(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】同期されたモバイルデバイス間で通信する方法、記憶媒体及びモバイルデバイス
(51)【国際特許分類】
H04W 72/02 20090101AFI20240930BHJP
H04W 72/54 20230101ALI20240930BHJP
H04W 92/18 20090101ALI20240930BHJP
【FI】
H04W72/02
H04W72/54 110
H04W92/18
(21)【出願番号】P 2022556374
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(86)【国際出願番号】 JP2020049301
(87)【国際公開番号】W WO2021181843
(87)【国際公開日】2021-09-16
【審査請求日】2022-05-25
【審判番号】
【審判請求日】2024-01-23
(32)【優先日】2020-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503163527
【氏名又は名称】ミツビシ・エレクトリック・アールアンドディー・センター・ヨーロッパ・ビーヴィ
【氏名又は名称原語表記】MITSUBISHI ELECTRIC R&D CENTRE EUROPE B.V.
【住所又は居所原語表記】Capronilaan 46, 1119 NS Schiphol Rijk, The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【氏名又は名称】上田 俊一
(72)【発明者】
【氏名】シベル、ジャン-クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】カンフシ、ムーラド
(72)【発明者】
【氏名】グレッセ、ニコラ
【合議体】
【審判長】廣川 浩
【審判官】本郷 彰
【審判官】中木 努
(56)【参考文献】
【文献】 1.vivo,Discussion on mode 2 resource allocation mechanism,3GPP TSG RAN WG1 #98bis meeting R1-1911420,2019年10月22日,pp.1-14
【文献】Huawei, HiSilicon,Beamforming for V2X sidelink for FR1 and FR2,3GP P TSG RAN WG1 Meeting #96 R1-1903075,2019年02月15日,pp.1-4
【文献】Huawei (TR editor),TR 37.985, ”Overall description of Radio Access Network (RAN) aspects for Vehicle-to-everything (V2X) based on LTE and NR”, v1.1.0,3GPP TSG-RAN WG1 Meeting #100-e R1-2001223,2020年02月27日,p.32
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04W4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
3GPP TSG SA WG1-4
3GPP TSG CT WG1,4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のモバイルデバイスと、前記第1のモバイルデバイスと同期された第2のモバイルデバイスとの間で通信する方法であって、
複数の事前構成済み無線リソースを前記第1のモバイルデバイスによって検知することであって、各事前構成済み無線リソースは、時間領域、周波数領域及び空間領域における特定の座標セットに対応する、検知することと、
検知された前記事前構成済み無線リソースごとに、前記事前構成済み無線リソースが、前記第1のモバイルデバイスと同期された別のモバイルデバイス間の通信に占有されるか否かを、前記第1のモバイルデバイスによって特定することと、
占有される前記事前構成済み無線リソースごとに、前記別のモバイルデバイスから、空間領域における前記別のモバイルデバイスによる今後の占有される事前構成済み無線リソース利用の表示を、前記第1のモバイルデバイ
スにおいて受信することと、
前記第1のモバイルデバイ
スが空間領域において特定のビームを使用して通信するための特定の事前構成済み無線リソースを、前記第1のモバイルデバイ
スによって選択することであって、前記特定のビームを使用することは、前記今後の占有される事前構成済み無線リソース利用との空間領域における通信衝突を削減又は防止する、選択することと、
選択された前記特定の事前構成済み無線リソースを使用して前記第1のモバイルデバイスと前記第2のモバイルデバイスとの間で通信することと、
前記第1のモバイルデバイス又は前記第2のモバイルデバイスによってそれぞれのモバイルデバイス識別子及びそれぞれのモビリティ情報のうちの1つ以上をブロードキャストすることと
を含む、方法。
【請求項2】
前記モビリティ情報は、サイドリンク制御情報に含まれ
、物理サイドリンク制御チャネルに収容される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のモバイルデバイスと前記第2のモバイルデバイスとの間の通信のための空間領域における今後の占有される事前構成済み無線リソース利用の特定の表示を、前記第1のモバイルデバイス又は前記第2のモバイルデバイスによって前記別のモバイルデバイスに送信すること、
を更に含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
空間領域における前記別のモバイルデバイスによる前記今後の占有される事前構成済み無線リソース利用の表示を受信することは、前記第1のモバイルデバイスと前記第2のモバイルデバイスとの間の通信の信号に直交する信号を使用して行われる、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
空間領域における特定のビームを使用した前記第1のモバイルデバイスと前記第2のモバイルデバイスとの間の通信のための前記特定の事前構成済み無線リソースを選択することは、前記第1のモバイルデバイス、前記第2のモバイルデバイス及び前記別のモバイルデバイスに関連した見通し線(LoS)情報を考慮する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
第2のモバイルデバイス識別子及び第2のモバイルデバイスモビリティ情報のうちの1つ以上を前記第1のモバイルデバイスにおいて受信すること、又は、第1のモバイルデバイス識別子及び第1のモバイルデバイスモビリティ情報のうちの1つ以上を前記第2のモバイルデバイスにおいて受信することと、
前記別のモバイルデバイスのうちの1つ以上のそれぞれから識別子又はモビリティ情報のうちの1つ以上を前記第1のモバイルデバイス又は前記第2のモバイルデバイスにおいて受信することと、
を更に含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数の事前構成済み無線リソースを検知することと、前記特定の事前構成済み無線リソースを選択することとは、ルールを使用して選択的にトリガーされる、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記選択された前記特定の事前構成済み無線リソースと前記受信された前記今後の占有される事前構成済み無線リソース利用との間で起こり得る今後の通信衝突を、前記第1のモバイルデバイスによって検出することと、
前記通信衝突の検出に応答して、
前記第1のモバイルデバイスと前記第2のモバイルデバイスとの間で通信するために代替の特定の事前構成済み無線リソースを選択することと、
衝突時間中に通信を一時停止することと、
のうちの1つ以上を続行することと、
を更に含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記別のモバイルデバイスを周囲のモバイルデバイスのグループから選択基準を使用して選択すること、
を更に含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記選択基準は、
各前記周囲のモバイルデバイスと前記第1のモバイルデバイスとの間の距離と、
信号対干渉プラス雑音比(SINR)と、
のうちの1つ以上を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
選択された前記別のモバイルデバイスの数が経時的に増加するにつれて、前記選択基準が経時的に変化する、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記選択基準は、各前記周囲のモバイルデバイスと前記第1のモバイルデバイス又は前記第2のモバイルデバイスとの間の距離を含み、別の各モバイルデバイスと前記第1のモバイルデバイス又は前記第2のモバイルデバイスとの間の距離は閾値未満である、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のモバイルデバイスと前記第2のモバイルデバイスとの間の通信の送信電力は、前記閾値を越えて位置するモバイルデバイスとの通信衝突を回避するように設定される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1のモバイルデバイスのプロセッサによって実行されると、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法を前記プロセッサに実行させる命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項15】
前記第1のモバイルデバイスであり、プロセッサと、メモリと、ネットワークモジュールと、ビームフォーミングを可能にする複数のアンテナとを備えるモバイルデバイスであって、前記プロセッサは、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法に従って動作するように構成される、モバイルデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モバイルデバイス間の通信の分野に関し、特に、基地局を通じた通信を伴わないモバイルデバイス間の直接通信の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
モバイルデバイスは、通信セルをカバーする基地局と通信することができ、基地局との通信により、モバイルデバイス間の仲介役としての役割を果たす基地局を通じて他のモバイルデバイスとの通信が可能になる。他の状況では、モバイルデバイスは、基地局を通じて通信することなく、別のモバイルデバイスと直接通信することができる。モバイルデバイス間のそのような直接通信は、いわゆるサイドリンク通信を通じて行うことができる。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、添付の独立請求項によって画定される。本明細書に開示される概念の付加的な特徴及び利点については、以下の説明において述べる。
【0004】
本開示は、第1のモバイルデバイスと、第1のモバイルデバイスと同期された第2のモバイルデバイスとの間で通信する方法であって、
複数の事前構成済み無線リソース(preconfigured radio resources)を第1のモバイルデバイスによって検知することであって、各事前構成済み無線リソースは、時間領域、周波数領域及び空間領域における特定の座標セットに対応する、検知することと、
検知された事前構成済み無線リソースごとに、事前構成済み無線リソースが、第1のモバイルデバイスと同期された別のモバイルデバイス間の通信に占有されるか否かを、第1のモバイルデバイスによって特定することと、
占有される事前構成済み無線リソースごとに、別のモバイルデバイスから、空間領域における別のモバイルデバイスによる今後の占有される事前構成済み無線リソース利用の表示を、第1のモバイルデバイス又は第2のモバイルデバイスにおいて受信することと、
第1のモバイルデバイス及び第2のモバイルデバイスが空間領域において特定のビームを使用して通信するための特定の事前構成済み無線リソースを、第1のモバイルデバイス又は第2のモバイルデバイスによって選択することであって、特定のビームを使用することは、今後の占有される事前構成済み無線リソース利用との空間領域における通信衝突を削減又は防止する、選択することと、
選択された特定の事前構成済み無線リソースを使用して第1のモバイルデバイスと第2のモバイルデバイスとの間で通信することと、
を含む、方法を説明する。
【0005】
そのような方法は、例えば、モバイルデバイス間の通信に特定のビームを使用することによって通信衝突リスクの削減を可能にする。この特定のビームは、時間領域及び周波数領域において規定される特定のサブチャネルの空間領域における特定のビームである。この特定のビームは、事前構成済み無線リソース又は通信サブチャネルを検知することによって収集される情報と、無線リソースの今後の使用に関する情報との両方を考慮して選択される。
【0006】
任意選択で、上記方法は、第1のモバイルデバイスと第2のモバイルデバイスとの間の通信のための空間領域における今後の占有される事前構成済み無線リソース利用の特定の表示を、第1のモバイルデバイスによって、又は第2のモバイルデバイスによって、その他のモバイルデバイスに送信することを更に含む。そのような送信は、例えば、他のモバイルデバイスが、第1のモバイルデバイスと第2のモバイルデバイスとの間の通信に占有される無線リソースとの今後の衝突を回避しながら、それら自身の無線リソースを選択するのに使用することができる。
【0007】
任意選択で、空間領域における別のモバイルデバイスによる今後の占有される事前構成済み無線リソース利用の表示を受信することは、第1のモバイルデバイスと第2のモバイルデバイスとの間の通信の信号に直交する信号を使用して行われる。これは、例えば、空間領域における別のモバイルデバイスによる今後の占有される事前構成済み無線リソース利用の表示を通信するために、第1のモバイルデバイスと第2のモバイルデバイスとの間の通信に使用されるスペクトルの占有を回避することができる。
【0008】
任意選択で、空間領域における特定のビームを使用した第1のモバイルデバイスと第2のモバイルデバイスとの間の通信のための特定の事前構成済み無線リソースを選択することは、第1のモバイルデバイス、第2のモバイルデバイス及びその他のモバイルデバイスに関連した見通し線(LoS)情報を考慮する。これは、例えば、モバイルデバイス対に対応するLoSと最もよく一致した同じモバイルデバイス対のビームを選択するといったデフォルトのオプションを提供することによって、ビーム選択をより効率的にすることができるとともに、LoS情報が、異なるモバイルデバイスが異なる場所に位置することができることを本質的に考慮することを利用することができ、それによって、空間領域における通信衝突を回避するデフォルトの方法を提供することができる。
【0009】
任意選択で、上記方法は、第1のモバイルデバイス又は第2のモバイルデバイスによって、それぞれのモバイルデバイス識別子及びそれぞれのモビリティ情報のうちの1つ以上をブロードキャストすることを更に含む。そのようなブロードキャストは、例えば、そのような第1のモバイルデバイス及び第2のモバイルデバイスの今後の軌道を予測することと、そのような今後の軌道を考慮して、第1のモバイルデバイスと第2のモバイルデバイスとの間で通信に使用される通信リソースとの空間領域における衝突を回避する通信リソースを選択することとを、別のモバイルデバイスに許可することができる。
【0010】
任意選択で、上記方法は、
第2のモバイルデバイス識別子及び第2のモバイルデバイスモビリティ情報のうちの1つ以上を第1のモバイルデバイスにおいて受信すること、又は、第1のモバイルデバイス識別子及び第1のモバイルデバイスモビリティ情報のうちの1つ以上を第2のモバイルデバイスにおいて受信することと、
1つ以上のその他のモバイルデバイスのそれぞれから識別子又はモビリティ情報のうちの1つ以上を第1のモバイルデバイス又は第2のモバイルデバイスにおいて受信することと、
を更に含む。
【0011】
これは、例えば、この情報を受信するモバイルデバイス(第1のモバイルデバイス及び第2のモバイルデバイスによって形成される対のモバイルデバイスのうちのいずれか一方)に、周囲のモバイルデバイス及びこの対の他方のモバイルデバイスの軌道情報を得ることを許可することができ、それによって、このモバイルデバイス対の通信衝突リスクを回避又は削減するこの対の通信リソースの選択を可能にする。
【0012】
任意選択で、複数の事前構成済み無線リソースを検知することと、特定の事前構成済み無線リソースを選択することとは、ルールを使用して選択的にトリガーされる。そのようなルールは、例えば、方法の様々なステップをどの程度の頻度でどのような順序で行うことができるのかを決定することができる。そのようなルールは、方法を特定の状況に適合させるために動的に決定することができる。
【0013】
任意選択で、上記方法は、
選択された特定の事前構成済み無線リソースと受信された今後の占有される事前構成済み無線リソース利用との間で起こり得る今後の通信衝突を、第1のモバイルデバイスによって検出することと、
衝突の検出に応答して、
第1のモバイルデバイスと第2のモバイルデバイスとの間で通信するために代替の特定の事前構成済み無線リソースを選択することと、
衝突時間中に通信を一時停止することと、
のうちの1つ以上を続行することとを更に含む。
【0014】
このような代替の無線リソースの選択及び/又は通信の一時停止を行うことにより、将来起こり得る通信衝突を回避することができ、通信衝突リスクを削減することができる。
【0015】
任意選択で、上記方法は、選択基準を使用して、周囲のモバイルデバイスのグループから別のモバイルデバイスを選択することを更に含む。これは、例えば、非常に多くの周囲のモバイルデバイスが存在する状況を処理することができる。本明細書によって説明される方法に従って処理するための基準を使用して複数の別のモバイルデバイスを選択することによって、そのような別のモバイルデバイスは周囲のモバイルデバイスからのサブグループであるので、それによって、非常に多くの周囲のデバイスのより大きなグループよりも処理の複雑度が小さくなる。具体的には、基準は、
各周囲のモバイルデバイスと第1のモバイルデバイスとの間の距離;又は
信号対干渉プラス雑音比(SINR)、
のうちの1つ以上を含むことができる。
【0016】
上記基準が距離を考慮する場合、考慮される別のモバイルデバイスは、例えば、第1のモバイルデバイス及び第2のモバイルデバイスによって形成される対のうちのいずれか一方又は双方に最も近いモバイルデバイスとすることができる。上記基準がSINRを考慮する場合には、考慮される別のモバイルデバイスは、例えば、相対的により高いSINRを有するモバイルデバイスとすることができる。具体的には、選択基準は、選択された別のモバイルデバイスの数が経時的に増加するにつれて、経時的に変化することができる。そのような評価手法は、比較的多数の周囲のモバイルデバイスにおいて段階的に実施される処理を可能にし、基準は、例えば、次第に多くなる周囲のモバイルを、ビーム固有の通信リソースの空間領域衝突回避選択に含めるように選択性が次第に小さくなる。具体的には、基準は、各周囲のモバイルデバイスと第1のモバイルデバイス又は第2のモバイルデバイスとの間の距離を含むことができ、別の各モバイルデバイスと第1のモバイルデバイス又は第2のモバイルデバイスとの間の距離は閾値未満である。いくつかの場合には、そのような距離閾値は、空間領域における通信衝突の削減又は回避のために考慮される追加のモバイルデバイスを次第に包含するように経時的に増加することができる。いくつかの場合には、第2のモバイルデバイスとの通信の送信電力は、閾値を越えて位置するモバイルデバイスとの通信衝突を回避するように設定される。そのような送信電力の設定は、基準も経時的に変化して、その結果、本開示の方法によって考慮される別のモバイルデバイスの数が次第に増加するにつれて、例えば、送信を経時的に増加させることによって、経時的に変化することができる。
【0017】
本開示はまた、モバイルデバイスのプロセッサによって実行されると、本明細書によって説明される方法のいずれかをプロセッサに実行させる命令を含む、コンピュータ可読記憶媒体を説明する。そのような命令は、本明細書によって説明される方法を可能にする。
【0018】
本開示はまた、プロセッサと、メモリと、ネットワークモジュールと、ビームフォーミングを可能にする複数のアンテナとを備えるモバイルデバイスであって、プロセッサは、本明細書によって説明される方法のいずれかに従って動作するように構成される、モバイルデバイスを説明する。そのようなモバイルデバイスは、したがって、本明細書によって説明される方法を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示は、モバイルデバイスに適用される。モバイルデバイスとは、常時静止しているわけではないモバイル通信デバイスと解釈されるべきである。そのようなモバイル通信デバイスは、ネットワークモジュールを使用して通信することができる。そのようなモバイルデバイスは、人間又は車両によって運ばれるモバイル端末であってよい。このモバイルデバイスは、ネットワークモジュールを備える車両であってもよい。このモバイルデバイスは、車両の運転者又は乗客によって携行されてもよい。このモバイルデバイスは、道路網、水路又は空中において移動できるように構成されていてもよい。このモバイルデバイスは、ネットワークモジュールを備えるドローンであってもよい。このモバイルデバイスは、ネットワークモジュールを備える乗用車、トラック、トラクター、工場ロボット、人工衛星又はバスであってもよい。このモバイルデバイスは、無線リソースを使用することによって自律的に又は部分的に自律的にそれ自体を駆動するように構成されて接続された自律車両又は部分的自律車両であってもよい。自律駆動は、人間の運転者を必要としない場合がある一方、部分的自律駆動は、動作させるために車両内に人間の運転者の存在を必要とする場合がある。
【0021】
モバイルデバイスは、本開示によれば、「第1の」又は「第2の」と呼称される場合があるが、これは、そのような特定のモバイルデバイスを、これらのモバイルデバイスと相互作用する可能性のある他のモバイルデバイスと区別するためである。ただし、第1のモバイルデバイス又は第2のモバイルデバイスは、他のモバイルデバイスと同様である場合もあるし、異なる場合もある。
【0022】
第1のモバイルデバイスは、本開示によるモバイルデバイスであり、第2のモバイルデバイスは、第1のモバイルデバイスと同様のものであるか又は異なるものであり、第2のモバイルデバイスは、特定のモバイルデバイスとは別個のものである。いくつかの例では、第1のモバイルデバイス及び第2のモバイルデバイスは、互いに接続され、互いに通信することができる。通信は、通信プロトコルの観点からデータパケットを交換することと解釈することができる。直接通信は、基地局によって信号を送られるか、またはユーザ機器(UE:user equipment)において事前に構成されうるリソースのプールから、それぞれのモバイルデバイスに対応するUEによって自律的に取得される無線リソースを使用することができる。いくつかの例によれば、第1のデバイスと第2のデバイスとの間の通信は、サイドリンクを通じて行われる。サイドリンクは、第1のデバイスと第2のデバイスとの間の信号の交換を可能にすると理解される。無線リソースの利用は、例えば、時間、周波数及び空間の割り当て技法を通じて運用することができる。無線リソースの利用は、スループット、遅延、パケットエラーレート及び優先度等のサービスのサービス品質要件を考慮に入れて運用することができる。モバイルデバイス間のそのような通信にサイドリンクを使用することによって、通信レイテンシーを削減することができるとともに、空間再利用技法を通じてセル負荷を削減することができる。
【0023】
本開示によるいくつかの例示の方法は、静的なビーム選択を使用する基地局と端末との間の通信とは異なり、モバイルデバイス間の通信に関する。本明細書による例示の方法は、動的なビーム選択を可能にする。本開示による例示の方法は、ユーザデータを転送するために、周波数領域及び時間領域のみに選択を制限する無指向性長期予約方式を使用する結果となる他の方法と異なる。本開示によるいくつかの例示の方法は、実際に、空間領域又は角度空間においてリソースを選択的に割り当てることである。
【0024】
いくつかの例では、本開示による方法は、6GHzよりも高い周波数帯域の3GPP(登録商標) NR V2X(V2XはVehicle to everythingを意味する)のモード2(a)におけるリソース割り当ての枠組みに適用される。いくつかの例では、この方法は、グループキャスト通信方法である。グループキャスト通信は、1つ(単一)のモバイルデバイスから1つ以上のモバイルデバイスへのものである。いくつかの例では、モバイルデバイスは、ビームフォーミング技法を可能にするいくつかのアンテナパネルを備える。いくつかの例では、モバイルデバイス車両リソースは、長期リソース予約方式とも呼ばれる半永続方式を使用してスケジューリングされる。いくつかの例では、モバイルデバイスは、1つ以上のアンテナパネルを備え、各パネルには、ビームフォーミング技法を可能にするために少なくとも2つのアンテナ素子が設けられる。
【0025】
いくつかの例では、本開示による第1のモバイルデバイス又は第2のモバイルデバイスは、小隊を形成する複数のモバイルデバイスのうちの1つである。小隊は、複数の自律的な接続された車両及び相互接続された車両から形成することができる。小隊は、25台よりも多くの車両を含んでもよい。小隊は、50台よりも多くの車両を含んでもよい。本開示による方法を使用することによって、通信衝突のリスクを回避又は削減することができ、全体的な変位速度を増加させるができる。
【0026】
図1に示すような一例示の方法100は、第1のモバイルデバイスと、第1のモバイルデバイスと同期された第2のモバイルデバイスとの間の通信に適用される。第1のモバイルデバイス及び第2のモバイルデバイスは、それらのモバイルデバイスが共通の時間基準を共有するときに同期されていると解釈する。
【0027】
同期は、異なるモバイルデバイス間で、ローカルな可変時間特性を一致させるプロセスであると解釈される。この特性は、各モバイルデバイスに固有であるという意味でローカルである。理想的には、そのようなローカル可変時間特性は、ネットワークが完全に同期されている場合には、異なるモバイルデバイスにおいて全く同じように変化していくことになる。そのようなローカル可変特性の例には、ハードウェアベースのデバイスに基づく論理的又は仮想的なデバイスが含まれる。例えば、クロック又は周波数シンセサイザ等の時間設定デバイスが含まれる。1つの例によると、接続されたモバイルデバイスがそれぞれクロックを備える場合には、そのようなモバイルデバイスは、それらのクロックが所与の時点において正確に同じ時刻を示す場合に完全に同期されているとする。別の例において、接続されたモバイルデバイスがそれぞれ周波数シンセサイザを備える場合には、そのようなモバイルデバイスは、それらのシンセサイザが正確に同じ周波数で動作している場合に完全に同期されているとする。
【0028】
図1のブロック101に示すように、方法100は、第1のモバイルデバイスによって、複数の事前構成済み無線リソースを検知することを含む。各事前構成済み無線リソースは、時間領域、周波数領域及び空間領域における特定の座標セットに対応する。検知は、例えば、1つ以上のアンテナを使用して行うことができる。検知は、ビームとも呼ばれる特定の空間方向に沿った無線波の成分を検知するように適合された1つ以上の指向性アンテナを使用して行うことができる。検知は、第1のモバイルデバイスによって行われる。第1のモバイルデバイスは、当該モバイルデバイスを他のモバイルデバイスと区別するために「第1の」と呼称している。この点で、用語「第1の」は、或る特定の「順序」が存在することを暗に意味するものではない。検知は、複数の事前構成済み無線リソースについて行われる。いくつかの例では、各事前構成済み無線リソースは、第1のモバイルデバイスの時間領域、周波数領域及び空間領域における特定の座標セットに対応する。事前構成済み無線リソースは、第1のモバイルデバイスが関係している限り、時間領域、周波数領域及び空間領域において事前に構成される。周波数領域では、事前構成済み無線リソースは、特定の無線周波数に関連付けることができる。時間領域では、事前構成済み無線リソースは、特定の時間窓に関連付けることができる。空間領域では、事前構成済み無線リソースは、特定のビーム又は特定の方向若しくは特定の角度に関連付けることができる。複数の事前構成済み無線リソースのそれぞれは、少なくとも1つの座標について、複数の事前構成済み無線リソースのうちの他のいずれとも異なる。複数の事前構成済み無線リソースのうちの2つは、同じ周波数、同じ時間窓に対応することができるが、異なるビームに対応することができる。複数の事前構成済み無線リソースのうちの2つは、同じビーム、同じ時間窓に対応することができるが、異なる周波数に対応することができる。複数の事前構成済み無線リソースのうちの2つは、同じビーム、同じ周波数に対応することができるが、異なる時間窓に対応することができる。複数の事前構成済み無線リソースのうちの2つは、同じビームに対応することができるが、異なる時間窓及び異なる周波数に対応することができる。複数の事前構成済み無線リソースのうちの2つは、同じ周波数に対応することができるが、異なる時間窓及び異なるビームに対応することができる。複数の事前構成済み無線リソースのうちの2つは、同じ時間窓に対応することができるが、異なる周波数及び異なるビームに対応することができる。複数の事前構成済み無線リソースのうちの2つは、異なる時間窓、異なる周波数及び異なるビームに対応することができる。本開示による無線リソースは、そのような無線リソースが、モバイルデバイスが時間領域及び周波数領域において互いに通信するために使用することができる特定の識別され且つ限られた数の無線リソースに対応し、各モバイルデバイスが、例えば、同モバイルデバイスに利用可能なビームフォーミング構成と一致してそのような無線リソースを空間領域において更に規定するという点で事前に構成される。いくつかの例では、本開示による無線リソースは、これらの無線リソースが、時間領域及び周波数領域において、他のモバイルデバイスによって事前に構成された無線リソースと一致するように事前に構成される。いくつかの例では、本開示による無線リソースは、これらの無線リソースが、第1のモバイルデバイスに固有の空間領域における座標(ビーム、方向又は角度等)を占有している間、他のモバイルデバイスによって事前に構成された無線リソースと時間領域及び周波数領域において一致するように事前に構成される。いくつかの例では、100個未満の異なる特定の事前構成済み無線リソース座標の組み合わせが、周波数領域及び時間領域(空間領域を問わない)において利用可能である。いくつかの例では、10個よりも多くの異なる特定の事前構成済み無線リソース座標の組み合わせが、周波数領域及び時間領域(空間領域を問わない)において利用可能である。本開示による空間領域における座標の導入によって、いくつかの例では、例えば、所与のモバイルデバイスのビームフォーミングの実現性を考慮して、この所与のモバイルデバイスのために周波数領域、時間領域及び空間領域において100個よりも多くの異なる特定の事前構成済み無線リソースが提供される。異なる無線リソース座標を使用することによって、通信衝突を回避することが可能になる。通信衝突は、例えば、様々なモバイルデバイス対が同じ無線リソースを使用して通信し、それによって、通信が、それらのモバイルデバイスがメンバーである対に関係するものであるか否かを特定することができない場合に起こり得る。本開示による通信は、送信、受信、又は送信及び受信の双方に関係することに留意されたい。本開示による第1のモバイルデバイス及び第2のモバイルデバイスの所与の対が通信するとき、それらのモバイルデバイスは、送信及び受信に異なる無線リソースを使用する場合があることにも留意されたい。そのような対は、送信及び受信の双方に同じ無線リソースを使用することもできる。本開示による検知は、様々な周波数又は時間窓にわたる走査を伴うことができ、これによって、確実に各事前構成済み無線リソースが時間空間及び周波数空間において検知を受ける。例示の方法による事前構成済み無線リソースの選択は、いくつかの例では、送信前の約1000msにおいて開始することができる。
【0029】
本開示による例示の方法によれば、2つのモバイルデバイス対が同じ周波数及び同じ時間窓(又は周波数領域及び時間領域における無線リソースの同じ座標)を使用して通信する一例では、これらの2つの対の間の衝突は、信号を送信するための空間領域における特定の方向をモバイルデバイスごとに選択することと、衝突を防止する方法で第1のモバイルデバイスとして通信することとによって回避することができる。特定の方向は、例えば、送信を受信すべき第2のモバイルデバイスとの見通し線と一致するように調整することができる。
【0030】
いくつかの例では、空間領域における特定のビームは、ビーム方向及びビーム角度を含む。いくつかの例では、ビーム角度は90度までの角度である。いくつかの例では、ビーム角度は5度よりも大きな角度である。いくつかの例では、ビーム角度は20度と30度との間に含まれる。ビーム角度は、通信の衝突リスク又は選択性に対して影響を与え得る。特に、データの送信又は受信に使用するビーム角度が大きいほど、より大きな空間の部分にブロードキャストすること、又はより大きな空間の部分を見渡すことになるので、通信を混乱させるリスクが高まる。データの送信に使用するビーム角度を低減することによって、通信衝突のリスクを下げることができるが、所望の通信を逃すリスクが高まる(なぜならば、例えば、狭いビームを使用して送信されたデータは、死角に位置する目標に到達しないことがあるか、又は、狭いビームを使用するデータ受信は、データが死角において送信されたことに起因して受信を逃すからである)。例えば、第1のモバイルデバイス及び第2のモバイルデバイス等の所与のモバイルデバイス対が通信するとき、そのようなデバイスは、異なるビーム角度を使用する場合がある。
【0031】
いくつかの例では、ブロック101に示すような検知は、第1のモバイルデバイスが、第2のモバイルデバイスへの所望の送信に利用可能な周波数無線リソース(又はサブチャネル)の検知を試みることを含む。第1のモバイルデバイスは、そのようなサブチャネルの周波数ロケーション及びサイズの知識を用いて事前に構成することができる。
【0032】
いくつかの例では、モバイルデバイスは、30GHzよりも高く63GHzまでの高い周波数帯域を使用して通信する。いくつかの例では、モバイルデバイスは、4つ以上のパネルが車両の屋根に設けられた車両である。各パネルは、任意の2つの連続したアンテナ素子の間にλ/2の距離を有する4つの交差偏波アンテナ素子の均一な線形アレイを備える。ここで、λは、アンテナに対応する波長であり、パネルはそれぞれ、屋根を含む水平面に対して垂直であり、各パネルは、他のパネルが向いている方向と異なる方向を向いている。4つのパネルを使用するとき、これらの4つのパネルは、互いに90度の4つの基本方位(0度、90度、180度及び270度)を向くことができる。いくつかの例では、アンテナ素子は互いに同一であり、各アンテナ素子は水平放射図又は水平放射パターンを伴う。いくつかの例では、各アンテナ素子はアパーチャを有する。いくつかの例では、アパーチャは90度である。いくつかの例では、複数のパネルをモバイルデバイス(UE、すなわちユーザ機器に対応することができる)に実装することができ、複数のパネルを一時に起動することができる。いくつかの例では、単一のパネルを所与の時点における送信に使用することができる。基本方位に向いている4つのパネルが使用され、各パネルのアパーチャが90度であるいくつかの場合には、4つのパネルの周囲の360度角度空間を、それぞれが90度幅である4つの角度相補間隔に分割することができる。いくつかの例では、ビームフォーミングメカニズムがパネルの周りの所与の方向に焦点を合わせる。そのような例では、3dBの平均ビームアパーチャは、20度よりも大きく30度よりも小さくすることができ、例えば25度とすることができる。
【0033】
図1のブロック102に示すように、方法100は、第1のモバイルデバイスによって、検知された事前構成済み無線リソースごとに、その事前構成済み無線リソースが、第1のモバイルデバイスと同期された別のモバイルデバイス間の通信に占有されるか否かを特定することを含む。事前構成済み無線リソースは、そのような事前構成済み無線リソースがそのそれぞれの周波数、時間窓及びビーム、又は周波数領域、時間領域及び空間領域における座標において信号を送信すると特定される場合には、占有されるとみなされる。いくつかの例では、所定の無線リソースの占有は、信号電力閾値を使用して判断することができ、閾値を上回る電力において、信号が関係している事前構成済み無線リソース上で検出された場合に、所定の無線リソースは占有されるとみなされる。いくつかの例では、そのような閾値は、閾値を特定の状況に適合させるために、動的に決定することができる。いくつかの例では、事前構成済み無線リソースを占有の程度に関係したクラスに分類する粒度を導入することができる。占有の程度は、事前構成済みリソース上で検出される信号の電力のレベル(例えば電力の平均レベル等)に依存することができ、高電力の信号は高占有に対応し、低電力の信号は低占有に対応する。占有が低いほど、高占有よりも衝突リスクの可能性が低くなる。そのような識別情報は、例えば、リスト又はテーブルに記憶することができる。別のモバイルデバイスは、本開示によるモバイルデバイスとすることができ、そのような別のモバイルデバイスは、第1のモバイルデバイス及び第2のモバイルデバイスと同じタイプ又は異なるタイプのものである。別のモバイルデバイスは、第1のモバイルデバイス及び第2のモバイルデバイスとそれぞれ別個のものである。別のモバイルデバイスは、事前構成済み無線リソースであるリソースを使用して通信する。事前構成済み無線リソースは、第1のモバイルデバイス、第2のモバイルデバイスおよび別のモバイルデバイスのうちのいずれか1つが、第1のモバイルデバイス、第2のモバイルデバイスおよび別のモバイルデバイスのうちのもう1つとの通信に使用することができる無線リソースのグループを形成する。これらの第1のモバイルデバイス、第2のモバイルデバイス及び別のモバイルデバイスは同期されている。様々なモバイルデバイスが、通信に利用可能な事前構成済み無線リソースの同じグループを共有するので、例えば、それらのモバイルデバイスのうちのいくつかが、或る時点において同じ事前構成済みリソースを使用する場合には、そのような通信が衝突するリスクが存在する。本開示は、第1の車両が第2の車両と通信するためのこのグループ内の特定の事前構成済み無線リソースの選択を指示するとともに、通信衝突のリスクを低減又は抑制することを可能にする。
【0034】
いくつかの例では、サブチャネル(又は事前構成済み無線リソース)が、別のモバイルデバイス等の他のモバイルデバイスによって使用されているか否かを特定するために、第1のモバイルデバイスは、各サブチャネル又は事前構成済み無線リソースのサイドリンク制御情報(SCI:Sidelink Control Information)の復号化を試みる。モバイルデバイスは、場所及び関係しているSCIの関連したMCS(変調符号化方式:Modulation and Coding Scheme)を用いて事前に構成することができる。SCIを復号化したものは、その後、特定の事前構成済み無線リソースの選択のために、占有されたサブチャネル(サブチャネルは、本開示では、事前構成済み無線リソースとも呼ばれる)を取り除くのに使用することができる。この特定の事前構成済み無線リソースは、いくつかの例では、全ての利用可能な事前構成済み無線リソースの占有されていないとして利用可能なものの中から、ランダムに選択することができる。
【0035】
いくつかの例では、サブチャネル(又は事前構成済み無線リソース)が、別のモバイルデバイス等の他のモバイルデバイスによって使用されているか否かを特定するために、第1のモバイルデバイスは、各事前構成済み無線リソース上のパイロットに対して電力測定を行うことができる。この測定は、例えば、第1のモバイルデバイスが、事前構成済み無線リソースに付属したSCIを復号化することができない場合に行うことができる。電力測定値は、例えば、1000msの期間にわたって平均することができ、その結果、事前構成済み無線リソースを、占有された事前構成済み無線リソースとして特定することができる。占有された事前構成済み無線リソースは、その後、本開示の例示の方法による選択手順から除外される。
【0036】
いくつかの例では、SCIフォーマットは、以下の情報を含むことができる。
優先度(3ビット);
リソース予約(4ビット)。このフィールドは、検知に基づいて使用されるリソースを通知する。このフィールドは、以下のように解釈することができる。
【表1】
初期送信の周波数リソースロケーション(Xビット)。PSSCH(物理サイドリンク共有チャネル:Physical Sidelink Shared Channel)物理RB(リソースブロック:resource block)リソースを規定するために使用されるビットパターン;
時間ギャップ(4ビット)。第1の送信と任意選択の第2の送信(HARQ(ハイブリッド自動再送要求:Hybrid Automatic Repeat reQuest)目的)との間のサブフレームギャップの数;
MCS(5ビット);
再送信インデックス(1ビット)。HARQ目的、すなわち、PSSCHが第1の送信を指すのか又は任意選択の第2の送信を指すのかを示す;
32ビットに達するためのゼロパディング用の予約ビット。
【0037】
再選択カウンター値は、SCI内に含まれない場合がある。換言すれば、第1のモバイルデバイスがSCIを復号化する場合に、第1のモバイルデバイスは、RRI(リソース予約間隔:resource reservation interval)に対応する、前の送信と次の送信との間の継続時間についての情報を、リソース予約フィールドを用いて得ることができる。一方、NRRIは、SCIに示されていない。これは、第1のモバイルデバイスが検知窓の終わりにSCIを復号化する場合に、それが、対応するリソースの最後の使用である可能性があっても、第1のモバイルデバイスは、そのような場合に、リソースの可用性を予測することができないので、第1のモバイルデバイスは、リソースを利用可能であるとみなさない場合があることを意味する。
【0038】
図1のブロック103に示すように、方法100は、占有される事前構成済み無線リソースごとに、空間領域において別のモバイルデバイスによる今後の占有される事前構成済み無線リソース利用の表示を、別のモバイルデバイスから第1のモバイルデバイス又は第2のモバイルデバイスにおいて受信することを含む。いくつかの例では、今後の占有される事前構成済み無線リソース利用のそのような表示は別のモバイルデバイスが今後の或る時点においてどの事前構成済み無線リソースを使用することができるのかに関する表示を提供する。本開示による方法がモバイルデバイスに適用されることに起因して、様々なそのようなモバイルデバイス間の空間関係は、経時的に変化し得る。いくつかの例では、第1のモバイルデバイスは、第1の時点では第2のモバイルデバイスの方を向いている場合があるが、第2のモバイルデバイスは、第1の時点後まもなく第1のモバイルデバイスの背後に移動している場合がある。いくつかの例では、モバイルデバイスは、例えば高速道路上でのように、約120km/hの速度で移動し、互いにすれ違う場合がある。その場合に、第1の車両と第2の車両との間の相対速度、又は第1の車両及び第2の車両のいずれかと別の車両との間の相対速度は、それらの車両が反対方向に移動している場合には約240km/hに達する。この相対運動は約67メートル毎秒に対応する。そのような相対運動の例によって示されるように、通信に使用される特定のビームの空間領域における選択は、例えば、モバイルデバイス間の見通し線を考慮するために、第1のモバイルデバイスと第2のモバイルデバイスとの間、又は別のデバイスとの間で場合によっては経時的に変化させるべきである。無線リソース利用は経時的に変化し得るので、或る時点において回避されていた可能性がある通信衝突は、(1つ以上のモバイルデバイスが通信するための無線リソースの変化に起因して)後の時点において発生する場合がある。空間領域における別のモバイルデバイスによる今後の占有される事前構成済み無線リソース利用の表示の受信は、通信衝突のそのようなリスクを回避又は低減することを目的としている。
【0039】
いくつかの場合には、特定の事前構成済み無線リソースが、第1の車両と第2の車両との間の通信用に選択されるとき、そのような特定の事前構成済み無線リソースは、或る特定の継続時間において、例えばリソース予約間隔すなわちRRIに対応する継続時間において、維持される。いくつかの例では、特定の事前構成済み無線リソースが選択されるそのような或る特定の継続時間において、いくつかの事前構成済み無線リソースの占有の変化が起こり得る。本開示による方法は、例えば、ブロック103に示すように、別のモバイルデバイスによる今後の占有される事前構成済み無線リソース利用を受信することによってそのような状況を防止することを可能にする。いくつかの場合には、本開示による今後とは、空間領域における別のモバイルデバイスによる今後の占有される事前構成済み無線リソース利用の表示の受信後の5秒の期間である。いくつかの場合には、本開示による今後とは、空間領域における別のモバイルデバイスによる今後の占有される事前構成済み無線リソース利用の表示の受信後の3秒の期間である。いくつかの場合には、本開示による今後とは、空間領域における別のモバイルデバイスによる今後の占有される事前構成済み無線リソース利用の表示の受信後の1秒の期間である。いくつかの場合には、本開示による今後とは、空間領域における別のモバイルデバイスによる今後の占有される事前構成済み無線リソース利用の表示の受信後の3RRIの期間である。いくつかの場合には、本開示による今後とは、空間領域における別のモバイルデバイスによる今後の占有される事前構成済み無線リソース利用の表示の受信後の2RRIの期間である。いくつかの場合には、本開示による今後とは、空間領域における別のモバイルデバイスによる今後の占有される事前構成済み無線リソース利用の表示の受信後の1RRIの期間である。
【0040】
いくつかの例では、第1のモバイルデバイスは、第2のモバイルデバイスと通信するときに、継続時間TP(例えば、スロット継続時間又はパケット送信時間)の間にパケットを送信し、同じ事前構成済み無線リソース上で他のパケットを送信する前に所与の継続時間RRIの間待機する。事前構成済み無線リソースは、その後、所与の数の送信に使用される。
【0041】
本開示によるいくつかの例示の方法では、半永続方式すなわちSPSが使用される。SPSは、同じ事前構成済み無線リソースを使用した2つの連続したパケット送信(送信は「予約」と呼ばれる場合もある)の間の時間間隔であるRRIによってパラメータ化される。RRIの例示の値は{20,50,100,200,300,...,1000}ms(ミリ秒)であり、数あるパラメータの中でもモビリティに基づいて選択することができる。いくつかの例では、送信の数N
RRI(再選択カウンターとも呼ばれる)は、同じSPSにおけるRRIに関連付けられる。N
RRIは、以下のルールに従ってランダムに計算される。
【数1】
【0042】
このルールは、N
RRI*RRIに等しいSPS継続時間TSPSが以下のように制限されることを暗に意味する。
【数2】
【0043】
そのような場合に、TSPSの間に、ユーザは、同じ事前構成済み無線リソースにおいてNRRI回の送信を行う。ここで、各送信時間はTPである。例えばLTE(ロングタームエボリューション:long term evolution)では、送信継続時間TPは、1ms(TTI)とすることができる。NR(新無線:new radio)の場合には、継続時間は動的なものとすることができる。
【0044】
NRRI回の送信に達すると、モバイルデバイスは、確率pで同じRRIを有する同じ事前構成済み無線リソースを再利用することもできるし、確率1-pで別のRRIを有する別の利用可能な事前構成済み無線リソースを取り出すこともできる。NRRIの値は、いずれの場合にも、再度取り出すことができる。
【0045】
いくつかの例では、本開示によるリソース選択は、3GPP(登録商標) NR V2X モード2(a)、具体的には「Resource selection procedures for Mode 2(a), in the context of a semi-persistent scheme where resource(s) are selected for multiple transmissions of different TBs and a dynamic scheme where resource(s) are selected for each TB transmission」と題するTR38.885に従う。いくつかの例では、本開示による方法は、本明細書においては長期リソース予約とも呼ばれる半永続方式(SPS:semi-persistent scheme)を適用する。モード2(a)は、例えば、基地局によって到達可能でない車両等のカバレッジ外にあるモバイルデバイスに適用することができる。本開示によるいくつかの例示の方法では、無線リソース割り当ては、(例えば、基地局に)集中されているのではなく分散されている。いくつかの例では、第1のモバイルデバイス等のモバイルデバイスは、送信用のリソースを自律的に選択する。いくつかの例では、長期リソース予約方式は、通信を可能にするために使用される。
【0046】
いくつかの場合には、空間領域における別のモバイルデバイスによる今後の占有される事前構成済み無線リソース利用のそのような表示は、第1のモバイルデバイス、すなわち、例えばブロック101に示すような検知と、例えばブロック102に示すような特定とをハンドリングしていたモバイルデバイスにおいて受信される。そのような場合に、第1のモバイルデバイスは、本開示による一例示の方法の実行をなんとか集中化する。他の場合には、第2のモバイルデバイスは、空間領域における別のモバイルデバイスによる今後の占有される事前構成済み無線リソース利用の表示を受信するモバイルデバイスとすることができる。第2のモバイルデバイスは、第1のデバイスとのその通信においてこの情報を直接考慮することもできるし、この点において関連した該当情報を第1のモバイルデバイスに送信することもできる。他の場合には、第1のモバイルデバイスは、別のモバイルデバイスの第1のグループに関連したそのような表示を受信し、第2のモバイルデバイスは、別のモバイルデバイスの第2のグループに関連したそのような表示を受信し、第1のモバイルデバイス及び第2のモバイルデバイスは、通信するのに使用する事前構成済み無線リソースの選択についてこの情報に依拠する。この情報の受信は、それによって、第1のモバイルデバイス又は第2のモバイルデバイスのうちの一方に限定することもできるし、それらのモバイルデバイス間で分配又は共有することもできる。
【0047】
図1の例のようないくつかの例では、空間領域における別のモバイルデバイスによる今後の占有される事前構成済み無線リソース利用の表示を受信することは、第1のモバイルデバイスと第2のモバイルデバイスとの間の通信の信号に直交する信号を使用して行われる。いくつかの場合には、特定の事前構成済み無線リソースが本開示に従って選択されると、ユーザデータを送信する信号等のいくつかの通信信号を第1の車両と第2の車両との間の通信に使用することができるとともに、特定の事前構成済み無線リソースの選択をもたらす情報に関連した信号等の制御信号は、ユーザデータの通信信号帯域幅を維持するために通信信号に直交させることができる。いくつかの場合には、直交性は、制御信号と通信信号との間の90度位相シフトによって達成される。いくつかの場合には、直交性は、例えば、制御信号用に6GHz未満の周波数とユーザデータ用に30GHzを越える周波数とを使用することによって達成される。いくつかの場合には、直交性は、例えば、制御信号用に1つ以上の特定のRB(リソースブロック)を使用することによって達成される。
【0048】
いくつかの例では、特定のモバイルデバイス識別子(ID)、又は特定のモバイルデバイスモビリティ情報のうちの1つ以上を含む特定のモバイルデバイス(例えば、第1のモバイルデバイス、第2のモバイルデバイス、又はその他のモバイルデバイス)に関連した制御情報は、ユーザデータの送信に使用される信号に直交する信号を使用して、全ての方向に(すなわち、ビームフォーミングなしで)ブロードキャストすることができる。制御情報のそのようなブロードキャストは、第1のモバイルデバイスと第2のモバイルデバイスとの間の通信を初期化することを容易にすることができる。より具体的には、所与の第1のモバイルデバイスIDTxを有する第1のモバイルデバイスは、本開示による一例示の方法を使用して、特定の事前構成済み無線リソースにわたってユーザデータシグナリングを使用して第2のモバイルデバイスIDRxを有する第2のモバイルデバイスにパケット(ユーザデータ)を送信したい場合がある。並行して、第1のモバイルデバイス及び第2のモバイルデバイスは、それらのID、位置及び/又はモビリティ情報のブロードキャスト用に直交スペクトルを使用してSPSを介してリソースを独立して取得することができる。この直交スペクトルは、ユーザデータに使用される特定の事前構成済み無線リソースに直交する。いくつかの例では、第1のモバイルデバイスは、直交スペクトル内の全ての可能なSCIを復号化して、1つ以上の第2のモバイルデバイスによって使用される事前構成済み無線リソースを見つける。第1のモバイルデバイスは、その後、1つ以上の第2のデバイスの更新されたモビリティ情報を取得する。いくつかの例では、直交スペクトルを使用して制御情報をブロードキャストすることは、特定の事前構成済み無線リソースを使用してユーザデータを通信するのに使用される電力よりも少ない電力を使用する。少ない電力を使用することは、より高い空間カバレッジを得ることの助けとなり、電力が少ないほどアンテナ放射は大きくなる。いくつかの場合には、カバーされる角度空間を増加させるために、そのような直交スペクトル用の無指向性放射パターンを有する専用のパネル及びアンテナが設けられる。
【0049】
図1のブロック104に示すように、方法100は、第1のモバイルデバイス又は第2のモバイルデバイスによって、第1のモバイルデバイス及び第2のモバイルデバイスが空間領域において特定のビームを使用して通信するための特定の事前構成済み無線リソースを選択することを含む。特定のビームの使用は、今後の占有される事前構成済み無線リソース利用との空間領域における通信衝突を削減又は防止する。
【0050】
通信衝突の削減又は防止は、時間領域又は空間領域に関係なく周波数領域における特定の周波数を使用することによって達成することができる。しかしながら、この時間領域又は空間領域に関係なく周波数領域における特定の周波数を使用することは、そのような周波数がどの別のモバイルデバイスによっても占有されないことを意味し、これは、通信に利用可能な無線リソースの数を大幅に削減する。利用可能な無線リソースをそれ自体で増大させる時間次元だけでなく、空間次元も導入することによって、衝突のない通信に使用することができる無線リソースの数は大幅に増大する。
【0051】
いくつかの場合には、
図1のブロック104の例に従った選択は、占有される事前構成済み無線リソースと2つの座標(例えば、時間領域及び周波数領域における座標)を共有するが、占有される事前構成済み無線リソースと異なるとともに、今後の占有される事前構成済み無線リソース利用に関連した座標と異なる第3の座標(例えば、空間領域における座標)を使用する事前構成済み無線リソースを選択することを含む。
【0052】
いくつかの例では、占有されるものとして特定された事前構成済み無線リソースと、今後の占有される事前構成済み無線リソースとして示された事前構成済み無線リソースとは、事前構成済み無線リソースマップ上にそのようなものとしてマッピングされる。それによって、そのようなマップは、どの事前構成済み無線リソースが、占有されるものとしても特定されておらず、また、今後の利用についても示されていない利用可能な状態にあるのかを示すことができる。利用可能な状態にあるそのような事前構成済み無線リソースは、選択の候補とすることができる。この選択は、例えば、候補の中から1つ以上の基準を使用して行うこともできるし、ランダムに行うこともできる。例示の基準は、本開示の例によれば、時間領域、周波数領域及び空間領域における特定の事前構成済み無線リソースを選択するために、第1の車両と第2の車両との間の見通し線(LoS:line of sight)と一致するビームに対応する候補を選ぶこととすることができる。
【0053】
例えば、
図1に示すいくつかの場合には、空間領域における特定のビームを使用した第1のモバイルデバイスと第2のモバイルデバイスとの間の通信のための特定の事前構成済み無線リソースを選択することは、第1のモバイルデバイス、第2のモバイルデバイス及び別のモバイルデバイスに関連した見通し線(LoS)情報を考慮する。そのようなLoS情報を使用することによって、第1のモバイルデバイス、第2のモバイルデバイス及び別のモバイルデバイスの相対位置を考慮し、そのようなLoS情報を利用して特定のビームの選択を案内することが実際に可能になる。換言すれば、第1のモバイルデバイスが別のモバイルデバイス及び第2のモバイルデバイスによって囲まれている場合に、第2のモバイルデバイスとのLoSに最もよく一致した第2のモバイルデバイスとの通信用のビームを選択することは、別の車両間の通信が偶然にも同じLoSに沿っていない限り、空間領域において別の車両間の通信と衝突しない可能性が高い。別の車両間の通信が偶然に同じLoSに沿っている場合には、周波数領域における異なる周波数又は時間領域における異なる時間期間のいずれかを使用することによって衝突を回避するとともに、空間領域において衝突する同じビーム又は座標を使用することができる。
【0054】
図1のブロック105に示すように、方法100は、選択された特定の事前構成済み無線リソースを使用して第1のモバイルデバイスと第2のモバイルデバイスとの間で通信することを含む。そのような通信は、それによって、通信衝突リスクを削減又は抑制しながら行われる。
【0055】
本開示による別の例示の方法200を、
図2に示す。方法200は、
図1の例示の方法100と同じブロック101~105を含む。方法200は、第1のモバイルデバイスと第2のモバイルデバイスとの間で通信するための空間領域における今後の占有される事前構成済み無線リソース利用の特定の表示を第1のモバイルデバイス又は第2のモバイルデバイスによって別のモバイルデバイスに送信するブロック206を更に含む。この送信は、第1のモバイルデバイス及び第2のモバイルデバイスの対の一方のメンバー又は双方のメンバーによって別のモバイルデバイスへ行うことができる。この送信によって、別のモバイルデバイスについて、第1のモバイルデバイス及び第2のモバイルデバイスが通信するために使用する今後の特定の事前構成済み無線リソースと衝突しない又は衝突する可能性が低い事前構成済み無線リソースの選択が容易になる。換言すれば、これは、別のデバイスが、ブロック206によるそのような送信を受信することによって第1のモバイルデバイス又は第2のモバイルデバイスのように本発明の方法を適用することができる。
【0056】
図2によって示される例のようないくつかの例では、第1のモバイルデバイスと第2のモバイルデバイスとの間で通信するための空間領域における今後の占有される事前構成済み無線リソース利用の特定の表示を第1のモバイルデバイス又は第2のモバイルデバイスによって別のモバイルデバイスに送信することは、第1のモバイルデバイスと第2のモバイルデバイスとの間の通信用の信号に直交する信号を使用して行われる。
【0057】
図2によって示される例のようないくつかの例では、方法200は、ブロック207によって示すように、第1のモバイルデバイス又は第2のモバイルデバイスによって、それぞれのモバイルデバイス識別子及びそれぞれのモビリティ情報のうちの1つ以上をブロードキャストすることを更に含むことができる。それぞれのモバイルデバイス識別子及びそれぞれのモビリティ情報をブロードキャストすることは、ブロードキャストの受信機(例えば、別のモバイルデバイス等)が、第1のモバイルデバイス又は第2のモバイルデバイス及び関連する軌道を明確に識別することができ、それによって、例えば、そのようなモビリティ情報を事前構成済みリソースの今後の占有に関係付けることができる。モビリティ情報は、例えば、GPS(全地球測位システム:global positioning system)座標又は一連のGPS座標を含むことができる。モビリティ情報は、例えば、ベクトル又は一連のベクトルによって表される変位の量及び方向を含むことができる。そのような情報は、第1のモバイルデバイス、第2のモバイルデバイス、又は双方のモバイルデバイスの今後の軌道を予測することを可能にすることができる。いくつかの例では、そのような軌道は、LoS情報と、本開示による例示の方法による今後のビーム選択情報とをもたらす。
【0058】
いくつかの例では、特定のモバイルデバイスのモビリティ情報は、使用される特定のビーム、又は空間領域において使用される特定の角度若しくは方向等の特定のモバイルデバイスによって使用される事前構成済み無線リソースに関連した情報を含むことができる。いくつかの例では、第1のモバイルデバイス、第2のモバイルデバイス又はその他のモバイルデバイスのうちの任意のものの各特定のモバイルデバイスは、それ自身のアンテナ構成を使用して提供することができる利用可能なビームのそれ自身のリストを含むビームブックを使用することができる。いくつかの場合には、ビームブックは、第1のモバイルデバイス、第2のモバイルデバイス及びその他のモバイルデバイスのうちの1つ以上に共通であり、ビームは、同じ共通のビームブックにおいて同じ共通の方法で全てのそのようなデバイスによって特定することができる。
【0059】
いくつかの例では、第1のモバイルデバイスは、第2のモバイルデバイス識別子(又は別のモバイルデバイスからのモバイルデバイス識別子)を上位レイヤシグナリング、例えば、RRC(無線リソース制御:Radio resource control)、PDCP(パケットデータ収束制御:Packet data convergence control)、RLC(無線リンク制御:Radio link control)、MAC(媒体アクセス制御:Medium access control)又は物理サブレイアのうちの1つ以上から取得する。いくつかの例では、第1のモバイルデバイスが通信すべきモバイルデバイスのモバイルデバイス識別子は、第1のモバイルデバイスに利用可能である。
【0060】
図2に示す例のようないくつかの例では、方法200は、ブロック208に示すように、第2のモバイルデバイス識別子及び第2のモバイルデバイスモビリティ情報のうちの1つ以上を第1のモバイルデバイスにおいて受信すること、又は、第1のモバイルデバイス識別子及び第1のモバイルデバイスモビリティ情報のうちの1つ以上を第2のモバイルデバイスにおいて受信することと、1つ以上の別のモバイルデバイスのそれぞれから識別子又はモビリティ情報のうちの1つ以上を第1のモバイルデバイス又は第2のモバイルデバイスにおいて受信することとを更に含むことができる。そのような情報の受信は、ブロック207によるブロードキャストを反映し、そのような情報は、関係している様々なモバイルデバイスの状況のマップの構築、及び、特に今後についてのそのようなマップの経時的な変化の構築を受信することを可能にし、それによって、起こり得る通信衝突又は現在若しくは将来の空間領域における衝突の特定を容易にする。
【0061】
いくつかの場合には、第1のモバイルデバイスは、1つ以上の第2のモバイルデバイス受信機に以前に「ペアリング」しておくか又は送信側としておくことができ、その第1のモバイルデバイスの軌道意図(trajectory intention)又はモビリティ情報と、第1のモバイルデバイスにペアリングされた全ての第2のモバイルデバイス受信機の軌道意図又はモビリティ情報とをシグナリングする。LoSベースのビームフォーミングを使用するいくつかの例では、別のモバイルデバイスの他の送信機モバイルデバイスは、シグナリングされた時間量の間、この送信機の第1のモバイルデバイスの空間占有を予測することができる。その受信機と以前に「ペアリング」されているそのような第1のモバイルデバイスは、各受信機の軌道を推定することができる。そのような第1のモバイルデバイスは、その後、それ自身の軌道意図又はモビリティ情報と、その受信機(第2のモバイルデバイス)の軌道意図又はモビリティ情報及び関連した選択されたビーム又は角度とをシグナリング又はブロードキャストすることができる。
【0062】
いくつかの例では、SCI(サイドリンク制御情報)に含まれるモビリティ情報は、PSCCH(物理サイドリンク制御チャネル)に収容されて送信することができる。以下の表のようないくつかの例では、後続のフィールド、例えば、送信バイルデバイスとしての第1のモバイルデバイスに対応するTx、及び受信デバイスとしての1つ以上の第2のモバイルデバイスに対応するRx(N)を使用することができる。Nは1以上の値を有する整数であり、x(t)及びy(t)は、時刻tにおける地理的座標を表す。
【表2】
【0063】
以下の表のような他の例では、後続のフィールド、例えば、送信バイルデバイスとしての第1のモバイルデバイスに対応するTx、及び受信デバイスとしての1つ以上の第2のモバイルデバイスに対応するRx(N)を使用することができる。Nは1以上の値を有する整数であり、x(t)、y(t)及びz(t)は、時刻tにおける地理的座標を表し、z座標は、例えば、高さ又は高度に対応する。そのような例では、コンテンツは、特定の時刻に対応することができ、この時刻は周期的でない場合がある。そのような例では、コンテンツは、スカラー、例えば角度、又は座標等のベクトルとすることができるK個の構成要素に対応することができる。他の例(図示せず)では、フィールドの各コンテンツ値に対応する様々なt
1~t
kの時刻は、異なるRx(N)について異なるものとすることができる。
【表3】
【0064】
いくつかの場合には、例えば、方法100若しくは200、又は本開示による他の方法のうちのいずれか1つに関して、複数の事前構成済み無線リソースの検知及び特定の事前構成済み無線リソースの選択は、ルールを使用して選択的にトリガーされる。ルールの使用は、例えば、本開示の方法を種々の状況に適合させることを可能にする。一例において、例えば、モバイルデバイスが、例えば高速道路上の密集度の低いエリアにおいて安定した軌道を有することに起因して、事前構成済み無線リソースの今後の占有を比較的長い期間にわたって予測することができる場合には、本開示による方法は、所与の第1のモバイルデバイスについて相対的に低い頻度(例えば、5秒ごとに多くとも1回)で反復することができる。いくつかの例では、軌道の急激な変化と高密度の別のモバイルデバイスとにさらされる交通量の多い都市中心エリア等では、本開示による方法は、相対的に高い頻度(例えば、1秒ごとに1回以上)で反復することができる。いくつかの例では、本開示による方法は、少なくとも20ms(ミリ秒)ごとに1回、ルールに従って反復される。いくつかの例では、本開示による方法は、少なくとも50msごとに1回、ルールに従って反復される。いくつかの例では、本開示による方法は、少なくとも100msごとに1回、ルールに従って反復される。いくつかの例では、本開示による方法は、少なくとも200msごとに1回、ルールに従って反復される。いくつかの例では、本開示による方法は、少なくとも500msごとに1回、ルールに従って反復される。いくつかの例では、本開示による方法は、少なくとも1000msごとに1回、ルールに従って反復される。いくつかの例では、本開示による方法は、多くとも1秒ごとに1回、ルールに従って反復される。いくつかの例では、本開示による方法は、多くとも5秒ごとに1回、ルールに従って反復される。ルールは、選択と通信との間の相対頻度を指示することもできる。いくつかの例では、選択は、通信と同じ頻度で行われ、それによって、例えば、動的な環境適合された通信とともに含まれる送信が行われるごとに特定の無線リソースを選択することが可能になる。他の状況では、選択は、通信よりも少ない頻度で行うことができ、選択は、例えば、条件付きで行われ、例えば、検知動作中に検出される占有の変化が起こった場合に行われる。いくつかの例では、検知は、方法が適用される時間の大部分の間で行われる。いくつかの例では、検知は、方法が適用される時間の95%よりも多くの間で行われる。いくつかの例では、検知は、方法が適用される時間の80%よりも多くの間で行われる。
【0065】
いくつかの例では、本開示による方法に従った事前構成済み無線リソースの選択は、RRIよりも低い時間粒度で行われる。いくつかの例では、そのような粒度は、本開示によるルールによって、例えば、モバイルデバイスモビリティ又は無線状態の関数として動的に決定することができる。
【0066】
いくつかの例では、ルールは、n番目のRRIの後、第1のモバイルデバイス等の送信機が、特定の事前構成済み無線リソースと周波数領域及び時間領域において同じ周波数及び時間を共有する事前構成済み無線リソースを検知し続けることを実施することができ、全てのビーム、又はそのビームブックの全てのビームについてこれを行うことができる。n≧1であり、nは整数である。そのようなビームブックは、第1のモバイルデバイスの有限個の事前構成済みビームを含む。第1のモバイルデバイスは、その後、(n+1)番目のRRIの終了前に他のパケットの送信用の適切なビームを選択することができる。
【0067】
いくつかの例では、送信機の第1のモバイルデバイスは、NRRI個の連続した送信を与えられ、検知に進んで、モビリティ情報を考慮することなく適切な事前構成済み無線リソースを評価するか、又は、受信機の第2のモバイルデバイスの移動の予測を続行し、その移動に従ってビームを変化させる(すなわち、無線リソースの空間座標を変化させる)一方、無線リソースの時間領域及び周波数領域の座標は変化させずに維持する。モバイルデバイスモビリティ情報が与えられると、選択された事前構成済み無線リソースは、送信機及び受信機(第1のモバイルデバイス及び第2のモバイルデバイス)の数にとって或る時点においては適切であり得るが、別の時点においては適切でない場合があり、及び/又は、例えば他の通信モバイルデバイス対との通信衝突を引き起こす傾向さえあり得る。例示の方法は、実際にそれによって、周期的に反復することができる。
【0068】
図2に示す例のようないくつかの例では、方法200は、選択された特定の事前構成済み無線リソースと受信された今後の占有される事前構成済み無線リソース利用との間で起こり得る今後の通信衝突を、第1のモバイルデバイスによって検出することと、衝突の検出に応答して、第1のモバイルデバイスと第2のモバイルデバイスとの間で通信するために代替の特定の事前構成済み無線リソースを選択することと、及び/又は衝突時間中に通信を一時停止することと、のうちの1つ以上を続行することとを更に含むことができる。そのような挙動は、別の選択肢を選択するときに、そうでなければ衝突の対象となる無線リソースを変更することによって衝突を回避すること、又は、起こり得る衝突の時間窓の間送信を停止することを可能にする。いくつかの場合には、ルールは、最初に通信を一時停止することを決定し、その後、例えば、衝突時間が所定の閾値を越えた場合に別の選択肢を選択することを決定する。
【0069】
いくつかの場合、例えば、緊急メッセージを送信する緊急事態では、衝突又は通信衝突リスクを無視することができ、本開示による方法は、無線リソースを先取りするために使用されない場合がある。
【0070】
本開示による別の例示の方法300を、
図3に示す。そのような方法300は、
図1の例示の方法100又は
図2の例示の方法200と同じブロック101~105を含む。本明細書によって説明される異なる方法の様々なブロックは、異なる方法で実際に組み合わせることができる。方法300は、選択基準を使用して周囲のモバイルデバイスのグループから別のモバイルデバイスを選択するブロック309を更に含む。周囲のモバイルデバイスのグループからの別のモバイルデバイスのそのような選択は、特に、周囲のモバイルデバイスの数が比較的多いとき、例えば、ほぼ100個又はそれ以上のモバイルデバイスであるときに、本開示による方法を段階的に行うことができ、過度に長い又は複雑な計算動作を回避することができる。周囲のモバイルデバイスとは、第1のモバイルデバイスが、事前構成済み無線リソースを使用して通信するときに、そのような周囲のモバイルデバイスを検知することができる。考慮対象の周囲のモバイルデバイスは、第1のモバイルデバイス又は第2のモバイルデバイスと同期される。周囲のモバイルデバイスは、いくつかの場合には、第1のモバイルデバイスから1km未満に位置することができる。いくつかの場合には、周囲のモバイルデバイスは、第1のモバイルデバイスから0.5km未満に位置することができる。いくつかの場合には、周囲のモバイルデバイスは、第1のモバイルデバイスから200m未満に位置することができる。いくつかの場合には、周囲のモバイルデバイスは、第1のモバイルデバイスから100m未満に位置することができる。いくつかの場合には、周囲のモバイルデバイスは、第1のモバイルデバイスから50m未満に位置することができる。いくつかの場合には、周囲のモバイルデバイスは、第1のモバイルデバイスから20m未満に位置することができる。いくつかの場合には、周囲のモバイルデバイスは、第1のモバイルデバイスから10m未満に位置することができる。いくつかの場合には、周囲のモバイルデバイスは、第1のモバイルデバイスから5m未満に位置することができる。
【0071】
図3に示すようないくつかの例では、ブロック309の基準は、各周囲のモバイルデバイスと第1のモバイルデバイスとの間の距離又はSINRのうちの1つ以上を含む。距離に関連した基準を使用するとき、別のモバイルデバイスは、第1のモバイルデバイスに最も近い周囲のモバイルデバイスとすることができる。近接性は、例えば方法200のブロック207及び208に示すように、例えばモビリティ情報を利用して評価することができる。いくつかの例では、基準は、各周囲のモバイルデバイスと第1のモバイルデバイス又は第2のモバイルデバイスとの間の距離を含み、別の各モバイルデバイスと第1のモバイルデバイス又は第2のモバイルデバイスとの間の距離は閾値未満の距離である。いくつかの例では、閾値は約50メートルである。いくつかの例では、閾値は約100メートルである。いくつかの例では、閾値は約200メートルである。いくつかの例では、閾値は約500メートルである。SINRを基準として使用するとき、考慮対象の別のモバイルデバイスは、例えば、比較的高いSINRを有するモバイルデバイス、例えば、SINR閾値を上回るSINRを有するモバイルデバイスとすることができる。
【0072】
いくつかの例では、選択された別のモバイルデバイスの数が経時的に増加するにつれて、選択基準は経時的に変化する。このような進行は、例えば、第1の車両を取り囲むエリアが特にモバイルデバイスで混雑している状況において過度の複雑さを回避するために、周囲の車両の漸進的な処理を可能にする。いくつかの例では、第2のモバイルデバイスと通信するための送信電力は、閾値を越えて位置するモバイルデバイスとの通信衝突を回避するように設定される。いくつかの例では、送信電力は、本開示の方法に則した別のモバイルデバイスでない周囲のモバイルデバイスとの衝突を回避するために、閾値未満に下げられる。そのような例は、長期リソース予約の階層的空間多重化(layered spatial multiplexing)の例である。
【0073】
図4は、本開示による一例示のモバイルデバイス400を示している。このモバイルデバイスは、オペレーティングシステムによって管理される計算用の電子回路を備えるプロセッサ401と、プロセッサ401等のプロセッサによって使用される情報を記憶する集積回路を備えるメモリ402と、デバイス又はネットワーク上のノードの間の通信及びインタラクション用のネットワークモジュール又は通信デバイス403とを備える。モバイルデバイス400は、ビームフォーミング、又は空間領域における多重化を可能にする複数のアンテナ410~412も備える。ビームフォーミングは、建設的干渉及び相殺的干渉を組み合わせることによって空間フィルタリング又は指向性の信号送信若しくは信号受信を可能にする。モバイルデバイス400は、本開示による方法のうちの任意のものに従って動作するように適合されたプロセッサ401を備える第1のモバイルデバイスとして動作するように構成することができる。いくつかの場合には、モバイルデバイスは、本開示において述べたように直交信号用に構成される無指向性アンテナを更に備えることができる。
【0074】
図4は、例えばノードメモリ又は記憶ユニット402等の非一時的機械可読記憶媒体又はコンピュータ可読記憶媒体も示している。この非一時的機械可読記憶媒体は、プロセッサ401等のプロセッサによって実行可能な命令404を用いてコード化されている。この機械可読記憶媒体は、本明細書によって説明された例示の方法のうちの任意のものに従って動作するようにプロセッサ401を動作させる命令404を含む。
【0075】
本開示によるコンピュータ可読記憶装置は、実行可能命令を記憶する任意の電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光記憶デバイス又は他の物理記憶デバイスとすることができる。コンピュータ可読記憶装置は、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリーメモリ(EEPROM:Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、記憶ドライブ、及び光ディスク等とすることができる。本明細書によって説明されるように、コンピュータ可読記憶装置は、本明細書によって説明される方法による実行可能命令を用いてコード化することができる。
【0076】
記憶装置又はメモリは、本明細書によって説明されるような実行可能命令を記憶する任意の電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光記憶デバイス又は他の物理記憶デバイスを含むことができる。