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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-27
(45)【発行日】2024-10-07
(54)【発明の名称】生検器具、部品キットおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/02 20060101AFI20240930BHJP
   A61B 10/04 20060101ALI20240930BHJP
【FI】
A61B10/02 110K
A61B10/04
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022560343
(86)(22)【出願日】2020-04-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-05
(86)【国際出願番号】 EP2020060041
(87)【国際公開番号】W WO2021204376
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】518319908
【氏名又は名称】ビブインストゥルメンツ アーべー
【氏名又は名称原語表記】BibbInstruments AB
【住所又は居所原語表記】Scheelevagen2 223 63 LUND Sweden
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【氏名又は名称】白井 達哲
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ ヴァルテル
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ディムリング
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ ヴァルテル
【審査官】後藤 昌夫
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0123920(US,A1)
【文献】特表2015-533524(JP,A)
【文献】特表2018-500072(JP,A)
【文献】国際公開第2019/155472(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 10/00-10/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生検器具と
モータを含む操作ユニットと、
を備え、
前記生検器具は、幾何学的中心軸に沿って、近位端から遠位端へ延びる細長中空管状外側部材と、前記幾何学的中心軸に沿って、近位端から遠位端へ延びるベース部材と、を含み、
前記ベース部材の遠位端は、細長中空管の形状であり、前記ベース部材の前記遠位端における前記細長中空管は、生検組織が得られる組織中に少なくとも部分的に挿入されることを意図し、
前記ベース部材は、前記細長中空管状外側部材の内部に配置され、前記細長中空管状外側部材に対して回転動作および並進移動が独立に可能であり、
前記幾何学的中心軸に沿った前記ベース部材の前記近位端の動きが、前記幾何学的中心軸に沿った前記ベース部材の前記遠位端の動きに伝達され、前記ベース部材の前記近位端においてモータにより前記幾何学的中心軸周りに加えられる回転およびトルクが、前記ベース部材の前記近位端から前記ベース部材の前記遠位端に伝達され、これにより、前記ベース部材の前記遠位端が前記幾何学的中心軸周りに回転するように前記幾何学的中心軸周りのトルクが伝達されるように、前記ベース部材は、前記幾何学的中心軸に沿って力を伝達することが可能であり、
前記細長中空管は、前記ベース部材の前記近位端において回転およびトルクを加える前記モータにより、前記細長中空管状外側部材の内部において、前記細長中空管状外側部材に対し、前記幾何学的中心軸周りに回転させられながら、前記幾何学的中心軸に沿った前記ベース部材の前記近位端の動きにより、前記細長中空管状外側部材の遠位端の外へ前進し、前記細長中空管状外側部材の中へ引き戻すことが可能であり、
前記細長中空管は、前記細長中空管の前記遠位端の口を画する外向き円形刃先を有し、 前記細長中空管の遠位端において、前記細長中空管は、滑らかな内面を有する細長中空管状のサンプル取得部を有し、
前記ベース部材の前記近位端は、前記モータにより前記ベース部材の前記近位端に加えられる回転およびトルクが、前記ベース部材により前記ベース部材の前記遠位端において前記細長中空管に伝達できるように構成され、
前記細長中空管が前記細長中空管状外側部材の前記遠位端の外に前進し、前記細長中空管状外側部材中に引き戻される間、前記モータは、前記ベース部材の前記近位端に回転およびトルクを加えることにより、前記細長中空管状外側部材の内部において、前記細長中空管状外側部材に対する前記幾何学的中心軸周りの前記細長中空管の少なくとも、13000rpmの回転速度における回転を与えるように構成され、部品キット。
【請求項2】
前記回転速度は、13000rpmと25000rpmとの間である、請求項1記載の部品キット。
【請求項3】
前記サンプル取得部の内側もしくは外側表面は液密であり、前記ベース部材の前記内側もしくは外側表面の全長は、液密である、請求項1または2に記載の部品キット。
【請求項4】
前記外向き円形刃先が成形され、前記幾何学的中心軸に沿って見た時、前記滑らかな内面が前記外向き円形刃先の最遠位端に延びるように、前記滑らかな内面は、前記外向き円形刃先に接続される、請求項3記載の部品キット。
【請求項5】
前記ベース部材における前記細長中空管の前記外向き円形刃先および前記遠位端は、基準生検組織を取得する時、前記ベース部材の近位端を少なくとも13000rpmの回転速度でモータ駆動することにより回転させられながら、前記幾何学的中心軸に沿って組織中に前進するように構成され、これにより、前記細長中空管の前記前進に起因して、前記細長中空管の口を通して、前記細長中空管の前記サンプル取得部中に入り、前記サンプル取得部の前記滑らかな内面に少なくとも部分的に当接する円周外面を有する前記組織のコアが切断され、その後、前記細長中空管は、前記ベース部材の近位端においてモータ駆動されることにより、少なくとも13000rpmの回転速度で回転しながら、前記組織から引き戻され、これにより、前記組織の前記コアは、前記細長中空管の前記引き戻しに起因すると共に、前記滑らかな内面と前記コアの前記円周外面との間の界面において形成され、前記滑らかな内面を有する前記サンプル取得部内に前記コアを保持する接着力に起因する引張力により前記組織から切り離され、前記滑らかな内面を有する前記サンプル取得部内に前記コアを保持する、請求項1乃至4のいずれか1つに記載の部品キット。
【請求項6】
前記滑らかな内面は、医療グレードのステンレス鋼で形成される時は、1.5μm未満、ポリマーベース材料で形成される時には、6μm未満のRa値の表面粗さを有する、請求項1乃至5のいずれか1つに記載の部品キット。
【請求項7】
前記滑らかな内面は、ポリマーベース材料で形成される請求項1乃至6のいずれか1つに記載の部品キット。
【請求項8】
前記ベース部材は、前記ベース部材の前記近位端から前記遠位端へ延びる細長中空管状内側部材を含む、請求項記載の部品キット。
【請求項9】
前記滑らかな内面を形成する前記ポリマーベース材料は、前記細長中空管状内側部材中に挿入され、前記細長中空管状内側部材の内面に付設される管状膜として設けられる、請求項8記載の部品キット。
【請求項10】
前記細長中空管状内側部材は、前記ベース部材における前記幾何学的中心軸に沿った前記近位端の動きが前記幾何学的中心軸に沿った前記遠位端の動きに伝達されるように、前記幾何学的中心軸に沿って力を伝達し、前記近位端において前記モータにより加えられる前記幾何学的中心軸周りの回転およびトルクが前記近位端から前記遠位端に伝達され、これにより、前記遠位端を前記幾何学的中心軸周りに回転させるように、前記幾何学的中心軸周りのトルクを伝達することが可能な中空金属ワイヤロープを含む、請求項8または9に記載の部品キット。
【請求項11】
前記細長中空管状内側部材は、その遠位端において、前記外向き円形刃先を有する、請求項8乃至10のいずれか1つに記載の部品キット。
【請求項12】
前記細長中空管状外側部材は、中空金属ワイヤロープを含む、請求項1乃至11のいずれか1つに記載の部品キット。
【請求項13】
前記ベース部材は、その近位端において、モータへの接続は、分離可能な接続のためのコネクタを有し、前記コネクタは、前記幾何学的中心軸に沿った前記動き、および、前記回転およびトルクを伝達可能である、請求項1乃至12のいずれか1つに記載の部品キット。
【請求項14】
前記組織の前記コアは、せん断力および/または前記引張力により前記組織から分離される、請求項5記載の部品キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生検器具に関する。本発明は、部品キットにも関する。本発明は、生検組織を取得する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
生体組織検査は、医師により一般的に行われる医療検査であり、検査のために細胞または組織をサンプリングすることを含む。生体組織検査は、患者の体内に内視鏡を介して挿入される生検器具を用いて頻繁に実施される。今日では、多種多様な内視鏡生検器具が市販されているが、その大部分は、組織サンプルをつまみとる生検鉗子、もしくは、減圧して細胞を吸引する細針である。
【0003】
いくつかの診断目的には、前述の生検鉗子を用いて採取されるミリメートルサイズのサンプルで十分であるとしても、このような小さく表面的なミリメートルサイズのサンプルは、比較的深い病変や深く成長した腫瘍など、いくつかのタイプの病変や腫瘍の診断には適しない。細針は、多くの場合、より深い腫瘍に到達することが可能であるが、分散した細胞のうちの少量しか取得できないため、診断能力を制限する。
【0004】
内視鏡生検器具で組織サンプルを採取する場合、生検器具は内視鏡の作業チャネルに挿入され、生検部位に進められる。組織サンプルを取得した後、病理医による検査のために組織サンプルを保存ユニットに入れることができるように、内視鏡生検器具は、内視鏡から引き戻される。
【0005】
今日では、生体組織検査は、腫瘍性増殖の悪性度を検査するための主要な診断ツールである。癌治療の方法が改善され、洗練されるにつれて、診断に必要な生体組織検査の回数は増加している。最適な治療法が決定される前に、悪性細胞の広がりと密度を評価する必要があり、例えば、喉頭がんや食道がんの診断には、20~30回の生体組織検査を要し、患者と医師の両方にとって、時間を消費する不便なプロセスとなっている。それとは別に、生検鉗子により患者の体から組織サンプルを分離することは強い痛みを伴い、組織サンプルを損傷し、組織サンプルの評価をより困難にするリスクがある。細針によれば、日常の組織学的方法では準備できない少量の細胞を得ることができるが、一般的には、より高度な超音波内視鏡装置も必要となる。
【0006】
この観点から、複数の生体組織のための保存管腔を備えた鉗子の一種を有する内視鏡生検器具を開示したWO201166470に言及できる。生体組織は、サンプルを回収する場合に用いられる吸引により、吸引側の保存管腔に送られる。
【0007】
しばしば使用される別の技術では、遠位端が閉じ、代わりに、遠位端に近い円周面に開口を有する針が提供される。そのような針では、円周面の開口内に組織の一部を吸い込む吸引が用いられる。針の内側には、開口を前後に通過する往復切断ツールが設けられ、組織の円周面の内側に位置する部分を切断する。この技術は、例えば、US20100152756およびUS20060074343に例示されている。
【0008】
WO200197702には、外針またはカニューレが組織に挿入され、病変と接触し、カニューレの近位端における連続吸引により、病変をカニューレの遠位端に固定する生検器具が開示されている。所定位置に病変を保持する吸引力を維持しながら、生検針または凍結プローブなどの第2の医療装置を、生検器具の近位端の気密シールおよびカニューレを介して病変まで挿入する。また、US2013/0223702A1は、鉗子、オージェ、または、組織サンプルを器具内に引き込む真空を用いる様々な種類の生検器具を開示している。
【0009】
上記の開示に係る技術の問題は、また、それらが吸引に依存し、器具を複雑にしていることである。
【0010】
したがって、簡単で堅牢な設計が可能であり、診断に十分な量の組織サンプルを短時間に取得できる生検器具を有することは有益である。さらに、生検器具が提供する組織サンプルがコヒーレントであれば有益であろう。
【発明の概要】
【0011】
本発明の目的は、簡単で堅牢な設計を可能にし、診断に十分な量の組織サンプルを短時間で取得することが可能な生検器具を提供することである。
【0012】
この目的は、生検器具と、モータを含む操作ユニットと、を備える部品キットにより達成される。
生検器具は、幾何学的中心軸に沿って近位端から遠位端まで延在する細長中空管状外側部材と、幾何学的中心軸に沿って近位端から遠位端まで延在するベース部材と、を含む。少なくともベース部材の遠位端は、細長中空管の形状を有し、ベース部材の遠位端における細長中空管は、生検組織を取得する組織内に、少なくとも部分的に挿入されるように意図され、
ベース部材は、細長中空管状外側部材の内部に配置され、細長中空管状外側部材に対して、回転および並進移動が独立に可能であり、
ベース部材は、幾何学的中心軸に沿ったベース部材の近位端の動きが、幾何学的中心軸に沿ったベース部材の遠位端の動きに伝達されるように、前記幾何学的中心軸に沿って力を伝達可能であり、ベース部材の近位端においてモータにより加えられる幾何学的中心軸周りの回転およびトルクがベース部材の近位端からベース部材の遠位端に伝達され、ベース部材の遠位端を幾何学的中心軸周りに回転させるように、幾何学的中心軸周りのトルクを伝達することができ、
細長中空管は、ベース部材の近位端において回転およびトルクを加えるモータにより、細長中空管状外側部材の内部において、細長中空管状外側部材に対し、幾何学的中心軸回りに回転しながら、幾何学的中心軸に沿ったベース部材の近位端の動きにより、細長中空管状外側部材の遠位端から外に前進し、且つ、細長中空管状外側部材の遠位端内に引き戻されることができ、
細長中空管は、細長中空管の遠位端における口を画する外向き円形刃先を有し、
細長中空管の遠位部において、細長中空管は、滑らかな内面を有する細長中空管状サンプル取得部を有し、
回転およびトルクがモータによりベース部材の近位端に加えられ、ベース部材の遠位端の細長中空管にベース部材により伝達されるように、ベース部材の近位端は、モータに接続されるように構成され、
モータは、細長中空管が細長中空管状外側部材の遠位端から外側へ前進し、細長中空管状外側部材内に引き戻される間に、ベース部材の近位端に回転およびトルクを加えることにより、細長中空管状外側部材の内部において、細長中空管状外側部材に対する細長中空管の幾何学的中心軸周りの回転を提供するように構成される。少なくとも13000rpmの回転速度において、ベース部材は柔軟であり、細長中空管状外側部材は柔軟である。
【0013】
部品キットは、従来の生検器具に比べて、診断に十分な量の組織サンプルを比較的短時間で取得できる点で有利である。部品キットは、生検器具もしくは器具と呼ぶこともできる。そのような例では、上記の生検器具と呼ばれる部分は、例えば、生検器具の使い捨て部分と称されてもよい。部品キットは、生検システムと呼ばれても良い。それらの器具は、事前のサンプルの回収を必要としないで、直接的に、複数の組織サンプルを順次取得できる。
【0014】
生検組織が取得される時、細長中空管の刃先および遠位端は、その近位端におけるモータ駆動により少なくとも13000rpmの回転速度で回転しながら、幾何学的中心軸に沿って組織内に前進するように構成される。これにより、細長中空管の前進により、細長中空管に対して、その口を通って細長中空管のサンプル取得部中に入り、コアの円周外面が少なくとも部分的にサンプル取得部の滑らかな内面に当接する組織のコアが切断される。その後、細長中空管は、その近位端におけるモータ駆動により少なくとも13000rpmの回転速度で回転しながら、組織から引き抜戻される。これにより、組織のコアは、細長中空チューブの引き戻しに起因し、且つ、サンプル取得部の滑らかな内面とコアの円周外面との間の界面に形成され、サンプル取得部内にコアを保持する接着力に起因した引張り力により組織から分離される。
【0015】
遠位端が2回目に組織内に前進するとき、第1のサンプルは、第2のサンプルのコアにより、制御された方法で、近位端に向かって中空管内にさらに押し込まれる。中空管が滑らかな内面を有するということは、滑らかな表面および組織内の液体の存在に起因して、コアが中空管の内部に密着し、サンプルの損傷を最小限に抑えながらサンプルを取得することを可能とし、さらに、刃先および遠位端を回転させながら組織に出し入れし、これにより、患者の不快感を軽減することを可能としている。コアが細長管状部材の内側に密着されるので、コアは、細長管状部材の口においてねじられ、せん断力および/または張力によりサンプル部位から分離される。従来の生検器具に比べると、本発明に係る生検器具は、回転させながら組織へ出し入れすること、および、サンプルに損傷を与えることをさらに回避することを組み合わせるのが難しいという欠点を有するフックなどを、器具の内部に必要としない。本発明に係る生検器具がサンプルに優しいということは、さらに、各サンプルが、一意的に識別可能、さらに、損傷を受けないか、もしくは、コヒーレントであるように、制御された方法でサンプルを回収することを可能にする。これにより、医師は、それぞれのサンプルの層序および/または位置によって提供される情報を保有でき、また、生体検査によって提供されるデータ量を増やすために使用され、最終的に提供される前記診断の精度を高めることができる。
【0016】
ベース部材が細長中空管状外側部材に対して独立して回転および並進移動可能であるという文言は、回転が並進移動から独立しており、またその逆であるという事実に言及することを意図していることに留意すべきである。
【0017】
上記において、基準サンプルに言及していることを留意すべきである。生検器具は、実際の生体組織サンプリングにおいて、多くの異なる方法に従って使用できるので、基準サンプルに言及したこの留意点は、滑らかさの基準を定義する場合に用いられる。例えば、上記に言及され、図3図5に例示されるように生検器具が実際に使用される方法、すなわち、遠位端が組織内にある距離だけ前進した後、引き戻される1つの方法にしたがって使用できる。しかしながら、図13a~図13cおよび図14a~図14cに例示されているように、生検器具が生体組織を取得する組織の表面に沿って移動する別の方法にしたがって使用されてもよい。図3および4に示すユーザ方式では、遠位端が組織中に完全な円周を有して挿入されるという意味で、遠位端は、組織に完全に挿入され、これにより、組織からコアを分離するために必要な破断力よりも大きな粘着力が形成される。図13a~図13cおよび図14a~図14cに示される方法では、遠位端の全円周の一部のみが組織に挿入されるという意味で、遠位端は、組織に部分的にのみ挿入される。表面の滑らかさは、両方の方法において利点を有するが、滑らかさにより与えられる粘着力は、上記に言及した基準サンプリングの実施において、組織の残りの部分からのコアの分離により、明確に表され、観察可能である。なお、基準サンプルは、健康な組織で実施されるサンプルに言及していることに留意すべきである。
【0018】
中空管は、例えば、幾何学的中心軸に沿ったある長さを有するように伸長することが好ましく、遠位端から近位端に向かう長さに沿って滑らかな表面を有し、上記開示に類する基準サンプルを、少なくとも2つ、好ましくは、少なくとも3つ、順次取得することが可能な長さを少なくとも有するように伸長する。
【0019】
ベース部材および細長中空管状外側部材は、曲げの観点から柔軟であり、これにより、生検器具は、内視鏡で使用するための生検器具に通常必要とされる、様々な経時変化する形状を有する幾何学的中心軸に沿って延びることができる。内視鏡で使用するためのこのような柔軟な生検器具は、内視鏡生検器具と呼ばれることがある。少なくとも13000rpmの回転速度を与えることは、比較的高い回転速度により、比較的鈍い刃先を組織に効果的に貫通させることを可能とし、ベース部材の回転が細長中空管状外側部材から延出するベース部材の遠位端の一部を安定化するため、ベース部材および細長中空管状外側部材が曲げの観点から柔軟である設計に特に有用である。比較的鈍い刃先を有することが可能であるということは、特に、細長中空管状外側部材が柔軟であり、比較的鋭く曲げられる場合に、刃先が細長中空管状外側部材の内側に引っ掛かる危険性を低減するので、有利である。好ましくは、刃先は鈍い刃先である。比較的鈍い刃先を有することが可能であるということは、回転が開始される前に刃先が組織を誤って切断する危険性を低減するので有利である。好ましい実施形態によれば、回転速度は、13000rpmから25000rpmの間であってもよい。この上限は、とりわけ機械的制約に依存する。いくつかの実施形態では、30000rpmのような高い上限が可能であろう。さらに、ここに記載の実施形態では、より高い回転速度における改善された効果は、現在、得られていないが、本発明の他の設計または実施形態では達成される可能性がある。 より好ましい実施形態によれば、回転速度は13000rpmから20000rpmの間である。所望の切断効果を達成するためには、組織に対する回転速度は、少なくとも13000rpmであることに留意すべきである。しかしながら、実用的な観点からは、細長中空管状外側部材が操作ユニットのハウジングに接続され、ベース部材がモータに接続されるため、ベース部材の回転速度も、細長中空管状外側部材に対して、少なくとも13000rpmである。
【0020】
代替例によれば、ベース部材および細長中空管状外側部材は、曲げの観点から剛性を有し、直線に沿った幾何学的中心軸と共に延びてもよいことに留意すべきである。 このような剛性器具は、通常、別個の生検器具として使用される。したがって、通常、内視鏡と組み合わせて使用されることはない。そのような器具の例は、図23図25および図26a~図26bに示されている。これに関連して、そのような器具では、柔軟な器具に用いられる回転速度よりも低い回転速度を用いることが想定されることに留意すべきである。 したがって、ベース部材および細長中空管状外側部材は、剛性を有してもよく、モータは、少なくとも3000rpmの回転速度を提供するように設計される。
【0021】
ベース部材がモータにより細長中空管状外側部材に対して回転できるように、細長中空管状外側部材は、モータ以外の操作ユニットの一部に接続されることに留意すべきである。細長中空管状外側部材は、例えば、ハウジングに接続されてもよいし、伸縮機構を介してハウジングに接続されてもよい。伸縮機構は、細長中空管状外側部材が伸縮機構によって画定される範囲内においてハウジングに対して並進移動することを可能とする。伸縮機構は、細長中空管状外側部材を手で回転させ、細長中空管状外側部材の角度方向を調整できるように、細長外側中空管状部材をハウジングに対して回転可能にできることに留意すべきである。そのような調整は、例えば、細長中空管状外側部材の円周に沿って見たとき、細長中空管状外側部材の遠位端が様々な形状のストッパーを有するとすれば興味深いであろう。しかしながら、細長中空管状外側部材の近位端は、ハウジングに対して少なくとも半静止状態になるように、すなわち、ハウジングに対してどのモータによっても回転されないように操作ユニットに接続される。細長中空管状外側部材が組織に対して高速で回転するとすれば容易に発生するであろう、偶発的な組織の損傷を生じさせないように、細長中空管状外側部材は、組織に対して静止していることが有利である。ここで、ベース部材の細長中空管が組織内に前進する間、および、細長中空管状外側部材内に引き戻される間においても、ベース部材の細長中空管が細長中空管状外側部材の外へ進む前において、ベース部材の細長中空管を高回転速度で回転させられる器具であることが有利であることに留意すべきである。ベース部材の内側に配置されるように構成され、生検器具の挿入中に、ベースの遠位端で中空管の開口部を閉じるように構成された取り外し可能な内側部材を設けることも考えられることに留意すべきである。これにより、中空管内への組織の不要な充填を防止できる。取り外し可能な内側部材は、生検器具を挿入する間、細長中空管状外側部材の遠位開口を閉じるように構成されてもよい。これにより、細長中空管状外側部材への組織の望ましくない充填を防止できる。
【0022】
なお、前進および引き戻しの間における回転方向は、同じであってもよいが、同じである必要はないことに留意すべきである。例えば、ベース部材が、一方向の回転におけるトルク伝達において、反対方向の回転におけるトルク伝達能力に比べて、高い強度を有すれば、同じ回転方向であることが有利である。トルク伝達能力のそのような違いは、例えば、ベース部材が、ワイヤロープや中空ワイヤロープなどのワイヤとして設計される場合に生じるであろう。1つの回転方向において、ワイヤの巻線は、硬く締まる性質があり、巻線を硬く締め付けるようにトルクを伝達する場合、ワイヤは、通常、より高強度になる。組織から器具を介して使用者へフィードバックされるいかなる感触も、通常、組織に由来し、異なる回転方向および/または回転速度に対する組織と細長中空管との間の特定の相互作用の違いに影響されないため、ベース部材の細長中空管を組織内に前進させている間、および、組織から後退させている間、回転が同じ回転方向に維持され、好ましくは、同じか、または、少なくとも同じような回転速度に維持されるとすれば、使用者の観点から有利である。
【0023】
サンプル取得部の内面または外面は、液密性であることが好ましい。これは、細長中空管を組織から引き抜く間、組織コアの外皮表面との間に接着力を形成する場合に有益である。引張力を受けたときの組織の形状変化は、ある意味、接着を強化する局所的な圧力をもたらす。この局部的な圧力の発生は、細長中空管が近位端で閉じられているか、または、近位端において圧力を受ける場合に特に顕著である。サンプル取得部の内面または外面は、気密性も有することが好ましい。なお、内面または外面が液密性を有し、より好ましくは、気密性を有するという好ましい特性は、内面または外面における液密性および気密性が長い期間の性能に関して求められることを必ずしも意味しないことに留意すべきである。内面または外面が液密性を有するという好ましい特性は、少なくとも生検サンプルを回収するのに十分な時間、好ましくは、そのサンプルを取得できるようにするのに十分な時間、表面が好ましくは液密性であるということを意味している。すなわち、内面または外面は、好ましくは、少なくとも数秒間の液密性を有するべきである。同様に、少なくとも生検サンプルを取得するために十分な時間、好ましくは、サンプルを回収可能にするために十分な時間、内面または外面が気密性を有することが好ましい。
【0024】
好ましい実施形態では、内面は、液密性を有し、より好ましくは、気密性を有する。滑らかな内面は、液密性を有し、より好ましくは、気密性を有することが好ましいことに留意すべきである。
【0025】
好ましい実施形態によれば、滑らかな内面が、好ましくは、液密性を有する滑らかな内面であり、幾何学的中心軸に沿って見れば、刃先の最遠位部まで延びるように、外向き円形刃先は形作られ、滑らかな内面は、好ましくは、液密性を有する滑らかな内表面であり、刃先につながる。幾何学的中心軸に沿って見たとき、滑らかな内面が刃先の先端まで延びるように、滑らかな内面が刃先につながることは、幾何学的中心軸に沿って見たとき、組織の全切断過程において、滑らかな内面とコアの円周外面との間に接着性を与える。これは、細長中空管におけるサンプル取得部の口のすぐ外側における、細長中空管の内部に捉えられた組織のコアと組織の残りの部分との明確で効率的な分離は、回収の際に、有益である。これは、幾何学的中心軸に沿って見るとき、液密性を有する滑らかな内面が刃先の最遠位部まで延びるように、滑らかな内面が、刃先につながる液密性を有する滑らかな内面とすればさらに促進される。
【0026】
滑らかな内面は、好ましくは、基準生検組織が取得される時、刃先および細長中空管の遠位端が、近位端におけるモータ駆動により少なくとも13000rpmの回転速度で回転しながら幾何学的中心軸に沿って前進するように構成され、細長中空管の前進に起因して、細長中空管に対して、細長中空管のサンプル取得部の口からその内部に入り、サンプル取得部の滑らかな内面に少なくとも一部が当接する円周外面を有する組織のコアを切断し、その後、細長中空管は、細長中空管の近位端におけるモータ駆動により少なくとも13000rpmの回転速度で回転しながら組織から引き戻され、このため、細長中空管を引き戻しに起因し、且つ、滑らかな表面とコアの円周外面との界面に生じ、滑らかな内面を有するサンプル取得部の内部にコアを保持する接着力に起因する引張力により組織からコアが分離される限度において滑らかである。
【0027】
好ましくは、上記の種類の生検器具を用いて基準サンプルを実施する時、遠位端は、口の内径と同じか、それよりも大きい距離、組織中に挿入され、細長中空管の引き戻しの間、コアが組織から分離される限度において、表面は滑らかである。しかしながら、多くの場合、好ましくは、上記の種類の生検器具を用いて基準サンプルを実施する時、遠位端は、口の内径の1.3倍か、それより大きい距離、組織中に挿入され、細長中空管の引き戻しの間、コアが組織から分離される限度において、表面は滑らかである。しかしながら、多くの場合、より好ましくは、上記の種類の生検器具を用いて基準サンプルを実施する場合、遠位端は、口の内径の少なくとも1.7倍か、それより大きい距離、組織中に挿入され、細長中空管の引き戻しの間、コアが組織から分離される限度において、表面は滑らかである。これらは、少なくとも1~5mmの間の内径に適用される。
【0028】
滑らかな内面は、医療グレードのステンレス鋼のような鋼で形成される場合、1.5μm未満、好ましくは、1μm未満、ポリマーベースの材料で形成される場合、1μm~6μmの間のように、6μm未満のRa値の表面粗さを有することが好ましい。滑らかな内面は、医療グレードのステンレス鋼のような鋼で形成される場合、0.05~1.5μmの間、好ましくは、0.05~1μmの間のRa値の表面粗さを有することが好ましい。表面粗さRa値は、好ましくは、ISO4287:1997基準に従って測定される。好ましくは、表面は低摩擦である。これは、現時点において、滑らかな内面が鋼で形成される場合に比べて、ポリマーベース材料で形成される場合に、より高いRa値を有することができる1つの理由であると考えられる。したがって、摩擦係数が小さいほど適切なRa値は大きくなると考えられる。その結果、1つの適切な組み合わせは、鋼に対する鋼のように、0.6~1.0程度の摩擦係数を有する材料であり、0.05~1.5μmの間、好ましくは、0.05~1.5μmの間のRa値と組み合わされ、別の適切な組み合わせは、後述するポリマーベースの材料など、0.02~0.3程度の摩擦係数を有する材料であり、1μm ~6μmの間の Ra 値と組み合わされることが分かる。
【0029】
滑らかな表面は、並行で真っ直ぐな母線を有し、円形の断面を有する、細長中空管のような管状部材の内部に設けられる。滑らかな表面は、突起なしに配置される。滑らかな表面は、管状部材の内縁全体を覆うように設けられる。滑らかな表面は、少なくとも管状部材の遠位端に設けられる。
【0030】
管状部材は、少なくとも管状部材の遠位部において、所定の滑らかさの外面も有することができる。
【0031】
滑らかな表面は、管状部材の内面であってもよい。管状部材の内面は、所定の滑らかさに加工される。その内面は、医療グレードのステンレス鋼であってよい。
【0032】
滑らかな表面は、管状部材の内面上に設けられる層もしくは膜であってもよい。
【0033】
滑らかな表面は、前述の管状部材に沿って、少なくとも、取得されるサンプルに応じた長さに渡り設けられる。サンプルの長さは、50mm程度までの数ミリメートルであってもよい。滑らかな表面は、前述の管状部材に沿って、順に得られるいくつかの連続したサンプルに対応した長さに渡って設けられる。滑らかな表面は、刃先または刃先から0.5mmのような短い距離の端まで延びてもよい。
【0034】
例えば、その遠位端に、内側が鋼で形成され、サンプルを取得できるように、上記の範囲において滑らかに加工された鋼の端管のような、硬い端管を含むように、ベース部材を形成することが考えられる。端管は、内視鏡の曲がりに器具が追従できるように比較的短い。この端管に近接して、ベース部材は、内側にポリマーを塗布した中空金属線のような、ポリマーベースの内層を含む中空線で形成される。これにより、滑らかな表面は、サンプルをベース部材中にさらにスライドさせ、さらなるサンプルの取得を可能にするように設けられる。中空線の内側をコーティングすることにより形成される端管に近接したこの部分は、編み込んだ中空線の内面が平坦でないために、結果的に、低摩擦であるがRa値が上記よりも高くなるという意味において、滑らかな表面を有する。しかしながら、そのような設計における端管は滑らかであり、サンプルを取得する間、意図した接着性を提供するために、好ましくは、上記のRa値を有する。コーティングは、例えば、所謂、ディップコーティングにより設けられても良い。
【0035】
滑らかな内面は、好ましくは、ポリマーベース材料で形成される。ポリマーベース材料は、一般に、非粘着性ポリマーと呼ばれるグレードのものであってよい。非粘着性グレードのポリマーを用いることは、第1の組織サンプルと滑らかな表面との間の摩擦を低減し、第1の組織サンプルを細長管状部材中へさらに送り込むことを容易にするため、有利である。さらに、通常、非粘着性と見なされる表面は、多くの場合、滑らかであり、望ましい滑らかさを提供するために十分である。ポリマーベース材料は、例えば、エチレン、テトラフルオロエチレン(TFE)である。他のフルオロポリマーのような他のプラスチック材料を使用することも考えられる。そのようなフルオロポリマーは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、および、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)である。
【0036】
なお、ポリマーベース材料は、様々な異なる物理的設計に提供できることに留意すべきである。ポリマーベース材料は、細長管状部材の形態で提供されてもよい。ポリマーベース材料は、外側部材の内側に付設してもよい。ポリマーベース材料は、外側部材の内側に設けられ、外側部材に対して可動かつ回転可能であっても良い。ポリマーベース材料は、外側部材の内側のコーティングとして設けられてもよい。様々な物理設計は、以下に詳しく説明される。
【0037】
ベース部材は、好ましくは、ベース部材の近位端から遠位端まで延びる細長中空部材を含む。ベース部材が近位端から遠位端までの全てに細長中空部材を含むようにすることは、ベース部材の全長を同じ態様で設計できるので、例えば、製造を容易にする。さらに、ベース部材が近位端から遠位端までの全てに細長中空部材を含むようにすることは、近位端から遠位端までの生検器具全体を通して延びる機械的ツール、例えば、柔軟性を有する金属スタイレットを使用し、サンプルを確実に押し出すことを可能とするので、生検サンプルの回収を容易にする。また、細長中空管は、空気のバースト、もしくは、近位端における流体の注入により、サンプルを回収のために遠位端において押し出すことを可能にする。これらの方法は、十分な量の空気もしくは液体のバーストが実際にサンプルを押し出すように、細長チューブの気密性もしくは液密性が十分であることを要するであろう。細長中空管は、好ましくは、近位端から遠位端に至る均一な断面を有するように設計される。これとは別に、特定の設計態様の形状を有した局所的な不規則性を、近位端および/または遠位端に設けてもよい。これらの局所的な不規則性は、例えば、近位端において、中空管がコネクタを備え、および/または、中空管は、遠位端に刃先が設けられるように特別に設計されるか、または、刃先を提供する別個の部材を収容するように特別に設計されてもよい。
【0038】
細長中空管状内側部材は、好ましくは、前述の滑らかな内面を提供するポリマーベース材料で形成される。これは、滑らかな内面の提供に適した方法である。
【0039】
滑らかな内面を形成するポリマーベース材料は、細長中空管状内側部材の内部に挿入され、細長中空管状内側部材の内面に付設される、膜、好ましくは、管状の膜として提供されることが好ましい。ポリマーベース材料の管状膜は、例えば、細長中空管状内側部材の内面に接着されるように、ポリマーベース材料を直接または間接的に熱することにより、細長中空管状内側部材の内面に付設されてもよい。
【0040】
また、滑らかな表面を形成するポリマーベース材料は、コーティングとして提供される。
【0041】
細長中空管状内側部材は、好ましくは、幾何学的中心軸に沿った近位端の動きが幾何学的中心軸に沿った遠位端の動きに伝達されるように、幾何学的中央軸に沿って力を伝達可能であり、近位端においてモータにより加えられる幾何学的中央軸周りの回転およびトルクが近位端から遠位端に伝達され、遠位端を幾何学的中央軸周りに回転させることができる中空の金属ワイヤロープを含む。
【0042】
細長中空管状内側部材は、好ましくは、その遠位端において、前述の外向き円形刃先を有する。
【0043】
細長中空管状外側部材もまた、好ましくは、中空金属ワイヤロープを含む。
【0044】
細長中空管状内側部材は、細長中空管状外側部材の内側に配置され、細長中空管状外側部材に対して、回転可能であり、並進移動可能である。この設計の利点の1つは、サンプル取得過程中に、内視鏡に対して、細長中空管状外側部材を安定に保持できることである。細長中空管状外側部材を組織の外側に残して、細長中空管状内側部材を組織内に前進させることを意図している。細長中空管状外側部材の遠位端を組織の外側に置いて、細長中空管状内側部材の遠位端を組織内に前進させることにより、挿入深さの制御性を良くすることが容易になる。サンプル取得過程において、細長中空管状外側部材を内視鏡に対して安定に保持できるということは、細長中空管状外側部材の遠位端が、組織内に意図せずに前進することを防ぐストッパーを設けることも可能にする。さらに、サンプル取得過程において、内視鏡に対して安定に保持できる細長中空管状外側部材を、細長中空管状外側部材に対して回転可能であり並進移動可能な細長中空管状内側部材と組み合わせて有することにより、細長中空管状外側部材は、内視鏡の作業チャネルに比較的密接して適合するように設計できる。さらに、器具の2つの構成要素が相互に作用するように特別に設計および製造され、その間において相対的な動作が提供されるため、細長中空管状外側部材および内側部材の間に比較的密接した適合を提供し、さらに、十分な遊びを確保できる。さらに、細長中空管状内側部材および外側部材は、密接に適合させることが可能であるため、ある意味で互いに支え合い、相互に破綻を防ぐ。このため、細長中空管状外側部材および内側部材の両方に、比較的薄い材料を使用することが可能になる。これにより、所定の内径を有する所与の作業チャネルに対して、細長中空管状内側部材の遠位端の内径を比較的大きくすることが可能になる。第2実施形態によりもたらされる他の利点および特定の設計態様は、詳細な説明において、図面を参照してより詳細に論じられる。
【0045】
細長中空管状内側部材をモータにより回転し、回転動作とは独立して細長中空管状外側部材に対して前後に動かすことができるように、好ましくは、細長中空管状内側部材の回転可動性は、並進可動性から独立している。
【0046】
この実施形態においても、細長中空管状内側部材は、細長中空管状外側部材の内部に配置され、細長中空管状外側部材に対して、回転可能であり、並進移動可能である(ベース部材は、一実施形態の曲げの観点から、剛性を有し、別の実施形態によれば、柔軟性を有する)ことに留意すべきである。剛性を有する実施形態では、ベース部材は、直線的に延びる幾何学的中心軸と共に延在する。このような剛性を有する生検器具は、通常、独立した生検器具として使用される。そのような実施形態では、ベース部材は、取り外し可能な内部スタイレットを有する針状に形成できる。剛性を有する生検器具は、腫瘍への経皮的アクセスを可能にする。典型的には、そのような実施形態では、細長中空管状外側部材は固定され、スタイレットを引き戻した後、細長中空管状内側部材を電動ハンドルにより回転させ、組織内に前進させる。剛性を有する内部スタイレットが、一旦、完全に取り外されると、内側中空管は、腹部、胸部、副鼻腔、もしくは関節などの中空空間に回転しながら進み、カメラ、液体やガスの注入装置、もしくは、ガイドワイヤやロッドなどの他の器具を挿入するために使用できる。細長中空管状内側部材が細長中空管状外側部材の内部に配置され、細長中空管状外側部材に対して回転可能であり、並進移動可能である実施形態とは別の実施形態によれば、ベース部材は、曲げの観点から柔軟であり、内視鏡に使用される生検器具に通常必要とされる幾何学的中心軸のさまざまな形状に沿って延びることができる。内視鏡に使用されるそのような柔軟性を有する生検器具は、内視鏡生検器具と呼ばれることもある。
【0047】
柔軟性を有する内側中空管は、柔軟性を有するガイドワイヤを挿入するために使用し、その後、ステントおよび拡張バルーンのような他の器具の挿入に使用される位置にガイドワイヤと共に移動させることができる。
【0048】
細長中空管状内側部材は、近位端における幾何学的中心軸に沿った動きが、幾何学的中心軸に沿った遠位端の動きに伝達されるように、幾何学的中心軸に沿って力を伝達可能であり、近位端においてモータにより加えられる幾何学的中心軸周りの回転およびトルクが、近位端から遠位端に伝達され、これにより、遠位端を幾何学的中心軸周りに回転させることが可能であることが好ましい。
【0049】
細長中空管状内側部材は、好ましくは、その近位端に、モータを接続、好ましくは分離可能に接続するためのコネクタを有し、コネクタは、幾何学的中心軸に沿った前述の動き、および、前述の回転およびトルクを伝達することができる。
【0050】
上記の目的は、生検器具によっても達成される。生検器具は、幾何学的中心軸に沿って近位端から遠位端へ延びる細長中空管状外側部材と、幾何学的中心軸に沿って近位端から遠位端まで延びるベース部材と、を備える。少なくともベース部材の遠位端部は、細長中空管の形状であり、ベース部材の遠位端における細長中空管は、生検組織が得られるべき組織中に少なくとも一部が挿入されることが意図されている。
【0051】
ベース部材は、細長中空管状外側部材の内部に配置され、細長中空管状外側部材に対して、独立に、回転可能であり並進可能である。
【0052】
ベース部材は、幾何学的中心軸に沿ったベース部材の近位端の動きが、幾何学的中心軸に沿ったベース部材の遠位端の動きに伝わるように、幾何学的中心軸に沿って力を伝達することが可能であり、ベース部材の近位端においてモータにより幾何学的中心軸周りに加えられる回転およびトルクが、ベース部材の近位端からベース部材の遠位端に伝達され、これにより、幾何学的中心軸周りにベース部材の遠位端を回転させるように、幾何学的中心軸周りにトルクを伝達することが可能である。
【0053】
細長中空管は、ベース部材の近位端において回転およびトルクを加えるモータにより、細長中空管状外側部材に対し、且つ、その内部において幾何学的中心軸周りに回転させられながら、幾何学的中心軸に沿ったベース部材の近位端の動きにより、細長中空管状外側部材の遠位端から外に前進することが可能であり、細長中空管状外側部材内に引き戻される。
【0054】
細長中空管は、その遠位端の口となる外に向いた円形の刃先を有するように設けられる。
【0055】
細長中空管は、その遠位端部において、滑らかな内面を有する中空細長管状サンプル取得部を有する。
【0056】
ベース部材の近位端は、モータにより回転およびトルクをベース部材の近位端に加え、回転およびトルクがベース部材によりベース部材の遠位端における細長中空管に伝達されるようにモータに接続される構成を有する。
【0057】
モータは、細長中空管が細長中空管状外側部材の遠位端から外に前進し、細長中空管状外側部材内に引き戻される間、幾何学的中心軸周りの回転およびトルクをベース部材の近位端に加えることにより、細長中空管状外側部材に対し、且つ、その内部において、細長中空管に回転を与えるように構成される。
【0058】
滑らかな内面は、医療グレードのステンレス鋼などの鋼で形成される場合に、1.5μm未満、好ましくは、1μm未満のRa値の表面粗さを有し、ポリマーベース材料で形成される場合には、1μmと6μmとの間のように、6μm未満のRa値の表面粗さを有する。
【0059】
上記の目的は、生検組織を取得する方法によっても達成される。その方法は、幾何学的中心軸に沿って、近位端から遠位端へ延びる細長中空管状外側部材と、幾何学的中心軸に沿って近位端から遠位端へ延びるベース部材と、を備える生検器具であって、少なくともベース部材の遠位端部は、細長中空管の形状状であり、細長中空管は、生検組織が取得される組織中に少なくとも一部が挿入されることを意図した遠位端において、中空管の遠位端の口となる外向き円形刃先を有し、ベース部材は、細長中空管状外側部材の内部に配置され、細長中空管状外側部材に対して、独立に、回転および並進可能である、生検器具を提供し、
モータを有する操作ユニットを提供し、
ベース部材の近位端をモータに接続し、
細長中空管状外側部材の近位端を操作ユニットに接続し、
生検器具の遠位端を、好ましくは、細長中空管状外側部材の内部に位置するベース部材の遠位端と共に、組織サンプルを取得する位置に移動させ、
少なくとも13000rpmの回転速度の回転が生検器具の遠位端に伝達されるようにモータを動作させ、
遠位端がモータにより少なくとも13000rpmの回転速度で回転させられている間、細長中空管の前進により切断される組織のコアが、細長中空管に対し、その口を通して細長中空管のサンプル取得部中に入るように、組織サンプルを取得する組織中に外向き円形刃先を有する細長中空管を前進させ、
細長中空管の遠位端に設けられた中空細長管状サンプル取得部の滑らかな内面にコアの円周外面を少なくとも部分的に当接させながらベース部材の遠位端がモータにより回転させられている間、ベース部材の遠位端を組織の外に引き戻す。
【0060】
これにより、細長中空管の引き戻しと、滑らかな内面を有するサンプル取得部の内部にコアを保持する力である滑らかな内面とコアの円周外面との間に形成される接着力と、に起因する引張力により、組織のコアは、組織から分離される。
【0061】
また、上記の目的は、その基本構成、または、好ましい実施形態のいずれかに開示された種類の生検器具と、モータを含む操作ユニットと、を備えた部品キットにより実現される。生検器具は、モータによりベース部材の近位端に回転およびトルクが加えられ、ベース部材の遠位端に伝達できるように、近位端においてモータに接続可能である。
【0062】
上記目的は、生体組織を取得する方法によっても達成される。その方法は、生検器具の近位端を、モータを有する操作ユニットに接続し、
生検器具の遠位端を組織サンプルを採取する位置に移動し、
生検器具の遠位端に回転が伝達されるようにモータを動作させ、
ベース部材の少なくとも遠位端部において、細長中空管の形状であり、中空管の遠位端の口として定義される外向き円形の刃先を有する遠位端を、モータにより回転させながら、組織サンプルを取得する組織中に前進させ、組織のコアを切断する。コアは、中空管の前記前進により、中空管に対して、その口を通って中空管のサンプル取得部中に入り、
コアの円周外面が、中空管の遠位部に設けられた細長中空管状のサンプル取得部の滑らかな内面に少なくとも部分的に当接し、遠位端がモータによって回転されている間に、遠位端を前記組織から引き戻し、
組織のコアは、中空管の引き戻しと、滑らかな内面を有するサンプル取得部内にコアを保持する、滑らかな内面とコアの円周外面との界面に形成される粘着力と、に起因した引張力により、組織から分離される。
【0063】
上記目的は、幾何学的中心軸に沿って近位端から遠位端に延びるベース部材を備える生検器具によっても実現される。少なくとも、ベース部材の遠位端部は、細長中空管の形状であり、生検組織が取得される組織内に少なくとも部分的に挿入されるように意図され、
ベース部材は、幾何学的中心軸に沿った近位端の動きが幾何学的中心軸に沿った遠位端の動きに伝達されるように、幾何学的中心軸に沿って力を伝達可能であり、近位端においてモータにより加えられる幾何学的中心軸周りの回転およびトルクが近位端から遠位端へ伝達され、これにより、遠位端を幾何学的中心軸周りに回転させるように、幾何学的中心軸周りのトルクを伝達可能であってもよく、
中空管は、その遠位端の口となる外向き円形刃先を有するように設けられもよく、
中空管は、その遠位部において、滑らかな内面を有する中空細長管状サンプル取得部を有してもよく、
滑らかな内面は、好ましくは、基準生検組織を取得する時、中空管の刃先および遠位端が、近位端におけるモータ駆動により回転しながら、幾何学的中心軸に沿って組織内に前進させられるように構成され、これにより、組織のコアを切断し、組織のコアは、中空管の前進により、その口を通して、相対的に中空管のサンプル取得部内に入り、サンプル取得部の滑らかな内面に少なくとも部分的に当接する円周外面を有し、
その後、中空管は、その近位端においてモータ駆動されることにより回転させられながら組織から引き戻され、これにより、中空管の引き戻しに起因し、且つ、滑らかな内面と組織のコアの円周外面との間に形成され、滑らかな内面を有するサンプル取得部の内部にコアを保持する接着力に起因する引張力によりコアが組織から分離される限度において、滑らかである。サンプルが引き戻される時、回転と組み合わされた接着力は、最遠位端においてサンプルを回転させ、生検組織の回転によりさらに薄く捩れた糸状の部分により組織から分離される効果を生じる。
【0064】
上記の目的はまた、幾何学的中心軸に沿って近位端から遠位端まで延びるベース部材を含む生検器具によって達成され、ベース部材の少なくとも遠位端部は、細長中空管の形状を有し、遠位端は、生体組織を取得する組織に少なくとも部分的に挿入されるように意図され、中空管は、その遠位端の口として画される外向き円形刃先を有し、中空管の遠位端部において、中空管は、滑らかな内面を有する細長中空管状のサンプル取得部を有する。
【0065】
いくつかのユーザシナリオでは、細長中空管状の内側部材(剛性または柔軟性を有する)は、近位端において手動で回転させることが可能であり、その結果、外向き円形刃先も回転することに留意すべきである。
【0066】
本発明は、現時点における好ましい実施形態を示し、添付の模式図を参照した例示として、より詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1a図1aは、一実施形態に係る生検器具を使用する医師、および、患者から組織サンプルを取得するための内視鏡を模式的に開示している。
図1b図1bは、別の実施形態に係る生検器具を使用する医師、および、患者から組織サンプルを取得するための内視鏡を模式的に開示している。
図2a図2aは、図1aにおける内視鏡の近位端および生検器具の近位端をより詳細に開示している。
図2b図2bは、図1bにおける内視鏡の近位端および生検器具の近位端をより詳細に開示している。
図3a図3aは、外側シースの遠位端とサンプルを取得する組織に進められた生検器具の遠位端とを開示している。図3aは、内視鏡の遠位端およびベース部材の遠位端を開示している。ベース部材の遠位端は、細長中空管状外側部材からサンプルが取得される組織内に前進している。
図3b図3bは、内視鏡の遠位端、および、サンプルが取得される組織内に前進しているベース部材の遠位端を開示している。
図4図4は、いくつかのサンプルを取得した後の図3bに示される内視鏡および器具を開示している。
図5図5は、いくつかのサンプルを取得した後の組織を示している。
図6図6は、生検器具からのサンプルの回収を開示している。
図7図7は、注射器による過圧を利用した回収を開示している。
図8図8は、生検器具の近位端に取り付けられるように構成された操作部材の内部を開示している。
図9図9は、図8の操作部材の外側および操作ボタンを開示している。
図10図10は、生検器具の近位端に取り付けられた操作部材を開示している。
図11図11は、柔軟性を有する生検器具を開示している。
図12図12は、柔軟性を有する細長中空管状内側部材のより詳細な断面および分解組み立て図である。
図13a図13aは、組織の表面に沿って組織サンプルを採取する間の生検器具の遠位端の第1および第2位置を開示している。
図13b図13bは、組織の表面に沿って組織サンプルを採取する間の生検器具の遠位端の第1および第2位置を開示している。
図13c図13cは、組織の表面に沿って組織サンプルの取得するために伸縮機能がどのように操作されるかを開示している。
図14a図14aは、図13aおよび図13bの断面図に見られる組織の表面に沿って組織サンプルを取得する間における生検器具の遠位端を開示している。
図14b図14bは、図13a、図13bおよび図14aに示す生検器具により形成された表面の溝を有する組織を開示している。
図14c図14cは、図14bの組織および溝の上面図である。
図15図15は、第2の実施形態に係る生検器具の断面図である。
図16図16は、図15の生検器具の別の断面図である。
図17図17は、内視鏡で使用される図15および図16の生検器具を開示する模式図である。
図18図18は、モータと生検器具との間の伸縮機構の変形例に接続される、図15図17と同じ種類の生検器具を開示する模式図である。
図19図19は、図18に示した伸縮機構をより詳細に開示している。
図20図20は、図18および図19の伸縮機構の断面図である。
図21図21は、図18図20の伸縮機構の分解組み立て図である。
図22図22は、モータ、伸縮機構および生検器具を開示し、伸縮機構に接続されるように構成される生検器具のインターフェースの例を模式的に開示している。
図23図23は、剛性を有する外側中空針と、剛性を有する外側中空針の内部に位置するように構成された剛性を有する内側中空針と、を開示している。
図24図24は、剛性を有する外側中空針に挿入される剛性を有する内側中空針を開示している。
図25図25は、剛性を有する内側中空針および剛性を有する外側中空針を開示している。剛性を有する内側中空針は格納位置にあって、これらの中空針は、サンプル取得方法における動作のために、取り扱われ、ハンドルに挿入されるように構成される。
図26a図26aは、ハンドル内に位置し、生検サンプルを取得する準備ができた状態にある針を開示している。
図26b図26bは、生検サンプルを取得するためのハンドルの模式的な動作を開示している。
図27図27は、モータ、伸縮機構および生検器具を備えるシステムの概観である。
図28図28は、内視鏡に接続される図27の伸縮機構を示している。
図29図29は、図27および図28に示される伸縮機構の詳細である。
図30図30は、図27および図28に示される伸縮機構の詳細である。
図31図31は、図27図30に示される伸縮機構の変形例である。
図32図32は、図27図30に示される伸縮機構の変形例である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
図1aおよび図1bでは、医師などのユーザUが内視鏡40を使用し、患者Pの体腔を通して生検器具1をサンプル部位50に導く方法を、一般的に開示している。生検器具1は、内視鏡40の作業チャネル41に挿入され、内視鏡40は、生検器具1と共に患者の体腔を介して挿入される。生検器具1は、内視鏡40により患者の体内に挿入され、意図されたサンプル部位50に到達する。図1aおよび図1bに示され、図2aおよび図2bにより詳細に示されるように、内視鏡は、患者の体の外側に残る近位端にアクセス開口41aを有し、生検器具1は、アクセス開口41a介して内視鏡に挿入されることを意図している。内視鏡40は、一般的に、カメラおよび/または超音波プローブを備えており、カメラまたは超音波プローブからのデータをスクリーン44上の画像に変換することができる処理ユニット45を介してスクリーン44に接続される。
【0069】
生検器具1は、幾何学的中心軸Aに沿って、近位端10aから遠位端10bまで延びるベース部材10を備える。
【0070】
一実施形態に係る生検器具1の全体は、図11に示される。図11に示される実施形態では、ベース部材10は、曲げの視点において柔軟である。これにより、生検器具1は、内視鏡40で使用するために通常必要とされる様々な形状の幾何学的中心軸Aに沿って延在することができる。このような柔軟性を有する生検器具1は、内視鏡40で使用され、内視鏡生検器具1と呼ばれることがある。しかしながら、生検器具1は、内視鏡に使用されない用途でも有用であることに留意されてもよい。そのような場合には、生検器具1は、曲げの視点における剛性を有し、直線に沿って延びる幾何学的中心軸Aを伴って延在する。このような剛性を有する生検器具は、通常、独立した生検器具1として使用される。
【0071】
近位端10aは、これに関連して、図1および図2に示され、遠位端10bは、これに関連して、例えば、図3および図4に示される。
【0072】
図1aにおいて、モータ31を含む操作ユニット30は、棚などに位置するように構成される個別の箱であることに留意すべきである。生検器具は、伸縮機構101を備え、駆動ワイヤ39を介して、モータ31に接続される。詳細は、例えば、図27図32を参照して提供される。
【0073】
図1bにおいて、モータ31を含む操作ユニット30は、手持ち部品として設計されることに留意すべきである。
【0074】
生検器具の遠位端の操作に関する記述は、多くの場合、図1aまたは図1bの操作ユニット30のうちのいずれか1つを用いていると考えられることに留意すべきである。
【0075】
図3a、図3bおよび図4に例示されるように、ベース部材10の少なくとも遠位端部10b′は、細長い中空管10の形状である。図12図15および図16のそれぞれに詳細に示される好ましい実施形態では、ベース部材10は、その近位端10aから遠位端10bまで延びる中空管10′の形状である。
【0076】
図3a、図3bおよび図4に示されるように、遠位端10bは、細長い中空管10の形状であり、生体組織を取得する組織50に少なくとも部分的に挿入されることを意図している。図3a、図3bおよび図4に示される使用状態では、遠位端10bは、その全外円周Cが組織50に挿入されるという意味において、完全に組織内に挿入される。図13a、図13bおよび図14a~図14cに示される使用状態では、遠位端10bは、その全外円周Cの一部のみが組織50に挿入されるという意味において、部分的にのみ組織に挿入される。
【0077】
ベース部材10は、幾何学的中心軸Aに沿った近位端10aの運動LF、LBが幾何学的中心軸Aに沿った遠位端10bの運動LF、LBに伝達されるように、幾何学的中心軸Aに沿って力を伝達することができる。また、ベース部材10は、近位端10aにおいてモータ31により加えられる幾何学的中心軸A周りの回転ωおよびトルクTを近位端10aから遠位端10bに伝達し、これにより、遠位端10bを幾何学的中心軸A周りに回転させるように、幾何学的中心軸A周りのトルクを伝達することができる。このため、近位端10aを前進および後退させ、近位端10aにおいて回転ωおよびトルクTを加えることにより、ベース部材10の遠位端10bを操作できる。
【0078】
生検器具1は、図1aおよび図1bを参照して示された上記の簡便な開示にしたがって使用されることを意図している。以下、図1a、図1b、図2aおよび図2bを参照して、意図された使用方法をより詳細に開示する。ユーザUは、モータ31を有する操作ユニット30に生検器具1の近位端10aを接続している。内視鏡40を動作させ、次に、生検器具1の遠位端10bを内視鏡40に対して移動させることにより、生検器具1の遠位端10bを組織サンプルを取得する位置に移動させる。ユーザUは、この動作中に、画面44上の画像によりガイドされる。その後、ユーザUは、生検器具1の遠位端10bに回転が伝達されるように、モータ31を作動させる。その後、ユーザUは、組織サンプルを取得する組織50に遠位端10bを前進させる。ベース部材10の少なくとも遠位端部10b′は、細長い中空管10′の形状を有し、中空管10′の遠位端10bの口10cとして定義される外向き円形の刃先11を有する。遠位端10bは、モータ31により回転しながら組織50に挿入され、組織50のコア51を切断する。コア51は、中空管10の前進LFにより、口10cを通って中空管10′のサンプル取得部10b′に相対的に入る。この前進は、内視鏡40に対して、生検器具10を近位端10aから遠位端10bに延びる方向に移動させると言えるであろう。
【0079】
図2aの実施形態において、この前進は、伸縮機構101を操作することにより実施される。図2a中の4つの小さい図に示すように、伸縮機構101は、最初は、内視鏡40のワーキングチャネル41の内部に位置することが好ましい細長中空管状外側部材14を組織に対して望ましい位置に移動させるように操作される。その後、細長の内側中空管10′が回転を開始するように、モータ31が駆動される。その後、伸縮機構101は、細長の内側中空管10′を有するベース部材が細長中空管状外側部材14から組織中へ前進するように操作される。その後、伸縮機構101は、細長の内側中空管10′を有するベース部材が部分的もしくはその全体が細長中空管状外側部材14中に引き戻されるように操作される。細長の内側中空管10′の前進および引き戻しは、望ましい数のサンプルが回収されるまで繰り返されてもよい。
【0080】
図2bの実施形態では、この前進は、生検器具10の自由距離Iが減少するように、内視鏡40およびアクセス開口41aに対して、操作ユニット30を矢印LFに沿って前方に移動させることにより実施される。一旦、遠位端10bが意図された深さdまで組織50に挿入されると、その後、ユーザUは、中空管10′の遠位部10b′に設けられた細長中空管状のサンプル取得部10b′の滑らかな内面12に少なくとも部分的に当接する円周外面を有するコア51と共に、遠位端10bをモータ31により回転させながら組織50の外へ引き戻す。
【0081】
組織50のコア51は、中空管10の引き戻しLBに起因し、且つ、滑らかな内面12とコア51の円周外面との間の界面に形成され、滑らかな内面12を有するサンプル取得部10b′の内部にコア51を保持する粘着力に起因した引張力により組織50から分離される。
【0082】
さらに、コア51は、せん断力および/または引張力により組織50から分離されるであろう。以下の説明に縛られることなく、サンプル取得部は、組織に対して、高回転速度で回転し、これにより、液体膜がサンプル取得部の内面と組織コアとの間に形成され、サンプル取得部の内面と組織コアとの間の摩擦を低減すると信じられる。この膜形成は、高回転速度により促進される。
【0083】
同様に、液体膜は、サンプル取得部の外面に形成されるであろう。内面が、例えば、0.5マイクロメートル未満の表面粗さの滑らかさであれば、液体膜の形成は促進される。サンプル取得部が組織内に押し込まれ続けている限り、組織コアは回転しない。サンプル取得部が組織内にそれ以上押し込まれず、引き戻される時、サンプル取得部内の組織コアは、サンプル取得部の内面に付着し、回転し始める。これにより、組織コアは、周りの組織からせん断力および引き裂き力もしくは引張力により分離される。そして、サンプルコアは、サンプル取得部と共に回転する。次のサンプルコアが取得される時、その前のサンプルコアは、内面が及ぼす摩擦力に逆らって、サンプル取得部の内部にさらに押し込まれる。摩擦係数は、できるだけ小さく、0.1未満もしくは0.06未満であるべきである。
【0084】
滑らかな内面は、医療グレードのステンレス鋼のような鋼で形成される時、1.5μm未満、好ましくは、1μm未満、ポリマーベース材料で形成される時には、1μmと6μmとの間のように、6μm未満のRa値を有することが好ましい。
【0085】
図3a、図3bおよび図4に模式的に例示され、図12および図16により詳細に示されるように、中空管10′は、その遠位端10bの口10cとなる外向き円形の刃先11を有する。柔軟である変形例および硬い変形例のすべての好ましい実施形態では、外向き円形の刃先11は、口11cの円周Cに沿って見た時、直線となるように構成される。口11cは、好ましくは、幾何学的中心軸Aの延長に対し法線が平行となる平面を画し、幾何学的中心軸Aは、口11cにおけるその平面を貫く。すなわち、一実施形態では、中空管10′は、その長手方向の延長と直交する平面により、口11cにおいて切断される。
【0086】
中空管10′は、その遠位部10b′において、滑らかな内面12を有する細長中空管状サンプル取得部10b′を有する。管状サンプル取得部10b′は、幾何学的中心軸Aに沿った長さを有する。その長さは、好ましくは、管状サンプル取得部10b′内に複数のサンプル51、52、53、54、55を収納し、幾何学的中心軸Aに沿って順に配置することを可能にするために十分である。その長さは、好ましくは、中空管10′の内径D11ciの少なくとも10倍、より好ましくは、少なくとも20倍である。しかしながら、上記のように、ベース部材10は、好ましくは、その近位端10aから遠位端10bへ延びる細長い中空管10′により形成される。このため、細長中空管状サンプル取得部10b′は、基本的に、遠位端10bから近位端10aまでの全てに形成されると言ってもよい。
【0087】
細長い中空管10は、近位端10aから遠位端10bまで均一な断面を有して延在するように設計され、これとは別に、近位端10aおよび/または遠位端10bが特定の設計態様の形状を有した局部的な不規則性を有してもよい。これらの局部的な不規則性は、例えば、中空管10′が近位端10aにコネクタ15を備えること、および/または、中空管10′が遠位端10bに刃先11を設けるように特別に設計されるか、もしくは、その刃先11を提供する独立した部材を収容するように特別に設計されることであってもよい。
【0088】
滑らかな内面12は、以下のように構成される限度において滑らかである。図3a、図3bおよび図4に示される方法に従って、基準生体組織を取得する場合、中空管10′の刃先11および遠位端10bは、その近位端10aにおけるモータ駆動により回転(ω、T)しながら、幾何学的中心軸Aに沿って組織50内に前進し、これにより、組織50のコア51を切断する。コア51は、中空管10′の前進LFにより、その口10cを通ってサンプル取得部10b′に相対的に入り、サンプル取得部10b′の滑らかな内面12に少なくとも部分的に当接する円周外面を有する。その後、中空管10′は、その近位端10aにおけるモータ駆動により回転(ω、T)しながら、組織50から引き戻され、組織50のコア51を組織50から分離する。コア51は、中空管10′の引き戻しLBに起因し、且つ、滑らかな内面12とコア51の円周外面との間の界面に形成され、滑らかな内面12を有するサンプル取得部10b′内にコア51を保持する粘着力に起因した引張力により分離される。上記に類する生検器具1を用いて基準サンプリングを実施する場合、遠位端10bは、その口10cの内径D10ciと同じかそれよりも長い距離、組織50に挿入され、その表面12は、好ましくは、中空管10′を引き戻す間に、コア51が組織50から分離される限度において滑らかである。しかしながら、多くの場合、上記に類する生検器具1を用いて基準サンプリングを実施する際に、遠位端10bは、その口10cの内径D10ciよりも1.3倍以上の距離、組織50中に挿入され、表面12は、中空管10′を引き戻す間に、コア51が組織50から分離される限度において滑らかであることを受け入れられる。さらに、多くの場合、上記に類する生検器具1を用いて基準サンプリングを実施する際に、遠位端10bは、その口10cの内径D10ciの1.7倍以上、もしくは、2倍以上長い距離、組織50中に挿入され、表面12は、中空管10′を引き戻す間に、コア51が組織50から分離される限度において滑らかであることを受け入れられる。上記は、内径D10ciが少なくとも1~5mmの場合に適用される。
【0089】
一般的に取得できる最小または最も浅薄なサンプルは、典型的には、サンプリングされる組織および腫瘍のタイプに依存することに留意すべきである。一般に、より硬い組織や腫瘍はサンプリングが容易であり、通常、1mmまでの生検が可能である。粘膜では、例えば、比較的柔らかい胃腸に対し比較的硬い気道など、粘度も変化するため、生体組織がどの臓器から取得されるかにも依存する。1~3mmの間の生体組織は、通常、ほとんどの種類の組織や腫瘍において再現性よく取得可能である。
【0090】
図4に示されるように、生検器具1は、前のサンプルの回収を必要とせず、複数の組織サンプルを順次取得することが可能である。遠位端10bが組織50内に前進する時、第1のサンプル51は、第2のサンプルのコア52により、制御された方法で、近位端10aに向かって中空管10′中にさらに押し込まれる。それ自身が接着性を有するコア51が中空管10′の内部に密着する限度において滑らかな内表面12を有する中空管10が提供されるということは、サンプル51への損傷を最小限にしながらサンプルを回収することを可能にし、さらに、刃先11および遠位端10bを回転させながら組織50に進め、引き戻すことを可能とし、これにより、患者の不快感を低減する。図4には、細長中空管状外側部材なしで変形例が記載されている。例えば、図2aおよび図3aに開示されているような種類の細長中空管状外側部材14を含む生検器具は、細長中空管状外側部材14に対して、中空管10′を前進させ引き戻すこと、または、内視鏡40に対して、細長中空管状外側部材14および中空管10′を一緒に前進させ引き戻すこと、により複数のサンプルの回収に用いることが可能である。
【0091】
中空管10′は液密性および気密性を有する。ただし、この液密性および気密性は、液体やガスの長期保管について一般的に議論される長期的な液体および空気またはガスに対する液密性および気密性に対処することを意図していないことに留意すべきである。中空管10′を引き戻した時、中空管10′の内壁と組織サンプルのコア51との間の界面に吸引力が働くように、中空管10′は、液密性もしくは気密性を有するべきである。中空管10′は、少なくとも幾何学的中心軸Aに沿った管状サンプル取得部10b′の長さに沿った液密性もしくは気密性を有する。管状サンプル取得部10b′は、好ましくは、延長部を有し、遠位端10bから近位端10aに向かう長さ10b′に沿った滑らかな表面12を有する。延長部10b′は、挿入深さが、それぞれ、内径D10ciに少なくとも等しいか、少なくとも1.3倍、もしくは、少なくとも1.7倍、または、2倍であっても、上記開示に類した基準サンプルを、少なくとも2つ、好ましくは3つ、順に取得できる長さを少なくとも有する。好ましい実施形態では、中空管10′は、近位端10aから遠位端10bまでの全長に沿った気密性を有する。
【0092】
図6に示すように、サンプル51、52、53、54、55は、各サンプル51、52、53、54、55が、さらに、一意的に識別可能であり、損傷を受けないように制御された方法で回収できる。これにより、医師は、それぞれのサンプル51、52、53、54、55の層序および/または位置により提供される全ての情報を保持できる。これらは、生体組織検査により提供されるデータ量を増すことに用いられ、最終的に提供される診断の精度を高めることができる。
【0093】
回収は、例えば、図6中の矢印71によって模式的に示される機械的ツールを使用して実施されてもよい。機械的ツールは、サンプル51、52、53、54、55が確実に押し出されるように、近位端10aから遠位端10bに至る生検器具の全体に挿入され、延在する。図7に示すように、細長中空管10′は、サンプル51、52、53、54、55を遠位端10bの外へ押し出す、近位端10aにおける空気のバーストを用いた回収も可能にする。後者は、十分な量の空気のバースト、もしくは、他の種類の気体、または、液状の流体がサンプル51、52、53、54、55を実際に押し出すように、細長チューブ10′が十分な気密性を有することを要する。空気のバーストは、例えば、中空管10の近位端10aに接続される注射器70によって提供される。
【0094】
滑らかな内面12は、好ましくは、ポリマーベース材料12で形成される。ポリマーベースの材料は、例えば、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)であってもよい。ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシ(PFA)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)などの他のフルオロポリマーなど、他のプラスチック材料を用いることも考えられる。その内面は、少なくとも部分的に、望ましい滑らかさに研磨された医療グレードのステンレス鋼で形成されても良い。
【0095】
ポリマーベース材料12は、様々な異なる物理的設計に提供できることに留意すべきである。ポリマーベース材料12は、細長管状部材の形状で提供されてもよい。ポリマーベース材料12は、外側部材の内部に取付けることができる。ポリマーベース材料12は、外側部材の内部に設けられ、外側部材に対して移動可能かつ回転可能であってよい。ポリマーベース材料12は、外側部材の内側のコーティングとして設けられてもよい。さまざまな物理設計は、以下にさらに詳しく説明する。
【0096】
上記の詳細な記述において、中空管10′の設計および組織50に対する中空管10′の移動が議論されていることに留意すべきである。生検器具1の他の部品は、異なる使用シナリオに対して適した方法における中空管10′の意図した動きを実現するいくつかの異なる方法において、設計できる。そのような異なる方法のいくつかの代表的な選択を示す異なる実施形態は、以下に、詳細に開示される。
【0097】
図11および図12に詳細に示される実施形態では、細長中空管状内側部材13は、細長中空管状内側部材13の支持部の内側に対して回転可能および並進可能に固定されるポリマーベース材料で形成される滑らかな内面12を含む。
【0098】
図12に示すように、細長中空管状内側部材13の支持部は、幾何学的中心軸Aに沿った近位端10aの動きLF、LBが幾何学的中心軸Aに沿った遠位端10bの動きLF、LBに伝達されるように幾何学的中心軸Aに沿って力を伝達可能であり、近位端10aにおいてモータ31によって加えられる幾何学的中心軸A周りの回転ωおよびトルクTが近位端10aから遠位端10bに伝達され、これにより、遠位端10bを幾何学的中心軸A周りに回転させようにトルクを伝達できる中空金属ワイヤロープ13′を含む。
【0099】
図11および図12に例示されるように、中空管10′は、その近位端13aに、モータ31との接続のためのコネクタ15を有する。コネクタ15は、幾何学的中心軸Aに沿った運動LF、LB、回転ωおよびトルクTを伝達することができる。
【0100】
中空管10′は、細長中空管状部材13の外側に配置される外側層13″をさらに備える。外側層13″は、例えば、ポリマーベースの収縮フィルムである。
【0101】
図12に示すように、第1の実施形態に係る中空管10′は、以下のように設計され、また、選択肢的に製造される。
【0102】
中空金属ワイヤロープ14の遠位端10bには、端管16が取り付けられる。遠位端10bは研磨に晒される。端管16には、刃先11が設けられる。刃先11は、研がれても良い。端管16は、中空金属ワイヤロープ13′の外側に端管16を固定するレーザー溶接プロセスで使用される開口16bを有しても良い。端管の遠位端は、中空金属ワイヤロープの全周の周りにおいて、その表面にレーザー溶接されてもよい。ベースコネクタ17は、中空金属ワイヤロープ13′の近位端10a上に圧着もしくは収縮される。ベースコネクタ17は、さらに、コネクタ15に接続されるように設計される。コネクタ15は、操作ユニット30に接続されるように設計される。すなわち、ベースコネクタ17は、コネクタ15の一部を形成すると言える。部品17は、中空金属ワイヤロープ13′に実際に取り付けられるため、小さくて単純な設計であることが有利である。このため、コネクタ15、17は、2つの主要な部品15、17として製造される。コネクタ15と操作ユニット30との間のユーザにとって使い易い接続性に関し、コネクタ15は望ましい機能を提供する。ベースコネクタ17およびコネクタ15の接続は、幾何学的中心軸Aに沿って力を伝達することが可能であり、且つ、回転ωおよびトルクTを伝達できるように幾何学的中心軸A周りのトルクを伝達可能である。
【0103】
滑らかな内面12は、中空金属ワイヤロープ13′の内部に配置される内側材料により設けられる。開示される実施形態では、内側材料は、ポリマーベースフィルムの形状、好ましくは、管状ポリマーベースフィルムである。内側材料13は、中空金属ワイヤロープ13′に溶接される。内側材料は、平らに切断される前に、中空金属ワイヤロープ13′の内部に配置され、その位置に溶接され固定されたとき、好ましくは、中空金属ワイヤロープ13′に比べて長いことが好ましい。刃先11cも、中空管10′の遠位端10aと共に平らであることが好ましいと言える。これにより、滑らかな表面12は、遠位端10aの全体に延びる。
【0104】
外側の収縮チューブは、中空金属ワイヤロープ13′の外面上に収縮する。
【0105】
図12に示す内側材料13は、支持部13′に対して、回転可能および並進可能であることも考えられることに留意すべきである。内側材料13は、例えば、ベース部材10を形成し、幾何学的中心軸Aに沿った近位端10aの動きLF、LBを幾何学的中心軸Aに沿った遠位端10bの動きLF、LBに伝達するように、幾何学的中心軸Aに沿った力の伝達を可能とし、近位端10aにおいてモータ31により加えられた幾何学的中心軸A周りの回転ωおよびトルクTが近位端10aから遠位端10bに伝達され、遠位端10bを幾何学的中心軸A周りに回転させるように、幾何学的中心軸周りのトルクの伝達を可能とするのに十分な硬さを有するポリマーベースの細長中空管13であってもよい。そのような設計では、細長金属ワイヤロープ13′は、動かない細長中空管状外側部材14を形成する。そのような設計では、内側材料13の遠位端10bは、刃先11を形成してもよい。
【0106】
図27に開示された実施形態では、細長中空管状外側部材14に対する回転および並進が独立して可能であるように、図12を参照して開示される種類の細長部材10が、中空金属ワイヤロープ13′の内部に固定されるポリマーベースの内側チューブ13と共に、細長中空管状外側部材14の内部に配置される。
【0107】
ベース部材10の特定の設計に関係なく、細長中空管状外側部材14は、中空金属ワイヤロープであっても良い。好ましくは、管状内側部材13は、中空金属ワイヤロープで形成され、細長中空管状外側部材14は、中空金属ワイヤロープで形成される。選択肢として、細長中空管状外側部材14は、ポリマーベースチューブのような内管を有して設けられても良い。
【0108】
また、図12を参照して開示される種類のベース部材10は、内視鏡40のワーキングチャネル41に対する回転および並進が独立に可能であるように、中空金属ワイヤロープ13′の内部に固定される内側ポリマーベースチューブ13と共に、ワーキングチャネル41の内部に配置される。そのような設計では、内視鏡40のワーキングチャネル14は、ある意味で、細長中空管状外側部材14を形成すると言ってもよい。
【0109】
しかしながら、細長中空管状外側部材14は、生検器具の一部を形成することが好ましい。内視鏡40と共に使用する場合、生検器具1は、細長中空管状外側部材14と、細長中空管状外側部材14に対する回転および並進が独立して可能であるベース部材10と、を有して提供され、生検器具1は、さらに、内視鏡40のワーキングチャネル41中に挿入されることが好ましい。そのような設計では、細長中空管状外側部材14は、ワーキングチャネル41の内部において、並進可能で、好ましくは、回転可能である。しかしながら、この移動可能性および回転可能性は、内視鏡40に対し、および、組織50に対し、細長中空管状外側部材14を適切な位置に配置するために使用されることを意図しており、刃先11に組織50を切断させることを意図した回転は、細長中空管状外側部材14に対して、ベース部材10を回転させることにより提供される。
【0110】
図15および図16を参照して、細長中空管状内側部材13が細長中空管状外側部材14の内部に配置され、細長中空管状外側部材14に対して、回転可能および並進移動可能である実施形態を、以下に、より詳細に説明する。細長中空管状内側部材13は、例えば、中空金属ワイヤロープ13′に固定される内側部材を有する、図12を参照して開示される種類のものであってよい。細長中空管状外側部材14は、サンプル取得過程の間、内視鏡に対して静止された状態に保たれるように意図される。細長中空管状内側部材13は、細長中空管状外側部材14を組織50の外側に残して、回転し、組織50中に前進するように意図される。図16に示すように、細長中空管状外側部材14の遠位端14bは、ストッパー19を伴って設けられる。ストッパー19は、遠位端14bが意図せずに組織50内に前進するのを防ぐ。ストッパー19は、細長中空管状外側部材14の遠位端14bと組織50との間の当接面が増えるように設計される。ストッパー19は、遠位端14bに配置されること、および、遠位端14bの円周を増加させる1以上のボディを設けるように設計されることにより、増大した当接面を提供する。ストッパー19は、細長中空管状外側部材14に取り付けられた膨張可能なリング19であってもよい。ストッパー19は、細長中空管状外側部材14に回転可能に接続された1以上のアーム19′でもよい。細長中空管状内側部材13が引き戻されるとき、ストッパー19により増大した当接面は、安定性を確保し、反対に働く力を働かせ、これにより、サンプル部位を取り巻く組織をそれほど引っ張ることなく、サンプルをより容易に除去できる。さらに、細長中空管状外側部材14に対して回転可能および並進移動可能である細長中空管状内側部材13との組み合わせにより、サンプル取得過程の間、内視鏡に対して静止した状態を維持できるように、細長い中空管状の外側部材14は、内視鏡の作業チャネル41に比較的密接した適合性を有するように設計されてもよい。さらに、器具の2つの構成要素であって、相互に作用するように特別に設計および製造された2つの構成要素の間に相対動作を提供するために、細長中空管状の内側および外側部材13、14の間に比較的密接した接触を提供し、さらに、十分な遊びが確保される。さらに、密接した接触により、細長中空管状内側および外側部材13、14は、ある意味で相互に支持し、相互に破綻を防ぎ、その結果、細長中空管状の外側および内側部材13、14の両方に比較的薄い厚さの材料を使用することが可能になる。これにより、細長中空管状内側部材13の遠位端13bの内径D10ciを、与えられた作業チャネル41の所定の内径に対して比較的大きくすることが可能になる。
【0111】
細長中空管状内側部材13は、幾何学的中心軸Aに沿った近位端10aの動きLF、LBが遠位端10bの幾何学的中心軸Aに沿った運動LF、LBに伝達されるように、中心幾何軸Aに沿って力を伝達可能であり、近位端10aにおいてモータ31により加えられる幾何学的中心軸A周りの回転ωおよびトルクTを近位端10aから遠位端10bに伝達し、これにより、遠位端10bを幾何学的中心軸Aの周りに回転させるように、幾何学的中心軸A周りのトルクを伝達することが可能である。
【0112】
細長中空管状内側部材13は、その近位端13aに、モータ31に接続するためのコネクタ15を有する。コネクタ15は、幾何学的中心軸Aに沿った動きLF、LB、回転ωおよびトルクTを伝達することができる。
【0113】
細長中空管状外側部材14は、その近位端14aに、操作ユニット30に接続するためのコネクタ18を有し、細長中空管状内側部材13をモータ31により回転させながら、細長中空管状内側部材13の前進LFおよび後退LBによりサンプルが取得される間、意図されたサンプル部位に移動され、静止される。
【0114】
細長中空管状内側部材13は、その遠位端に、外向き円形刃先11を含む。刃先11は、図12を参照して開示される端管16のような別個の部材に設けられてもよい。しかしながら、細長中空管状の内側および外側部材13、14は、相互に支持し、これにより、材料厚を薄く設計することができるので、細長中空管状内側部材13の切断された遠位端を刃先11などに使用することが考えられる。
【0115】
刃先11により画される口の直径は1mmおよび回転速度が15000rpmであれば、刃先の周縁速度は、0.75m/sとなる。刃先は、周縁速度が0.75m/s程度よりも上であれば、組織を切断するのに効果的であると現時点で考えられる。そのような周縁速度は、比較的鈍い刃先に対応して、刃先が0.02mm程度の切断半径を有することを可能とする。切断半径は、より小さくても良い。0.01から0.02mmの切断半径を有する鈍い刃先は、操作中に誤って刃先に触れてもユーザを容易に傷つけないので、ハンドリングの視点から便利になり、さらに、生検過程において有効であろう。0.001から0.1mmの切断半径を有する刃先は、生検過程において、組織を切断する際により効果的であろう。例えば、2mm(もしくは4mm)のより大きな切断径が1.5m/s(3m/s)程度のより高い周縁速度において得られ、効率的な生検過程の観点からさらに好ましい。
【0116】
操作ユニット30は、要するに、ハウジング32、ハウジング32内の電気モータ31、および、コネクタ33を含む。コネクタ33は、モータ31からコネクタ15にトルクTおよび回転ωを伝達できるように、コネクタ15に相互接続され、モータ31に接続されるように構成される。操作ユニット30は、また、1以上の電池34aおよび34bを含む。操作ユニット30は、1以上のボタン35aおよび35bを有してもよい。ボタン35aおよび35bは、例えば、モータ31を始動および停止するために使用される。操作ユニット30は、接続部36として例示される1以上の電気的接続を有してもよい。接続部36は、例えば、図1に示されるペダル37とのインターフェースを提供するために用いることができ、これにより、ペダル37は、モータ31を始動および停止するために使用できる。例えば、ペダル37を押し下げ/離すことにより回転速度を変える選択がユーザUに与えられる。接続部36は、操作ユニット30内の電池34aおよび34bを充電するためにも使用できる。接続部36およびハウジング32は、例えば、図8に示すように、電線81の端における典型的なコネクタ80として、接続部36から延びるコネクタ80を受け入れるように構成できる。接続部36およびハウジング32は、ハウジング32の拡張部32′となる形状およびサイズを有するサブハウジング82を受け入れるように構成されてもよい。サブハウジング82は、図9および図10に示すように、例えば、ハウジング32と同じ周縁形状およびサイズを有し、その端に取り付けられる。電線81は、ハウジング32のこの部分32′から延びてもよい。ハウジング32のそのような拡張部32′は、電池34aおよび34bを収容することができる。これにより、電池34aおよび34bを迅速に交換することが可能であり、モータ31およびコネクタ33を含むハウジング部分から分離して充電することができ、1以上の電池34aおよび34bの独自のセットをそれぞれ有する1以上の拡張部32と共に、モータ31およびコネクタ33を有する単一の操作ユニット30を使用することができる。
【0117】
図10は、操作ユニット30がコネクタ33に接続されるコネクタ15によりどのように生検器具1に接続されるかを示している。
【0118】
図17は、伸縮機構90を示している。伸縮機構は、伸縮機能と呼ぶこともできる。伸縮機構90は、アクセス開口41aと操作ユニット30との間の生検器具1の部品を少なくとも部分的に、好ましくは、全体的に覆うカバー91を含んでもよい。伸縮機構90は、ある長さの生検器具1が、アクセス開口部41aと遠位開口41bとの間で測定された、わずかに異なる長さのワーキングチャネル41を有する異なる種類の内視鏡40において使用できるように、軸Aに沿った調整可能な長さを有することができる。伸縮機構90は、細長中空管状部材10の遠位端10bの最大延長、および/または、細長中空管状外側部材14の遠位端14bの最大延長に関する制限を提供してもよい。伸縮機構90は、生検器具1が意図されたサンプル部位に一度移動すると、細長中空管状外側部材14を内視鏡40に対して固定可能なロッキング部材92有してもよい。伸縮機構90は、細長中空管状内側部材13と細長中空管状外側部材14との間の最大相対動作を設定でき、これにより、明確に定義される最大サンプリング深さを提供するロッキング部材または当接部材93を有してもよい。図17では、内視鏡40および生検器具1の遠位端は、明確にするために、拡大して示されていることに留意すべきである。しかしながら、実際には、生検器具1は、図19に例示されるように、遠位端部分10b′において、典型的には、生検器具の長さに沿った他の部分と同じ直径を有する。
【0119】
図18図22に示される伸縮機構100は、特に、図15および図16に開示される種類の生検器具、すなわち、回転しない細長中空管状外側部材14と、その内部に回転可能に配置された細長中空管状内側部材13と、を有する生検器具に対して構成される。伸縮機構100の近位端はモータ30に接続され、伸縮機構100の遠位端は内視鏡40に接続される。以下に、より詳細に開示されるように、伸縮機構100の異なる部分は、生検器具1の異なる部分に接続される。
【0120】
伸縮機構100は、ベーススリーブ110を含む。ベーススリーブ110は、その遠位端に、コネクタ111を有し、ベーススリーブ110は、内視鏡40の挿入開口41aに、コネクタ111により接続されるように構成される。モータ30は、ベーススリーブ110の近位端に接続されるように構成されている。ベーススリーブ110は、固定長を有する。
【0121】
伸縮機構100は、ベーススリーブ110の内側にスライド可能に配置された内側スリーブ120をさらに含む。内側スリーブ120は、ベーススリーブ110に対して遠位方向となる内側スリーブ120のスライド動作が、細長中空管状外側部材14を内視鏡に対して遠位方向に動かすように、細長中空管状外側部材14に接続される。伸縮機能100は、ベーススリーブ110の周りに移動可能に配置された第1のリング状部材115をさらに含む。第1のリング状部材115は、ベーススリーブ110に沿って前後にスライドする。第1のリング状部材115は、内視鏡40の遠位端において、細長中空管状外側部材14の長さを制御すると言える。第1のリング状部材115は、開示された実施形態では、くさび状のねじであるコネクタ116を有する。第1のリング状部材115は、コネクタ116により内側スリーブ120に接続されるであろう。開示された実施形態では、ねじは、第1のリング状部材115のねじ穴に位置し、第1のリング状部材115のねじ穴にねじ込まれると、内側スリーブ120と接触するようにくさびを押し込む。第1のリング状部材115は、内視鏡の先端から出る細長中空管状外側部材14の長さを調整すると言える。コネクタ116は、ベーススリーブ110の壁に形成された長い貫通孔112を通して延びる。第1のリング状部材115を内側スリーブ120に対して所望の位置に移動させること、および、コネクタ116を機能させ、第1のリング状部材115を所望の位置において内側スリーブ120に接続することにより、長孔112を通して延びるコネクタ116と組合わせにおいて、細長中空管状外側部材14が、どの程度、内視鏡40の遠位開口41aから出るかを決めることができる。内側スリーブ120に接続され、長孔112を通して延びるコネクタ116が長孔112の遠位端に当たるとき、コネクタ116は、ベーススリーブ110に対して、それ以上遠位方向に移動できなくなる。結果として、第1のリング状部材115および内側スリーブ120も、ベーススリーブ110に対して、それ以上、遠位方向に移動できなくなる。
【0122】
伸縮機構100は、内側スリーブ120の内部にスライド可能に配置される中心スリーブ130をさらに含む。内側スリーブ120に対する中心スリーブ130の遠位方向へのスライド動作が、細長中空管状外側部材14に対して、細長中空管状内側部材13を遠位方向に移動させるように、中心スリーブ130は、細長中空管状内側部材13に接続される。細長中空管状内側部材13は、中心スリーブ130の内部において回転可能である。好ましい実施形態では、細長中空管状内側部材13は、中心スリーブ130を通して孔131中に延在し、孔131は、孔131の内側と細長中空管状内側部材13と間に遊びを生じさせるような直径を有する。
【0123】
伸縮機能100は、ベーススリーブ110の周りに移動可能に配置された第2のリング状部材125をさらに含む。第2のリング状部材125は、ベーススリーブ110に沿って前後にスライドできる。第2のリング状部材125は、コネクタ126を有する。第2のリング状部材125は、コネクタ126により中心スリーブ130に接続できる。開示された実施形態では、コネクタ126は、くさび状のねじである。開示された実施形態において、ねじは、第2のリング状部材125のねじ穴に配置され、第1のリング状部材115のねじ穴にねじ込まれると、中心スリーブ130と接触するようにくさびを押し込む。コネクタ126は、ベーススリーブ110の壁中に形成された長い貫通孔113、および、内側スリーブ120の長い貫通孔121を通して延びる。中心スリーブ130に対して第2のリング状部材125を所望の位置に移動させること、および、コネクタ126を機能させることにより、所望の位置において第2のリング状部材125を中心スリーブ130に接続することにより、内側スリーブ120の長孔121を通して延びるコネクタ126との組み合わせにおいて、どの程度、細長中空管状外側部材14から細長中空管状内側部材13を出すかを決めることができる。中心スリーブ130に接続され、長孔121を通って延びるコネクタ126が、長孔121の遠位端に当たるとき、コネクタ126は、内側スリーブ120に対して、それ以上、遠位方向へ移動できなくなる。結果として、第2のリング状部材125および中心スリーブ120も、内側スリーブ120に対して、それ以上、遠位方向へ移動できなくなる。
【0124】
中心スリーブ130が内側スリーブ120に対してスライド可能である方向に沿って見るとき、伸縮機構100は、中心スリーブ130と内側スリーブ120を、所望の相対位置において、相互に接続するように構成されるコネクタ135をさらに含む。開示された実施形態では、コネクタ135は、中心スリーブ130のスライド方向に沿った固定位置において、中心スリーブ130に接続される。コネクタ135は、ユーザにとってアクセス可能であり、中心スリーブ130が、そのスライド動作を妨げるコネクタ135なしで、内側スリーブ120に対してスライドできるように、コネクタ135は、内側スリーブ120の壁に形成された長い貫通孔122を通って延在する。コネクタ136は、内側スリーブ120を中心スリーブ130に接続するように動作するように構成される。開示された実施形態では、コネクタ136は、ねじの頭が長孔122側において内側スリーブ120の壁に作用するように、中心スリーブ130のねじ穴にさらにねじ込まれる。
【0125】
伸縮機能100は、上記の開示、および、図18図21に例示される機能の全組合せを含むことができると考えられることに留意すべきである。しかしながら、特定の用途では、上記の機能のうちの1つまたは2つだけが存在することが望ましいと考えられる。
【0126】
例えば、いくつかの用途では、細長中空管状内側部材13が細長中空管状外側部材14から外側に移動する最大長を調整できることとの組合せにおいて、細長中空管状外側部材14が内視鏡40の遠位開口部41bから延出する最大長を調整することが可能であることが好ましいと考えられる。このような設定は、通常、図3および図4に示されるような生体組織検査を実施することが望まれる場合に有用である。
【0127】
これに代わる実施形態では、1つだけの設定が利用可能である。すなわち、内側スリーブ120および中心スリーブ130を相互に接続する可能性がある。このような設定は、通常、図13aおよび図13bに示すような生体組織検査を実施することが望ましい場合に有用である。ユーザは、細長中空管状内側部材13が細長中空管状外側部材14から延出する距離を固定し、その後、細長中空管状の内側および外側部材13、14は、共に、内視鏡40の遠位開口41bに対して移動し、例えば、図13a、図13bおよび図14a~図14cに示すように、臓器の壁の表面から表面サンプルを採取するであろう。
【0128】
この例において、伸縮機構90、100は、独立した部品であっても良いこと、すなわち、内視鏡40、生検器具1およびモータ30から独立し、それらに接続可能であることにも留意すべきである。また、生検器具1の一部を形成し、それ自体がモータ31に接続するためのインターフェースを有し、内視鏡40に接続するためのインターフェースも任意選択的に有することも可能である。図18には、モータ31を含む操作ユニット30が伸縮機構に接続される方法が模式的に開示されている。また、伸縮機構90、110は、図27に開示されるように、駆動ワイヤ39を介して、モータ31を含む操作ユニット30に接続可能であってもよい。
【0129】
図22では、伸縮機構100が生検器具1から独立した設計を模式的に示している。伸縮機構100は、操作ユニット30と一体になった部品であってもよいが、操作ユニット30に接続可能な独立した部分であってもよい。生検器具1は、伸縮機構に接続するためのインターフェースを含む。インターフェースは、細長中空管状内側部材13に接続され、伸縮機構100の中心スリーブ130に接続されるように構成される第1の接続部材13eを含む。インターフェースは、細長中空管状外側部材14に接続され、内側スリーブ120に接続されるように構成される第2の接続部材14eを含む。
【0130】
生検器具1は、実際の生検サンプリングにおいて、いくつかの異なる方法にしたがって使用できる。例えば、図3図5に示すように、生検器具が使用される1つの方法、すなわち、遠位端10bが組織50内にある距離だけ前進し、その後、引き戻される1つの方法にしたがって使用できる。しかしながら、図13a~図13cおよび図14a~図14cに例示されるように、生体組織が取得される組織50の表面に沿って、生検器具1を移動させる、別の方法にしたがって使用されてもよい。図3a、図3bおよび図4に示される使用者の方法では、遠位端10bは、全円周Cを伴って組織50に挿入されるという意味で、組織50に完全に挿入され、これにより、組織からコアを切り離すために必要な分断力よりも大きい粘着力が形成される。図13a、図13bおよび図14a~図14cに示される方法では、図14aに示すように、遠位端10bは、全円周Cの一部のみが組織50に挿入されるという意味で、組織50に部分的にのみ挿入される。図14aでは、円周Cの約半分(図14aにおける下半分)が組織50に挿入される。図13aおよび図13bに示されているように、この方法における生検器具1は、組織50の表面に沿って動かされ、組織50の表面に、基本的に連続的または少なくとも半連続的な溝57を切る。
【0131】
ベース部材の遠位端は、高速(13000rpm以上)で回転させられる。これは、真っ直ぐな経路からの乖離が抑えられるように、ベース部材の細長管状部材の外に延びる遠位部が安定化されることを意味する。これは、がん腫瘍の場合に頻繁であるように、組織が異なる位置において、より柔らか/より硬い場合に有利である。サンプルは、組織の柔らかさ/硬さにおけるいかなる乖離からも独立した実質的に真っ直ぐな経路により取得されるであろう。これは、とりわけ、図3図5による実施形態および図13a~図14cによる実施形態に関連する。
【0132】
図3a、図3bおよび図4に示す使用者の方法では、伸縮機構100のような伸縮機構は、細長中空管状内側部材13が細長中空管状外側部材14に対して回転可能であり、細長中空管状内側部材13は、細長中空管状外側部材14の内部に細長中空管状内側部材13が完全に隠れる最近位端と、細長中空管状内側部材13が細長中空管状外側部材14の外へ予め決められた最大距離だけ延出した最遠位端と、の間において、細長中空管状外側部材14に対して並進可能であるように設定されてもよい。伸縮機構100のような伸縮機構は、細長中空管状外側部材14が内視鏡40のワーキングチャネル41に対して、最初は、可動であり、細長中空管状外側部材14の遠位端の意図とした位置に、一度、到達したら、細長中空管状外側部材14の位置が内視鏡40に対し固定できるように設定されてもよい。
【0133】
図13a~図13cおよび図14a~図14cに示す使用者の方法では、伸縮機構100のような伸縮機構は、細長中空管状内側部材13が細長中空管状外側部材14に対して回転可能であり、細長中空管状内側部材13は、最初に、細長中空管状外側部材14の内部に細長中空管状内側部材13が完全に隠れる最近位端と、細長中空管状内側部材13が細長中空管状外側部材14の外へ予め決められた最大距離だけ延出した最遠位端と、の間において、細長中空管状外側部材14に対して並進可能であるように設定されてもよく、これにより、生検器具がワーキングチャネル41中に挿入され、組織50に関連した位置にある時、細長中空管状外側部材13は、細長中空管状外側部材14の内部に隠れ、その後、細長中空管状内側部材13は、最遠位端に移動し、最遠位端に固定される。細長中空管状外側部材14は、その外に予め決められた距離だけ延び、好ましくは、その距離に固定される細長中空管状内側部材13の遠位端13bを伴い、且つ、細長中空管状外側部材14に対して回転している細長中空管状内側部材13を伴って、組織50に沿って動くことができる。図13では、細長中空管状内側部材13および細長中空管状外側部材14が組織の表面に沿って一緒に動くように、内視鏡40に対して伸縮機構101をユーザがどのように動かすかを示している。
【0134】
これらの場合、ベース部材10は柔軟であり、細長中空管状外側部材14は柔軟であり、ベース部材10は、好ましくは、少なくとも、13000rpmの回転速度で回転する。好ましくは、回転速度は、13000rpmと25000rpmとの間であり、より好ましくは、13000rpmと20000rpmとの間である。
【0135】
図23および図24には、細長中空管状外側部材14が剛性中空針214である生検器具1の変形例が開示されている。細長中空管状内側部材13もまた、剛性中空針213である。図23に示すように、剛性内側中空針213は、剛性外側中空針214の内部に配置されるように構成される。図24に示すように、剛性内側中空針213は、剛性外側中空針214の遠位開口から延出するのに十分な長さを有する。剛性内側中空針213および剛性外側中空針214を取り扱う場合、剛性内側中空針213は、好ましくは、図25に示すように、剛性外側中空針214の遠位開口から延出しないように引き戻される。図25では、剛性内側中空針213および剛性外側中空針214は、剛性内側中空針213および剛性外側中空針214の操作に使用される操作ユニット200内に配置されようとしている。操作ユニット200は、生体組織を取得するために、剛性内側中空針213および外側剛性中空針214の操作に使用される。剛性外側中空針214は、サンプリングされる組織への剛性外側中空針214の挿入を容易にするために傾斜した端部を有してもよい。
【0136】
さらに、剛性内側中空針213の中に内部スタイレットを設けることも考えられる。内部スタイレットは、例えば、剛性外側中空針214の先端に応じた斜めの硬い先端を含む。内部スタイレットは、生検器具1をサンプリングされる組織に挿入するときに、剛性内側中空針213の口を覆うために使用することができ、剛性内側中空針213を回転させる前、および/または、組織中に挿入する前に、部分的または完全に除去される。
【0137】
内部スタイレットを含むこのようなデザインは、以下のように用いることができる。生検器具1は、皮膚を通して、または、体腔を介して組織に挿入されるように、サンプル部位に移動され、内部スタイレットは、生検器具1のこの移動中に、剛性内側中空針の口を閉じるように配置される。その後、内部スタイレットは、剛性内側中空針213の口を開くように、近位方向に動かされる。内部スタイレットは、剛性内側中空針213の遠位部分を開き、遠位部分が剛性内側中空針213中に十分な量の組織を回収するのに十分な長さを有するように、少なくとも十分な距離、近位方向に動かされる。その後、剛性内側中空針213は、剛性外側中空針14に対して遠位方向に前進し(同時に回転し)、サンプルが取得される。剛性内側中空管213は、好ましくは、少なくとも3000rpmの回転速度で回転する。その後、剛性内側中空針213は、剛性外側中空針214中に引き戻され、生検器具1は、好ましくは、回転を継続しながらサンプル部位から引き戻される。剛性内側中空針213を前進させる前に、内部スタイレットを近位方向に動かすことが好ましいが、内部スタイレットが剛性内側中空針213中のサンプルを剛性内側中空針213の外側に押し出さないように、少なくとも、剛性内側中空針213が剛性外側中空針214中に引き戻される同時に、内部スタイレットが近位方向に動かされることで十分であることに留意すべきである。生検器具1がサンプル部位から取り外された後、剛性内側中空針213からサンプルを押し出すように内部スタイレットを遠位方向に動かすことにより、内部単身を剛性内側中空針213からサンプルを回収するために使用することができる。内部スタイレットは、剛性を有しても良い。内部スタイレットは、剛性内側中空針によりガイドされるように柔軟であってもよい。この実施形態は、図4図6に示すように、いくつかの連続したサンプルを取得するために用いられてもよく、これにより、スタイレットは、完全に取り外されるか、少なくとも、剛性中空針213の内部にサンプルを蓄積する場所を有する限度で引き戻される。
【0138】
内部スタイレットを使用することは、内視鏡40と共に使用するように構成される柔軟性を有する生検器具1にも適用可能であることに留意すべきである。そのような場合、内部スタイレットもまた柔軟性を有し、細長中空管状内側部材13によりガイドされる。
【0139】
図23に示すように、剛性内側中空針213は、インターフェース部213eを含み、剛性外側中空針214もまたインターフェース部214eを含む。
【0140】
図26aおよび図26bには、図23および図24に開示された基本形の生検器具1における使用に適した操作ユニット200の例が模式的に示されている。
【0141】
図26aは、操作ユニット200内に配置され、生検サンプルを採取する準備ができた状態にある針を開示している。
【0142】
図26bは、生検サンプルを取得するための操作ユニット200のハンドル210の動作を模式的に開示している。
【0143】
より詳細には、操作ユニット200は、その異なる構成要素を支持するベース部材201を含む。操作ユニット200は、剛性外側中空針214のインターフェース部214eと相互作用し、剛性外側中空針14の位置を維持するように構成された支持体202を含む。好ましくは、剛性外側中空針214は、操作ユニット200に対して固定されたままであり、すなわち、剛性外側中空針214は、長手方向に移動できず、操作ユニット200に対して回転できない。
【0144】
操作ユニット200は、剛性内側中空針213のインターフェース部213eと相互作用するように構成されるスライド部材またはスレッド202をさらに含む。スレッド203は、操作ユニット200および剛性外側中空針14に対して、剛性内側中空針213を回転させるように構成されるモータ30も含む。スレッド203は、図24に示されると同様に、剛性内側中空針213の遠位端を剛性外側中空針214の遠位端から延出させ、剛性内側中空針213の遠位端を剛性外側中空針213の遠位端からそれ以上延出させないように、剛性内側中空針213の遠位端は、剛性外側中空針214内に引き戻され、再び、収納できるように、支持体201に対して前後に移動するように構成される。これらの挿入および/または引き戻しの操作は、手動でもよいし、自動化され、操作ユニット200の1以上のボタンにより電気的に制御されてもよい。
【0145】
スレッド202は、例えば、ハンドル205に接続された結合部204により、前後の動作を操作できる。ハンドル205を支持体201に対して操作することにより、スレッド202は、結合部204を介して作用される。好ましい実施形態では、操作ユニット200は、支持体201に対して固定される第2のハンドルを含んでもよく、図26aおよび図26bに示されるハンドル205は、そのような固定ハンドルに向かって移動できる。分かり易くするために、そのような固定ハンドルは省略されている。
【0146】
図23および図24の生検器具1は、外側中空針214のインターフェース214eが支持体202と相互作用し、剛性内側中空針213のインターフェース213eがスレッド203およびスレッド203上のモータ30と相互作用するように、操作ユニット200の内部に位置するように設計される。さらに、操作ユニット200は、剛性を有する内側および外側中空針213、214のインターフェース部213e、214e、および操作ユニット200の関連する構成要素202、203の上に蓋206を閉じるもしくは置くことにより封じられるように構成される。蓋206は、ヒンジによりベース部材201に接続される。蓋206は、ベース部材201にスライド可能に接続されるか、はめ込み接続などを用いて完全に取り外し可能であるなど、他の適切な方法により、ベース部材201に接続されてもよい。
【0147】
操作ユニット200は、モータ制御を伴って設けられる。モータ制御は、例えば、ユーザにより操作されるスイッチまたはボタンであってもよいし、スレッド202の操作部に接続される自動コントローラであってもよい。ユーザがスレッド202を動かし始めるとき、モータコントローラは、剛性内側中空針213が回転を開始し、サンプル取得過程全体を通して回転するように、モータ30を始動する。
【0148】
サンプルが取得された後、剛性内側中空針213は、剛性外側中空針14内に引き戻され、操作ユニット200は、剛性を有する内側および外側中空針13、14をサンプリングされた組織の外へ移動させるように動作する。
【0149】
剛性内側中空針213のインターフェース部213eは、剛性内側中空針213の近位端を閉じることができるプラグ等を伴って設けられてもよい。このようなプラグを設けることにより、近位端のプラグと遠位端の組織との間において、剛性内側中空針213の内部に空気が閉じ込められ、剛性内側中空針213の内部に過剰な量の組織が蓄積されることを防ぐ、エアークッションが形成される。また、そのようなプラグは、剛性内側中空針213の内側に位置する機械的ブロック材に置き換えることができる。そのような機械的ブロック材は、好ましくは、剛性内側中空針213の近位端から挿入される。また、機械的ブロック材は、必然ではないが、剛性内側中空針213の内部に対して気密接続もしくは部分的に機密接続される。このエアプラグまたは機械的ブロック材の提供は、図23図26aおよび図26bに示される生検器具の設計に限定される訳ではないことに留意すべきである。エアプラグまたは機械的ブロック材を有するという概念は、開示されたすべての生検器具に適用可能である。
【0150】
ブロック材は、剛性内側中空針213もしくは細長中空管状内側部材213の口を遮断または閉じるように、挿入中に配置されてもよい。
【0151】
図27には、例えば、図1aに開示されているように、内視鏡40と組み合わせて使用されるように構成された生検器具1の変形例が開示されている。以下の開示に明確に反しなければ、生検器具1および部品キットは、特に、図1図22を参照して、上に議論された種類である。
【0152】
生検器具1は、モータ31を含む操作ユニット30を備える。図27に開示する実施形態では、操作ユニット30は、棚などに置かれるように構成される個別の箱である。操作ユニット30は、電源を保持し、および/または、電源に接続される。操作ユニット30は、例えば、バッテリーを含み、および/または、コンセントプラグ38に接続されてもよい。
【0153】
生検器具1は、伸縮機構を備える。この実施形態では、伸縮機能は、ユーザの視点から単一部品として使用され、また、配置される一体部品であるように、細長中空管状内側部材13および細長中空管状外側部材14に接続される。また、伸縮機構は、細長中空管状内側部材13および細長中空管状外側部材14に接続可能な個別の部品であってもよい。
【0154】
伸縮機構は、例えば、図18図22を参照して、詳細に開示される種類の伸縮機構100であってもよい。図27では、伸縮機構は、図28図30を参照して、詳細に開示される種類の伸縮機構101である。伸縮機構101は、内視鏡の挿入開口41aに固定して接続されるように構成されたコネクタ111をその遠位端に含む。
【0155】
伸縮機構101は、その近位端に、ベース部材10をモータ31に接続するように構成されたコネクタ15を有する。図27に示す実施形態では、モータ31は、駆動ワイヤ39を介してコネクタ15に接続される。駆動ワイヤ39は、好ましくは、柔軟である。駆動ワイヤ39は、モータ31からベース部材10へ回転およびトルクを伝達する内部駆動ワイヤ39iと、操作ユニット30に対して静止し、伸縮機構101のハンドル102に対して静止している外皮39cと、を含む。
【0156】
図28図30を参照すれば、伸縮機構101はハンドル102を含む。ハンドル102は、ベース部材10がハンドル102に対して回転可能であるように、ベース部材10に接続される。ハンドル102が幾何学的中心軸Aに沿って並進させられる時、ベース部材10もまた幾何学的中心軸Aに沿って並進されるように、ハンドル20は、ベース部材10に接続される。好ましくは、コネクタ111に対するハンドル102の幾何学的中心軸に沿った並進移動が、対応する、より好ましくは、同じベース部材10の並進移動をコネクタ111に対して与えるように、ベース部材10はハンドル102に並進運動的に結合される。
【0157】
ハンドル102は、内部駆動ワイヤ39iがモータ31からベース部材10へ回転およびトルクを伝達し、外皮39cがハンドル102に対して静止しているように、駆動ワイヤ39へ接続される。
【0158】
伸縮機構101は、中間部103をさらに含む。中間部103は、ベース部材調節部と呼んでもよい。ハンドル102は、中間部103に対して並進可能である。図29に示すように、ハンドル102は、中空であり、中間部103を収容することができる。中間部103は、ハンドル102にスライド可能に収容される。図27図29では、中間部103およびハンドル102は、中間部103がハンドル102の外に最大距離、延伸したという意味で、延伸した位置に示されている。
【0159】
図30では、中間部103は、ハンドル102内に収容されている。中間部103がハンドル102内に収容される結果として、ハンドル102は、コネクタ111のより近くに移動するので、ハンドル102に接続されたベース部材10は、コネクタ111に対して、遠位方向もしくは前方向に移動している。したがって、コネクタ111に向かう中間部103に対するハンドル102の動きは、ベース部材10を、内視鏡40に対して、および、選択肢的に外鞘14に対しても前進するように移動させる。
【0160】
伸縮機構101は、さらに、調節部材104を含む。調節部材104は、中間部材103に対して、幾何学的中心軸Aに沿ってスライドできるように、中間部103上にスライド可能に受け入れられる。調整部材104には、中間部材103に対して、幾何学的中心軸Aに沿った異なる位置に調節部材104をロックするように構成されるロック部材104aが与えられる。ハンドル102が調節部材104に当接するまで、ハンドル102は、中間部103を収容するように構成される。これにより、最大距離を制御しながらベース部材10が前進できる間、オペレータがベース部材10を移動させることを可能にする機構が提供される。
【0161】
図28では、調節部材104は、その最も前の位置、すなわち、中間部103に対し、調節部材104にハンドル102が当接するまで、ハンドル102が最大距離、移動できる位置にある。
【0162】
伸縮機構101は、端部105をさらに含む。端部105は、細長中空管状外側部材調節器と呼んでもよい。
【0163】
端部105は、中間部103に対して並進可能である。図29に示すように、中間部103は、中空であり、端部105を収容することができる。端部105は、中間部103内にスライド可能に収容される。図27図29では、中間部103および端部105は、端部105が中間部103の外に最大距離、延びているという意味で延ばされた延伸位置に示されている。
【0164】
図30では、端部105は、中間部103内に収容され、その結果、中間部103は、コネクタ111により近づいている。
【0165】
中間部103が幾何学的中心軸Aに沿って並進される時、細長中空管状外側部材14も幾何学的中心軸Aに沿って並進するように、中間部103は、細長中空管状外側部材14に接続される。幾何学的中心軸Aに沿った中間部103のコネクタ111に対する並進移動が、コネクタ111に対し、細長中空管状外側部材14の対応する、より好ましくは、同じ並進移動を提供するように、細長中空管状外側部材14は、好ましくは、中間部103に並進可能に結合される。端部105には、幾何学的中心軸Aに沿って端部105を貫通するチャネル107が設けられる。チャネル107は、細長中空管状外側部材14が端部105を通してスライド可能に延びることを可能にする。
【0166】
このように、端部105が中間部103内に収容される時、細長中空管状外側部材14は、コネクタ111に対して、遠位方向または前方向に移動する。その結果、コネクタ111に向かう中間部103の端部105に対する移動は、細長中空管状外側部材14を内視鏡40に対して前進するように移動させる。
【0167】
伸縮機構101は、調節部材106をさらに含む。
【0168】
調整部材106が幾何学的中心軸Aに沿って端部105に対してスライドできるように、調節部材106は、端部105上にスライド可能に受け入れられる。調整部材106には、中間部材103に対して幾何学的中心軸Aに沿った異なる位置に調整部材106をロックするように、ロック部材106aが設けられる。
【0169】
図30に最もよく示されるように、一変形例において、中間部103は、調節部材106を有する端部105を収容するように構成される。調節部材106は、中間部103に固定されるように接続される。これにより、中間部103および端部105を異なる相対位置においてロックし、これにより、細長中空管状外側部材14もコネクタ111に対してロックし、これにより、内視鏡40に対してもロックされる機構が提供される。
【0170】
一変形例において、中間部103は、調節部材106に中間部103が当接するまで、端部105を収容するように構成される。これにより、細長中空管状外側部材14が前進できる最大距離を継続して制御しながら、オペレータが細長中空管状外側部材14を移動させることができる機構が提供される。この変形例では、調節部材14は、中間部103から分離されている。
【0171】
図17図22および図27図30に開示される伸縮機構の実施形態では、駆動ワイヤなどのドライブは、ベース部材10に位置合わせされている。
【0172】
しかしながら、図31および図32には、駆動ワイヤ39のようなドライブがベース部材10にオフセットされて接続される変形例が開示されている。これにより、ベース部材10は、伸縮機構の近位端においてアクセス可能であるように、伸縮機構を貫通して延びることができる。これは、例えば、加圧する用途において有効であろう。そのような場合、ベース部材10は、伸縮機構の近位端において、コネクタ108を介して圧力が加えられるように、好ましくは液密もしくは気密である細長中空管状内側部材13を含むことが好ましい。
【0173】
ハンドル102は、ベース部材10がハンドル102に対して回転可能であるように、ベース部材10に接続される。ハンドル102は、ベース部材10が幾何学的軸Aに沿って並進される時、ベース部材10も幾何学的軸Aに沿って並進するように、ベース部材10に接続される。好ましくは、ベース部材10は、幾何学的軸Aに沿ったハンドル102のコネクタ111に対する並進移動が、対応する、より好ましくは、同じ、ベース部材10の並進移動をコネクタ111に対して提供するように、ハンドル102に並進可能に結合される。
【0174】
ハンドル102は、内部駆動ワイヤ39iがモータ31からベース部材10へ回転およびトルクを伝達でき、外皮39cがハンドル102に対して静止しているような、駆動ワイヤ39への接続も含む。この変形例では、ハンドル102は、駆動ワイヤ39が幾何学的中心軸Aに対してオフセットして接続されるように、駆動ワイヤ39への接続とベース部材10との間に接続されるギヤ機構109も含む。
【0175】
生検器具1の異なる変形例は、追加の目的のために使用できることにも留意すべきである。細長中空管状内側部材13は、それが剛性を有するか柔軟性を有するかに関係なく、ガイドワイヤの導入のための導入チャネルとして使用することができる。細長い中空管状の外側部材14は、それが剛性を有するか柔軟性を有するかに関係なく、ガイドワイヤの導入のための導入チャネルとして使用することができる。ガイドワイヤは、例えば、ステント、バルーン、カメラ、注射管などを挿入するために使用できる。ガイドワイヤは、X線画像上で可視化されるマーカーなどのマーカーを挿入するために使用することもできる。このような場合、生検器具1は、通常、以下のように使用される。まず、器具が組織に挿入され、選択肢的に、サンプルも取得され、その後、細長中空管状部材13、14のうちの1つが任選択肢的に完全に除去され(サンプルが取得されるとすれば、細長中空管状内側部材13がサンプルを回収するように除去される)、その後、意図した位置に挿入されたままの生検器具1の一部を介して、ガイドワイヤが挿入され、その後、意図した位置まで伸びたガイドワイヤを残して、生検器具のすべての部分を引き戻し、その後、ステント、バルーン、マーカーを挿入または動作させ、最後に、ガイドワイヤも引き戻される。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13a
図13b
図13c
図14a
図14b
図14c
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26a
図26b
図27
図28
図29
図30
図31
図32