IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】すすぎ特性の確認方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/59 20060101AFI20240930BHJP
   G01N 33/15 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
G01N21/59 Z
G01N33/15 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022531000
(86)(22)【出願日】2020-11-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-02-01
(86)【国際出願番号】 EP2020080896
(87)【国際公開番号】W WO2021104811
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2023-09-04
(31)【優先権主張番号】19212673.8
(32)【優先日】2019-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100172683
【弁理士】
【氏名又は名称】綾 聡平
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ボンド,シネイド・エリザベス
(72)【発明者】
【氏名】コーン,リンジー・ジョアンナ
(72)【発明者】
【氏名】グティエレス-アバド,ラクエル
(72)【発明者】
【氏名】イップ,ジュン・オン・ジェイミー
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-529509(JP,A)
【文献】特表2020-536958(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0145669(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102090852(CN,A)
【文献】米国特許第05928657(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト表面からの組成物のすすぎ特性を測定する方法であって、
(i) 化粧トリートメント組成物を提供する工程;
(ii) 前記表面に(i)の前記組成物を適用する工程;
(iii) 前記表面を水ですすぐ工程;
(iv) そのすすぎ水を集める工程;
(v) 集めたすすぎ水の濁度を測定する工程;
(vi) 一定の濁度に達するまで、工程(iii)、工程(iv)および工程(v)を繰り返す工程
第2のトリートメント組成物について工程(i)~工程(vi)を繰り返す工程、及び、
第1のトリートメント組成物と第2のトリートメント組成物のすすぎ特性を比較して、第1のトリートメント組成物と第2のトリートメント組成物の相対的なすすぎ速度を決定する工程
を含む、方法。
【請求項2】
工程(iii)~工程(iv)を特定の時間間隔で繰り返す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(iii)~工程(iv)を4~120秒の時間間隔で繰り返す、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程(iii)において前記水が水の流れとして適用される請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
工程(iv)で集めたすすぎ水を、該表面をすすぐために使用した水の量と相関させる工程を含んでいる、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ヒト表面が、髪及び皮膚から選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が、ゲル相又はラメラ相を形成する分子配向を含む構造化された組成物である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアケアの分野において特定の用途を有する組成物のすすぎ特性を確認する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表面で使用するために製剤された多くの製品は、使用中に洗い流されるように設計されている。そのような製品としては、髪に使用するためのシャンプー及びコンディショニング組成物などがある。これらは、毎日の洗髪やケアプロセスなどのヘアケア処方の一部として使用することができる。これらの製品は、多くの場合、有益な作用物質(例えば、シリコーンなど)を髪の表面に付着させる。他のリーブオン組成物は、有益な作用物質を髪に付着させ、その作用物質は髪が次に洗われるまで髪の表面に残っている。
【0003】
表面から組成物をすすぐことは、重要な現象である。これは、消費者が製品の性能を認識する方法又は消費者がすすぐことを停止するか続行するかを決定する方法に影響し得る。ヘアトリートメント組成物のすすぎ特性は、消費者が自分の髪をリンスする時間の長さに影響を及ぼし、それによって、消費者がリンスオフ製品を用いるときに使用する水の量に直接影響を与える。
【0004】
泡の量を測定すること及びすすぎ特性と関連することが知られている。
【0005】
WO15/018853には、すすぎを容易にするためのシリコーンを含んでいる化粧品組成物が開示されている。すすぎ段階への影響を測定する方法には、泡を取り除くのに必要な時間を測定すること、又は、必要な手桶の数又は水の量を測定することが包含される。WO05/107699には、懸濁した粒子を含んでいる泡クレンザーが開示されている。泡が消えるまで手から泡をすすぐ能力を測定するための試験が記載されている。GB2208297には、洗濯用、家庭洗浄用、髪用及び身体用の液体洗剤組成物が開示されている。界面活性剤の泡が見られなくなるまで測定された水の量を使用するすすぎ性試験が使用される。
【0006】
しかしながら、泡トラッキング法にはいくつかの欠点があることが分かった。泡は、水温、流量及び時間などの要因に感受性である。例えば、泡の体積は、これらの可変量に応じて変化し得る。そのことにより、上記方法の精度が低下し、再現が困難になる。作業者が異なれば、泡の量を視覚的に異なって評価し得る。
【0007】
IN01452KO2013には、洗浄後の水の導電率を測定することにより、クレンジング製剤のすすぎ性を測定するための定量的方法が開示されている。製剤はインビボで皮膚に適用され、そして、洗浄水は繰り返しアリコートで適用される。次いで、標準の導電率スコアカードを使用して、該製剤のすすぎ性評価を得る。
【0008】
US2002/037267には、透明なゲルである、起泡性クレンジング組成物が開示されている。その組成物自体の透明度を測定するために、濁度が使用されている。滑りやすい膜が手から除去される容易性として、すすぎ時の泡の品質が調べられている。
【0009】
US5,928,657には、皮膚を清浄にするための及び油性ゲル組成物のすすぎ性を改善するための、化粧品組成物が開示されている。当該ゲルをフラスコ内の水の中に分散させた後のそのゲル組成物自体の挙動を特徴付けるために、濁度が使用されている。
US2017/145669は、ヒトがボディソープ、ヘアーシャンプー/コンディショナーまたはヘアカラーをそこに塗布し、その後それをすすぐためのハウジングのシャワーを開示する。水を節約するために、シャワーは、排水溝内の排水を透過する光の量を測定することによって水中の浮遊物を測定する濁度センサーからなる汚染センサーを含む排水システムを構成している。汚染センサーによって排水中に石鹸/シャンプー/洗剤/コンディショナーまたはヘアカラーが規定レベル出された場合、排水は下水道に導かれ、排水中に石鹸/シャンプー/洗剤/コンディショナーまたはヘアカラーがない場合(その場合、濁度センサーは一定の濁度を検出する)、きれいな排水は水再生システムに導かれる。
CN102090852Aは、シャワールームの節水方法として、シャワー集水器と、集水器内の水の濁度を連続的に監視する水質検出器とを含む方法を開示する。測定された集水器の水の濁度が0.4NTUよりも大きい場合、シャワー水を流し続け、測定された濁度が(常に)0.4NTUより小さい場合、アラームを発生させる。
【0010】
従来技術にもかかわらず、正確で、信頼性があり、利用しやすく、及び、迅速に且つ容易に実施することが可能な、組成物のすすぎ特性を測定する方法が依然として求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】WO15/018853
【文献】WO05/107699
【文献】GB2208297
【文献】IN01452KO2013
【文献】US2002/037267
【文献】US5,928,657
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
すすぎ中又はすすぎ後に髪の表面から組成物をすすぐために使用される水の濁度を測定することにより、組成物のすすぎ特性を優れた精度で予測する信頼性が高く利用しやすい方法を提供することが可能であることが分かった。この方法を使用して、それ以上の組成物が髪から除去されない時点を確定し、それによって、すすぎの終点を決定することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様において、本発明は、ヒトの表面からの組成物のすすぎ特性を測定する方法を提供し、ここで、該方法は、以下の工程を含んでいる:
(i) 化粧トリートメント組成物を提供する工程;
(ii) 前記表面に(i)の組成物を適用する工程;
(iii) 前記表面を水ですすぐ工程;
(iv) そのすすぎ水を集める工程;
(v) 場合により、工程(iii)~工程(iv)を繰り返す工程;及び、
(vi) 一定の濁度に達するまで、前記集めたすすぎ水の濁度を測定する工程、
第2のトリートメント組成物について工程(i)~工程(vi)を繰り返す工程、及び、
第1のトリートメント組成物と第2のトリートメント組成物のすすぎ特性を比較して、第1のトリートメント組成物と第2のトリートメント組成物の相対的なすすぎ速度を決定する工程
を含む、方法。
【0014】
好ましい方法は、該集めたすすぎ水の濁度を該表面をすすぐために使用した水の量と相関させる工程を含んでいる。好ましくは、該すすぎ水の濁度を純粋な水の濁度と比較する。
【0015】
好ましくは、この方法は、工程(iii)~工程(vi)を、好ましくは設定された時間間隔で、繰り返す工程を含んでいる。好ましくは、該時間間隔は、4~120秒、さらに好ましくは、5~60秒、最も好ましくは、5~20秒である。好ましくは、工程(iii)~工程(iv)は、濁度がゼロに達するまで繰り返される。
【0016】
該表面は、水ですすぐ。その水は、流れとして、又は、個別の量(例えば、アリコート)として適用することができる。好ましくは、水の流れを使用し、好ましくは、一定の流量を有する流れを使用する。その水の温度も、すすぎの速度に影響を与える可能性があり、好ましくは、当該方法全体を通して一定に維持する。
【0017】
一定の濁度とは、濁度がほぼ一定のままであるときのことである。これは、順次的な測定における濁度の変化においてプラトーが形成されることで示される。依然として多少の変化は存在し得るが、これらは極めて微少な量の組成物が除去されていることのみを示すのに充分な程に小さい。
【0018】
一定の濁度は、連続的な濁度測定値が互いに有意には異なっていないときを示すことによって確認することができる。
【0019】
一定の濁度は、ヒト表面からの該組成物のすすぎの終点を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の一般的な説明
方法
本発明の方法は、組成物のすすぎ特性を測定する。すすぎ特性は、表面から組成物をすすぐために必要な水の量に関連する。
【0021】
該組成物は、化粧品組成物である。化粧品組成物、例えば、パーソナルケア組成物は、ヒトの身体、特に、皮膚又は毛髪への適用を目的としている。好ましくは、該組成物は、ヘア組成物(例えば、ヘアクレンジング組成物、ヘアコンディショニング組成物又はヘアスタイリング組成物)及びスキン組成物(例えば、スキンクレンジング組成物又はスキンコンディショニング組成物)から選択される。
【0022】
有利には、本発明の方法は、異なる組成物のすすぎ特性を比較するために、例えば、組成物への改変が実施される前と実施された後の組成物のすすぎ特性を比較するために、使用することができる。これは、第1のトリートメント組成物を使用して該方法を実施し、次いで、第2のトリートメント組成物を使用して該方法を実施することによって、達成される。
【0023】
好ましくは、該方法は、第2のトリートメント組成物について工程(i)~工程(vi)を繰り返すこと、及び、第1のトリートメント組成物と第2のトリートメント組成物のすすぎ特性を比較して、第1のトリートメント組成物と第2のトリートメント組成物の相対的なすすぎ速度を決定することを含んでいる。すすぎ後に濁度が大幅に低減された組成物は、該表面からより速くすすがれ、そして、該表面からすすぐのに必要とされる水が少なくてすむ。
【0024】
濁度は、任意の適切な技術を使用して測定することができる。好ましい方法では、濁度計(例えば、「Turbiscan TLab Expert」)を使用する。該濁度は、適切には、澄んだ水に対して測定する。
【0025】
トリートメント組成物
該組成物は、好ましくは、リンスオフ組成物として製剤される。
【0026】
好ましくは、該組成物は、構造化されている。構造化とは、ゲル相又はラメラ相を形成する分子配向を含んでいることを意味する。
【0027】
該組成物は、好ましくは、ヘアトリートメント組成物である。
【0028】
本発明において使用するためのリンスオフヘアトリートメント組成物は、好ましくは、シャンプー及びコンディショナーから選択され、最も好ましくは、コンディショナーから選択される。
【0029】
本発明の方法において使用するための組成物は、好ましくは、毛髪のトリートメント(典型的には、シャンプー後)及びその後のすすぎのためのコンディショナーとして製剤される。
【0030】
好ましいコンディショナーは、コンディショニング基剤を含んでいる。コンディショニング基剤は、好ましくは、ゲル相を形成する。
【0031】
本発明の方法において使用するためのトリートメント組成物は、好ましくは、コンディショニング剤を含んでいる。コンディショニング剤は、好ましくは、カチオン性界面活性剤から選択され、これは、単独で又は混合して使用される。
【0032】
本発明の方法で使用するための組成物において有用なカチオン性界面活性剤は、水性組成物中に溶解させたときに正に帯電するアミノ又は第四級アンモニウム親水性部分を含んでいる。
【0033】
適切なカチオン性界面活性剤の例は、式
【化1】
〔式中、R、R、R及びRは、(a)1~22個の炭素原子の脂肪族基又は(b)22個までの炭素原子を有している芳香族基、アルコキシ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルアミド基、ヒドロキシアルキル基、アリール基又はアルキルアリール基から独立して選択され;及び、Xは、塩形成アニオン、例えば、ハロゲン(例えば、塩化物、臭化物)ラジカル、酢酸アニオンラジカル、クエン酸アニオンラジカル、乳酸アニオンラジカル、グリコール酸アニオンラジカル、リン酸アニオンラジカル、硝酸アニオンラジカル、硫酸アニオンラジカル及びアルキル硫酸アニオンラジカルから選択される塩形成アニオンである〕
に対応するカチオン性界面活性剤である。
【0034】
該脂肪族基は、炭素原子及び水素原子に加えて、エーテル結合及び他の基(例えば、アミノ基)を含むことができる。より長い鎖の脂肪族基、例えば、約12個以上の炭素の脂肪族基は、飽和又は不飽和であり得る。
【0035】
本発明の方法において使用するための組成物に最も好ましいカチオン性界面活性剤は、アキル鎖長がC~C14であるモノアルキル四級アンモニウム化合物である。
【0036】
そのような物質の適切な例は、式
【化2】
〔式中、Rは、8~14個の炭素原子を有する炭化水素鎖であるか、又は、8~14個の炭素原子を有し且つ置換基として又はラジカル鎖内の結合として存在するエーテル部分、エステル部分、アミド部分又はアミノ部分を含んでいる官能化ヒドロカルビル鎖であり、並びに、R、R及びRは、(a)1~約4個の炭素原子のヒドロカルビル鎖又は(b)1~約4個の炭素原子を有し且つ置換基として又はラジカル鎖内の結合として存在する1以上の芳香族部分、エーテル部分、エステル部分、アミド部分又はアミノ部分を含んでいる官能化ヒドロカルビル鎖から独立して選択され;及び、Xは、塩形成アニオン、例えば、ハロゲン(例えば、塩化物、臭化物)ラジカル、酢酸アニオンラジカル、クエン酸アニオンラジカル、乳酸アニオンラジカル、グリコール酸アニオンラジカル、リン酸アニオンラジカル、硝酸アニオンラジカル、硫酸アニオンラジカル及びアルキル硫酸アニオンラジカルから選択される塩形成アニオンである〕
に対応する。
【0037】
該官能化ヒドロカルビル鎖(b)は、適切には、アルコキシ(好ましくは、C-Cアルコキシ)、ポリオキシアルキレン、アルキルエステル及びそれらの組み合わせから選択される1以上の親水性部分を含むことができる。
【0038】
好ましくは、該炭化水素鎖Rは、12~14個の炭素原子を有し、最も好ましくは、12個の炭素原子を有する。それらは、所望のヒドロカルビル鎖長を有するかなりの量の脂肪酸を含んでいる原油に由来し得る。例えば、パーム核油又はココナッツ油に由来する脂肪酸は、C~C12のヒドロカルビル鎖の供給源として使用することができる。
【0039】
本発明の方法で使用するための組成物において使用するための上記一般式で表される典型的なモノアルキル四級アンモニウム化合物としては、以下のものを挙げることができる。
【0040】
(i) ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド(「Arquad C35 ex Akzo」として市販されている);ココジメチルベンジルアンモニウムクロリド(「Arquad DMCB-80 ex-Akzo」として市販されている)。
【0041】
(ii) 式
【化3】
〔式中、
x+yは、2~20の整数であり;
は、8~14個(好ましくは、12~14個、最も好ましくは、12個)の炭素原子を有し且つ置換基として又はラジカル鎖内の結合として存在するエーテル部分、エステル部分、アミド部分又はアミノ部分を含んでいるヒドロカルビル鎖であり;
は、C-Cアルキル基又はベンジル基(好ましくは、メチル)であり;及び、
Xは、塩形成アニオン、例えば、ハロゲン(例えば、塩化物、臭化物)ラジカル、酢酸アニオンラジカル、クエン酸アニオンラジカル、乳酸アニオンラジカル、グリコール酸アニオンラジカル、リン酸アニオンラジカル、硝酸アニオンラジカル、硫酸アニオンラジカル、メト硫酸アニオンラジカル及びアルキル硫酸アニオンラジカルから選択される塩形成アニオンである〕
で表される化合物。
【0042】
適切な例は、以下のものである:PEG-nラウリルアンモニウムクロリド(ここで、nはPEG鎖長である)、例えば、PEG-2ココモニウムクロリド(「Ethoquad C12 ex-Akzo Nobel」として市販されている);PEG-2ココベンジルアンモニウムクロリド(「Ethoquad CB12 ex-Akzo Nobel」として市販されている);PEG-5ココモニウムメトスルフェート(「Rewoquat CPEM ex Rewo」として市販されている);PEG-15ココモニウムクロリド(「Ethoquad C/25 ex-Akzo」として市販されている)。
【0043】
(iii) 式
【化4】
〔式中、
nは、1~4の整数(好ましくは、2)であり;
は、8~14個(好ましくは、12~14個、最も好ましくは、12個)の炭素原子を有するヒドロカルビル鎖であり;
及びRは、C-Cアルキル基から独立して選択され、そして、好ましくは、メチルであり;及び、
X-は、塩形成アニオン、例えば、ハロゲン(例えば、塩化物、臭化物)ラジカル、酢酸アニオンラジカル、クエン酸アニオンラジカル、乳酸アニオンラジカル、グリコール酸アニオンラジカル、リン酸アニオンラジカル、硝酸アニオンラジカル、硫酸アニオンラジカル及びアルキル硫酸アニオンラジカルから選択される塩形成アニオンである〕
で表される化合物。
【0044】
適切な例は、ラウリルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムクロリド(「Prapagen HY ex-Clariant」として市販されている)である。
【0045】
上記カチオン性界面活性剤化合物のいずれかの混合物も、適切であり得る。
【0046】
本発明の方法で使用するためのヘア組成物において使用するのに適したカチオン性界面活性剤の例としては、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラエチルアンモニウムクロリド、オクチルトリメチルアンモニウムクロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、オクチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、デシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ジドデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、タロウトリメチルアンモニウムクロリド、ココトリメチルアンモニウムクロリド及びそれらの対応する水酸化物などを挙げることができる。さらなる適切なカチオン性界面活性剤としては、クオタニウム-5、クオタニウム-31及びクオタニウム-18のCTFA名称を有する物質などを挙げることができる。上記物質のいずれかの混合物も適切であり得る。特に有用なカチオン性界面活性剤は、セチルトリメチルアンモニウムクロリドであり、これは、例えば、「DEHYQUART, ex Henkel」として市販されている。
【0047】
カチオン性界面活性剤のレベルは、組成物全体の、好ましくは、0.01~10重量%、さらに好ましくは、0.05~5重量%、最も好ましくは、0.1~2重量%である。
【0048】
好ましいコンディショナーは、コンディショニングゲル相を含んでいる。そのようなコンディショナー及びそれらを製造する方法は、WO2014/016354、WO2014/016353、WO2012/016352及びWO2014/016351に記載されている。
【0049】
該コンディショニング組成物は、さらに、別の場合による成分も含むことができる。そのような成分としては、限定するものではないが、脂肪質、付着ポリマー及びさらなるコンディショニング剤などがある。
【0050】
コンディショナー組成物は、好ましくは、脂肪質を付加的に含んでいる。コンディショニング組成物における脂肪質とカチオン性界面活性剤の併用は、該カチオン性界面活性剤がその中で分散される構造化層状相又は液晶相の形成をもたらすので、特に有利であると考えられている。
【0051】
「脂肪質」は、脂肪アルコール、アルコキシ化脂肪アルコール、脂肪酸又はそれらの混合物を意味する。
【0052】
好ましくは、該脂肪質のアルキル鎖は、完全に飽和している。
【0053】
代表的な脂肪質は、8~22個の炭素原子を含んでおり、さらに好ましくは、16~22個の炭素原子を含んでいる。適切な脂肪アルコールの例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール及びそれらの混合物などがある。これらの物質の使用も、組成物の全体的なコンディショニング特性に寄与するという点で有利である。
【0054】
脂肪アルコール自体の代わりに又はそれに加えて、アルキル鎖内に約12~約18個の炭素原子を有するアルコキシ化(例えば、エトキシ化又はプロポキシ化)脂肪アルコールを使用することができる。適切な例としては、エチレングリコールセチルエーテル、ポリオキシエチレン(2)ステアリルエーテル、ポリオキシエチレン(4)セチルエーテル及びそれらの混合物などを挙げることができる。
【0055】
コンディショナー中の脂肪質のレベルは、組成物全体の、適切には、0.01~15重量パーセント、好ましくは、0.1~10重量パーセント、さらに好ましくは、0.1~5重量パーセントである。カチオン性界面活性剤と脂肪アルコールの重量比は、適切には、10:1~1:10、好ましくは、4:1~1:8、最適には、1:1~1:7、例えば、1:3である。
【0056】
さらなるコンディショニング成分としては、脂肪アルコールと脂肪酸のエステル、例えば、パルミチン酸セチルなどがある。
【0057】
本発明において使用するためのコンディショニング組成物は、好ましくは、ミセル構造化液体を含むことができる。
【0058】
本発明の組成物を含んでいるコンディショナーのpHは、好ましくは、3~5である。さらに好ましくは、該組成物のpHは、4.5~5.5である。
【0059】
粘度低下剤
好ましくは、本発明の方法は、粘度を低下させるために、該ニートなトリートメント組成物に粘度低下剤を添加する工程を含んでいる。
【0060】
好ましい粘度低下剤は、疎水的に修飾されたアニオン性ポリマーである。
【0061】
好ましくは、該疎水的に修飾されたアニオン性ポリマーは、アクリレート又はメタクリレートポリマーである。
【0062】
好ましくは、該疎水的な修飾は、アルキル化を含んでいる。好ましくは、該アルキル基は、6~30個の炭素を含んでおり、さらに好ましくは、C12~C30個の炭素、一層さらに好ましくは、16~28個の炭素、及び、最も好ましくは、18~24個の炭素を含んでいる。
【0063】
好ましいポリマーは、「Rohm & Haas」によって「Aculyn」の商品名で販売されており、その中で最も好ましいのは、「Aculyn 28TM」である。
【0064】
該ポリマーは、好ましくは、該ヘアトリートメント組成物の総重量の、0.01~5重量%、さらに好ましくは、0.02~0.5重量%、一層さらに好ましくは、0.03~4重量%、及び、最も好ましくは、0.05~4重量%のレベルで、添加する。
【0065】
好ましくは、該表面は、毛髪の表面である。
【実施例
【0066】
実施例
本発明の実施形態について以下の実施例において例証する。以下の実施例においては、別途示されていない限り、量は組成物全体の重量基準で与えられている。
【0067】
実施例1: 本発明の方法において使用するための組成物A、組成物B、組成物C及び組成物D
以下のヘアコンディショナー組成物を調製した。
【0068】
組成物A~組成物Dは、ヘアコンディショナーであった。A及びCは、アクリレート/ベヘネス-25メタクリレートコポリマーを含んでおり、これは、毛髪の表面からのすすぎの速度を増大させる。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
コンディショナーA~コンディショナーDは、以下の方法を用いて調製した:
1. 適切な容器に水を加え、乳酸(存在する場合)及びコポリマー(存在する場合)を添加し、その容器を80℃に加熱した。UV蛍光剤を添加した。
2. 次いで、その配合物に、セテアリルアルコールを第三級アミン塩(存在する場合)と一緒に添加した。
3. 80℃でベヘニルトリモニウムクロリドを添加し(存在する場合)、得られた混合物を混合させた。
4. 次いで、加熱を停止し、急冷水を添加した。
5. 次いで、その混合物を40℃未満に冷却し、残りの材料を加えた。
6. 最後に、該配合物を、Silversonミキサーで、5000rpmで5分間高剪断で混合させた。
【0072】
実施例2: 組成物A~組成物Dで処理した後の髪から得られたすすぎ水の濁度の測定
下記実施例で使用した髪は、濃褐色の欧州人のヘアの5g10”スイッチであった。
【0073】
1. ヘアスイッチは、トリートメントを開始する前に、14%SLES-1EO溶液で前洗浄して表面の全ての汚染を除去した。各スイッチは、髪1gあたり0.1mLの溶液でトリートメントし、30秒間泡立てた後、温水(35℃~40℃、流量4L分-1)で30秒間すすいだ。軽い圧力下で親指以外の指と親指の間でスイッチを動かすことにより、余分な水分を除去した。
2. 2.5gのコンディショナーA、B、C又はDをスイッチに適用し、スイッチの表面全体に均一に広げた。
3. スイッチは、金属製のクリップでクランプ上に固定し、容器をそのスイッチの下に配置した。
4. スイッチに水を適用し(流量約1L/分)、容器の中に集めた。水は、以下の時点でスイッチに適用し(10/20/25/30/35及び40秒)、各時点の間にスイッチから流れ落ちた水を別々のガラス瓶に集めた。水の流れ及びストップウォッチを各時点で止めて、水の収集及びスイッチの下への新しい容器の配置を可能にした。
【0074】
各製剤に対して3反復で実施した(各反復に対して、新しいヘアスイッチを使用した)。
【0075】
集められたすすぎ水サンプルの濁度は、「Turbiscan TLab Expert」を使用して、25℃で測定した。Turbiscanからの値は、浄水に対するΔTとして得られた。
【0076】
結果は、以下の表に記載されている。
【0077】
【表3】
【0078】
結論として、本発明の方法は、種々の組成物についてすすぎ特性を正確に測定することを可能にする。