(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】可動表面技術
(51)【国際特許分類】
A63G 31/00 20060101AFI20240930BHJP
【FI】
A63G31/00
(21)【出願番号】P 2021552146
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 US2020020223
(87)【国際公開番号】W WO2020180629
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-02-24
(32)【優先日】2019-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100170209
【氏名又は名称】林 陽和
(72)【発明者】
【氏名】ヒクソン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】トレソーグ マイケル
【審査官】白形 優依
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-198275(JP,A)
【文献】特開2009-098553(JP,A)
【文献】特開昭57-013439(JP,A)
【文献】特開2011-075737(JP,A)
【文献】米国特許第04339175(US,A)
【文献】特開2005-017398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63G 31/00 - 31/16
A63J 1/00 - 99/00
H04N 5/00 - 5/956
G06T 19/00 - 19/20
G03B 21/00 - 21/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の可動組立体であって、前記複数の可動組立体のうちの個別の可動組立体が、
可撓性膜と、
内部の前記可撓性膜を少なくとも部分的にシールするブラケットと、
前記ブラケットに対して前記可撓性膜に隆起構造を形成させるために流体を前記可撓性膜の後側に加えるように構成された流体導管と、
含む、複数の可動組立体と、
前記複数の可動組立体を保持するフレームと、
前記複数の可動組立体の前記可撓性膜の前側の少なくとも一部と接触する表面層であって、前記表面層が、前記複数の可動組立体に結合され、前記前側が、前記後側の反対側にあり、前記表面層が、前記可撓性膜が前記隆起構造にある場合に、前記可撓性膜と一緒に移動するように構成される、表面層と、
前記隆起構造を形成するために流体が前記流体導管を通って加えさせられるように、前記複数の可動組立体のうちの個々の可動組立体
を制御するように構成される制御装置と、
を備える、可動表面システム。
【請求項2】
前記制御装置は、第1の期間に前記複数の可動組立体の第1のサブセットに前記隆起構造を形成するようにさせ、第2の期間に前記複数の可動組立体の第2のサブセットに前記隆起構造を形成するようにさせるために、作動パターンの開始を制御するように構成される、
請求項1に記載の可動表面システム。
【請求項3】
前記作動パターンは、前記制御装置が近接センサーからユーザーの存在を示す信号を受け取ることに応じて開始される、
請求項2に記載の可動表面システム。
【請求項4】
ユーザーデバイスから無線信号を受け取るように構成された無線通信回路を備え、
前記複数の可動組立体のサブセットにそれぞれの隆起構造を形成させる前記作動パターンは、前記制御装置が前記無線信号を前記ユーザーデバイスから受け取ることに応じて開始される、
請求項2に記載の可動表面システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記ユーザーデバイスに関連したユーザーが、前記作動パターンを開始する前に前記作動パターンを開始する許可を有することを確認するプロセスを制御するように構成される、
請求項4に記載の可動表面システム。
【請求項6】
前記ユーザーデバイスは、手持ち式デバイス、携帯デバイス、またはユーザー着用デバイスである、
請求項4に記載の可動表面システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記可撓性膜を前記流体導管の入口の方に引き寄せて前記隆起構造の形成を逆にするために、前記流体導管に負圧を加えさせるように構成される、
請求項1に記載の可動表面システム。
【請求項8】
前記可動組立体の各々の初期状態は、前記ブラケットと実質的に面一かまたは前記ブラケット内に凹設される、
請求項1に記載の可動表面システム。
【請求項9】
前記流体導管は、前記ブラケットの一部を貫通して延びる、
請求項1に記載の可動表面システム。
【請求項10】
前記可動組立体の各々は、前記ブラケットに結合された発光ダイオードを含む、
請求項1に記載の可動表面システム。
【請求項11】
前記流体導管は、前記制御装置によって
制御される電磁弁に、前記電磁弁に前記流体を加えさせるために接続される、
請求項1に記載の可動表面システム。
【請求項12】
前記複数の可動組立体は、前記複数の可動組立体の個々のブラケットが少なくとも1つの他のブラケットに隣接して配置されるアレイで配置される、
請求項1に記載の可動表面システム。
【請求項13】
前記個々のブラケットは、複数の間隙またはノッチを形成して、前記表面層を前記個々のブラケットの方に引き寄せるために、負圧場を、前記個々のブラケットの後側から前記表面層に前記複数の間隙またはノッチを介して加えることを許可するように配置される、
請求項12に記載の可動表面システム。
【請求項14】
前記表面層は、弾性材料で形成される、
請求項1に記載の可動表面システム。
【請求項15】
見物人側に画像を表示するように構成された突出面と、
前記画像を前記突出面の前記見物人側に投影するように構成された投影機と、
前記突出面の後側に結合された複数の可動組立体であって、前記後側が、前記見物人側の反対側にあり、前記複数の可動組立体のうちの個々の可動組立体が、可撓性膜と、前記突出面の一部が突出するように前記可撓性膜に隆起構造を形成させるために流体を前記可撓性膜に加えるように構成された流体導管と、を含む、複数の可動組立体と、
メモリーおよびプロセッサを含む制御装置であって、前記制御装置が、前記画像を前記複数の可動組立体の前記可撓性膜の前側の少なくとも一部と接触する前記突出面上へ投影させる信号を前記投影機に出力するように構成され、前記制御装置が
、前記画像
の少なくとも一部に基づいて、それぞれの隆起構造のパターンを形成する命令を前記複数の可動組立体のサブセットに提供するように構成される、制御装置と、
を備える、システム。
【請求項16】
前記制御装置は、アニメーション効果を生成するために、前記画像を投影することから1以上の追加の画像を投影することに前記投影機を移行させるように構成され、
前記制御装置は、少なくとも1以上の追加の画像に基づいてそれぞれの隆起構造の新しいパターンを形成する命令を前記複数の可動組立体の異なるサブセットに提供するように構成される、
請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記複数の可動組立体は、アレイで配置される、
請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記アレイは、複数の貫通路を含み、
前記システムは、前記突出面を前記可撓性膜の方に引き寄せるために負圧場を前記突出面に加えるように構成された負圧源をさらに備える、
請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記突出面は、前記それぞれの隆起構造に適応するために伸張する弾性材料で形成される、
請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
制御装置から開始信号を受け取ることと、
前記開始信号を受け取ることに基づいて、第1の方向に開くように複数の電磁弁のうちの第1のサブセットの電磁弁を制御することであって、前記複数の電磁弁の各々が、開いている場合に、それぞれの可撓性膜によって少なくとも部分的にシールされる空間に流体接続される、制御することと、
前記第1のサブセットの前記それぞれの可撓性膜に第1のパターンで隆起構造を形成させるために前記第1の方向に開いた前記第1のサブセットの電磁弁を介して加圧流体を加えることと、
後続の信号を受け取ることに基づいて、第2の方向に開くように前記複数の電磁弁のうちの前記第1のサブセットの電磁弁を制御することと、
前記サブセットの前記それぞれの可撓性膜に平坦構造を形成させるために、前記第2の方向に開く前記第1のサブセットの電磁弁によって前記加圧流体を除去することと、
前記隆起構造である間におよび前記平坦構造でない間に、前記それぞれの可撓性膜を透光させるために、1以上の光源を制御することであって、前記可撓性膜の少なくとも一部が弾性突出面と接触する、ことと、
を含む、方法。
【請求項21】
前記後続の信号を受け取ることに基づいて、第1の方向に開くように前記複数の電磁弁の第2のサブセットの電磁弁を制御することと、
前記第2のサブセットの前記それぞれの可撓性膜に第2のパターンで隆起構造を形成させるために前記第1の方向に開いた前記第2のサブセットの電磁弁を介して加圧流体を加えることと、
を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
弾性突出面を前記それぞれの可撓性膜の方に引き寄せるために、負圧場を前記それぞれの可撓性膜の間に配置された通路を介して引き起こすことを含む、
請求項20に記載の方法。
【請求項23】
ユーザーの近接度を示す近接度信号を受け取ることと、
前記開始信号を前記近接度信号に基づいて送ることと、
を含む、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2019年3月7日出願の米国特許仮出願第62/815,211号「可動表面技術」の優先権および利益を主張し、その開示内容全体は、全ての目的のために引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、アミューズメントパークの分野に関する。より具体的には、本開示の実施形態は、たとえば、投影画像と共に錯覚を強化するために表面の作動を可能にする表示システムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
このセクションは、読み手に、以下に記載する本開示の種々の態様に関連し得る種々の態様を紹介することを意図している。この考察は、読み手に対して本開示の種々の態様をより理解するのを容易にするための背景情報を提供するのを助けると考えられる。したがって、本記載はこの観点から読まれものであり従来技術の自認ではないことを理解されたい。
【0004】
テーマまたはアミューズメントパークアトラクションは、ますます人気が高まっている。このようなアトラクションは、没入型体験をもたらすことが意図された表示媒体を含むことができる。たとえば、アトラクションは、物語要素を表しおよび/またはアトラクションの所望の環境をシミュレートする表示画像を特徴とすることができる。しかしながら、投影または表示媒体(たとえば、画像、映像)は、一般的には、より経費がかかる物理的な仕掛けと見分けることができる。環境がシミュレートされていることを来園者が直ちに気付く場合、所望の没入型体験は損なわれる可能性がある。したがって、より没入できかつリアリティのあるアトラクション体験をもたらす改良された表示システムに対するニーズがあることが認識されている。
【発明の概要】
【0005】
当初請求された主題の範囲に見合った特定の実施形態が以下に要約される。これらの実施形態は、請求された主題の範囲を制限することを意図したものではなく、むしろこれらの実施形態は、主題の可能な形態の簡潔な要約を提供することのみを意図したものである。実際、主題は、以下に記載された実施形態とは類似、または異なる可能性がある様々な形態を包含する場合がある。
【0006】
一実施形態において、可動表面システムは、複数の可動組立体を含む。個別の可動組立体は、可撓性膜と、ブラケット内の可撓性膜を少なくとも部分的にシールするブラケットと、可撓性膜に隆起構造をブラケットに対して形成させるために流体を可撓性膜の後側に加える(apply)ように構成された流体導管とを含む。また、システムは、複数の可動組立体を保持するフレームと、複数の可動組立体に結合され、複数の可動組立体の可撓性膜の前側の少なくとも一部と接触する表面層であって、前側は、後側の反対側にあり、表面層は、可撓性膜が隆起構造にある場合に、可撓性膜と一緒に移動するように構成される、表面層とを含む。また、システムは、隆起構造を形成するために流体が流体導管を通って加えさせられるように、複数の可動組立体のうちの個々の可動組立体に対処するように構成される制御装置を含む。
【0007】
一実施形態において、システムは、見物人側(viewer side)に画像を表示するように構成された突出面と、画像を突出面の見物人側に投影するように構成された投影機とを含む。また、システムは、突出面の後側に結合された複数の可動組立体であって、後側は、見物人側の反対側にあり、複数の可動組立体のうちの個々の可動組立体は、可撓性膜と、突出面の一部が突出するように可撓性膜に隆起構造を形成させるために流体を可撓性膜に加えるように構成された流体導管を含む、複数の可動組立体を含む。また、システムは、メモリーおよびプロセッサを含む制御装置を備える。制御装置は、画像を突出面上へ投影させる信号を投影機に出力するように構成され、制御装置は、少なくとも画像に基づいて、それぞれの隆起構造のパターンを形成する命令を複数の可動組立体のサブセットに供給するように構成される。
【0008】
一実施形態において、方法は、制御装置から開始信号を受け取ることと;開始信号を受け取ることに基づいて、第1の方向に開くように複数の電磁弁のうちの第1のサブセットの電磁弁を制御することであって、複数の電磁弁の各々が、開いている場合に、それぞれの可撓性膜によって少なくとも部分的にシールされる空間に流体接続される、制御することと;第1のサブセットのそれぞれの可撓性膜に第1のパターンで隆起構造を形成させるために第1の方向に開いた第1のサブセットの電磁弁を介して加圧流体を加えることと、後続の信号を受け取ることに基づいて、第2の方向に開くように複数の電磁弁のうちの第1のサブセットの電磁弁を制御することと;サブセットのそれぞれの可撓性膜に平担構造を形成させるために、第2の方向に開く第1のサブセットの電磁弁によって加圧流体を除去することと;隆起構造である間におよび平坦構造体でない間に、それぞれの可撓性膜を透光させるために、1以上の光源を制御することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示の上記および他の特徴、態様、および利点は、全図を通して同じ符号が同じ要素を示す図面を参照して以下の詳細な説明を読むことでよりよく理解することができる。
【0010】
【
図1】本開示の実施形態によるアミューズメントパークに関連する可動表面システムの概略図である。
【0011】
【
図2】本開示の実施形態による可動組立体のアレイから形成された可動表面システムの実施形態の正面図である。
【0012】
【
図3】
図2の可動表面システムの個別の可動組立体の正面図である。
【0013】
【
図4】本開示の実施形態による可動表面システムの実施形態の側面図である。
【0014】
【
図5】本開示の実施形態による弁組立体の図である。
【0015】
【
図6】本開示の実施形態による可動表面技術の流れ図である。
【0016】
【
図7】本開示の実施形態による可動表面の制御システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本開示の1以上の特定の実施形態を以下で説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を行うために、実際の実行例の全ての特徴を本明細書で説明することができるというわけではない。何らかの工業設計または設計プロジェクトの場合と同様に、何らかの当該の実際の実行例の開発において、実行例間で変動する場合があるシステム関連および事業関連の制約の遵守など、開発担当者らの特定の目標を達成するために数多くの実行固有の意思決定を行う必要があることを認識されたい。さらに、このような開発作業は、複雑かつ時間が掛かることがあり得るが、それでも、本開示の恩恵を有する当業者にとって設計、作製、および製造の日常的な仕事になることを認識されたい。
【0018】
本開示の様々な実施形態の要素を説明する場合に、冠詞「a」、「an」、および「the」は、要素の1以上があることを意味することが意図されている。用語「~を備える」、「~を含む」、および「~を有する」は、包括的であり、かつ、記載された要素以外のさらなる要素がある場合があることを意味することが意図されている。加えて、本開示の「1つの実施形態」または「一実施形態」への言及は、記載された特徴部も組み込むさらなる実施形態の存在を除外すると解釈されることは意図されていないことを理解されたい。
【0019】
本開示は、テーマパークまたはアミューズメントパーク用の可動表面システムに関する。アミューズメントパークは、アミューズメントパーク来園者のために没入型体験を提供するアトラクションまたは風景を含む。体験の一部として、このようなアトラクションは、異なる場所にいて、および/または、異なる環境によって取り囲まれているという体験を提供するため錯覚またはシミュレーションを使用することができる。多くの場合、このような錯覚では、塗装された小道具、投影または表示された画像、および/または、光効果が使用される。小道具および光効果は、より現実的な環境フィーリングをもたらすことができる。しかしながら、これらの要素は、一般的には、固定された構成で設置され、頻繁な更新には適していない。表示された画像は、古いメディアファイルを新しいメディアファイルで入れ替えることによって、更新または変更するのが比較的容易な高レベルの画像カスタマイズをもたらすことができる。しかしながら、ユーザーは、表示技術、特に投影された表示が時代錯誤であるまたは状況を無視した環境シミュレーションに起因して、ディスプレイ面上で平坦すぎるまたは2次元に見える場合に、没入体験から引き戻されることが多い。
【0020】
本明細書では可動表面システムが提供され、可動表面システムは、個別の隆起または半球体などの複数の可動組立体に結合された可動表面(たとえば、突出面)を含み、複数の可動組立体は、表面の複数の部分に作用し、結果として、この複数の部分は、制御信号に応じて外方に突出するように個別にアドレス可能(addressable)である。可動表面は、大道具、風景、小道具、および/または、従来の表示画面または静的表面が使用される環境に組み込むことができる動的に調整可能な構造体および/または深さをもたらす。さらに、可動表面システムは、より現実的な表面をもたらすように、表示された画像を強化することができる。
【0021】
一実施形態において、個々の可動組立体の突出は、一連のソレノイドの空気方向および流量制御弁の制御に応答することができる。したがって、任意のサイズまたは形状の隆起は、投影されたメディアと調和して表面全体にわたって移動することができる。一部の実施形態において、可動表面システムは、利用者とアトラクション環境との間の相互作用を促進する。たとえば、開示された移動または可動表面は、ユーザー近接度またはユーザー身振りまたは環境との相互作用に応じて作動することができる。本発明の技術は、アミューズメントパークまたはテーマパークに関連して説明されるが、開示された実施形態は、娯楽会場または小売空間などの他の環境に適用できることも理解されたい。さらに、特定の開示する実施形態は、投影または表示画像および/または一体型光効果と連動して動作する表面の関連で説明されるが、可動組立体は、表面上での画像の表示または一体型光源の制御の有無を問わず、本明細書で提示するような制御信号に応答する調整可能なまたは移動する表面を形成するように実行することができることを理解されたい。
【0022】
1つの実施例において、
図1に示すように、可動表面システム12を含む環境は、錯覚の作動時に素朴なまたは石の壁に似るように意図された表面14を含むことができる。非作動構成16において、表面14は、最小限の装飾的特徴を有するほぼ平面とすることができる。作動構成17として示される錯覚の作動時に、開示された可動表面システム12は、隆起部を表面14から突出させる個別の可動組立体20を使用して、表面14に沿って隆起したブドウの木18を形成するために使用することができる。このように、ブドウの木18は、見物人がどんなに近くてもまたはどんな角度で位置しても奥行きをもつので効果が強化される。さらに、特定の実施形態において、表面14およびブドウの木18の色および質感は、投影機22からの投影画像を使用して少なくとも部分的にシミュレートすることができ、それによって、画像は、色および質感の所望の特性を有する。たとえば、前面投影構成で示される投影機22は、表面14上に石垣の画像を表示する。さらに、投影画像は、たとえば、プロジェクションマッピングを使用してブドウの木18の凹凸および湾曲に対処して増強させることができる。したがって、1つの実施形態において、投影画像および可動組立体20の3次元形状(図示の実施形態ではブドウの木18として示される)は、協働して錯覚の一部として機能することができる。
【0023】
可動表面システム12は、3次元特徴部の動的な調整を可能にするので、ブドウの木18は、1つの実施形態において、表面14に沿って移動するまたは脈動するように見えるであろう。また、このような実施形態は、ブドウの木18の緑色の輪郭がブドウの木18の移動に一致するように表面14上で位置が変わる画像の投影を伴う場合がある。たとえば、新しい突出部24を形成するようして他を平坦することによって、表面14に対するブドウの木18の形状およびパターン、並びに対応する画像は、所望の錯覚をもたらすように変化する。
【0024】
可動表面システム12の作動の動的な変化は、タイマーで動作する予めプログラムされた効果の一部とすることができる。実施形態において、作動は、ユーザーの存在または動きに応じて起こる場合がある。たとえば、可動表面システム12は、近接センサー30(たとえば、カメラまたは光センサー)などの1以上のユーザー検出特徴部と共に使用することができる。ユーザー32が検出されると、可動表面システム12は、個別の可動組立体20の作動によってブドウの木18を変化させること、および/または、投影機22に投影画像のセットを変えるようにさせることができる。1つの実施形態において、ユーザー検出特徴部は、ユーザー関連デバイス36(たとえば、ブレスレット、携帯機器、携帯端末)と通信するように構成された無線周波数通信機34とすることができる。
【0025】
表面14上の壁と隆起したブドウの木18との錯覚を示す図示の実施形態は一例である。他の非限定的な構成は、ユーザーの身振りが近接センサー30によって検出され、表面14上の作動パターンで再現される反応性作動部を含む。たとえば、表面14の前に立つユーザー32は、表面14を横切って進む、さざ波を送るために腕をうねらせることができる。表面14の横を歩くユーザーは、ユーザー32の歩調に合わせて表面14に沿って進む隆起部でマーク付けされたシミュレートされたフィギュアで模倣することができる。実施形態において、作動および/または作動の特定の特性またはパターンを引き起こす能力は、ユーザー関連デバイス36との通信からアクセスされたユーザプロファイル情報に基づくことができる。さらに、表面14は、触覚式でありユーザータッチに応答することができる。たとえば、幽霊屋敷内の壁として使用される場合、可動表面システム12は、表面14が普通の壁のように見えるようにすることができるが、接触すると、表面14は、接触した場所で対応する隆起構造を形成することができる。接触は、表面14上の近接センサー30によって検出することができ、特定の場所に対応付けることができる。このように、表面14およびその対応する作動は、幽霊屋敷アトラクションの「イースターエッグ」の役割を果たすことができる。また、可動表面システム12を含む複雑なまたは造形された構造(木々、車両など)を形成するような、他の実施構成も企図されている。不作動構成に対して隆起される表面14の特定の部分の作動は、表面14に沿った昆虫または動物の移動、表面14の真下での生物の移動などをシミュレートするために使用することができる。
【0026】
図2は、可動表面システム12の正面図である。表面14、または、表面層38の外側または見物人側は、フレーム42で支持される個別の可動組立体20のアレイ40上に位置決めされる。個々の可動組立体20は、可撓性膜46に結合されたブラケット44を含む(たとえば、ブラケット内のシールで)。可撓性膜46は、シリコーン、ゴム、または適合材料から形成することができる。作動時、可撓性膜46は、固定されたブラケットに対して表面層38に向かっておよび逆の方向に移動する。結果として、可撓性膜46の移動によって、表面層38は、可撓性膜46と一緒に移動する。表面層38は、可撓性膜46を適合するように伸張し、それによって、本明細書で提示するように、隆起構造が表面14上に生成される。隆起構造を形成する個別の可動組立体20のタイミングおよび選択に基づいて、様々な錯覚をもたらすことができる。たとえば、比較的大きな隆起構造は、隣接する可動組立体20(たとえば、可動組立体20a~d)を作動させて、それぞれの可撓性膜46を同時に突出させることによって生成することができる。別の実施例において、1以上の可動組立体20において、突出およびその後の突出の急反転を引き起こすことによって脈動効果をもたらすことができる。別の実施例において、移動または徐行効果は、隣接する可動組立体20を作動させて隆起構造を連続的に形成することで(可動組立体20b、次に可動組立体20c、次に可動組立体20e、次に可動組立体20fなど)実現することができる。
【0027】
ブラケット44および可撓性膜46は、機械的留め具48を用いて互いにおよび/またはフレーム42に結合される。ブラケット44は、貫通路50を形成するために互いに隣接して配置され、貫通路50は、アレイ40および/または可撓性膜46に対して表面14を引き付けるためにアレイ40の後部から表面層38まで延びている。アレイ40は、規則正しいグリッドとして示されている。しかしながら、アレイ40は、所望の錯覚に応じたサイズおよび形状とすることができる。
【0028】
さらに、アレイの個々の可動組立体20は、
図3に示すように、所望の錯覚に応じてよりより大きくまたはより小さく拡大縮小することができる。可動組立体20が大きいほど、固定されたブラケット44からより大きな距離で突出することができ、結果としてより大きな隆起構造を形成する。ブラケット44は、距離54がブラケット44の縁部56の全長の10%未満であるように、縁部の周りで比較的薄く形成することができる。隣接する縁部56は、アレイ40内で互いに直接接触するかまたはほぼ接触することができる。貫通路50は、各ブラケット44の隅部のノッチ60によって形成することができる。個々の可動組立体20は、各組立体20が磨耗した場合に容易に交換することができるように、モジュール式で、アレイ40内で他の可動組立体20から分離可能に構成されることが企図されている。
【0029】
図4は、個々の可動組立体20の異なる作動状態を示す可動表面システム12のアレイ40の側面図である。図示の実施形態は、比較的平らなブラケット44に対して作動または突出位置にある隣接する可撓性膜46から形成された3つの隆起構造36を示す。可撓性膜46の作動により、可撓性膜の前側66は、表面層38を押す。表面層38は、単一の突出部または隆起構造68が表面14上で視認可能であるように、3つの作動した可撓性膜48の上で伸張する。すなわち、可撓性膜46の前側66の特定の部分は、表面層38が個々の可撓性膜46の間の間隙67を埋めるので表面層38に直接、接触する。したがって、可動組立体20の数を調整することによって、隆起構造68の大きさを変えることができる。表面層38は、弾性繊維などの弾性材料で形成することができる。表面層38は、ユーザー32から可動組立体20の下にある構造体が見えないように十分に不透明とすることができる。しかしながら、可動組立体20のうちの少なくとも一部がブラケット44に結合される一体型の光源74(たとえば、LED)を有する実施形態において、表面層38は、光源74からの透過光が表面14上で視認可能であるように少なくとも部分的に半透明であるように構成することができる。
【0030】
特定の実施形態において、可動組立体20の作動は、空圧式であり、隆起位置への作動は、流体導管70による可撓性膜の後側69への流体の適用によって達成される。可撓性膜46は、内部空間72が流体を作動位置に保持するように、ブラケット44とのシールを形成する。可動組立体20は、流体導管70による流体の除去によって、作動位置から、それぞれのブラケット44と実質的に面一である不作動位置78に切り替わることができる。特定の実施形態において、流体の除去は完全である必要はなく、隆起構造64は、完全な作動容積の75%未満、50%未満、または25%未満で隆起するようになっている。したがって、可動組立体20の完全なまたは部分的な作動のパターンによってより複雑な構造体を生成して、表面14上に異なる表面深さレベルを生成することができる。
【0031】
図5は、弁組立体90の概略図である。弁組立体90は、流体源を可逆的に流体導管70に流体接続する導管またはカップリングを含み、流体源は、可撓性膜とブラケット44との間でシールされた内部空間72に流体接続される。図示の弁組立体90は、第1の方向に開いた場合に、空気の内部空間72の中への一方向の流れを可能にする電磁弁である。また、弁組立体は、第2の方向に開いた場合に、内部空間72からのより迅速な空気の除去を可能にすることができる。空気圧による弁組立体90は、各可動組立体20のより迅速な膨張および収縮を可能にすることができ、結果的により現実的な錯覚が可能になる。
【0032】
図6は、可動表面システム12の作動方法106の流れ図である。この方法は、第1の信号、たとえば、制御信号または開始信号の受信に基づいて、隆起構造(たとえば、隆起構造64)を形成するために可動組立体20の第1のサブセットを作動させることによって始まる(ブロック108)。特定の実施形態において、表面14が隆起構造に適合する間に、画像は、表面上へ同時に投影される、および/または、一体型光源は、隆起構造によって表面14上に形成された形状を強化するために可動表面システム12の表面14を透光するように作動される(ブロック110)。その後、第2の信号に基づいて、可動組立体20の第1のサブセットは、不作動にされるかまたは隆起構造から平坦構成に変化するようにされ(ブロック112)、可動組立体20の第2のサブセットは、隆起構造を形成するために作動させる(ブロック114)。第2の画像セットは、表面上へ同時に投影される、および/または、第2の一体型光源セットは、第2のサブセットの作動時に可動表面システム12の表面14を透光するように作動される(ブロック116)。一実施形態において、第1のサブセットは、第2のサブセットと異なる。本明細書で提示するように、可動表面システム12の作動パターンは、経時的に異なる隆起構造が表面14上に形成されるようにするために、異なる可動組立体20のための順序付けされた作動命令のセットを含むことができる。作動パターンは、一連の投影画像または12以上の一体型光源の作動のうちの一方または両方に一致することができる。
【0033】
図7は、所望の錯覚をもたらすために可動表面システム12で使用することができる制御システム150の実施形態を示す。また、制御システム150は、開示する可動表面または投影面(たとえば、表面14、
図1参照)上への1以上の画像または画像シーケンスの投影制御すること、並びに、一部の実施形態において、以下でさらに詳細に説明するように、可動表面システム12によって提供することができる追加の効果を調整および/または制御することができる。制御システム150は、可動表面システム12の他の要素に通信可能に接続することができるシステム制御装置152を含むことができる。システム制御装置152は、可動表面システム12の他の要素を制御および/または調整することができる。システム制御装置152は、メモリー154およびプロセッサ156を含むことができる。一部の実施形態において、メモリー154は、プロセッサ156により実行可能な命令および/またはプロセッサ156によって処理されるデータを記憶する1以上の有形の非一時的コンピュータ可読媒体を含むことができる。たとえば、メモリー154は、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリー(ROM)、フラッシュメモリーなどの再書き込み可能な不揮発性メモリー、ハードドライブ、光ディスクなどを含むことができる。加えて、プロセッサ156は、1以上の汎用マイクロプロセッサ、1以上の特定用途向けプロセッサ(ASIC)、1以上のフィールドプログラマブル論理アレイ(FPGA)、またはその何らかの組み合わせとすることができる。さらに、メモリー154は、可動表面システム12に関して本明細書で説明する方法および制御動作を実行するようにプロセッサ156によって実行可能な命令を記憶することができる。メモリー154およびプロセッサ156の開示された特徴部は、本明細書で提示されるような他のメモリーまたはプロセッサデバイスによって共有することができる。
【0034】
システム制御装置152は、システム制御装置152とユーザー(たとえば、オペレータ)との間の通信を助けることができる1以上の入出力(I/O)デバイス158をさらに含むことができる。たとえば、I/Oデバイスは、システム制御装置52および制御システム150とのユーザー対話を可能にするボタン、キーボード、マウス、トラックパッドなどを含むことができる。加えて、I/Oデバイス158は、たとえば、グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)およびアプリケーションインタフェース、テキスト、静止画像、および/または映像コンテンツによる情報の視覚表示を提供するのを助ける電子ディスプレイを含むことができる。さらに、システム制御装置152は、有線または無線通信路上で可動表面システム12(またはシステム150)の他の要素と通信するように構成することができる。一部の実施形態において、システム制御装置152は、通信回路160を含むことができ、通信回路160は、システム制御装置152と制御システム50および投影機22など、可動表面システム12の他の要素との間の情報の伝達を助けることができる。メモリー154、プロセッサ156、および/または通信回路160の開示された特徴部は、本明細書で提示されるような他のメモリーまたはプロセッサデバイスによって共有することができる。
【0035】
投影機22は、システム制御装置152に通信可能に接続することができ、ユーザーに提示されるように、画像を可動表面システム12の表面14上に投影することができる。加えて、投影機22は、可動表面システム12の他の要素の一部または全てに通信可能に接続することができる。投影機22は、画像制御装置160を含むかまたはこれに接続することができ、画像制御装置160は、1以上の技術を用いて画像を処理するかまたは画像を更新して所望の錯覚をもたらすことができる。画像制御装置164は、メモリー166およびプロセッサ168を含むことができる。一部の実施形態において、画像制御装置164は、例示する実施形態の場合と同様に投影機22に関連付けることができ、または画像制御装置164は、投影機22から遠く離れて配置することができる。もしくは、一部の実施形態において、画像制御装置164の画像処理技術の一部または全ては、システム制御装置152によって実行することができる。投影機22は、通信回路170を含むことができる。
【0036】
可動表面システム12は、システム制御装置152、並びに、一部の実施形態において、システム150の他の要素に通信可能に接続することができる。可動表面システム12は、表面14から突出するように可動組立体20の作動を制御することができる制御装置176を含むことができる。触覚の制御装置176は、メモリー178およびプロセッサ180を含むことができる。作動時、一部の実施形態において、制御装置176は、投影機22から投影画像に対応する表面14上の場所を特定するように構成することができ、この隆起構造は、投影画像の画像または画像シーケンスおよび何らかのアニメーションに基づいて形成されることになる。制御装置176は、少なくとも画像に基づいて提供する作動パターンを特定するように構成することができ、特定の可動組立体20(たとえば、可動組立体20のサブセット)を作動させる信号を可動組立体20に送るように適合することができる。たとえば、可動組立体20が空気駆動される場合、制御信号は、弁制御装置182によってそれぞれの弁の作動を引き起こすことができる。付加的にまたは代替的に、一部の実施形態において、可動表面システム12は、可動組立体20に一体化することができる一体型光効果システムを含むことができる。制御装置176は、1以上の光源74を駆動するように構成することができ、光源74は、投影画像および/または可動組立体20の作動と協働して作動されるように適合することができる。一部の実施形態において、制御装置176によって実行されるプロセスの一部または全ては、システム制御装置152によって実行することができる。また、制御装置176は、負圧場制御装置182による負圧場の用途を制御することができ、負圧場制御装置182は、錯覚のより細かな細部を形成するために、表面14が隆起したおよび/または不作動の可動組立体20を引き寄せるように表面層38への負圧の適用を制御する。
【0037】
可動表面システム12の作動パターンの開始は、ユーザーの存在および/または動きに基づくことができる。一実施形態において、ユーザー関連デバイス34は、通信回路190(たとえば、高周波送信機)を使用してユーザー信号をユーザー検出システム192に伝える。ユーザー検出システムは、通信回路202(たとえば、高周波受信機)を介してユーザー関連デバイスを検出することができ、受け取ったユーザー信号に基づいて、ユーザー信号をシステム制御装置152に送ることができる。システム制御装置152は、ユーザー信号に基づいて、ユーザー識別情報にアクセスすることができる。ユーザー識別情報に基づいて、システム制御装置152は、メモリー178内に記憶されたユーザー識別情報の特徴に関連する作動パターンを開始する命令を可動表面システム12に伝えることができる。たとえば、ユーザーがユーザプロファイルの一部として特定のアバターまたは記号を選択した場合、作動パターンは、アバターに関連付けることができる。他の実施形態において、カメラまたは光センサーなどのユーザー検出システム192は、1以上のセンサー200を用いてユーザーを検出することができる。また、ユーザー検出システム192は、固有の制御装置194およびメモリー196およびプロセッサ198を介して、ユーザー検出情報を可動表面システム12に直接的に提供するために、オンボード処理を行うことができる。
【0038】
本明細書では、開示された実施形態の特定の特徴のみを図示および説明してきたが、当業者であれば多くの修正および変更を想起するであろう。したがって、特許請求の範囲は、本開示の真の精神の範囲に入るすべてのそのような修正および変更をカバーすることが意図されていることを理解されたい。
【0039】
本明細書に示して特許請求する技術は、本技術分野を確実に改善する、そのため抽象的なもの、無形のものまたは純粋に理論的なものではない、実際的性質の有形物および具体例を参照し、これらに適用される。さらに、本明細書の最後に添付するいずれかの請求項が、「…[機能]を[実行]する手段」または「…[機能]を[実行]するステップ」として指定されている1以上の要素を含む場合、このような要素は米国特許法112条(f)に従って解釈すべきである。一方で、他のいずれかの形で指定された要素を含むあらゆる請求項については、このような要素を米国特許法112条(f)に従って解釈すべきではない。