースコート塗膜及び未硬化のクリヤーコート塗膜を同時に硬化させることにより、耐水付着性評価用の試験板Aを作製した。
【0134】
耐ハジキ性評価用の試験板Bの作製
上記試験板Aの作製方法において、10cm×15cmのリン酸亜鉛処理された冷延鋼板を30cm×45cmのリン酸亜鉛処理された冷延鋼板とし、クリヤーコート塗料組成物(Z-1)をクリヤーコート塗料組成物(Z-2)とする以外は、上記試験板Aの作製方法と同様にして、耐ハジキ性評価用の試験板Bを作製した。
【0135】
実施例22~30、比較例13~18
水性塗料組成物No.1を、表3に示す水性塗料組成物とする以外は、実施例21と同様にして、耐水付着性評価用の試験板A及び耐ハジキ性評価用の試験板Bを作製した。
【0136】
上記で得られた各試験板について、下記の試験方法により評価を行なった。評価結果を表2及び表3に示す。
【0137】
(試験方法)
耐水付着性:
得られた各試験板Aを40℃の温水に240時間浸漬し、引き上げ、20℃で12時間乾燥した後、塗面にJIS K 5600-5-6(1990)に準じて塗膜に2mm×2mmのゴバン目100個を作り、その面に粘着テープを貼着し、急激に剥がした後に、塗面に残ったゴバン目塗膜の数を評価した。◎及び○が合格である。
◎:残存個数/全体個数=100個/100個で縁欠けなし
○:残存個数/全体個数=100個/100個で縁欠けあり
△:残存個数/全体個数=99個~90個/100個
×:残存個数/全体個数=89個以下/100個。
【0138】
耐ハジキ性:
得られた各試験板Bを目視にて観察し、下記基準にて評価した。◎及び○が合格である。
◎:塗面にヘコミ及びハジキがない
〇:塗面に小さいヘコミが観察されるが、実用上問題ないレベルである
△:塗面に複数の大きいヘコミが観察され、実用上問題となるレベルである
×:塗面の全体に、素地まで達するハジキが観察される。
【0139】
【表2】
【0140】
【表3】
【0141】
以上、本発明の実施形態及び実施例について具体的に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述の実施形態及び実施例において挙げた構成、方法、工程、形状、材料及び数値等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる構成、方法、工程、形状、材料及び数値等を用いてもよい。また、上述の実施形態の構成、方法、工程、形状、材料及び数値等は、本発明の主旨を逸脱しない限り、互いに組み合わせることが可能である。