(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】多官能性添加剤化合物
(51)【国際特許分類】
C08G 65/332 20060101AFI20240930BHJP
C23F 11/14 20060101ALI20240930BHJP
C09D 7/65 20180101ALI20240930BHJP
C09D 5/08 20060101ALI20240930BHJP
C10L 1/2387 20060101ALI20240930BHJP
C08G 65/333 20060101ALI20240930BHJP
C09D 201/06 20060101ALI20240930BHJP
C10M 149/12 20060101ALI20240930BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20240930BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240930BHJP
C10N 30/12 20060101ALN20240930BHJP
【FI】
C08G65/332
C23F11/14 101
C09D7/65
C09D5/08
C10L1/2387
C08G65/333
C09D201/06
C10M149/12
A61K8/86
A61Q19/00
C10N30:12
(21)【出願番号】P 2021549283
(86)(22)【出願日】2020-02-11
(86)【国際出願番号】 US2020017590
(87)【国際公開番号】W WO2020172001
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2023-01-31
(32)【優先日】2019-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505318547
【氏名又は名称】ハンツマン ペトロケミカル エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Huntsman Petrochemical LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ザオ,ハイボ
【審査官】三宅 澄也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04536189(US,A)
【文献】特表2003-528947(JP,A)
【文献】特開昭64-066293(JP,A)
【文献】特開平11-035661(JP,A)
【文献】米国特許第04689051(US,A)
【文献】米国特許第04834897(US,A)
【文献】米国特許第04631069(US,A)
【文献】米国特許第04865621(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G
C02F
C08L
C09D
C23F
C10L
C10M
C10N
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)無水マレイン酸とポリオキシアルキレンモノアミンとの反応から形成された中間体と;(b)式(I)を有する、第1級アミン基及び/又は第2級アミン基を含むアミン化合物、との反応により得られる添加剤化合物:
【化1】
(式中、R
5、R
7及びR
8(同じ又は異なり得る)は、各々の場合において、水素原子又は1個の炭素原子~60個の炭素原子を有する炭化水素基であり、Yは、-O-であり、pは、1以上の整数であり、mは、1~10の整数であり、各R
6は、独立して、水素原子又は1個の炭素原子~4個の炭素原子を有する炭化水素基である。)
【請求項2】
Yが-O-であり、pが1~10の整数であり、R
5、R
7及びR
8が水素であり、R
6が水素又はメチルである、請求項1に記載の添加剤化合物。
【請求項3】
ポリオキシアルキレンモノアミンが、式:
【化2】
(式中、R
1は水素、1つ以上のC
1~C
10アルキル基で任意的に置換されたC
1~C
20アルキル基又はC
6アリール基であり;w、x、及びyは、各々独立して、0~約100の整数であるが、w+x+yが2より大きいことを条件とし;dは0又は1であり;R
bはC
1~C
10アルキル基である)を有する化合物である、請求項1に記載の添加剤化合物。
【請求項4】
(a)無水マレイン酸とポリオキシアルキレンモノアミンとの反応から形成された中間体と、(b)式(I)を有する第1級アミン基及び/又は第2級アミン基を含むアミン化合物とを、約80℃~約110℃の温度で反応させることを含む、請求項1に記載の添加剤化合物を形成する方法:
【化3】
(式中、R
5、R
6、R
7、R
8、Y、p、及びmは、上記のとおりである。)
【請求項5】
中間体(a)との反応に使用されるアミン化合物(b)の量は、アミン化合物(b)と、中間体(a)の形成に使用される無水マレイン酸とのモル比が、約1.5:1~約1:1.5以内である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
請求項1に記載の添加剤化合物と、溶媒、界面活性剤又は補助剤のうちの少なくとも1つとを含む組成物。
【請求項7】
添加剤化合物が、組成物の総重量に基づいて0.0001重量%~50重量%未満の量で存在する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
請求項6に記載の組成物を含む性能化学製剤であって、添加剤化合物が、性能化学製剤の総重量に基づいて約0.001重量%~約40重量%の量で性能化学製剤中に存在する、性能化学製剤。
【請求項9】
請求項6に記載の組成物を含むパーソナルケア製剤
であって、添加剤化合物が、パーソナルケア製剤の総重量に基づいて約0.001重量%~約40重量%の量で性能化学製剤中に存在する、パーソナルケア製剤。
【請求項10】
請求項1に記載の添加剤及び水性流体を含む腐食防止組成物。
【請求項11】
水性流体が、淡水、半塩水、海水、廃水、水と塩の混合物、水とアルコールの混合物、水と酸の混合物、水と苛性アルカリの混合物、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項10に記載の腐食防止組成物。
【請求項12】
請求項1に記載の添加剤及び非水性流体を含む腐食防止組成物。
【請求項13】
非水性流体が炭化水素燃料である、請求項12に記載の腐食防止組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対するクロスリファレンス
本願は、その全内容が参照により本明細書に明白に組み込まれる、2019年2月21日出願の米国仮特許出願第62/808,595号による利益を主張する。
【0002】
連邦政府が後援する研究又は開発に関する声明
該当なし。
【0003】
分野
本開示は、一般に:(a)無水マレイン酸とポリオキシアルキレンモノアミンとの反応から得られた中間体と;(b)第1級アミン基及び/又は第2級アミン基を含むアミン化合物との反応から得られる添加剤化合物に関する。この添加剤は多官能性であり、水性及び非水性系における腐食防止剤、洗剤又は摩擦調整剤としての用途;顔料、アスファルト及びセメント組成物中の分散剤としての用途;並びに燃料堆積物制御剤(fuel deposit control agent)における用途:を含むがこれらに限定されない多様な用途に使用される場合がある。
【背景技術】
【0004】
背景
水の存在下での金属の腐食は難題であり、多様な産業における共通の問題となっている。例えば、金属表面全体にわたる均一な腐食、並びに、孔食及び割れ目形成等の局所的な腐食等の異なるタイプの金属腐食に遭遇する。多くの場合、局所的な腐食の制御は、水と接触する金属構成要素の有用寿命を延長するのに重要な要素である場合がある。有意な濃度(「レベル」とも称される)の塩化物及び硫酸塩等のアニオンを含む水は、均一及び局所的な腐食の両方の傾向を有する。均一及び局所的な腐食は、多くの場合、水と接触する金属構成要素の不具合をもたらし、そのため交換又は大規模修理及びメンテナンスを必要とする。
【0005】
合金技術及び亜鉛めっきは、腐食環境とのある程度の偶発的な接触に耐えることができる材料をもたらしたが、多くの産業用途(炭化水素の探査、回収及び精製、並びに化学処理等)においては、腐食環境とのより長期の接触が度々生じる。特に、油井又はガス井の耐用年数の間、生産ゾーンの様々な導管及び他の構成要素がかなりの酸性腐食に遭遇し得る。従って、金属構成要素の腐食を低減し、それにより、結果として生じる生産設備の不具合を防ぐために、腐食防止剤が油及びガス生産井並びにパイプラインにおいて広く使用される。
【0006】
様々なタイプの腐食防止剤が開発されている。例えば、イミダゾリンは、腐食防止剤として一般に使用されており、業界標準として見なされている。しかしながら、イミダゾリン腐食防止剤は、水生毒性が低いことが知られている。非イミダゾリン腐食防止剤は、例えば:
ポリオキシアルキレンモノアミン及び/又はポリアミンと、カルボン酸アシル化剤(脂肪酸、イソ脂肪族酸、二量体酸、付加ジカルボン酸、三量体酸、付加トリカルボン酸及びヒドロカルビル置換カルボン酸を含む)の反応から形成されるアシル化アミン腐食防止剤を開示している特許文献1;
ビス-N-アルキルポリエーテル、ビス-N-アルケニルポリエーテル、ビス-N-シクロヘキシルポリエーテル、ビス-N-アリールポリエーテルビス-β若しくはα-イミノ酸又はそれらの塩を含むジェミニ型界面活性剤腐食防止剤を開示している特許文献2;
(a)アミノ酸をハロゲン化アシルと反応させてN-アシル化アミノ酸生成物を形成し;(b)(a)のN-アシル化アミノ酸を酢酸無水物又は塩化アセチルと反応させ;(c)(b)で形成された化合物をアミンと反応させてN-アシル化アミノ酸アミドを形成することによって形成される腐食防止剤を開示している特許文献3;
脂肪酸とポリオキシアルキレンアミン残基との反応から形成される腐食防止剤を開示している特許文献4;
(a)無水マレイン酸を炭化水素置換モノ第1級エーテルアミンと反応させ;(b)(a)で形成された生成物を複素環式窒素含有化合物と反応させることによって形成される腐食防止剤を開示している特許文献5;
無水マレイン酸と一官能性ポリエーテルアミンの反応から形成される腐食防止剤を開示している特許文献6;
(a)少なくとも3つのアミノ基を含むアルキレンポリアミンを脂肪族モノカルボン酸と反応させてアミドを形成し;(b)(a)で形成された生成物をジカルボン酸又は酸無水物と反応させることによって形成される腐食防止剤を開示している特許文献7;
無水マレイン酸とヒドロカルビルアルコキシアルキレンジアミンとの反応から形成される腐食防止剤を開示している特許文献8;
ポリアミンと、モノカルボン酸又はそのようなモノカルボン酸の無水物若しくは酸ハロゲン化物との反応から形成されるアシル化アルキレンポリアミン腐食防止剤を開示している特許文献9;並びに
無水マレイン酸と第1級アミンとの反応から形成される腐食防止剤を開示している特許文献10を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許第10,131,859号
【文献】米国特許出願公開第2011/0138683号
【文献】国際公開第1999/59958号
【文献】米国特許第5,064,571号
【文献】米国特許第4,536,189号
【文献】米国特許第4,419,105号
【文献】米国特許第4,332,737号
【文献】米国特許第4,290,778号
【文献】米国特許第3,894,849号
【文献】米国特許第3,773,479号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
最先端の腐食防止剤は、特定の用途に適切な場合があるが、低い濃度で腐食防止及び他の性能特性を提供することができ、それらが使用される系中に望ましくない副作用を導入することのない、代替的な化合物を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示は、一般に:(a)無水マレイン酸とポリオキシアルキレンモノアミンとの反応から形成された中間体と;(b)第1級アミン基及び/又は第2級アミン基を含むアミン化合物との反応によって得られる添加剤化合物を提供する。
【0010】
別の態様では、本開示の添加剤化合物と、溶媒、界面活性剤又は補助剤のうちの少なくとも1つとを含む組成物が提供される。
【0011】
尚別の態様では、本開示の添加剤化合物と、水性流体又は非水性流体とを含む腐食防止
組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示は、一般に:(a)無水マレイン酸とポリオキシアルキレンモノアミンとの反応から形成された中間体と;(b)第1級アミン基及び/又は第2級アミン基を含むアミン化合物との反応によって得られる添加剤化合物に関する。
【0013】
以下の用語は、以下の意味を有するものとする:
【0014】
用語「含む」及びその派生語は、いずれの追加の構成要素、工程又は手順の存在も、それが本明細書に開示されているか否かに関わらず、排除することを意図するものではない。いかなる疑いも避けるために、用語「含む」の使用によって本明細書に特許請求される全ての組成物は、反対の記載がない限り、いずれの追加の添加剤、補助剤、又は化合物も含む場合がある。対照的に、用語、「から本質的になる」は、本明細書に現れる場合、操作性に本質的でないものを除き、続く引用の範囲から、いずれの他の構成要素、工程又は手順も除外し、用語「からなる」は、使用される場合、特に叙述又は列挙されていないいずれの構成要素、工程又は手順も除外する。用語「又は」は、特に明記しない限り、列挙された部材を個々に及びいずれかの組み合わせで指す。
【0015】
冠詞「a」及び「an」は、本明細書では、1つ又は1つを超える(即ち、少なくとも1つの)冠詞の文法的対象を指すように使用される。例として、「anアミン」は、1つのアミン又は1つを超えるアミンを意味する。フレーズ「一態様では」、「一態様によれば」等は、一般に、そのフレーズに続く特定の特徴、構造又は特性が、本開示の少なくとも1つの態様に含まれ、また本開示の1つを超える態様に含まれる場合があることを意味する。重要なことに、そのようなフレーズは、必ずしも同じ局面を指すものではない。明細書が、構成要素又は特徴が含まれる又は特徴を有する「場合がある」、「することができる」、「し得る」、又は「してもよい」と明記する場合、その特定の構成要素又は特徴は、含まれ、又は特徴を有する必要はない。
【0016】
本明細書で使用される用語「約」は、値又は範囲の、ある程度の変動性を可能にすることができ、例えば、それは、記載の値又は記載の範囲の限界の10%以内、5%以内、又は1%以内である場合がある。
【0017】
範囲形式で表される値は、範囲を制限するものとして明確に引用される数値のみでなく、その範囲内に包含される個々の数値又は部分範囲(sub-range)の全部を、各数値及び部分範囲が明確に引用されるが如く含む。例えば、1~6のような範囲は、例えば1~3、2~4、3~6等の部分範囲、及びその範囲内の個々の数、例えば、1、2、3、4、5及び6を特に開示していると見なすべきである。これは範囲の幅に関わらず適用される。
【0018】
用語「好ましい」及び「好ましくは」は、特定の状況下で、特定の利益を提供する場合がある態様を指す。しかしながら、同じ又は他の状況下で、他の態様も好ましい場合がある。更に、1つ以上の好ましい態様の引用は、他の態様が有用ではないことを示唆するものではなく、他の態様を本開示の範囲から排除することを意図しない。
【0019】
用語「性能化学製剤」(performance chemicals formulations)は、多種多様な用途に役立つ非パーソナルケア製剤を指し、接着剤、農業用、殺生物剤、セメント、コーティング、電子機器、燃料、家庭用/工業用/業務用(HI&I)、インク、膜、金属加工、紙、塗料、顔料、プラスチック、印刷、プラスター、油田、ポリウレタン、織物及び木材ケア製剤等の非限定的な製剤を含む。
【0020】
用語「パーソナルケア製剤」は、皮膚の色及び外観を変化させるものを含む、皮膚、日光、オイル、毛髪、化粧品、及び保存製剤等の例示的な限定的な製剤を指す。潜在的なパーソナルケア製剤は、スタイリングの柔軟性を増加させるための、もちのよいスタイリングのための、並びに毛髪、皮膚及び色彩化粧品(color cosmetics)の耐湿性を増加させるためのポリマー、日焼け止め(sun care)防水/耐水、耐久性(wear-resistance)、及び熱保護/増強製剤を含むがこれらに限定されない。
【0021】
置換基が左から右へ書かれるそれらの従来の化学式で特定される場合、それらは、構造を右から左へ書くことにより得られる、化学的に同一の置換基を等しく包含し、例えば、-CH2O-は、-OCH2-と等価である。
【0022】
用語「任意的な」又は「任意的に」は、続いて記載される事象又は状況が起こる場合があり、又は起こらない場合があることを意味し、その記載は、前記事象又は状況が起こる場合と、起こらない場合とを含む。
【0023】
一態様によれば、添加剤化合物は、(a)無水マレイン酸とポリオキシアルキレンモノアミンとの反応から形成された中間体と;(b)第1級アミン基及び/又は第2級アミン基を含むアミン化合物との反応によって得られる場合がある。
【0024】
一態様では、無水マレイン酸と反応して中間体(a)を形成するポリオキシアルキレンモノアミンは、ポリエーテル主鎖の末端に結合した1つのアミノ基を含む化合物である。アミノ基は、第1級(-NH2)又は第2級(-NH-)アミノ基である場合がある。一態様では、アミノ基は、第1級アミノ基である。以下に更に論じるように、ポリエーテル主鎖は、プロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)、ブチレンオキシド(BO)及びそれらの混合物等のアルキレンオキシド基に基づき、即ち、これらにより更に規定される。混合構造では、比はいずれかの所望の比であってよく、ブロックで配置され(例えば反復又は交互の場合)又は無作為に分布される場合がある。非限定的な一例では、混合EO/PO構造において、EO:POの比は、約1:1~約1:50及びその逆の範囲であり得る。このように、ポリオキシアルキレンモノアミンは、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、及び/又はポリブチレンオキシドを実質的に規定する場合がある。ポリオキシアルキレンモノアミンの分子量は様々であり得、分子量約6,000までの範囲である場合がある。
【0025】
加えて、本開示の多官能性添加剤が、水性媒体等の高度に極性の系中で使用するために調製されるいくつかの態様では、中間体(a)の形成に使用されるポリオキシアルキレンモノアミンは、非極性基(即ち、ポリプロピレン及び/又はブチレンオキシド)よりも十分に高い割合(例えば、より大量)の極性基(即ち、ポリエチレンオキシド)を含んで、特定の使用範囲に十分な水溶性のレベルを達成し得る。例えば、ポリオキシアルキレンモノアミンは、50重量%を超える、又は60重量%を超える、又は75重量%を超える、又は90重量%を超えるエチレンオキシドを含む場合がある。同様に、非極性系中で使用するための分散剤を形成する場合、ポリオキシアルキレンモノアミンは、極性基よりも十分に高い割合(例えば、より大量)の非極性基、例えば、50重量%超える、又は60重量%超える、又は75重量%超える、又は90重量%を超えるプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドを含むことができる。幅広い適合性が重要である系中で使用するための多官能性添加剤を形成する場合、ポリオキシアルキレンモノアミンは、そのような極性及び非極性基のバランスの取れた組み合わせを含むことができる。
【0026】
ポリオキシアルキレンモノアミンは、一般に、一価開始剤、例えばアルコールと、エチ
レン及び/若しくはプロピレンオキシド並びに/又はブチレンオキシドとの反応により調製される場合がある。この反応に続いて、得られた末端ヒドロキシル基をアミンに変換し、それによりプロピレンオキシド(PO)、エチレンオキシド(EO)、ブチレンオキシド(BO)又はそれらの混合物と、末端アミノ基、例えば末端第1級アミノ基又は末端第2級アミノ基、好ましくは第1級アミノ基とを含むポリエーテル主鎖を提供する。一態様によれば、アルコールは、1~35個の炭素原子を有する脂肪族、又は6~35個の炭素原子を有する芳香族アルコールである場合があり、これらの両方は、アルキル、アリール、アリールアルキル及びアルカリール置換基等の部分で更に置換される場合がある。別の態様では、アルコールは、1~18個の炭素原子、又は1~10個の炭素原子を有するアルカノール、例えば、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソプロパノール、sec-ブタノール等を含む低級アルキル誘導アルカノールである。別の態様では、アルコールは、アルキル置換基が、1~24個の炭素原子、例えば4~16個の炭素原子の直鎖又は分岐鎖アルキルであるアルキルフェノール、又はモノ- ジ-及びトリ-フェニル-フェノールを含むアリール置換フェノール、又はアルカリールフェノール、又はトリ-ストリルフェノール(strylphenol)等のアリールアルキルフェノール、又はナフトール、又はアルキル置換ナフトールである場合がある。
【0027】
特定の一態様によれば、ポリオキシアルキレンモノアミンは、式:
【化1】
(式中、R
1は、水素、1つ以上のC
1~C
10アルキル基で任意的に置換されたC
1~C
20アルキル基又はC
6アリール基であり;w、x、及びyは、各々独立して、0~約100の整数であるが、w+x+yが2より大きいことを条件とし;dは0又は1であり;R
bは、C
1~C
10アルキル基である)を有する化合物である。いくつかの態様では、w、x及びyは、整数0~約50、又は0~約20、又は0~約10である場合があるが、w+x+yが2より大きいことを条件とする。
【0028】
上記の構造は、以下のうちのいずれか1つ以上(単独で又はいずれかの比率で互いに混合されて)のホモポリマー及びコポリマーを含む場合がある:エチレンオキシド、プロピレンオキシド、及びブチレンオキシド。一局面によれば、ポリオキシアルキレンモノアミンの分子量は、約500~約6000のいずれかの分子量である場合がある。別の特定の態様では、ポリオキシアルキレンモノアミンは、約600~約3000の分子量を有する場合がある。尚別の特定の態様では、ポリオキシアルキレンモノアミンは、少なくとも1000、又は少なくとも2000、又は少なくとも3000、又は少なくとも4000、又は更には少なくとも5000の分子量を有する場合がある。
【0029】
上記の構造のポリオキシアルキレンモノアミンの例は、Huntsman Petrochemical LLCから商標JEFFAMINE(登録商標)アミン及びSURFONAMINE(登録商標)アミンで入手可能なもの、並びに、他の会社から提供される、ポリオキシアルキレン第1級モノアミンを含む類似の化合物を含むが、これらに限定されない。特定の例は、式:
【化2】
(式中、Rは、各々の場合において、独立して水素、メチル又はエチルであり、a及びbは、独立して、約1~約150の整数である);
【化3】
(式中、各Zは、独立して、C
1~C
40アルキル基又はC
1~C
40アルキルフェノール基であり、
wは、約1~約100の整数である);
【化4】
(式中、Meはメチルであり、Etはエチルである)を有するものを含む。上記の式に含まれる、これらのポリオキシアルキレンモノアミンは、JEFFAMINE(登録商標)M-600、M-1000、M-2005、M-2070、XTJ-435及びXTJ-436アミンを含む。
【0030】
更なる市販のポリオキシアルキレンモノアミンは、一般構造:
【化5】
(式中、Rはメチルであり、a及びbは、化合物中のPO/EOのモル比が約9/1~約1/11の範囲であるような整数である)を有するSURFONAMINE(登録商標)B-及びL-シリーズのアミンを含む。従って、いくつかの態様では、Rはメチルであり、PO/EOのモル比は、約9/1~約1/1又は約9/1~約4.5/1の範囲である。別の態様では、Rはメチルであり、PO/EOのモル比は、約1/1~約1/11、又は約1/3.3~約1/11、又は約1/6.3~約1/11、又は更には約1/7~約1/11の範囲である。これらの化合物がメトキシ末端を有する場合、ポリオキシアルキレンモノアミンは、メトキシ基のメチル基がエチル、プロピル、ブチル、フェニル又はベンジル等のより高次の炭化水素で置き換えられている他の基でキャップされることもできる。
【0031】
中間体(a)は、無水マレイン酸とポリオキシアルキレンモノアミンを接触させ、それらを従来の温度で反応させることによって調製することができる。例えば、この反応は、ほぼ室温から最大約110℃まで、又は約60℃~約100℃の範囲の温度で行われる場合がある。反応時間は、約15分間~約2時間で変動する場合がある。縮合の水を除去するための手段を使用してもよく、より低い反応温度では減圧も望ましい場合がある。
【0032】
いくつかの態様では、無水マレイン酸とポリオキシアルキレンモノアミンの比率は、無水マレイン酸のモルが、ポリアルキレンモノアミン中のアミン基のモル当量と等しいか、又は平均でそれよりも約1モル~約3モル少ないようなものである場合がある。
【0033】
次いで、中間体(a)を反応関与体と反応させて、本開示の多官能性添加剤化合物を形成する。一態様によれば、反応関与体は、第1級アミン基又は第2級アミン基を含むアミン化合物である場合がある。アミン化合物は、脂肪族、脂環式、芳香族、又は複素環式(脂肪族置換脂環式、脂肪族置換芳香族、脂肪族置換複素環式、脂環式置換脂肪族、脂環式置換芳香族、脂環式置換複素環式、芳香族置換脂肪族、芳香族置換脂環式、芳香族置換複素環式、複素環式置換脂肪族、複素環式置換脂環式(alicyclic)及び複素環式置換芳香族アミンを含む)である場合があり、また飽和又は不飽和である場合がある。不飽和の場合、アミンはアセチレン不飽和(即ち、-C=C-)を含まないであろう。アミン化合物は、それらの基がアミン化合物と中間体(a)との反応を有意に妨げない限り、非炭化水素置換基(1つ又は複数)も含む場合がある。そのような非炭化水素置換基(1つ又は複数)は、低級アルコキシ、低級アルキルメルカプト、ニトロ、-O-及び-S-等の中断基(例えば、-CH2CH2-X-CH2CH2-(式中、Xは-O-又は-S-である)等の基におけるような)を含む。
【0034】
一態様では、アミン化合物は、一般式(I)又は(II)に従う:
【化6】
(式中、R
5、R
7及びR
8(同じ又は異なり得る)は、各々の場合において、水素原子又は1個の炭素原子~60個の炭素原子、又はいくつかの態様では1個の炭素原子~48個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、Yは、-O-又は-NR
9-基であり、ここでR
9は、水素原子又は1個の炭素原子~60個の炭素原子、又はいくつかの態様では1個の炭素原子~48個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、R
5及びR
9は、それらが結合する窒素原子と一緒になって複素環を形成することができ、R
6の各々は、独立して、水素原子又は1個の炭素原子~4個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、Yが-NR
9-の場合、pは2以上、いくつかの態様では2~10の整数であり、mは0又は1~10の整数であり、Yが-O-の場合、pは1以上、いくつかの態様では1~10の整数であり、mは1~10の整数であり、n、o及びqは、0~60の整数であるが、但しn+o+qの合計は、1~60の整数であることを条件とする)。
【0035】
一態様によれば、アミンは式(I)の化合物であり、mは0に等しく、Yは-NR9-である。これらのモノアミンは、一般式R5NR9R8に従い、R8及びR9が水素原子を表し、R5が、1個の炭素原子~32個の炭素原子を有するアルキル基であるモノアミンがしばしば使用される。これらの第1級モノアミンの例として、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、エイコシルアミン及びドコシルアミンを参照することができる。第1級モノアミンの混合物を使用することも可能である。R5及びR8(同じ又は異なり得る)が、各々の場合において、1個の炭素原子~32個の炭素原子を有するアルキル基を表す式R5NHR8を有する第2級モノアミン、又は第2級モノアミンの混合物、例えば、R5及びR8基がC8 C10、C12、C14、C16、C18、C20及びC22の範囲の脂肪族炭化水素基である式R5NHR8の脂肪アミン部分も使用される場合がある。
【0036】
R5が水素原子又は1個の炭素原子~32個の炭素原子を有する炭化水素基であり、Yが-NR9-であり、ここでR9は水素原子又は1個の炭素原子~32個の炭素原子を有する炭化水素基であり、R6の各々が独立して水素原子又はメチル基を表し、pが2~4の整数であり、mが1~5の整数である、式(I)のポリアミンを使用することも可能である。
【0037】
一般式(I)の化合物の中でも、Yが-NR9-であり、R5、R6及びR9が各々水素原子を表し、pが2に等しく、mが1~5の整数であるもの;又はR5が炭化水素基、いくつかの態様では5個の炭素原子~24個の炭素原子を有する炭化水素基を表し、Yが-NR9-基を表し、ここでR9は水素原子であり、R6が水素原子を表し、pが2~4、例えば3の整数であり、mが1~5、例えば1の整数であるものを使用することも可能である。
【0038】
炭化水素基R5及びR9は、通常、直鎖又は分岐鎖のアルケニル、アルキル、アリール、アリール-アルキル(アラルキル)、アルキル-アリール(アルカリール)又は脂環式基である。R5及びR9基は、いくつかの態様では、直鎖又は分岐鎖のアルキル又はアルケニル基である。炭化水素基R6は、直鎖アルキル基、例えばメチル、エチル、n-プロピル又はn-ブチル基である場合がある。
【0039】
特定の化合物として、その例は、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリエチレンテトラミン、トリプロピレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4及び2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン、ジ(トリメチレン)トリアミン、N-アルキル-1,3-ジアミノプロパン、例えばN-1,3-ドデシルジアミノプロパン、N-1,3-テトラデシルジアミノプロパン、N-1,3-ヘキサデシルジアミノプロパン、N-1,3-オクタデシルジアミノプロパン、N-1,3-エイコシルジアミノプロパン及びN-1,3-ドコシルジアミノプロパンを含むが、これらに限定されない。N-アルキルジプロピレントリアミン、例えば、N-ヘキサデシルジプロピレントリアミン、N-オクタデシルジプロピレントリアミン、N-エイコシルジプロピレントリアミン及びN-ドコシルジプロピレントリアミンを参照することもできる。N-1,3-アルケニルジアミノプロパン及びN-アルケニルジプロピレントリアミン、例えば、N-1,3オクタデセニルジアミノプロパン、N-1,3-ヘキサデセニルジアミノプロパン、N-1,3-ドデシレニルジアミノプロパン、N-1,3-オクタデカジエニルジアミノプロパン及びN-1,3-ドコセニルジアミノプロパンを参照することもできる。N,N-二置換ジアミンの例として、N,N-ジエチル-1,2-ジアミノエタン、N、N-ジイソプロピル-1,2-ジアミノエタン、N,N-ジブチル-1,2-ジアミノエタン、N,N-ジエチル-1,4-ジアミノブタン、N,Nジメチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジエチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジオクチル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジデシル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジドデシル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジテトラデシル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジヘキサデシル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジオクタデシル-1,3-ジアミノプロパン、N,N-ジドデシルジプロピレントリアミン、N,N-ジテトラデシルジプロピレントリアミン、N,N-ジヘキサデシルジプロピレントリアミン、N,N-ジオクタデシルジプロピレン.トリアミン、N-メチル、N-ブチル、1,2-ジアミノエタン、N-メチル-N-オクチル-1,2-ジアミノエタン、N-エチル、N-オクチル-1,2-ジアミノエタン、N-メチル-N-デシル-1,2-ジアミノエタン、N-メチル-N-ドデシル-1,3-ジアミノプロパン、N-メチル-N-ヘキサデシル-1,3-ジアミノプロパン及びN-エチル-N-オクタデシル-1,3-ジアミノプロパンを参照することができる。
【0040】
エーテルアミンの例は、2-メトキシエチルアミン、3-メトキシプロピルアミン、4-メトキシブチルアミン、3-エトキシプロピルアミン、3-オクチルオキシプロピルアミン、3-デシルオキシプロピルアミン、3-ヘキサデシルオキシプロピルアミン、3-エイコシルオキシプロピルアミン、3-ドコシルオキシプロピルアミン、N-(3-オクチルオキシプロピル)-1,3-ジアミノプロパン、N-(3-デシルオキシプロピル)-1,3-ジアミノプロパン、(2,4,6-トリメチルデシル)3-オキシプロピルアミン、N-(2,4,6-トリメチルデシル)3-オキシプロピル)1,3-ジアミノプ
ロパン、ジ-(2-メトキシエチル)-アミン、ジ-(3-メトキシn-プロピル)アミン、ジ-(2-メトキシ2-メチル-エチル)-アミン、ジ-(3-エトキシ-nプロピル)-アミン、ジ-(n-3-プロポキシ-n-プロピル)-アミン、ジ-(n-3-ブトキシ-n-プロピル)-アミン、ジ-(n-3-ペントキシ-n-プロピル)-アミン、ジ-(n-3-ヘキシルオキシ-n-プロピル)-アミン、ジ-(n-3-オクチルオキシ-n-プロピル)-アミン、ジ-(n-3-ノニルオキシ-n-プロピル)-アミン及びジ-(n-3-デシルオキシ-n-プロピル)-アミンを含むが、これらに限定されない。
【0041】
式(II)のアミンは、R5及びR9が、各々の場合において、水素原子を表し、oが1~60の整数であり、n及びqが0に等しく、又はoが1~59の整数であり、nが0若しくはo+nの合計が1~59であるような整数であり、qが0であり、又はoが1~59の整数であり、qが0若しくはo+qの合計が1~59であるような整数であり、nが0であり、又はoが1~59の整数であり、nが1~59の整数であり、qがo+n+qの合計が3~60であるような1~59の整数であるものである場合がある。
【0042】
特定の一態様によれば、アミン化合物は、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、n-ブチルアミン、ジ-n-ブチルアミン、アリルアミン、イソブチルアミン、ココアミン、ステアリルアミン、ラウリルアミン、メチルラウリルアミン、オレイルアミン、N-メチル-オクチルアミン、ドデシルアミン、オクタデシルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ジ-(2-エチルヘキシル)アミン、メチルブチルアミン、2-(シクロヘキシル)-エチルアミン、ベンジルアミン、フェネチル-アミン、3-(フリルプロピル)アミン、シクロヘキシルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキセニルアミン、シクロペンテニルアミン、N-エチル-シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、プロピル置換シクロヘキシルアミン、フェニル置換シクロペンチルアミン、ピラニル置換シクロヘキシルアミン、アニリン、ジ(パラ-メチルフェニル)アミン、ナフチルアミン、N-(n-ブチル)アニリン、パラ-エトキシアニリン、パラ-ドデシルアニリン、シクロヘキシル置換ナフチルアミン、チエニル置換アニリン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ジ(ヘプタメチレン)トリアミン、トリプロピレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、トリメチレンジアミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジ-(トリメチレン)トリアミン、N-(2-アミノエチル)ピペラジン、1,4-ビス(2-アミノエチル)ピペラジン、モノエタノールアミン、ジ-(3-ヒドロキシプロピル)-アミン、3-ヒドロキシブチル-アミン、4-ヒドロキシブチル-アミン、ジエタノールアミン、N-(2-ヒドロキシエチル)-シクロヘキシルアミン、3-ヒドロキシシクロペンチルアミン、パラ-ヒドロキシアニリン、N-ヒドロキシエチルピペラジン、メチルエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチルプロパノールアミン、メチルジプロパノールアミン、メチルジエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、プロピルジエタノールアミン、イソプロピルジエタノールアミン、メチルジイソプロパノールアミン、エチルジイソプロパノールアミン、プロピルジイソプロパノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジプロピルエタノールアミン、2-メトキシエチルアミン、3-メトキシプロピルアミン、4-メトキシブチルアミン、3-エトキシプロピルアミン、3-オクチルオキシプロピルアミン、3-デシルオキシプロピルアミン、3-ヘキサデシルオキシプロピルアミン、3-エイコシルオキシプロピルアミン、3-ドコシルオキシプロピルアミン、N-(3-オクチルオキシプロピル)-1,3-ジアミノプロパン、N-(3-デシルオキシプロピル)-1,3-ジアミノプロパン、(2,4,6-トリメチルデシル)3-オキシプロピルアミン、N-[(2,4,6-トリメチルデシル)3-オキシプロピル]1,3-ジアミノプロパン、ジ-(2-メトキシエチル)-アミン、ジ-(3-メトキシn-プロピル)アミン、ジ-(2-メトキシ2-メチル-エチル)-アミン、ジ-(3-エトキシ-n
-プロピル)-アミン、ジ-(n-3-プロポキシ-n-プロピル)-アミン、ジ-(n-3-ブトキシ-n-プロピル)-アミン、ジ-(n-3-ペントキシ-n-プロピル)-アミン、ジ-(n-3-ヘキシルオキシ-n-プロピル)-アミン、ジ-(n-3-オクチルオキシ-n-プロピル)-アミン、ジ-(n-3-ノニルオキシ-n-プロピル)-アミン、ジ-(n-3-デシルオキシ-n-プロピル)-アミン及びそれらの混合物である。
【0043】
本発明の添加剤化合物は、中間体(a)を約0℃~約300℃の温度でアミン化合物(b)と反応させることによって調製することができる。一態様では、反応のための温度は、約10℃~約150℃、又は約50℃~約120℃、又は約80℃~約110℃、又は約95℃~約105℃である。反応は、反応を完了させるのに十分な時間、行われ得る。この時間は、約10分間~約24時間、又は約30分間~約12時間、又は約30分間~約2時間である場合がある。反応は、任意的にニートで又は溶媒の存在下で行われ得る。反応は、例えば窒素、ヘリウム、ネオン、キセノン、アルゴン、それらの混合物等の不活性雰囲気中で、減圧、大気圧又は超大気圧下で行われ得る。中間体(a)との反応に使用されるアミン化合物(b)の量は、アミン化合物(b)と、中間体(a)を形成するのに使用される無水マレイン酸との、約3:1~約1:3又は約2:1~約1:2又は約1.5:1~約1:1.5又は約1:1のモル比以内である場合がある。
【0044】
一態様によれば、溶液中の添加剤は、溶液のpHに応じて:
【化7】
(式中、R
yは、1~32個の炭素原子を有するアルキル基であり、nは、2~30の整数であり、各R
xは、独立して水素、メチル又はエチルであり、R
g及びR
hは、独立して水素又は1~32個の炭素原子を有するアルキル基である)による式を有する場合がある。
【0045】
別の態様によれば、a)少なくとも1つの出口を有する容器と;b)本開示の添加剤化合物とを含む包装製品が提供される。
【0046】
一態様によれば、本開示の包装製品は、容器を密閉するための蓋、カバー、キャップ、又はプラグ等の閉鎖手段を有する容器を含む。別の態様では、密閉容器は、ノズル又は注
ぎ口も有する。密閉容器は、円筒形、長円形、円形、矩形、キャニスター、おけ(tub)、正方形又は水差し(jug)の形状を有する場合があり、本開示の組成物を収容する。
【0047】
更なる別の態様では、容器は、鋼、ガラス、アルミニウム、板紙、ブリキ、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、配向ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレン(PE)又はポリアミドを含むがこれらに限定されないプラスチック等(これらの混合物、積層体又は他の組み合わせを含む)のいずれかの材料から形成されている場合がある。
【0048】
本開示の添加剤化合物は、燃料堆積物制御剤中、腐食防止、洗浄性、金属加工液、鉱業用試薬、乳化剤、燃料又は潤滑剤組成物中、界面活性剤製造、及び顔料又はアスファルト/セメントの分散のため等の多様な用途に有用である場合がある。
【0049】
従って、一態様では、本開示の添加剤化合物と、溶媒、界面活性剤又は補助剤のうちの少なくとも1つとを含む組成物が提供される。組成物中に含まれる添加剤化合物の量は、組成物の総重量に基づいて約0.0001重量%から50重量%未満までの範囲である場合がある。
【0050】
一態様によれば、溶媒は水であり、いくつかの態様では、脱イオン水である。他の態様では、水に加えて又は水の代わりに異なる溶媒が使用される場合がある。そのような溶媒の例は、炭化水素(例えばペンタン又はヘキサン)、含ハロゲン炭素化合物(例えばFreon 113)、エーテル(例えばエチルエーテル(Et2O)、テトラヒドロフラン(「THF」)又はジグリム(ジエチレングリコールジメチルエーテル))、ニトリル(例えばCH3CN)、又は芳香族化合物(例えばベンゾトリフロリド)を含むがこれらに限定されない。尚更なる例示的な溶媒は、ラクテート、ピルベート、ジオールを含む。溶媒はまた、アセトン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、アセトン、1-メチル-2-ピロジジアノン(pyrodidianone)(NMP)、及びメチルエチルケトンを含み得るが、これらに限定されない。他の溶媒は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、グリセロール及び誘導体、ナフタレン及び置換バージョン、無水酢酸、プロピオン酸及びプロピオン酸無水物、ジメチルスルホン、ベンゾフェノン、ジフェニルスルホン、フェノール、m-クレゾール、ジメチルスルホキシド、ジフェニルエーテル、ターフェニル等を含む。尚更なる溶媒は、プロピレングリコールプロピルエーテル(PGPE)、3-ヘプタノール、2-メチル-1-ペンタノール、5-メチル-2-ヘキサノール、3-ヘキサノール、2-ヘプタノール、2-ヘキサノール、2,3-ジメチル-3-ペンタノール、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(PGMEA)、エチレングリコール、イソプロピルアルコール(IPA)、n-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル(PGBE)、1-ブトキシ-2-プロパノール、2-メチル-3-ペンタノール、2-メトキシエチルアセテート、2-ブトキシエタノール、2-エトキシエチルアセトアセテート、1-ペンタノール、及びプロピレングリコールメチルエーテルを含む。上記に挙げた溶媒は、単独で又は組み合わせて使用される場合がある。
【0051】
組成物は、界面活性剤を含む場合がある。本開示の組成物中で有用な界面活性剤は、周知であり、陰イオン性、非イオン性、陽イオン性及び両性化合物を含む。このような化合物のうちの2つ以上の組み合わせが、組成物中で使用される場合がある。
【0052】
使用される場合がある陰イオン性界面活性剤化合物は、アルキルサルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、α-オレフィンスルホネート、アルキルタウレート、アルキル
サクロシネート(sacrosinate)、アルキルジフェニルオキシドジスルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルエーテルスルホネート、スルホスクシネート、及び、例えば、性能化学製剤中で使用されることが知られている他の陰イオン性界面活性剤(直鎖C8-16アルキルサルフェート、C8-16アルキルスルホネート、C8-16アルキルベンゼンスルホネート及びC8-16アルキルジフェニルオキシドジスルホネート、デシルスルホフェノキシベンゼン/オキシビスデシルベンゼンスルホン酸二ナトリウム塩、並びにオクタンスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、並びに前述の組み合わせを含む)を含むがこれらに限定されない。これらの界面活性剤は、典型的には、それらのアルカリ金属、アルカリ土類及びアンモニウム塩として入手可能である。
【0053】
使用される場合がある非イオン性界面活性剤化合物は、アルコキシレート、N置換脂肪酸アミド、アミンオキシド、エステル、糖系界面活性剤、高分子界面活性剤、及びそれらの混合物を含むが、これらに限定されない。アルコキシレートの例は、非芳香族アルコール、アミン、アミド、脂肪酸、又は1~50当量でアルコキシル化された脂肪酸エステル等の化合物である。エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド、通常エチレンオキシドは、アルコキシル化のために使用される場合がある。N置換脂肪酸アミドの例は、脂肪酸グルカミド又は脂肪酸アルカノールアミドである。エステルの例は、脂肪酸エステル、グリセロールエステル又はモノグリセリドである。糖系界面活性剤の例は、ソルビタン、エトキシル化ソルビタン、ショ糖及びブドウ糖エステルである。高分子界面活性剤の例は、ビニルピロリドン、ビニルアルコール、又はビニルアセテートのホモ又はコポリマーである。
【0054】
第4級界面活性剤、例えば、1つ若しくは2つの疎水性基を有する第4級アンモニウム化合物、又は長鎖第1級アミンの塩を含む陽イオン性界面活性剤化合物も使用される場合がある。
【0055】
使用される場合がある両性界面活性剤化合物は、ベタイン、アルキルイミダゾリン、ココアンフォプロピオネート、ココアンフォプロピオン酸二ナトリウム(ココイミダゾリンカルボキシレートとしても既知)、又はそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0056】
既知の補助剤も、用途に応じて組成物に添加される場合がある。これらの補助剤は、着色剤、顔料、酵素、湿潤剤、消泡剤、緩衝剤、pH調整剤、増粘剤、乳化剤、抗ストリーキング剤、ビルダー、キレート剤又は封鎖剤、ハイドロトープ(hydrotope)、抗菌剤、香料、除草剤、殺虫剤、殺真菌剤、抗酸化剤、耐摩耗性添加剤、摩擦調整剤、粘度指数向上剤、注入点降下剤、腐食防止剤、固体担体又は充填剤、保護コロイド、接着剤(adhesion agent)、保水剤、忌避剤、誘引剤、摂食刺激剤、相溶化剤、殺菌剤、凍結防止剤、結晶化抑制剤、粘着剤、結合剤、保存剤、清澄剤、肥料、UV安定剤、塩、加重剤、砂利微粒子、ガス、架橋剤、熱力学的水和物抑制剤、速度論的水和物抑制剤、粘土安定剤及びそれらの混合物を含む場合があるが、これらに限定されない。
【0057】
一態様によれば、添加剤化合物が、性能化学製剤の総重量に基づいて約0.001重量%~約40重量%の範囲の量で性能化学製剤中に存在する、本開示の組成物を含む性能化学製剤が提供される。別の態様では、添加剤化合物が、性能化学製剤の総重量に基づいて約0.01重量%~約30重量%の範囲の量で性能化学製剤中に存在する、組成物を含む性能化学製剤が提供される。尚別の態様では、添加剤化合物が、性能化学製剤の総重量に基づいて約0.05重量%~約20重量%の範囲の量で性能化学製剤中に存在する、組成物を含む性能化学製剤が提供される。尚更なる別の態様では、添加剤化合物が、性能化学製剤の総重量に基づいて約0.5重量%~約15重量%、又は約1重量%~約10重量%
の範囲の量で性能化学製剤中に存在する、組成物を含む性能化学製剤が提供される。
【0058】
従って、尚別の態様では、添加剤化合物が、性能化学製剤の総重量に基づいて約0.001重量%~約40重量%の範囲の量でパーソナルケア製剤中に存在する、組成物を含むパーソナルケア製剤が提供される。別の態様では、添加剤化合物が、パーソナルケア製剤の総重量に基づいて約0.01重量%~約30重量%の範囲の量でパーソナルケア製剤中に存在する、組成物を含む性能化学製剤が提供される。尚別の態様では、添加剤化合物が、パーソナルケア製剤の総重量に基づいて約0.05重量%~約20重量%の範囲の量でパーソナルケア製剤中に存在する、組成物を含むパーソナルケア製剤が提供される。尚更なる別の態様では、添加剤化合物が、パーソナルケア製剤の総重量に基づいて約0.5重量%~約15重量%、又は約1重量%~約10重量%の範囲の量でパーソナルケア製剤中に存在する、組成物を含むパーソナルケア製剤が提供される。
【0059】
別の態様によれば、水及び/又は他の溶媒(1つ又は複数)中で更に希釈されて、水性又は非水性溶液を形成する場合がある、本開示の添加剤を含む濃縮組成物が提供される。本開示の濃縮組成物又は「濃縮物」は、濃縮物を希釈して、所望の強度及びpHにすることを可能にする。濃縮物はまた、より長い貯蔵寿命と、より容易な運送及び貯蔵を可能にする。従って、一態様では、本開示の添加剤と、水及び/又は他の溶媒と、任意的に1つ以上の上記の補助剤とを含む濃縮組成物が提供される。濃縮物の場合、水(いくつかの態様では、脱イオン水)及び/又は溶媒の量は、例えば、濃縮物の総重量に基づいて約0.5重量%~約50重量%である場合がある。従って、濃縮物中に含まれる添加剤化合物(及び存在する場合、任意的な補助剤)の量は、濃縮物の総重量に基づいて約50重量%から99.5重量%までの範囲である場合がある。上記のように、濃縮物は、水、いくつかの態様では、脱イオン水及び/又は溶媒で更に希釈されて、水性又は非水性溶液を形成する場合がある。
【0060】
特定の一態様では、添加剤化合物は、腐食防止組成物中で有用である。腐食防止組成物は、腐食保護を必要とする、水性又は非水性系に関連した商業的装置の製造に使用される金属構成要素に関連して使用するのに適している。「水性系」は、水性流体を含み、又は水性流体と周期的若しくは連続的に接触する金属構成要素を含むいずれかの系を指す。用語「水性流体」は、5重量%以上の水を含む流体を指し、水系流体を含む。「水系流体」は、最少40重量%の水を含み、残りは、懸濁した固体及び化合物、並びに/又は、溶解した、水に可溶な固体及び化合物である流体を指す。「非水性系」は、非水性流体を含み、又は非水性流体と周期的若しくは連続的に接触する金属構成要素を含むいずれかの系を指す。非水性流体は、炭化水素燃料のように、水中で混和性又は非混和性である場合がある。典型的な水性又は非水性系は、再循環冷却ユニット、冷却源として蒸発を利用する開放再循環冷却ユニット、閉ループ冷却ユニット、熱交換器ユニット、反応器、液体を貯蔵及び取り扱うために使用される装置、ボイラー及び関連する蒸気発生ユニット、ラジエータ、フラッシュ蒸発ユニット、冷蔵ユニット、逆浸透装置、ガススクラビングユニット、高炉、紙及びパルプ処理装置、砂糖蒸発ユニット、蒸気発電所、地熱ユニット、原子力冷却ユニット、水処理ユニット、食品及び飲料加工装置、プール再循環ユニット、採掘回路、閉ループ加熱ユニット、例えば、穿孔(drilling)、穿孔(boring)、フライス削り、リーマ加工、絞り加工、ブローチ削り、旋削、切削、縫製、研削、ねじ切り、成形、スピニング及びローリング等の操作に使用される機械加工流体、油圧油、冷却油、油製造ユニット及び穿孔流体を含む場合がある。水性流体の典型的な例は、淡水、半塩水、海水、廃水、水と塩の混合物(ブラインとして既知)、水とメタノール、エタノール及びエチレングリコール等のアルコールの混合物、水と鉱酸等の酸との混合物、水と苛性アルカリ(caustic)等の塩基の混合物、並びにそれらの組み合わせを含む。本開示の腐食防止組成物を使用して処理された水性及び非水性系は、溶解した酸素を含む場合があり、又は酸素を含まない場合がある。水性及び非水性系は、例えば、二酸化炭素、
アンモニア及び硫化水素等の他の溶解した気体を含む場合がある。
【0061】
従って、一態様によれば、添加剤化合物及び水性流体を含む腐食防止組成物が提供される。別の態様では、添加剤化合物及び非水性流体を含む腐食防止組成物が提供される。
【0062】
一態様によれば、水性又は非水性系と接触する場合がある金属構成要素は、腐食及び/又はスケーリングが防止され得るいずれかの金属から加工される。腐食保護を必要とする金属の典型的な例は、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄等の第一鉄金属、低炭素鋼、クロム鋼及びステンレス鋼等の鋼、鉄合金、並びにそれらの組み合わせである。
【0063】
本開示の腐食防止組成物は、高度に酸性又は塩基性の水性系中で、即ちpH0.5~14で有効である。いくつかの態様では、腐食防止組成物は、pH6~10の水性又は非水性系に添加されることが好ましい。
【0064】
腐食防止組成物は、本開示の添加剤化合物が、水性系の重量に基づいて、約0.1ppm~約50,000ppm(0.00001~5重量%)、又は約1ppm~約10,000ppm、又は約50ppm~約5000ppm、又は約100ppm~約1000ppmの範囲の有効量(active amount)で水性系中に存在するように、水性系に添加される場合がある。
【0065】
腐食防止組成物は、炭化水素燃料等の非水性系及び流体と接触する金属構成要素のための腐食防止剤としても有用である。炭化水素燃料は、バイオ燃料、又は、ガソリン沸点範囲で沸騰する炭化水素の混合物を含むモーター燃料組成物である場合がある。この燃料は、直鎖又は分岐鎖パラフィン、シクロパラフィン、オレフィン、及び芳香族炭化水素及びこれらのいずれかの混合物からなる場合がある。燃料は、直留ナフサ、ポリマーガソリン、天然ガソリンから、又は接触分解若しくは熱分解炭化水素及び接触改質ストックから誘導され得、約80°F~450°Fの範囲で沸騰する。燃料の組成及びオクタンレベルは重要ではない。ガソリンを含むいずれの従来のモーター燃料ベースも、本発明の実践に使用することができる。添加剤化合物を含むガソリンは、アンチノック化合物、抗酸化剤、金属不活性化剤、本開示の添加剤化合物以外の腐食防止剤、防氷剤、曇り防止剤(dehazer agent)、洗剤等の従来の補助剤も含む場合がある。
【0066】
別の態様によれば、腐食防止組成物は、金属構成要素の腐食を防止することに加えて、驚くほど効果的なキャブレター洗浄性も提供する場合がある。
【0067】
一般に、添加剤は、少量で、即ち、腐食防止又はキャブレター洗浄性又はその両方を炭化水素燃料ガソリンに提供するのに有効な量で、炭化水素燃料又はガソリンに添加される場合がある。添加剤は、炭化水素燃料又はガソリンの総重量に基づいて、約0.0002~0.2重量%の範囲の量で有効である場合がある。いくつかの態様では、炭化水素燃料又はガソリンの総重量に基づいて約0.001~0.01重量%の範囲の量が好ましい場合があり、これは各々、約3及び30PTB(炭化水素燃料又はガソリン1000バレル当たりの添加剤のポンド)に対応する量である。
【0068】
ここで以下の非限定的な実施例を参照して、本開示を更に説明する。
【実施例】
【0069】
実施例1~3. 本発明の多官能性添加剤の調製
196グラムの無水マレイン酸を、炉内にて70℃の温度で融解した。次いで、融解した無水物を5Lの三口フラスコに入れ、60℃の温度で保った。穏やかな撹拌下で、20
00グラムのポリオキシアルキレンモノアミン(JEFFAMINE(登録商標)XTJ-436アミン)を反応器内に加え、混合物を約60℃の温度で30分間反応させた。600グラムの2-エチルヘキサン溶媒を加えて、混合物の粘度を制御した。次いで、204グラムのジメチルアミノプロピルアミン(DMAPA)を反応器内に加え、反応器の温度を100℃に上昇させた。次いで、この混合物を2時間反応させた後、冷却した。次いで、得られた生成物、薄黄色液体を収集し、実施例1として特定した。
98グラムの無水マレイン酸を、炉内にて70℃の温度で融解した。次いで、融解した無水物を5Lの三口フラスコに入れ、60℃の温度で保った。穏やかな撹拌下で、プロピレンオキシド(PO)/ブチレンオキシド(BO)混合物とドデシルフェノール(DDP)の反応から生成したポリオールのアミノ化によって作製された、1837グラムのポリオキシアルキレンモノアミンを、次いで反応器内に加え、この混合物を約60℃の温度で30分間反応させた。次いで、102グラムのDMAPAを反応器内に加え、反応器の温度を100℃に上昇させた。混合物を2時間反応させた後、冷却した。得られた生成物、薄黄色液体を収集し、実施例2として特定した。
49グラムの無水マレイン酸を、炉内にて70℃の温度で融解した。次いで、融解した無水物を5Lの三口フラスコに入れ、60℃の温度で保った。穏やかな撹拌下で、500グラムのポリオキシアルキレンモノアミン(JEFFAMINE(登録商標)XTJ-436アミン)を反応器に加え、この混合物を約60℃の温度で30分間反応させた。145グラムの2-エチルヘキサン溶媒を加えて、混合物の粘度を制御した。次いで、30.5グラムのモノエタノールアミン(MEA)を反応器内に加え、反応器の温度を100℃に上昇させた。この混合物を2時間反応させた後、冷却した。次いで、得られた生成物、薄黄色液体を収集し、実施例3として特定した。
【0070】
実施例4. 本開示の添加剤の腐食防止剤としての使用
A. 腐食防止剤評価手順:
1)炭素鋼クーポンを使用前に紙やすりで磨いた。
2)炭素鋼クーポンの半分を試験液体中に挿入した。
3)次いで、試験液体の温度を、撹拌下で30℃で5時間維持した。
4)炭素鋼クーポンを試験液体から取り出し、炭素鋼クーポン上の腐食/さびの量を合格/不合格として評価した、(即ち、試験液体に曝露されたクーポンの少なくとも50%は、腐食/さびを示した。
【表1】
【0071】
本発明の様々な態様の製造及び使用を上記に詳細に記載してきたが、本発明は、非常に様々な特定の状況を具現化することができる、本発明の多数の適用可能な概念を提供することを理解するべきである。本明細書に開示した特定の態様は、本発明を製造及び使用するための特定の方法の例示に過ぎず、本発明の範囲を定めるものではない。