(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】非水電解液二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0525 20100101AFI20240930BHJP
H01M 10/0568 20100101ALI20240930BHJP
H01M 4/133 20100101ALI20240930BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20240930BHJP
H01M 4/587 20100101ALI20240930BHJP
H01M 4/38 20060101ALI20240930BHJP
H01M 4/48 20100101ALN20240930BHJP
【FI】
H01M10/0525
H01M10/0568
H01M4/133
H01M4/36 D
H01M4/36 E
H01M4/587
H01M4/38 Z
H01M4/48
(21)【出願番号】P 2021562584
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(86)【国際出願番号】 JP2020043707
(87)【国際公開番号】W WO2021111930
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2023-10-05
(31)【優先権主張番号】P 2019221682
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】322003798
【氏名又は名称】パナソニックエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】貝塚 篤史
(72)【発明者】
【氏名】高井 恭幸
【審査官】梅野 太朗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/187537(WO,A1)
【文献】特開2018-156787(JP,A)
【文献】特表2019-507460(JP,A)
【文献】特開2015-49965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/05-10/0587;10/36-10/39
H01M4/00-4/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極、負極、及び非水電解液を有する非水電解液二次電池であって、
前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体上に設けられた負極活物質層と、を有し、
前記負極活物質層は、負極活物質として黒鉛粒子A及び黒鉛粒子Bを含み、
前記黒鉛粒子Aの内部空隙率は5%以下であり、前記黒鉛粒子Bの内部空隙率は8%~20%であり、
前記黒鉛粒子Aは、前記負極活物質層を厚み方向において2等分した場合の前記負極集電体側半分の領域より、外表面側半分の領域に多く含まれ、
前記非水電解液は、Liイミド塩を含む、非水電解液二次電池。
【請求項2】
前記Liイミド塩は、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドを含む、請求項1に記載の非水電解液二次電池。
【請求項3】
前記負極活物質は、Si系材料を含む、請求項1又は2に記載の非水電解液二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、非水電解液二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
炭素材料を負極活物質として用いる非水電解液二次電池は、高エネルギー密度の二次電池として広く利用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、炭素材料に内部空隙率が5%以下の緻密化炭素を用いた非水電解液二次電池が開示されている。
【0004】
例えば、特許文献2には、内部空隙率が1%以上23%未満の炭素材Aと、内部空隙率が23%以上40%以下である炭素材Bを含む炭素材料を用いた非水電解液二次電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-320600号公報
【文献】特開2014-67638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、高温保存特性及び低温放電特性の低下を抑制することが可能な非水電解液二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様である非水電解液二次電池は、正極、負極、及び非水電解液を有し、前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体上に設けられた負極活物質層と、を有し、前記負極活物質層は、負極活物質として黒鉛粒子A及び黒鉛粒子Bを含み、前記黒鉛粒子Aの内部空隙率は5%以下であり、前記黒鉛粒子Bの内部空隙率は8%~20%であり、前記黒鉛粒子Aは、前記負極活物質層を厚み方向において2等分した場合の負極集電体側半分の領域より、外表面側半分の領域に多く含まれ、前記非水電解液は、Liイミド塩を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、高温保存特性と低温放電特性の低下を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態の一例である非水電解液二次電池の断面図である。
【
図2】
図2は、実施形態の一例である負極の断面図である。
【
図3】
図3は、負極活物質層内の黒鉛粒子の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の一態様である非水電解液二次電池は、正極、負極、及び非水電解液を有し、前記負極は、負極集電体と、前記負極集電体上に設けられた負極活物質層と、を有し、前記負極活物質層は、負極活物質として黒鉛粒子A及び黒鉛粒子Bを含み、前記黒鉛粒子Aの内部空隙率は5%以下であり、前記黒鉛粒子Bの内部空隙率は8%~20%であり、前記黒鉛粒子Aは、前記負極活物質層を厚み方向において2等分した場合の負極集電体側半分の領域より、外表面側半分の領域に多く含まれ、前記非水電解液は、Liイミド塩を含むことを特徴とする。
【0011】
本開示のように、Liイミド塩を含む非水電解液は、Liイミド塩を含まない非水電解液と比べて、熱安定性が高くなるため、高温環境下での非水電解液の分解反応が抑制されると考えられる。その結果、非水電解液二次電池の高温保存特性の低下が抑制される。一方、Liイミド塩を含む非水電解液は、Liイミド塩を含まない非水電解液と比べて、粘度が高くなるため、低温環境になると、負極活物質層への非水電解液の液回りが悪くなり易い。しかし、本開示のように、内部空隙率が5%以下である黒鉛粒子Aが、負極活物質層の負極集電体側半分の領域より、負極活物質層の外表面側半分の領域に多く含まれることで、負極活物質層の外表面から内部に亘って非水電解液の流路となる隙間が確保される。その結果、低温環境下でも、負極活物質層への非水電解液の液回りの悪化が抑えられ、非水電解液二次電池の低温放電特性の低下が抑制される。
【0012】
以下、図面を参照しながら、実施形態の一例について詳細に説明する。なお、本開示の非水電解液二次電池は、以下で説明する実施形態に限定されない。また、実施形態の説明で参照する図面は、模式的に記載されたものである。
【0013】
図1は、実施形態の一例である非水電解液二次電池の断面図である。
図1に示す非水電解液二次電池10は、正極11及び負極12がセパレータ13を介して巻回されてなる巻回型の電極体14と、非水電解液と、電極体14の上下にそれぞれ配置された絶縁板18,19と、上記部材を収容する電池ケース15と、を備える。電池ケース15は、有底円筒形状のケース本体16と、ケース本体16の開口部を塞ぐ封口体17とにより構成される。なお、巻回型の電極体14の代わりに、正極及び負極がセパレータを介して交互に積層されてなる積層型の電極体など、他の形態の電極体が適用されてもよい。また、電池ケース15としては、円筒形、角形、コイン形、ボタン形等の金属製外装缶、樹脂シートと金属シートをラミネートして形成されたパウチ外装体などが例示できる。
【0014】
ケース本体16は、例えば有底円筒形状の金属製外装缶である。ケース本体16と封口体17との間にはガスケット28が設けられ、電池内部の密閉性が確保される。ケース本体16は、例えば側面部の一部が内側に張出した、封口体17を支持する張り出し部22を有する。張り出し部22は、ケース本体16の周方向に沿って環状に形成されることが好ましく、その上面で封口体17を支持する。
【0015】
封口体17は、電極体14側から順に、フィルタ23、下弁体24、絶縁部材25、上弁体26、及びキャップ27が積層された構造を有する。封口体17を構成する各部材は、例えば円板形状又はリング形状を有し、絶縁部材25を除く各部材は互いに電気的に接続されている。下弁体24と上弁体26は各々の中央部で互いに接続され、各々の周縁部の間には絶縁部材25が介在している。内部短絡等による発熱で非水電解液二次電池10の内圧が上昇すると、例えば下弁体24が上弁体26をキャップ27側に押し上げるように変形して破断し、下弁体24と上弁体26の間の電流経路が遮断される。さらに内圧が上昇すると、上弁体26が破断し、キャップ27の開口部からガスが排出される。
【0016】
図1に示す非水電解液二次電池10では、正極11に取り付けられた正極リード20が絶縁板18の貫通孔を通って封口体17側に延び、負極12に取り付けられた負極リード21が絶縁板19の外側を通ってケース本体16の底部側に延びている。正極リード20は封口体17の底板であるフィルタ23の下面に溶接等で接続され、フィルタ23と電気的に接続された封口体17の天板であるキャップ27が正極端子となる。負極リード21はケース本体16の底部内面に溶接等で接続され、ケース本体16が負極端子となる。
【0017】
以下、非水電解液二次電池10の各構成要素について詳説する。
【0018】
[負極]
図2は、実施形態の一例である負極の断面図である。負極12は、負極集電体40と、負極集電体40上に設けられた負極活物質層42と、を有する。
【0019】
負極集電体40は、例えば、銅などの負極の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等が用いられる。
【0020】
負極活物質層42は、負極活物質として黒鉛粒子を含む。また、負極活物質層42は、結着材等を含むことが好ましい。負極12は、例えば、負極活物質、結着材等を含む負極合材スラリーを調製し、この負極合材スラリーを負極集電体40上に塗布、乾燥して負極活物質層42を形成し、この負極活物質層42を圧延することにより作製できる。なお、負極活物質層42の作製方法の詳細は後述する。
【0021】
図3は、負極活物質層内の黒鉛粒子の断面図である。
図3に示すように、黒鉛粒子30は、黒鉛粒子30の断面視において、粒子内部から粒子表面につながっていない閉じられた空隙34(以下、内部空隙34)と、粒子内部から粒子表面につながっている空隙36(以下、外部空隙36)とを有する。
【0022】
本実施形態における黒鉛粒子30は、内部空隙率が5%以下である黒鉛粒子Aと、内部空隙率が8%~20%である黒鉛粒子Bとを含む。黒鉛粒子Aの内部空隙率は、低温放電特性の低下を抑制する等の点で、5%以下であればよいが、好ましくは1%~5%であり、より好ましくは3%~5%である。黒鉛粒子Bの内部空隙率は、低温放電特性の低下を抑制する等の点で、8%~20%であればよいが、好ましくは10%~18%であり、より好ましくは12%~16%である。ここで、黒鉛粒子の内部空隙率とは、黒鉛粒子の断面積に対する黒鉛粒子の内部空隙34の面積の割合から求めた2次元値である。そして、黒鉛粒子の内部空隙率は、以下の手順で求められる。
【0023】
<内部空隙率の測定方法>
(1)負極活物質層の断面を露出させる。断面を露出させる方法としては、例えば、負極の一部を切り取り、イオンミリング装置(例えば、日立ハイテク社製、IM4000PLUS)で加工し、負極活物質層の断面を露出させる方法が挙げられる。
(2)走査型電子顕微鏡を用いて、上記露出させた負極活物質層の断面の反射電子像を撮影する。反射電子像を撮影する際の倍率は、3千倍から5千倍である。
(3)上記により得られた断面像をコンピュータに取り込み、画像解析ソフト(例えば、アメリカ国立衛生研究所製、ImageJ)を用いて二値化処理を行い、断面像内の粒子断面を黒色とし、粒子断面に存在する空隙を白色として変換した二値化処理画像を得る。
(4)二値化処理画像から、粒径5μm~50μmの黒鉛粒子A,Bを選択し、当該黒鉛粒子断面の面積、及び当該黒鉛粒子断面に存在する内部空隙の面積を算出する。ここで、黒鉛粒子断面の面積とは、黒鉛粒子の外周で囲まれた領域の面積、すなわち、黒鉛粒子の断面部分全ての面積を指している。また、黒鉛粒子断面に存在する空隙のうち幅が3μm以下の空隙については、画像解析上、内部空隙か外部空隙かの判別が困難となる場合があるため、幅が3μm以下の空隙は内部空隙としてもよい。そして、算出した黒鉛粒子断面の面積及び黒鉛粒子断面の内部空隙の面積から、黒鉛粒子の内部空隙率(黒鉛粒子断面の内部空隙の面積×100/黒鉛粒子断面の面積)を算出する。黒鉛粒子A,Bの内部空隙率は、黒鉛粒子A,Bそれぞれ10個の平均値とする。
【0024】
黒鉛粒子A,Bは、例えば、以下のようにして製造される。
<内部空隙率が5%以下である黒鉛粒子A>
例えば、主原料となるコークス(前駆体)を所定サイズに粉砕し、それらを結着材で凝集させた状態で、2600℃以上の温度で焼成し、黒鉛化させた後、篩い分けることで、所望のサイズの黒鉛粒子Aを得る。ここで、粉砕後の前駆体の粒径や凝集させた状態の前駆体の粒径等によって、内部空隙率を5%以下に調整することができる。例えば、粉砕後の前駆体の平均粒径(体積基準のメジアン径D50)は、12μm~20μmの範囲であることが好ましい。また、内部空隙率を5%以下の範囲で小さくする場合は、粉砕後の前駆体の粒径を大きくすることが好ましい。
<内部空隙率が8%~20%である黒鉛粒子B>
例えば、主原料となるコークス(前駆体)を所定サイズに粉砕し、それらを結着材で凝集した後、さらにブロック状に加圧成形した状態で、2600℃以上の温度で焼成し、黒鉛化させる。黒鉛化後のブロック状の成形体を粉砕し、篩い分けることで、所望のサイズの黒鉛粒子Bを得る。ここで、ブロック状の成形体に添加される揮発成分の量によって、内部空隙率を8%~20%に調整することができる。コークス(前駆体)に添加される結着材の一部が焼成時に揮発する場合、結着材を揮発成分として用いることができる。そのような結着材としてピッチが例示される。
【0025】
本実施形態に用いられる黒鉛粒子A,Bは、天然黒鉛、人造黒鉛等、特に制限されるものではないが、内部空隙率の調整のし易さ等の点では、人造黒鉛が好ましい。本実施形態に用いられる黒鉛粒子A,BのX線広角回折法による(002)面の面間隔(d002)は、例えば、0.3354nm以上であることが好ましく、0.3357nm以上であることがより好ましく、また、0.340nm未満であることが好ましく、0.338nm以下であることがより好ましい。また、本実施形態に用いられる黒鉛粒子A,BのX線回折法で求めた結晶子サイズ(Lc(002))は、例えば、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、また、300nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましい。面間隔(d002)及び結晶子サイズ(Lc(002))が上記範囲を満たす場合、上記範囲を満たさない場合と比べて、非水電解液二次電池の電池容量が大きくなる傾向がある。
【0026】
本実施形態では、黒鉛粒子Aが、
図2に示す負極活物質層42を厚み方向において2等分した場合の負極集電体側半分の領域42aより、外表面側半分の領域42bに多く含まれる。これにより、低温環境でも、負極活物質層42への非水電解液の液回りの悪化が抑制されるため、非水電解液二次電池の低温放電特性の低下が抑制される。なお、負極活物質層42を厚み方向において2等分したとは、負極集電体40と負極活物質層42の積層方向を負極活物質層42の厚み方向としたとき、負極活物質層42の厚みの中間Zで半分に分割することを意味する。そして、負極活物質層42を厚み方向において2等分したうち、負極集電体40から見て近くに位置する負極活物質層42を負極集電体側半分の領域42aとし、負極集電体40から見て遠くに位置する負極活物質層42を外表面側半分の領域42bとするものである。
【0027】
本実施形態では、黒鉛粒子Aが、負極集電体側半分の領域42aより、外表面側半分の領域42bに多く含まれていればよいが、低温放電特性の低下を抑制する点で、さらに、外表面半分の領域42bにおける黒鉛粒子Aと黒鉛粒子Bの割合が、質量比で20:80~100:0であることが好ましく、50:50~100:0であることがより好ましい。さらに、負極集電体側半分の領域42aにおける黒鉛粒子Aと黒鉛粒子Bの割合は、質量比で10:90~0:100であることが好ましく、0:100であることがより好ましい。
【0028】
負極活物質層42の作製方法の一例を説明する。例えば、黒鉛粒子B(必要に応じて黒鉛粒子A)を含む負極活物質と、結着材と、水等の溶媒とを混合して、負極集電体側用の負極合材スラリーを調製する。これとは別に、負極集電体側用の負極合材スラリーよりも多い量の黒鉛粒子A(必要に応じて黒鉛粒子B)を含む負極活物質と、結着材と、水等の溶媒とを混合して、外表面側用の負極合材スラリーを調製する。そして、負極集電体の両面に、負極集電体側用の負極合材スラリーを塗布、乾燥した後、負極集電体側用の負極合剤スラリーによる塗膜の上に、外表面側用の負極合材スラリーを両面に塗布、乾燥することにより、負極活物質層42を形成することができる。上記方法では、負極集電体側用の負極合材スラリーを塗布、乾燥させてから、外表面側用の負極合材スラリーを塗布したが、負極集電体側用の負極合材スラリーを塗布後、乾燥前に、外表面側用の負極合材スラリーを塗布する方法でもよいし、負極集電体側用の負極合材スラリーと外表面側用の負極合材スラリーを同時に塗布してもよい。
【0029】
負極活物質は、本実施形態に用いられる黒鉛粒子A,B以外に、リチウムイオンを可逆的に吸蔵、放出できる他の材料を含んでいてもよく、例えば、Si系材料を含んでいてもよい。Si系材料としては、例えば、Si、Siを含む合金、SiOx(xは0.8~1.6)等のケイ素酸化物等が挙げられる。Si系材料は、黒鉛粒子より電池容量を向上させることが可能な負極材料であるが、その反面、充放電に伴う体積膨張が大きいため、充放電サイクル特性の点では不利である。しかし、黒鉛粒子A、B及びSi系材料を含む負極活物質を有する負極活物質層において、負極集電側半分の領域よりも外表面側半分の領域に黒鉛粒子Aの量を多くした方が、黒鉛粒子Aが負極活物質層に均一に分散している場合と比較して、充放電サイクル特性の低下を効果的に抑制することができる場合がある。Si系材料の含有量は、電池容量の向上、充放電サイクル特性の低下抑制等の点で、例えば、負極活物質の質量に対して1質量%~10質量%であることが好ましく、3質量%~7質量%であることがより好ましい。
【0030】
リチウムイオンを可逆的に吸蔵、放出できる他の材料としては、その他に、錫(Sn)等のリチウムと合金化する金属、及びSn等の金属元素を含む合金や酸化物等が挙げられる。負極活物質は、上記他の材料を含んでいてもよく、上記他の材料の含有量は、例えば、負極活物質の質量に対して10質量%以下であることが望ましい。
【0031】
結着材としては、例えば、フッ素系樹脂、PAN、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)又はその塩、ポリアクリル酸(PAA)又はその塩(PAA-Na、PAA-K等、また部分中和型の塩であってもよい)、ポリビニルアルコール(PVA)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0032】
[正極]
正極11は、例えば金属箔等の正極集電体と、正極集電体上に形成された正極活物質層とで構成される。正極集電体には、アルミニウムなどの正極の電位範囲で安定な金属の箔、当該金属を表層に配置したフィルム等を用いることができる。正極活物質層は、例えば、正極活物質、結着材、導電材等を含む。
【0033】
正極11は、例えば、正極活物質、結着材、導電材等を含む正極合材スラリーを正極集電体上に塗布、乾燥して正極活物質層を形成した後、この正極活物質層を圧延することにより作製できる。
【0034】
正極活物質としては、Co、Mn、Ni等の遷移金属元素を含有するリチウム遷移金属酸化物が例示できる。リチウム遷移金属酸化物は、例えばLixCoO2、LixNiO2、LixMnO2、LixCoyNi1-yO2、LixCoyM1-yOz、LixNi1-yMyOz、LixMn2O4、LixMn2-yMyO4、LiMPO4、Li2MPO4F(M;Na、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、Bのうち少なくとも1種、0<x≦1.2、0<y≦0.9、2.0≦z≦2.3)である。これらは、1種単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。非水電解液二次電池の高容量化を図ることができる点で、正極活物質は、LixNiO2、LixCoyNi1-yO2、LixNi1-yMyOz(M;Na、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、Bのうち少なくとも1種、0<x≦1.2、0<y≦0.9、2.0≦z≦2.3)等のリチウムニッケル複合酸化物を含むことが好ましい。
【0035】
導電材は、例えば、カーボンブラック(CB)、アセチレンブラック(AB)、ケッチェンブラック、黒鉛等のカーボン系粒子などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】
結着材は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等のフッ素系樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
[非水電解液]
非水電解液は、Liイミド塩を含む。既述したように、非水電解液にLiイミド塩が含まれることにより、非水電解液の熱安定性が向上するため、非水電解液二次電池の高温保存特性の低下が抑制される。
【0038】
Liイミド塩は、リチウムイオンとイミドアニオンを有する塩であれば特に制限されるものではないが、例えば、以下の一般式で表されるLiイミド塩が好ましい。
Li[N(X1SO2)(X2SO2)]
(式中、X1及びX2はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基及びハロゲン置換アルキル基から選択される。X1及びX2は互いに結合して環を形成してもよい。)
【0039】
アルキル基及びハロゲン置換アルキル基の炭素数は、1~6が好ましく、1~3がより好ましく、1~2がさらに好ましい。ハロゲン原子やハロゲン置換アルキル基のハロゲンとしてはフッ素が好ましい。ハロゲン置換アルキル基におけるハロゲン置換数は、もとのアルキル基の水素の数以下である。
【0040】
上記一般式で表されるLiイミド塩としては、例えば、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、リチウムビス(パーフルオロエタンスルホニル)イミド(LiBETI)、リチウム(パーフルオロエタンスルホニル)(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)、リチウム(フルオロスルホニル)(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiFTI)等が挙げられる。これらの中では、非水電解液への溶解性、非水電解液の熱安定性等の点で、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)が好ましい。これらは単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】
非水電解液中のLiイミド塩の濃度は、例えば、0.05mоl/L~1.5mоl/Lの範囲であることが好ましく、0.05mol/L~0.7mol/Lの範囲であることがより好ましい。Liイミド塩の濃度が上記範囲を満たす場合、上記範囲を満たさない場合と比較して、非水電解液二次電池の高温保存特性の低下をより抑制できる場合がある。
【0042】
非水電解液は、Liイミド塩以外のLi塩を含んでもよい。Liイミド塩以外のLi塩の例としては、LiBF4、LiClO4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiAlCl4、LiSCN、LiCF3SO3、LiCF3CO2、Li(P(C2O4)F4)、LiPF6-x(CnF2n+1)x(1<x<6,nは1又は2)、LiB10Cl10、LiCl、LiBr、LiI、クロロボランリチウム、低級脂肪族カルボン酸リチウム、Li2B4O7、Li(B(C2O4)F2)等のホウ酸塩類などが挙げられる。これらは単独でもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのうち、リチウムイオン伝導性、電気化学的安定性等の観点から、LiPF6を用いることが好ましい。非水電解液中のLiイミド塩以外のLi塩の濃度は、例えば、0.8mоl/L~1.8molの範囲であることが好ましい。
【0043】
非水電解液は、例えば、Liイミド塩等の電解質塩を溶解させる非水溶媒を含む。非水溶媒には、例えば、エステル類、エーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、及びこれらの2種以上の混合溶媒等を用いることができる。非水溶媒は、これら溶媒の水素の少なくとも一部をフッ素等のハロゲン原子で置換したハロゲン置換体を含有していてもよい。
【0044】
上記エステル類の例としては、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート等の環状炭酸エステル、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルプロピルカーボネート、エチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート等の鎖状炭酸エステル、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン等の環状カルボン酸エステル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル(MP)、プロピオン酸エチル等の鎖状カルボン酸エステルなどが挙げられる。
【0045】
上記エーテル類の例としては、1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサン、1,3,5-トリオキサン、フラン、2-メチルフラン、1,8-シネオール、クラウンエーテル等の環状エーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、ブチルフェニルエーテル、ペンチルフェニルエーテル、メトキシトルエン、ベンジルエチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、o-ジメトキシベンゼン、1,2-ジエトキシエタン、1,2-ジブトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、1,1-ジメトキシメタン、1,1-ジエトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等の鎖状エーテル類などが挙げられる。
【0046】
上記ハロゲン置換体としては、フルオロエチレンカーボネート(FEC)等のフッ素化環状炭酸エステル、フッ素化鎖状炭酸エステル、フルオロプロピオン酸メチル(FMP)等のフッ素化鎖状カルボン酸エステル等を用いることが好ましい。
【0047】
[セパレータ]
セパレータ13には、例えば、イオン透過性及び絶縁性を有する多孔性シート等が用いられる。多孔性シートの具体例としては、微多孔薄膜、織布、不織布等が挙げられる。セパレータの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、セルロースなどが好適である。セパレータ13は、セルロース繊維層及びオレフィン系樹脂等の熱可塑性樹脂繊維層を有する積層体であってもよい。また、ポリエチレン層及びポリプロピレン層を含む多層セパレータであってもよく、セパレータの表面にアラミド系樹脂、セラミック等の材料が塗布されたものを用いてもよい。
【実施例】
【0048】
以下、実施例により本開示をさらに説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0049】
<実施例1>
[正極の作製]
正極活物質として、アルミニウム含有ニッケルコバルト酸リチウム(LiNi0.88Co0.09Al0.03O2)を用いた。100質量部の上記正極活物質と、1質量部のアセチレンブラックと、0.9質量部のポリフッ化ビニリデンを、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)の溶剤中で混合して、正極合材スラリーを調製した。このスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、塗膜を乾燥した後、圧延ローラにより塗膜を圧延することにより、正極集電体の両面に正極活物質層が形成された正極を作製した。作製した正極は、幅57.6mm、長さ679mmに裁断して使用した。
【0050】
[黒鉛粒子Aの作製]
コークスを平均粒径(メジアン径D50)が12μmとなるまで粉砕した。粉砕したコークスに結着材としてのピッチを添加し、コークスを平均粒径(メジアン径D50)が17μmとなるまで凝集させた。この凝集物を2800℃の温度で焼成して黒鉛化した後、250メッシュの篩いを用いて、篩い分けを行い、平均粒径(メジアン径D50)が23μmの黒鉛粒子Aを得た。
【0051】
[黒鉛粒子Bの作製]
コークスを平均粒径(メジアン径D50)が15μmとなるまで粉砕し、粉砕したコークスに結着材としてのピッチを添加して凝集させた後、さらに等方的な圧力で1.6g/cm3~1.9g/cm3の密度を有するブロック状の成形体を作製した。このブロック状の成形体を2800℃の温度で焼成して黒鉛化した。次いで、黒鉛化したブロック状の成形体を粉砕し、250メッシュの篩いを用いて、篩い分けを行い、平均粒径(メジアン径D50)が23μmの黒鉛粒子Bを得た。
【0052】
[負極の作製]
黒鉛粒子Aが40質量部、黒鉛粒子Bが55質量部、SiOが5質量部となるように混合し、これを負極活物質層の外表面側半分の領域に含まれる負極活物質Aとした。負極活物質A:カルボキシメチルセルロース(CMC):スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)の質量比が、100:1:1となるようにこれらを混合して、外表面側の負極合材スラリーを調製した。また、黒鉛粒子Bが95質量部、SiOが5質量部となるように混合し、これを負極活物質層の負極集電体側半分の領域に含まれる負極活物質Bとした。負極活物質B:カルボキシメチルセルロース(CMC):スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)の質量比が、100:1:1となるようにこれらを混合して、負極集電体側の負極合材スラリーを調製した。
【0053】
負極集電体側の負極合材スラリーを厚さ8μmの銅箔の両面に塗布し、塗膜を乾燥した後、塗膜上に外表面側の負極合材スラリーを塗布、乾燥して、圧延ローラにより塗膜を圧延することにより、負極集電体の両面に負極活物質層が形成された負極を作製した。すなわち、負極活物質層の外表面側半分の領域における黒鉛粒子A:黒鉛粒子Bは、質量比で40:55であり、負極活物質層の負極集電体側半分の領域における黒鉛粒子A:黒鉛粒子Bは、質量比で0:100である。また、作製した負極において、黒鉛粒子A及びBの内部空隙率を測定したところ、それぞれ3%と15%であった。作製した負極は、幅58.6mm、長さ662mmに裁断して使用した。
【0054】
[非水電解液の作製]
エチレンカーボネート(EC)と、メチルエチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)とを体積比で20:5:75となるように混合した非水溶媒に、LiPF6を1.4mol/Lの濃度で溶解し、さらに、ビニレンカーボネートを3質量%、LiFSIを0.1mol/L添加した。これを非水電解液とした。
【0055】
[非水電解液二次電池の作製]
(1)正極集電体にアルミニウム製の正極リードを取り付け、負極集電体にニッケル-銅-ニッケル製の負極リードを取り付けた後、正極と負極との間に、ポリエチレン製のセパレータを介して巻回し、巻回型の電極体を作製した。
(2)電極体の上下に絶縁板をそれぞれ配置し、負極リードをケース本体に溶接し、正極リードを封口体に溶接して、電極体をケース本体内に収容した。
(3)ケース本体内に非水電解質を減圧方式により注入した後、ケース本体の開口端部を、ガスケットを介して封口体にかしめた。これを非水電解液二次電池とした。
【0056】
<比較例1>
黒鉛粒子Bが95質量部、SiOが5質量部となるように混合し、これを負極活物質層の全体の領域に含まれる負極活物質Cとした。負極活物質C:カルボキシメチルセルロース(CMC):スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)の質量比が、100:1:1となるようにこれらを混合して、負極合材スラリーを調製した。この負極合材スラリーを厚さ8μmの銅箔の両面に塗布し、塗膜を乾燥した後、圧延ローラにより塗膜を圧延することにより、負極集電体の両面に負極活物質層が形成された負極を作製した。すなわち、負極活物質層の外表面側半分の領域における黒鉛粒子A:黒鉛粒子Bは、質量比で0:100であり、負極活物質層の負極集電体側半分の領域における黒鉛粒子A:黒鉛粒子Bも、質量比で0:100である。作製した負極は、幅58.6mm、長さ662mmに裁断して使用した。
【0057】
エチレンカーボネート(EC)と、メチルエチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)とを体積比で20:5:75となるように混合した非水溶媒に、LiPF6を1.4mol/Lの濃度で溶解し、さらに、ビニレンカーボネートを3質量%添加した。これを非水電解液とした。すなわち、比較例1では、LiFSIを含まない非水電解液を使用した。
【0058】
上記負極及び非水電解液を使用して、実施例1と同様に非水電解液二次電池を作製した。
【0059】
<比較例2>
比較例1で作製した負極を用いたこと以外は、実施例1と同様に非水電解液二次電池を作製した。
【0060】
<比較例3>
比較例1で調製した非水電解液を用いたこと以外は、実施例1と同様に非水電解液二次電池を作製した。
【0061】
[高温保存試験]
環境温度25℃の下、実施例1及び各比較例の非水電解液二次電池を、990mA(0.3時間率)の定電流で、4.2Vまで定電流充電を行った後、4.2Vの定電圧で、終止電流を66mAとした定電圧充電を行った。その後、1650mA(0.5時間率)の定電流で、3.0Vまで定電流放電を行い、この時の放電容量を保存前の電池容量として測定した。その後、990mA(0.3時間率)の定電流で、4.2Vまで定電流充電を行い、4.2Vの定電圧で、終止電流を66mAとした定電圧充電を行った後、80℃の高温槽にて3日間保存した。保存後の非水電解液二次電池を恒温槽から取り出し、1時間放置後、環境温度25℃の下、1650mA(0.5時間率)の定電流で、3.0Vまで定電流放電を行い、この時の放電容量を高温保存後の電池容量として測定した。そして、以下の式より、高温保存後の容量維持率を求めた。
高温保存後の容量維持率=(保存後の電池容量/保存前の電池容量)×100
【0062】
[低温放電試験]
環境温度25℃の下、実施例1及び各比較例の非水電解液二次電池を、990mA(0.3時間率)の定電流で、4.2Vまで定電流充電を行った後、4.2Vの定電圧で、終止電流を66mAとした定電圧充電を行った。その後、3300mA(1.0時間率)の定電流で、3.0Vまで定電流放電を行い、この時の放電容量を25℃の電池容量として測定した。その後、環境温度25℃の下、990mA(0.3時間率)の定電流で、4.2Vまで定電流充電を行い、4.2Vの定電圧で、終止電流を66mAとした定電圧充電を行った後、-10℃の環境で2時間放置した。そして、環境温度-10℃の下、3300mA(1.0時間率)の定電流で、3.0Vまで定電流放電を行い、この時の放電容量を-10℃の電池容量として測定した。そして、以下の式より、低温放電の容量維持率を求めた。
低温放電の容量維持率=(-10℃の電池容量/25℃の電池容量)×100
【0063】
表1に、実施例1及び各比較例の非水電解液二次電池における高温保存後の容量維持率及び低温放電の容量維持率の結果をまとめた。ここで、高温保存後の容量維持率の値が高いほど、高温保存特性の低下が抑制されていることを示し、また、低温放電の容量維持率の値が高いほど、低温放電特性の低下が抑制されていることを示している。
【0064】
【0065】
表1から分かるように、実施例1の高温保存後の容量維持率は、比較例1、3と比較して、高い値を示し、また、実施例1の低温放電の容量維持率は、比較例1、2と比較して、高い値を示した。すなわち、実施例1によれば、高温保存特性及び低温放電特性の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0066】
10 非水電解液二次電池、11 正極、12 負極、13 セパレータ、14 電極体、15 電池ケース、16 ケース本体、17 封口体、18,19 絶縁板、20 正極リード、21 負極リード、22 張り出し部、23 フィルタ、24 下弁体、25 絶縁部材、26 上弁体、27 キャップ、28 ガスケット、30 黒鉛粒子、34 内部空隙、36 外部空隙、40 負極集電体、42 負極活物質層、42a 負極集電体側半分の領域、42b 外表面側半分の領域。