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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】熱伝導性ピンを有する翼形部
(51)【国際特許分類】
   F01D 5/18 20060101AFI20240930BHJP
   F02C 7/18 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
F01D5/18
F02C7/18 A
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2022504205
(86)(22)【出願日】2020-08-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-10-17
(86)【国際出願番号】 US2020045191
(87)【国際公開番号】W WO2021026345
(87)【国際公開日】2021-02-11
【審査請求日】2023-08-01
(31)【優先権主張番号】16/533,393
(32)【優先日】2019-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515322297
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック テクノロジー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】General Electric Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 8, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(72)【発明者】
【氏名】ダイソン、トーマス アール
(72)【発明者】
【氏名】ハンマー、キンバリー
(72)【発明者】
【氏名】アイバーソン、ジャレッド
(72)【発明者】
【氏名】ロークリフ、ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン、パトリック
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 茜
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0106990(US,A1)
【文献】特表2006-527806(JP,A)
【文献】特開平10-196304(JP,A)
【文献】特表2018-524510(JP,A)
【文献】米国特許第04195396(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01D 5/18
F01D 5/28
F02C 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
翼形部(102)であって、当該翼形部(102)が、
面(124)で互いに接合された複数のピース(120122)から形成された、内部領域(206)を有する多部品本体(106)であって、前記ピース(120122)、複数の空洞(208)を有し、前記ピース(120122)の少なくとも1つ、前記本体(106)の内部領域(206)内に配置された翼形部冷却チャネル(406)を画定する多部品本体(106)と、
前記本体(106)の内部領域(206)内にあり、前記界面(124)を横切って延びる1つ又は複数の熱伝導性ピン(130)であって、前記熱伝導性ピン(130)の各々、前記複数のピース(120122)の第1のピース(120)の対応する空洞(208)内に配置された第1のセグメント(302)、及び前記複数のピース(120122)の第2のピース(122)の対応する空洞(208)内に配置された第2のセグメント(304)を有していて、前記複数のピース(120,122)の第1のピース(120)の複数の空洞(208)が止まり穴の形態である、熱伝導性ピン(130)と
を備えており
前記本体(106)、前記本体(106)の取り付け端(110)から前記取り付け端(110)の反対側の本体(106)の遠位端(112)に長さ軸(108)に沿って延び、前記1つ又は複数の熱伝導性ピン(130)の各々、前記本体(106)の長さ軸(108)に平行に配向される、翼形部(102)。
【請求項2】
1のピース(120)ベースピース(120)であり、2のピース(122)キャップピース(122)である、請求項1に記載の翼形部(102)。
【請求項3】
前記冷却チャネル(406)、前記冷却チャネル(406)を画定する1のピース(120)又は第2のピース(122)の少なくとも1つの空洞(208)のそれぞれの内部端(408)に流体接続される、請求項1に記載の翼形部(102)。
【請求項4】
及び第2のピース(120122)の空洞(208)内の1又は複数の熱伝導性ピン(130)、前記冷却チャネル(406)内に延びない、請求項1に記載の翼形部(102)。
【請求項5】
前記1つ又は複数の熱伝導性ピン(130)前記本体(106)の内部領域(206)内に完全に配置される、請求項1に記載の翼形部(102)。
【請求項6】
1のピース(120)を2のピース(122)にしっかりと固定するために、ろう付け充填材料(402)が前記界面(124)で1のピース(120)及び第2のピース(122)上に配置される、請求項1に記載の翼形部(102)。
【請求項7】
前記本体(106)の材料組成1種以上の金属を含んでおり、前記1つ又は複数の熱伝導性ピン(130)の材料組成とは異なる、請求項1に記載の翼形部(102)。
【請求項8】
前記1つ又は複数の熱伝導性ピン(130)の材料組成、前記本体(106)の材料組成よりも大きい熱伝導率を有する、請求項7に記載の翼形部(102)。
【請求項9】
前記1つ又は複数の熱伝導性ピン(130)、モリブデン、タングステン、タンタル、ニオブ、イリジウム、オスミウム、レニウム、ルテニウム、ロジウム、白金又は銅の1種以上を含む、請求項1に記載の翼形部(102)。
【請求項10】
前記1つ又は複数の熱伝導性ピン(130)、アルミナコーティングによって囲まれたモリブデンを含む、請求項1に記載の翼形部(102)。
【請求項11】
翼形部(102)を製造するための方法(600)であって、当該方法が、
多部品本体(106)の第1及び第2のピース(120122)を得るステップ(602、604)であって、及び第2のピース(120122)の各々、それぞれの合わせ面(202、204)を含み、互いに平行に延びて前記合わせ面(202、204)で開口している複数のそれぞれの空洞(208)を画定し、第1のピース(120)の複数の空洞(208)が止まり穴の形態である、ステップと、
1つ又は複数の熱伝導性ピン(130)の各々が異なる対応する空洞(208)内に受け入れられるように、前記1つ又は複数の熱伝導性ピン(130)を1のピース(120)の空洞(208)内に挿入するステップ(606)であって、前記1つ又は複数の熱伝導性ピン(130)の各々1のピース(120)の空洞(208)の対応する1つの中に配置された第1のセグメント(302)、及び第1のピース(120)の合わせ面(202)を越えて突出する第2のセグメント(304)を有し、前記本体(106)、前記本体(106)の取り付け端(110)から前記取り付け端(110)の反対側の本体(106)の遠位端(112)に長さ軸(108)に沿って延び、前記1つ又は複数の熱伝導性ピン(130)の各々、前記本体(106)の長さ軸(108)に平行に配向される、ステップと、
2のピース(122)を1のピース(120)に整列させるために、各熱伝導性ピン(130)の第2のセグメント(304)が2のピース(122)の対応する空洞(208)内に受け入れられるように、前記多部品本体(106)の第2のピース(122)を1のピース(120)に結合するステップ(608)と
を含む、方法(600)。
【請求項12】
1のピース(120)の合わせ面(202)及び第2のピース(122)の合わせ面(204)、互いに面し、2のピース(122)を1のピース(120)に結合する際に界面(124)を画定し、前記1つ又は複数の熱伝導性ピン(130)、前記界面(124)を横切って延びる、請求項11に記載の方法(600)。
【請求項13】
2のピース(122)を1のピース(120)に結合した後、前記翼形部本体(106)をろう付けし、2のピース(122)を1のピース(120)にしっかりと固定するステップ(610)をさらに含む、請求項11に記載の方法(600)。
【請求項14】
前記翼形部本体(106)の第2のピース(122)2のピース(122)の内部領域(206)内に配置されたその空洞(208)及び冷却チャネル(406)のネットワーク(404)を画定し、前記冷却チャネル(406)2のピース(122)の空洞(208)のそれぞれの内部端(408)に流体接続される、請求項11に記載の方法(600)。
【請求項15】
2のピース(122)を1のピース(120)に結合すると、前記1つ又は複数の熱伝導性ピン(130)の第2のセグメント(304)2のピース(122)の空洞(208)の内部端(408)を越えて前記冷却チャネル(406)内に延びない、請求項14に記載の方法(600)。
【請求項16】
前記翼形部本体(106)の第1のピース(120)、前記1つ又は複数の熱伝導性ピン(130)の材料組成よりも低い熱伝導率を有する材料組成を有するように1のピース(120)を金属鋳造プロセスによって形成することによって得られる、請求項11に記載の方法(600)。
【請求項17】
翼形部(102)であって、当該翼形部(102)が、
外面及び内部領域(206)を有する本体(106)であって、前記本体(106)、前記内部領域(206)内に複数の空洞(208)及び冷却チャネル(406)のネットワーク(404)を画定し、前記空洞(208)、互いに平行であり、前記冷却チャネル(406)のネットワーク(404)、前記空洞(208)のそれぞれの内部端(408)に流体接続される本体(106)と、
1つ又は複数の熱伝導性ピン(130)であって、各熱伝導性ピン(130)が異なる対応する空洞(208)内に配置されるように、前記空洞(208)内に配置され、前記1つ又は複数の熱伝導性ピン(130)、前記冷却チャネル(406)のネットワーク(404)内に延びることなく、前記対応する空洞(208)の少なくとも大部分を充填する1つ又は複数の熱伝導性ピン(130)と
を備えており
前記本体(106)、前記本体(106)の取り付け端(110)から前記取り付け端(110)の反対側の本体(106)の遠位端(112)に長さ軸(108)に沿って延び、前記1つ又は複数の熱伝導性ピン(130)の各々、前記本体(106)の長さ軸(108)に平行に配向され、
前記1つ又は複数の熱伝導性ピン(130)の材料組成、前記本体(106)の材料組成よりも大きい熱伝導率を有し、
前記本体(106)が、界面(124)で互いに結合する第1のピース(120)及び第2のピース(122)によって画定された多部品本体(106)であり、前記本体(106)の空洞(208)の第1のセット(210)が、第1のピース(120)内に画定され、前記空洞(208)の第2のセット(212)が、第2のピース(122)内に画定され、前記1つ又は複数の熱伝導性ピン(130)の各々が第1のセット(210)の1つの対応する空洞(208)及び第2のセット(212)の1つの対応する空洞(208)内に配置できるように、第2のセット(212)が、前記界面(124)を横切って第1のセット(210)と整列しており、第1のピース(120)の第1のセットの空洞(208)が止まり穴の形態である、翼形部(102)。
【請求項18】
前記本体(106)の空洞(208)、前記本体(106)の外面のうちの1つから前記内部領域(206)内に延びる、請求項17に記載の翼形部(102)。
【請求項19】
前記本体(106)の材料組成が1種以上の金属を含む、請求項17に記載の翼形部(102)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の主題は、タービンまたはファンブレードなどの翼形部に関する。
【背景技術】
【0002】
回転用途で使用される翼形部またはブレードは、鋳型内で鋳造される金属で構成され得る。現代の翼形部は、高温に曝される可能性がある翼形部の外側面から熱を吸収して放散するために、翼形部の内部に空気などの冷却流体を分配するための冷却チャネルのネットワークを含むことができる。冷却チャネルは、典型的には、シェル内のコア構造の使用を介して鋳造プロセス中に形成される。コア構造は、冷却チャネルの逆または負を表す細ロッドを含む。コア構造はまた、細ロッドのいくつかに接続して細ロッドを構造的に支持し、細ロッドが鋳造プロセス中にシェルに対して固定位置に保持されることを確実にする支持ポストを含むことができる。ロッドおよび支持ポストを含むコア構造は、鋳造後に除去されてロッドの代わりに開放冷却チャネルを画定し、支持ポストの代わりに空隙または空洞を画定する。
【0003】
これらの開口部および空隙は、翼形部の機能を妨げる可能性がある。例えば、空気または別のガスで充填された開口部および空隙は、翼形部の高温の外側面から冷却チャネルへの熱伝達を抑制する断熱ゾーンを提供し得る。さらに、開口部および空隙は、冷却チャネルと翼形部の外周面との間にブリッジ経路を提供する可能性があり、これは不所望に冷却流体が冷却チャネルを出ることを可能にする場合があり、かつ/または破片もしくは汚染物質が冷却チャネルに入ることを可能にする場合がある。破片または汚染物質は、冷却チャネルを塞ぐか、場合によっては閉塞させ、冷却チャネルの有効性を低下させる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】欧州特許第1489264号明細書
【発明の概要】
【0005】
1つまたは複数の実施形態では、多部品(multi-part)本体と、1つまたは複数の熱伝導性ピンとを含む翼形部が提供される。多部品本体は、内部領域を有し、界面で互いに接合された複数のピースから形成される。ピースは、複数の空洞を有し、ピースの少なくとも1つは、本体の内部領域内に配置された翼形部冷却チャネルを画定する。1つまたは複数の熱伝導性ピンは、本体の内部領域内にあり、界面を横切って延びる。熱伝導性ピンの各々は、複数のピースの第1のピースの対応する空洞内に配置された第1のセグメント、および複数のピースの第2のピースの対応する空洞内に配置された第2のセグメントを有する。
【0006】
1つまたは複数の実施形態では、多部品本体の第1および第2のピースを得ることを含む翼形部を製造するための方法が提供される。第1および第2のピースの各々は、それぞれの合わせ面を含み、互いに平行に延びて合わせ面で開口している複数のそれぞれの空洞を画定する。方法は、1つまたは複数の熱伝導性ピンが異なる対応する空洞内に受け入れられるように、各熱伝導性ピンを第1のピースの空洞内に挿入することを含む。1つまたは複数の熱伝導性ピンの各々は、第1のピースの空洞の対応する1つの中に配置された第1のセグメント、および第1のピースの合わせ面を越えて突出する第2のセグメントを有する。方法はまた、第2のピースを第1のピースに整列させるために、各熱伝導性ピンの第2のセグメントが第2のピースの対応する空洞内に受け入れられるように、多部品本体の第2のピースを第1のピースに結合することを含む。
【0007】
1つまたは複数の実施形態では、本体と、1つまたは複数の熱伝導性ピンとを含む翼形部が提供される。本体は、外面および内部領域を有する。本体は、内部領域内に複数の空洞および冷却チャネルのネットワークを画定する。空洞は、互いに平行である。冷却チャネルのネットワークは、空洞のそれぞれの内部端に流体接続される。1つまたは複数の熱伝導性ピンは、各熱伝導性ピンが異なる対応する空洞内に配置されるように、空洞内に配置される。1つまたは複数の熱伝導性ピンは、冷却チャネルのネットワーク内に延びることなく、対応する空洞の少なくとも大部分を充填する。1つまたは複数の熱伝導性ピンの材料組成は、本体の材料組成よりも大きい熱伝導率を有する。
【0008】
本発明の主題は、添付の図面を参照して非限定的な実施形態の以下の説明を読むことによって、より良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】翼形部およびダブテールを含む、一実施形態によるロータブレードの斜視図である。
図2図1に示す翼形部の分解斜視図である。
図3図2の線3-3に沿った翼形部のベースピースおよび熱伝導性ピンの一部の断面図である。
図4】完全に組み立てられた翼形部を示す、図2の線3-3に沿った翼形部の一部の断面図である。
図5】代替の実施形態による翼形部の斜視図である。
図6】一実施形態による翼形部を製造する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載の実施形態は、本体と、本体における空洞内に配置された複数の熱伝導性ピンとを含む翼形部を提供する。熱伝導性ピンは、熱制御ならびに/または構造的支持および整列に関するいくつかの異なる機能を翼形部に対して提供することができる。例えば、伝導性ピンは、空洞を塞ぎ、熱を貯蔵し得る翼形部内のエアポケットの存在を低減または排除することができる。加えて、空洞内の伝導性ピンは、翼形部内に熱伝導性経路を提供し、冷却チャネル内への熱伝達を向上させることができる。任意選択で、伝導性ピンは、翼形部の本体の組成よりも熱伝導性が高い組成を有してもよく、そのため伝導性ピンは、本体の内部構造よりも熱伝達に対する熱抵抗が小さくてもよい。伝導性ピンは、翼形部が2ピース本体を有する実施形態において、翼形部に対する構造的支持および整列を提供することができる。例えば、2つのピースは、界面で互いに結合して本体を画定することができる。伝導性ピンは、結合段階中にピースを互いに整列させて案内するために使用されてもよい。伝導性ピンは、界面を横切って延びるガイドポストを提供することによって、2つのピースを互いに結合する効率および/または精度を高めることができる。
【0011】
本明細書に記載の翼形部は、プロペラ、タービン、圧縮機、ファン、風車、エンジンのようなブレードなどの回転アセンブリの回転部材を表す。少なくとも1つの実施形態では、本明細書に記載の翼形部は、ガスタービンエンジン用のタービンブレードであってもよい。ガスタービンエンジンは、航空機、自動車、ボートなどの車両に配置されてもよく、または産業施設内などの静止用途に取り付けられてもよい。しかし、本明細書に記載の本開示の実施形態は、ガスタービンエンジンのタービンブレードに限定されない。
【0012】
図1は、翼形部102およびダブテールまたはベース104を含む一実施形態によるロータブレード100の斜視図である。翼形部102は、本体106の取り付け端110(または根元)から本体106の遠位端112に長さ軸108に沿って延びる本体106を含む。遠位端112は、取り付け端110の反対側にある。ロータブレード100がロータアセンブリに組み立てられると、翼形部102の長さ軸108は、ロータアセンブリのハブまたは中心から半径方向に延びることができる。本体106の取り付け端110は、ダブテール104に固定される。翼形部102は、取り付け端110のみがダブテール104に直接固着されるように、ダブテール104から片持ち支持される。翼形部102の本体106は、前縁114と、後縁116とを含む。前縁114と後縁116の両方は、取り付け端110から遠位端112に延びる。本体106は、空気、蒸気、燃焼ガスなどの流体を通って移動するときに空気力学的力を発生する輪郭形状を有することができる。空気力学的力は、ロータアセンブリを回転させることができる。本体106は、互いに接合されて翼形部102の形状を画定する凹状の外面(例えば、正圧側)127および凸状の外面(例えば、負圧側)129を有する外側壁126を含む。非限定的な例示的な用途では、ロータブレード100は、ガスタービンエンジンのタービンの構成要素であってもよいが、本明細書に記載の実施形態による翼形部は、上述のように他の用途に利用されてもよい。
【0013】
図示の実施形態では、本体106は、第1のピース120および第2のピース122によって画定される2部品構成要素である。第1のピース120は、第1および第2のピース120、122の間に画定された界面124で第2のピース122に接続される。界面124は、継ぎ目を含むように図1に示されているが、継ぎ目は、任意選択で、サーマルコーティング、ろう付け充填材料などの別の材料によって被覆または充填されてもよい。結果として、界面124における継ぎ目は、製造が完了すると、完成した翼形部102上で見えないようにすることができる。本体106の第1のピース120および第2のピース122は、長さ軸108に沿って本体106の異なるセクションまたは部分を画定する。例えば、第1のピース120は、取り付け端110から界面124までの本体106の長さを画定するベースピースであってもよい。第2のピース122は、界面124から遠位端112までの本体106の長さを画定するキャップピースであってもよい。本明細書で使用する場合、第1のピース120はベースピース120とも呼ばれ、第2のピース122はキャップピース122とも呼ばれる。
【0014】
翼形部102はまた、本体106内に配置された複数の熱伝導性ピン130を含む。本明細書ではピン130および伝導性ピン130とも呼ばれる熱伝導性ピン130は、ピン130がピン130の視界を遮る本体106の外側壁126の背後に配置されているため、図1では仮想線で示されている。ピン130は、本体106の内部に完全に配置(例えば、含有)されてもよい。図示の実施形態におけるピン130は、界面124を横切って延びる。例えば、ピン130の各々は、ベースピース120内に部分的に配置され、キャップピース122内に部分的に配置される。ピン130は、キャップピース122をベースピース120に結合して2つのピース120、122の適切な整列を確実にするときにガイドポストとして利用されてもよい。例えば、ピン130は、互いに平行に、かつ長さ軸108に平行に配向される。キャップピース122がベースピース120に取り付けられているとき、ピン130は、長さ軸108に平行なベースピース120に対する荷重方向にキャップピース122を案内することができる。任意選択で、ピン130は、ピン130が長さ軸108を横切る荷重方向に2つのピース120、122の結合を案内するように、互いに平行であるが長さ軸108を横切るように配向されてもよい。ピン130はまた、本明細書で説明するように、本体106を通して熱を容易に伝導し、高温領域から冷却流体に熱を分配することができる。翼形部102は、図示の実施形態では3つのピン130を含むが、翼形部102は、他の実施形態では、2つ、4つ、5つ、8つなどの任意の数のピン130を有してもよい。
【0015】
キャップピース122は、凹壁134と、凹壁134から外側に(例えば、長さ軸108に沿って)突出する先端レール136とを含むことができる。先端レール136は、スキーラ先端レールと呼ぶことができる。先端レール136は、先端レール136の遠位縁140に沿って複数の開口138を画定する。先端レール136はまた、先端レール136の内側面144に沿って、および/または先端レール136の外側面146に沿って開口142を画定することができる。内側面144は、凹壁134を横切って先端レール136の一部の内側面144に向かって内側に面している。外側面146は、内側面144とは反対方向の外側に面している。開口138、142は、空気または他の流体を受け入れて翼形部102の本体106に放出するための開口部を提供する。例えば、開口138、142の少なくともいくつかは、熱を吸収して放散するために冷却流体を分配する本体106内の冷却通路の内部ネットワークに流体接続されてもよい。任意選択で、本体106はまた、後縁116に開口143を画定することができる。開口143は、図示のように、キャップピース122とベースピース120の両方に画定されてもよく、代替の実施形態では、2つのピース120、122の一方に沿ってのみ画定されてもよい。
【0016】
任意選択で、ロータブレード100はまた、翼形部102とダブテール104との間の界面に配置されたプラットフォーム148を含むことができる。ガスタービンエンジン用途では、プラットフォーム148を使用して、ブレード100によって駆動されるタービンエンジン主流空気流を半径方向に収容することができる。ダブテール104は、エンジン上のタービンロータディスクに取り付けるように構成することができる。ダブテール104は、ダブテール104およびプラットフォーム148を通って延びる1つまたは複数の入口通路128を画定して、翼形部102の対応する冷却通路150を介して翼形部102との内部流体連通を提供することができる。例えば、空気流は、入口通路128を通って翼形部102の冷却通路150に入ることができる。ダブテール104は図1に断面で示されており、断面線は入口通路128を通って延びる。入口通路128は、ダブテール104の本体内に囲まれてもよい(通路128の端部を除いて、それを通る空気流を可能にする)。
【0017】
図2は、翼形部102の分解斜視図である。本体106は、外側壁126(または複数の壁)によって囲まれた内部領域206を有する。ベースピース120は、内部領域206内にそれぞれの合わせ面202を有する。ベースピース120は、取り付け端110(図1に示す)から合わせ面202に延びる。キャップピース122は、内部領域206内にそれぞれの合わせ面204を有する。キャップピース122は、合わせ面204から翼形部102の遠位端112に延びる。合わせ面202、204は、キャップピース122がベースピース120に結合されたときに界面124を画定する。例えば、合わせ面202、204は、互いに面し、任意選択で、キャップピース122がベースピース120に結合されて本体106を画定するときに互いに当接することができる。翼形部102の本体106の材料組成は、その合金を含む、ニッケルおよび/またはチタンなどの1つまたは複数の金属を含むことができる。
【0018】
本体106の内部領域206は、翼形部102の冷却通路150を含む。冷却通路150は、ベースピース120とキャップピース122の両方を通って延びてもよい。冷却通路150は、合わせ面202、204で開口している。本体106が組み立てられると、キャップピース122内の冷却通路150の部分は、ベースピース120内の冷却通路150の対応する部分と整列して流体接続する。冷却通路150は、冷却チャネルを通して後縁116で開口143に流体接続することができる。キャップピース122内の冷却通路150はまた、冷却チャネルを介して先端レール136に沿って開口138および142(図1に示す)に流体接続されてもよい。冷却チャネルは、本明細書で説明するように、ネットワークを形成することができる。
【0019】
本体106の内部領域206はまた、空洞208を含む。空洞208は細長いものであり、本明細書では空洞208の断面形状を限定することなく管状空洞とも呼ばれる。例えば、管状空洞208は、円形断面形状、多角形断面形状、楕円形断面形状などを有することができる。管状空洞208の深さ寸法は、断面の直径または長さよりも大きい。管状空洞208の第1のセット210は、ベースピース120内に画定される。第1のセット210の管状空洞208は、合わせ面202に沿って開口しており、合わせ面202から取り付け端110に向かう方向に延びる。管状空洞208の第2のセット212は、キャップピース122内に画定される。第2のセット212の管状空洞208は、合わせ面204に沿って開口しており、合わせ面204から遠位端112に向かう方向に延びる。第2のセット212は、管状空洞208の数、管状空洞208への開口部のサイズおよび形状、ならびに/または管状空洞208の位置決めにおいて、第1のセット210を反映させてもよい。図示の実施形態では、第1のセット210の3つの管状空洞208は、ベースピース120とキャップピース122が結合されたとき、界面124を横切って第2のセット212の3つの管状空洞208を反映させるように構成される。結果として、第1のセット210における各管状空洞208は、本体106が形成されるとき、第2のセット212における異なる対応する管状空洞208と整列して流体接続するように構成される。例えば、第1のセット210における各管状空洞208は、第2のセット212における対応する管状空洞208と共線的であってもよい。
【0020】
本体106内の管状空洞208は、本体106を形成するための金属鋳造プロセス中にコアの複数の細ロッドを機械的に支持して固着する支持ポストを使用した結果として形成されてもよい。例えば、コアは、シェルの内部である鋳型の部分である。溶融金属はシェル内に注入され、コアを囲む。シェル内のコアの構造的構成要素は、本体106の金属材料が硬化し、鋳造プロセスの後処理段階中にコアが本体106から除去されると、本体106内に空隙を画定する。例えば、コアの細ロッドは、本体106の内部領域206内に冷却チャネルのネットワークを画定するように構成される。コアは、ロッドが破損、屈曲、場合によっては指定された形状に適合しないことを防止するために、構造的支持および強度を細ロッドに提供する支持ポストを含むことができる。支持ポストはまた、鋳造プロセス中、特に溶融金属がシェルに流入して細ロッドおよびコアの他の構成要素を囲む間に、細ロッドを指定された位置に固着および維持するのを支援することができる。したがって、本体106内の管状空洞208のすべてまたは一部は、コアの支持ポストのアーチファクトであり得る。鋳造プロセスが完了した後、管状空洞208は、伝導性ピン130を受け入れるために利用することができる。伝導性ピン130を管状空洞208内に挿入することは、本明細書で説明するように、本体106の2つのピース120、122を整列させて結合するため、および/または熱伝導経路のために管状空洞208を利用する。代替の実施形態では、鋳造鋳型のコアは、整列目的および/または熱伝導目的のために本体106内に管状空洞208を画定するように特に排他的に設計されたポストを含み、その結果ポストは、冷却チャネルを画定するために使用されるコアのいかなる細ロッドにも構造的支持を提供しない。
【0021】
伝導性ピン130は、細長いシャフトである。ピン130は、図示の実施形態では円筒形である。あるいは、ピン130は、例えば、楕円形または多角形の断面を含む非円形断面を有するように、円筒形以外であってもよい。さらに、代替の実施形態におけるピン130は、ピン130が屈曲部もしくは湾曲部を有するか、または角度を画定するように、線形状または直線状でなくてもよい。翼形部102の複数のピン130は、任意選択で、サイズ、形状、および/または材料組成が互いに同一である。一実施形態では、ピン130は、電気伝導性と熱伝導性の両方である。伝導性ピン130の材料組成は、1つまたは複数の金属を含む。ピンにおける金属は、翼形部102の本体106における金属と同じ金属であってもよい。あるいは、ピン130における金属は、本体106における金属と異なっていてもよい。1つまたは複数の実施形態では、ピン130の材料組成は、本体106の材料組成とは異なる。例えば、ピン130は、本体106よりも大きい熱伝導率(例えば、より熱伝導性である)を有することができる。結果として、ピン130は、翼形部102の高温領域から熱を伝達するために、ピン130の長さに沿って熱伝導経路を提供することができる。ピン130は、腐食、酸化、および/または本体106の材料との反応を防止するために、ピン130の金属を囲む保護コーティングを含むことができる。保護コーティングは、酸化アルミニウム(例えば、アルミナ)、二酸化ケイ素、エポキシ、または樹脂などを含んでもよい。
【0022】
非限定的な例では、伝導性ピン130は、1つまたは複数の高融点金属を含む。例えば、ピン130は、モリブデン、タングステン、タンタル、ニオブ、イリジウム、オスミウム、レニウム、ルテニウム、ロジウム、白金、および/または銅を含んでもよく、これらの金属の合金を含む。高融点金属コアは、高融点金属を本体106のニッケルおよび/または他の金属との反応から保護するために酸化物コーティングによって被覆されてもよい。非限定的な例では、ピン130は、アルミナ(酸化アルミニウムとしても知られる)コーティングによって囲まれたモリブデンを含むことができる。代替の実施形態では、ピン130は、熱伝導性であるが非電気伝導性である。例えば、ピン130は、金属を含まずに、1つまたは複数の非金属熱伝導性材料を含んでもよい。非金属熱伝導性材料は、例えば、アルミナ、窒化ケイ素などを含むことができる。
【0023】
図3は、図2の線3-3に沿った翼形部102のベースピース120および伝導性ピン130の一部の断面図である。図3は、一実施形態による、ベースピース120をキャップピース122(図2に示す)に結合する前の翼形部102の中間組み立て段階を表す。伝導性ピン130は、ベースピース120における管状空洞208の第1のセット210内に装填されて示されている。例えば、各ピン130は、異なる対応する管状空洞208内に挿入される。ピン130は、合わせ面202を越えて管状空洞208から突出するように設計されている。例えば、ピン130は、管状空洞208の深さよりも長くてもよい。伝導性ピン130の各々の第1のセグメント302は、対応する管状空洞208内に配置され、各ピン130における第2のセグメント304は、管状空洞208の外側に配置され、合わせ面202を越えて突出する。伝導性ピン130は、管状空洞208に装填されたときに互いに平行であってもよい。任意選択で、この中間段階のピン130は、重力および/または摩擦によって管状空洞208の第1のセット210内に保持される。あるいは、ピン130は、その後に接着剤、ろう付け充填材料、機械的締結具などを適用することによって、管状空洞208の第1のセット210内の定位置に固着することができる。別の代替の実施形態では、ピン130および管状空洞208の内面は、追加の構成要素または材料を適用することなくピン130を空洞208に固着することを可能にするために、ねじ切りされてもよく、場合によっては相補的な構造を有してもよい。
【0024】
伝導性ピン130がベースピース120の管状空洞208内に装填された後、キャップピース122(図2に示す)をベースピース120に結合して本体106を画定することができる。キャップピース122は、静止しているベースピース120に向かって移動されてもよく、ベースピース120は、静止しているキャップピース122に向かって移動されてもよく、または両方のピース120、122を互いに向かって移動させてもよい。ベースピース120およびキャップピース122は、伝導性ピン130の配向に平行な嵌合軸に沿って互いに結合するように構成される。伝導性ピン130は、2つのピース120、122の結合を案内するガイドポストとして機能する。例えば、ピン130の第2のセグメント304は、キャップピース122の管状空洞208(図2に示す)内に受け入れられる。管状空洞208は、ピン130よりもわずかに大きいだけのサイズにすることができる。結果として、キャップピース122およびベースピース120は、ピン130の第2のセグメント304がキャップピース122の対応する管状空洞208内に受け入れられることを可能にするように互いに実質的に整列する。第2のセグメント304がキャップピース122の対応する管状空洞208の開口部に入ると、ピン130と管状空洞208の内面との間の比較的小さな隙間が、2つのピース120、122が界面124(図1に示す)で合流するまで、2つのピース120、122の残りの移動を案内する。
【0025】
図4は、完全に組み立てられた翼形部102を示す、図2の線3-3に沿った翼形部102の一部の断面図である。図4は、翼形部組み立てプロセスの終了段階を表す。キャップピース122がベースピース120に結合されると、伝導性ピン130は界面124を横切って延び、ピン130の第2のセグメント304は管状空洞208の第2のセット212内に配置される。ベースピース120は、翼形部102の動作中におけるピース120、122の将来の結合解除を防止または阻止するために、キャップピース122にしっかりと固定され得る。図示の実施形態では、2つのピース120は、ろう付けを介して堅固に固定されてもよい。例えば、ろう付け充填材料402を、界面124でおよびその周囲でベースピース120およびキャップピース122に適用することができる。熱を加えると、界面124で2つのピース120、122が化学的に結合(例えば、溶接)し、その結果、伝導性ピン130を収容する一体型のワンピースまたはモノリシック本体106が形成される。あるいは、溶接、はんだ付けなどのような異なるプロセスを実施して、界面124で2つのピース120、122を互いにしっかりと固定してもよい。
【0026】
1つまたは複数の実施形態では、管状空洞208の少なくともいくつかは、本体106の内部の冷却チャネル406のネットワーク404に流体接続される。冷却チャネル406は、熱を吸収して伝達するために、空気、水などの冷却流体(例えば、冷却剤)を分配するように構成される。図示の実施形態では、冷却チャネル406のいくつかは、キャップピース122の遠位縁140で開口138に流体接続される。ネットワーク404内の他の冷却チャネル406は、開口142(図1に示す)、開口143(図1)、冷却通路150(図2に示す)などに流体接続されてもよい。冷却流体は、キャップピース122に沿ってなど、本体106の高温領域から熱を吸収し、温度が上昇した冷却流体を開口138、142、143の1つまたは複数を通して本体106から排出することができる。
【0027】
1つまたは複数の実施形態では、冷却チャネル406の少なくともいくつかは、管状空洞208のそれぞれの内部端408に流体接続される。冷却チャネル406は、鋳造プロセス中にコアの細ロッドによって画定することができ、管状空洞208は、鋳造プロセス中に細ロッドに接続された支持ポストによって画定することができる。本体106の金属材料が細ロッドおよび細ロッドに接続された支持ポストの周りに形成される結果として、管状空洞208の内部端408は、冷却チャネル406のネットワーク404に流体接続される。1つまたは複数の実施形態では、管状空洞208内の伝導性ピン130は、冷却チャネル406を閉塞せず、または冷却チャネル406を通る冷却流体の流れを妨げない。例えば、伝導性ピン130は、内部端408を超えて冷却チャネル406のネットワーク404内に延びることなく、対応する管状空洞208の容積および/または長さの大部分を占めることができる。
【0028】
さらに、伝導性ピン130が熱伝導性であり、管状空洞208を介して冷却チャネル406に露出しているため、伝導性ピン130は、冷却チャネル406内の冷却流体への熱伝導経路を提供することができる。例えば、伝導性ピン130は、本体106の金属材料から熱を吸収することができ、本体106の高温領域から熱を放散するために熱を冷却チャネル406内の冷却流体に伝達または搬送することができる。上述したように、伝導性ピン130は、本体106の金属材料よりも大きい熱伝導率を有することができるので、熱は、本体106よりも伝導性ピン130を通してより容易に伝達することができる。ピン130はまた、界面124を横切って延びるので、ピン130に沿って伝導される熱は、本体106の材料を通って界面124を横切って伝導される熱よりも界面124において低い熱抵抗を有することができる。
【0029】
本明細書に示され説明される実施形態では、第2のピース122は、翼形部のキャップまたは先端として説明されるが、代替の実施形態では、第2のピース122は、例えば、後縁に沿ったテールピース、または翼形部の別の部分であってもよい。さらに、キャップピース122のみが管状空洞208に流体接続された冷却チャネル406を画定するものとして図4に示されているが、任意選択で、ベースピース120はまた、管状空洞208に流体接続された冷却チャネルを画定してもよい。図1図4に示す実施形態は、2つのピース120、122で鋳造され、その後接合される2部品本体106を有するが、本明細書に記載の実施形態は、多部品翼形部本体106に限定されず、鋳造プロセス中に完全に形成される一体型のワンピース翼形部本体で適用することもできる。
【0030】
例えば、図5は、代替の実施形態による翼形部102の斜視図である。翼形部102は、サイズおよび形状が図1に示す本体106に似ている一体型のワンピース本体506を有する。本体106とは異なり、本体506は、シェルおよびコアを含む鋳型内に溶融金属を流し込む鋳造プロセス中にワンピースに形成される。翼形部102の遠位端112における先端レール510は、取り付け端110と同時に同じ鋳型に形成される。上述の本体106と同様に、本体506は、本体506の内部領域内に配置された冷却チャネルのネットワークを含むことができ、ネットワークは、鋳造プロセス中に支持ポストによって支持され得るコアの細ロッドによって画定される。
【0031】
本体106は、1つまたは複数の外面から内部領域内に延びる管状空洞508を画定する。管状空洞508は、コアを除去する際にコアの支持ポストによって画定することができる(例えば、化学エッチングなどを介して)。図示の実施形態では、3つの管状空洞508は、本体506の凹状の外面512に沿って開口しており、3つの追加の管状空洞508は、遠位端112に沿って開口している。上述したように、翼形部102は、コアが除去された後に管状空洞508内に装填されるように構成された伝導性ピン130を含む。ピン130は、エアポケットによって引き起こされる局所的なホットスポットを低減または排除し、熱伝達を向上させることができる管状空洞508を塞ぐようなサイズおよび形状とすることができる。例えば、ピン130は、熱をピン130の端部に吸収することができ、熱をピン130の対向する端部から本体506の冷却チャネル内の冷却流体に伝達することができる。管状空洞508の場所および数は、コアの複雑さおよび所望の熱伝達量などの用途特有の考慮事項に基づいて変化してもよい。例えば、代替の実施形態では、管状空洞508は、取り付け端110における開口部から本体506内に延びてもよい。
【0032】
図6は、一実施形態による翼形部を製造する方法600のフローチャートである。方法600は、図1図4に示す翼形部102を製造するために実施することができる。任意選択で、方法600は、図6に示されていない追加のステップ、図6に示すよりも少ないステップ、図6に示すものとは異なるステップを含んでもよく、および/またはステップは、図6に示すものとは異なる順序で実施されてもよい。
【0033】
602において、翼形部本体106の第1のピース120が得られる。第1のピース120は、合わせ面202を含み、互いに平行に延びて合わせ面202で開口する複数の管状空洞208の第1のセット210を画定する。第1のピース120は、金属鋳造または異なるタイプの成形プロセスを介して第1のピース120を形成することによって得ることができる。604において、翼形部本体106の第2のピース122が得られる。第2のピース122は、第2のピース122の内部領域内に管状空洞208の第2のセット212および冷却チャネル406のネットワーク404を含む。冷却チャネル406は、第2のピース122内の管状空洞208の内部端408に流体接続されてもよい。第2のピース122は、鋳造などを介して第2のピース122を形成することによって得ることができる。
【0034】
606において、複数の伝導性ピン130が、各ピン130が異なる対応する管状空洞208内に受け入れられるように、第1のピース120の管状空洞208の第1のセット210内に挿入される。伝導性ピン130の各々は、管状空洞208の対応する1つの中に配置された第1のセグメント302、および合わせ面202を越えて突出する第2のセグメント304を有する。任意選択で、伝導性ピン130は、本体106の第1のピース120の材料よりも大きい熱伝導率を有してもよい。
【0035】
608において、第2のピース122は、第1のピース120または第2のピース122の一方または両方を共に移動させることによって第1のピース120に結合される。伝導性ピン130の第2のセグメント304は、第2のピース122を第1のピース120に整列させるために、第2のピース122内の管状空洞208の第2のセット212に入る。任意選択で、第2のピース122の管状空洞208は、互いに平行に延び、第2のピース122の合わせ面204で開口している。第1のピース120の合わせ面202および第2のピース122の合わせ面204は、互いに面し、2つのピース120、122を結合する際に界面124を画定する。伝導性ピン130は、界面124を横切って延びる。第2のピース122を第1のピース120に結合すると、伝導性ピン130の第2のセグメント304は、冷却チャネル406の閉塞を回避するために管状空洞208の内部端408を越えて延びない。
【0036】
610において、方法600は、第2のピース122を第1のピース120に結合した後に翼形部本体106をろう付けし、第2のピース122を第1のピース120にしっかりと固定することを含んでもよい。ろう付けは、界面にろう付け充填材料を適用することを含むことができる。ろう付けはまた、空気ギャップを充填するために、合わせ面202、204に沿って、および/または管状空洞208内のピン130に沿ってろう付け充填材料を適用することを含むことができる。ろう付け後、翼形部102は、界面124に継ぎ目のない一体型のワンピース(例えば、モノリシック)本体106を有する。
【0037】
本明細書に記載の実施形態の少なくとも1つの技術的効果は、成形(例えば、鋳造)プロセス中にコアの細ロッドにかかる歪みを低減するための支持ポストの使用を介した、翼形部内の複雑なおよび/または微細な冷却通路のより効率的で信頼性の高い形成を含む。小さな冷却チャネルは、空気、異なるガス、または液体などの冷却剤流体のより効率的な使用を可能にすることができる。別の技術的効果は、熱伝導性ピンの伝導率に起因する、翼形部の内部を通した冷却チャネル内への熱伝達の向上である。例えば、ピンは、熱を本体の外側壁または外壁から冷却チャネルに効率的に導く熱伝導経路を提供することができる。本明細書に記載の実施形態のさらに別の技術的効果は、2部品翼形部本体について、熱伝導性ピンをガイドポストとして使用することによる、翼形部本体の2つのピースのより正確で効率的な整列および結合を含む。
【0038】
少なくとも1つの実施形態では、多部品本体と、1つまたは複数の熱伝導性ピンとを含む翼形部が提供される。多部品本体は、内部領域を有し、界面で互いに接合された複数のピースから形成される。ピースは、複数の空洞を有し、ピースの少なくとも1つは、本体の内部領域内に配置された翼形部冷却チャネルを画定する。1つまたは複数の熱伝導性ピンは、本体の内部領域内にあり、界面を横切って延びる。熱伝導性ピンの各々は、複数のピースの第1のピースの対応する空洞内に配置された第1のセグメント、および複数のピースの第2のピースの対応する空洞内に配置された第2のセグメントを有する。
【0039】
任意選択で、第1のピースは、ベースピースであり、第2のピースは、キャップピースである。
【0040】
任意選択で、冷却チャネルは、冷却チャネルを画定する第1のピースまたは第2のピースの少なくとも1つの空洞のそれぞれの内部端に流体接続される。
【0041】
任意選択で、第1および第2のピースの空洞内の1つまたは複数の熱伝導性ピンは、冷却チャネル内に延びない。
【0042】
任意選択で、1つまたは複数の熱伝導性ピンは、本体の内部領域内に完全に配置される。
【0043】
任意選択で、第1のピースを第2のピースにしっかりと固定するために、ろう付け充填材料が界面で第1のピースおよび第2のピース上に配置される。
【0044】
任意選択で、本体の材料組成は、1つまたは複数の熱伝導性ピンの材料組成とは異なる。任意選択で、1つまたは複数の熱伝導性ピンの材料組成は、本体の材料組成よりも大きい熱伝導率を有する。
【0045】
任意選択で、1つまたは複数の熱伝導性ピンは、モリブデン、タングステン、タンタル、ニオブ、イリジウム、オスミウム、レニウム、ルテニウム、ロジウム、白金、および/または銅を含む。
【0046】
任意選択で、1つまたは複数の熱伝導性ピンは、アルミナコーティングによって囲まれたモリブデンを含む。
【0047】
任意選択で、本体は、本体の取り付け端から取り付け端の反対側の本体の遠位端に長さ軸に沿って延びる。1つまたは複数の熱伝導性ピンの各々は、本体の長さ軸に平行に配向される。
【0048】
1つまたは複数の実施形態では、多部品本体の第1および第2のピースを得ることを含む翼形部を製造するための方法が提供される。第1および第2のピースの各々は、それぞれの合わせ面を含み、互いに平行に延びて合わせ面で開口している複数のそれぞれの空洞を画定する。方法は、1つまたは複数の熱伝導性ピンが異なる対応する空洞内に受け入れられるように、各熱伝導性ピンを第1のピースの空洞内に挿入することを含む。1つまたは複数の熱伝導性ピンの各々は、第1のピースの空洞の対応する1つの中に配置された第1のセグメント、および第1のピースの合わせ面を越えて突出する第2のセグメントを有する。方法はまた、第2のピースを第1のピースに整列させるために、各熱伝導性ピンの第2のセグメントが第2のピースの対応する空洞内に受け入れられるように、多部品本体の第2のピースを第1のピースに結合することを含む。
【0049】
任意選択で、第1のピースの合わせ面および第2のピースの合わせ面は、互いに面し、第2のピースを第1のピースに結合する際に界面を画定する。1つまたは複数の熱伝導性ピンは、界面を横切って延びる。
【0050】
任意選択で、方法はまた、第2のピースを第1のピースに結合した後、翼形部本体をろう付けし、第2のピースを第1のピースにしっかりと固定することを含む。
【0051】
任意選択で、翼形部本体の第2のピースは、第2のピースの内部領域内に配置されたその空洞および冷却チャネルのネットワークを画定する。冷却チャネルは、第2のピースの空洞のそれぞれの内部端に流体接続される。任意選択で、第2のピースを第1のピースに結合すると、1つまたは複数の熱伝導性ピンの第2のセグメントは、第2のピースの空洞の内部端を越えて冷却チャネル内に延びない。
【0052】
任意選択で、翼形部本体の第1のピースは、1つまたは複数の熱伝導性ピンの材料組成よりも低い熱伝導率を有する材料組成を有するように第1のピースを形成することによって得られる。
【0053】
1つまたは複数の実施形態では、本体と、1つまたは複数の熱伝導性ピンとを含む翼形部が提供される。本体は、外面および内部領域を有する。本体は、内部領域内に複数の空洞および冷却チャネルのネットワークを画定する。空洞は、互いに平行である。冷却チャネルのネットワークは、空洞のそれぞれの内部端に流体接続される。1つまたは複数の熱伝導性ピンは、各熱伝導性ピンが異なる対応する空洞内に配置されるように、空洞内に配置される。1つまたは複数の熱伝導性ピンは、冷却チャネルのネットワーク内に延びることなく、対応する空洞の少なくとも大部分を充填する。1つまたは複数の熱伝導性ピンの材料組成は、本体の材料組成よりも大きい熱伝導率を有する。
【0054】
任意選択で、本体の空洞は、本体の外面のうちの1つから内部領域内に延びる。
【0055】
任意選択で、本体は、界面で互いに結合する第1のピースおよび第2のピースによって画定された多部品本体である。本体の空洞の第1のセットは、第1のピース内に画定され、空洞の第2のセットは、第2のピース内に画定される。第2のセットは、界面を横切って第1のセットを反映させ、1つまたは複数の熱伝導性ピンの各々が第1のセットの1つの対応する空洞および第2のセットの1つの対応する空洞内に配置されることを可能にする。
【0056】
本明細書で使用する場合、単数形で記載され、単語「a」または「an」の後に続く要素またはステップは、複数の前記要素またはステップを除外しないものとして理解されるべきであるが、そのような除外が明示的に述べられている場合は除く。さらに、本発明で説明された主題の「一実施形態」への言及は、列挙された特徴をも組み込む追加の実施形態の存在を除外するものとして解釈されることを意図していない。さらに、明示的な反対の記載がない限り、特定の特性を有する要素または複数の要素を「備える(comprising)」または「有する(having)」実施形態は、その特性を有さない追加のそのような要素を含んでもよい。
【0057】
上記の説明は例示であり、限定的ではない。例えば、上述の実施形態(および/またはその態様)は、互いに組み合わせて使用されてもよい。加えて、本発明の範囲を逸脱することなく、特定の状況または材料を本明細書に記載の主題の教示に適応させるために、多くの修正を施してもよい。本明細書に記載の材料の寸法およびタイプは、開示された主題のパラメータを定義することを意図しているが、決して限定的ではなく例示的な実施形態である。上記の説明を検討することにより、多くの他の実施形態が当業者に明らかになるであろう。したがって、本明細書に記載の主題の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲と共に決定されるべきである。添付の特許請求の範囲において、「含む(including)」および「それには(in which)」という用語は、「備える(comprising)」および「そこでは(wherein)」という用語のそれぞれの平易な英語の同義語として使用される。さらに、以下の特許請求の範囲において、「第1の」、「第2の」、および「第3の」などの用語は、単に符号として使用され、それらの対象に数値的な要件を課すことを意図していない。さらに、以下の特許請求の範囲の限定事項は、そのような特許請求の範囲の限定事項が「~のための手段(means for)」という語句の後にさらなる構造への言及を欠く機能の記述が続いて明示的に使用していない限り、そしてそうするまでは、ミーンズプラスファンクション(means-plus-function)形式での記載ではなく、米国特許法第112条(f)に基づく解釈を意図していない。
【0058】
本明細書は、本明細書に記載の主題のいくつかの実施形態を開示するために実施例を使用しており、また、デバイスまたはシステムを製作および使用し、方法を実施することを含む、開示された主題の実施形態の実施を当業者に可能にするように、最良の形態を含んでいる。本明細書に記載の主題の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の実施例を含むことができる。そのような他の実施例は、特許請求の範囲の文言との差がない構造要素を有する場合、または特許請求の範囲の文言との実質的な差がない等価の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあることを意図している。
【符号の説明】
【0059】
100 ロータブレード
102 翼形部
104 ダブテール、ベース
106 翼形部本体、多部品翼形部本体、モノリシック本体
108 長さ軸
110 取り付け端
112 遠位端
114 前縁
116 後縁
120 第1のピース、ベースピース
122 第2のピース、キャップピース
124 界面
126 外側壁
127 凹状の外面
128 入口通路
129 凸状の外面
130 熱伝導性ピン
134 凹壁
136 先端レール
138 開口
140 遠位縁
142 開口
143 開口
144 内側面
146 外側面
148 プラットフォーム
150 冷却通路
202 合わせ面
204 合わせ面
206 内部領域
208 管状空洞
210 第1のセット
212 第2のセット
302 第1のセグメント
304 第2のセグメント
402 ろう付け充填材料
404 ネットワーク
406 冷却チャネル
408 内部端
506 ワンピース本体
508 管状空洞
510 先端レール
512 凹状の外面
600 方法
3-3 線
図1
図2
図3
図4
図5
図6