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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】振動発生器
(51)【国際特許分類】
   B06B 1/04 20060101AFI20240930BHJP
【FI】
B06B1/04 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022176521
(22)【出願日】2022-11-02
(62)【分割の表示】P 2021119988の分割
【原出願日】2012-09-28
(65)【公開番号】P2022190091
(43)【公開日】2022-12-22
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110788
【弁理士】
【氏名又は名称】椿 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100124589
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 竜郎
(72)【発明者】
【氏名】黒田 稔
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-320887(JP,A)
【文献】特開平11-192455(JP,A)
【文献】特開2009-050814(JP,A)
【文献】特開2010-094567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B06B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルを有する筐体と、
マグネットを有する振動子と、
前記振動子を前記筐体に対して変位可能に保持する、樹脂で形成された弾性体を備え、
前記筐体は、上面と、底面と、前後左右の側面と、を備え、
前記振動子は、前記筐体に囲まれており、
前記振動子の中央にはウエイトが配置されており、
前記樹脂で形成された弾性体は、前記振動子を保持する環状の保持部と、前記筐体の側面に固定される固定部と、前記保持部と前記固定部とを接続する部分とを備え、
前記振動子は、前記環状の保持部の軸方向に変位可能であり、
前記保持部と前記固定部とを接続する部分は、前記環状の保持部の側面から径方向に延在している、振動発生器。
【請求項2】
前記振動子は、空間を有する前記マグネットを備え、
前記マグネットの空間には、前記ウエイトが配置されている、請求項1に記載の振動発生器。
【請求項3】
前記保持部と、前記保持部と前記固定部とを接続する部分は、異なる素材で形成されている、請求項1又は2に記載の振動発生器。
【請求項4】
前記保持部と前記固定部とを接続する部分の周方向における寸法は、前記保持部と前記固定部とを接続する部分の軸方向における寸法と同じ又は異なる、請求項1から3のいずれかに記載の振動発生器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、振動発生器に関し、特に、コイルに電流を流して振動子を運動させることで振動を発生させる振動発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
振動子を運動させて振動を発生させる振動発生器としては、マグネットやウエイトを含む振動子を、バネ部を介して、筐体により支持した構造を有するものが種々用いられている。この種の振動発生器は、マグネットの近くに配置されたコイルを備えている。振動子は、コイルが通電されて磁場が発生するのに伴って、バネ部を変形させながら運動する。
【0003】
下記特許文献1には、マグネットを有する振動部を、板ばねを介して支持した構造を有する振動発生器が開示されている。この振動発生器では、振動部のマグネットに対面するように、1つの平板状のコイルが配置されている。板ばねの一端は、筐体にねじを用いて固定されている。板ばねの他端は、振動部の重りに、かしめによって固定されている。
【0004】
下記特許文献2には、可動子ブロックにマグネットが取り付けられており、マグネットに沿うように配置された棒状のヨーク体にコイルが巻回されている振動発生装置が開示されている。
【0005】
なお、下記特許文献3には、シャフトの外周にコイルを配置し、その外側に磁石を配置し、磁石部分の振動発生部を上下の板ばねによって保持され、通電により上下方向に往復運動する振動発生器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2003-24871号公報
【文献】特開2010-94567号公報
【文献】特開2011-189337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためこの発明のある局面に従うと、振動発生器は、コイルを有する筐体と、マグネットを有する振動子と、振動子を筐体に対して変位可能に保持する、樹脂で形成された弾性体を備え、筐体は、上面と、底面と、前後左右の側面と、を備え、振動子は、筐体に囲まれており、振動子の中央にはウエイトが配置されており、樹脂で形成された弾性体は、振動子を保持する環状の保持部と、筐体に固定される固定部と、保持部と固定部とを接続する部分とを備え、振動子は、環状の保持部の軸方向に変位可能であり、保持部と固定部とを接続する部分は、環状の保持部の側面から径方向に延在している。
好ましくは、振動子は、空間を有するマグネットを備え、マグネットの空間には、ウエイトが配置されている。
好ましくは、保持部と、保持部と固定部とを接続する部分は、異なる素材で形成されている。
好ましくは、保持部と固定部とを接続する部分の周方向における寸法は、保持部と固定部とを接続する部分の軸方向における寸法と同じ又は異なる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施の形態における振動発生器を示す平面図である。
図2図1のA-A線断面図である。
図3】振動発生器の分解斜視図である。
図4図3とは異なる方向から見た振動発生器の分解斜視図である。
図5】基板、バックヨーク、及びコイルを示す平面図である。
図6図1のB-B線におけるフレームの断面図である。
図7図6のC-C線におけるフレームの断面図である。
図8】本発明の第2の実施の形態における振動発生器の基板、バックヨーク、及びコイルを示す平面図である。
図9】振動子がウエイトを含んでいる場合のホルダ及び振動子の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態における振動発生器について説明する。
【0014】
[第1の実施の形態]
【0015】
振動発生器は、マグネットを保持する振動子が、筐体に対して変位可能に、筐体に支持された構造を有している。振動子の近くには、コイルが配置されている。振動発生器は、コイルを励磁させ、振動子の筐体に対する位置及び姿勢のうち少なくとも一方を変化させることを繰り返すことで振動力を発生するものである。
【0016】
図1は、本発明の第1の実施の形態における振動発生器を示す平面図である。図2は、図1のA-A線断面図である。図3は、振動発生器の分解斜視図である。図4は、図3とは異なる方向から見た振動発生器の分解斜視図である。
【0017】
図1においては、振動発生器1の構成が容易に理解できるように、本来フレーム20の上面によって隠れているホルダ50などが、部分的に実線で表示されている。
【0018】
以下の説明において、振動発生器1について、図1で示される座標のX軸方向を左右方向(座標の原点から見てX軸で正となる方向が右方向)、Y軸方向を前後方向(座標の原点から見てY軸で正となる方向が後方向)ということがある。また、図2のZ軸方向(図1のXY平面に垂直な方向)を上下方向(座標の原点から見てZ軸で正となる方向が上方向)ということがある。
【0019】
図1に示されるように、振動発生器1は、大まかに、基板10と、フレーム(筐体の一例)20と、バックヨーク30と、4つのコイル40(40a,40b,40c,40d)と、ホルダ50とを有している。ホルダ50は、本実施の形態において、4つの柱状体(固定部の一例)51(51a,51b,51c,51d)と、4つのアーム部53(53a,53b,53c,53d)と、1つの振動子保持部(以下、単に保持部ということがある。)55とを有している。保持部55には、マグネット60と、ヨーク(磁性板の一例)70とで構成された振動子80が保持されている。
【0020】
振動発生器1は、全体として、上下の寸法が比較的小さい薄型の略直方体形状に形成されている。本実施の形態において、基板10部分を除き、振動発生器1の左右方向の寸法と、前後方向の寸法とは、互いに略等しくなっている。振動発生器1は、例えば、左右方向、前後方向のそれぞれの外形寸法が10ミリメートル~20ミリメートル程度しかない、小型のものである。振動発生器1は、前後左右の側面及び上面がフレーム20により構成され、基板10及びバックヨーク30により底面が覆われた、箱形の外形を有している。
【0021】
図5は、基板10、バックヨーク30、及びコイル40を示す平面図である。
【0022】
図5に示されるように、バックヨーク30は、本実施の形態において、平板形状を有している。バックヨーク30は、フレーム20の底面側に取り付けられて、フレーム20に固定されている。バックヨーク30の右側の端縁部には、切欠き部31が設けられている。これにより、バックヨーク30がフレーム20に固定された状態で、切欠き部31が設けられている部分を通して、振動発生器1の内部と外部とが連通している。バックヨーク30は、例えばステンレスなどの非磁性材を用いて構成されている。
【0023】
基板10は、例えば、フレキシブルプリント基板(FPC)である。基板10は、バックヨーク30の上面の略全面を覆うように形成されている。基板10には、バックヨーク30上の部位から右方向に突出する突出片10bを有している。突出片10bの先端には、外部のコネクタや外部基板のはんだランドなどに装着可能な端子部10cが設けられている。基板10は、突出片10bが切欠き部31を通ってフレーム20の外部に出るようにして、バックヨーク30上に配置されている。基板10は、例えば粘着シートや接着剤などを介して、バックヨーク30に固定されている。
【0024】
基板10上には、各コイル40に対応するランド12が設けられている。本実施の形態において、ランド12は、1つのコイル40につき2つずつ、合計8つが設けられている。各ランド12は、端子部10cの端子に接続されている。これにより、外部から端子部10cに供給された駆動電流は、ランド12を介して、各コイル40に送られる。
【0025】
4つのコイル40は、それぞれ、例えば導線を巻回してなる、全体として三角形型で平板状の空芯コイルである。すなわち、各コイル40は、巻回軸方向の寸法が、巻回軸方向に直交する方向の寸法よりも小さい薄型コイルである。なお、コイル40は、金属箔を巻回したものをスライスしてなるものであったり、シートコイルを積層してなるものであったりしてもよい。また、コイル40は、平面視で、円を含む楕円形状や、四角形形状などの多角形形状を有していてもよい。
【0026】
図2に示されるように、各コイル40は、巻回軸方向が上下方向となるようにして、基板10の上面に配置されている。すなわち、各コイル40は、後述するように振動子80に対して面対向に配置されている。
【0027】
図1に示されるように、4つのコイル40は、後述するように4つのコイルへの通電態様が変更されたとき、振動子80の運動方向が変化するように配置されている。すなわち、本実施の形態においては、コイル40aは、振動発生器1の左右中央部後方に配置されている。コイル40bは、平面視で、振動発生器1の前後中央部右方に配置されている。コイル40cは、平面視で、振動発生器1の左右中央部前方に配置されている。コイル40dは、平面視で、振動発生器1の前後中央部左方に配置されている。各コイル40は、その三角形形状のうち1つの頂点部分が前後左右の中央部に向くようにして、配置されている。
【0028】
各コイル40の2つの巻回端部のうち一方は、そのコイル40の内側に位置するように配置されているランド12に接続されており、他方は、そのコイル40の外側に位置するように配置されているランド12に接続されている。各コイル40の巻回端部は、それぞれ、例えばはんだを用いて、ランド12に接続されている。これにより、端子部10cを通じて、各コイル40に通電可能である。
【0029】
図1に示されるように、フレーム20は、全体として、底面部が開口する直方体形状を有している。フレーム20は、例えば鉄板を絞り加工することにより形成されているが、これに限られるものではない。平面視で、フレーム20の角部(各側面間の部位)は、R面状部分を挟んで繋がっている。図2に示されるように、フレーム20は、基板10の上方から、基板10の上面を覆うように配置される。フレーム20は、各側面の下部がバックヨーク30に対して接着又は溶接などがされることで、バックヨーク30に固定されている。換言すると、バックヨーク30は、フレーム20に取り付けられている。なお、フレーム20は、バックヨーク30に設けられた突起に係合したり、バックヨーク30にはめ込まれたり、その他の方法でバックヨーク30に固定されていたりしてもよい。
【0030】
このように、振動発生器1は、フレーム20で囲まれた構造を有するので、周囲の磁場等に影響されにくい。また、振動発生器1内の磁束が比較的外部に漏れにくく、外部の機器や回路などに影響が及びにくい。
【0031】
また、振動発生器1は、フレーム20と底板30とで箱形に囲まれているので、振動発生器1自身の剛性が高くなる。したがって、振動発生器1は、確実に振動を発生することができる。また、振動発生器1は、外部機器等への取り付け作業時において取り扱いやすいものとなる。
【0032】
ホルダ50は、マグネット60及びヨーク70と共に、インサート成形により一体成形されている。すなわち、ホルダ50と振動子80とは、一体成形されている。本実施の形態において、柱状体51、アーム部53、及び保持部55は、弾性体(樹脂の一例)を用いて一体成形されている。弾性体としては、例えば、熱に強いフッ素系やシリコン系のゴムを用いることができる。このようなゴムを用いてホルダ50を形成することにより、振動発生器1の耐熱性を向上させることができる。弾性体はこれに限られず、種々のものを用いることができる。
【0033】
図3に示されるように、各柱状体51は、高さ方向が上下方向となる円柱形状を有している。各柱状体51の高さは、例えば、フレーム20の内部の上下方向の寸法と略同じか、それよりもやや小さくなっている。
【0034】
図1に示されるように、4つの柱状体51は、それぞれ、平面視でホルダ50の四隅となる位置に配置されている。柱状体51は、フレーム20の側面のR面状部分に、それぞれ配置されている。
【0035】
図1及び図2に示されるように、振動子80は、水平面(図1においてXY平面)に平行となる板形状を有している。振動子80は、平面視で各辺が前後方向又は左右方向に対して平行な略長方形形状に形成されている。振動子80は、特に本実施の形態では、平面視で略正方形であるが、これに限られない。振動子80は、平面視で、円形、楕円形であったり、他の多角形であったりしてもよい。
【0036】
図1に示されるように、振動子80は、平面視でホルダ50の中央部、すなわち振動発生器1の中央部に配置されている。図2に示されるように、振動子80は、コイル40と略平行に、コイル40に対して面対向に配置されている。
【0037】
マグネット60は、永久磁石であり、薄型の直方体形状を有している。マグネット60は、例えば、コイル40に対向する底面側部分がN極又はS極の一極になり、ヨーク70側の上面側部分が他の極となるように着磁されている。なお、マグネット60の着磁態様はこれに限られない。例えば底面側部分において前後方向にN極とS極とが分かれるように2極に着磁されていたり、各コイル40に対応するようにN極とS極とが4極に着磁されていたりしてもよい(例えば、コイル40aに近い部分がN極、コイル40bに近い部分がS極、コイル40cに近い部分がN極、コイル40dに近い部分がS極というように着磁されていてもよい。)。
【0038】
ヨーク70は、マグネット60の上面を覆うように取り付けられた、平面視で略正方形の磁性板である。ヨーク70とマグネット60とは、例えばスポット溶接や接着により、互いに接合されて、一体の振動子80を構成している。本実施の形態においては、ヨーク70及びマグネット60が接合されて振動子80が構成されている状態で、振動子80とホルダ50とがインサート成形により一体に成形されている。例えば、ヨーク70は、互いに対辺となる2辺のそれぞれから部分的に側方外向きに突出する耳部(図示せず)を有し、この耳部がホルダ50の保持部55に食い込むようにして、ホルダ50に振動子80が取り付けられていてもよい。これにより、ホルダ50から振動子80が脱落しにくくなる。
【0039】
4つのアーム部53は、それぞれ、直方体形状の保持部55の各側面と、その側面に最も近い柱状体51とを接続するようにして形成されている。各アーム部53は、保持部55の各側面から略垂直に延びる梁状に形成されている。図3などに示されるように、アーム部53は、弾性体により形成されているので、振動子80の変位や姿勢変化に伴い、たわみやすくなっている。換言すると、アーム部53は、後述するように振動子80を振動させる際に適度にたわむように、その寸法が設定されている。例えば、本実施の形態において、各アーム部53の幅方向(平面視で保持部55の各辺に平行な方向)の寸法は、縦方向(上下方向)の寸法よりも小さくなっている。これにより、各アーム部53は、上下方向よりも水平方向にたわみやすくなっている。なお、各アーム部53の幅方向の寸法と縦方向の寸法との関係は、これに限定されない。各アーム部53の幅方向の寸法は、縦方向の寸法と等しくてもよいし、縦方向の寸法よりも大きくてもよい。
【0040】
このように4つのアーム部53がそれぞれ水平方向及び垂直方向にたわみやすく形成されていることにより、振動子80は、柱状体51に対して、水平方向及び垂直方向に変位可能である。すなわち、振動子80は、水平面に略平行な方向及び水平面に略垂直な方向に変位可能に、アーム部53によって支持されている。
【0041】
ホルダ50は、4つの柱状体51のそれぞれがフレーム20に固定されていることにより、フレーム20に取り付けられている。これにより、フレーム20とは別に一体成形されたホルダ50によって、振動子80がフレーム20に対して変位可能に支持された、振動発生器1の基本構造が構成されている。
【0042】
本実施の形態において、柱状体51は、フレーム20に設けられた係合部21(21a,21b,21c,21d)に係合することで、フレーム20に取り付けられている。これにより、ホルダ50は、フレーム20に容易に取り付け可能である。
【0043】
図6は、図1のB-B線におけるフレーム20の断面図である。図7は、図6のC-C線におけるフレーム20の断面図である。
【0044】
本実施の形態において、図7に示されるように、係合部21は、平面視でフレーム20の隅部にそれぞれ設けられている。4つの係合部21のそれぞれは、第1の爪部22(22a,22b,22c,22d)と、第2の爪部23(23a,23b,23c,23d)との2つの爪部22,23を有している。
【0045】
図6に示されるように、各係合部21において、2つの爪部22,23は、それぞれ、フレーム20の側面の一部にU字状(コ字状)の切り欠きが設けられ、切り欠きの内部がフレーム20の内側に向けて押し込まれることにより形成されている。したがって、各爪部22,23は、フレーム20と一体に成形されている。各爪部22,23がこのようにして形成されることにより、フレーム20の側面には、部分的に空隙25(25a,25b,25c,25d)が設けられている。
【0046】
本実施の形態において、爪部22,23は、柱状体51の形状に対応する形状に形成されている。すなわち、柱状体51は円柱状であるところ、爪部22,23は、柱状体51の側周面に沿うような形状に形成されている。図7に示されるように、各係合部21は、平面視で、爪部22,23とフレーム20の側面間のR面状部分とにより、その係合部21に配置される柱状体51の外周面のうち半周以上の部分を囲むように形成されている。
【0047】
フレーム20にホルダ50を配置するとき、まず、4つの柱状体51が、4つの係合部21にはめ込まれる。これにより、各柱状体51が係合部21の爪部22,23間に挟まれた(係合の一例)格好となる。換言すると、各柱状体51は、側周面が係合部21の爪部22と爪部23とにより把持された(係合の一例)状態となる。このように柱状体51と係合部21とが係合することで、柱状体51がフレーム20に固定され、ホルダ50がフレーム20に取り付けられる。
【0048】
各爪部22,23は、各柱状体51がそれぞれ係合部21にはめ込まれた状態で、柱状体51にかしめられる。図7に矢印で示されるように、例えば係合部21dについて、第1の爪部22dが、前方向(図7において下方向)に押し込まれ、第2の爪部23dが、右方向(図7において右方向)に押し込まれる。このように爪部22,23がかしめられることにより、各柱状体51に爪部22,23が食い込み、柱状体51がより強固にフレーム20に固定される。
【0049】
ここで、振動発生器1において、各コイル40は、振動子80をフレーム20に対して運動させるための磁場を発生する。すなわち、各コイル40は、電流が流されると励磁する。これにより、上下方向に磁場が生じる。磁場が生じると、マグネット60がこの磁場の影響を受けることで、反発・吸引の力が生じる。このため、振動子80に、磁場の方向及びマグネット60の磁極の配置に応じた方向に振動子80を変位・姿勢変化させる力が作用する。これにより、振動子80は、各アーム部53をたわませながら変位する。したがって、4つのコイル40のうち少なくとも1つに交流が流されることで、振動子80は、フレーム20に対して、往復運動などの周期的運動を行う。これにより、振動発生器1が振動力を発生する。
【0050】
交流の電流値が小さくなり、磁場が弱くなったりなくなったりすると、アーム部53の復元力により、振動子80は平面視で振動発生器1の中央部に戻ろうとする。このとき、アーム部53は弾性体であるところ、アーム部53で消費されるエネルギは比較的大きくなる。したがって、振動は速やかに減衰される。
【0051】
ここで、本実施の形態では、マグネット60は、コイル40に対向する底面側部分がN極又はS極の一極になるように着磁されている。そのため、4つのコイル40のそれぞれに、次のような態様で交流電流を印加することで、振動子80を、フレーム20に対して、X軸方向(第1の運動方向)、Y軸方向(第2の運動方向)、Z軸方向(第3の運動方向)など、所定の方向に往復運動させることができる。
【0052】
振動子80をX軸方向に往復運動させる場合は、例えば、まず、コイル40dに時計回りの電流を流し、コイル40bに反時計回りの電流を流す。これにより、振動子80は、左右方向のいずれか一方向に移動する。その後、コイル40dに反時計回りの電流を流し、コイル40bに時計回りの電流を流す。これにより、振動子80は上記とは反対方向に移動する。このようにコイル40dとコイル40bとに交互に電流を流すことを繰り返すことにより、振動子80をX軸方向に繰り返して往復運動させることができ、振動を発生させることができる。
【0053】
振動子80をY軸方向に往復運動させる場合は、例えば、まず、コイル40aに時計回りの電流を流し、コイル40cに反時計回りの電流を流す。これにより、振動子80は、前後方向のいずれか一方向に移動する。その後、コイル40aに反時計回りの電流を流し、コイル40cに時計回りの電流を流す。これにより、振動子80は上記とは反対方向に移動する。このようにコイル40aとコイル40cとに交互に電流を流すことを繰り返すことにより、振動子80をY軸方向に繰り返して往復運動させることができ、X軸方向に往復運動させた場合とは異なるパターンの振動を発生させることができる。
【0054】
振動子80をZ軸方向に往復運動させる場合は、例えば、まず、すべてのコイル40a,40b,40c,40dに時計回りの電流を流す。これにより、振動子80は、上下方向のいずれか一方向に移動する。その後、すべてのコイル40a,40b,40c,40dに反時計回りの電流を流す。これにより、振動子80は上記とは反対方向に移動する。このようにすべてのコイル40a,40b,40c,40dに交互に電流を流すことを繰り返すことにより、振動子80をZ軸方向に繰り返して往復運動させることができる。振動子80をZ軸方向に運動させるので、軸方向やY軸方向に往復運動させた場合とは異なるパターンの振動を発生させることができる。
【0055】
なお、振動子80は、各コイル40に吸引されたり反発したりすることで変位する。そのため、振動子80が水平面に平行なX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に変位するとき、厳密には、水平な姿勢から若干傾いたり上下方向に変位したりする。しかしながら、このような変位の量や姿勢変化の量が比較的に小さく、特に効果には影響しないため、ここでは、これを特に考慮せずに表現している。
【0056】
また、このように構成された振動発生器1では、4個のコイルにタイミングをずらして電流を流すことにより、振動子80を回転方向に対してねじれ運動させることができる。例えば、交流電流の位相を90度ずらして各コイル40に電流を印加することで、振動子80をねじれ運動させることができる。すなわち、まず、コイル40dに時計回りの電流を流すと共に、コイル40bに反時計回りの電流を流す。次に、コイル40aに時計回りの電流を流し、コイル40cに反時計回りの電流を流す。その後、コイル40dに反時計回りの電流を流し、コイル40bに時計回りの電流を流す。そして、コイル40aに反時計回りの電流を流し、コイル40cに時計回りの電流を流す。このように電流を流すと、各コイル40の上方に位置する振動子80の角部が、平面視で時計回りに1箇所ずつ浮き上がり、それと共に、その対角に相当する角部が下方に沈む。このように、振動子80は、振動子80の略中央部を通りZ軸に平行な軸周りに、周期的に姿勢変化を行う。換言すると、振動子80は、振動子80の略中央部を通りZ軸に平行な軸を中心に、水平から傾いた姿勢のまま、ねじれ運動する。
【0057】
上記のような、振動子80のX軸方向の往復運動、Y軸方向の往復運動、Z軸方向の往復運動、及びねじれ運動は、同一の振動発生器1において、各コイル40への通電態様を変更することで、容易に切り替えることができる。
【0058】
なお、振動子80をZ軸方向へ運動させる場合、ホルダ50とコイル40とが接触したり、ホルダ50とフレーム20とが接触したりすることが考えられる。そのため、ホルダのZ軸方向の少なくともいずれか一方の側すなわちホルダ50の上方やホルダ50の下方には、防護部材を設けておくことが好ましい。
【0059】
例えば、ホルダ50とコイル40とが接触すると、コイル40が損傷する可能性がある。コイル40の損傷を防止するためには、防護部材として、例えば次のようなものを設けておけばよい。すなわち、予め、ホルダ50の底面(コイル40側の面)に、例えば、柔らかい素材のシリコン部材など(防護部材の一例)を取り付ければよい。また、コイル40をシリコン樹脂などでコーティング(防護部材の一例)して保護してもよい。また、コイル40とホルダ50との間に、例えばセロハンやラバー部材など、別の部材を防護部材として配置したりすればよい。例えば、図2に示されるように、コイル40の上面側に、シリコンシート600(防護部材の一例)を貼り付けることにより、コイル40を保護してもよい。
【0060】
また、ホルダ50とフレーム20との接触についても同様である。すなわち、例えば、フレーム20とホルダ50との間に、セロハンやラバー部材など、別の部材を防護部材として配置すればよい。
【0061】
ところで、特許文献1から特許文献3のそれぞれに記載されているような構造の振動発生器において、振動子の振動方向は、マグネットやコイルの配置、及び振動子を保持する板ばねの形状などにより規定されている。すなわち、これらの振動発生器において、振動子の振動方向は一方向に限られている。そのため、これらの振動発生器において振動を発生させる場合、振動発生の態様(振動パターン)は、単調なものになりがちであるという問題がある。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態では、振動子80に対して面対向に4つのコイル40が配置されており、振動子80は、各コイル40の励磁に伴って運動可能である。4つのコイルが設けられていることにより、各コイル40へ様々な態様で通電することができる。したがって、同一の振動発生器1を用いて、振動子80の運動方向や振動の強さなどを種々変更することができ、様々なパターンの振動を発生させることができる。振動発生器1の薄型化も容易であり、幅広い用途に用いることができる。
【0063】
ところで、従来の振動発生器では、筐体に取り付けられた板ばねを使用して振動子を支持するものであるところ、例えば板ばねが筐体にねじを用いて取り付けられているものなど、板ばねの筐体側への取り付け部分の構造が複雑になるという問題があった。そのため、振動発生器の組立て工数が複雑化し、部品点数も多くなり、振動発生器の製造コストが増大する。このような問題は、振動発生器の小型化、薄型化の要求が高まるのに伴い、より顕著なものになっている。すなわち、振動発生器の小型化に伴い、構成部品も小型化されるため、ねじ止めやかしめに代えてスポット溶接などの取り付け方法を用いる必要があり、部品間の取り付け部の構造が複雑化する。例えば、板ばねと筐体との取り付け部などにスポット溶接を施す場合には、振動発生器の信頼性を高く保つために、多くの箇所を溶接する必要があり、製造に手間がかかる場合がある。スポット溶接を行った部位は、比較的衝撃力に対して脆くなるからである。このような問題に対して、従来見られるような、バネ部とフレームの枠部とを一体成形した構造では、上記のようなバネ部と筐体の接合方法についての問題はそもそも発生しない。しかしながら、この場合、筐体に用いられる素材は、バネ部と一体成形することが可能なものに限られるという問題がある。
【0064】
このような問題に対して、本実施の形態では、柱状体51を含むホルダ50が一体成形されており、ホルダ50は、柱状体51が係合部21にはめ込まれることで、フレーム20に対して取り付けられている。ホルダ50をフレーム20に容易に取り付けることができ、部品点数も少なく抑えられるので、振動発生器1の製造コストを低減できる。また、ホルダ50及びフレーム20はそれぞれ一体に形成されているので、ホルダ50とフレーム20との取り付け部は、脆くなることはない。したがって、振動発生器1の衝撃に対する信頼性を高めることができる。ホルダ50のフレーム20への取り付けに、ねじなどの別の部材を要することがないので、振動発生器1の小型化、薄型化、軽量化を進めることができる。
【0065】
従来見られるような、振動子を支持するバネ部と筐体とが樹脂により一体成形される構造を用いた場合には、バネ部と筐体とを同素材とせざるを得なくなるという素材選択上の問題がある。しかしながら、本実施の形態では、ホルダ50とフレーム20とは、別部材で構成されているので、部品点数が少なくなる。また、容易に組立て可能な簡素な構造としながら、フレーム20の材質を適宜選択できる。したがって、例えば別途磁気回路や磁気シールドとして機能する部材などを設けることなく、フレーム20がその役割を果たすように構成することができる。
【0066】
ホルダ50は、柱状体51と、アーム部53と、振動子保持部55とが弾性体により一体成形されて構成されている。したがって、部品点数を低減し、かつ、ホルダ50を容易に製造することができる。本実施の形態では、マグネット60及びヨーク70がホルダ50と共にインサート成形されているので、振動子80を保持した状態のホルダ50を容易に構成することができ、振動発生器1の製造工程をさらに簡素化できる。
【0067】
係合部21は、フレーム20の側面の一部に切り欠きを設けて爪部22,23を形成することで、フレーム20と一体に形成されている。したがって、部品点数をより少なくすることができ、製造コストをさらに低減することができる。
【0068】
ホルダ50のフレーム20への取り付け構造は、円柱状の柱状体51を2つの爪部22,23で把持したものである。したがって、振動発生器1の構造を簡素化しつつ、柱状体51を確実にフレーム20に位置決めし、ホルダ50のフレーム20への取り付け精度を高めることができる。柱状体51に対して、爪部22,23がかしめられている構造を有するので、ホルダ50がフレーム20により強固に取り付けられる。
【0069】
基板10はFPCであるので、両面基板を用いる場合と比較して、振動発生器1の上下方向の寸法を削減することができる。また、バックヨーク30の形状も単純なものにすることができ、製造コストを低減することができる。
【0070】
[第2の実施の形態]
【0071】
第2の実施の形態における振動発生器の基本的な構成は、第1の実施の形態におけるそれと同じであるためここでの説明を繰り返さない。第2の実施の形態においては、コイルの配置が第1の実施の形態のそれとは異なっている。
【0072】
図8は、本発明の第2の実施の形態における振動発生器の基板、バックヨーク、及びコイルを示す平面図である。
【0073】
図8に示されるように、第2の実施の形態においても、4つのコイル140(140a,140b,140c,140d)が配置されている。4つのコイル140は、後述するように4つのコイル140への通電態様が変更されたとき、振動子80の運動方向が変化するように配置されている。
【0074】
ここで、第2の実施の形態においては、コイル140aは、振動発生器1の左後方に配置されている。コイル140bは、平面視で、振動発生器1の右後方に配置されている。コイル140cは、平面視で、振動発生器1の右前方に配置されている。コイル140dは、平面視で、振動発生器1の左前方に配置されている。すなわち、平面視で、振動子80の第1の運動方向(左右方向)から水平面に垂直な軸周りに45度回転した方向に対応する位置に2つのコイル140b,140dが配置され、振動子80の第3の運動方向(前後方向)から水平面に垂直な軸周りに45度回転した方向に対応する位置に他の2つのコイル140a,140cが配置されている。各コイル140は、その三角形形状のうち1つの頂点部分が前後左右の中央部に向くようにして、配置されている。
【0075】
各コイル140の2つの巻回端部のうち一方は、そのコイル140の内側に位置するように配置されているランド12に接続されており、他方は、そのコイル140の外側に位置するように配置されているランド12に接続されている。各コイル140の巻回端部は、それぞれ、例えばはんだを用いて、ランド12に接続されている。これにより、端子部10cを通じて、各コイル140に通電可能である。
【0076】
第2の実施の形態においては、このようにコイル140が振動子80の運動方向からずれて配置されているところ、次のようにして振動子80を駆動させることができる。すなわち、振動子80をX軸方向に往復運動させる場合は、例えば、まず、コイル140aとコイル140dとに時計回りの電流を流し、コイル140bとコイル140cとに反時計回りの電流を流す。これにより、振動子80は、左右方向のいずれか一方向に移動する。その後、コイル140aとコイル140dとに反時計回りの電流を流し、コイル140bとコイル140cとに時計回りの電流を流す。これにより、振動子80は上記とは反対方向に移動する。
【0077】
このように、コイル140a及びコイル140dの組み合わせと、コイル140b及びコイル140cの組み合わせとに交互に電流を流すことを繰り返すことにより、振動子80をX軸方向に繰り返して往復運動させることができ、振動を発生させることができる。この場合、第1の実施形態と比較すると、コイル140で発生させることができる磁場の大きさは2倍になり、より大きな振動を発生させることができる。
【0078】
振動子80をY軸方向に往復運動させる場合には、例えば、まず、コイル140aとコイル140bとに時計回りの電流を流し、コイル140cとコイル140dとに反時計回りの電流を流す。これにより、振動子80は、前後方向のいずれか一方向に移動する。その後、コイル140aとコイル140bとに反時計回りの電流を流し、コイル140cとコイル140dとに時計回りの電流を流す。これにより、振動子80は上記とは反対方向に移動する。
【0079】
このように、コイル140a及びコイル140bの組み合わせと、コイル140c及びコイル140dの組み合わせとに交互に電流を流すことを繰り返すことにより、振動子80をY軸方向に繰り返して往復運動させることができ、X軸方向に往復運動させた場合とは異なるパターンの振動を発生させることができる。この場合、第1の実施形態と比較すると、コイル140から発生させることができる磁場の大きさは2倍になり、より大きな振動を発生させることができる。
【0080】
なお、振動子80をZ軸方向に往復運動させる場合には、第1の実施の形態で説明した方法でコイルに通電すればよい。これにより、振動子80を上下方向に移動させることができる。振動子80を繰り返して上下方向に往復運動させることで、振動を発生させることができる。
【0081】
なお、第2の実施の形態において、コイル140の配置態様は上述のものに限られない。例えば、複数のコイルのうち少なくとも2つが、平面視で、振動子80の運動方向を挟んで互いに対称となるように、それぞれ運動方向からずれた位置に配置されていてもよい。
【0082】
[その他]
【0083】
フレームは鉄に限られず、他の素材を用いて構成されていてもよい。例えば、ホルダとは別体に構成された樹脂製であってもよい。フレームは、上面又は底面が設けられておらず、平面視でホルダの周囲を囲むようなものであってもよい。フレームは、平面視で正方形以外の形状であってもよい。
【0084】
バックヨークや回路基板は設けられていなくてもよい。例えば、バックヨークに代えて、他の素材の部材が設けられていてもよい。また、回路基板は、両面基板などのプリント配線基板であってもよい。この場合、バックヨークは不要になり、コイルに通電するための端子部が、例えば振動発生器の底面に設けられていてもよい。
【0085】
柱状体の数やアーム部の数は、上述に限られない。また、柱状体は、円柱形状でなくてもよく、多角柱形状であってもよい。ホルダは、一体成形されたものではなく、複数の部材を組み付けて構成されたものであってもよい。
【0086】
ホルダのフレームへの取り付け構造は、柱状体とそれを挟むような2つずつの爪部が係合するものに限られず、ホルダ側の他の形状の固定部と、フレームに形成された係合部とが係合するものであればよい。例えば、フレームに穴状の係合部が形成されており、その係合部にホルダ側の突起部が嵌装されることで、ホルダがフレームに取り付けられるようにしてもよい。また、それぞれの柱状体に貫通孔や有底孔を設け、フレームの四隅には4本の支柱を設け、この支柱に貫通孔や有底孔を通すことで、ホルダをフレームに対して固定するようにしてもよい。
【0087】
ホルダは、単色成形されるものに限られない。例えば、柱状体及び保持部と、アーム部とを、互いに異なる素材を用いて、二色成形により一体成形したものであってもよい。
【0088】
ホルダへの振動子の取り付け構造すなわちホルダへのマグネット及びヨークの取り付け構造は、インサート成形に限られるものではない。例えば、ホルダの成形とは別の工程において、一体成形されたホルダに、互いに溶接などにより接合されたマグネット及びヨークを組み込み、接着などを行った構造を有していてもよい。また、ホルダとヨークを一体形成し、その後、ヨーク部分にマグネットを取り付けるようにしてもよい。
【0089】
振動子は、マグネットに加えて、ウエイトを含んでいてもよい。これにより、大きな振動力を得ることができる。また、アーム部の大きさ、長さや、弾性体の材質にかかわらず、必要とする振動力の大きさを容易に調整することができる。
【0090】
図9は、振動子がウエイトを含んでいる場合のホルダ及び振動子の一例を示す平面図である。
【0091】
図9に示されるように、ホルダ50及びヨーク70の構成は、上述の実施の形態におけるそれと同一である。図に示される振動子180は、ウエイト185を含んでいる。すなわち、振動子180は、マグネット160と、ヨーク70と、ウエイト185とを有している。マグネット160には、ウエイト185が配置されるための空間が設けられており、ウエイト185は、マグネット160に埋め込まれるようにして配置されている。このようにウエイト185が設けられることにより、振動発生器の大型化を避けつつ、振動子180の重量を重くすることができる。図9に示される例では、ウエイト185は、コイル40から離れたマグネット160の中央部に配置されている。したがって、上述の実施の形態のようにウエイト185が設けられていない場合と比較して、振動子180が移動するための力の発生にそれほど影響は生じない。
【0092】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0093】
1 振動発生器
10 基板
20 フレーム(筐体の一例)
21(21a,21b,21c,21d) 係合部
22(22a,22b,22c,22d) 第1の爪部
23(23a,23b,23c,23d) 第2の爪部
40(40a,40b,40c,40d),140(140a,140b,140c,140d) コイル
50 ホルダ
51(51a,51b,51c,51d) 柱状体(固定部の一例)
53(53a,53b,53c,53d) アーム部
55 振動子保持部
60,160 マグネット
70 ヨーク
80,180 振動子
600 シリコンシート(防護部材の一例)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9