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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/20 20060101AFI20240930BHJP
   G03G 21/16 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
G03G21/20
G03G21/16 109
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022107600
(22)【出願日】2022-07-04
(65)【公開番号】P2024006571
(43)【公開日】2024-01-17
【審査請求日】2023-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 孝規
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-010068(JP,A)
【文献】特開2011-090170(JP,A)
【文献】特開2020-200186(JP,A)
【文献】特開2007-078984(JP,A)
【文献】特開2005-089079(JP,A)
【文献】特開2006-084694(JP,A)
【文献】特開2021-043303(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/20
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに転写されたトナー像を加熱してシートに定着する定着部と、
前記定着部から搬送されたシートが搬送される搬送路と、
前記搬送路に配置され、前記搬送路を搬送されるシートを挟んで接触して冷却する第1ローラ及び第2ローラを有するローラ対と、
シート搬送方向に直交する幅方向に延設されて空気を流通するダクトと、を備え、
前記ダクトは、前記搬送路に対向した開口部と、前記第1ローラの中心線に対して前記ローラ対のニップとは反対側に対向して配置され、前記開口部に連通し、かつ、前記第1ローラとの間で空気が流通する通気路を形成する通気路形成部と、を有し、
前記開口部は、前記ダクトの内部の空気を吹き出す吹出口であり、
前記吹出口は、前記シート搬送方向において、前記第1ローラよりも下流に配置されて上流に向けて空気を吹き出すように設けられる、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記通気路形成部は、前記搬送路に向いた前記ダクトの側壁である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ダクトは、樹脂製である、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記通気路形成部に取り付けられた断熱材を備える、
ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ダクトは、ダクト本体と、前記通気路形成部を有し、かつ、前記ダクト本体よりも断熱性の高い材質で形成された側壁とを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記側壁は、樹脂製である、
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ダクトは装置外部の空気を装置内部に給気する給気ダクトである、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記通気路は、前記シート搬送方向において、前記吹出口から吹き出されてシートを冷却した空気が前記第1ローラを冷却しながら前記第1ローラよりも上流に到達するように通気させる、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記シート搬送方向において前記第1ローラよりも上流に配置され、前記通気路を通過した空気を吸引して排気する排気ダクトを備える、
ことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記定着部から搬送されたシートが搬送される第1搬送路と、
前記定着部から搬送されたシートが搬送され、かつ、前記第1搬送路よりも湾曲した第2搬送路と、を備え、
前記搬送路は、前記第2搬送路である、
ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
第1方向に搬送されてきたシートを前記第1方向とは反対の第2方向に反転して搬送する反転部を備え、
前記第1搬送路は、前記シート搬送方向において前記定着部よりも下流に配置され、前記定着部から搬送されたシートを装置外部に排出する排出経路であり、
前記第2搬送路は、前記排出経路から分岐して設けられ、前記定着部から搬送されたシートを前記反転部に搬送する反転経路である、
ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複数の機能を有する複合機などのシートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置では、トナー像がシートに転写されて定着装置において溶融固着により定着された後、外部に排出されるか、あるいは表裏反転されて裏面にも画像形成が行われる。しかし、定着装置で定着された後、シートがガイドやローラなどに触れて部分的に冷却されてしまい、光沢度の不均一などの画像不良が発生する虞があった。さらに、画像形成されたシートを高温のまま大量に積載すると、トナーが別のシートに張り付いてしまう現象が発生する虞があった。これを解決するために、定着装置の直後に冷却ローラ対を配置することで、定着装置により加熱されたシート及びトナーを十分に冷やし、画像不良やシートの張り付きを抑制する画像形成装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-266810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に記載の構成では、連続して両面印刷を行った場合には、定着装置の直後の冷却ローラ対を温度の高いシートが絶え間なく通過するため、冷却ローラ対の温度が徐々に上昇してしまう可能性があった。そして、冷却ローラ対の温度が上昇してしまうと、十分な冷却効果を得られなくなる虞があった。これを解決するために、例えば、冷却ローラ対を大型化して冷却能力を上げる対策が考えられるが、この場合、画像形成装置の大型化やコストアップを招く虞がある。
【0005】
本発明は、定着後のシートの冷却能力を向上できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像形成装置は、シートに転写されたトナー像を加熱してシートに定着する定着部と、前記定着部から搬送されたシートが搬送される搬送路と、前記搬送路に配置され、前記搬送路を搬送されるシートを挟んで接触して冷却する第1ローラ及び第2ローラを有するローラ対と、シート搬送方向に直交する幅方向に延設されて空気を流通するダクトと、を備え、前記ダクトは、前記搬送路に対向した開口部と、前記第1ローラの中心線に対して前記ローラ対のニップとは反対側に対向して配置され、前記開口部に連通し、かつ、前記第1ローラとの間で空気が流通する通気路を形成する通気路形成部と、を有し、前記開口部は、前記ダクトの内部の空気を吹き出す吹出口であり、前記吹出口は、前記シート搬送方向において、前記第1ローラよりも下流に配置されて上流に向けて空気を吹き出すように設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、定着後のシートの冷却能力を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す断面図である。
図2】第1実施形態に係る各冷却ローラ対と給気ダクトを示す断面図である。
図3】第1実施形態に係る送風装置を示す斜視図である。
図4】第1実施形態に係る第2冷却ローラ対と給気ダクトを示す断面図である。
図5】第1実施形態に係る第2冷却ローラ対と給気ダクトの周辺の空気の流れを示す断面図である。
図6】第1実施形態に係る送風装置及び排気ダクトを示す斜視図である。
図7】第2実施形態に係る第2冷却ローラ対と給気ダクトの周辺の空気の流れを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態を、図1図6を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、画像形成装置1の一例としてタンデム型のフルカラープリンタについて説明している。但し、本発明はタンデム型の画像形成装置1に限られず、他の方式の画像形成装置であってもよく、また、フルカラーであることにも限られず、モノクロやモノカラーであってもよい。
【0010】
[画像形成装置]
図1は、本実施形態に係る画像形成装置1の概略構成図である。画像形成装置1は、主として画像形成部2と、二次転写部3と、定着装置4と、シート搬送部5、制御部6とを含んで構成される。
【0011】
画像形成部2は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色に対応した画像形成ユニットPY,PM,PC,PKを有している。これら画像形成ユニットPY,PM,PC,PKは、構成は同様であるので、代表してイエローの画像形成ユニットPYについて符号を付して説明する。画像形成ユニットPYは、感光体(像担持体)である感光ドラム71、帯電装置72、画像書き込み部として機能する露光装置73、現像装置74を含んで構成される。また、画像形成部2は、中間転写ベルト31と、二次転写内ローラ32と、駆動ローラ33と、テンションローラ34と、一次転写装置35とを有する。
【0012】
画像形成部2では、予め帯電装置72により感光ドラム71の表面を一様に帯電させ、画像情報の信号に基づいて露光装置73を駆動し、回転する感光ドラム71の表面に潜像を形成する。感光ドラム71の表面上に形成された静電潜像は、現像装置74によるトナー現像を経てトナー像として顕在化する。その後、一次転写装置35により所定の加圧力及び静電バイアスが与えられ、中間転写ベルト31上にトナー像が転写される。
【0013】
中間転写ベルト31は、駆動ローラ33と、テンションローラ34と、二次転写内ローラ32等のローラによって張架され、図1中に示す方向D1へと搬送駆動される。並列処理される画像形成ユニットPY,PM,PC,PKでの各色の画像形成プロセスは、中間転写ベルト31上に一次転写された上流色のトナー像上に重ね合わせるタイミングで行われる。その結果、最終的にはフルカラーのトナー像が中間転写ベルト31上に形成され、このトナー像が二次転写部3へと搬送される。
【0014】
記録材(被転写材)であるシートSは、例えばサイズ毎に第1シートカセット51、第2シートカセット52、第3シートカセット53や、手差し給送部54に積載されて収納される。各給送部51a,52a,53a,54aより給送されたシートSは、シート搬送部5の供給経路5aに案内されて画像形成部2に搬送される。供給経路5aは、搬送ローラ対55、プレレジストレーションローラ対56、レジストレーションローラ対57、その他の不図示のガイド部材により形成される。各給送部51a,52a,53a,54aより給送されたシートSは、搬送ローラ対55及びプレレジストレーションローラ対56を通過し、レジストレーションローラ対57へと搬送される。
【0015】
プレレジストレーションローラ対56は、シートSの斜行を補正する。具体的には、搬送するシートSの先端を停止しているレジストレーションローラ対57のニップ部に突き当てる。このようにして、プレレジストレーションローラ対56は、シートSをループさせて斜行補正を行う。レジストレーションローラ対57は、中間転写ベルト31上のトナー像がシートSに転写されるタイミングに合わせて、当該シートSを二次転写部3へと搬送する。
【0016】
二次転写部3は、対向する二次転写内ローラ32及び二次転写外ローラ36により形成されるトナー像転写ニップ部を有し、所定の加圧力と静電バイアスを与えることで、搬送されたシートSにトナー像を転写する。転写後のシートSは、エア吸着搬送手段37により定着装置4へと搬送され、加熱及び加圧によってトナー像をシートSに溶融固着させる。即ち、定着装置4は、定着部の一例であり、二次転写部3でシートSに転写されたトナー像を加熱してシートSに定着する。
【0017】
制御部6は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリとを有する。CPUは、操作部により入力された各種データを取得して、メモリに記憶し、例えばユーザによる画像形成装置1の電源オン等の起動操作に応じて、印刷プログラムをメモリから読み出して実行可能である。メモリは、例えば印刷プログラムや画像形成ジョブなどの各種プログラムや各種データが記憶されている。
【0018】
[定着装置の下流側の搬送経路]
定着装置4のシート搬送方向下流側において、シート搬送部5は、排出経路5bと、反転経路5cと、再供給経路5dと、切替部60とを有している。排出経路5bは、第1搬送路の一例であり、シート搬送方向において定着装置4よりも下流に配置され、定着装置4から搬送されたシートSを装置外部に排出する経路である。排出経路5bには、搬送ローラ対61及び排出ローラ対58が設けられている。反転経路5cは、搬送路及び第2搬送路の一例であり、排出経路5bから分岐して設けられ、定着装置4から搬送されたシートSを、搬送方向を反転する反転ローラ対59に搬送する経路である。ここでは、反転経路5cは、シートSの搬送方向だけでなく表裏も反転するようになっている。反転経路5cには、搬送ローラ対62及び反転ローラ対59が設けられている。尚、反転経路5cは、排出経路5bよりも湾曲した形状となっている。再供給経路5dは、反転ローラ対59により搬送方向及び表裏を反転されたシートSを再び二次転写部3に搬送する経路であり、反転経路5cに接続されている。切替部60は、定着装置4から搬送されたシートSを、排出経路5bと反転経路5cとに切り替えて搬送させる。即ち、定着装置から搬送されたシートSは、排出経路5b及び反転経路5cに選択的に搬送される。
【0019】
シートSの通紙モードが片面フェースアップ通紙の場合、切替部60によってシートSの搬送経路が排出経路5bへ切り替えられ、定着装置4によってトナー像を溶融固着されたシートSは排出経路5bに搬送される。シートSは、排出経路5b内に配置された第1冷却ローラ対10によって冷却された後、排出ローラ対58によって機外に排出される。
【0020】
シートSの通紙モードが両面通紙の場合、切替部60によってシートSの搬送経路が反転経路5cに切り替えられ、定着装置4によって第1面にトナー像が定着されたシートSが反転経路5cに搬送される。シートSは、反転経路5c内に配置された第2冷却ローラ対20によって冷却される。第2冷却ローラ対20によって冷却されたシートSの後端が反転ローラ対59に所定距離だけ残した状態で一旦停止したのちに反転ローラ対59を逆転させ、シートSは反転ローラ対59により搬送方向と表裏を反転されて再供給経路5dに搬送される。即ち、反転ローラ対59は、第1方向に搬送されてきたシートを第1方向とは反対の第2方向に反転して搬送する反転部の一例である。
【0021】
シートSは再供給経路5dにより二次転写部3に搬送され、第2面にトナー像が転写され、定着装置4により定着される。また、切替部60によってシートSの搬送経路が排出経路5bへ切り替えられ、定着装置4によって第2面にトナー像を溶融固着されたシートSは排出経路5bに搬送される。シートSは、第2冷却ローラ対70によって冷却された後、排出ローラ対58によって機外に排出される。
【0022】
次に、複数枚のシートSに連続して画像形成する場合の動作を説明する。片面フェースアップ通紙の場合、シートSは所定の時間である通紙間隔Tをあけて画像形成され機外に排出される。一方、両面通紙の場合、シートSは通紙間隔Tをあけて画像形成されるが、その画像形成面はシートSの第1面側と第2面側で交互に画像形成されるため、機外へは通紙間隔Tの2倍の間隔で排出される。
【0023】
[冷却ローラ対]
次に、第1冷却ローラ対10及び第2冷却ローラ対20について、図2を用いて説明する。図2は、本実施形態における反転部の概略図である。第1冷却ローラ対10は、排出経路5bに配置され、不図示の駆動源によって回転される第1駆動ローラ11と、第1駆動ローラ11によって従動回転する第1従動ローラ12とを有している。第2冷却ローラ対20は、反転経路5cに配置され、不図示の駆動源によって回転される第1ローラとしての第2駆動ローラ21と、第2駆動ローラ21によって従動回転する第2ローラとしての第2従動ローラ22とを有している。即ち、第2冷却ローラ対20は、反転経路5cを搬送されるシートSを挟んで接触して冷却する第2駆動ローラ21及び第2従動ローラ22を有するローラ対の一例である。
【0024】
ここで、シートSに対して、第2冷却ローラ対20が触れる箇所と触れない箇所があると、その差で光沢度むらが発生しやすくなる。そのため、第2駆動ローラ21と第2従動ローラ22はシートSの搬送方向と直交する幅方向W(図3参照)に関し、略全幅の長さのニップ幅を持つ通しローラを用いている。また、本実施形態では、第1駆動ローラ11、第1従動ローラ12、第2駆動ローラ21、第2従動ローラ22は、いずれも搬送経路において幅方向Wの全域に亘る通しローラとしている。
【0025】
[送風装置]
次に、送風装置40の構成について、図3及び図4を用いて説明する。図3は、本実施形態における送風装置の詳細図である。シートSを冷却した第2冷却ローラ対20は蓄熱して温度が上がってしまうため、本実施形態では、その熱を逃がすために第2駆動ローラ21に対し送風装置40を用いて冷却している。
【0026】
送風装置40は、送風ファン41と給気ダクト42とを有しており、給気ダクト42には吹出口43が形成されている。送風ファン41は機外から空気を吸引し、送風ファン41から吐出された空気は、給気ダクト42によって導かれ吹出口43から吹き出す。即ち、吹出口43は、給気ダクト42の内部の空気を吹き出す開口部の一例である。本実施形態では、幅方向Wにおいて吹出口43はセンサ等の他の部材との干渉を避けるために3つに分かれていて、吹出口43の3つ合わせた全体の幅はシートSの幅方向Wに対し略全幅の長さとなっている。即ち、給気ダクト42は、シート搬送方向に直交する幅方向Wに延設されて空気を流通し、装置外部の空気を装置内部に給気する。但し、これには限られず、吹出口43は他の部材との干渉が無ければ幅方向Wに分かれていない1つの形状であってもよい。
【0027】
図4に示すように、給気ダクト42は、樹脂製であり、反転経路5cに対向した吹出口43と、反転経路5cに向いた側壁44とを有している。側壁44は、第2駆動ローラ21の中心線に対して第2冷却ローラ対20のニップとは反対側に対向して配置され、第2駆動ローラ21との間で通気路45を形成する通気路形成部の一例である。ここでの通気路45は、吹出口43に連通し、かつ、第2駆動ローラ21との間で空気が流通する通気路である。
【0028】
[送風装置と第2冷却ローラ対との配置]
ここで、送風装置40と第2冷却ローラ対20の配置について、図4を用いて説明する。図4は、シートSの搬送時の反転部の概略図である。第2冷却ローラ対20の下方には、送風装置40の給気ダクト42が配置されている。シートSは矢印D2の方向(シート搬送方向)に搬送され、第2冷却ローラ対20及び搬送ローラ対62によって搬送される。シートSは、第2冷却ローラ対20と搬送ローラ対62の間を通過する際に、送風装置40によって冷却される。
【0029】
[冷却風の流れ]
続いて、第2冷却ローラ対20の近傍における冷却風の流れについて、図5及び図6を用いて説明する。図5は、第2冷却ローラ対20と送風装置40の間の冷却風の流れの詳細図である。切替部60によって第2冷却ローラ対20を通る反転経路5cに送られたシートSは、切替部60と搬送ガイドG1との間を通り、第2冷却ローラ対20によって搬送され、搬送ローラ対62(図4参照)に送られる。第2冷却ローラ対20の下流の搬送ガイドG2には開口部G2aが設けられ、開口部G2aの近傍に送風装置40の吹出口43が配置されている。
【0030】
吹出口43から吹き出された冷却風は、シートSの搬送方向に対し略対向方向、かつ、斜めで吹き当てられる。その後、シートSに沿って、シートSの搬送方向に対し対向方向に冷却風が流れる。搬送方向に対し、冷却風を対向方向に当てることで、シートS表面を基準としてみたとき、シートS表面を流れる冷却風の風速は、(冷却風の風速+シートSの搬送速度)となり同方向に吹き当てるよりもより速い風速にすることができる。これにより、同方向に吹き当てるよりもシートSを効率よく冷却できるようになり、かつ、搬送速度が上昇するほど風速が上がるようになり、搬送速度上昇による冷却能力の低下を抑制できる。
【0031】
シートS表面を流れた冷却風はその後、第2冷却ローラ対20に当たる。第2冷却ローラ対20は幅方向Wに関し、略全幅の長さのニップ幅を持つローラ対であるため、シートSと第2冷却ローラ対20に阻まれて、風の抜ける道がない。このため、冷却風波、矢印F1で示すように、搬送ガイドG2と第2駆動ローラ21のギャップから搬送ガイドG2の外側に吹き出す。
【0032】
その後、冷却風は、第2駆動ローラ21の外周部に沿って流れ、給気ダクト42の外形形状に沿って、第2駆動ローラ21と給気ダクト42の間に吹き出す。これにより、第2駆動ローラ21の外周に沿って冷却風が流れることになり、第2駆動ローラ21と冷却風の接する時間が長くなり、第2駆動ローラ21を効率良く冷却できる。その後、冷却風は、搬送ガイドG1に設けられた開口部G1aから搬送ガイドG1に入り込み、再びシートSを冷却する。
【0033】
即ち、吹出口43は、シート搬送方向において、第2駆動ローラ21よりも下流に配置されて上流に向けて空気を吹き出して、第2冷却ローラ対20により搬送されるシートSを冷却する。また、第2駆動ローラ21と給気ダクト42とにより形成される通気路45は、シート搬送方向において、吹出口43から吹き出されてシートSを冷却した空気が第2駆動ローラ21を冷却しながら第2駆動ローラ21よりも上流に到達するように通気させる。
【0034】
ここで、給気ダクト42の内部を流れる空気は外気に近い温度となり、給気ダクト42の外側、かつ、第2冷却ローラ対20の近傍を流れる冷却風はシートSから出る熱及び水分を含んでいるため、外気に対し高温高湿の空気となる。この時、給気ダクト42のダクト内部の表面は冷却風に対し高温となりやすいため、ダクト表面に触れた冷却風の温度が上がりやすい。また、給気ダクト42の側壁44の表面では、高温高湿の空気が冷却されて結露を発生する虞がある。これに対し、本実施形態では、給気ダクト42を樹脂製としている。樹脂は断熱性を有しているため、このような問題を発生することを回避できる。
【0035】
図6は、シートSを冷却した後の冷却風の流れを示す詳細図である。図6に示すように、開口部G1a、G2aは、搬送ガイドG1,G2の表面に開けられた穴であり、搬送方向に直交する幅方向Wに複数存在する。第2冷却ローラ対20の上流側においてシートSを冷却した冷却風は、開口部G2aから上方に吹き出た後、排気ファン81によって矢印F2方向へ吸引され、排気ダクト82と排気ファン81を経由して機外に排気される。即ち、排気ダクト82は、シート搬送方向において第2駆動ローラ21よりも上流に配置され、通気路45を通過した空気を吸引して排気する。
【0036】
上述したように、本実施形態の画像形成装置1によれば、給気ダクト42は、反転経路5cに対向する吹出口43と、通気路形成部として側壁44とを有している。このため、第2冷却ローラ対20の接触による冷却と給気ダクト42の送風の非接触による冷却を組み合わせ、冷却能力を上げることができる。更にこれに加え、1つの送風装置40による送風によりシートSを冷却すると共に、給気ダクト42の外形である側壁44を利用して、効率的に第2冷却ローラ対20を冷却することで、搬送速度による冷却効果の低減の影響を抑制することができる。従って、定着後のシートSの冷却能力を向上できる。
【0037】
ここで、ファンとダクトを使用した送風による冷却を用いる方法では、シートの搬送速度が速くなると、冷却するための空間をシートが通過する時間が短くなり、冷却効果が低下しやすいという課題がある。これに対し、本実施形態の画像形成装置1によれば、1つの送風装置40によって、シートそのものの冷却を行うとともに、第2冷却ローラ対20の冷却能力を向上させ、シート温度による画像不良を発生させないようにできる。
【0038】
また、本実施形態の画像形成装置1によれば、給気ダクト42の全体を樹脂製としているので、ダクトの断熱性を確保することができる。このため、給気ダクト42の内部の低温の空気が加熱されてしまったり、あるいは、給気ダクト42の表面で結露が発生することを抑制することができる。
【0039】
また、本実施形態の画像形成装置1によれば、反転経路5cに設けられた第2冷却ローラ対20を冷却するように送風装置40が設けられている。このため、排出経路5bよりも湾曲してシートSがガイドに接触しやすく画像低下が発生しやすい反転経路5cにおいて、第2冷却ローラ対20を冷却することで、効率よく画像低下を抑制することができる。
【0040】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態を、図7を参照しながら詳細に説明する。本実施形態では、給気ダクト42の側壁44に断熱材46を設けた点で、第1の実施形態と構成を異にしている。但し、それ以外の構成については、第1の実施形態と同様であるので、符号を同じくして詳細な説明を省略する。
【0041】
第1実施形態でも述べたように、給気ダクト42の内部を流れる空気は外気に近い温度となり、給気ダクト42の外側、かつ、第2冷却ローラ対20の近傍を流れる冷却風はシートSから出る熱及び水分を含んでいるため、外気に対し高温高湿の空気となる。この時、給気ダクト42のダクト内部の表面は冷却風に対し高温となりやすいため、ダクト表面に触れた冷却風の温度が上がりやすい。また、給気ダクト42の側壁44の表面では、高温高湿の空気が冷却されて結露を発生する虞がある。
【0042】
これに対し、本実施形態では、図7に示すように、給気ダクト42の側壁44に断熱材46を接着などにより貼り付けて設けている。給気ダクト42の側壁44の表面に断熱材を貼り付けることで温度上昇を抑制している。断熱材46としては、例えば、発泡系のフォーム材または不織布等で構成することが望ましい。これにより、給気ダクト42の内部の空気の加熱や、結露の発生を抑制することができる。本実施形態では、断熱材46を側壁44の内面に貼り付けているため、通気路45の幅を確保することができる。但し、断熱材46を側壁44の外面に貼り付けても同様の効果を得ることができる。
【0043】
尚、上述した各実施形態では、給気ダクト42を全体として樹脂製としているが、これには限られない。例えば、給気ダクト42を、ダクト本体と、通気路形成部を有し、かつ、ダクト本体よりも断熱性の高い材質で形成された側壁とを有するようにしてもよい。この場合、側壁は例えば樹脂製とすることで、ダクト本体を金属製にしてもよい。
【0044】
また、上述した各実施形態では、吹出口43から吹き出された冷却風は、シートSの搬送方向に対し対向方向に吹き付けられる場合について説明したが、これには限られず、例えば同方向に吹き付けるようにしてもよい。この場合、吹出口43は、シート搬送方向において、第2駆動ローラ21よりも上流に配置されて下流に向けて空気を吹き出して、第2冷却ローラ対20により搬送されるシートSを冷却する。また、第2駆動ローラ21と給気ダクト42とにより形成される通気路45は、シート搬送方向において、吹出口43から吹き出されてシートSを冷却した空気が第2駆動ローラ21を冷却しながら第2駆動ローラ21よりも下流に到達するように通気させる。
【0045】
また、上述した各実施形態では、反転経路5cに設けられた第2冷却ローラ対20を冷却するように送風装置40が設けられているが、これには限られない。例えば、排出経路5bに設けられた第1冷却ローラ対10を冷却するように送風装置を設けるようにしてもよい。
【0046】
また、上述した各実施形態では、通気路形成部を有するダクトを給気ダクト42とした場合について説明したが、これには限られない。例えば、通気路形成部を有する排気ダクトを第2駆動ローラ21に対向させて配置し、他の給気ダクトから吹き出した空気でシートを冷却後、排気ダクトとの間で第2駆動ローラ21を冷却して排気ダクトの開口部である排気口から外部に排気してもよい。
【0047】
なお、本技術は以下のような構成も取ることができる。
(1)
シートに転写されたトナー像を加熱してシートに定着する定着部と、
前記定着部から搬送されたシートが搬送される搬送路と、
前記搬送路に配置され、前記搬送路を搬送されるシートを挟んで接触して冷却する第1ローラ及び第2ローラを有するローラ対と、
シート搬送方向に直交する幅方向に延設されて空気を流通するダクトと、を備え、
前記ダクトは、前記搬送路に対向した開口部と、前記第1ローラの中心線に対して前記ローラ対のニップとは反対側に対向して配置され、前記開口部に連通し、かつ、前記第1ローラとの間で空気が流通する通気路を形成する通気路形成部と、を有する、
画像形成装置。
(2)
前記通気路形成部は、前記搬送路に向いた前記ダクトの側壁である、
前記(1)に記載の画像形成装置。
(3)
前記ダクトは、樹脂製である、
前記(1)又は(2)に記載の画像形成装置。
(4)
前記通気路形成部に取り付けられた断熱材を備える、
前記(3)に記載の画像形成装置。
(5)
前記ダクトは、ダクト本体と、前記通気路形成部を有し、かつ、前記ダクト本体よりも断熱性の高い材質で形成された側壁とを有する、
前記(1)又は(2)に記載の画像形成装置。
(6)
前記側壁は、樹脂製である、
前記(5)に記載の画像形成装置。
(7)
前記ダクトは装置外部の空気を装置内部に給気する給気ダクトであり、
前記開口部は、前記給気ダクトの内部の空気を吹き出す吹出口である、
前記(1)乃至(6)のいずれか1つに記載の画像形成装置。
(8)
前記吹出口は、前記シート搬送方向において、前記第1ローラよりも下流に配置されて上流に向けて空気を吹き出して、前記ローラ対により搬送されるシートを冷却するように設けられ、
前記通気路は、前記シート搬送方向において、前記吹出口から吹き出されてシートを冷却した空気が前記第1ローラを冷却しながら前記第1ローラよりも上流に到達するように通気させる、
前記(7)に記載の画像形成装置。
(9)
前記シート搬送方向において前記第1ローラよりも上流に配置され、前記通気路を通過した空気を吸引して排気する排気ダクトを備える、
前記(7)又は(8)に記載の画像形成装置。
(10)
前記定着部から搬送されたシートが搬送される第1搬送路と、
前記定着部から搬送されたシートが搬送され、かつ、前記第1搬送路よりも湾曲した第2搬送路と、を備え、
前記搬送路は、前記第2搬送路である、
前記(1)乃至(9)のいずれか1つに記載の画像形成装置。
(11)
第1方向に搬送されてきたシートを前記第1方向とは反対の第2方向に反転して搬送する反転部を備え、
前記第1搬送路は、前記シート搬送方向において前記定着部よりも下流に配置され、前記定着部から搬送されたシートを装置外部に排出する排出経路であり、
前記第2搬送路は、前記排出経路から分岐して設けられ、前記定着部から搬送されたシートを前記反転部に搬送する反転経路である、
前記(10)に記載の画像形成装置。
【符号の説明】
【0048】
1…画像形成装置、4…定着装置(定着部)、5b…排出経路(第1搬送路)、5c…反転経路(搬送路、第2搬送路)、20…第2冷却ローラ対(ローラ対)、21…第2駆動ローラ(第1ローラ)、22…第2従動ローラ(第2ローラ)、42…給気ダクト(ダクト)、43…吹出口(開口部)、44…側壁(通気路形成部)、46…断熱材、59…反転ローラ対(反転部)、82…排気ダクト、W…幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7