(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】剥離機の入口ガイドを調節する方法、および剥離機
(51)【国際特許分類】
B23D 79/12 20060101AFI20240930BHJP
B23B 5/12 20060101ALI20240930BHJP
B23Q 17/20 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
B23D79/12 Z
B23B5/12
B23Q17/20 Z
(21)【出願番号】P 2021544496
(86)(22)【出願日】2019-12-16
(86)【国際出願番号】 DE2019101090
(87)【国際公開番号】W WO2020156604
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2022-12-06
(31)【優先権主張番号】102019102523.0
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019125248.2
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516199072
【氏名又は名称】エスエムエス グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】バーツ,アルフレッド
(72)【発明者】
【氏名】リンドブシェル,イェルク
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-045697(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第04122948(DE,A1)
【文献】西独国特許出願公開第03223232(DE,A1)
【文献】特表2006-502877(JP,A)
【文献】特開昭62-228302(JP,A)
【文献】特開平02-048102(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 79/12
B23B 5/12
B23C 3/14
B23Q 17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離機(1)の入口ガイド(5)を調節する方法であって、該方法において、剥離具(8)を保持する剥離ヘッド部(2)を基準として、剥離対象となる素材(22)が前記入口ガイド(5)によって案内され、
(i)前記剥離ヘッド部(2)を基準として、および/または、前記入口ガイド(5)を基準として、剥離対象となる前記素材(22)の長さにおいて、剥離対象となる前記素材(22)の理論上の中心部
が一定となるように、剥離対象となる前記素材(22)に対して効果をもたらすよう、前記入口ガイド(5)を
、ガイドローラ設定要素(38)の縦方向の拡張を調節することで、制御し、
前記入口ガイド(5)および剥離対象となる前記素材(22)の間で生じる力、または、前記入口ガイド(5)および剥離対象となる前記素材(22)の間で生じる複数の力が、
制御を行うために測定される、ことを特徴とする、調節方法。
【請求項2】
前記剥離機(1)は、データ処理・評価部を備え、前記データ処理・評価部は、前記方法を、コンピュータを用いて実施するよう設定される、ことを特徴とする、請求項1に記載の調節方法。
【請求項3】
入口ガイド(5)を有する入口領域(23)と、
剥離具(8)を保持する剥離ヘッド部(2)と、
出口領域(25)と、
を備え、
前記入口ガイド(5)は、少なくとも一つのローラキャリア(37)によって、それぞれが、少なくとも2本のガイドローラ(42)を保持し、
少なくとも一つの前記ローラキャリア(37)は、少なくとも一つのガイドローラ設定要素(38)によって、調節可能であり
、
剥離機(1)は、剥離対象とな
る素材(22)の、基準ガイド位置からのずれを判定する測定装置(9)を備え、
前記測定装置(9)は、前記ガイドローラ設定要素(38)と
相互作用するように接続され、
前記測定装置(9)は、力センサ(18)を備える、ことを特徴とする、剥離機(1)。
【請求項4】
前記測定装置(9)は、前記ガイドローラ設定要素(38)によって調節可能な前記ローラキャリア(37)上に配置される、および/または、前記ローラキャリア(37)によって保持される前記ガイドローラ(42)上に配置される、ことを特徴とする、請求項3に記載の剥離機(1)。
【請求項5】
前記入口ガイド(5)は、3
つ、4
つ、5
つ、または7
つのガイドローラ(42)を保持し、そのそれぞれが、ローラキャリア(37)によって、前記入口ガイドで保持され、
前記ローラキャリア(37)のそれぞれは、少なくとも一つのガイドローラ設定要素(38)によって調節可能であり、各ガイドローラ設定要素(38)は、好ましくは、測定装置(9)と
相互作用するよう接続されており、
前記測定装置(9)は、好ましくは、対応するガイドローラ設定要素(38)に属する前記ローラキャリア(37)上に配置される、および/または、ガイドローラ設定要素(38)によって保持される前記ガイドローラ(42)上に配置される、ことを特徴とする、請求項3または4に記載の剥離機(1)。
【請求項6】
前記剥離機(1)は、請求項
1または2に記載の方法を実施するよう
に、データ処理・評価部を備え、前記データ処理・評価部は、前記方法を、コンピュータを用いて実施するよう設定される、ことを特徴とする、請求項3乃至5のいずれか一項に記載の剥離機(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剥離機の入口ガイドを調節する方法に関する。該方法では、剥離具を保持する剥離ヘッド部を基準として、剥離対象となる素材が入口ガイドによって案内される。また、本発明は、入口ガイドを有する入口領域と、剥離具を保持する剥離ヘッド部と、出口領域とを備える剥離機に関する。入口ガイドは、少なくとも一つのローラキャリアによって、それぞれが、少なくとも2本のガイドローラを保持し、少なくとも一つのローラキャリアは、少なくとも一つのガイドローラ設定要素によって、調節可能である。
【背景技術】
【0002】
既知の剥離機は、回転軸周り、または、加工軸周りに回転する剥離ヘッド部を備える。このヘッドには、剥離ヘッド部と共に回転する工具ホルダ用の調節装置が設けられている。工具が配置された工具ホルダは、調節装置によって、被加工物に対して設置される。これにより、工具が、熱間圧延素材からスケール層を除去し、最終的に、例えば、丸形素材を加工して、金属製の光沢のある丸形素材を得る。
【0003】
例えば、こうした剥離機が特許文献1に記載されている。ここで、中空シャフトに対して移動可能な調節装置は、剥離ヘッド部の領域に配置されている。調節装置の移動機能として、工具ホルダおよびホルダに配置された工具が、加工軸に対して径方向に移動する。その結果、工具がそれぞれ、加工対象の一次材の直径に調節される。
【0004】
さらに、管やロッドの剥離機として、特許文献2のものが知られている。ここでは、剥離対象となる素材の周りを回転する複数の剥離具によって、都度、剥離が行われる。工具は、ロッド状の工具キャリアに設けられる。剥離対象となる素材の縦軸に対して、径方向に移動可能に、かつ、中でも、円錐ブッシングの内側で支持されるよう、工具キャリアを取り付ける。
【0005】
特許文献3では、繰出し器を備える剥離機について記載されている。繰出し器は、被加工物、特に、ロッド、管、バー、ワイヤ、ケーブル等を加速させる押し込みローラを備える。押し込みローラは、それぞれが、押し込みローラシャフトにより駆動され、少なくとも一本の押し込みローラシャフトは、シャフトホルダに、偏心して取り付けられている。
【0006】
特許文献4および特許文献5も、剥離機について開示している。
【0007】
剥離対象となる素材は、主に、金属製の鍛造半製品であり、圧成形によって成形され、実質、縦方向に延びる拡張方向を有する。剥離対象となる素材に、比較的大きな公差が生じるは、こうした形成方法によるものである。特に、剥離対象となる素材の表面公差や真直度は、形成方法に左右される。
【0008】
剥離対象となる素材の真直度にずれがあると、剥離対象となる素材の縦方向における、剥離対象となる素材の理論上の中心部に、湾曲が生じる。
【0009】
一方、剥離対象となる素材の表面公差にずれがあると、剥離対象となる素材の理論上の中心部と、剥離対象となる素材の表面との間の距離にずれが生じる。
【0010】
これら二種類のずれは、最終的に、非常に異なる結果をもたらすため、剥離対象となる素材の素材分布における変化が、縦に延びる拡張方向に沿って顕著になる。
【0011】
剥離対象となる素材から、光沢のある製品または光沢のある素材、特に、光沢のある鋼または同様の半製品を作製する際に、剥離機を使用する。こうした半製品は、剥離対象となる素材と比較して、表面形状公差が小さく、表面品質に優れていることを特徴とする。そのため、できるだけ、剥離対象となる素材の表面全体を剥離機で加工し、削り片を除去することが必要となる。
【0012】
剥離対象となる素材の単位長さあたりの体積を、剥離機でどの程度除去しなければならないかは、剥離対象となる素材の寸法の正確さによって変わってくる。剥離対象となる素材において、真直度および/または表面公差のずれが比較的大きい場合、剥離機によって、剥離対象となる素材の単位長さあたりの体積を比較的多く除去しなければならない。
【0013】
従来技術における既知の剥離機は、剥離ヘッド部の領域において、繰出し装置を備える。該繰り出し装置は、繰出し器と入口ガイドとを備える。剥離対象となる素材が縦に延びる拡張方向に加速するよう、繰出し器を設置すると、入口ガイドが、剥離ヘッド部を基準に、剥離対象となる素材を案内するよう設置される。多くの場合、剥離対象となる素材が進む速度と、剥離対象となる素材が入口ガイドを通り抜ける案内方向とが所望のものになるよう、繰出し器が調節される。
【0014】
このように、剥離機のプロセスパラメータを手動で調節することで、剥離対象となる素材が、剥離ヘッド部に向かって中心に沿って進むこととなり、さらに、剥離機の加工限度の範囲内で、剥離対象となる素材の切削体積を除去できるよう、剥離機の調節に充分な時間が割かれることになる。
【0015】
特に、剥離対象となる素材、つまり、素材の切削体積を最小限にする場合、あるいは、剥離対象となる素材の形状公差に、常にずれが生じている場合、剥離機のプロセスパラメータを絶えず調節し続けなければならないという手間が生じ、ひいては、剥離機をモニタリングする技術者の負担が増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】独国特許出願公開第10129207号明細書
【文献】独国特許出願公開第19503772号明細書
【文献】欧州特許第2420350号明細書
【文献】独国特許出願公開第4122948号明細書
【文献】独国特許出願公開第3223232号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の課題は、剥離機の入口ガイドを調節する方法および剥離機を実現することにある。該方法により、剥離対象となる素材が、例えば、断面における真円度の欠如や、全長にわたってずれが生じるなどの、いかなる不正確性を有していても、剥離対象となる素材を剥離した際、その質を最大限まで高めることができる。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の課題は、独立項の特徴を有する、剥離機の入口ガイドを調節する方法および剥離機によって、解決される。さらに、それとは独立して成立可能な、有利な実施形態については、従属項および以下の説明で明らかにする。
【0019】
第1の形態によれば、剥離対象となる素材が、いかなる不正確性を有していても、剥離機の入口ガイドを調節する方法により、剥離対象となる素材を剥離した際、その質を最大限まで高めることができる。該方法において、剥離対象となる素材は、入口ガイドによって、剥離具を保持する剥離ヘッド部を基準に案内される。剥離対象となる素材の理論上の中心部が、剥離対象となる素材の全長にわたって、剥離ヘッド部に対して、および/または、入口ガイドに対して、可能な限り一定となるよう、剥離対象となる素材に働きかけるように、入口ガイドが制御されている。これと同時に、あるいは、これと代替するかたちで、第2の形態によれば、剥離対象となる素材が、いかなる不正確性を有していても、剥離機の入口ガイドを調節する方法により、剥離対象となる素材を剥離した際、その質を最大限まで高めることができる。該方法において、剥離対象となる素材は、剥離具を保持する剥離ヘッド部を基準に案内される。剥離対象となる素材の、基準ガイド位置からのいかなるずれも、測定され、入口ガイドを制御する際に活用される。
【0020】
この場合、「剥離対象となる素材」は、実質、縦方向に延びる拡張方向を有し、剥離処理の対象となる、あるいは剥離処理を受けている金属製の半製品を指す。剥離対象となる素材は、主に、加圧成形方法、特に、鍛造法によって成形され、その結果、表面公差および縦方向の拡張真直度において、比較的幅広い公差フィールド幅を有する。さらに、多くの場合、特に熱間成形法を利用して成形した場合、剥離対象となる金属製素材は、表面にスケール層を有する。また、熱間成形法を利用して成形した素材は、熱間成形法によって成形されたという理由で、剥離処理されることとなり、剥離対象となる素材として扱われる。
【0021】
特に、剥離対象となる素材の多くは、ロッド、管、バー、ワイヤ、ケーブル等であり、さらに、ブロック、中空ブロック、その他同様の半製品でありうる。これらは、剥離後も、スライス加工など、さらなる加工処理が施される。
【0022】
剥離対象となる素材の理論上の中心部を、縦に延びる拡張方向に定めた場合、理論上の中心点を結ぶ線は、剥離対象となる素材の大部分において曲線となる。
【0023】
剥離対象となる素材の断面形状は、一般的に円形または略円形である。
【0024】
この場合、「剥離機」は、剥離対象となる素材の一部を機械的に削りながら、剥離対象となる素材を所定の形状に成形する切削工作機械を指す。剥離機は、剥離対象となる素材から光沢のある素材、例えば、光沢のある鋼を作製する役割を担う。光沢のある素材とは、スケール層が除去され、剥離前の剥離対象素材と比較して、小さい表面形状公差および優れた表面品質を有することを特徴とする。
【0025】
この点において、「剥離ヘッド部」は、好ましくは、剥離機の動作時に回転運動をし、一つ以上の剥離具を保持し、および/または、剥離対象となる素材の直径を小さくする剥離機の一部である。
【0026】
したがって、「剥離具」は、好ましくは、刃を有する切削工具である。剥離時、または、一般的には、切削時において、剥離具の刃が、剥離対象となる素材を貫通し、裁断する。
【0027】
したがって、剥離機の「入口ガイド」は、この場合、特に、剥離対象となる素材を剥離ヘッド部の方向に案内する剥離機の一部を指す。入口ガイドは、一般的に、少なくとも一か所に調節変数を有しており、これにより、入口ガイドは、剥離対象となる素材の、剥離ヘッド部に対する向きを変化させることができる。
【0028】
好ましくは、対応する「剥離対象となる素材の、理論上の中心部」は、それぞれ、剥離対象となる素材の極薄断面における、最大内円の中心点をなす点を指す。
【0029】
また、「剥離対象となる素材の、基準ガイド位置からのずれ」は、好ましくは、剥離ヘッド部上の剥離具の刃の円周路の中心点から、剥離対象となる素材の理論上の中心部までの距離を指す。
【0030】
「制御」は、一般的に、本来変更可能な変数を、自動的に一定にする、あるいは、略一定にする方法を指す。制御の特性は、一定にする変数値を実際の値に設定し、所望の基準値からずれた場合に、調節変数の値を変更することにある。これにより、変数値を一定にする際に、再び、基準値に近づけることができる。適切な調節変数としては、特に、入口ガイドの調節変数が挙げられる。特に、ガイドローラ設定要素の縦方向の拡張を、入口ガイドの調節変数と捉える。
【0031】
実際の値および基準値間のずれを判定し、調節変数の値を調節要素で調節することで、制御を実施してもよい。
【0032】
代替として、かつ、好ましくは、制御を完全に電動化してもよい。実際の値は、測定装置によって計測される。この値は、データ処理・評価部によって、電子工学的、または、電気的に基準値と比較され、いかなるずれも、調節変数の値に変換される。調節変数に対する値は、調節要素に送られ、電子値入力により、調節変数を調節するよう、調節要素が設定される。電動化する場合、調節要素には、調節ドライブや、その他制御可能な調節装置を設ける必要がある。
【0033】
従来の関連技術においては、技術者が剥離機をモニタリングし、必要に応じて、入口ガイドを調節することで、所望の剥離結果を得ることができた。特に、光沢のある素材を製造する際、その素材の表面状況に欠陥があった場合、技術者の介入は不可欠であった。特に、光沢のある素材の表面において、場所によっては、まだスケールが残っている可能性があった。
【0034】
さらに、従来の関連技術において、剥離対象となる素材の円周において、切削する体積が不均一である場合、技術者が入口ガイドの調整を行っていた。
【0035】
言い換えると、従来の関連技術において、剥離機を調節する際、技術者は、剥離対象となる素材位置に関して、定性的なデータでしか判断をすることができなかった。
【0036】
したがって、従来の関連技術において、特に、剥離機の動作中、技術者は、剥離対象となる素材の、理論上の中心部と剥離ヘッド部との間のずれや、剥離対象となる素材と基準ガイド位置との間のずれを、定量的に判断する材料を持ち合わせていなかった。
【0037】
剥離対象となる素材が、曲線をなす理論上の中心点を結んだ線を有していると、剥離機の入口ガイドを調節する際、剥離対象となる素材の案内位置を制御するにあたり、大変な手間を必要とする。
【0038】
この場合のようにずれが生じた場合、剥離機の入口ガイドを調節する方法が提案される。該方法において、剥離機の操作者は、さらに、定量的な情報を得ることができる。こうした情報は、特に、視覚的なものであって、剥離対象となる素材の、理論上の中心部と、剥離ヘッド部、つまり、剥離ヘッド部上の剥離具の刃の円周路の中心点との間のずれに関する。あるいは、こうした情報は、剥離対象となる素材の、基準ガイド位置からのずれに関する。したがって、剥離機の動作中において、この操作者による制御は、上記情報に裏付けられたものとなる。
【0039】
ここに記載の形態によって、所望の成果を得ることができ、制御の精度が、入口ガイドの調節時に予期せず、大幅に改善できるため、有利である。
【0040】
特に、光沢のある素材の製造時に欠陥が生じることを、ほぼ完全に回避できるという成果が得られる。ここで、欠陥とは、特に、切削加工処理時に未処理となってしまった表面箇所がある等の、表面の不均衡を指す。
【0041】
制御の精度が向上することで、形成工程において、光沢のある素材の目標とする寸法に対して、剥離対象となる素材に追加される補足素材を、操作において確実に、削減することができるという成果が得られる。その結果、剥離機によって切削される体積を減らすことができ、剥離処理が促進され、素材損失が最低限に抑えられる。これにより、光沢のある鋼の製造工程ライン全体が、より効率的かつ経済的になる。
【0042】
さらに、対応する剥離機に対して該方法を実施するであろう機械操作者に必要とされる熟練度を下げることができるという成果が得られる。これにより、人事的なボトルネックを容易に回避することができ、また、人件費の削減が可能になる。
【0043】
好ましくは、制御を行うため、入口ガイドおよび剥離対象となる素材の間で生じる力、または、入口ガイドおよび剥離対象となる素材の間で生じる複数の力が測定される。
【0044】
具体的には、測定される力、または、測定される複数の力は、剥離機、特に、入口ガイドのガイドローラと、少なくとも間接的に相互接続される力センサを利用して、測定されるものとする。
【0045】
さらに、具体的には、測定された力または複数の測定された複数の力と、剥離ヘッド部からの、剥離対象となる素材の理論上の中心部のずれ、言い換えれば、剥離ヘッド部上の剥離具の刃の円周路の中心点からの剥離対象となる素材の理論上の中心部のずれ、または、基準ガイド位置からの剥離対象となる素材のずれとの間には、ある種の関係性が成立するものとする。こうしたずれは、測定された力からの、あるいは、測定された複数の力からの対応するずれに関する結論を出し、さらに、このずれを可能な限り一定にする、すなわち、制御するために活用される。
【0046】
ここに記載の形態によれば、平易な構成の測定構造が得られる点が有利である。こうした構造により、ずれに関する定量的な情報が得られる。
【0047】
特に、力センサは非常に堅牢であるため、測定装置に大きな有効性を持たせることができる。
【0048】
本発明の第3形態によれば、剥離対象となる素材が、いかなる不正確性を有していても、コンピュータ支援による、剥離機の入口ガイドの調節方法を活用することにより、剥離対象となる素材を剥離した際、その質を最大限まで高めることができる。該方法においては、剥離対象となる素材は、入口ガイドによって、剥離具を保持する剥離ヘッド部を基準に案内される。剥離機は、第1形態および第2形態に係る方法を、コンピュータの支援によって実施するよう設定されたデータ処理・評価部を備える。
【0049】
この場合、「データ処理・評価部」は、データを処理し評価するよう設定された電気部品あるいは電気装置を指す。特に、データ処理・評価部は、データ処理を行うよう設定されたプロセッサを備えていてもよい。データ処理・評価部は、一般的には、データを体系的に扱うことを目的としたものであり、取得したデータに関する情報を取得し、データを変更することができる。特に、データ処理・評価部は、自動化された制御アルゴリズムを実行し、対応する調節要素に、算出した調節値を送信するよう設定されてもよい。これにより、剥離機は、データ処理・評価部によって、自動的に制御される。
【0050】
したがって、具体的には、剥離機の入口ガイドを調節するためのコンピュータ支援プログラムが提案される。第1形態および第2形態と、第3形態を直接比較すると、コンピュータ支援による方法を実施するにあたり、剥離機は、データ処理・評価部を備えることが好ましい。データ処理・評価部は、コンピュータ支援による調節方法を自動的に実行し、算出した調節値を剥離機の対応する調節要素に送信するよう設定される。
【0051】
ここに記載の形態によれば、コンピュータ支援による調節方法を実施する剥離機が、自動的に、あるいは、少なくとも一部が自動的に制御されるという、有利な成果を得ることができる。これにより、対応する剥離機を動作させる際の人件費を削減することができる。
【0052】
第3形態おける解決手段を、第1形態および第2形態と、例えば、互いに独立して、あるいは、累積的に、任意の組合わせで、有利に互いに組合わせることができる点は、特に留意されたい。
【0053】
第4形態によれば、剥離機は、入口ガイドを有する入口領域と、剥離具を保持する剥離ヘッド部と、出口領域と、を備える。入口ガイドは、少なくとも一つのローラキャリアによって、それぞれが、少なくとも2本のガイドローラを保持する。剥離機は、剥離対象となる素材の、基準ガイド位置からのずれを判定する測定装置を備えているため、剥離対象となる素材が、いかなる不正確性を有していても、少なくとも一つのローラキャリアを、少なくとも一つのガイドローラ設定要素によって調節することにより、剥離対象となる素材を剥離した際に、非常に高い品質を実現することができる。
【0054】
ここで、剥離機の「入口領域」は、好ましくは、剥離対象となる素材が剥離機と接触する、剥離機の領域である。
【0055】
ここで、剥離機の「出口領域」は、好ましくは、光沢のある鋼が剥離機から抜ける領域である。
【0056】
ここで、「ガイドローラ」は、特に、剥離対象となる素材を案内するよう設定された機械ローラを指す。特に、剥離対象となる素材は、ガイドローラを回転させ、その回転方向に進むことができる。
【0057】
特に、剥離機における該部位は、「ローラキャリア」と称され、ガイドローラを支持する機能を有し、ガイドローラを剥離機と継続的に接続させる。
【0058】
ここで、「ガイドローラ設定要素」は、特に、ガイドローラと、剥離ヘッド部上の剥離具の刃の円周路の中心点との間の距離を変化させるよう設定されたアクチュエータであればよく、好ましくは、ガイドローラ設定要素の縦方向の拡張が調節できればよい。ガイドローラ設定要素の縦方向の拡張は、したがって、剥離機の入口ガイド調節変数である。この調節変数を変化させることで、剥離ヘッド部上の剥離具の刃の円周路の中心点に対する、剥離対象となる素材の理論上の中心部を変化させることができる。
【0059】
すなわち、特に、入口ガイドの調節変数を、ガイドローラ設定要素縦方向の拡張とみなす。
【0060】
ここで、「測定装置」は、好ましくは、物理的変数を測定する装置を指す。特に、測定装置を、剥離対象となる素材の、基準ガイド位置からのずれを、少なくとも間接的に測定する装置であるとみなす。測定装置は、直接的に、ガイドローラ設定要素の縦方向の拡張を測定するよう設定されていてもよい。その特徴として、測定装置はまた、ガイドローラ設定要素の縦方向の拡張の基準値を、ガイドローラ設定要素に送信するよう設定されていてもよい。同様に、例えば、剥離対象となる素材の、基準ガイド位置からのずれ等に対し、対応する規模としてみなされる力あるいは複数の力を測定する測定装置であってもよい。さらに、測定装置は、剥離対象となる素材の、基準ガイド位置からのずれを、可視化装置に出力するよう設定されていてもよい。これにより、剥離対象となる素材の、基準ガイド位置からのずれが、可視化装置によって表示される。
【0061】
従来の関連技術においては、直接目視できるずれに基づいて、技術者が剥離機の制御を行っていた。製造しようとする、光沢のある鋼の表面における欠陥や、剥離対象となる素材の円周に不均一に分布する、素材の切削体積などが含まれるが、言い換えると、剥離対象となる素材の位置に関しては、定性的な情報しか与えられず、それによって、技術者は、剥離機を制御していた。
【0062】
こうしたずれに鑑みて、ここでは、操作者が、剥離対象となる素材の、基準ガイド位置からのずれに関する定量的な情報を得られるよう、提案がなされている。
【0063】
ここに記載の形態によれば、剥離機の操作者は、剥離対象となる素材の、基準ガイド位置からのずれに関する、より正確な情報を与えられる点で有利である。これにより、手動での制御であっても、非常に高い正確性をもって実行される。
【0064】
好ましくは、測定装置は、ガイドローラ設定要素と相互接続する。ここで、「相互接続」は、特に、ガイドローラ設定要素および測定装置が、データ回線やその他信号接続により、接続されている状態を指す。測定装置は、ガイドローラ設定要素の縦方向の拡張に関する基準値をガイドローラ設定要素に送信するよう、および/または、ガイドローラ設定要素から、ガイドローラ設定要素の縦方向の拡張に関する実際の値を読み出すよう、設定されている。このようにして、測定装置によって、剥離機が直接制御され、対応する制御回路を構築することが可能となるという成果が得られる点で有利である。
【0065】
特に有利な実施形態において、測定装置は、ガイドローラ設定要素によって調節可能なローラキャリア、および/または、ローラキャリアによって保持されるガイドローラ上に配置される。これにより、対応する剥離対象となる素材上の入口ガイドを、局地点で直接測定することができるため、有利である。特に、測定装置およびガイドローラ設定要素間の相互接続と組み合わせることで、各ガイドローラを正確に制御できるという成果が得られるため、有利である。そのため、対応する制御も、さらに正確に行うことができる。
【0066】
測定装置は、力センサを任意に備えていてもよい。ここで、「力センサ」は、力の物理的規模を測るよう設定された任意のセンサを指す。特に、入口ガイドがばね機構を備えている場合、容易に、かつ正確に力を測定することが可能である。そのため、剥離対象となる素材の、基準ガイド位置からのずれに比例するとみなす物理的変数を、力センサによって、容易に、かつ正確に測定することができる。
【0067】
好ましくは、入口ガイドは、3本、4本、5本、または7本のガイドローラを保持し、そのそれぞれが、ローラキャリアによって、入口ガイドで保持される。ローラキャリアのそれぞれは、少なくとも一つのガイドローラ設定要素によって調節可能である。これにより、より正確な案内が可能となる。必要であれば、ローラキャリアは、二つ以上のガイドローラ、言い換えると、例えば、2本、3本、または4本のガイドローラを保持してもよい。この場合、特に、3本、4本、5本、または7本のローラキャリアを用いてもよい。ガイドローラの代替として、ガイド付きルーラを用いてもよい。該ルーラは、対応するキャリア、すなわち、好ましくは、3本、4本、5本、または7本のキャリアによって保持されていてもよい。
【0068】
好ましくは、ガイドローラ設定要素のそれぞれが測定装置と接続され、これに伴って、正確かつ良好な全体測定や、各ガイドローラの制御が可能になる。
【0069】
各測定装置が、対応するガイドローラ設定要素に属するローラキャリア上、および/または、ローラキャリアに保持されるガイドローラ上に配置されている場合、各ガイドローラの正確な測定が確実となる。
【0070】
好ましくは、剥離機は、第1形態、第2形態、および/または、第3形態に係る方法を実施するよう設定される。
【0071】
剥離機の入口ガイドを案内する、コンピュータ支援による方法において、剥離具を保持する剥離ヘッド部を基準として、剥離対象となる素材が入口ガイドによって案内される。該方法の効果は、上述の通り、剥離機においても直接発揮される。剥離機は、入口ガイドを有する入口領域と、剥離具を保持する剥離ヘッド部と、出口領域と、を備える。入口ガイドは、少なくとも一つのローラキャリアによって、それぞれが、少なくとも2本のガイドローラを保持する。少なくとも一つのローラキャリアは、少なくとも一つのガイドローラ設定要素によって、調節可能であり、剥離機は、剥離対象となる素材の、基準ガイド位置からのずれを判定する測定装置を備える。
【0072】
上述および請求項に記載の解決手段における特徴は、さらなる利点を実現するにあたり、必要であれば、適宜、組み合わせることが可能である点を理解されたい。四つの形態全てにおける解決手段を、例えば、互いに独立して、あるいは、任意の組合わせで、有利に互いに組合わせることができる点は、特に留意されたい。
【0073】
以下の実施形態に関する記載を用いて、本発明のさらなる利点、目的、そして特徴を説明する。特に、実施形態は、添付の図面において図示され、各図面は、以下の事項を示す。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【
図1】
図1は、剥離ヘッド部の領域における剥離機と、繰出し器および入口ガイドを備える繰出し装置を模式的に示す。
【
図2】
図2は、繰出し器が入口ガイドから離間し、入口ガイドが剥離機ギア機構から離間ししている、前述の
図1に示した剥離機を示す。
【
図3】
図3は、剥離対象となる素材の搬送方向において、入口ガイドを、くさび止め要素とともに、模式的に示す。
【
図4】
図4は、剥離対象となる素材の搬送方向において、入口ガイドを、くさび止め要素とともに、模式的に示した別図である。
【発明を実施するための形態】
【0075】
図1および
図2に示す剥離機1は、剥離具8を備える剥離ヘッド部2の領域において、繰出し装置3を備える。
【0076】
最終的には、剥離処理を実行できるよう、剥離ヘッド部2、ひいては、剥離具8が回転可能となっている。
【0077】
これに対し、
図1および
図2に示す繰出し装置3は、繰出し器4と入口ガイド5を備える。
【0078】
繰出し器4および入口ガイド5は、剥離機1の横材6上に載置可能となるよう、配置されている。横材6は、繰出し器4および入口ガイド5に対し、直線ガイド7を形成する。繰出し器4および入口ガイド5の両方が、矢印11および12の両方向で、直線ガイド7に沿って移動可能になっている。したがって、第1に、繰出し器4および入口ガイド5は、剥離機1の剥離機ギア機構13から離間して、あるいは、剥離機1の剥離機ギア機構13に向かって、独立して移動することができる。第2に、繰出し器4および入口ガイド5は、互いに相対的に移動することができる。つまり、繰出し器4は、入口ガイド5とは別体として、横材6上を移動することができ、その逆もまた、可能である。また、他の実施形態において、繰出し器4および入口ガイド5の配置を変更可能であることも理解されたい。
【0079】
図1に示す剥離機1の動作時において、繰出し器4および入口ガイド5は、互いに接続され、これにより、小型の繰出し装置3が形成される。繰出し装置3は、さらに、入口ガイド5とともに、剥離機1の剥離機ギア機構13に接続される。繰出し器4および入口ガイド5の両方が、特に、図示の動作時において、剥離機ギア機構13と確実に接続するよう、第1に、繰出し器4および入口ガイド5は、第1上部くさび止め要素14および15、そして、下部くさび止め要素16および17によって、互いにしっかりと、かつ、取り外しができるよう、くさび止めされている(
図3も参照のこと)。第2に、入口ガイド5および剥離機ギア機構13は、第2上部くさび止め要素(ここでは明示しない)、そして、第2下部くさび止め要素(同じく、ここでは明示しない)によって、互いにしっかりと、かつ、取り外しができるよう、くさび止めされている。
【0080】
このようにくさび止めされた状態で、剥離対象となる素材22は、剥離機1の剥離ヘッド部2まで、正確に案内され、そして、入口ガイド5を経由し、繰出し器4によって、回転する剥離具まで案内される。この目的において、剥離対象となる素材22は、繰出し装置3により、入口領域23から、剥離機1を通過し、続いて、出口領域25まで、搬送方向24に沿って案内される。
【0081】
図2の配置において、繰出し器4は、入口ガイド5から距離を保って配置されている。これにより、繰出し器4および入口ガイド5の間に、設置スペース26が設けられる。このスペースが設けられることで、繰出し器4の入口側の端27だけでなく、入口ガイド5の繰出し器側の端28からのアクセス性を高めることができる。設置スペース26を形成するため、繰出し器4は、入口ガイド5から距離29を保って、配置されている。
【0082】
さらに、
図2のように配置する場合、繰出し器4および入口ガイド5は、剥離機1の剥離機ギア機構13から、入口ガイド5および剥離機ギア機構13の間に設置スペース30をさらに形成し得るような距離を保つよう、配置されている。したがって、入口ガイド5は、剥離機ギア機構13から、距離31を保って離間している。
【0083】
全ての実施形態において、入口ガイド5および繰出し器4を互いに取外し可能に載置する必要はないということは、理解されたい。特に、確実に、一方が繰り出され、もう一方が案内されるのであれば、これらは、一定の距離を保って配置されるなどしてもよい。
【0084】
本実施形態において、繰出し器4は、ねじる力に強いフレーム32を備える。ここには、入口ローラ33(個数はあくまでも例示)だけでなく、入口ローラ33の駆動・調節機構34も配置される。
【0085】
さらに、こうした実施形態において、入口ガイド5は、第1係止ボルト35および第2係止ボルト36を有する(これについては、
図3および
図4を参照のこと)。
【0086】
本実施形態において、剥離機ギア機構13はまた、第1係止ボルトおよび第2係止ボルトを有する(ここでは明示しない)。
【0087】
入口ガイド5の第1係止ボルト35は、剥離機1の動作時(
図1を参照のこと)において、補助係止スリーブ39と
相互作用する。それに伴い、第2係止ボルト36は、動作時において、補助係止スリーブ40と
相互作用する。係止ボルト35および36により、繰出し器4のフレーム32と、ねじる力に強い入口ガイド5の筐体41(
図3および
図4を参照のこと)とが案内されて、互いに近づくように移動する。さらに、ねじる力に強いフレーム32と、ねじる力に強い筐体41とが、係止ボルト35および36によって、互いに回転しないよう、直線ガイド7に追加して取り付けられる。つまり、係止ボルト35および36により、繰出し装置3全体が、かなり強固に、かつ、ねじる力への耐性をより高めて、保持される。他の実施形態において、その他の方法により、ねじる力への耐性向上が実現し得ることは、理解されたい。
【0088】
剥離機ギア機構13の係止ボルトについても、同様のことが言える。これら係止ボルトも、入口ガイド5に設けられた、対応する係止スリーブ(ここでは明示しない)と相互作用する。この場合における、繰出し器4および入口ガイド5間の相互接続を、より詳しく例示して説明する。具体的な実施形態において、上述のモジュールは、二つの係止ボルトおよび対応する補助係止スリーブのみによって、相対的に案内され、固定することが充分にできていた。しかしながら、さらなる実施形態においては、三つ以上の係止ボルトや係止スリーブが使用できることも、理解されたい。
【0089】
本実施形態において、入口ガイド5は、くさび止め要素14、15、16、および17とは別体として、繰出し器4および入口ガイド5を互いに仮固定する係止ボルト35および36を、さらに有している。
【0090】
第1滑走すべり金具10および第2滑走すべり金具46は、入口ガイド5の、ねじる力に強い筐体41の下部領域45に配置されている。入口ガイド5は、二つの滑走すべり金具10および46を通って、剥離機1の直線ガイド7に対して、並進的に載置可能に接続されている。
【0091】
本実施形態において、互いに星型形状に配置された3本のガイドローラ42が、入口ガイド5の、ねじる力に強い筐体41に配置されている。ガイドローラ42のそれぞれは、ローラキャリア37によって、有利に保持される。一方、ローラキャリア37は、本実施形態において、アクチュエータモータ43および対応するアクチュエータモータギア機構44を備えるガイドローラ設定要素38によって、独立して制御可能となっている。これにより、剥離する際、剥離対象となる素材22を、剥離ヘッド部2(
図1参照)または剥離具8へ、非常に正確に送り出すことができる。
【0092】
この点において、ガイドローラ設定要素38、あるいは、本実施形態においては、アクチュエータモータ44と、対応するガイドローラ42との間における接続は、板ばねパッケージ19を介して跳ね上げられる。これにより、剥離対象となる素材22における、真円度や、その他の局地的なずれが相殺される。
【0093】
板ばねパッケージ19は、一方で、ローラキャリア37に対して位置し、もう一方で、レベリング脚部47に対して位置している。そのため、板ばねパッケージ19は、対応するアクチュエータモータギア機構44を介して、剥離対象となる素材22に向かう方向に、または、それから離間する方向に、調節することができるようになっている。
【0094】
図3に示す実施形態において、一方を対応するローラキャリア37、他方をレベリング脚部47とした場合、両者間の相対位置は、位置測定装置21によって、測定用合わせくぎ20を使用して測定することができる。板ばねパッケージ19のばね定数は、ローラキャリア37またはガイドローラ42と、レベリング脚部47またはアクチュエータモータギア機構44と、入口ガイド5とに掛かる力を直接測定したものを示す。したがって、このように配置することで、力センサ18が機能する。該力センサ18は、入口ガイド5および剥離対象となる素材22の間に生じた力を測定できるものであり、あるいは、他の力センサ18とともに、入口ガイド5および剥離対象となる素材22の間に生じた力を測定できるものである。
【0095】
図4に示す本実施形態の構造は、これとは少し異なるもので、力センサ18が、力変換器49によって実現されている。力変換器49は、レベリング脚部47に配置されており、レベリング脚部47に作用する力を直接測定し、そして、その力を出力することができる。
【0096】
つまり、力センサ18は、剥離対象となる素材の、所定の案内位置からのずれを判定する測定装置9の構成要素である。これは、こうしたずれが、(複数の)力の変化に直接つながるためである。
【0097】
測定装置9の測定結果は、その後、アクチュエータモータ43を順次制御するために活用される。具体的な実施例において、ローラキャリア37に作用するアクチュエータモータ43を直接制御するために、対応する力センサ18の測定結果を活用することができる。ここで、ローラキャリア37は、対応する力センサ18と相互に直接接続された状態にある。他の実施例では、全ての力センサ18による測定結果を活用することも可能である。これにより、測定結果の組合わせから、アクチュエータモータ43を制御する信号を決定することができる。ここでは、二つの測定結果を組み合わせてもよく、あるいは、それが妥当な場合、さらなる測定結果を補足的に活用してもよい。
【0098】
本実施形態において、測定された力は、可視化装置48に表示される。
【0099】
ガイドローラ設定要素38のそれぞれの寸法に対する制御が、この場合、力センサ18を備える制御回路において、行われる。本実施形態において、パルスの送信によって、制御が実施される。ここでは、本実施形態の可視化装置によって、パルス調節におけるステップ幅を選択することができる。他の実施形態において、ステップ幅に選択性を持たせなくてもよく、また、異なる種類の制御が選択されてもよいことは、理解されたい。
【符号の説明】
【0100】
1 剥離機
2 剥離ヘッド部
3 繰出し装置
4 繰出し器
5 入口ガイド
6 横材
7 直線ガイド
8 剥離具
9 測定装置
10 第1滑走すべり金具
11 矢印
12 矢印
13 剥離機ギア機構
14 くさび止め要素
15 くさび止め要素
16 くさび止め要素
17 くさび止め要素
18 力センサ
19 板ばねパッケージ(個数はあくまでも例示)
20 測定用合わせくぎ
21 位置測定装置
22 剥離対象となる素材
23 入口領域
24 搬送方向
25 出口領域
26 設置スペース
27 入口ガイド側端
28 繰出し器側端
29 距離
30 設置スペース
31 距離
32 フレーム
33 入口ローラ
34 駆動・調節機構
35 係止ボルト
36 係止ボルト
37 ローラキャリア
38 ガイドローラ設定要素
39 係止スリーブ
40 係止スリーブ
41 筐体
42 ガイドローラ(個数はあくまでも例示)
43 アクチュエータモータ(個数はあくまでも例示)
44 アクチュエータモータギア機構(個数はあくまでも例示)
45 下部領域
46 第2滑走すべり金具
47 レベリング脚部
48 可視化装置
49 力変換器