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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】基板収納容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/30 20060101AFI20240930BHJP
【FI】
B65D85/30 500
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022523786
(86)(22)【出願日】2020-05-19
(86)【国際出願番号】 JP2020019740
(87)【国際公開番号】W WO2021234809
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-04-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000140890
【氏名又は名称】ミライアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】久保田 幸二
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-048757(JP,A)
【文献】特開平11-115985(JP,A)
【文献】国際公開第2016/163166(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部に容器本体開口部が形成された開口周縁部を有し、他端部が閉塞された筒状の壁部を備え、前記壁部の内面によって、複数の基板を収納可能であり前記容器本体開口部に連通する基板収納空間が形成された容器本体と、
前記容器本体開口部に対して着脱可能であり、前記容器本体開口部を閉塞可能な蓋体と、
前記蓋体の部分であって前記蓋体によって前記容器本体開口部が閉塞されているときに前記基板収納空間に対向する部分に配置され、前記蓋体によって前記容器本体開口部が閉塞されているときに、前記複数の基板の縁部を支持可能な蓋体側基板支持部と、
前記基板収納空間内において前記蓋体側基板支持部と対をなすように配置され、前記複数の基板の縁部を支持可能であり、前記蓋体によって前記容器本体開口部が閉塞されているときに前記蓋体側基板支持部と協働して、前記複数の基板を並列させた状態で、前記複数の基板を支持する奥側基板支持部と、を備え、
前記奥側基板支持部は、前記基板の表面の端縁に当接可能な第1当接面を有する第1当接部と、前記第1当接面に接続された第2当接面であって前記基板の裏面の端縁に当接可能な第2当接面を有する第2当接部とを有し、
前記蓋体によって前記容器本体開口部が閉塞されていない状態から、前記蓋体によって前記容器本体開口部が閉塞されている状態になるときと、前記蓋体によって前記容器本体開口部が閉塞されている状態から、前記蓋体によって前記容器本体開口部が閉塞されていない状態になるときと、の両方において、前記基板は前記第2当接面に対して摺動し、前記蓋体によって前記容器本体開口部が閉塞されている状態から、前記蓋体によって前記容器本体開口部が閉塞されていない状態になるときに、すべての前記基板の端縁、自動的に前記第2当接面に対して摺動させ、すべての前記基板を、前記第2当接面に接続された下側当接面に移動させて載置さ基板移載機による前記基板の自動取り出しを可能とし
前記奥側基板支持部は、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とのみを構成材料とするアロイ樹脂により構成され、ポリカーボネート樹脂の質量よりもポリブチレンテレフタレート樹脂の質量の方が大きい質量構成とされ、
前記奥側基板支持部を構成する材料は、前記アロイ樹脂の質量に対して51質量%以上のポリブチレンテレフタレート樹脂を含む、基板収納容器。
【請求項2】
前記奥側基板支持部は、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂により構成され、前記アロイ樹脂の質量に対して51質量%以上90質量%未満のポリブチレンテレフタレート樹脂を含む請求項1に記載の基板収納容器。
【請求項3】
前記基板収納空間内において対をなすように配置され、前記蓋体によって前記容器本体開口部が閉塞されていないときに、前記複数の基板のうちの隣接する基板同士を所定の間隔で離間させて並列させた状態で、前記複数の基板の縁部を支持可能な側方基板支持部を備え、
前記奥側基板支持部は、前記蓋体によって前記容器本体開口部が閉塞されているときに前記蓋体側基板支持部と協働して、前記複数の基板の縁部を前記側方基板支持部から離間させて並列させた状態で、前記複数の基板を支持する請求項1又は請求項2に記載の基板収納容器。
【請求項4】
前記蓋体によって前記容器本体開口部が閉塞されているときに、前記第1当接面と前記第2当接面とで前記基板の端縁を挟むようにして前記基板を支持する請求項1~請求項3のいずれかに記載の基板収納容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ等からなる基板を収納、保管、搬送、輸送等する際に使用される基板収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハからなる基板を収納して搬送するための基板収納容器としては、容器本体とウェハキャリヤとを備える構成のものが、従来より知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
容器本体の一端部は、容器本体開口部が形成された開口周縁部を有する。容器本体の他端部は、閉塞された筒状の壁部を有する。容器本体内には基板収納空間が形成されている。基板収納空間は、壁部により取り囲まれて形成されており、複数の基板を収納可能である。蓋体は、開口周縁部に対して着脱可能であり、容器本体開口部を閉塞可能である。側方基板支持部は、基板収納空間内において対をなすように壁部に設けられている。側方基板支持部は、蓋体によって容器本体開口部が閉塞されていないときに、隣接する基板同士を所定の間隔で離間させて並列させた状態で、複数の基板の縁部を支持可能である。
【0004】
蓋体の部分であって容器本体開口部を閉塞しているときに基板収納空間に対向する部分には、フロントリテーナが設けられている。フロントリテーナは、基板に直接当接して基板を支持する蓋体側基板受け部と、蓋体側基板受け部を支持する蓋体側脚部とを有しており、蓋体によって容器本体開口部が閉塞されているときに、複数の基板の縁部を支持可能である。また、フロントリテーナと対をなすようにして、奥側基板支持部が壁部に設けられている。奥側基板支持部は、複数の基板の縁部を支持可能である。奥側基板支持部は、蓋体によって容器本体開口部が閉塞されているときに、フロントリテーナと協働して複数の基板を支持することにより、隣接する基板同士を所定の間隔で離間させて並列させた状態で、複数の基板を保持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6372871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、蓋体によって容器本体開口部が閉塞されているときには、基板の破損や回転を抑制するために、奥側基板支持部は、フロントリテーナと協働して複数の基板を挟み込んで支持することにより、隣接する基板同士を所定の間隔で離間させて並列させた状態で、複数の基板を保持し固定する。
【0007】
奥側基板支持部を構成する材料の摩擦係数が低い場合には、強い力で基板を保持しても、基板収納容器の輸送中の振動等により基板が回転してしまい、パーティクルの発生による汚れを発生させ易い。また、奥側基板支持部を構成する材料の摩擦係数が高い場合には、軽い力で基板を保持しても、輸送中の振動等で基板は回転し難く、パーティクルの発生による汚れは少ない。
【0008】
しかし、奥側基板支持部を構成する材料の摩擦係数が高い場合であって、蓋体によって容器本体開口部が閉塞されている状態から、蓋体によって容器本体開口部が閉塞されていない状態とされるときに、基板の端縁が奥側基板支持部に対して摺動して基板が取り外される所定の位置へ移動する構成の場合には、基板の端縁が奥側基板支持部に対してスムースに摺動できず、基板が取り外される所定の位置へ移動できず、基板移載機による基板の自動取り出しを行うことができないという不具合が生ずる。
【0009】
本発明は、確実に基板が取り外される所定の位置へ移動でき、基板移載機による基板の自動取り出しを行うことが可能であり、且つ、パーティクルの発生による汚れが少ない基板収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一端部に容器本体開口部が形成された開口周縁部を有し、他端部が閉塞された筒状の壁部を備え、前記壁部の内面によって、複数の基板を収納可能であり前記容器本体開口部に連通する基板収納空間が形成された容器本体と、前記容器本体開口部に対して着脱可能であり、前記容器本体開口部を閉塞可能な蓋体と、前記蓋体の部分であって前記蓋体によって前記容器本体開口部が閉塞されているときに前記基板収納空間に対向する部分に配置され、前記蓋体によって前記容器本体開口部が閉塞されているときに、前記複数の基板の縁部を支持可能な蓋体側基板支持部と、前記基板収納空間内において前記蓋体側基板支持部と対をなすように配置され、前記複数の基板の縁部を支持可能であり、前記蓋体によって前記容器本体開口部が閉塞されているときに前記蓋体側基板支持部と協働して、前記複数の基板を並列させた状態で、前記複数の基板を支持する奥側基板支持部と、を備え、前記奥側基板支持部は、前記基板の表面の端縁に当接可能な第1当接面を有する第1当接部と、前記第1当接面に接続された第2当接面であって前記基板の裏面の端縁に当接可能な第2当接面を有する第2当接部とを有し、前記蓋体によって前記容器本体開口部が閉塞されていない状態から、前記蓋体によって前記容器本体開口部が閉塞されている状態になるときと、前記蓋体によって前記容器本体開口部が閉塞されている状態から、前記蓋体によって前記容器本体開口部が閉塞されていない状態になるときと、の少なくとも一方のときに、前記基板は前記第2当接面に対して摺動し、前記奥側基板支持部は、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂により構成され、ポリカーボネート樹脂の質量よりもポリブチレンテレフタレート樹脂の質量の方が大きい質量構成とされた、基板収納容器に関する。
【0011】
また、前記奥側基板支持部を構成する材料は、前記アロイ樹脂の質量に対して51質量%以上のポリブチレンテレフタレート樹脂を含むことが好ましい。
【0012】
また、前記奥側基板支持部は、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂により構成され、前記アロイ樹脂の質量に対して51質量%以上90質量%未満のポリブチレンテレフタレート樹脂を含むことが好ましい。
【0013】
また、前記基板収納空間内において対をなすように配置され、前記蓋体によって前記容器本体開口部が閉塞されていないときに、前記複数の基板のうちの隣接する基板同士を所定の間隔で離間させて並列させた状態で、前記複数の基板の縁部を支持可能な側方基板支持部を備え、前記奥側基板支持部は、前記蓋体によって前記容器本体開口部が閉塞されているときに前記蓋体側基板支持部と協働して、前記複数の基板の縁部を前記側方基板支持部から離間させて並列させた状態で、前記複数の基板を支持することが好ましい。
【0014】
また、前記蓋体によって前記容器本体開口部が閉塞されているときに、前記第1当接面と前記第2当接面とで前記基板の端縁を挟むようにして前記基板を支持することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、確実に基板が取り外される所定の位置へ移動でき、基板移載機による基板の自動取り出しを行うことが可能な基板収納容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る基板収納容器1に複数の基板Wが収納された様子を示す分解斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る基板収納容器1の容器本体2を示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係る基板収納容器1の容器本体2に基板Wが1枚収納された様子を示す分解斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る基板収納容器1の蓋体3を示す斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る基板収納容器1を示す断面図である。
図6】本発明の実施形態に係る基板収納容器1の蓋体3により容器本体開口部21が閉塞されている状態における、奥側基板支持部6と基板Wとの位置関係を示す拡大断面図である。
図7】本発明の実施形態に係る基板収納容器1の蓋体3により容器本体開口部21が閉塞されていない状態とされるときの奥側基板支持部6と基板Wとの位置関係を示す拡大断面図である。
図8】本発明の実施形態に係る基板収納容器1の効果を試す試験に用いた試験品1(No.1)~試験品11(No.11)の、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)とポリカーボネート樹脂(PC)との質量比を示す表である。
図9】本発明の実施形態に係る基板収納容器1の効果を試す試験に用いた試験品1(No.1)~試験品11(No.11)について、基板移載機により基板Wの自動取り出しをすることが可能な位置まで摺動できたか否かの結果を示す表である。
図10】本発明の実施形態に係る基板収納容器1の効果を試す試験に用いた試験品1(No.1)~試験品11(No.11)について、パーティクルの発生による汚れが規格範囲内に収まっているか否かの結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本実施形態による基板収納容器1について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る基板収納容器1に複数の基板Wが収納された様子を示す分解斜視図である。図2は、本発明の実施形態に係る基板収納容器1の容器本体2を示す斜視図である。図3は、本発明の実施形態に係る基板収納容器1の容器本体2に基板Wが1枚収納された様子を示す分解斜視図である。図4は、本発明の実施形態に係る基板収納容器1の蓋体3を示す斜視図である。
【0018】
ここで、説明の便宜上、後述の容器本体2から蓋体3へ向かう方向(図1における右上から左下へ向かう方向)を前方向D11と定義し、その反対の方向を後方向D12と定義し、これらをあわせて前後方向D1と定義する。また、後述の下壁24から上壁23へと向かう方向(図1における上方向)を上方向D21と定義し、その反対の方向を下方向D22と定義し、これらをあわせて上下方向D2と定義する。また、後述する第2側壁26から第1側壁25へと向かう方向(図1における右下から左上へ向かう方向)を左方向D31と定義し、その反対の方向を右方向D32と定義し、これらをあわせて左右方向D3と定義する。主要な図面には、これらの方向を示す矢印を図示している。
【0019】
また、基板収納容器1に収納される基板W(図1参照)は、円盤状のシリコンウェーハ、ガラスウェーハ、サファイアウェーハ等であり、産業に用いられる薄いものである。本実施形態における基板Wは、直径300mmのシリコンウェーハである。
【0020】
図1に示すように、基板収納容器1は、上述のようなシリコンウェーハからなる基板Wを収納して、陸運手段・空運手段・海運手段等の輸送手段により基板Wを輸送するための出荷容器として用いられたりするものであり、容器本体2と、蓋体3とから構成される。容器本体2は、側方基板支持部としての基板支持板状部5と、奥側基板支持部6(図2等参照)と、を備えており、蓋体3は、蓋体側基板支持部としてのフロントリテーナ7(図4等参照)を備えている。
【0021】
容器本体2は、一端部に容器本体開口部21が形成され、他端部が閉塞された筒状の壁部20を有する。容器本体2内には基板収納空間27が形成されている。基板収納空間27は、壁部20により取り囲まれて形成されている。壁部20の部分であって基板収納空間27を形成している部分には、基板支持板状部5が配置されている。基板収納空間27には、図1に示すように、複数の基板Wを収納可能である。
【0022】
基板支持板状部5は、基板収納空間27内において対をなすように壁部20に設けられている。基板支持板状部5は、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されていないときに、複数の基板Wの縁部に当接することにより、隣接する基板W同士を所定の間隔で離間させて並列させた状態で、複数の基板Wの縁部を支持可能である。基板支持板状部5の奥側には、奥側基板支持部6が設けられている。
【0023】
奥側基板支持部6は、基板収納空間27内において後述するフロントリテーナ7と対をなすように壁部20に設けられている。奥側基板支持部6は、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに、複数の基板Wの縁部に当接することにより、複数の基板Wの縁部の後部を支持可能である。
【0024】
蓋体3は、容器本体開口部21を形成する開口周縁部28(図1等)に対して着脱可能であり、容器本体開口部21を閉塞可能である。フロントリテーナ7は、蓋体3の部分であって蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに基板収納空間27に対向する部分に設けられている。フロントリテーナ7は、基板収納空間27の内部において奥側基板支持部6と対をなすように配置されている。
【0025】
フロントリテーナ7は、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに、複数の基板Wの縁部に当接することにより複数の基板Wの縁部の前部を支持可能である。フロントリテーナ7は、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに、奥側基板支持部6と協働して複数の基板Wを支持することにより、隣接する基板W同士を所定の間隔で離間させて並列させた状態で、複数の基板Wを保持する。
【0026】
基板収納容器1は、プラスチック材等の樹脂で構成されており、特に説明が無い場合には、その材料の樹脂としては、たとえば、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマーといった熱可塑性樹脂やこれらのアロイ等が上げられる。これらの成形材料の樹脂には、導電性を付与する場合には、カーボン繊維、カーボンパウダー、カーボンナノチューブ、導電性ポリマー等の導電性物質が選択的に添加される。また、剛性を上げるためにガラス繊維や炭素繊維等を添加することも可能である。
【0027】
以下、各部について、詳細に説明する。
図5は、本発明の実施形態に係る基板収納容器1を示す断面図である。図6は、本発明の実施形態に係る基板収納容器1の蓋体3により容器本体開口部21が閉塞されている状態における、奥側基板支持部6と基板Wとの位置関係を示す拡大断面図である。図7は、本発明の実施形態に係る基板収納容器1の蓋体3により容器本体開口部21が閉塞されていない状態とされるときの奥側基板支持部6と基板Wとの位置関係を示す拡大断面図である。
【0028】
図1に示すように、容器本体2の壁部20は、奥壁22と上壁23と下壁24と第1側壁25と第2側壁26とを有する。奥壁22、上壁23、下壁24、第1側壁25、及び第2側壁26は、上述した材料により構成されており、一体成形されて構成されている。
【0029】
第1側壁25と第2側壁26とは対向しており、上壁23と下壁24とは対向している。上壁23の後端、下壁24の後端、第1側壁25の後端、及び第2側壁26の後端は、全て奥壁22に接続されている。上壁23の前端、下壁24の前端、第1側壁25の前端、及び第2側壁26の前端は、奥壁22に対向する位置関係を有し、略長方形状をした容器本体開口部21を形成する開口周縁部28を構成する。
【0030】
開口周縁部28は、容器本体2の一端部に設けられており、奥壁22は、容器本体2の他端部に位置している。壁部20の外面により形成される容器本体2の外形は箱状である。壁部20の内面、即ち、奥壁22の内面、上壁23の内面、下壁24の内面、第1側壁25の内面、及び第2側壁26の内面は、これらによって取り囲まれた基板収納空間27を形成している。開口周縁部28に形成された容器本体開口部21は、壁部20により取り囲まれて容器本体2の内部に形成された基板収納空間27に連通している。基板収納空間27には、最大で25枚の基板Wを収納可能である。
【0031】
図1に示すように、上壁23及び下壁24の部分であって、開口周縁部28の近傍の部分には、基板収納空間27の外方へ向かって窪んだラッチ係合凹部231A、231B、241A、241Bが形成されている。ラッチ係合凹部231A、231B、241A、241Bは、上壁23及び下壁24の左右両端部近傍に1つずつ、計4つ形成されている。
【0032】
図1に示すように、上壁23の外面においては、リブ235が、上壁23と一体成形されて設けられている。リブ235は、容器本体2の剛性を高める。また、上壁23の中央部には、トップフランジ236が固定される。トップフランジ236は、AMHS(自動ウェーハ搬送システム)、PGV(ウェーハ基板搬送台車)等において基板収納容器1を吊り下げる際に、基板収納容器1において掛けられて吊り下げられる部分となる部材である。
【0033】
基板支持板状部5は、第1側壁25及び第2側壁26にそれぞれ一体成形されて設けられており、左右方向D3において対をなすようにして基板収納空間27内に設けられている。具体的には、図5等に示すように、基板支持板状部5は、板部51を有している。
【0034】
板部51は、図3に示すように、板状の略弧形状を有している。板部51は、第1側壁25、第2側壁26それぞれに、上下方向D2に25枚ずつ計50枚設けられている。隣接する板部51は、上下方向D2において10mm~12mm間隔で互いに離間して平行な位置関係で配置されている。なお、最も上に位置する板部51の上方には、もう一枚板部51と平行に板状の部材59が配置されているが、これは、最も上に位置して基板収納空間27内へ挿入される基板Wに対して、当該挿入の際のガイドの役割をする部材である。
【0035】
また、第1側壁25に設けられた25枚の板部51と、第2側壁26に設けられた25枚の板部51とは、互いに左右方向D3において対向する位置関係を有している。また、50枚の板部51、及び、板部51と平行な板状のガイドの役割をする部材59は、下壁24の内面に平行な位置関係を有している。図2図3等に示すように、板部51の上面には、凸部511が設けられている。板部51に支持された基板Wは、凸部511の突出端にのみ接触し、面で板部51に接触しない。
【0036】
このような構成の基板支持板状部5は、複数の基板Wのうちの隣接する基板W同士を、所定の間隔で離間した状態で且つ互いに平行な位置関係とした状態で、複数の基板Wの縁部を支持可能である。
【0037】
図2等に示すように、奥側基板支持部6は、奥壁22に設けられたリブ状部221に形成されて設けられている。リブ状部221は、奥壁22の内面において、基板収納空間27の内方へ突出している。奥側基板支持部6は、基板収納空間27の内方へ突出しているリブ状部221の内面に形成されており、奥側端縁支持部60(図5等参照)を有している。
【0038】
奥側端縁支持部60は、基板収納空間27に収納可能な基板Wの一枚毎に対応した個数、具体的には、25個設けられている。奥壁22に設けられた奥側端縁支持部60は、前後方向D1において、後述するフロントリテーナ7と対をなすような位置関係を有している。
【0039】
奥側基板支持部6は、図6図7に示すように、第2当接面としての下側傾斜面601を有する部分である第2当接部と、第1当接面としての上側傾斜面602を有する部分である第1当接部と、下側当接面603と、を有している。
【0040】
具体的には、下側傾斜面601は、上方向D21に進むにつれて、基板収納空間27の中心(図6図7における左側)から離間するように傾斜して延びる傾斜面により構成されている。上側傾斜面602は、上方向D21に進むにつれて、基板収納空間27の中心(図6図7における左側)に接近するように、下側傾斜面601の上端部から傾斜して延びる傾斜面により構成されている。下側傾斜面601、上側傾斜面602は、基板収納空間27の中心から離間するように窪んだ凹溝であるV字状溝604を形成する。
【0041】
下側当接面603には、蓋体3(図1等参照)によって容器本体開口部21が閉塞されていないときに、基板Wの裏面(下面)の端縁が当接し、基板Wの裏面の端縁が載置される。蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されていない状態から、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞された状態となったときに、基板Wの裏面の端縁は下側当接面603から離れ、下側傾斜面601に対して摺動し、図6に示すように、基板Wの端縁は、V字状溝604の最も深い部分において、下側傾斜面601と上側傾斜面602とに挟まれた状態とされ支持される。蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されている状態から、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されていない状態となったときに、基板Wの裏面の端縁は下側傾斜面601に対して摺動し、下側当接面603に当接する。
【0042】
図1等に示すように、蓋体3は、容器本体2の開口周縁部28の形状と略一致する略長方形状を有している。蓋体3は容器本体2の開口周縁部28に対して着脱可能であり、開口周縁部28に蓋体3が装着されることにより、蓋体3は、容器本体開口部21を閉塞可能である。蓋体3の内面(図1に示す蓋体3の裏側の面)であって、蓋体3が容器本体開口部21を閉塞しているときの開口周縁部28のすぐ後方向D12の位置に形成された段差の部分の面(シール面281)に対向する面には、環状のシール部材4が取り付けられている。シール部材4は、弾性変形可能なポリエステル系、ポリオレフィン系など各種熱可塑性エラストマー、フッ素ゴム製、シリコンゴム製等により構成されている。シール部材4は、蓋体3の外周縁部を一周するように配置されている。
【0043】
蓋体3が開口周縁部28に装着されたときに、シール部材4は、シール面281と蓋体3の内面とにより挟まれて弾性変形し、蓋体3は、容器本体開口部21を密閉した状態で閉塞する。開口周縁部28から蓋体3が取り外されることにより、容器本体2内の基板収納空間27に対して、基板Wを出し入れ可能となる。
【0044】
蓋体3においては、ラッチ機構が設けられている。ラッチ機構は、蓋体3の左右両端部近傍に設けられており、図1に示すように、蓋体3の上辺から上方向D21へ突出可能な2つの上側ラッチ部32Aと、蓋体3の下辺から下方向D22へ突出可能な2つの下側ラッチ部32Bと、を備えている。2つの上側ラッチ部32Aは、蓋体3の上辺の左右両端近傍に配置されており、2つの下側ラッチ部32Bは、蓋体3の下辺の左右両端近傍に配置されている。
【0045】
蓋体3の外面においては操作部33が設けられている。操作部33を蓋体3の前側から操作することにより、上側ラッチ部32A、下側ラッチ部32Bを蓋体3の上辺、下辺から突出させることができ、また、上辺、下辺から突出させない状態とすることができる。上側ラッチ部32Aが蓋体3の上辺から上方向D21へ突出して、容器本体2のラッチ係合凹部231A、231Bに係合し、且つ、下側ラッチ部32Bが蓋体3の下辺から下方向D22へ突出して、容器本体2のラッチ係合凹部241A、241Bに係合することにより、蓋体3は、容器本体2の開口周縁部28に固定される。
【0046】
図4に示すように、蓋体3の内側においては、基板収納空間27の外方へ窪んだ凹部34が形成されている。凹部34の内側の蓋体3の部分には、図4に示すように、フロントリテーナ7が固定されて設けられている。
【0047】
図4に示すように、フロントリテーナ7は、フロントリテーナ基板受け部73を有している。フロントリテーナ基板受け部73は、左右方向D3に所定の間隔で離間して対をなすようにして2つずつ配置されている。このように対をなすようにして2つずつ配置されたフロントリテーナ基板受け部73は、上下方向D2に25対並列した状態で設けられており、それぞれ弾性変形可能な脚部により支持されている。基板収納空間27内に基板Wが収納され、蓋体3が閉じられることにより、フロントリテーナ基板受け部73は、脚部の弾性力により、基板Wの縁部の端縁を、基板収納空間27の中心へ付勢した状態で挟持して支持する。
【0048】
具体的には、フロントリテーナ基板受け部73は、図4に示すように、下側傾斜面731と上側傾斜面732とを有している。
【0049】
下側傾斜面731は、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに、基板Wの裏面の端縁に当接する。上側傾斜面732は、基板Wの表面の端縁に当接する。具体的には、下側傾斜面731は、上方向D21に進むにつれて、前後方向D1において基板収納空間27の中心から離間するように傾斜して延びる傾斜面により構成されている。上側傾斜面732は、上方向D21に進むにつれて、前後方向D1において基板収納空間27の中心に接近するように傾斜して延びる傾斜面により構成されている。下側傾斜面731、上側傾斜面732は、基板収納空間27の中心から離間するように窪んだ凹溝であるV字状溝を形成する。下側傾斜面731、上側傾斜面732には、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに、基板Wの裏面の端縁、表面の端縁がそれぞれ当接する。
【0050】
奥側基板支持部6、及び、奥側基板支持部6と一体成形された容器本体2を構成する壁部20は、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂により構成され、ポリカーボネート樹脂の質量よりもポリブチレンテレフタレート樹脂の質量の方が大きい質量構成とされている。
【0051】
より具体的には、奥側基板支持部6及び壁部20の材料は、アロイ樹脂の質量に対して40質量%よりも大きい値のポリブチレンテレフタレート樹脂を含む。40質量%よりも大きいことによって、下側傾斜面601に対する基板Wの摩擦係数を低くすることが可能となり、かつ、パーティクルの発生による汚れが抑えられる。これにより、パーティクルの発生による汚れが抑えられるにも関わらず、基板Wが取り外される所定の位置への基板Wの移動を、確実とすることが可能となる。このため、図示しない基板移載機による基板Wの自動取り出しを確実に行うことが可能となる。
【0052】
より好ましくは、奥側基板支持部6、及び、奥側基板支持部6と一体成形された容器本体2を構成する壁部20は、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂により構成され、アロイ樹脂の質量に対して51質量%以上90質量%未満のポリブチレンテレフタレート樹脂を含む。このように、ポリブチレンテレフタレート樹脂を、アロイ樹脂の質量に対して51質量%以上とすることにより、下側傾斜面601に対する基板Wの摩擦係数を極めて低くすることが可能となる。このため、基板Wが取り外される所定の位置への基板Wの移動を、より確実とすることが可能となる。このため、図示しない基板移載機による基板Wの自動取り出しをより確実に行うことが可能となる。また、ポリブチレンテレフタレート樹脂を、アロイ樹脂の質量に対して90質量%未満とすることにより、パーティクルの発生による汚れが確実に抑えられる。
【0053】
次に、本実施形態による基板収納容器1の効果を確認する試験を行った。
図8は、本発明の実施形態に係る基板収納容器1の効果を試す試験に用いた試験品1(No.1)~試験品11(No.11)の、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)とポリカーボネート樹脂(PC)との質量比を示す表である。図9は、本発明の実施形態に係る基板収納容器1の効果を試す試験に用いた試験品1(No.1)~試験品11(No.11)について、基板移載機により基板Wの自動取り出しをすることが可能な位置まで摺動できたか否かの結果を示す表である。図10は、本発明の実施形態に係る基板収納容器1の効果を試す試験に用いた試験品1(No.1)~試験品11(No.11)について、パーティクルの発生による汚れが規格範囲内に収まっているか否かの結果を示す表である。
【0054】
試験では、図8に示す質量比率で、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)と、ポリカーボネート樹脂(PC)とを有し、これらのみを構成材料とする試験品1(No.1)~試験品11(No.11)を製造して試験を行った。試験品2(No.2)~試験品5(No.5)は本発明品であり、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)と、ポリカーボネート樹脂(PC)との質量比をそれぞれ変えて製造したものである。例えば、試験品2(No.2)については、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)とポリカーボネート樹脂(PC)との質量比は9:1である。同様に、例えば、試験品5(No.5)については、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)とポリカーボネート樹脂(PC)との質量比は6:4である。
【0055】
試験品1(No.1)、試験品(No.6)~試験品11(No.11)は比較品である。本発明品と同様に、例えば、試験品1(No.1)については、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)とポリカーボネート樹脂(PC)との質量比は10:0である。同様に、例えば、試験品11(No.11)については、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)とポリカーボネート樹脂(PC)との質量比は0:10である。
【0056】
以上のような、本発明品及び比較品である試験品1~試験品11をそれぞれ5つずつ用意した。試験は、基板移載機により蓋体3の操作部33を操作させることにより、蓋体3を容器本体2の開口周縁部28から取り外し、基板移載機による基板の自動取り出しをすることにより行った。結果は、図9図10に示すとおりである。
【0057】
図9に示すように、本発明品(No.2~No.5)においては、いずれも蓋体3を開口周縁部28から取り外したときに、基板Wの端縁は、下側傾斜面601を摺動して下側当接面603に移動し載置された。これに対して比較品(No.1、No.6~No.11)においては、基板Wの端縁は、下側傾斜面601を摺動して下側当接面603に移動せずに、下側傾斜面601に載置されたままの状態のものがあった。従って、本発明品においては、いずれも摩擦係数が十分に小さく、蓋体3を容器本体2の開口周縁部28から取り外す際に、基板Wの端縁が、十分に下側傾斜面601に対して摺動し、基板Wを、基板移載機により基板Wの自動取り出しをすることが可能な位置まで摺動させることが可能であることが分かる。
【0058】
また、図10に示すように、本発明品(No.2~No.5)においては、いずれも蓋体3を開口周縁部28から取り外したときに、パーティクルの発生による汚れが抑えられている。例えば、本発明品(No.2)においては、パーティクルの発生による汚れが規格範囲外であるものもあったが、半数以上の本発明品においては、パーティクルの発生による汚れが規格範囲内に収まっている。ここで規格範囲内とは、パーティクルによる色の濃さのレベルを意味し、0~3の間を範囲とした。
【0059】
これに対して比較品(No.1、No.6~No.11)においては、基板Wの端縁は、パーティクルの発生による汚れが、全て規格範囲外であるものもあった。具体的には、比較品(No.1)は、全て規格範囲外であり、パーティクルの発生による汚れが多く発生することが分かる。以上より、奥側基板支持部6及び壁部20は、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂により構成され、ポリカーボネート樹脂の質量よりもポリブチレンテレフタレート樹脂の質量の方が大きい質量構成とされ、奥側基板支持部6及び壁部20の材料は、アロイ樹脂の質量に対して51質量%以上90質量%未満のポリブチレンテレフタレート樹脂を含むことにより、下側傾斜面601に対する基板Wの摩擦係数を極めて低くすることが可能となり、かつ、パーティクルの発生による汚れが抑えられることが分かる。
【0060】
上記構成の実施形態に係る基板収納容器1によれば、以下のような効果を得ることができる。
前述のように、基板収納容器1の奥側基板支持部6は、基板Wの表面の端縁に当接可能な第1当接面をとしての上側傾斜面602有する第1当接部と、上側傾斜面602に接続された第2当接面であって基板の裏面の端縁に当接可能な第2当接面としての下側傾斜面601を有する第2当接部とを有し、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されていない状態から、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されている状態になるときと、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されている状態から、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されていない状態になるときと、において、基板Wは第2当接面601に対して摺動し、奥側基板支持部6は、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂により構成され、ポリカーボネート樹脂の質量よりもポリブチレンテレフタレート樹脂の質量の方が大きい質量構成とされる。
【0061】
上記構成により、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されている状態から、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されていない状態になるときに、基板Wが取り外される所定の位置へ基板Wを移動させることができ、図示しない基板移載機による基板Wの自動取り出しを行うことが可能となる。その上で、当該移動の際に、パーティクルの発生による汚れを抑えることも可能となる。即ち、図示しない基板移載機による基板Wの自動取り出しを行うことが可能で、且つ、当該移動の際に、パーティクルの発生による汚れを抑えることも可能な基板収納容器が、本実施形態においては実現可能となる。
【0062】
また、更に、奥側基板支持部6を構成する材料は、アロイ樹脂の質量に対して40質量%よりも大きい値のポリブチレンテレフタレート樹脂を含む。この構成により、基板Wが取り外される所定の位置への基板Wの移動を、より確実とすることが可能となる。このため、図示しない基板移載機による基板Wの自動取り出しを、より確実に行うことが可能となる。
【0063】
また、更に、奥側基板支持部6は、ポリカーボネート樹脂とポリブチレンテレフタレート樹脂とを主とするアロイ樹脂により構成され、アロイ樹脂の質量に対して51質量%以上90質量%未満のポリブチレンテレフタレート樹脂を含む。この構成により、図示しない基板移載機による基板Wの自動取り出しを行うことが、極めて確実に可能で、且つ、当該移動の際に、パーティクルの発生による汚れを抑えることも、極めて確実に可能な基板収納容器が実現可能となる。
【0064】
また、基板収納容器1は、基板収納空間27内において対をなすように配置され、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されていないときに、複数の基板Wのうちの隣接する基板W同士を所定の間隔で離間させて並列させた状態で、複数の基板Wの縁部を支持可能な側方基板支持部としての基板支持板状部5を備え、奥側基板支持部6は、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに蓋体側基板支持部としてのフロントリテーナ7と協働して、複数の基板Wの縁部を基板支持板状部5から離間させて並列させた状態で、複数の基板Wを支持する。
【0065】
上記構成により、奥側基板支持部6とフロントリテーナ7とが協働して、基板Wを支持する状態としたり支持していない状態としたりする際には、基板Wの端縁が第2当接面601に対して摺動するが、この摺動を容易として、図示しない基板移載機による基板Wの自動取り出しを行うことが、より確実に可能で、且つ、当該移動の際に、パーティクルの発生による汚れを抑えることも、より確実に可能な基板収納容器1を実現可能とする。
【0066】
また、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されているときに、第1当接面としての下側傾斜面601と第2当接面としての上側傾斜面602とで基板Wの端縁を挟むようにして基板Wを支持する。
【0067】
上記構成により、下側傾斜面601と上側傾斜面602とで基板Wの端縁を挟んだ状態から、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されていない状態とされて、下側傾斜面601と上側傾斜面602とで基板Wの端縁を挟んでいない状態とされたときに、下側傾斜面601に対して基板Wの端縁を確実に摺動させることが可能であり、基板Wを、基板Wが取り外される所定の位置へ、より確実に移動させることが可能となる。
【0068】
本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的範囲において変形が可能である。
【0069】
例えば、本実施形態においては、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されていない状態から、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されている状態になるときと、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されている状態から、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されていない状態になるときと、の両方のときに、基板Wは第2当接面601に対して摺動したが、これに限定されない。即ち、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されていない状態から、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されている状態になるときと、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されている状態から、蓋体3によって容器本体開口部21が閉塞されていない状態になるときと、の少なくとも一方のときに、基板Wは第2当接面601に対して摺動すればよい。
【0070】
また、例えば、容器本体及び蓋体の形状、容器本体に収納可能な基板Wの枚数や寸法は、本実施形態における容器本体2及び蓋体3の形状、容器本体2に収納可能な基板Wの枚数や寸法に限定されない。即ち、側方基板支持部や、蓋体側基板支持部や、奥側基板支持部の構成は、基板支持板状部5と、フロントリテーナ7、奥側基板支持部6の構成に限定されない。また、本実施形態における基板Wは、直径300mmのシリコンウェーハであったが、この値に限定されない。
【符号の説明】
【0071】
1 基板収納容器
2 容器本体
3 蓋体
5 基板支持板状部(側方基板支持部)
6 奥側基板支持部
7 フロントリテーナ(蓋体側基板支持部)
20 壁部
21 容器本体開口部
27 基板収納空間
28 開口周縁部
601 下側傾斜面
602 上側傾斜面
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10