(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】制御システム、及び制御装置
(51)【国際特許分類】
G06F 8/65 20180101AFI20240930BHJP
G05B 9/03 20060101ALI20240930BHJP
G06F 11/20 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
G06F8/65
G05B9/03
G06F11/20 638
(21)【出願番号】P 2022163525
(22)【出願日】2022-10-11
【審査請求日】2024-04-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100125151
【氏名又は名称】新畠 弘之
(72)【発明者】
【氏名】平野 竜馬
(72)【発明者】
【氏名】大西 直哉
(72)【発明者】
【氏名】中谷 博司
(72)【発明者】
【氏名】松山 拓紀
【審査官】久々宇 篤志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2022/0317645(US,A1)
【文献】特開2015-202710(JP,A)
【文献】特開2001-275140(JP,A)
【文献】特開2010-003141(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0048995(US,A1)
【文献】特開2018-067332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/65
G05B 9/03
G06F 11/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のソフトウェアを用いて、機器の制御を所定の制御周期の繰り返しにより実行する第1の処理部であって、現在の制御周期中に変更された制御情報に基づき、次回の制御周期の制御を実行する第1の処理部と、
切り替え指示信号を検知すると、前記第1の処理部への切替を指示する切替通知を
前記第1の処理部に対して送信する切替管理部と、
第1のソフトウェアと異なる第2のソフトウェアを用いて、前記機器の制御を前記所定の制御周期の繰り返しにより実行可能である第2の処理部と、
を備え、
前記第1の処理部は、前記切替通知を受信すると、前記現在の制御周期が終了する時点である切替完了時間を演算し、少なくとも前記切替完了時間の情報を有する切替通知信号を前記第2の処理部に出力し、
前記第2の処理部
は、前記切替完了時間までに、少なくとも前記変更された制御情報を用いて、次回の制御周期における前記機器の制御が可能である場合に、次回の制御周期における前記機器の制御を開始し、
完了通知を前記切替管理部と、前記第1の処理部に送信
し、
前記機器の制御が可能でない
場合に、前記完了通知を通知せず、且つ前記機器の制御
も開始せず、
前記第1の処理部は、前記切替完了時間内に前記完了通知を受信しなかった場合に、前記機器の制御を継続する、
制御装置。
【請求項2】
前記第1の処理部と前記第2の処理部から読み書きが可能な共有記憶部を更に備え、
前記第1の処理部は、前記制御情報、前記第1の処理部の内部パラメータ、及び
前記共有記憶部のメモリ情報を、前記切替完了時間と共に前記第2の処理部に送信する、請求
項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第2の処理部は、前記内部パラメータの設定、前記共有記憶部に対するメモリの割り付けの情報であるメモリ情報、及び前記制御情報の反映が前記切替完了時間内に完了しない場合に、前記機器の制御を開始しない、請求
項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第2の処理部は、前記切替完了時間内に、次回の制御周期における前記機器の制御が可能である状態になった場合に、前記完了通知を通知する、請求
項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第1の処理部は、前記完了通知を受信した場合に、前記機器の制御を停止する、請求項
4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記第2の処理部は、前記完了通知を
前第1の処理部、及び前記切替管理部の
うちの少なくとも前記切替管理部に送信し、
前記切替管理部は、前記完了通知を受信した場合に、前記第1の処理部に対して定期的な処理の終了を指示する終了通知を送信し、
前記第1の処理部は、前記終了通知を受信した場合に定期的な処理を停止する、請求
項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記切替管理部は、前記切替通知に前記切替完了時間を設定して前記第1の処理部に送信し、前記第2の処理部から前記切替完了時間内
に前記完了通知を受信しない場合に、
前記現在の処理を継続する継続通知を
前記第1の処理部と
前記第2の処理部に送信する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
前記切替管理部は前記第1の処理部と前記第2の処理部内に構成される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項9】
請求項1に記載の制御装置と、
前記切替管理部、及び前記第2の処理部をデプロイすることが可能なオーケストレーション部と、
を備える、制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、制御システム、及び制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
産業機器などのソフトウェアの更新時には、一度処理を止めて更新するのが一般的である。したがって更新時にはダウンタイムが発生してしまう。このため、ソフトウェアの更新時に産業機器などを停止する必要が生じてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような課題を解決するため、本実施形態における課題は、ソフトウェアにより制御される機器を停止することなく、ソフトウェアの更新が可能な制御システムおよび制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態によれば、制御装置は、第1の処理部と、切替管理部と、2の処理部と、を備える。第1の処理部は、第1のソフトウェアを用いて、機器の制御を所定の制御周期の繰り返しにより実行する第1の処理部であって、現在の制御周期中に変更された制御情報に基づき、次回の制御周期の制御を実行する。切替管理部は、記第1の処理部への切替を指示する切替通知を第1の処理部に対して送信する。第2の処理部は、第1のソフトウェアと異なる第2のソフトウェアを用いて、機器の制御を所定の制御周期の繰り返しにより実行可能である。2の処理部は、現在処理中の制御周期が終了する時点である切替完了時間までに、少なくとも変更された制御情報を用いて、次回の制御周期における機器の制御が可能である場合に、次回の制御周期における機器の制御を開始する。
【発明の効果】
【0006】
機器などを停止することなく、ソフトウェアの更新が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係わる制御装置の構成例を示すブロック図。
【
図3】第2の処理部が制御処理を開始する場合のメッセージシーケンスチャート例を示す図。
【
図4】制御処理を開始しない場合のメッセージシーケンスチャート例を示す図。
【
図5】第1実施形態の変形例1に係るメッセージシーケンスチャート例を示す図。
【
図6】引継ぎが間に合わなかった場合にけるメッセージシーケンスチャート例の図。
【
図7】第2実施形態に係る制御装置の構成例を示すブロック図。
【
図8】第3実施形態に係る制御システムの構成例を示すブロック図。
【
図9】第3実施形態に係るメッセージシーケンスチャートの例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態に係る制御システム、及び制御装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号又は類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0009】
(第1実施形態)
(構成)
図1は、本実施形態に係わる制御装置10の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、制御装置10は、第1の処理部11と、共有記憶部12と、第2の処理部13と、切替管理部14とを備える。この制御装置10は、例えばマルチコアプロセッサ(multi-core processor)を含んで構成され、例えば産業機器などを制御する。また、制御装置10は、例えば仮想マシンのホストや、コンテナを動かすホストとして構成することが可能である。
【0010】
第1の処理部11は、例えば第1のソフトウェアを用いて、機器の制御を所定の制御周期の繰り返しにより実行する。この第1の処理部11は、例えばセンサなどの入力信号にしたがい、アクチュエータなどの駆動を制御する。第1の処理部11は、例えば制御対象の位置、角度などの時間経過に従い変化する制御情報、第1の処理部11が使用する内部パラメータ、共有記憶部12に対するメモリの割り付けの情報であるメモリ情報などを共有記憶部12に記憶する。なお、制御周期の詳細な例は、
図2を用いて、後述する。なお、本実施形態に係るソフトウェアは、制御装置10を構成する要素であり、プログラム、或いは、物理的な要素であるハードウェアを除いた要素の全ての総称を意味する。
【0011】
共有記憶部12は、第1の処理部11と、第2の処理部13とが共に読み書きが可能な記憶部である。共有記憶部12は、例えば各種RAM(Random Access Memory)を備えていてもよいし、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶媒体を備えていてもよい。
【0012】
第2の処理部13は、第1の処理部11と同様に、例えば産業機器などを制御周期に従い、繰り返し制御をすることが可能である。すなわち、この第2の処理部13は、第1のソフトウェアと異なる第2のソフトウェアを用いて、産業機器の制御を所定の制御周期の繰り返しにより実行可能である。例えば、第2のソフトウェアは、第1のソフトウェアを更新した後のソフトウェアである。本実施形態では、第2の処理部13は、例えばコントローラソフトウェアの更新が終了しており、第1の処理部11の制御処理を引き継ぐ側として説明する。
【0013】
切替管理部14は、第1の処理部11と、第2の処理部13と、の制御の切り替えを管理する。なお、本実施形態では、第1の処理部11から、第2の処理部13に制御を切り替えさせる管理で説明するが、これに限定されない。例えば、第1の処理部11のコントローラソフトウェアを更新した後に、第2の処理部13から第1の処理部11に制御を切り替えることも可能である。
【0014】
本実施形態では、制御装置10は、クロックを有している。これにより、第1の処理部11、第2の処理部13、及び切替管理部14は、クロック情報も共有している。
【0015】
図2は、第1の処理部11の制御周期の例を示す図である。例えば、第1の処理部11は、一括出力期間S10で、制御対象に制御信号を出力し、例えば制御対象の位置、角度などの次の制御周期の制御に必要となる制御情報などを共有記憶部12に記憶する。
【0016】
次に、第1の処理部11は、一括入力期間S12で、センサなどの入力信号などの外部信号を共有記憶部12から入力する。そして、第1の処理部11は、制御演算期間S14で、例えば制御対象に対する制御量を演算する。これらの一括出力期間S10、一括入力期間S12、制御演算期間S14などに、通信時間などのマージンを含めた制御周期t10で制御対象の制御を繰り返す。なお、第2の処理部13も制御を開始した後は、第1の処理部11と同等の制御周期での制御処理を行うものである。
【0017】
図2に示すように、制御周期t10、t11毎に、制御対象の位置情報などを含む制御情報は変化する。このため、第1の処理部11から第2の処理部13に制御処理を切り替えるには、制御に必要となる制御情報、制御対象の状態により変化する制御パラメータなどを第2の処理部13に引き継ぐ必要がある。この引き継ぎ処理が例えば制御周期t10に終了しないと、第2の処理部13は、制御周期t11の制御を連続的に行えなくなってしまう。すなわち、引き継ぎ処理が遅れることにより、制御周期t11の開始が遅滞すると、制御対象の制御に支障が生じてしまう。
【0018】
このため、第2の処理部13は、引き継ぎ処理が制御周期内に終了した場合には、第1の処理部11の処理を引き継ぎ、制御処理を開始する。ここで、本実施形態に係る処理の引継ぎとは、例えば、第1の処理部11が制御に使用している内部パラメータの設定、共有記憶部12に対するメモリの割り付けの情報であるメモリ情報、及び制御情報を、第2の処理部13が使用可能となることを意味する。すなわち、第2の処理部13は、現在処理中の制御周期t10が終了する時点である切替完了時間までに、少なくとも変更された制御情報を用いて、次回の制御周期t11における機器の制御が可能である場合に、次回の制御周期t11における機器の制御を開始する。
【0019】
一方で、第2の処理部13は、内部パラメータの設定、共有記憶部12に対するメモリの割り付けの情報であるメモリ情報、及び制御情報の反映が切替完了時間内に完了しない場合に、定期的な処理を開始しないものである。すなわち、第2の処理部13は、引き継ぎ処理が制御周期内に終了しない場合には、制御処理を開始せず、第1の処理部11が制御処理を継続する。
【0020】
(作用)
図3は、第2の処理部13が制御処理を開始する場合のメッセージシーケンスチャート例を示す図である。
図3に示すように、まず、切替管理部14は、外部装置からの切り替え指示信号などの入力状態を監視する(S201)。切替管理部14は、切り替え指示信号を検知すると、第1の処理部に対し切替通知を送信する(S202)。なお、切替管理部14は、第1の処理部11の制御状態などを判定して、切替通知を送信してもよい。また、第1の処理部11や第2の処理部13の状態について、図示しない切替管理部14のヒューマンマシンインタフェース(HMI)を介して通知してもよい。
【0021】
第1の処理部11は、切替管理部14から切替通知を受信すると、制御周期が終了する時点である切替完了時間を演算する。例えば、コントローラソフトウェアのパラメータとして、制御制御周期t10、t11などの期間は、予め設定されている。このため、第1の処理部11は、切替管理部14から切り替え信号を入力した時点から、制御周期t10、t11などが終了する時点までの切替完了時間を演算可能となる。そして、第1の処理部11は、第2の処理部13へ切替通知信号を出力する(S203)。
【0022】
この切替通知信号には、切替完了時間、制御情報、第1の処理部11の内部パラメータ、共有記憶部14のメモリ情報、制御内容などの情報が含まれる。なお、この時、切替通知に、どの処理部からどの処理部に切り替えるのか処理部の識別子を含んでもよい。また、第1の処理部11から第2の処理部13に切り替えることを示す識別子を含んでもよい。更にまた、切替通知の送信に際しては図示しない切替管理部14のヒューマンマシンインタフェース(HMI)を介した人間による送信許諾入力後に切替管理部14は切り替え通知を送信してもよい。
【0023】
次に、第1の処理部11から切替通知を受信した第2の処理部13は、周期的な制御演算が可能となるように準備する(S204)。なお、準備には切替通知に含まれるパラメータの設定、メモリ情報からメモリの割り当て、次の制御内容を出力部に設定することなどが挙げられるが、これらに限るものでもない。
【0024】
第2の処理部13は、切替完了時間までに全ての準備が整うと、完了通知を切替管理部14と第1の処理部11に送信する(S205)。そして、第2の処理部13側が、次の制御周期からの制御を開始する(S206)。
【0025】
次に、第1の処理部11は、第2の処理部14から切替完了時間前に完了通知を受信すると、制御処理を停止する(S207)。そして、第1の処理部11は、切替管理部11に終了通知を送信する(S208)。そして、切替管理部14が第2の処理部からの完了通知と第1の処理部11からの終了通知を受信する(S207)。このように、切替完了時間や制御演算に必要なパラメータなどを切替通知に含め、切替完了時間を通知することで、定期的な処理をする制御システムでも、処理部の切替が可能となる。
【0026】
図4は、第2の処理部13が制御処理を開始しない場合のメッセージシーケンスチャート例を示す図である。
図4に示すように、
図3と同様にS201からS204までの処理を行う。そして、2の処理部13は、切替完了時間までに全ての準備が整わない場合、第2の処理部13は完了通知を送信せず、さらに定期的な処理演算も開始しない(S305)。
【0027】
次に第1の処理部11は第2の処理部14から切替完了時間内に完了通知を受信しなかったので、処理演算を継続し、継続通知を切替管理部14へ送信する(S306)。最後に切替管理部14が第1の処理部11から継続通信を受信し、第2の処理部13に対して継続通知を送信する(S307)。
【0028】
このように、切替完了時間を第1の処理部11と第2の処理部14とで、共有することにより、切替完了通知がない場合には、第1の処理部11は制御処理を継続することが可能となる。これにより、制御対象の制御処理に遅延(ダウンタイムを)などが生じることが抑制される。なお、切替管理部14は、切り替えに失敗した場合には、切り替えが成功するまで、切替通知を第1の処理部11に通知することが可能である。切替完了時間までに切り替えが合わない理由として、第1の処理部11の制御状態のタイミング、外部センサからの入力の遅れなどの例外的な事象が考えられる。このため、切り替え処理を数度繰り返すことにより、切替完了時間内の切り替えが行えることとなる。
【0029】
以上説明したように、本実施形態によれば、切り替え処理中の制御周期の終わりを切替完了時間とし、第1の処理部11と第2の処理部14とで、共有することにした。これにより、第2の処理部14は、切替完了時間までに設定処理が終了する場合には、第2の処理部14は制御処理を開始し、第1の処理部11は制御処理を停止可能となる。このため、第1の処理部11の制御周期に対して、第2の処理部14の制御周期を連続して開始することが可能となる。
【0030】
一方で、第2の処理部14は、切替完了時間までに設定処理が終了しない場合には、制御処理を開始しないので、制御対象の制御処理に遅延(ダウンタイムを)などが生じることが抑制される。この場合、第1の処理部11は、第2の処理部14からの切替完了通知がないので、制御処理を継続することが可能となる。これにより、制御対象の制御処理に遅延(ダウンタイムを)などが生じることが抑制される。
【0031】
(第1実施形態の変形例1)
第1実施形態の変形例1に係る制御装置10の切替管理部14が切替開始と終了を管理する点で、第1実施形態に係る制御装置10と相違する。以下では、1実施形態に係る制御装置10と相違する点を説明する。
【0032】
図5は、第1実施形態の変形例1に係るメッセージシーケンスチャート例を示す図である。
図5に示すように、まず、切替管理部14は、外部装置からの切り替え指示信号などの入力状態、第1の処理部11、及び第2の処理部13の状態を監視する。切替管理部14は、切り替え指示信号を検知すると、第1の処理部に対し切替通知を送信する(S202)。この場合、切替管理部14は、第1の処理部11の制御周期の終了のタイミングに合わせて、切替完了時間を含む、切替通知を送信する(S202)。なお、本実施形態に係る制御周期は、ほぼ一定であり、切替管理部14は、切替完了時間を演算可能である。そして、第1の処理部11は、第2の処理部13へ切替通知信号を出力する(S203)。この切替通知信号には、受信した切替完了時間、制御情報、第1の処理部11の内部パラメータ、共有記憶部14のメモリ情報、制御内容などの情報が含まれる。
【0033】
S204からS206までは第1の実施形態と同様の処理を行う。そして、切替完了時間までに切替先の第2の処理部13から完了通知を受信した切替管理部14は、切替元の第1の処理部11に対し終了通知を送信する(S406)。
【0034】
次に、切替完了時間までに切替先の第2の処理部13からの完了通知および切替管理部14から終了通知を受信した第1の処理部11は定期的な処理を停止する(S407)。
【0035】
このように、第1の処理部11は、第2の処理部13からの完了通知に応じた切替管理部14からの終了通知により、制御処理を停止することとした。これにより、切替管理部14が、切替処理を一元管理しつつ更新時のダウンタイムを抑制できる。
【0036】
図6は、引継ぎが間に合わなかった場合にけるメッセージシーケンスチャート例を示す図である。
図6に示すように、S201からS206までは
図5と同様の処理を行う。そして、切替処理部14は、所定の経過時間までに切替完了通知が受信できない場合には、切替完了時間までに切替完了通知が受信できないと判断して、第1の処理部11および第2の処理部13に対し、継続通知を送信する(S505)。
【0037】
切替処理部14が、切替完了時間までに切替完了通知が受信できないと判断する基準として、例えば切替完了時間からマージンとして所定の時間を引いた時間、または切替完了時間から切替完了時に必要な処理の処理遅延時間を引いた時間、または切替完了時間から切替完了時に必要な処理の処理遅延時間を引いた時間からさらにマージンとして所定の時間を引いた時間などが考えられる。このように、切替処理部14が、継続通知を送信する場合には、切替完了時間を基準として、継続通知を出力するタイミングに時間幅を持たせることが可能となる。
【0038】
次に、切替管理部14から継続通知を受信した第1の処理部11は定期的な処理を継続する。そして、切替管理部14に対して継続通知の応答をする(S506)。このとき、切替完了時間によらず、第1の処理部11は切替管理部14の継続通知に従う。
【0039】
次に、切替管理部14から継続通知を受信した第2の処理部13は切替処理および定期的な処理を開始しない。そして切替管理部14に対して継続通知の応答をする(S507)。このとき、切替完了時間によらず、第2の処理部13は切替管理部14の継続通知に従う。
【0040】
最後に切替管理部14は第1の処理部11および第2の処理部13からの継続通知の応答があることで、第1の処理部11から第2の処理部13への定期的な処理の切替を行わず、第1の処理部11で定期的な処理を継続すると判断する(S508)。例えば、第1の処理部11や第2の処理部13から継続通知の応答を受信できなかった場合、第1の処理部11や第2の処理部13は継続通知を正常に受信できていないと、切替管理部14は判断し、再度継続通知を送信してもよい。
【0041】
このように、切替処理部14が、継続通知を送信する場合には、第1実施系形態の制御装置と同等の効果に加え、切替完了時間を基準として、継続通知或いは停止通知を出力するタイミングに時間幅を持たせることが可能となる。
【0042】
(第2実施形態)
(構成)
図7は、第2実施形態に係る制御装置10aの構成例を示すブロック図である。
図7に示すように、制御装置10aは、第1の処理部11、及び第2の処理部13のそれぞれが内部機能として切替管理部14、14を有する点で第1実施形態に係る制御装置10と相違する。
【0043】
このように、切替管理部14、14が第1の処理部11および第2の処理部13の内部に存在することで、切替に必要な各通知を第1の実施形態と比較して滞りなく送受信できるので、切り替え処理を失敗することを抑制できる。
【0044】
(第3実施形態)
(構成)
図8は、第3実施形態に係る制御システム70の構成例を示すブロック図である。
図8に示すように、制御システム70は、第3実施形態に係る制御装置10bと、オーケストレーション部71とを備える。第3実施形態に係る制御装置10bの各構成部は、例えばクラウドサーバ上のコンテナで構成される。
【0045】
オーケストレーション部71は、制御装置10bの第1の処理部11、第2の処理部13、及び切替管理部14をデプロイすることが可能である。なお、本実施形態に係るデプロイは、ネットワークなどを介して提供されるアプリケーションソフトを実行可能な状態にすることを意味する。また、本実施形態に係るデプロイには、ソフトウェアのインストールを含めてもよい。
【0046】
例えば、オーケストレーション部71は、第1の処理部11が制御を継続している期間中に、本実施形態に係る第2の処理部13、及び切替管理部14をデプロイにより構成する。すなわち、第2の処理部13、及び切替管理部14は、オーケストレーション部71によって所謂ホットデプロイされることで、動作を開始するコンテナやアプリケーションである。
【0047】
(作用)
図9は、第3実施形態に係るメッセージシーケンスチャートの例を示す図である。
図9に示すように、まず、オーケストレーション部71は処理部の切替トリガを元に、切替管理部14および第2の処理部13のデプロイをする(S801)。
【0048】
ここで切替トリガとは、例えば図示しないオーケストレーション部71のHMIを介して、画面上の特定のボタンを押下するなど人によって与えられるトリガであが、これらに限されないない。例えば、オーケストレーション部71の外部からネットワークを介し、IPパケットなどで与えるトリガでもよい。
【0049】
次に、第2の処理部13がデプロイされるとともに、自動的に切替準備の指示を受けられる状態になる(S802)。本実施の形態では、第2の処理部13がデプロイされると自動的に切替準備の指示を受けられる状態になる。或いは、デプロイ後に改めてオーケストレーション部71から第2の処理部13に対して、切替準備となるよう指示をしてもよい。
【0050】
次に、替管理部14がデプロイされるとともに、自動的に第1の処理部11と第2の処理部13の状態を監視可能な状態になる(S803)。なお、本実施の形態では、自動的に切替管理部14が第1の処理部11と第2の処理部13の状態を監視可能な状態になったが、デプロイ後に改めてオーケストレーション部71から切替管理部14に対して、第1の処理部11と第2の処理部13を監視する指示を受信することも可能である。また、切替管理部14が第2の処理部13、切替管理部14の順でデプロイをしたが、デプロイの順番はこの順番に限定されない。この後の処理の流れは第1の実施形態と同様である。
【0051】
以上説明したように、本実施形態によれば、オーケストレーション部71が切替先の処理部である第2の処理部13、及び切替管理部14をデプロイすることとした。これにより、第1実施形態に係る制御装置の効果に加え、クラウド上で定期的な処理をする制御システムであっても、処理部の更新が可能となる。
【0052】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置、方法及びプログラムは、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置、方法及びプログラムの形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0053】
10、10a、10b:制御装置、11:第1の処理部、12:共有記憶部、13:第2の処理、14:切替管理部、70:制御システム、71:オーケストレーション部。