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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】テーブルおよびベッド装置
(51)【国際特許分類】
   A47B 23/02 20060101AFI20240930BHJP
   A47B 5/04 20060101ALI20240930BHJP
   A47B 83/04 20060101ALI20240930BHJP
   A47B 3/00 20060101ALI20240930BHJP
   A47C 19/22 20060101ALI20240930BHJP
   A61G 7/05 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
A47B23/02
A47B5/04
A47B83/04
A47B3/00 Z
A47C19/22 Z
A61G7/05
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022090196
(22)【出願日】2022-06-02
(65)【公開番号】P2023177488
(43)【公開日】2023-12-14
【審査請求日】2024-01-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000010032
【氏名又は名称】フランスベッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】緑川 明浩
(72)【発明者】
【氏名】舟生 康輝
【審査官】神尾 寧
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-177467(JP,A)
【文献】特開2008-104553(JP,A)
【文献】特開平07-298930(JP,A)
【文献】特開平08-117031(JP,A)
【文献】実開平01-121435(JP,U)
【文献】実開平01-095131(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 23/02
A47B 5/04
A47B 83/04
A47B 3/00
A47C 19/22
A61G 7/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端部と、前記第1端部の反対側の第2端部とを有する天板と、
前記第1端部と前記第2端部が水平な水平状態と、前記第1端部が前記第2端部よりも下方に位置する折畳状態との間で回動可能となるように前記天板を支持する支持部と、
前記水平状態から前記折畳状態への前記天板の回動を規制するロック位置と、前記水平状態から前記折畳状態への前記天板の回動を許容する非ロック位置との間で変位可能なロック部材を含むロック機構と、
を備え、
前記ロック機構は、前記天板が前記水平状態である場合に前記ロック位置から前記非ロック位置への前記ロック部材の変位を規制し、前記第1端部が前記水平状態から持ち上げられた場合に前記ロック位置から前記非ロック位置への前記ロック部材の変位を許容
前記ロック機構は、
鉛直方向に延びるガイド溝と、
前記天板に対し回動可能に連結されたアームと、
前記アームに設けられ、前記天板が前記水平状態から前記折畳状態へと回動するに伴い、前記ガイド溝の内側で前記鉛直方向の下方に移動するピンと、
を含み、
前記ロック部材は、前記ロック位置において前記ガイド溝の一部を塞ぐとともに、前記非ロック位置において前記ガイド溝を開放する、テーブル。
【請求項2】
前記ロック部材は、
前記天板の姿勢が前記水平状態のとき、前記ロック位置において前記ピンを受けるピン受け面と、
前記ピン受け面よりも前記鉛直方向の上方に突出した規制部と、
を有し、
前記天板の姿勢が前記水平状態のとき、前記規制部が前記ピン受け面によって受けられた前記ピンと当接することにより、前記ロック位置から前記非ロック位置への前記ロック部材の変位が規制され、
前記第1端部が前記水平状態から持ち上げられたとき、前記ピンが前記ピン受け面から離間し、前記ロック位置から前記非ロック位置への前記ロック部材の変位が許容される、
請求項に記載のテーブル。
【請求項3】
床板と、
ーブルと、
前記テーブルが取り付けられる被取付部と、
を備え
前記被取付部は、鉛直方向に並ぶ一対の被係止部材を備え、
前記テーブルは、
第1端部と、前記第1端部の反対側の第2端部とを有する天板と、
前記第1端部と前記第2端部が水平な水平状態と、前記第1端部が前記第2端部よりも下方に位置する折畳状態との間で回動可能となるように前記天板を支持する支持部と、
前記水平状態から前記折畳状態への前記天板の回動を規制するロック位置と、前記水平状態から前記折畳状態への前記天板の回動を許容する非ロック位置との間で変位可能なロック部材を含むロック機構と、
前記一対の被係止部材に係止可能な前記鉛直方向に並ぶ一対のフックと、
を備える、ベッド装置。
【請求項4】
前記ロック機構は、前記天板が前記水平状態である場合に前記ロック位置から前記非ロック位置への前記ロック部材の変位を規制し、前記第1端部が前記水平状態から持ち上げられた場合に前記ロック位置から前記非ロック位置への前記ロック部材の変位を許容する、
請求項3に記載のベッド装置。
【請求項5】
前記ロック機構は、
前記鉛直方向に延びるガイド溝と、
前記天板に対し回動可能に連結されたアームと、
前記アームに設けられ、前記天板が前記水平状態から前記折畳状態へと回動するに伴い、前記ガイド溝の内側で前記鉛直方向の下方に移動するピンと、
を含み、
前記ロック部材は、前記ロック位置において前記ガイド溝の一部を塞ぐとともに、前記非ロック位置において前記ガイド溝を開放する、
請求項3または4に記載のベッド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳み式のテーブルおよび当該テーブルを備えたベッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ベッド装置に取り付け可能なテーブルが知られている。この種のテーブルは、例えば、医師が患者を診察または治療する際に、その作業に必要な器具や小物類の置き場や、記録用紙への記入台として使用される。
【0003】
固定式のテーブルは未使用時にも居室内の空間の一部を占有するため、医師や看護師の作業の邪魔になるし、歩行中の患者に当たる可能性もある。そこで、天板を折り畳み可能なテーブルも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-298930号公報
【文献】特開2012-187279号公報
【文献】特開2015-204893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
折り畳み式のテーブルは、一般に、使用時には天板が水平な状態でロックされ、折り畳み時には使用者の操作によってこのロックが解除される。このような構成においては、使用者が不意にテーブルに当たった際の衝撃などでロックが解除され、天板が倒れる可能性がある。
【0006】
一方で、ロックが解除されにくい構造を採用すると、折り畳み時における使用者のロック解除のための操作が複雑となり、テーブルが使いにくいものになりかねない。
【0007】
このような事情に鑑み、本発明は、安全性を高めつつも容易に折り畳むことが可能なテーブルおよび当該テーブルを備えたベッド装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態に係るテーブルは、天板と、支持部と、ロック機構とを備えている。前記天板は、第1端部と、前記第1端部の反対側の第2端部とを有している。前記支持部は、前記第1端部と前記第2端部が水平な水平状態と、前記第1端部が前記第2端部よりも下方に位置する折畳状態との間で回動可能となるように前記天板を支持する。前記ロック機構は、前記水平状態から前記折畳状態への前記天板の回動を規制するロック位置と、前記水平状態から前記折畳状態への前記天板の回動を許容する非ロック位置との間で変位可能である。さらに、前記ロック機構は、前記天板が前記水平状態である場合に前記ロック位置から前記非ロック位置への前記ロック部材の変位を規制し、前記第1端部が前記水平状態から持ち上げられた場合に前記ロック位置から前記非ロック位置への前記ロック部材の変位を許容する。
【0009】
例えば、前記ロック機構は、鉛直方向に延びるガイド溝と、前記天板に対し回動可能に連結されたアームと、前記アームに設けられ、前記天板が前記水平状態から前記折畳状態へと回動するに伴い、前記ガイド溝の内側で前記鉛直方向の下方に移動するピンとを含んでいる。さらに、前記ロック部材は、前記ロック位置において前記ガイド溝の一部を塞ぐとともに、前記非ロック位置において前記ガイド溝を開放する。
【0010】
前記ロック部材は、前記天板の姿勢が前記水平状態のとき、前記ロック位置において前記ピンを受けるピン受け面と、前記ピン受け面よりも前記鉛直方向の上方に突出した規制部とを有してもよい。この場合において、前記天板の姿勢が前記水平状態のとき、前記規制部が前記ピン受け面によって受けられた前記ピンと当接することにより、前記ロック位置から前記非ロック位置への前記ロック部材の変位が規制されてもよい。さらに、前記第1端部が前記水平状態から持ち上げられたとき、前記ピンが前記ピン受け面から離間し、前記ロック位置から前記非ロック位置への前記ロック部材の変位が許容されてもよい。
【0011】
一実施形態に係るベッド装置は、床板と、前記テーブルと、前記テーブルが取り付けられる被取付部とを備えている。
【0012】
前記被取付部は、前記鉛直方向に並ぶ一対の被係止部材を備えてもよい。この場合において、前記テーブルは、前記一対の被係止部材に係止可能な前記鉛直方向に並ぶ一対のフックを備えてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、安全性を高めつつも容易に折り畳むことが可能なテーブルおよび当該テーブルを備えたベッド装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、一実施形態に係るベッド装置の概略的な側面図である。
図2図2は、一実施形態に係るベッド装置の概略的な平面図である。
図3図3は、一実施形態に係るベッド装置を図1とは異なる方向から見た概略的な側面図である。
図4図4は、フットボードから取り外されたテーブルの概略的な側面図である。
図5図5は、図4におけるV-V線に沿うテーブルの概略的な断面図である。
図6図6は、天板が水平状態であるテーブルの概略的な断面図である。
図7図7は、フレームに連結された第1ブラケットと、ロックレバーが取り付けられた第2ブラケットとを示す概略的な分解図である。
図8図8は、第2ブラケットおよびロックレバーの(a)概略的な平面図および(b)概略的な断面図である。
図9図9は、ロック機構の動作を説明するための図である。
図10図10は、規制部に適用し得る形状の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
一実施形態につき図面を参照しながら説明する。
本実施形態においては、一例として、電動式のベッド装置と、このベッド装置に取り付け可能な折り畳み式のテーブルとを開示する。ただし、本実施形態において開示するテーブルは、例えば電気的な制御要素を備えないベッド装置など、他種のベッド装置にも適用し得る。
【0016】
また、本実施形態において開示するテーブルは、必ずしもベッド装置に取り付けられる必要はなく、ベッド装置以外の物に取り付けられてもよい。さらに、当該テーブルのうち、特に折り畳みに関する構成は、床面に置かれる脚部を有した自律式のテーブルに適用されてもよい。
【0017】
図1は、本実施形態に係るベッド装置1の概略的な側面図である。図2は、ベッド装置1の概略的な平面図である。図3は、ベッド装置1を図1とは異なる方向から見た概略的な側面図である。
【0018】
以下の説明においては、各図に示したように第1方向X(ベッド装置1等の長手方向)、第2方向Y(ベッド装置1等の幅方向)および第3方向Z(鉛直方向)を定義する。本実施系形態においては、これら方向X,Y,Zが互いに直交する。
【0019】
図1および図2に示すように、ベッド装置1は、ベッドフレーム2と、ベッドフレーム2の上に配置された床板体3と、駆動機構4と、ヘッドボード5Aと、フットボード5Bとを備えている。ベッドフレーム2および床板体3は、いずれも第1方向Xに長尺な形状を有している。
【0020】
床板体3は、第1方向Xに並ぶ複数の床板を有している。これら床板は、第2方向Yと平行な軸を中心として回動可能となるように連結されている。図1に示すように、床板体3の上にはマットレスMが置かれる。図2においてはマットレスMの外形を鎖線で示している。
【0021】
例えば、駆動機構4は、床板体3を上昇および下降させる。また、駆動機構4は、床板体3を種々の形状に変形させる。この変形により実現可能な床板体3の形状としては、床板体3を構成する複数の床板のうち、使用者の背部を支えるものを起こす背上げ姿勢や、脚部を支えるものを起こす脚上げ姿勢などが挙げられる。
【0022】
ヘッドボード5Aおよびフットボード5Bは、ベッドフレーム2に取り付けられている。ヘッドボード5Aは床板体3の頭側(図1および図2における左側)の端部に位置し、フットボード5Bは床板体3の足側(図1および図2における右側)の端部に位置している。
【0023】
ベッド装置1は、折り畳み式のテーブル6をさらに備えている。テーブル6は、天板7と、天板7を支持する支持部8とを備えている。天板7は、例えば図2に示すように第1方向Xにおける幅よりも第2方向Yにおける幅が大きい矩形平板状である。ただし、天板7の形状はこの例に限られない。
【0024】
天板7は、第1方向Xにおいて第1端部71と第2端部72を有している。図1乃至図3の例においては、テーブル6がフットボード5Bの外側に取り付けられている。天板7は、フットボード5Bよりも第1方向Xに突出している。すなわち、天板7の第1端部71は、フットボード5Bや床板体3と第3方向Zにおいて重ならない位置にある。一方で、天板7の第2端部72は、フットボード5Bの上方に位置している。
【0025】
図3に示すように、フットボード5Bは、第2方向Yと第3方向Zで規定されるY-Z平面と平行なボード部51と、バー52とを有している。ボード部51の上部には、凹部51aが設けられている。バー52は、この凹部51aを横切るように配置されている。凹部51aにおけるボード部51の上縁51bは、バー52と間隔を空けて対向している。
【0026】
テーブル6は、第3方向Zに並ぶ少なくとも一対のフック85,86をさらに備えている。フック85はバー52に係止され、フック86は凹部51aにおけるボード部51の上縁51bに係止されている。すなわち、バー52およびボード部51は、フック85,86が係止される被係止部材の一例である。また、フットボード5Bは、テーブル6が取り付けられる被取付部の一例である。
【0027】
被取付部は、フットボード5Bに限られない。例えば、ヘッドボード5Aがフットボード5Bと同じ構造を有し、テーブル6がヘッドボード5Aに取り付けられてもよい。
【0028】
続いて、テーブル6の構成について説明する。
図1乃至図3の例においては、天板7が第1方向Xおよび第2方向Yと平行である。具体的には、第1端部71と第2端部72が水平(第3方向Zにおける位置が同じ)である。以下、このような天板7の姿勢を水平状態と呼ぶ。
【0029】
図4は、フットボード5Bから取り外されたテーブル6を第1方向Xに見た概略的な側面図である。図5は、図4におけるV-V線に沿うテーブル6の概略的な断面図である。図4および図5においては、天板7が第2方向Yおよび第3方向Zと平行となるように折り畳まれ、天板7の第1端部71が第2端部72よりも下方に位置している。以下の説明においては、このような天板7の姿勢を折畳状態と呼ぶ。
【0030】
図4および図5に示すように、支持部8は、U字型のフレーム81と、フレーム81に連結されたバー82と、天板7の裏面に取り付けられた連結部材83とを備えている。
【0031】
フレーム81は、第3方向Zと平行に延びる一対の鉛直部分811と、これら鉛直部分811を接続し第2方向Yと平行に延びる水平部分812とを含む。鉛直部分811および水平部分812は、例えば金属材料で形成されている。図4および図5の例においては、水平部分812に一対の保護部材813が設けられている。これら保護部材813は、水平部分812よりも柔らかい樹脂やゴムによって形成されている。
【0032】
バー82は、第2方向Yと平行に延びている、バー82の両端部は、一対の鉛直部分811にそれぞれ接続されている。連結部材83は、一対の鉛直部分811のそれぞれに対し、連結ピン84によって回動可能に連結されている。この回動の軸AX1は、第2方向Yと平行である。
【0033】
図4および図5の例においては、一対の鉛直部分811のそれぞれに対し、上述のフック85,86が設けられている。フック85はバー82よりも上方に位置し、フック86はバー82と水平部分812の間に位置している。
【0034】
テーブル6は、ロック機構9をさらに備えている。図4および図5に示すように、ロック機構9は、第1ブラケット91と、第2ブラケット92と、ロックレバー93とを備えている。
【0035】
第1ブラケット91および第2ブラケット92は、図4に示すように第2方向Yにおけるテーブル6の中心に位置し、図5に示すように第3方向Zに長尺な形状を有している。第1ブラケット91の両端部は、フレーム81の水平部分812とバー82にそれぞれ接続されている。第2ブラケット92は、例えばねじS1,S2によって第1ブラケット91に取り付けられている。ねじS1,S2に代えて、ボルトとナットにより第2ブラケット92が第1ブラケット91に取り付けられてもよい。折畳状態においては、第2ブラケット92が第1ブラケット91と天板7の間に位置している。
【0036】
ロックレバー93は、本実施形態におけるロック部材の一例である。ロックレバー93は、連結ピン94によって第2ブラケット92に対し回動可能に取り付けられている。図4に示すように、ロックレバー93の回動の軸AX2は軸AX1と平行である。
【0037】
ロック機構9は、連結部材95と、一対のアーム96と、ロックピン97とをさらに備えている。連結部材95は、連結部材83よりも第1端部71に近い位置において、天板7の裏面に取り付けられている。一対のアーム96は、連結部材95に対し連結ピン98によって回動可能に連結されている。図4に示すように、アーム96の回動の軸AX3は軸AX1,AX2と平行である。
【0038】
図4に示すように、一対のアーム96は、第2方向Yにおける第1ブラケット91の両側方に位置している。図5に示すように、一対のアーム96は、折畳状態においては第3方向Zと平行に延びている。ロックピン97は、これらアーム96の先端に接続され、第2方向Yと平行に延びている。
【0039】
図6は、天板7が水平状態であるテーブル6の概略的な断面図である。この図においては、折畳状態から水平状態に移行する途中の天板7(7T)を鎖線で示している。さらに、破線で示す天板7(7R)は、水平状態から折畳状態に移行する前の折畳準備状態を示している。折畳準備状態においては、第1端部71が第2端部72よりも第3方向Zにおける上方に位置するように天板7が持ち上げられている。このように天板7を持ち上げることが可能な最大の角度θは、例えば10°以下であり、一例では8°である。ここで、角度θは、天板7の上面または下面が第1方向Xと成す角度である。
【0040】
ロック機構9は、第3方向Zに延びるガイド溝99をさらに有している。ロックピン97は、このガイド溝99に通されている。折畳状態と水平状態との間で姿勢を変更する際に、天板7は、連結ピン84を中心として支持部8に対し回動する。この回動に伴い、アーム96およびロックピン97の位置も変化する。具体的には、ロックピン97は、折畳状態においてはガイド溝99の下端付近に位置し、水平状態においてはガイド溝99の上端付近に位置する。
【0041】
詳しくは後述するが、水平状態においては、ロックピン97がロックレバー93によって支持される。これにより、ロックピン97の下降が規制され、結果として天板7の姿勢が維持される。
【0042】
ロックピン97は、水平状態においてもガイド溝99内を僅かに上方に移動可能である。これにより、水平状態の天板7を折畳準備状態へと回動させることができる。
【0043】
図7は、フレーム81に連結された第1ブラケット91と、ロックレバー93が取り付けられた第2ブラケット92とを示す概略的な分解図である。第1ブラケット91は、第3方向Zにおける両端部にそれぞれ取付孔911,912を有している。第2ブラケット92は、第3方向Zにおける両端部にそれぞれ取付孔921,922を有している。取付孔911と取付孔921には上述のねじS1が挿入され、取付孔912と取付孔922には上述のねじS2が挿入される。
【0044】
第1ブラケット91は、第3方向Zに長尺な凹部913をさらに有している。第1ブラケット91に対して第2ブラケット92を取り付けると、この凹部913のうち図中の右側の一部が第2ブラケット92によって塞がれる。また、凹部913の底部913aは、第2ブラケット92の側縁92aと第1方向Xに間隔を空けて対向する。これら底部913aと側縁92aの間の空間が、上述のガイド溝99に相当する。
【0045】
図8は、第2ブラケット92およびロックレバー93の(a)概略的な平面図および(b)概略的な断面図である。ロックレバー93は、一対の側壁930と、これら側壁930を接続する第1ブリッジ931および第2ブリッジ932とを有している。
【0046】
各側壁930は、第2ブラケット92の第2方向Yにおける側面に面している。第1ブリッジ931および第2ブリッジ932は、第2ブラケット92の第1方向Xにおける側面923に面している。
【0047】
第1ブリッジ931と第2ブリッジ932は、第3方向Zに間隔を空けて並んでいる。第2ブリッジ932は、第1ブリッジ931よりも下方に位置している。第2ブリッジ932は、第1ブリッジ931よりも第1方向Xに突出している。上述の連結ピン94は、第3方向Zにおいて第1ブリッジ931と第2ブリッジ932の間に位置している。
【0048】
第2ブラケット92は、側面923に設けられた有底筒状のカップ924を有している。カップ924は、第2ブリッジ932と第1方向Xに対向している。カップ924と第2ブリッジ932の間には、弾性体の一例であるコイルばね933が配置されている。コイルばね933は、常に圧縮された状態であり、側面923から離れる方向に第2ブリッジ932を付勢している。
【0049】
図8(b)においては、第1ブリッジ931が側面923に接触し、第2ブリッジ932が側面923と離間している。この状態において第2ブリッジ932が図中の左方に押されると、コイルばね933が圧縮されるとともに連結ピン94を中心にロックレバー93が回動し、第1ブリッジ931が側面923から離間する。
【0050】
ロックレバー93は、一対の突出部934をさらに有している。これら突出部934は、一対の側壁930に設けられている。図8(b)に示すように、第1ブリッジ931が側面923に接触した状態においては、突出部934の一部が側縁92aから突出している。
【0051】
図9は、ロック機構9の動作を説明するための図である。突出部934は、ロックピン97を受けるためのピン受け面934aと、規制部934bと、傾斜面934cとを有している。ピン受け面934aは、上方(第3方向Z)に向いた平面または曲面である。規制部934bは、突出部934の先端に位置し、ピン受け面934aよりも上方に突出している。傾斜面934cは、第3方向Zにおいてピン受け面934aの反対側に位置している。
【0052】
ロックレバー93は、図9(a)(b)(c)に示すように、連結ピン94を中心として回動する。図9(a)は、天板7の姿勢が水平状態であり、かつ第2ブリッジ932が押されていない状態に相当する。このとき、突出部934がガイド溝99の一部を塞ぐ。以下、このようなロックレバー93の位置(姿勢)をロック位置と呼ぶ。
【0053】
図9(b)(c)に示すように、第2ブリッジ932が使用者の指などで押され、第2ブリッジ932に一定以上の力Fが加わると、ロックレバー93が図中の時計回りに回動する。力Fは、少なくともコイルばね933による付勢力を上回る大きさである。
【0054】
図9(c)においては、突出部934がガイド溝99と重なっていない。このように、ガイド溝99が開放されるロックレバー93の位置(姿勢)を非ロック位置と呼ぶ。ロックレバー93は、ロック位置と非ロック位置との間で変位可能(回動可能)である。
【0055】
図9(a)においては、ロックピン97がピン受け面934aに当接しており、ロックピン97が下降しない。すなわち、ロック位置においては、水平状態から折畳状態への天板7の回動が規制される。
【0056】
また、図9(a)においては、規制部934bがロックピン97の側部と当接している。これにより、ロック位置から非ロック位置に向けたロックレバー93の変位(回動)が規制される。
【0057】
ロックレバー93がロック位置にあるとき、ピン受け面934aとガイド溝99の上端99aとの間には、少なくとも規制部934bの高さ以上の間隔が設けられている。したがって、ロックピン97は、図9(b)に示すように規制部934bと接触しない位置まで移動可能である。この状態で第2ブリッジ932が押されると、ロックレバー93がロック位置から非ロック位置に向けて変位する。
【0058】
ロックピン97は、図6に示した折畳準備状態の天板7のように、第1端部71が上方に移動したことに応じてガイド溝99の上端99aに向けて移動し、ピン受け面934aから離間する。すなわち、ロック位置から非ロック位置へのロックレバー93の変位を許容するためには、先ず天板7の第1端部71を持ち上げる必要がある。
【0059】
図9(c)のようにロックレバー93が非ロック位置にあるとき、天板7が自重によって折畳状態へと変位する。これに伴い、ロックピン97がガイド溝99の下端99bに向けて移動する。
【0060】
なお、折畳状態から水平状態へと天板7を変位させる際には、ロックレバー93を押したりせずに、単に天板7の第1端部71を持ち上げればよい。このとき、ロックピン97がガイド溝99の上端99aに向けて移動し、やがて傾斜面934cに当接する。傾斜面934cの近傍において、ガイド溝99のうち突出部934と重ならない領域の幅は、上方に向けて細くなる。そのため、傾斜面934cがロックピン97によって押され、ロックレバー93が回動する。これにより、ロックピン97が突出部934の上方へと移動可能となる。ロックピン97が突出部934の上方に達すると、ロックレバー93が非ロック位置に戻り、図9(a)の状態となる。
【0061】
図10は、規制部934bに適用し得る形状の一例を示す図である。図中のOは水平状態におけるロックピン97の中心、CPは第2ブリッジ932が押された際に規制部934bからロックピン97に加わる力の荷重点、Rはロック位置から非ロック位置へとロックレバー93が変位する際の荷重点CPの軌跡、TFは荷重点CPに加わる力のベクトルを示す。
【0062】
図10(a)の例においては、荷重点CPが中心Oよりも第3方向Zの下方に位置している。さらに、ベクトルTFが中心Oを通る。
【0063】
図10(b)の例においては、規制部934bが図10(a)の例よりも長く、荷重点CPが中心Oよりも第3方向Zの上方に位置している。さらに、ベクトルTFが中心Oの上方を通る。
【0064】
図10(c)の例においては、規制部934bが図10(a)(b)の例よりも短く、荷重点CPが中心Oよりも第3方向Zの下方に位置している。さらに、ベクトルTFが中心Oの下方を通る。
【0065】
図10(a)(b)の例においては、断面形状が円形のロックピン97を上方に押し上げる力が殆ど作用しない。一方で、図10(c)の例においては、断面形状が円形のロックピン97を上方に押し上げる力が作用する。
【0066】
本実施形態においては、図10(a)または(b)のような関係が成立するように規制部934bの形状を定めることが好ましい。これにより、ロックレバー93の操作のみによってロックが解除されることを抑制できる。
【0067】
以上の本実施形態においては、水平状態にある天板7を折畳状態に変位させる際に、天板7の第1端部71を持ち上げる動作と、ロックレバー93を押す動作とが必要となる。これにより、体の一部や物が意図せずロックレバー93に当たってロックが解除され、天板7が倒れる事態を抑制でき、テーブル6の安全性が高まる。
【0068】
また、ロック解除のためにテーブル6の第1端部71を持ち上げる動作は特段複雑なものでないので、使用者は容易に天板7を折畳状態に変位させることができる。
【0069】
本実施形態においては、テーブル6が鉛直方向(第3方向Z)に並ぶ少なくとも一対のフック85,86を備えている。仮に、これらフック85,86の一方のみをテーブル6が備える場合、天板7を折畳状態から水平状態または水平状態から折畳準備状態に変位させる際に、支持部8の下端がフットボード5Bから離れ、安定性が損なわれる可能性がある。これに対し、鉛直方向に並ぶフック85,86にてテーブル6を取り付ければ、天板7を折畳状態から水平状態または水平状態から折畳準備状態に変位させる際にも支持部8が安定する。
【0070】
なお、本実施形態は、本発明の範囲を当該実施形態にて開示した構成に限定するものではない。本発明は、当該実施形態にて開示した構成を種々の態様に変形して実施することができる。
【0071】
ロック位置と非ロック位置の間で変位可能なロック部材は、ロックレバー93に限られない。例えば、ロック部材として本実施形態で例示したロックレバー93は、回動することによってロック位置と非ロック位置の間で変位するが、この例に限られず、ロック部材が第1方向Xまたは第2方向Yに移動することでロック位置と非ロック位置の変位が可能であってもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…ベッド装置、2…ベッドフレーム、3…床板体、4…駆動機構、5A…ヘッドボード、5B…フットボード、6…テーブル6…天板、8…支持部、9…ロック機構、85,86…フック、93…ロックレバー、97…ロックピン、99…ガイド溝、934…突出部、934a…ピン受け面、934b…規制部。
図1
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図10