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特許7562692隔壁形成用感光性樹脂組成物、これを用いて製造された隔壁構造物および前記隔壁構造物を含む表示装置
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  • 特許-隔壁形成用感光性樹脂組成物、これを用いて製造された隔壁構造物および前記隔壁構造物を含む表示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】隔壁形成用感光性樹脂組成物、これを用いて製造された隔壁構造物および前記隔壁構造物を含む表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/20 20060101AFI20240930BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20240930BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
G02B5/20 101
G03F7/004 505
G03F7/004 501
G02B5/20
G09F9/30 349Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022555839
(86)(22)【出願日】2020-11-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-25
(86)【国際出願番号】 KR2020016858
(87)【国際公開番号】W WO2021187719
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2023-02-01
(31)【優先権主張番号】10-2020-0032180
(32)【優先日】2020-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パク,スル-ギ
(72)【発明者】
【氏名】キム,フン-シク
(72)【発明者】
【氏名】アン,キ-フン
(72)【発明者】
【氏名】リ,ジェ-ウル
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/008969(WO,A1)
【文献】特開2004-055632(JP,A)
【文献】特開2019-191340(JP,A)
【文献】特開2019-144338(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20-5/28
H10K 50/00-99/00
H05B 33/00-33/28
G09F 9/30-9/46
H01L 33/50
G03B 21/14
G02F 1/13357
H01S 5/00-5/50
C09K 11/08
F21S 2/00
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤、散乱粒子、アルカリ可溶性樹脂、重合性化合物、光重合開始剤、および溶剤を含み、
前記着色剤は、C.I.赤色顔料(C.I.Pigment Red)、C.I.黄色顔料(C.I.Pigment Yellow)、およびC.I.オレンジ顔料(C.I.Pigment Orange)からなる群より選択される1種以上を含み、黒色及び青色着色剤を含まない隔壁形成用感光性樹脂組成物であって、
前記感光性樹脂組成物で製造される硬化膜は、硬化膜の厚さが7μm~15μmの時、450nmの波長における透過率が5%未満であり、640nmの波長における反射率が30%以上である、隔壁形成用感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記C.I.赤色顔料(C.I.Pigment Red)は、ジケトピロール系、アントラキノン系、ペリレン系、およびアゾ系の中から選択される1種以上である、請求項1に記載の隔壁形成用感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記C.I.黄色顔料(C.I.Pigment Yellow)は、アントラキノン系、イソインドリノン系、およびアゾ系の中から選択される1種以上である、請求項1に記載の隔壁形成用感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記C.I.オレンジ顔料(C.I.Pigment Orange)は、キノフタロン系、イソインドリノン系、およびジケトピロール系の中から選択される1種以上である、請求項1に記載の隔壁形成用感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記C.I.赤色顔料は、C.I.赤色顔料177、179、254、264、および269からなる群より選択される1種以上であり、
前記C.I.黄色顔料は、C.I.黄色顔料138、139、150、および185からなる群より選択される1種以上であり、
前記C.I.オレンジ顔料は、C.I.オレンジ顔料64および71からなる群より選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1に記載の隔壁形成用感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記散乱粒子は、Al、SiO、ZnO、ZrO、BaTiO、TiO、Ta、Ti、ITO、IZO、ATO、ZnO-Al、Nb、SnO、およびMgOからなる群より選択される1種以上を含む、請求項に記載の隔壁形成用感光性樹脂組成物。
【請求項7】
前記感光性樹脂組成物は、青色光源を用いる色変換パネルの隔壁形成用であることを特徴とする、請求項1に記載の隔壁形成用感光性樹脂組成物。
【請求項8】
前記感光性樹脂組成物中の固形分総重量に対して、
前記アルカリ可溶性樹脂20~70重量%;
前記重合性化合物5~50重量%;
前記光重合開始剤0.01~10重量%;および
前記感光性樹脂組成物の総重量に対して、溶剤60~90重量%を含むことを特徴とする、請求項1に記載の隔壁形成用感光性樹脂組成物。
【請求項9】
前記感光性樹脂組成物で製造される硬化膜は、硬化膜の厚さが7μm~15μmの時、550nmの波長における反射率が30%以上である、請求項1に記載の隔壁形成用感光性樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1~のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物で製造された隔壁構造物。
【請求項11】
請求項10に記載の隔壁構造物を含む表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隔壁形成用感光性樹脂組成物、これを用いて製造された隔壁構造物および前記隔壁構造物を含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、青色光源を用いる色変換パネルを含むディスプレイ装置は、光源として用いる青色に対して遮光特性を示し、各色変換画素の混色を防止するために各色変換画素の間に隔壁を形成するが、色変換画素の変換効率によって各色変換画素間の隔壁は約7μm~15μmの膜厚に形成される。
【0003】
従来使用するブラックマトリックス(Black Matrix)用感光性樹脂組成物は、既存のように製造される膜厚が1μm~1.5μmの場合、パターンの形成に問題がない。しかし、色変換パネル用隔壁は膜厚が7μm~15μmに形成されなければならない。既存のブラックマトリックス用感光性樹脂組成物を用いて厚さ7μm以上の隔壁を形成する場合、露光工程で紫外線の透過率の低下によって、現像工程で現像時間によるパターンの線幅変化が大きく発生する。同一の面積で色変換画素間の隔壁の線幅が増加すると、色変換画素の大きさが減少して色変換パネルの色変換性能が低くなる問題がある。
【0004】
また、色変換パネル用隔壁を製造する時、従来のブラックマトリックス用感光性樹脂組成物を使用すれば、コーティング工程後の露光工程でマスクパターンを整列する時、下部のAlign keyの認識が難しくて正確な位置にパターンを形成しにくいという問題点がある。さらに、従来のブラックマトリックス用感光性樹脂組成物を用いて形成された隔壁は、量子ドットによって散乱した赤色または緑色の光のうち隔壁で散乱した光は隔壁に吸収されて消滅するので、色変換パネルの発光効率が低下する問題点がある。
【0005】
一方、従来技術では、カラーフィルタを製造するために有機顔料を用いた着色パターンを製造する。この場合、それぞれの所望する色相を示すために、赤色を希望するパターンにはC.I.赤色顔料(C.I.Pigment Red)乃至C.I.オレンジ顔料(C.I.Pigment Orange)を、緑色を希望するパターンにはC.I.緑色顔料(C.I.Pigment Green)乃至C.I.黄色顔料(C.I.Pigment Yellow)をともに使用する。通常、カラーフィルタ塗膜の厚さは2μm~3μmに製造されるため、上述したような、厚さが7μm~15μmに製造される色変換パネル用隔壁製造技術とは違いがある。また、光学的な面でも、カラーフィルタは色座標上に特定の色相を示すことを目的とし、輝度およびコントラストなどの特性が重要なのに対し、色変換パネル用隔壁は、色変換パネルを含むディスプレイと青色光源との組み合わせで製造されるディスプレイ装置技術であるという点で違いがある。
【0006】
これに関連し、大韓民国公開特許第10-2007-0094460号は、熱に対する形状安定性に優れた隔壁形成用感光性樹脂組成物を提供することを目的としているが、上述した問題を克服していないのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した従来の技術的問題点を改善するためのものであって、青色系の光を効率的に遮断し、赤色および緑色系の光に対する色変換特性を向上させることができる隔壁形成用感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、現像工程で現像時間によるパターンの線幅変化が少ない隔壁形成用感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0009】
さらに、本発明は、前記隔壁形成用感光性樹脂組成物を用いて製造された構造物および前記隔壁構造物を含む表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、アルカリ可溶性樹脂、重合性化合物、光重合開始剤、および溶剤を含む隔壁形成用感光性樹脂組成物であって、前記感光性樹脂組成物で製造される硬化膜は、硬化膜の厚さが7μm~15μmの時、450nmの波長における透過率が5%未満であり、640nmの波長における反射率が30%以上である、隔壁形成用感光性樹脂組成物を提供する。
【0011】
また、本発明は、前記感光性樹脂組成物で製造された色変換画素用隔壁構造物を提供する。
【0012】
さらに、本発明は、前記色変換画素用隔壁構造物を含む色変換パネルを含むディスプレイ装置を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の隔壁形成用感光性樹脂組成物を用いて製造された硬化膜は、硬化膜の厚さが7μm~15μmの時、450nmの波長における透過率が5%未満であり、640nmの波長における反射率が30%以上であるという特性を満足することにより、青色系の光を効率的に遮断しつつ、同時に赤色および緑色系の光に対する反射率を増加させることができるので、これを含む色変換パネルの色変換特性を向上させることができる効果を提供する。
【0014】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、現像工程で現像時間の変化によるパターンの線幅変化が少ない構造物を形成することができ、これによって一定の大きさの色変換画素を形成することができるので、色変換画素の大きさが減少することによる色変換性能の減少を防止できる効果を提供する。
【0015】
さらに、本発明の感光性樹脂組成物を用いて製造された隔壁構造物は、青色光源を用いる色変換パネルおよびこれを含む表示装置に効果的に適用可能であり、これによって高品質の表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例3、実施例6、および比較例5による感光性樹脂組成物を用いて製造された硬化膜の透過スペクトルを示す図である。
図2】本発明の実施例3、実施例6、および比較例5による感光性樹脂組成物を用いて製造された硬化膜の反射スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、アルカリ可溶性樹脂、重合性化合物、光重合開始剤、および溶剤を含む隔壁形成用感光性樹脂組成物であって、前記感光性樹脂組成物で製造される硬化膜は、硬化膜の厚さが7μm~15μmの時、450nmの波長における透過率が5%未満であり、640nmの波長における反射率が30%以上である、隔壁形成用感光性樹脂組成物、前記感光性樹脂組成物で製造された隔壁構造物およびこれを含む表示装置を提供する。
【0018】
前記感光性樹脂組成物で製造される硬化膜は、硬化膜の厚さが7μm~15μmの時、450nmの波長における最大透過率が、好ましくは4%未満であってもよく、さらに好ましくは3%未満であってもよい。
【0019】
また、前記感光性樹脂組成物で製造される硬化膜は、硬化膜の厚さが7μm~15μmの時、640nmの波長における反射率が、好ましくは33%以上であってもよく、さらに好ましくは36%以上であってもよい。
【0020】
さらに、前記感光性樹脂組成物で製造される硬化膜は、硬化膜の厚さが7μm~15μmの時、550nmの波長における反射率が30%以上であってもよいし、好ましくは35%以上であってもよく、さらに好ましくは40%以上であってもよい。
【0021】
前記硬化膜が上述した特定波長における特定透過率および特定反射率の条件を満足する場合、後面で光源として用いる青色系の光を効率的に遮断することができ、赤色および緑色系の光を効率的に反射させることが可能で、前記硬化膜を隔壁構造物として含む青色光源を用いる表示装置において優れた遮光特性および色変換特性を示すことができる。
【0022】
色変換パネルを含む表示装置は、色変換画素に量子ドットを用いて青色(エネルギーが高い)光が緑色(エネルギーが低い)乃至赤色(エネルギーが低い)光に変換されて映像を実現する。この時使用される隔壁構造物は、光源として用いられる青色光源の画素間干渉を遮断して、各画素で発生した青色、緑色、赤色画素の混色を防止するという面で非常に重要な技術的な目的を有し、白色光源を用いて特定波長の光を透過して色を実現するカラーフィルタで使用される隔壁構造物とは技術的な違いがある。
【0023】
一方、色変換パネルを含む表示装置は、色変換層の吸光度を高め、十分な光変換効率を得るために、各色変換画素の厚さを約10μm前後に厚く形成する。したがって、色変換パネル用隔壁構造物は、色変換画素の厚さに応じて7μm~15μmの厚さに形成される必要がある。
【0024】
また、従来技術による隔壁構造物は黒色に形成されることが一般的であるが、通常使用される1μm~2μmの膜厚ではない7μm~15μmの膜厚では、露光工程で膜厚が厚すぎて紫外線透過率が低下するため、深部まで光硬化を誘導することができなくなる。塗膜の深部に光硬化が形成されなければ、現像工程で現像時間の変化によってパターンの線幅が変化する問題点が生じたり、激しい場合には、パターンの下端部がすべて現像してパターンが消失する問題点が生じる。そのため、従来のブラックマトリックス(Black Matrix)用感光性樹脂組成物のような黒色感光性樹脂組成物は、隔壁構造物を形成するための物質として使用されるには限界がある。
【0025】
本発明による感光性樹脂組成物は、赤色、黄色、またはオレンジ色系の隔壁構造物を形成することができ、7μm~15μmの膜厚の硬化膜を形成する場合にも、深部まで十分な光硬化を誘導可能なため、現像工程での現像時間の変化によるパターンの線幅変化が少ない隔壁構造物を提供できるというメリットを有する。この時、前記パターンの線幅は10μm~50μmに形成される。
【0026】
以下、本発明を詳しく説明する。
<感光性樹脂組成物>
本発明による隔壁形成用感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂、重合性化合物、光重合開始剤、および溶剤を含み、着色剤および散乱粒子から選択される1種以上をさらに含むことができる。
【0027】
本発明による感光性樹脂組成物は、青色光源を用いる色変換パネルの隔壁形成用であることを特徴とすることができる。
【0028】
アルカリ可溶性樹脂
前記アルカリ可溶性樹脂は、光や熱の作用による反応性およびアルカリ溶解性を有し、感光性樹脂組成物に含まれる固形分の分散媒として作用し、結着樹脂の機能を果たすものであれば、この分野にて公知の樹脂を特別な制限なく選択して使用可能である。
【0029】
具体的には、前記アルカリ可溶性樹脂は、不飽和カルボキシル基含有単量体およびこれと共重合可能な他の単量体の共重合体であることが好ましい。
【0030】
前記不飽和カルボキシル基含有単量体としては、例えば、不飽和モノカルボン酸や、不飽和ジカルボン酸、不飽和多価カルボン酸など、分子中に1個以上のカルボキシル基を有する不飽和カルボン酸などが挙げられる。
【0031】
前記不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α-クロロアクリル酸、桂皮酸などが挙げられる。
【0032】
前記不飽和ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸などが挙げられる。
【0033】
前記不飽和多価カルボン酸は、酸無水物であってもよいし、具体的には、マレイン酸無水物、イタコン酸無水物、シトラコン酸無水物などが挙げられる。また、前記不飽和多価カルボン酸は、そのモノ(2-メタクリロイルオキシアルキル)エステルであってもよいし、例えば、コハク酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、コハク酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)などであってもよい。前記不飽和多価カルボン酸は、その両末端のジカルボキシ重合体のモノ(メタ)アクリレートであってもよいし、例えば、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレートなどが挙げられる。
【0034】
前記不飽和カルボキシル基含有単量体は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用可能である。
【0035】
前記不飽和カルボキシル基含有単量体と共重合可能な他の単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、o-ビニルトルエン、m-ビニルトルエン、p-ビニルトルエン、p-クロロスチレン、o-メトキシスチレン、m-メトキシスチレン、p-メトキシスチレン、o-ビニルベンジルメチルエーテル、m-ビニルベンジルメチルエーテル、p-ビニルベンジルメチルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、インデンなどの芳香族ビニル化合物;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n-プロピルアクリレート、n-プロピルメタクリレート、i-プロピルアクリレート、i-プロピルメタクリレート、n-ブチルアクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-ブチルアクリレート、i-ブチルメタクリレート、sec-ブチルアクリレート、sec-ブチルメタクリレート、t-ブチルアクリレート、t-ブチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-ヒドロキシプロピルアクリレート、3-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシブチルメタクリレート、3-ヒドロキシブチルアクリレート、3-ヒドロキシブチルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールメタクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクリレート、イソボルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、ジシクロペンタジエニルアクリレート、ジシクロペンタジエチルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレート、グリセロールモノアクリレート、グリセロールモノメタクリレートなどの不飽和カルボン酸エステル類;2-アミノエチルアクリレート、2-アミノエチルメタクリレート、2-ジメチルアミノエチルアクリレート、2-ジメチルアミノエチルメタクリレート、2-アミノプロピルアクリレート、2-アミノプロピルメタクリレート、2-ジメチルアミノプロピルアクリレート、2-ジメチルアミノプロピルメタクリレート、3-アミノプロピルアクリレート、3-アミノプロピルメタクリレート、3-ジメチルアミノプロピルアクリレート、3-ジメチルアミノプロピルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル類;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニルなどのカルボン酸ビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどの不飽和エーテル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロロアクリロニトリル、シアン化ビニリデンなどのシアン化ビニル化合物;アクリルアミド、メタクリルアミド、α-クロロアクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-2-ヒドロキシエチルメタクリルアミドなどの不飽和アミド類;マレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドなどの不飽和イミド類;1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどの脂肪族共役ジエン類;およびポリスチレン、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ-n-ブチルアクリレート、ポリ-n-ブチルメタクリレート、ポリシロキサンの重合体分子鎖の末端にモノアクリロイル基またはモノメタクリロイル基を有するマクロ単量体類などが挙げられる。これらの単量体は、それぞれ単独でまたは2種以上を混合して使用可能である。
【0036】
前記アルカリ可溶性樹脂の含有量は、感光性樹脂組成物中の固形分総重量に対して20~70重量%、好ましくは30~60重量%含まれる。前記アルカリ可溶性樹脂が前記範囲内に含まれる場合、現像液に対する溶解性が十分で硬化膜の形成が容易であり、現像時に露光部の画素部分の膜減少が防止されて非露光部の欠落性が良好になるので、好ましい。
【0037】
本発明において、感光性樹脂組成物中の固形分総重量とは、感光性樹脂組成物の溶剤を除いた残りの成分の総重量を意味する。
【0038】
重合性化合物
前記重合性化合物は、光および熱によって重合できる化合物であって、光および熱によって重合できるものであれば、この分野にて公知の重合性化合物を特別な制限なく選択して使用可能であり、具体的には、単官能単量体、2官能単量体、その他の多官能単量体などを使用することができる。
【0039】
前記単官能単量体の種類は特に限定されず、例えば、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、N-ビニルピロリドンなどが挙げられる。
【0040】
前記2官能単量体の種類は特に限定されず、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイルオキシエチル)エーテル、3-メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0041】
前記多官能単量体の種類は特に限定されず、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エトキシル化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロポキシル化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0042】
前記重合性化合物の市販の例には、ミウォン商社のMiramer M600などがあるが、これらに限定されない。
【0043】
前記重合性化合物の含有量は、感光性樹脂組成物中の固形分総重量に対して5~50重量%、好ましくは10~40重量%含まれる。前記重合性化合物が前記範囲内に含まれる場合、画素部の強度や平滑性の面で好ましい。
【0044】
光重合開始剤
前記光重合開始剤はこの分野にて公知の光重合開始剤を特別な制限なく選択して使用可能である。例えば、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、チオキサント系、オキシム系、ベンゾイン系、ビイミダゾール系化合物などを使用することができる。
【0045】
例えば、前記オキシム系化合物としては、o-エトキシカルボニル-α-オキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどを使用することができ、市販品として、Ciba社のOXE-01、OXE-02などがあるが、これらに限定されない。
【0046】
前記光重合開始剤は、単独または2種以上を混合して使用可能である。
前記光重合開始剤の含有量は、感光性樹脂組成物中の固形分総重量に対して0.01~10重量%、好ましくは0.01~5重量%含まれる。前記光重合開始剤が前記範囲内に含まれる場合、光重合反応速度が適正で全体工程時間の増加が防止され、過反応による最終硬化膜の物性の低下を防止できるので、好ましい。
【0047】
本発明による感光性樹脂組成物は、前記光重合開始剤に、追加的に、光重合開始補助剤をさらに含むことができる。前記光重合開始剤とともに光重合開始補助剤を使用する場合、感光性樹脂組成物がさらに高感度になって生産性が向上するので、好ましい。
【0048】
前記光重合開始補助剤は、前記光重合開始剤によって重合開始された重合性化合物の重合を促進させるために使用される化合物で、アミンおよびカルボン酸化合物からなる群より選択される1種以上の化合物が好ましく使用できる。
【0049】
前記光重合開始補助剤を含む場合、その含有量は、前記光重合開始剤1モルに対して、通常0モル超過~10モル以下、好ましくは0.01モル~5モル含まれる。前記光重合開始補助剤が前記範囲内に含まれる場合、光重合効率を向上させて生産性向上効果を期待できるので、好ましい。
【0050】
溶剤
前記溶剤は、この分野にて公知の有機溶剤を特に制限なく使用可能である。
【0051】
前記溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルなどのジエチレングリコールジアルキルエーテル類、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートなどのエチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、およびメトキシペンチルアセテートなどのアルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、アセトン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、グリセリンなどのアルコール類、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類、γ-ブチロラクトンなどの環状エステル類などが挙げられる。
【0052】
前記溶剤は、塗布性および乾燥性の面で、好ましくは、沸点が100℃~200℃の有機溶剤を使用することができ、より好ましくは、アルキレングリコールアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、3-エトキシプロピオン酸エチルや、3-メトキシプロピオン酸メチルなどのエステル類を使用することができ、さらに好ましくは、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、3-エトキシプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチルなどを使用することができる。
【0053】
前記溶剤は、それぞれ単独でまたは2種類以上混合して使用可能である。
前記溶剤の含有量は、感光性樹脂組成物の総重量に対して60~90重量%、好ましくは70~85重量%含まれる。前記溶剤が前記含有量範囲内に含まれる場合、ロールコーター、スピンコーター、スリットアンドスピンコーター、スリットコーター(ダイコーターともいう場合がある)、インクジェットなどの塗布装置で塗布した時、塗布性が良好になる効果を提供するので、好ましい。
【0054】
着色剤
本発明による感光性樹脂組成物は、着色剤を含むことができる。
【0055】
前記着色剤は、C.I.赤色顔料(C.I.Pigment Red)、C.I.黄色顔料(C.I.Pigment Yellow)、およびC.I.オレンジ顔料(C.I.Pigment Orange)からなる群より選択される1種以上を含むことが好ましく、これにより、本発明による感光性樹脂組成物は、赤色、黄色、またはオレンジ色系の隔壁構造物を形成することができる。このように形成された赤色、黄色、またはオレンジ色系の隔壁構造物は、青色系の光を吸収し、赤色および/または緑色系の光を反射させることができる。したがって、青色光源を用いる表示装置において青色光の混入を防止し、赤色および/または緑色系の発光特性を向上させることができる。
【0056】
好ましくは、前記C.I.赤色顔料(C.I.Pigment Red)は、ジケトピロール系、アントラキノン系、ペリレン系、およびアゾ系の中から選択される1種以上であってもよく、前記C.I.黄色顔料(C.I.Pigment Yellow)は、アントラキノン系、イソインドリノン系、アゾ系の中から選択される1種以上であってもよいし、前記C.I.オレンジ顔料(C.I.Pigment Orange)は、キノフタロン系、イソインドリノン系、ジケトピロール系の中から選択される1種以上であってもよい。
【0057】
さらに好ましくは、前記C.I.赤色顔料は、C.I.赤色顔料9、81、97、105、122、123、144、149、150、155、166、168、171、175、176、177、179、180、185、192、202、208、209、214、215、216、220、222、224、242、254、255、264、269、270、および272からなる群より選択される1種以上であってもよく、
前記C.I.黄色顔料は、C.I.黄色顔料11、13、20、24、31、53、83、86、93、94、95、99、108、109、110、117、125、128、129、138、139、147、148、150、151、154、155、166、167、173、180、185、および199からなる群より選択される1種以上であってもよいし、
前記C.I.オレンジ顔料は、C.I.オレンジ顔料13、15、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、および71からなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0058】
最も好ましくは、前記C.I.赤色顔料は、C.I.赤色顔料177、179、254、264および269からなる群より選択される1種以上であり、前記C.I.黄色顔料は、C.I.黄色顔料138、139、150、および185からなる群より選択される1種以上であり、前記C.I.オレンジ顔料は、C.I.オレンジ顔料64および71からなる群より選択される1種以上であってもよい。
【0059】
また、本発明は、黒色着色剤を含まなくても、青色系の光を効率的に遮断できるという特徴を有する。このため、本発明の前記着色剤は、黒色着色剤を含まないことが好ましい。ただし、必要に応じて、着色剤の総重量に対して最大10重量%まで、より好ましくは5重量%まで含むことができる。もし、着色剤として前記黒色着色剤を過剰に含む場合、深部硬化不足で逆テーパが発生することがあり、反射率の低下で表示装置の発光効率が低下する問題があるので、好ましくない。
【0060】
具体的には、前記黒色着色剤は、カーボンブラック、チタンブラック、アニリンブラック、ラクタムブラック、およびペリレンブラックなどの黒色有機/無機顔料と染料を含むことができ、複数の着色剤を含むことで黒色を呈し得る組み合わせまでも含む概念で理解される。
【0061】
本発明による隔壁形成用感光性樹脂組成物が前記着色剤を含む場合、その含有量は、感光性樹脂組成物中の固形分総重量に対して1~30重量%、好ましくは1.5~25重量%含まれる。前記着色剤が前記範囲内に含まれる場合、青色系の光に対する遮光特性が向上し、赤色および/または緑色光に対する反射率が増加して表示装置の発光特性が向上できる。
【0062】
一方、前記顔料は、顔料の粒径が均一に分散した顔料分散液を使用することができる。顔料の粒径を均一に分散させるための方法の例としては、顔料分散剤を含有させて分散処理する方法などが挙げられ、前記方法によって顔料が溶液中に均一に分散した状態の顔料分散液を得ることができる。
【0063】
前記顔料分散剤は、顔料の脱凝集および安定性維持のために添加されるものであって、当該分野にて一般的に用いられるものを制限なく使用することができ、前記顔料分散剤の具体例としては、陽イオン系、陰イオン系、非イオン系、両性系、ポリエステル系、ポリアミン系などの界面活性剤などが挙げられ、これらは、それぞれ単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0064】
また、前記顔料分散剤は、ブチルメタアクリレート(BMA)またはN,N-ジメチルアミノエチルメタアクリレート(DMAEMA)を含むアクリレート系分散剤を含むことが好ましく、前記アクリレート系分散剤のほか、他の樹脂タイプの顔料分散剤を使用してもよい。前記樹脂タイプの顔料分散剤は、1種または2種以上を混合して使用することができ、前記アクリレート系分散剤と併用して使用してもよい。
【0065】
散乱粒子
本発明による隔壁形成用感光性樹脂組成物は、散乱粒子を含むことができる。
【0066】
前記散乱粒子は、この分野にて公知の散乱粒子を特別な制限なく選択して使用可能である。具体的には、前記散乱粒子は、Li、Be、B、Na、Mg、Al、Si、K、Ca、Sc、V、Cr、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Rb、Sr、Y、Mo、Cs、Ba、La、Hf、W、Tl、Pb、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Ti、Sb、Sn、Zr、Nb、Ce、Ta、In、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1以上の酸化物を含むものであってもよい。例えば、前記散乱粒子は、Al、SiO、ZnO、ZrO、BaTiO、TiO、Ta、Ti、ITO、IZO、ATO、ZnO-Al、Nb、SnO、およびMgOからなる群より選択される1種以上を含むことができ、必要に応じて、アクリレートのような不飽和結合を有する化合物で表面処理された材質も使用可能である。
【0067】
前記散乱粒子は、カラーフィルタの発光強度を極大化できるように平均粒径および全体組成物中での含有量が限定されたものが使用できる。
【0068】
本発明において、「平均粒径」とは、数平均粒径であってもよいし、例えば、電界放出走査電子顕微鏡(FE-SEM)または透過電子顕微鏡(TEM)によって観察した像から求められる。具体的には、FE-SEMまたはTEMの観察画像からいくつかのサンプルを抽出し、これらサンプルの直径を測定して算術平均した値として得ることができる。
【0069】
例えば、本発明の一実施例において、前記散乱粒子は、平均粒径が30~500nmであり、好ましくは30~300nmであってもよい。前記散乱粒子の平均粒径が前記範囲を満足する場合、散乱効果が増大して前記散乱粒子を含む感光性樹脂組成物が赤色および/または緑色系の光に対する反射率の確保が容易であり得る。
【0070】
本発明による隔壁形成用感光性樹脂組成物が前記散乱粒子を含む場合、その含有量は、感光性樹脂組成物中の固形分総重量に対して0.1~50重量%、好ましくは0.5~20重量%含まれる。前記散乱粒子が前記範囲内に含まれる場合、赤色および/または緑色系の光に対する反射率の確保が容易であり、組成物の安定性の低下を抑制できるので、好ましい。
【0071】
添加剤
本発明による感光性樹脂組成物は、必要に応じて、添加剤をさらに含むことができ、前記添加剤の種類は、使用者の必要に応じて定められるもので、本発明において特に限定するものではないが、例えば、充填剤、他の高分子化合物、熱硬化剤、界面活性剤、密着促進剤、酸化防止剤、凝集防止剤、分散剤などが挙げられる。前記例示した添加剤は、単独または2種以上混合して使用できる。
【0072】
前記他の高分子化合物としては、具体的には、エポキシ樹脂、マレイミド樹脂などの硬化性樹脂;ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリフルオロアルキルアクリレート、ポリエステル、ポリウレタンなどの熱可塑性樹脂;などが挙げられる。
【0073】
前記酸化防止剤は、例えば、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、およびフェノール系酸化防止剤からなる群より選択される1つ以上を含むことができ、この場合、工程中に高温で発生しうる色変現象またはディスプレイ作製後に光源によって引き起こされる黄変の発生を抑制させることができる。前記酸化防止剤は、フェノール系化合物、リン系化合物、および硫黄系化合物からなる群より選択された1種以上を含むことができ、これらは、フェノール系-リン系化合物、フェノール系-硫黄系化合物、リン系-硫黄系化合物、またはフェノール系-リン系-硫黄系化合物の組み合わせで使用可能である。
【0074】
前記酸化防止剤の含有量は、感光性樹脂組成物中の固形分総重量に対して0.1~30重量%、好ましくは0.5~20重量%含まれる。前記酸化防止剤が前記範囲内に含まれる場合、発光強度低下問題の解決の面で好ましい。
【0075】
前記分散剤は、顔料の分散安定性維持のために添加されるものであって、当該分野にて一般的に用いられるものを制限なく使用可能である。
【0076】
前記添加剤の中で含有量が例示されていない添加剤の場合、本発明の効果を阻害しない範囲で当業者が適宜追加して使用可能である。例えば、前記添加剤は、感光性樹脂組成物の総重量に対して0.05~10重量%、好ましくは0.1~10重量%、さらに好ましくは0.1~5重量%使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0077】
本発明の感光性樹脂組成物は、当業界にて知られた通常の方法で製造できるもので、本発明において特に限定するものではないが、一例を挙げると、下記の方法で製造可能である。
【0078】
着色剤および/または散乱粒子を予め溶剤と混合して着色剤の平均粒径が30~300nmになるまでビーズミルなどを用いて分散させる。この時、必要に応じて、分散剤を追加的に使用することができ、アルカリ可溶性樹脂の一部または全部が配合されてもよい。得られた分散液(以下、ミルベースという場合もある)にアルカリ可溶性樹脂の残り、重合性化合物、および光重合開始剤、必要に応じて追加の添加剤と、必要に応じて追加の溶剤を所定の濃度となるようにさらに添加して、目的とする感光性樹脂組成物を得ることができる。
【0079】
<隔壁構造物および表示装置>
本発明は、前記感光性樹脂組成物で製造される隔壁構造物およびこれを含む表示装置を提供する。
【0080】
色変換パネルを含む表示装置は、それぞれの画素が駆動して色相を形成するため、それぞれの画素と画素を区別できる隔壁構造物を形成しなければならない。本発明の感光性樹脂組成物を用いて形成した色変換パネル用隔壁構造物を含む表示装置は、画素間で混色が防止され、微細パターンの形成に有利であり、現像工程での現像時間の変化による線幅変化が少ない隔壁の製造が可能である。隔壁の線幅変化が少ない場合、色変換画素が十分な空間を確保することができ、高品質のイメージを実現できるというメリットを有する。
【0081】
前記表示装置には、液晶ディスプレイ装置、有機発光ダイオード、フレキシブルディスプレイなどがあり得るが、これらに限定されるものではなく、適用可能なこの分野にて知られたすべての表示装置を例示することができる。
【0082】
色変換パネルを含む隔壁構造物は、前述した本発明の感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、光硬化および現像して硬化膜を形成することにより製造することができる。
【0083】
まず、感光性樹脂組成物を基材上に塗布した後、加熱乾燥することにより、溶媒などの揮発成分を除去して平滑な塗膜を得る。
【0084】
塗布方法としては、例えば、スピンコート、流延塗布法、ロール塗布法、スリットアンドスピンコート、またはスリットコート法などによって実施できる。塗布後、加熱乾燥(プリベーク)、または減圧乾燥後に加熱して溶媒などの揮発成分を揮発させる。ここで、加熱温度は、通常70~150℃、好ましくは80~130℃である。加熱乾燥後の塗膜の厚さは、通常7~15μm程度である。こうして得られた塗膜に、目的とするパターンを形成するためのマスクを介して紫外線を照射する。この時、露光部全体に均一に平行光線が照射され、また、マスクと基板との正確な位置合わせが実施されるように、マスクアライナやステッパなどの装置を用いることが好ましい。紫外線を照射すれば、紫外線の照射された部位が光重合開始剤によってラジカルが形成され、重合性化合物と反応して光硬化が行われる。
【0085】
前記紫外線としては、g線(波長:436nm)、h線、i線(波長:365nm)などを用いることができる。紫外線の照射量は、必要に応じて適宜選択可能であり、本発明においてこれを限定しない。光硬化が終了した塗膜を現像液に接触させて非露光部を溶解させて現像すれば、目的とするパターンの形状を得ることができる。
【0086】
こうして得られたパターンの形状を、後硬化工程によりパターンを硬くすることができ、加熱温度は、通常150~250℃、好ましくは180~230℃である。加熱時間は、通常5~30分、好ましくは15~20分である。
【実施例
【0087】
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、下記に開示される本発明の実施形態はあくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの実施形態に限定されない。本発明の範囲は特許請求の範囲に示され、さらに特許請求の範囲の記録と均等な意味および範囲内でのすべての変更を含んでいる。また、以下の実施例、比較例で含有量を示す「%」および「部」は、特に言及しない限り、質量基準である。
【0088】
<実施例>
合成例1:アルカリ可溶性樹脂の合成
撹拌機、温度計還流冷却管、滴下ロート、および窒素導入管を備えたフラスコを用意し、一方、N-ベンジルマレイミド15重量部、アクリル酸30重量部、シクロヘキシルメタクリレート50重量部、メチルメタクリレート5重量部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート4重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAともいう)40重量部を投入後、撹拌混合してモノマー滴下ロートを用意し、n-ドデカンジオール6重量部、PGMEA24重量部を入れて撹拌混合して、連鎖移動剤滴下ロートを用意した。
【0089】
以後、フラスコにPGMEA395重量部を導入し、フラスコ内の雰囲気を空気から窒素に置き換えた後、撹拌しながらフラスコの温度を90℃まで昇温した。次いで、モノマーおよび連鎖移動剤を滴下ロートから滴下開始した。滴下は90℃を維持しながらそれぞれ2時間進行させ、1時間後に110℃に昇温して3時間維持した後、ガス導入管を導入させて、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。
【0090】
次いで、グリシジルメタクリレート20重量部、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)0.4重量部、トリエチルアミン0.8重量部をフラスコ内に投入して、110℃で6時間反応を継続し、その後、室温まで冷却しながら重量平均分子量3,800、固形分基準酸価が83mgKOH/gであるアルカリ可溶性樹脂を得た。
【0091】
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)の測定はGPC法を利用し、HLC-8120GPC(東ソー(株)製造)装置を用いた。
【0092】
測定条件は、TSK-GELG4000HXLとTSK-GELG2000HXLカラムとを直列連結して用い、カラムの温度は40℃とした。テトラヒドロフランを移動相溶媒として用い、1.0mL/分の流速で流して測定した。測定試料の濃度は0.6重量%であり、注入量は50μlであり、RI検出器を用いて分析した。校正用標準物質としてはTSK STANDARD POLYSTYRENE F-40、F-4、F-1、A-2500、A-500(東ソー(株)製造)を用い、前記条件で得られたアルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量を測定した。
【0093】
実施例1~11および比較例1~7:感光性樹脂組成物の製造
下記表1の組成および含有量によって実施例1~11および比較例1~7の感光性樹脂組成物を製造した。
【0094】
【表1】
【0095】
-R177:C.I.赤色顔料177
-R179:C.I.赤色顔料179
-R254:C.I.赤色顔料254
-R264:C.I.赤色顔料264
-R269:C.I.赤色顔料269
-Y138:C.I.黄色顔料138
-Y139:C.I.黄色顔料139
-Y150:C.I.黄色顔料150
-Y185:C.I.黄色顔料185
-O64:C.I.オレンジ顔料64
-O71:C.I.オレンジ顔料71
-B7:C.I.黒色顔料7
-OB:有機黒色顔料
-G36:C.I.緑色顔料36
-B15:6:C.I.青色顔料15:6
-散乱粒子:TiO
-アルカリ可溶性樹脂:合成例1によるアルカリ可溶性樹脂
-光重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(Kayarad DPHA、日本化学製)
-光重合開始剤:Irgacure OXE-02(Basf社製)
-分散剤:DISPERBYK-110(BYK社製)
-溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)
実験例
(1)隔壁パターン硬化膜の製造
5cm×5cmのガラス基板(コーニング社)を中性洗剤および水で洗浄後、乾燥した。前記ガラス基板上に、実施例1~11および比較例1~7による感光性樹脂組成物それぞれを最終膜厚が10μmとなるようにスピンコーティングし、100℃で前焼成し、2分間乾燥して溶剤を除去した。その後、1~100μmのライン/スペースパターンまたは40mm×40mmのパターンを含むマスクを露光量50mJ/cmで露光し、アルカリ水溶液を用いて非露光部を除去した。製造された硬化膜を、続いて、230℃で20分間後焼成して、10μmの厚さの隔壁パターン硬化膜を製造した。
【0096】
(2)透過率および反射率の測定
分光光度計(Spectrophotometer、CM-3700d)を用いて、前記10μmの厚さに製造された40mm×40mmのパターン硬化膜の波長別の透過率と反射率を測定した。450nmの波長における透過率が5%未満の場合にO、5%以上の場合にXと表記し、640nmの波長における反射率が30%以上の場合にO、30%未満の場合にXと表記し、550nmの波長における反射率が30%以上の場合にO、30%未満の場合にXと表記し、その結果を下記表2、図1および図2に示した。
【0097】
(3)線幅変化の測定
前記(1)の隔壁パターン硬化膜製造工程で80秒の現像時間を進行させた基板と、160秒の現像時間を進行させた基板それぞれに対して、光学顕微鏡(ECLIPSE LV100POL、ニコン社)を用いて100μmのラインマスクパターンの線幅を測定した。80秒進行させた基板のパターンの線幅と160秒進行させた基板のパターンの線幅変化を測定し、線幅変化が5.0μm以上の場合をXと表記した。これによる結果は下記表2に示した。
【0098】
【表2】
【0099】
実施例1~11による感光性樹脂組成物を用いて製造された硬化膜は、450nmの波長における透過率が5%未満であり、640nmの波長における反射率が30%以上であり、パターンの線幅変化も優れていることを確認することができる。
【0100】
特に、着色剤として黄色顔料を含む実施例6~9による感光性樹脂組成物を用いて製造された硬化膜は、550nmの波長における反射率も30%以上であるという特性を有することを確認することができる。
【0101】
これに対し、散乱粒子を含まない比較例1および2による感光性樹脂組成物を用いて製造された硬化膜は、450nmの波長における透過率が5%未満を示したが、640nmの波長で30%未満の反射率を示し、パターンの線幅変化も非常に大きくなることを確認することができる。
【0102】
また、着色剤を含まない比較例3による感光性樹脂組成物を用いて製造された硬化膜は、640nmの波長における反射率が30%以上を示したが、450nmの波長で5%を超える透過率を示し、パターンの線幅変化も非常に大きくなることを確認することができる。
【0103】
特に、着色剤として、赤色、黄色、またはオレンジ色系ではない黒色着色剤のみを含む比較例4および5による感光性樹脂組成物を用いて製造された硬化膜は、450nmの波長における透過率が5%未満を示したが、散乱粒子を含んでいるにもかかわらず、640nmの波長で30%未満の反射率を示して、本願発明が目的とする効果を達成できないことが分かる。
図1
図2