(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】インクジェットプリントにおける不良ノズル補償および不均一性補正
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240930BHJP
【FI】
B41J2/01 205
B41J2/01 451
B41J2/01 501
(21)【出願番号】P 2021570485
(86)(22)【出願日】2020-05-27
(86)【国際出願番号】 EP2020064669
(87)【国際公開番号】W WO2020239820
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-03-10
(32)【優先日】2019-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(73)【特許権者】
【識別番号】519232699
【氏名又は名称】エスピージープリンツ・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アルノルドゥス・テオドルス・ステーンカーメル
(72)【発明者】
【氏名】トム・ティリー・ノルベルト・ルブイユ
(72)【発明者】
【氏名】ペートルス・レオナルドゥス・ヨハンネス・ウェルテン
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-349659(JP,A)
【文献】特開2013-071289(JP,A)
【文献】特開2016-043538(JP,A)
【文献】特開2013-233682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に画像をプリントするためのインクジェットプリンタ(10)のインクジェットプリントヘッド(12)における1つ以上の不良ノズルを検出し不良ノズルを補償するための、ならびに基板への画像のインクジェットプリントにおけるプリント画像の色均一性を補正するための、方法であって、
前記インクジェットプリンタのインクジェットプリントヘッドからインクジェットインクを噴射することによって、インクジェットインクの性質に適合させた受け入れ層を有する試験基板(16)に第1の試験パターン(30)をプリントする第1のプリントステップであって、前記インクジェットプリントヘッドの各ノズルは少なくとも1本の線をプリントするように制御される、第1のプリントステップと、
少なくとも前記インクジェットプリントヘッドの解像度と等しい解像度を有するスキャナ(26)を使用して、前記プリントされた第1の試験パターンを走査し、このことにより前記プリントされた第1の試験パターンの第1の試験パターン走査データを取得する、第1の走査ステップと、
前記第1の試験パターン走査データから各ノズルのノズル状態を獲得し、こうして特定された不良ノズルに関する補償ファクタを決定し、このことにより補償したノズル制御データを取得する、第1の算出ステップと、
前記インクジェットプリンタのインクジェットプリントヘッドからインクジェットインクを噴射することによって、インクジェットインクの性質に適合させた受け入れ層を有する試験基板(16)に第2の試験パターン(36)をプリントする第2のプリントステップであって、前記噴射は前記補償したノズル制御データを使用して制御され、前記第2の試験パターンは少なくとも2つのエリアを含み、各エリアは異なるグレースケールを有する、第2のプリントステップと、
少なくとも前記インクジェットプリントヘッドの解像度と等しい解像度を有する前記スキャナ(26)を使用して、前記プリントされた第2の試験パターンを走査し、このことにより前記プリントされた第2の試験パターンの第2の試験パターン走査データを取得する、第2の走査ステップと、
異なるグレースケールを有する少なくとも2つのエリアの各々における前記第2の試験パターン走査データをそれぞれの前記エリアの前記グレースケールからの局所偏差に関して分析し、前記グレースケールの各々についてこうして特定された局所偏差に関する補正ファクタを決定し、このことによりそれぞれの前記グレースケールに関する補正したノズル制御データを取得する、第2の算出ステップであって、前記第2の
試験パターンはまた同じグレースケールを有する少なくとも2つのエリアも含み、これらのうち第1のエリアは前記インクジェットプリントヘッドの隣り合わないノズルによってプリントされ、第2のエリアは前記インクジェットプリントヘッドの他の隣り合わないノズルによってプリントされ、前記第2の算出ステップはまた、同じグレースケールを有する少なくとも2つのエリアの各々における前記第2の試験パターン走査データからそれぞれの前記エリアの前記グレースケールからの局所偏差に関して分析を行い、前記グレースケールの各々についてこうして特定された局所偏差に関する追加の補正ファクタを決定し、このことによりそれぞれの前記グレースケールに関する追加的に補正したノズル制御データを取得することも含む、第2の算出ステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記補償ファクタおよび/または前記補正ファクタはノズルによって噴射されるべきインクジェットインクの追加の体積として提示される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記補償したノズル制御データおよび/または前記補正したノズル制御データは、ノズルによって噴射されるべきインクジェットインク滴の追加の数として提示される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記試験基板(16)は、受け入れ層を有し、剛
直の、プラスチックフィルムである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
基板に画像をプリントするためのインクジェットプリンタ(10)のインクジェットプリントヘッド(12)における1つ以上の不良ノズルを検出し不良ノズルを補償するための、ならびに基板への画像のインクジェットプリントにおけるプリント画像の色均一性を補正するための、方法であって、
前記インクジェットプリンタのインクジェットプリントヘッドからインクジェットインクを噴射することによって、インクジェットインクの性質に適合させた受け入れ層を有する試験基板(16)に第1の試験パターン(30)をプリントする第1のプリントステップであって、前記インクジェットプリントヘッドの各ノズルは少なくとも1本の線をプリントするように制御される、第1のプリントステップと、
少なくとも前記インクジェットプリントヘッドの解像度と等しい解像度を有するスキャナ(26)を使用して、前記プリントされた第1の試験パターンを走査し、このことにより前記プリントされた第1の試験パターンの第1の試験パターン走査データを取得する、第1の走査ステップと、
前記第1の試験パターン走査データから各ノズルのノズル状態を獲得し、こうして特定された不良ノズルに関する補償ファクタを決定し、このことにより補償したノズル制御データを取得する、第1の算出ステップと、
前記インクジェットプリンタのインクジェットプリントヘッドからインクジェットインクを噴射することによって、インクジェットインクの性質に適合させた受け入れ層を有する試験基板(16)に第2の試験パターン(36)をプリントする第2のプリントステップであって、前記噴射は前記補償したノズル制御データを使用して制御され、前記第2の試験パターンは少なくとも2つのエリアを含み、各エリアは異なるグレースケールを有する、第2のプリントステップと、
少なくとも前記インクジェットプリントヘッドの解像度と等しい解像度を有する前記スキャナ(26)を使用して、前記プリントされた第2の試験パターンを走査し、このことにより前記プリントされた第2の試験パターンの第2の試験パターン走査データを取得する、第2の走査ステップと、
異なるグレースケールを有する少なくとも2つのエリアの各々における前記第2の試験パターン走査データをそれぞれの前記エリアの前記グレースケールからの局所偏差に関して分析し、前記グレースケールの各々についてこうして特定された局所偏差に関する補正ファクタを決定し、このことによりそれぞれの前記グレースケールに関する補正したノズル制御データを取得する、第2の算出ステップと、を含み、前記方法は、
前記インクジェットプリンタのインクジェットプリントヘッドからインクジェットインクを噴射することによって、インクジェットインクの性質に適合させた受け入れ層を有する試験基板に第3の試験パターンをプリントする第3のプリントステップであって、前記噴射は前記補償したノズルデータおよび前記補正したノズルデータを使用して制御され、前記第3の試験パターンは同じグレースケールを有する少なくとも2つのエリアを含み、これらのうち第1のエリアは前記インクジェットプリントヘッドの隣り合わないノズルによってプリントされ、第2のエリアは前記インクジェットプリントヘッドの他の隣り合わないノズルによってプリントされる、第3のプリントステップと、
少なくとも前記インクジェットプリントヘッドの解像度と等しい解像度を有する前記スキャナを使用して、前記プリントされた第3の試験パターンを走査し、このことにより前記プリントされた第3の試験パターンの第3の試験パターン走査データを取得する、第3の走査ステップと、
同じグレースケールを有する少なくとも2つのエリアの各々における前記第3の試験パターン走査データからそれぞれの前記エリアの前記グレースケールからの局所偏差に関して分析を行い、前記グレースケールの各々についてこうして特定された局所偏差に関する追加の補正ファクタを決定し、このことによりそれぞれの前記グレースケールに関する追加的に補正したノズル制御データを取得する、第3の算出ステップと、
を更に含む、方法。
【請求項6】
前記補償ファクタおよび/または前記補正ファクタはノズルによって噴射されるべきインクジェットインクの追加の体積として提示される、請求項
5に記載の方法。
【請求項7】
前記補償したノズル制御データおよび/または前記補正したノズル制御データは、ノズルによって噴射されるべきインクジェットインク滴の追加の数として提示される、請求項
5または
6に記載の方法。
【請求項8】
前記試験基板(16)は、受け入れ層を有し、剛
直の、プラスチックフィルムである、請求項
5から
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
基板に画像をプリントするためのインクジェットプリンタ(10)のインクジェットプリントヘッド(12)における1つ以上の不良ノズルを検出し不良ノズルを補償するための、ならびに基板への画像のインクジェットプリントにおけるプリント画像の色均一性を補正するための、システムであって、
ノズルを備えた少なくとも1つのプリントヘッド(12)を有するインクジェットプリンタ(10)であって、前記少なくとも1つのインクジェットプリントヘッドの前記ノズルを制御するように構成されている制御装置(24)を備えている、インクジェットプリンタ(10)と、
試験パターン走査データから前記インクジェットプリンタのインクジェットプリントヘッドにおける不良ノズルを補償し、その結果前記制御装置用の補正したノズル制御データを得るように構成されており、試験パターン走査データから色均一性を補正し、その結果前記制御装置用の補正したノズル制御データを得るように構成されており、試験パターンから過飽和を補正し、その結果追加的に補正したノズル制御データを得るように構成されている、コンピュータ(27)と、
少なくとも前記プリントヘッドの解像度と等しい解像度を有するスキャナ(26)と、
インクジェットインクの性質に適合させた受け入れ層を有する試験基板(16)と、を備え、
前記制御装置(24)は、前記インクジェットプリンタのインクジェットプリントヘッドからインクジェットインクを噴射することによって、インクジェットインクの性質に適合させた受け入れ層を有する試験基板(16)に、ノズルあたり少なくとも1本の線である第1の試験パターン(30)をプリントするように構成されており、前記補償したノズル制御データを使用して、前記インクジェットプリンタのインクジェットプリントヘッドからインクジェットインクを噴射することによって、インクジェットインクの性質に適合させた受け入れ層を有する試験基板(16)に、各エリアが異なるグレースケールを有する少なくとも2つのエリアを含む第2の試験パターン(36)をプリントするように構成されており、前記補償したノズル制御データおよび前記補正したノズル制御データを使用して、前記インクジェットプリンタのインクジェットプリントヘッドからインクジェットインクを噴射することによって、インクジェットインクの性質に適合させた受け入れ層を有する試験基板に、第1のエリアが隣り合わないノズルによってプリントされることになり第2のエリアが他の隣り合わないノズルによってプリントされることになる、同じグレースケールを有する少なくとも2つのエリアを含む、第3の試験パターンをプリントするように構成されており、前記追加的に補正したノズル制御データを使用して、前記インクジェットプリンタのインクジェットプリントヘッドからインクジェットインクを噴射することによって、画像をプリントするように構成されている、システム。
【請求項10】
インクジェットインクの性質に適合させた受け入れ層を有する試験基板(16)の数は、少なくとも前記プリントヘッドのプロセスカラーの数に2を加えた合計である、請求項
9に記載のシステム。
【請求項11】
基板に画像をプリントするためのインクジェットプリンタ(10)のインクジェットプリントヘッド(12)における1つ以上の不良ノズルを検出し不良ノズルを補償するための、ならびに基板への画像のインクジェットプリントにおけるプリント画像の色均一性を補正するための、システムであって、
ノズルを備えた少なくとも1つのプリントヘッド(12)を有するインクジェットプリンタ(10)であって、前記少なくとも1つのインクジェットプリントヘッドの前記ノズルを制御するように構成されている制御装置(24)を備えている、インクジェットプリンタ(10)と、
試験パターン走査データから前記インクジェットプリンタのインクジェットプリントヘッドにおける不良ノズルを補償し、その結果前記制御装置用の補正したノズル制御データを得るように構成されており、試験パターン走査データから色均一性を補正し、その結果前記制御装置用の補正したノズル制御データを得るように構成されており、試験パターンから過飽和を補正し、その結果追加的に補正したノズル制御データを得るように構成されている、コンピュータ(27)と、
少なくとも前記プリントヘッドの解像度と等しい解像度を有するスキャナ(26)と、
インクジェットインクの性質に適合させた受け入れ層を有する試験基板(16)と、を備え、
前記制御装置(24)は、前記インクジェットプリンタのインクジェットプリントヘッドからインクジェットインクを噴射することによって、インクジェットインクの性質に適合させた受け入れ層を有する試験基板(16)に、ノズルあたり少なくとも1本の線である第1の試験パターン(30)をプリントするように構成されており、前記補償したノズル制御データを使用して、前記インクジェットプリンタのインクジェットプリントヘッドからインクジェットインクを噴射することによって、インクジェットインクの性質に適合させた受け入れ層を有する試験基板(16)に、各エリアが異なるグレースケールを有する少なくとも2つのエリア、および、第1のエリアが隣り合わないノズルによってプリントされることになり第2のエリアが他の隣り合わないノズルによってプリントされることになる、同じグレースケールを有する少なくとも2つのエリアを含む、第2の試験パターン(36)をプリントするように構成されており、ならびに前記補償したノズル制御データおよび前記補正したノズル制御データを使用して、前記インクジェットプリンタのインクジェットプリントヘッドからインクジェットインクを噴射することによって、画像をプリントするように構成されている、システム。
【請求項12】
インクジェットインクの性質に適合させた受け入れ層を有する試験基板(16)の数は、少なくとも前記プリントヘッドのプロセスカラーの数に1を加えた合計である、請求項
11に記載のシステム。
【請求項13】
制御装置(24)を有するインクジェットプリンタ(10)のインクジェットプリントヘッド(12)からインクジェットインクを噴射するステップを含む、基板に画像をインクジェットプリントするインクジェットプリント方法であって、前記噴射するステップは、前記制御装置によって、請求項1から
8のいずれか一項に記載の方法によって取得される補償した制御ノズルデータならびに補正した制御ノズルデータおよび追加的に補正した制御ノズルデータを使用して制御される、インクジェットプリント方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリントにおける不良ノズル補償および不均一性補正に関し、特に、基板に画像をプリントするためのインクジェットプリンタのインクジェットプリントヘッドにおける1つ以上の不良ノズルを検出し、それを補償するための、ならびに、吐出されるインクのばらつきによって引き起こされる、異なるプリントヘッド間において巨視レベルでおよび各ノズルについて微視レベルで検知される不均一性を補正するための、方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリントにおいては、プリント画像の品質はとりわけ、インクジェットプリントヘッドのノズルの性能に依存する。ノズルが所定の仕様に従った性能を発揮しない場合には、画像品質が劣化する。指定位置においてノズルがインクジェットインクの要求される体積を塗布しないときに劣化が生じ得るが、これには、インクが全く噴射されずその結果いわゆる「白線(white line)」欠陥が生じる場合が含まれる。インクジェットインクが指定位置とは別の位置に塗布されると別の異常が生じるが、これにより局所的な強度の乱れが引き起こされる可能性がある。これらの欠陥は人間の目で見ることができ、プリント画像の見た目を損なう。場合によっては、これらの異常はノズルの詰まりによって引き起こされ得る。機能停止または機能不全の原因に関わらず、当技術分野ではそのようなノズルは「不良ノズル」として知られている。
【0003】
不良ノズルに対処するための様々な技法および解決法が知られており、この場合、走査式およびシングルパスのいずれかであるインクジェットプリンタのタイプも考慮に入れられる。走査式プリンタでは、プリントカラーバーのプリントヘッドは、例えば駆動されるキャリッジによって運ばれ、不動の基板の幅方向への反復的な走査動作を実行し、この間に基板に画像がプリントされる。こうして幅方向へのプリントヘッドのストローク中に、ノズルが基板の幅方向の線に沿ってプリントを行う。基板は、続くストロークの間に、プリントヘッドの次のストロークに備えて基板を配置するために長さ方向に移送される。走査式プリンタのマルチパスモードでは、複数回の反復するストローク中に基板に画像部分がプリントされ、その後で基板が移動される。走査式プリンタのシングルパスモードでは、1回のストローク中に画像部分がプリントされる。プリントカラーバーは、基板の移送方向に対して垂直な動作方向を有し、最大基板幅よりもかなり小さい。固定された位置にプリントヘッドを有するシングルパスプリンタは、ノズルを有する1つ以上のプリントヘッドの構成、例えば互い違いの配置で配置されてもよい複数の隣り合うプリントヘッドを担持する支持ビームを備え、この構成は少なくともプリントされることになる基板の幅にわたって延在する。典型的にはプリントヘッドは、機械方向に対して垂直に、固定して配置される。基板は例えばエンドレスベルトなどのコンベヤ機構に一時的に固定されて、連続的にプリンタを通されるが、これは走査システムにおける基板の間欠的な移送およびプリントヘッドの反復走査動作とは対照的である。シングルパスシステムでは、基板上の各位置には通常、各プロセスカラーに対して、プリントヘッド構成の1つのノズルが割り当てられる。基板の長さ方向の線に沿ってノズルがプリントを行う。
【0004】
不良ノズルの課題および欠点を克服するための1つの知られている技法は、基板に試験パターンをプリントし、次いでそれを不良ノズルに関して分析し、例えばプリントされた試験パターンの写真をカメラで撮影してその写真からコンピュータで不良ノズルを検出し、専用のアルゴリズムを使用して減衰による補償を行うものである。不良ノズルは典型的には停止され、実際のプリント中に1つ以上の(直接)隣り合うノズルに供給される追加のインクを割り当てることによって補償される。
【0005】
例えば特許文献1から、1つが不良ノズルに関連する濃度不足の補償が隣り合う(同じ色の)ノズルに伝えられるものであり、1つが不良ノズルに関連する濃度不足の補償が異なる色のプリントヘッドの対応するノズルに伝えられるものである、少なくとも2つの補償機構が使用される補償方法が知られている。ある実施形態によれば、濃度および濃度不足は、プリントプロセスの出力を取り込む、直列に配置された光学取り込みデバイスによって光学的に確定される。
【0006】
特許文献2から、インクジェットプリンタの不良ノズルを検出するための、および、プリントされることになる画像に関連している場合にそれを補償するための、試験パターンが知られている。試験パターンは、不良ノズルを特定するために特別に配置された線エリアと、複数のプロセスカラーをオーバープリントすることによってプリントされることになる様々なグレースケールを有する第2のエリアと、を備える。プリントされた試験パターンは、好ましくはRGBカメラである光学センサによって測定される。
【0007】
この現在使用されているカメラの欠点のうちの1つは、それらの視野幅が広いことであり、これはプリントされた試験パターンと比較して非常に大きく、このことが不良ノズルの検出を複雑にし、適用すべき補償の正確度を損なっている。カメラを直列に配置する際にはまた、撮影される写真ならびにしたがって続く分析および補償に影響する、取り込み中の環境からの光および反射の条件の変動も問題になる。
【0008】
典型的には各プリントヘッドには、様々な強度の目に見えるストリップとしてプリント方向に現れる、所与の比色グレーレベルに関してノズルごとに適用される、それ自体のインク体積の最小限だが目に見える差があることもまた、明らかになっている。不良ノズル補償を行ったプリントによって比色グレーレベルの均一性が改善されるが、プリントヘッドのこの不均一性の痕跡の更なる補正が望まれている。ここでもカメラの広い視野幅は、グレーレベルごとの様々な濃度を有するこれらのストリップと比較して大き過ぎる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】欧州特許出願第2952355号明細書
【文献】欧州特許出願第3332968号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
正確な補償および/または不均一なグレーレベルの補正を可能にし、このことにより、補償および/もしくは補正したノズルデータを使用してプリントされることになる画像の品質の改善、または、少なくともそのような好適な代替の方法およびシステムの提供を可能にする、インクジェットプリンタにおける不良ノズルに対処するための方法およびシステムを提供することが、本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の態様では、本発明は、基板に画像をプリントするためのインクジェットプリンタのインクジェットプリントヘッドにおける1つ以上の不良ノズルを検出し不良ノズルを補償するための、ならびに基板への画像のインクジェットプリントにおけるプリント画像の色均一性を補正するための、方法であって、
インクジェットプリンタのインクジェットプリントヘッドからインクジェットインクを噴射することによって、インクジェットインクの性質に適合させた受け入れ層を有する試験基板に第1の試験パターンをプリントする第1のプリントステップであって、インクジェットプリントヘッドの各ノズルは少なくとも1本の線をプリントするように制御される、第1のプリントステップと、
少なくともインクジェットプリントヘッドの解像度と等しい解像度を有するスキャナを使用して、プリントされた第1の試験パターンを走査し、このことによりプリントされた第1の試験パターンの第1の試験パターン走査データを取得する、第1の走査ステップと、
第1の試験パターン走査データから各ノズルのノズル状態を獲得し、こうして特定された不良ノズルに関する補償ファクタを決定し、このことにより補償したノズル制御データを取得する、第1の算出ステップと、
インクジェットプリンタのインクジェットプリントヘッドからインクジェットインクを噴射することによって、インクジェットインクの性質に適合させた受け入れ層を有する試験基板に第2の試験パターンをプリントする第2のプリントステップであって、この噴射は補償したノズル制御データを使用して制御され、第2の試験パターンは少なくとも2つのエリアを含み、各エリアは異なるグレースケールを有する、第2のプリントステップと、
少なくともインクジェットプリントヘッドの解像度と等しい解像度を有するスキャナを使用して、プリントされた第2の試験パターンを走査し、このことによりプリントされた第2の試験パターンの第2の試験パターン走査データを取得する、第2の走査ステップと、
異なるグレースケールを有する少なくとも2つのエリアの各々における第2の試験パターン走査データをそれぞれのエリアのグレースケールからの局所偏差に関して分析し、グレースケールの各々についてこうして特定された局所偏差に関する補正ファクタを決定し、このことによりそれぞれのグレースケールに関する補正したノズル制御データを取得する、第2の算出ステップと、を含む、方法、を提供する。
【0012】
本発明に係る方法は、第1の試験パターン走査データからコンピュータによって検出可能なプリントされた第1の試験パターン中の線欠陥を引き起こす、機能不全のノズルの検出および補償を含む。本発明では、この第1の試験パターンは、寸法の安定した試験基板、例えばPPから作製された白色のプラスチックフィルムシートなどにプリントされ、この基板には、水性インクジェットインクまたはUVインクジェットインクなどの使用されるインクジェットインクのタイプと適合する受け入れ層が設けられている。次いで、プリントされた基板はスキャナに移され、プリントされた試験基板はそこで光学的に走査される。スキャナは少なくとも検査中のプリントヘッドの解像度と等しい解像度、例えば1200dpiを有する。受け入れ層に起因して、プリントされた試験パターンは、走査データを処理すると個々のノズルの区別が可能になる適切な解像度を有するスキャナによって、明確に読み取り可能である。こうして取得されたデジタルの第1の試験パターン走査データは分析され、各ノズルの状態が決定され、不良ノズルが特定される。不良ノズルの補償は、好適なアルゴリズムを使用して、例えば、これらの不良ノズルの動作を停止し、インクジェットプリントヘッドにおける(直接)隣り合うノズルに関する補償ファクタを、インクジェットプリンタの制御装置に供給される補償したノズル制御データとして確立することによって、決定される。続いてこうして生成された補償したノズル制御データを使用して、異なる比色グレースケールのエリアを含む第2の試験パターンが、新しい専用の試験基板にプリントされる。こうして第2の試験パターンがプリントされた試験基板が走査されて、第2の試験パターン走査データが作成される。所与の比色グレースケールの各エリアについて、平均値が決定される。この平均値に対する局所偏差が決定され、局所偏差に関連するノズルに関する補正ファクタが適用され、その結果補正したノズル制御データが生成される。このことは異なる比色グレースケールのエリアの各々に対して行われる。典型的には、第1の試験パターンおよび第2の試験パターンは、全てのプロセスカラーについてそのような線およびエリアの下位パターンを有する。第2の試験パターンは、例えば90、80、60および30%のグレーレベルを有するエリアを含む。一般に、試験パターン、特に第2の試験パターンは、プリントヘッド位置合わせおよびノズル位置決定のためのインジケーションも含み、このことにより、特定のグレースケールのエリア内の局所的なグレースケールの変化を、あるノズル位置に割り当てることを可能になる。
【0013】
走査式プリントにおいてよりもシングルパスプリントにおいて生じる可能性の高い、試験基板の寸法がスキャナ台よりも大きい場合には、プリントされる試験パターンの部分の走査データの結合を算出ステップに含めてもよい。
【0014】
その後、インクジェットプリンタは、補償および補正したノズル制御データを使用して、幾何学的デザインなどの微細構造を単色または混色のより大きい均一なエリアと同時にプリントすることが可能な、高品質画像をプリントするプリントジョブを実行することができる。色アドレス指定能力(Colour addressability)およびプリント画像における精細な階調勾配が改善される。本発明の方法を使用して作製できる高品質のプリントの他に、追加の利点としては、本発明に係る方法を定期的に、例えば週1回行い、このことにより機能不全のプリントヘッドの尚早な交換を回避することによる、プリントヘッドの使用時間の延長が挙げられる。改善された画像品質によって、生産性を(m2/h)を上げることも可能になる。本発明の方法中に各プリントヘッドの性能を記録し、そこに例えば遠隔からアクセスして、操作スタッフに効果的な遠隔サポートおよび推奨機会を提供することができる。
【0015】
有利には、作動中のノズルに対する補償ファクタおよび補正ファクタが、前記作動中のノズルによって噴射されるべきインクジェットインクの追加の体積として提示され、これは負の数字の場合もある。同様に、補償したノズル制御データおよび/または補正したノズル制御データは、それぞれのノズルによって噴射されるべきインクジェットインク滴の追加の数として提示され、これも負の場合がある。
【0016】
本発明に係る方法は、走査型およびシングルパスの両方のインクジェットプリンタに適用可能である。走査式インクジェットプリンタにおいて本発明に係る方法を使用することによって、プリントジョブの主要な部分をより生産性の高いモードで実行すること、例えば複数のパス中の代わりに単一のパス中に画像をプリントすることが可能になる。シングルパスプリントの効果は、色同士の最適な位置合わせである。固定されたプリントヘッドを有するシングルパスインクジェットプリンタにおいて本発明に係る方法を使用することによって、主として均一性を改善することが可能になる。走査式プリンタはプリントヘッドが複数回反復動作することから不良ノズルを補償する他の方法を提供することができ、本発明から最も利益を得るのはシングルパスインクジェットプリンタである。
【0017】
有利には、スキャナは両面RGB照明(twosided RGB illumination)を備えている。
【0018】
いくつかのプロセスカラーにおいて、および例えば80%および95%のより高い濃淡値において、過飽和が起こり得ることが明らかになっている。その1つの原因はスキャナにおける照明である場合があり、その結果、算出ステップにおいて局所偏差の区別ができなくなる。ある実施形態では、方法は、
インクジェットプリンタのインクジェットプリントヘッドからインクジェットインクを噴射することによって、インクジェットインクの性質に適合させた受け入れ層を有する試験基板に第3の試験パターンをプリントする第3のプリントステップであって、この噴射は補償したノズルデータおよび補正したノズルデータを使用して制御され、第3の試験パターンは同じグレースケールを有する少なくとも2つのエリアを含み、これらのうち第1のエリアはインクジェットプリントヘッドの隣り合わないノズル、例えば奇数番のノズルによってプリントされ、第2のエリアはインクジェットプリントヘッドの他の隣り合わないノズル、例えば偶数番のノズルによってプリントされる、第3のプリントステップと、
少なくともインクジェットプリントヘッドの解像度と等しい解像度を有するスキャナを使用して、プリントされた第3の試験パターンを走査し、このことによりプリントされた第3の試験パターンの第3の試験パターン走査データを取得する、第3の走査ステップと、
同じグレースケールを有する少なくとも2つのエリアの各々における第3の試験パターン走査データをそれぞれのエリアのグレースケールからの局所偏差に関して分析し、グレースケールの各々についてこうして特定された局所偏差に関する追加の補正ファクタを決定し、このことによりそれぞれのグレースケールに関する追加的に補正したノズル制御データを取得する、第3の算出ステップと、を含む。
【0019】
プリントヘッドのノズルを、隣り合うノズルが異なるグループに割り当てられるようにしてグループに分割することで、プリントされた比色濃淡値の高いエリアは「より明るく」見え、したがってスキャナがより良好に読み取り可能である。
【0020】
有利には、第1のエリアがインクジェットプリントヘッドの隣り合わないノズル、例えば奇数番のノズルによってプリントされることになり、第2のエリアがインクジェットプリントヘッドの他の隣り合わないノズル、例えば偶数番のノズルによってプリントされることになる、同じグレースケールを有する少なくとも2つのエリアを含む、第3の試験パターンが存在する場合、これが第2の試験パターンに追加され、組み込まれている第2の算出ステップは更に、同じグレースケールを有する少なくとも2つのエリアの各々における第2の試験パターン走査データからそれぞれのエリアのグレースケールからの局所偏差に関して分析を行い、グレースケールの各々についてこうして特定された局所偏差に関する追加の補正ファクタを決定し、このことによりそれぞれのグレースケールに関する追加的に補正したノズル制御データを取得する。
【0021】
第2の態様によれば、本発明は、基板に画像をプリントするためのインクジェットプリンタのインクジェットプリントヘッドにおける1つ以上の不良ノズルを検出し不良ノズルを補償するための、ならびに基板への画像のインクジェットプリントにおけるプリント画像の色均一性を補正するための、システムであって、
ノズルを備えた少なくとも1つのプリントヘッドを有するインクジェットプリンタであって、少なくとも1つのインクジェットプリントヘッドのノズルを制御するように構成されている制御装置を備えている、インクジェットプリンタと、
試験パターン走査データからインクジェットプリンタのインクジェットプリントヘッドにおける不良ノズルを補償し、その結果制御装置用の補正したノズル制御データを得るように構成されており、試験パターン走査データから色均一性を補正し、その結果制御装置用の補正したノズル制御データを得るように構成されている、コンピュータと、
少なくともプリントヘッドの解像度と等しい解像度を有するスキャナと、
インクジェットインクの性質に適合させた受け入れ層を有する試験基板と、を備える、システム、に関する。好ましくは、試験基板の数は少なくとも、プリンタのプロセスカラーの数(プロセスカラーごとに1つの、第2の試験パターンをプリントするための試験基板)に、1(全プロセスカラーについての第1の試験パターンを一斉にプリントするためのもの)を加えた合計である。
【0022】
更に別の態様では、本発明は、ノズルを備えた少なくとも1つのインクジェットプリントヘッドと、少なくとも1つのプリントヘッドのノズルを制御するように構成されている制御装置と、試験パターン走査データからインクジェットプリンタのインクジェットプリントヘッドにおける不良ノズルを補償し、その結果制御装置用の補正したノズル制御データを得るように構成されており、試験パターン走査データから色均一性を補正し、その結果制御装置用の補正したノズル制御データを得るように構成されている、本発明に係る方法またはシステムで使用されることが明らかに意図された、コンピュータと、を有する、基板に画像をプリントするためのインクジェットプリンタに関する。
【0023】
上で説明したような本発明に係る方法を実行するように構成されているこのシステムと共に、インクジェットプリンタは、本発明に係る方法に関して上で説明したのと同じ利点を提供するように構成されている。制御装置は典型的にはまた、上で特定したような、第1の試験パターンおよび第2の試験パターン、ならびに任意選択的に第3の試験パターンを、インクジェットプリントするようにも構成されている。したがって、制御装置は、インクジェットプリンタのインクジェットプリントヘッドからインクジェットインクを噴射することによって、インクジェットインクの性質に適合させた受け入れ層を有する試験基板に、ノズルあたり少なくとも1本の線である第1の試験パターンをプリントするように構成されており、補償したノズル制御データを使用してインクジェットプリンタのインクジェットプリントヘッドからインクジェットインクを噴射することによって、インクジェットインクの性質に適合させた受け入れ層を有する試験基板に、各エリアが異なるグレースケールを有する少なくとも2つのエリアを含む第2の試験パターンをプリントするように構成されており、補償したノズル制御データおよび補正したノズル制御データを使用してインクジェットプリンタのインクジェットプリントヘッドからインクジェットインクを噴射することによって、画像をプリントするように構成されている。
【0024】
更なる態様では、本発明は、制御装置を有するインクジェットプリンタのインクジェットプリントヘッドからインクジェットインクを噴射するステップを含む、基板に画像をインクジェットプリントするインクジェットプリント方法であって、このステップは、制御装置によって、本発明に係る方法によって取得される補償した制御ノズルデータならびに補正した制御ノズルデータおよび/または追加的に補正した制御ノズルデータを使用して制御される、インクジェットプリント方法、に関する。
【0025】
本発明について以下の図面で更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明に係る方法の実施形態のフロー図である。
【
図2】本発明に係るシステムの実施形態の概略図である。
【
図3】プリントされた第1の試験パターンの例である。
【
図4】プリントされた第2の試験パターンの例である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、走査式プリントおよびシングルパスプリントの両方で使用され得る、本発明に係る方法の実施形態のフロー図である。ステップ1では、使用されるインクジェットインクと適合可能な受け入れ層を有する試験基板に、各ノズルを使用して、第1の試験線パターンがプリントされる。ステップ2では、受け入れ層上に第1の試験線パターンがプリントされた試験基板が走査され、このことにより、プリントされた第1の試験線パターンのデジタル走査データが作成される。ステップ3では、作成されたデジタル走査データが分析され、各ノズルの状態が決定される。ノズルに関連する検出された欠陥が特定の閾値を上回る場合に、ノズルは不良ノズルとして分類され得る。こうして特定された不良ノズルに、このノズルの動作を停止させる適切なノズル制御データが割り当てられる。不良ノズルを補償するために、隣り合うノズルに補償ファクタが割り当てられ、このことにより、これらの隣り合うノズルに関する補償したノズル制御データが生成される。これらの不良ノズルおよび補償したノズル制御データは、記録され、インクジェットプリンタの制御装置に供給されるか、またはこれによって読み取られる。続くステップ4で、これらの新しい制御データを使用して、新しい専用の試験基板上の受け入れ層に、異なる比色濃淡値のエリアを有する第2の試験パターンがプリントされる。ステップ5では、プリントされた第2の試験パターンの走査データが作製され、ステップ6で、このデジタルの第2の試験パターン走査データが更に処理される。このステップでは、プリントされるエリアの平均比色グレースケールが決定され、平均からの局所偏差も決定される。一般に、プリンタのプロセスカラーごとに、別々の試験基板に第2の試験パターンがプリントされる。色均一性を改善するために、局所偏差に関連するノズルに関する補正ファクタがこれらのノズルに割り当てられ、このことにより補正したノズル制御データが生成される。この決定および割り当てプロセスに、やはり閾値が組み込まれてもよい。補正したノズル制御データもやはり記録され、この結果、ステップ7に示すように、次のプリントジョブでインクジェットプリンタの制御装置が使用するために利用可能となる。
【0028】
隣り合わないノズルの選択されたグループによってプリントされることになる、同じ比色グレースケールを有するエリアの第3の試験パターンを、第2の試験パターンに組み込んでもよい。代替として、第3のプリントステップにおいて、そのような第3の試験パターンが、補償および補正したノズル制御データを使用して専用の試験基板にプリントされてもよく、このプリントされた基板は、説明したように、追加的に補正したノズル制御データを生成するために、走査および分析される。その後、補償したおよび(追加的に)補正した制御ノズルデータを使用して、プリントジョブが実行される。
【0029】
図2は、本発明に係るシステムの実施形態を示す。システムはインクジェットプリンタ10、この実施形態では各プロセスカラー、例えば基本色YMCK用のインクジェットプリントヘッド12のアレイを有するシングルパスインクジェットプリンタを備える。プリントヘッド12は、支持ビーム14上に固定して配置される。プリントヘッド12のノズルは機械方向に対して垂直に配置されており、少なくともプリントされることになる基板の幅にわたって延在する。プリントヘッド12を互い違いに構成することも可能である。プリントヘッド12の不良ノズルを検査するために使用される試験基板は、参照符号16で示されている。この試験基板16は、例えばコンベヤベルト22に一時的に付着されて、インクジェットプリンタ10の中を供給部18から出口20まで移送される。インクジェットプリンタ10は、プリントヘッド12のノズルを制御するように構成されている制御装置24を備えている。スキャナ26は、試験パターンによってプリントされている試験基板16を走査するように構成されている。試験パターンのデジタル走査データは、第1の試験パターンのデジタル走査データから個々の不良ノズルを特定し、不良ノズルと隣り合うノズルに補償ファクタを割り当てるように構成されているプロセッサ28を有する、コンピュータ27によって処理される。これらの補償ファクタから算出された補償したノズル制御データが、例えばコンピュータ27のメモリ29に記録され、次いで同じくスキャナ26によって走査される第2の試験パターンを試験基板16にプリントするために、制御装置24によって使用される。コンピュータ27は更に、互いに別個のグレースケールを有するエリアの各々の平均濃淡値を計算するように、および局所値を比較して逸脱するグレースケールを有する局所スポットを特定するように、および均一性補正ファクタをこれらの局所スポットにあるノズルに割り当て、局所的な逸脱スポットに関連するこれらのノズルについて、均一性を補正したノズル制御データを生成するように構成されている。これらのデータもまた記録され、制御装置24に移されて、実際のプリントジョブを実行するために使用される。
【0030】
各色用の各ノズルによってプリントされるべき線を有するプリントされた第1の試験パターンを図式的に描いた例が、
図3に示されている。プリントヘッド12のアレイの全幅を覆う線パターンが、30で示されている。正方形32およびストリップ34は、それぞれのプリントヘッドの位置(およびしたがってノズルの位置)を表す、ならびにそれらの位置合わせのための、マークである。
【0031】
図4は、異なるグレーレベルのエリアまたはストリップを有する、色に関するプリントされた第2の試験パターン36を、図式的に表した例を示す。
【符号の説明】
【0032】
10 インクジェットプリンタ
12 インクジェットプリントヘッド
14 支持ビーム
16 試験基板
18 供給部
20 出口
22 コンベヤベルト
24 制御装置
26 スキャナ
27 コンピュータ
28 プロセッサ
29 メモリ
30 第1の試験パターン
32 正方形
34 ストリップ
36 第2の試験パターン