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特許7562643ガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料、その製造方法及び使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】ガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料、その製造方法及び使用
(51)【国際特許分類】
   C08L 69/00 20060101AFI20240930BHJP
   C08L 83/10 20060101ALI20240930BHJP
   C08K 7/14 20060101ALI20240930BHJP
   C08K 3/32 20060101ALI20240930BHJP
   C08L 23/00 20060101ALI20240930BHJP
   B29B 9/14 20060101ALI20240930BHJP
   B29B 7/48 20060101ALI20240930BHJP
   C08J 3/20 20060101ALI20240930BHJP
   C08J 5/08 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
C08L69/00
C08L83/10
C08K7/14
C08K3/32
C08L23/00
B29B9/14
B29B7/48
C08J3/20 Z CES
C08J3/20 CFD
C08J3/20 CFH
C08J5/08
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022513362
(86)(22)【出願日】2020-07-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-02
(86)【国際出願番号】 CN2020103915
(87)【国際公開番号】W WO2021036613
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-03-08
(31)【優先権主張番号】201910815623.7
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520070792
【氏名又は名称】金発科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】KINGFA SCI. & TECH. CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.33 Kefeng Road, Science City, Hi-Tech Industrial Development Zone, Guangzhou, Guangdong 510663, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(72)【発明者】
【氏名】岑 茵
(72)【発明者】
【氏名】艾 軍偉
(72)【発明者】
【氏名】陳 勇文
(72)【発明者】
【氏名】李 明昆
(72)【発明者】
【氏名】劉 賢文
(72)【発明者】
【氏名】趙 体鵬
(72)【発明者】
【氏名】▲トン▼ 偉
【審査官】久保 道弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-095669(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0066133(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0353732(US,A1)
【文献】特開2014-055231(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 69/00
C08L 83/10
C08K 7/14
C08K 3/32
C08L 23/00
B29B 9/14
B29B 7/48
C08J 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料であって、
成分A:ポリカーボネート40重量部~90重量部と、
成分B:ポリシロキサンブロック共重合体1.5重量部~50重量部と、
成分C:ガラス繊維5重量部~60重量部と、
成分D:リン含有化合物0.1重量部~30重量部と、
成分E:ポリオレフィン化合物0.01重量部~30重量部と
を含み、ここで、
前記ポリシロキサンブロック共重合体は、ポリジメチルシロキサンブロックとビスフェノールAのポリカーボネートブロックを含み、シロキサン含有量が成分Bの重量に対して0.6wt%~36wt%であり、
前記ガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料中、組成物全重量に占めるシロキサン含有量の百分率が0.6wt%~17wt%であり、
前記ガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料中、リン元素とケイ素元素の重量比が1:0.1~3.2である、
複合材料。
【請求項2】
成分A:ポリカーボネート40重量部~65重量部と、
成分B:ポリシロキサンブロック共重合体3.5重量部~45重量部と、
成分C:ガラス繊維5重量部~60重量部と、
成分D:リン含有化合物8重量部~12重量部と、
成分E:ポリオレフィン化合物6重量部~10重量部と
を含む、請求項1に記載のガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料。
【請求項3】
前記ガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料中、組成物全重量に占めるシロキサン含有量の百分率が2.8wt%~12wt%である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料。
【請求項4】
前記ガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料中、リン元素とケイ素元素の重量比が1:0.6~2.5である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料。
【請求項5】
前記ポリカーボネートは、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族‐脂肪族ポリカーボネート、分岐ポリカーボネートから選択される1種又は数種であり、前記芳香族ポリカーボネートは、粘度平均分子量13000~40000の芳香族ポリカーボネートであり、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料。
【請求項6】
前記ポリシロキサンブロック共重合体は、ポリジメチルシロキサンブロックとビスフェノールAのポリカーボネートブロックを含み、シロキサン含有量が成分Bの重量に対して8wt%~34wt%である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料。
【請求項7】
前記リン含有化合物は、酸素含有リン酸、リン酸塩類及びその誘導体から選択され、前記酸素含有リン酸は、リン酸及び/又は次亜リン酸から選択され、前記リン酸塩類及びその誘導体は、リン酸ナトリウム及び/又は次亜リン酸亜鉛から選択される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料。
【請求項8】
前記ポリオレフィン化合物は、飽和直鎖型のポリオレフィン、不飽和結合を含有するポリオレフィン、部分分岐鎖を含有するポリオレフィン、変性ポリオレフィンから選択される1種又は数種であり、前記飽和直鎖型のポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンから選択される1種又は数種であり、前記不飽和結合を含有するポリオレフィンは、ポリブタジエン及びその誘導体から選択され、前記変性ポリオレフィンは、エポキシ変性ポリオレフィン、無水マレイン酸変性ポリオレフィンから選択される1種又は数種である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料。
【請求項9】
ガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料の重量に対して、成分F:その他の助剤0~10重量部をさらに含み、前記その他の助剤は、安定剤、難燃剤、防滴剤、潤滑剤、離型剤、可塑剤、充填剤、帯電防止剤、抗菌剤、着色剤から選択される1種又は数種である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料。
【請求項10】
ポリカーボネート、ポリシロキサンブロック共重合体、リン含有化合物、ポリオレフィン化合物、その他の助剤を配合比で秤量し、高速混合機で1~3min撹拌してブレンドし、プレミックスを得るステップ1)と、
得られたプレミックスを二軸押出機の主供給口に入れ、サイド供給口にガラス繊維を加えて溶融押出し、造粒乾燥すると完成するステップ2)と
を含む、ことを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料の製造方法。
【請求項11】
前記二軸押出機のアスペクト比は46:1~50:1であり、前記二軸押出機の温度は、供給部からヘッド部に向かって順に、ゾーン1の温度は120℃~160℃、ゾーン2の温度は200℃~230℃、ゾーン3の温度は200℃~230℃、ゾーン4の温度は200℃~220℃、ゾーン5の温度は200℃~220℃、ゾーン6の温度は200℃~220℃、ゾーン7の温度は200℃~220℃、ゾーン8の温度は200℃~220℃、ゾーン9の温度は200℃~220℃、ゾーン10の温度は200℃~220℃、ゾーン11の温度は200℃~220℃であり、ヘッドの温度は220℃~240℃であり、本体の回転速度は350回転/分~500回転/分である、ことを特徴とする請求項10に記載のガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料の製造方法。
【請求項12】
請求項10に記載の製造方法により得られるガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料の自動車、電子・電気、通信産業、建築産業における使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジニアリングプラスチックの技術分野に関し、特にガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料、その製造方法及び使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリカーボネート樹脂PCは、総合的性能に優れた熱可塑性エンジニアリングプラスチックである。近年、その高い透明度、良好な難燃性、耐熱性、電気絶縁性や寸法安定性、低い吸水率などの特徴から、自動車、電子・電気、通信産業、建築産業などの分野に広く応用されている。その応用分野の発展に伴い、ポリカーボネートの衝撃強度、曲げ弾性率、引張強度、流動性、誘電損失などの性能についてはいずれも要求が高まり、単純なポリカーボネート又は普通のポリカーボネート材料は要求を満たすことができないので、ポリカーボネート材料に対して変性処理を行う必要がある。材料の性能とグレードを向上させ、最終部品や顧客のニーズを満たすために、一般的にはガラス繊維強化による加工性改善と変性を必要とする。
【0003】
しかし、従来のガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料には、高剛性と低靭性という矛盾があり、一方、通常の強靭化方法は強靭化剤を直接添加することであり、これも複合材料の流動性を大幅に低下させ、しかも複合材料の剛性と強靭性の向上も非常に限られているため、自動車、電子・電気、通信産業、建築産業などの分野における応用が厳重に制限されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の欠点と欠陥を解決するために、本発明の目的は、剛性と靭性を兼ね備え、かつ高い流動性を有するガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料を提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は、上記ガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料の製造方法を提供することである。
【0006】
本発明のさらに別の目的は、上記ガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料の使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の技術案によって達成される。
【0008】
ガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料であって、
成分A:ポリカーボネート40重量部~90重量部と、
成分B:ポリシロキサンブロック共重合体1.5重量部~50重量部と、
成分C:ガラス繊維5重量部~60重量部と、
成分D:リン含有化合物0.1重量部~30重量部と、
成分E:ポリオレフィン化合物0.01重量部~30重量部と、
を含む。
【0009】
好ましくは、ガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料は、
成分A:ポリカーボネート40重量部~90重量部と、
成分B:ポリシロキサンブロック共重合体3.5重量部~45重量部と、
成分C:ガラス繊維5重量部~60重量部と、
成分D:リン含有化合物8重量部~12重量部と、
成分E:ポリオレフィン化合物6重量部~10重量部と、
を含む。
【0010】
前記ガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料中、組成物の全重量に占めるシロキサン含有量の百分率が0.6wt%~17wt%、好ましくは2.8wt%~12wt%である。
【0011】
前記ガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料中、リン元素とケイ素元素の重量比が(1:0.1~3.2)、好ましくは(1:0.6~2.5)である。
【0012】
前記ポリカーボネートは、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族‐脂肪族ポリカーボネート、分岐ポリカーボネートから選択される1種又は数種であり、好ましくは芳香族ポリカーボネートであり、
好ましくは、前記芳香族ポリカーボネートは粘度平均分子量13000~40000の芳香族ポリカーボネートであり、好ましくは、粘度平均分子量18000~28000の芳香族ポリカーボネートである。粘度平均分子量が上記範囲であれば、機械的強度が良好であり、優れた成形性を維持することができる。粘度平均分子量は、溶媒として塩化メチレンを用いてテスト温度が25℃である溶液粘度から計算したものである。
【0013】
上記ポリカーボネートの製造方法としては、界面重合法及びエステル交換法により製造することができ、過程中の末端水酸基の含有量を制御することができる。
【0014】
前記ポリシロキサンブロック共重合体はポリジメチルシロキサンブロックとビスフェノールAのポリカーボネートブロックを含み、シロキサン含有量がB成分の重量に対して0.6wt%~36wt%である。シロキサンブロック共重合体を添加した後、ガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料のシロキサン含有量を近赤外線分析法によりテストすることができ、テスト方法は、一定重量のガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料ペレットを秤量して、メタンで均一に溶解してシート状にした後に検出するものである。
【0015】
前記リン含有化合物は、酸素含有リン酸、リン酸塩類及びその誘導体から選択され、前記酸素含有リン酸は、リン酸及び/又は次亜リン酸から選択され、前記リン酸塩類及びその誘導体は、リン酸ナトリウム及び/又は次亜リン酸亜鉛から選択される。
【0016】
前記ポリオレフィン化合物は、飽和直鎖型のポリオレフィン、不飽和結合を含有するポリオレフィン、部分分岐鎖を含有するポリオレフィン、変性ポリオレフィンから選択される1種又は数種であり、前記飽和直鎖型のポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンから選択される1種又は数種であり、前記不飽和結合を含有するポリオレフィンは、ポリブタジエン及びその誘導体から選択され、前記部分分岐鎖を含有するポリオレフィンは、ポリX‐オレフィンから選択され、前記変性ポリオレフィンは、エポキシ変性ポリオレフィン、無水マレイン酸変性ポリオレフィンから選択される1種又は数種である。
【0017】
本発明の前記ガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料は、ガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料の重量に対して、成分F:その他の助剤0~10重量部をさらに含んでもよく、前記その他の助剤は、安定剤、難燃剤、防滴剤、潤滑剤、離型剤、可塑剤、充填剤、帯電防止剤、抗菌剤、着色剤から選択される1種又は数種である。
【0018】
適切な安定剤は、有機亜リン酸エステル、例えば、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリス‐(2,6‐ジメチルフェニル)、亜リン酸トリノニルフェニル、フェニルホスホン酸ジメチル、リン酸トリメチルなど、有機亜リン酸エステル、アルキル化された一価フェノール又は多価フェノール、多価フェノールとジエンのアルキル化反応生成物、p‐クレゾール又はジシクロペンタジエンのブチル化反応生成物、アルキル化されたハイドロキノン類、ヒドロキシル化されたチオジフェニルエーテル類、アルキレン‐ビスフェノール、ベンジル化合物、ポリオールエステル類、ベンゾトリアゾール類、ベンゾフェノン類の1種又は数種の組み合わせを含んでもよい。
【0019】
適切な難燃剤は、リン酸エステル系難燃剤又はスルホン酸塩系難燃剤を含んでもよい。好適なリン酸エステル難燃剤としては、ビスフェノールAジリン酸テトラフェニル、リン酸トリフェニル、リン酸トリトリル、リン酸トリルジフェニル、ビスフェノールAジリン酸テトラトリル、レゾルシノールテトラキス(2,6‐ジメチルフェニル)及びテトラメチルベンジルピペリジンアミドを含んでもよく、難燃剤としては、Rimar塩ペルフルオロブチルスルホン酸カリウム、KSSジフェニルスルホンスルホン酸カリウム、ベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸塩としてもよい。
【0020】
上記ガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料の製造方法は、
ポリカーボネート、ポリシロキサンブロック共重合体、リン含有化合物、ポリオレフィン化合物、その他の助剤を配合比で秤量し、高速混合機で1~3min撹拌してブレンドし、プレミックスを得るステップ1)と、
得られたプレミックスを二軸押出機の主供給口に入れ、サイド供給口にガラス繊維を加えて溶融押出し、造粒乾燥すると完成するステップ2)と
を含む。
【0021】
前記二軸押出機のアスペクト比は46:1~50:1であり、前記二軸押出機の温度は、供給部からヘッド部に向かって順に、ゾーン1の温度は120℃~160℃、ゾーン2の温度は200℃~230℃、ゾーン3の温度は200℃~230℃、ゾーン4の温度は200℃~220℃、ゾーン5の温度は200℃~220℃、ゾーン6の温度は200℃~220℃、ゾーン7の温度は200℃~220℃、ゾーン8の温度は200℃~220℃、ゾーン9の温度は200℃~220℃、ゾーン10の温度は200℃~220℃、ゾーン11の温度は200℃~220℃であり、ヘッドの温度は220℃~240℃であり、本体の回転速度は350回転/分~500回転/分である。
【0022】
上記の製造方法により得られたガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料の自動車、電子・電気、通信産業、建築産業における使用が提供される。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、従来技術と比較して、以下の有益な効果を有する。
【0024】
本発明は、ガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料の処方に特定含有量のポリシロキサンブロック共重合体、リン含有化合物及びポリオレフィン化合物を添加することにより、製造された複合材料中の特定のシロキサン含有量及び特定のリン元素とケイ素元素の重量比を確保し、製造された複合材料に優れた高弾性率・高靭性と優れた流動性と加工性能とを併せ持ち、従来の強化変性手段と比較して、この複合材料は、剛性と靭性を併せ持ち、特に自動車、電子・電気、通信産業、建築産業などの分野に適している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体的な実施形態によりさらに説明するが、以下の実施形態は本発明の好適な実施形態であるが、本発明の実施形態は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0026】
各性能のテスト基準又は方法:
Izodノッチなし衝撃強度のテスト方法:ASTM D256-2010標准に準じる。
引張強度のテスト方式:ASTM D638-2014標准に準じて、引張速度は10mm/min。
曲げ弾性率のテスト方式:ASTM D790-2010標准に準じて、曲げ速度は2mm/min。
流動性のテスト方法:ASTM D1238-2013標準に準じて、溶融温度は300℃。

本発明で使用されるポリカーボネート:
成分A‐1:粘度平均分子量18000の芳香族ポリカーボネート、日本出光社製、
成分A‐2:粘度平均分子量27000の芳香族ポリカーボネート、日本出光社製、

本発明で使用されるポリシロキサンブロック共重合体:
成分B‐1:シロキサン含有量8wt%のポリシロキサンブロック共重合体、日本出光社製
成分B‐2:シロキサン含有量34wt%のポリシロキサンブロック共重合体、日本出光社製

本発明で使用されるガラス繊維:
成分C‐1:日本東洋紡社製

本発明で使用するリン含有化合物:
成分D‐1:次亜リン酸、アラジン社製
成分D‐2:リン酸ナトリウム、博徳化工社製
本発明で使用されるポリオレフィン化合物:
成分E‐1:ポリエチレン、シノペック社製
成分E‐2:ポリX-オレフィン、創新化工社製

本発明で使用されるその他の助剤:
成分F‐1:安定剤:2112、アデカ社製
成分F‐2:潤滑剤:PETS、ロンザ社製
【0027】
実施例1~8及び比較例1~6:ガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料の製造
ポリカーボネート、ポリシロキサンブロック共重合体、リン含有化合物、ポリオレフィン化合物、その他の助剤を配合比で秤量し、高速混合機で1~3min撹拌してブレンドしし、プレミックスを得た。得られたプレミックスを二軸押出機の主供給口に入れ、サイド供給口にガラス繊維を加えて溶融押出し、造粒乾燥してガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料を得た。上記ガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料について、Izodノッチ衝撃強度、Izodノッチなし衝撃強度、引張強度、曲げ弾性率、流動性をテストし、得られたデータを表1に示す。
【0028】
表1 実施例1~8及び比較例1~6の具体的な配合(重量部)とそのテスト結果


表1に続く

本発明の好ましい態様は以下を包含する。
〔1〕ガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料であって、
成分A:ポリカーボネート40重量部~90重量部と、
成分B:ポリシロキサンブロック共重合体1.5重量部~50重量部と、
成分C:ガラス繊維5重量部~60重量部と、
成分D:リン含有化合物0.1重量部~30重量部と、
成分E:ポリオレフィン化合物0.01重量部~30重量部と
を含む、複合材料。
〔2〕成分A:ポリカーボネート40重量部~90重量部と、
成分B:ポリシロキサンブロック共重合体3.5重量部~45重量部と、
成分C:ガラス繊維5重量部~60重量部と、
成分D:リン含有化合物8重量部~12重量部と、
成分E:ポリオレフィン化合物6重量部~10重量部と
を含む、〔1〕に記載のガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料。
〔3〕前記ガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料中、組成物全重量に占めるシロキサン含有量の百分率が0.6wt%~17wt%、好ましくは2.8wt%~12wt%である、ことを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料。
〔4〕前記ガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料中、リン元素とケイ素元素の重量比が1:0.1~3.2、好ましくは1:0.6~2.5である、ことを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料。
〔5〕前記ポリカーボネートは、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、芳香族‐脂肪族ポリカーボネート、分岐ポリカーボネートから選択される1種又は数種であり、好ましくは芳香族ポリカーボネートであり、前記芳香族ポリカーボネートは、粘度平均分子量13000~40000の芳香族ポリカーボネートであり、好ましくは、粘度平均分子量18000~28000の芳香族ポリカーボネートである、ことを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料。
〔6〕前記ポリシロキサンブロック共重合体は、ポリジメチルシロキサンブロックとビスフェノールAのポリカーボネートブロックを含み、シロキサン含有量が成分Bの重量に対して0.6wt%~36wt%である、ことを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料。
〔7〕前記リン含有化合物は、酸素含有リン酸、リン酸塩類及びその誘導体から選択され、前記酸素含有リン酸は、リン酸及び/又は次亜リン酸から選択され、前記リン酸塩類及びその誘導体は、リン酸ナトリウム及び/又は次亜リン酸亜鉛から選択される、ことを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料。
〔8〕前記ポリオレフィン化合物は、飽和直鎖型のポリオレフィン、不飽和結合を含有するポリオレフィン、部分分岐鎖を含有するポリオレフィン、変性ポリオレフィンから選択される1種又は数種であり、前記飽和直鎖型のポリオレフィンは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンから選択される1種又は数種であり、前記不飽和結合を含有するポリオレフィンは、ポリブタジエン及びその誘導体から選択され、前記部分分岐鎖を含有するポリオレフィンは、ポリX‐オレフィンから選択され、前記変性ポリオレフィンは、エポキシ変性ポリオレフィン、無水マレイン酸変性ポリオレフィンから選択される1種又は数種である、ことを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料。
〔9〕ガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料の重量に対して、成分F:その他の助剤0~10重量部をさらに含み、前記その他の助剤は、安定剤、難燃剤、防滴剤、潤滑剤、離型剤、可塑剤、充填剤、帯電防止剤、抗菌剤、着色剤から選択される1種又は数種である、ことを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載のガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料。
〔10〕ポリカーボネート、ポリシロキサンブロック共重合体、リン含有化合物、ポリオレフィン化合物、その他の助剤を配合比で秤量し、高速混合機で1~3min撹拌してブレンドし、プレミックスを得るステップ1)と、
得られたプレミックスを二軸押出機の主供給口に入れ、サイド供給口にガラス繊維を加えて溶融押出し、造粒乾燥すると完成するステップ2)と
を含む、ことを特徴とする〔1〕~〔9〕のいずれかに記載のガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料の製造方法。
〔11〕前記二軸押出機のアスペクト比は46:1~50:1であり、前記二軸押出機の温度は、供給部からヘッド部に向かって順に、ゾーン1の温度は120℃~160℃、ゾーン2の温度は200℃~230℃、ゾーン3の温度は200℃~230℃、ゾーン4の温度は200℃~220℃、ゾーン5の温度は200℃~220℃、ゾーン6の温度は200℃~220℃、ゾーン7の温度は200℃~220℃、ゾーン8の温度は200℃~220℃、ゾーン9の温度は200℃~220℃、ゾーン10の温度は200℃~220℃、ゾーン11の温度は200℃~220℃であり、ヘッドの温度は220℃~240℃であり、本体の回転速度は350回転/分~500回転/分である、ことを特徴とする〔10〕に記載のガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料の製造方法。
〔12〕〔10〕に記載の製造方法により得られるガラス繊維強化ポリカーボネート複合材料の自動車、電子・電気、通信産業、建築産業における使用。